(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】バッテリセル均等化回路付き携帯用又は手持ち車両バッテリジャンプスタート装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20230630BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230630BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20230630BHJP
B60L 58/22 20190101ALI20230630BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 P
H02J7/10 L
H02J7/10 P
H02J7/00 T
B60L58/22
(21)【出願番号】P 2019553905
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 US2018025424
(87)【国際公開番号】W WO2018183864
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-29
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517284935
【氏名又は名称】ザ・ノコ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Noco Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210701
【氏名又は名称】萩原 義則
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・リチャード・スタンフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ルイス・ヌック
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ナイト・ヌック
(72)【発明者】
【氏名】デレク・マイケル・アンダーヒル
(72)【発明者】
【氏名】ニティシュ・アグラワル
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/003471(WO,A1)
【文献】特開2005-176520(JP,A)
【文献】特開2010-166800(JP,A)
【文献】特開2003-174732(JP,A)
【文献】特開2006-211885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用又は手持ちのジャンプスタータ装置であって、
互いに直列に接続された複数の個々のバッテリセルを含むバッテリと、
バッテリのバッテリ充電プロセスを制御し、バッテリの過充電を防止するように構成されたバッテリ充電コントローラと、
前記バッテリに接続されたバッテリセル均等化回路と、を含み、
前記バッテリセル均等化回路は、
複数の個々のバッテリセルのそれぞれに設けられた個々のバッテリセル均等化回路と、
個々のバッテリセル均等化回路のそれぞれに設けられた負荷抵抗と、を含み、
前記個々のバッテリセル均等化回路は、それぞれの個々のバッテリセルが所定の上限電圧閾値を超えるセル電圧に達したとき、前記それぞれのセルが前記上限電圧閾値よりも低い所定の低電圧レベルに達するまで、又は前記バッテリの充電工程が終了するまで、それぞれの個々のバッテリセルを、それぞれの負荷抵抗を用いて放電するように構成され、
それぞれの個々のバッテリセルを放電している個々のバッテリセル均等化回路は、外部から供給される充電電流が、それぞれの負荷抵抗によるそれぞれの個々のバッテリセルの放電電流よりも大きい場合、前記それぞれの個々のバッテリセルの有効充電レートを遅くし、
個々のバッテリセルを放電していない他の個々のバッテリセル均等化回路は、前記それぞれの個々のバッテリセルの前記有効充電レートより高いレートで充電して、
放電していない個々のバッテリセル
が前記それぞれの個々のバッテリセル
の電圧に追いつ
くことを可能にする、装置。
【請求項2】
前記バッテリセル均等化回路が、単一の制御信号を使って有効化又は無効化されるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
稼働中のバッテリセルの放電の最中に前記バッテリセル均等化回路を無効化することが、前記バッテリセルの前記放電を止める、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記バッテリセル均等化回路は、MOSFETスイッチ及び分圧器抵抗を含み、
前記バッテリセル均等化回路を有効化することは、前記MOSFETスイッチをオンにして前記分圧器抵抗を電気的に接続することを含み、前記バッテリセルの個々のセル電圧が下げられ、それぞれの比較器の反転しない入力に供給され、それらによる前記個々のセル電圧の検出が可能となる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記バッテリセル均等化回路を無効化することは、前記MOSFETスイッチをオフにして抵抗を切り離し、セル電圧が前記比較器の反転しない信号に届くことを回避し、前記比較器の反転しない入力にゼロボルトが提供され、出力電圧がゼロになり、前記負荷抵抗が前記セルに接続されることが回避される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記バッテリが複数のリチウムイオンバッテリセルを含むリチウムイオンバッテリパックである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
プラス極及びマイナス極の出力を有する出力ポートと、
前記プラス極及びマイナス極の出力と回路内で接続され、前記プラス極及びマイナス極の出力間に接続された車両バッテリの存在を検出するように構成された車両バッテリ絶縁センサと、
前記プラス極及びマイナス極の出力と回路内で接続され、前記プラス極及びマイナス極の出力間に接続された車両バッテリの極性を検出し、前記車両バッテリのプラス及びマイナスターミナルが前記出力ポートの前記プラス極及びマイナス極の出力に適切に接続されていることを示す出力信号を提供するように構成された逆極性センサと、
内蔵電源と前記出力ポートとの間に接続され、前記内蔵電源がジャンプスタータ装置のバッテリを含むパワースイッチと、
車両絶縁センサ及び前記逆極性センサからの入力信号を受け、前記パワースイッチに出力信号を提供するように構成されたマイクロコントローラと、をさらに含み、
