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特許7304967エアブリッジ製作方法、エアブリッジ及び電子デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】エアブリッジ製作方法、エアブリッジ及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20230630BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20230630BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
H01L21/90 N
H01L21/302 105A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021564818
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 CN2021102878
(87)【国際公開番号】W WO2022105232
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】202011288110.4
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514187420
【氏名又は名称】テンセント・テクノロジー・(シェンジェン)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ウエンロォン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チュホォン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ションユィ
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-270464(JP,A)
【文献】特表2007-536747(JP,A)
【文献】特開平10-065006(JP,A)
【文献】特開2000-022131(JP,A)
【文献】米国特許第05408742(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアブリッジ製作方法であって、
基板上に第一層フォトレジストを塗布するステップ;
前記第一層フォトレジスト上に第二層フォトレジストを塗布するステップ;
前記第二層フォトレジストに対して露光処理、現像処理及び定着処理を行い、前記第二層フォトレジストに囲まれる前記第一層フォトレジスト上において、ブリッジ支えを堆積するためのパターン化構造を形成するステップ;
前記パターン化構造によって所定領域内の第一層フォトレジストをエッチングし、前記基板上において、堆積材料の周辺への拡散をブロッキングするための構造を形成するステップであって、前記所定領域は、前記パターン化構造の頂部開口によって前記第一層フォトレジスト上に形成される投影領域を含む、ステップ;及び
前記所定領域内の第一層フォトレジストをエッチングした後に露出した基板表面にブリッジ支え構造を堆積し、前記ブリッジ支え構造に基づいてエアブリッジを形成するステップを含み、
前記基板に第一層フォトレジストを塗布した後に、前記エアブリッジ製作方法は、さらに、
前記第一層フォトレジストに対して第一ベーキングを行うステップを含み、
前記第一層フォトレジスト上に第二層フォトレジストを塗布した後に、前記エアブリッジ製作方法は、さらに、
前記第二層フォトレジストに対して第二ベーキングを行うステップであって、前記第二ベーキングの温度が前記第一ベーキングの温度以下である、ステップを含む、エアブリッジ製作方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエアブリッジ製作方法であって、
前記ブリッジ支え構造に基づいてエアブリッジを形成することは、
前記ブリッジ支え構造を堆積した後に、前記基板上の第二層フォトレジスト及び前記第一層フォトレジストを除去するステップ;及び
