(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】水素化反応用触媒及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 27/055 20060101AFI20230630BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20230630BHJP
B01J 37/03 20060101ALI20230630BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20230630BHJP
B01J 37/18 20060101ALI20230630BHJP
B01J 37/14 20060101ALI20230630BHJP
C08F 8/04 20060101ALI20230630BHJP
C08F 132/08 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B01J27/055 M
B01J35/10 301A
B01J37/03 A
B01J37/08
B01J37/18
B01J37/14
C08F8/04
C08F132/08
(21)【出願番号】P 2021577244
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 KR2020008292
(87)【国際公開番号】W WO2020262989
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0078368
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520263899
【氏名又は名称】ハンファ ソルーションズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】パク ウジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ボンシク
(72)【発明者】
【氏名】イ ヨンヒ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ウィグン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-094890(JP,A)
【文献】特表2013-525539(JP,A)
【文献】特開2011-072933(JP,A)
【文献】特表2003-513790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C08F 8/04
C08F 132/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル及び酸化ニッケルから選択される少なくとも1つ以上の活性物質40~80重量部に対して、銅及び酸化銅から選択される少なくともいずれか1つ以上の促進剤を0.01~5重量部を含み、シリカ担体10~50重量部を含む
、石油樹脂の水素化反応用触媒
であって、
前記水素化反応において、反応物は、石油樹脂(Hydrocarbon Resin)である、水素化反応用触媒。
【請求項2】
前記ニッケル50重量部以上を含み、
前記酸化ニッケルと酸化銅を含み、酸化ニッケルと酸化銅の和100重量部に対して、酸化銅は0.01~2.0重量部である請求項1に記載の
石油樹脂の水素化反応用触媒。
【請求項3】
前記促進剤は硫黄及び酸化硫黄から選択される少なくともいずれか1つ以上を0.1~2重量部さらに含む請求項1に記載の
石油樹脂の水素化反応用触媒。
【請求項4】
前記酸化ニッケルと酸化硫黄を含み、酸化ニッケル100重量部に対して、酸化硫黄は0.1~2.0重量部である請求項3に記載の
石油樹脂の水素化反応用触媒。
【請求項5】
前記触媒の粒度分布は平均粒子サイズがD
10は2μm以上で、D
50は5~7μmで、D
90は15μm以下である請求項1に記載の
石油樹脂の水素化反応用触媒。
【請求項6】
前記触媒は窒素吸着法を用いた細孔構造分析でメソ細孔径サイズ(meso pore size)が4.5nm以上で、BET比表面積は200m
2/g以上で、BJH累積吸着体積(cumulative BJH adsorption volume)が0.25cm
3/g以上である請求項1に記載の
石油樹脂の水素化反応用触媒。
【請求項7】
前記ニッケルの結晶サイズは3~8nmである請求項1に記載の
石油樹脂の水素化反応用触媒。
【請求項8】
前記シリカ担体は比表面積が200~400m
2/gで、10~30nmの細孔サイズを有する多孔性の担体である請求項1に記載の
石油樹脂の水素化反応用触媒。
【請求項9】
前記石油樹脂はジシクロペンタジエン(Dicyclopentadiene、DCPD)、C
5留分を含む石油樹脂及びC
9留分を含む石油樹脂から選択される少なくとも1つ以上である請求項
1に記載の
石油樹脂の水素化反応用触媒。
【請求項10】
前記触媒は粉末、粒子及び顆粒の形態から選択される少なくとも1つ以上である請求項1に記載の
石油樹脂の水素化反応用触媒。
