(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】オゾン水生成器のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20230630BHJP
C25B 1/13 20060101ALI20230630BHJP
C25B 13/08 20060101ALI20230630BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20230630BHJP
C25B 11/04 20210101ALI20230630BHJP
C02F 1/78 20230101ALI20230630BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
C25B1/13
C25B13/08 302
C25B9/00 A
C25B11/04
C02F1/78
(21)【出願番号】P 2020552376
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 US2019024758
(87)【国際公開番号】W WO2019191540
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-21
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516129585
【氏名又は名称】ノーススター メディカル ラジオアイソトープス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ラスト ドリアン
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-226527(JP,A)
【文献】特開2002-292370(JP,A)
【文献】特開2009-052105(JP,A)
【文献】特開2011-246799(JP,A)
【文献】国際公開第2007/060807(WO,A1)
【文献】特開2014-201768(JP,A)
【文献】特開平11-269686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0041311(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/46-1/48
C25B1/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水のオゾン処理のためのセルシステムであって、
金表面を有する陰極と、陽極とであって、高分子膜によって分離されて、前記膜に水が流れることを可能にする穴の配列をそれぞれが
有する陰極および陽極と、
前記セルを封入し、前記膜によって分離された陰極ハウジング部分及び陽極ハウジング部分を有するハウジングであって、前記陰極ハウジング部分が、前記陰極を横切る水の流れを可能にするように構成され、前記陽極ハウジング部分が、前記陽極を横切る水の流れを可能にするように構成され、各ハウジング部分が、前記陰極及び前記陽極にわたって実質的に均一に水流を導くように構成された隆起部を有するハウジングと、
前記ハウジングに結合されて、前記ハウジングの両部分を個別に水が流れることを可能にする入力及び出力ポートと、を備えている、
ことを特徴とするセル。
【請求項2】
前記膜はパーフルオロスルホン酸(PFSA)膜である、
請求項1に記載のセル。
【請求項3】
前記ハウジングと前記陰極との間の第1のOリングと、前記ハウジングと前記陽極との間の第2のOリングとをさらに備えている、
請求項2に記載のセル。
【請求項4】
前記陽極はニオブで形成されている、
請求項1に記載のセル。
【請求項5】
前記陽極は、少なくとも一方の側面をダイヤモンド層で
覆われている、
請求項4に記載のセル。
【請求項6】
前記入力ポートは、前記ハウジングを通じて前記陰極及び陽極にわたって水を圧送するポンプに結合されるように構成されている、
請求項1に記載のセル。
【請求項7】
前記陰極ハウジング部分は、前記第1のOリングを受け取るための溝をさらに含み、前記陽極ハウジング部分は、前記第2のOリングを受け取るための溝をさらに含む、
請求項3に記載のセル。
【請求項8】
前記ダイヤモンド層は、ホウ素でドープされる、
請求項5に記載のセル。
【請求項9】
前記陰極は、金でめっきされたステンレス鋼で形成される、
請求項1に記載のセル。
【請求項10】
前記穴の配列は、各電極の流体に曝される表面積の少なくとも75%パーセントを占める、
請求項1に記載のセル。
【請求項11】
前記陽極は、ダイヤモンド層でコーティングされたテクスチャ加工面を有するニオブ電極で構成される、
