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特許7304956劣化量検出装置、劣化量検出方法および劣化予測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】劣化量検出装置、劣化量検出方法および劣化予測システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/09 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
B23Q17/09 G
B23Q17/09 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021545045
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 JP2019035850
(87)【国際公開番号】W WO2021048968
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石神 伸也
(72)【発明者】
【氏名】篠原 慎二
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-217759(JP,A)
【文献】特開平1-164538(JP,A)
【文献】中国実用新案第207448039(CN,U)
【文献】実開昭57-173945(JP,U)
【文献】特開昭57-172218(JP,A)
【文献】特開平6-270034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00-17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工する加工具を備え、前記加工具を接触させずに前記被加工物を動かす第1の動作期間と前記被加工物を動かして前記加工具で加工する第2の動作期間とからなるサイクルを繰り返し行って前記被加工物を加工する工作機械が備える前記加工具の劣化量を検出する劣化量検出装置であって、
前記工作機械に発生した振動および温度に応じたアコースティックエミッション波を検出するAEセンサの出力電圧から、前記第1の動作期間における出力電圧と前記第2の動作期間における出力電圧を抽出するセンサ電圧抽出部と、
前記第1の動作期間における前記AEセンサの出力電圧のうち、前記第2の動作期間の直前の第1の出力電圧と前記第2の動作期間の直後の第2の出力電圧との差分を、前記第2の動作期間における前記加工具の温度の変化に応じた前記AEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量として算出するセンサ電圧変化量算出部と、
前記第2の動作期間における前記AEセンサの出力電圧の変化量から、前記加工具の温度の変化に応じた前記AEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量を除外した値を、前記加工具の劣化量として算出する劣化量算出部と、
前記劣化量算出部によって算出された前記第1の動作期間と前記第2の動作期間とからなる各サイクルの劣化量を順次加算して出力する劣化量積算部と、を備えた
ことを特徴とする劣化量検出装置。
【請求項2】
前記工作機械は、前記加工具として切削刃を備え、前記被加工物を回転させながら前記切削刃を用いて切削加工し、
前記第1の動作期間は、前記切削刃を接触させずに前記被加工物を回転させる空転期間であり、
前記第2の動作期間は、前記被加工物を前記切削刃で切削加工する加工期間であり、
前記センサ電圧抽出部は、前記AEセンサの出力電圧から、前記空転期間の出力電圧と前記加工期間の出力電圧を抽出し、
前記センサ電圧変化量算出部は、前記空転期間における前記AEセンサの出力電圧のうち、前記加工期間の直前の前記第1の出力電圧と前記加工期間の直後の前記第2の出力電圧との差分を、前記加工期間における前記切削刃の温度の変化に応じた前記AEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量として算出し、
前記劣化量算出部は、前記センサ電圧変化量算出部によって算出された前記AEセンサの出力電圧の変化量、前記第2の出力電圧および前記加工期間における前記AEセンサの平均の出力電圧を用いて、前記加工期間における前記AEセンサの出力電圧の変化量から、前記切削刃の温度の変化に応じた前記AEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量を除外した値を、前記切削刃の劣化量として算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の劣化量検出装置。
【請求項3】
