(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】修飾核酸モノマー化合物及びオリゴ核酸類縁体
(51)【国際特許分類】
C07D 239/47 20060101AFI20230630BHJP
C07D 239/54 20060101ALI20230630BHJP
C07F 7/18 20060101ALI20230630BHJP
C07F 9/6561 20060101ALI20230630BHJP
C07F 9/6512 20060101ALI20230630BHJP
C07D 473/34 20060101ALI20230630BHJP
C07D 473/18 20060101ALI20230630BHJP
A61P 31/12 20060101ALN20230630BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20230630BHJP
A61K 31/713 20060101ALN20230630BHJP
A61K 31/675 20060101ALN20230630BHJP
A61K 48/00 20060101ALN20230630BHJP
A61P 7/02 20060101ALN20230630BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20230630BHJP
【FI】
C07D239/47
C07D239/54 CSP
C07F7/18 A
C07F9/6561 Z
C07F9/6512
C07D473/34 361
C07D473/18
A61P31/12 ZNA
A61P35/00
A61K31/713
A61K31/675
A61K48/00
A61P7/02
C12N15/10 Z
(21)【出願番号】P 2019525501
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2018022663
(87)【国際公開番号】W WO2018230624
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】P 2017118572
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕太
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-130232(JP,A)
【文献】特表平10-508312(JP,A)
【文献】特表平09-509663(JP,A)
【文献】MARTIN John C., et al.,Synthesis and Anti-Herpes-Virus Activity of Acyclic 2'-Deoxyguanosine Analogs Related to 9-[(1,3-Dih,Journal of Medicinal Chemistry,1986年,Vol.29(8),p.1384-1389
【文献】GREENE et al.,Protective groups in organic synthesis,Second Edition,JOHN WILEY & SONS, INC.,1998年10月02日,p.10-11
【文献】BOYODE Bruno P., et al.,Synthesis of acyclic nucleoside 5-o-carbonyl uracil derivative,Journal de la Societe Ouest-Africaine de Chimie,2009年,Vol.14(28),p.61-66
【文献】COLOMBO Francesca, et al.,Pharmacogenomics and analogues of the antitumor agent N6-isopentenyladenosine,International Journal of Cancer,2009年,Vol.124(9),p.2179-2185
【文献】KIM Yong-Chul, et al.,Acyclic Analogues of Deoxyadenosine 3',5'-Bisphosphates as P2Y1 Receptor Antagonists,Journal of Medicinal Chemistry,2000年,Vol.43(4),p.746-755
【文献】KASHIDA Hiromu, et al.,Control of the Chirality and Helicity of Oligomers of Serinol Nucleic Acid (SNA) by Sequence Design,Angewandte Chemie, International Edition,2011年,Vol.50(6),p.1285-1288
【文献】OGILVIE Kelvin K.,SYNTHESIS OF PURINE AND PYRIMIDINE TRIHYDROXYACYCLONUCLEOSIDES,Nucleosides & Nucleotides,1984年,Vol.3(5),p.537-547
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07F
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される化合物またはその塩。
【化95】
[式中、
A
1は、トリチル、4-メトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)、4,4’,4’’-トリメトキシトリチルから選択される水酸基の保護基を示し;
A
2は、リン官能基、水酸基の保護基、または-C(=O)CH
2CH
2COOHを示し;
前記リン官能基は、下記式(i)、式(ii)、または式(iii)で表され;
【化18】
(式中、Y
1はリン酸の保護基を示し、Z
1およびZ
2は、それぞれ独立してC
1-6アルキルを示すか、またはZ
1およびZ
2が一緒になって、それらが結合する窒素原子と共に、更に1~3個のヘテロ原子を含んでいてもよい5から7員含窒素複素環を形成する。)
【化19】
(式中、Y
1はリン酸の保護基を示し、Y
2は水素原子またはリン酸の保護基を示す)
【化20】
(式中、Z
+は、モノC
1-6アルキルアンモニウムイオン、ジC
1-6アルキルアンモニウムイオン、および金属イオンから選択されるカチオンを示す)
Bは下記式(II)、(III)、(IV)および(V)から選択される核酸塩基を示し;
【化96】
(式中、
R
1は、水素原子またはメチルを示し;
R
2は、水素原子、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、またはアミノ基の保護基を示し;
R
4は、水素原子、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または水酸基の保護基を示し;
R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、またはアミノ基の保護基を示す。)
Lは、-OCH
2CH
2-または-CH
2OCH
2-を示し、
Y
1およびY
2におけるリン酸の保護基は、2-シアノエチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリブロモエチル、2-トリメチルシリルエチル、2-(ジフェニルメチルシリル)エチル、4-[N-メチル-N-(トリフルオロアセチル)アミノ]ブチル、2-[(1-ナフチル)カルバモイルオキシ]エチル、4-オキソペンチル、C
1-6アルキル、2,4-ジニトロベンジル、ベンジル、およびアリルから選択され、
R
2、R
3、R
5およびR
6におけるアミノ基の保護基はそれぞれ独立して、
t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、およびアリルオキシカルボニルから選択されるカーバメート系保護基
;
アセチル、クロロアセチル、フルオロアセチル、トリフルオロアセチル、ブチリル、イソブチリル、ベンゾイル、および2-ニトロベンゾイルから選択されるアシル系保護基
;
フタロイルであるイミド系保護基
;および
ベンジル、4-メトキシベンジル、および3,4-ジメトキシベンジルから選択されるベンジル系保護基
から選択され、
R
4およびA
2における水酸基の保護基は、
トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、およびトリフェニルシリルから選択されるシリル系保護基
;
トリチル、4-モノメトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、および4,4’,4’’-トリメトキシトリチルから選択されるトリチル系保護基;
テトラヒドロピラニル、3-ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルから選択される複素環系保護基
;
ベンジル、4-メトキシベンジル、2-ニトロベンジル、4-ニトロベンジル、および4-シアノベンジルから選択されるベンジル系保護基
;
アセチル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ブチリル、プロピオニル、ピバロイル、レブリニル、ペンタノイル、およびバレリルから選択される脂肪族アシル系保護基
;
ベンゾイル、2,6-ジクロロベンゾイル、2-トルオイル、4-メトキシベンゾイル、および2,4,6-トリメチルベンゾイルから選択される芳香族アシル系保護基
;
t-ブトキシメチル、メトキシメチル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエトキシエチル、2-(シアノエトキシ)エチル、2-ナフチルメトキシメチル、ジフェニルメチルから選択されるエーテル系保護基
;
ジメチルカルバモイルおよびジフェニルカルバモイルから選択されるカルバモイル系保護基
;および
9-フルオレニルメトキシカルボニルであるアルコキシカルボニル系保護基
から選択さ
れる。]
【請求項2】
Lが、-OCH
2CH
2-である、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
A
2が、リン官能基である、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
A
2が、-P(-OR
7)-NR
8R
9であり、
R
7はC
1-6アルキルまたは2-シアノエチルを示し、
R
8およびR
9はそれぞれ独立して、C
1-6アルキルであるか、または-NR
8R
9が一体となって
【化97】
[式中、R
10はC
1-3アルキルを示し、mは0から4の整数を示し、nは1から3の整数を示す]
を形成する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
A
2が、-C(=O)CH
2CH
2COOHである、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
下記式(VI)で表される、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【化98】
[式中、Bは、前記式(II)、(III)、(IV)および(V)から選択される核酸塩基である。]
【請求項7】
下記式(VII)で表される、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【化99】
[式中、Bは、前記式(II)、(III)、(IV)および(V)から選択される核酸塩基である。]
【請求項8】
前記A
2における水酸基の保護基は、シリル系保護基である、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
下記式(VIII)で表される、修飾核酸モノマー化合物由来の一価の基が、担体上のアミノ基を介して固相担体に保持されている修飾核酸モノマー担持物。
【化100】
[式中、
A
3は、水素原子、または、トリチル、4-メトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)、4,4’,4’’-トリメトキシトリチルから選択される水酸基の保護基であり;
Bは下記式(II)、(III)、(IV)および(V)から選択される核酸塩基を示し;
【化101】
(式中、
R
1は、水素原子またはメチルを示し;
R
2は、水素原子、C
1-6アルキル、C
1-6-アルコキシ、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、またはアミノ基の保護基を示し;
R
4はそれぞれ独立して水素原子、C
1-6アルキル、C
1-6-アルコキシ、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または水酸基の保護基を示し;
R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、C
1-6アルキル、C
1-6-アルコキシ、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、またはアミノ基の保護基を示す。)
Lは、-OCH
2CH
2-または-CH
2OCH
2-を示し、
R
2、R
3、R
5およびR
6におけるアミノ基の保護基はそれぞれ独立して、
t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、およびアリルオキシカルボニルから選択されるカーバメート系保護基
;
アセチル、クロロアセチル、フルオロアセチル、トリフルオロアセチル、ブチリル、イソブチリル、ベンゾイル、および2-ニトロベンゾイルから選択されるアシル系保護基
;
フタロイルであるイミド系保護基
;および
ベンジル、4-メトキシベンジル、および3,4-ジメトキシベンジルから選択されるベンジル系保護基
から選択され、
R
4における水酸基の保護基は、
トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、およびトリフェニルシリルから選択されるシリル系保護基
;
トリチル、4-モノメトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、および4,4’,4’’-トリメトキシトリチルから選択されるトリチル系保護基;
テトラヒドロピラニル、3-ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルから選択される複素環系保護基
;
ベンジル、4-メトキシベンジル、2-ニトロベンジル、4-ニトロベンジル、および4-シアノベンジルから選択されるベンジル系保護基
;
アセチル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ブチリル、プロピオニル、ピバロイル、レブリニル、ペンタノイル、およびバレリルから選択される脂肪族アシル系保護基
;
ベンゾイル、2,6-ジクロロベンゾイル、2-トルオイル、4-メトキシベンゾイル、および2,4,6-トリメチルベンゾイルから選択される芳香族アシル系保護基
;
t-ブトキシメチル、メトキシメチル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエトキシエチル、2-(シアノエトキシ)エチル、2-ナフチルメトキシメチル、ジフェニルメチルから選択されるエーテル系保護基
;
ジメチルカルバモイルおよびジフェニルカルバモイルから選択されるカルバモイル系保護基
;および
9-フルオレニルメトキシカルボニルであるアルコキシカルボニル系保護基
から選択さ
れる。]
【請求項10】
下記式(XVII)および(XVIII)から選択される部分構造を1以上含有するオリゴ核酸類縁体またはその塩(ただし、該部分構造を2以上含有する場合は、該部分構造間でB
3およびLはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)
【化105】
[式中、
B
3は、下記式(II)’、(III)’、(IV)’および(V)’から選択される核酸塩基を示し;
【化103】
(式中、
R
1は、水素原子またはメチルを示し;
R
2は、水素原子、C
1-6アルキル、C
1-6-アルコキシ、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、またはアミノ基の保護基を示し;
R
4は、水素原子、C
1-6アルキル、C
1-6-アルコキシ、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または水酸基の保護基を示し;
R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立して水素原子、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、またはアミノ基の保護基を示す。)
Lは、-OCH
2CH
2-または-CH
2OCH
2-を示し;
TはOHまたはSHを示し、
R
2、R
3、R
5およびR
6におけるアミノ基の保護基はそれぞれ独立して、
t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、およびアリルオキシカルボニルから選択されるカーバメート系保護基
;
アセチル、クロロアセチル、フルオロアセチル、トリフルオロアセチル、ブチリル、イソブチリル、ベンゾイル、および2-ニトロベンゾイルから選択されるアシル系保護基
;
フタロイルであるイミド系保護基
;および
ベンジル、4-メトキシベンジル、および3,4-ジメトキシベンジルから選択されるベンジル系保護基
から選択され、
R
4における水酸基の保護基は、
トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、およびトリフェニルシリルから選択されるシリル系保護基
;
トリチル、4-モノメトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、および4,4’,4’’-トリメトキシトリチルから選択されるトリチル系保護基;
テトラヒドロピラニル、3-ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルから選択される複素環系保護基
;
ベンジル、4-メトキシベンジル、2-ニトロベンジル、4-ニトロベンジル、および4-シアノベンジルから選択されるベンジル系保護基
;
アセチル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ブチリル、プロピオニル、ピバロイル、レブリニル、ペンタノイル、およびバレリルから選択される脂肪族アシル系保護基
;
ベンゾイル、2,6-ジクロロベンゾイル、2-トルオイル、4-メトキシベンゾイル、および2,4,6-トリメチルベンゾイルから選択される芳香族アシル系保護基
;
t-ブトキシメチル、メトキシメチル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエトキシエチル、2-(シアノエトキシ)エチル、2-ナフチルメトキシメチル、ジフェニルメチルから選択されるエーテル系保護基
;
ジメチルカルバモイルおよびジフェニルカルバモイルから選択されるカルバモイル系保護基
;および
9-フルオレニルメトキシカルボニルであるアルコキシカルボニル系保護基
から選択さ
れる。]
【請求項11】
B
3は、下記式(X)、(XI)、(XII)および(XIII)から選択される、請求項1
0に記載のオリゴ核酸類縁体またはその塩。
【化104】
[式中、R
1は前記の定義と同じである。]
【請求項12】
Lが、-OCH
2CH
2-である、請求項1
0または11に記載のオリゴ核酸類縁体またはその塩。
【請求項13】
一鎖あたり含有する核酸塩基単位の総数が4~100である、請求項1
0から
12のいずれか一項に記載のオリゴ核酸類縁体またはその塩。
【請求項14】
一鎖あたり含有する核酸塩基単位の総数が4~30である、請求項1
0から1
2のいずれか一項に記載のオリゴ核酸類縁体またはその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾核酸モノマー化合物および該モノマー化合物を含むオリゴ核酸類縁体に関する。更に詳細には、本発明は、ヌクレオシドのリボースまたはデオキシリボース骨格の代わりに2-エチルグリセロール、またはメトキシメチル-1,3-プロパンジオール骨格などの特定の骨格を有する修飾核酸モノマー化合物および該モノマー化合物を構成ユニットの少なくとも一つとして含むオリゴ核酸類縁体に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書中で示される核酸モノマー糖部の原子付番に関しては、天然型のリボヌクレオシド(アデノシン、シチジン、グアノシン、ウリジンなど)を基準にして慣用的に用いられる原子付番に従うものとする(下記化学構造式参照)。
【化1】
【0003】
核酸医薬は、DNAやRNAといった核酸(オリゴヌクレオチド)からなる医薬品で、特定の塩基配列や特定のタンパク質を認識して遺伝子発現を抑制したり、タンパク質の機能を阻害したりすることにより、これまで治療が困難であった疾病の治療への利用が期待されている。
具体的なオリゴ核酸としては、アンチセンスや核酸アプタマー等のほか、近年はRNA干渉(RNAinterference:RNAi)を利用した治療法の開発が注目されている。
【0004】
RNA干渉とは、二本鎖RNAが遺伝子の発現を抑制する現象である。標的とする遺伝子と塩基配列が同じ二本鎖RNAを細胞内に導入すると、Dicerと呼ばれる細胞質内に存在する酵素の働きにより20から25塩基対程度の二本鎖RNAとなる。この二本鎖RNAが細胞内の複数のタンパク質とRNA-induced silencing complex(RISC) というタンパク質-RNA複合体を形成し、標的遺伝子から合成されたmessenger RNA (mRNA)の相同配列に結合してmRNAを特異的に切断し、タンパク質への翻訳反応を抑制するものである(非特許文献1)。その後、21塩基の短い二本鎖RNA(smallinterfering RNA:siRNA)を用いてもRNAiを誘起させることが報告され、RNAi法は、目的の遺伝子のみの発現を効果的に抑制する技術として注目されている。
【0005】