請求項1に記載のセル。
【請求項12】
前記陽極は、ドープダイヤモンドの層でコーティングされた
ニオブメッシュである、
請求項1に記載のセル。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記陽極と前記陰極との間の整列を維持する、
請求項1に記載のセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2018年3月29日に出願された米国仮特許出願第62/649,928号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本分野は、液体オゾン生成システムに関し、具体的には、効率的な制御されたオゾン水生成のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
水処理、設備滅菌及び食品滅菌を含むクリーニング及び滅菌には、オゾン水などの液体酸化剤(liquid oxidants)が広く使用されている。オゾンは、その3つ目の酸素原子が容易に脱離して汚染物質に結合(すなわち、酸化)できるため、強力な酸化剤である。最近の無菌医薬品加工標準(sterile drug processing standards)の変更により、このような液相オゾン滅菌剤を熱及び放射の代用として使用できるようになった。多くの場合、これらの浄化及び滅菌プロセスでは、制御されたオゾン濃度レベルが必要とされる。
【0004】
既知のオゾン水生成法は、供給水(feed water)を触媒電極の電解表面に直接接触させてオゾン水に電気分解する直接電気分解を使用する。触媒電極は、陽イオン交換膜と、陽イオン交換膜のそれぞれの表面上に圧力接触(in pressure contact)する陽極及び陰極とを含むことができる。供給水供給路から水が供給され、この水が陽極及び陽イオン交換膜に接触し、結果として得られたオゾン水がオゾン水吐出経路を通して吐出される。多くの場合、これらの浄化及び滅菌プロセスでは、制御されたオゾン濃度レベルが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの既知のオゾン水生成装置は非効率的であり、性能及びオゾン濃度に一貫性がなく、しばしば漏れを生じ、製造及び維持に費用がかかる。従って、改善されたオゾン水生成器が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ある実施形態例による水オゾン発生器セル例(example water ozonator cell)のブロック図である。
【
図2A】ある実施形態例によるオゾン発生器セル装置例の分解図である。
【
図3】オゾン発生器セルを利用するシステム例の機能図である。
【
図4】
図3のシステムの制御回路の実施形態例の機能ブロック図である。
【
図5】本明細書で説明する方法のうちのいずれか1つ又は2つ以上を機械に実行させる命令セットを実行又は記憶できるコンピュータシステム例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書では、制御された水のオゾン処理のための装置及び方法例について説明する。以下の本発明の実施形態例の詳細な説明では、本発明を実施できる具体的な実施形態例を例示として示す、本明細書の一部を成す添付図面を参照する。これらの実施形態については、当業者が本発明主題を実施できるほど十分に詳細に説明するが、他の実施形態を利用することも、本発明主題の範囲から逸脱することなく論理的、機械的、電気的及びその他の変更を行うこともできると理解されたい。
【0008】
以下の詳細な説明の一部は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号的表現の観点から提示するものである。これらのアルゴリズム的な記述及び表現は、コンピュータ技術における当業者が自らの研究内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する方法である。ここでは、及び一般的に、アルゴリズムとは、望ましい結果をもたらす首尾一貫した一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。これらの量は、必ずというわけではないが、通常は、記憶、転送、合成、比較及び他の形の操作が可能な電気又は磁気信号の形を取る。主に共通使用という理由で、時にはこれらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語又は番号などと呼ぶことが便利であると分かっている。しかしながら、これらの及び同様の用語は、全て適切な物理量に関連付けられるべきものであり、これらの量に与えられた便利な表記にすぎないことに留意されたい。