前記センサ電圧抽出部は、前記加工期間の直前の前記空転期間における前記AEセンサの前記第1の出力電圧と、この加工期間の直後の前記空転期間における前記AEセンサの前記第2の出力電圧を抽出し、
前記センサ電圧変化量算出部は、前記加工期間における前記切削刃の温度の変化に応じた前記AEセンサの検出感度の変化による、この加工期間の直後の前記空転期間における前記AEセンサの出力電圧の第1の変化量として、前記第2の出力電圧から前記第1の出力電圧を引いた値を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の劣化量検出装置。
【請求項4】
前記センサ電圧抽出部は、前記加工期間が開始された直後から一定の期間における前記AEセンサの平均の出力電圧である第3の出力電圧と、この加工期間の開始から終了までにおける前記AEセンサの平均の出力電圧である第4の出力電圧を抽出し、
前記劣化量算出部は、前記加工期間における前記切削刃の温度の変化に応じた前記AEセンサの検出感度の変化による、この加工期間における前記AEセンサの出力電圧の第2の変化量として、前記第4の出力電圧を前記第2の出力電圧で割った値を前記第1の変化量に掛けた値を算出し、前記切削刃の劣化量として、前記第4の出力電圧から前記第3の出力電圧および前記第2の変化量を引いた値を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の劣化量検出装置。
【請求項5】
被加工物を加工する加工具を備え、前記加工具を接触させずに前記被加工物を動かす第1の動作期間と前記被加工物を動かして前記加工具で加工する第2の動作期間とからなるサイクルを繰り返し行って前記被加工物を加工する工作機械が備える前記加工具の劣化量を検出する劣化量検出装置の劣化量検出方法であって、
センサ電圧抽出部が、前記工作機械に発生した振動および温度に応じたアコースティックエミッション波を検出するAEセンサの出力電圧から、前記第1の動作期間における出力電圧と前記第2の動作期間における出力電圧を抽出するステップと、
センサ電圧変化量算出部が、前記第1の動作期間における前記AEセンサの出力電圧のうち、前記第2の動作期間の直前の第1の出力電圧と前記第2の動作期間の直後の第2の出力電圧との差分を、前記第2の動作期間における前記工作機械の温度の変化に応じた前記AEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量を算出するステップと、
劣化量算出部が、前記第2の動作期間における前記AEセンサの出力電圧の変化量から、前記加工具の温度の変化に応じた前記AEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量を除外した値を、前記加工具の劣化量として算出するステップと、
劣化量積算部が、前記劣化量算出部によって算出された前記第1の動作期間と前記第2の動作期間とからなる各サイクルの劣化量を順次加算して出力するステップと、を備えた
ことを特徴とする劣化量検出方法。
【請求項6】
被加工物を加工する加工具を備え、前記加工具を接触させずに前記被加工物を動かす第1の動作期間と前記被加工物を動かして前記加工具で加工する第2の動作期間とからなるサイクルを繰り返し行って前記被加工物を加工する工作機械が備える前記加工具の劣化量を検出する劣化量検出システムであって、
前記工作機械に発生した振動および温度に応じたアコースティックエミッション波を検出するAEセンサの出力電圧から、前記第1の動作期間における出力電圧と前記第2の動作期間における出力電圧を抽出するセンサ電圧抽出部と、
前記第1の動作期間における前記AEセンサの出力電圧のうち、前記第2の動作期間の直前の第1の出力電圧と前記第2の動作期間の直後の第2の出力電圧との差分を、前記第2の動作期間における前記工作機械の温度の変化に応じた前記AEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量を算出するセンサ電圧変化量算出部と、
前記第2の動作期間における前記AEセンサの出力電圧の変化量から、前記加工具の温度の変化に応じた前記AEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量を除外した値を、前記加工具の劣化量として算出する劣化量算出部と、
前記劣化量算出部によって算出された前記第1の動作期間と前記第2の動作期間とからなる各サイクルの劣化量を順次加算して出力する劣化量積算部と、
前記劣化量積算部によって算出された劣化量の加算値に基づいて、前記加工具の劣化を予測する劣化予測部と、
前記劣化量積算部によって算出された劣化量の加算値を、判定基準値と比較した結果に基づいて、前記工作機械に異常が発生したか否かを判定する異常判定部と、を備えた
ことを特徴とする劣化予測システム。
【請求項7】
