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特許7304926オビトラップおよび昆虫媒介疾病を抑制する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】オビトラップおよび昆虫媒介疾病を抑制する方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/00 20060101AFI20230630BHJP
   A01M 1/02 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A01M1/00 L
A01M1/02 Z
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021190729
(22)【出願日】2021-11-25
(62)【分割の表示】P 2020511949の分割
【原出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2022028862
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】1713908.0
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520022975
【氏名又は名称】ブランデンバーグ・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】ケイ,マシュー・バーギーズ
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ,カール
(72)【発明者】
【氏名】シーサラム,シャンカー
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/035545(WO,A1)
【文献】特開2012-039992(JP,A)
【文献】特開2008-187918(JP,A)
【文献】特開2000-060403(JP,A)
【文献】特開2003-144031(JP,A)
【文献】登録実用新案第3118066(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00
A01M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に水および水調整剤が充填されたコンテナ(12)を備えるオビトラップ(10)であって、
前記コンテナ(12)が、水タンク(200)に接続され、
前記水タンク(200)から前記オビトラップ(10)への水の流れが、弁本体(220)、フロートアーム(222)、およびフロート(224)を備える弁機構(218)によって制御される、
オビトラップ(10)。
【請求項2】
前記水タンク(200)は、出口(208)、蓋(212)、およびホース(214)を有する水受け部(202)を備える、請求項1に記載のオビトラップ(10)。
【請求項3】
前記水タンク(200)は、調節可能脚部(204)、水調整かご(206)、および水入口弁(216)、のうちの1つまたは複数をさらに備える、請求項1または2に記載のオビトラップ(10)。
【請求項4】
前記コンテナ(12)は、カバー(14)を配置するための機構(34、40)を備え、
前記カバー(14)は、雌の蚊が降りることが可能な表面(39)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のオビトラップ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、オビトラップ、および特に蚊によってもたらされる昆虫媒介疾病を抑制する方法に関する。
【0002】
[0002]より詳細には、本発明は、蚊の幼虫の動きを刺激から遠ざけるように制御するための、光の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]蚊媒介疾病は、毎年全世界で最も多くの死者を出しており、世界中の戦争を合わせたよりも多くの人命を奪ってきた。2700種を超える蚊が地球上で知られているが、蚊は世界中の熱帯および亜熱帯の多くの生態的地位に広がって適応し、進化してきた。地球温暖化の始まりによって、蚊が適応し、侵略するために新しい生態的地位を見つけるので、この地球規模の分布は日々増加している。蚊は疾病の媒介動物である。これは、蚊が自らは疾病に影響を受けることなく、ある動物から別の動物に疾病を運ぶことを意味する。蚊によるこのような媒介動物の疾病感染は、一般に雌の蚊によって行われる。なぜなら雌の蚊は、動物の表皮に穴を開けて血を吸い取るために必要な口部を持っているからである。雌の蚊が、産卵、したがって繁殖のための必須アミノ酸を取り出すのは、この血からである。