一方、アンチセンス法やRNAi法においては、天然型のオリゴ核酸は、生体内に存在する各種のヌクレアーゼによる加水分解を容易に受けるため生物学的安定性に課題がある。この課題を解決するために、2’-OMeあるいは2’-F修飾核酸モノマーの導入、およびリン酸結合部位のホスホロチオエート結合への変換などの化学修飾によるヌクレアーゼ耐性の向上を図っている。
また、RNAのリボース部分を修飾した核酸として、下記式
【化2】
[式中、Bは核酸塩基を表わす]
で示されるUNA(unlocked nucleic acid:2’,3’-seco-RNA)モノマーをsiRNAに導入することにより、そのエキソヌクレアーゼ抵抗性が高まるとともに、オフ-ターゲット(off-targeting)効果を抑制し、標的遺伝子サイレンシング効果の特異性を向上しうることが報告されている(非特許文献2)。また、特許文献1には、下記式
【化3】
[式中、Xは、-O-、-S-または-CH
2-、Jは、-P-または-S-、Zは、H、OH、CH
2OH、CH
3、C
2-22アルキル鎖、R
2は、H、OH、O-アルキルなどを表わす]
で示されるUNAモノマーをsiRNAに導入することが提案されている。
また、非特許文献3には、リボース部分を下記式
【化4】
で示される、2-アミノ-1’,3’-プロパンジオール(セリノール)骨格に変換した修飾ヌクレオシド(セリノール核酸;SNA)のオリゴマーについて、安定した二本鎖構造体が得られることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開WO2011/139710号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【文献】Fire et al., Nature, 391, 806-811 (1998)
【文献】Pasternak et al.,Org. Biomol. Chem., 9, 3591-3597, 2011
【文献】Angew.Chem.Int.Ed.2011,50,1285-1288
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまで多くの修飾核酸が提案されているが、現状において、生物学的安定性(例えば、血中安定性)の改善、標的遺伝子発現抑制活性の増強について、十分に満足し得るものは未だに見出されていない。
したがって、本発明の課題は、医薬への応用に際して有用で、優れた生物学的安定性または標的遺伝子発現抑制活性の少なくとも一つを可能にする新規修飾核酸モノマー化合物、および該モノマー化合物を構成ユニットとして含むオリゴ核酸類縁体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために本発明者らは鋭意研究した。その結果、ヌクレオシドのリボースまたはデオキシリボース骨格に代わり、2-エチルグリセロール、またはメトキシメチル-1,3-プロパンジオール骨格などの特定の骨格を有する修飾ヌクレオシドを修飾核酸モノマー化合物として用いて、該修飾核酸モノマー化合物を構成ユニットの少なくとも一つとして含むオリゴ核酸類縁体を、例えばsiRNAとして用いた場合に、標的遺伝子発現抑制活性の維持もしくは増強または生物学的安定性の改善の少なくとも一つを可能とするsiRNAが得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0010】
本発明は、例えば、以下の通りである。
[1].下記式(I)
【化5】
[式中、A
1は、水酸基の保護基を示し;
A
2は、リン官能基、水酸基の保護基、または-C(=O)CH
2CH
2COOHを示し;
Bは核酸塩基を示し;
Lは、-OCH
2CH
2-または-CH
2OCH
2-を示す]
で表される化合物もしくはその塩、
[2].Bが、
下記式(II)、(III)、(IV)および(V):
【化6】
[式中、R
1は、水素原子またはメチルを示し;
R
2およびR
4はそれぞれ独立して水素原子、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または保護基を示し;
R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または保護基を示す];
から選択される核酸塩基である、[1]に記載の化合物もしくはその塩、
[3].Lが、-OCH
2CH
2-である、[1]または[2]に記載の化合物またはその塩、
[4].A
1が、トリチル、4-メトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)、4,4’,4’’-トリメトキシトリチルから選択される水酸基の保護基である、[1]から[3]のいずれか一に記載の化合物もしくはその塩、
[5].A
2が、リン官能基である、[1]から[4]のいずれか一に記載の化合物もしくはその塩、
[6].A
2が、-P(-OR
7)-NR
8R
9であり、
R
7はC
1-6アルキルまたは2-シアノエチルを示し、
R
8およびR
9はそれぞれ独立してC
1-6アルキルであるか、または、-NR
8R
9が一体となって
【化7】
[式中、R
10はC
1-3アルキルを示し、mは0から4の整数を示し、nは1から3の整数を示す]
を形成する、
[1]から[5]のいずれか一に記載の化合物またはその塩。
[7].A
2が、-C(=O)CH
2CH
2COOHである、[1]から[4]のいずれか一に記載の化合物またはその塩、
[8].R
2、R
3、R
5およびR
6における保護基はそれぞれ独立して、カーバメート系保護基、アシル系保護基、イミド系保護基、およびベンジル系保護基から選択され、
R
4における保護基は、シリル系保護基、トリチル系保護基、複素環系保護基、ベンジル系保護基、脂肪族アシル系保護基、芳香族アシル系保護基、エーテル系保護基、カルバモイル系保護基、およびアルコキシカルボニル系保護基から選択される、[2]から[7]のいずれか一に記載の化合物またはその塩、
[9].下記式(VI)で表される、[2]に記載の化合物またはその塩。
【化8】
[式中、Bは、前記式(II)、(III)、(IV)および(V)から選択される核酸塩基である。]
[10].下記式(VII)で表される、[2]に記載の化合物またはその塩。
【化9】
[式中、Bは、前記式(II)、(III)、(IV)および(V)から選択される核酸塩基である。]
[11].下記(VIII)で表される、修飾核酸モノマー化合物由来の一価の基が、担体上のアミノ基を介して固相担体に保持されている修飾核酸モノマー担持物。
【化10】
[式中、
A
3は、水素原子、または、トリチル、4-メトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)、4,4’,4’’-トリメトキシトリチルから選択される水酸基の保護基であり;
Bは核酸塩基を示し;
Lは、-OCH
2CH
2-または-CH
2OCH
2-を示す]
で表される修飾核酸モノマー担持物、
[12].Bが、下記式(II)、(III)、(IV)および(V):
【化11】
[式中、
R
1は、水素原子またはメチルを示し;
R
2およびR
4はそれぞれ独立して水素原子、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または保護基を示し;
R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または保護基を示す]
から選択される核酸塩基である、[11]に記載の修飾核酸モノマー担持物、
[13]. R
2、R
3、R
5およびR
6における保護基はそれぞれ独立して、カーバメート系保護基、アシル系保護基、イミド系保護基、およびベンジル系保護基から選択され、
R
4における水酸基の保護基は、シリル系保護基、トリチル系保護基、複素環系保護基、ベンジル系保護基、脂肪族アシル系保護基、芳香族アシル系保護基、エーテル系保護基、カルバモイル系保護基、およびアルコキシカルボニル系保護基から選択される、[12]に記載の修飾核酸モノマー担持物、
[14].下記式(IX)で表される部分構造を1以上含有するオリゴ核酸類縁体またはその塩(ただし、該部分構造を2以上含有する場合は、該部分構造間でB
3およびLはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)
【化12】
[式中、
Bは核酸塩基を示し;
Lは、-OCH
2CH
2-または-CH
2OCH
2-を示す]、
[15].B
3が、
下記式(II)’、(III)’、(IV)’および(V)’:
【化13】
(式中、
R
1は、水素原子またはメチルを示し;
R
2およびR
4はそれぞれ独立して水素原子、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または保護基を示し;
R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素原子、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または保護基を示す]、
から選択される核酸塩基である、[14]に記載のオリゴ核酸類縁体またはその塩、
[16]. R
2、R
3、R
5およびR
6における保護基はそれぞれ独立して、カーバメート系保護基、アシル系保護基、イミド系保護基、およびベンジル系保護基から選択され、
R
4における水酸基の保護基は、シリル系保護基、トリチル系保護基、複素環系保護基、ベンジル系保護基、脂肪族アシル系保護基、芳香族アシル系保護基、エーテル系保護基、カルバモイル系保護基、およびアルコキシカルボニル系保護基から選択される、[15]に記載のオリゴ核酸類縁体またはその塩、
[17].B
3は、下記式(X)、(XI)、(XII)および(XIII)から選択され;
【化14】
[式中、R
1は前記の定義と同じである。]
から選択される置換基である[16]に記載のオリゴ核酸類縁体またはその塩、
[18].Lが、-OCH
2CH
2-である、[15]から[17]のいずれか一に記載のオリゴ核酸類縁体またはその塩、
[19].一鎖あたり含有する核酸塩基単位の総数が4~100である、[15]から[18]のいずれか一に記載のオリゴ核酸類縁体もしくはその塩、
[20].一鎖あたり含有する核酸塩基単位の総数が4~30である、[15]から[18]のいずれか一に記載オリゴ核酸類縁体もしくはその塩、
に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、優れた生物学的安定性(例えば、血中安定性)および/または標的遺伝子発現抑制活性を有するオリゴ核酸類縁体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】修飾したLuciferase siRNAによるLuciferase活性阻害試験の結果を示す図である。
【
図2】修飾したLuciferase siRNAによるLuciferase活性阻害試験の結果を示す図である。
【
図3】修飾したLuciferase siRNAによるLuciferase活性阻害試験の結果を示す図である。
【
図4】実施形態のLuciferase修飾siRNAのヌクレアーゼ安定性試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本明細書において記載する用語等の意義を説明し、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本明細書において、ハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を示す。
C1-6アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、1-メチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、1-メチル-2-エチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2-エチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチルを示す。一つの態様としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルである。
【0015】
C2-6アルケニル基は、例えば、ビニル、アリル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテン-1-イル、1-ブテン-2-イル、1-ブテン-3-イル、2-ブテン-1-イル、2-ブテン-2-イルを示す。C3-6アルケニル基は、C2-6アルケニル基からビニルを除いた基である。
C2-6アルキニル基は、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルを示す。C3-6アルキニル基は、C2-6アルキニル基からエチニルを除いた基である。
C1-6アルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、sec-ペントキシ、t-ペントキシ、n-ヘキソキシ、イソヘキソキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、2-エチルプロポキシ、1-メチル-2-エチルプロポキシ、1-エチル-2-メチルプロポキシ、1,1,2-トリメチルプロポキシ、1-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、2-エチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、ヘキシルオキシを示す。一つの態様としては、メトキシである。
【0016】
C1-6アルキルチオ基は、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、1-メチルプロピルチオを示す。
C1-6アルキルスルホニル基は、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n-プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n-ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、t-ブチルスルホニル、n-ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、n-ヘキシルスルホニル、1-メチルプロピルスルホニルを示す。
【0017】
C1-6アルキル-カルボニル基は、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリルを示す。
C6-14アリールオキシ-カルボニル基は、例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニルを示す。
C6-14アリール-カルボニル基は、例えば、ベンゾイル、ナフトイルを示す。一つの態様としては、ベンゾイルである。
C6-14アリールスルホニル基は、例えば、ベンゼンスルホニル、ナフチルスルホニルを示す。
【0018】
モノC1-6アルキルアミノ基は、例えば、モノメチルアミノ、モノエチルアミノ、モノn-プロピルアミノ、モノイソプロピルアミノ、モノn-ブチルアミノ、モノイソブチルアミノ、モノt-ブチルアミノ、モノn-ペンチルアミノ、モノイソペンチルアミノ、モノネオペンチルアミノを示す。
ジC1-6アルキルアミノ基は、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジn-ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジt-ブチルアミノ、ジn-ペンチルアミノ、ジイソペンチルアミノ、ジネオペンチルアミノを示す。
【0019】
「核酸塩基」は、核酸の合成に使用されるものであれば特に制限されず、(i)天然型のヌクレオシドの核酸塩基(シトシル基、ウラシル基、チミニル基、アデニル基、グアニル基)、(ii)修飾核酸塩基または塩基アナログ(例えば、塩基部分が、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-14アリールオキシ-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C6-14アリールスルホニル基、アミノ基、モノC1-6アルキルアミノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、カルボキシ基などで置換されたもの)、および(iii)保護されていてもよい核酸塩基(上記(i)(ii)の核酸塩基におけるアミノ基または水酸基が保護基で保護されたもの)を包含して定義される。塩基アナログは、その構造が天然型のヌクレオシドの塩基の構造に類似する化学物質である。
【0020】
「ヌクレオシド」は、本明細書においてペントース糖(リボース、デオキシリボース、またはそれらの改変物)に共有結合した核酸塩基からなる化合物を示す。
「ヌクレオチド」は、モノマー単位としての、または核酸中の、ヌクレオシドのリン酸エステルを意味する。
「ヌクレオチド類縁体」は、ペントース糖および/またはヌクレオチド塩基および/またはヌクレオシドの1個もしくは複数のリン酸エステルが、そのそれぞれの類縁体で任意に置換された化合物を指す。
「オリゴ核酸」または「オリゴヌクレオチド」は、一般に一分子内に少数の核酸塩基を有する核酸分子またはその類縁体を指す。一方、多数の核酸塩基を有する核酸分子またはその類縁体についてはポリ核酸またはポリヌクレオチドと称するが、これらとオリゴ核酸またはオリゴヌクレオチドとの重合数の境界は明確には定まっていない。本明細書中においてオリゴ核酸またはオリゴヌクレオチドは、一分子内に4~100(さらには4~50)の核酸塩基を有する核酸分子またはその類縁体を指す。オリゴ核酸またはオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であるモノマーユニット(ヌクレオチドサブユニット)の直線状オリゴマーである。
オリゴ核酸またはオリゴヌクレオチドに関する「類縁体」は、たとえば、修飾もしくは置換された糖部分、修飾もしくは置換された塩基部分、または修飾もしくは置換された糖結合部分から選択される少なくとも一つの改変部分またはこれらの組合せを有し得る。
【0021】
本明細書中においては、化合物の化学構造式が異性体を表すことがあるが、本発明の化合物は特にいずれかの異性体に限定する旨の記載、例えば化合物名上の表記や、異性体の分離工程に関する記載がある場合を除き、化学構造式の記載に限定されるものではなく、化合物の構造上生ずる総ての幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、または互変異性体等の異性体及びこれらの異性体混合物を含む。したがって、分子内に不斉炭素原子を有し光学活性体およびラセミ体が存在することがあり得るが、特に一方の異性体に限定する旨の記載がある場合を除き、光学活性体およびラセミ体のいずれもが含まれる。
【0022】
本発明の一形態は、ヌクレオシドのリボースまたはデオキシリボース骨格に代わり、2-エチルグリセロール、またはメトキシメチル-1,3-プロパンジオール骨格などの特定の骨格を有する修飾核酸モノマー化合物を提供する。
以下、本発明の修飾核酸モノマー化合物およびそれを少なくとも構成ユニットの一として含むオリゴ核酸類縁体について詳細に説明する。
【0023】
1.修飾核酸モノマー化合物
本発明の修飾核酸モノマー化合物は、下記式(I)
【化15】
で表わされる。式(I)の修飾核酸モノマー化合物は、その-O-A
1と-O-A
2とが、それぞれリボースまたはデオキシリボースの5’位と3’位に代替してオリゴ核酸類縁体を構成するヌクレオチドとの結合に関与し、オリゴ核酸誘導体を製造するのに用いることができる。
ここで、式(I)において、プロパン骨格炭素原子の番号はIUPACの命名法では、A
1、A
2の種類により変動しうるが、本発明の説明上、下記式のとおりの番号を用いるものとする。
【化16】
【0024】
式(I)において、Bは核酸塩基である。
Bの一つの態様としては、下記式(II)、(III)、(IV)および(V)から選択される核酸塩基である。
【化17】
式(II)~(V)中、R
1は、水素原子またはメチルを示す。
R
2およびR
4はそれぞれ独立して水素原子、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または保護基を示し;
R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または保護基を示す。
R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
上記保護基は、後述するヌクレオチドオリゴマー(オリゴ核酸類縁体)製造時にアミノ基の保護基または水酸基の保護基として機能する。すなわち、R2、R3、R5およびR6はアミノ基の保護基であり、R4は水酸基の保護基である。該保護基としてはヌクレオチドオリゴマー製造時に安定であり、オリゴマー形成後に脱保護できるものであれば、特に限定されない。例として、以下のものが挙げられる。
【0026】
アミノ基の保護基としては、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、アリルオキシカルボニルなどのカーバメート系保護基;アセチル、クロロアセチル、フルオロアセチル、トリフルオロアセチル、ブチリル、イソブチリル、ベンゾイル、2-ニトロベンゾイルなどのアシル系保護基;フタロイルなどのイミド系保護基;ベンジル、4-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジルなどのベンジル系保護基等が挙げられる。
【0027】
水酸基の保護基としては、スルホニル系保護基を除き、後述するA1の水酸基の保護基と同様の保護基を挙げることができる。
【0028】
核酸合成法で用いる縮合反応での安定性や、脱保護の容易性の点から、Bにおける、R2およびR6の一つの態様としては、アセチル、イソブチリル、ベンゾイルなどのアシル系保護基である。R3およびR5の一つの態様としては、同様の点から、アセチル、イソブチリル、2-メチルプロパノイルなどのアシル系保護基である。R4の一つの態様としては、同様の点から、ジメチルカルバモイル、ジフェニルカルバモイルなどのカルバモイル系保護基である。
【0029】
式(I)において、A1は、水酸基の保護基を示す。-O-A1はリボースまたはデオキシリボースの5’位に代替してヌクレオチドとの結合に関与し、ヌクレオチドオリゴマー(オリゴ核酸類縁体)を形成し得る。