前記劣化予測部は、前記加工具の劣化進行度として、前記劣化量積算部によって算出された劣化量の加算値を各サイクルの前記第2の動作期間の加算値で割った値を算出し、前記工作機械に異常が発生するまでの予測時間として、前記加工具の劣化量の許容上限値を前記劣化進行度で割った値から前記第2の動作期間の加算値を引いた値を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の劣化予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を切削する工作機械の切削刃の劣化量を検出する劣化量検出装置、劣化量検出方法および劣化予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、振動センサによって工作機械から検出された振動の強度が、劣化の限界値である閾値を超えたときに、当該工作機械に異常が発生したと判定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-196742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アコースティックエミッション(以下、AEと記載する)波は、固体に発生した非常に微小な振動に応じた信号であり、AE波を検出するAEセンサは、対象の工作機械に発生した振動を高感度に検出することができる。例えば、AEセンサは、切削刃の鈍りに起因した微小な振動の変化も検出することが可能である。ただし、このような微小な振動を検出するためには、AEセンサを切削刃の近傍に配置する必要がある。
【0005】
しかしながら、AEセンサは、周囲温度の変化によって検出感度も変化するという特性がある。このため、AEセンサが切削刃の近傍に配置されると、切削刃を用いて被加工物を切削したときに発生した熱によってAEセンサの周囲温度が変化し、これに伴ってAEセンサの検出感度が変化する。これにより、AEセンサが切削刃の劣化に起因した振動の変化を正確に検出できなくなるという課題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、温度変化が工作機械の劣化量の検出に与える影響を補正することができる劣化量検出装置、劣化量検出方法および劣化予測システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る劣化量検出装置は、被加工物を加工する加工具を備え、加工具を接触させずに被加工物を動かす第1の動作期間と被加工物を動かして加工具で加工する第2の動作期間とからなるサイクルを繰り返し行って被加工物を加工する工作機械が備える加工具の劣化量を検出する劣化量検出装置であって、工作機械に発生した振動および温度に応じたAE波を検出するAEセンサの出力電圧から、第1の動作期間における出力電圧と第2の動作期間における出力電圧を抽出するセンサ電圧抽出部と、第1の動作期間におけるAEセンサの出力電圧のうち、第2の動作期間の直前の第1の出力電圧と第2の動作期間の直後の第2の出力電圧との差分を、第2の動作期間における加工具の温度の変化に応じたAEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量として算出するセンサ電圧変化量算出部と、第2の動作期間におけるAEセンサの出力電圧の変化量から、加工具の温度の変化に応じたAEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量を除外した値を、加工具の劣化量として算出する劣化量算出部と、劣化量算出部によって算出された劣化量を積算する劣化量積算部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、工作機械が被加工物を加工している期間における当該工作機械の温度の変化に応じたAEセンサの検出感度の変化による出力電圧の変化量に基づいて、被加工物の加工前後における工作機械の劣化量を算出する。これにより、温度変化が工作機械の劣化量の検出に与える影響を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る劣化予測システムの構成を示すブロック図である。
図2図2Aは、空転期間における工作機械の状態を示す概要図であり、図2Bは、加工期間における工作機械の状態を示す概要図である。
図3】工作機械の空転期間と加工期間におけるAEセンサの出力波形を示す図である。
図4】温度の変化によるAEセンサの検出感度の上昇を考慮しない場合におけるAEセンサの出力電圧の変動量を示す図である。
図5】実施の形態1に係る劣化量検出方法を示すフローチャートである。
図6】温度の変化によるAEセンサの検出感度の上昇を考慮した場合におけるAEセンサの出力電圧の変動量を示す図である。
図7】加工期間において工作機械に突発的に大きな振動の変化が発生したときのAEセンサの出力波形を示す図である。