【0004】
[0004]蚊の中で最も悪名の高い2つの種は、ネッタイシマカおよびヒトスジシマカである。アフリカおよびアジアをそれぞれ発生源として、それらの地球規模での分布は、人および品物の移動、ならびに気候変動の影響のために大幅に増加している。多くの熱帯国において、これら2種の蚊は同じ環境生態的地位を共有し、その結果として2倍の疾病感染を引き起こす。
【0005】
[0005]これら2種の蚊は両方、100を超える国で毎年9千万人を超える臨床報告がされたデング感染の原因である、デング熱およびデング出血熱の媒介動物としても知られている。これら毎年の9千万人のケースうちで、デング熱単独よりも高い死亡率で、デング出血熱として知られる、より悪性の形態のデング熱が50万人を超えて現れている。毎年、デング熱によって25,000人を超える犠牲者が発生している。
【0006】
[0006]しかし現在の調査および診断により、これらの蚊によって感染された、新たに発生した疾病が識別されている。これらの疾病として、チクングニア熱、マヤロ熱、ウスツ(Usutu)、およびジカ熱が挙げられる。2015年~2017年には、ジカ熱が、アメリカ大陸だけで100万人を上回るケースを含む、異なる70の国で報告された。
【0007】
[0007]雌のヤブカ属の蚊の、血を求めるための好きな時間は、夜明けおよび夕暮れであるが、(温度、湿度による)条件が整えば1日を通して蚊が刺すことも起こり得る。これらのウィルスを担持する人を蚊が刺した後、蚊は概ね7日後に感染性となる。これは外部潜伏期であり、この期間にウィルスは、蚊の中で自己複製し、唾液腺に到達する。ヤブカ属の蚊の、自然界における平均寿命は2週間である。雌の蚊はその寿命の中で、約3回産卵し、各回に約100個の卵を産む。雌の蚊が感染性である場合、卵にもウィルスを伝染させる。これは経卵伝染として知られており、多くの流行病の開始への一般的な前兆である。卵は、乾燥状態において最大約9ヶ月まで潜伏でき、潜伏後、好ましい条件、すなわち水および食物にさらされた場合に、孵化する。
【0008】
[0008]これらの蚊を防除するために用いられる、最も一般的な方法は、成虫駆除剤および幼虫駆除剤で処理することである。
【0009】
[0009]成虫駆除剤処理は、空中噴霧または煙霧によって殺虫剤を施すことである。これは適度に効果的であるが、花粉媒介者(蜜蜂および蝶)などの益虫にも影響を与えるか、または食物連鎖において動物に不可欠である食料源である他の昆虫に影響を与える。成虫駆除剤処理は、主に疾病流行の際の最後の方法として使用される。
【0010】
[0010]幼虫駆除剤処理は、幼虫として孵化する卵を蚊が産む水域に殺虫剤を入れることである。これは適度に効果的であるが、他の動物の水源を汚染し、水中の有機体に影響を与えて水中食物連鎖に強い影響を及ぼす。
【0011】
[0011]しかし近年、改善された幼虫駆除剤および殺虫剤は、対象以外の昆虫にはほとんどまたは全く影響を与えずに対象の種を除去する、より大きい限定性を実現している。これらの方法は残念ながら、蚊の防除が最も必要とされる大きいスケールの計画において、労力が増大しコストに問題がある(http://www.sove.orq/SOVE%20folder/journal/December%202003/Nayar%20and%20Ali% 2003-12.pdf)。
【0012】
[0012]しかし、遺伝子を組み換えられた蚊の使用、および蚊を引き寄せて捕獲するためのモータが付いたCOファンを含む、防除戦略を改善するための新しい方法が絶えず試行されている。
【0013】
[0013]昆虫、昆虫の好み、挙動、および集団動態を理解するための調査において、科学者は、ヤブカ属の個体数を追跡するための簡易なツールを開発した。これらのデバイスの1つは、これらの生物が卵を孵化させるための水源を必要とするという事実を利用し、オビトラップとして知られている。当初、現場でヤブカ属の個体数を監視するために設計されたオビトラップデバイスを、科学者は、管理された方法で蚊の繁殖地を複製し、卵を持つ雌をこれらの場所に引き寄せるために使用し、そこで卵を持つ蚊またはそれらの卵および幼虫が、調査のために集計され、分析され得るはずであった。この集計を行うことで、成虫および幼虫はそれらの生息地から排除されたので、科学者は、これらのデバイスが、野生のヤブカ属の個体数を、疾病の伝染を軽減するポイントまで大幅に減少することを理解した。これらのトラップは、オビトラップ、エッグシンク、またはグラビッドトラップとして知られている。
【0014】
[0014]出版物および調査結果として、以下が挙げられる。
【0015】