【請求項11】
溶液内のニッケルの重量濃度(g/L)が25~250になるようにニッケル前駆体を溶媒に溶解して第1溶液を製造するステップ;
溶液内の銅の重量濃度(g/L)が0.01~5になるように第1溶液に銅前駆体を添加して第2溶液を製造するステップ;
溶液内のシリカの重量濃度(g/L)が10~50になるように第2溶液にシリカ担体を入れて分散させて第3溶液を製造するステップ;
第3溶液を沈殿容器に入れて攪拌しながら50~120℃に昇温するステップ;
前記昇温された第3溶液にpH調整剤を添加し前記ニッケル及び銅前駆体は沈殿を形成して前記固体シリカ担体に沈積するステップ;
前記担持触媒を洗浄及びろ過した後、100~200℃で5~24時間乾燥するステップ;
乾燥された触媒を空気中で200~500℃温度で焼成するステップ;及び
前記焼成された触媒を水素雰囲気で200~500℃温度で還元して活性化するステップ;を含む
、石油樹脂の水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項12】
前記活性化するステップ後に、触媒を不動態化するステップ;をさらに含む請求項
11に記載の
、石油樹脂の水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項13】
前記不動態化は0.1~20%酸素が含まれた窒素混合ガスで不動態化するか、又は有機溶媒が含まれた溶液に浸漬して不動態化する請求項
12に記載の
、石油樹脂の水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項14】
前記沈殿は7~9のpHで行われる請求項
11に記載の
、石油樹脂の水素化反応用触媒の製造方法。
【請求項15】
石油樹脂の水素化方法において、
石油樹脂を前記請求項
11~
14のいずれか一項に記載の
石油樹脂の水素化反応用触媒の製造方法で製造された触媒の存在下で水素と接触させる石油樹脂の水素化方法。
【請求項16】
前記石油樹脂はジシクロペンタジエン(Dicyclopentadiene、DCPD)、C
5留分を含む石油樹脂及びC
9留分を含む石油樹脂から選択される少なくとも1つ以上を含む請求項
15に記載の
石油樹脂の水素化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素化反応用触媒及びその製造方法に関し、さらに詳細には、DP(deposition-precipitation)法を用いて、ニッケルが含まれた水素化触媒を製造する際、銅又は酸化銅を促進剤として含み、活性が向上された触媒を提供するものである。これにより、石油樹脂の水素化工程で活性の高い触媒を提供できる。
【背景技術】
【0002】
ナフタクラッキングは石油化学及び化学産業で広範囲に用いられる低級オレフィン(すなわち、エチレン、プロピレン、ブチレン及びブタジエン)及び芳香族化合物(すなわち、ベンゼン、トルエン及びキシレン)などの基本的な中間物質を生産するための重要な工程である。熱クラッキング又はスチーム熱分解は典型的にスチームの存在下で、そして酸素の不在下で、これらの物質を形成させるための工程の主な類型である。供給源料はナフサ以外にもケロシン及びガスオイルのような石油ガス及び蒸留物を含むことができる。この時、ナフサなどを熱分解することで、エチレン、プロピレン、ブタン及びブタジエンを含むC4留分、ジシクロペンタジエン、イソプレン、ピペリレンを含むC5留分、分解ガソリン(ベンゼン、トルエン及びキシレンを含む)、分解ケロシン(C9以上の留分)、分解重油(エチレンボトム油(bottom oil))及び水素ガスのような物質を生成することができる。そのうちC5、C9留分を重合して石油樹脂を製造できる。
【0003】
C5留分のうち石油樹脂の主原料はジシクロペンタジエン(DCPD)で、プロピレン、イソプレン、スチレンなどを共重合する場合もある。しかし、石油樹脂は一部に不飽和結合を含むため、黄色又はオレンジ色の色相を帯び、石油樹脂固有の悪臭がする。この時、水素を添加する水素化工程を経れば不飽和結合が除去されて色相が明るくなり石油樹脂特有の臭いが減るなど品質を改善できる。不飽和結合が除去された石油樹脂は無色、透明なのでwater white樹脂と呼ばれ、耐熱性及び紫外線安定性などに優れた高級樹脂として流通されている。
【0004】
石油樹脂の水素化工程において水素化触媒の適用は必須である。石油樹脂の水素化触媒としてはパラジウム、白金、ロジウムなどの貴金属やニッケル、コバルトなどの遷移金属を活性成分として、シリカ、アルミナ、活性炭素、チタニアなどに担持された形が適用可能である。
【0005】
特許文献1には石油樹脂の水素化触媒としてニッケル、パラジウム、コバルト、及び白金、ロジウムなどを言及している。
【0006】
また、特許文献2には石油樹脂の水素化触媒としてシリカ/アルミナ上のコバルトにより促進されたニッケル触媒を使用した結果を言及している。
【0007】