前記出力ポートにおける前記車両バッテリの存在と、前記プラス極及びマイナス極の出力を備えた前記車両バッテリの前記プラス及びマイナスのターミナルの正しい極性の接続とを示すセンサからの信号に応答して、前記内蔵電源を前記出力ポートに接続させるように前記パワースイッチがオンにされ、
前記センサからの信号が、車両バッテリは前記出力ポートに存在しない、又は前記車両バッテリの前記プラス及びマイナスターミナルは前記プラス極及びマイナス極の出力に不適切に接続されていることを示すとき、前記パワースイッチがオンにされず、
前記バッテリセル均等化回路は、前記プラス極及びマイナス極の出力を備えた前記回路とは孤立した別の回路であり、
前記マイクロコントローラは前記バッテリセル均等化回路と接続し制御する、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記パワースイッチが、並列接続された複数のFETを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記車両絶縁センサ及び前記逆極性センサが、光学的に連結した絶縁光トランジスタを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記出力ポートに接続された電気系統からの前記内蔵電源のバックチャージを回避するために前記出力ポートと前記内蔵電源との間に連結された複数のパワーダイオードを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記内蔵電源の温度を検出し、温度信号を前記マイクロコントローラに提供するように構成された温度センサをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記内蔵電源の出力電圧を測定し、電圧測定信号を前記マイクロコントローラに提供するように構成された電圧測定回路をさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
前記内蔵電源の出力電圧を、前記装置の内部部品に動作電力を提供するために適切な電圧レベルに変換するよう構成された電圧調整器をさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項14】
携帯用又は手持ちのジャンプスタータ装置であって、
互いに直列に接続された複数の個々のリチウムイオンバッテリセルを含むリチウムイオンバッテリと、
バッテリのバッテリ充電プロセスを制御し、バッテリの過充電を防止するように構成されたバッテリ充電コントローラと、
前記バッテリに接続されたバッテリセル均等化回路と、を含み、
前記バッテリセル均等化回路は、
複数の個々のバッテリセル均等化回路であって、それぞれの個々のバッテリセルごとに設けられた1つの個々のバッテリセル均等化回路を配置した複数の個々のバッテリセル均等化回路と、
複数の負荷抵抗であって、それぞれのバッテリセル均等化回路に設けられたそれぞれの個々のバッテリ均等化回路抵抗ごとに設けられた1つの負荷抵抗を配置した複数の負荷抵抗と、を含み、
前記個々のバッテリセル均等化回路は、それぞれの個々のバッテリセルが所定の上限電圧閾値を超えるセル電圧に達したとき、特定のセルが前記上限電圧閾値よりも低い所定の低電圧レベルに達するまで、又は前記バッテリの充電工程が終了するまで、それぞれの個々のバッテリセルを、それぞれの負荷抵抗を用いて放電するようにそれぞれ構成され、
それぞれの個々のバッテリセルを放電している個々のバッテリセル均等化回路は、外部から供給される充電電流が、それぞれの負荷抵抗によるそれぞれの個々のバッテリセルの放電電流よりも大きい場合、前記それぞれの個々のバッテリセルの有効充電レートを遅くし、
個々のバッテリセルを放電していない他の個々のバッテリセル均等化回路は、前記それぞれの個々のバッテリセルの前記有効充電レートより高いレートで充電して、
放電していない個々のバッテリセル
が前記それぞれの個々のバッテリセル
の電圧に追いつ
くことを可能にする、装置。
【請求項15】
携帯用又は手持ちのジャンプスタータ装置であって、
互いに直列に接続された複数の個々のバッテリセルを含むバッテリと、
バッテリのバッテリ充電プロセスを制御し、バッテリの過充電を防止するように構成されたバッテリ充電コントローラと、
前記バッテリに接続されたバッテリセル均等化回路と、を含み、
前記バッテリセル均等化回路は、
複数の個々のバッテリセルのそれぞれに設けられた個々のバッテリセル均等化回路と、
個々のバッテリセル均等化回路のそれぞれに設けられた負荷抵抗と、
個々のバッテリセル均等化回路のそれぞれに設けられたMOSFETスイッチ及び分圧器抵抗と、を含み、
前記個々のバッテリセル均等化回路は、特定の個々のバッテリセルが所定の上限電圧閾値を超えるセル電圧に達したとき、特定のセルが前記上限電圧閾値よりも低い所定の低電圧レベルに達するまで、又は前記バッテリの充電工程が終了するまで、特定の個々のバッテリセルを、それぞれの負荷抵抗を用いて放電するようにそれぞれ構成され、
それぞれの個々のバッテリセルを放電している個々のバッテリセル均等化回路は、外部から供給される充電電流が、それぞれの負荷抵抗による特定の個々のバッテリセルの放電電流よりも大きい場合、前記特定の個々のバッテリセルの有効充電レートを遅くし、
個々のバッテリセルを放電していない他の個々のバッテリセル均等化回路は、前記特定の個々のバッテリセルの前記有効充電レートより高いレートで充電して、
放電していない個々のバッテリセル
が前記特定の個々のバッテリセル
の電圧に追いつ
くことを可能にする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、概して複数のバッテリ又は複数のバッテリセルを有するバッテリパックを有し、バッテリセル均等化回路(battery cell equalization circuit)を備えた電子デバイス又は装置に関する。例えば、装置は、使い果たされた又は放電したバッテリを有する車両をジャンプスタートするための携帯用車両バッテリジャンプスタート装置(portable vehicle battery jump starting apparatus)である。携帯用車両バッテリジャンプスタートデバイスは、複数のバッテリセルとバッテリセル均等化回路を有するバッテリパックを有する。
【背景技術】
【0002】
先行技術のデバイスが周知であり、別の車両のフルチャージされたバッテリをバッテリが死んだ車両のエンジンスタート回路に接続する一対の電気コネクタケーブル、又はフルチャージされたバッテリを含み、一対のケーブルをとおして車両のエンジンの回路と接続可能な携帯用ブースタデバイス(portable booster devices)のいずれかを提供する。