[0015]2007年に、Williams CRらによる(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17427694)レポートによると、ビフェントリン入りオビトラップ(リーサルオビトラップとして知られる)が、成虫のヤブカ属の79.7%のフィールド死亡率が実現された。
【0016】
[0016]2003年に、Perich MJらによる(http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1046/j.1365-2915.2003.00427.x/full)は、ブラジルの居住区域においてオビトラップを使用したときに、合計の陽性コンテナ数の大幅な減少、およびトラップ毎の低下した幼虫の数を報告した。
【0017】
[0017]1999年に、Zeichnderらによる(http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1046/j.1365-2915.1999.00192.x/full)は、殺虫剤を積んだトラップの使用で、いかにしてヤブカ属の雌の成虫および幼虫を100%防除できたかを報告した。
【0018】
[0018]2014年に、Barreraらによる(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24605464)は、住居の81%において、3、4個のオビトラップを設置することで、大幅にデング熱の発生率を減少させたことを見出した。
【0019】
[0019]2016年に、Barreraらによる(https://www.researchgate.net/publication/311982210 Impact of Autocidal Gravid Ovitraps on Chikungunya Virus Incidence in Aedes aegypti Diptera Culicidae in Areas With and Without Traps)は、プエルトリコにおいてオビトラップを配置した領域で、蚊およびチクングニア熱の感染が10分の1に減少したことを見出した。
【0020】
[0020]2017年に、BJ Johnsonらによる(http://www.mdpi.com/2075-4450/8/1/5/htm)は、大量のオビトラップの配置が、合衆国における侵略的なヒトスジシマカの蚊に顕著な影響を与えることを提案した。
【0021】
[0021]光、またはむしろUV周波数の光が、蚊を含む多くの飛翔昆虫の市販の光トラップにおける誘引物として使用される。例えば以下で開示されている。(http://www.ledsmagazine.com/ugc/2016/04/25/trapping-zika-virustransmitting-mosquitoes-with-the-latest-led-technology-from-seoul-viosys-and-seti.html)、(https://membracid.wordpress.com/2008/09/09/do-those-mosquito-zappy-things-really-work/)、および(https://www.thoughtco.com/do-bug-zappers-kill-mosquitoes-1968054)。
【0022】
[0022]確認される特許公報として、以下が挙げられる。
【0023】
[0023]WO2013/082700は、水中で孵化する昆虫の個体数を減少させるための装置、および方法を開示している。本発明とは対照的に、この装置は、卵を持つ昆虫を引き寄せるために光を使用しており、これは、幼虫に負の走光性反応を提供することとは反対である。
【0024】
[0024]1978年の、Arch.Environm.Contam.Toxicol 7、339-347頁は、負の走光性を用いた生物監視手法を開示し、1950年代に初めて研究された習性を識別している。しかしこの論文は、例えば金属の毒性レベルを鋭敏に監視するための使用に焦点を当てている。
【0025】
[0025]CN100411513は、幼虫を光チャネルに向けて引き寄せるための、漏斗および光チャネルを伴う水路の雨水トラップデバイスを開示しており、幼虫はこの光チャネルに向かって泳ぐと言われる。
【0026】
[0026]米国特許出願公開第2010/0083562号は、蚊の幼虫を捕捉するためのコンテナを開示しており、このコンテナは、逃れるのが困難な領域に幼虫を誘導する漏斗装置を備える。
【0027】
[0027]出願人は、ネッタイシマカおよびヒトスジシマカの蚊の幼虫は、負の走光性反応を示し、それによって突然の強い光が、光源に対する「追い払い」反応または嫌悪反応を起こさせ、オビトラップの効果を改善する、という事実を利用する。
【0028】
[0028]詳細には、示される挙動は、
a.蚊の「群れ」に光を用いること、