水酸基の保護基としては、特に制限されず、例えば、核酸の水酸基の保護基として通常使用されているものであればいずれの保護基も使用し得る。このような保護基としては、例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリフェニルシリルなどのシリル系保護基;トリチル、4-モノメトキシトリチル(MMTr)、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)、4,4’,4’’-トリメトキシトリチルなどのトリチル系保護基;テトラヒドロピラニル、3-ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニルなどの複素環系保護基;ベンジル、4-メトキシベンジル、2-ニトロベンジル、4-ニトロベンジル、4-シアノベンジルなどのベンジル系保護基;アセチル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ブチリル、プロピオニル、ピバロイル、レブリニル、ペンタノイル、バレリルなど脂肪族アシル系保護基;ベンゾイル、2,6-ジクロロベンゾイル、2-トルオイル、4-メトキシベンゾイル、2,4,6-トリメチルベンゾイルなどの芳香族アシル系保護基;t-ブトキシメチル、メトキシメチル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエトキシエチル(SEM)、2-(シアノエトキシ)エチル(CEE)、2-ナフチルメトキシメチル(NAPOM)、ジフェニルメチル、などのエーテル系保護基;ジメチルカルバモイル、ジフェニルカルバモイルなどのカルバモイル系保護基;メシル、トシル、トリフルオロメタンスルホニルなどのスルホニル系保護基;9-フルオレニルメトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル系保護基が挙げられる。
【0030】
これらの水酸基の保護基については、Beaucageet al., Tetrahedron, Vol.48, pp.2223-2311, 1992;Greene andWuts,Protecting Groups inOrganic Synthesis,Chapter,3rdEd. , JohnWiley &Sons, NewYork,1999(以下「Greeneらの文献」ともいう)などの文献を参照することができる。
【0031】
式(I)におけるA1としては、核酸合成法で用いる縮合反応での安定性や、脱保護の容易性の点から、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)、4-モノメトキシトリチル(MMTr)などのトリチル系保護基、シリル系保護基がより好ましく、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)がさらに好ましい。
【0032】
式(I)において、A2は、リン官能基、水酸基の保護基、または-C(=O)CH2CH2COOHを示す。-O-A2はリボースまたはデオキシリボースの3’位に代替してヌクレオチドとの結合に関与し、ヌクレオチドオリゴマー(オリゴ核酸類縁体)を形成し得る。
【0033】
該水酸基の保護基としては、前記したA1の水酸基の保護基を同様に挙げることができる。A1の水酸基の保護基と異なる条件で脱保護できる保護基が好ましい。例えば、A1の水酸基の保護基がトリチル系保護基の場合にはシリル系保護基が好ましく、中でも、脱保護の容易性および選択性の点からトリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)がより好ましく、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)がさらに好ましい。また、A1の水酸基の保護基がシリル系保護基の場合には、水酸基の保護基A2は、複素環系保護基、脂肪族アシル系保護基、芳香族アシル系保護基が好ましい。
【0034】
リン官能基としては、式(I)の修飾核酸モノマー化合物を用いて、式(VII)のオリゴ核酸類縁体を、核酸合成法として知られているホスホロアミダイト法(S. L. Beaucage, M. H. Caruthers, Tetrahedron Lett., 22, 1859 (1981))、トリエステル法(R. L. Letsinger, K. K. Ogilvie, J. Am. Chem. Soc., 89, 4801 (1967))、H-ホスホネート法(P. J. Garegg, I. Lindh, T. Regberg, J. Stawinski, R. Stronberg, C. Henrichson, Tetrahedron Lett., 27, 4051 (1986))などにより製造する際のリン酸反応性基であるリン官能基を挙げることができる。
【0035】
例えば、ホスホロアミダイト法により製造する際のリン酸反応性基であるリン官能基としては、下記式(i)で表されるリン官能基が挙げられる。
【化18】
[式中、Y
1はリン酸の保護基を示し、Z
1およびZ
2は、それぞれ独立してC
1-6アルキルを示すか、またはZ
1およびZ
2が一緒になって、それらが結合する窒素原子と共に、更に1~3個のヘテロ原子を含んでいてもよい5ないし7員含窒素複素環を形成する。]
Y
1のリン酸の保護基としては、例えば、2-シアノエチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、2,2,2-トリクロロエチル(TCE)、2,2,2-トリブロモエチルなどのβ脱離により除去できる保護基;2-トリメチルシリルエチル(TMSE)、2-(ジフェニルメチルシリル)エチル(DPSE)などのフッ化物イオンで除去できる保護基;4-[N-メチル-N-(トリフルオロアセチル)アミノ]ブチル(TFAB)、2-[(1-ナフチル)カルバモイルオキシ]エチル(NCE)、4-オキソペンチルなどの環化反応により除去できる保護基;メチルなどのアルキル(例えばC
1-6アルキル)、2,4-ジニトロベンジルなどの炭素原子上での求核置換反応により除去できる保護基;ベンジルなどの加水素化分解により除去できる保護基;アリルなどのパラジウム触媒による置換反応で除去できる保護基が挙げられる。これらの中でも、メチルなどのC
1-6アルキル、2-シアノエチル、2-トリメチルシリルエチルなどがホスホロアミダイト法で汎用されている。Y
1の一つの態様としては、脱離条件に優れる点で、2-シアノエチルである。また、Y
1の他の一つの態様としては、脱離性の点で、メチルである。
式(i)の-NZ
1Z
2としては、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ(-N(i-Pr)
2)、ジn-ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジt-ブチルアミノ、ジn-ペンチルアミノ、ジイソペンチルアミノ、ジネオペンチルアミノなどを挙げることができる。Z
1およびZ
2が一緒になってそれらが結合する窒素原子と共に形成する更に複素原子を含んでいてもよい5ないし7員含窒素複素環としては、例えば、モルホリン-1-イル、ピペリジン-1-イルなどを挙げることができる。ここで、複素原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。これらの中でも、ジイソプロピルアミノ、ジメチルアミノなどがホスホロアミダイト法で汎用されている。-NZ
1Z
2の一つの態様としては、ジイソプロピルアミノである。また、-NZ
1Z
2の他の一つの態様としては、ジメチルアミノである。
【0036】
例えば、トリエステル法により製造する際のリン酸反応性基であるリン官能基としては、下記式(ii)で表されるリン官能基が挙げられる。
【化19】
[式中、Y
1はリン酸の保護基を示し、Y
2は水素原子またはリン酸の保護基を示す]
式(ii)におけるY
1およびY
2としてのリン酸の保護基としては、式(i)のY
1として前記したリン酸の保護基と同様に挙げることができる。
【0037】
例えば、H-ホスホネート法により製造する際のリン酸反応性基であるリン官能基としては、下記式(iii)で表されるリン官能基が挙げられる。
【化20】
[式中、Z
+はカチオンを示す]
式(iii)におけるZ
+のカチオンとしては、例えば、メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、イソブチルアンモニウムイオンなどのモノC
1-6アルキルアンモニウムイオン;ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、ジイソブチルアンモニウムイオンなどのジC
1-6アルキルアンモニウムイオン;カリウムイオン、リチウムイオンなどの金属イオンを挙げることができる。
【0038】
式(I)におけるA2の一つの態様としては、-C(=O)CH2CH2COOHである。
【0039】
A
2の他の一つの態様は、A
2が、-P(-OR
7)-NR
8R
9である。
ここで、R
7はC
1-6アルキルまたは2-シアノエチルを示す。好ましくは、選択的な脱離条件の点で、メチル、2-シアノエチルであり、より好ましくは2-シアノエチルである。
R
8およびR
9はそれぞれ独立して、C
1-6アルキルであるか、または-NR
8R
9が一体となって
【化21】
[式中、R
10はC
1-3アルキルを示し、mは0から4の整数を示し、nは1から3の整数を示す]
を形成する。
例えば、R
8およびR
9は独立して、C
1-3アルキルであるか、または-NR
8R
9が一体としてモルホリン-1-イルもしくはピペリジン-1-イルから選択される基を形成する。
A
2の他の一つの態様としては、-P(OCH
2CH
2CN)N(i-Pr)
2である。
【0040】
式(I)において、Lは、-OCH2CH2-または-CH2OCH2-を示す。なお、式(I)において、Lが、-OCH2CH2-である場合、L中の酸素原子が化合物骨格の炭素原子と結合し、かつL中の炭素原子がBと結合していてもよいし、または、L中の酸素原子はBと結合し、かつL中の炭素原子が化合物骨格の炭素原子と結合していてもよい。好ましくは、-OCH2CH2-の酸素原子が化合物骨格の炭素原子と結合し、-OCH2CH2-の炭素原子がBと結合している。
【0041】
本発明の一実施形態は、下記式(VI)で表される化合物またはその塩である。かかる化合物はホスホロアミダイト法により修飾核酸モノマーとして天然の核酸モノマーの代わりに用いて、3’末端を除く任意の位置に修飾核酸を導入したオリゴ核酸類縁体の製造を行うことができる。
【化22】
[式中、Bは、前記の定義と同じである。]
【0042】
本発明の他の一実施形態は、下記式(VII)で表される化合物またはその塩である。かかる化合物はアミノ基を官能基として有する固相担体と結合させ、オリゴ核酸類縁体の固相合成において修飾核酸を3’末端に導入したオリゴ核酸類縁体の製造を行うことができる。
【化23】
[式中、Bは、前記の定義と同じである。]
【0043】
本発明の式(I)の修飾核酸モノマー化合物は、塩の形態であってもよい。そのような塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、塩酸塩などの無機酸塩;酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機カルボン酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩などの有機スルホン酸塩;アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩;四級アミン塩;ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0044】
2.修飾核酸モノマー化合物の製造
以下に、本発明の式(I)の修飾核酸モノマー化合物の製造方法について説明する。
以下の反応における、原料または製造中間体は、それぞれ塩であってもよい。そのような塩としては、本発明の式(I)の修飾核酸モノマー化合物の塩として例示したものが挙げられる。
以下の反応において、最終工程を除き、生成物は反応液のまま、または粗生成物として次反応に用いてもよい。あるいは、公知の分離手段(例えば、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー)を用いて、反応混合物から単離して、次反応に用いてもよい。最終工程の生成物の単離および精製は、同様に公知の分離手段を用いて、さらに必要に応じてこれら手段を種々組み合わせることにより、行うことができる。
【0045】
2.1 Lが-OCH
2CH
2-である化合物
式(I)の化合物(以下、化合物(I)と言うこともある)において、Lが-OCH
2CH
2-の場合は、例えば、以下の反応スキーム1に示す工程により製造することできる。
【化24】
[式中、Bは、前記の定義と同じであり、PG
1およびPG
2はそれぞれ独立して水酸基の保護基であり、P
2はリン官能基または-C(=O)CH
2CH
2COOHを示す。]
【0046】
工程1について:
工程1において、式(a)で表される、PG1およびPG2で表される1位および3位を保護したグリセロール化合物(以下、化合物(a)という)の2位水酸基をヒドロキシエチル化し、式(b)で表される2-ヒドロキシエチルエーテル化合物(以下、化合物(b)という)を製造する。
化合物(a)は、例えばグリセロールの2つの1級水酸基を同時にまたは別々に保護基で保護することにより得ることができる。PG1とPG2は同一または異なってもよい水酸基の保護基であり、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。ここで、PG1とPG2が異なる置換基の場合には、例えば光学分割やキラルカラムなどの公知の手段によって、所望の2位炭素原子の立体配置を有する異性体を得ることもできる。
また、公知の光学活性1位または3位-O-モノ置換グリセロール誘導体から、それぞれ他方の3位または1位の1級水酸基を保護基で保護することにより化合物(a)を光学活性体として得ることもできる。
さらに、本明細書中の実施例などに記載の方法、すなわち公知の光学活性1、2位または2、3位-O-ジ置換グリセロール誘導体から、それぞれ3位または1位の1級水酸基を順に保護基で保護した後、2位水酸基の保護基を除去し、必要な場合、例えば脱保護の際にそれぞれ1位または3位の保護基が併せて除去される場合にはそれぞれ1位または3位を再保護することにより、化合物(a)を光学活性体として得ることもできる。
【0047】
工程1は例えば、化合物(a)と各種2-置換エチル化試薬(例えば、2-ブロモエタノール、エチレンオキシド、ブロモアセトアルデヒドジアルキルアセタール、2-ハロ酢酸エステルなど)とを塩基の存在下で反応させ、その後必要な場合には2-置換エチル基を2-ヒドロキシエチル基に変換する工程を行うことにより実施することができる。
【0048】
あるいは、工程1を本明細書中の実施例などに記載の方法により実施する場合、アリル化試薬と反応させ、炭素-炭素2重結合を酸化開裂後、還元処理することにより実施することもできる。
具体的には、まず、化合物(a)の2位水酸基のアリル化を行う。アリル化工程は、化合物(a)、アリル化試薬、塩基を溶媒中で攪拌することにより実施できる。アリル化試薬としては、例えばアリルブロミド、メタンスルホン酸アリル、p-トルエンスルホン酸アリルなどを用いることができる。塩基としては、例えばトリエチルアミンなどの3級アミン、水素化ナトリウムなどを用いることができる。溶媒としては、化合物(a)または使用されるアルキル化試薬に対して非反応性であり、用いられる反応条件下でそれ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエンまたはそれらの混合物などである。反応の温度は、用いる試薬、溶媒に応じて調整することができるが、好ましくは、-80℃~80℃、より好ましくは室温~50℃の範囲となる。
【0049】
化合物(b)を得るため、アリル化を行った後、炭素-炭素2重結合を酸化開裂し、次いで還元処理を行う。
炭素-炭素2重結合の酸化開裂には、四酸化オスミウムおよび過ヨウ素酸塩、四酸化オスミウムおよび四酢酸鉛、四酸化ルテニウムおよび過ヨウ素酸塩などの触媒を用いることができる。反応後の触媒を再酸化するために、触媒とともにN-メチルモルホリン N-オキシド(NMO)などの再酸化剤を用いてもよい。
溶媒としては、用いられる反応条件下でそれ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、四塩化炭素もしくはそれらの混合物、またはそれらとtert-ブタノールおよび水との混合物などである。反応の温度は、用いる試薬、溶媒に応じて調整することができるが、好ましくは、-30℃~80℃、より好ましくは-10℃~50℃の範囲となる。
還元処理は生じたO-置換グルタルアルデヒドから化合物(b)を製造する工程で、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、ジボラン(B2H6)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)、水素化トリエチルホウ素リチウム(LiBH(C2H5)3)などの金属水素化物もしくはその他の水素化物またはそれらの錯化合物を還元剤として用いる方法により実施することができる。これらの方法は、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、トルエンなどの反応を阻害しない有機溶媒中、または前記還元剤によってはこれら有機溶媒と水との混合溶媒中で、還元剤の存在下、0℃~40℃で5分間から24時間攪拌することにより実施できる。
【0050】
工程2について:
工程2では、化合物(b)で形成された水酸基を式Bで表される核酸塩基に変換した式(c)で表される2-ヘテロアリールエチルエーテル化合物(以下、化合物(c)という)を製造する。
工程2は、例えば、化合物(b)の2位に導入された2-ヒドロキシエチル基の水酸基を脱離基、例えば、ハロゲン、アルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステルなどに変換し、塩基、例えば水素化ナトリウムの存在下、式BH[式中、Bは前記の定義と同じである。]で表される複素環化合物と反応させることにより実施することができる。
【0051】
また、本明細書中の実施例などに記載の方法、すなわち化合物(b)と、式BH[式中、Bは前記の定義と同じである。]から選択される複素環化合物と、を、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)などのアゾジカルボン酸ジエステル、トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィンで処理することにより実施することもできる。
工程2を本明細書中の実施例などに記載の方法により実施する場合、溶媒としては、用いられる反応条件下でそれ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、トルエン、四塩化炭素もしくはそれらの混合物などである。反応の温度は、用いる試薬、溶媒に応じて調整することができるが、好ましくは、0℃~100℃、より好ましくは10℃~80℃の範囲となる。反応雰囲気は特に制限されないが、窒素雰囲気またはアルゴン雰囲気下などの不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0052】
なお、式BHの複素環化合物における、保護基(R2~R6)は、化合物(b)との反応後に脱保護および/または保護を行うことで、保護基(R2~R6)を所望の保護基または水素原子へと変換することができる。例えば後述する実施例6のように、保護基(R2~R6)がBocであるBHと化合物(b)とを反応させた後、Boc基を脱保護し、その後、Bzなどの異なる保護基(R2~R6)で保護することができる。
【0053】
また、式BHの複素環化合物において、R2およびR4はそれぞれ独立して、C1-6アルキル、C3-6アルケニル、C3-6アルキニル、C1-6アルキル-カルボニル、C1-6アルキルスルホニル、C6-14アリールオキシ-カルボニル、C6-14アリール-カルボニル、C6-14アリールスルホニルであってよく、R3、R5およびR6はそれぞれ独立して、C1-6アルキル、C3-6アルケニル、C3-6アルキニル、C1-6アルキル-カルボニル、C1-6アルキルスルホニル、C6-14アリールオキシ-カルボニル、C6-14アリール-カルボニル、C6-14アリールスルホニルでありうる。これらの化合物は、市販の材料を用いてもよいし、当業者に公知の方法により製造することができる。例えば、R2~R6で修飾された核酸塩基の一例が、1)Englisch,U. andGauss, D.H.,Angew.Chem.Int.Ed.1991,30,613-622;2)Lee,S.H. etal.,Nucleic AcidsResearch, 29,1565-1573, 2001などの文献に記載されている。例えば、当該文献1)の623頁には様々な修飾塩基が開示され;当該文献2)の1569頁には複数の修飾塩基および製造方法が開示されている。当業者であれば、これらの文献に記載された修飾塩基を参照および/または改変することにより、上記R2~R6を有するBHを得ることが可能である。
【0054】
反応の過程で、例えばPG1および/またはPG2の保護基が脱保護される場合もある。この場合、所定の反応後に再度PG1および/またはPG2の保護を行えばよい。
【0055】
工程3について:
工程3では、化合物(c)の3位水酸基を保護するPG2の脱保護を行い、式(d)で表される化合物(以下、化合物(d)という)を製造する。保護基を除去する反応条件は保護基PG2の種類により異なり、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。
一例をあげると、例えば、PG2がTBDMSなどのシリル系保護基の場合にはフッ化物の塩またはフッ化水素の付加体により脱保護することができる。例えば、溶媒中でフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)を作用させる手法が挙げられる。溶媒としては、用いられる反応条件下でそれ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、塩化メチレンまたはそれらの混合物などである。
