(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ディフューザー
(51)【国際特許分類】
A45D 20/12 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
A45D20/12 J
(21)【出願番号】P 2022036556
(22)【出願日】2022-03-09
【審査請求日】2023-03-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000126676
【氏名又は名称】株式会社アデランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 龍一
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-006664(JP,A)
【文献】実開昭58-005605(JP,U)
【文献】特開昭56-001110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアドライヤ(11)から空気が出力される出力部分に取り付けられることにより、ヘアドライヤ(11)から出力された空気を拡散して出力可能なディフューザー(10)であって、
ヘアドライヤ(11)が出力する空気を入力する入口部(13)と、
その入口部(13)が一端側に形成され、他端側に形成される出力部(12)に向けて次第に内径サイズが拡がる内部空間を形成する筒状の本体部(14)と、
前記本体部(14)の他端側を塞ぐ面状に形成されて前記入口部(13)から前記出力部(12)に向かう第1方向に沿った多数の吹出孔(17)が設けられた吹出面部(15)と、
該吹出面部(15)の外面側から前記第1方向側に突出して設けられる複数の突起体(16)とを備え、
前記複数の突起体(16)には、
前記吹出面部(15)の内面側から各々の突起体(16)の内側を経由した内部通路(19)が、前記第1方向に交差する第2方向側に少なくとも開口して形成される側面孔(18)まで連続して設けられ、
前記複数の突起体(16)は、
前記第1方向に沿って前記吹出面部(15)を視認した所定の前方側視において所定の基準点を囲う仮想の第1環状線(M1)上に配置される第1突起体(16a)と、
前記第1環状線(M1)より前記所定の基準点から離間して前記所定の基準点を囲う仮想の第2環状線(M2)上に配置される第2突起体(16b)とを有し、
前記前方側視において前記第1突起体(16a)に近い第1の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部に対し、当該第1の領域より前記所定の基準点から離れた第2の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部は、形状または大きさの少なくともいずれかを異ならせて形成され
、
前記吹出孔(17)として、略円錐台形状の孔形状とされた吹出孔(17b)が設けられていることを特徴とするディフューザー。
【請求項2】
前記吹出孔(17)として空気が通過可能な最小面積が異なる複数種類の吹出孔(17)が設けられ、前記所定の基準点に近い所定の領域(A1)に設けられる吹出孔(17)
として内面の傾斜角度を略5度から略20度の範囲内に設定することで略円錐台形状の孔形状とされた吹出孔(17b)が設けられ、
前記所定の基準点から離れた別の領域(A3)に
は、内面の傾斜角度が略5度以下の傾斜角度となるようにして略円柱状の孔形状とされ、前記所定の領域(A1)の吹出孔(17b)より最小面積の大きな複数の吹出孔(17)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のディフューザー(10)。
【請求項3】
前記所定の基準点に近い位置に複数の吹出孔(17)が設けられる所定の領域(B1)として、前記所定の基準点から離れた別の領域(B2)よりも、本体部(14)に囲まれた内部空間から空気が進入することとなる吹出孔(17)が設けられる面積の比率が小さな領域が設けられ
、前記所定の領域(B1)に略円錐台形状の孔形状とされた吹出孔(17b)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のディフューザー。
【請求項4】
ヘアドライヤ(11)から空気が出力される出力部分に取り付けられることにより、ヘアドライヤ(11)から出力された空気を拡散して出力可能なディフューザー(10)であって、
ヘアドライヤ(11)が出力する空気を入力する入口部(13)と、
その入口部(13)が一端側に形成され、他端側に形成される出力部(12)に向けて次第に内径サイズが拡がる内部空間を形成する筒状の本体部(14)と、
前記本体部(14)の他端側を塞ぐ面状に形成されて前記入口部(13)から前記出力部(12)に向かう第1方向に沿った多数の吹出孔(17)が設けられた吹出面部(15)と、
該吹出面部(15)の外面側から前記第1方向側に突出して設けられる複数の突起体(16)とを備え、
前記複数の突起体(16)には、
前記吹出面部(15)の内面側から各々の突起体(16)の内側を経由した内部通路(19)が、前記第1方向に交差する第2方向側に少なくとも開口して形成される側面孔(18)まで連続して設けられ、
前記複数の突起体(16)は、
前記第1方向に沿って前記吹出面部(15)を視認した所定の前方側視において所定の基準点を囲う仮想の第1環状線(M1)上に配置される第1突起体(16a)と、
前記第1環状線(M1)より前記所定の基準点から離間して前記所定の基準点を囲う仮想の第2環状線(M2)上に配置される第2突起体(16b)とを有し、
前記前方側視において前記第1突起体(16a)に近い第1の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部に対し、当該第1の領域より前記所定の基準点から離れた第2の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部は、形状または大きさの少なくともいずれかを異ならせて形成され、
前記吹出孔(17)が設けられる所定の領域(C3)として、前記所定の前方側視において、前記所定の基準点に対する周方向の孔ピッチが狭い2つの領域(C1,C2)の間に、孔ピッチが広い領域が設けられ