ニッケルを含有する触媒の場合、他の遷移金属を含む触媒に比べて水素化反応で活性が高い長所がある。しかし、石油樹脂の水素化反応において触媒の活性を確保するためにはニッケルを最小40%重量%以上含むことが好ましい。ニッケルを担体に担持する場合、ニッケルの含量が大きいほど分散性が減少してニッケル結晶のサイズが大きくなり、これにより触媒の活性が減少する問題点が生じる。これを防止するために、ニッケル含量を下げると分散性は相対的に改善されるが、活性が減少する問題点が生じる。したがって、高い含量のニッケルを担持するとともにニッケルの結晶のサイズを適合レベルに維持するべきである。
【0008】
なお、石油樹脂の水素化反応は粉末状態の水素化触媒を石油樹脂が溶解された反応物溶液に分散した後、高速で回転させる方法によって行われる。溶液に触媒が混合されているので、反応器の出口にフィルタを設置して生成物溶液と触媒を分離する。生成物溶液はフィルタ表面の触媒層を経てろ過されて分離されるので、触媒のろ過性は工程の安定した運転を決定する重要な指標の1つである。触媒のろ過性は一般に触媒粒子のサイズ分布によって決定されるが、粒子のサイズが増加するほど粒子の間の孔隙体積が増加してろ過性が増加する。特に、触媒と生成物溶液を分離するフィルタの細孔サイズが約1μmなので、触媒の1μmサイズ以下の粒子の比率が高い場合、フィルタの細孔を塞いでろ過性が大きく減少する。
【0009】
また、粉末状態の触媒が溶液に分散されて高速で回転しているので、運転時間の経過につれて触媒が粉砕されて平均的な粒子サイズは持続的に減少し、1μm以下の触媒粒子の比率も増加する。したがって、石油樹脂水素化触媒は粘度の高い石油樹脂溶液に対するろ過性が高くなければならず、高速粉砕後も1μm以下サイズの粒子生成が抑制されなければならない。
【0010】
したがって、上記問題点を克服した石油樹脂水素化反応に適した触媒の開発が切実に求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2019-0017229号(2019.02.20)
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2016-0040177号(2016.04.12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の問題点をすべて解決することを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的は、高含量のニッケルを含みながらも、ニッケルの結晶サイズは小さいとともに分散性は改善して水素化反応用触媒の活性を向上させることにある。
【0014】
本発明の他の目的は、低い300~450℃の還元温度で高い還元度を提供する触媒を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、触媒粒子のサイズ分布が均一で水素化反応で高速回転時に粒子の破砕が抑制される触媒を提供することにある。したがって、石油樹脂の水素化反応でろ過性が向上した触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような本発明の目的を達成し、後述する本発明の特徴的な効果を実現するための、本発明の特徴的な構成は下記のとおりである。
【0017】
本発明の一実施例によれば、活性物質、促進剤及びシリカ担体を含む水素化反応用触媒が提供される。
【0018】
さらに詳しくは、ニッケル及び酸化ニッケルから選択される少なくともいずれか1つ以上の活性物質40~80重量部に対して、銅及び酸化銅から選択される少なくともいずれか1つ以上の促進剤を0.01~5重量部を含み、シリカ担体10~50重量部を含む水素化反応用触媒が提供される。
【0019】
また、必要によって上記促進剤として硫黄及び酸化硫黄から選択される少なくともいずれか1つ以上を0.1~2重量部さらに含むことができる。
【0020】
本発明の他の一実施例によれば、溶液内ニッケルの重量濃度(g/L)が25~250になるようにニッケル前駆体を溶媒に溶解して第1溶液を製造するステップ;溶液内銅の重量濃度(g/L)が0.01~5になるように第1溶液に銅前駆体を添加して第2溶液を製造するステップ;溶液内シリカの重量濃度(g/L)が10~50になるように第2溶液にシリカ担体を入れて分散させて第3溶液を製造するステップ;第3溶液を沈殿容器に入れて攪拌しながら50~120℃に昇温するステップ;上記昇温された第3溶液にpH調整剤を添加し上記ニッケル及び銅前駆体は沈殿を形成して上記固体シリカ担体に沈積するステップ;上記担持触媒を洗浄及びろ過した後、100~200℃で5~24時間乾燥するステップ;乾燥された触媒を空気中で200~500℃温度で焼成するステップ;及び上記焼成された触媒を水素雰囲気で200~500℃温度で還元して活性化するステップ;を含む水素化反応用触媒の製造方法が提供される。
【0021】
本発明の一実施例によれば、石油樹脂の水素化方法において、石油樹脂を上記製造方法で製造された触媒の存在下で水素と接触させる石油樹脂の水素化方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高含量のニッケルを担持しても活性化されたニッケル金属の結晶サイズが小さく分散度が高く優れた水素化活性を提供する。
【0023】
本発明は、低い300~450℃の還元温度で高い還元度を提供する触媒を提供する効果がある。
【0024】