【0056】
工程4について(1):
工程4では、化合物(d)の3位水酸基をリン官能基または-C(=O)CH
2CH
2COOHであるP
2へ変換し、式(e)で表される化合物(以下、化合物(e)という)を製造する。
P
2がリン官能基である場合、リン官能基としては、式(I)の修飾核酸モノマー化合物を用いて、式(VII)のオリゴ核酸類縁体を、核酸合成法として知られているトリエステル法、ホスホロアミダイト法、ジクロロホスフィン誘導体を用いる方法、H-ホスホネート法などにより製造する際のリン酸反応性基であるリン官能基を挙げることができる。
工程4においてリン酸反応性基を本明細書中の実施例などに記載のホスホロアミダイトに変換する場合について詳細に説明する。
リン官能基への変換反応は、P
2のリン官能基として、前記した式(i)のリン官能基へ変換するには、例えば、対応する下記式(i’)、
【化25】
[各式中、Halはハロゲン原子を示し、Y
1、Z
1およびZ
2は前記の定義と同じである]
で表わされるリン酸化試薬と、化合物(d)とを反応させることにより製造することができる。これらの反応は、例えば、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、クロロホルム、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、塩化メチレンなどの反応を阻害しない溶媒に溶解し、必要に応じて、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、コリジン、2,6-ルチジン等の存在下、室温で5分間から24時間攪拌することにより実施することができる。
【0057】
工程4について(2):
P2が-C(=O)CH2CH2COOHである場合、工程4は化合物(d)の3位水酸基をコハク酸のモノエステル化合物(e)とする工程である。例えば、化合物(d)を、塩基の存在下、無水コハク酸と反応させることにより製造することができる。また、化合物(d)とコハク酸の一方のカルボン酸を保護した誘導体、例えばコハク酸モノエステルとを、活性化剤または縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-[3―(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド、N,N’-カルボニルジイミダゾール、トリフェニルホスフィン-アゾジカルボン酸ジエチルなどの存在下で縮合した後、保護基を除去して製造することができる。コハク酸上の保護基を除去する反応条件は保護基の種類により異なり、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。
【0058】
以上に説明した方法により、化合物(e)を製造することができる。
化合物(e)は同位元素(例、3H、11C、14C、18F、35S、125I等)等で標識されていてもよく、このような同位元素等で標識された化合物も化合物(e)に包含される。
さらに、化合物(e)において、1Hは2H(D)に変換されていてもよく、このような変換をされた重水素変換体も化合物(e)に包含される。
また、化合物(e)は、溶媒和物(例えば、水和物など)であっても、無溶媒和物であってもよく、いずれも化合物(e)に包含される。
【0059】
2.2 Lが-CH
2OCH
2-である化合物
化合物(I)において、Lが-CH
2OCH
2-の場合は、例えば、以下の反応スキーム2に示す工程により製造することができる。
【化26】
[式中、BおよびPG
1は、前記の定義と同じであり、PG
3は水酸基の保護基を示す。]
【0060】
工程1について:
工程1においては、式(f)で表される、1つの水酸基がPG3で表される保護基で保護された2-(保護)ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(以下、化合物(f)という)の非保護の2つの水酸基をメチレン基を介して脱水閉環させ、式(g)で表される1,3-ジオキサン化合物(以下、化合物(g)という)を製造する。
化合物(f)は、例えば2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールの3つの1級水酸基のうち1つを保護基PG3で保護することにより得ることができる。PG3は、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。
【0061】
工程1は例えば、化合物(f)とホルムアルデヒド誘導体(例えば、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ホルムアルデヒドジアルキルアセタールなど)とを酸の存在下反応させることにより実施することができる。酸としては、塩酸、硫酸などの無機酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸などの有機酸、塩化スズ(II)、塩化亜鉛などのルイス酸を用いることができる。反応選択性を向上させるために臭化リチウムを用いることもできる。溶媒としては、用いられる反応条件下でそれ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、塩化メチレンまたはそれらの混合物などである。
【0062】
上記工程1の別法として、例えば実施例に記載されるように、以下の工程により化合物(g)を得ることができる。
【化27】
工程1’について:
工程1aにおいては、2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(以下、化合物(q)という)の2つの水酸基をメチレン基を介して脱水閉環させ、式(r)で表される1,3-ジオキサン化合物(以下、化合物(r)という)を製造する。例えば、化合物(q)とホルムアルデヒド誘導体(例えば、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ホルムアルデヒドジアルキルアセタールなど)とを酸の存在下反応させることにより実施することができる。酸としては、塩酸、硫酸などの無機酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸などの有機酸、塩化スズ(II)、塩化亜鉛などのルイス酸を用いることができる。反応選択性を向上させるために臭化リチウムを用いることもできる。溶媒としては、用いられる反応条件下でそれ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、塩化メチレンまたはそれらの混合物などである。
【0063】
工程1bでは、化合物(r)の残る水酸基を保護基PG3で保護した、式(g)で表される化合物(以下、化合物(g)という)を製造する。水酸基を保護する反応条件は保護基PG3の種類により異なり、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。
【0064】
工程2について:
工程2においては、化合物(g)と核酸塩基またはその誘導体とを酸の存在下反応させることにより式(h)で表される化合物(以下、化合物(h)という)を製造する。酸としては、塩酸、硫酸などの無機酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸などの有機酸、塩化スズ(II)、塩化亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリル、tert-ブチルジフェニルシリルトリフラートなどのルイス酸を用いることができる。核酸塩基は、そのまま用いることもできるが、化合物(h)と反応させる前にあらかじめシリル化剤とトリアルキルシリル化反応を行うか、かかるシリル化剤の共存下で化合物(h)と反応させることもできる。シリル化剤としては、クロロトリメチルシラン、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミドなどを用いることができる。溶媒としては、用いられる反応条件下で、それ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、1,2-ジクロロエタンまたはそれらの混合物などである。
【0065】
工程3について:
工程3では、化合物(h)の1位水酸基を保護基PG1で保護した、式(i)で表される化合物(以下、化合物(i)という)を製造する。水酸基を保護する反応条件は保護基PG1の種類により異なり、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。
【0066】
工程4について:
工程4では、化合物(i)の3位水酸基を保護するPG3の脱保護を行い、式(j)で表される化合物(以下、化合物(j)という)を製造する。保護基を除去する反応条件は保護基PG3の種類により異なり、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。
【0067】
工程5について
工程5では、化合物(j)の3位水酸基をリン官能基または-C(=O)CH2CH2COOHであるP2へ変換し、式(k)で表される化合物(以下、化合物(k)という)を製造する。
本工程は出発物質を化合物(j)として、スキーム1の工程4と同様にして行うことができる。
【0068】
化合物(I)において、Lが-CH
2OCH
2-の場合は、別法として例えば、以下の反応スキーム3に示す工程により製造することができる。
【化28】
[式中、B、PG
1、およびPG
3は、前記の定義と同じであり、L
1はアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ)または脱離基であり、PG
4は水酸基の保護基を示す。]
【0069】
工程1について:
工程1においては、式(l)で表される、1位および3位水酸基をそれぞれPG4およびPG3で表される保護基で保護した2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(以下、化合物(l)という)の残る水酸基の水素原子を、L1で置換されたメチルで置換し、式(m)で表される化合物(以下、化合物(m)という)を製造する。
PG3とPG4は同一または異なってもよい水酸基の保護基であり、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。
L1はアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ)、アシルオキシ(例えばアセトキシ)または脱離基である。脱離基としては、特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、トシル基などが挙げられる。
出発物質となる化合物(l)は、例えば2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールの3つの1級水酸基のうち2つを同時にまたは別々に保護基で保護することにより得ることができる。ここで、PG3とPG4が異なる置換基の場合には、例えば光学分割やキラルカラムなどの自体公知の手段によって、所望の2位炭素原子の立体配置を有する異性体を得ることもできる。
また、例えば、酵素による不斉加水分解を用いて2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールの3つの1級水酸基のうち2つを異なる保護基で保護した光学活性な化合物(l’)を得ることもできる。(Liebigs Ann. Chem. 1990, 379 - 388,Org. Process Res. Dev. 2012, 16, 1527-1537)化合物(l’)は、以降の工程の反応条件により、光学活性な化合物(l)としてそのまま使用可能な場合もあり、また、公知の保護・脱保護手段を用いて所望の保護基に変換した光学活性な化合物(l)を得ることもできる。
【0070】
工程1は、化合物(l)とホルムアルデヒド誘導体、例えば、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなどとを酸の存在下反応させることにより実施することができ、L1が脱離基である化合物(m)を得ることができる。酸としては、塩化水素などを用いることができる。
工程1に用いる溶媒としては、化合物(l)、ホルムアルデヒド誘導体および使用される酸に対して非反応性であり、用いられる反応条件下でそれ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタンなどである。反応の温度は、用いる試薬、溶媒に応じて調整することができるが、好ましくは、-30℃~50℃、より好ましくは-10℃~30℃の範囲となる。
また、工程1は、化合物(l)とMOMClを、トリアルキルアミンとヨウ化ナトリウム存在下反応させることにより実施することができ、L1がメトキシ基である化合物(m)を得ることができる。溶媒としては、用いられる反応条件下でそれ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンまたはそれらの混合物などである。反応の温度は、用いる試薬、溶媒に応じて調整することができるが、好ましくは、0℃~還流温度、より好ましくは室温~100℃の範囲となる。
【0071】
工程2について:
工程2は、化合物(m)と核酸塩基BHとを反応させ、式(n)で表される化合物(以下、化合物(n)という)を製造する。化合物(m)においてL1が脱離基である場合、化合物(m)と核酸塩基BHとを塩基の存在下反応させ、化合物(n)を製造する。塩基としては、炭酸ナトリウムなどの無機塩基、トリエチルアミンなどの有機塩基を用いることができる。
工程2に用いる溶媒としては、化合物(m)、および使用される塩基に対して非反応性であり、用いられる反応条件下でそれ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、例えば、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトン、クロロホルム、1,4-ジオキサン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタンなどである。反応の温度は、用いる試薬、溶媒に応じて調整することができるが、好ましくは、-30℃~80℃、より好ましくは-10℃~50℃の範囲となる。
また、工程2は、化合物(m)においてL1がメトキシ基である場合には、先述の化合物(h)を合成する場合、すなわちスキーム2の工程2と同じ方法により実施することが出来る。
【0072】
工程3について:
工程3では、化合物(n)の1位水酸基PG4を脱保護し、式(o)で表される1位アルコール体(以下化合物(o)という)を製造する。保護基を除去する反応条件は保護基PG4の種類により異なり、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。
【0073】
工程4について:
工程4では、化合物(o)の1位水酸基を保護基PG1で保護した、式(p)で表される化合物(以下、化合物(p)という)を製造する。水酸基を保護する反応条件は保護基PG1の種類により異なり、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。
【0074】
工程4で製造した化合物(p)から、反応スキーム2の工程4以下の工程を経て、目的物(k)を得ることができる。
【0075】
3.修飾核酸モノマー化合物担持体
本発明の一形態は、式(I)で表される修飾核酸モノマー化合物由来の一価の基が、担体上のアミノ基を介して固相担体に保持されている修飾核酸モノマー担持物を提供する。
【0076】
一実施形態は、下記式(VIII)で表される、修飾核酸モノマー化合物由来の一価の基が、担体上のアミノ基を介して固相担体に保持されている修飾核酸モノマー担持物を提供する。
【化29】
式(VIII)中、LおよびBは、前記の定義と同じである。
式(VIII)中、A
3は、水素原子または水酸基の保護基である。A
3は、水素原子であってよいことを除き、上述したA
1の定義と同一であり、A
1について上述した具体的態様を同様に適用することができる。一つの態様では、A
3は、トリチル、4-メトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)、4,4’,4’’-トリメトキシトリチルから選択される水酸基の保護基である。
【0077】
固相担体として、例えば、CPG(コントロールドポアグラス;controlledpore glass)、シリカゲルのような無機担体;HCP(highlycross-linked polystyrene)などの高分子担体などが用いられる。
【0078】
上記式(VIII)で表される一価の基は、式(I)の修飾核酸モノマー化合物のA2が-C(=O)CH2CH2COOHである化合物に由来するものである。当該A2のカルボキシル基と固相担体上のアミノ基との結合反応を介して式(VIII)の一価の基がアミノ基を介して固相担体に保持されうる。
【0079】
例えば、式(I)においてA
2が-C(=O)CH
2CH
2COOHである修飾核酸モノマー化合物が、担体上のアミノ基を介して固相担体に保持されている修飾核酸モノマー担持物は、以下の反応スキーム4に示す工程により製造することできる。
【化30】
[式中、BおよびLは、前記の定義と同じであり、PG
1は水酸基の保護基であり、P
2は-C(=O)CH
2CH
2COOHであり、Sは担体を示す。]
【0080】
本工程は、P2が-C(=O)CH2CH2COOHである、化合物(e)または化合物(k)とアミノ基を官能基として有する固相担体との結合反応により、オリゴ固相合成法の出発原料である修飾核酸モノマー担持物を製造する。
具体的には、化合物(e)または化合物(k)を、溶媒中、縮合剤及び塩基の存在下、アミノ基を官能基として有する固相担体と反応させることにより、修飾核酸モノマー化合物(上記式(VIII)においてA3が水酸基の保護基(PG1)である化合物)由来の一価の基が担体に固定された担持物を得る。この担持物は、核酸オリゴマー原料としてそのまま核酸自動合成機に導入することができる。
また、PG1を脱保護反応に付することにより、上記式(VIII)においてA3が水素原子である化合物が担体に固定された担持物を得ることもできる。
【0081】
アミノ基を官能基として有する固相担体としては、ChemGenes社製のAmino LCAA CPGサポート、TentaGelTM(R) N NH2等の市販品を利用することができる。
【0082】
溶媒としては、用いられる反応条件下でそれ自体が非反応性である溶媒(非反応性溶媒)を用いる。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、塩化メチレンまたはそれらの混合物などである。
【0083】
縮合剤としては、例えば、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(EDC)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-5-クロロ-1H-ベンゾトリアゾリウム-3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HCTU)およびその塩酸塩などが挙げられる。
【0084】
塩基としては、例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、これらの混合物等が挙げられる。
【0085】
得られた修飾核酸モノマー担持物は、必要により、公知の方法によりキャッピング処理を行ってもよい。例えば、未反応のカルボキシ基は、前記溶媒中、前記縮合剤、前記塩基の存在下、メタノール、エタノールなどのアルコール類とエステル化することによりキャッピングすることができる。また、未反応の-OH基又は-NH2基は、前記溶媒中、前記塩基の存在下、無水酢酸と反応させてアセチル化することによりキャッピングすることができる。
【0086】
4.オリゴ核酸類縁体
本発明の一形態は、該モノマー化合物を構成ユニットの少なくとも一つとして含むオリゴ核酸類縁体を提供する。
【0087】
一実施形態のオリゴ核酸類縁体は、下記式(IX)
【化31】
で表される部分構造を1以上含有するオリゴ核酸類縁体またはその塩(ただし、上記部分構造を2以上含有する場合は、当該部分構造間でB
3、およびLはそれぞれ同一であっても、異なってもよい。)である。
式(IX)中、Lは、前記定義と同じである。
【0088】
式(IX)において、B
3は核酸塩基である。
B
3の一つの態様としては、下記式(II)’、(III)’、(IV)’および(V)’から選択される核酸塩基である。
【化32】
式(II)’~(V)’中、R
1は、水素原子またはメチルを示す。
式(II)’~(V)’中、R
2およびR
4はそれぞれ独立して、水素原子、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または保護基を示す。
式(II)’~(V)’中、R
3、R
5およびR
6はそれぞれ独立して水素原子、C
1-6アルキル、C
3-6アルケニル、C
3-6アルキニル、C
1-6アルキル-カルボニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
6-14アリールオキシ-カルボニル、C
6-14アリール-カルボニル、C
6-14アリールスルホニル、または保護基を示す。
上記B
3は、R
3、R
5およびR
6がそれぞれ独立して水素原子であってよいことを除き、上述したBの定義と同一である。Bについて上述した具体的態様、さらには当該具体的態様においてR
3、R
5およびR
6が水素原子へと置換された態様を同様に適用することができる。R
3、R
5およびR
6が水素原子へと置換された部分構造を有するオリゴ核酸類縁体は、例えば、後述する固相法において、モノマー化合物を順次組み込んだオリゴマーを形成後、固相担体からの切り出しの前または後に、公知の脱保護手段を用いて保護基を除去することにより得られる。
【0089】
一実施形態において、B
3は、下記式(X)、(XI)、(XII)および(XIII)から選択される。
【化33】
[式中、R
1は前記の定義と同じである。]
【0090】
