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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】媒体のレベルを検出するための装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/263 20220101AFI20230630BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20230630BHJP
【FI】
G01F23/263
B32B7/025
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020502331
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 IB2018055204
(87)【国際公開番号】W WO2019016660
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】102017000082600
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518314084
【氏名又は名称】エルテック・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】ELTEK S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100210701
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 義則
(72)【発明者】
【氏名】マウロ・ゾルゼット
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジョ・マルティネンゴ
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/181770(WO,A2)
【文献】特開2017-004747(JP,A)
【文献】登録実用新案第3149217(JP,U)
【文献】特表2014-508566(JP,A)
【文献】特開2015-163871(JP,A)
【文献】特開2017-014406(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139931(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/26-23/263
B32B 7/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(1)に含まれる媒体のレベルを検出するための容量性レベルセンサ装置であって、前記装置(10)は、少なくとも部分的に電気絶縁材料で作られた前記容器(1)の壁(5)に対して実質的に静止する位置で、前記容器(1)の外側に設置されるように構成され、
前記装置(10)は、少なくとも部分的に電気絶縁材料で作られた外側ケーシング(30)を備える本体(14、15)を有し、
前記装置(10)は、レベル検出軸(X)に実質的に沿って長手方向に延びる、回路支持体(20)を備え、前記回路支持体(20)は、第1の長手方向端部と第2の長手方向端部を有し、
前記回路支持体(20)は、互いに対向する第1の長手方向主側面(20a)および第2の長手方向主側面(20a)、ならびに2つの対向する長手方向縁部(20b)を有する支持構造(20、20、20)を有し、
前記回路支持体(20)は、前記第1の長手方向端部を含むその検出領域(24)に、前記レベル検出軸(X)に沿って互いに離れた距離に設定された少なくとも1つの第1の電極(J)の第1のアレイを備える、少なくとも1つの第1の複数の第1の容量性素子を有し、前記第1の電極(J)は、導電性材料で作られ、かつ前記回路支持体(20)の前記支持構造(20、20、20)の前記第1の長手方向主側面(20a)に対応する位置に少なくとも部分的に配置され、
前記第1の電極(J)は、前記外側ケーシング(30)の前記電気絶縁材料とは異なる電気絶縁材料かつシーリング材料で作られた少なくとも2つの絶縁または保護層(20、40、40’、50;20、50;20、40、40’;40、40’、50;20;40、40’;50)で覆われ、
前記少なくとも2つの絶縁または保護層は、シリコン、またはその誘導体または化合物を含む固体材料、およびフッ素誘導体または化合物を含む固体材料から選択される固体材料で作られた層を備え、
前記少なくとも2つの絶縁または保護層のうち少なくとも1つは、前記第1の長手方向主側面(20a)、前記第2の長手方向主側面(20a)、および前記2つの対向する長手方向縁部(20b)における前記回路支持体(20)の前記支持構造(20、20、20)の前記検出領域(24)を完全に取り囲む固体である少なくとも1つの周囲絶縁または保護層(40';40、40';50;40'、50)を備え、
前記外側ケーシング(30)は、前記少なくとも1つの周囲絶縁または保護層(40';40、40';50;40’、50)を備える前記回路支持体(20)の前記支持構造(20、20、20)の上にモールドされたケーシングであり、前記外側ケーシング(30)は、前記容器(1)の前記壁(5)に面し、前記回路支持体(20)の前記支持構造(20、20、20)の前記第1の主側面(20a)に対応する部分を含む前記支持構造(20、20、20)の前記検出領域(24)の少なくとも一部分を露出させたままにするように、前記回路支持体(20)を部分的にのみ取り囲む、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの周囲絶縁または保護層(40’;40、40’;50;40’、50)は、実質的に酸化ケイ素で作られた少なくとも1つの層(50)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記実質的に酸化ケイ素で作られた少なくとも1つの層(50)は、シラザン、または、ポリシラザン、または、ペルヒドロポリシラザンを含む組成物から出発して形成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記回路支持体(20)の前記支持構造(20、20、20)は、電気絶縁材料の複数の構造層を備える多層支持構造であり、前記少なくとも2つの絶縁または保護層(20、40、40’、50;20、50;20、40、40’;40、40’、50;20;40、40’;50)は、前記回路支持体(20)の支持構造(20、20、20)に属する電気絶縁材料の前記構造層の少なくとも1つ(20)を備える、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの絶縁または保護層(20、40、40’、50;20、50;20、40、40’;40、40’、50;20;40、40’;50)は、実質的に酸化ケイ素で作られた前記周囲絶縁または保護層の1つ(50)と、前記回路支持体(20)の多層支持構造(20、20、20)に属する電気絶縁材料の前記構造層の前記少なくとも1つ(20)と、を備え、前記回路支持体(20)の多層支持構造(20、20、20)に属する電気絶縁材料の前記構造層の前記少なくとも1つ(20)は、前記第1の電極(J)と前記実質的に酸化ケイ素で作られた前記周囲絶縁または保護層の1つ(50)の中間の位置にある、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの周囲絶縁または保護層(40’;40、40’;50;40’、50)は、フルオロポリマを含む少なくとも1つの層(40’)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの周囲絶縁または保護層(40’;40、40’;50;40’、50)は、シリコンまたはその誘導体または化合物を含む固体材料で作られた少なくとも1つの層(50;20)と、フッ素誘導体または化合物を含む固体材料で作られた少なくとも1つの層を備える、請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記回路支持体(20)の前記支持構造(20、20、20)は、電気絶縁材料の複数の構造層を備える多層支持構造であり、前記少なくとも2つの絶縁または保護層(20、40、40’、50;20、50;20、40、40’;40、40’、50;20;40、40’;50)は、前記回路支持体(20)の多層支持構造(20、20、20)に属する電気絶縁材料の前記構造層の少なくとも1つ(20)をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの周囲絶縁または保護層(40’;40、40’;50;40’、50)は、シリコン、またはその誘導体または化合物を含む固体材料で作られた少なくとも1つの第1の周囲層と、フッ素誘導体または化合物を含む固体材料で作られた少なくとも1つの第2の周囲層とを備え、前記第1の周囲層および前記第2の周囲層は、共に前記第1の主側面(20a)、前記第2の主側面(20a)および前記2つの対向する長手方向縁部(20b)において前記回路支持体(20)の前記支持構造(20、20、20)の前記検出領域(24)を完全に取り囲む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも2つの絶縁または保護層(20、40、40’、50;20、50;20、40、40’;40、40’、50;20;40、40’;50)は、エポキシベースの材料で作られた少なくとも1つの層(40)を備える、請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記回路支持体(20)の前記支持構造(20、20、20)は、少なくとも部分的にエポキシベースの材料で作られる、請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記回路支持体の前記支持構造は、電気絶縁材料の複数の構造層(20、20、20)を備えた多層支持構造であり、前記第1の電極(J)は、前記多層支持構造の電気絶縁材料の前記構造層の2つ(20、20)間に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
容器(1)に含まれる媒体のレベルを検出するための容量性レベルセンサ装置を得る方法であって、前記方法は、
i)レベル検出軸(X)に実質的に沿って長手方向に延びる、電気絶縁材料で作られた回路支持体(20)を提供するステップであって、前記回路支持体(20)は、互いに対向する第1の長手方向主側面(20a)および第2の長手方向主側面(20a)、ならびに2つの対向する長手方向縁部(20b)を有する支持構造(20、20、20)を有し、その検出領域(24)に、前記回路支持体(20)の前記第1の長手方向主側面(20a)に対応する位置に電極(J)の少なくとも1つのアレイを含む複数の容量性素子を備える、ステップと、
ii)前記回路支持体(20)の前記検出領域(24)を、少なくとも2つの絶縁または保護層(20、40、40’、50;20、50;20、40、40’;40、40’、50;20;40、40’;50)で、電気絶縁材料かつシーリング材料で覆うステップであって、前記2つの絶縁または保護層の少なくとも1つは、シリコン、またはその誘導体または化合物を含む固体材料、およびフッ素誘導体または化合物を含む固体材料から選択される電気絶縁固体材料で作られており、前記少なくとも2つの絶縁または保護層は、前記第1の長手方向主側面(20a)、前記第2の長手方向主側面(20a)および前記2つの対向する長手方向縁部(20b)において前記回路支持体(20)の前記支持構造(20、20、20)の前記検出領域(24)を完全に取り囲む少なくとも1つの周囲絶縁または保護層を備える、ステップと、