本発明によれば、粒度分布が制御されたシリカ担体を使用して、触媒粒子のサイズ分布が均一で水素化反応で高速回転時に粒子の破砕が抑制される効果を提供する。したがって、石油樹脂の水素化反応でろ過性が向上させる効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例1による触媒の時間ごとの触媒粒度分布変化を示す図である。
【
図2】本発明の実施例2による触媒の時間ごとの触媒粒度分布変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
後述する本発明に対する詳細な説明は、本発明が実施され得る特定の実施例を例示として参照する。これらの実施例は当業者が本発明を十分に実施できるように詳細に説明される。本発明の多様な実施例は互いに異なるが相互排他的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、本明細書に記載される特定の形状、構造及び特性は一実施例に関連して本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の実施例として具現され得る。また、各々の開示された実施例内の個別構成要素の位置又は配置は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更され得ることが理解されるべきである。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として取ろうとするものでなく、本発明の範囲は、適切に説明された場合、その請求項らが主張するものと均等な全ての範囲とともに添付された請求項によってのみ限定される。
【0027】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例を参照して詳細に説明する。
【0028】
本発明の一実施例によれば、ジシクロペンタジエン(dicylopentadiene、DCPD)を主原料として重合製造した石油樹脂の品質を改善するために、水素添加(水添)反応用の水素化ニッケル系触媒を提供する。DCPD石油樹脂の場合、重合後に残っている不飽和結合(オレフィン及び芳香族の不飽和結合)によって黄色、悪臭、空気中で容易に酸化される特徴を持つ。
【0029】
よって、石油樹脂の品質を改善するために、高温高圧の条件でニッケル触媒、好ましくは銅を促進剤として含むニッケル粉末触媒を使用して水添反応を進めて、不飽和結合が除去された無色、無臭、及び熱安定性が向上した透明なwater-white石油樹脂を提供できる。
【0030】
本発明の触媒製造方法として、DP(deposition-precipitation)法は金属前駆体塩溶液とpH調整剤が担持体分散液内で反応して沈殿体が生成され、これらが担持体表面に吸着及び固化するが、これは従来の共沈法及び含浸法によって製造された金属触媒とは比べものにならないほど触媒の均一度が著しいことが確認された。また、反応に適した粒子サイズ、サイズ分布、表面積、細孔構造などを持つ担体を選択して最適化することが容易である長所がある。
【0031】
そして、ニッケルを含有する触媒は他の金属を含む触媒に比べて水素化反応で活性が高い長所があるが、該ニッケル前駆体をDP法で担体に担持する場合、ニッケルの含量が多いほど結晶サイズが大きくなり分散性が低下して触媒の活性が低下する問題点があり、これを防止するために、ニッケル含量を下げると分散性は相対的に良くなるが、活性が低下する問題点があって、DP法では商用化が可能なニッケル担持触媒を製造できないのが現状である。また、従来のDP法は一般に450℃を超える高温で還元反応を進めて触媒の活性化を提供する。
【0032】
よって、本発明の実施例によれば、銅を促進剤として添加することによって、従来公知の方法に比べて、300~450℃の低い還元温度で高い還元度を得ることができ、同時にDP法(deposition-precipitation method)で担持しても還元後のニッケルの高含量にもかかわらず、結晶サイズが小さく、分散度が高い触媒を提供して水素化反応で優れた活性を提供できる。また、上記触媒は不動態化層の除去後80%以上の高い還元度を持つ効果を提供できる。
【0033】
本発明の一実施例によれば、活性物質、促進剤及びシリカ担体を含む水素化反応用触媒が提供される。
【0034】
さらに詳しくは、ニッケル及び酸化ニッケルから選択される少なくともいずれか1つ以上の活性物質40~80重量部に対して、銅及び酸化銅から選択される少なくともいずれか1つ以上の促進剤を0.01~5重量部を含み、シリカ担体10~50重量部を含む水素化反応用触媒が提供される。
【0035】
本発明の一実施例によれば、水素化触媒はニッケル又は酸化ニッケルで溶媒中に混合されて製造されることができ、銅及び酸化銅も溶媒中に混合されて製造されることができる。これらに沈殿体を使用すればニッケル及び銅成分が溶媒に懸濁されている個体担体に沈積され得る。
【0036】
この時、ニッケル供給源(前駆体)としてニッケル及び硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物などのような金属塩を含み、最も好ましくは硫酸塩を含む硫酸ニッケル前駆体を提供できる。