b.(必要であれば)殺虫剤を使用せずに幼虫を捕獲して殺すこと、
c.幼虫/蛹の段階から成虫の蚊になるのを減少させること、
d.人の介入を最小限に抑える(トラップの保守が稀である)こと、および
e.蚊の活動に対する大きい融通性を提供すること
を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
[0029]本発明の目的は、改善されたオビトラップを提供すること、ならびに、殺虫剤を使用して、または殺虫剤を使用せずに、蚊の個体数および昆虫媒介疾病を抑制する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
[0030]本発明によると、コンテナ、カバー、およびコンテナを2つの領域に分割する手段、を備えるオビトラップが提供される。2つの領域は使用中に水で充填され、開口部を介して連通し、それによって、手段の下部ボリュームは幼虫捕獲領域を画定し、手段の上部ボリュームは卵受容領域を画定する。このオビトラップは、光源がコンテナの上に取り付けられ、光を下方に水面に導くよう位置付けられ、それによって、光が点灯して光刺激を作り出すと、幼虫が、上部ボリュームから下部ボリュームへ開口部を介して光から離れる方向に移動することで反応し、光が点灯および消灯したときにそれぞれゲート制御機構が開口部を開閉し、それによって幼虫は下部ボリュームに捕獲されることを特徴とする。
【0031】
[0031]好ましくは、コンテナを分割する手段は、口部および、および開口部を伴う茎状部を備える漏斗であり、この漏斗はコンテナ内に位置付けられる。
【0032】
[0032]好ましくは、光源は少なくとも5ルクス発生させる。
【0033】
[0033]好ましくは、光は5000Kより大きい色温度を有する。
【0034】
[0034]より好ましくは、光源は、2つのピーク、すなわち約450~470nmの第1のピーク、および約500~700nmの第2のピークを伴う、冷白色スペクトルの光を放射する。
【0035】
[0035]識別された光源は、負の走光性反応を生じさせるのに特に良好であることを証明し、一般的に幼虫の成虫形態である蚊の誘引物として作用するものと考えられている波長を用いることとは、対照的である。
【0036】
[0036]好ましくは、ゲート制御機構は、下方位置において茎状部の開口部を閉じる閉位置と、上方位置において茎状部の開口部を開ける開位置との間で動作可能に移動される、プラグ部材を備える。
【0037】
[0037]好ましい実施形態において、このプラグ部材はロッドに担持される。
【0038】
[0038]好ましくは、ゲート制御機構はソレノイドによって作動される。
【0039】
[0039]ゲート制御機構は、動作可能に光源と連結され、光が点灯する時間および長さ、ならびにゲート制御機構の開放は、注意深く制御される。
【0040】
[0040]ゲート制御は、ある期間継続することができ、数秒から数分の範囲で継続する。好ましい期間は、30秒から1分または2分までで、地理的位置および対象の種に依拠する。
【0041】
[0041]光およびゲートは、同時発生で共に動作するようトリガされ得るか、または光とゲートとの間に短い遅延があってもよい。すなわち、(i)ゲートを開け、その後光を点灯させ、ゲートを閉じ、その後光を消灯する。または(ii)光を点灯させ、その後ゲートを開け、光を消灯し、その後ゲートを閉じる。
【0042】
[0042]好ましくは、ゲート制御機構および光源は、時計および/または光センサによって制御される。
【0043】
[0043]動作、およびデータ制御は、好ましくはマイクロプロセッサおよび電池を介して管理され、かつ遠隔で制御およびアクセスされ得る。
【0044】
[0044]好ましくは、コンテナは、漏斗をコンテナ内の所定の位置に配置し、かつ保持するための機構を備え、この漏斗は、配置および保持を容易にするためのリムを有する。
【0045】
[0045]好ましくは、コンテナは、カバーを配置するための機構を備え、このカバーは、配置および保持を容易にするよう形状を決められた下部分を有する。
【0046】
[0046]好ましい実施形態において、漏斗は光が通過するのを防止する。
【0047】
[0047]好ましくは、カバーは、均等に離隔された垂直の突起を伴う内面を有するリップ部を備える。これらの垂直の突起は、最適な産卵のために雌を位置付けるのに役立つ。
【0048】
[0048]より好ましくは、カバーおよび漏斗の内面のうちの少なくともいくつかは、雌が表面に取り付いて産卵するのに役立つよう、粗面のテクスチャである。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5198213/
【0049】