iii)前記少なくとも1つの周囲絶縁または保護層をその上に有する前記回路支持体(20)の上に外側ケーシング(30)をモールドするステップであって、前記外側ケーシング(30)は、前記回路支持体(20)の前記第1の主側面(20a)を含む前記回路支持体(20)の前記検出領域(24)の少なくとも一部分を露出させたままにするように、前記回路支持体(20)を部分的にのみ取り囲む、ステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
容器(1)に含まれる媒体のレベルを検出するための容量性レベルセンサ装置であって、前記装置(10)は、少なくとも部分的に電気絶縁材料で作られた前記容器(1)の壁(5)に対して実質的に静止する位置で、前記容器(1)の外側に設置されるように構成され、
前記装置(10)は、
レベル検出軸(X)に実質的に沿って長手方向に延びる、電気絶縁材料で作られた回路支持体(20)であって、前記回路支持体(20)は、電気絶縁材料の複数の層(20、20、20)を備える多層支持構造を有し、前記多層支持構造は、2つの対向する外側主側面と2つの対向する外側副側面を有する、回路支持体(20)と、
前記回路支持体(20)の検出領域(24)にある電極または容量性素子の第1のアレイであって、電極または容量性素子の前記第1のアレイは、前記回路支持体(20)の第1の主側面(20a)に対応する位置に、少なくとも1つのシリーズの電極(J)を備える、第1のアレイと、
電気絶縁材料かつシーリング固体材料で作られた少なくとも1つの周囲保護層(40、40’;40’、50;50)と、
前記少なくとも1つの保護層(40、40’;40’、50;50)の材料とは異なる電気絶縁材料で少なくとも部分的に作られた外側ケーシング(30)を備える本体(14、15)と、を備え、
前記少なくとも1つの周囲保護層(40、40’;40’、50;50)は、実質的に酸化ケイ素の層(50)およびフルオロポリマを含む層(40’)の少なくとも一方を備え、前記電極(J)は、前記多層支持構造の電気絶縁材料の2層(20、20)の間に配置されており、前記少なくとも1つの周囲保護層(40、40’;40’、50;50)は前記2つの対向する外側主側面および前記2つの対向する外側副側面を覆うように前記回路支持体(20)の前記多層支持構造の前記検出領域(24)を完全に取り囲むか、さもなければ、
前記少なくとも1つの周囲保護層(40、40’;40’、50;50)は、フルオロポリマを含む層(40’)およびエポキシベースの材料の層(40)の少なくとも一方を備え、前記電極(J)は、前記回路支持体(20)の前記多層支持構造の外面に配置され、前記少なくとも1つの周囲保護層(40、40’;40’、50;50)は前記2つの対向する外側主側面および前記2つの対向する外側副側面を覆うように前記回路支持体(20)の前記多層支持構造の前記検出領域(24)を完全に取り囲んでおり、
前記外側ケーシング(30)は、前記少なくとも1つの周囲保護層(40’;40、40’;50;40’、50)を備える前記回路支持体(20)の前記多層支持構造の上にモールドされたケーシングであり、前記外側ケーシング(30)は、前記容器(1)の前記壁(5)に面し、前記少なくとも1つの周囲保護層のそれぞれの部分を備える前記回路支持体(20)の前記多層支持構造(20、20、20)の前記第1の主側面(20a)を含む前記検出領域(24)の少なくとも一部分を露出させたままにするように、前記回路支持体(20)を部分的にのみ取り囲む、装置。
【請求項15】
容器(1)に含まれる媒体のレベルを検出するための容量性レベルセンサ装置を得る方法であって、前記装置(10)は、少なくとも部分的に電気絶縁材料で作られた前記容器(1)の壁(5)に対して実質的に静止する位置で、前記容器(1)の外側に設置されるように構成され、
前記方法は、
i)レベル検出軸(X)に沿って長手方向に延びる、電気絶縁材料で作られた回路支持体(20)を提供するステップであって、前記回路支持体(20)は、電気絶縁材料の複数の層(20、20、20)を備える多層支持構造を有し、前記多層支持構造は、2つの対向する外側主側面および2つの対向する外側副側面を有する、ステップと、
ii)前記回路支持体(20)の検出領域(24)に電極または容量性素子の第1のアレイを提供するステップであって、電極または容量性素子の前記第1のアレイは、前記回路支持体(20)の前記多層支持構造の前記2つの対向する外側主側面(20a)のうちの第1の面に対応する位置に少なくとも1つのシリーズの電極(J)を備える、ステップと、
iii)電気絶縁材料かつシーリング固体材料で作られた少なくとも1つの周囲保護層(40’;40、40’;50;40’、50)を提供するステップと、
iv)前記少なくとも1つの周囲保護層(40、40’;40’、50;50)の材料とは異なる電気絶縁材料で少なくとも部分的に作られた外側ケーシング(30)を備える装置本体(14、15)を提供するステップと、を含み、
ステップiii)は、
実質的に酸化ケイ素の周囲層(50)およびフルオロポリマを含む周囲層(40’)の少なくとも一方を提供するステップであって、前記電極(J)は、前記多層支持構造の電気絶縁材料の2層(20、20)の間に配置され、前記少なくとも1つの周囲保護層(40、40’;40’、50;50)は前記多層支持構造の前記2つの対向する外側主側面および前記2つの対向する外側副側面を覆うように、前記多層支持構造の前記検出領域(24)を完全に取り囲むように適用されているか、さもなければ、
フルオロポリマを含む周囲層(40’)およびエポキシベースの材料の周囲層(40)の少なくとも一方を提供するステップであって、前記電極(J)は、前記回路支持体(20)の前記多層支持構造の外面に配置され、前記少なくとも1つの周囲保護層(40、40’;40’、50;50)は前記多層支持構造の前記2つの対向する外側主側面および前記2つの対向する外側副側面を覆うように、前記多層支持構造の前記検出領域(24)を完全に取り囲むように適用されている、ステップを含み、
ステップiv)は、前記少なくとも1つの周囲保護層(40’;40、40’;50;40’、50)を備える前記回路支持体(20)の前記多層支持構造に対して前記外側ケーシング(30)をオーバーモールドするステップであって、前記外側ケーシング(30)は、前記容器(1)の前記壁(5)に面し、前記少なくとも1つの周囲保護層のそれぞれの部分を備える前記回路支持体(20)の前記多層支持構造(20、20、20)の前記第1の主側面(20a)を含む前記検出領域(24)の少なくとも一部分を露出させたままにするように、前記回路支持体(20)を部分的にのみ取り囲む、ステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、流動性物質、粉末状物質、またはバルク状態の物質などの一般的な媒体のレベルを検出するためのセンサ装置に関する。本発明は、特に、車両に使用されるレベルセンサ、好ましくは、容量タイプのレベルセンサに関して開発された。
【背景技術】
【0002】
言及されたタイプのレベルセンサ装置は、例えば、本出願人の名前で出願された国際出願公開第2015/181770号から知られている。第1の実施形態によれば、国際出願公開第2015/181770号に開示される装置は、回路支持体またはPCB(プリント回路基板)が部分的に収容される検出対象の液体に浸漬される中空ケーシングを有する。回路支持体は、互いに実質的に同じであり、レベル検出軸に沿って互いに離れて支持体上に配置された金属電極によって表される容量性検出素子のアレイを担持する。中空のケーシングは、熱可塑性材料の成形によって得られる別個のコンポーネントとして構成され、その後、検出電極を担持する回路支持体の対応する部分がその中に挿入される。次に、ケーシングの空洞内に、ポリウレタン樹脂またはゲル、好ましくは、シリコーンゲルなどの非導電性の流体充填材料が導入される。
【0003】
前述の流体充填材料の存在は、主に、空洞内、特に、回路支持体間の接触領域の粗さによって決定されるマイクロキャビティおよび/または対応する電極、およびレベル測定に悪影響を与える可能性のあるケーシング内のギャップおよびエアポケットの存在を防止することを目的とする(これらの概念は、引用文献の図14および図15に示されている詳細によっても明確にされており、支持体および/または電極がケーシングと接触しており、前述の流体充填材料は絶縁層を形成しない)。
【0004】
装置の上記の実施形態は、製造プロセスが、中空ケーシングの事前の配置、ならびに中空ケーシングへの回路支持体の挿入のためのある特定の操作、およびケーシングの空洞への流体充填材料の導入のためのある特定の操作を必然的に想定しなければならないという結果をもたらす(さらに、明らかに、ケーシング本体と充填材料の供給と移動の管理)。
【0005】
第2の実施形態によれば、国際出願公開第2015/181770号は、回路支持体上のプラスチック材料の直接オーバーモールドによって形成された外側コーティングによる前述の中空ケーシングの交換を想定している。このタイプの解決策は、レベルセンサ装置全体の生産を簡素化するが、検出電極の周囲に湿度が存在すると、やがて検出精度の低下を意味する。
【0006】
実際、本出願人は、装置の使用後、外側コーティングのオーバーモールドされたプラスチック材料は、検出される液体との実質的に一定の接触のために、湿気を吸収する傾向があることに気付いた。時間の経過とともに悪影響が現れるこの湿度は、装置の耐用年数の間にすでに検出の不正確さにつながる。同じ問題は、国際出願公開第2015/181770号の前述の第1の実施形態に従って構築された装置にも存在する。その中空ケースは、対応するハウジング空洞で区切られた壁に回路支持体を押し付けるように構成されているため、電極は、壁と厳密に接触し、壁自体が時間内に湿気を吸収しやすくなる。
【0007】
容量性測定の感度は、液体が検出電極の表面に置かれた場合に最大になり、液体と電極の表面の間の距離が直線的に増加するにつれて(実質的に指数関数的に)減少する。しかしながら、液体の代わりに、一般に水蒸気または湿度が存在する場合、同じ動作が発生する。言い換えれば、中空ケーシングまたはオーバーモールドされたコーティングの材料、したがって、前述の材料と接触する電極上の湿度の存在は、液体の存在を“エミュレート”する効果があり、それにより、レベル検出精度がある程度損なわれる。
【0008】
良好なバリア特性と耐湿性の良好な特性を有するプラスチック材料を使用して、オーバーモールドコーティングを形成することができる。しかしながら、このタイプの材料は、一般に、高価であり、オーバーモールドコーティングを形成するために処理するのは困難である(装置の検出部分は、一般に、かなり長く、特定のポリマを使用したオーバーモールドの操作が困難になる)。
【0009】
本出願人はさらに、良好なバリア特性および耐湿性の良好な特性を示す特定のポリマは、モールド操作後および/または膨張および熱衝撃のためにかなりの収縮および/または寸法変形を示すという欠点があることを発見した。これは、そのようなポリマが直接オーバーモールドされる回路支持体(すなわち、対応する電気パス、および/または電極、および/または電子コンポーネント)に障害を引き起こす可能性がある。いずれにせよ、これらの材料は、検出中の液体と長時間接触すると、必然的に長期的に湿度を吸収する。
【0010】
他方、他のタイプのプラスチック材料(例えば、特定の熱可塑性ポリマ)を使用して、オーバーモールドされたコーティングを得ることができ、これはより安価で、より容易にモールド可能である。ただし、これらの材料は、一般に、耐湿性の特性が低いため、装置によるレベル検出の精度が急速に低下する。
【0011】
第3の実施形態によれば、国際出願公開第2015/181770号は、検出対象の媒体を含む容器の外側、すなわち、その側壁に、電極のアレイが壁に面するように、センサ装置を配置することを提案している。これは、したがって、電極自体を検出対象の媒体から電気的に絶縁する。この実施形態では、センサ装置10の本体は、電極が前述の側壁のそれぞれの部分に面する、および/またはそれに対して設置されるように、横方向に開いた外側ケーシングを有する。