【0003】
先行技術の装置では、反対側が電源に接続した状態で、又はプラス(positive)とマイナス(negative)のジャンパターミナル(jumper terminals)又はクランプ(clamps)がジャンプスタートする車両の反対の電極に接続されたとき、ジャンパターミナル又はケーブルのクランプが意図に反して互いに接触してしまうとき、回路がショートして火花が飛び、バッテリの損傷及び/又は人身の負傷につながり得るという問題が起こり得る。先行技術において、これらの問題を除去するために様々な試みがされている。
【0004】
2001年4月3日登録の米国特許第6212054号は、電極に敏感であり電流の経路を提供する前に接続が適切か不適切かを検出可能なバッテリブースタパックを開示している。デバイスは、制御回路によって向けられる光学カプラ(optical coupler)に接続した一組のLEDを使用する。制御回路は電源電流の経路を制御するソレノイドアセンブリを制御する。制御回路はブースタケーブルクランプ接続の接点が適切に行われた場合にのみソレノイドアセンブリを電源電流が流れるようにする。
【0005】
2003年10月14日登録の米国特許第6632103号は、二対のクリップを備えた適応的ブースタケーブル(adaptive booster cable)を開示しており、二対のクリップはそれぞれ2つのバッテリに取り付けられ、一方のバッテリから他方のバッテリに電力を移す。適応的ブースタケーブルは各クリップに接続された極性検知ユニット(polarity detecting unit)、二対のクリップの間に両方とも備えられるスイッチユニット及び電流検知ユニットを含む。各クリップの極性が極性検知ユニットによって感知された後、スイッチユニットは2つのバッテリ間の適切な接続を生成する。したがって、極性検知ユニットの検知結果に基づいて2つのバッテリのプラスとマイナスのターミナルは正しく接続される。
【0006】
2013年7月23日登録の米国特許第8493021号は、ジャンプスタートされる車両のバッテリの電圧とジャンプスタータバッテリによって提供される電流をモニタし、適切な接続が達成されたか否かを判断し、間違いをモニタする装置を開示している。適切な極性が検出された場合のみ、システムは動作可能である。電圧は、オープン回路、導通クランプのはずれ、シャント(shunt)ケーブル欠陥、及びソレノイド欠陥状態を判断するためにモニタされる。シャントケーブルを通る電流は、バッテリ爆発リスクがあるか否かを判断するために、及び火事を起こし得るオーバーヒート状態を示す過剰電流状態(excessive current conditions)を見つけるためにモニタされる。システムは、ジャンプスタートされる車両のバッテリに電力を提供するための内蔵バッテリを含む。一旦車両がスタートすればユニットは自動的に車両バッテリから電気的に切断する。
【0007】
1993年2月23日登録の米国特許第5189359号は、基準電圧(reference voltage)を発生させるための2ブリッジ整流回路(two bridge rectifiers)、いずれのターミナルが接続されるべきかを4つのターミナルそれぞれの電圧と基準電圧との比較に基づいて判断するための4入力デコーダ(four-input decoder)、及びデコーダの判断に基づいて正しい接続を達成するための一対のリレーを有するジャンパケーブルデバイスを開示している。各バッテリの1つのターミナルのみが基準電圧よりも高い電圧を有して「プラス」ターミナル(positive terminal)を示し、1つが基準電圧より低く「マイナス」ターミナル(negative terminal)を示さない限り接続がされず、したがって2つの高電圧ターミナルが接続されてもよく、2つの低電圧ターミナルが接続されてもよい。適切なリレーデバイスが閉じられると電流が流れる。リレーデバイスは、デコーダ出力がLEDを点灯するときMOSFETゲート閉鎖電位(gate-closing potential)が発生するような光ダイオード(photodiode)の直列アレイと組み合させられたMOSFETであることが好ましい。
【0008】
1998年8月18日登録の米国特許第5795182号は、第一のバッテリを第二のバッテリにジャンプするための極性に非依存のバッテリジャンパケーブルのセットを開示している。装置は、2つのバッテリの構成が交差(cross)か平行(parallel)かを検知する相対極性検知器(relative polarity detector)を含む。高電流容量の三位クロスバーピボットスイッチ(three-position crossbar pivot switch)が相対極性検知器に応答し、検知した構成が交差か平行かにかかわらず自動的に2つのバッテリのプラスターミナル同士及び2つのバッテリのマイナスターミナル同士を接続させ、底流(undercurrent)検知器及び遅延回路(delay circuit)に応答し、デバイスがバッテリの1つから切り離された後、デバイスを非接続で準備完了状態に戻す。クロスバーピボットスイッチは、二対の接点と、2つの異なるポイントでピボットし、接点動詞の電気接続を確かにするピボットアームとを含む。
【0009】
本願発明はまた、バッテリの極性にかかわらずバッテリに接続可能なバッテリチャージャを製造するために使われ得る。
【0010】
2001年7月17日登録の米国特許第6262492号は、有効な電源を、使えなくなった又は充電されていないバッテリに正確に連結するための自動車バッテリジャンパケーブルを開示しており、2つの電流伝導対(current conductor pair)によって電源とバッテリに接続したリレースイッチ回路を含む。第一及び第二の電圧極性認識回路(voltage polarity recognition circuit)がそれぞれ、電源とバッテリにそれぞれの電圧伝導対(voltage conductor pair)によって接続され、電源とバッテリの極性を認識する。論理認識回路(logic recognition circuit)が電源とバッテリの極性による制御信号を生成させ、論理認識回路からの制御信号により制御された駆動回路(driving circuit)がリレースイッチ回路を駆動させ、電源の双極がバッテリの双極と正しく連結できるようにする。
【0011】
1997年6月3日登録の米国特許第5635817号は、所定の最大チャージ電流である約40-60アンペアを超過することを回避するための電流制限デバイスを含むケーブルを有する制御ハウジングを含む車両バッテリチャージデバイスを開示している。制御ハウジングは、2つのバッテリのターミナル接続の正しい極性を確認し、極性が正しくない場合、2つのバッテリを電気的に切り離す極性検知デバイスを含む。