【0037】
また、銅供給源(前駆体)として、また、銅、酸化銅及び硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物又はその組み合わせのような金属塩に結合された状態を使用し、最も好ましくは硫酸塩を含む硫酸銅前駆体である。ただし、これに限定されない。
【0038】
最後に、上記酸化ニッケルは好ましくはNiOが提供されることができ、上記酸化銅は好ましくはCuOが提供され得る。
【0039】
本発明の一実施例によれば、必要によって上記促進剤は硫黄及び酸化硫黄から選択される少なくともいずれか1つ以上を0.1~2重量部さらに含むことができる。
【0040】
また、上記酸化ニッケルと酸化硫黄を含み、酸化ニッケル100重量部に対して、酸化硫黄は0.1~2.0重量部を提供できる。すなわち、酸化硫黄/酸化ニッケル[SO3/NiO]の重量比は0.1~2.0で提供され得る。
【0041】
上記硫黄を促進剤として上記範囲でニッケルとともに担持することにより、芳香族基を含む不飽和炭化水素化合物の水素添加反応時、オレフィンに対比して芳香族の水添速度を大幅に増加させて水添性能を大きく改善する効果を提供できる。残留する硫黄及び酸化硫黄が2重量部を超えると、水素添加反応性能が急激に低下する短所がある。
【0042】
硫黄供給源(前駆体)として、また、硫黄、酸化硫黄及び硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物又はその組み合わせのような金属塩に結合された状態を使用することができ、これに限定されない。
【0043】
本発明の一実施例によれば、上記ニッケル50重量部以上を含み、上記酸化ニッケルと酸化銅を含み、酸化ニッケルと酸化銅の和100重量部に対して、酸化銅は0.01~2.0重量部を含む。好ましくはニッケルが50~70重量部を含み、CuO/(NiO+CuO)の重量比は上記の1.0~1.5が提供される。
【0044】
したがって、ニッケルの含量が高いDP法で問題とされる分散度を銅を含むことによって解決できる。すなわち、ニッケルの含量が高いながらも結晶サイズが小さく分散度が高い触媒を提供して水素化反応で優れた活性を提供できる。
【0045】
本発明の一実施例によれば、上記ニッケル50重量部以上を含み、上記酸化ニッケルと酸化銅を含み、酸化ニッケルと酸化銅の和100重量部に対して、酸化銅は0.01~2.0重量部を含む。好ましくはニッケル50~70重量部を含むことができる。CuO/(NiO+CuO)の重量比は1.0~1.5が提供され得る。
【0046】
本発明の一実施例によれば、上記触媒の粒度分布は平均粒子サイズ(D50)は5~7μmで、体積を基準にして下位10%に該当する粒子の直径(D10)が2μm以上で、体積を基準にして上位10%に該当する粒子の直径(D90)が15μm以下である石油樹脂水素化触媒が提供され得る。上記範囲未満の粒子サイズが1μm以下の比率が高くなれば、水素化反応工程において、フィルタの細孔を塞いでろ過性が低下して触媒のろ過性が不足する恐れがあり、上記範囲を超える場合、触媒の活性が低下する問題があり得る。したがって、高含量のニッケルを含みながらもニッケルの結晶サイズは小さいとともに分散性は改善して水素化反応用触媒の活性を向上させることができる。
【0047】
また、上記のような平均粒子サイズを含む場合、触媒の分散性も高く触媒活性に優れ、高いニッケル還元度が得られる長所がある。
【0048】
一般に固体多孔性物質の細孔構造は様々な方法によって決定され得るが、最も広く使われたものの1つは固体表面上に凝縮された多層ガスの吸着及び脱着(desorption)の間に吸着されたガスの蒸発(脱着)に対するBET理論(Brunauer, Emmett and Teller)に基づく窒素等温吸着/脱着法である。窒素はマイクロ及びメソ多孔性領域を調査するための一般的な吸着物である。吸着及び脱着等温線から次を計算できる。単層窒素の吸着からBET表面積、P/P0=0.99で吸着された窒素の量から取った総細孔体積、及び平均細孔直径は吸着又は脱着データからBET理論又はBJH(Barrett, Joyner and Halenda)理論に基づく計算法を使用して決定され得る。
【0049】
これにより窒素吸着法を用いた触媒の細孔構造分析でメソ細孔径サイズ(meso pore size)が4.5nm以上で、好ましくは4.5~8.0nmで提供され得る。
【0050】
また、BET比表面積は200m2/g以上で、好ましくは200~300m2/gが提供され、BJH累積吸着体積(cumulative BJH adsorption volume)が0.25cm3/g以上で、好ましくは0.25~0.35cm3/gであることが特徴である。触媒が上記のような細孔構造及び表面積などの条件から逸脱する場合、触媒の活性が低下するようになる。
【0051】
本発明の一実施例によれば、担体はシリカ担体が好ましく、上記シリカ担体は比表面積が200~400m2/gで、10~30nmの細孔サイズを有する多孔性の担体であることを特徴とする。したがって、活性及び触媒寿命の向上が可能で、生成物と触媒を分離する工程の効率を向上する効果を最適に提供できる。また、粒度分布が均一なシリカ担体を提供し、水素化反応で高速回転時にも粒子の破砕が抑制される効果を提供できる。