【0012】
しかしながら、このタイプの解決策では、レベル測定の精度と信頼性に悪影響を与える可能性のある外部物質が検出電極に到達する可能性がある。このような外部物質は、環境湿度(例えば、霧の多い場所や雨、雪などがある場所で車両を使用する場合を考慮する)、またはデバイスが設置されている環境で発生する可能性のある蒸気(例えば、車両のエンジンの運転時に追従する)、または環境に存在する可能性のある他の液体で表される場合がある(装置に到達する雨水、または装置が関連付けられているタンクの補充の過程で誤って到達する他の液体など)。測定電極に到達した場合、前述の外部物質も、検出対象の媒体から装置を絶縁するケーシングによる湿度または液体の吸収に関連して前述したものに類似した悪影響を引き起こす可能性があることが理解されよう。国際出願公開第2015/181770号の第3の実施形態に係る装置で検出の不正確さを引き起こす可能性のある外部物質には、特に、小さな寸法(マイクロメートルまたはナノメートルの寸法)で、導電性材料を含む場合、摩擦材料の微粒子または粒子など、測定電極に到達する可能性のある環境に分散した粉塵、粉末、または粒子も含まれる。また、測定電極に到達する可能性のある環境の粉塵、粉末、および液体は、化学的に結合して、例えば、潜在的に腐食性の化合物または有害な化合物を生成する可能性がある。これらの粉塵および液体は、個別にまたは組み合わせて、装置の動作を変更または防止する物質または電解質を形成する可能性があり、例えば、寄生電気抵抗または電極間の短絡を引き起こす。
【発明の概要】
【0013】
上述したことを考慮して、本発明の目的は、同様の用途向けに設計された既知の装置と比較して、単純で経済的に有利な方法で構築されるが、長期にわたって、検出の精度、感度、および信頼性が向上することを特徴とする、検出対象の媒体を含む容器の外側、特に、容器の外壁に取り付けられるように設計されたタイプの容量性レベルセンサ装置を提供することである。本発明によれば、添付の特許請求の範囲に特定された特徴を有するレベルセンサ装置によって、上記およびその他の目的がさらに明確になり、これらの目的は、さらに達成される。請求項は、本発明に関連して本明細書で提供される技術的教示の不可欠な部分を形成する。
【0014】
本発明のさらなる目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、以下の説明から明らかになり、これらは、非限定的な例として純粋に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の可能な実施形態に係るレベルセンサ装置を備える一般的な容器の斜視断面図である。
図2】本発明の可能な実施形態に係るレベルセンサ装置の部分断面概略斜視図である。
図3】本発明の可能な実施形態に係るレベルセンサ装置の概略縦断面図である。
図4】本発明の可能な実施形態に係るレベルセンサ装置の概略斜視図である。
図5】本発明の可能な実施形態に係るレベルセンサ装置の概略正面図である。
図6図5の線VI-VIによる概略断面図である。
図7図5の線VII-VIIによる概略断面図である。
図8】本発明の可能な実施形態に係るレベルセンサ装置の可能な一連の組み立てを概略斜視図により示している。
図9】本発明の可能な実施形態に係るレベルセンサ装置の可能な一連の組み立てを概略斜視図により示している。
図10】本発明の可能な実施形態に係るレベルセンサ装置の可能な一連の組み立てを概略斜視図により示している。
図11】本発明の可能な実施形態に係るレベルセンサ装置の可能な一連の組み立てを概略斜視図により示している。
図12】本発明の可能な実施形態に係るレベルセンサ装置の可能な一連の組み立てを概略斜視図により示している。
図13】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図4のものと同様の概略図である。
図14】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図5のものと同様の概略図である。
図15図14の線XV-XVによる概略断面図である。
図16図14の線XVI-XVIによる概略断面図である。
図17】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図4のものと同様の概略図である。
図18】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図5のものと同様の概略図である。
図19図18の線XIX-XIXによる概略断面図である。
図20図18の線XX-XXによる概略断面図である。
図21】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図4のものと同様の概略図である。
図22】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図5のものと同様の概略図である。
図23図22の線XXIII-XXIIIによる概略断面図である。
図24図22の線XXIV-XXIVによる概略断面図である。
図25】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図4のものと同様の概略図である。
図26】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図5のものと同様の概略図である。
図27図26の線XXVII-XXVIIによる概略断面図である。
図28図26の線XXVIII-XXVIIIによる概略断面図である。
図29】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図4のものと同様の概略図である。
図30】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図5のものと同様の概略図である。
図31図30の線XXXI-XXXIによる概略断面図である。
図32図30の線XXXII-XXXIIによる概略断面図である。
図33】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図4のものと同様の概略図である。
図34】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図5のものと同様の概略図である。
図35図34の線XXXV-XXXVによる概略断面図である。
図36図34の線XXXVI-XXXVIによる概略断面図である。
図37】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図4のものと同様の概略図である。
図38】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図5のものと同様の概略図である。
図39図38の線XXXIX-XXXIXによる概略断面図である。
図40図38の線XL-XL線による概略断面図である。
図41】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図39のものと同様の概略断面図である。
図42】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図39のものと同様の概略断面図である。
図43】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図4のものと同様の概略図である。
図44】本発明のさらなる可能な実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図5のものと同様の概略図である。
図45図44の線XLV-XLVによる概略断面図である。
図46図44の線XLVI-XLVIによる概略断面図である。
図47】本発明の可能な変形実施形態に係るレベルセンサ装置に関する、図1のものと同様の図である。
図48図47に示した用途に適したレベルセンサ装置の概略斜視図である。
図49図47に示した用途に適したレベルセンサ装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本説明の枠組みにおける“一実施形態”、“一実施形態”、または“様々な実施形態”などへの言及は、実施形態に関して説明された少なくとも1つの詳細、構成、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれことを示すことを意図している。したがって、本説明の様々なポイントに存在し得る“一実施形態において”、“一実施形態において”、“様々な実施形態において”などの句は、必ずしも同一の実施形態を指すものではないが、代わりに、異なる実施形態を参照してもよい。さらに、この説明で定義された特定の立体構造、構造、または特性は、表されたものとは異なる1つまたは複数の実施形態で任意の適切な方法で組み合わせることができる。特に、図面の例を参照して、本明細書で使用される参照番号と空間参照(“上”、“下”、“上”、“下”、“前”、“後ろ”、“縦”など)は、単に便宜のために提供されているため、保護範囲または実施形態の範囲を定義しない。本説明および添付の特許請求の範囲において、一般的な用語“材料”は、多くの異なる材料の混合物、組成物、または組み合わせも含むと理解されるべきである。図では、同じ参照番号を使用して、互いに類似または技術的に同等の要素を示している。
【0017】
図1では、全体が1で示されているのは、一般的な物質の一般的な容器、特に、自動車のタンクである。容器は、例えば、液体、例えば、燃料、または水、または添加物を入れるタンクであってもよい。様々な実施形態において、容器1(以下、簡単にするため“タンク”とも定義される)は、内燃機関のシステムの動作に必要な水、または内燃機関の排気ガスの処理のためのシステムの動作に必要な添加剤または還元剤を含むように設計される。タンク1が提供するこのようなシステムは、2で示される。処理システム2は、例えば、タンク1が水を収容するADI(水アルコール噴射)システムであってもよく、そうでなければ、タンク1がAdBlue(登録商標)という名前で商業的に知られているような、水溶液中の尿素の溶液を収容するSCR(選択的触媒還元)システムであってもよい。どちらの場合も、タンク1が低温(0℃より低い温度を示す)に曝されると、液体が凍結しやすくなる。この理由から、タンク1は、ヒータ装置を備えていてもよい。しかしながら、容器1は、他の目的のために、および/または自動車のものとは異なるセクタで使用でき、異なる物質を収容するように設計できる。
【0018】
タンク1の本体1aは、任意の電気絶縁材料、特に、含まれる物質に対して化学的に耐性がある材料、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)など既知の技術による適切なプラスチック材料で作られてもよい。タンク1には、例えば、凍結の場合に、タンク自体および/またはその内容物を加熱するために使用される、それ自体既知のタイプのヒータが関連付けられている可能性がある。電気ヒータは、EHで指定されたブロックによって図に概略的に表されている。
【0019】
図示された概略的な例では、タンク1は、上部3、例えば、その上部壁を有し、開口部3aが液体物質の補充のために提供される。タンク1の下部4、例えば、その底壁は、システム2に液体を供給するために、例えば、ポンプを介して溶液が出入りするか、または引き出される出口開口部(見えない)を有する。タンク1は、本発明の様々な可能な実施形態に係るセンサ装置の本体である外側に固定された、5で示される周囲または側壁を有する。実際、様々な好ましい実施形態では、本発明に係るセンサ装置は、一般的な容器の外側に設置されるか、または少なくとも部分的に電気絶縁材料で作られた容器の壁に、好ましくは、静止する位置で(場合によっては、直接接触するか、設置される)、レベル検知を受ける媒体を含む容器の外側に設置されるように構成されるため、少なくともセンサ装置と検出対象の液体物質との間に壁が設定される。“静止”という用語は、センサ装置の構造自体が容器の前述の壁と直接接触しているという意味で理解されるべきではない。実際、様々な実施形態において、センサ装置の少なくとも一部(特に、その検知部)と容器の前述の壁との間には、好ましくは、センサ装置を容器の壁に対して所定の位置に固定または保持するように設計された、接着剤または結合剤などのさらなる材料を設置してもよい。
