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特許7305020動物の腫瘍を処置するための融合タンパク質および組成物
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  • 特許-動物の腫瘍を処置するための融合タンパク質および組成物 図1
  • 特許-動物の腫瘍を処置するための融合タンパク質および組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】動物の腫瘍を処置するための融合タンパク質および組成物
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20230630BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230630BHJP
   C07K 14/535 20060101ALI20230630BHJP
   C07K 14/55 20060101ALI20230630BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20230630BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20230630BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20230630BHJP
   C12N 15/26 20060101ALN20230630BHJP
   C12N 15/27 20060101ALN20230630BHJP
【FI】
C07K19/00
A61P35/00 ZNA
A61K38/17
A61K9/08
A61K47/36
C07K14/535
C07K14/55
C07K14/54
C12N15/24
C12N15/62 Z
C12N15/26
C12N15/27
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022501173
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 CN2020097441
(87)【国際公開番号】W WO2021008308
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】201910627990.4
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522010484
【氏名又は名称】北京科諾科服生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】張晋宇
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-507012(JP,A)
【文献】特表2022-530153(JP,A)
【文献】国際公開第2019/129053(WO,A1)
【文献】EBioMedicine, 2018; 37: pp. 38-46
【文献】Immunol. Rev., 2016; 270(1): pp. 178-192
【文献】Adv. Drug Deliv. Rev., 2017; 114: pp. 79-101
【文献】Cancer Immunol Immunother, 2015; 64(6): pp. 689-696
【文献】Oncoimmunology, 2015; 3(12): e9680001
【文献】Biomaterialls, 2013; 34(15): pp. 3828-3836
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL12、IL2およびGMCSFペプチド断片を含む、動物の腫瘍を処置するための融合タンパク質であって、
前記IL12、IL2およびGMCSFペプチド断片がネコまたはイヌから得られ、前記融合タンパク質は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6で示される、融合タンパク質
【請求項2】
請求項に記載の融合タンパク質およびキトサン溶液を含む、動物の腫瘍を処置するための組成物。
【請求項3】
30体積%~70体積%の融合タンパク質溶液および70体積%~30体積%のキトサン溶液を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
50体積%の融合タンパク質溶液および50体積%のキトサン溶液を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記キトサン溶液が、1重量%~10重量%のキトサンを含む溶液である、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
前記キトサン溶液が、3重量%~8重量%のキトサンを含む溶液である、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記キトサン溶液が、3重量%のキトサンを含む溶液である、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗腫瘍薬の技術分野に関し、特に、動物の腫瘍を処置するための融合タンパク質および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は特定の細胞が局所組織において異常にクローン増殖し、様々な発がん因子の作用を受けて遺伝子レベルでの正常な増殖調節を失ったことによって形成された新しい有機体である。これらの新しい有機体はほとんどが占拠性の塊状突起であるため、新生物とも呼ばれる。
【0003】
近年、腫瘍を処置するための多くの新しい方法が登場している。現在、一般的で効果的な処置方法として、放射線療法、化学療法、手術、免疫療法などが含まれる。しかしながら、放射線治療および化学療法の重篤な有害反応、手術のリスクが高いこと、固形腫瘍に対する免疫療法の効果が乏しいことなど、まだ問題点もある。
【0004】
本出願人によって以前に出願された係属中の中国特許出願第CN201810104146.9号には、タンパク質IL12、GMCSFおよびIL2を含み、IL12タンパク質:GMCSFタンパク質:IL2タンパク質の質量比が0.1~10:0.1~10:0.1~10である抗腫瘍薬組成物が開示されている。実用における組成物は様々な固形腫瘍患者の病態コントロールにおいて非常に良好な役割を果たし、一部の患者は完全寛解を達成することさえ可能である。処置中は、患者の体への刺激が少なく、有害反応も軽いため、患者の生活の質が大幅に向上する。ただし、3つのタンパク質の組成物を実用において使用しているため、実際の適用においては1つずつ成分を調製し、それらを割合で混合する必要がある。その結果、調製プロセスが複雑であること、品質管理が困難であること、コストが高いことなどの問題がある。
【0005】
したがって、良好な治癒効果を達成しながら、調製プロセスを減らし、品質管理を改善し、薬剤コストを低減するために、固形腫瘍の病態をより良好に制御する、または、完全にさえ緩和することができる単一成分の抗腫瘍タンパク質薬が当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の欠点に鑑みて、本発明の目的の1つは、低コスト、高効率および簡便に、動物の腫瘍を処置することができる融合タンパク質を提供することである。
【0007】
上記目的は、以下の手段によって達成される。
【0008】
一態様において、本発明は、IL12、IL2およびGMCSFペプチド断片を含む、動物の腫瘍を処置するための融合タンパク質を提供する。融合タンパク質のアミノ酸配列において、IL12、IL2およびGMCSF、またはIL2、IL12およびGMCSF、またはIL12、GMCSFおよびIL2など、ペプチド断片間の連結の順序を変更可能である。3つのペプチド断片は、直接連結し得るか、または当技術分野で一般的なリンカーと連結し得る。例えば、リンカーは、GSGGSG、GSGGSGG、GSGGSGGG、GGGGSGGGなどの柔軟な連結断片であり得る。好ましい実施形態において、融合タンパク質は、ネコまたはイヌから得られるIL12、IL2およびGMCSFペプチド断片を連結することによって形成されるアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態において、融合タンパク質は、ネコまたはイヌから得られるIL12、GMCSFおよびIL2ペプチド断片を連結することによって形成されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、IL12ペプチド断片は、IL12aおよびIL12bの2つのサブユニットからなる。一実施形態において、IL12、IL2およびGMCSFペプチド断片は、ネコまたはイヌから得られる。
【0009】