実施形態のオリゴ核酸類縁体は、式(I)の修飾核酸モノマー化合物に対応する式(IX)の部分構造を1以上含有するオリゴ核酸類縁体である。ただし、上記の通り、実施形態のオリゴ核酸類縁体は、式(I)の修飾核酸モノマー化合物と異なり、式(I)におけるR3、R5およびR6の少なくとも一つが水素原子であってもよい。
【0091】
一つの態様としては、本発明のオリゴ核酸類縁体は、一の上記式(IX)の部分構造を含有するものである。他の一つの態様としては、本発明のオリゴ核酸類縁体は、Lが-OCH2CH2-である一の上記部分構造を含有するものである。さらに一つの態様としては、それぞれLが-OCH2CH2-である、2以上の上記部分構造を含有するオリゴ核酸類縁体である。また、別の一つの態様としては、それぞれLが-OCH2CH2-であり、かつ2位炭素の絶対配置が同一の2以上の上記部分構造を含有するオリゴ核酸類縁体である。
【0092】
本発明のオリゴ核酸類縁体は、式(IX)の部分構造を1以上含有し、式(IX)以外のヌクレオシドサブユニット(核酸塩基単位)をさらに含有してもよい。
式(IX)の部分構造以外のヌクレオシドサブユニットとしては、リボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシドのいずれでもよい。なお、本明細書において、「ヌクレオシドサブユニット」との語は、式(IX)の部分構造を有する構成ユニットを包含する。
サブユニットがリボヌクレオシドの場合にはリボース部分は公知の誘導体、例えば2’-O-メチルリボース、2’-フルオロリボースなどであってもよい。
ヌクレオシドサブユニットの塩基部分は、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミンのいずれでもよく、また、それらの修飾体であってよい。塩基部分の修飾体としては、例えば、塩基部分が、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-14アリールオキシ-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C6-14アリールスルホニル基、アミノ基、モノC1-6アルキルアミノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、カルボキシ基などで置換された当業者に公知の修飾体などが挙げられる。
【0093】
本発明のオリゴ核酸類縁体を構成するヌクレオシドサブユニットの総数(核酸塩基単位の総数)としては、一つの態様としては、一鎖あたり4から100個である。他の一つの態様としては、一鎖あたり4から30個である。
例えば、オリゴ核酸類縁体がDNAである場合には、一つの態様としては、一鎖あたり4から100個であり、他の一つの態様としては一鎖あたり4から30個である。
また、RNAである場合には、一つの態様としては、一鎖あたり4から50個であり、他の一つの態様としては一鎖あたり4から30個である。サブユニットとして式(IX)の部分構造は、一つの態様としてはオリゴ核酸類縁体中の核酸サブユニット総数に対して1%から100%の範囲に相当する整数個、他の一つの態様としてはサブユニット総数に対して2%から80%の範囲に相当する整数個、さらに他の一つの態様としては、2%から50%の範囲に相当する整数個、また別の一つの態様としては、2%から25%に相当する整数個、含有される。一つの態様としては、一鎖あたり4から30個(より好ましくは4から25個、さらに好ましくは4から21個)のサブユニット総数に対して、1~10個(より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~4個)の式(IX)の部分構造を含有する。また、そのオリゴ核酸類縁体中での含有位置は、いずれでもよく、使用目的に応じて、任意に決めることができる。
【0094】
天然のオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド中の各ヌクレオシドは下記(XIV)に示す、ホスホジエステル結合により結合している。本発明のオリゴ核酸類縁体において、各ヌクレオシドサブユニットは、各ヌクレオシド間でホスホジエステル結合(式(XIV))またはホスホロチオエート結合(式(XV))のいずれかにより結合している。なお、ホスホロチオエートは溶媒中では溶媒によって(a)および(b)の互変異性体として存在しうる
【化34】
[各式中、Nu
1およびNu
2はヌクレオシドサブユニットを示す]
【0095】
本発明のオリゴ核酸類縁体は、その塩の形態にあってもよく、そのような塩としては、前記した本発明の式(I)の修飾核酸モノマー化合物の塩と同様の塩を挙げることができる。
【0096】
実施形態のオリゴ核酸類縁体は、より具体的には、例えば、下記式(XVI)
【化35】
[式中、YはH、OH、OMeまたはFを示し、B
3は前記と同様であり、aは3から99の整数を示し、TはOHまたはSHを示す。但し、Y、B
3、およびTは各構成ユニットにおいてそれぞれ同じでも異なっていてもよい。]
で表わされるオリゴ核酸類縁体において、その任意の位置における1つ以上の構造ユニットに代わって、下記式(IX)
【化36】
(式中、LおよびB
3は、前記定義と同じである。)
で表される部分構造を含む構造(すなわち、下記式(XVII)および(XVIII)から選ばれる部分構造)を1つ以上含有するオリゴ核酸類縁体である。
aは、一つの態様としては3から49、他の一つの態様としては、3から29の整数である。
【0097】
【化37】
(式中、T、B
3およびLは、前記定義と同じである。ただし、上記部分構造を2以上含有する場合は、当該部分構造間でB
3、およびLはそれぞれ同一であっても、異なってもよい。)
【0098】
本発明のオリゴ核酸類縁体は、例えばsiRNA(small interfering RNA)、miRNA(micro RNA)、shRNA(short hairpin RNA、または、small hairpin RNA)、アンチセンスRNA、アンチセンスDNAなどとして使用することができる。
したがって、本発明のオリゴ核酸類縁体は、これらの使用用途に応じて、一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチド等であってもよく、一本鎖DNA、二本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、DNA/RNAキメラ体、DNA/RNAハイブリッド体であってもよい。
本発明のオリゴ核酸類縁体を、例えば、siRNAとして使用する場合には、標的遺伝子のセンス鎖およびアンチセンス鎖あるいはそれらの改変体からなる二本鎖RNAが好ましく、本発明の式(I)の部分構造は、センス鎖またはアンチセンス鎖あるいはそれらの改変体のいずれか一方に、または両者に含有させることができる。ここで改変体とは、前記したヌクレオシドの塩基部分の修飾体、糖部分の修飾体、天然体以外の各種ホスホジエステル結合を含むものが挙げられる。siRNAは、そのセンス鎖とアンチセンス鎖とが、両3’末端の2から5程度のリボヌクレオチド若しくはデオキシリボヌクレオチドあるいは公知の修飾ヌクレオチドからなるダングリングエンドを持つようにハイブリダイズして二本鎖を形成しているものであってもよい。
【0099】
5.オリゴ核酸類縁体の製造
本発明のオリゴ核酸類縁体は、式(VI)または式(VII)の修飾核酸モノマー化合物を用いて、核酸合成法として公知のトリエステル法、ホスホロアミダイト法、ジクロロホスフィン誘導体を用いる方法、H-ホスホネート法などにより固相法または液相法で製造することができる。また、これらの製造は核酸自動合成機器によって行うこともできる。(N. Usman et al., J.Am.Chem.Soc., 109(25), 7845-7854 (1987)、Tetrahedron Lett.,25(7),713-716(1984))
【0100】
例えばホスホロアミダイト法を用いた固相法は以下のように行うことができる。
【化38】
[式中、YはH、OH、OMeまたはFを示し、B
1およびB
2はそれぞれ上記Bの定義と同義であり、B
3は前記と同様であり、T’はOまたはSを示す。但し、Y、およびTは各構成ユニットにおいてそれぞれ同じでも異なっていてもよい。]
【0101】
なお、上記固相法において、Yの水酸基(OH)を公知の保護・脱保護手段を用いて所望の保護基に変換し、オリゴ核酸類縁体を製造してもよい。
【0102】
上記固相法の鎖延長用原料として例えば、本発明の式(VI)の修飾核酸モノマー化合物、および/または3’末端-ポリマーサポートとして式(VIII)の修飾核酸モノマー担持物を用いることにより、任意の位置に式(IX)で表される部分構造を1以上含有するオリゴ核酸類縁体を製造することができる。鎖延長用原料としては、式(VI)の修飾核酸モノマー化合物のほか、式(I)においてA2が、リン官能基(好ましくは-P(-OR7)-NR8R9である)化合物を使用することができる。
【0103】
得られた粗オリゴヌクレオチド生成物は、逆相もしくはイオン交換クロマトグラフィーなど公知の方法によって、単離・精製が可能であり、脱保護および精製とも、必要に応じて公知の方法を更に組み合わせて同様に行うこともできる。
【0104】
固相合成を行う場合、オリゴヌクレオチドブロックが結合する固相担体としては、例えば、CPG(controlledpore glass)、シリカゲルのような無機担体;HCP(highlycross-linked polystyrene)などの高分子担体が用いられる。また、固相担体として、上記高分子担体にリンカー(例、末端アミンリンカー、コハク酸エステルリンカー)が結合した担体を用いることもできる。
【0105】
例えば、上述した式(VIII)で表される、修飾核酸モノマー化合物由来の一価の基が、担体上のアミノ基を介して固相担体に保持されている修飾核酸モノマー担持物をオリゴ核酸類縁体の製造に用いることができる(例示スキーム1、2を参照)。
【化39】
[式中、PG
1、Y、B
1、B
2、B
3、T’、Lは、前記定義と同じである。]
【0106】
上記例示スキーム1に記載されるように、式(VIII)で表される修飾核酸モノマー化合物を鎖延長用原料モノマーと縮合反応させ、次いで酸化又は硫化工程を行うことで、ヌクレオシドサブユニット間がホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合により結合される。これを、さらに鎖延長工程(上記例示スキーム1のstep2~5または下記例示スキーム2のstep2~5)を繰り返すことにより、複数のヌクレオシドサブユニットが連結されたオリゴヌクレオチドブロックを得ることが可能である。オリゴヌクレオチドブロックの製造後には、サポートからの切り出し、および、脱保護反応を行うことにより、実施形態のオリゴ核酸類縁体を得ることができる。鎖延長工程の反復回数中任意の回数において、式(VI)で表される修飾核酸モノマー化合物を鎖延長用原料モノマーとして用いることで、3’末端および3’末端を除く任意の位置、任意の個数の式(IX)で表される部分構造を1以上含有するオリゴ核酸類縁体を得ることができる。
【0107】
【化40】
[式中、Y、B
1、B
2、B
3、T’、Lは、前記定義と同じである。]
【0108】
上記例示スキーム2に記載されるように、3’末端-固相担体と、鎖延長用原料モノマーとして、式(I)においてA2が、リン官能基(好ましくは-P(-OR7)-NR8R9である)修飾核酸モノマー化合物(例えば、式(VI)で表される修飾核酸モノマー化合物)とを縮合反応させ、次いで酸化又は硫化工程を行うことで、ヌクレオシドサブユニット間がホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合により結合される。これを、さらに鎖延長工程(上記例示スキーム1のstep2~5または例示スキーム2のstep2~5)を繰り返すことにより、複数のヌクレオシドサブユニットが連結されたオリゴヌクレオチドブロックを得ることが可能である。オリゴヌクレオチドブロックの製造後には、サポートからの切り出し、および、脱保護反応を行うことにより、実施形態のオリゴ核酸類縁体を得ることができる。鎖延長工程の反復回数中任意の回数において、式(VI)で表される修飾核酸モノマー化合物を鎖延長用原料モノマーとして用いることで、3’末端を除く任意の位置、任意の個数の式(IX)で表される部分構造を1以上含有するオリゴ核酸類縁体を得ることができる。
【0109】
また、3’末端への導入用に特別のモノマーの調製を要しないユニバーサルリンカーを担持した固相合成用担体(ユニバーサルサポート、例えばAndrei P.Guzaev and Muthiah Manoharan,J.Amer.Chem.Soc.,2003,125,2380-2381)を用いれば、以下に示すように式(VI)で表される修飾核酸モノマー化合物により、式(IX)で表される部分構造を任意の位置に、1以上の任意の個数含有するオリゴ核酸類縁体を得ることができる。
【化41】
【0110】
ホスホロチオエート結合を有するオリゴ核酸類縁体はリン原子の酸化工程に代えて、硫化工程を行うことで調製できる。硫化工程は、ホスホロチオエート結合を持つ修飾核酸の合成に通常使用されている硫化反応を採用することができる。硫化反応においては、例えば、硫黄の2,6-ルチジン懸濁液、硫黄の二硫化炭素溶液、ローソン試薬に加え、Beaucage Reagent(3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン 1,1-ジオキシド)(R.P.Iyer,W.Egan, J.B.Regan,and S.L.Beaucage,J.Amer.Chem.Soc.,1990,112,1253-1254)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)(H. Vu et al., Tetrahedron Lett., 32, 3005-3008(1991)、(3-((ジメチルアミノメチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-チオン)(DDTT)(M.Overhoff andG.Sczakiel,EMBO Rep,2005,6,1176-81)、などの試薬を用いることができる。リン原子の酸化剤に加え、予め硫化反応試薬をセットしておくことで、オリゴ核酸類縁体の任意の位置にホスホロチオエート結合を導入することができる核酸自動合成機器が利用されている。
【0111】
目的とするオリゴ核酸類縁体を得るために、また、例えば、各オリゴヌクレオチドブロックの製造後などに、脱保護反応に付することができる。脱保護反応としては、先述のGreeneらの文献を参照して選択することができる。また、最終的に製造されたオリゴ核酸類縁体を、例えば、脱保護反応と同様に、濃アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液等で処理することによって固相担体から切り出すことができる。脱保護反応および固相担体からの切り出しについても核酸自動合成機器が利用されている。
【0112】
他にも、式(XV)に示されるホスホロジチオエート構造の構築法としてはMarshallらの文献(Science 259: 1564-1570, 1993)やCaruthersおよびNielsenの文献(WO1989/011486)を参考にすることができる。
【0113】
以上の工程により、式(IX)の部分構造の1つまたは2つ以上をオリゴ核酸類縁体の任意の位置にサブユニット(核酸塩基単位)として組み込むことができる。
【0114】
かくして得られる一本鎖のオリゴ核酸類縁体を、更に二本鎖のオリゴ核酸類縁体とすることもできる。すなわち、例えば、先ず、得られた一本鎖のオリゴ核酸類縁体と相補的な配列を有する他の一本鎖オリゴ核酸類縁体を製造する。この他の一本鎖オリゴ核酸類縁体は、天然型のオリゴヌクレオチドであってもよく、本発明の式(IX)の部分構造を1つ以上含有するオリゴヌクレオチドであってもよく、また、各ヌクレオシドの塩基部分や糖部分が、それらの修飾体であるヌクレオシドを構成ユニットとして含むオリゴヌクレオチドであってもよい。例えば、これらの一本鎖オリゴ類縁体のそれぞれを、当業者に公知の通常のアニーリング用緩衝液に溶解させ、それらを混合して、加温処理後に、冷却させ、二本鎖のオリゴ核酸類縁体を製造することができる。
【0115】
本発明の修飾核酸モノマー化合物を少なくとも構成ユニットの一つとして含むオリゴ核酸類縁体は生物学的安定性(例えば、血中安定性、より具体的には、血清中のオリゴ核酸類縁体残存量など)および/または標的遺伝子発現抑制活性に優れている。したがって、上記オリゴ核酸類縁体を、例えばsiRNAとして用いた場合には、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤をはじめとした、「遺伝子の働きを阻害して疾病を治療する医薬品」としての有用性が期待される。本発明の修飾核酸モノマー化合物を少なくとも構成ユニットの一つとして含むオリゴ核酸類縁体は、例えば緩衝剤及び/又は安定剤等の慣用の助剤を配合して注射剤などの非経口投与用製剤とすることができる。さらに、脂質からなるリポソームに内包させ、または機能性高分子膜などで被覆することにより血中安定性を向上させた製剤を調製することができる。
【実施例】
【0116】
以下、実施例および参考例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下において使用される略語は当業者に周知の慣用的な略語であり、いくつかの略語は以下に示す。
Bz:ベンゾイル
CPG:Controlled pore glass
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DIAD:アゾジカルボン酸 ジイソプロピル
DMAP:4-(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMTr:4,4’-ジメトキシトリチル
DSPC:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
Et:エチル
HBTU:O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
LCAA:Long chain alkylamine
n-:ノルマル
NMO:N-メチルモルホリン N-オキシド
NaBH4:水素化ホウ素ナトリウム
Ph:フェニル
Pr:プロピル
iPr:イソプロピル
tert-:ターシャリー
TBAF:テトラn-ブチルアンモニウム フルオリド
TEA:トリエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
TBDPS:tert-ブチルジフェニルシリル
1H-NMR:プロトン核磁気共鳴スペクトルメトリー
【0117】
プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)スペクトルの化学シフトは、テトラメチルシランに対するδ単位(ppm)で、カップリング定数はヘルツ(Hz)で記録されている。パターンは、s;シングレット、d;ダブレット、br;ブロード、m;マルチプレットを意味する。
1H-NMRは、Varian/Agilent Mercury 400MHz system(400MHz)を使用して測定した。
クロマトグラフィーに関しては、YAMAZEN社製パラレルプレップ{カラム:YAMAZEN社製 Hi-FlashTM Column(Silicagel)、サイズ;S(16×60mm)、M(20×75mm)、L(26×100mm)、2L(26×150mm)}あるいはメルク社製シリカゲル(Silicagel60,70-230 mesh)、富士シリシア製シリカゲル(BW-Silicagel,200-400 mesh)を用いた。
超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)による分取はWaters社製Prep100qを用いて行った。
siRNA合成のために用いる固相担体の合成においては、ChemGenes社製のAmino LCAA CPGサポート 1000Å(ローディング量:103μmol/g)を用いた。
【0118】
以下の実施例中、「室温」は通常約10℃から約35℃を示す。%は特記しない限り重量パーセントを示す。
本明細書中の化合物名の標記において、(±)-および(RS)-はラセミ体を、(+)-、(-)-、(R)-および(S)-はそれぞれエナンチオマーの(+)型、(-)型、(R)-体および(S)-体であることを示す。また、立体配置中の「*」は、相対配置を表し、特に記載がない場合にはいずれか1のエナンチオマーを示す。
【0119】
実施例1
(R)-2-[2-(3-ベンゾイル-5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]プロピル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイトの合成
【化42】
【0120】
(1)(R)-tert-ブチル[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]ジフェニルシラン(化合物2)の合成
【化43】
【0121】
(S)-(+)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール(化合物1,CAS番号22323-82-6,10.0g,75.6mmol)、DMAP(0.69g,5.68mmol)およびTEA(15.7ml,112.7mmol)を塩化メチレン(250mL)に溶解し、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(26.2ml,100.6mmol)をゆっくり加え60時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、n-ヘプタンで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル)にて精製し、標記化合物2(27.0g,72.9mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.05(s,9H),1.36(s,3H),1.39(s,3H),3.65(dd,J=6.4,10.4Hz,1H),3.73(dd,J=4.5,10.4Hz,1H),3.91(dd,J=6.1,8.2Hz,1H),4.07(dd,J=6.4,8.2Hz,1H),4.21(dddd,J=4.5,6.1,6.4,6.4Hz,1H),7.33-7.48(m,6H),7.62-7.71(m,4H).