【0012】
2012年6月12日登録の米国特許第8199024号は、2つの低電圧システムを接続が安全と判断されるまで非接続にしておく低電圧接続システムの安全回路を開示している。安全回路が、危険な状態は存在せず、2つの低電圧システムを接続しても安全であると判断したとき、安全回路は2つのシステムを、1つ以上の低電圧システムの誘電電圧スパイク(inductive voltage spike)を低減又は回避する期間中2つのシステム間の接続を提供する「ソフトスタート」として接続させてもよい。低電圧システムの1つが完全に放電したバッテリを組み入れている場合、ある方法を使って低電圧システム間の適切な接続極性を検知する。1つ以上のテスト電流を流し、対応する電圧上昇が観察されるか否かを判断することにより、放電したバッテリの極性を判断する。
【0013】
1998年8月11日登録の米国特許第5793185号は、過剰充電(overcharging)及びバッテリの誤接続を回避するための制御部品と回路を有する手持ちジャンプスタータ(hand-held jump starter)を開示している。
【0014】
さらに、複数のバッテリ又は複数のバッテリセルを備えたバッテリパックを有する先行技術の電子デバイス又は装置には問題が存在する。
【0015】
例えば、リチウムイオン(Li-ion)バッテリは、個々のバッテリセルが過剰充電されたとき加熱により破裂したり発火したりすることが知られている。個々のバッテリセルが等しく充電されない場合、個々のバッテリセル間で大きな電圧差が生じてバッテリの寿命も減少する。現在、リチウムイオンバッテリを使う携帯用又は手持ちの車両ジャンプスタータはバッテリ均等化回路を含まない。したがって、リチウムイオンバッテリは上述の過剰充電問題に苦しみ得る。そのような手持ち車両ジャンプスタータの一例は、ここに参照されて援用される米国特許第9007015号に開示されている。
【0016】
本願発明に係るバッテリセル均等化回路は、米国特許第9007015号で開示されクレームされた携帯用又は手持ちの車両ジャンプスタータデバイスに応用又は組み入れ可能である。
【0017】
例えば、複数のリチウムイオンバッテリ、又は例えば本願発明に係る携帯用又は手持ち車両ジャンプスタータデバイスなどの充電式電子デバイスなどの複数のバッテリセルを有するリチウムイオンバッテリパックを有する電子デバイスにバッテリ均等化回路を提供することへの要求が存在する。
【0018】
先行技術が1つ以上の上述の問題の解決策を提供しようと試みるが、各先行技術は複雑さやコストの問題、及び/又は不具合の惧れがあるなどの別の欠点を有する。したがって、車両ジャンプスタータデバイス又は装置に使われる複数のバッテリ又は複数のバッテリセルを備えたバッテリパックを有する電子デバイス又は装置のさらなる改良の必要性が当業内で存在する。
【発明の概要】
【0019】
本願発明の一態様によれば、車両エンジンをジャンプスタートするための電子デバイス又は装置が提供され、
内蔵電源と、
プラス極及びマイナス極の出力を有する出力ポートと、
プラス極及びマイナス極の出力と回路内で接続され、プラス極及びマイナス極の出力間に接続された車両バッテリの存在を検出するように構成された車両バッテリ絶縁(isolation)センサと、
プラス極及びマイナス極の出力と回路内で接続され、プラス極及びマイナス極の出力間に接続された車両バッテリの極性を検出するように構成された逆極性(reverse polarity)センサと、
内蔵電源と出力ポートの間に接続されたパワーFETスイッチと、
車両絶縁センサ及び逆極性センサからの入力信号を受け、パワーFETスイッチに出力信号を提供するように構成されたマイクロコントローラとを含み、
出力ポートにおける車両バッテリの存在と、プラス極及びマイナス極の出力を備えた車両バッテリのプラス及びマイナスのターミナルの正しい極性の接続とを示すセンサからの信号に応答して、内蔵電源を出力ポートに接続するようにパワーFETスイッチがオンにされる。
【0020】
本願発明の別の態様によれば、内蔵電源は再充電可能なリチウムイオン(Li-ion)バッテリパックである。
【0021】
本願発明のさらに別の態様によれば、内蔵電源を有する手持ちのバッテリチャージャブースタデバイスの出力ポートに差し込まれるように構成されたプラグと、それぞれの一端でプラグと統合された一対のケーブルとが、ジャンパケーブルデバイスに提供され、一対のケーブルはバッテリのターミナルにそれぞれの他端で別に接続するように構成される。
【0022】
本願発明はまた、複数のバッテリセル(例えばリチウムイオンバッテリ)又は複数のバッテリセル(例えばリチウムイオンバッテリセル)を有するバッテリパックを有する電子デバイス又は装置のためのバッテリセル均等化回路を提供する。例えば、バッテリ又はバッテリパックは、バッテリセル均等化回路に接続した複数のバッテリを含んでもよい、又はそれらから成ってもよい。バッテリセル均等化回路(例えば回路基板)はバッテリ又はバッテリパックと共に中にパッケージされ得る、又はバッテリパックを電源とする電子デバイス又は装置の中に設置されたバッテリパックから離れた電子回路又は部品でもよい(例えば電子デバイス内の回路基板であるがバッテリパックと共にパッケージはされない)。バッテリ又はバッテリパックは、リチウムイオン、ニッケルカドミウム、又は再充電可能なバッテリ又はバッテリセルを使って再充電可能である。
【0023】
本願発明に係るバッテリセル均等化回路は、例えば工具、携帯用又は手持ち車両ジャンプスタータ、車両、電気車両(例えば電気自動車、電気トラック、電気バス、電気ゴルフカート、電気多目的カート、二輪車、ミニバイク、スクーター、ゴーカート)、ラジオ、電子プレーヤー、無線操縦(radio controlled)デバイス、無線操縦玩具(例えば無線操縦飛行機、無線操縦ボート、無線操縦自動車、無線操縦トラック)、ゲーム、又はその他数々の他の再充電可能電子デバイス、装置、又は応用などの再充電可能電子デバイス又は装置に応用又は設置可能である。
【0024】
バッテリセル均等化回路は携帯用又は手持ちのジャンプスタータに応用又は使用可能である。このタイプの電子デバイスは、かなり大量のエネルギー又はパワーを再充電可能バッテリ又はバッテリパックから、ジャンプスタートされる使い果たされた又は放電したバッテリに短時間で伝えるから、バッテリ又はバッテリセルは全て完全に充電されバランスされている必要がある。
【0025】
本願発明に係るバッテリセル均等化回路は、簡単、安全、効果的、安価で構成可能であり、セルの電圧を検知して均等化しようとすることを有効にする又は無効にするように制御可能なメカニズムを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本願発明の一態様に係る手持ち車両バッテリブースタ装置の機能ブロック図である。