【0052】
本発明の一実施例によれば、上記条件を満足する触媒を用いて反応に適した粒子サイズ、サイズ分布、表面積、細孔構造などを持つシリカ担体と上述の最適化された組み合わせの範囲の触媒を提供する。これによる触媒は水素化反応でニッケル(Ni)還元度を80%以上で提供できる。
【0053】
上記還元度の場合、H2-TPR(Hydrogen-Temperature Program Reduction)によって測定され得る。分析方法による還元度分析法は次のとおりである。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
本発明の一実施例による水素化反応用触媒は、蒸留、前処理及び重合によってC5又はC9石油分画及び副産物及びこれらの組み合わせからなる石油樹脂を水素化できる。
【0058】
本発明の一実施例によれば、上記水素化反応の反応物は石油樹脂(petroleum Resin)が提供され得る。この場合、石油樹脂はジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene、DCPD)を含むことができる。
【0059】
さらには、上記水素化反応で反応物はC5留分を含む石油樹脂であるか、C9留分を含む石油樹脂が提供され得る。また、DCPD留分副産物及びこれらの組み合わせからなる石油樹脂であることができ、環状ジエン及びベンゼン官能基で構成されることができ、ただし、これに限定されない。
【0060】
上記ジシクロペンタジエン(DCPD)の場合、重合後に残っている不飽和結合(オレフィン及び芳香族の不飽和結合)によって黄色、悪臭、空気中で容易に酸化される特徴を持つ。よって、石油樹脂の品質を改善するために、高温高圧の条件で本発明によるニッケル系触媒を使用して、水添反応を行うと不飽和結合が除去された無色、無臭、及び熱安定性が向上した透明なwater-white石油樹脂を提供できる。
【0061】
本発明による触媒は粉末、粒子、顆粒の形態であることができ、好ましくは粉末の形態である。
【0062】
なお、本発明の他の一実施例によれば、上記の水素化反応用触媒に対する製造方法が提供される。
【0063】
溶液内ニッケルの重量濃度(g/L)が25~250になるようにニッケル前駆体を溶媒に溶解して第1溶液を製造するステップ;溶液内銅の重量濃度(g/L)が0.01~5になるように第1溶液に銅前駆体を添加して第2溶液を製造するステップ;溶液内シリカの重量濃度(g/L)が10~50になるように第2溶液にシリカ担体を入れて分散させて第3溶液を製造するステップ;第3溶液を沈殿容器に入れて攪拌しながら50~120℃に昇温するステップ;上記昇温された第3溶液にpH調整剤を添加し上記ニッケル及び銅前駆体は沈殿を形成して上記固体シリカ担体に沈積するステップ;上記担持触媒を洗浄及びろ過した後、100~200℃で5~24時間乾燥するステップ;乾燥された触媒を空気中で200~500℃温度で焼成するステップ;及び上記焼成された触媒を水素雰囲気で200~500℃温度で還元して活性化するステップ;を含む水素化反応用触媒の製造方法が提供される。
【0064】
また、上記活性化するステップ以後、触媒を不動態化するステップ;をさらに含むことができる。焼成するステップは必ずしも提供されなければならないわけではなく、当業者が必要に応じてステップを適切に選択できる。
【0065】
上記不動態化ステップの場合、2つの方法で提供され得る。第一、0.1~20%酸素が含まれた窒素混合ガスで不動態化する方法が提供され得る。この場合、%は体積%を意味する。
【0066】
第二、有機溶媒に含まれた溶液に沈積して不動態化するステップを提供できる。上記有機溶媒に、例えば、D40 Exxsolが使用されることができ、空気を遮断できる有機溶媒は制限なく使用可能である。
【0067】
本発明の一実施例によれば、上記昇温された第3溶液にpH調整剤を添加し上記ニッケル及び銅前駆体は沈殿を形成して上記固体シリカ担体に沈積するステップで沈殿は形成するものは7~10のpHであり得る。塩基添加又は電気化学的手段でpH7以上の環境で行われることができ、好ましくはpH7~9であり得る。この時、塩基添加のために塩基性化合物を添加することができ、塩基性添加物は炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はその水和物を含むことができるが、これに限定されず、好ましくは炭酸ナトリウム又はその水和物を含むことができる。
【0068】
本発明の一実施例によれば、製造方法で製造された水素化反応用触媒の存在下で石油樹脂(hydrocarbon resin)を水素と接触させる水素化方法が提供される。
【0069】
石油樹脂を水素化する際の温度は100~400℃、好ましくは200~300℃であることができ、圧力は1~200bar、好ましくは30~100barであることができる。水素化時間は主に温度、触媒の量及び水素化の程度によって異なる場合がある。
【0070】
そして、水素化反応は多様な反応器で行われ得るが、好ましくは、連続槽型反応器(CSTR)又はループ反応器内で行われ得る。加えて、還元温度は上述のように200~500℃、好ましくは350~450℃で最適の活性を示すことができる。