【0020】
全体が10で示されるセンサ装置は、特に、好ましくは、実質的に垂直であるレベル検出軸Xに従って、タンク1の外側に延びるように設計されたレベル検出部11を備える(ただし、必要に応じて、垂直に対して傾斜させることができる)。優先的に、検出部11の近位端領域は、タンク内の非常に低いレベルの液体の存在を検出できるように、底壁4に比較的近い高さでタンク1の外側に延びる。本発明に係る装置10は、タンクの外側に取り付けられるさらなる本体またはコンポーネント、例えば、少なくとも1つのヒータ装置を備えるコンポーネントを形成するか、関連付けられるか、または一体化され得ることに留意されたい。
【0021】
図2および図3では、可能な実施形態に係る装置10が、部分的に切断された斜視図および縦断面図を介して分離して示されている。例示の場合、装置10は、少なくとも1つの検出部14を備えるケーシング本体を有し、検出部14は、電気絶縁材料で作られ、装置10の検出部11に広く属する(図1)。以下に明らかになるように、前述のケーシング本体、または少なくともその検出部14の存在は、本発明の本質的な特徴を構成しない。
【0022】
様々な実施形態において、装置のケーシング本体は、
-外部システム、例えば、図1のシステム2に属する制御ユニットへの装置10の電気的接続のための接続および/または制御部15(以下、“接続部”と簡単に呼ぶ)を備える。
【0023】
様々な実施形態において、前述のケーシング本体は、例えば、図1のタンク1の周壁5の外側の動作位置に装置を固定する機能も実行するように事前に準備されている。この目的のために、様々な好ましい実施形態において、ケーシング本体は、固定要素16を有し、図1に例示されるように、好ましくは、ケーシング本体に属するコーティングと一体に形成された1つまたは複数のブラケットを備えることができる(これらのブラケット16の表示は、より明確にするために、さまざまな図では省略されている)。
【0024】
様々な実施形態において、接続および/または制御部15は、図3で部分的に見える電気端子のそれぞれの部分である概ね中空のコネクタ本体15aを備え、これらは、17で示される。様々な実施形態において、例えば、金属ストラップからのスタンピングまたは打ち抜きにより得られる端子17は、コネクタ本体15aとともに、例えば、システム2の前述の制御ユニットへの装置10の外部接続のためのインターフェースを形成する。好ましくは、各端子17は、コネクタ本体15aの空洞内に配置されるように設計された接触部、好ましくは、薄層部と、例えば、以下に説明する回路支持体または基板上に存在するそれぞれの接触要素との電気的および機械的結合のために設計された、好ましくは、狭い相互接続部とを有する。
【0025】
図2および図3には、20で全体が示されている回路支持体またはPCB(プリント回路基板)も部分的に見える。これは、図示されている非限定的な例では、少なくとも装置のケーシング本体の検出部14、および、好ましくは、接続および/または制御部15にも延びている。
【0026】
これらの図では、21および22で示されている2つの本体部は、PCB20の近位端部分を介在させて結合されている。部分22は、少なくとも部分的にオーバーモールドまたは樹脂堆積により得られる可能性がある。本体部21は、別個に成形されたハーフシェルであってもよく、その後、本体部22を提供するために、その後の樹脂堆積またはオーバーモールドでPCB20に取り付けられてもよい。
【0027】
図3の例では、部分21および22は、ケーシング本体の接続部分15を少なくとも部分的に形成し、部分21は、コネクタ本体15aを優先的に画定し、電気端子17を一体化する。装置10のケーシング本体の部分は、例えば、部分21および/または22、および/または装置のケーシングと同じ材料で作られた部分15で、他の何らかの方法で形成することもでき、および/またはこのケーシングの不可欠な部分として、少なくとも部分的にオーバーモールドされている可能性がある。
【0028】
示されている例では、検出部14は、好ましくは、電気絶縁材料で作られている外側ケーシング30を備える。外側ケーシング30、すなわち、それを形成する材料は、容器1の反対側でPCB20の検出領域を部分的にのみ囲むように設計された装置10のケーシング本体に属する一種のシェルを画定する。想定される場合、外側ケーシング30は、PCB20上に少なくとも部分的にオーバーモールドされた要素として、またはそれ自体で製造され、次いでPCB20に結合された要素として構成されてもよい。
【0029】
PCB20には、必要な電気接続要素(リード線または電気経路など)、および/またはレベル検出に必要な電気および/または電子コンポーネントの少なくとも一部が提供される。PCB20は、プリント回路の製造に適した電気絶縁材料で作られた耐荷重構造または支持構造を有する。様々な実施形態において、PCB20は、ガラス繊維、すなわち、酸化ケイ素を含む少なくとも1つの複合材料、好ましくは、ガラス繊維が含まれるエポキシ樹脂のマトリックスを有する複合材料を使用して形成され、ガラス繊維は樹脂を含浸させた一種の不織布を形成するように配置される。この意味で好ましい材料は、例えば、FR4、ベトロナイト、およびGRP(ガラス強化プラスチック)などの同様の電気絶縁複合材料である。一方、以下に見られるように、本発明の範囲から除外されないのは、必ずしも複合材料ではない、セラミックまたはポリマベースの材料、および/またはシリコンまたはその誘導体または化合物を含む材料など、PCB20の支持構造を得るための他の材料の使用である。
【0030】
PCB20は、レベル検出軸Xに沿って2つの端部の間を長手方向に延び、それらの間にPCB厚さT(図4にのみ示される)を定義する2つの対向する主側面(図8のみで20aによって示される)と、それらの間にPCB幅W(図4にのみ示される)を定義する2つの対向する長手方向の縁部(図8のみで20bによって示される)を含む概ね平坦な形状を有する。
【0031】
図8に分離して示されているPCB20では、装置10の検出部11に属し、PCB自体の遠位端と第2の領域25とを含む検出領域24を識別することが可能である。以下では、単純化のために、“制御および/または接続領域”としても定義され、PCBの近位端を含む。2つの領域24と25との間には、図8の26で示されるような中間領域もおそらく提供され得る。
【0032】
PCB20の領域25には、装置10の電気および電子処理および/または制御コンポーネントの少なくとも一部を関連付けることができ、それに関連するのは、装置10の外部電気接続用の端子17(図3)である。代わりに、PCB20の領域24に広く関連しているのは、レベル検出コンポーネントである。より詳細には、領域24に関連するのは、少なくとも1つの第1の容量素子アレイであり、これは、PCBの主側面(例えば、考慮される実施形態によれば、これ以降、層20または20によって識別される主側面)に対応する位置に少なくとも1つの第1のシリーズの第1の電極を備える。電極に関して使用され、本説明の続編および添付の特許請求の範囲にも存在する“主側面に対応する位置”または“主側面に”などの句は、言及された電極が前述の側面の外側、すなわち、その外側面に配置されることを必ずしも意味しないことに留意されたい。様々な好ましい実施形態では、それ自体自律的に発明性があるPCB20は、いわゆる、多層タイプのPCB、すなわち、例えば、互いに積層された電気絶縁材料の複数の層を含む多層支持構造を有する回路支持体であり、前述の電極は、構造の電気絶縁材料の2つの層の間に配置されている。
【0033】
従来の多層PCBでは、1つまたは複数の中間層で定義されているのは、対応する導電パスであり、場合によっては、電気回路配置の他のアクティブおよび/またはパッシブコンポーネントもある。これらは、その後、多層構造内に“囲まれ”、ある層に存在するパスおよび/または回路コンポーネントは、いわゆる金属化された“ビア”または穴を介して別の層に存在するパスおよび/または回路コンポーネントに電気的に接続される可能性がある。
【0034】
本明細書で提案する本発明の解決策によれば、レベルセンサ装置で使用されるのは、容量性レベル検出、すなわち、PCB20の多層構造の少なくとも1つの層が、前述の第1の電極とタンク1の周壁5(図1)またはより一般的には装置の外側との間に、存在するような方法で、使用される少なくとも1つの第1の電極アレイを内部に統合する多層PCB20である。そのような場合は、図2図3に例示されており、前述の第1の検出電極の一部は、文字“J”で示されている(図8では、PCB20の外層20で覆われている限りこれらの電極は見えない)。表現されていない変形例によれば、多層回路支持体または内部電極を備えたPCBに関して説明されたさまざまな構成は、他の方法でも取得でき、必ずしも複数の層を備えた支持体を想定していない、例えば、複数の電極を想定して成形された金属ストラップなどの導電性パスは、電極およびその他の回路要素の支持構造を提供する電気絶縁性ポリマでオーバーモールドされる(導電性パス、金属化された穴またはビア、電気および/または電子コンポーネントなど)。分かるように、いずれの場合でも、他の実施形態によれば、PCB20は、好ましくは、多層タイプであり、および/またはその検出電極は、その側面の少なくとも1つ、好ましくは、その主側面の少なくとも1つの外側に配置され得る。
【0035】
様々な実施形態において、前述の第1のアレイの電極Jは、互いに実質的に同じであり、レベル検出軸Xに沿って所定の、好ましくは、均一な方法で互いに離れて設定される。しかしながら、可能な実施形態(図示せず)によれば、容量性素子の1つの同じアレイは、いくつかの異なるシリーズの電極も含むことができ、1つのシリーズの電極は、同じアレイの別のシリーズの電極の形状とは異なる形状を有する。他の実施形態では、電極は、レベル検出軸Xの方向に細長い形状を有することができる。
【0036】
様々な実施形態において、電極Jは、図8に概略的に示されるMCによって示されたコントローラのそれぞれの入力に個別に接続され、制御回路に属し、例えば、PCB20の領域25に配置される。しかしながら、多数の電極Jを互いに並列に接続して、前述のコントローラの1つの同じ入力に接続する場合も除外されない。好ましくは、電極Jは、互いに同じ幾何学的形状を有するか、または異なる形状を有するが、同じ表面寸法を有するか、一般に、同じ電気容量を有する。電極Jは、PCB20またはレベル検出軸Xを横断する方向に優先的に延びる。
【0037】
電極Jは、導電性材料、例えば、金属材料または金属合金で作られている。電極Jは、好ましくは、対応するアレイ内で互いに対して同一平面上にあり、例えば、PCB20の支持構造内に沈められたまたは適用されたプレートまたは薄層の形態であってもよく、あるいは、例えば、シルクスクリーン印刷技術などを使用して、PCB20の支持構造上に堆積された導電層によって構成されてもよい。様々な実施形態において、PCB20またはその層の少なくとも1つは、電極Jを一緒に、および/または対応する導電接続パスに、および/またはPCB20に存在する可能性のある他の電気および/または電子コンポーネントに電気接続するための、導電性材料を含むビアまたはスルーホールを有する。
【0038】