前記基板上の第二層フォトレジスト及び前記第一層フォトレジストを除去した後に、前記ブリッジ支え構造が形成されている基板表面に対してアライメント及び金属蒸着処理を行い、前記エアブリッジを形成するステップを含む、エアブリッジ製作方法。
【請求項3】
請求項に記載のエアブリッジ製作方法であって、
前記基板上の第二層フォトレジスト及び前記第一層フォトレジストを除去することは、
前記ブリッジ支え構造、前記第一層フォトレジスト及び前記第二層フォトレジストが形成されている基板をレジスト剥離液に入れて、前記第二層フォトレジスト及び前記第一層フォトレジストを除去するステップを含む、エアブリッジ製作方法。
【請求項4】
請求項に記載のエアブリッジ製作方法であって、
前記第一層フォトレジストのレジスト剥離液が前記第二層フォトレジストのレジスト剥離液とは異なる場合、先に、前記ブリッジ支え構造、前記第一層フォトレジスト及び前記第二層フォトレジストが形成されている基板を前記第二層フォトレジストのレジスト剥離液に入れるステップ;及び
前記第二層フォトレジストを除去した後に、前記ブリッジ支え構造及び前記第一層フォトレジストが形成されている基板を前記第一層フォトレジストのレジスト剥離液に入れるステップを含む、エアブリッジ製作方法。
【請求項5】
請求項1に記載のエアブリッジ製作方法であって、
前記露光処理は紫外線露光又はレーザーダイレクトライティングを含む、エアブリッジ製作方法。
【請求項6】
請求項1に記載のエアブリッジ製作方法であって、
前記第一層フォトレジストの厚さと、堆積しようとするブリッジ支え構造の高さとは、
5h≦H≦6h
という条件を満足し、
ここで、hは前記第一層フォトレジストの厚さを表し、Hは堆積しようとするブリッジ支え構造の高さを表す、エアブリッジ製作方法。
【請求項7】
請求項1に記載のエアブリッジ製作方法であって、
前記パターン化構造によって前記第一層フォトレジストをエッチングする時間長と、前記基板表面に堆積して得る必要のあるブリッジ支え構造のブリッジ支え角度の値とは、逆相関関係にある、方法。
【請求項8】
請求項1に記載のエアブリッジ製作方法であって、
前記パターン化構造の底部の幅が前記パターン化構造の頂部開口の幅よりも大きく、
前記パターン化構造の底部が前記第一層フォトレジストに接触している、エアブリッジ製作方法。
【請求項9】
請求項に記載のエアブリッジ製作方法であって、
前記パターン化構造の断面は等脚台形である、エアブリッジ製作方法。
【請求項10】
請求項1に記載のエアブリッジ製作方法であって、
前記第二層フォトレジストに対して現像処理を行うのに使用される現像液と、前記第一層フォトレジストとは、物理的反応及び化学的反応が発生しない、エアブリッジ製作方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月17日に中国専利局に出願した、出願番号が202011288110.4である中国特許出願に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を参照によりここに援用する。
【0002】
本出願は、半導体、超伝導、量子及びマイクロナノ加工技術の分野に関し、特に、エアブリッジ製作方法、エアブリッジ及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
高周波及び超高周波デバイスにおいて、金属電極リードの寄生容量を減らすことで、デバイスの感度を向上させる必要がある。空気の誘電率が1に近いため、エアブリッジ法を使用して金属電極リードを実現すると、寄生容量を大幅に低減し、高価な低誘電率誘電膜材料を堆積するプロセスの使用を回避することができ、また、エアブリッジ構造によって、電極リードに低熱抵抗接続及び放熱チャンネルを提供することもできる。
【0004】
エアブリッジは1種の回路構造であり、それは3次元ブリッジ構造によって平面回路ブリッジングを実現する方法の1つである。ブリッジと回路との間の媒体が空気(又は真空)であるから、それはエアブリッジ(又は真エアブリッジ)と称され、一般に「air bridge」と呼ばれる。そのうち、エアブリッジのブリッジ支え角度がエアブリッジの安定性を決定するが、関連技術ではエアブリッジのブリッジ支え角度を効果的に調整する解決策が未だに提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の実施例は、エアブリッジのブリッジ支え角度に対しての効果的な制御及び調整を実現することができるエアブリッジ製作方法、エアブリッジ及び電子デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の実施例により、エアブリッジ製作方法が提供され、該方法は、
