(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】バルーン支援管腔内プロテーゼ展開
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20230630BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20230630BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20230630BHJP
【FI】
A61F2/966
A61M25/10 550
A61F2/07
(21)【出願番号】P 2020198047
(22)【出願日】2020-11-30
(62)【分割の表示】P 2017560952の分割
【原出願日】2016-05-26
【審査請求日】2020-11-30
(32)【優先日】2015-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500369717
【氏名又は名称】トリバスキュラー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TriVascular, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マーク ゲウセン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06602226(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0191174(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0338753(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0073523(US,A1)
【文献】特表2009-501567(JP,A)
【文献】特表2005-511149(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0312830(US,A1)
【文献】特表2005-515829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
A61M 25/10
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管障害の処置のための送達システムであって、
前記送達システムは、前記血管障害の処置のための管腔内プロテーゼを備え、
前記管腔内プロテーゼは、プロテーゼと送達カテーテルとを含み、
前記プロテーゼは、
主要内側管腔と近位端と遠位端とを含む管状主要グラフト部分と、
前記管状主要グラフト部分の近位端に固定されている自己拡張アンカ部材と
を含み、
前記送達カテーテルは、
患者の脈管内の前進のために十分な座屈強度を伴う細長いシャフトであって、前記細長いシャフトは、近位区分と遠位区分とを含む、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトに固定されている膨張可能バルーンと
を含み、
前記膨張可能バルーンの膨張可能区分の近位端は、前記管状主要グラフトの前記近位端に隣接するが、前記管状主要グラフトの前記近位端の遠位に配置されて
おり、かつ、前記自己拡張アンカ部材に隣接するが、前記自己拡張アンカ部材の遠位に配置されている、送達システム。
【請求項2】
前記膨張可能バルーンは、前記プロテーゼを展開部位に送達するよりも前に、軸方向位置において前記管状主要グラフト内に配置されている、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記細長いシャフトは、前記細長いシャフトの遠位区分から前記細長いシャフトの近位区分に延びている細長い多管腔部材を含み、前記多管腔部材は、前記膨張可能バルーンの膨張のための膨張管腔を含む、請求項2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記プロテーゼは、膨張可能チャネルを含む、請求項3に記載の送達システム。
【請求項5】
前記送達システムは、前記細長いシャフトの前記近位区分上に配置されている複数の解放可能ベルトを備え、前記複数の解放可能ベルトは、前記管腔内プロテーゼの前記自己拡張アンカ部材を解放可能に拘束するように構成されている、請求項1に記載の送達システム。
【請求項6】
前記送達システムは、前記細長いシャフトの遠位端と連通している複数の細長い解放部材を備え、前記複数の細長い解放部材は、近位区分を含み、前記近位区分は、前記解放可能ベルトが前記自己拡張アンカ部材の少なくとも一部を拘束する構成にある間、少なくとも1つのそれぞれの解放可能ベルトを解放可能に固定するように構成されている、請求項5に記載の送達システム。
【請求項7】
前記多管腔部材は、解放ワイヤ管腔を含む、請求項3に記載の送達システム。
【請求項8】
前記多管腔部材は、ガイドワイヤ管腔を含む、請求項7に記載の送達システム。
【請求項9】
前記管腔内プロテーゼの前記主要グラフト部分の近位部分は、膨張可能カフを含み、前記膨張可能バルーンは、前記膨張可能バルーンの作業長さが前記膨張可能カフと軸方向に同じ広がりをもつように軸方向に配置されている、請求項4に記載の送達システム。
【請求項10】
前記送達カテーテルは、前記膨張可能管腔内プロテーゼの前記膨張可能部分と流体連通している充填管管腔を含む充填管をさらに含み、前記充填管管腔は、前記細長いシャフト内で軸方向に延びている、請求項4に記載の送達システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第62/167,247号(2015年5月27日出願、発明者:Mark Geusen、名称「BALLOON ASSISTED ENDOLUMINAL PROSTHESIS DEPLOYMENT」、代理人事件番号TRI-1708-PV)の利益を主張し、上記出願の本文および図面の全てを含む内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(背景)
動脈瘤は、概して、患者の動脈の壁の拡張および弱化によって示される血管障害である。動脈瘤は、患者の身体内の種々の部位において発症し得る。胸部大動脈瘤(TAA)または腹部大動脈瘤(AAA)は、大動脈の拡張および弱化によって現れ、それは、介入が概して示される、深刻かつ致死的な疾患である。動脈瘤を処置する既存の方法は、罹患した血管もしくは身体管腔のグラフト交換またはグラフトを用いた血管の補強を伴う侵襲性外科手術手技を含む。
【0003】
大動脈瘤を処置するための外科手術手技は、この疾患の外科手術的修復に固有のリスク要因ならびに長期入院および痛みを伴う回復に起因して、比較的に高い疾病率ならびに死亡率を有し得る。これは、特に、TAAの外科手術的修復に対して当てはまり、それは、概して、AAAの外科手術的修復と比較すると、より高いリスクおよびさらなる困難を伴うと見なされる。AAAの修復を伴う外科手術手技の例が、W.B.Saunders Companyによって1986年に出版された、Denton A.Cooley,M.D.による「Surgical Treatment of Aortic Aneurysms」と題された書籍に説明されている。
【0004】
大動脈瘤の外科手術的修復の固有のリスクおよび複雑性に起因して、低侵襲性血管内修復が、その中でもとりわけ、AAAを処置することにおいて、広く使用される代替療法となっている。この分野における初期研究が、Lawrence,Jr.、他によって「Percutaneous Endovascular Graft:Experimental Evaluation」(Radiology)(1987年5月)において、およびMirich、他によって「Percutaneously Placed Endovascular Grafts for Aortic Aneurysms:Feasibility Study」(Radiology)(1989年3月)において例示されている。
【0005】
カテーテルまたは他の好適な器具によって管腔内プロテーゼタイプデバイスを展開するとき、種々の誘導カテーテルならびに患者の時として蛇行した解剖学的構造を通した通過のためのステントグラフト等の可撓性かつ薄型管腔内プロテーゼおよび送達システムを有することが、有利であり得る。動脈瘤の処置のための既存の血管内デバイスおよび方法の多くは、以前のデバイスならびに方法に優る有意な進歩を表す一方、多くの場合、最大24フレンチの比較的に大きい横断外形を有するシステムを使用する。さらに、そのような既存のシステムは、所望のものを上回る横剛性を有し、それは、特に、高度の曲率または角形成を含む血管障害部位の処置における使用に対して、送達プロセスを複雑化させ得る。より可撓性の薄型送達システムであっても、非常に角張り、湾曲した血管内の血管内プロテーゼの展開は、展開プロセス中のプロテーゼの向きの可視化または撮像における困難に起因して、問題であり得る。血管内プロテーゼの展開後に血管内プロテーゼの外面と処置される血管の内面との間の適切なシールを達成することも、いくつかの事例では、困難であり得る。したがって、動脈瘤の低侵襲性血管内処置は、そのような手技から利益を享受するであろう多くの患者に対して利用可能ではない場合があり、その手技が示されるそれらの患者に対して実行することがより困難であり得る。
【0006】
必要とされているものは、広い範囲の患者の解剖学的構造に適合可能であり、可撓性薄型システムを使用して安全かつ確実に展開され得る管腔内プロテーゼおよび好適な送達カテーテルである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
血管障害の処置のための送達システムのいくつかの実施形態は、血管障害の処置のための管腔内プロテーゼと、送達カテーテルとを含み得る。管腔内プロテーゼは、薄い可撓性材料と、主要内側管腔と、近位端と、遠位端とを伴う管状主要グラフト部分を含み得る。管腔内プロテーゼはまた、近位部分と、遠位部分とを有する自己拡張アンカ部材を有し得る。遠位部分の遠位端は、管状主要グラフト部分の近位端に固定され得、近位部分の遠位端は、遠位部分の近位端に固定され得る。加えて、管腔内プロテーゼはまた、管状主要グラフト部分の近位端に隣接して円周方向に配置されている複数の放射線不透過性マーカを有し得る。いくつかの実施形態に対して、送達システムの送達カテーテルは、患者の脈管内の経皮的前進のために十分な柱強度を伴う細長いシャフト部材を含み、細長いシャフトはまた、近位区分と、遠位区分とを有し得る。複数の解放可能ベルトが、細長いシャフトの近位区分上に配置され、管腔内プロテーゼの自己拡張アンカ部材を解放可能に拘束するように構成され得る。複数の細長い解放部材が、細長いシャフトの遠位端と動作可能に連通して配置され得、該細長い解放部材は、各々、該解放可能ベルトが管腔内プロテーゼの自己拡張アンカ部材の少なくとも一部を拘束する構成にある間、少なくとも1つのそれぞれの解放可能ベルトを解放可能に固定するように構成される近位区分を含み得る。膨張可能バルーンは、管腔内プロテーゼの管状主要グラフト部分の主要内側管腔内で細長いシャフトに固定され得る。いくつかの事例では、膨張可能バルーンは、膨張可能バルーンの膨張可能区分の近位端が自己拡張アンカ部材に隣接するが、その遠位に位置付けられる軸方向位置において配置され得る。いくつかの事例では、膨張可能バルーンは、膨張可能バルーンの膨張可能区分の近位端は、放射線不透過性マーカに隣接するが、その遠位に位置付けられる軸方向位置において配置され得る。いくつかの膨張可能バルーン実施形態に対して、いくつかの膨張可能バルーン実施形態の近位ネック部分(シャフトの外面と接触する膨張可能バルーン管の管状部材の一部)が、膨張可能バルーンの近位角度付き部分または近位円錐および膨張可能バルーン材料の任意のプリーツが放射線不透過性マーカの遠位に配置される限り、放射線不透過性マーカの近位に位置付けられ得る。