、前記第2突起体(16b)と前記所定の基準点との間に、前記所定の領域(C3)に設けられる吹出孔(17)が位置するように構成されていることを特徴とするディフューザー。
【請求項5】
ヘアドライヤ(11)から空気が出力される出力部分に取り付けられることにより、ヘアドライヤ(11)から出力された空気を拡散して出力可能なディフューザー(10)であって、
ヘアドライヤ(11)が出力する空気を入力する入口部(13)と、
その入口部(13)が一端側に形成され、他端側に形成される出力部(12)に向けて次第に内径サイズが拡がる内部空間を形成する筒状の本体部(14)と、
前記本体部(14)の他端側を塞ぐ面状に形成されて前記入口部(13)から前記出力部(12)に向かう第1方向に沿った多数の吹出孔(17)が設けられた吹出面部(15)と、
該吹出面部(15)の外面側から前記第1方向側に突出して設けられる複数の突起体(16)とを備え、
前記複数の突起体(16)には、
前記吹出面部(15)の内面側から各々の突起体(16)の内側を経由した内部通路(19)が、前記第1方向に交差する第2方向側に少なくとも開口して形成される側面孔(18)まで連続して設けられ、
前記複数の突起体(16)は、
前記第1方向に沿って前記吹出面部(15)を視認した所定の前方側視において所定の基準点を囲う仮想の第1環状線(M1)上に配置される第1突起体(16a)と、
前記第1環状線(M1)より前記所定の基準点から離間して前記所定の基準点を囲う仮想の第2環状線(M2)上に配置される第2突起体(16b)とを有し、
前記前方側視において前記第1突起体(16a)に近い第1の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部に対し、当該第1の領域より前記所定の基準点から離れた第2の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部は、形状または大きさの少なくともいずれかを異ならせて形成され、
前記吹出孔(17)が設けられる所定の領域(C3)として、前記所定の前方側視において、前記所定の基準点に対する周方向の孔ピッチが狭い2つの領域(C1,C2)の間に、孔ピッチが吹出孔(17)の大きさに対して5倍以上に長く設定された領域が設けられていることを特徴とするディフューザー。
【請求項6】
ヘアドライヤ(11)から空気が出力される出力部分に取り付けられることにより、ヘアドライヤ(11)から出力された空気を拡散して出力可能なディフューザー(10)であって、
ヘアドライヤ(11)が出力する空気を入力する入口部(13)と、
その入口部(13)が一端側に形成され、他端側に形成される出力部(12)に向けて次第に内径サイズが拡がる内部空間を形成する筒状の本体部(14)と、
前記本体部(14)の他端側を塞ぐ面状に形成されて前記入口部(13)から前記出力部(12)に向かう第1方向に沿った多数の吹出孔(17)が設けられた吹出面部(15)と、
該吹出面部(15)の外面側から前記第1方向側に突出して設けられる複数の突起体(16)とを備え、
前記複数の突起体(16)には、
前記吹出面部(15)の内面側から各々の突起体(16)の内側を経由した内部通路(19)が、前記第1方向に交差する第2方向側に少なくとも開口して形成される側面孔(18)まで連続して設けられ、
前記複数の突起体(16)は、
前記第1方向に沿って前記吹出面部(15)を視認した所定の前方側視において所定の基準点を囲う仮想の第1環状線(M1)上に配置される第1突起体(16a)と、
前記第1環状線(M1)より前記所定の基準点から離間して前記所定の基準点を囲う仮想の第2環状線(M2)上に配置される第2突起体(16b)とを有し、
前記前方側視において前記第1突起体(16a)に近い第1の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部に対し、当該第1の領域より前記所定の基準点から離れた第2の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部は、形状または大きさの少なくともいずれかを異ならせて形成され、
前記突起体(16)には、1つの側面孔(18)が設けられる突起体(16)と、2つの側面孔(18)が設けられる突起体(16)とが略同一の基本形状に対して前記側面孔(18)に相当する部位を切除した形状により構成され、2つの側面孔(18)が設けられる突起体(16)の側面孔(18)は、前記前方側視において、1つの側面孔(18)が設けられる突起体(16)の側面孔(18)より、小さな面積の凹み部分を切り取った形状に、又は鋭角なV字状の凹み部分を切り取った形状に、形成されることを特徴とす
るディフューザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤの付属部品として利用可能なディフューザーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアドライヤの付属部品として、空気の出口部分に取り付けられるディフューザーが知られている。ディフューザーを通じてヘアドライヤから空気を出力することにより、広範囲に拡散された空気を毛髪に吹き当てることができる。このディフューザーとして、本体部としてのバッフルと、吹出面部としてのグリルと、グリルから突出した突出部に空気出口を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ヘアドライヤからディフューザーを通じて空気を出力するための構成について、未だ改良の余地がある可能性があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、毛髪や頭部に向けて空気を好適に出力可能なディフューザーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のディフューザー(10)は、
ヘアドライヤ(11)から空気が出力される出力部分に取り付けられることにより、ヘアドライヤ(11)から出力された空気を拡散して出力可能なディフューザー(10)であって、
ヘアドライヤ(11)が出力する空気を入力する入口部(13)と、
その入口部(13)が一端側に形成され、他端側に形成される出力部(12)に向けて次第に内径サイズが拡がる内部空間を形成する筒状の本体部(14)と、
前記本体部(14)の他端側を塞ぐ面状に形成されて前記入口部(13)から前記出力部(12)に向かう第1方向に沿った多数の吹出孔(17)が設けられた吹出面部(15)と、
