(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/36 20060101AFI20230630BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230630BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20230630BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20230630BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230630BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20230630BHJP
【FI】
H01M4/36 E
H01M4/38 Z
H01M4/587
H01M4/48
H01M10/052
H01M10/0566
(21)【出願番号】P 2022025725
(22)【出願日】2022-02-22
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0170987
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516060196
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ セラミック エンジニアリング アンド テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】Korea Institute of Ceramic Engineering and Technology
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノ,グヮンチョル
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,デス
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジョンヒョン
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/034078(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
H01M10/052、10/0566
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)木質系原材料を用いて炭素物質を得るステップと、
(b)前記炭素物質と、
少なくともオクタデシルイソシアネートを含む、イソシアネート作用基を有する化合物を溶媒に添加して混合した後、シリコン系粒子を投入して湯煎し、シリコン-炭素混合物を形成するステップと、
(c)前記シリコン-炭素混合物を非活性雰囲気で熱処理して、シリコン-炭素複合負極活物質を得るステップ、
とを含むことを特徴とする、電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法。
【請求項2】
前記(a)ステップは、
(a-1)前記木質系原材料を80mesh以下に粉砕するステップと、
(a-2)前記粉砕した木質系原材料を非活性雰囲気で炭化熱処理するステップと、
(a-3)前記炭化熱処理された木質系原材料を活性化処理した後、洗浄して炭素物質を得るステップ、
とを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法。
【請求項3】
前記(a-1)ステップにおいて、前記木質系原材料は、針葉樹、
広葉樹、廃木材及び紙のうちから選択された1種以上を含み、
前記(a-2)ステップにおいて、前記炭化熱処理は、600~800℃で、1~5時間行うことを特徴とする、
請求項2に記載の電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法。
【請求項4】
前記(a-3)ステップにおいて、前記活性化処理は、スチーム活性化処理又はアルカリ活性化処理を利用することを特徴とする、
請求項2に記載の電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法。
【請求項5】
前記(a-3)ステップ後、前記炭素物質は、500~3,000m
2/gの比表面積を有することを特徴とする、
請求項2に記載の電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法。
【請求項6】
前記(b)ステップにおいて、前記シリコン系粒子は、Si、SiO及びSiOx(1<x<2)のうちから選択された1種以上を含み、
前記炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物は、1:0.1~1:1の重量比で混合することを特徴とする、
請求項1に記載の電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法。
【請求項7】
前記(b)ステップにおいて、前記イソシアネート作用基を含む化合物は、オクタデシルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びドデカメチレンジイソシアネートのうちから選択された1種以上を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法。