【0008】
管腔内プロテーゼを展開する方法のいくつかの実施形態は、細長いシャフトと、細長いシャフトに解放可能に固定されている管腔内プロテーゼとを含む送達システムを患者の脈管の中に前進させることを含み得る。方法はまた、自己拡張アンカ部材が部分的に展開することを可能にするために、管腔内プロテーゼの主要グラフト部分から外側拘束を解放することと、管腔内プロテーゼの自己拡張アンカ部材から外側半径方向拘束を部分的に解放することとを含み得る。その後、膨張可能バルーンが、膨張可能バルーンに隣接して配置され、それと軸方向に同じ広がりをもつ、管腔内プロテーゼのグラフト部分の一部を半径方向に拡張させるように、膨張させられ、半径方向に拡張され得る。いくつかの場合、膨張可能バルーンは、管腔内プロテーゼの主要グラフト部分の主要内側管腔内に配置され、膨張可能バルーンの膨張可能区分の近位端は、自己拡張アンカ部材に隣接するが、その遠位に配置され得る。いくつかの場合、膨張可能バルーンは、管腔内プロテーゼの主要グラフト部分の主要内側管腔内に配置され、膨張可能バルーンの膨張可能区分の近位端は、管腔内プロテーゼの主要グラフト部分の近位縁に隣接して円周方向に配置され得る複数の放射線不透過性マーカに隣接するが、その遠位に配置され得る。自己拡張アンカ部材に対する外側半径方向拘束が、次いで、管腔内プロテーゼの自己拡張アンカ部材を完全に展開するように、完全に解放され得る。いくつかの場合、膨張可能バルーンを膨張させ、半径方向に拡張させることは、膨張可能バルーンに隣接する主要グラフト部分の外面が、患者の脈管の内面と接触させられるまで、外向き半径方向力を管腔内プロテーゼの主要グラフト部分の主要内側管腔の内面上に加えるように膨張可能バルーンを膨張させ、半径方向に拡張させることを含み得る。
【0009】
血管障害の処置のための送達システムのいくつかの実施形態は、血管障害の処置のための管腔内プロテーゼと、送達カテーテルとを含み得る。管腔内プロテーゼは、薄い可撓性材料と、主要内側管腔と、近位端と、遠位端とを有する管状主要グラフト部分を含み得る。管腔内プロテーゼはまた、その遠位端が、管状主要グラフト部分の近位端に固定されている自己拡張アンカ部材を含み得る。送達カテーテルは、遠位区分と、近位区分とを有する細長いシャフトを含み、近位区分は、拘束状態において管腔内プロテーゼを解放可能に固定するように構成され得る。送達カテーテルはまた、膨張可能バルーンの膨張可能区分の近位端が自己拡張アンカ部材に隣接するが、その遠位に配置される軸方向位置において、細長いシャフトに固定され、管腔内プロテーゼの管状主要グラフト部分の主要内側管腔内に配置される膨張可能バルーンを含み得る
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
血管障害の処置のための送達システムであって、前記送達システムは、
前記血管障害の処置のための管腔内プロテーゼであって、前記管腔内プロテーゼは、
薄い可撓性材料と、主要内側管腔と、近位端と、遠位端とを含む管状主要グラフト部分と、
近位部分と、遠位部分とを備えている自己拡張アンカ部材であって、前記遠位部分の遠位端は、前記管状主要グラフト部分の近位端に固定され、前記近位部分の遠位端は、前記遠位部分の近位端に固定されている、自己拡張アンカ部材と
を含む、管腔内プロテーゼと、
送達カテーテルと
を備え、
前記送達カテーテルは、
患者の脈管内の経皮的前進のために十分な柱強度を伴う細長いシャフト部材であって、前記細長いシャフトは、近位区分と、遠位区分とを含む、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの近位区分上に配置されている複数の解放可能ベルトであって、前記複数の解放可能ベルトは、前記管腔内プロテーゼの自己拡張アンカ部材を解放可能に拘束するように構成されている、複数の解放可能ベルトと、
前記細長いシャフトの遠位端と連通している複数の細長い解放部材であって、前記複数の細長い解放部材は、近位区分を含み、前記近位区分は、前記解放可能ベルトが前記自己拡張アンカ部材の少なくとも一部を拘束する構成にある間、少なくとも1つのそれぞれの解放可能ベルトを解放可能に固定するように構成されている、複数の細長い解放部材と、
膨張可能バルーンであって、前記膨張可能バルーンは、前記膨張可能バルーンの膨張可能区分の近位端が前記自己拡張アンカ部材に隣接するが、前記自己拡張アンカ部材の遠位に配置される軸方向位置において、前記管腔内プロテーゼの前記管状主要グラフト部分の前記主要内側管腔内で前記細長いシャフトに固定されている、膨張可能バルーンと
を備えている、送達システム。
(項目2)
前記管腔内プロテーゼは、前記管状主要グラフト部分の近位端に隣接して円周方向に配置されている複数の放射線不透過性マーカをさらに備え、前記膨張可能バルーンの前記膨張可能区分の近位端は、前記放射線不透過性マーカに隣接するが、その遠位に配置されている、項目1に記載の送達システム。
(項目3)
前記管腔内プロテーゼの前記主要グラフト部分の近位部分は、膨張可能カフを備え、前記膨張可能バルーンは、前記膨張可能バルーンの作業長さが前記膨張可能カフと軸方向に同じ広がりをもって配置されるように軸方向に配置されている、項目1に記載の送達システム。
(項目4)
前記送達カテーテルは、前記細長いシャフトを覆って配置されている外側シースをさらに備え、前記外側シースは、拘束状態において前記管腔内プロテーゼを取り外し可能に覆うように構成されている、項目1に記載の送達システム。
(項目5)
前記細長い解放部材は、細長い解放ワイヤを備えている、項目1に記載の送達システム。
(項目6)
前記管腔内プロテーゼは、膨張可能管腔内プロテーゼの膨張可能部分を備え、前記送達カテーテルは、前記膨張可能管腔内プロテーゼの前記膨張可能部分と流体連通している充填管管腔を含む充填管をさらに備え、前記充填管管腔は、前記細長いシャフト内で軸方向に延びている、項目1に記載の送達システム。
(項目7)
前記細長いシャフトは、前記細長いシャフトの遠位区分から前記細長いシャフトの近位区分に延びている細長い多管腔部材を備え、前記多管腔部材は、ガイドワイヤ管腔と、各解放部材のための解放部材管腔と、前記膨張可能バルーンの膨張のための膨張管腔とを備えている、項目1に記載の送達システム。
(項目8)
前記自己拡張アンカ部材は、超弾性金属を備えている、項目1に記載の送達システム。
(項目9)
前記自己拡張アンカ部材の前記近位部分は、ジグザグ構成において配置されている細長い超弾性要素を含む円筒形ステントを備え、前記自己拡張アンカ部材の前記遠位部分は、ジグザグ構成において配置されている細長い超弾性要素を含む円筒形ステントを備えている、項目1に記載の送達システム。
(項目10)
前記自己拡張アンカ部材は、モノリシック構造を備え、前記近位部分および遠位部分の両方は、前記部分間にいかなる継手も形成されていない連続的材料の単一部品から形成されている、項目1に記載の送達システム。
(項目11)
前記自己拡張アンカ部材は、鋭い組織貫通先端を含む返しを備えている、項目1に記載の送達システム。
(項目12)
前記膨張可能バルーンは、約10mm~約26mmの外側横断寸法を備えている、項目1に記載の送達システム。
(項目13)
前記膨張可能バルーンは、約15mm~約40mmの作業長さを備えている、項目1に記載の送達システム。
(項目14)
前記膨張可能バルーンは、伸縮性材料を備えている、項目1に記載の送達システム。
(項目15)
前記膨張可能バルーンは、実質的に非伸縮性の材料を備えている、項目1に記載の送達システム。
(項目16)
前記膨張可能バルーンは、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、ポリウレタン、およびポリ塩化ビニルから成る群から選択される材料を備えている、項目1に記載の送達システム。
(項目17)
前記膨張可能バルーンの二重壁厚さは、約0.001インチ~約0.003インチである、項目1に記載の送達システム。
(項目18)
血管障害の処置のための送達システムであって、前記送達システムは、
前記血管障害の処置のための管腔内プロテーゼであって、前記管腔内プロテーゼは、
薄い可撓性材料と、主要内側管腔と、近位端と、遠位端とを含む管状主要グラフト部分と、
自己拡張アンカ部材であって、前記自己拡張アンカ部材の遠位端は、前記管状主要グラフト部分の前記近位端に固定されている、自己拡張アンカ部材と
を含む、管腔内プロテーゼと、
送達カテーテルと
を備え、
前記送達カテーテルは、
遠位区分と、近位区分とを含む細長いシャフトであって、前記近位区分は、拘束状態において前記管腔内プロテーゼを解放可能に固定するように構成されている、細長いシャフトと、
膨張可能バルーンであって、前記膨張可能バルーンは、前記膨張可能バルーンの膨張可能区分の近位端が前記自己拡張アンカ部材に隣接するが、前記自己拡張アンカ部材の遠位に配置される軸方向位置において、前記細長いシャフトに固定され、前記管腔内プロテーゼの前記管状主要グラフト部分の前記主要内側管腔内に配置されている、膨張可能バルーンと
を備えている、送達システム。
(項目19)
前記管腔内プロテーゼは、前記管状主要グラフト部分の近位端に隣接して円周方向に配置されている複数の放射線不透過性マーカをさらに備え、前記膨張可能バルーンの前記膨張可能区分の近位端は、前記放射線不透過性マーカに隣接するが、その遠位に配置されている、項目18に記載の送達システム。
(項目20)
前記管腔内プロテーゼの前記主要グラフト部分の近位部分は、膨張可能カフを備え、前記膨張可能バルーンは、前記膨張可能バルーンの作業長さが前記膨張可能カフと軸方向に同じ広がりをもつように軸方向に配置されている、項目18に記載の送達システム。
(項目21)
前記送達カテーテルは、前記細長いシャフトを覆って配置されている外側シースをさらに備え、前記外側シースは、拘束状態において前記管腔内プロテーゼを取り外し可能に覆うように構成されている、項目18に記載の送達システム。
(項目22)
前記管腔内プロテーゼは、膨張可能管腔内プロテーゼの膨張可能部分を備え、前記送達カテーテルは、前記膨張可能管腔内プロテーゼの前記膨張可能部分と流体連通している充填管管腔を含む充填管をさらに備え、前記充填管管腔は、前記細長いシャフト内で軸方向に延びている、項目18に記載の送達システム。
(項目23)
前記細長いシャフトは、前記細長いシャフトの遠位区分から前記細長いシャフトの近位区分に延びている細長い多管腔部材を備え、前記多管腔部材は、前記膨張可能バルーンの膨張のための膨張管腔と、ガイドワイヤ管腔と、解放部材管腔とを備えている、項目18に記載の送達システム。
(項目24)
前記膨張管腔は、長円形断面を備えている、項目23に記載の送達システム。
(項目25)
前記自己拡張アンカ部材は、超弾性金属を備えている、項目18に記載の送達システム。
(項目26)
前記自己拡張アンカ部材は、ジグザグ構成において配置されている細長い超弾性要素を含む円筒形ステントを備えている、項目18に記載の送達システム。
(項目27)
前記自己拡張アンカ部材は、その中にいかなる継手も形成されていない連続的材料の単一部品から形成されているモノリシック構造を備えている、項目18に記載の送達システム。
(項目28)
前記自己拡張アンカ部材は、鋭い組織貫通先端を含む返しを備えている、項目18に記載の送達システム。
(項目29)
前記膨張可能バルーンは、約10mm~約26mmの外側横断寸法を備えている、項目18に記載の送達システム。
(項目30)
前記膨張可能バルーンは、約15mm~約40mmの作業長さを備えている、項目18に記載の送達システム。
