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特許7304897複数の医療用容器を収容および分配するように構成された包装装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】複数の医療用容器を収容および分配するように構成された包装装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/00 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
A61M5/00 500
A61M5/00 510
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020566291
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2019065338
(87)【国際公開番号】W WO2019238748
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】18305725.6
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクシム ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ガリアーノ
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-539876(JP,A)
【文献】特開2009-113865(JP,A)
【文献】特表2012-505042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0269227(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療用容器(10)を収容するように構成された包装装置(1)であって、
保管室(25)の範囲を定めるハウジング(20)であって、前記保管室(25)は、使用者が医療用容器(10)を取り上げることができるように、医療用容器(10)の1つが前記ハウジング(20)の外へ通過できるように構成された分配開口部(250)を備える、ハウジング(20)と、
使用前の位置で、前記ハウジング(20)の前記保管室内(25)に配置された鋭利物容器(40)であって、前記鋭利物容器(40)は、前記鋭利物容器(40)が使用済み医療用容器(10)の収集を可能にする収集位置で、前記ハウジング(20)の外側に配置されるように前記保管室(25)から取り外し可能である鋭利物容器(40)と、を備え、
前記鋭利物容器(40)は、使用前の位置で複数の医療用容器(10)を収容するように構成され、前記鋭利物容器(40)は、前記鋭利物容器(40)が使用前の位置から取り外されるときに、医療用容器(10)が前記鋭利物容器(40)から前記保管室(25)に落下することを可能にするように構成された落下窓(41)を備え
前記鋭利物容器(40)は、前記鋭利物容器(40)に収容された使用前の医療用容器(10)が前記落下窓(41)から前記保管室(25)に落下した後で、前記収集位置で使用済み医療用容器(10)を前記落下窓(41)に通すことで回収可能に構成されることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記ハウジング(20)の前記保管室(25)は、医療用容器(10)を前記分配開口部(250)に向けて案内するように構成されたガイド斜面(252)を備えることを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記鋭利物容器(40)は、医療用容器(10)を前記落下窓(41)に向かって案内するように構成されたガイド斜面(44)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記鋭利物容器(40)および前記保管室(25)は、相補的な形状を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の包装装置。
【請求項5】
前記鋭利物容器(40)は、閉位置で前記落下窓(41)を閉鎖し、開位置で前記落下窓(41)を介して医療用容器(10)が通過できるように構成されたシャッター(45)を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の包装装置。
【請求項6】
前記使用前の位置で、前記シャッター(45)は、前記保管室(25)のガイド斜面(252)に寄りかかることを特徴とする請求項5に記載の包装装置。
【請求項7】
前記シャッター(45)は、前記鋭利物容器(40)の壁(42)に回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の包装装置。
【請求項8】