【0122】
(2)(R)-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]プロパン-1,2-ジオール(化合物3)の合成
【化44】
【0123】
実施例1-(1)で得た化合物2(27.0g,72.9mmol)を塩化メチレン(260mL)とMeOH(60mL)に溶解し、室温で濃塩酸(12mL)とMeOH(200mL)の混合液を加え、室温で30分間攪拌した。反応混合物を氷水バスで冷却し、5N水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを中性にしたのち、少量の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でアルカリ性とし、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル)にて精製し、標記化合物3(17.6g,53.3mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.07(s,9H),1.99(dd,J=5.3,7.0Hz,1H),2.59(d,J=5.3Hz,1H),3.57-3.90(m,5H),7.35-7.49(m,6H),7.62-7.70(m,4H).
【0124】
(3)(R)-1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]プロパン-2-オール(化合物4)の合成
【化45】
【0125】
実施例1-(2)で得た化合物3(9.0g,27.2mmol)をピリジン(225mL)に溶解し、氷冷下、DMAP(0.23g,1.9mmol)と4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(11.1g,32.8mmol)を加え、室温で36時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣を塩化メチレン(150mL)で溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水の順で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物4(14.3g,22.6mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):0.99(s,9H),2.44(d,J=5.5Hz,1H),3.13-3.33(m,2H),3.70-3.81(m,2H),3.78(s,6H),3.83-3.93(m,1H),6.74-6.85(m,4H),7.09-7.49(m,15H),7.56-7.67(m,4H).
【0126】
(4)(R)-{2-(アリルオキシ)-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]プロポキシ}(tert-ブチル)ジフェニルシラン(化合物5)の合成
【化46】
【0127】
実施例1-(3)で得た化合物4(11.6g,18.3mmol)をTHF(90mL)に溶解し、水浴で冷やしながら60%水素化ナトリウム(2.2g,55.0mmol)をゆっくり加えたのち、室温で10分間攪拌した。水浴で冷やしながらアリルブロミド(7.8mL,91.6mmol)を加えた。室温で1時間半攪拌したのち、60%水素化ナトリウム(1.5g,36.7mmol)とアリルブロミド(7.8mL,91.6mmol)を追加した。1時間後および2時間後にアリルブロミド(7.8mL,91.6mmol)を2回追加した。反応混合物を氷水バスで冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物5(9.7g,14.4mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):0.96(s,9H),3.15-3.28(m,2H),3.59-3.67(m,1H),3.69-3.77(m,2H),3.77(s,6H),4.06-4.18(m,2H),5.10-5.18(m,1H),5.22-5.31(m,1H),5.84-5.97(m,1H),6.73-6.84(m,4H),7.13-7.49(m,15H),7.56-7.67(m,4H).
【0128】
(5)(R)-2-({1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]プロパン-2-イル}オキシ)エタノール(化合物6)の合成
【化47】
【0129】
実施例1-(4)で得た化合物5(9.0g,13.4mmol)とNMO(2.4g,20.6mmol)をTHF(45mL)、tert-ブタノール(15mL)および水(7.5mL)に溶解し、氷冷下、2.5%四酸化オスミウム/tert-ブタノール溶液(1.8mL,0.144mmol)を加え、室温で18時間攪拌した。反応液に5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加え10分間攪拌したのち、塩化メチレン(90mL)および水(90mL)を加え分離したのち、塩化メチレンで2回抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。
得られた残渣をTHF(45mL)に溶解し、四酢酸鉛(6.2g,13.4mmol)を内温が10℃以下になるように少しずつ加え、氷冷下20分間、室温で40分間攪拌した。不溶物を濾別したのち、THF(27mL)で洗浄した。
ろ液に、氷冷下、NaBH4(0.94g,24.9mmol)を1N水酸化ナトリウム(45mL)に溶解した溶液を、内温が10℃以下になるように加え、氷冷下15分間、室温で2時間攪拌した。反応液にpH=8まで飽和塩化アンモニウム水溶液を加え5分間攪拌した。酢酸エチル(54mL)を加え分離したのち、酢酸エチルで1回抽出した。有機相を0.5N水酸化ナトリウム水溶液(45mL)と飽和食塩水(36mL)の混合液で洗浄したのち、飽和食塩水で再度洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物6(7.6g,11.2mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):0.99(s,9H),2.59-2.74(m,1H),3.10-3.25(m,2H),3.60-3.76(m,6H),3.78(s,6H),6.74-6.85(m,4H),7.14-7.49(m,15H),7.56-7.68(m,4H).
【0130】
(6)(S)-3-ベンゾイル-1-[2-({1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-ヒドロキシプロパン-2-イル}オキシ)エチル]-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物7)の合成
【化48】
【0131】
実施例1-(5)で得た化合物6(1.0g,1.48mmol)、3-ベンゾイルチミン(0.68g,3.0mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.97g,3.70mmol)をTHF(15mL)に懸濁させし、氷冷下、DIAD(0.73mL,3.69mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で19時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、3-ベンゾイルチミン置換体(1.28g)を得た。
得られた粗置換体をTHF(1.4mL)に溶解し、氷冷下、1M TBAF/THF溶液(6.5mL,6.5mmol)を加え、同温で2時間半攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水の混合液(1:1)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物7(772mg,1.19mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.86(s,3H),1.95-2.03(m,1H),3.18-3.28(m,2H),3.47-3.92(m,6H),3.78(s,6H),3.94-4.06(m,1H),6.79-6.86(m,4H),7.18-7.34(m,9H),7.36-7.47(m,3H),7.55-7.65(m,1H),7.83-7.94(m,2H).
【0132】
(7)(R)-2-[2-(3-ベンゾイル-5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]プロピル (2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(化合物8)の合成
【化49】
【0133】
実施例1-(6)で得た化合物7(294mg,0.45mmol)、DIPEA(0.39mL,2.3mmol)を塩化メチレン(4.6mL)に溶解し、氷冷下、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.25mL,1.1mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%Et3N)にて精製し、標記化合物8(200mg,0.235mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.07-1.21(m,12H),1.78-1.84(m,3H),2.48-2.62(m,2H),3.13-3.27(m,2H),3.43-4.01(m,11H),3.77(s,6H),6.77-6.86(m,4H),7.16-7.34(m,8H),7.35-7.46(m,4H),7.54-7.64(m,1H),7.83-7.92(m,2H).
【0134】
実施例2
(S)-2-[2-(3-ベンゾイル-5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]プロピル (2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイトの合成
【化50】
【0135】
(1)(S)-tert-ブチル[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]ジフェニルシラン(化合物10)の合成
【化51】
【0136】
(R)-(-)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール(化合物9,CAS番号14347-78-5,1.0g,7.56mmol)とイミダゾール(1.08g,15.9mmol)をDMF(7.6mL)に溶解し、0℃でtert-ブチルジフェニルシリルクロリド(2.1ml,7.95mmol)をゆっくり加えたのち、室温で16時間攪拌した。tert-ブチルメチルエーテル(15mL)と水(15mL)を加え分離した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去し、標記化合物10の粗生成物(2.8g)を得た。
【0137】
(2)(S)-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]プロパン-1,2-ジオール(化合物11)の合成
【化52】
【0138】
実施例2-(1)で得た化合物10の粗生成物(2.8g)を塩化メチレン(28mL)とMeOH(14mL)に溶解し、室温で濃塩酸(1.3mL,15.1mmol)を加え30分間攪拌した。反応混合物を氷水バスで冷却し、5N水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを中性にしたのち、少量の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えアルカリ性とし、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去し、標記化合物11の粗生成物(2.48g)を得た。
【0139】
(3)(S)-1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]プロパン-2-オール(化合物12)の合成
【化53】
【0140】
実施例2-(2)で得た化合物11の粗生成物(2.48g)をピリジン(30mL)に溶解し、氷冷下、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(2.1g,6.05mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(0.13g,0.38mmol)を追加し、室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をtert-ブチルメチルエーテルに懸濁させ、ろ過し不溶物を除去した。ろ液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水の順で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物12(2.68g,4.23mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):0.99(s,9H),2.44(d,J=5.5Hz,1H),3.13-3.33(m,2H),3.70-3.81(m,2H),3.78(s,6H),3.83-3.93(m,1H),6.74-6.85(m,4H),7.09-7.49(m,15H),7.56-7.67(m,4H).
【0141】
(4)(S)-{2-(アリルオキシ)-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]プロポキシ}(tert-ブチル)ジフェニルシラン(化合物13)の合成
【化54】
【0142】
実施例2-(3)で得た化合物12(1.0g,1.58mmol)をTHF(2.3mL)に溶解し、水浴で冷やしながら60%水素化ナトリウム(0.11g,2.84mmol)をゆっくり加えたのち、室温で45分間攪拌した。水浴で冷やしながらアリルブロミド(0.15mL,1.82mmol)を加えた。室温で2時間攪拌したのち、60%水素化ナトリウム(0.24g,6.20mmol)とアリルブロミド(0.45mL,5.45mmol)を追加し、2時間攪拌した。反応混合物を氷水バスで冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物13(0.73g,1.09mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):0.96(s,9H),3.15-3.28(m,2H),3.59-3.67(m,1H),3.69-3.77(m,2H),3.77(s,6H),4.06-4.18(m,2H),5.10-5.18(m,1H),5.22-5.31(m,1H),5.84-5.97(m,1H),6.73-6.84(m,4H),7.13-7.49(m,15H),7.56-7.67(m,4H).
【0143】
(5)(S)-2-({1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]プロパン-2-イル}オキシ)エタノール(化合物14)の合成
【化55】
【0144】
実施例2-(4)で得た化合物13(0.53g,0.788mmol)およびNMO(0.14g,1.21mmol)をTHF(2.6mL)、tert-ブタノール(0.90mL)および水(0.45mL)に溶解し、氷冷下、2.5%四酸化オスミウム/tert-ブタノール溶液(0.10mL,7.8μmol)を加え、室温で18時間攪拌した。反応液に5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(2.6mL)を加え30分間攪拌したのち、水を加え塩化メチレンで3回抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。
得られた残渣をTHF(2.6mL)に溶解し、氷冷下、四酢酸鉛(0.39g,0.788mmol)を内温が10℃以下になるように少しずつ加え、氷冷下20分間、室温で30分間攪拌した。反応液を濾過し不溶物を除去したのち、THFで洗浄した。
ろ液に、氷冷下、NaBH4(55mg,1.47mmol)を1N水酸化ナトリウム(2.6mL)に溶解した溶液を、内温が10℃以下になるように加え、氷冷下20分間、室温で1時間攪拌した。反応液にpH=8まで飽和塩化アンモニウム水溶液を加え5分間攪拌した。酢酸エチルを加え分離したのち、水層を酢酸エチルで1回抽出した。有機相を1N水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物14(0.43g,0.635mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):0.99(s,9H),2.59-2.74(m,1H),3.10-3.25(m,2H),3.60-3.76(m,6H),3.78(s,6H),6.74-6.85(m,4H),7.14-7.49(m,15H),7.56-7.68(m,4H).
【0145】
(6)(R)-3-ベンゾイル-1-[2-({1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-ヒドロキシプロパン-2-イル}オキシ)エチル]-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物15)の合成
【化56】
【0146】
実施例2-(5)で得た化合物14(430mg,0.635mmol)、3-ベンゾイルチミン(263mg,1.14mmol)およびトリフェニルホスフィン(417mg,1.59mmol)をTHF(6.4mL)に懸濁させ、氷冷下、DIAD(0.31mL,1.59mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で19時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、3-ベンゾイルチミン置換体(830mg)を得た。
得られた粗置換体をTHF(1.7mL)に溶解し、氷冷下、1M TBAF/THF溶液(2.5mL,2.54mmol)を加え、氷冷下20分間、室温で1時間半攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物15(206mg,0.320mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.86(s,3H),1.95-2.03(m,1H),3.18-3.28(m,2H),3.47-3.92(m,6H),3.78(s,6H),3.94-4.06(m,1H),6.79-6.86(m,4H),7.18-7.34(m,9H),7.36-7.47(m,3H),7.55-7.65(m,1H),7.83-7.94(m,2H).
【0147】
(7)(S)-2-[2-(3-ベンゾイル-5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]プロピル (2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(化合物16)の合成
【化57】
【0148】
実施例1-(7)の方法に準じ、実施例2-(6)で得た化合物15(205mg,0.315mmol)、DIPEA(0.27mL,1.58mmol)、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.14mL,0.506mmol)および塩化メチレン(2.0mL)から、標記化合物16(162mg,0.19mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.07-1.21(m,12H),1.78-1.84(m,3H),2.48-2.62(m,2H),3.13-3.27(m,2H),3.43-4.01(m,11H),3.77(s,6H),6.77-6.86(m,4H),7.16-7.34(m,8H),7.35-7.46(m,4H),7.54-7.64(m,1H),7.83-7.92(m,2H).
【0149】
実施例3
(R)-2-[2-(3-ベンゾイル-5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]プロピル (2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイトの合成
【化58】
【0150】
(1)(S)-3-ベンゾイル-1-[2-({1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-ヒドロキシプロパン-2-イル}オキシ)エチル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物17)の合成
【化59】
【0151】
実施例1-(5)で得た化合物6(1.77g,2.62mmol)、3-ベンゾイルウラシル(1.13g,5.23mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.72g,6.54mmol)をTHF(26mL)に懸濁させ、氷冷下、DIAD(1.3mL,6.54mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で19時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、3-ベンゾイルウラシル置換体(3.7g)を得た。
得られた粗置換体をTHF(2.6mL)に溶解し、氷冷下、1M TBAF/THF溶液(13.1mL,13.1mmol)を加え、氷冷下、2時間半攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水の混合液(1:1)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物17(1.40g,2.20mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.89-2.03(m,1H),3.15-3.33(m,2H),3.48-3.58(m,1H),3.58-3.93(m,5H),3.78(s,6H),3.94-4.06(m,1H),5.69(d、J=7.8Hz,1H),6.77-6.89(m,4H),7.18-7.34(m,9H),7.36-7.47(m,3H),7.42(d,J=7.8Hz,1H),7.55-7.65(m,1H),7.83-7.94(m,2H).
【0152】
(2)(R)-2-[2-(3-ベンゾイル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]プロピル (2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(化合物18)の合成
【化60】
【0153】
実施例1-(7)の方法に準じ、実施例3-(1)で得た化合物17(400mg,0.63mmol)、DIPEA(0.65mL,3.77mmol)、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.20mL,0.72mmol)および塩化メチレン(6.0mL)から、標記化合物18(270mg,0.32mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.05-1.24(m,12H),2.48-2.63(m,2H),3.12-3.30(m,2H),3.43-4.04(m,11H),3.77(s,6H),5.58-5.69(m,1H),6.75-6.88(m,4H),7.16-7.34(m,8H),7.35-7.46(m,3H),7.47-7.55(m,1H),7.55-7.63(m,1H),7.83-7.93(m,2H).