基板上に第一層フォトレジストを塗布するステップ;
前記第一層フォトレジスト上に第二層フォトレジストを塗布するステップ;
前記第二層フォトレジストに対して露光処理、現像処理及び定着処理を行い、ブリッジ支えを堆積するためのパターン化構造を前記第二層フォトレジスト上に形成するステップ;
前記パターン化構造によって所定領域内の第一層フォトレジストをエッチングし、堆積材料の周辺への拡散をブロッキングするための構造を前記基板上に形成するステップであって、前記所定領域は、前記パターン化構造の頂部開口によって前記第一層フォトレジスト上に形成される投影領域を含む、ステップ;及び
前記所定領域内の第一層フォトレジストをエッチングした後に露出した基板表面にブリッジ支え構造を堆積し、前記ブリッジ支え構造に基づいてエアブリッジを形成するステップを含む。
【0007】
本出願の実施例によりエアブリッジがさらに提供され、前記エアブリッジは本出願の実施例により提供されるエアブリッジ製作方法によって準備されたものである。
【0008】
本出願の実施例により電子デバイスがさらに提供され、前記電子デバイスは本出願の実施例により提供されるエアブリッジ製作方法によって準備されたエアブリッジを含む。
【発明の効果】
【0009】
本出願の実施例により提供される技術案は以下のような効果を有する。
【0010】
基板上に第一層フォトレジスト及び第二層フォトレジストを順次塗布し、その後、第二層フォトレジストに対して露光処理、現像処理及び定着処理を行い、第二層フォトレジスト上においてブリッジ支えを堆積するためのパターン化構造を形成することで、パターン化構造によって所定領域内の第一層フォトレジストをエッチングして除去する。該所定領域にはパターン化構造の頂部開口によって第一層フォトレジスト上に形成される投影領域が含まれる。よって、所定領域内の第一層フォトレジストをエッチングした後に露出した基板表面にブリッジ支え構造を堆積するときに、エッチングされていない第一層フォトレジストによって、堆積材料の周辺への拡散をブロッキングすることができ、また、投影領域内の第一層フォトレジストに対してのエッチングの程度(例えば、エッチングの量)も堆積材料のブロッキングプロセスに影響を及ぼすことができる。これにより、エアブリッジのブリッジ支え角度に対しての効果的な制御及び調整を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本出願の実施例により提供されるエアブリッジの構造を示す図である。
図2】本出願の実施例により提供されるエアブリッジの製作方法のフローチャートである。
図3】本出願の実施例により提供されるエアブリッジの製作プロセスを示す図である。
図4】本出願の実施例により提供されるエアブリッジの製作プロセスを示す図である。
図5】本出願の実施例により提供されるエアブリッジの製作プロセスを示す図である。
図6】本出願の実施例により提供されるエアブリッジの製作プロセスを示す図である。
図7】本出願の実施例により提供されるエアブリッジの製作プロセスを示す図である。
図8】本出願の実施例により提供されるエアブリッジの製作プロセスを示す図である。
図9】本出願の実施例により提供される、本出願の実施例の製作方法により製作されたブリッジ支え構造と、関連技術で製作されたブリッジ支え構造との間のブリッジ支え角度の対比を示す図である。
図10】本出願の実施例により提供される、異なるプライマーエッチング時間に基づいて製作されたブリッジ支え構造のブリッジ支え角度の対比を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、例示的な実施例をより全面的に説明する。しかしながら、例示的な実施方式は複数の形で実施することができ、ここで記述された範例に限られると解釈されるべきではない。逆に、これらの実施例の提供は、本出願を包括的かつ完全にし、例示的な実施例の構想を当業者に全面的に伝えることができる。
【0013】