[0049]任意選択の実施形態において、漏斗は様々な殺虫剤または昆虫成長かく乱剤で充満させてもよい。この昆虫成長かく乱剤は、ゆっくりと水中に滲出し、幼虫を殺し、産卵する雌の蚊に悪影響を与えることができる。代替として、殺虫剤を、免許を持ったプロの防除オペレータによってオビトラップの中の水に加えてもよい。
【0050】
[0050]好ましくは、光源は、水面の真上に取り付けられ、光を、外側ではなく、下方の水に導く、複数のLED光を備え、これが蚊を引き寄せるために用いられる方法である。この光、ならびにその強度および周波数は、一般的に蚊を引き寄せるために利用する紫外線(UV)または可視スペクトルにおける特定の波長である、蚊を引き寄せる光源とは異なる。対照的に、本発明は蚊の幼虫を追い返すための光を使用する。
【0051】
[0051]好ましくは、光源はカバーの横部材に取り付けられる。
【0052】
[0052]好ましくは、ゲート制御機構は、ソレノイドがカバーに取り付けられるよう、および、ソレノイドが電子機器と共にカバーの中空部に据えられるよう、ならびに、ロッドが、プラグ部材が動作中に開位置と閉位置との間で移動できるように漏斗の茎状部に軸方向に整合されるよう、位置付けられる。
【0053】
[0053]好ましくは、カバーは、開口部を伴い下部分から上方へ離れるように突出する側壁、光源を支持する横部材、および中空部を含む上部分を備える。
【0054】
[0054]上部分は、コンテナの壁を越えて外側へ延び、傾斜が付いた外面を有し、その表面から水が流れ落ちるようにする。
【0055】
[0055]使用中、オビトラップは水で充填され、追加で誘引物、昆虫成長かく乱剤、殺虫剤(幼虫駆除剤を含む)、または生物学的防除剤を含み得る。
【0056】
[0056]出願人は、効果を最大にするため、かつ保守の回数を減らすため、オビトラップ(例えば図9参照)を確実に、継続的または断続的に水を継ぎ足すことが望ましいと、別途判断した。
【0057】
[0057]1つの実施形態において、これは水供給タンクによって実現される。この水供給タンクは、オビトラップの一体部品、または別個のユニットとすることができ、例えばホース接続部および水制御弁が設けられるが、制御は、オビトラップにおいて、トイレ槽のフロートボール弁が動作するのと同様にして提供され得ることが理解されるであろう。
【0058】
[0058]オビトラップの水の「自動補填」は、本発明の別個の独立した態様と考えられ得る。
【0059】
[0059]使用され得る好ましい昆虫成長かく乱剤として、ピリプロキシフェン、メソプレン、およびジフルベンズロンが挙げられる。好ましい生物学的防除剤として、ボーベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、およびバチルス・チューリンゲンシス・バール・イスラエレンシス(Bacillus thuringiensis var.israelensis)が挙げられる。
【0060】
[0060]本発明の第2の態様によると、水タンク、水調整剤、蚊の卵および幼虫、交換光、または現場で蚊種の幼虫および/もしくは疾病を運ぶ蚊を判別するためのDNA試験キット、のうちの1つまたは複数を伴うオビトラップを備えるキットが提供される。
【0061】
[0061]本発明の第3の態様によると、光刺激を作り出す光の使用を含む蚊の個体数を抑制し、蚊の幼虫を、卵を持つ蚊が卵を産み付ける箇所から、光から離れる方向に、捕獲して殺す箇所へ移動させる方法が提供される。
【0062】
[0062]このような方法は、疾病を運ぶ蚊の将来の子孫を減少させることを通じて、疾病を抑制する方法として使用され得る。
【0063】
[0063]本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、以下でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】[0064]トラップの様々な部品を示す、組み立てたオビトラップの断面図である。
図2】[0065]漏斗構成要素の断面図である。
図3】[0066]コンテナ構成要素の断面図である。
図4】[0067]カバー構成要素の断面図である。
図5】[0068]光アレイの断面図である。
図6】[0069]ゲート制御機構の断面図である。
図7】[0070]「開」-「点灯」位置にあるゲート制御機構を伴う、オビトラップの断面図である。
図8】[0071]「閉」-「消灯」位置にある閉鎖要素を伴う、オビトラップの断面図である。
図9A】[0073]図9Aは、使用中の、本発明の組み立てられたオビトラップであり、「消灯」で、水で充填されたオビトラップの中で新たに孵化した幼虫を示す図である。
図9B】[0074]図9Bは、使用中の、本発明の組み立てられたオビトラップであり、「点灯」で、光刺激に反応して動いている幼虫を示す図である。