【
図2A】
図2Aは、本願発明の一態様に係る手持ち車両バッテリブースタ装置の実施形態例の模式回路図である。
【
図2B】
図2Bは、本願発明の一態様に係る手持ち車両バッテリブースタ装置の実施形態例の模式回路図である。
【
図2C】
図2Cは、本願発明の一態様に係る手持ち車両バッテリブースタ装置の実施形態例の模式回路図である。
【
図3】
図3は、本願発明の一態様に係る手持ちジャンプスタータブースタデバイスの斜視図である。
【
図4】
図4は、本願発明の別の態様に係る手持ちジャンプスタータブースタデバイスと共に使用可能なジャンパケーブルの平面図である。
【
図5】
図5は、本願発明に係るバッテリセル均等化回路の模式回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本願発明の一態様に係る手持ち車両バッテリブースタの機能ブロック図である。手持ちバッテリブースタの心臓部はリチウムポリマーバッテリパック32であり、従来の12ボルト鉛蓄電池、又は制御弁式鉛蓄電池を備えた車両エンジンをジャンプスタートするために十分なエネルギーを保持する。一実施形態例において、高サージ(high-surge)のリチウムポリマーバッテリパックは3つの3.7ボルト、2666ミリアンペア時、リチウムポリマーバッテリを351P構成で含む。その結果のバッテリパックは11.1ボルト、2666アンペア時(3.7ボルト、29.6ワット時で、8000アンペア時)を提供する。連続的放電電流(continuous discharge current)は25C(又は200アンペア)、そしてバースト放電電流(burst discharge current)は50C(又は400アンペア)である。バッテリパックの最大充電電流(maximum charging current)は8000ミリアンペア(8アンペア)である。
【0028】
プログラム可能マイクロコントローラユニット(programmable microcontroller unit)(MCU)1は種々の入力を受け、情報の(informational)及び制御の出力を生成する。プログラム可能MCU1はさらに、ハードウェアの変更を必要とすることなく機能性及びシステムパラメータのアップデートを可能にすることによりシステムに柔軟性をもたらす。一実施形態例によれば、2Kx15ビッツ(2K times 15bits)のフラッシュメモリを備えた8ビットのマイクロコントローラを使ってシステムを制御する。そのようなマイクロコントローラの1つはHoltek Semiconductor Inc.から販売されているHT67F30である。
【0029】
自動車バッテリリバースセンサ(reverse sensor)10は、手持ちバッテリブースタデバイスが車両の電気系統に接続されるとき車両バッテリ72の極性をモニタする。下に説明するように、ブースタデバイスは、バッテリ72のターミナルがブースタデバイスの間違ったターミナルに接続しているとき、リチウムバッテリパックが車両バッテリ72に接続されることを回避する。自動車バッテリ絶縁センサ12は、車両バッテリ72がブースタデバイスに接続されているか否かを検出し、使用できる(充電可能な)バッテリが出力ターミナルに接続していない限り、リチウムバッテリパックがブースタデバイスの出力ターミナルに接続されることを回避する。
【0030】
スマートスイッチFET回路15は、車両バッテリが存在するとMCU1によって判断され(絶縁センサ12によって提供される検出信号に応答して)、正しい極性で接続され(リバースセンサ10によって提供される検出信号に応答して)ているときにだけ、手持ちバッテリブースタリチウムバッテリを車両の電気系統に電気的にスイッチする。リチウムバッテリ温度センサ20はリチウムバッテリパック32の温度をモニタし、外気温度状況及びジャンプスタート中の過度の電流流出によるオーバーヒートを検出する。リチウムバッテリ電圧測定回路24はリチウムバッテリパック32の電圧をモニタし、充電動作中に電圧電位(voltage potential)が高く上がりすぎること、及び放電動作中に下がりすぎることを回避する。
【0031】
リチウムイオンバッテリバックチャージ(back-charge)保護ダイオード28は、車両バッテリ72に送られているチャージ電流が、車両の電気系統からリチウムバッテリパック32に逆流することを回避する。フラッシュライトLED回路36は、暗いときに車両のボンネットの下を明るくする懐中電灯機能、及び潜在的に危険な場所で車両が立ち往生したときの安全目的のSOSやストロボ発光機能を提供する。電圧調整器(voltage regulator)42は、マイクロコントローラ及びセンサの内部動作電圧の調節を提供する。オンオフ手動モード及びフラッシュライトスイッチ46により、使用者は手持ちバッテリブースタデバイスの電源を入れる制御ができ、車両にバッテリがない場合の手動優先(manual override)制御ができ、懐中電灯機能の制御ができる。手動ボタンはブースタデバイスの電源が入っているときにのみ機能する。このボタンによればバッテリがない、又はバッテリの電圧が低すぎてMCUによる自動検出が不可能であるときに使用者が車両をジャンプスタートすることが可能となる。意図せずに手動モードを起動してしまわないように、使用者が手動優先ボタンを所定の時間(例えば3秒間)押し続けると、内蔵リチウムイオンバッテリの電力は車両バッテリ接続ポートにスイッチされる。手動優先の唯一の例外は自動車バッテリが逆に接続されている場合である。自動車バッテリが逆に接続されている場合、内蔵リチウムバッテリの電力が車両バッテリ接続ポートにスイッチされることはない。
【0032】
USB充電回路52はUSB充電電源からの電力をリチウムバッテリパック32を充電する充電電圧及び電流に変換する。USB出力56は、スマートフォン、タブレット、及びその他の再充電可能電子デバイスを充電するためのUSB携帯充電器を提供する。動作インジケータLED60はリチウムバッテリの容量ステータスを視覚的に示し、またスマートスイッチの起動ステータスを示す(電力が車両の電気系統に提供されていることを示す)。
【0033】
手持ちブースタデバイスの動作の詳細が
図2A-2Cの模式図を参照に説明される。