また、記載された特徴、構造又は特性は任意の適切な方式で1つ又は複数の実施例において組み合わせることができる。以下の説明では、本出願の実施例を十分に理解するために、多くの特定の詳細が提供される。しかしながら、当業者が理解すべきは、本出願の技術案は特定の詳細のうちの1つ又は複数が無くても実施することができ、又は、他の方法、コンポーネント、デバイス、ステップなどを採用することもできるということである。他の場合には、本出願の様々な側面を曖昧にすることを避けるために、周知の方法、デバイス、実装又は操作は詳細に示されず、又は、説明されない。
【0014】
図面に示されたフローチャートは単なる例示的な説明であり、必ずしもすべての内容及び操作/ステップを含むわけではなく、また、説明された順序で実行する必要もない。例えば、一部操作/ステップを分解したり、一部の操作/ステップを組み合わせたり、部分的に組み合わせたりすることができるため、実際の実行順序は実際の状況に応じて変更される場合がある。
【0015】
なお、本文において言及された「複数」とは2つ又は2つ以上を指す。「及び/又は」は、関連付けられたオブジェクトの関連付け関係を表し、3種類の関係が存在する可能性があることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aのみが存在し、A及びBが同時に存在し、及びBのみが存在することを意味する。文字「/」は一般に、前後の関連オブジェクトが「又は」の関係にあることを表す。
【0016】
以下の説明では、「幾つかの実施例」という表現があり、それはすべての可能な実施例のサブセットを表すが、理解すべきは、「幾つかの実施例」はすべての可能な実施例の同じサブセット又は異なるサブセットであっても良く、かつ矛盾がない限り互いに組み合わせることができるということである。
【0017】
関連技術では、エアブリッジの準備スキームは通常2つあり、1つは、フォトレジストによるブリッジ支えをベースにしたエアブリッジであり、もう1つは、リリース可能な堆積材料(ほとんどがシリカである)によるブリッジ支えをベースにしたエアブリッジである。そのうち、フォトレジストによるブリッジ支えをベースにしたエアブリッジは、加熱リフローによりブリッジの形状を変えることができ、通常、ブリッジアーチの形状を改善することを主とし、このような準備プロセスを採用したエアブリッジのブリッジアーチは比較的に安定している。
【0018】
リリース可能な堆積材料によるブリッジ支えをベースにしたエアブリッジの場合、その形状がブリッジ支えの形状と同じであり、それに、コーティングプロセスの制限が原因で、エアブリッジの形状はほとんど台形になっている。図1に示すエアブリッジ構造では、ブリッジ支え102がリリースされた後に、エアブリッジは、ブリッジピア106の処で基板101上の回路構造に接続される以外に、残りの部分がすべて空中に吊るされる。安定性を確保するために、エアブリッジの形状は非常に重要である。台形ブリッジの形状は、ブリッジ支え角度105が異なることにより、その台形の差が比較的に大きい。また、ブリッジ支え角度はアプローチブリッジ角度(アプローチブリッジ角度はアプローチブリッジ103とブリッジピア(bridge
pier)106との間の夾角である)を決定する。一般的には、ブリッジ支え角度105がアプローチブリッジ角度に等しいと考えられる。アプローチブリッジ角度が小さ過ぎる場合、ブリッジトップ104は崩壊しやすい。アプローチブリッジ角度が大き過ぎる場合、蒸着コーティング時に特定の方向性があるため、アプローチブリッジの部分が薄くなり、アプローチブリッジの処で壊れる問題を引き起こしやすい。よって、一般的に言えば、アプローチブリッジ角度が35°~50°(傾角)の台形ブリッジは最も安定している。従って、ブリッジ支え角度105をモディフィケイション(modify)してエアブリッジの安定性を確保することは非常に重要である。
【0019】