本技術的解決手段により、各種動物の固体腫瘍に対して良好な阻害効果を有する融合タンパク質が得られる。融合タンパク質は腫瘍を縮小させることができ、または腫瘍を消失させることさえ可能である。融合タンパク質は、悪性腫瘍の転移をより良く阻害することができ、患者の生活の質を大幅に改善する。
【0010】
第1の態様において、さらに好ましくは、IL2およびGMCSFペプチド断片がDiaNHS76F8ペプチド断片と連結される。例えば、いくつかの特定の実施形態において、融合タンパク質は、cIL12bIL12aIL2GMCSF(配列番号1)、cIL12bIL12aGMCSFIL2(配列番号2)、fIL12bIL12aIL2GMCSF(配列番号3)、fIL12bIL12aGMCSFIL2(配列番号4)、cIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSF(配列番号5)、または、fIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSF(配列番号6)である。
【0011】
DiaNHS76F8ペプチド断片は、腫瘍標的化を増強する能力を有する。本技術的解決手段により、融合タンパク質の腫瘍標的化効果をさらに増強することができる。
【0012】
さらに好ましくは、腫瘍は、黒色腫、腎臓がん、前立腺がん、乳がん、結腸がん、肺がん、肝臓がん、骨肉腫(bone cancer)、膵臓がん、皮膚がん、頭部または頸部がん、口腔がん、鼻咽頭がん、皮膚または眼の悪性黒色腫、子宮体がん、卵巣がん、直腸がん、肛門がん、胃がん、精巣がん、子宮がん(uterus cancer)、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、膣がん、外陰がん、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道がん、小腸がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓または尿管がん、腎盂がん、中枢神経系腫瘍、中枢神経系原発悪性リンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、幹肉腫(trunk sarcoma)および基底細胞腫瘍からなる群から選択される1つ以上を含む。いくつかの好ましい実施において、腫瘍は、幹肉腫、基底細胞腫瘍および乳がんである。
【0013】
第2の態様において、上記の第1の態様の融合タンパク質およびキトサン溶液を含む、動物の腫瘍を処置するための組成物を提供する。好ましくは、組成物は、30体積%~70体積%の融合タンパク質溶液および70体積%~30体積%のキトサン溶液を含む。さらに好ましくは、組成物は、40体積%~60体積%の融合タンパク質溶液および60体積%~40体積%のキトサン溶液を含む。さらに好ましくは、組成物は、50体積%の融合タンパク質溶液および50体積%のキトサン溶液を含む。
【0014】
本技術的解決手段により、処置のために動物の腫瘍に直接注入し得る組成物を得ることができる。いかなる理論にも拘束されないが、組成物において、キトサンは主に増粘剤として作用し、これは融合タンパク質の放出速度を遅延しつつ、溶液の粘度を増加させる。これによって、主要な治療成分としての融合タンパク質の有効な作用時間を延長する。
【0015】
キトサン溶液は、1重量%~10重量%のキトサンを含む溶液であることがさらに好ましく、2重量%~9重量%のキトサンを含む溶液であることがさらに好ましく、3重量%~8重量%のキトサンを含む溶液であることがさらに好ましい。特定の実施形態において、キトサン溶液中のキトサンの含有量が1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、またはそれらの間の任意の範囲もしくは任意の値(整数値または小数値を含むが、これらに限定されない)であり得る。
【0016】
キトサンの含有量の範囲を調整することにより、組成物の粘度および融合タンパク質の放出速度を調整することができるため、目的の処置を実行し得る。
【0017】
さらに好ましくは、融合タンパク質溶液は40体積%~60体積%であり、キトサン溶液は70体積%~30体積%である。より好ましくは、融合タンパク質溶液は50体積%であり、キトサン溶液は50体積%である。いくつかの実施形態では組成物において、融合タンパク質溶液は30体積%、31体積%、32体積%、33体積%、34体積%、35体積%、36体積%、37体積%、38体積%、39体積%、40体積%、41体積%、42体積%、43体積%、44体積%、45体積%、46体積%、47体積%、48体積%、49体積%、50体積%、51体積%、52体積%、53体積%、54体積%、55体積%、56体積%、57体積%、58体積%、59体積%、60体積%、61体積%、62体積%、62体積%、64体積%、65体積%、66体積%、67体積%、68体積%、69体積%、70体積%、または、それらの間の任意の範囲もしくは任意の値であり得る。キトサン溶液は、30体積%、31体積%、32体積%、33体積%、34体積%、35体積%、36体積%、37体積%、38体積%、39体積%、40体積%、41体積%、42体積%、43体積%、44体積%、45体積%、46体積%、47体積%、48体積%、49体積%、50体積%、51体積%、52体積%、53体積%、54体積%、55体積%、56体積%、57体積%、58体積%、59体積%、60体積%、61体積%、62体積%、62体積%、64体積%、65体積%、66体積%、67体積%、68体積%、69体積%、70体積%、または、それらの間の任意の範囲もしくは任意の値であり得る。
【0018】
キトサン溶液に対する融合タンパク質溶液の相対体積比を調整することにより、組成物の粘度および融合タンパク質の放出速度を調整することができるため、目的の処置を実行し得る。
【0019】
以上の本技術的解決手段により、本発明は以下の有利な効果を奏する。
【0020】
1)本発明の融合タンパク質は単一のタンパク質であり、その成分は非常に良好な相乗効果を有し、互いの効果を増強しながら、それらの成分それぞれの毒性および副作用も完全に阻害する。
【0021】
2)調製プロセスが簡便であり、プロセスの品質管理が容易であり、金額およびコストの面で有利である。
【0022】
3)本発明の融合タンパク質を各種の腫瘍の処置に使用するとき、主成分を薬剤溶液中で調製した後、腫瘍に直接注入する。これは、強い標的化効果を有し、有害反応はわずかまたは全くない。
【0023】
4)融合タンパク質は各種の固形腫瘍に対して良好な阻害効果を有し、腫瘍を縮小させることができ、または腫瘍を消失させることさえ可能である。融合タンパク質は、悪性腫瘍の転移をより良く阻害することができ、患者の生活の質を大幅に改善する。
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。これらの添付の図面は例示の目的だけのものであり、いかなる形でも本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを当業者であれば理解するのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例10の処置による投与前のイヌ右前肢肉腫の写真である。
図2】本発明の実施例10の処置による投与後のイヌ右前肢肉腫の比較写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のいくつかの具体的な実施形態について、添付の図面および実施例を参照して説明する。これらの実施例は本発明の解決手段がどのように実施され得るかを例示する目的だけのものであり、いかなる形でも本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを当業者であれば理解するのであろう。
【0027】
一実施形態において、本発明は、IL12、IL2およびGMCSFペプチド断片を含む、動物の腫瘍を処置するための融合タンパク質を提供する。
【0028】
融合タンパク質において、IL12はインターロイキン-12(IL-12)であり、広範囲の生物学的活性を有するサイトカインであり、活性化炎症細胞により主に産生される。IL12のコード領域はIL12aおよびIL12bの2つのサブユニットを含み、T2A配列と連結し得る。IL12は免疫系においてT細胞を制御する役割を担い、活性化T細胞によって産生されるサイトカインであり、身体の免疫応答、抗ウイルス感染などにおいて重要な役割を果たす。現在、IL12は転移性黒色腫および腎細胞がんを含む特定のがんの処置について承認されている。しかしながら、現在、IL12の単独適用にはいくつかの欠点がある。IL12は発熱、嘔吐などの全身症状を引き起こすことがある。また、IL12は、水および塩代謝の障害、ならびに、腎臓、肝臓、心臓、肺などの機能異常を導くこともある。もっとも一般的で重篤な結果は毛細血管漏出症候群であり、患者への処置を中断せざるを得ない。したがって、有害反応を軽減するために、通常は併用投与が必要である。