前記鋭利物容器(40)は、前記シャッター(45)を閉位置に固定するように構成された固定手段を含み、前記固定手段は、前記鋭利物容器(40)の使用前位置で機能しないように構成されることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の包装装置。
【請求項9】
前記鋭利物容器(40)は、使用者が前記保管室(25)から前記鋭利物容器(40)を引き出すことを可能にするように構成された把持部材(46)を備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の包装装置。
【請求項10】
前記ハウジング(20)は、医療用容器(10)が前記分配開口部(250)を通って落下するのを防ぐために、前記分配開口部(250)から突出する隣接部材(26)を備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の包装装置。
【請求項11】
前記ハウジング(20)は、医療用容器(10)が前記分配開口部(250)を通って前記ハウジング(20)を出るときに、各医療用容器(10)に含まれるデータを読み出すように構成されたデータ読み出し手段を備えることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の包装装置。
【請求項12】
前記分配開口部(250)は、単一の医療用容器(10)が一度に通過できるように寸法が定められていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の包装装置。
【請求項13】
前記ハウジング(20)は、前記ハウジング(20)内に収容される医療用容器(10)を冷却するように構成された冷却手段を備えることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の包装装置。
【請求項14】
前記保管室(25)は第1の保管室(25)であり、前記ハウジング(20)は、前記ガイド斜面によって第1の保管室(25)から分離された第2の保管室(25)を含み、前記第2の保管室(25)は、第2の複数の医療用容器(10)の1つの医療用容器が通ることを可能にする分配開口部(250)を有し、前記包装装置(1)は、前記第2の複数の医療用容器(10)を含むように構成された第2の鋭利物容器(40)であって、前記第2の鋭利物容器が前記ハウジング(20)から取り外されたとき、第2の複数の医療用容器(10)が前記第2の保管室(25)に落下することを可能にする落下窓(41)を備える、第2の取り外し可能な鋭利物容器(40)をさらに含むことを特徴とする請求項2、3または6に記載の包装装置。
【請求項15】
前記包装装置(1)は医療用容器(10)を含み、各医療用容器(10)は円筒形の保護管(102)を含むことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の医療用容器を保管および供給するように構成された包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願において、構成部分または装置の遠位端は、使用者の手から最も遠い端を意味すると理解され、近位端は、使用者の手に最も近い端を意味すると理解されるべきである。同様に、本出願において、「遠位方向」は、本発明の包装装置に収納される医療用容器に関して、注射の方向を意味すると理解され、「近位方向」は、上記注射の方向とは反対の方向、すなわち、注射操作に関して、医療用容器を保持している使用者の手に向かう方向を意味すると理解されるべきである。
【0003】
充填済み注射器などの医療用容器には、ワクチンなどの医薬組成物を充填することができる。さらにまた、これらの医療用容器は、例えば看護師や薬剤師などの医療従事者に配布されることがある。各医療用容器は通常、医療用容器を無菌状態に維持するように構成されたブリスターパックに収容され、このブリスターパックは、医療用容器を保護、保管、および輸送することを可能にする箱型の包装装置内に入れられる。この包装装置は、多くの場合、単一の医療用容器を含むように構成されている。しかしながら、これらの個別の包装装置は、何百もの医療用容器を一緒に保管し、例えば冷蔵庫内で低温で一緒に保管する場合、非常に煩雑であるように思われる。したがって、よりコンパクトな包装の解決策が必要となる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様は、複数の医療用容器を収容するように構成された包装装置であって、包装装置は、
保管室の範囲を定めるハウジングであって、前記保管室は、使用者が前記医療用容器を取り上げることができるように、前記医療用容器の1つが前記ハウジングの外へ通過できるように構成された分配開口部を備える、ハウジングと、
使用前の位置で、前記ハウジングの前記保管室内に配置された鋭利物容器であって、前記鋭利物容器は、前記鋭利物容器が使用済み医療用容器の収集を可能にする収集位置で、前記ハウジングの外側に配置されるように前記保管室から取り外し可能である鋭利物容器と、を備え、