関連技術ではブリッジ支え角度を調整するために、一般に、堆積、蒸着などのブリッジ支えを準備するコーティングプロセスから始め、コーティング時の様々なパラメータ、例えば、温度、速度、真空度などを変更する。コーティングのプロセスパラメータが固定されており、又は、調節可能な範囲が限られている場合、エアブリッジのブリッジ支え角度を調整することは困難である。ブリッジ支え角度を大幅に変更したい場合、往々にして、装置に追加の部品、例えば、サンプルトレイ水冷システム、赤外線加熱ベーキングシステムなどを増設する必要がある。これらのシステムは通常の装置においてその元の設計と衝突することが多く、その結果、増設は困難である。これで分かるように、関連技術ではブリッジ支え角度の改善による装置改造のコストが非常に高く、また、成熟した(通常の)装置は改善のニーズを満たすことが難しく、かつ、既に安定しているプロセスパラメータに不可逆的な影響を与える恐れもある。
【0020】
これをもとに、本出願の実施例では新しいエアブリッジの製作方法が提供される。図2に示すように、該製作方法は主に以下のようなステップを含む。
【0021】
ステップS210:基板上に第一層フォトレジストを塗布し;
ステップS220:第一層フォトレジスト上に第二層フォトレジストを塗布し;
ステップS230:第二層フォトレジストに対して露光処理、現像処理及び定着処理を行い、第二層フォトレジスト上に、ブリッジ支えを堆積するためのパターン化構造を形成し;
ステップS240:該パターン化構造によって所定領域内の第一層フォトレジストをエッチングし、基板上に堆積材料の周辺への拡散をブロッキングするための構造を形成し、該所定領域は、該パターン化構造の頂部開口によって第一層フォトレジスト上に形成される投影領域を含み;
ステップS250:所定領域内の第一層フォトレジストをエッチングした後に露出した基板表面にブリッジ支え構造を堆積し、そして、該ブリッジ支え構造に基づいてエアブリッジを形成する。
【0022】
以下、図3乃至図8を参照しながら、図2に示す製作方法について詳しく説明する。
【0023】
図3に示すように、301は基板であり、ステップS210では基板301に第一層フォトレジスト302を塗布し、ステップS220では第一層フォトレジスト302上に第二層フォトレジスト303を塗布する。
【0024】
本出願の1つの実施例において、基板上に第一層フォトレジスト302を塗布した後に、さらに第一層フォトレジスト302に対して第一ベーキングを行うことで、第一層フォトレジスト302をできるだけ速く基板301上に凝固させる。第一層フォトレジスト302が基板301上に凝固した後に、第一層フォトレジスト302上に第二層フォトレジスト303を塗布し、かつ第二層フォトレジスト303を塗布した後に、第二層フォトレジスト303に対して第二ベーキングを行っても良い。幾つかの実施例において、第二ベーキングの温度が第一ベーキングの温度以下である。
【0025】
幾つかの実施例において、第一層フォトレジスト302はポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate、PMMA)であり得る。第二層フォトレジスト303はAZ系反転レジストであり得る。
【0026】
本出願の1つの実施例において、図4に示すように、第二層フォトレジスト303を形成した後に、第二層フォトレジスト303をパターン定義層として露光処理を行う。露光処理を行った後に、図5に示すように、露光処理後の第二層フォトレジスト303に対して現像処理及び定着処理を行うことで、第二層フォトレジスト303上においてブリッジ支えを堆積するためのパターン化構造304を形成する。
【0027】
本出願の1つの実施例において、第二層フォトレジスト303に対して露光処理を行うときに紫外線露光又はレーザーダイレクトライティングの方式を採用することができる。
【0028】
本出願の1つの実施例において、第二層フォトレジスト303に対して現像処理を行うときに第一層フォトレジスト302に影響を与えるのを避けるために、第二層フォトレジスト303に対して現像処理を行うのに使用される現像液は、第一層フォトレジスト302との間で物理的反応(例えば、溶解など)及び化学的反応が発生しない現像液を採用することができる。このようにして、現像液は第二層フォトレジスト303に対してのみ現像処理を行うことができる。
【0029】
本出願の1つの実施例において、第二層フォトレジスト303上にブリッジ支えを堆積するためのパターン化構造304を形成した後に、図6に示すように、該パターン化構造304によって所定領域305内の第一層フォトレジストをエッチングすることで、基板301上において堆積材料の周辺への拡散をブロッキングするための構造を形成し(分かりやすくするために、該構造は図7において306で示されている)、そのうち、該所定領域305は該パターン化構造304の頂部開口によって第一層フォトレジスト302上に形成される投影領域を含む。幾つかの実施例において、該所定領域305は該投影領域の全領域であっても良く、あるいは、該所定領域305は該投影領域よりも少し大きくても良い。