【請求項8】
前記(c)ステップにおいて、前記熱処理は、800~1,000℃で、6~18時間行うことを特徴とする、
請求項1に記載の電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法。
【請求項9】
シリコン系粒子
に、炭素物質と、
少なくともオクタデシルイソシアネートを含む、イソシアネート作用基を有する化合物を添加することにより製造されるシリコン-炭素複合負極活物質であって、
前記シリコン系粒子は、Si、SiO及びSiOx(1<x<2)のうちから選択された1種以上を含み、
前記炭素物質は
、木粉系原材料に由来していることを特徴とする、
電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質。
【請求項10】
前記炭素物質は、前記シリコン系粒子100重量部に対して、1~100重量部で添加され、
前記炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物は、1:0.1~1:1の重量比で混合したことを特徴とする、
請求項9に記載の電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質。
【請求項11】
前記イソシアネート作用基を含む化合物は、オクタデシルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びドデカメチレンジイソシアネートのうちから選択された1種以上を含むことを特徴とする、
請求項9に記載の電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質。
【請求項12】
シリコン-炭素複合負極活物質及びバインダーを含む負極と、
前記負極と離隔して配置されたリチウム正極と、
前記負極と正極との間に配置されて、前記負極と正極の短絡を防止するための分離膜と、
前記負極及び正極に含浸した電解液、とを含み、
前記シリコン-炭素複合負極活物質は、シリコン系粒子
に、炭素物質と、
少なくともオクタデシルイソシアネートを含む、イソシアネート作用基を有する化合物を添加することにより製造され、
前記シリコン系粒子は、Si、SiO及びSiOx(1<x<2)のうちから選択された1種以上を含み、
前記炭素物質は
、木粉系原材料に由来していることを特徴とする、
電気化学特性を向上させたシリコン-炭素複合負極活物質を含むリチウム二次電池。
【請求項13】
前記炭素物質は、前記シリコン系粒子100重量部に対して、1~100重量部で添加され、
前記炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物は、1:0.1~1:1の重量比で混合したことを特徴とする、
請求項12に記載の電気化学特性を向上させたシリコン-炭素複合負極活物質を含むリチウム二次電池。
【請求項14】
前記イソシアネート作用基を含む化合物は、オクタデシルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びドデカメチレンジイソシアネートのうちから選択された1種以上を含むことを特徴とする、
請求項12に記載の電気化学特性を向上させたシリコン-炭素複合負極活物質を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池に関し、より詳細には、リチウム二次電池の負極活物質として用いられるシリコン系粒子の不安定な分散性を向上させるために、木質系に由来する炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物をさらに添加することにより、電気伝導度の向上と安定的な電極スラリーを製造できる、電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、カムコーダ、携帯電話、ノートパソコン等、携帯型電子機器の市場が急速に成長しつつ、その動力源であるリチウム二次電池の市場も急成長している。特に、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)等の動力源として二次電池の使用が実現化しつつある。
【0003】
これによって、多様な要求に応える二次電池について種々の研究が行われている。特に、高いエネルギー密度と、高い放電電圧と、長い寿命とを有するリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0004】
かかるリチウム二次電池は、形態によって円筒型と角型に分類することができる。円筒型電池は、主にノートパソコンやカムコーダに使用され、角型電池は、主に携帯電話に使用される。リチウム二次電池は、容量が大きく、メモリー効果がなくて、容量が残っている状態でそのまま再充電して使用可能であるため便利である。
【0005】
リチウム二次電池は、負極、正極、電解液、分離膜等から構成され、正極にはLiCoO2が、負極には黒煙を始め炭素材が主に使用される。分離膜は、負極と正極との間に介在して、ポリオレフィン系多孔性分離膜が主に使用される。電解液は、LiPF6といったリチウム塩を有する非水系電解液が使用される。これらの電極物質は、イオン状態のリチウム(Li+)が内部に可逆的に挿入してから、さらに抜け出る構造を有している。
【0006】
すなわち、リチウム二次電池におけるLiCoO2の内部に位置するリチウムが抜け出て、電解質に沿って移動し、炭素の内部に入る現象が充電に相当し、その逆方向への移動は、放電に相当する。
【0007】