図2Aに示されるように、マイクロコントローラユニット1は全ての入力及び出力の中心である。リバースバッテリセンサ10は、入力ピン1及び2において、ダイオードD8がピン1(マイナスのターミナルCB-に関連する)のリードコンダクタに接続して車両バッテリ72のターミナルに接続された光学的に連結した絶縁光トランジスタ(4N27)(isolator phototransistor)を含み、バッテリ72がブースタデバイスのターミナルに正しい極性で接続している場合、光カプラ(optocoupler)LED11が電流を通さず、したがって電源がオフであり、MCU1に「1」又は高い出力信号を提供する。自動車バッテリ絶縁センサ12は、入力ピン1及び2において、ダイオードD7がピン1(プラスのターミナルCB+に関連する)のリードコンダクタに接続して車両バッテリ72のターミナルに接続した光学的に連結した絶縁光トランジスタ(4N27)を含み、バッテリ72がブースタデバイスのターミナルに正しい極性で接続している場合、光カプラLED11Aが電流を通し、したがって電源がオンであり、MCU1に「0」又は低い出力信号を提供し、手持ちブースタデバイスのジャンパー出力ターミナルにバッテリが存在することを示す。
【0034】
自動車バッテリ72が手持ちブースタデバイスに逆極性で接続している場合、リバースセンサ10の光カプラLED11が電流を通し、マイクロコントローラユニット1に「0」又は低い信号を提供する。さらに、手持ちブースタデバイスにバッテリが接続されていない場合、絶縁センサ12の光カプラLED11Aは電流を通さず、したがって電源がオフであり、MCUに「1」又は高い出力信号を提供し、手持ちブースタデバイスにバッテリが接続していないことを示す。これらの特定の入力を使用して、MCU1のマイクロコントローラソフトウェアは、スマートスイッチFET15をオンにしてブースタデバイスのリチウムバッテリパックをジャンパーターミナルに接続しても安全なときを判断できる。その結果、自動車バッテリ72が全くブースタデバイスに接続していない、又は逆の極性で接続しているとき、MCU1はスマートスイッチFET15がオンにならないように維持でき、したがってリチウムバッテリパックの火花や回路短絡を回避できる。
【0035】
図2Bに示されるように、FETスマートスイッチ15は、マイクロコントローラ1の出力によって駆動される。FETスマートスイッチ15は3つのFET(Q15、Q18、及びQ19)を並列で含み、リチウムバッテリパックからのFET上への電力配分を拡げる。マイクロコントローラの出力がロジックロー(logic low)であるとき、FET16は、高抵抗ステートにあり、内蔵リチウムバッテリのマイナス接点17から自動車バッテリ72のマイナス接点へ電流が流れない。マイクロコントローラの出力がロジックハイ(logic high)であるとき、FET16(Q15、Q18、及びQ19)は、低抵抗ステートにあり、内蔵リチウムバッテリパックのマイナス接点17(LB-)から自動車バッテリ72のマイナス接点(CB-)へ電流は自由に流れることができる。この方法によれば、マイクロコントローラソフトウェアは自動車のエンジンをジャンプスタートするための内蔵リチウムバッテリパック32から車両バッテリ72への接続を制御できる。
【0036】
図2Aの参照に戻ると、内蔵リチウムバッテリパックの電圧は回路24及びマイクロコントローラ1のアナログデジタル入力(analog-to-digital input)の1つを使って正確に測定可能である。回路24は、メインの3.3ボルトレギュレータ42(3.3V regulator)の電圧がオンであることを検知し、レギュレータ42の電圧がオンであるとき、トランジスタ23をオンにするように設計される。トランジスタ23が導通しているとき、FET22をオンにし、内蔵リチウムバッテリのプラス接点(LB+)から分圧器(voltage divider)21へ導電経路が提供され、低電圧レンジ(low voltage range)がマイクロコントローラに導びかれ読み取ることができる。この入力を使用して、マイクロコントローラソフトウェアは、リチウムバッテリの電圧が放電動作の際に低すぎるか、又は充電動作の際に高すぎるかを判断でき、電子部品の損傷を回避するために適切な処置をすることができる。
【0037】
図2Aの参照を続けると、内蔵リチウムバッテリパック32の温度は、2つの負の温度係数(negative temperature coefficient:NTC)デバイス20により正確に測定可能である。これらは、温度が上昇すると抵抗が下がるデバイスである。回路は分圧器であり、結果を2つのマイクロコントローラ1のアナログデジタル(A/D)入力に導く。したがってマイクロコントローラソフトウェアは内蔵リチウムバッテリが高温過ぎてジャンプスタートされるべきではないときを判断可能となり、設計の安全性が増す。
【0038】
メインの電圧レギュレータ回路42は、内蔵リチウムバッテリの電圧を3.3ボルトに調整し、マイクロコントローラ1及びその他のブースタデバイスの構成要素の内部動作電力として利用できるように変換するよう設計される。3つのリチウムバッテリパック充電保護ダイオード28(
図2を参照)が配置され、電流が内蔵リチウムバッテリパック32から自動車バッテリ72に向かってのみ流れることが可能で、自動車バッテリから内蔵リチウムバッテリに向かっては流れないようにする。この方法によれば、自動車の電気系統がオルタネータから充電する場合でも、内蔵リチウムバッテリをバックチャージする(そしてそれにより損傷させる)ことはなく、安全レベルがさらに上がる。スイッチ46(
図2A)の主電源は、トグルスイッチ(double pole double throw)となる組み合わせであり、一度押すだけで、オフ状態をオンに、オン状態をオフにできる。この回路はまたまたマイクロコントローラ出力47を使用して、オンスイッチにより起動されると電力を「生かし続ける」。スイッチが押されると、マイクロコントローラはこの出力のロジックレベルをハイにし、スイッチを放してもパワーをオンに保つ。この方法によれば、いつ電源がオフにされるか、いつオンオフスイッチが再び起動さるか、又はいつリチウムバッテリ電圧が下がるか、をマイクロコントローラが制御し続ける。マイクロコントローラソフトウェアはまた所定の期間(例えば8時間)使用されないとき電源をオフにするタイマーを含む。
【0039】
図2Bに示されるフラッシュライトLED回路45は、フラッシュライトLEDの動作を制御する。マイクロコントローラ1からの2つの出力は2つの別々のLED専用である。したがって、LEDは独立してソフトウェアによりストロボ及びSOSパターンに制御可能であり、ブースタデバイスのさらなる安全機能が提供される。LEDインジケータは製品に何が起こっているかを理解するために操作者が必要とするフィードバックを提供する。4つの別々のLED61(
図2A)がそれぞれマイクロコントローラ1の個々の出力によって制御され、内蔵リチウムバッテリの残容量の指示を提供する。これらのLEDは「燃料計」(fuel gauge)タイプのフォーマットで制御され、残量が25%、50%、75%、100%(赤、赤、黄、緑)であることを示す。LEDインジケータ63(