【0071】
本発明の一実施例によれば、上記水素化反応で反応物である石油樹脂はジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene、DCPD)を含むことを特徴とすることができる。なお、C5留分を含む石油樹脂を提供することができ、さらにはC9留分を含む石油樹脂を提供できる。
【0072】
以下、本発明の好ましい実施例によって本発明の構成及び作用をより詳細に説明する。ただし、これは本発明の好ましい例示として提示されたものであって、いかなる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈されることはできない。
【0073】
ここに記載していない内容は当該技術分野における熟練者であれば十分に技術的に類推できるものであるので、その説明を省略する。
【0074】
実施例1
300m2/gの表面積と21nmの細孔サイズと平均粒度7μmを有する多孔性シリカ粉末40gと、硫酸ニッケル491g及び硫酸銅6g及び蒸留水2,000mlを沈殿容器に入れて攪拌しながら80℃に昇温した。80℃に到達した後、炭酸ナトリウム262gが含まれた溶液1,500mLをsyringe pumpを用いて1時間以内にすべて注入した。沈殿が完了した後のスラリーのpHは7.5であって、これを約30Lの蒸溜水で洗浄及びろ過した後、乾燥オーブンを用いて100℃で8時間以上乾燥した。これを小分けした後、空気雰囲気で400℃の温度で焼成した。これを再度小分けした後、水素雰囲気で400℃の温度で還元して活性化した。活性化された触媒は1%酸素が含まれた窒素混合ガスを用いて不動態化して水素化触媒を製造した。
【0075】
不動態化された触媒の酸化ニッケル(NiO)含量は触媒の重量を基準として78.4重量部、酸化硫黄(SO3)0.8重量部、酸化銅(CuO)1.0重量部で、ニッケル結晶の平均サイズは3.5nmと測定された。製造された触媒のCuO/(NiO+CuO)の重量比は1.18で、SO3/NiOの重量比は1.02である。BET比表面積250m2/g、全細孔体積0.37m3/g、細孔平均サイズ5.8nmを持つ。触媒粒度分布はD10 2.5μm、D50 5.5μm、D90 12.9μmである。H2-TPRで分析したニッケル(Ni)還元度は85%である。
【0076】
実施例2
触媒製造原料のうちCuO/(NiO+CuO)の重量比は1.06で、SO3/NiOの重量比は0.76であることを除けば実施例1と同じ方法で水素化触媒を製造した。
【0077】
実施例3
触媒製造原料のうちCuO/(NiO+CuO)の重量比は1.41で、SO3/NiOの重量比は0.89であることを除けば実施例1と同じ方法で水素化触媒を製造した。
【0078】
比較例1
触媒製造原料のうち硫酸銅を入れなかったことを除けば実施例1と同じ方法で水素化触媒を製造した。
【0079】
不動態化された触媒の酸化ニッケル(NiO)含量は触媒の重量を基準として79.3重量部、酸化硫黄(SO3)0.7重量部で、ニッケル結晶の平均サイズは4.2nmと測定された。BET比表面積240m2/g、全細孔体積0.35m3/g、細孔平均サイズ5.4nmを持つ。触媒粒度分布はD10 2.9μm、D50 5.8μm、D90 10.9μmである。H2-TPRで分析したニッケル(Ni)還元度は82%である。
【0080】
下記の[表1]に実施例1と比較例1の触媒組成物内の構成成分を示した。
【0081】
【0082】
比較例2
硝酸ニッケル(75g/Lニッケル)及びケイ酸ナトリウム(50g/Lケイ素)を蒸留水に溶解した溶液40mLを沈殿容器に入れて攪拌しながら80℃に昇温した。80℃に到達した後、炭酸ナトリウム(144g/L)溶液40mLをsyringe pumpを用いて1時間以内にすべて注入した。沈殿が完了した後のスラリーを約1.5Lの蒸溜水で洗浄及びろ過した後、乾燥オーブンを用いて120℃で8時間以上乾燥した。これを小分けした後、水素雰囲気で400℃の温度で還元して活性化した。活性化された触媒は1%酸素が含まれた窒素混合ガスを用いて不動態化して水素化触媒を製造した。不動態化された触媒の酸化ニッケル(NiO)含量は触媒の重量を基準として78.5重量部、ニッケル結晶の平均サイズは3.8nmと測定された。BET比表面積235m2/g、全細孔体積0.45m3/g、細孔平均サイズ5.9nmを持つ。触媒粒度分布はD102.2μm、D505.0μm、D9011.3μmである。H2-TPRで分析したニッケル(Ni)還元度は87%である。
【0083】
比較例3
触媒製造原料のうち平均粒度が4.5μmを有する多孔性シリカ粉末を使用したことを除けば実施例1と同じ方法で水素化触媒を製造した。
【0084】
比較例4
触媒製造原料のうち平均粒度が10.4μmを有する多孔性シリカ粉末を使用したことを除けば実施例1と同じ方法で水素化触媒を製造した。
【0085】
下記の[表2]に比較例2、3、4の触媒組成物内の構成成分を示す。
【0086】
【0087】
実験例1.触媒の活性テスト(Activity Test)