図9C】[0075]図9Cは、使用中の、本発明の組み立てられたオビトラップであり、「消灯」で、水で充填されたトラップの中の幼虫を示す図である。
図10】[0076]太陽電池を伴うオビトラップの第2の実施形態を示す図である。
図11】[0077]図10のオビトラップのための電子機器を示すブロック図である。
図12】[0078]5000~10000Kの範囲の色温度を伴う光を示すグラフである。
図13】[0079]2つのピーク、すなわち約450~470nmの第1のピーク、および約500~700nmの第2のピークを伴う冷白色スペクトルを、暖白光と対比させたグラフである。
図14】[0080]本発明のオビトラップと共に使用するための、蓋を取り除いた付属の水タンクの図である。
図15】[0081]オビトラップに接続した、図14の水タンクを示す図である。
図16】[0082]図15に示した実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
[0083]図は、本発明の第1の態様によるオビトラップ(10)を示す。
【0066】
[0084]図1で示された実施形態において、オビトラップは5つの主な構造要素(図2図6で別個に示される)、すなわちコンテナ(12)、カバー(14)、漏斗(16)、ゲート制御機構(18)、および光源(20)を備える。
【0067】
[0085]漏斗(16)は、広い口部(22)および底部に開口部(26)を伴う狭い茎状部(24)を備える。この漏斗はコンテナ(12)に載置され、使用中には水で充填され、それによって漏斗の茎状部(stem)(24)は、その開口部(26)がコンテナ(12)の基部(28)に向けて位置されるように、位置付けられる。漏斗(16)は、コンテナ(12)の内壁(36)から内側に突出する制止部(34)上における突出部(32)によって漏斗が保持されるような、口径(位置決め口径)(図示せず)を有するリム(30)を備える。
【0068】
[0086]カバー(14)(図4参照)は、コンテナ(12)の上部区域(40)内で漏斗(16)のリム(30)上にぴったりと納まるよう、形状および寸法が決められた、下部分(38)を備える。カバーは、開口部(44)を伴って、下部分(38)から上方へ離れるように突出する側壁(42)と、光源(20)を支持する横部材(46)と、中空部(50)を含み、図6および図11に概略で示されるように、ゲート制御機構(18)および電子機器(52)を収納するよう形状を決められた、上部分(48)と、を備える。上部分は、水が外面(54)から流れ落ちるよう、かつコンテナ(12)の境界を越えて周囲に延びる部分(56)を有するようにも、形状を決められる。これは、卵を持つ雌の蚊を引き寄せる環境を提供し、トラップからの水の蒸発を制限するのに役立つ。
【0069】
[0087]上部分(48)内の中空部(50)に取り付けられるのは、ゲート制御機構(18)である。ゲート制御機構(18)は、漏斗(16)が茎状部(24)へ狭くなる箇所に係合するよう形状を決められた、プラグ部材(58)を備える。プラグ部材は、ロッド(60)の端部に付く。ロッド(60)は、プラグ部材が茎状部(24)の開口部(26)を閉じる下方位置にある、通常の閉位置(62)(図8)から、茎状部(24)の開口部(26)を開ける上方の上がった位置にある、開位置(64)(図7)まで、上下に移動することができる。ロッドは、電池(72)または他の電源によって電力を与えられるマイクロプロセッサ(70)で作動されるソレノイドドライバ(68)によって制御される、ソレノイド(66)の作用で作動される。ソレノイドドライバ(68)は、光(LED)ドライバ(74)と同期され、それによってこの機構は、光(20)が点灯されると「開」になり、光(20)が消灯すると「閉」になる。
【0070】
[0088]点灯および消灯は、時計(76)および/または光センサ(78)によって制御される。オビトラップは、データ収集のための温度センサ(80)および湿度センサ(82)も有し、効果的な「遠隔」管理を容易にする。
【0071】
[0089]図10の実施形態において、トラップには太陽光パネル(84)が設けられる。太陽光パネル(84)は、充電器(86)から電池(72)および電力変換器(88)へ連結されるが、必要な場合、トラップはメインアダプタ(90)を介して幹線からの電源でも作動され得る。
【0072】
[0090]図9A図9Cを参照して、以下にデバイスの作動方法を説明する。オビトラップは、先ず組み立て、水、好ましくは蒸留水または(古い)調整水で充填する。これに、有機誘引物(蚊の卵を含む)、昆虫成長かく乱剤、フェロモンなどを加えてもよく、ゲート制御機構が確実に所望通りに動作するかを確認する。
【0073】