最近は、リチウム二次電池の電気化学性能を向上させるために、様々な物質から負極を形成しようとする試みが行われている。
【0008】
関連する先行文献としては、韓国公開特許公報第10-2012-0137919号(2012.12.24.公開)があり、上記文献には負極活物質、その製造方法、及びこれを備えたリチウム二次電池が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、リチウム二次電池の負極活物質として用いられるシリコン系粒子の不安定な分散性を向上させるために、木質系に由来する炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物をさらに添加することにより、電気伝導度の向上と安定的な電極スラリーを製造できる、電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法は、(a)木質系原材料を用いて炭素物質を得るステップと、(b)前記炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物を溶媒に添加して混合した後、シリコン系粒子を投入して湯煎し、シリコン-炭素混合物を形成するステップと、(c)前記シリコン-炭素混合物を非活性雰囲気で熱処理して、シリコン-炭素複合負極活物質を得るステップ、とを含むことを特徴とする。
【0011】
前記(a)ステップは、(a-1)前記木質系原材料を80mesh以下に粉砕するステップと、(a-2)前記粉砕した木質系原材料を非活性雰囲気で炭化熱処理するステップと、(a-3)前記炭化熱処理された木質系原材料を活性化処理した後、洗浄して炭素物質を得るステップ、とを含む。
【0012】
前記(a-1)ステップにおいて、前記木質系原材料は、針葉樹、光葉樹、廃木材及び紙のうちから選択された1種以上を含む。
【0013】
前記(a-2)ステップにおいて、前記炭化熱処理は、600~800℃で、1~5時間行う。
【0014】
さらに、前記(a-3)ステップにおいて、前記活性化処理は、スチーム活性化処理又はアルカリ活性化処理を利用する。
【0015】
前記(a-3)ステップ後、前記炭素物質は、500~3,000m2/gの比表面積を有する。
【0016】
前記(b)ステップにおいて、前記シリコン系粒子は、Si、SiO及びSiOx(1<x<2)のうちから選択された1種以上を含む。
【0017】
前記(b)ステップにおいて、前記炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物は、1:0.1~1:1の重量比で混合する。
【0018】
前記(b)ステップにおいて、前記イソシアネート作用基を含む化合物は、オクタデシルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びドデカメチレンジイソシアネートのうちから選択された1種以上を含む。
【0019】
前記(c)ステップにおいて、前記熱処理は、800~1,000℃で、6~18時間行う。
【0020】
上記の目的を達成するために、本発明の実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質は、シリコン系粒子と、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物とを含み、前記シリコン系粒子は、Si、SiO及びSiOx(1<x<2)のうち選択された1種以上を含み、前記炭素物質は、針葉樹、光葉樹、廃木材及び紙のうちから選択された1種以上を含む、木粉系原材料に由来するものを用いたことを特徴とする。
【0021】
前記炭素物質は、前記シリコン系粒子100重量部に対して、1~100重量部で添加される。
【0022】
前記炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物は、1:0.1~1:1の重量比で混合する。
【0023】
前記イソシアネート作用基を含む化合物は、オクタデシルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びドデカメチレンジイソシアネートのうちから選択された1種以上を含む。
【0024】
上記の目的を達成するために、本発明の実施例による電気化学特性を向上させたシリコン-炭素複合負極活物質を含むリチウム二次電池は、シリコン-炭素複合負極活物質及びバインダーを含む負極と、前記負極と離隔して配置されたリチウム正極と、前記負極と正極との間に配置されて、前記負極と正極の短絡を防止するための分離膜と、前記負極及び正極に含浸した電解液、とを含み、前記シリコン-炭素複合負極活物質は、シリコン系粒子と、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物とを含み、前記シリコン系粒子は、Si、SiO及びSiOx(1<x<2)のうちから選択された1種以上を含み、前記炭素物質は、針葉樹、光葉樹、廃木材及び紙のうちから選択された1種以上を含む、木粉系原材料に由来するものを用いることを特徴とする。
【0025】
前記炭素物質は、前記シリコン系粒子100重量部に対して、1~100重量部で添加される。
【0026】
前記炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物は、1:0.1~1:1の重量比で混合する。
【0027】