以下の説明から明らかなように、特に別途述べていない限り、「処理する(processing)」、「算出する(computing)」、「計算する(calculating)」、「決定する(determining)」又は「表示する(displaying)」などの用語は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(例えば、電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ、又は他のこのような情報記憶装置、送信又は表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変形させるコンピュータシステム又は同様のコンピュータ装置の動作及び処理を意味する。
【0009】
図では、複数の図に出現する同一のコンポーネントを参照するために同じ参照番号を使用することができる。信号及び接続は、同じ参照番号又はラベルによって参照することができ、実際の意味は、説明の文脈におけるその使用法から明らかになるであろう。
【0010】
様々な実施形態の説明は一例として解釈すべきであり、本発明主題の全ての考えられる例を説明するものではない。現在の又は将来の技術の組み合わせを使用して数多くの代替例を実装することもでき、これらもやはり特許請求の範囲に含まれる。従って、以下の詳細な説明は限定的な意味で捉えるべきではなく、本発明主題の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって定められる。
【0011】
図1は、水オゾン処理セル例100のブロック図である。セル100は、図示のように高分子膜104(例えば、ナフィオン膜)によって陰極102(例えば、ステンレス鋼)を陽極106(例えば、ダイヤモンドめっきニオブ(diamond plated niobium))から分離した例である。動作中、セル100は、高分子膜104を使用した直接電気分解によって、水を水素(H
2)とO
2の形態の酸素及びオゾン(O
3)とに分離する。このプロセスでは、水が分離されて、電解セルの陽極側及びセルの陰極側に個別に導入される。陽極側に導入された水は電気分解され、一部がオゾンに変換されて残りの水に混合されることにより、水中で陽極側に0
3濃度を構築する。陰極側では、分離されて膜を通じて送られたH
2が水中に放出される。
【0012】
このような電解システムを使用してオゾンを生成する利点は、1)固体水和イオン交換膜(solid hydrated ion exchange membrane)を使用して供給水が解離されているためイオン汚染が存在せず、2)消毒に使用されるプロセス水がオゾン生成用の酸素源であり、従って扱われるシステムに外部汚染物質が導入されず、3)オゾンが形成されると直ぐにプロセス水に溶解して残留汚染物質を生じない点である。
【0013】
図1の直接水電解セル(direct water electrolysis cell)100では、1.511Vよりも高い電圧でオゾンガスが発生して酸素の発生を伴う。電圧を2.075Vよりも高めることにより、0
2ガスが酸化して0
3を形成することも予想される。0
2発生は0
3発生よりも低い電位で生じるので、0
2発生の生成速度及び電力消費量は0
3発生のものよりもはるかに高い。従って、できるだけ多くのオゾンが生成されるのを確実にするために、陽極は、分解及びオゾン反応電位を上回る過電位を有するべきであり、触媒層は、二原子酸素の形成を抑制してオゾンの形成を助長すべきである。この電解セル設計は、適切な動作パラメータが満たされると、効率的な0
3発生法をもたらす。所与のセル100において適切なレベルのオゾンが生成されるのを確実にするために、パラメータフィードバックを利用することができる。定電流源で駆動されるセルでは、オゾン生成に直接関連する、従って一貫したオゾン濃度をもたらすように制御できるDC電圧が結果として生じるようになる。いくつかの実施形態では、16ppmという所望のオゾン濃度を達成することができる。
【0014】
オゾン生成に対するセルの電流密度関係は、表面積及び印加電流の倍数である。電流効率、従ってオゾン生成は、制御された水温で安定する。いくつかの実施形態では、約17℃~20℃の所望の温度で、崩壊率が発生率に一致する安定したオゾン濃度がもたらされる。セル100の例では、一定の水流量、最大水温及び発生時間が安定したオゾン発生濃度の一因になる。
【0015】