【0030】
本出願の1つの実施例において、パターン化構造304の底部の幅がパターン化構造304の頂部開口の幅よりも大きくても良く、そのうち、パターン化構造304の底部は第一層フォトレジスト302に接触している。このような場合、前述の投影領域内の全部の第一層フォトレジストをエッチングしたとしても、基板301の表面にはパターン化構造304の底部に突出する構造を形成することができ、こにより、ブリッジ支え構造堆積時に堆積材料をブロッキングする作用を発揮することができる。幾つかの実施例において、パターン化構造304の断面は正の台形(即ち、等脚台形)であり得る。
【0031】
本出願の1つの実施例において、所定領域305内の第一層フォトレジストをエッチングした後に、図7に示すように、露出した基板表面にブリッジ支え構造307を堆積することにより、該ブリッジ支え構造307に基づいてエアブリッジを形成することができる。幾つかの実施例において、ブリッジ支え構造307の材料がシリカであっても良い。
【0032】
本出願の1つの実施例において、第一層フォトレジスト302の厚さが、堆積する必要のあるブリッジ支え構造307の高さに影響を及ぼすことがある。実際に実施するときに、第一層フォトレジスト302の厚さと、堆積しようとするブリッジ支え構造307との高さは以下の条件を満足し、即ち
5h≦H≦6h
である。
【0033】
そのうち、hは第一層フォトレジスト302の厚さを示し、Hは堆積しようとするブリッジ支え構造307の高さを表す。
【0034】
本出願の1つの実施例において、ブリッジ支え構造307を堆積した後に、基板301上の第二層フォトレジスト303及び第一層フォトレジスト302を除去することで、図8に示すような構造を得ることができる。その後、図8に示す構造に基づいてアラインメント及び金属蒸着処理を行い、最終的にエアブリッジを形成することができる。
【0035】
本出願の1つの実施例において、基板上の第二層フォトレジスト303及び第一層フォトレジスト302を除去するときに、ブリッジ支え構造307、第一層フォトレジスト302及び第二層フォトレジスト303が形成されている基板(即ち、図7に示す構造)をレジスト剥離液に入れて第二層フォトレジスト303及び第一層フォトレジスト302を除去することができる。
【0036】
本出願の1つの実施例において、第一層フォトレジスト302のレジスト剥離液が第二層フォトレジスト303のレジスト剥離液と同じである場合、図7に示す構造を同一のレジスト剥離液に直接入れれば良い。第一層フォトレジスト302のレジスト剥離液が第二層フォトレジスト303のレジスト剥離液とは異なる場合、先に図7に示す構造を第二層フォトレジスト303のレジスト剥離液に入れて第二層フォトレジスト303を除去し、その後、ブリッジ支え構造及び第一層フォトレジスト302が形成されている基板を第一層フォトレジスト302のレジスト剥離液に入れる。
【0037】
本出願の1つの実施例において、本出願の実施例の技術案によって得られたブリッジ支え角度は、堆積材料が拡散するときに構造306に接触する位置に関連しており、即ち、エッチングされることにより除去される第一層フォトレジスト302の開口のサイズ(大きさ)に関連している。実際に実施するときに、開口が大きい(即ち、構造306の突出が少ない)ほど、ブリッジ支え角度が小さくなり;逆に、開口が小さい(即ち、構造306の突出が多い)ほど、ブリッジ支え角度が大きくなる。また、第一層フォトレジスト302の開口のサイズはエッチング時間の長さに関連しており、即ち、エッチング時間が長いほど、開口が大きくなり;逆に、エッチング時間が短いほど、開口が小さくなる。よって、第一層フォトレジスト302をエッチングする時間を制限することでブリッジ支えの角度をモディフィケイションすることができる。実際に実施するときに、第一層フォトレジスト302のエッチング時間が長いほど、最後に得られたブリッジ支え角度が小さくなり;逆に、第一層フォトレジスト302のエッチング時間が短いほど、最後に得られたブリッジ支え角度が大きくなる。