鋭利物容器は、使用前の位置で複数の医療用容器を収容するように構成され、鋭利物容器は、鋭利物容器が使用前の位置から収集位置に移動したときに、医療用容器が鋭利物容器から保管室に落下することを可能にするように構成された落下窓を備える。
【0005】
したがって、本発明による包装装置は、複数の医療用容器を保管し、これらの医療用容器を1つずつ配布することを可能にするものである。所定の数の医療用容器に対して、このマルチ包装装置は、個々の包装装置よりも煩雑でない包装解決策を提供する。その上、鋭利物容器がハウジングに収容される。これにより、輸送および保管時のコンパクトさを向上させることができる。
【0006】
より詳細には、使用前の位置では、医療用容器は鋭利物容器内に収容され、鋭利物容器はハウジング内に収容されている。鋭利物容器は、それがハウジング内に収容されている限り、医療用容器が、鋭利物容器内に封入され、鋭利物容器、そしてハウジングから出ることができないように構成される。
【0007】
最初の医療用容器を使用する前に、使用者は鋭利物容器をハウジングから引き出す。鋭利物容器は、使用前の位置から取り外されるとき、医療用容器を解放するように構成されている。医療用容器は、鋭利物容器からハウジング内に排出される。このように、ハウジングは、医療用容器の配布器として使用されるように構成される。実際のところ、医療用容器がハウジング内に入ると、それらは分配開口部を通って出ることができる。それらが使用されると、医療用容器は、ハウジングの外側に配置された鋭利物容器に再び入れることができる。総ての医療用容器が使用され、鋭利物容器に投入されると、鋭利物容器は、廃棄されるか、またはハウジング内に再び配置され得る。
【0008】
鋭利物容器とは、汚染された針を備えた注射器など、鋭利な医療機器を使用後に安全に廃棄するように構成された容器であると理解すべきものである。鋭利物容器は、好ましくは硬いものであり、プラスチック材料でできていてもよい。
【0009】
一実施形態では、ハウジングの保管室は、医療用容器を分配開口部に向けて案内するように構成されたガイド斜面を備える。
【0010】
一実施形態では、鋭利物容器は、医療用容器を落下窓に向かって案内するように構成されたガイド斜面を備える。
【0011】
一実施形態では、鋭利物容器および保管室は、相補的な形状を有する。より詳細には、鋭利物容器は、好ましくは、保管室にぴったりと合うように構成される。鋭利物容器の2つの隣接する壁は、保管室の2つの隣接する壁によって形成される角度に等しい角度を形成する。
【0012】
一実施形態では、鋭利物容器は、閉位置で落下窓を閉鎖し、開位置で前記落下窓を介して医療用容器が通過できるように構成されたシャッターを備える。
【0013】
一実施形態では、使用前の位置で、シャッターは、保管室のガイド斜面に寄りかかる。これにより、シャッターを開く準備をしたまま、シャッターを閉位置に維持することができる。鋭利物容器が保管室から引き出されるとき、重力および鋭利物容器内に収容される医療用容器の重量によってシャッターが開く。
【0014】
一実施形態では、シャッターは、鋭利物容器の壁に回転可能に取り付けられている。これにより、医療用容器の早すぎる落下を防ぐことができる。これは、結果として、医療用容器が斜めになって分配開口部に向かう医療用容器の移動が妨げられることを防ぐことになる。
【0015】
一実施形態では、鋭利物容器は、シャッターを閉位置に固定するように構成された固定手段を含み、前記固定手段は、鋭利物容器の使用前位置で機能しないように構成される。これにより、鋭利物容器を取り外すときに重力と医療用容器の重量によってシャッターを開くことができる一方、汚染された医療用容器が鋭利物容器に集められると鋭利物容器を密封することができる。
【0016】
一実施形態では、鋭利物容器は、使用者が保管室から鋭利物容器を引き出すことを可能にするように構成された把持部材を備える。
【0017】
有利には、ハウジングは、分配開口部を画定するための開くことができる引き出しを備える。
【0018】
一実施形態では、ハウジングは、医療用容器が前記分配開口部を通って落下するのを防ぐために、分配開口部から突出する隣接部材を備える。隣接部材によって、使用者がアクセスできるこれらの医療用容器の少なくとも1つを維持することができる。
【0019】
一実施形態では、ハウジングは、前記医療用容器が分配開口部を通ってハウジングを出るときに、各医療用容器に含まれるデータを読み出すように構成されたデータ読み出し手段を備える。これにより、包装装置内に残っている医療用容器の数、医療用容器の追跡、各医療用容器の日付または使用時間の記録などの有用な情報を収集することができる。
【0020】
一実施形態では、分配開口部は、単一の医療用容器が一度に通過できるように寸法が定められている。
【0021】
一実施形態では、ハウジングは、ハウジング内に収容される医療用容器を冷却するように構成された冷却手段を備える。これにより、医療用容器に含まれる医薬組成物を損傷することなく、包装装置を冷蔵庫の外で保管することが可能となる。