電流及び電圧と共に、オゾン発生に影響する要因は他にも複数存在する。これらの要因は、1)セルの流量、2)発生時間、3)水のpH及び浄化、4)総水量、及び5)水温である。セル100は、オゾン発生に対する可変的影響を大幅に低下させるように、上述した5つの要因を定常状態でモニタして調整することを可能にする。流量は、確実に一定の流量を維持するようにモニタして調整することができる。オゾンを発生させるためのセルの動作時間は、規定の継続時間に設定することができる。水入力は、pHを制御してあらゆる汚染物質を取り除くUSP滅菌水であることが好ましい。入力水量は、オゾン発生サイクル中に反復可能なレベルが確実に維持されるようにモニタして制御することができる。水温は、所定の閾値を超えないことを確実にするようにモニタして調整することができる。
【0016】
図2Aは、
図1のセル100の具体的な実施形態例である新規のオゾン処理セル200の実施形態の分解図である。セル200は、膜206によって分離された陰極204に面する側面203上にダイヤモンドコーティングを有する陽極202を含む。
図2Aに示す実施形態では、陽極202及び陰極204の両方が、電極202、204を貫通する小さな穴の配列201、205を有する。1つの実施形態では、陽極202を、例えばドープダイヤモンドの薄層でめっきされたニオブで構成することができ、陰極204を、例えば金でめっきされたステンレス鋼で構成することができる。
【0017】
陽極202は、いずれかの好適な導体とすることができ、ドープダイヤモンドの層でコーティングされたニオブ(又は他の何らかの好適な材料)であることが好ましい。1つの実施形態では、ニオブが約99%の純度であり、ダイヤモンド層が約2ミクロンの厚みである。陽極202の穴の配列201は、膜206の陽極側に水が接触することを可能にし、膜206の多孔性は、配列の穴の間に水が拡散して穴の間の膜206の表面を湿らせることを可能にする。1つの実施形態では、陽極202の穴の配列201が、水に曝される陽極の表面積(すなわち、Oリング214内の面積)の少なくとも75%を占める。1つの実施形態では、穴201の直径が約1/70000インチであり、水が膜206に十分に接触できるほど大きくすべきである。
【0018】
いくつかの実施形態では、最初にニオブ陽極の表面を陽極酸化して表面付着を促す細孔を形成し、その後にドープダイヤモンドのめっきを施す。他の実施形態では、最初にニオブ表面にビードブラスト加工を施し、その後にエッチングを行って、ダイヤモンドめっきの表面付着性を高めるのに最適な表面テクスチャを形成することができる。他の方法では、マスクを用いたベース材料上へのニオブのスパッタリングを使用して、付着性を高める表面テクスチャを形成することができる。さらに他の実施形態では、表面積を最大化する細いニオブのメッシュで陽極を形成し、その後にこのメッシュ陽極表面を上述したようないずれかの好適な方法によって調製した後でドープダイヤモンド層をコーティングすることができる。陽極のダイヤモンド層は、ダイヤモンド層が導電性になるほど十分な濃度までドープ(すなわち、ホウ素でドープされる)されることが好ましい。いくつかの実施形態では、ダイヤモンド層の厚みを約2ミクロンとすることができる。
【0019】
陰極204は、流体と過剰に相互作用しない好適な導体(例えば、ステンレス鋼、金、銀など)で構成され、表面を金で仕上げた電極(gold surfaced electrode)であることが好ましい。いくつかの実施形態では、陰極204を、水と鉄との相互作用を排除する金表面を形成するように両側を金でめっきされたステンレス鋼とすることができる。陰極204も、図示のような穴の配列205を含む。いくつかの実施形態では、配列205が、水に曝される陰極の表面積(すなわち、Oリング212内に封入された面積)の少なくとも75%を占める。これらの穴は、膜206の陰極側に水が接触することを可能にし、膜206の多孔性は、穴の間に水が拡散して穴の配列205によって覆われた穴の間の表面全体を湿らせることを可能にする。1つの実施形態では、穴205の直径が約1/70000インチである。
【0020】
図示の実施形態では、陰極204及び陽極202が、例えばナフィオン膜などの高分子膜206によって分離される。この膜は、図示のようにディフューザ側208が陰極に面した状態で配向される導電性ディフューザ(conductive diffuser)を含むことができる。この膜は、陰極に面する側に白金触媒を含むこともできる。図示の実施形態では、陰極204と本体要素210との間にOリング212(例えば、シリコーン)が配置されて本体要素210との間にシールを形成し、陽極202と第2のセル本体要素216との間に第2のOリング214が配置されて、電極204及び206の縁部の周囲からの水の漏出を最小化するようにシールを形成する。1つの実施形態では、膜206の厚みが約1/10000インチである。膜206は水を吸収することができ、従って縁部の周囲の密封性を高めるために両面接着ボーダー(double sided adhesive border)209を膜206に接着することができる。各本体要素210、216には、Oリングを収容するための溝211を形成することができる。