(項目31)
前記膨張可能バルーンは、伸縮性材料を備えている、項目18に記載の送達システム。
(項目32)
前記膨張可能バルーンは、実質的に非伸縮性の材料を備えている、項目18に記載の送達システム。
(項目33)
前記膨張可能バルーンは、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、ポリウレタン、およびポリ塩化ビニルから成る群から選択される材料を備えている、項目18に記載の送達システム。
(項目34)
前記膨張可能バルーンの二重壁厚さは、約0.001インチ~約0.003インチである、項目18に記載の送達システム。
(項目35)
管腔内プロテーゼを展開する方法であって、前記方法は、
送達システムを患者の脈管の中に前進させることであって、前記送達システムは、細長いシャフトと、前記細長いシャフトに解放可能に固定されている管腔内プロテーゼとを含む、ことと、
前記管腔内プロテーゼの自己拡張アンカ部材から外側半径方向拘束を部分的に解放し、前記自己拡張アンカ部材が部分的に展開することを可能にすることと、
前記管腔内プロテーゼの主要グラフト部分の主要内側管腔内に配置されている膨張可能バルーンを膨張させ、半径方向に拡張させることであって、前記膨張可能バルーンの膨張可能区分の近位端は、前記管腔内プロテーゼの前記自己拡張アンカ部材に隣接するが、前記自己拡張アンカ部材の遠位に配置されている、ことと、
前記自己拡張アンカ部材に対する外側半径方向拘束を完全に解放し、前記自己拡張アンカ部材を完全に展開することと
を含む、方法。
(項目36)
前記膨張可能バルーンを膨張させ、半径方向に拡張させることをさらに含み、前記膨張可能バルーンの前記膨張可能区分の近位端は、前記管腔内プロテーゼの前記主要グラフト部分の近位縁に隣接して円周方向に配置されている複数の放射線不透過性マーカに隣接するが、その遠位に配置されている、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記管腔内プロテーゼのグラフト部分から外側拘束を解放することをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記膨張可能バルーンを膨張させ、半径方向に拡張させることは、前記膨張可能バルーンに隣接するグラフト部分の外面が前記患者の脈管の内面と接触させられるまで、外向き半径方向力を前記管腔内プロテーゼの前記グラフト部分の主要内側管腔の内面上に加えるように前記膨張可能バルーンを膨張させ、半径方向に拡張させることを含む、項目35に記載の方法。
(項目39)
前記膨張可能バルーンを膨張させることは、前記膨張可能バルーンを約3psi~約9psiの圧力まで膨張させることを含む、項目35に記載の方法。
(項目40)
前記膨張可能バルーンを膨張させることは、前記膨張可能バルーンを最大約1気圧の圧力まで膨張させることを含む、項目35に記載の方法。
(項目41)
前記自己拡張アンカ部材を部分的に展開した後、前記自己拡張アンカ部材を完全に展開する前に、前記管腔内プロテーゼを再位置付けすることをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目42)
前記管腔内プロテーゼを再位置付けすることに先立って、前記膨張可能バルーンを収縮させることをさらに含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
硬化性充填材料を用いて前記管腔内プロテーゼの膨張可能部分を膨張させることをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目44)
前記管腔内プロテーゼの前記膨張可能部分は、前記管腔内プロテーゼの外面のシールおよび適合を促進するために、前記膨張可能バルーンの膨張後に硬化性充填材料を用いて膨張させられる、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記管腔内プロテーゼの展開に先立って、患者の側枝動脈と大動脈との間で流体連通するように1つ以上のチムニータイプの管腔内プロテーゼを展開することをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目46)
前記チムニープロテーゼの外面と、前記主要グラフト部分の外面および前記大動脈の内面との間のシールを増強するために、前記1つ以上のチムニータイプの管腔内プロテーゼに隣接する前記膨張可能バルーンを膨張させることをさらに含む、項目45に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ガイドワイヤの得上で患者の脈管の大動脈の中に前進されている送達システム実施形態の部分的断面における立面図である。
【
図1A】
図1Aは、ガイドワイヤの上で患者の脈管の腹部大動脈の中に前進されている、
図1の送達システムの部分的断面における立面図である。
【
図2】
図2は、送達システム実施形態の送達カテーテルの外側シースが後退させられる、
図1の送達システム実施形態の立面図である。
【
図3】
図3は、
図2の包囲された部分3-3によって示されるような、
図2の送達システム実施形態の近位部分の拡大図である。
【
図4】
図4は、
図3の線4-4に沿って観察される、
図3の送達システム実施形態の横断面図である。
【
図5】
図5は、
図3の線5-5に沿って観察される、
図3の送達システム実施形態の横断面図である。
【
図6】
図6は、膨張可能バルーンのプリーツ付き実施形態の立面図である。
【
図7】
図7は、
図3の線7-7に沿って観察される、
図3の送達システム実施形態の横断面図である。
【
図8】
図8は、
図3の送達システム実施形態の送達カテーテルの解放可能ベルト実施形態の端部ループ内に配置される解放ワイヤ実施形態の拡大図である。
【
図9】
図9は、自己拡張アンカ部材が部分的に展開され、自己拡張アンカ部材の遠位部分に対する外側半径方向拘束が除去されている、
図1の送達システム実施形態の立面図である。
【
図10】
図10は、管腔内プロテーゼのグラフト部分の主要内側管腔内に配置されている膨張可能バルーンが膨張させられている、
図9の送達システム実施形態の立面図である。
【
図11】
図11は、膨張状態であり、膨張可能バルーン実施形態の近位端表面の円錐角を示す、
図1の送達システム実施形態の膨張可能バルーンの実施形態の立面図である。
【
図12】
図12は、
図1の送達システム実施形態の送達カテーテルの遠位アダプタアセンブリおよび遠位部分の立面図である。
【
図13】
図13は、灌流膨張可能バルーン実施形態の横断面における概略図である。
【
図14】
図14は、灌流膨張可能バルーン実施形態の横断面における概略図である。
【
図16】
図16は、外側シースが示されない、
図15の送達システム実施形態の一部の斜視図である。
【
図22】
図22は、
図15の送達システムの細長いシャフト実施形態の一部の部分的断面における斜視図である。
【
図24】
図24は、線24-24に沿って観察される、
図23の膨張可能バルーン部分の横断面である。
【
図25】
図25は、線25-25に沿って観察される、
図23の膨張可能バルーン部分の横断面である。
【
図26】
図26は、線26-26に沿って観察される、
図23の膨張可能バルーン部分の横断面である。
【
図27】
図27は、多管腔送達カテーテル実施形態のための多管腔部材の実施形態の斜視図である。
【
図28】
図28は、多管腔送達カテーテル実施形態のための多管腔部材の実施形態の斜視図である。
【
図30】
図30は、底部におけるクロスオーバポート、上部における膨張可能バルーンのための膨張ポート、およびアダプタの側における管腔内プロテーゼの随意の膨張可能部分のための充填ポートを伴う、遠位アダプタの実施形態の斜視図である。
【
図34】
図34は、患者の腎動脈の開存性を維持するように患者の脈管内に展開されている、膨張可能バルーンおよび対向するチムニーグラフト部分の対を含む、管腔内プロテーゼシステム実施形態の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面は、本発明の実施形態を図示し、限定的ではない。図示を明確および容易にするために、図面は、縮尺通りに作製されず、いくつかの事例では、種々の側面が、特定の実施形態の理解を促進するために、誇張または拡大して示され得る。
【0012】
上で議論されるように、小可撓性送達外形を伴う管腔内プロテーゼ送達システムの必要性が存在している。そのような送達システムが、蛍光透視撮像等の下での適切な配置のために、放射線不透過性マーカを含む管腔内プロテーゼの一部を確実に開放し、管腔内プロテーゼを可視化するように構成されることも有用であり得る。本明細書に議論される実施形態は、これらの目的を達成するために、展開プロセス中に特定の軸方向位置において管腔内プロテーゼの内面に外向き半径方向力を加えるように使用され得る、膨張可能バルーン等の膨張可能デバイスを含み得る。自己拡張アンカ部材を含む管腔内プロテーゼのグラフト部分内に配置されるそのような膨張可能バルーンは、プロテーゼの開放および展開を改良することにおいて有用であり得る。改良された展開は、処置されている患者の角張った血管9において特に有用であり得る。そのような膨張可能バルーン構成要素はまた、管腔内プロテーゼの外面を処置されている管腔の内面にシールすることを助けるために有用であり得る。
【0013】
管腔内プロテーゼ、送達カテーテル実施形態、ならびに関連付けられる構造および方法を含む本明細書に議論される送達システム実施形態に対して、用語「近位」は、患者の心臓に向かう、管腔内プロテーゼを展開するために送達システムを使用しているオペレータから離れた場所を指す。用語「遠位」は、患者の心臓から離れた、オペレータに向かう場所を指す。
【0014】
図を参照すると、動脈瘤8等の血管障害の処置のための送達システム10の実施形態が、
図1-12に示される。患者の脈管9内に示される例示的動脈瘤8は、胸部タイプの大動脈瘤であるが、本明細書に議論され、対応する図に図示されるようなデバイスおよび方法は、腹部大動脈瘤(
図1Aに示される)等の任意の他の好適なタイプの血管障害のためにも使用され得る。送達システム実施形態10は、血管障害8の処置のための管腔内プロテーゼ12と、送達カテーテル14とを含み得る。管腔内プロテーゼは、薄い可撓性材料から作製され、主要内側管腔18と、近位端20と、遠位端22とを含む管状主要グラフト部分16を含み得る。グラフト本体は、PTFE等の可撓性かつ柔軟性グラフト材料から形成され、グラフト本体の主要グラフト部分内に配置される主要流体流動管腔を有し得る。いくつかの実施形態に対して、PTFEを含む可撓性グラフト材料は、拡張PTFEまたはePTFEを含み得る。
【0015】
図3を参照すると、管腔内プロテーゼ12はまた、近位部分26と、遠位部分28とを有する、自己拡張アンカ部材24を有し、遠位部分の遠位端は、管状主要グラフト部分の近位端20に固定され、近位部分の遠位端は、遠位部分の近位端に固定され得る。
図2に示される自己拡張アンカ部材実施形態24は、その近位端における自由非固定端部と主要グラフト本体の近位端に固定される遠位端とを伴う略円筒形構成を有する。自己拡張アンカ部材24の近位部分26は、ジグザグ構成において配置されている細長い超弾性要素を含む円筒形ステントを含み得、自己拡張アンカ部材の遠位部分は、ジグザグ構成において配置されている細長い超弾性要素を含む円筒形ステントを備えている。随意のコネクタリング(図示せず)が、主要グラフト部分の近位端の構造の中に埋め込まれ得、近位自己拡張アンカ部材24の遠位端に結合され得る。いくつかの場合、そのようなコネクタリングは、ニッケルチタン合金等の超弾性材料から作製される自己拡張ジグザク形状を含み得る。膨張可能バルーンによって供給される外向き半径方向力による膨張可能バルーンによって提供される展開補助は、自己拡張コネクタリングを含まない管腔内プロテーゼ実施形態において特に有用であり得る。いくつかの場合、そのようなコネクタリングは、展開中に管腔内プロテーゼのグラフト部分の近位端に開放力を提供するために有用であり得る。