該吹出面部(15)の外面側から前記第1方向側に突出して設けられる複数の突起体(16)とを備え、
前記複数の突起体(16)には、
前記吹出面部(15)の内面側から各々の突起体(16)の内側を経由した内部通路(19)が、前記第1方向に交差する第2方向側に少なくとも開口して形成される側面孔(18)まで連続して設けられ、
前記複数の突起体(16)は、
前記第1方向に沿って前記吹出面部(15)を視認した所定の前方側視において所定の基準点を囲う第1環状線(M1)上に配置される第1突起体(16a)と、
前記第1環状線(M1)より前記所定の基準点から離間して前記所定の基準点を囲う仮想の第2環状線(M2)上に配置される第2突起体(16b)とを有し、
前記前方側視において前記第1突起体(16a)に近い第1の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部に対し、当該第1の領域より前記所定の基準点から離れた第2の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部は、形状または大きさの少なくともいずれかを異ならせて形成され、
前記吹出孔(17)として、略円錐台形状の孔形状とされた吹出孔(17b)が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載のディフューザー(10)は、請求項1に記載のディフューザー(10)において、前記吹出孔(17)として空気が通過可能な最小面積が異なる複数種類の吹出孔(17)が設けられ、前記所定の基準点に近い所定の領域(A1)に設けられる吹出孔(17)として内面の傾斜角度を略5度から略20度の範囲内に設定することで略円錐台形状の孔形状とされた吹出孔(17b)が設けられ、前記所定の基準点から離れた別の領域(A3)には、内面の傾斜角度が略5度以下の傾斜角度となるようにして略円柱状の孔形状とされ、前記所定の領域(A1)の吹出孔(17b)より最小面積の大きな複数の吹出孔(17)が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載のディフューザー(10)は、請求項1又は2に記載のディフューザー(10)において、前記所定の基準点に近い位置に複数の吹出孔(17)が設けられる所定の領域(B1)として、前記所定の基準点から離れた別の領域(B2)よりも、本体部(14)に囲まれた内部空間から空気が進入することとなる吹出孔(17)が設けられる面積の比率が小さな領域が設けられ、前記所定の領域(B1)に略円錐台形状の孔形状とされた吹出孔(17b)が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載のディフューザー(10)は、
ヘアドライヤ(11)から空気が出力される出力部分に取り付けられることにより、ヘアドライヤ(11)から出力された空気を拡散して出力可能なディフューザー(10)であって、
ヘアドライヤ(11)が出力する空気を入力する入口部(13)と、
その入口部(13)が一端側に形成され、他端側に形成される出力部(12)に向けて次第に内径サイズが拡がる内部空間を形成する筒状の本体部(14)と、
前記本体部(14)の他端側を塞ぐ面状に形成されて前記入口部(13)から前記出力部(12)に向かう第1方向に沿った多数の吹出孔(17)が設けられた吹出面部(15)と、
該吹出面部(15)の外面側から前記第1方向側に突出して設けられる複数の突起体(16)とを備え、
前記複数の突起体(16)には、
前記吹出面部(15)の内面側から各々の突起体(16)の内側を経由した内部通路(19)が、前記第1方向に交差する第2方向側に少なくとも開口して形成される側面孔(18)まで連続して設けられ、
前記複数の突起体(16)は、
前記第1方向に沿って前記吹出面部(15)を視認した所定の前方側視において所定の基準点を囲う仮想の第1環状線(M1)上に配置される第1突起体(16a)と、
前記第1環状線(M1)より前記所定の基準点から離間して前記所定の基準点を囲う仮想の第2環状線(M2)上に配置される第2突起体(16b)とを有し、
前記前方側視において前記第1突起体(16a)に近い第1の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部に対し、当該第1の領域より前記所定の基準点から離れた第2の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部は、形状または大きさの少なくともいずれかを異ならせて形成され、
前記吹出孔(17)が設けられる所定の領域(C3)として、前記所定の前方側視において、前記所定の基準点に対する周方向の孔ピッチが狭い2つの領域(C1,C2)の間に、孔ピッチが広い領域が設けられ、前記第2突起体(16b)と前記所定の基準点との間に前記所定の領域(C3)に設けられる吹出孔(17)が位置するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載のディフューザー(10)は、
ヘアドライヤ(11)から空気が出力される出力部分に取り付けられることにより、ヘアドライヤ(11)から出力された空気を拡散して出力可能なディフューザー(10)であって、
ヘアドライヤ(11)が出力する空気を入力する入口部(13)と、
その入口部(13)が一端側に形成され、他端側に形成される出力部(12)に向けて次第に内径サイズが拡がる内部空間を形成する筒状の本体部(14)と、
前記本体部(14)の他端側を塞ぐ面状に形成されて前記入口部(13)から前記出力部(12)に向かう第1方向に沿った多数の吹出孔(17)が設けられた吹出面部(15)と、
該吹出面部(15)の外面側から前記第1方向側に突出して設けられる複数の突起体(16)とを備え、
前記複数の突起体(16)には、
前記吹出面部(15)の内面側から各々の突起体(16)の内側を経由した内部通路(19)が、前記第1方向に交差する第2方向側に少なくとも開口して形成される側面孔(18)まで連続して設けられ、
前記複数の突起体(16)は、
前記第1方向に沿って前記吹出面部(15)を視認した所定の前方側視において所定の基準点を囲う仮想の第1環状線(M1)上に配置される第1突起体(16a)と、
前記第1環状線(M1)より前記所定の基準点から離間して前記所定の基準点を囲う仮想の第2環状線(M2)上に配置される第2突起体(16b)とを有し、