【0154】
実施例4
(R)-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-[2-(4-イソブチルアミド-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]プロピル (2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイトの合成
【化61】
【0155】
(1)(S)-N-{1-[2-({1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-ヒドロキシプロパン-2-イル}オキシ)エチル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}イソブチルアミド(化合物19)の合成
【化62】
【0156】
実施例1-(5)で得た化合物6(1.1g,1.63mmol)、N4-イソブチリルシトシン(0.59g,3.25mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.07g,6.54mmol)をTHF(16mL)に懸濁させ、氷冷下、DIAD(0.80mL,4.06mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で19時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、N4-イソブチリルシトシン置換体(1.6g)を得た。
得られた粗置換体をTHF(1.6mL)に溶解し、氷冷下、1M TBAF/THF溶液(7.3mL,7.3mmol)を加え、氷冷下、2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水の混合液(1:1)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物19(489mg,0.81mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.20-1.26(m,6H),1.88-1.98(m,1H),2.45-2.49(m,1H),3.11-3.26(m,2H),3.43-3.53(m,1H),3.54-3.73(m,2H),3.77-3.91(m,2H),3.80(s,6H),3.92-4.03(m,1H),4.07-4.18(m,1H),6.79-6.86(m,4H),7.18-7.34(m,8H),7.35-7.42(m,2H),7.66-7.72(m,1H),7.87(br s,1H).
【0157】
(2)(R)-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-[2-(4-イソブチルアミド-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]プロピル (2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(化合物20)の合成
【化63】
【0158】
実施例1-(7)の方法に準じ、実施例4-(1)で得た化合物19(450mg,0.75mmol)、DIPEA(0.58mL,3.38mmol)、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.25mL,1.12mmol)および塩化メチレン(7.5mL)から、標記化合物20(288mg,0.36mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.05-1.19(m,12H),1.19-1.25(m,6H),2.44-2.66(m,3H),3.05-3.25(m,2H),3.41-4.18(m,11H),3.80(s,6H),6.77-6.87(m,4H),7.16-7.33(m,8H),7.34-7.43(m,2H),7.72-7.81(m,1H),7.87(br s,1H).
【0159】
実施例5
9-{2-[((2R)-1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-{[(2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミド)フォスフィノ]オキシ}プロパン-2-イル)オキシ]エチル}-2-イソブチルアミド-9H-プリン-6-イル ジフェニルカーバメートの合成
【化64】
【0160】
(1)(S)-9-[2-({1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-ヒドロキシプロパン-2-イル}オキシ)エチル]-2-ジイソプロピルアミド-9H-プリン-6-イル ジフェニルカーバメート(化合物21)の合成
【化65】
【0161】
実施例1-(5)で得た化合物6(0.86g,1.27mmol)、N2-イソブチリル-O6-ジフェニルカルバモイルグアニン(0.90g,2.16mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.73g,2.80mmol)をTHF(13mL)に懸濁させ、氷冷下、DIAD(0.55mL,2.80mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、N2-イソブチリル-O6-ジフェニルカルバモイルグアニン置換体(1.3g)を得た。
得られた粗置換体をTHF(1.2mL)に溶解し、氷冷下、1M TBAF/THF溶液(4.8mL,4.8mmol)を加え、氷冷下、2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水の混合液(1:1)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物21(680mg,0.81mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.21-1.30(m,6H),2.39-2.49(m,1H),2.75-2.98(m,1H),3.11-3.22(m,2H),3.46-3.71(m,3H),3.77(s,6H),3.82-3.92(m,1H),3.92-4.03(m,1H),4.25-4.36(m,1H),4.38-4.51(m,1H),6.76-6.85(m,4H),7.15-7.52(m,19H),7.99(s,1H),8.06(s,1H).
【0162】
(2)9-{2-[((2R)-1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-{[(2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミド)フォスフィノ]オキシ}プロパン-2-イル)オキシ]エチル}-2-イソブチルアミド-9H-プリン-6-イル ジフェニルカーバメート(化合物22)の合成
【化66】
【0163】
実施例5-(1)で得た化合物21(400mg,0.478mmol)およびDIPEA(0.45mL,2.63mmol)を塩化メチレン(4.8mL)に溶解し、氷冷下、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.13mL,0.574mmol)を加え2時間攪拌した。氷冷下、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.064mL,0.287mmol)を追加し10分間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物22(260mg,0.25mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.04-1.18(m,12H),1.22-1.30(m,6H),2.44-2.55(m,2H),2.83-3.02(m,1H),3.11-3.26(m,2H),3.40-3.82(m,7H),3.76(s,6H),3.82-4.01(m,2H),4.24-4.47(m,2H),6.76-6.85(m,4H),7.15-7.52(m,19H),7.99(s,1H),8.06(s,1H).
【0164】
実施例6
(R)-2-(2-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)エトキシ)-3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロピル (2-シアノエチル) ジイソプロピルホスホロアミドの合成
【化67】
【0165】
(1)(R)-2-[2-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)エトキシ]-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]プロパン-1-オール(化合物23)の合成
【化68】
【0166】
実施例1-(5)で得た化合物6(2.5g,3.69mmol)、N6,N6-ジ-Boc-アデニン(2.48g,7.39mmol)およびトリフェニルホスフィン(2.23g,8.49mmol)をTHF(37mL)に溶解し、氷冷下、DIAD(1.7mL,8.49mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で3時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、N6,N6-ジ-Boc-アデニン置換体(5.06g)を得た。得られた粗置換体を塩化メチレン(37mL)に溶解し、氷冷下、1M TFA(10mL,130.7mmol)を滴下し、室温で4時間攪拌した。氷冷下、反応混合物に5N水酸化ナトリウム水溶液(26mL)を加え、室温で15分間攪拌したのち、飽和食塩水を加えた。得られた混合物をクロロホルムで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/酢酸エチル)にて精製し、標記化合物23(1.45g,2.94mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.03(s,9H),3.46-3.74(m,5H),3.76-4.00(m,3H),4.14-4.26(m,1H),4.38-4.52(m,1H),5.59(br s,2H),7.33-7.47(m,6H),7.58-7.67(m,4H),7.83(s,1H),8.34(s,1H).
【0167】
(2)(R)-N-{9-[2-({1-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-3-ヒドロキシプロパン-2-イル}オキシ)エチル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド(化合物24)の合成
【化69】
【0168】
実施例6-(1)で得た化合物23(1.45g,2.95mmol)をピリジン(14.8mL)に溶解し、氷冷下、ベンゾイルクロリド(2.7mL,23.6mmol)を滴下し、室温で16時間攪拌した。MeOH(8.3mL)を加えたのち反応液を減圧下濃縮した。得られた残渣に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去し粗生成物(3.3g)を得た。
得られた粗生成物をTHF(28mL)とEtOH(13mL)に溶解し、氷冷下、1N水酸化ナトリウム水溶液(5.9mL,5.9mmol)を加え、室温で1時間半攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/酢酸エチル)にて精製し、標記化合物24(900mg,1.51mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.03(s,9H),2.91-3.03(m,1H),3.42-3.77(m,6H),3.78-4.01(m,2H),4.25-4.38(m,1H),4.43-4.57(m,1H),7.32-7.48(m,6H),7.49-7.57(m,2H),7.58-7.67(m,5H),7.99-8.06(m,2H),8.09(s,1H),8.80(s,1H),8.99(s,1H).
【0169】
(3)(R)-N-{9-[2-({1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]プロパン-2-イル}オキシ)エチル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド(化合物25)の合成
【化70】
【0170】
実施例6-(2)で得た化合物24(900mg,1.51mmol)をピリジン(9mL)に溶解し、氷冷下、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(768mg,2.26mmol)を加えた。室温で4時間攪拌したのち、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(113mg,0.33mmol)を追加し、室温で2時間攪拌した。氷冷下、反応混合物に氷水を加えた、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物25(1.17g,1.30mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):0.94(s,9H),2.91-3.03(m,1H),3.42-3.77(m,6H),3.78-4.01(m,2H),4.25-4.38(m,1H),4.43-4.57(m,1H),6.71-6.81(m,4H),7.15-7.27(m,7H),7.28-7.45(m,8H),7.47-7.67(m,7H),7.99-8.05(m,2H),8.06(s,1H),8.80(s,1H),8.99(s,1H).
【0171】
(4)(S)-N-{9-[2-({1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-ヒドロキシプロパン-2-イル}オキシ)エチル]-9H-プリン-6-イル}ベンズアミド(化合物26)の合成
【化71】
【0172】
実施例6-(3)で得た化合物25(1.17g,1.30mmol)をTHF(1.3mL)に溶解し、氷冷下、1M TBAF/THF溶液(6.5mL,6.5mmol)を滴下し、同温で4時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物26(810mg,1.23mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):2.95-3.04(m,1H),3.10-3.20(m,2H),3.48-3.71(m,3H),3.88(s,6H),3.86-3.97(m,1H),3.98-4.09(m,1H),4.32-4.43(m,1H),4.48-4.60(m,1H),6.76-6.85(m,4H),7.15-7.32(m,7H),7.33-7.41(m,2H),7.49-7.57(m,2H),7.58-7.66(m,1H),7.99-8.07(m,2H),8.11(s,1H),8.80(s,1H),9.01(s,1H).
【0173】
(5)(R)-2-(2-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)エトキシ)-3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロピル (2-シアノエチル) ジイソプロピルホスホロアミド(化合物27)の合成
【化72】
【0174】
実施例1-(7)の方法に準じ、実施例6-(4)で得た化合物26(450mg,0.68mmol)、DIPEA(0.70mL,4.1mmol)、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.23mL,1.0mmol)、塩化メチレン(6.8mL)から標記化合物27(242mg,0.28mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.02-1.20(m,12H),2.50-2.65(m,2H),3.08-3.26(m,2H),3.43-3.77(m,7H),3.77(s,6H),3.90-4.05(m,2H),4.39-4.50(m,2H),6.75-6.85(m,4H),7.15-7.33(m,7H),7.33-7.42(m,2H),7.48-7.58(m,2H),7.58-7.66(m,1H),7.99-8.08(m,2H),8.20(s,1H),8.81(s,1H),9.05(s,1H).
【0175】
実施例7
(R)-4-{3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-[2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]プロポキシ}-4-オキソブタノエート-CPG サポートの合成
【化73】
【0176】
(1)(S)-1-[2-({1-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-3-ヒドロキシプロパン-2-イル}オキシ)エチル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物28)の合成
【化74】
【0177】
実施例3-(1)で得た化合物17(100mg,0.157mmol)を、室温で2M ジメチルアミン/THF溶液(2.0mL,2.0mmol)で溶解し1時間攪拌した。反応液を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物28(83mg,0.156mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.93-2.00(m,1H),3.13-3.25(m,2H),3.46-3.55(m,1H),3.57-4.00(m,6H),3.80(s,6H),5.54-5.60(m,1H),6.83(d,J=9.0Hz,4H),7.18-7.34(m,4H),7.28(d,J=9.0Hz,4H),7.35-7.42(m,2H),8.03(br s,1H).
【0178】
(2)トリエチルアミン (R)-4-{3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-[2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]プロポキシ}-4-オキソブタノエート(化合物29)の合成
【化75】
【0179】
実施例7-(1)で得た化合物28(40mg,0.075mmol)とDMAP(27.5mg,0.225mmol)を塩化メチレン(0.80mL)に溶解し、室温で無水コハク酸(15mg,0.15mmol)を加え16時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物29(38mg,0.052mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.27(t,J=7.4Hz,9H),2.58(s,4H),3.00(q,J=7.4Hz,6H)3.10-3.21(m,2H),3.56-3.68(m,1H),3.70-3.85(m,2H),3.80(s,6H),3.89-4.01(m,1H),4.05-4.18(m,2H),4.22-4.33(m,1H),5.54-5.60(m,1H),6.83(d,J=9.0Hz,4H),7.18-7.34(m,4H),7.28(d,J=9.0Hz,4H),7.35-7.42(m,2H).
【0180】
(3)(R)-4-{3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-[2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)エトキシ]プロポキシ}-4-オキソブタノエート-CPG サポート(CPGサポート30)の合成
【化76】
【0181】
実施例7-(2)で得た化合物29(15mg,0.020mmol)とDIPEA(11μL,0.061mmol)をアセトニトリル(1.5mL)に溶解し、室温でHBTU(15.5mg,0.041mmol)を加え、5分間静かに攪拌した。室温で、CPGサポート(330mg,10.3mmol)を素早く加え、16時間静かに振とうした。振とうを止め、グラスフィルターで濾過した。残渣を塩化メチレン、20%メタノール/塩化メチレン、塩化メチレン、ジエチルエーテルの順に洗浄し、得られたCPGサポートを減圧下乾燥した。ピリジン(1.1mL)に懸濁させ、TEA(15μL)と無水酢酸(0.35mL)を加え、室温で1時間静かに振とうした。懸濁液に塩化メチレンを加えろ過し、塩化メチレン、20%メタノール/塩化メチレン、塩化メチレン、ジエチルエーテルの順に洗浄し、得られたCPGサポートを減圧下乾燥し標記のCPGサポート30(310mg)を得た。5%ジクロロ酢酸/1,2-ジクロロエタンで処理した吸光度から計算されたローディング量は、61.6μmol/gであった。
【0182】
合成例8(R
*)-1-({3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-(ヒドロキシメチル)プロポキシ}メチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンおよび(S
*)-1-({3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-(ヒドロキシメチル)プロポキシ}メチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンの合成
【化77】
【0183】
(1)(1,3-ジオキサン-5-イル)メタノール(化合物32)の合成
【化78】
【0184】
2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(化合物31,CAS番号4704-94-3,3.0g,28.3mmol),ホルムアルデヒド ジメチルアセタール(8.7ml,98.9mmol)およびリチウムブロミド(0.49g,5.7mmol)を塩化メチレン(14.1mL)に懸濁させ、室温でp-トルエンスルホン酸一水和物(0.54g,2.83mmol)を加え40時間攪拌した。反応液にTEA(3mL)を加え、減圧下濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル)にて精製し、標記化合物32(1.48g,12.5mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.53(t,J=5.1Hz,1H),1.96(ddddd,J=3.9,5.9,6.6,11.3,11.7Hz,1H),3.76(dd,J=5.1,6.6Hz,1H),3.80(dd,J=5.9,11.7Hz,1H),4.02(dd,J=3.9,11.3Hz,2H),4.81(d,J=6.3Hz,1H),4.87(d,J=6.3Hz,1H).
【0185】
(2)[(1,3-ジオキサン-5-イル)メトキシ](tert-ブチル)ジフェニルシラン(化合物33)の合成
【化79】
【0186】
合成例8-(1)で得た化合物32(1.48g,12.5mmol)とイミダゾール(1.71g,25.1mmol)をDMF(25mL)に溶解し、室温でtert-ブチルジフェニルシリルクロリド(3.9ml,15.0mmol)をゆっくり加えたのち、15時間攪拌した。反応液に水を加えジエチルエーテルで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル)にて精製し、標記化合物33(3.9g,10.9mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):2.07(ddddd,J=4.1,6.6,7.4,11.3,11.5Hz,1H),3.65(d,J=6.6Hz,2H),3.72(dd,J=7.4,11.3Hz,1H),4.01(dd,J=4.1,11.5Hz,1H),4.81(d、J=6.0Hz,1H),4.87(d,J=6.0Hz,1H),7.34-7.47(m,6H),7.60-7.68(m,4H).
【0187】
(3)(RS)-1-({3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-2-(ヒドロキシメチル)プロポキシ}メチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物34)の合成
【化80】
【0188】
ウラシル(1.89g,16.8mmol)を1,2-ジクロロエタン(28mL)に懸濁させ、室温で、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(8.2ml,33.7mmol)を加えたのち1時間加熱還流した。室温まで放冷したのち減圧下濃縮した。得られた残渣を1,2-ジクロロエタン(42mL)に溶解し、合成例8-(2)で得た化合物33(2.0g,5.61mmol)に加えた。室温で、tert-ブチルジフェニルシリルトリフラート(2.6ml,11.2mmol)を加え、80℃で1時間攪拌した。反応液を室温まで放冷し、氷冷下、氷を含む飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注いだ。酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル)にて精製し、標記化合物34(1.9g,4.05mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.05(s,9H),1.96-2.09(m,1H),2.11-2.20(m,1H),3.57-3.84(m,6H),5.08(s,2H),5.72(d,J=8.2Hz,1H),7.21(d,J=8.2Hz,1H),7.36-7.49(m,6H),7.60-7.67(m,4H),8.37(br s,1H).
【0189】
(4)(RS)-1-({3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-{[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]メチル}プロポキシ}メチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物35)の合成
【化81】
【0190】
実施例1-(7)の方法に準じ、合成例8-(3)で得た化合物34(1.9g,4.05mmol)、ピリジン(25mL)、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(1.79g,5.27mmol)から標記化合物35(2.9g,3.76mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):0.95(s,9H),2.07-2.21(m,1H),3.06-3.25(m,2H),3.57-3.66(m,2H),3.69-3.76(m,2H),3.78(s,6H),4.99(s,2H),5.61(d,J=8.2Hz,1H),6.75-6.84(m,4H),7.07(d,J=8.2Hz,1H),7.15-7.47(m,15H),7.54-7.63(m,4H),7.97(br s,1H).