PCB20の領域25は、好ましくは、PCB自体の近位端と、対応するアレイの第1の電極Jとの間に備えられる(したがって、この観点では、接続および/または制御領域25は、図8の26で示される中間領域に対応する領域も含み得る)。しかしながら、本発明の範囲には、装置10の回路配置に属する電気および/または電子制御および/または処理コンポーネントがPCB20全体に沿って、またはその検出領域24内、すなわち、電極Jの近く、および/または電極Jの間に配置される場合も含まれる。この観点では、接続および/または制御領域25は、PCB20の長さの実質的に全体にわたって延びていてもよく、その一部は検出領域24と共通である。前述したように、特に、例示されたタイプの、すなわち、多層構造を有するPCB20の場合、前述の電気および/または電子制御および/または処理コンポーネントの少なくともいくつかも多層構造の電気絶縁材料の2つの層の間に配置することができる。
【0039】
既に述べたように、様々な実施形態において、装置10を装備する測定回路配置に属する構成要素は、少なくとも1つの制御ユニットまたはコントローラMC(例えば、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、CPU、DSP-デジタル信号プロセッサ、メモリ、集積回路、演算回路、A/D変換回路、電子スイッチング回路から選択される、または少なくとも1つを備える)、さらにアクティブおよび/またはパッシブコンポーネント(トランジスタ、MOSFET、抵抗、コンデンサ、ダイオードなど)を含む。
【0040】
様々な実施形態において、コントローラMCは、電極Jが個別に接続される複数の入力を有するか、または互いに平行な多数の電極JがコントローラMCの同一の入力に接続される。コントローラMCは、好ましくは、少なくとも1つの処理論理ユニット、メモリ、および入力/出力を備え、そのうち入力は、アナログ/デジタルタイプである。コントローラMCは、例えば、Microchip Technology Inc.によって製造されたコードPIC16F1517によって識別されるマイクロプロセッサ、またはCypress Semiconductor Corporationによって製造されたシリーズCY8C4200Mのコードによって識別されるマイクロプロセッサであってもよい。しかしながら、容量タイプの電極Jによって装置10によって実施される特定のレベル検出モダリティは、例えば、本出願人の名前で出願された国際出願公開第2015/181770号、国際出願公開第2016/042456号、および国際出願公開第2016/042459号の文献の教示に従って、当該分野で知られている任意のタイプであってもよい。
【0041】
前述のように、PCB20には、電極J、可能なさらなる電気および/または電子コンポーネント、および端子17などの様々な回路要素を接続するための導電パスが設けられている(これらのパスの一部は図8に、コントローラMCから離れる破線で模式的に表されている)。前述のように、PCB20は、異なる導電パスを接続するため、および/またはPCB20の異なる層または部分に設けられた導電パスおよび/または回路コンポーネントを外界および/または内部に接続するための金属化されたビアまたは穴(図8で破線の円で概略的に表される)も提供し得る。実際、前述のように、様々な好ましい実施形態において、PCB20は、多層支持構造を備えたPCBであり、前述のパスは、PCB自体の内部層または中間層に設けられ得る。
【0042】
様々な実施形態において、本発明に係るセンサ装置は、物質のレベルとは異なる少なくとも1つのさらなる量を検出するための少なくとも1つのさらなるセンサ手段を含む。さらなるセンサ手段は、例えば、流体の定性的特性、および/または組成物の特性、および/または化学物理特性を検出するように設計された温度センサおよび光学センサから選択することができる。例えば、様々な実施形態において、装置10の回路構成は、少なくとも1つの温度センサ、特に、NTCまたはPTCタイプのセンサなどの温度可変電気抵抗を有するセンサを含む。そのようなセンサは、PCB20の検出領域24の近位端領域、遠位端領域、および中間領域のうちの少なくとも1つに対応する位置に、タンク1(図1)の周壁5に面する部分に取り付けることができる。このような温度センサの1つは、図8のブロックTSで概略的に表されている。
【0043】
本発明の一態様によれば、少なくとも検出電極J、および、好ましくは、PCB20の対応する部分は、環境汚れを含む外部物質からの絶縁または保護のために、少なくとも1つの層で覆われまたは保護される。層は、電気絶縁性かつ液密な材料で優先的に作られる。これは、装置の動作やレベル測定精度に悪影響を与える可能性のある外部物質が電極に到達するのを防止または遅延させることが目的である。本明細書の導入部で説明したように、外部物質は、例えば、環境湿度、および/または装置10が設置されている領域で発生する可能性のある一般的な蒸気、あるいは、地面からの汚れた水や粉塵の飛沫、あるいは油、グリース、または車両の他の部分からの漏れによる燃料などこのエリアに到達する可能性のある液体や粉末または一般的な汚れによって構成され得る。様々な実施形態において、絶縁または保護のための少なくとも1つの層は、固体材料、好ましくは、成形可能または重合可能な材料である。
【0044】
好ましい実施形態では、電極Jを覆う少なくとも1つの絶縁層または保護層は、シリコン(またはその誘導体または化合物)を含む材料の層、すなわち水に実質的に不溶性であり、酸によって攻撃されない材料を備える。そのような特に興味深い材料の中には、例えば、シリカ、すなわち、酸化ケイ素(二酸化ケイ素)があり、これは、不透過性のガラス質層を提供することができる。
【0045】
本明細書で提案される用途を考慮して、シリカ膜または層の合成のための好ましい前駆体は、シラザン、特に、ポリシラザン、すなわち、その骨格が窒素原子によって架橋されたケイ素原子によって構成されるポリマである。あるいは、本明細書で提案する用途では、シリカ膜または層の合成の前駆体として、好ましくは、液体または粉末の形態で、おそらく、二酸化ケイ素またはシリカ粉末の形態で、特に、PCBに堆積するように、および/またはPCBの少なくとも一部をコーティングするように設計された形態で、シリカ(SiO)を含む他の化合物を使用できる。
【0046】
Si-N結合の長さは、一般に、1.70~1.75Åの間であると推定されるが、結合角は、シリコンと窒素の置換基に依存する。Si-N結合の極性と窒素の塩基性のため、ポリシラザンは、水(またはアルコールや酸などのプロトン性溶媒)の存在下での加水分解に関して特に反応性がある。これらの反応により、シリコンと窒素の結合が切断され、すぐにシリカとアンモニアが形成される。この意味で、特に、有望な前駆体は、シリコン、窒素、水素で構成されるペルヒドロポリシラザン(PHPS)であり、その構造は、3次元格子に似ており、シリコン原子は、窒素ブリッジを介して接続されている。
【0047】
ペルヒドロポリシラザンは、他のポリシラザンと同様に、一般的な非吸収性表面に室温で塗布できる液体組成物を得るためのベースとして、少なくとも1つの有機溶媒と少なくとも1つの触媒とともに使用できる。そのような液体組成物の塗布後、室温で基板に化学的に結合し、空気中に存在する湿度で重合する、実質的にガラス質シリカで作られた永久バリア層が形成される。このタイプの組成物は、様々な製造業者から市販されており、従来より輸送手段または木材で作られた構造の外面を保護するために使用されている。
【0048】
前述の組成物を塗布するために、対象の基板、ここではPCB20を事前に洗浄し、グリースや油性物質を除去し、乾燥させる必要がある。塗布温度は、優先的に+5℃~+30℃で構成され、相対湿度は、30%~80%で構成される。溶液は、例えば、噴霧または液体溶液を含む容器にPCB自体を浸漬することによって、すなわち、浸漬コーティング技術を使用して、層の形態でPCB20に塗布されてもよい。実際に完全な重合は、通常、塗布から約8~12時間後に室温で得られる(室温で約7日後に重合が完了する)。一方、本発明の範囲から除外されないのは、重合を加速するための熱処理のステップである。重合後、塗布された層は透明であり、ガラスの薄い層の外観を実質的に有する。
【0049】
加えて、および/または代替として、電極Jを覆う少なくとも1つの絶縁または保護層は、シリコンまたはその誘導体または化合物、例えば、酸化シリコンを含む複合材料の層を含み得る。このタイプの実質的に不透過性の複合材料は、例えば、ガラス繊維充填剤が補充されたエポキシ樹脂のベースを有するマトリックスを有してもよい。
【0050】
様々な実施形態において、装置の使用状態で電極Jとタンク1の周壁5との間に設定される少なくとも1つの絶縁または保護層は、それぞれシリコンまたはその誘導体または化合物を含む少なくとも2つの異なる材料層を備える。上記の2層は、上記で言及したように、ポリシラザンベースの液体溶液から出発して得られるガラス質シリカを主に含む2層であってもよい。他の実施形態では、少なくとも1つの絶縁層は、上記のポリシラザンから得られるガラス質シリカを含む材料の第1の層と、例えば、ガラス繊維を含む上記タイプの複合材料の第2の層とを備える。様々な好ましい実施形態では、前述の複合材料の第2の層は、材料の第1の層と電極Jとの間の中間位置にある。
【0051】
さらに他の実施形態では、少なくとも1つの絶縁層は、シリコンまたはその誘導体または化合物を含む第1の絶縁層と、想定される場合、ケーシング30が取り付けられるか、ケーシング30の材料をオーバーモールドされる可能性のある他の絶縁層の、少なくとも2つの異なる材料層を備える。これは、例えば、フッ素誘導体または化合物を含む実質的に不浸透性のポリマなど、第1の層の材料よりも剛性が低い、すなわち、より柔軟なポリマで作られている。
【0052】
様々な実施形態において、少なくとも1つの絶縁または保護層は、想定される場合は、その上にケーシング30を取り付けるか、またはケーシング30の材料をオーバーモールドすることができる、フルオロポリマまたはエラストマなど、少なくとも部分的に可撓性、変形可能、または圧縮可能な少なくとも1つの材料またはポリマを備える。想定される場合、好ましくは、ケーシング30は、前述の絶縁層の材料よりも硬いポリマで作られている。
【0053】
電極Jは、シリコンまたはその化合物を含まない電気絶縁性で実質的に不浸透性の材料で作られた少なくとも1つの絶縁層で覆われてもよい。特に、有利な実施形態では、この材料は、後述するように、フッ素またはその誘導体または化合物を含むポリマである。他の実施形態では、少なくとも1つの絶縁層のシリコンを含まない材料は、“ソルダレジスト”として知られるタイプの層などのエポキシ系材料を含む層、すなわち、酸化に対する保護を提供するように設計されたポリマ材料、特に、エポキシベースの材料の薄層である。ソルダレジストまたはエポキシベースの層を構成する材料が、おそらく感光性タイプの塗料またはインクに類似している場合、シルクスクリーン印刷技術などを使用して吹き付けまたは塗布することができる。一方、ソルダレジストまたはエポキシベースの層は、真空積層法を使用して塗布されたフィルムの形で作成することもできる。
【0054】
図2図3および対応する図4図7に例示されている場合、電極Jは、次のように覆われ、絶縁されている。
【0055】
i)複合材料の第1の層。
ii)ここでは、ソルダレジストまたはエポキシベースのタイプであると想定される材料の第2の層。
iii)シリカベースの第3の層。
【0056】
例示の場合、複合材料の第1の層は、ガラス繊維が充填されたエポキシ樹脂ベースのマトリックスを有する。非常に有利には、前述の第1の複合材料は、PCB20の多層構造自体の層の1つにより構成され得る。図4図7も参照すると、図示される非限定的な例では、PCB20の支持構造は、対応する電極Jが配置される外面上に少なくとも1つの支持層20を含む。
【0057】
優先的ではあるが必須ではない、PCB20の支持構造は、電極Jを担持する層と反対の層20の面に対応する位置に1つまたは複数のさらなる層20を備えてもよい。電極Jを担持する層20は、電極Jがそれに応じて被覆されるように、多層構造自体の外側層20で被覆される。