図8図8Aは、実施の形態1に係る劣化量検出装置の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図であり、図8Bは、実施の形態1に係る劣化量検出装置の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る劣化予測システム1の構成を示すブロック図である。劣化予測システム1は、工作機械2に発生した振動に基づいて工作機械2の劣化状態を予測するシステムであり、図1に示すように、AEセンサ3、劣化量検出装置4、劣化予測部5および異常判定部6を備える。工作機械2は、例えば、切削刃2aで加工を行う切削装置であり、AEセンサ3は、切削刃2aの近傍に設置される。また、劣化量検出装置4は、工作機械2の劣化量(例えば、切削刃2aの劣化量)を検出する装置であり、センサ電圧抽出部41、センサ電圧変化量算出部42、劣化量算出部43および劣化量積算部44を備える。
【0011】
AEセンサ3は、工作機械2に設置されて、工作機械2に発生した振動に応じたAE波を検出する。AEとは、固体が変形または破壊するときに、この固体の内部に蓄えられた弾性エネルギーが、弾性波(AE波)として放出される現象である。
【0012】
工作機械2の動作(例えば、被加工物を回転させる回転動作)で発生した振動に応じた広帯域(数kHzから数MHzの範囲の周波数成分)のAE波のうち、共振周波数に対応したAE波の正弦波信号が、カンチレバーから出力される。AEセンサ3の検出感度は、工作機械2におけるAEセンサ3の設置箇所の温度に応じて変動する。例えば、被加工物を切削した切削刃2aの温度が伝わってAEセンサ3の温度が上昇すると、これに応じてAEセンサ3の検出感度が上昇する。
【0013】
劣化予測部5は、劣化量検出装置4によって生成された工作機械2の劣化量の積算値に基づいて工作機械2の劣化を予測する。例えば、被加工物の切削を繰り返した切削刃2aが徐々に鈍ってくると、これに応じて被加工物と切削刃2aの間に発生する振動のレベルが増加する。この振動レベルの増加量が切削刃2aの劣化量に相当する。工作機械2の劣化量の積算値は、工作機械2によって被加工物が加工された期間ごとの劣化量が積算された値である。
【0014】
異常判定部6は、劣化量検出装置4によって生成された工作機械2の劣化量の積算値を判定基準値と比較した結果に基づいて、工作機械2に異常が発生したか否かを判定する。例えば、異常判定部6には、事前の実験で求められた工作機械2の劣化量の積算値の判定基準値(例えば、異常が発生した状態の工作機械2を模擬して算出された正常状態からの劣化量)が設定されている。異常判定部6は、劣化量検出装置4によって生成された劣化量の積算値を判定基準値と比較して、劣化量の積算値が判定基準値よりも小さければ、工作機械2に異常が発生していないと判定し、劣化量の積算値が判定基準閾値以上になった場合には、工作機械2に異常が発生したと判定する。
【0015】
なお、図1において、劣化予測部5および異常判定部6は、劣化量検出装置4とは別に設けられた装置である。ただし、劣化予測部5または異常判定部6の少なくとも一方は、劣化量検出装置4が備える構成要素であってもよい。
【0016】
図2Aは、空転期間における工作機械2の状態を示す概要図である。また、図2Bは、加工期間における工作機械2の状態を示す概要図である。図2Aおよび図2Bにおいて、工作機械2は、切削刃2aを用いて被加工物10を切削加工する切削装置である。工作機械2において、チャック2bに固定された被加工物10は、主軸回り(図中の矢印)に回転され、この状態で切削刃2aによって切削される。
【0017】
図2Aに示す工作機械2の状態は、工作機械2が被加工物10を切削する前段階の状態であり、工作機械2がこの状態である期間は、被加工物10を加工していないときの工作機械2の第1の動作期間である。また、第1の動作期間は、切削刃2aを接触させずに、チャック2bに固定した被加工物10を主軸回りに回転(空転)させる空転期間である。
【0018】
図2Bに示す工作機械2の状態は、工作機械2が切削刃2aで被加工物10を切削加工している状態であり、工作機械2がこの状態である期間は、被加工物10を加工しているときの工作機械2の第2の動作期間である。また、第2の動作期間は、主軸回りに回転させた被加工物10を切削刃2aで切削加工する加工期間である。
【0019】
図3は、工作機械2の空転期間Iと加工期間PにおけるAEセンサ3の出力波形を示す図である。工作機械2は、図3に示すように、空転期間Iの動作(被加工物10の空転)と加工期間Pの動作(被加工物10の切削加工)とを交互に繰り返し行う。加工期間Pにおいて切削刃2aと被加工物10の間に発生した熱によって切削刃2aの温度が上昇し、さらに切削刃2aの近傍に設置されたAEセンサ3の温度が上昇する。
【0020】