図2B)は、車両バッテリ72が逆極性で接続されたとき視覚的警告を使用者に提供する。「ブースト」及びオンオフLED62は、ブースタデバイスがジャンプスタートするパワーを有するとき、及びブースタデバイスがオンのときをそれぞれ視覚的に指示提供する。
【0040】
図2Cに示されるようなUSB出力56回路が含まれ、スマートフォンなどの携帯用電子デバイスを内蔵リチウムバッテリパック32から充電するためのUSB出力が提供される。マイクロコントローラ1からの制御回路57により、USB出力56がソフトウェア制御によってオンオフできるようになり内蔵リチウムバッテリの容量が低くなりすぎることを回避できる。USB出力は、それを必要とする特定のスマートフォンの充電も可能になるようなスタンダードな分圧器を含む定番のUSBコネクタ58によってデバイスの外に導かれる。USB充電回路52により内蔵リチウムバッテリパック32がスタンダードのUSB充電器による充電可能となる。この充電入力はスタンダードマイクロUSBコネクタ48を使うのでスタンダードのケーブルが使用できる。スタンダードのUSB充電器から提供される5ボルトの電位はDCDCコンバータ49を使って内蔵リチウムバッテリパックの充電に要求される12.4直流ボルト(VDC)に昇圧される。DCDCコンバータ49はマイクロコントローラ1からの出力により回路53を介してオンオフすることが可能である。
【0041】
この方法によれば、バッテリ電圧が高すぎるとA/D入力22によって測定された場合、マイクロコントローラソフトウェアは充電を止められる。内蔵リチウムバッテリセル51に充電平衡(charge balance)を提供するリチウムバッテリ充電コントローラ50を使って内蔵リチウムバッテリの過剰充電の排除を補助することにより追加の安全性が提供される。このコントローラはまた内蔵リチウムバッテリの過剰放電を排除するための重複安全を提供する。
【0042】
図3は、本願発明の例示的一実施形態に係る手持ちデバイス300の斜視図である。301は電源スイッチである。302はLED「燃料計」インジケータ61である。303は、下にさらに説明されるケーブルデバイス400に接続可能な12ボルト出力ポートである。304はフラッシュライトLED45を起動するためのフラッシュライト制御スイッチである。305は内蔵リチウムバッテリを充電するためのUSB入力ポートであり、306はリチウムバッテリからスマートフォン、タブレット、音楽プレーヤなどの他の携帯用デバイスを充電するためのUSB出力ポートである。307は電力が12ボルト出力ポートに提供されていることを示す「ブースト・オン」インジケータである。308は車両バッテリが極性に関し不適切に接続されていることを示す「リバース」インジケータである。309はデバイスの電源がオンであり動作できることを示す「パワー・オン」インジケータである。
【0043】
図4は、手持ちデバイス300と共に使われるように特別に設計されたジャンパケーブルデバイス400を示す。デバイス400は手持ちデバイス300の12ボルト出力ポート303に差し込まれるプラグ401を有する。一対のケーブル402a及び402bがプラグ401と統合されており、それぞれバッテリターミナルクランプ403a及び403bとリングターミナル404a及び404bを介して接続している。ポート303及びプラグ401は、プラグ401がポート303にある方向でのみ嵌合するように寸法決めされてもよく、そうすれば表示どおりクランプ403aがプラスの極性に対応し、クランプ403bがマイナスの極性に対応することを確かにできる。加えて、リングターミナル404a及び404bはクランプから取外し可能であり、車両バッテリのターミナルに直接接続可能である。この特徴は例えばケーブル302a、302bを車両バッテリに取り付けたままにしておくために有用かもしれない。バッテリ電圧が使い果たされた場合、手持ちブースタデバイス300は、プラグ401をポート303に差し込むことにより非常に容易に適切に接続される。
【0044】
[バッテリセル均等化]
バッテリセル均等化回路110が
図1に示される。バッテリセル均等化回路110は、
公称バッテリ規格12ボルトを有する3つのセルを含むリチウムイオンバッテリ112と、
3つの個々のバッテリセル均等化回路を有するバッテリセル均等化回路114と、
有効・無効を制御する回路116とを含む。
各セルは独立したバッテリセル均等化回路を有し、それらは実質的に同一のものである。
【0045】
セルの電圧がある所定の電圧上限閾値(upper voltage threshold)を超えた場合、上限閾値より低いある所定の電圧に到達するまで、又はバッテリの充電工程が止まるまで、自身の負荷抵抗(load resistor)(R5、R15、及びR25)を通って放電されるという法則を使ってバッテリセルは「均等化」される。
【0046】
セルの電荷が負荷抵抗を通って流出することは、必ずしもセルの正味の放電の結果になるとは限らない。例えば、各セル間で等しいリチウムイオンバッテリ112を通る(外部供給の)充電電流が、そのセルの放電又は流出電流よりも高い場合、そのセルの有効充電レートは下がり、より低い電圧のセルはより高いレートで充電されてより高い電圧のセルに追いつく。
【0047】
バッテリセル均等化回路110は、ジャンプスタータの、使用者による設定又は様々な動作状態が評価された後に生成され得る単一の制御信号を使って有効化又は無効化される。セルの稼働中の放電中に均等化回路を無効にすると、セルの放電が止まる。均等化回路を有効にしても、セルの放電を起こすかもしれず、又は起こさないかもしれないが、それはセル電圧に依存して決定される。
【0048】
[動作]
均等化回路を有効化することは、MOSFETスイッチQ2、Q4、Q6をオンにして分圧器抵抗(voltage divider resistors)(R3、R4)、(R13、R14)及び(R23、R24)を電気的に接続することを含み、個々のセル電圧が下げられ、それぞれの比較器(comparator)の反転しない(non-inverting)入力に供給され、それらによる個々のセル電圧の検出が可能となる。均等化回路を無効化することは、MOSFETスイッチQ2、Q4、Q6をオフにして分圧器抵抗(voltage divider resistors)(R3、R4)、(R13、R14)及び(R23、R24)を切り離すことを含み、セル電圧が比較器の反転しない入力に届くことを回避する。それにより比較器の反転しない入力に本質的にゼロボルトが提供され、出力電圧がゼロになり、負荷抵抗R5、R15、R25がセルに接続されることが回避される。
【0049】