前記イソシアネート作用基を含む化合物は、オクタデシルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びドデカメチレンジイソシアネートのうちから選択された1種以上を含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池は、リチウム二次電池の負極活物質として用いられるシリコン系粒子の不安定な分散性を向上させるために、木質系に由来する炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物をさらに添加することにより、電気伝導度を向上する効果を図りつつ、安定的な電極スラリーを製造することができる。
【0029】
このように、本発明による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池は、木質系に由来する炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物を用いて、シリコン系粒子と湯煎して混合することにより、シリコン系粒子の不安定な分散性の向上により、電気伝導度の向上と安定的な電極スラリーの製造が可能であり、容量維持率向上の効果を図ることができる。
【0030】
この結果、本発明による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池は、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物を溶媒に添加して混合した後、シリコン系粒子を投入し、機械的攪拌機と超音波チップを用いて分散させることにより、シリコン系粒子の不安定な分散性を極大として、様々な電流密度別比静電容量の値を大きく向上させ得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法を示した工程手順図。
【
図2】シリコン-炭素混合物を形成する過程を説明するための模式図。
【
図3】本発明の実施例による電気化学特性を向上させたシリコン-炭素複合負極活物質を含むリチウム二次電池を示した断面図。
【
図4】実施例1及び比較例1に従って製造されたリチウム二次電池に対する電気化学性能の評価結果を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の利点及び特徴、それからそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかしながら、本発明は、以下に開示する実施例に限定されるものではなく、相異する様々な形態に具現されるものである。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にして、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。全明細書における同じ参照符号は、同じ構成要素を称する。
【0033】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池について詳説すれば、次のとおりである。
【0034】
<電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法>
図1は、本発明の実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法を示した工程手順図である。
【0035】
図1に示されたように、本発明の実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法は、炭素物質を得るステップ(S110)と、シリコン-炭素混合物を形成するステップ(S120)と、シリコン-炭素複合負極活物質を得るステップ(S130)、とを含む。
【0036】
<炭素物質の獲得>
炭素物質を得るステップ(S110)では、木質系原材料を用いて炭素物質を得る。
【0037】
かかる炭素物質を得るステップ(S110)は、粉砕過程と、炭化熱処理過程と、活性化処理過程、とを含む。
【0038】
粉砕過程では、木質系原材料を80mesh以下に粉砕する。かかる木質系原材料は、80mesh以下、より好ましくは10~60meshの大きさに粉砕した方が良い。木質系原材料が10mesh未満である場合は、粉砕コストがかかり過ぎるため、経済的ではない。逆に、木質系原材料が80meshを超える場合は、炭化熱処理過程の際、過度なエネルギーを要するため好ましくない。
【0039】
ここで、木質系原材料は、針葉樹、光葉樹、廃木材及び紙のうちから選択された1種以上を含んでいてもよいが、これに制限されるものではない。この他にも、木質系原材料としては草本植物、木材廃棄物等も用いることができる。
【0040】
炭化熱処理過程では、粉砕した木質系原材料を非活性雰囲気で炭化熱処理する。
【0041】
かかる炭化熱処理は、ヘリウム、窒素及びアルゴンのうちから選択された1種以上のガスが供給される非活性雰囲気で、600~800℃の条件で、1~5時間行うことが好ましい。炭化熱処理温度が600℃未満であるか、炭化熱処理時間が1時間未満である場合は、低分子量ガスの揮発が足りないことから、木質系原材料の内部に残留することになり、これにより、炭素物質の獲得率が減少し得る。逆に、炭化熱処理温度が800℃を超えるか、炭化熱処理時間が5時間を超える場合は、高い温度により、木質系原材料から排出したタールガスの熱分解生成物によって炭素物質に汚染が発生する問題がある。
【0042】
活性化処理過程では、炭化熱処理された木質系原材料を活性化処理した後、洗浄して炭素物質を得る。
【0043】