【0022】
一実施形態では、保管室は第1の保管室であり、ハウジングは、前記ガイド斜面によって第1の保管室から分離された第2の保管室を含み、前記第2の保管室は、第2の複数の医療用容器の1つの医療用容器が通ることを可能にする分配開口部を有し、前記包装装置は、前記第2の複数の医療用容器を含むように構成された第2の鋭利物容器であって、それがハウジングから取り外されたとき、第2の複数の医療用容器が第2の保管室に落下することを可能にする落下窓を備える、第2の取り外し可能な鋭利物容器をさらに含む。
【0023】
一実施形態では、包装装置は医療用容器を含み、各医療用容器は円筒形の保護管を含む。医療用容器が保管室に落下したとき、保護管が注射器を保護する。円筒形の形状により、医療用容器は、分配開口部に向かってガイド斜面上を効率的に転がることができる。
【0024】
注射器は、好ましくは、充填済みの注射器である。
【0025】
本発明およびそれから生じる利点は、以下の添付の図面を参照して以下に示す詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の一実施形態による包装装置の斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による包装装置の斜視図であり、鋭利物容器が使用前の位置にある図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による包装装置の斜視図であり、鋭利物容器が収集位置にある図である。
図4図4は、本発明の実施形態による包装装置における鋭利物容器の斜視図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による包装装置の断面図である。
図6図6は、本発明の実施形態による包装装置の断面図である。
図7図7は、本発明の実施形態による包装装置の断面図である。
図8図8は、本発明の包装装置によって保管および配布されることを意図した医療用容器の斜視図である。
図9図9は、本発明の一実施形態による包装装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および図5を参照すると、本発明の実施形態による包装装置1が示されている。包装装置1は、例えば100個以上の医療用容器10など複数の医療用容器10を収容および配布するように構成されている。医療用容器10は、充填済みの注射器であり得る。注射器には、ワクチン、医薬品、または治療薬などの医薬組成物を事前に充填することができる。例えば、医療用容器10は、インフルエンザワクチンが事前に充填された注射器であり得る。
【0028】
包装装置1は、医療用容器10を好ましくは1つずつ保管および分配できるように構成された箱型ハウジング20と、使用後に医療用容器10を収集するように構成された取り外し可能な鋭利物容器40とを備える。
【0029】
鋭利物容器40は、ハウジング20に対して以下の位置の間で移動可能である。
【0030】
鋭利物容器40がハウジング20の内側にある使用前の位置(図1図2図5)。鋭利物容器40は、使用前に医療用容器10を含むように構成される。
【0031】
使用済み医療用容器10を収集するために、鋭利物容器40がハウジング20の外側にある収集位置(図3図4)、
使用済み医療用容器10を収容するために、鋭利物容器40がハウジング20の内側にある使用後の位置(図9)。使用前の位置と使用後の位置は類似していてもよい。
【0032】
箱型ハウジング20は、縦軸Aの周りに延在する側壁21を有することができる。側壁21は、好ましくは縦軸Aに平行な4つの面を有することができる。隣接する面は直交するものであってよい。箱型のハウジングは、直角の直方体であり得る。一実施形態では、ハウジング20は立方体の形状を有する。ハウジング20は、厚紙またはプラスチックで出来たものとすることができる。
【0033】
ハウジング20は、ハウジング20からの、またはハウジング20の内部への鋭利物容器40の取り外しまたは挿入を可能にするように構成されたアクセス開口部22を有する。アクセス開口部22は、側壁21の第1の端部210で区切られ得る。第1の端部210の反対側の第2の端部212は、ハウジング20が平らな面上に載ることを可能にする底壁23を備えてもよい。
【0034】
ハウジング20はまた、アクセス開口部22を閉じるように構成された蓋24を含み得る。蓋24は、ハウジングから取り外し可能であり得るか、または側壁21、例えば、第1の端部210に回転可能に取り付けられ得る。ハウジング20は、蓋24を閉位置に留めるように構成されたスナップ留め要素などの固定手段を備えることができる。
【0035】
ハウジング20は、鋭利物容器40が使用前または使用後の位置にあるとき、鋭利物容器40を収容し、図6および図7に示すように、鋭利物容器40が収集位置にあるときに複数の医療用容器10を収容するように構成された保管室25を備える。好ましくは、鋭利物容器40および保管室25は、包装装置1が多数の医療用容器10を保管することができるように、相補的な形状を有する。