バイアス抵抗(biasing resistors)R7、R17、R27と直列な半導体参照電圧(semiconductor voltage references)DZ_1、DZ_2、DZ_3は、参照電圧信号(reference voltage signal)を比較器U1、U2、U3の反転しない入力それぞれに提供する。抵抗分割器(resistor divider)R3、R4(又はR13、R14、又はR23、R24)の値は、セル電圧が電圧上限閾値に到達し放電工程の開始が必要となるとき、基準化されたセル電圧(scaled cell voltage)が参照電圧と等しくなるように選択される。それぞれの比較器の反転しない入力に供給される基準化されたセル電圧が、反転する入力に存在する対応参照電圧を超えた場合、比較器の出力電圧は高くなり、増強モード(enhancement mode)のMOSFETスイッチQ1(又はQ3、Q5)のゲートソース電圧閾値(gate-source threshold voltage)を超えるから、それがオンとなり負荷抵抗R5(又はR15、R25)が対応するバッテリセルに接続される。
【0050】
抵抗R8(又はR18、R28)はR4(又はR14、R24)と並列に配置され、分圧の微調節(fine tuning)が可能であり、特定な非スタンダードな値の抵抗ではなく、より安価で量産される汎用抵抗の使用が可能となる。分圧器抵抗の値を選択するときにさらに考慮するべきことは、これらの抵抗により引き出される電流を最低限にしてバッテリセルの消耗(drain)を回避し、同時にそれらの値を十分小さく保って比較器の入力バイアス電流(input bias current)よりもはるかに大きい十分な電流がこれらの分圧器抵抗を通るようにし、分圧器に事実上負荷をかけないようにすることである。
【0051】
R1、R2(R11、R12、又はR21、R22)は、一旦放電工程が開始するとセルがそのレベルになるまで放電されなければならないセル低電圧レベルを決定する「ヒステリシス」バンド(hysteresis band)を制御する。
【0052】
リチウムイオンバッテリ112は、そのターミナルが誤って短絡した場合、過大な加熱及びジャンプスタートユニットへの損傷、又はその他の望ましくない甚大な問題を起こす結果となる高い電流をセルに発生させ得る非常に大きいエネルギーを蓄えることができる。万が一、なんらかの理由でU1(又はU2、U3)の出力がセル電圧ににクランプされ、ゲートソースターミナルQ1(又はQ3、Q5)が短絡された場合のために、高い値の抵抗R6、R16、R26が比較器U1(又はU2、U3)の出力とスイッチQ1、Q3、Q5の間に加えられ、各セルを流れる電流の量を安全な値に制限する。
【0053】
ゲートソース間に存在する漂遊電圧(stray voltage)による偽りの起動(spurious turning ON)を回避するために、MOSFETQ1、Q3、Q5のゲートソース電圧閾値は、10分の数ボルトの代わりに最低1.2ボルトであると選択されている。バッテリセルの経時消耗を抑え、ジャンプスタート能力を保持するため、使用される比較器及び参照電圧は、「ナノパワー」カテゴリーにある。
【0054】
参照電圧DZ_1、DZ_2、DZ_3が安定して動作するようにコンデンサC1、C2、C3が維持される。
【0055】
[有効/無効制御回路の動作]
増強モードのMOSFETスイッチQ2、Q4、Q6をオンにすることでバッテリセル均等化回路110が有効となる。それらをオフにすることでバッテリセル均等化回路110が無効となる。スイッチQ2、Q4、Q6は、公称12ボルト制御電圧信号を「Control+」、「Control-」と印されたターミナルの間にかけることによって同時にオンにされる。それらは、公称0ボルト制御信号をかけることにより同時にオフにされる。この実施形態において、制御電圧は、セルが均等化されているバッテリの公称電圧より大きい、もしくは等しい必要がある。、公称12ボルト制御電圧のレベルは、例えば手持ちジャンプスタートユニット内での入手の容易性により選択されており、外部充電ポートを介して、又はリチウムバッテリ112自体からいつでも取得できる。
【0056】
分圧器抵抗R3(又はR13、R23)をMOSFETスイッチQ2(Q4又はQ6)のソース(ターミナル2)側ではなくドレイン(ターミナル3)側に配置することは、有効化/無効化回路116の正しい動作のために重要である。Q2(Q4、Q6)をオンに維持することが望ましい場合、そのゲートソース電圧をそのゲートソース電圧閾値よりも高いレベルに保つことが不可欠である。Q2(Q4、Q6)がオンにされるとき、R3(R13、R23)の電圧降下により、そのソースターミナルが対応するプラスのセルターミナル電位よりも下に引き下げられ、ゲートソース電圧が選択されたゲートソース電圧閾値よりも高いレベルのゲートソース電圧が有効となる。R3(R13、R23)でより大きい電圧降下を可能にするため、その値はR4(R14、R24)よりもずっと大きく維持され、入手が容易なスタンダードな値の参照電圧DZ_1(DZ_2、DZ_3)が選択できるようになる。
【0057】
ゲートソース間に存在する漂遊電圧による偽りの起動を回避するために、MOSFETQ2、Q4、Q6のゲートソース電圧閾値は、10分の数ボルトの代わりに最低1.1ボルトであるように選択されている。これにより、オンにしてオン状態に維持するために、Q2、Q4、Q6のゲートソース電圧はより高い電圧であることが要求される。R3がQ2のソース側(ターミナル2)に維持されると仮定すると、Q2が12ボルト制御信号によってオンにされ次第すぐにQ2のソースターミナルは公称の12ボルトバッテリ電位に導かれることがわかる。しかし、これにより、オフに戻され次第すぐにゼロボルトがQ2のゲートソース間にかけられる結果となる。
【0058】
R10、R30、R32の値は、12ボルト制御電圧が存在するときQ2、Q4、Q6のターミナルのゲートソース間にかけられる電圧の公平な配分が可能となるように選択された。高い値の抵抗R9、R19は、個々のバッテリセル112の間及びバッテリと制御電圧ソースの間に電気抵抗をさらに提供し、回路の複数の構成要素に跨って短絡が起きた場合の故障電流(fault current)を制限することによりさらなる安全策として機能する。R32の値は、制御電圧ソースが直列で大きい抵抗を有する場合に制御電圧のほとんどが低下するように十分大きく維持される必要がある。
【0059】
[例1]
バッテリセル均等化回路110は、ここで参照され援用される米国特許第9007015号で開示されるバッテリジャンプスタートブーストデバイスに応用又は設置可能である。
【0060】
ここで説明された発明は、本願発明の意図又はスコープから逸脱することなく、様々な方法で変化され得ることは当業者には明らかである。そのような変化の全ては次の請求項のスコープ内に含まれると意図される。