かかる活性化処理は、スチーム活性化処理又はアルカリ活性化処理を利用する。スチーム活性化処理は、アルカリ活性化処理と比較して、相対的に、マイクロ気孔の割合が高く、比表面積が少なく、残存不純物の少ない炭素物質を得ることができる。これと違って、アルカリ活性化処理は、気孔構造が良く発達して、広い比表面積を有する炭素物質を得ることができるが、活性化過程において、金属不純物の残存する可能性が大きくて、金属酸化物及び酸性官能基を除去するために洗浄工程が必要である。
【0044】
かかる活性化処理過程の後、炭素物質は、500~3,000m2/gの比表面積を有する。
【0045】
<シリコン-炭素混合物の形成>
シリコン-炭素混合物を形成するステップ(S120)では、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物を溶媒に添加して混合した後、シリコン系粒子を投入して湯煎し、シリコン-炭素混合物を形成する。
【0046】
図2は、シリコン-炭素混合物を形成する過程を説明するための模式図であって、
図1に連携して説明することとする。
【0047】
図1及び
図2に示されたように、反応容器10内に炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物を溶媒に添加して混合した後、シリコン系粒子を投入して湯煎し、シリコン-炭素混合物5を形成する。
【0048】
ここで、混合は、機械式攪拌機20を利用して500~3,000rpmの速度で、10~60分間攪拌しながら、超音波チップ30を用いた超音波処理を同時に行うことが好ましい。
【0049】
本ステップにおいて、超音波処理は、30~40kHz及び100~180Wの出力電力の条件で行うことが好ましい。超音波出力電力が100W未満であるか、超音波処理時間が10分未満である場合は、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物が溶媒に均一に混合できないおそれがある。逆に、超音波出力電力が180Wを超えるか、超音波処理時間が60分を超える場合は、効果がそれ以上高まらず、製造コスト及び時間のみを増加させる要因と作用し得るため、経済的ではない。
【0050】
溶媒としては蒸留水、エタノール、メタノール等から選択することができるが、これに制限されるものではない。
【0051】
イソシアネート作用基を含む化合物は、シリコン系粒子と炭素物質間の分散性を向上するために添加される分散剤としての機能を行う。さらに、炭素物質は、イソシアネート作用基を含む化合物と共に添加されて、電気伝導度を向上させるようになる。
【0052】
このように、本発明では、木質系に由来する炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物を用いて、シリコン系粒子と湯煎して混合することにより、シリコン系粒子の不安定な分散性の向上により、電気伝導度の向上と安定的な電極スラリーを製造して、電気化学特性を向上させるようになる。
【0053】
ここで、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物は、1:0.1~1:1の重量比で混合するのが好ましく、より好ましくは、1:0.2~1:0.6の重量比で混合した方が良い。
【0054】
炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物が1:0.1の重量比未満である場合は、イソシアネート作用基を含む化合物の添加量が少なすぎることから、シリコン系粒子の分散性向上の効果をうまく発揮しにくい可能性がある。逆に、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物が1:1の重量比を超える場合は、効果がそれ以上高まらず、多量のイソシアネート作用基を含む化合物のみ消費するおそれがあるため、経済的ではない。
【0055】
イソシアネート作用基を含む化合物は、オクタデシルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びドデカメチレンジイソシアネートのうちから選択された1種以上を含む。このうち、イソシアネート作用基を含む化合物としは、オクタデシルイソシアネートを用いるのがより好ましい。
【0056】
シリコン系粒子は、Si、SiO及びSiOx(1<x<2)のうちから選択された1種以上を含む。これらのシリコン系粒子は、1~100nmの平均径を有するものを用いるのが好ましく、より好ましくは、10~40nmの平均径を有するものを用いた方が良い。シリコン系粒子の平均径が1nm未満である場合は、ナノ粒子を形成しにくいだけでなく、リチウムイオンの充放電を十分な量だけ行うことができない問題がある。逆に、シリコン系粒子の平均径が100nmを超える場合は、シリコン系粒子が継続したリチウムイオン充放電によって割れやすいおそれがあるため、好ましくない。
【0057】
<シリコン-炭素複合負極活物質の獲得>
シリコン-炭素複合負極活物質を得るステップ(S130)では、シリコン-炭素混合物を非活性雰囲気で熱処理して、シリコン-炭素複合負極活物質を得る。
【0058】
本ステップにおいて、熱処理は、ヘリウム、窒素及びアルゴンのうちから選択された1種以上のガスが供給される非活性雰囲気で、800~1,000℃の条件で、6~18時間行うことが好ましい。
【0059】
かかる非活性雰囲気で熱処理を行うことにより、シリコン系粒子が炭素物質と反応して、酸素を失い、表面の一部が電気化学的に活性化となるようになる。熱処理温度が800℃未満であるか、熱処理時間が6時間未満である場合は、電気化学的に活性化がうまく行われないおそれがある。熱処理温度が1,000℃を超えるか、熱処理時間が18時間を超える場合は、効果がそれ以上高まらず、製造コスト及び時間のみを増加させる問題があるため、経済的ではない。