【0058】
添付の図では、単に説明の目的で、例示された多層構造の中心に対して相同な位置の層(すなわち、層20および20とは反対側の位置であり、その間に電極Jが配置されている)も、20と20で示され、間に設定されるいくつかの可能な層は、20で示されている。しかしながら、実際の実施の目的のためには、電極Jを担持する単一の層20および単一の層20を覆う単一の層20でさえ十分であり得ることは明らかである。図示の例では、20で示される外層は、PCB20の反対側の主側面(20a、図8)を形成するが、前述のように、前述の反対側の主側面は、一方の側の単一層20と他方の側の単一層20によっても形成され得る。
【0059】
PCB20の様々な層20、20、および20は、これが本質的な特徴を構成しないとしても、例えば、FR4などの同じ材料で作られることが好ましい。
【0060】
再び図2図7に示される非限定的な例を参照すると、PCB20の多層構造の外側層20の少なくとも1つ上に、それぞれ第2の層40があり、ここでは、40によって示されるソルダレジストまたはエポキシベースのタイプであると想定される。電極JはPCB20の支持構造内に配置されるので、層40の主な機能は、これらがソルダレジストまたはエポキシベースのタイプである場合、可能性のある短絡を防止するのではなく、可能性のある酸化現象、および/または湿気、および/または蒸気、および/または液体、および/または塵の浸透現象に対抗することであることが理解されよう。
【0061】
示された例では、層40は、PCB20の層20の外面のみを好ましくは完全にコーティングするが、他の実施形態では、層40は、PCB20を取り囲む単一のコーティングに属していてもよく、またはその主側面およびその側縁または副側面で少なくともその一部に属していてもよい(以下で説明する層またはコーティング50に関して)。他の実施形態では、電極Jが下に位置する層20を覆う1つの層40のみが提供されてもよい。
【0062】
最後に、PCB20上、すなわち、層40のそれぞれの上には、50で示される実質的にシリカで作られた第3の層が存在する。第3の層50、または各第3の層50は、それぞれの層40を被覆する個々の層として適用することができ、または例示した場合のように、それ自体はPCB20を多数の側面およびエッジで囲むコーティングとして適用することができる。このため、以下では、層50は“外側コーティング”としても識別される。また、外側コーティングまたは層50は、PCB20全体またはその関心のある部分のみを包囲またはコーティングしてもよい。他の実施形態では、単一の層40上にただ1つの層50を設けることができ、この層40は、層20を覆い、その下に電極Jが位置する。
【0063】
例として、複合材料の層20は、0.2mm~0.4mmの間の厚さを有することができ、層40は、10μm~30μmの間の厚さを有することができ、外側コーティング50(または少なくともその層が電極Jが配置されているPCB20の主側面をコーティングする)は、10μm~30μmの間の厚さを有し得る。外側ケーシング30は、1mm~2.4mm、好ましくは、1.4mm~1.8mm、非常に好ましくは、1.5~1.6mmの厚さを有し得る。
【0064】
複合材料20でできた層は、PCB20自体の製造中に形成され、それ自体が多層構造の一部を構成する。上述したように、PCB20の多層構造は、FR4、またはGRP(ガラス強化プラスチック)タイプのベトロナイトまたは同様の電気絶縁複合材料などの材料を使用して得ることができる。使用される好ましい複合材料は、ガラス繊維を含むエポキシ樹脂などのエポキシベースである。PCBの構造の様々な層は、多層PCBの製造の分野でそれ自体知られている技術に従って、互いに積層されることが好ましい。
【0065】
層40は、層20の外面に吹き付けられてもよいが、例えば、オーバーモールディングによる別の方法で層40のエポキシ材料の塗布を除外することは原則としてない。
【0066】
また、ポリシラザンまたは二酸化ケイ素に基づく溶液は、一般に、シリカに変換される、すなわち、ガラス質の絶縁コーティング50を提供するために、スプレーコーティング技術を使用して堆積または塗布されるか、またはPCBを完全に浸漬することによって塗布され、または部分的に液体溶液を含む容器に、すなわち、浸漬コーティング技術を使用して塗布され得る。一方、堆積は、スピンコーティング(PCBの回転による堆積)、フローコーティング(PCBに衝突する流れによる堆積)、CVD(化学蒸着)、PVD(物理蒸着)などの他の既知の手法を使用して実行できる。これらの技術は、層40の堆積にも使用され得る。
【0067】
理解されるように、本発明の態様によれば、レベルセンサ装置10は、電極J、すなわち、それらを支持する構造(20、20)を、外部環境および/または検出対象の液体を含むタンク1の周壁5から分離する少なくとも3つの絶縁要素または層(30、50、40、20)を備えてもよい。図6図7を参照。
【0068】
図9図12に例示されているのは、本発明の可能な実施形態に係る装置のケーシング本体を製造するための可能なシーケンスである。図9に示されているのは、20’によって全体として示されている、PCB20、層40、および外側コーティングまたは層50を含む半製品である。前述の半製品20’(以下、“被覆PCB20”とも定義される)は、電極Jだけでなく、検出および/または処理回路の残りの部分もすでに備えられていると想定される。半製品20’には、例えば、PCB20(図8)、すなわち、半製品20’の領域25および26を少なくとも部分的に受け入れるように設計された空洞を画定するシェルのような形状の本体部21が適用される。前述のように、好ましくは、部分21は、コネクタ本体15aと端子17を一体化し、後者は、この段階でPCB20の対応する導電パスに電気的に接続される。
【0069】
次に(図10を参照)、半製品20’に適用されるのは、PCB20、すなわち、半製品20’の制御領域25(図8)の少なくとも一部を間に挟んだ本体部22である。本体部22は、例えば、本体部21に固定された蓋の形態(例えば、スナップ動作、またはねじ手段、または溶接、または接着により固定)の別個の構成要素として構成されてもよく、またはそれ自体がオーバーモールドまたは樹脂積層部品として構成されてもよい。2つの部分21と22は、特に、それらが別個の構成要素によって構成される場合、部分22の対応するシートとピンと結合するように設計された部分21のピンとシートなどの相互結合手段を設けることができる。
【0070】
優先的に、本体部21および22は、260℃より高い融点を有するポリマで作られているか、または、いずれの場合も、特に、250℃より低い温度での少なくとも1つのポリマ、例えば、装置10のケーシング本体の外側ケーシング30を提供するように設計されたポリマの起こり得るオーバーモールドに耐えることができるように、この温度に耐えるように設計されている。この目的のために、様々な実施形態において、本体部21および22の材料は、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミドコポリマ(PA66)、およびポリフェニレンスルフィド(PPS)から選択される。
【0071】
場合によっては、本体部21の空洞、およびこの空洞に収容される半製品20’、すなわち、PCB20の対応する部分の空洞に対応する領域に、これらの領域にある電気および/または電子コンポーネントの保護特性を改善することを目的とした樹脂を塗布し得る。使用される樹脂または同様の材料は、低融点または重合温度、特に、電気および/または電子部品を損傷しないような変態温度(180℃~240℃の間の温度、好ましくは、200℃近傍など)を持つタイプのものが好ましい。目的に適した熱可塑性材料は、比較的弾性があるか、または硬くないことが好ましく、いわゆるホットメルトタイプまたはホットグルータイプのものであってもよい。
【0072】
次に、必要に応じて、検出領域24を含むPCB20、すなわち、半製品20’の少なくとも一部が、外側ケーシング30を提供するポリマ材料をオーバーモールドするための型に挿入される。ケーシング30のオーバーモールドに使用される材料は、熱可塑性材料または熱硬化性材料であってもよい。好ましい材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフタルアミド(PPA)、およびポリフェニレンスルフィド(PPS)である。一方、上述したように、他の実施形態では、外側ケーシング30は、別個に製造され、次いで、半製品20’に適用される部品として構成されてもよい。
【0073】
好ましくは、型は、本体部21および22が設けられた中間領域26の少なくとも一部も受け入れるように構成される。この場合、オーバーモールディング操作の過程で、PCB20の中間領域26に存在する可能性のある回路部品、すなわち、半製品20’は、オーバーモールディング領域内に位置しているが、いずれにせよ保護される。この中間領域が本体部21と22の間に囲まれているという事実を考慮して、前述の樹脂の存在下で保護がさらに強化される。
【0074】
外側ケーシング30のオーバーモールド(または別個の適用)の動作の結果は、図11に例示されており、ここで、装置のケーシング本体が形成される。注目されるように、ケーシング30は、半製品20’を完全には囲まず、少なくとも図1のタンク1の周壁5に面するかまたは設置されるべき面を露出したままにする。
【0075】
図11および図12では、例えば、ねじ部材または他の係合手段を介して、装置10を図1に示されたタンク1の周壁5に固定するのに有用なレリーフまたはケーシング30から突出する要素など、ブラケットなど16を画定するように外側ケーシング30を有利に形成する方法に留意することができる。他方、装置10の本体とは別個の構成要素として構成されたブラケットまたは同様の固定手段を目的として想定することが可能である。
【0076】
ブラケットなどに加えて、またはその代替として、センサ装置10の周壁5への固定は、タンク1に対して設置される装置(したがって、PCB20)の表面に堆積される結合剤の層を使用して実行できる。このような結合剤の層は、図12のGで示されている。
【0077】
前述のように異なる固定の様式に関係なく、様々な好ましい実施形態では、例えば、後者と接触して、好ましくは、装置10は、電極Jに対応する位置にある装置10の面と壁5の外側との間に実質的に空隙が存在しないように、タンク1の側壁5に当接する(すでに述べたように、表面粗さによって生じた可能性のある微小空洞を埋めるように設計された結合剤またはゲルの層を挿入することが可能である)。おそらく、装置10は、部分間の接触を改善し、空隙の存在を低減するために、壁自体に対してわずかな弾性圧力の状態で側壁5に対して固定されてもよい。
【0078】
図2図7に示される種類の実施形態は、前述の外部物質、並びに検出対象の液体との長時間の接触後に壁5によって吸収される可能性のある湿度が電極Jに到達する可能性を防ぐか、少なくとも電極Jに到達するそのような物質を大幅に遅らせる限り、特に有利である。
【0079】
様々な実施形態では、1つまたは複数の層40は、省略される。この意味での例が図13図16に示されており、それぞれのアレイの電極Jと外部環境(例えば、タンクの周壁5を含む)との間に、ここでは、PCB20の層20および外側コーティング50で表されるシリコンまたはその誘導体または化合物を含む2層が提供される。図13図16に示すタイプの実施形態では、いずれの場合でも、外部環境と電極Jとの間には、異なる材料の2つの層(50および20)が設定される。図2図6に例示されているタイプの実施形態と比較して低下しているとはいえ、壁5に含浸する可能性のある湿度または液体を含む前述の外部物質からの電極Jの絶縁は、いずれにしても、装置の様々な用途に十分な高さを維持する。
【0080】