例えば、空転期間I1に続く加工期間P1において、被加工物10が切削刃2aで切削される。加工期間P1における切削加工が完了すると、工作機械2は、次の加工のために空転期間I2に移行する。空転期間I2に続く加工期間P2において、被加工物10は、例えば、切削刃2aによって加工期間P1における加工箇所からさらに切削される。加工期間P2における切削加工が完了すると、工作機械2は、次の加工のために空転期間I3に移行する。空転期間I3に続く加工期間P3において、被加工物10は、例えば、切削刃2aによって加工期間P2における加工箇所からさらに切削される。
【0021】
切削刃2aの温度は、加工期間Pごとに上昇するので、これに伴いAEセンサ3の温度も上昇する。このため、図3に示すように、工作機械2において空転期間Iと加工期間Pが繰り返されると、AEセンサ3の検出感度が徐々に上昇して出力電圧のレベルも徐々に上昇する。
【0022】
図4は、温度の変化によるAEセンサ3の検出感度の上昇を考慮しない場合におけるAEセンサ3の出力電圧の変動量を示す図である。加工期間Pにおいて、被加工物10は、切削刃2aによって切削される。このとき、切削刃2aには、被加工物10の切削に伴う劣化(刃の鈍り)が生じる。切削刃2aと被加工物10との間に発生する振動は、切削刃2aの劣化状態に応じて増加し、この振動の変動に応じて、図4に示すように、AEセンサ3の出力電圧が増加する。この出力電圧の変動量は、切削刃2aの劣化量Gとして扱われる。
【0023】
しかしながら、被加工物10を切削したときに発生した熱によって切削刃2aの温度が上昇し、この熱がAEセンサ3にも伝わってAEセンサ3の周囲温度が上昇すると、AEセンサ3の検出感度も上昇する。このため、加工期間PにおいてAEセンサ3の周囲温度が上昇していた場合、劣化量Gには、AEセンサ3の検出感度の上昇分の誤差が含まれている。すなわち、切削刃2aは、劣化量Gによって実際よりも劣化していると判断されてしまう。
【0024】
そこで、実施の形態1に係る劣化量検出装置4では、加工期間Pにおける切削刃2aの温度の変化に応じたAEセンサ3の検出感度の変化による出力電圧の変化量に基づいて、被加工物10の加工前後における切削刃2aの劣化量を算出している。これにより、前述したような温度変化が切削刃2aの劣化量の検出に与える影響を補正することができる。
【0025】
図5は、実施の形態1に係る劣化量検出方法を示すフローチャートであり、図1に示した劣化量検出装置4による一連の処理を示している。ここでは、工作機械2が切削装置であり、AEセンサ3が切削刃2aと被加工物10との間に発生する振動に応じたAE波を検出するものとする。また、図6は、温度の変化によるAEセンサ3の検出感度の上昇を考慮した場合におけるAEセンサ3の出力電圧の変動量を示す図である。
【0026】
センサ電圧抽出部41は、空転期間におけるAEセンサ3の出力電圧と、加工期間におけるAEセンサ3の出力電圧とを抽出する(ステップST1)。まず、センサ電圧抽出部41は、空転期間および加工期間をサイクルごとに判定する。1サイクルの期間は、一つの空転期間を二等分した後半の期間と、これに続く加工期間と、その後の空転期間を二等分した前半の期間から構成される。
【0027】
例えば、センサ電圧抽出部41は、AEセンサ3の出力電圧の時間的な変化を監視し、出力電圧に閾値以上のレベル差が発生した時点を空転期間と加工期間との境界点に決定する。そして、センサ電圧抽出部41は、境界点において出力電圧のレベルが低い側を空転期間と判定し、境界点において出力電圧のレベルが高い側を加工期間と判定する。
【0028】
また、工作機械2が、NC旋盤などの制御信号によって被加工物を自動で加工する装置である場合、センサ電圧抽出部41は、工作機械2から入力した空転期間を指定する制御信号と加工期間を指定する制御信号に基づいて、空転期間と加工期間を判定してもよい。
【0029】
センサ電圧抽出部41は、空転期間と加工期間をサイクルごとに判定すると、空転期間における出力電圧として、図6に示すように、AEセンサ3の出力電圧a(mV)および出力電圧b(mV)を抽出する。ここで、出力電圧a(mV)は、加工期間Pの直前の空転期間IaにおけるAEセンサ3の第1の出力電圧である。出力電圧b(mV)は、加工期間Pの直後の空転期間IbにおけるAEセンサ3の第2の出力電圧である。
【0030】
センサ電圧抽出部41は、加工期間Pにおける出力電圧として、図6に示すように、AEセンサ3の出力電圧d(mV)および出力電圧e(mV)を抽出する。ここで、出力電圧d(mV)は、加工期間Pが開始されたときのAEセンサ3の第3の出力電圧である。出力電圧e(mV)は、この加工期間Pが終了したときのAEセンサ3の第4の出力電圧である。
【0031】
例えば、センサ電圧抽出部41は、空転期間Iaと加工期間Pの境界点を決定すると、決定した境界点において出力電圧のレベルが低い側である空転期間IaにおけるAEセンサ3の出力電圧を出力電圧a(mV)と決定して抽出し、この境界点において出力電圧のレベルが高い側である加工期間PにおけるAEセンサ3の出力電圧を出力電圧d(mV)と決定して抽出する。
【0032】