【0029】
融合タンパク質において、IL2はインターロイキン-2である。IL2は比較的強い抗腫瘍活性(IL12よりも強い)を有し、副作用も比較的軽微である。しかしながら、本発明者が行った多数の実験において、IL2を単独で使用したときに、依然として多くの問題がある。例えば、IL2は用量依存性であり、一連の処置において比較的高用量のIL2が必要となる。これは、高コストであり、貧血、血小板減少などを引き起こし易い。
【0030】
融合タンパク質において、GMCSFは顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子であり、骨髄幹細胞の成熟顆粒球への増殖および分化を刺激し、骨髄幹細胞の、顆粒球(好中球顆粒球および好酸性顆粒球を含む)、赤血球細胞、巨核球、骨髄性単球および単球の共通前駆細胞への分化を促進し、上記系列の造血幹細胞の増殖および成熟を促進する。しかしながら、好塩基性顆粒球に対しての作用は非自明であり、赤血球に発展する造血細胞(erythroid advanced hematopoietic cell)に対する作用はわずかであるという欠点が存在する。
【0031】
上記の理由から、有効な相乗効果を利用しつつ、毒性および副作用を減少させるために、種々のサイトカインを組み合わせることを本出願人は試みた。多くのスクリーニング作業を通して、上記3つのサイトカイン(すなわち、IL12、IL2およびGMCSF)を組み合わせることにより、それぞれの欠点を回避しつつ、非常に重要な腫瘍処置効果を達成することができることを本発明者は最終的に見出した。現在のメカニズムはまだ不明であるが、IL12、IL2およびGMCSFの間に非常に良好な相乗効果があることを本発明者は観察している。これは、組合せによって、病気の動物の免疫系を刺激して腫瘍細胞を認識して殺滅し、その結果、悪性腫瘍を阻害し、かくして腫瘍を縮小または腫瘍を消失さえさせ、同時に、副作用がほとんど観察されないという点を明らかにしている。
【0032】
この発見に基づき、本発明者は、出願人が先に出願した係属中の出願(中国特許出願第CN201810104146.9号)の内容を完成させた。さらに、本発明者はIL12、IL2およびGMCSFを組成物に調製するとき、細胞を別々に調製し、それらを培養してそれぞれのタンパク質を得て、最後にタンパク質を混合する必要があることも認識した。これは、複雑な調製プロセス、プロセスの品質管理の困難性、および高コストの問題をもたらした。これに基づいて、本発明者はこれらの問題を解決するために、IL2、IL2およびGMCSFを融合タンパク質に調製することを提案した。本発明は、この発見に基づいて創作される。
【0033】
以下、具体的な実施形態を参照して、本発明の好ましい実施形態をさらに詳細に説明する。これらの例示である実施例は例示の目的だけのものであり、いかなる形でも本発明を限定することを意図するものではないことを当業者であれば理解するのであろう。
【実施例
【0034】
〔試薬〕
DMEM培地、1640培地およびウシ胎児血清をLife Technologiesから購入した。CDM4HEK293無血清培地をThermoから購入した。細胞培養フラスコおよび培養プレートをCorningから購入した。ピューロマイシンをChemiconから購入した。制限酵素をTakaraおよびNEBから購入した。リガーゼをNEBから購入した。DNAポリメラーゼをTakaraから購入した。プラスミド抽出キットおよびゲル精製キット(gel recovery kit)をOmega Biotechから購入した。プライマー合成をSangon Biotech (Shanghai) Co,, Ltd.によって完了し、遺伝子合成および配列決定をLife Technologiesによって完了した。IL12およびIL2 ELISAキットはThermoから購入した。GMCSF ELISAキットはSigmaから購入した。キトサン(Protosan G 213)はNovaMatrixから購入した。組換えイヌIL12、GMCSFおよびIL2タンパク質ならびに組換えネコIL12、GMCSFおよびIL2タンパク質は、Novus Biologicalsから購入した。
【0035】
〔実施例1〕IL12発現細胞の構築
イヌIL12遺伝子のコード領域を合成した。当該コード領域は、T2A配列と連結した2つのサブユニットであるIL12a(Genbankアクセッション番号:NM_001003293)およびIL12b(Genbankアクセッション番号:NM_001003292)を含んだ。合成した遺伝子は2つの末端にそれぞれBamHIおよびXhoI制限部位を有した。次に、BamHIおよびXhoI酵素で当該遺伝子を消化させた。系は以下の通りであった:5μgのIL12プラスミド、4μLの酵素消化バッファー、1μLのBamHI、1μLのXhoI、40μLの最終量(final volume)まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、4.4μLの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、IL12遺伝子断片を後の使用のために回収した。
【0036】
発現ベクターpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROを消化させた。系は以下の通りであった:2μgのプラスミド、3μLの酵素消化バッファー、1μLのBamHI、1μLのXhoI、30μLの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、3.3μLの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、ベクター断片を後の使用のために回収した。
【0037】
pLentis-CMV-MCS-IRES-PUROをIL12と連結した。系は以下の通りであった:2μLのpLentis-CMV-MCS-IRES-PURO、2μLのIL12、1μLのリガーゼバッファー、0.5μLのT4 DNAリガーゼ、および4.5μLの水。混合物を室温に置き、4時間連結させた。そして、連結系をコンピテント大腸菌細胞に形質転換した。2日目に、形質転換プレートから細菌コロニーを採集し、LB培地に接種し、シェーカーにおいて37℃で一晩培養した。プラスミド抽出キットを使用して、培養した細菌からプラスミドを抽出した。酵素消化を行って、断片がベクターにうまく連結されたかどうかを決定し、次いで、正しいベクターを配列決定のために送り、構築が成功したことを確認した。発現ベクターはpLentis-CMV-IL12-PGK-PUROであった。
【0038】
調節ベクター(regulatory vector)を含むウイルスを調製した。当該方法を以下に示す。(1)培養した293FT細胞を消化させ、計数後、3×106細胞/ウェルを10cm培養皿に広げ、培養液の量は10mlであった。(2)翌晩、細胞状態を観察し、細胞状態が良好であれば、細胞にトランスフェクトすることができた。クロロキンを培養プレートに最終濃度25μmまで加えた。1つの試験管を取り出し、滅菌水および以下のプラスミド(5μgのpMD2.G+15μgのpSPAX2+20μgのpLentis-CMV-IL12-PGK-PURO)を総量1045μLとして加えた。次に、155μLの2M CaClを加え、均一に混合し、最後に1200μLの2×HBSを加えた。これらの成分を滴加しながら試験管を振動させた。滴加終了後、混合物を速やかに細胞培養ウェルに加え、穏やかに振盪させ、均一に混合した。(3)3日目の朝、細胞状態を観察し、培地を10mlの新鮮なDMEM培地に置換した。(4)5日目の朝、細胞状態を観察した。培養皿中の上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過し、高速遠心管に入れて、50000gで2時間遠心分離した。上清を慎重に廃棄し、吸収紙で可能な限り液体を吸収させた後、沈殿物を500μLのHBSSで再懸濁し、2時間溶解させ、小さなチューブに充填し、-70℃で保存した。
【0039】
293細胞を以下の方法によりウイルスでトランスフェクトした。培養した293細胞を消化させ、1mlの培地量で、105細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播種した。24時間後、調節ベクターを含むウイルス10μLを加え、インキュベーター中でさらに24時間培養を続け、次いで上清を廃棄し、培地を新鮮な培地に置き換えて培養を続けた。細胞が一杯になった後、細胞を培養フラスコに移し、細胞に適した濃度のピューロマイシンを加えて培地を続け、培地を2日ごとに置き換え、ピューロマイシンの濃度を3μg/mlに維持した。1週間のスクリーニング後、生存している細胞は調節タンパク質を安定して発現する細胞であり、293(IL12)と命名した。
【0040】
〔実施例2〕GMCSF発現細胞の構築