【0016】
いくつかの事例では、その近位部分および遠位部分を含む近位自己拡張アンカ部材24は、モノリシック構造を有し、近位部分および遠位部分の両方は、いかなる継手も部分間に形成されない連続的材料の単一部品から形成され得る。いくつかの場合、自己拡張アンカ部材24の実施形態は、ニッケルチタン合金等の超弾性金属を含む、超弾性金属から作製され得る。
【0017】
近位自己拡張アンカ部材24は、自己拡張アンカ部材24の近位部分26および遠位部分28の一方または両方のステント構造の支柱と一体的に形成され得る外向きに延びている返し(図示せず)を含み得る。そのような返しは、管腔の内面30の組織の中に貫通するように構成される、鋭的または鋭利化組織貫通先端を有し得、管腔の中に、近位自己拡張アンカ部材24が、拡張状態において展開され得る。そのような返し構成は、患者の脈管9の内面30または他の管腔表面への自己拡張アンカ部材24の固定を促進するために使用され得る。
【0018】
本明細書に議論される自己拡張アンカ部材は、近位部分と、遠位部分とを含み得るが、他の実施形態も、使用され得る。加えて、近位自己拡張アンカ部材の近位部分および遠位部分の一方または両方の中からの半径方向に拡張可能な膨張可能バルーンの拡張によって生成され得るような、外向き半径方向圧力を用いて非弾性的に拡張されるように構成される類似する拡張アンカ部材が、使用され得る。そうでなければ、そのような非弾性的に拡張可能なアンカ部材は、本明細書に議論される自己拡張アンカ部材のそれらと同じ特徴、寸法、および構成を有し得る。
【0019】
加えて、管腔内プロテーゼ12はまた、管状主要グラフト部分の近位端20に隣接して管腔内プロテーゼ12の管状構成の周りに円周方向に配置されている複数の放射線不透過性マーカ32を有し得る。いくつかの場合、複数の放射線不透過性マーカ32は、管腔内プロテーゼ12の管状部分の円周の周囲に実質的に等しく間隔を置かれ、全てが、管腔内プロテーゼ24の近位自己拡張アンカ部材および主要グラフト部分の縦方向軸34に略垂直である共通平面内に置かれ得る。いくつかの場合、放射線不透過性マーカ32は、自己拡張アンカ部材24の遠位端において、自己拡張アンカ部材24の円周の周囲に配置され得る。そのような配列は、展開プロセス中に管腔内プロテーゼの整列を可視化することにおいて有用であり得る。いくつかの管腔内プロテーゼ実施形態は、共通平面内に置かれる、約4~約12個、より具体的には、約5~約8個のそのような円周方向に間隔を置かれる放射線不透過性マーカ32を含み、共通平面は、随意に、管腔内プロテーゼの主要グラフト部分の縦方向軸34に垂直であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態に対して、送達システム10の送達カテーテル14は、患者の脈管8内の経皮的前進のために十分な柱強度を伴う細長いシャフト部材36を含み、細長いシャフト36はまた、近位区分38と、遠位区分40とを有し得る。複数の解放可能ベルトが、細長いシャフト36の近位区分38上に配置され、管腔内プロテーゼの自己拡張アンカ部材を解放可能に拘束するように構成され得る。複数の適切にサイズを決定された円筒形ブッシングまたはパッド33が、拘束状態の間、自己拡張アンカ部材24またはその一部の間隔を適切にあけるために、解放可能ベルトのうちの1つ以上のものに隣接して細長いシャフトの上に固定され得る。複数の細長い解放部材が、細長いシャフト36の遠位区分と動作可能に連通して配置され得、該細長い解放部材の各々は、該解放可能ベルトが管腔内プロテーゼ12の自己拡張アンカ部材24の少なくとも一部を拘束する構成にある間、少なくとも1つのそれぞれの解放可能ベルトを解放可能に固定するように構成される近位区分を含み得る。
【0021】
管腔内プロテーゼ10の近位自己拡張アンカ部材24を解放可能に拘束するように構成される複数の解放可能ベルトは、細長いシャフト36の近位区分38に沿って固定され得る。
図2を参照すると、第1の近位解放可能ベルト42および第2の近位解放可能ベルト44が、自己拡張アンカ部材24の近位部分26の周りに固定される。第1の遠位解放可能ベルト46および第2の遠位解放可能ベルト48が、自己拡張アンカ部材24の遠位部分28の周りに固定される。
【0022】
図3を参照すると、いくつかの実施形態に対して細長い開放ワイヤを含み得る少なくとも第1の細長い解放部材50および第2の細長い解放部材52が、細長いシャフト36の遠位端に延び、細長いシャフト36と連通し得る。いくつかの実施形態に対して、3つ以上の解放ワイヤが、使用され得る。いくつかの実施形態に対して、追加の解放ワイヤ(図示せず)が、充填管69と管腔内プロテーゼ12の膨張可能実施形態の膨張可能部分との間の接続または結合のための解放可能連結を提供するために使用され得る。第1の解放部材50および第2の解放部材52は、解放可能ベルトが近位自己拡張アンカ部材24等、管腔内プロテーゼ10の少なくとも一部を拘束する構成にある間、第1の近位解放可能ベルト42、第2の近位解放可能ベルト44、第1の遠位解放可能ベルト46、または第2の遠位解放可能ベルト48等の少なくとも1つのそれぞれの解放可能ベルトを解放可能に固定するように構成される近位区分を有し得る。解放部材50、52は、自己拡張アンカ部材24を管腔内プロテーゼ12の近位端に展開するように構成され得る。
【0023】
図2および3を参照すると、示される第1の解放ワイヤ50が、第1の近位解放可能ベルト42および第2の近位解放可能ベルト44に結合され、それによって、遠位アダプタ54(
図12に示される)内の機構または任意の他の好適な方法によって第1の解放部材50を遠位に後退させることによって、第1の近位解放可能ベルト42および第2の近位解放可能ベルト44を(その順序で)展開するために使用されることができる。示される第2の解放部材52は、第1の遠位解放可能ベルト46および第2の遠位解放可能ベルト48に結合され、それによって、遠位アダプタ54内の機構または任意の他の好適な方法によって第2の解放部材52を遠位に後退させることによって、第1の遠位解放可能ベルト46および第2の遠位解放可能ベルト48を(その順序で)展開するために使用されることができる。
【0024】
いくつかの事例では、第1および第2の解放部材50、52の軸方向移動によって生成される摩擦は、送達カテーテル14の細長いシャフト36内の多管腔構成を使用することによって最小化され得る。そのような送達カテーテル実施形態14は、解放部材スリーブ67内に延びている1つ以上の解放部材管腔58と、ガイドワイヤ49の通路のためのガイドワイヤ管57内に延びているガイドワイヤ管腔56と、膨張管61内に延びている、膨張可能バルーン62の膨張のための膨張管腔60と、充填管69内に延びている、管腔内プロテーゼ12の随意の膨張可能部分を充填するための随意の充填管腔64とを伴う細長いシャフト36を含み得る。
図5に示される送達カテーテル実施形態14の細長いシャフト36の断面は、ガイドワイヤ管57によって包囲される解放部材管腔58およびガイドワイヤ管腔56を図示する。
図4の断面は、膨張管61によって包囲される膨張管腔60を含む。
【0025】
いくつかの実施形態に対して、膨張管61は、略丸形内側横断面を伴う膨張管腔60を有し得、他の実施形態に対して、膨張管腔60は、形状が長円形である横断面を有し得る。いくつかの場合、丸形膨張管腔実施形態は、約0.01インチ~約0.03インチ、より具体的には、約0.014インチ~約0.016インチ、0.01インチ~約0.02インチ、0.02インチ~約0.025インチ、約0.015インチの内径、または任意の他の好適な内径を有し得る。いくつかの長円形膨張管腔実施形態60は、約0.055インチ~約0.060インチの長径内側横断寸法および約0.024インチ~約0.028インチの短径内側横断寸法を有し得る。
図27-33に示される膨張管管腔実施形態61A、61A’、および61A’’は、それぞれの膨張管61および61’を収容するように構成される。これらの管腔実施形態56、58、60、64、および管またはスリーブ実施形態57、61、67、69の各々は、細長いシャフト36の遠位端における遠位アダプタ54までを含む送達カテーテル14の細長いシャフト36に沿って、またはその中をその近位区分から遠位端に軸方向に延び得る。いくつかの場合、解放部材は、
図12に示される遠位アダプタ54上に配置されるそれぞれの展開ノブ66に結合され得る。
【0026】
細長いシャフト36と一体的に形成され得る膨張可能バルーン62は、管腔内プロテーゼ12の管状主要グラフト部分16の主要内側管腔18(
図7に示される)内で送達カテーテル14の細長いシャフト36に動作可能に固定され得る。いくつかの事例では、膨張可能バルーン62は、膨張可能バルーン62の膨張可能区分55の近位端68は、放射線不透過性マーカ32に隣接するが、その遠位に位置付けられる軸方向位置において配置され得る。いくつかの場合、
図3、9、および10に示されるように、膨張可能バルーン62は、膨張可能バルーン62の膨張可能区分55の近位端68が自己拡張アンカ部材24等の自己拡張アンカ部材構造に隣接するが、その遠位に配置される軸方向位置において、非展開拘束管腔内プロテーゼ12内に配置され得る。膨張可能バルーン62の膨張可能区分55も、その膨張可能区分55の近位端68がコネクタリング等、管腔内プロテーゼ12のアンカ部材部分を管腔内プロテーゼ12の主要グラフト部分16に固定することに関連付けられ得る任意の他の高強度の弾力的な構造に隣接するが、その遠位に配置された状態で、配置され得る。加えて、いくつかの場合、膨張可能バルーン62の膨張可能区分55は、自己拡張アンカ部材24または自己拡張アンカ部材24に関連付けられる任意の他の高強度構造と同一の水平面内で軸方向に重複しない、または置かれないように、軸方向に位置付けられ得る。
【0027】
膨張可能バルーン62の相対的軸方向位置付けに関して、膨張可能バルーン62の膨張可能区分55の近位端68は、いくつかの実施形態に対して、これらのそれぞれの要素間の随意の軸方向間隙が、最大約5mm、より具体的には、最大約2mmである場合、放射線不透過性マーカ32または自己拡張アンカ部材24等の構造に隣接するが、その遠位にあると考えられ得る。
図3、10、および23(以下に議論される)は、矢印55’によって示されるように、そのような随意の軸方向間隙の例を示す。
図3および10は、膨張可能バルーン62の膨張可能区分55の近位端68と放射線不透過性マーカ32の最遠位部分との間の随意の軸方向間隙を図示する。
図23の実施形態に対して、放射線不透過性マーカ132は、自己拡張アンカ部材124の遠位端の構造に重複している。したがって、
図23は、膨張可能バルーン62の膨張可能区分55の近位端と、放射線不透過性マーカ132の最遠位端および自己拡張アンカ部材124の最遠位端の両方との間に配置される随意の間隙55’を図示する。
【0028】