理解されるように、本発明の態様によれば、レベルセンサ装置10は、電極J、すなわち、それらを支持する構造(20、20)を、外部環境から、また検出対象の液体を含むタンク1の周壁5から分離する少なくとも2つの絶縁要素または層(30、50、40)を備える。これに関連して、図15および図16を参照。
【0081】
様々な実施形態では、電極Jは、PCB20の構造内に配置されず、前記構造のそれぞれの外面に配置される。この意味での例を図17図20に示す。したがって、これらの図に示されている例では、PCB20の外側層20は存在せず、電極Jは、PCB自体の外側に、その主面に直接設けられる(ここでは、電極を担持する層20によって表される)。この種の実施形態では、PCB20は、必ずしも多層構造を有さないことが理解されよう。図17~20の場合、例えば、ソルダレジストまたはエポキシタイプの層40が存在し、PCB20の層20上に直接塗布されて、電極Jも覆う。層40の形成に必要な材料が塗料またはインクの形態であるタイプの実施形態では、この材料は、必要に応じて、例えば、シルクスクリーン堆積により、図示の場合のように、層40の外面が実質的に平面になるように塗布することができる(すなわち、対応する材料は、電極Jの領域で層40の厚さが小さくなるように堆積される)。しかしながら、これは、装置の動作の目的にとって本質的な特性ではない。
【0082】
また、図17図20に示すタイプの実施形態では、いずれの場合も、外部環境と電極Jとの間に設定されるのは、異なる材料の2つのさらなる層(40および50)である。これにより、様々な用途における装置10の検出領域の効果的な保護が可能になる。
【0083】
また、この場合、発明の態様によれば、レベルセンサ装置10は、電極J、すなわち、それらを支持する構造(20、20)を、外部環境から、また検出対象の液体を含むタンク1の周壁5から分離する少なくとも2つの絶縁要素または層(30、50、40)を備える。これに関連して、図19および図20を参照。
【0084】
様々な実施形態では、外側コーティングまたは層50は、省略される。この意味での例を図21図24に示し、それぞれのアレイの電極Jと壁5との間には、ここでは、PCB20の層20と、例えば、ソルダレジストまたはエポキシベースのタイプがいずれにしても提供される層40によって表される異なる材料の2つの層がある。したがって、この場合も、外部環境と電極Jとの間に、可能なコーティング30に加えて、異なる材料の少なくとも2つの層(層40および20)が設定され、これにより、前述の外部物質が電極に到達するのを防ぐか、いずれにしてもそれらを遅らせることができる。
【0085】
したがって、この場合にも、レベルセンサ装置10は、電極J、すなわち、それらを支持する構造20、20を、外部環境から、また検出対象の液体を含むタンク1の周壁5から分離する少なくとも2つの絶縁要素または層(30、40、20)を備える。これに関連して、図23および図24を参照。
【0086】
図25図28は、層40が省略され、電極JがPCB20の構造内ではなく、この構造のそれぞれの外面に対応する位置に配置される、さらなる可能な実施形態を例示する。したがって、この場合にも、PCB20の外側層20は存在せず、電極Jはその2つの主側面の1つに対応する位置でPCBの外側に直接設けられる(ここでは、電極を担持する層20によって表される)。したがって、外側コーティングまたは層50は、電極Jも覆うように、PCB20の層20に直接塗布される。このタイプの実施形態においても、PCB20は必ずしも多層構造を有さないことが理解されるであろう。図25図28に示すタイプの実施形態では、外部環境と電極Jとの間に設定され、図27図28に明確に示されるように、可能なケーシング30に加えて、少なくともシリカベースの外側コーティングまたは層50である。
【0087】
このようにして得られた外部物質からの絶縁は、前述の他の実施形態と比較して減少しているが、特に、絶縁層50の提供に使用される材料がPCB20を均一に被覆するガラス質またはシリカベースの層である場合、通路や多孔性を残すことなく、装置の様々な用途に十分である。したがって、厚さが薄い場合でも、良好なシール特性を備えている。
【0088】
図29図32は、さらなる可能性のある実施形態を例示し、層40および外側コーティングまたは層50の両方が省略され、電極Jは、PCB20の多層構造内に外層20の下に配置される。したがって、このタイプの実施形態においても、外部環境と電極Jとの間に設定されるのは、可能なケーシング30に加えて、PCB20の多層構造に属する1つの層20だけである。また、このタイプの構造は、保護、または少なくとも前に例示したタイプの可能性のある外部物質の悪影響を遅らせるのに十分である。
【0089】
同様に、図33図36は、外側コーティングまたは層50が省略され、電極JがPCB20の構造内ではなく、構造のそれぞれの外面に対応する位置に配置される、さらなる可能な実施形態を例示する。したがって、この場合にも、PCB20の外側層20は存在しないが、電極J(ここでは反対側の層20)を担持する層20上には、電極自体を覆うように、例えば、ソルダレジストまたはエポキシ系タイプのそれぞれの層40が配置される。このタイプの実施形態においても、PCB20は、必ずしも多層構造を有さないことが理解されるであろう。このタイプの実施形態では、レベル検出を受ける液体と電極Jとの間に設定されるのは、タンクの壁5に加えて、層40のみであり、いずれの場合でも様々な用途で十分である。
【0090】
ポリシラザンベースの組成物から出発して得られるシリカで主に作られた外側コーティングまたは層50を設けることは、対応する重合中にシリコンが対応する基板20および/または40の-OH基に結合するため、特に、有利である。このようにして、外側コーティング50と下にある基板(場合によっては層40または層20で構成される)との間に二次タイプの傾向のある結合が得られ、材料間の固定、ひいては構造の強度の改善に寄与する。この観点では、前述のように、様々な実施形態において、PCB20および/または層40は、エポキシ系材料、すなわち、-OH基を含む材料を使用して優先的に形成され、それにより、外側コーティング50および/または層40との化学結合を保証する。この観点でも、電極Jは、金属または金属合金(例えば、銅または銅ベースの合金)で作られていることが好ましい。前述の金属の生産段階では、ポリシラザンベースまたは二酸化ケイ素ベースの溶液が電極Jに部分的に接触して適用される場合にも、-OH官能基のグラフトを伴う擬似酸化プロセスが発生する。金属とポリシラザンまたは二酸化ケイ素との間に基本的な化学結合(-OHまたはO官能基)が形成され、異なる材料間の固定という点で結果として利点がある。
【0091】
様々な特に有利な実施形態では、以前に40で示されたエポキシ系層は、好ましくは、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)およびパーフルオロオクタン酸(PFOA)なしで、前駆体、誘導体、またはフッ素化ポリマまたはフルオロポリマまたはペルフルオロ化ポリマなどのフッ素化合物を含むポリマで作られた層40’で置換されてもよい。このため、上記の様々な図において、参照番号40に関連付けられているのは括弧内の参照番号40’でもある。好ましい材料は、例えば、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフッ素エチレン(PTFE)、より一般的には、フッ素アクリレートベースのポリマである。したがって、層40が想定される前述の構成は、これらの層がフッ素の前駆体または誘導体または複合物を含むポリマで作られた層40’によって置換される場合に有効であると理解されるべきである。また、層40’は、PCB20を囲む(中間または外側)絶縁コーティングに属していてもよく、すなわち、PCBの縁部または副側面でも延びている(例えば、図37図46に示されているように)。層またはコーティング40’は、10μm~70μmの間の厚さを有し得る。
【0092】
本出願人によって行われた研究により、フッ素ベースの高分子材料、またはフッ素の誘導体または化合物(完全または部分フッ素化フルオロポリマなど)が、本明細書で提案された用途の目的に特に有利であることを確認することができた。フッ化物は、化学的に非常に耐性があることに加えて、高温でも優れた耐性を示すため、外側ケーシング30の可能なオーバーモールドに耐えるのに完全に適している。さらに、これらの材料は、比較的柔軟であるか、硬くなく、比較的変形可能または圧縮可能である。したがって、非常に良好な熱膨張および熱衝撃に耐えることができる。同様に非常に低い摩擦係数を示し、結果として、異なる熱膨張係数のために、ケーシング30の材料とPCB20(および/または層40および/または50などの可能性のある他の層)との間で生じる相対的な動きに耐える可能性がある。
【0093】
本出願人によって実施された実際の浸透試験は、フッ素化ポリマが、AdBlueなどの水尿素溶液に対する耐性に関して優れた結果が得られることを確認することも可能にした。これはまた、疎水性の高いフッ素化ポリマの表面エネルギーが非常に低いためである。この特性は、レベルが検出される液体が水または水ベースの溶液(主に水で構成されるAdBlueなど)である場合、この液体が壁5に長時間含浸する場合、またはタンク1の補充中に誤って装置10と接触する場合に特に有利である。
【0094】
さらに、フッ素化ポリマで作られた絶縁層40’の存在は、水尿素溶液などの攻撃的な液体の浸透の場合、電極および/またはPCB20の化学的攻撃に対する良好な保護を可能にする。フッ素化ポリマで作られた絶縁層40’の存在は、外部環境から、例えば、冬期に道路上に存在する可能性があり、装置10の少なくとも一部に到達する可能性がある水と塩を含む溶液から電極Jの保護を可能にする。
【0095】
層またはコーティング40’を製造するためのフルオロポリマの使用は、様々な構成において、材料の重合中に、対応する基板の材料と化学的および/または構造的結合を得ることができるという事実の観点からも特に有利である。これは、PCB20および/または層40がエポキシベースの材料でできている場合に特に有利である。この観点では、すでに述べたように、PCB20の材料は、好ましくは、エポキシベースであり(例えば、FR4、そのマトリックスは、一般に、エポキシ樹脂で構成される)、ソルダレジストタイプの層40もエポキシ樹脂で作られている。
【0096】
例えば、図37図40に示されているのは、電極Jが以下のように覆われて保護されている場合である。
【0097】
i)複合材料の第1の層20と、
ii)材料40の第2の層と、
iii)フッ素化ポリマベースを備えた第3の層40’。
【0098】
実施形態(図示せず)によれば、複合材料20の層は省略されてもよい。
【0099】
図に例示されている場合、複合材料の可能な第1の層は、PCBの多層構造の外層20で構成されているため、電極Jは、それに応じてコーティングされるが、層40は、ソルダレジストまたはエポキシベースのタイプの絶縁コーティングに属する。これは、PCB20の構造をその主側面およびその縁部または副側面でコーティングする。代わりに、第3の層40’は、層40が属するエポキシベースのコーティングを囲む、例えば、FEPで作られたさらなるフッ素化ポリマ絶縁コーティングに属する。次に、外側ケーシング30の材料は、層40’が属するコーティング上におそらくオーバーモールドされる。
【0100】
図37図40に例示されたタイプの解決策では、層またはコーティング40’と層またはコーティング40との間に、ここでは、層またはコーティング40で表される、エポキシベースの基板の-OH基と、層またはコーティング40’を提供するフッ素化ポリマのフッ素のより電気陰性の原子、例えば、FEPとの間の水素結合が提供される。水素結合または水素架橋は、非常に電気陰性な元素(フッ素、酸素、窒素など)との共有結合に関与する水素原子である分子間力の特定の場合であり、それは、原子価電子を引き付け、部分的な負電荷(δ-)を獲得し、部分的な正電荷(δ+)を有する水素を残す。同時に、水素は近くの分子の電気陰性原子によって引き付けられる。