イヌGMCSF(Genbankアクセッション番号:NM_001003245)遺伝子のコード領域を合成した。合成した遺伝子は2つの末端にそれぞれBamHIおよびXhoI制限部位を有した。次に、BamHIおよびXhoI酵素で当該遺伝子を消化させた。系は以下の通りであった:5μgのGMCSFプラスミド、4μLの酵素消化バッファー、1μLのBamHI、1μLのXhoI、40μLの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、4.4μLの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、GMCSF遺伝子断片を後の使用のために回収した。
【0041】
発現ベクターpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROを消化した。系は以下の通りであった:2μgのプラスミド、3μLの酵素消化バッファー、1μLのBamHI、1μLのXhoI、30μLの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、3.3μLの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、ベクター断片を後の使用のために回収した。
【0042】
pLentis-CMV-MCS-IRES-PUROをGMCSFと連結した。系は以下の通りであった:2μLのpLentis-CMV-MCS-IRES-PURO、2μLのGMCSF、1μLのリガーゼバッファー、0.5μLのT4 DNAリガーゼ、および4.5μLの水。混合物を室温に置き、4時間連結させた。次に、連結系をコンピテント大腸菌に形質転換した。2日目に、形質転換プレートから細菌コロニーを採集し、LB培地に接種し、シェーカーにおいて37℃で一晩培養した。プラスミド抽出キットを使用して、培養した細菌からプラスミドを抽出した。酵素消化を行って、断片がベクターにうまく連結されたかどうかを決定し、次いで、正しいベクターを配列決定のために送り、構築が成功したことを確認した。発現ベクターはpLentis-CMV-GMCSF-PGK-PUROであった。
【0043】
調節ベクターを含むウイルスを調製した。当該方法を以下に示す。(1)培養した293FT細胞を消化させ、計数後、3×106細胞/ウェルを10cm培養皿に広げ、培養液の量は10mlであった。(2)翌晩、細胞状態を観察し、細胞状態が良好であれば、細胞にトランスフェクトすることができた。クロロキンを培養プレートに最終濃度25μmまで加えた。1つの試験管を取り出し、滅菌水および以下のプラスミド(5μgのpMD2.G+15μgのpSPAX2+20μgのpLentis-CMV-GMCSF-PGK-PURO)を総量1045μLとして加えた。次に、155μLの2M CaClを加え、均一に混合し、最後に1200μLの2×HBSを加えた。これらの成分を滴加しながら試験管を振動させた。滴加終了後、混合物を速やかに細胞培養ウェルに加え、穏やかに振盪させ、均一に混合した。(3)3日目の朝、細胞状態を観察し、培地を10mlの新鮮なDMEM培地に置換した。(4)5日目の朝、細胞状態を観察した。培養皿中の上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過し、高速遠心管に入れて、50000gで2時間遠心分離した。上清を慎重に廃棄し、吸収紙で可能な限り液体を吸収させた後、沈殿物を500μLのHBSSで再懸濁し、2時間溶解させ、小さなチューブに充填し、-70℃で保存した。
【0044】
293細胞を以下の手法によりウイルスでトランスフェクトした。培養293細胞を消化させ、1mlの培地量で、105細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播種した。24時間後、調節ベクターを含むウイルス10μLを加え、インキュベーター中でさらに24時間培養を続け、次いで上清を廃棄し、培地を新鮮な培地に置き換えて培養を続けた。細胞が一杯になった後、細胞を培養フラスコに移し、細胞に適した濃度のピューロマイシンを加えて培養を続け、培地を2日ごとに置き換え、ピューロマイシンの濃度を3μg/mlに維持した。1週間のスクリーニング後、生存している細胞は調節タンパク質を安定して発現する細胞であり、293(GMCSF)と命名した。
【0045】
〔実施例3〕IL2発現細胞の構築
イヌIL2(Genbankアクセッション番号:NM_001003305)遺伝子のコード領域を合成した。合成された遺伝子は2つの末端にそれぞれBamHIおよびXhoI制限部位を有した。次に、BamHIおよびXhoI酵素で当該遺伝子を消化させた。系は以下の通りであった:5μgのIL2プラスミド、4μLの酵素消化バッファー、1μLのBamHI、1μLのXhoI、40μLの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、4.4μLの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、IL2遺伝子断片を後の使用のために回収した。
【0046】
発現ベクターpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROを消化した。系は以下の通りであった:2μgのプラスミド、3μLの酵素消化バッファー、1μLのBamHI、1μLのXhoI、30μLの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、3.3μLの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、ベクター断片を後の使用のために回収した。
【0047】
pLentis-CMV-MCS-IRES-PUROをIL2と連結した。系は以下の通りであった:2μLのpLentis-CMV-MCS-IRES-PURO、2μLのIL2、1μLのリガーゼバッファー、0.5μLのT4 DNAリガーゼ、および4.5μLの水。混合物を室温に置き、4時間連結させた。次に、連結系をコンピテント大腸菌細胞に形質転換した。2日目に、形質転換プレートから細菌コロニーを採集し、LB培地に接種し、シェーカーにおいて37℃で一晩培養した。プラスミド抽出キットを使用して、培養した細菌からプラスミドを抽出した。酵素消化を行って、断片がベクターにうまく連結されたかどうかを決定し、次いで、正しいベクターを配列決定のために送り、構築が成功したことを確認した。発現ベクターはpLentis-CMV-IL2-PGK-PUROであった。
【0048】
調節ベクターを含むウイルスを調製した。当該方法を以下に示す。(1)培養した293FT細胞を消化させ、計数後、3×106細胞/ウェルを10cm培養皿に広げ、培養液の量は10mlであった。(2)翌晩、細胞状態を観察し、細胞状態が良好であれば、細胞にトランスフェクトすることができた。クロロキンを培養プレートに最終濃度25μmまで加えた。1つの試験管を取り出し、滅菌水および以下のプラスミド(5μgのpMD2.G+15μgのpSPAX2+20μgのpLentis-CMV-IL2-PGK-PURO)を総量1045μLとして加えた。次に、155μLの2M CaClを加え、均一に混合し、最後に1200μLの2×HBSを加えた。これらの成分を滴加しながら試験管を振動させた。滴加終了後、混合物を速やかに細胞培養ウェルに加え、穏やかに振盪させ、均一に混合した。(3)3日目の朝、細胞状態を観察し、培地を10mlの新鮮なDMEM培地に置換した。(4)5日目の朝、細胞状態を観察した。培養皿中の上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過し、高速遠心管に入れて、50000gで2時間遠心分離した。上清を慎重に廃棄し、吸収紙で可能な限り液体を吸収させた後、沈殿物を500μLのHBSSで再懸濁し、2時間溶解させ、小さなチューブに充填し、-70℃で保存した。
【0049】
293細胞を以下の手法によりウイルスでトランスフェクトした:培養293細胞を消化させ、1mlの培地量で、105細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播種した。24時間後、調節ベクターを含むウイルス10μLを加え、インキュベーター中でさらに24時間培養を続け、次いで上清を廃棄し、培地を新鮮な培地に置き換えて培養を続けた;細胞が一杯になった後、細胞を培養フラスコに移し、細胞に適した濃度のピューロマイシンを加えて培養を続け、培地を2日ごとに置き換え、ピューロマイシンの濃度を3μg/mlに維持した。1週間のスクリーニング後、生存している細胞は調節タンパク質を安定して発現する細胞であり、293(IL2)と命名した。
【0050】
〔実施例4〕タンパク質分子cIL12bIL12aIL2GMCSFの発現
(4.1 発現ベクターの構築)