【0036】
図5を参照すると、保管室25は、医療用容器10がハウジング20の外側へ通ることができるように構成された分配開口部250を備え、これにより、使用者が医療用容器10を取り上げることが可能となる。分配開口部250は、好ましくは、単一の医療用容器が一度に通過できるように設計され、その結果、医療用容器10が1つずつ分配される。分配開口部250は、長方形の形状を有し得る。分配開口部250は、分配開口部250を開くために引き出すことができる引き出しによって画定され得る。
【0037】
図に示されるように、分配開口部250は、側壁21を通って、例えば、側壁21の第2の端部212に設けることができる。好ましくは、分配開口部250は、側壁21の単一の面を通って設けられる。
【0038】
保管室25はまた、ハウジング20の内側に延在し、鋭利物容器40が取り外された後、医療用容器10が重力によって分配開口部250に向かって移動するように構成されたガイド斜面252を備え得る。ガイド斜面252は、平面のガイド面を画定することができる。図に見られるように、ガイド斜面252は、縦軸Aに直交する水平面に対して鋭角を形成する。
【0039】
ガイド斜面252は、側壁21の一方の面の中間部分に上端252aを有し、側壁21の反対側の面の第2の端部212に下端252bを有することができる。図示されていない実施形態では、ガイド斜面252は、側壁21の一方の面の第1の端部210に上端252aを有し得、一方、下端252bは、側壁21の反対側の面の第2の端部212にある。その結果、ガイド斜面252は、ハウジング20の内側を対角線状に延在することになる。分配開口部250は、ガイド斜面252の下端252bに隣接していてもよい。
【0040】
ガイド斜面252、側壁21および蓋24は、保管室25の範囲を定める。
【0041】
ハウジング20は、有利には、ガイド斜面252上を転がる医療用容器10の落下を阻止するように構成された隣接部材26を備える。隣接部材26は、使用者がアクセス可能な少なくとも1つの医療用容器10を保持することを可能にする。隣接部材26は、分配開口部250の縁部に配置することができ、側壁21から、より詳細には、側壁21の第2の端部212から突出することができる。
【0042】
隣接部材26は、図に示されているように、ガイド斜面252との間で角度を形成する隣接壁であり得る。隣接部材26は、ハウジング20に対して固定され得るか、または隣接部材26が分配開口部250を閉じる閉位置と、隣接部材26が医療用容器10が分配開口部250を通過することを可能にする開位置との間で移動可能とすることができる。ハウジング20は、隣接部材26を閉位置に維持するために、スナップ留め要素などの固定手段を備えることができる。隣接部材26は、医療用容器10の横方向の落下を防止する2つの側壁260を有利に備えることができる。
【0043】
図8に見られるように、医療用容器10は、充填済み注射器などの注射器100、およびこの注射器100を含む保護管102を含み得る。保護管102は、好ましくは、ガイド斜面252上を転がるように円筒形を有する。保護管102は透明であり得る。図示の実施形態では、保護管102は、密閉要素104によって密閉される開放端を備えている。保護管102および密閉要素104は、注射器100を無菌雰囲気に維持するように構成される。アルミニウムシートなどの密閉要素104は、注射器100を使用する前に、使用者によって剥がされてもよい。
【0044】
医療用容器10は、使用前の位置にある鋭利物容器40の内部と、鋭利物容器40が収集位置にあるときに、分配室25の内部に対して互いに平行に配置されている。
【0045】
好ましくは、医療用容器10は、縦軸Aに直交し得、好ましくは分配開口部250の長手方向に平行であり得る横方向Bに沿って包装装置の内部で長手方向に延在する。
【0046】
使用前の位置では、医療用容器10の第1の半分は、その遠位端が軸Bに沿った第1の方向を指していてもよく、医療用容器10の第2の半分は、その遠位端が反対の軸Bに沿った第2の方向を向いていてもよい。これにより、使用前に包装装置1内の複数の医療用容器10の重量のバランスをとることができる。
【0047】
いくつかの医療用容器10がハウジング20内で斜めになるのを防ぐために、従って、いかなる閉塞をも回避するために、包装装置1は、医療用容器10を互いに平行に維持するように構成された維持手段を備え得る。例えば、維持手段は、弾薬ベルトのように医療用容器10を互いに接続する接続ベルト(図示せず)を備えるものである。
【0048】
図に見られるように、保管室25の幅は、医療用容器10の長さ、より詳細には保護管102の長さLの100%から130%、好ましくは100%から110%の間で構成され得る。保管室25の幅は、ハウジング20の2つの対向する面の間の横軸Bに沿った距離に対応し得る。
【0049】