前記前方側視において前記第1突起体(16a)に近い第1の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部に対し、当該第1の領域より前記所定の基準点から離れた第2の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部は、形状または大きさの少なくともいずれかを異ならせて形成され、
前記吹出孔(17)が設けられる所定の領域(C3)として、前記所定の前方側視において、前記所定の基準点に対する周方向の孔ピッチが狭い2つの領域(C1,C2)の間に、孔ピッチが吹出孔(17)の大きさに対して5倍以上に長く設定された領域が設けられていることを特徴とする。
また、請求項6に記載のディフューザー(10)は、
ヘアドライヤ(11)から空気が出力される出力部分に取り付けられることにより、ヘアドライヤ(11)から出力された空気を拡散して出力可能なディフューザー(10)であって、
ヘアドライヤ(11)が出力する空気を入力する入口部(13)と、
その入口部(13)が一端側に形成され、他端側に形成される出力部(12)に向けて次第に内径サイズが拡がる内部空間を形成する筒状の本体部(14)と、
前記本体部(14)の他端側を塞ぐ面状に形成されて前記入口部(13)から前記出力部(12)に向かう第1方向に沿った多数の吹出孔(17)が設けられた吹出面部(15)と、
該吹出面部(15)の外面側から前記第1方向側に突出して設けられる複数の突起体(16)とを備え、
前記複数の突起体(16)には、
前記吹出面部(15)の内面側から各々の突起体(16)の内側を経由した内部通路(19)が、前記第1方向に交差する第2方向側に少なくとも開口して形成される側面孔(18)まで連続して設けられ、
前記複数の突起体(16)は、
前記第1方向に沿って前記吹出面部(15)を視認した所定の前方側視において所定の基準点を囲う仮想の第1環状線(M1)上に配置される第1突起体(16a)と、
前記第1環状線(M1)より前記所定の基準点から離間して前記所定の基準点を囲う仮想の第2環状線(M2)上に配置される第2突起体(16b)とを有し、
前記前方側視において前記第1突起体(16a)に近い第1の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部に対し、当該第1の領域より前記所定の基準点から離れた第2の領域に設けられる前記吹出孔(17)または前記側面孔(18)の少なくとも一部は、形状または大きさの少なくともいずれかを異ならせて形成され、
前記突起体(16)には、1つの側面孔(18)が設けられる突起体(16)と、2つの側面孔(18)が設けられる突起体(16)とが略同一の基本形状に対して前記側面孔(18)に相当する部位を切除した形状により構成され、2つの側面孔(18)が設けられる突起体(16)の側面孔(18)は、前記前方側視において、1つの側面孔(18)が設けられる突起体(16)の側面孔(18)より、小さな面積の凹み部分を切り取った形状に、又は鋭角なV字状の凹み部分を切り取った形状に、形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のディフューザー(10)によれば、所定の基準点に近い第1の領域と、所定の基準点から離れた第2の領域とにおける空気の通過のし易さを異ならせることができるので、吹出面部(15)の吹出孔(17)または突起体(16)の側面孔(18)の少なくともいずれかから出力される空気の風力(又は風速)を、所定の基準点からの距離が変化しても均一に近づけることができる。よって、毛髪や頭部に向けて出力される空気を広範囲にわたって均一な状態に近づけることができ、毛髪の乾燥や頭部のマッサージ等の施術を実施し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は、本発明のディフューザーの斜視図、(b)はディフューザーをヘアドライヤに取り付けた状態を示す模式図、(c)はディフューザーを背面視した図である。
【
図2】(a)はディフューザーの正面図、(b)は、吹出面部の内面側を示した図である。
【
図3】
図2(a)のSb-Sb線における断面図であり、(b)は、
図2(a)のSa-Sa線における断面図である。
【
図4】(a)は、吹出面部を外面側から見た図であり、(b)は、吹出面部を内面側から図である。
【
図5】(a)は、吹出面部を外面側から見た部分拡大図であり、(b)は、吹出面部を内面側から見た部分拡大図である。
【
図7】突起体の形状を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のディフューザー10は、毛髪や頭部に向けて出力される空気を広範囲にわたって均一な状態に近づけることができるように構成されている。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
<ディフューザー10の基本構成>
図1(a)は、本発明のディフューザー10の斜視図、
図1(b)はディフューザー10をヘアドライヤ11に取り付けた状態を示す模式図、
図1(c)はディフューザー10を背面視した図である。なお、
図1以降において、突起体16、吹出孔17および側面孔18が複数箇所に設けられる場合において、一部に対してのみ番号を付し、一部の付番を省略している。また、
図1(b)には、ディフューザー10を取り付け可能な一例のヘアドライヤ11を細線で参考のために図示している。
【0015】
ディフューザー10は、
図1(b)に示すように、ヘアドライヤ11から空気が出力される出力部分に取り付けられることにより、ヘアドライヤ11から出力された空気を拡散して出力部12から出力することが可能なヘアドライヤ11の付属部品である。
【0016】
ディフューザー10は、ヘアドライヤ11が出力する空気を入力する入口部13と、入口部13が一端側(空気の吹出方向後端側)に形成される本体部14と、本体部14の他端側(空気の吹出方向先端側)に設けられる出力部12とを備えている。出力部12には、本体部14の他端側を塞ぐ面状に形成される吹出面部15と、吹出面部15から突出する複数の突起体16とが設けられ、これら吹出面部15と、突起体16とに設けられる孔部分が、空気を出力する出力部12として機能する。なお、以下においては、本体部14に対して吹出面部15が設けられる側を前方側とし、入口部13が設けられる側を後方側として説明する。
【0017】