Hollow shaft攪拌機を含み、1600rpmの攪拌速度を有する300mLオートクレーブを用いた。非水添石油樹脂をExxsol D40に30重量%に溶解した溶液75gを230℃ 90barで石油樹脂質量に対して0.5%触媒を添加して水素化し、反応開始後30分間の水素消耗量を測定して活性を比較し、水素消耗量は下記の[表3]で示した。
【0088】
【0089】
上記表2に記載のように、銅促進剤を添加する場合、高含量のニッケル担持時にも相対的に小さなニッケル結晶サイズを有し、これにより、石油樹脂の水素化反応活性が比較例1に比べて高い値を有することを確認できる。
【0090】
実験例2.触媒の活性テスト(Activity Test)
平均粒度が異なる触媒を用いて触媒の活性テストを進めた。Hollow shaft攪拌機を含み、1600rpmの攪拌速度を有する300mLオートクレーブを用いた。非水添石油樹脂をExxsol D40に30重量%に溶解した溶液75gを230℃ 90barで石油樹脂質量に対して0.5%触媒を添加して水素化し、反応開始後30分間の水素消耗量を測定して活性を比較し、水素消耗量は下記の[表4]で示した。
【0091】
【0092】
実験例2で平均粒度が異なる多孔性シリカ粉末を使用して作った水素化触媒の活性を比較したとき、比較例3と実施例1の結果のように所定のサイズまでは触媒の活性に差が出ないが、比較例4のようにサイズが大きくなるにつれて触媒の活性が低下することが確認された。
【0093】
実験例3:触媒の粒度分布測定
非水添石油樹脂をExxsol D40に60重量%に溶解した溶液30gに触媒0.36gを入れ、homogenizerを用いて20,000rpmで1時間の間粉砕した。粉砕後溶液の一部を小分けして触媒の粒子サイズを測定した。
【0094】
粒度分布測定の結果は[表5]に示した。
【0095】
【0096】
また、実施例1と比較例1で製造された触媒を20,000rpmで時間によって触媒粒度分布を分析したグラフを
図1、
図2にそれぞれ示した。
図1の場合、実施例1による結果を示し、
図2の場合は比較例2による結果を示す。
【0097】
上記表5と図面の結果によって、共沈法で製造した比較例2に比べてDP法でニッケルをシリカ担体に担持して製造した実施例1で粒子の破砕が抑制されることを確認できた。
【0098】
実験例4.触媒のろ過性の確認実験
ジョイント接続型solid suspensionろ過装置に細孔サイズが0.5μmのフィルターペーパーを入れて締結した後、真空ポンプを利用してろ過装置のフラスコ内の圧力を100mbarに維持した。上記実験例3の粉砕後溶液のうち20gを取って100℃のオーブンで10分間保管した後、加熱溶液をろ過装置に注いで2分間ろ過される石油樹脂溶液の重さを測定した。ろ過速度はろ過された溶液の量を時間とフィルタの面積で割って計算した。ろ過速度の測定結果は[表6]に示した。
【0099】
【0100】
表6の結果を参照すると、共沈法で製造した触媒(比較例2)に比べて実施例1の触媒の粉砕後のろ過速度が速いことを示し、粉砕前後のろ過速度の差も実施例1の触媒の場合が小さいことを確認できた。
【0101】
実験例5.触媒のろ過性の確認実験
実施例4と同じ方法で実施例1と比較例3、4の破砕前触媒粒度及びろ過性を比較して[表7]に示した。
【0102】
【0103】
表7で確認できるように触媒粒度が小さい場合、ろ過速度が低いので工程に適用するには困難が生じ得ることを確認できた。
【0104】
上記実施例と比較例の実験例による結果を参照した結果、本発明によるニッケル触媒は触媒の粒度分布は平均粒子サイズがD10は2μm以上で、D50は5~7μmで、D90は15μm以下で提供しながら粒度分布が制御されたシリカ担体を使用して、触媒粒子のサイズ分布が均一で水素化反応で高速回転時に粒子の破砕が抑制され、さらには、石油樹脂の水素化反応でろ過性を向上させることができることを確認した。
【0105】
加えて、銅を促進剤として含み、DB法によって高含量のニッケルを含みながらもニッケルの結晶サイズは小さいとともに分散性は改善して水素化反応用触媒の活性を向上させることができることを確認した。
【0106】
また、本発明の一実施例によれば、必要によって上記促進剤は硫黄及び酸化硫黄から選択される少なくともいずれか1つ以上を0.1~2重量部さらに含むことができる。
【0107】
また、従来のDP法に比べて、低い300~400℃の還元温度で高い還元度を提供可能であることを確認できた。
【0108】
さらには、窒素吸着法によるメソ細孔径サイズ及び比表面積などを含むことにより、高い活性を提供できることを確認できた。
【0109】
以上、本発明の具体的な構成要素などのような特定の事項と限定された実施例によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明が上記実施例らに限定されるわけではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、かかる記載から多様な修正及び変形を図ることができる。
【0110】
よって、本発明の思想は上記説明された実施例に限られて定められてはならず、後述する特許請求の範囲のみならず、その特許請求の範囲と均等又は等価的に変形されたあらゆるものは本発明の思想の範疇に属すると言える。