いくつかの実施形態に対して、膨張可能バルーン62の成形された管状壁材料は、紫外線硬化接着剤等の接着剤、レーザ接合もしくは溶接、熱接合もしくは溶接、または任意の他の好適な方法によって、ネック部分において細長いシャフト36に固定または接合され得る。いくつかの実施形態に対して、膨張可能バルーン62の高破裂強度を達成するために、細長いシャフト36のバルーンシャフト区分59の材料と同一であるか、または類似する材料を膨張可能バルーン62に対して使用し、これらの2つの要素間の熱接合、溶接等を促進することが、望ましくあり得る。細長いシャフト36のバルーンシャフト区分59は、膨張可能バルーン62内に軸方向に延びている、細長いシャフト36の略管状部分を含み、バルーン62の接合および膨張可能バルーン62の内部体積に対する液密障壁の提供のために好適な外面を含み得る。材料選択に関して、いくつかの実施形態は、その両方がポリウレタンから作製されるバルーンシャフト区分59および膨張可能バルーン62を含み得る。いくつかの膨張可能バルーン実施形態62に対して、いくつかの膨張可能バルーン実施形態62の近位ネック部分63は、膨張可能バルーン62の近位角度付き部分または近位円錐と膨張可能バルーン62の任意のプリーツとが放射線不透過性マーカ32および/または自己拡張アンカ部材24の遠位に配置される限り、放射線不透過性マーカ32および/または自己拡張アンカ部材24の近位に位置付けられ得る。近位ネック部分63は、細長いシャフト36の外面と接触する膨張可能バルーン62の管状部材の一部であり、典型的には、膨張可能バルーン62の近位端が細長いシャフト36に接合される場所である。膨張可能バルーン62の遠位端も、遠位ネック部分63’にわたって細長いシャフト36に同様に接合される。これらの接合される部分63および63’は、送達システム10の材料の量と全体的外形とを削減するために接合される部分の長さを最小化しながら、所望の膨張圧力を支持するために必要な接合強度を提供するように選択される長さを有し得る。いくつかの実施形態に対して、近位ネック部分63および遠位ネック部分63’は、少なくとも約4mm、より具体的には、約4mm~約8mmの軸方向長さを有し得る。
【0029】
いくつかの場合、膨張可能バルーン62は、膨張可能バルーン62の非膨張外形を最小に保つために、非膨張状態の間、プリーツ付き構成に形成され得る。いくつかの事例では、膨張可能バルーン実施形態62は、
図6に示されるように、約5つのプリーツ~約10個のプリーツ、より具体的には、約6つのプリーツ~約8つのプリーツを含むように機械折り畳みされ得る(または任意の他の好適な手段によって折り畳まれる)。いくつかのそのような実施形態に対して、プリーツの遠位端は、非膨張状態の間、膨張可能バルーンのバルクの一部を放射線不透過性マーカ32および/または自己拡張アンカ部材24の構造から離れるようにシフトさせるために、膨張可能バルーン62の遠位ネック部分63’を覆って折り畳まれ得る。概して、送達システム10の外側サイズ外形を最小に保ち、自己拡張アンカ部材24との接触に起因する膨張可能バルーン62の膨張可能区分55への損傷のリスクを最小化するために、膨張可能バルーン62の膨張可能区分55の放射線不透過性マーカ32または自己拡張アンカ部材24のいずれかとの重複を回避することが、望ましくあり得る。
【0030】
本明細書に議論される膨張可能バルーン実施形態62の寸法に関して、膨張可能バルーン62の作業長さおよび全長の両方が、考慮され得る。作業長さは、膨張可能バルーン62の全直径長さ部分に沿って延び、膨張可能バルーン62の外面は、膨張可能バルーンが膨張状態にあるとき、管腔内プロテーゼ12の内面に接触し、それに対して外向き圧力を加えるように構成される。全長は、膨張可能バルーン62の一方または両方の端部におけるテーパ状円錐形タイプ区分を含む、膨張可能区分55の全てを含む。本明細書における議論を目的として、膨張可能バルーン62の作業長さは、
図11の矢印51によって示され、膨張可能バルーン62の全長は、矢印53によって示される。
【0031】
いくつかの実施形態に対して、膨張可能バルーン62は、約10mm~約26mmの外側横断寸法/直径、および約15mm~約50mm、より具体的には、約15mm~約40mmの作業長さを含み得る。いくつかの実施形態は、約15mm~約25mm、より具体的には、約18mm~約22mmの作業長さを含み得る。いくつかの場合、実質的に非伸縮性の材料から作製される膨張可能バルーン実施形態62は、約26mmの内側管腔直径を伴う管状主要グラフト部分を有する管腔内プロテーゼ12との使用のために、約26mmの外径を有し得る。実質的に非伸縮性の材料から作製されるいくつかの膨張可能バルーン実施形態62は、約15mm~約22mmの内側管腔直径を伴う主要グラフト部分を有する管腔内プロテーゼ実施形態12との使用のために、約15mm~約22mmの外径および約16mm~約20mmの軸方向長さを有し得る。いくつかの場合、約16mm~約19mmの外径および約16mm~約20mmの作業長さを有する、伸縮性材料から作製される膨張可能バルーン62が、約26mmの内側管腔直径を伴う主要グラフト部分を伴う管腔内プロテーゼ12を有する送達システム実施形態10と共に使用され得る。いくつかの膨張可能バルーン実施形態62は、約18mm~約21mmの作業長さ、約32mm~約38mmの全長、および約15mm~約26mmの外径を有し得る。膨張可能バルーン62のいくつかの実施形態は、約16mm~約20mmの外径、約16mm~約20mmの作業長さ、および約32mm~約38mmの全長を伴う伸縮性材料から作製され得る。そのような膨張可能バルーン実施形態62は、いくつかの場合、約15mm~約26mmの内側管腔直径を有する管腔内プロテーゼ12と共に使用され得る。
【0032】
膨張可能バルーン62と管腔内プロテーゼ12の主要グラフト部分24との間の最近位接触点を近位に越えた主要管腔チャネル18の中への膨張可能バルーン62の包含を最小化するために、いくつかの場合、バルーン62の近位端表面70が比較的に平坦であるか、または180度に近い円錐角を有することが、望ましくあり得る。いくつかの実施形態に対して、膨張可能バルーン62は、約160度~約180度の(
図11に示されるような)円錐角72を伴う近位端表面70を有し得る。いくつかの実施形態は、約120度~約160度、より具体的には、約125度~約135度の円錐角72を有し得る。いくつかの実施形態は、約80度~約120度、より具体的には、約80度~約100度、およびさらにより具体的には、約90度~約98度の円錐角72を有し得る。
【0033】
いくつかの膨張可能バルーン実施形態62に対して、膨張可能バルーン62の壁材料は、伸縮性材料を含み得、他の実施形態に対して、膨張可能バルーン62の壁材料は、実質的に非伸縮性の材料を含み得る。いくつかの膨張可能バルーン実施形態62はまた、伸縮性および実質的に非伸縮性の材料の両方を含み得る材料の複数の層を伴う積層体構造を含み得る。いくつかの場合、膨張可能バルーン62の壁材料は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、Nylon(登録商標)等のポリアミド、Pebax(登録商標)等のポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、およびポリ塩化ビニル(PVC)等、もしくはそれらの任意の組み合わせ等の材料を含み得る。本明細書に議論される膨張可能バルーン実施形態のいずれかは、約0.001インチ~約0.003インチのバルーン材料の二重壁厚さを含み得る。いくつかの膨張可能バルーン実施形態62は、約0.0005インチ~約0.002インチ、より具体的には、約0.00075インチ~約0.0015インチの二重壁厚さを有し得る。二重壁厚さは、膨張可能バルーン62の壁の2つの厚さの厚さを測定することから導出される測定値である。このように、膨張可能バルーン62の壁厚さは、膨張可能バルーン62を完全に保ちながら測定され得る。
【0034】
送達カテーテル14は、細長い管状形状および薄い壁を伴う外側シース74を有し得、それは、細長いシャフト36および管腔内プロテーゼ12の上に配置される。外側シース34は、細長いシャフトおよび管腔内プロテーゼに対してスライドし、拘束状態の間、管腔内プロテーゼ12を取り外し可能に覆うように構成され得る。送達カテーテル14は、近位ノーズコーン76も含み得、ノーズコーン76は、弾丸形外形、および後退可能外側シース74の内側管腔表面をスライド式に受け入れるように構成され得る外面を有する肩部部分を有し得る。
【0035】
本明細書に議論される送達システムおよび方法実施形態10は、1つ以上の膨張可能部分を含む管腔内プロテーゼ実施形態12に対して特に有用であり得る。本明細書に議論されるシステムおよび方法によって展開され得るそのような膨張可能管腔内プロテーゼ実施形態12は、M.Chobotov、他によって2002年12月20日に出願され、「Advanced Endovascular Graft」と題された、米国特許第7,147,660号(本明細書に参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に議論されている。
【0036】
いくつかの実施形態に対して、管腔内プロテーゼのグラフト部分16の随意の膨張可能部分80は、1つ以上の膨張可能カフ82、および/または、主要グラフト部分および脚部84(
図34の実施形態に示される分岐脚部参照)の可撓性材料から形成される1つ以上の膨張可能チャネル(図示せず)を含み得る。示される実施形態に対して、膨張可能カフ82は、主要グラフト部分16の近位部分上に配置される。充填管69がまた、管腔内プロテーゼ12の膨張可能部分80の充填ポート88(
図9に示される)の遠位端に結合され、それと流体連通するように構成され得る。充填管69はまた、膨張ポート88から結合解除され得る。充填管の外側横断寸法は、充填ポート88の内側管腔内にスライドし、粘性流体に対するシールをそれらの間に提供するように構成され得る。そのような実施形態に対して、送達カテーテル14は、細長いシャフト36内で細長いシャフト36の近位区分から遠位区分に軸方向に延びている充填管腔64を含む充填管69を含み得る。
【0037】
いくつかの場合、本明細書に議論される送達システム実施形態10は、半径方向に拘束される状態において、送達カテーテル14の近位区分38上に解放可能に配置されるステントグラフト等の管腔内プロテーゼ12を伴う送達カテーテル14を含み得る。そのような送達カテーテル14は、2004年7月15日に公開され、Chobotov他によって2003年10月16日に出願され、「Delivery System and Method for Bifurcated Graft」と題された、共同所有である米国特許出願公開第2004/0138734号および2002年10月24日に公開され、Chobotov他によって2001年4月11日に出願され、「Delivery
System and Method for Bifurcated Graft」と題された、PCT国際出願第WO 02/083038号(そのそれぞれが、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に議論される送達システムの特徴、寸法、または材料のいくつかもしくは全てを含み得る。
【0038】
本明細書に議論される管腔内プロテーゼ12または任意の他のプロテーゼは、Chobotov他によって2008年10月3日に出願され、「Modular Vascular Graft for Low Profile Percutaneous Delivery」と題された、共同所有である米国特許公開第2009/0099649号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に議論されるプロテーゼの特徴、寸法、または材料のいくつかもしくは全てを含み得る。
【0039】