本体部14には、入口部13が形成される後方側に対して、出力部12が形成される前方側に向けて次第に内径サイズが拡がる内部空間を形成する筒状の部位である。本体部14の内部空間が次第に拡がることにより、入口部13の面積より広い面積の吹出面部15の全体から、空気を噴き出させることができる。この内部空間の拡げられる拡散角度D1は、空気の進行方向Y1に対して両側に略45度以上に設定されており、本体部14の内側の壁の相対角度(拡散角度D1)として略90度以上(本実施例では、108度)に設定される。
【0018】
拡散角度D1は、大きく設定するほど、ディフューザー10を小型にできて好ましいものの、拡散角度D1を大きく設定すると、吹出面部15の中央部分と端部分とで空気の出力(風力)に差が出やすくなってしまう。これに対して、本発明のディフューザー10は、吹出面部15に設けられる吹出孔17と、突起体16に設けられる側面孔18の形状を、複数種類の異なる形状に設定し、これにより、拡散角度D1を大きく設定しつつ、出力部12において広い範囲で均一に近づけた風力で空気を出力可能としている。
【0019】
吹出面部15は、本体部14の前方側を塞ぐように、空気の進行方向に厚みを有する面状に形成されている。吹出面部15には、入口部13から出力部12に向かう空気の進行方向(第1方向)に沿った多数の吹出孔17が設けられている。多数の吹出孔17は、配置位置に応じた複数種類の形状に設定され、詳細については、
図3以降を参照して後述する。
【0020】
複数の突起体16は、吹出面部15の外面側から空気の進行方向Y1に沿って突出して設けられている。複数の突起体16には、吹出面部15の内面側から各々の突起体の内側を経由した内部通路19(
図3参照)が設けられ、空気の進行方向に交差する側方側に空気を出力可能な側面孔18が出力部12の一部として設けられている。
【0021】
入口部13は、
図1(c)に示すように、後方側から見て僅かに横長の楕円状に形成される。入口部13の外形形状は、ヘアドライヤ11の空気の出力部分の内壁と略同一形状に形成される。ディフューザー10の入口部13をヘアドライヤ11に差し込むことにより、ディフューザー10がヘアドライヤ11に対して回転不能に取り付けられる。
【0022】
ここで、ディフューザー10は、吹出面部15と、本体部14とを別々に合成樹脂により成形し、接着等により固定して形成することができる。また、ディフューザー10は、本体部14の内部空間に別部材のない構造について説明するが、その内部空間に空気を拡散するためのファンや、二重以上の筒状部分を含む構成とするなど、他の構成を組み合わせてもよい。
【0023】
<吹出孔17と、突起体16の側面孔18の構成>
次に、
図2及び
図3を参照して、出力部12としての、吹出面部15の吹出孔17と、突起体16の側面孔18の構成について説明する。
【0024】
図2(a)は、ディフューザー10の正面図であって吹出面部15の外面側を示した図であり、
図2(b)は、吹出面部15の内面側を示した図である。また、
図3(a)は、
図2(a)のSb-Sb線における断面図であり、
図3(b)は、
図2(a)のSa-Sa線における断面図である。なお、
図3(a)及び
図3(b)には、ディフューザー10の一部を省略して示している。
【0025】
吹出孔17は、
図2(a)に示すように、基準点Pを中心とした同心円上において、略一定の間隔(ピッチ)を隔てて配列されるように、周方向に離間して設けられている。また、吹出孔17は、基準点Pから離間する方向(半径方向)においても、略一定の間隔(ピッチ)を隔てて配列されるようにして設けられている。ここで、基準点Pは、入口部13の中心または中心に近い位置を通過し、ヘアドライヤ11から出力される空気が進行する進行方向Y1に沿って連続する基準軸PLと、吹出面部15とが交わる点として設定される仮想の点であり、基準点Pを中心にした周方向及び半径方向に、吹出孔17が配置されている。
【0026】
吹出孔17としては、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、外面側から見た形状と内面側から見た形状とが略一致している円柱状の孔により構成された吹出孔17aと、内面側の方が外面側より小さく形成された円錐台形状の孔により構成された吹出孔17bとが設けられている。円錐台形状の吹出孔17bは、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、基準点Pを通る基準軸PLに近い位置に設けられ、円柱状の吹出孔17aは、円錐台形状の吹出孔17bより基準軸PLから離れた位置に設けられる。円錐台形状の吹出孔17bは、本体部14の内部空間において、小さな孔部分が開口されることとなるので、入口部13から直進するように進行した空気が、円錐台形状の吹出孔17bを通じては外側に通過することが少なく、その分、円錐台形状の吹出孔17bが設けられる部分の圧力を高め易くすることができる。これにより、円柱状の吹出孔17aが設けられる基準軸PLから離れた側(矢印Y2の方向側)へと空気を進行し易くすることができる。
【0027】
また、円錐台形状の吹出孔17bに進入した空気は、円柱状の吹出孔17aと比べて、外面に近づくほど通路の内径サイズが拡大されることで広範囲に向けて出力される(
図3(b)の矢印参照)。これにより、円錐台形状の吹出孔17bから出力される空気の速度(風速)を低くすることができ、基準軸PLに近い位置から出力される空気の風力を低く抑えることができる。
【0028】
円錐台形状の吹出孔17bの内面の傾斜角度(抜きテーパの角度)としては、略5度から略20度の範囲内に設定するのがよく、略10度から略15度の範囲内に設定するのが好適であり、本実施例では略12度とした場合を例示している。また、円柱状の吹出孔17aは、内面の傾斜角度を非常に小さく設定するのが好ましく、略5度以下とするのがよく、略3度以下とするのが好適である。
【0029】
突起体16は、吹出面部15を視認した前方側視において基準点Pを囲う仮想の環状線M1,M2の上に位置するようにして配置されている。具体的には、小さな円形の第1環状線M1上に複数の第1突起体16aが配置され、大きな円形の第2環状線M2上に、複数の第2突起体16bが配置されている。第1突起体16aと第2突起体16bは、各環状線M1,M2上において、周方向に一定の間隔を隔てるように配置されている。
【0030】