同様に、センサ電圧抽出部41は、加工期間Pと空転期間Ibの境界点を決定すると、決定した境界点において出力電圧のレベルが低い側である空転期間IbにおけるAEセンサ3の出力電圧を出力電圧b(mV)と決定して抽出し、この境界点において出力電圧のレベルが高い側である加工期間PにおけるAEセンサ3の出力電圧を出力電圧e(mV)と決定して抽出する。
【0033】
なお、センサ電圧抽出部41は、空転期間と加工期間の境界点におけるAEセンサ3の出力電圧の値ではなく、部分期間における出力電圧の平均値を抽出してもよい。例えば、センサ電圧抽出部41は、空転期間IaにおけるAEセンサ3の出力電圧の平均値を出力電圧a(mV)と決定して抽出する。センサ電圧抽出部41は、加工期間Pが開始されてから一定の期間を部分期間として設定し、この部分期間におけるAEセンサ3の出力電圧の平均値を出力電圧d(mV)と決定して抽出する。
【0034】
同様に、センサ電圧抽出部41は、空転期間IbにおけるAEセンサ3の出力電圧の平均値を出力電圧b(mV)と決定して抽出する。センサ電圧抽出部41は、加工期間Pが終了されるまでの一定の期間を部分期間として設定し、この部分期間におけるAEセンサ3の出力電圧の平均値を出力電圧e(mV)と決定して抽出する。
【0035】
続いて、センサ電圧変化量算出部42は、加工期間Pにおける切削刃2aの温度の変化に応じたAEセンサ3の検出感度の変化による出力電圧の変化量cを算出する(ステップST2)。例えば、センサ電圧変化量算出部42は、下記式(1)に従って、出力電圧bから出力電圧aを引いた値を、変化量c(mV)として算出する。ここで、変化量cは、加工期間Pにおける切削刃2aの温度の変化に応じたAEセンサ3の検出感度の変化による、この加工期間Pの直後の空転期間IbにおけるAEセンサ3の出力電圧の第1の変化量である。
c=b-a ・・・(1)
【0036】
空転期間において、工作機械2は、被加工物10を主軸回りに回転させ(空転)、AEセンサ3は、空転によって工作機械2に発生した振動に応じたAE波を検出する。また、工作機械2は、被加工物10を主軸回りに回転させた状態で切削するので、加工期間Pでは、被加工物10を切削する動作と被加工物10を主軸回りに回転させる動作との両方の動作によって工作機械2に振動が発生する。すなわち、加工期間Pにおいて、工作機械2に発生する振動には、被加工物10を主軸回りに回転させる動作で発生した振動が含まれている。
【0037】
加工期間Pにおける切削刃2aの温度上昇によってAEセンサ3の検出感度が上昇することで、AEセンサ3の出力電圧が増加する。この出力電圧の増加分には、被加工物10を切削する動作によって発生した振動に対応する増加分に加え、被加工物10を主軸回りに回転させる動作によって発生した振動に対応する増加分が含まれる。変化量cは、後者の増加分である。
【0038】
劣化量算出部43は、センサ電圧変化量算出部42によって算出されたAEセンサ3の出力電圧の変化量cに基づいて、被加工物10の加工前後における切削刃2aの劣化量gを算出する(ステップST3)。例えば、劣化量算出部43は、下記式(2)に従って、変化量f(mV)として、出力電圧eを出力電圧bで割った値を、変化量cに掛けた値を算出する。
f=c×(e/b) ・・・(2)
【0039】
変化量fは、加工期間Pにおける切削刃2aの温度の変化に応じたAEセンサ3の検出感度の変化による、この加工期間PにおけるAEセンサ3の出力電圧の第2の変化量である。すなわち、変化量fは、周囲温度の上昇によるAEセンサ3の検出感度の上昇に起因したAEセンサ3の出力電圧の増加分のうち、被加工物10を切削する動作(切削加工)によって発生した振動に対応する増加分である。
【0040】
続いて、劣化量算出部43は、下記式(3)に従って、被加工物10の加工前後における切削刃2aの劣化量g(mV)として、出力電圧eから出力電圧dおよび変化量fを引いた値を算出する。劣化量gは、加工期間Pにおける被加工物10の切削加工によって切削刃2aに生じた劣化量であり、加工期間Pにおける切削刃2aの温度上昇に起因したAEセンサ3の検出感度の上昇分(変化量f)が除外された値である。ステップST1からステップST3までの処理は、工作機械2による空転期間と加工期間のサイクルごとに行われる。これにより、劣化量gがサイクルごとに算出される。
g=e-d-f ・・・(3)
【0041】
劣化量積算部44は、劣化量算出部43によって算出された劣化量gを積算する(ステップST4)。例えば、劣化量積算部44は、劣化量gの積算値として、サイクルごとに算出された劣化量gを順次加算した値を算出する。劣化量積算部44によって算出された劣化量gの積算値は、劣化予測部5および異常判定部6に出力される。
【0042】