いくつかの展開方法に対して、ステントグラフトの完全展開に先立って、部分的に展開されたステントグラフト12を正確に可視化するために、放射線不透過性マーカ32(共通平面内に置かれる、円周方向に配置される放射線不透過性マーカ等)を含み得る管腔内プロテーゼ12の一部(アンカ部材部分24と主要グラフト部分16との間の界面部分等)を半径方向に拡張させることが、役に立ち得る。そのような場合、円周方向に配置される放射線不透過性マーカ32を、それらが半径方向に拘束される状態において占有する位置から、管腔内プロテーゼ12が展開されている血管9の内面に比較的に近接近する位置に、外向き方向において半径方向に拡張させることが、役に立ち得る。そのような展開プロトコルは、ステントグラフト12のグラフト部分16の近位端においてコネクタリング構造を含まないステントグラフト等の管腔内プロテーゼ実施形態12に対して特に有用であり得る。これは、自己拡張タイプコネクタリングが、いくつかの場合、近位自己拡張アンカ部材24の遠位部分が解放された後、ステントグラフトのグラフト部分の近位端またはフラップの外向き半径方向拡張を補助するために有用であり得るからである。自己拡張コネクタリングを有していないいくつかの管腔内プロテーゼ実施形態12に対して、ステントグラフトのグラフト部分16の近位端またはフラップ20は、約10mmほどしか開放しないこともあり、それは、展開中、放射線不透過性マーカ32の視差の観察を使用する正確な撮像および位置付けに役立たないこともある。
【0040】
本明細書に議論される送達システム実施形態10および110の使用に関して、管腔内プロテーゼ12を展開することは、細長いシャフト36と、細長いシャフト36に解放可能に固定されている管腔内プロテーゼ12とを含む、送達システム10を患者の脈管の中に前進させることを含み得る。方法はまた、送達カテーテル14の外側シース74を後退させること等によって、管腔内プロテーゼ12のグラフト部分16から外側拘束を解放することを含み得る。次いで、第1の遠位解放可能ベルト46および第2の遠位解放可能ベルト48を解放し、自己拡張アンカ部材24が部分的に展開することを可能にすることによって、外側半径方向拘束が、(
図9に示されるように)管腔内プロテーゼ12の自己拡張アンカ部材24から部分的に解放され得る。その後、膨張可能バルーン62に隣接して配置される管腔内プロテーゼ12のグラフト部分16の一部を半径方向に拡張させるために、膨張可能バルーン62が、膨張させられ、半径方向に拡張され得る。いくつかの場合、膨張可能バルーン62は、管腔内プロテーゼ12のグラフト部分16の主要内側管腔18内に配置され、膨張可能バルーン62の近位端は、自己拡張アンカ部材24に隣接するが、その遠位に配置され得る。いくつかの場合、膨張可能バルーン62は、管腔内プロテーゼ12のグラフト部分16の主要内側管腔18内に配置され、膨張可能バルーン62の近位端は、管腔内プロテーゼ12のグラフト部分の近位縁20に隣接して円周方向に配置され得る複数の放射線不透過性マーカ32に隣接するが、その遠位に配置され得る。自己拡張アンカ部材24に対する外側半径方向拘束が、次いで、管腔内プロテーゼ12の自己拡張アンカ部材24を完全に展開するように、完全に解放され得る。
【0041】
いくつかの場合、膨張可能バルーン62を膨張させ、半径方向に拡張させることは、膨張可能バルーン62に隣接するグラフト部分16の外面が、患者の脈管8の内面と接触させられるまで、外向き半径方向力を管腔内プロテーゼ12のグラフト部分16の主要内側管腔18の内面上に加えるように膨張可能バルーン62を膨張させ、半径方向に拡張させることを含み得る。生理食塩水または他の膨張流体が、次いで、細長いシャフト36の膨張管腔60を通して注入され、所望の圧力において膨張可能バルーン62の内部容積に進入し得る。いくつかの場合、膨張可能バルーン62を膨張させることは、膨張管腔60内で約3psi~約9psiの圧力において、およびいくつかの場合、最大約1気圧の圧力まで、生理食塩水等の滅菌非圧縮性流体を用いて膨張可能バルーン62の内部容積を膨張させることを含む。加圧生理食塩水は、Endoflator(登録商標)または標準シリンジ等のデバイスを用いて、膨張デバイスを遠位アダプタ54上のルアータイプコネクタ等のコネクタに結合することによって注入され得る。いくつかの事例では、膨張可能バルーン62の内部容積は、蛍光透視法等を使用して、膨張させられた、もしくは部分的に膨張させられた膨張可能バルーン62を撮像する能力を改良するために、生理食塩水および造影剤の混合物を用いて膨張させられ得る。いくつかの実施形態に対して、約25%の造影剤および約75%の生理食塩水の混合物が、使用され得、他の実施形態では、約20%の造影剤および約80%の生理食塩水の混合物が、使用され得る。いくつかの膨張可能バルーン実施形態62の膨張に関して、膨張可能バルーン62の内部容積は、約6ml~約20mlであり得る。
【0042】
いくつかの場合、管腔内プロテーゼ12は、自己拡張アンカ部材24を部分的に展開した後、自己拡張アンカ部材24を完全に展開する前、患者の血管9内で軸方向に再位置付けされ得る。そのような場合、管腔内プロテーゼ12を再位置付けすることに先立って、膨張可能バルーン62を収縮させることが、望ましくあり得る。膨張可能部分80を含む管腔内プロテーゼ実施形態12に対して、患者の血管9の内面への膨張可能カフ82(存在する場合)のシールおよび共形化を促進するために、膨張可能バルーン62の膨張後に管腔内プロテーゼ12の膨張可能部分80を膨張させることも、望ましくあり得る。そのような場合、膨張可能バルーン62の(矢印51によって示されるような)作業長さが膨張可能カフ82と軸方向に同じ広がりをもって位置付けられることが、望ましくあり得る。そのような実施形態に対して、膨張に応じて膨張可能バルーン62の外面によって与えられる外向き半径方向力が、患者の脈管9の内側管腔表面に対する1つ以上の膨張可能カフ82のシールおよび並置を補助するために有用であり得る。いくつかの場合、膨張可能バルーン62は、自己拡張アンカ部材24を同様に拡張させることなく、1つ以上の膨張可能カフ実施形態82を外向き半径方向に拡張させるために使用され得る。いくつかのそのような実施形態に対して、膨張可能バルーン62が、第1の膨張可能カフ82と軸方向に同じ広がりをもち、それと軸方向に重複するが、同一の管腔内プロテーゼ12の第2の膨張可能カフ82と軸方向に同じ広がりをもたないか、またはそれと軸方向に重複しないように配置されるように管腔内プロテーゼ12内に配置される、本明細書に議論されるような膨張可能バルーン62を有することが、望ましくあり得る。
【0043】
いくつかの展開方法実施形態に対して、円周方向に配置される放射線不透過性マーカ32と交差する仮想平面が、円周方向に配置される放射線不透過性マーカ32の位置において標的血管9の縦方向軸に直交するように、展開に先立って管腔内プロテーゼ12を整列させることが、望ましくあり得る。本明細書に議論される任意の好適なシステムまたはその構成要素と共に使用され得る展開デバイス、整列デバイス、放射線不透過性マーカ32、送達方法等の例が、M.Chobotov他によって2011年2月9日に出願され、「Fill Tube Manifold and Delivery Methods
for Endovascular Graft」と題された、共同所有である米国特許出願第2011/0218609号、ならびにJ.Watson、他によって2013年3月15日に出願され、「Delivery Catheter for Endovascular Device」と題された、米国特許公開第2013/0268048号、D.Parsons、他によって2013年3月13日に出願され、「Durable Stent Graft with Tapered Struts and Stable Delivery Methods and Devices」と題された、米国特許公開第2013/0268044号(それらの各々は、本明細書に参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に見出され得る。
【0044】
上で議論される送達システム実施形態10のいずれかに対して、膨張可能バルーン62の実施形態は、膨張状態にあるとき、約25~約27mmの軸方向長さおよび約16mm~約18mmの横断直径を有し得る。そのような膨張可能バルーン62は、約0.014インチ~約0.016インチの内側横断管腔直径を有する膨張管腔60を通して膨張させられ得る。
【0045】
上で議論される送達システム10の実施形態のいずれかに対して、膨張可能バルーン62は、約25mm~約26mmの外径および約25mmの軸方向長さを伴うウレタン等の伸縮性材料から作製され得る。そのようにサイズを決定された膨張可能バルーン62は、26mmの内側管腔直径を有する管腔内プロテーゼ12(TriVascular,Inc.(Santa Rosa,CA)によって製造されるOvation(登録商標)タイプステントグラフトデバイスを含む)の送達に対して有用であり得る。膨張可能バルーン62は、紫外線硬化接着剤を用いて、管腔内プロテーゼ12の主要グラフト区分16の近位端または近位フラップ20に近接する細長いシャフト36に接合または別様に固定され得る。膨張可能バルーン62に対する約25mmの軸方向長さは、いくつかの実施形態では、膨張可能バルーン62が管腔内プロテーゼ12のグラフト区分16の遠位区分に配置される膨張可能カフ82に軸方向に重複することを可能にするために十分であり得る。そのような実施形態に対して、膨張可能バルーン62が主要グラフト部分16の近位端20に隣接する放射線不透過性マーカ32に軸方向に重複しないことが、望ましくあり得る。バルーン実施形態の近位端面70は、平坦であるか(つまり、約180度の円錐角72を伴う)、またはさらには張り出し得る。
【0046】
膨張可能バルーン62のための膨張管腔60は、生理食塩水等の高流量流体を使用して、約15秒等の数秒で膨張可能バルーン62の充填を可能にするために、約0.01インチ~約0.02インチの内側管腔直径を伴うポリイミド等の薄い壁材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、膨張管腔60は、膨張可能バルーン62のより迅速な充填および膨張を可能にするために、約0.020インチ~約0.025インチの内側管腔直径を有し得る。そのような膨張可能バルーン実施形態62の膨張は、遠位アダプタ54上のルアータイプ継手に接続されるシリンジ(図示せず)を用いて実行され得る。
【0047】
使用時、第1の遠位解放可能ベルト46および第2の遠位解放可能ベルト48を固定する解放ワイヤ52が、これらの解放可能ベルトを展開するように後退させられた後、膨張可能バルーン62は、シリンジ等を用いて手で膨張させられ得る。いくつかの場合、膨張可能バルーン62は、最初に、この解放ワイヤ52の解放に先立って、約8mmの外側寸法または外径まで膨張させられ得る。いくつかの場合、膨張可能バルーン62は、管腔内プロテーゼ12のグラフト部分16の近位端または近位フラップ20およびそれに隣接して配置される放射線不透過性マーカ32が、処置されている血管9の壁のほぼ内面まで、半径方向に外向き方向に拡張されるまで膨張させられ得る。いくつかの事例では、膨張可能バルーン62は、この解放ワイヤ52の解放後、約15mmの外側横断寸法または外径まで膨張させられ得る。患者の腎動脈92(または任意の他の好適な基準点)に対して軸方向に管腔内プロテーゼ12を正確に位置付けた後、他の解放ワイヤ50も、後退させられ、近位自己拡張アンカ部材が、完全に展開され得る。
【0048】
膨張可能バルーン62は、次いで、管腔内プロテーゼ12の随意の膨張可能部分80を膨張させることに先立って、収縮させられ得る。いくつかの事例では、管腔内プロテーゼ12の膨張可能部分80は、膨張可能バルーン62が依然として膨張させられている間に膨張させられ得る。そのような場合に対して、膨張可能バルーン62が、管腔内プロテーゼ12の随意の膨張可能部分80の中に注入されている充填材料の膨張圧力を下回る内部膨張圧力に維持されることが、望ましくあり得る。管腔内プロテーゼ12の膨張可能部分80の膨張後、充填管69は、嵌合解除され、送達カテーテル14の細長いシャフト36は、管腔内プロテーゼ12内から遠位方向に抜去され得る。展開中に管腔内プロテーゼ12のグラフト部分16に外向き半径方向力を加えるために膨張可能バルーン62を使用することは、展開プロセス中にタイプIエンドリーク(存在する場合)を排除することにおいても有用であり得る。これは、管腔内プロテーゼ12のグラフト部分16上に随意の膨張可能カフ82を含む実施形態に対して特に当てはまり得る。