タンパク質分子cIL12bIL12aIL2GMCSFはそのフロントエンドに分泌シグナルペプチドを有し、精製を容易にするためにそのバックエンドに6×Hisを加えた。遺伝子に対応するDNA配列を合成し、配列中のBamHIまたはXhoI部位を縮重コドンに変異させた。合成した配列のフロントエンドおよびバックエンドには、それぞれBamHIおよびXhoI制限部位を与えた。標的遺伝子を有する合成プラスミドを消化させた。系は以下の通りであった:5μgのプラスミド、4μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、40μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、4.4μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、断片を後の使用のために回収した。
【0051】
ベクターpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROをEPチューブ中で消化させた。系は以下の通りであった:2μgのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROプラスミドベクター、3μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、30μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、3.3μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、pLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片を後の使用のために回収した。
【0052】
cIL12bIL12aIL2GMCSFをpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROと連結した。系は以下の通りであった:2μlのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片、2μlの遺伝子断片、1μlのリガーゼバッファー、0.5μlのT4 DNAリガーゼ、および4.5μlの水。混合物を室温に置き、4時間連結させた。そして、連結系をコンピテント大腸菌細胞に形質転換した。2日目に、形質転換プレートから細菌コロニーを採集し、LB培地に接種し、シェーカーにおいて37℃で一晩培養した。プラスミド抽出キットを使用して、培養した細菌からプラスミドを抽出した。酵素消化を行って、断片がベクターにうまく連結されたかどうかを決定し、次いで、正しいベクターを配列決定し、構築が成功したことを確認した。発現ベクターpLentis-CMV-cIL12bIL12aIL2GMCSF-IRES-PUROを得た。
【0053】
(4.2 発現ウイルスの調製)
1)培養した293FT細胞を消化させ、計数後、3×106細胞/ウェルを10cm培養皿に広げ、培養液の体積は10mlであった。
【0054】
2)翌晩、細胞の状態を観察し、細胞の状態が良好であれば、細胞にトランスフェクトすることができた。クロロキンを培養プレートに最終濃度25μMまで加えた。1つの試験管を取り出し、滅菌水を加え、以下のプラスミド(6μgのpMD2.G+15μgのpSPAX2+20μgの発現ベクター)を総量1045μlとして加えた。次に、155μlの2M CaClを加え、均一に混合し、最後に1200μlの2×HBSを加えた。これらの成分を滴加しながら試験管を振動させた。滴加終了後、混合物を速やかに細胞培養ウェルに加え、穏やかに振盪させ、均一に混合した。
【0055】
3)3日目の朝、細胞状態を観察し、培地を10mlの新鮮なDMEM培地に置換した。
【0056】
4)5日目の朝、細胞状態を観察した。培養皿中の上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過した後、高速遠心管に入れて、50000gで2時間遠心分離した。上清を慎重に廃棄し、吸収紙で可能な限り液体を吸収させた後、沈殿物を200μlのHBSSで再懸濁し、2時間溶解させ、小さなチューブに充填し、-70℃で保存した。
【0057】
(4.3 発現細胞の調製)
培養した293A細胞を消化させ、1mlの培地量で、105細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播種した。24時間後、上記標的遺伝子を発現するウイルス10μlを加え、インキュベーター中でさらに24時間培養を続けた。次いで上清を廃棄し、培地を新鮮な培地に置き換えて培養を続けた。細胞が一杯になった後、細胞を培養フラスコに移し、3μg/mlの最終濃度のピューロマイシンを加えて培養を続けた。培地を2日ごとに置き換え、ピューロマイシンの濃度を維持した。1週間のスクリーニング後、生存している細胞はタンパク質を安定して発現する細胞であり、293A-cIL12bIL12aIL2GMCSFと命名した。
【0058】
(4.4 タンパク質の発現および精製)
構築したcIL12bIL12aIL2GMCSF発現細胞293A-cIL12bIL12aIL2GMCSFを15cm培養皿で継代培養した。細胞が一杯になった後、培地を30mlのCDM4HEK293で置き換え、さらに5日間培養を続けた。次いで上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過し、限外ろ過し、50kdのAMICON ULTRA-15で濃縮した。得られた濃縮タンパク質溶液をニッケルキレート磁性ビーズ(Beaver Biosciences Inc.)で精製し、指示書に従って操作フローを行った。得られた精製タンパク質溶液をAMICON ULTRA-0.5限外ろ過チューブで限外ろ過し、バッファーをPBSで置き換えた。最終的に得られたタンパク質溶液のタンパク質濃度を、IL12p70 ELISAキットを使用して検出した。PBSによりタンパク質濃度を2μg/μlに調整した後、タンパク質溶液を充填し、-20℃で保存した。
【0059】
〔実施例5〕タンパク質分子cIL12bIL12aGMCSFIL2の発現
(5.1 発現ベクターの構築)
タンパク質分子cIL12bIL12aGMCSFIL2はそのフロントエンドに分泌シグナルペプチドを有し、精製を容易にするためにそのバックエンドに6×Hisを加えた。遺伝子に対応するDNA配列を合成し、配列中のBamHIまたはXhoI部位を縮重コドンに変異させた。合成した配列のフロントエンドおよびバックエンドには、それぞれBamHIおよびXhoI制限部位を与えた。標的遺伝子を有する合成プラスミドを消化させた。系は以下の通りであった:5μgのプラスミド、4μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、40μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、4.4μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、断片を後の使用のために回収した。
【0060】
ベクターpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROをEPチューブ中で消化させた。系は以下の通りであった:2μgのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROプラスミドベクター、3μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、30μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、3.3μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、pLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片を後の使用のために回収した。
【0061】
cIL12bIL12aGMCSFIL2をpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROと連結した。系は以下の通りであった:2μlのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片、2μlの遺伝子断片、1μlのリガーゼバッファー、0.5μlのT4 DNAリガーゼ、および4.5μlの水。混合物を室温に置き、4時間連結させた。そして、連結系をコンピテント大腸菌細胞に形質転換した。2日目に、形質転換プレートから細菌コロニーを採集し、LB培地に接種し、シェーカーにおいて37℃で一晩培養した。プラスミド抽出キットを使用して、培養した細菌からプラスミドを抽出した。酵素消化を行って、断片がベクターにうまく連結されたかどうかを決定し、次いで、正しいベクターを配列決定し、構築が成功したことを確認した。発現ベクターpLentis-CMV-cIL12bIL12aGMCSFIL2-IRES-PUROを得た。
【0062】
(5.2 発現ウイルスの調製)