図2図5を参照すると、鋭利物容器40は、それらが使用される前に複数の医療用容器10を収容するように構成された内部容積を画定する。鋭利物容器40は、医療用容器10が鋭利物容器40を離れ、鋭利物容器40が使用前位置から収集位置に移動したときに医療用容器10が保管室25に落下することを可能にするように構成された落下窓41を備える。
【0050】
鋭利物容器40は、4つの面を有し得る側壁42を含み得、隣接する面は、例えば、互いに直交している。鋭利物容器40は、例えば、側壁42の第1の端部420に設けられた支持壁43をさらに備えてもよい。支持壁43は、鋭利物容器40が収集位置にあるときに、鋭利物容器40が平らな面上に載ることを可能にするように有利に構成される。
【0051】
鋭利物容器40は、有利には、鋭利物容器40が使用前位置から取り外されるときに、医療用容器10を落下窓41に向けて案内するように構成されたガイド斜面44を備える。ガイド斜面44は、医療用容器10が転がることができる平面を画定する。ガイド斜面44は、側壁42に対して傾斜しており、側壁の第1の端部420の反対側の第2の端部422に設けられ得る。落下窓41は、ガイド斜面44の、支持壁43から最も遠い端に位置していることに留意されたい。
【0052】
鋭利物容器40のガイド斜面44と保管室25のガイド斜面252は、好ましくは互いに平行である。図には示されていないが、使用前および使用後の位置で、鋭利物容器40のガイド斜面44は、ハウジング20のガイド斜面252に対して傾き、その結果、鋭利物容器40は、保管室25の全体積を占めてもよい。
【0053】
図5を参照すると、鋭利物容器40は、有利には、シャッター45が落下窓41を閉じる閉位置(図5)と、シャッター45が医療用容器10が落下窓41を通過することを可能にする解放位置(図示せず)との間で移動可能なシャッター45を備える。閉位置では、シャッター45は、ガイド斜面44と同一平面であり得る。
【0054】
例えば、シャッター45は、鋭利物容器40に回転可能に取り付けられ、その結果、シャッター45は、ガイド斜面252の上端252aの方向に開く。シャッター45の回転軸Rは、横軸B、より詳細には分配開口部250に平行であり得る。この回転軸は、支持壁43からシャッター45の最も遠い端に配置することができる。
【0055】
側壁42、支持壁43、ガイド斜面44、およびシャッター45は、鋭利物容器40の内部容積の範囲を定める。
【0056】
図示されていない実施形態では、鋭利物容器40は、シャッター45を閉位置に固定するように構成された固定手段を備える。これらの固定手段は、鋭利物容器を使用する前の位置では、機能せず、鋭利物容器40が収集位置から使用後の位置に移動する前に機能するように構成することができる。固定手段は、スナップ留め要素または固定手段を機能させるための、使用者が剥がさなければならないカバーシートで覆われた接着剤を含み得る。
【0057】
好ましくは、使用前の位置では、シャッター45は固定されておらず、保管室25のガイド斜面252にもたれかかっている。これにより、シャッター45をその閉位置の状態を維持することができ、鋭利物容器40がハウジング20から引き出されるとすぐに、重力によってシャッター45が開くようにすることができる。
【0058】
図2を参照すると、鋭利物容器40は、有利には、使用者がハウジング20の保管室25から鋭利物容器40を容易に引き抜くことができるように構成された把持部材46を備える。把持部材46は、使用者が指を通すことができる開口部であり得る。例えば、把持部材46は、支持壁43上に配置されている。
【0059】
図示されていない実施形態では、包装装置1、より詳細には、ハウジング20または鋭利物容器40は、例えば、医療用容器10が分配開口部250を介してハウジング20を出るとき、または使用後の医療用容器10が鋭利物容器40内に収集されるとき、各医療用容器10に含まれるデータを読み取るように構成されたデータ読み取り手段を含み得る。例えば、医療用容器10は、それぞれ、RFIDタグを含み得、ハウジング20または鋭利物容器40は、医療用容器のRFIDタグを読み取るように構成された読み取り機を含み得る。1つの読み取り機が、隣接部材26に配置され得る。別の読み取り機がシャッター45内に配置され得る。
【0060】
データ読み取り手段は、保管室25内に残っている未使用の医療用容器10の数を使用者が知ることを可能にするために、使用済み医療用容器10の数を数えるのに役立つことができる。あるいは、包装装置は、総ての医療用容器10を接続する接続ベルト上に記された番号などの可視的表示器を備え得る。
【0061】
包装装置1は、より詳細には、ハウジング20が、当業者に知られている冷却回路など、医療用容器10を冷却するように構成された冷却手段を有利には含み得ることにも留意されたい。冷却手段は能動的または受動的であり得る。
【0062】