各突起体16は、基本的に先端部分が半球状で、軸部分が次第に大きな略円錐台形に形成されている。突起体16が設けられる吹出面部15の形状は、
図3(a)に示すように、基準軸PLに近いほど凹んで形成されており、その凹み分、第2突起体16bの方が、第1突起体16aより突出する位置に配置されている。
【0031】
突起体16は、第1環状線M1上に配置される第1突起体16aと、第2環状線M2上に配置される第2突起体16bとが、異なる形状及び大きさの側面孔18を有するように形成されている。また、
図3(a)に示すように、第1突起体16aには、2つの側面孔18aが設けられ、第2突起体16bには、1つの側面孔18bが設けられている。
【0032】
複数の突起体16の内部には、吹出面部15の内面側から各々の突起体16の内側を経由して前方側に連続する内部通路19が設けられている。内部通路19は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、前方側に交差する方向側(
図3(a)の水平方向側)に開口して形成される側面孔18まで連続して設けられる。この側面孔18を設けることにより、吹出孔17から出力される空気の進行方向Y1に交差する側方側に向けて、ヘアドライヤ11の空気を出力することができる。
【0033】
第2突起体16bの側面孔18bは、
図2(a)に示すように、基準点P及び第1突起体16aが設けられる中央側を向くように設けられている。第1突起体16aに設けられる2つの側面孔18aは、基準点P及び第1突起体16aが設けられる中央側と、その反対側となる外側(第2突起体16bの側)を向くように設けられている。なお、本実施例においては、第1突起体16aと、第2突起体16bとが、基準点Pを中心とした半径方向に側面孔18が向く場合について例示したが、半径方向から前方側までの広範囲に向けて開口する側面孔18を有する突起体16を含むようにしてもよいし、側面孔18が基準点Pを中心とする周方向側を向く突起体16を含むように構成してもよいし、半径方向と周方向との間の斜め方向を向く突起体16を含むようにするなど、突起体16が別の方向を向くように構成してもよい。
【0034】
第1突起体16aの側面孔18aは、
図2(a)に示すように、第2突起体16bの側面孔18bより開口幅(隙間幅)が小さく形成されている。この側面孔18a,18bの形状の相違については、
図7を参照して後述する。
【0035】
<孔の形状及び大きさが異なる吹出孔17の配置位置>
次に、
図4から
図6を主に参照して、吹出孔17の配置位置に関する構成について説明する。
図4(a)は、吹出面部15を外面側から見た図であり、
図4(b)は、吹出面部を内面側から図である。また、
図5(a)は、吹出面部15を外面側から見た部分拡大図であり、(b)は、吹出面部15を内面側から見た部分拡大図である。また、
図6は、吹出面部15を外面側から見た図である。
【0036】
吹出面部15は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、基準点P(基準軸PL)に近い中央側が、入口部13の側に凹んだ皿状に形成されている。吹出孔17は、吹出面部15に対して、基準軸PLと同一の方向を軸方向とする略円柱形状または略円錐台形状の部位を取り除いた形状となるように、形成されている。このため、吹出孔17は、正確には、円柱状や円錐台形の孔ではないものの、吹出面部15の中央側への凹みが僅かで平面に近い形状であることから円柱状や円錐台形に近い形状であるため、円柱状の孔や円錐台形状の孔と称している。
【0037】
吹出孔17は、入口部13から入力される空気が吹出面部15の中心部分に集中しないように、孔の形状及び大きさと、配置位置とを組み合わせた領域を設定して構成される。具体的には、吹出面部15には、複数の領域に区分された各領域に同一または同種の吹出孔17が位置するように配置されている。複数の領域は、基準点Pを基準とした円形または円環状の領域に区分され、基準点Pに近い領域から順に、領域A1、領域A2、領域A3及び領域A4に区分され、各領域に、形状又は大きさの少なくともいずれかが異なる吹出孔17が配置されている。
【0038】
まず、形状を基準とした場合、領域A1には、円錐台形の孔を有する吹出孔17bが配置される。一方、領域A1を除く他の領域A2,A3,A4には、傾斜角度の小さな円柱状の孔により構成される吹出孔17aや、長円形で傾斜角度の小さな孔により構成される吹出孔17cが設けられる。吹出孔17の大きさとしては、領域A1に配置される吹出孔17bは、領域A2や領域A3に多数設けられる吹出孔17aより、空気の通過可能な通路サイズ(孔の断面積が変化する吹出孔17において最小部分としての内面側の孔サイズ)を小さくして設定されている。これにより、基準点Pに近い領域A1において、吹出面部15の中心部分から空気が多く出力されることを抑えることができる。
【0039】
また、大きさを基準とする場合、領域A1の中でも、吹出孔17として複数の形状が設定されている。具体的には、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、基準点Pに近い中央側の吹出孔17(吹出孔17d)に対して、基準点Pから一定以上離れた範囲に設けられる吹出孔17(吹出孔17e)は、通路サイズが大きく設定されている。これにより、中央に近い領域A1内においても、吹出面部15の中心(基準点P)に近い部分から空気が多く出力されることを抑えることができる。
【0040】
ここで、領域A1に設けられる2種類の吹出孔17d,17eは、吹出面部15の外面側のサイズ(最大部分の内径)を一致させ、内面側のサイズ(最小部分の内径)が傾斜角度を相違させることで異なるように形成されている(
図5(a)及び
図5(b)参照)。このため、外面側から見た場合に同一形状の部位を多数並ぶようにデザインすることができ、ディフューザー10の外観の見栄えを向上することができる。
【0041】
領域A1と領域A2との境界部分に近い領域には、吹出孔17が配置されない領域が設けられている。この領域は、内周側の第1環状線M1に沿った部分であり、内周側の第1突起体16aに頭部が接触して衝撃力や一定の負荷が入力された場合において、破損を防止する強度確保の部位として設定されている。第1突起体16aが位置する第1環状線M1の上に、一定幅で環状に吹出孔17が設けられない領域を設定することにより、第1突起体16aに対しての衝撃力や一定の負荷を吹出面部15の広範囲に分散し易くし、吹出面部15の破損を防止することができる。