1)培養した293FT細胞を消化させ、計数後、3×106細胞/ウェルを10cm培養皿に広げ、培養液の体積は10mlであった。
【0063】
2)翌晩、細胞の状態を観察し、細胞の状態が良好であれば、細胞にトランスフェクトすることができた。クロロキンを培養プレートに最終濃度25μMまで加えた。1つの試験管を取り出し、滅菌水を加え、以下のプラスミド(6μgのpMD2.G+15μgのpSPAX2+20μgの発現ベクター)を総量1045μlとして加えた。次に、155μlの2M CaClを加え、均一に混合し、最後に1200μlの2×HBSを加えた。これらの成分を滴加しながら試験管を振動させた。滴加終了後、混合物を速やかに細胞培養ウェルに加え、穏やかに振盪させ、均一に混合した。
【0064】
3)3日目の朝に、細胞状態を観察し、培地を10mlの新鮮なDMEM培地に置換した。
【0065】
4)5日目の朝、細胞状態を観察した。培養皿中の上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過した後、高速遠心管に入れて、50000gで2時間遠心分離した。上清を慎重に廃棄し、吸収紙で可能な限り液体を吸収させた後、沈殿物を200μlのHBSSで再懸濁し、2時間溶解させ、小さなチューブに充填し、-70℃で保存した。
【0066】
(5.3 発現細胞の調製)
培養した293A細胞を消化させ、1mlの培地量で、105細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播種した。24時間後、上記標的遺伝子を発現するウイルス10μlを加え、インキュベーター中でさらに24時間培養を続けた。次いで上清を廃棄し、培地を新鮮な培地に置き換えて培養を続けた。細胞が一杯になった後、細胞を培養フラスコに移し、3μg/mlの最終濃度のピューロマイシンを加えて培養を続けた。培地を2日ごとに置き換え、ピューロマイシンの濃度を維持した。1週間のスクリーニング後、生存している細胞はタンパク質を安定して発現する細胞であり、293A-cIL12bIL12aGMCSFIL2と命名した。
【0067】
(5.4 タンパク質の発現および精製)
構築したcIL12bIL12aGMCSFIL2発現細胞293A-cIL12bIL12aGMCSFIL2を15cm培養皿で継代培養した。細胞が一杯になった後、培地を30mlのCDM4HEK293で置き換え、さらに5日間培養を続けた。次いで上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過し、限外ろ過し、50kdのAMICON ULTRA-15で濃縮した。得られた濃縮タンパク質溶液をニッケルキレート磁性ビーズ(Beaver Biosciences Inc.)で精製し、指示書に従って操作フローを行った。得られた精製タンパク質溶液をAMICON ULTRA-0.5限外ろ過チューブで限外ろ過し、バッファーをPBSで置き換えた。最終的に得られたタンパク質溶液のタンパク質濃度を、IL12p70 ELISAキットを使用して検出した。PBSによりタンパク質濃度を2μg/μlに調整した後、タンパク質溶液を充填し、-20℃で保存した。
【0068】
〔実施例6〕タンパク質分子fIL12bIL12aIL2GMCSFの発現
(6.1 発現ベクターの構築)
タンパク質分子fIL12bIL12aIL2GMCSFはそのフロントエンドに分泌シグナルペプチドを有し、精製を容易にするためにそのバックエンドに6×Hisを加えた。遺伝子に対応するDNA配列を合成し、配列中のBamHIまたはXhoI部位を縮重コドンに変異させた。合成した配列のフロントエンドおよびバックエンドには、それぞれBamHIおよびXhoI制限部位を与えた。標的遺伝子を有する合成プラスミドを消化させた。系は以下の通りであった:5μgのプラスミド、4μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、40μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、4.4μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、断片を後の使用のために回収した。
【0069】
ベクターpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROをEPチューブ中で消化させた。系は以下の通りであった:2μgのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROプラスミドベクター、3μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、30μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、3.3μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、pLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片を後の使用のために回収した。
【0070】
fIL12bIL12aIL2GMCSFをpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROと連結した。系は以下の通りであった:2μlのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片、2μlの遺伝子断片、1μlのリガーゼバッファー、0.5μlのT4 DNAリガーゼ、および4.5μlの水。混合物を室温に置き、4時間連結させた。そして、連結系をコンピテント大腸菌細胞に形質転換した。2日目に、形質転換プレートから細菌コロニーを採集し、LB培地に接種し、シェーカーにおいて37℃で一晩培養した。プラスミド抽出キットを使用して、培養した細菌からプラスミドを抽出した。酵素消化を行って、断片がベクターにうまく連結されたかどうかを決定し、次いで、正しいベクターを配列決定し、構築が成功したことを確認した。発現ベクターpLentis-CMV-fIL12bIL12aIL2GMCSF-IRES-PUROを得た。
【0071】
(6.2 発現ウイルスの調製)
1)培養した293FT細胞を消化させ、計数後、3×106細胞/ウェルを10cm培養皿に広げ、培養液の体積は10mlであった。
【0072】
2)翌晩、細胞の状態を観察し、細胞の状態が良好であれば、細胞にトランスフェクトすることができた。クロロキンを培養プレートに最終濃度25μMまで加えた。1つの試験管を取り出し、滅菌水を加え、以下のプラスミド(6μgのpMD2.G+15μgのpSPAX2+20μgの発現ベクター)を総量1045μlとして加えた。次に、155μlの2M CaClを加え、均一に混合し、最後に1200μlの2×HBSを加えた。これらの成分を滴加しながら試験管を振動させた。滴加終了後、混合物を速やかに細胞培養ウェルに加え、穏やかに振盪させ、均一に混合した。
【0073】
3)3日目の朝、細胞状態を観察し、培地を10mlの新鮮なDMEM培地に置換した。
【0074】
4)5日目の朝、細胞状態を観察した。培養皿中の上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過した後、高速遠心管に入れて、50000gで2時間遠心分離した。上清を慎重に廃棄し、吸収紙で可能な限り液体を吸収させた後、沈殿物を200μlのHBSSで再懸濁し、2時間溶解させ、小さなチューブに充填し、-70℃で保存した。
【0075】
(6.3 発現細胞の調製)
培養した293A細胞を消化させ、1mlの培地量で、105細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播種した。24時間後、上記標的遺伝子を発現するウイルス10μlを加え、インキュベーター中でさらに24時間培養を続けた。次いで上清を廃棄し、培地を新鮮な培地に置き換えて培養を続けた。細胞が一杯になった後、細胞を培養フラスコに移し、3μg/mlの最終濃度のピューロマイシンを加えて培養を続けた。培地を2日ごとに置き換え、ピューロマイシンの濃度を維持した。1週間のスクリーニング後、生存している細胞はタンパク質を安定して発現する細胞であり、293A-fIL12bIL12aIL2GMCSFと命名した。
【0076】
(6.4 タンパク質の発現および精製)
構築したIL12bIL12aIL2GMCSF発現細胞293A-fIL12bIL12aIL2GMCSFを15cm培養皿で継代培養した。細胞が一杯になった後、培地を30mlのCDM4HEK293で置き換え、さらに5日間培養を続けた。次いで上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過し、限外ろ過し、50kdのAMICON ULTRA-15で濃縮した。得られた濃縮タンパク質溶液をニッケルキレート磁性ビーズ(Beaver Biosciences Inc.)で精製し、指示書に従って操作フローを行った。得られた精製タンパク質溶液をAMICON ULTRA-0.5限外ろ過チューブで限外ろ過し、バッファーをPBSで置き換えた。最終的に得られたタンパク質溶液のタンパク質濃度を、IL12p70 ELISAキットを使用して検出した。PBSによりタンパク質濃度を2μg/μlに調整した後、タンパク質溶液を充填し、-20℃で保存した。