【0021】
1つの実施形態では、本体要素210、216を、オゾン耐性高密度ポリエチレン(ozone resistant high density polyethylene)又はCPVCで構成することができる。4つのボルト220~223、並びにナット224~227及びワッシャ228、229は、本体要素210、216を一体に保持してエンクロージャを形成する一方で、陰極204、陽極202及び膜206をエンクロージャ内で適所に保持して正しく整列させる。水入口/出口ポート230、232は、セル200に対する水の出入りを可能にする。ポート230、232には、水管材(water tubing)の接続を可能にする水入口/出口アダプタ240、242が取り付けられる。各本体要素210、216の内面には、水がセルを通過する際に陽極203及び陰極204の表面全体にわたって比較的均一に通過するように水流パターンを強化するための隆起部(ridges)250を形成することができる。
【0022】
図2Bは、ボルト220~223及び入口/出口アダプタ240、242を含むオゾン処理セル200の端面図である。
図2Cは、ボルト222、223によって一体に保持された本体要素210、216を示す、
図2Bの線AAに沿ったセル200の断面図である。2つの本体要素210、216間には、Oリング212、214、膜206、陰極204及び陽極202を示す。いくつかの実施形態では、電極への圧力を制御するために、ボルト220~223に所望のレベルまでトルクが加えられる。1つの実施形態では、十分な気密性を与える一方で、ナフィオン膜206に接触する両側を水が流れて電流がセルを通過できるように、ボルトに約6ft-lbsまでのトルクが加えられる。
【0023】
セル200の動作中には、セルにDC電圧が付与されて、陰極に負電圧が、陽極に正電圧が付与される。水は、セル200を通じて圧送され、入口ポート232を通じて陰極側に入り込み、陰極204の表面全体を流れ、出口ポート230を通じてセル200から流出する。水は、出口アダプタ240に接続された管材を介して供給され、出口アダプタ242に接続された管材を介して流出する。同様に、水は、入口アダプタ243に接続された管材から入口ポート215を通じてセル200の陽極側に入り込み、陽極202の表面全体を流れ、出口ポート及び出口アダプタ241を介してセル200から流出する。両側を流れる水は、穴201、205を通じて膜206に接触する。この水流量、水温、セル電圧及び電流のモニタリング及び制御を行って、セル200内からのオゾン濃度を制御する。
【0024】
別の実施形態では、オゾン処理セルが、オゾン濃度のモニタリング及び制御を可能にする統合分光光度計(integral spectral photometer)を含むことができる。分光光度計部分は、透明チャンバ内を流れる水にUV光を投影してオゾン濃度を測定する。統合分光光度計は、気泡トラップも含む。
【0025】
図3は、ある実施形態例による、水オゾン処理システム例300の実施形態の機能図である。図示のようなシステム300は、陰極側304、陽極側302及び膜206を有するオゾン処理セル200を含む。セル200は、図示のような一対の水リザーバ306、308に結合される。リザーバ306、308は、必要に応じたサイズとすることができ、例えば1つの実施形態では、それぞれ50ml及び200mlを保持することができる。流体は、陰極経路310及び陽極経路312を介してセル200を流れる。陰極経路310では、管材経路318を介して水素を含む流体を水素側リザーバ306に戻すポンプ314が、図示のような余剰流体を流すための余剰流体レセプタクル322に流体を導くことができる三方弁320を通じて流体を駆動する。陽極経路312では、ポンプ316が、やはり図示のように経路328を介してリザーバ306に流体を導くことができる三方弁326を通じて、管材経路324を介してオゾンリザーバ308に流体を圧送する。また、図示の実施形態では、リザーバ308の底部から経路330を介して、三方弁332を通じてリザーバ308の頂部に流体を導くこともできる。流体源は、リザーバ334から経路336を介してリザーバ308に提供される。リザーバ334は、例えば1つの実施形態では250mlの水である好適な量の流体を保持するようなサイズとすることができる。リザーバ306、308内の水位は、水位センサ340、342によってモニタされ、オゾンリザーバ308内の流体温度は、温度センサ344を使用してモニタされる。冷却器350(例えば、ペルチェ冷却器)は、リザーバ308内の流体温度の制御を可能にする。通気孔352は、リザーバ306、308から余剰ガスを排出するための経路を提供する。