【0049】
いくつかの場合、管腔内プロテーゼ12の膨張可能部分80は、重合性または硬化性充填材料等の充填材料を用いた膨張可能部分80の充填の開始後、事前決定された時間量にわたって充填管腔69に結合されたままである。事前決定された時間が経過した後、膨張可能バルーン62は、次いで、両方の随意の膨張可能カフ82を横断して位置付けられ、約3psi~約6psi等の好適な膨張圧力まで膨張させられ得る。いくつかの場合、充填されたカフ82を外向き半径方向に拡張させるように膨張可能バルーンを膨張させることに先立つ事前決定された経過時間量は、約14分、いくつかの事例では、厳密に14分であり得る。そのような手技は、エンドリークを解決するために有用であり得る。解決されると、または他の適切なエンドポイントが達成されると、膨張可能バルーン62は、収縮させられ、充填管69は、管腔内プロテーゼ12の膨張可能部分80の充填ポートから嵌合解除され得る。
【0050】
いくつかの実施形態に対して、拡張状態におけるときに約29mmの内径を伴うグラフト部分16と、拡張状態におけるときに約34mmの外径を有する近位自己拡張アンカ部材24とを有するステントグラフトの形態における管腔内プロテーゼ12が、約15フレンチの外径を伴う外側シースを有する送達カテーテルの中に装填され得る。この組み合わせは、外側シース74のシースを抜く移動に対して約18ポンドの外側シース後退力をもたらした。この特定の例では、近位自己拡張アンカ部材24の遠位部分の解放およびバルーンの初期膨張後に達成された半径方向拡張は、約10mm~約17mm×約11mmであった。膨張可能バルーン62はまた、最終的に、約20mmの外径および約7mmの軸方向長さの膨張寸法を達成するテーパ状構成を有していた。この膨張可能バルーンは、約0.015インチの内径を有する膨張管腔60を通して充填するために、約1分かかった。送達カテーテル14は、クロスオーバ管腔を含んでいなかった。
【0051】
いくつかの実施形態に対して、拡張状態におけるときに約26mmの内径を伴うグラフト部分16と、拡張状態におけるときに約34mmの外径を有する近位自己拡張アンカ部材24とを有するステントグラフトの形態における管腔内プロテーゼ12が、約15フレンチの外径を伴う外側シース74を有する送達カテーテル14の中に装填され得る。この組み合わせは、外側シース74のシースを抜く移動に対して約7ポンドの外側シース後退力をもたらした。この特定の例では、近位自己拡張アンカ部材24の遠位部分28の解放およびバルーン62の初期膨張後に達成された半径方向拡張は、約10mm~約25mmであった。膨張可能バルーン62はまた、最終的に、約20mmの外径および約7mmの軸方向長さの膨張寸法を達成するテーパ状構成を有していた。この膨張可能バルーンは、手動注入によって約0.02インチの内径を有する膨張管腔60を通して約5mlの生理食塩水を充填するために、約16秒かかった。送達カテーテル14は、クロスオーバ管腔を含んでいなかった。
【0052】
いくつかの実施形態に対して、拡張状態におけるときに約26mmの内径を伴うグラフト部分16と、拡張状態におけるときに約34mmの外径を有する近位自己拡張アンカ部材24とを有するステントグラフトの形態における管腔内プロテーゼ12が、約15フレンチの外径を伴う外側シース74を有する送達カテーテル14の中に装填され得る。この組み合わせは、外側シース74のシースを抜く移動に対して約9ポンドの外側シース後退力をもたらした。この特定の例では、近位自己拡張アンカ部材24の遠位部分の解放およびバルーン62の初期膨張後に達成された半径方向拡張は、約10mm~約19mm、最終的に、最大膨張において約25mmまでであった。膨張可能バルーン62はまた、最終的に、約20mmの外径および約7mmの軸方向長さの膨張寸法を達成するテーパ状構成を有していた。この膨張可能バルーンは、手動注入によって約0.025インチの内径を有する膨張管腔を通して約6mlの生理食塩水を充填するために、約15秒かかった。送達カテーテル14は、クロスオーバ管腔、遠位アダプタ54における充填ポートを含み、この手技中のバルーン62の後退は、許容可能であった。
【0053】
いくつかの実施形態に対して、拡張状態におけるときに約26mmの内径を伴うグラフト部分16と、拡張状態におけるときに約34mmの外径を有する近位自己拡張アンカ部材24とを有するステントグラフトの形態における管腔内プロテーゼ12が、約14フレンチの外径を伴う外側シース74を有する送達カテーテル14の中に装填され得る。この組み合わせは、外側シース74のシースを抜く移動に対して約13ポンドの外側シース後退力をもたらした。この特定の例では、近位自己拡張アンカ部材24の遠位部分の解放およびバルーン62の初期膨張後に達成された半径方向拡張は、約10mm~約20mmであった。膨張可能バルーン62はまた、最終的に、約15mmの膨張直径および約25mmの軸方向長さを達成する標準構成を有していた。この膨張可能バルーンは、約0.025インチの内径を有する膨張管腔を通して充填された。送達カテーテル14は、クロスオーバ管腔71と、遠位アダプタ54における充填ポートとを含んでいた。この特定の例は、充填中、チムニータイプグラフト90(Gore Enterprises(Flagstaff,AZ)によって製造される6mmのViabahn(登録商標)グラフト)およびBloomington(Indiana)に位置するCook Medicalによって製造される柔軟性Coda(登録商標)バルーンモデル32mmと共に使用され、膨張または収縮させられているときのCodaバルーンにいかなる溝タイプチャネルも観察されなかった。
【0054】
いくつかの実施形態に対して、拡張状態におけるときに約22mmの内径を伴うグラフト部分16と、拡張状態におけるときに約29mmの外径を有する近位自己拡張アンカ部材24とを有するステントグラフトの形態における管腔内プロテーゼ12が、約14フレンチの外径を伴う外側シース74を有する送達カテーテル14の中に装填され得る。この組み合わせは、外側シース74のシースを抜く移動に対して約15ポンドの外側シース後退力をもたらした。この特定の例では、近位自己拡張アンカ部材24の遠位部分の解放およびバルーン62の初期膨張後に達成された半径方向拡張は、約8mm~約21mmであった。膨張可能バルーンは、最終的に、約10mmの膨張直径および約15mmの軸方向長さを達成した。この膨張可能バルーン62は、約0.025インチの内径を有する膨張管腔60を通して、水を用いて約6psiの膨張圧力まで充填された。送達カテーテル14は、クロスオーバ管腔71と、遠位アダプタ54における充填ポートとを含んでいた。この特定の実施形態は、チムニータイプグラフト90(5mmのタイゴンタイプ管類)および非柔軟性バルーン62と共に使用され、充填中、良好なシールが、充填管69の嵌合解除後に作製された。
【0055】
いくつかの管腔内プロテーゼ実施形態12は、拡張状態にあるときに約26mmの内径を伴うグラフト部分16と、拡張状態にあるときに約34mmの外径を有する近位自己拡張アンカ部材24とを含み得る。そのような管腔内プロテーゼ12は、約15フレンチの外径を伴う外側シース74を有する送達カテーテル14の中に装填され得る。本実施形態のための膨張可能バルーン62は、約90Aのデュロメータを伴うポリウレタンおよび0.001インチの二重壁厚さから作製され得る。膨張可能バルーンは、約18.5mmの外径と、約20mmの作業長さと、約38mmの全長とを含み得る。膨張可能バルーン円錐角は、約92度~約96度の完全円錐角72に対して各側で約46~約48度であり得る。細長いシャフト36は、約ショア72Dのデュロメータを伴うポリウレタン材料から作製され得る。細長いシャフト36はさらに、約0.105インチの外径を有し、管腔内プロテーゼ12の全軸方向長さに延び得る。そのような実施形態は、外側シース74のシースを抜く移動に対して約11ポンドの外側シース74に関する後退力をもたらし得る。この特定の例では、近位自己拡張アンカ部材24の遠位部分の解放およびバルーン62の初期膨張後に達成される半径方向拡張は、約8mm~約20mmであり、膨張可能バルーン62の内部容積は、約10mlまで部分的に膨張させられ得る。そのような膨張可能バルーン実施形態62は、最終的に、約26mmの膨張直径を達成し得、それは、約19mlのその最大膨張容積まで充填されると、関連付けられる管腔内プロテーゼの内側管腔サイズと一致し得る。この膨張可能バルーン62は、約0.025インチの短径内側横断寸法および約0.055インチの長径内側横断寸法を有する長円形膨張管腔60を通して充填され得る。そのような膨張可能バルーン実施形態62の膨張は、手動注入によって膨張管腔を通して約19mlの4:1の生理食塩水と造影剤との混合物を充填するために、約18秒かかり得る。対応する送達カテーテル14は、クロスオーバ管腔71と、遠位アダプタ54における充填ポートとを含み得る。
【0056】
本明細書に議論される膨張可能バルーン実施形態のいずれかに対して、膨張可能バルーン62が膨張状態にある間、膨張可能バルーン62を過ぎる血液灌流を可能にするための手段(
図13および14に示される)を含むことが、望ましくあり得る。これは、胸部大動脈瘤および腹部大動脈瘤の処置を含む指示に対して適用可能であり得る。これは、より大きい胸部大動脈に対して特に当てはまり得、灌流孔と、
図13に示されるような花弁形状膨張可能バルーン62’または一緒に束ねられる
図14に示されるような複数の小さい膨張可能バルーン62’’とを含むそのような灌流手段が、展開中に管腔内プロテーゼの移動を回避するだけでなく、膨張中に血流を可能にするために有用であり得る。いくつかの実施形態に対して、シャフト36の周りに配置される花弁形状膨張可能バルーン62’または複数の小さい膨張可能バルーン62’ ’の数は、約3~約5つのバルーン62’’であり得る。
【0057】
図15-26は、動脈瘤8等の血管障害の処置のための送達システムの実施形態を図示する。送達システム実施形態110は、血管障害8の処置のための管腔内プロテーゼ12と、送達カテーテル114とを含み得る。概して、送達システム110は、上で議論される送達システム10のものと同一の、または類似する材料、寸法、および特徴を含み得る。適切である場合、同様の参照番号が、上で議論される送達システム10および送達システム110に関する同様の要素に対して使用されるであろう。示されるように、送達システム110は、送達カテーテルおよびその要素の種々の機能を促進するために、細長いシャフト136内で使用するための細長い多管腔部材165を含み得る多管腔部材165を含む。
【0058】
上で議論されるように、管腔内プロテーゼ12は、薄い可撓性材料から作製され、主要内側管腔18と、近位端20と、遠位端22とを含む、管状主要グラフト部分16を含み得る。グラフト本体は、PTFE等の可撓性かつ柔軟なグラフト材料から形成され、主要グラフト部分内に配置される主要流体流動管腔をその中に有し得る。
【0059】
いくつかの実施形態に対して、送達システム110の送達カテーテル114は、患者の脈管8内の経皮的前進のために十分な柱強度を伴う細長いシャフト136を含み、細長いシャフト136はまた、近位区分138と、遠位区分140とを有し得る。複数の解放可能ベルトが、細長いシャフト136の近位区分138上に配置され、管腔内プロテーゼの自己拡張アンカ部材を解放可能に拘束するように構成され得る。複数の適切にサイズを決定される円筒形ブッシングまたはパッド133が、拘束状態の間、自己拡張アンカ部材124またはその一部の間隔を適切にあけるために、解放可能ベルトのうちの1つ以上のものに隣接して細長いシャフトの上に固定され得る。複数の細長い解放部材が、細長いシャフト136の遠位区分と動作可能に連通して配置され得、該細長い解放部材は、各々、該解放可能ベルトが管腔内プロテーゼ112の自己拡張アンカ部材124の少なくとも一部を拘束する構成にある間、少なくとも1つのそれぞれの解放可能ベルトを解放可能に固定するように構成される近位区分を含み得る。