劣化予測部5は、サイクルごとの加工期間Pを被加工物10の切削時間として抽出し、サイクルごとに抽出した被加工物10の切削時間を順次加算することで、切削時間の積算値(加工期間の積算値)を算出する。劣化予測部5は、切削刃2aの劣化進行度として、劣化量積算部44によって算出された劣化量gの積算値を切削時間の積算値で割った値を算出する。次に、劣化予測部5は、切削刃2aに異常が発生するまでの予測時間として、切削刃2aの劣化量の許容上限値を劣化進行度で割った値から切削時間の積算値を引いた値を算出する。切削刃2aの劣化量の許容上限値は、事前の実験によって求められた値である。例えば、劣化予測部5は、切削刃2aに異常が発生するまでの予測時間を表示装置に表示させる。
【0043】
異常判定部6は、劣化量積算部44によって算出された劣化量gの積算値を判定基準値と比較した結果に基づいて、切削刃2aに異常が発生したか否かを判定する。例えば、異常判定部6は、劣化量gの積算値を、前述した判定基準値と比較し、劣化量gの積算値が判定基準値よりも小さければ、切削刃2aに異常が発生していないと判定し、劣化量gの積算値が判定基準閾値以上になった場合、切削刃2aに異常が発生したと判定する。
【0044】
図7は、加工期間において工作機械2に突発的に大きな振動の変化が発生したときのAEセンサ3の出力波形を示す図である。例えば、加工期間が開始されて切削刃2aが被加工物10に接触したときに、図7に示すように、切削刃2aと被加工物10の間で突発的に大きな振動の変化が発生することがある。この場合、被加工物10の切削が開始されてから一定の時間Aが経過するまでは、AEセンサ3の出力電圧が大きく変動する。
【0045】
また、切削加工が完了して切削刃2aを被加工物10から引き離すときに、切削刃2aが被加工物10に押し当てられていた反動から両者が揺動し、切削刃2aと被加工物10との間に大きな振動が発生する。このように突発的に発生した大きな振動によって、図7に示すように、被加工物10の切削加工が完了してから一定の時間Bが経過するまでは、AEセンサ3の出力電圧が大きく変動する。このようなAEセンサ3の出力電圧の大きな変動は、劣化予測におけるノイズとなり得る。
【0046】
そこで、センサ電圧抽出部41は、図7に示すように、AEセンサ3の出力電圧が許容値Th1以下になった時点t2から、加工期間が開始された時点t1まで遡った期間を、加工開始期間Aと判定する。さらに、センサ電圧抽出部41は、AEセンサ3の出力電圧が許容値Th2以上になった時点t3から、加工期間が終了された時点t4までの期間を加工終了期間Bと判定する。
【0047】
センサ電圧抽出部41は、AEセンサ3の出力電圧を抽出する期間から加工開始期間Aおよび加工終了期間Bを除外する。例えば、センサ電圧抽出部41は、加工期間Pの直前の空転期間におけるAEセンサ3の出力電圧a(mV)として、加工期間Pが開始された時点t1におけるAEセンサ3の出力電圧を抽出する。また、時点t1に至るまでの一定の部分期間におけるAEセンサ3の出力電圧を平均した値を出力電圧aとしてもよい。
【0048】
センサ電圧抽出部41は、加工期間Pの直後の空転期間におけるAEセンサ3の出力電圧b(mv)として、加工期間Pが終了した時点t4におけるAEセンサ3の出力電圧を抽出する。また、時点t4からの一定の部分期間におけるAEセンサ3の出力電圧を平均した値を出力電圧bとしてもよい。
【0049】
センサ電圧抽出部41は、加工期間Pが開始されたときのAEセンサ3の出力電圧d(mV)として、時点t2におけるAEセンサ3の出力電圧を抽出する。また、時点t2からの一定の部分期間におけるAEセンサ3の出力電圧を平均した値を出力電圧dとしてもよい。
【0050】
センサ電圧抽出部41は、加工期間Pが終了したときのAEセンサ3の出力電圧e(mV)として、時点t3におけるAEセンサ3の出力電圧を抽出する。また、時点t3に至るまでの一定の部分期間におけるAEセンサ3の出力電圧を平均した値を出力電圧eとしてもよい。このようにAEセンサ3の出力電圧を抽出する期間から加工開始期間Aおよび加工終了期間Bを除外することで、劣化予測のノイズとなり得る因子が除外されて、劣化予測の精度が向上する。
【0051】
次に、劣化量検出装置4の機能を実現するハードウェア構成について説明する。
劣化量検出装置4におけるセンサ電圧抽出部41、センサ電圧変化量算出部42、劣化量算出部43および劣化量積算部44の各機能は処理回路により実現される。すなわち、劣化量検出装置4は、図5のステップST1からステップST4の処理を行う処理回路を備えている。この処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0052】
図8Aは、劣化量検出装置4の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図であり、図8Bは、劣化量検出装置4の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図8Aおよび図8Bにおいて、入力インタフェース100は、劣化量検出装置4がAEセンサ3から入力する出力電圧を示す信号を中継する。出力インタフェース101は、劣化量検出装置4から劣化予測部5および異常判定部6へ出力されるデータ(劣化量gの積算値データ)を中継する。