【0191】
(5)(R
*)-1-({3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-(ヒドロキシメチル)プロポキシ}メチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物36a)および(S
*)-1-({3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-(ヒドロキシメチル)プロポキシ}メチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物36b)の合成
【化82】
【0192】
実施例6-(4)の方法に準じ、合成例8-(4)で得た化合物35(2.9g,3.76mmol)、THF(3.8mL)および1M TBAF/THF溶液(20.7mL,20.7mmol)から標記化合物のエナンチオマー混合物(1.65g,3.10mmol)を得た。
得られた混合物(260mg)をダイセル製CHIRALPAK(登録商標)AD-H(2cmx25cm)を用いた超臨界流体クロマトグラフィー(移動相 CO2:2-プロパノール:アセトニトリル(70:15:15)、120bar、40℃、流速:100mL/分)にて一回あたり12mgずつ分取し、ダイセル製CHIRALPAK(登録商標)AD-H(4.6mmx150mm、移動相 2-プロパノール:n-ヘキサン(50:50)、流速:1mL/分)での分析結果の保持時間4.4分の標記化合物(36a:113mg、>99%ee)および保持時間4.9分の標記化合物(36b:123mg、>99%ee)を得た。
36a:
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):2.02-2.15(m,1H),3.13-3.28(m,2H),3.62-3.76(m,4H),3.79(s,6H),5.08(s,2H),5.71(d,J=8.2Hz,1H),6.78-6.88(m,4H),7.15-7.43(m,9H),7.19(d,J=8.2Hz,1H),8.29(br s,1H).
36b:
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):2.02-2.15(m,1H),3.13-3.28(m,2H),3.62-3.76(m,4H),3.79(s,6H),5.08(s,2H),5.71(d,J=8.2Hz,1H),6.78-6.88(m,4H),7.15-7.43(m,9H),7.19(d,J=8.2Hz,1H),8.29(br s,1H).
【0193】
実施例9
(S
*)-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-{[(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メトキシ]メチル}プロピル (2-シアノエチル) ジイソプロピルホスホロアミダイト(化合物37)の合成
【化83】
【0194】
合成例8-(5)で得た化合物36a(120mg,0.225mmol)およびDIPEA(0.23mL,1.35mmol)を塩化メチレン(2.0mL)に溶解し、氷冷下、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.075mL,0.270mmol)を加え1時間攪拌した。氷冷下、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.013mL,0.045mmol)を追加し30分間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物37(90mg,0.123mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.04-1.20(m,12H),2.12-2.27(m,1H),2.50-2.61(m,2H),3.02-3.23(m,2H),3.42-3.84(m,8H),3.79(s,6H),5.06(s,2H),5.69(d,J=8.2Hz,1H),6.77-6.86(m,4H),7.15-7.44(m,9H),7.20(d,J=8.2Hz,1H),8.05(br s,1H).
【0195】
実施例10
(R
*)-3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-{[(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メトキシ]メチル}プロピル (2-シアノエチル) ジイソプロピルホスホロアミダイト(化合物38)の合成
【化84】
【0196】
合成例8-(5)で得た化合物36b(135mg,0.253mmol)およびDIPEA(0.26mL,1.52mmol)を塩化メチレン(2.2mL)に溶解し、氷冷下、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.085mL,0.304mmol)を加え1時間攪拌した。氷冷下、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.011mL,0.051mmol)を追加し30分間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン/酢酸エチル/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物38(75mg,0.102mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.04-1.20(m,12H),2.12-2.27(m,1H),2.50-2.61(m,2H),3.02-3.23(m,2H),3.42-3.84(m,8H),3.79(s,6H),5.06(s,2H),5.69(d、J=8.2Hz,1H),6.77-6.86(m,4H),7.15-7.44(m,9H),7.20(d,J=8.2Hz,1H),8.05(br s,1H).
【0197】
実施例11
(S
*)-4-(3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-{[(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メトキシ]メチル}プロポキシ)-4-オキソブタノエート-CPG サポートの合成
【化85】
【0198】
(1)トリエチルアミン (S
*)-4-(3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-{[(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メトキシ]メチル}プロポキシ)-4-オキソブタノエート(化合物39)の合成
【化86】
【0199】
合成例8-(5)で得た化合物36a(35mg,0.066mmol)とDMAP(24mg,0.197mmol)を塩化メチレン(0.65mL)に溶解し、室温で無水コハク酸(13mg,0.13mmol)を加え16時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物39(34mg,0.046mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.24(t,J=7.2Hz,9H),2.14-2.28(m,1H),2.55(br s,4H),2.98(q,J=7.4Hz,6H),3.07-3.17(m,2H),3.55-3.64(m,2H),3.79(s,6H),4.07-4.27(m,2H),5.05(s,2H),5.71(d,J=8.2Hz,1H),6.78-6.85(m,4H),7.14-7.44(m,9H),7.19(d,J=8.2Hz,1H),8.29(br s,1H).
【0200】
(2)(S
*)-4-(3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-{[(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メトキシ]メチル}プロポキシ)-4-オキソブタノエート-CPG サポート(CPGサポート40)の合成
【化87】
【0201】
実施例11-(1)で得た化合物39(33mg,0.045mmol)とDIPEA(0.023L,0.135mmol)をアセトニトリル(3.3mL)に溶解し、室温でHBTU(34mg,0.090mmol)を加え、5分間静かに攪拌した。室温で、CPGサポート(743mg,0.077mmol)を素早く加え、16時間静かに振とうした。振とうを止めグラスフィルターで濾過した。残渣を塩化メチレン、20%メタノール/塩化メチレン、塩化メチレン、ジエチルエーテルの順に洗浄し得られたCPGサポートを減圧下乾燥した。ピリジン(2.4mL)に懸濁させ、TEA(33μL)と無水酢酸(0.80mL)を加え、室温で1時間静かに振とうした。懸濁液に塩化メチレンを加えろ過し、塩化メチレン、20%メタノール/塩化メチレン、塩化メチレン、ジエチルエーテルの順に洗浄し、得られたCPGサポートを減圧下乾燥し標記のCPGサポート40(460mg)を得た。5%ジクロロ酢酸/1,2-ジクロロエタンで処理した吸光度から計算されたローディング量は、62.2μmol/gであった。
【0202】
実施例12
(R
*)-4-(3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-{[(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メトキシ]メチル}プロポキシ)-4-オキソブタノエート-CPG サポートの合成
【化88】
【0203】
(1)トリエチルアミン (R
*)-4-(3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-{[(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メトキシ]メチル}プロポキシ)-4-オキソブタノエート(化合物41)の合成
【化89】
【0204】
合成例8-(5)で得た化合物36b(35mg,0.066mmol)とDMAP(24mg,0.197mmol)を塩化メチレン(0.65mL)に溶解し、室温で無水コハク酸(13mg,0.13mmol)を加え16時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/0.5%TEA)にて精製し、標記化合物41(38mg,0.052mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):1.24(t,J=7.2Hz,9H),2.14-2.28(m,1H),2.55(br s,4H),2.98(q,J=7.4Hz,6H),3.07-3.17(m,2H),3.55-3.64(m,2H),3.79(s,6H),4.07-4.27(m,2H),5.05(s,2H),5.71(d、J=8.2Hz,1H),6.78-6.85(m,4H),7.14-7.44(m,9H),7.19(d,J=8.2Hz,1H),8.29(br s,1H).
【0205】
(2)(R
*)-4-(3-[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]-2-{[(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メトキシ]メチル}プロポキシ)-4-オキソブタノエート-CPG サポート(CPGサポート42)の合成
【化90】
実施例11-(2)の方法に準じ、実施例12-(1)で得た化合物41(37mg,0.050mmol)、DIPEA(0.026L,0.151mmol)、HBTU(38mg,0.101mmol)、CPGサポート(825mg,0.085mmol)、アセトニトリル(3.7mL)およびピリジン(2.7mL)、TEA(0.037mL)、無水酢酸(0.90mL)から、標記化合物-CPGサポート42(550mg)を得た。5%ジクロロ酢酸/1,2-ジクロロエタンで処理した吸光度から計算されたローディング量は、60.5μmol/gであった。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3)δ(ppm):1.24(t,J=7.2Hz,9H),2.14-2.28(m,1H),2.55(br s,4H),2.98(q,J=7.4Hz,6H),3.07-3.17(m,2H),3.55-3.64(m,2H),3.79(s,6H),4.07-4.27(m,2H),5.05(s,2H),5.71(d、J=8.2Hz,1H),6.78-6.85(m,4H),7.14-7.44(m,9H),7.19(d,J=8.2Hz,1H),8.29(br s,1H).
【0206】
実施例13、比較例
実施例1から12で製造した修飾核酸モノマー化合物、非特許文献2記載の方法で製造した下記式
【化91】
で示されるUNAモノマー化合物、非特許文献3(Supporting Information)記載の方法で製造した下記式
【化92】
で示されるSNAモノマー化合物、並びにリボースまたはデオキシリボースを有するヌクレオシドモノマーを用いて、β-シアノエチルホスホロアミダイトを用いた改良固相ホスホロアミダイト法(NucleicAcids Research, 18(18),5433-5441,(1990))により下記表1に記載の各種siRNAを合成した。
【表1】
ここで、表中、大文字はリボヌクレオチド、小文字のtはデオキシリボヌクレオチドを表し、Xf(XはCまたはU)は2’-フルオロリボヌクレオチドを表し、下線で示した塩基は、上記実施例で製造した化合物番号(Monomer No.)の修飾核酸モノマー化合物をオリゴマー中に組み込んだことを表す。例えば、Duplex ID #1のセンス鎖は下線で示した先頭の塩基Gの位置に実施例5で製造されたモノマー化合物22が組み込まれていることを示す。なお、本実施例において、オリゴマーへの組み込みに用いた修飾核酸モノマー化合物(すなわち、化合物8,18,20,22,27)は核酸塩基のアミノ基または水酸基の水素原子(R
2~R
6)が保護基で保護されているが、オリゴマーへの組み込み後のsiRNAにおいては、当該核酸塩基におけるアミノ基または水酸基の保護基がいずれも脱保護されており(すなわち、R
2~R
6はいずれも水素原子である)、化合物8,18,20,22,27に由来する下記構造単位8’((a)または(b)),18’((a)または(b)),20’,22’,27’((a)または(b))がそれぞれ組み込まれている。具体的には、これらがオリゴマーの3’末端以外に相当する場合には構造単位8’(a)、18’(a)、20’、22’、27’(a)が組み込まれており、これらがオリゴマーの3’末端に相当する場合(具体的には、#2、#3、および#5のセンス鎖の3’末端の化合物27、#6および#8のセンス鎖の3’末端の化合物8、#10のアンチセンス鎖の3’末端の化合物18)はリン酸基を含まない構造単位27’(b)、8’(b)、18’(b)が組み込まれている。
【化93】
また、表中のFirefly Target Positionは、Firefly Luciferase発現ベクター中の標的配列の位置を示し、試験例1で使用したベクターにおいては、A:704、B:929である。
合成した各種siRNAについて、MALDI―TOF―MS(Tanaka, K., et al. Rapid Commun.Mass Spectrom 1988, 2: 151-153)による分子量([M―H]
―)の測定を行った結果を表2に示す。
【表2】
【0207】
比較例
対照siRNAとして、実施例1から12で製造した修飾核酸モノマーを用いずにほぼ同様にホスホロアミダイト法により、以下の表3に示すセンス鎖およびアンチセンス鎖からなる対照siRNAを合成した。
対照siRNA
【表3】
ここで、表中、大文字はリボヌクレオチド、小文字のtはデオキシリボヌクレオチドを表し、小文字のuは2’-O-メチルリボヌクレオチド、Xf(XはCまたはU)は2’-フルオロリボヌクレオチドを表し、^はホスホロチオエート結合を表し、下線で示した塩基は、上記で製造した化合物番号(Monomer No.)の修飾核酸モノマー化合物をオリゴマー中に組み込んだことを表す。なお、オリゴマーへの組み込み後のsiRNAにおいては、当該核酸モノマー化合物におけるアミノ基または水酸基の保護基がいずれも脱保護されており、化合物43,44に由来する下記構造単位43’,44’がそれぞれ組み込まれている。
【化94】
合成した対照siRNAについて、MALDI―TOF―MSによる分子量([M―H]
―)の測定を行った。結果を表4に示す。
【表4】
【0208】
試験例
次に、製造した各種siRNAの評価を以下のようにして行った。
1)Dual-Luciferaseレポータアッセイを用いた各種siRNAのinvitro活性評価
表1および表3に記載の各種siRNA(終濃度1-10nM/well)、Firefly Luciferase発現ベクターpGL4.13(Promega社)、RenillaLuciferase発現ベクターpGL4.73(Promega社)をLipofectamine2000試薬(Invitrogen社)を用い、ヒト胎児腎細胞株HEK293細胞(ATCC)4.0×10
4個/100μL/wellで96 wellplateにリバーストランスフェクションした。一晩培養後、Dual-GloLuciferase Assayキット(Promega社)を用いて添付文書に従いFireflyLuciferase活性およびRenilla Luciferase活性を測定した。ControlとしてsiRNAを用いない細胞のLuciferase活性(Firefly/Renilla Intensity)を100%として、各種siRNA導入細胞のLuciferase活性(相対値)(i.e., Relative LuciferaseActivity)を計算した。結果を[表5]、[表6]、[表7]、[
図1]、[
図2]および[
図3]に示す。
【0209】
【0210】
2)ヌクレアーゼ耐性試験
糖がリボースである天然のヌクレオチドからなるsiRNAと、一部を本願発明の修飾ヌクレオチドに置換したsiRNAについて、ヌクレアーゼ耐性を検討した。
各種siRNA(終濃度 0.5μM)および3’-エキソヌクレアーゼであるヘビ毒ホスホジエステラーゼSVPD(Sigma-Aldrich社)をTris-HCl(40mM, pH8.5),NaCl(100mM),MgCl
2(15 mM)を含む溶液に混合した。37℃で60分間静置した後、等量のEDTA(0.5M)を混合させることで反応をクエンチさせた。溶液をTris-Glycine緩衝液、nativeゲルe-PAGEL(ATTO社)を用いて電気泳動後、SYBRGreen IIRNA gelstain(Invitrogen社)にて核酸を染色し、LAS-4000(Fujifilm社)にて画像解析をした。結果を[
図4]に示す。
[
図4]の結果に示す通り、通常のリボヌクレオチドから調製したsiRNAに比較して本願発明のモノマーを用いたsiRNAは、3’-エキソヌクレアーゼに対する耐性が認められ、生体内での分解の抑制が期待できる。
【0211】
3)siRNAのin vivo活性評価
i)siRNA-LNP調製
各種siRNAを25 mM酢酸ナトリウムpH 4.0に溶解し、濃度0.053mg/mLのsiRNA希釈液とした
。イオン化脂質、1-(2-オクチルシクロプロピル)ヘプタデカン-8-イル 1-メチルピペリジン-4-カルボキシレート、DSPC(日本精化株式会社)、Cholesterol(日本精化株式会社)、MPEG2000-DMG(日油株式会社)を、モル比60/8.5/30/1.5の割合でエタノールに溶解した。siRNAと脂質の比を重量比0.06とし、siRNA希釈液と脂質溶液をそれぞれ3 mL/min、1 mL/minの流速で混合することで、Lipid Nanoparticles(LNP)を得た。得られたLNP水溶液を100 kD Float-A-Lyzer G2 (SPECTRUM社)を用いて透析により外液をPBS pH7.4に置換した。透析後、濾過滅菌を行い、実験に用いた。siRNA濃度および封入率は、Quant-iT RiboGreen RNA Reagent(Invitrogen社)を用いて測定した(RNase Free Waterで希釈し測定したsiRNA濃度をLNP外液に存在するsiRNAとし、1% Triton X-100で希釈し測定したsiRNA濃度を製剤中の全siRNA濃度として封入率を算出した)。平均粒子径は、粒子径測定装置(Malvern社製Zetasizer Nano ZS)にて測定した。測定結果を[表8]に示す。
【表8】
【0212】
ii)血液凝固第7因子Factor VIIを対象としたsiRNAのin vivo活性評価
Factor VII siRNAを封入したLNPをマウス(n=3 per group)に尾静脈内投与し、投与から24時間後に麻酔下で採血を実施した。遠心により血液から血漿を分離し、血漿中のFactorVIIタンパク質濃度をBIOPHEN FVII キット(Aniara社)により定量した。Controlとして無処置のマウス血漿中のFactorVIIタンパク質濃度を100%とし、LNP投与群のFactor VIIタンパク質濃度(相対値)(「Relative Factor VII protein level in mouse plasma」)を算出した。結果を[表9]に示す。
【表9】
[表9]の結果に示す通り、LNP製剤をマウスへ静脈投与した際、本願発明のモノマーを用いたsiRNAは、2’-O-メチルリボースを含むリボヌクレオチドから調製したsiRNAと同等以上の標的タンパク発現抑制作用が認められ、医薬品製剤への応用が期待できる。
【0213】
本発明の範囲は以上の説明に拘束されることはなく、上記例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。なお、本明細書に記載した全ての文献及び刊行物は、その目的にかかわらず参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、本願の優先権主張の基礎となる日本国特許出願である特願2017-118572号(2017年6月16日出願)の特許請求の範囲、明細書の開示内容を包含する。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明は、修飾核酸モノマー化合物および該モノマー化合物を構成ユニットとして含むオリゴ核酸類縁体を提供し、該オリゴ核酸類縁体は生物学的安定性および/または標的遺伝子発現抑制活性に優れるため、治療や診断等への有用性を有する。
【配列表】