【0101】
したがって、前述の結合は、材料間の固定の改善、したがって、構造の強度に寄与することが理解されよう。40’で示されるタイプの層またはコーティングが、エポキシ樹脂で少なくとも部分的に作られたPCB20に直接塗布されると、今例示したものと同様の結合が形成される。このタイプの場合は、図41および図42に例示されている。図41は、多層PCB20をコーティングするコーティング40’の場合に関するものであり、電極Jは、すでに複合材料20で作られた層で覆われているのに対して、図42は、電極Jが露出したPCBの場合に関する(すなわち、層20の外面に)。
【0102】
一態様によれば、本発明は、例えば、前述のケーシング30のオーバーモールディング材料の収縮および/または熱ジャンプまたは衝撃による寸法変動(例えば、凍結した液体の加熱、および/または周囲温度の変動に続く)に従う、レベルセンサ装置の内部要素、PCB20、および/またはPCBにより担持される回路コンポーネント、および/またはPCBと外側ケーシング30との間の材料の中間層などが受ける可能性のある機械的応力の除去または少なくとも低減を提案する。
【0103】
このため、それ自体が本発明の実施形態では、すでに前述したように、装置の少なくとも1つの絶縁層は、機械的補償の機能を実行し、この目的のために、少なくとも部分的に可撓性または変形可能または圧縮可能な材料またはポリマを備え、その上にケーシング30が適用されるか、ケーシング30を提供する材料をオーバーモールドする必要があり、好ましくは、ケーシング30は、前述の補償の機能を実行する前述の絶縁層の材料よりも硬いポリマで作られている。
【0104】
例えば、前述のように、フルオロポリマは比較的柔軟、および/または変形可能で、低表面摩擦によって区別されるため、対応する層は、例えば、PCB20またはコーティング40などの下にある基板に関してケーシング30によって決まる機械的応力を吸収するために、機械的補償の機能を有利に実行できる。前述のように、これらの機械的応力は、装置の部品の寸法変動を誘発する熱衝撃に続く、外側ケーシング30の収縮および/またはセンサ装置の応力によるものであり得る。
【0105】
他の実施形態では、前述の可能性のある応力を補償する前述の機能は、フッ素誘導体または化合物を含んでいないものであっても、以前に言及したものとは異なる、比較的弾性、および/または圧縮性、および/または変形可能なエラストマまたはポリマで作られた1つまたは複数の層40’によって得ることができる。
【0106】
本発明の特に有利な実施形態では、50により以前に示されタイプの絶縁層またはコーティングを組み合わせることも可能であり、これは比較的より硬くて脆く、したがって機械的応力または歪みに続く亀裂のリスクを潜在的に受けやすい。例えば、過剰な推力、および/または収縮、および/または層50に応力または亀裂を誘発する可能性のある外側ケーシング30の変形を防ぐために、第1の層50を被覆するフッ素化層またはコーティングを有する。
【0107】
層50に取り付けられた外側ケーシング30の場合、例えば、様々な構成要素の製造における誤った位置決めまたは寸法公差のために、組立段階で過剰な機械的引張または圧縮応力が生じる可能性がある。一方、オーバーモールドされた外側ケーシング30の場合、製造段階での収縮または過剰な歪みに続いて応力が生じる可能性がある。どちらの場合も、さらなる応力または歪は、どんな場合でも、材料の寸法が安定した後、または周囲温度の変化に伴う膨張および/または収縮のために、あるいは、車両の移動中の振動、またはセンサ装置10の方向に凍結および膨張する可能性もある、タンクの充填またはタンク内の液体の加熱および/または冷却に伴うタンクの壁の寸法変化などの外部機械的応力に伴う応力または歪を生じる可能性がある。
【0108】
そのような場合は図43図46に例示されており、多層PCB20には、前述のタイプのシリカまたは酸化ケイ素からなる絶縁コーティング50が塗布され、その上にフルオロポリマからなる絶縁コーティング40’が順番に塗布される。図45図46から明らかなように、この種の解決策により、外部物質に関する電極Jの絶縁の最大化が可能になることが理解されよう。
【0109】
さらに、上記で例示したように、機械的応力または歪から後者を保護する、ガラス質タイプ(50)、複合タイプ(20)、またはエポキシタイプ(20、40)の対応する基板と比較して、フルオロポリマで作られた絶縁コーティングの高い柔軟性(または降伏、圧縮性、変形性)が強調されるべきである。
【0110】
一般に、図37図42を参照して上述した機械的補償の機能は、したがって、特に、ガラス質コーティング50の完全性を保護するために、図43図46に例示される場合にも適用される。
【0111】
本体が外側ケーシング30を含むセンサ装置10について先に言及したが、その外側ケーシング30は、検出電極Jが位置する回路支持体20の検出領域24を少なくとも部分的に囲む。すでに述べたように、前述の外側ケーシング30の存在は、オーバーモールドタイプであるか、あるいは別個に製造されてから回路支持体に結合される可能性があり、装置の保護のためには好ましいものの、単なるオプションであると考えられる。
【0112】
図47は、レベルセンサ装置10を備えたタンク1を部分的に示しており、その検出部11には外側ケーシング30がない。また、このタイプの実施形態では、装置10は、レベル検出軸Xに沿って延びるように、タンク1の本体1aの外側、特に、その非導電性の横または周壁5に固定されるように事前に準備される。前述の壁5の外面に面する電極Jが配置されている装置の側面と、優先的に後者に接するか、または接触している。
【0113】
図47の装置10は、前述の実施形態のいずれかに従って得ることができ、前述したように、外側ケーシング30が設けられていないという唯一の実質的な違いがある。そのような装置10の例が図48に示されており、これは、前述の図10に実質的に対応するものとして理解され得る。この観点では、参照20’の使用は、前述の層またはコーティング40、40’、50の1つまたは複数が回路支持体またはPCB上に既に存在することを示すことを意図している。したがって、注目され得るように、図48の装置10のケーシング本体は、装置の接続および/または制御のための部分15のみから基本的に成り、コーティングされたPCB20’の対応する領域25を少なくとも部分的に囲む(図8参照)。
【0114】
図47および図48に例示されているタイプの実施形態では、センサ装置10のタンクの壁5への固定は、タンク1に面する装置の表面(したがって、コーティングされたPCB20’)に広がる結合剤の層を使用して得られる。このような結合剤の層は、図49にGで示されている。この例では、部分15に含まれる部分を除いて、検出電極が位置するコーティングされたPCB20’の面を被覆するように、それ自体が絶縁機能を有利に果たすことができる層Gが適用される。一般に、結合剤Gの層は、PCB20の対応する面を保護する外層またはコーティングの少なくとも一部に広げることができ、場合によっては、層20または40または40’または50である。
【0115】
また、図47図48に例示されるタイプの実施形態では、結合剤Gの層に加えて、またはその代替として、別個のブラケットなどの他の固定手段を使用することができる。
【0116】
すでに述べたように、様々な実施形態において、タンクへのセンサ装置の設置は、可能な製造公差またはプロセスの広がりの補償を可能にするため、および/またはセンサ装置にタンクの壁によって加えられる可能性のある変形および結果として生じる推力に伴う損傷または故障を防ぐために、弾性タイプであり得る(例えば、太陽の下で止まっている車両の温度または加熱による変形、またはタンク自体の内部の液体の膨張の結果としてのタンクの壁の凍結および変形に伴う)。この目的のために、センサ装置とタンクの壁との間に設定された結合剤は、弾性タイプのものであり得る。さらに、前述のように、層またはコーティング40’などの外層またはコーティングも、この目的に有用であることが証明されている弾性の特性を有利に示すことができる。
【0117】
上記の説明から、本発明の特徴が明らかになり、その利点は、提案されたレベルセンサ装置の構造の単純さ、含まれるコスト、およびその精度と信頼性によって主に表される。
【0118】
添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、純粋に例として本明細書に記載される装置および方法の分野の当業者によって多数の変形がなされ得ることは明らかである。
【0119】
絶縁層の数は、電極JがPCB20のちょうど片側に対応する位置にあることを考慮して、図に示されているものよりも少なくてもよい。この観点では、例えば、PCB20の最も外側の層20のうちの1つのみが本発明の目的のために利用され得、および/または、特に、PCBを保護する外側ケーシング30が反対側および側縁に設けられる場合、PCB20に関心のある側にただ1つの層40(および/または40’)が提供され得る。一方、図示されているように、絶縁構造は、レベル検出電極が存在しないPCBの側面に層40(および/または40’)および/または50を備えることができる。
【0120】
本発明に係るセンサ装置のPCBは、エポキシベースの材料、またはシリコンまたはその誘導体もしくは化合物を含む材料を使用して必ずしも作成する必要はない。考えられる変形実施形態では、多層構造を持たないものであっても、PCB20は、例えば、フッ素化ポリマまたはPTFE、またはポリイミド、またはセラミック材料を使用して得ることができる。
【0121】
本発明は、液体媒体、特に、水または尿素および水ベースの添加物のレベルの検出を特に参照して説明されたが、既に述べたように、説明されたセンサは、凍結により固化する可能性のあるものでさえも、異なる物質および材料、組み合わせて使用できる。
【0122】
いくつかの用途では、それぞれが異なる測定分解能を有し、装置10の検出部11の異なる位置に位置する、異なる検出領域でのレベル測定が必要になる可能性がある。この必要性は、例えば、所定の領域で必要な測定の分解能または許容範囲を保証するために、PCB20の検出領域24に沿って、形状およびサイズに関して異なる形状を有する電極を配置することにつながる。この選択は、場合によっては、装置の制御電子機器、特に、そのコントローラのコストを最小化する必要性によって制限される(これは、その入力の数、したがって、管理可能な電極の数にリンクされる)。このため、用途によっては、検出の最大分解能が不要な領域(通常は両端)で電極のサイズを大きくすると便利な場合がある。この観点では、可能な変形実施形態によれば、その検出領域24内のPCB20の主面に対応する位置に設けられた容量性素子のアレイは、形状および/またはサイズの点で互いに多様化された、多数のシリーズの電極Jを備えることができる。
【0123】
前に説明した実施形態を参照して説明した個々の特徴は、他の実施形態では互いに組み合わせることができる。
【0124】
例えば、フッ素誘導体または化合物、あるいはフッ素誘導体または化合物を必ずしも含まないエラストマをベースとする材料で作られた、1つまたは複数の絶縁層またはコーティングによって実行される機械的補償の機能について以前に言及されている。このタイプの層またはコーティングは、それらの弾性および/または柔軟な性質により、特に、コーティングするために、領域25および/または26などの検出領域とは異なるPCBの領域にも拡張または提供され得る。そして、回路支持体または基板上の露出位置に取り付けられた可能な電気および/または電子コンポーネントを保護し得る。
【0125】
上述したように、本発明による装置の回路支持体には、電極Jと同様に、少なくとも2つの材料層(50、40、40’、20)によってレベル検出を受ける液体から絶縁され得る少なくとも1つの温度センサが設けられ得る。
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