【0060】
以上にて、本発明の実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質の製造方法を終了することができる。
【0061】
<電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質>
本発明の実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質は、シリコン系粒子と、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物とを含む。
【0062】
ここで、シリコン系粒子は、Si、SiO及びSiOx(1<x<2)のうちから選択された1種以上を含む。これらのシリコン系粒子は、1~100nmの平均径を有するものを用いるのが好ましく、より好ましくは、10~40nmの平均径を有するものを用いた方が良い。シリコン系粒子の平均径が1nm未満である場合は、ナノ粒子を形成しにくいだけでなく、リチウムイオンの充放電を十分な量だけ行うことができない問題がある。逆に、シリコン系粒子の平均径が100nmを超える場合は、シリコン系粒子が継続したリチウムイオンの充放電によって割れやすいおそれがある。
【0063】
さらに、炭素物質は、針葉樹、光葉樹、廃木材及び紙のうちから選択された1種以上を含む木粉系原材料に由来するものが用いられる。これらの炭素物質は、500~3,000m2/gの比表面積を有する。
【0064】
炭素物質は、シリコン系粒子100重量部に対して、1~100重量部で添加されるのが好ましく、より好ましい範囲としては、10~30重量部を提示することができる。炭素物質が、シリコン系粒子100重量部に対して、1重量部未満で添加される場合は、その添加量が微量であることから、電気伝導性向上の効果をうまく発揮しにくい。逆に、炭素物質が、シリコン系粒子100重量部に対して、100重量部を超えて多量添加される場合は、相対的に、シリコン系粒子の含量の減少により、リチウムイオンの充放電を十分な量だけ行うことができない問題がある。
【0065】
炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物は、1:0.1~1:1の重量比で混合するのが好ましく、より好ましくは、1:0.2~1:0.6の重量比で混合した方が良い。
【0066】
炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物が、1:0.1の重量比未満である場合は、イソシアネート作用基を含む化合物の添加量が少なすぎることから、シリコン系粒子の分散性向上の効果をうまく発揮しにくい可能性がある。逆に、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物が、1:1の重量比を超える場合は、効果がそれ以上高まらず、多量のイソシアネート作用基を含む化合物のみ消費するおそれがあるため、経済的ではない。
【0067】
イソシアネート作用基を含む化合物は、オクタデシルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びドデカメチレンジイソシアネートのうちから選択された1種以上を含む。このうち、イソシアネート作用基を含む化合物としては、オクタデシルイソシアネートを用いるのがより好ましい。
【0068】
<電気化学特性を向上させたシリコン-炭素複合負極活物質を含むリチウム二次電池>
本発明の実施例による電気化学特性を向上させたシリコン-炭素複合負極活物質を含むリチウム二次電池200は、シリコン-炭素複合負極活物質及びバインダーを含む負極210と、負極210と離隔して配置されたリチウム正極220と、負極210と正極220との間に配置されて、負極210と正極220の短絡を防止するための分離膜230と、負極210及び正極220に含浸した電解液、とを含む。このとき、負極210及び正極220は、保護テープ240を介して付着し、電池ケース205の外部へ一部突出するように配置される電極タップ250をそれぞれ有し得る。
【0069】
このように、本発明の実施例による電気化学特性を向上させたシリコン-炭素複合負極活物質を含むリチウム二次電池200は、負極210、正極220及び分離膜230がワインディングされるか折り畳まれて電池ケース205に収容され得る。次いで、電池ケース205内に電解液が注入されて、負極210及び正極220に電解液が含浸し、キャップアセンブリーで密封して、リチウム二次電池が完成する。ここで、電池ケース205は、円筒型、角型、薄膜型等の形状を有し得る。例えば、本発明のリチウム二次電池200は、電気化学特性に優れるため、電気自動車(electric vehicle,EV)に使用されるか、プラグインハイブリッドカー(plug-in hybird electric vehicle,PHEV)等のハイブリッドカーに使用され得る。また、本発明のリチウム二次電池は、多量の電力貯蔵が求められる分野に使用することができる。例えば、電気自転車、電動工具等に使用することができる。
【0070】
ここで、本発明のリチウム二次電池用負極210は、シリコン-炭素複合負極活物質及びバインダーを含む。この結果、本発明のリチウム二次電池用負極210は、負極活物質として、シリコン-炭素複合負極活物質を用いることにより、導電材が省略される。
【0071】