【0026】
オゾンリザーバ308からの水は、引き抜かれて滅菌に使用されている間、循環して所望の水中オゾンレベルを維持する。オゾン濃度は、セル200の電圧及びセル200を通る電流を制御することによって制御される。制御盤400(
図4を参照)は、セル200の電流及び電圧、並びに流体温度をモニタしてオゾンの発生を制御することができる。
【0027】
図4は、
図3の例示的な実施形態を制御する制御回路400の例の機能ブロック図である。制御回路400は、メモリ402と、A/D変換器404と、制御ラッチ406と、WDT408と、弁制御部410と、冷却器電源412と、セル電源414と、ポンプ制御及び電源416とを含み、これらはバス420を介して通信する。図示のように、回路400は、リザーバ306、308(すなわち、センサ340、342、344)、冷却器350、及びセル200に結合される。制御回路400は、バス420を介して結合されたコントローラ430によって制御される。
【0028】
図5は、本明細書で説明した方法、プロセス、動作又は方法論のうちのいずれか1つ又は2つ以上をシステムに実行させる命令セットを実行できるコンピュータシステム500の形態の機械の実施形態例のブロック図である。例えば、コントローラ430は、1又は2以上のコンピュータシステム500の機能を含むことができる。
【0029】
図5の説明は、本発明の態様を実装できる好適なコンピュータハードウェア及び好適なコンピュータ環境の簡単な概要を示すように意図するものである。いくつかの実施形態では、本発明主題の態様を、コンピュータによって実行されるコンピュータ実行可能命令という一般的文脈で示す。
【0030】
当業者であれば、本開示の態様は、ハンドヘルド装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースの又はプログラム可能な消費者向け電子機器、スマートフォン、ネットワークPC、ミニコンピュータ及びメインフレームコンピュータなどを含む他のコンピュータシステム構成と共に実施することもできると理解するであろう。本開示の態様は、通信ネットワークを通じて結合されたI/O遠隔処理装置によってタスクが実行される分散コンピュータ環境において実施することもできる。分散コンピュータ環境では、局所及び遠隔メモリ記憶装置の両方にプログラムモジュールを配置することができる。
【0031】
ある実施形態例では、機械がスタンドアロン型装置として動作し、又は他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)することができる。ネットワーク展開では、機械が、サーバ-クライアントネットワーク環境においてサーバ又はクライアント機械という資格で、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作することができる。この機械は、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、埋め込みコントローラ、携帯電話機、ネットワークルータ、又はその機械が取るべき行動を指定する(順次又はその他の)命令セットを実行できるいずれかの機械とすることができる。さらに、単一の機械しか図示していないが、「機械」という用語は、本明細書で説明した方法のうちのいずれか1つ又は2つ以上を実行するための命令セット(又は複数の命令セット)を個別に又は協働で実行するいずれかの一群の機械も含むと解釈されたい。
【0032】
コンピュータシステム例500は、プロセッサ502(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)又はこれらの両方)と、メインメモリ504と、スタティックメモリ506とを含むことができ、これらはバス508を介して互いに通信する。コンピュータシステム500は、ビデオディスプレイユニット510(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)プラズマ又はブラウン管(CRT))をさらに含む。コンピュータシステム500は、英数字入力装置512(例えば、キーボード)、カーソル制御装置514(例えば、マウス)、ドライブユニット516、信号発生装置518(例えば、スピーカ)、及びネットワークインターフェイス装置520も含む。
【0033】
ディスクドライブユニット516は、本明細書で説明した方法又は機能のうちのいずれか1つ又は2つ以上を具体化する1又は2以上の命令セット(例えば、ソフトウェア524)を記憶したコンピュータ可読媒体522を含む。メインメモリ504及び/又はプロセッサ502内には、コンピュータシステム500による実行中に完全に又は少なくとも部分的にソフトウェア524が存在することもでき、メインメモリ504及びプロセッサ502もコンピュータ可読媒体を構成する。さらに、ソフトウェア524は、ネットワークインターフェイス装置520を通じてネットワーク526を介して送受信することもできる。