図示されていない実施形態では、ハウジング20は、2つの保管室25の範囲を定め、これらは、互いに対して反転させることができる。各保管室25は、分配開口部250を備える。次に、包装装置1は、2つの鋭利物容器40を含み、それぞれは、2つの保管室25のうちの対応する1つの内部に受け入れられるように構成され、それぞれは、複数の医療用容器10を受け入れるように構成される。2つの保管室25は、ガイド斜面252によって分離され得る。このガイド斜面252は、2つの保管室25に共通であり得る。ガイド斜面252の第1の面は、有利には第1の複数の医療用容器10を、2つの保管室25のうちの第1の保管室の分配開口部250に向けて案内するように構成され、一方、ガイド斜面252の第2の面は、第1の面の反対側にあり、第2の複数の医療用容器10を、2つの保管室25のうちの第2の保管室の分配開口部250に向けて案内するように構成される。ガイド斜面252は、有利には、ハウジング20の内側で斜めに延在する。例えば、ガイド斜面252の上端252aは、第1の端部210に配置され、ガイド斜面252の下端252bは、第2の端212に配置される。2つの保管室25および2つの鋭利物容器40を有するこの包装装置はまた、上述した包装装置1のいくつかまたはすべてを含み得る。
【0063】
包装装置1の動作を以下に説明する。
【0064】
図1を参照すると、包装装置1は、インフルエンザワクチンを充填済みの注射器など複数の医療用容器10を収納している。医療用容器10は、使用する準備ができている。これらの医療用容器10は、使用前の位置にある、すなわち、ハウジング20の内側、より詳細には保管室25の内側に位置する鋭利物容器40に収納される。包装装置1は、医療用容器10を所定の温度で保管および維持するために、冷蔵庫内に保管することができる。使用者が医療用容器10を使用する必要があるとき、使用者は、包装装置1を冷蔵庫から取り出すことができる。
【0065】
図2を参照すると、使用者は、鋭利物容器40にアクセスするために、蓋24を取り除く必要がある。把持部材46の助けによって、使用者は、鋭利物容器40を保管室25から引き出すことができる。それによって、シャッター45は、ガイド斜面252にもたれかかることがなくなる。このシャッター45は、重力およびシャッター45の上の医療用容器10の重量によって、自動的に開き(図5の矢印Cを参照)、医療用容器10は、ガイド斜面44によって落下窓41に向かって案内され、落下窓41を通り鋭利物容器40の外に出ることができる。医療用容器10は、ガイド斜面252に落下する。図6および図7に示されるように、重力およびそれらの円筒形によって、医療用容器10は、ガイド斜面252上を分配開口部250に向かって転がる。
【0066】
図3および図4を参照すると、使用者は、鋭利物容器40を収集位置に置くことができる。この収集位置では、支持壁43は、好ましくは、平らな面に載っている。
【0067】
次に、使用者は、隣接部材26を開位置に移動することによって、分配開口部250を開けることができ、その結果、医療用容器10の第1の1つが分配開口部250を通過し使用者がアクセスできるようになる。
【0068】
使用者は、アクセス可能な医療用容器10をつかんで使用することができる。この医療用容器10が分配開口部250から引き抜かれると直ぐに、複数の医療用容器のうちの別の医療用容器10が、隣接部材26によって停止されるまで、分配開口部250を通って自動的に移動する。
【0069】
医療用容器10が使用されると、使用者は、収集位置にある鋭利物容器40内にそれを入れることができる。使用者は、使用済み医療用容器10を落下窓41に通す必要があり、その結果、その汚染された医療用容器は、鋭利物容器40内に安全に回収される。
【0070】
使用者が総ての医療用容器10を使用しておらず、後で使用するためにそれらを保管したい場合、使用者は、医療用容器10を所定の温度に保つように、ハウジング20を冷蔵庫内に置くことができる。汚染された医療用容器10は、ハウジング20の外側および冷蔵庫の外側に保持されている鋭利物容器40の内側に留まっている。
【0071】
使用者は、例えば可視的表示器によって、保管室25内にわずかな医療用容器10しか残っていないことを知らされた場合、使用者は、別の複数の医療用容器10を含む別の包装装置1を注文することができる。
【0072】
総ての医療用容器10が、使用され、鋭利物容器40内に集められ、包装装置1が2つの保管室25を有する場合、使用者は、この包装装置1を逆さまにして、第2の蓋24、第2の保管室25および第2の鋭利物容器40を利用することができる。次に、使用者は、上記の操作を繰り返すことができる。
【0073】
包装装置1に最初に収納されていた総ての医療用容器10が、使用されて、1つまたは2つの鋭利物容器40内に回収されると、使用者は、次に、固定手段を機能させてシャッター45を閉位置に向かって動かすことにより、各鋭利物容器40の落下窓41を閉じることができる。次に、使用者は、鋭利物容器40を使用後の位置に移動することができ、すなわち、対応する保管室25内の鋭利物容器40を交換することができる。次に、使用者は、蓋24を閉じて、例えばリサイクル操作のために包装装置1を送り返すことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9