【0042】
領域A2には、領域A3に配置される吹出孔17より内径が小さく通路サイズが小さい吹出孔17が、基準点Pを中心とする半径方向側に2つ並ぶようにして設けられている。この領域A2に設けられる吹出孔17は、基準点Pに近い中央側の方が内径が小さく設定されている。領域A2は、内周側の第1突起体16aに近い部位であり、この領域A2に、小さな吹出孔17を設けることにより、吹出孔17を起点とする割れを生じ難くすることができる。また、領域A2の吹出孔17は、円柱状の孔により構成されるので、前方側へ向かう空気が広範囲に分散されない。このため、前方側に向けて一定の風力で進行し易い空気の出力部分とすることができ、領域A1と領域A3との間において吹出孔17が少ない部分が設けられて風力が弱いと使用者が感じる事態を回避し易くすることができる。
【0043】
領域A3には、基準点Pを中心とした周方向及び半径方向において略一定の間隔で吹出孔17が設けられている。領域A3には、領域A1,A2より大きな通路サイズの吹出孔17が設けられ、これにより、基準軸PLから離れた位置でも多くの空気を前方に向けて出力することができる。
【0044】
領域A4には、円柱状の孔だけでなく長円形の孔により構成された吹出孔17が設けられている。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、吹出面部15の周りには、円環状に前側に突出するフランジ部21が設けられ、フランジ部21に近い位置に設けられる外周側の第2突起体16bが設けられている。このため、使用者の頭部が第2突起体16bに接触して衝撃力などが入力されても、フランジ部21の側に力が伝達され易く、吹出面部15の側での破損の可能性を低くすることができる。よって、大きめの通路サイズに構成された吹出孔17を第2突起体16bの付近に設けても破損の可能性を低くすることができ、基準点Pから遠く離れた部分における空気の通過のし易さを高めて、吹出面部15の広範囲において均一に近い状態で前方側へ空気を出力することができる。
【0045】
次に、
図4(b)を主に参照して、吹出面部15の内面側を複数の領域に区分した場合における各領域の断面積に対して吹出孔17が設けられる面積の比率の設定について説明する。
図4(b)に示すように、吹出面部15の内面において、基準点Pに近い部分には、空気が進入する吹出孔17が設けられる面積の比率が低い領域B1が設けられる。領域B1よりも基準点Pから離れた別の領域B2は、領域B1より吹出孔17が開口して設けられる面積の比率が高く設定されている。
【0046】
具体的には、吹出面部15の内面側を、空気の進行方向Y1に沿った方向側から視認した
図4(b)に示す方向視において、領域B1の面積に対しての吹出孔17が設けられる面積の比率は、10%以下に設定され、領域B2における比率は略25%程度に設定されている。このように、吹出孔17が設けられる面積の比率を基準とし、本体部14に囲まれた内部空間から空気が進入することとなる吹出孔17が設けられる面積の比率が小さな領域B1を設定することでも、吹出面部15の中心(基準点P)に近い部分から空気が多く出力されることを抑えることができる。
【0047】
なお、領域B1,B2を設定する場合において、必ずしも全ての吹出孔17を同一形状に設定しなくてもよく、異なる形状の吹出孔17を領域B1又は領域B2に設けてもよいし、基準点Pを中心とした同心円状に一定でない間隔で吹出孔17を配置してもよい。この場合でも、吹出孔17が設けられる面積の比率を調整することで、吹出面部15から出力される空気を、基準点Pに近い中央部分に集中させず、均一に近づけることができる。
【0048】
次に、
図6を主に参照して、基準点Pを中心とする周方向Rにおいて吹出孔17が離間して配置される配置間隔(孔ピッチ)について説明する。
図6に示すように、吹出孔17が設けられる領域として、周方向及び半径方向において略同一の孔ピッチで吹出孔17が設けられる円環状の領域C1,C2が設けられ、それら領域C1,C2の間には、周方向Rにおける孔ピッチが広く設定された領域C3が設けられている。領域C3は、吹出孔17の大きさ(直径)に対して、孔ピッチが5倍以上に長く設定され、部分的に、前方側に空気が強く出力される部位を設けることができる。この領域C3における吹出孔17は、
図6に示すように、第2突起体16bと基準点Pとの間に位置するように配置され、第2突起体16bの側面孔18bから出力される空気の進行方向を前方側へ変更するように作用し、吹出面部15の中心部分に空気が集中することを抑えることができる。
【0049】
なお、第1突起体16aと基準点Pとの間においても、周方向における孔ピッチを長く設定した複数の吹出孔17が設けられている。このため、第1突起体16aにおいて基準点Pの方向側を向く側面孔18から出力される空気の進行方向を、前方側に変更することができ、吹出面部15の中心部分への空気の集中を抑えることができる。
【0050】
また、周方向における吹出孔17の孔ピッチの広い領域は、内周側の突起体と、外周側の突起体との中間部分に位置するようにして設けられている。多数の吹出孔17が設けられると吹出面部15の強度が低下し易く、その中でも、突起体16に、使用者の頭部が接触することにより突起体16を通じて吹出面部15へ作用する曲げモーメントは、第2突起体16bが設けられる吹出面部15の外周部分と、第1突起体16aとの中間部分で大きくなり易い。このため、この中間部分の強度を、吹出孔17の孔ピッチを広くすることで高めることができ、吹出面部15の破損を抑制可能にしつつ、上記した吹出面部15の中心部分への空気の集中を抑えることができる。
【0051】
<突起体16の側面孔18の形状>
次に、
図7を主に参照して、突起体16の側面孔18の形状について説明する。
図7は、突起体16の形状を説明するための模式図であり、
図7(a)には、基本形状として側面孔18が設けられない突起体16を突起体16zとし、先端側から見た外形形状と、断面形状とを並べて示し、
図7(b)には、第1突起体16aを示し、
図7(c)には、第2突起体16bを示している。
【0052】
突起体16としては、2つの側面孔18が設けられる内周側の第1突起体16aと、1つの側面孔18が設けられる外周側の第2突起体16bとの2種類が設定されている。いずれの突起体16も、側面孔18を構成する部分を切り欠く前の基本形状は、突起体16zと同一であり、先端部分が半球状に形成され、軸部分が円錐台の形状により構成されている。