シリコン-炭素複合負極活物質は、シリコン系粒子と、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物とを含む。
【0072】
シリコン系粒子は、Si、SiO及びSiOx(1<x<2)のうちから選択された1種以上を含む。これらのシリコン系粒子は、1~100nmの平均径を有するものを用いるのが好ましく、より好ましくは、10~40nmの平均径を有するものを用いた方が良い。シリコン系粒子の平均径が1nm未満である場合は、ナノ粒子を形成しにくいだけでなく、リチウムイオンの充放電を十分な量だけ行うことができない問題がある。逆に、シリコン系粒子の平均径が100nmを超える場合は、シリコン系粒子が継続したリチウムイオンの充放電によって割れやすいおそれがあるため、好ましくない。
【0073】
炭素物質は、シリコン系粒子100重量部に対して、1~100重量部で添加されるのが好ましく、より好ましい範囲としては、10~30重量部を提示することができる。炭素物質がシリコン系粒子100重量部に対して、1重量部未満で添加される場合は、その添加量が微量であることから、電気伝導性向上の効果をうまく発揮しにくい。逆に、炭素物質がシリコン系粒子100重量部に対して、100重量部を超えて多量添加される場合は、相対的に、シリコン系粒子の含量の減少により、リチウムイオンの充放電を十分な量だけ行うことができない問題がある。
【0074】
炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物は、1:0.1~1:1の重量比で混合するのが好ましく、より好ましくは、1:0.2~1:0.6の重量比で混合した方が良い。
【0075】
炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物が、1:0.1の重量比未満である場合は、イソシアネート作用基を含む化合物の添加量が少なすぎることから、シリコン系粒子の分散性向上の効果をうまく発揮しにくい可能性がある。逆に、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物が、1:1の重量比を超える場合は、効果がそれ以上高まらず、多量のイソシアネート作用基を含む化合物のみ消費するおそれがあるため、経済的ではない。
【0076】
イソシアネート作用基を含む化合物は、オクタデシルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びドデカメチレンジイソシアネートのうちから選択された1種以上を含む。このうち、イソシアネート作用基を含む化合物としては、オクタデシルイソシアネートを用いるのがより好ましい。
【0077】
また、バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;polytetrafluoroethylene)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF;polyvinylidenefluoride)、カルボキシメチルセルロース(CMC;carboxymethylcellulose)、ポリビニルアルコール(PVA;poly vinyl alcohol)、ポリビニルブチラル(PVB;poly vinyl butyral)、ポリビニルピロリドン(PVP;poly-N-vinylpyrrolidone)、スチレンブタジエンゴム(SBR;styrene butadiene rubber)、ポリアミドイミド(Polyamide-imide)、ポリイミド(polyimide)等から選択された1種又は2種以上を混合して用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0078】
さらに、分離膜230は、ポリオレフイン、ポリエチレン、ポリプロピレン等、バッテリー分野における通常用いられる分離膜であれば、特に制限されない。
【0079】
今まで検討したように、本発明の実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池は、リチウム二次電池の負極活物質として用いられるシリコン系粒子の不安定な分散性を向上させるために、木質系に由来する炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物をさらに添加することにより、電気伝導度向上の効果を図りつつ、安定的な電極スラリーを製造することができる。
【0080】
このように、本発明の実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池は、木質系に由来する炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物を用いて、シリコン系粒子と湯煎して混合することにより、シリコン系粒子の不安定な分散性の向上により、電気伝導度の向上と安定的な電極スラリーの製造が可能であり、容量維持率向上の効果を図ることができる。
【0081】
この結果、本発明の実施例による電気化学特性を向上させたリチウム二次電池用のシリコン-炭素複合負極活物質及びその製造方法と、これを含むリチウム二次電池は、炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物を溶媒に添加して混合した後、シリコン系粒子を投入し、機械的攪拌機と超音波チップを用いて分散させることにより、シリコン系粒子の不安定な分散性を極大として、様々な電流密度別比静電容量の値を大きく向上させ得る効果がある。
【0082】