[0091]図9Aは、卵が孵化した後のオビトラップを示す。しかしこの前に、卵を持つ蚊はトラップに引き寄せられており、トラップには水が充填され(影部)、トラップはコンテナ表面(92)の真下に追加の誘引物を含み得る。卵を持つ蚊は、開口部(44)を介してオビトラップに入り、下部カバー(38)の表面(39)に降りて、水の上部ボリューム(Va)(濃暗部)のメニスカス上に卵を産み付けて、漏斗(16)の上部のボリュームは卵(101)受容領域を画定する。この状態において、下向きに水面(92)に向けて導かれる光(20)は消灯され、機構(18)のプラグ(58)は漏斗の開口部(26)を閉じ、水の上部ボリューム(Va)と水の下部ボリューム(Vb)(淡暗部)との間を分離し、連通を防止する。
【0074】
[0092]幼虫(102)を殺すために、上部ボリュームから幼虫を捕獲する下部ボリュームに、幼虫を「集める」。この動きおよび捕獲を促進させるために、光(20)およびゲート制御機構(18)は、光(20)が点灯したときにゲート制御機構が開くよう動作する(図9B)。光刺激、好ましくは強い光を放射する光刺激に反応して、特にネッタイシマカまたはヒトスジシマカの幼虫は、光から離れ、開口部(26)を通って下部ボリューム(Vb)の中へ泳いで入る。光は短い時間だけ、すなわち最大で300秒前後にプログラムされ、トリガされることを必要とする。これは、幼虫がVaからVbへ移動するのに十分な時間であり、その後光は消灯され、プラグは閉じられる(図9Cのように)。捕獲された幼虫(102)は上方へ泳ぎ、下部ボリューム(Vb)で捕獲され、最終的に酸素不足(窒息)のために死亡する。しかし幼虫の短い存在は、他の卵を持つ雌を刺激して卵を産み付けさせる。光およびゲート制御機構をオンとオフとに切り替える処理は、その後の全ての幼虫を実質的に確実に捕獲かつ窒息させ、それによって効果的な蚊および疾病の抑制を提供する。
【0075】
[0093]光は、必要に応じて日毎、数日毎、または週毎にトリガされ得る。
【0076】
[0094]トラップは、幼虫がトラップの中である期間生きるのを可能にするが、成虫にはならないので、これは、トラップの中で生き残る幼虫が、卵を持つ雌が産卵するのに好適な箇所を探すことで検出するフェロモンを放出するため、より効果的なトラップをある期間にわたって作るという、追加の効果を有する。トラップの中に存在する幼虫が多くなるほど、近くを飛翔する卵を持つ雌がそれを検出して産卵する可能性が高まる。なぜならそれは、その水源で子孫が生育できるということを示すからである。
【0077】
[0095]強い光は、好ましくは少なくとも5ルクス、より好ましくは少なくとも100ルクス、さらに好ましくは少なくとも200ルクス発生させる。最も好ましいのは、270~310ルクス、典型的は約290ルクス発生させる光である。
【0078】
[0096]5000Kより大きい色温度、さらに好ましくは図12に示すように5000~10000Kの範囲の色温度を伴う光を放射する照明が、最も好ましい。
【0079】
[0097]好ましくは、図13に示されるように、光は2つのピーク、すなわち約450~470nmの第1のピーク、および約500~700nmの第2のピークを伴う、冷白色スペクトルを有する。
【0080】
[0098]好ましい照明は、LED光源を備える。
【0081】
[0099]漏斗(16)またはコンテナ(12)は、例えばピリプロキシフェンもしくはメソプレン、および/またはフェロモンもしくは時間の経過とともに制御された量で水体中に滲出する他の誘引物などの、昆虫成長かく乱剤(IGR)で充満させてもよい。このような添加剤の滲出は、トラップの特質である。
【0082】
[00100]図14は、蓋を取り除いた水タンク(200)を示す。水タンク(200)は、複数の高さを調節可能な脚部(204)を伴う、水受け部(202)を備える。この水受け部は、干し草などの調整剤を保持するためのかご型構造(206)、出口(208)、およびこの出口の周りに蓄積するごみを減少させるための、周辺近傍のバッフル(210)を有する。
【0083】
[00101]図15でより明確に確認されるように、水タンク(200)は蓋(212)によって嵌合され、ホース(214)がオビトラップ(10)に供給する。詳細には、図16の断面図に示されるように、水受け部(202)は、充填されるか、または示されるように複数の径のホース取付具を備える入口(216)を介して、給水部に接続され得る。この供給は、幹線からの供給、または例えば水槽などの独立した供給であってよい。ホース(214)は、水タンクからオビトラップ(10)への水のボリューム(Vc)を取り、流れは、例えば弁本体(220)、フロートアーム(222)、およびフロート(224)を備える弁機構(218)によって制御される。このホースは、オビトラップに設けられたコネクタ(226)の周りに接続された複数のセクション(214a、214b)を備えてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16