【0060】
そのような送達カテーテル実施形態114の細長いシャフト136は、解放部材スリーブ167内に延びている1つ以上の解放部材管腔158と、ガイドワイヤ管157内に延びているガイドワイヤ管腔156と、膨張管161内に延びている、膨張可能バルーン162の膨張のための膨張管腔160と、充填管169内に延びている、管腔内プロテーゼ112の随意の膨張可能部分を充填するための随意の充填管腔164とを含み得る。送達カテーテル実施形態114の細長いシャフト136の断面は、ガイドワイヤ管157によって包囲される解放部材管腔158およびガイドワイヤ管腔156を図示する。
【0061】
これらの管腔実施形態156、158、160、164と、管またはスリーブ実施形態157、161、167、169との各々、細長いシャフト136の遠位端における遠位アダプタ154までを含む送達カテーテル114の細長いシャフト136に沿って、またはその中をその近位区分から遠位端に軸方向に延び得る。いくつかの場合、解放部材(図示せず)は、遠位アダプタ154上に配置されるそれぞれの展開ノブ166に結合され得る。
【0062】
細長いシャフト136と一体的に形成され得る膨張可能バルーン62は、管腔内プロテーゼ112の管状主要グラフト部分116の主要内側管腔118内で送達カテーテル114の細長いシャフト136に動作可能に固定され得る。いくつかの事例では、膨張可能バルーン62は、膨張可能バルーン62の膨張可能区分55の近位端68が放射線不透過性マーカ132に隣接するが、その遠位に位置付けられる軸方向位置において配置され得、
図23に示される矢印55’によって示され、かつ
図3および10に示される構成に関して上記により詳細に議論されるように、最大約5mm、いくつかの場合、最大約2mmの随意の軸方向間隙をその間に伴う。いくつかの場合、膨張可能バルーン62は、膨張可能バルーン62の膨張可能区分55の近位端68が自己拡張アンカ部材124等の自己拡張アンカ部材構造の遠位に配置される軸方向位置において、非展開拘束の管腔内プロテーゼ112内に配置され得る。膨張可能バルーン62の膨張可能区分55も、その膨張可能区分55の近位端68がコネクタリング等、管腔内プロテーゼ112のアンカ部材部分を管腔内プロテーゼ112の主要グラフト部分116に固定することに関連付けられ得る任意の他の高強度の弾力的な構造に隣接するが、その遠位に配置される状態で、配置され得る。上で議論されるように、いくつかの場合、最大5mm、より具体的には、最大約2mmの随意の軸方向間隙が、膨張可能区分55の近位端68と自己拡張アンカ部材124の遠位端との間に存在し得る。
【0063】
いくつかの実施形態に対して、膨張可能バルーン62は、約80度~約120度、より具体的には、約80度~約100度、およびさらにより具体的には、約90度~約98度の(
図11に示されるような)円錐角72を伴う近位端表面70を有し得る。膨張可能バルーンの全直径長さ(
図11の矢印51によって示される)は、
図23に示されるように、全直径区分の各それぞれの近位端および遠位端と軸方向に同じ広がりをもって配置される放射線不透過性マーカ135の対を用いて、蛍光透視撮像等下の撮像のために、示され得る。これらのマーカ1は、膨張可能バルーン62を以下に議論される管腔内プロテーゼ112の膨張可能カフ182等の管腔内プロテーゼ112の構造と軸方向に整列させるために、ある状況において有用であり得る。
【0064】
送達カテーテル114は、細長い管状形状および薄い壁を伴う外側シース174を有し得、それは、細長いシャフト136および管腔内プロテーゼ112にわたって配置される。外側シース174は、拘束状態の間、管腔内プロテーゼ112を取り外し可能に覆うように、細長いシャフトおよび管腔内プロテーゼに対してスライドするように構成され得る。送達カテーテル114はまた、弾丸形外形、および後退可能外側シース174の内側管腔表面をスライド式に受け取るように構成され得る外面を有する肩部部分を有し得る近位ノーズコーン176を含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態に対して、管腔内プロテーゼのグラフト部分116の随意の膨張可能部分180が、主要グラフト部分および脚部84(
図34の実施形態に示される分岐脚部参照)の可撓性材料から形成される1つ以上の膨張可能カフ182および/または1つ以上の膨張可能チャネル(図示せず)を含み得る。充填管169がまた、管腔内プロテーゼ12の膨張可能部分80の充填ポート88(
図9に示される)の遠位端に結合され、それと流体連通するように構成され得る。充填管169はまた、膨張ポート88から結合解除され得る。充填管の外側横断寸法は、充填ポート88の内側管腔内にスライドし、粘性流体に対するシールをその間に提供するように構成され得る。そのような実施形態に対して、送達カテーテル114は、細長いシャフト136内で細長いシャフト136の近位区分から遠位区分に軸方向に延びている充填管腔164を含む充填管169を含み得る。
【0066】
いくつかの場合、膨張可能バルーン62を膨張させ、半径方向に拡張させることは、膨張可能バルーン62に隣接するグラフト部分116の外面が、患者の脈管8の内面と接触させられるまで、外向き半径方向力を管腔内プロテーゼ112のグラフト部分116の主要内側管腔118の内面に加えるように膨張可能バルーン62を膨張させ、半径方向に拡張させることを含み得る。生理食塩水または他の膨張流体が、次いで、細長いシャフト136の膨張管腔160を通して注入され、所望の圧力において膨張可能バルーン62の内部容積に進入し得る。いくつかの場合、膨張可能バルーン62を膨張させることは、膨張管腔60内で約3psi~約9psiの圧力において、およびいくつかの場合、最大約1気圧の圧力まで、生理食塩水等の滅菌非圧縮性流体を用いて膨張可能バルーン62の内部容積を膨張させることを含む。加圧生理食塩水は、Endoflator(登録商標)または標準シリンジ等のデバイスを用いて、膨張デバイスを遠位アダプタ154上のルアータイプコネクタ等のコネクタに結合することによって注入され得る。いくつかの事例では、膨張可能バルーン62の内部容積は、蛍光透視法等を使用して、膨張させられた、または部分的に膨張させられた膨張可能バルーン62を撮像する能力を改良するために、生理食塩水および造影剤の混合物を用いて膨張させられ得る。
【0067】
膨張可能バルーン62のための膨張管腔160は、長円形横断面を有する内側管腔を伴うポリイミド等の薄い壁材料から作製され得る。上で議論されるように、いくつかの長円形膨張管腔実施形態160は、約0.055インチ~約0.060インチの長径内側横断寸法および約0.024インチ~約0.028インチの短径内側横断寸法を有し得る。そのような膨張可能バルーン実施形態62の膨張は、遠位アダプタ154上のルアータイプ膨張ポート継手180に接続されるシリンジ(図示せず)を用いて実行され得る。送達カテーテル114はさらに、クロスオーバ管腔182と、遠位アダプタ154における充填管169と連通する充填ポート184とを含み得る。
【0068】
図27-29および31-33は、ガイドワイヤ管57を収容するガイドワイヤ管管腔実施形態57A、57A’、および57A’’の種々の実施形態を含む、いくつかの多管腔部材実施形態65、65’、および65’’を図示する。解放ワイヤスリーブ管腔実施形態67A、67A’、および67A’’が、解放ワイヤスリーブ67を収容し得る。多管腔部材実施形態65、65’、および65’’は、いくつかの場合、細長い多管腔部材実施形態として構成され得る。解放ワイヤスリーブ実施形態67A、67A’、および67A’’はまた、いくつかの場合、クロスオーバ部材71を収容するように構成され得る。加えて、それぞれの多管腔部材実施形態65、65’、および65’’の充填管管腔実施形態69A、69A’、および69A’’は、充填管69を含むために、または包囲するために使用され得る。充填管69は、典型的には、管腔内プロテーゼ12の遠位端におけるポートに結合するので、前述の要素を含む多管腔部材実施形態は、典型的には、送達システム14上で管腔内プロテーゼ12の遠位に配置されるであろう。
【0069】
いくつかの方法実施形態では、
図34および35に示されるように、大動脈管腔内プロテーゼ12の展開に先立って、患者の腎動脈92(または任意の他の好適な大動脈の側枝動脈およびSMAもしくは腹腔動脈等の大動脈の下流血管)と大動脈との間で流体連通する「チムニー」タイプ管腔内プロテーゼ90を展開することが、望ましくあり得る。そのような方法では、特に、膨張可能管腔内プロテーゼが大動脈内で使用されている場合、膨張可能バルーン62は、チムニープロテーゼ90の外面と、主要グラフト部分16の外面と、管腔内プロテーゼ12と、処置されている患者の血管9の内面との間に増強されたシールを提供し得る。そのような増強されたシールは、これらのプロテーゼ12の展開中、これらの表面間に形成されている溝タイプチャネルによって引き起こされる漏出を低減させ、または防止し得る。いくつかのそのようなチムニーグラフト展開実施形態に対して、非伸縮性材料から作製される膨張可能バルーン実施形態62は、これらの管腔内プロテーゼ12の展開中、これらの表面間に形成される溝タイプチャネルを排除するためにより有用であり得る。
【0070】
本明細書に参照される各特許、特許出願、公開、および文書の全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる。上記の特許、特許出願、公開、および文書の引用は、前述のいずれかが関連する従来技術であることを承認するわけではなく、また、これらの公開または文書の内容もしくは日付に関するいずれの承認も構成しない。
【0071】
修正が、議論される実施形態の基本的側面から逸脱することなく前述に成され得る。実施形態が、1つ以上の具体的実施形態を参照して実質的に詳細に説明されたが、当業者は、変更が本願に具体的に開示される実施形態に成され得るが、これらの修正および改良は本開示の範囲ならびに精神内であることを認識するであろう。
【0072】
本明細書に好適に例証的に説明される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素の不在下で実践され得る。したがって、例えば、本明細書の各事例において、用語「~を備えている」、「~から本質的に成る」、および「~から成る」のいずれかは、他の2つの用語のいずれかと置換され得る。採用されている用語および表現は、限定ではなく、説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用は、示され、説明される特徴の任意の均等物またはその一部を除外せず、種々の修正が、可能である。用語「a」または「an」は、要素のうちの1つまたは要素のうちの1つを上回るものいずれかが説明されていることが文脈上明確でない限り、これが修飾する要素のうちの1つまたは複数の要素を指し得る(例えば、「試薬(a reagent)」は、1つ以上の試薬を意味し得る)。したがって、実施形態は、代表的実施形態および随意の特徴によって具体的に開示されたが、本明細書に開示される概念の修正および変形例が、当業者によって用いられ得、そのような修正ならびに変形例は、本開示の範囲内であると見なされることを理解されたい。
【0073】
ある実施形態が、以下の請求項に記載される。