実施例
以下、本発明の好ましい実施例によって本発明の構成及び作用をより詳説することとする。ただし、これは本発明の好ましい例示として提示されたものであり、いずれの意味でも、これによって本発明が制限されると解釈されてはならない。
【0083】
ここに記載していない内容は、この技術分野における熟練者であれば、技術的に十分類推できるため、その説明を略する。
【0084】
1.試料の製造
実施例1
<シリコン-炭素複合負極活物質の製造>
ブナ科の原材料を20meshに粉砕した後、700℃の非活性雰囲気で、3時間炭化熱処理を行った。
【0085】
次に、炭化処理された原材料に対して、気孔の発達のためスチーム活性化処理を行った後、洗浄して炭素物質を得た。
【0086】
次に、無水エタノール50mlに炭素物質0.2gとオクタデシルイソシアネート(Octadecyl isocyanate)0.05gを添加して、4時間混合した後、シリコンパウダー1gをさらに投入した後、湯煎して溶媒を蒸発させ、シリコン-炭素混合物を製造した。
【0087】
次に、シリコン-炭素混合物を900℃の非活性雰囲気で、10時間熱処理して、シリコン-炭素複合負極活物質を製造した。
【0088】
<リチウム二次電池の製造>
シリコン-炭素複合負極活物質とポリアクリル酸(PAA、Mw3,000,000、Aldrich)を8:2の重量比で蒸留水に混合してスラリーを製造し、銅ホイルにドクターブレードを使用してコーティングした後、真空オーブンで、80℃で乾燥して負極を製造した。
【0089】
このとき、対向電極である正極は、リチウムメタルを用いた。
【0090】
真空乾燥した負極を基準電極とし、正極であるリチウムメタルを作動電極として、分離膜は、ポリオレフインフィルム(polyolefin fiim,Celgard 2400)を用いて2032コインセル(2032coin cell)で組み立てた後、電解液を含浸して、リチウム二次電池を製造した。このときに使った電解液は、リチウムバッターリ用電解液である1M LiPFF6/EC(ethylene carbonate)/DEC(diethyl carbonate)(1/1、v/v)+5wt%FEC(fluoroethylene carbonate,PANAX ETEC,Korea)であった。
【0091】
比較例1
シリコンパウダー、導電材(super-p)、ポリアクリル酸(PAA、Mw3,000,000、Aldrich)を6:2:2の重量比で蒸留水に混合して、スラリーを製造した後、銅ホイルにドクターブレードを使用してコーティングした後、真空オーブンで、80℃で乾燥して負極を製造した。
【0092】
このとき、対向電極である正極は、リチウムメタルを用いた。
【0093】
真空乾燥した負極を基準電極とし、正極であるリチウムメタルを作動電極として、分離膜は、ポリオレフインフィルム(polyolefin film,Celgard2400)を用いて2032コインセル(2032coin cell)で組み立てた後、電解液を含浸して、リチウム二次電池を製造した。このときに使った電解液は、リチウムバッターリ用電解液である1M LiPFF6/EC(ethylene carbonate)/DEC(diethyl carbonate)(1/1、v/v)+5wt%FEC(fluoroethylene carbonate,PANAX ETEC,Korea)であった。
【0094】
2.電気化学性能の評価
図4は、実施例1及び比較例1に従って製造されたリチウム二次電池に対する電気化学性能の評価結果を示したグラフである。このとき、実施例1及び比較例1に従って製造されたリチウム二次電池の蓄電池の容量、様々な電流密度による比率の特性、漏洩電流、そして放電時の電圧降下(IR-drop)等を測定するために、定電流充放電法(Galvanostatic Charge/Discharge test)を行った。測定のために使われた装備は、Potentiostat(VSP,EC-Lab,France)を使用しており、0.01~1.5Vの電圧範囲で、0.5、1、2、5、10A/gの様々な電流密度における電気化学性能を測定した。
【0095】
図4に示されたように、0.5、1、2、5、10A/gの様々な電流密度における電気化学性能を測定した結果からも分かるように、実施例1に従って製造されたリチウム二次電池が、比較例1に従って製造されたリチウム二次電池と比較して、電流密度別比静電容量の値が高く測定されたことを確認することができる。
【0096】
上記の充放電実験の結果から分かるように、実施例1に従って製造されたリチウム二次電池は、木質系に由来する炭素物質と、イソシアネート作用基を含む化合物を溶媒に混合した後、シリコン粒子をさらに添加して、シリコン-炭素複合負極活物質を製造することにより、シリコン粒子の不安定な分散性が向上して、電気伝導度の向上と安定的な電極スラリーの製造により、比較例1に従って製造されたリチウム二次電池と比較して、高い比静電容量の値を示すことを立証した。
【0097】
以上では、本発明の実施例を中心に説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する技術者の水準における種々の変更や変形を加えることができる。このような変更と変形は、本発明の提供する技術思想の範囲を外れない限り、本発明に属すると言える。よって、本発明の権利範囲は、以下に記載する請求の範囲によって判断すべきである。
【符号の説明】
【0098】
S110:炭素物質を得るステップ
S120:シリコン-炭素混合物を形成するステップ
S130:シリコン-炭素複合負極活物質を得るステップ