【0053】
処理回路が、図8Aに示す専用のハードウェアの処理回路102である場合、処理回路102は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。劣化量検出装置4におけるセンサ電圧抽出部41、センサ電圧変化量算出部42、劣化量算出部43および劣化量積算部44の機能を、別々の処理回路で実現してもよいし、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
【0054】
処理回路が図8Bに示すプロセッサ103である場合には、劣化量検出装置4におけるセンサ電圧抽出部41、センサ電圧変化量算出部42、劣化量算出部43および劣化量積算部44の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ104に記憶される。
【0055】
プロセッサ103は、メモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、センサ電圧抽出部41、センサ電圧変化量算出部42、劣化量算出部43および劣化量積算部44の機能を実現する。例えば、劣化量検出装置4は、プロセッサ103によって実行されるとき、図5に示すフローチャートにおけるステップST1からステップST4の処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ104を備える。これらのプログラムは、センサ電圧抽出部41、センサ電圧変化量算出部42、劣化量算出部43および劣化量積算部44の手順または方法を、コンピュータに実行させる。メモリ104は、コンピュータを、センサ電圧抽出部41、センサ電圧変化量算出部42、劣化量算出部43および劣化量積算部44として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0056】
メモリ104は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically-EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
【0057】
劣化量検出装置4におけるセンサ電圧抽出部41、センサ電圧変化量算出部42、劣化量算出部43および劣化量積算部44の機能の一部を専用ハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、センサ電圧抽出部41、センサ電圧変化量算出部42および劣化量算出部43は、専用のハードウェアである処理回路102によって機能を実現し、劣化量積算部44は、プロセッサ103がメモリ104に記憶されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。このように処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせにより、上記機能を実現することができる。
【0058】
以上のように、実施の形態1に係る劣化量検出装置4は、工作機械2からAE波を検出するAEセンサ3の出力電圧から空転期間における出力電圧と加工期間における出力電圧を抽出するセンサ電圧抽出部41と、加工期間における工作機械2の温度の変化に応じたAEセンサ3の検出感度の変化による出力電圧の変化量を算出するセンサ電圧変化量算出部42と、センサ電圧変化量算出部42によって算出されたAEセンサ3の出力電圧の変化量に基づいて、被加工物10の加工前後における工作機械2の劣化量を算出する劣化量算出部43と、劣化量算出部43によって算出された劣化量を積算する劣化量積算部44を備える。加工期間における工作機械2の温度の変化に応じたAEセンサ3の検出感度の変化による出力電圧の変化量に基づいて、被加工物10の加工前後における工作機械2の劣化量が算出されるので、温度変化が工作機械2の劣化量の検出に与える影響を補正することができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る劣化量検出装置は、例えば、被加工物を切削刃で加工する切削器の劣化量の検出に利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 劣化予測システム、2 工作機械、2a 切削刃、2b チャック、3 AEセンサ、4 劣化量検出装置、5 劣化予測部、6 異常判定部、10 被加工物、41 センサ電圧抽出部、42 センサ電圧変化量算出部、43 劣化量算出部、44 劣化量積算部、100 入力インタフェース、101 出力インタフェース、102 処理回路、103 プロセッサ、104 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8