【0053】
第1突起体16aは、突起先端側に相当する前方側から見て、突起の中心部分を基準としてV字状の部分を切り欠いた形状を有するようにして構成されている。V字状の開口角度G1は、突起の中心部分を基準として略45度に設定されている。第2突起体16bの側面孔18bは、第1突起体16aより広い開口角度G2のV字状の部分を切り欠いた形状にして構成される。V字状の開口角度G2は、突起の中心部分を基準として略90度に設定されている。なお、V字状に切り欠いた形状の底部分(角部分)は、円弧状に連続するように形成された場合を例示しているが、V字状の底部分を尖った形状に形成してもよい。
【0054】
このように、第1突起体16aには、2つの側面孔18が設けられるものの、第2突起体16bと比較すると、1つの側面孔18としては小さな面積の凹み部分を切り取った形状に形成されている。このため、第1突起体16aの軸部分の強度を、1つの側面孔18が設けられた第2突起体16bに近づけることができる。特に、第2突起体16bの側面孔18bが、第1突起体16aの1つの突起体の切欠部分の大きさの略2倍に近い略90度に設定されているので、共通の基本形状にすることで形が整って見栄えを良くした複数の突起体としながらも、いずれの突起体16においても略同一の断面積を有する軸部分にして破損をし難くすることができる。
【0055】
また、基準点Pに近い内周側の第1突起体16aには、2つの側面孔18が設けられるようにしているものの、基準点Pの近くの側面孔18が小さく形成されるので、本体部14の内部空間において基準点Pに近い中心部分の内部圧力を高めることができる。これにより、基準点Pから遠い外周側に位置する第2突起体16bからの空気の出力を強めることができる。
【0056】
ここで、第1突起体16a及び第2突起体16bにおいて、突起の連続する軸方向に垂直な断面視における側面孔18の孔幅W1,W2は、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、第1突起体16aの孔幅W1に対して、第2突起体16bの孔幅W2が1.5倍以上に設定されることが好ましく、本実施例では、略1.8倍に設定されている。第2突起体16bの孔幅W2に対しての第1突起体16aの孔幅W1は、略0.5倍以下とすることがよく、本実施例では、略0.38倍に設定されている。なお、必ずしも側面孔18は、前方側から見て略V字形に軸部分が切除されるように形成する必要はなく、前方側から見てU字形や平面形に軸部分が切除されるように形成されてもよい。
【0057】
以上説明したように、本発明のディフューザー10は、前方側視における第1突起体16aに近い領域に設けられる吹出孔17に対し、基準点Pから離れた別の領域に設けられる吹出孔17が、形状及び大きさを異ならせて形成されている。また、第1突起体16aに近い領域に設けられる第1突起体16aの側面孔18aに対し、基準点Pから離れた別の領域に設けられる第2突起体16bの側面孔18bが、形状及び大きさを異ならせて形成されている。これにより、基準点Pに近い領域と、基準点Pから離れた領域とにおける空気の通過のし易さを異ならせることができるので、吹出面部15の吹出孔17及び突起体16の側面孔18から出力される空気の風力(又は風速)を、基準点Pからの距離が変化しても均一に近づけることができる。よって、毛髪や頭部に向けて出力される空気を広範囲にわたって均一な状態に近づけることができ、毛髪の乾燥や頭部のマッサージ等の施術を実施し易くすることができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した発明の実施の形態に限定されず、上記した各効果と同様の効果を奏する別の実施の形態に変更できることは勿論である。
【0059】
上記実施形態においては、突起体16が一定間隔で配置される仮想の環状線(第1環状線M1及び第2環状線M2)を円形とする場合について説明したが、仮想の環状線は円形に限らず、楕円形や長円形など、他の形状であってもよい。また、第1環状線M1と第2環状線M2との形は必ずしも同一の形状とする必要はなく、第1環状線M1を円形とし、第2環状線M2を楕円形とするなど、異なる形状によって構成してもよい。
【0060】
また、突起体16が内周側と外周側とにおいて、それぞれ1本の仮想の環状線M1,M2上に配置される場合について説明したが、内周側又は外周側において、大きさの異なる2本以上の仮想線上に、突起体16が配置される構成であってもよい。また、吹出孔17についても、基準点Pを中心とする円形の仮想線上に配置される場合について説明したが、突起体16と同様、楕円形や長円形などの他の形状をした仮想線上に、一定の間隔を隔てて配置されるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、吹出孔17と、突起体16の側面孔18とのいずれもが複数種類の形状を有する設定について説明したが、吹出孔17または突起体16の側面孔18のいずれか一方が複数種類の形状を有する設定にすればよく、この場合であっても、吹出面部15の広範囲において出力される空気の風力を均一に近づけることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のディフューザーは、ヘアドライヤの付属部品として利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 :ディフューザー
11 :ヘアドライヤ
12 :出力部
13 :入口部
14 :本体部
15 :吹出面部
16 :突起体
16a :第1突起体
16b :第2突起体
17,17a,17b,17c,17d,17e :吹出孔
18,18a,18b :側面孔
19 :内部通路
【要約】
【課題】毛髪や頭部に向けて空気を好適に出力可能にする。
【解決手段】
ディフューザーには、空気を出力する出力部として、吹出面部15に多数の吹出孔17が設けられ、複数の突起体16に1又は2の側面孔18が設けられ、複数の突起体16は、前方側視において基準点Pを囲う第1環状線M1上と、第2環状線M2上に配置され、前方側視において第1突起体16aに近い領域に設けられる吹出孔17bが円錐台形の孔により構成されるのに対し、その領域より基準点Pから離れた別の領域に設けられる吹出孔17aは、円柱状の孔形状にすることで、形状を異ならせて形成されている。
【選択図】
図4