【0038】
幾つかの実施例において、エアブリッジの製作方法は以下のようなステップを含んでも良い。
【0039】
ステップ1:基板上にPMMAをプライマー(プライマーは第一層フォトレジストである)としてスピンコーティングし、180℃で所定期間ベーキングし;
ステップ2:プライマー上にAZ系反転レジスト(即ち、第二層フォトレジスト)をスピンコーティングし、95℃で所定期間ベーキングし;
ステップ3:AZ系列反転レジスト上に紫外線露光、プリベーキング処理を行い、その後、フラッド露光、現像及び定着処理を行うことで、ブリッジ支えを堆積及び剥離するためのフォトレジスト構造を取得し(即ち、パターン化構造を取得する);
ステップ4:酸素プラズマを使用してプライマーを所定期間エッチングすることで、プライマーに、堆積のためのパターン化構造のサイズに近い開口を形成させ;
ステップ5:電子ビーム蒸着によってシリカをブリッジ支えとしてコーティングし;
ステップ6:サンプルをアセトン(即ち、レジスト剥離液)に入れてAZ系反転レジスト及びプライマーを剥離し、基板上のブリッジ支え構造を取得し;
ステップ7:得られたブリッジ支え構造のサンプルに対してアライメント処理を行い、電子ビーム蒸着によってアルミニウムメッキ処理を行い、最後にエアブリッジを取得する。
【0040】
図9に示すように、本出願の実施例の製作方法によって作製されたブリッジ支え構造は図9の(b)に示すとおりであり、それは、関連技術で製作されたブリッジ支え構造(図9の(a)に示すもの)に比べて、明らかのように、ブリッジ支え角度に対して合理的なモディフィケイションを行うことができ、かつブリッジ支え角度を増大することで、ブリッジ支え角度がエアブリッジの安定性を確保し得る状態にあるようにさせることができる。実際に実施するときに、本出願の実施例の製作方法によって製作されたブリッジ支え構造のブリッジ支え角度は約37°に達することができ、これに対して、関連技術で製作されたブリッジ支え構造はわずかに22°ぐらいである。
【0041】
本出願の1つの実施例において、前述の実施例におけるステップ4では、酸素プラズマを使用してプライマーをエッチングするときに、エッチング時間の長さも最後のブリッジ支え角度に影響を与えることができる。図10に示すように、図10の(a)はエッチング時間が比較的長いことに基づいて得られたブリッジ支え構造であり、図10の(b)はエッチング時間が比較的短いことに基づいて得られたブリッジ支え構造である。明らかであるように、図10の(a)に得られたブリッジ支え角度が図10の(b)に得られたブリッジ支え角度よりも小さく、即ち、エッチング時間が長いほど、得られたブリッジ支え構造のブリッジ支え角度が小さくなる。実際に実施するときに、エッチング時間が比較的長いときに得られたブリッジ支え角度が約18°であり、これに対して、エッチング時間が比較的短いときに得られたブリッジ支え角度が約34°である。よって、本出願の実施例では、プライマーをエッチングする時間を制御してエアブリッジのブリッジ支え角度をモディフィケイションすることで、エアブリッジのブリッジ支え角度に対しての効果的な制御及び調整を実現することができる。
【0042】
本出願の実施例で提案された製作方法によって準備されたエアブリッジは比較的高い安定性を有し、それは様々な電子回路や電子デバイスに適用することができる。例えば、高周波及び超高周波デバイスに応用されることで、電子デバイスの作動安定性を大幅に向上させることができる。さらに、超伝導量子チップ回路に適用されることで、安定したエアブリッジ構造を提供することができる。
【0043】
なお、当業者は明細書を考慮してここで開示された実施例を実施した後に、本出願の他の実施を容易に考えるであろう。本出願は本出願の任意の変形、用途又は適応的変化をカバーすることを目的としている。これらの変形、用途又は適応的変化は本出願の一般的原理に従い、また、本出願で開示されていない当分野の公知常識又は慣用技術手段をも含む。
【0044】
以上、本出願の好ましい実施例を説明したが、本出願はこの実施例に限定されず、本出願の趣旨を離脱しない限り、本出願に対するあらゆる変更は本出願の技術的範囲に属する。
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