【0034】
実施形態例には、コンピュータ可読媒体522を単一の媒体として示しているが、「コンピュータ可読媒体」という用語は、1又は2以上の命令セットを記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中又は分散データベース及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むと解釈されたい。また、「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械によって実行される命令セットを記憶又は符号化できるとともに、本発明の方法のうちのいずれか1つ又は2つ以上を機械に実行させるいずれかの媒体も含むと解釈されたい。従って、「コンピュータ可読媒体」という用語は、限定するわけではないが、一時的及び非一時的媒体を含むと解釈されたい。非一時的媒体の例としては、以下に限定するわけではないが、ソリッドステートメモリ、光学媒体及び磁気媒体が挙げられる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体が非一時的コンピュータ可読媒体である。
【0035】
本明細書で使用する「~に基づいて」又は「~を使用して」という用語は、明確に列挙するものを上回る他の要素を反映することができる制約のない(open-ended)用語を反映するものである。
【0036】
本明細書では、いくつかのシステム、装置、アプリケーション又はプロセスを、複数のモジュールを含むものとして説明した。モジュールは、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせで示すことができる異なる機能の単位とすることができる。モジュールの機能のいずれかの部分がソフトウェアを通じて実行される場合、このモジュールはコンピュータ可読媒体を含む。モジュールは、通信可能に結合されたものとみなすことができる。
【0037】
本発明主題は、多くの置換が考えられる様々な異なる実施形態で表すことができる。具体的な実施形態例を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明の実施形態の幅広い趣旨及び範囲から逸脱することなくこれらの実施形態に様々な修正及び変更を行えることが明らかであろう。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で捉えるべきである。
【0038】
本明細書では、このような発明主題の実施形態を実際に1つよりも多く開示している場合、これらの実施形態を、本出願の範囲をあらゆる単一の発明又は発明概念に自発的に限定することを意図せずに、単に便宜上「発明」という用語によって個別に又はまとめて参照することができる。
【0039】
上記の説明から明らかなように、本発明主題のいくつかの態様は、本明細書に示す実施例の特定の詳細によって限定されるものではなく、従って当業者には他の修正及び用途又はその同等物が思い浮かぶと考えられる。従って、特許請求の範囲は、本発明主題の趣旨及び範囲から逸脱しない全てのこのような修正及び用途を対象にすべきであることが意図される。従って、本発明主題は、以下の特許請求の範囲及びその同等物のみによって限定されるべきであることが明白に意図される。
【0040】
本明細書で説明した方法は、説明した順序又はいずれかの特定の順序で実行する必要はない。さらに、本明細書で明らかにした方法に関して説明した様々な動作は、連続して又は同時に実行することができる。
【0041】
本開示の要約書は、技術的開示の性質を読者が素早く確認できるようにする要約書を必要とする米国特許法施行規則第1.72条(b)に準拠するように提供するものである。この要約書は、特許請求の範囲又はその意味を解釈又は限定するために使用されるものではないという了解の下で提出するものでもある。また、上記の詳細な説明では、本開示を簡素化する目的で様々な特徴を単一の実施形態にまとめていることが分かる。本開示の方法は、請求項に記載する実施形態が、各請求項に明示的に記載する特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映したものであると解釈すべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されるように、発明主題は、開示した単一の実施形態の全ての特徴よりも少ないもので成立することができる。従って、以下の特許請求の範囲は、各請求項が単独の実施形態として自立した状態で詳細な説明に組み込まれる。