【0077】
〔実施例7〕タンパク質分子fIL12bIL12aGMCSFIL2の発現
(7.1 発現ベクターの構築)
タンパク質分子fIL12bIL12aGMCSFIL2はそのフロントエンドに分泌シグナルペプチドを有し、精製を容易にするためにそのバックエンドに6×Hisを加えた。遺伝子に対応するDNA配列を合成し、配列中のBamHIまたはXhoI部位を縮重コドンに変異させた。合成した配列のフロントエンドおよびバックエンドには、それぞれBamHIおよびXhoI制限部位を与えた。標的遺伝子を有する合成プラスミドを消化させた。系は以下の通りであった:5μgのプラスミド、4μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、40μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、4.4μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、断片を後の使用のために回収した。
【0078】
ベクターpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROをEPチューブ中で消化させた。系は以下の通りであった:2μgのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROプラスミドベクター、3μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、30μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、3.3μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、pLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片を後の使用のために回収した。
【0079】
fIL12bIL12aGMCSFIL2をpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROと連結した。系は以下の通りであった:2μLのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片、2μLの遺伝子断片、1μLのリガーゼバッファー、0.5μLのT4 DNAリガーゼ、および4.5μLの水。混合物を室温に置き、4時間連結させた。そして、連結系をコンピテント大腸菌細胞に形質転換した。2日目に、形質転換プレートから細菌コロニーを採集し、LB培地に接種し、シェーカーにおいて37℃で一晩培養した。プラスミド抽出キットを使用して、培養した細菌からプラスミドを抽出した。酵素消化を行って、断片がベクターにうまく連結されたかどうかを決定し、次いで、正しいベクターを配列決定し、構築が成功したことを確認した。発現ベクターpLentis-CMV-fIL12bIL12aGMCSFIL2-IRES-PUROを得た。
【0080】
(7.2 発現ウイルスの調製)
1)培養した293FT細胞を消化させ、計数後、3×106細胞/ウェルを10cm培養皿に広げ、培養液の体積は10mlであった。
【0081】
2)翌晩、細胞の状態を観察し、細胞の状態が良好であれば、細胞にトランスフェクトすることができた。クロロキンを培養プレートに最終濃度25μMまで加えた。1つの試験管を取り出し、滅菌水を加え、以下のプラスミド(6μgのpMD2.G+15μgのpSPAX2+20μgの発現ベクター)を総量1045μlとして加えた。次に、155μlの2M CaClを加え、均一に混合し、最後に1200μlの2×HBSを加えた。これらの成分を滴加しながら試験管を振動させた。滴加終了後、混合物を速やかに細胞培養ウェルに加え、穏やかに振盪させ、均一に混合した。
【0082】
3)3日目の朝、細胞状態を観察し、培地を10mlの新鮮なDMEM培地に置換した。
【0083】
4)5日目の朝、細胞状態を観察した。培養皿中の上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過した後、高速遠心管に入れて、50000gで2時間遠心分離した。上清を慎重に廃棄し、吸収紙で可能な限り液体を吸収させた後、沈殿物を200μlのHBSSで再懸濁し、2時間溶解させ、小さなチューブに充填し、-70℃で保存した。
【0084】
(7.3 発現細胞の調製)
培養した293A細胞を消化させ、1mlの培地量で、105細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播種した。24時間後、上記標的遺伝子を発現するウイルス10μlを加え、インキュベーター中でさらに24時間培養を続けた。次いで上清を廃棄し、培地を新鮮な培地に置き換えて培養を続けた。細胞が一杯になった後、細胞を培養フラスコに移し、3μg/mlの最終濃度のピューロマイシンを加えて培養を続けた。培地を2日ごとに置き換え、ピューロマイシンの濃度を維持した。1週間のスクリーニング後、生存している細胞はタンパク質を安定して発現する細胞であり、293A-fIL12bIL12aGMCSFIL2と命名した。
【0085】
(7.4 タンパク質の発現および精製)
構築したIL12bIL12aGMCSFIL2発現細胞293A-fIL12bIL12aGMCSFIL2を15cm培養皿で継代培養した。細胞が一杯になった後、培地を30mlのCDM4HEK293で置き換え、さらに5日間培養を続けた。次いで上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過し、限外ろ過し、50kdのAMICON ULTRA-15で濃縮した。得られた濃縮タンパク質溶液をニッケルキレート磁性ビーズ(Beaver Biosciences Inc.)で精製し、指示書に従って操作フローを行った。得られた精製タンパク質溶液をAMICON ULTRA-0.5限外ろ過チューブで限外ろ過し、バッファーをPBSで置き換えた。最終的に得られたタンパク質溶液のタンパク質濃度を、IL12p70 ELISAキットを使用して検出した。PBSによりタンパク質濃度を2μg/μlに調整した後、タンパク質溶液を充填し、-20℃で保存した。
【0086】
〔実施例8〕タンパク質分子cIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFの発現
(8.1 発現ベクターの構築)
タンパク質分子cIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFはそのフロントエンドに分泌シグナルペプチドを有し、精製を容易にするためにそのバックエンドに6×Hisを加えた。遺伝子に対応するDNA配列を合成し、配列中のBamHIまたはXhoI部位を縮重コドンに変異させた。合成した配列のフロントエンドおよびバックエンドには、それぞれBamHIおよびXhoI制限部位を与えた。標的遺伝子を有する合成プラスミドを消化させた。系は以下の通りであった:5μgのプラスミド、4μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、40μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、4.4μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、断片を後の使用のために回収した。
【0087】
ベクターpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROをEPチューブ中で消化させた。系は以下の通りであった:2μgのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROプラスミドベクター、3μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、30μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、3.3μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、pLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片を後の使用のために回収した。
【0088】
cIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFをpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROと連結した。系は以下の通りであった:2μlのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片、2μlの遺伝子断片、1μlのリガーゼバッファー、0.5μlのT4 DNAリガーゼ、および4.5μlの水。混合物を室温に置き、4時間連結させた。そして、連結系をコンピテント大腸菌細胞に形質転換した。2日目に、形質転換プレートから細菌コロニーを採集し、LB培地に接種し、シェーカーにおいて37℃で一晩培養した。プラスミド抽出キットを使用して、培養した細菌からプラスミドを抽出した。酵素消化を行って、断片がベクターにうまく連結されたかどうかを決定し、次いで、正しいベクターを配列決定し、構築が成功したことを確認した。発現ベクターであるpLentis-CMV-cIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSF-IRES-PUROを得た。
【0089】
(8.2 発現ウイルスの調製)
1)培養した293FT細胞を消化させ、計数後、3×106細胞/ウェルを10cm培養皿に広げ、培養液の体積は10mlであった。
【0090】
2)翌晩、細胞の状態を観察し、細胞の状態が良好であれば、細胞にトランスフェクトすることができた。クロロキンを培養プレートに最終濃度25μMまで加えた。1つの試験管を取り出し、滅菌水を加え、以下のプラスミド(6μgのpMD2.G+15μgのpSPAX2+20μgの発現ベクター)を総量1045μlとして加えた。次に、155μlの2M CaClを加え、均一に混合し、最後に1200μlの2×HBSを加えた。これらの成分を滴加しながら試験管を振動させた。滴加終了後、混合物を速やかに細胞培養ウェルに加え、穏やかに振盪させ、均一に混合した。
【0091】
3)3日目の朝、細胞状態を観察し、培地を10mlの新鮮なDMEM培地に置換した。
【0092】
4)5日目の朝、細胞状態を観察した。培養皿中の上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過した後、高速遠心管に入れて、50000gで2時間遠心分離した。上清を慎重に廃棄し、吸収紙で可能な限り液体を吸収させた後、沈殿物を200μlのHBSSで再懸濁し、2時間溶解させ、小さなチューブに充填し、-70℃で保存した。
【0093】
(8.3 発現細胞の調製)
培養した293A細胞を消化させ、1mlの培地量で、105細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播種した。24時間後、上記標的遺伝子を発現するウイルス10μlを加え、インキュベーター中でさらに24時間培養を続けた。次いで上清を廃棄し、培地を新鮮な培地に置き換えて培養を続けた。細胞が一杯になった後、細胞を培養フラスコに移し、3μg/mlの最終濃度のピューロマイシンを加えて培養を続けた。培地を2日ごとに置き換え、ピューロマイシンの濃度を維持した。1週間のスクリーニング後、生存している細胞はタンパク質を安定して発現する細胞であり、293A-cIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFと命名した。
【0094】
(8.4 タンパク質の発現および精製)
構築したcIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSF発現細胞293A-cIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFを15cm培養皿で継代培養した。細胞が一杯になった後、培地を30mlのCDM4HEK293で置き換え、さらに5日間培養を続けた。次いで上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過し、限外ろ過し、50kdのAMICON ULTRA-15で濃縮した。得られた濃縮タンパク質溶液をニッケルキレート磁性ビーズ(Beaver Biosciences Inc.)で精製し、指示書に従って操作フローを行った。得られた精製タンパク質溶液をAMICON ULTRA-0.5限外ろ過チューブで限外ろ過し、バッファーをPBSで置き換えた。最終的に得られたタンパク質溶液のタンパク質濃度を、IL12p70 ELISAキットを使用して検出した。PBSによりタンパク質濃度を2μg/μlに調整した後、タンパク質溶液を充填し、-20℃で保存した。
【0095】
〔実施例9〕タンパク質分子fIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFの発現
(9.1 発現ベクターの構築)
タンパク質分子fIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFはそのフロントエンドに分泌シグナルペプチドを有し、精製を容易にするためにそのバックエンドに6×Hisを加えた。遺伝子に対応するDNA配列を合成し、配列中のBamHIまたはXhoI部位を縮重コドンに変異させた。合成した配列のフロントエンドおよびバックエンドには、それぞれBamHIおよびXhoI制限部位を与えた。標的遺伝子を有する合成プラスミドを消化させた。系は以下の通りであった:5μgのプラスミド、4μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、40μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、4.4μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、断片を後の使用のために回収した。
【0096】
ベクターpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROをEPチューブ中で消化させた。系は以下の通りであった:2μgのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROプラスミドベクター、3μlの酵素消化バッファー、1μlのBamHI、1μlのXhoI、30μlの最終量まで水を補充。混合物を37℃において12時間静置した。EPチューブを取り出し、3.3μlの10×ローディングバッファーを加えた。そして、得られた混合物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後、pLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片を後の使用のために回収した。
【0097】
fIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFをpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROと連結した。系は以下の通りであった:2μlのpLentis-CMV-MCS-IRES-PUROベクター断片、2μlの遺伝子断片、1μlのリガーゼバッファー、0.5μlのT4DNAリガーゼ、および4.5μlの水。混合物を室温に置き、4時間連結させた。そして、連結系をコンピテント大腸菌細胞に形質転換した。2日目に、形質転換プレートから細菌コロニーを採集し、LB培地に接種し、シェーカーにおいて37℃で一晩培養した。プラスミド抽出キットを使用して、培養した細菌からプラスミドを抽出した。酵素消化を行って、断片がベクターにうまく連結されたかどうかを決定し、次いで、正しいベクターを配列決定し、構築が成功したことを確認した。発現ベクターであるpLentis-CMV-fIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSF-IRES-PUROを得た。
【0098】
(9.2 発現ウイルスの調製)
1)培養した293FT細胞を消化させ、計数後、3×106細胞/ウェルを10cm培養皿に広げ、培養液の体積は10mlであった。
【0099】
2)翌晩、細胞の状態を観察し、細胞の状態が良好であれば、細胞にトランスフェクトすることができた。クロロキンを培養プレートに最終濃度25μMまで加えた。1つの試験管を取り出し、滅菌水を加え、以下のプラスミド(6μgのpMD2.G+15μgのpSPAX2+20μgの発現ベクター)を総量1045μlとして加えた。次に、155μlの2M CaClを加え、均一に混合し、最後に1200μlの2×HBSを加えた。これらの成分を滴加しながら試験管を振動させた。滴加終了後、混合物を速やかに細胞培養ウェルに加え、穏やかに振盪させ、均一に混合した。
【0100】
3)3日目の朝、細胞状態を観察し、培地を10mlの新鮮なDMEM培地に置換した。
【0101】
4)5日目の朝、細胞状態を観察した。培養皿中の上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過した後、高速遠心管に入れて、50000gで2時間遠心分離した。上清を慎重に廃棄し、吸収紙で可能な限り液体を吸収させた後、沈殿物を200μlのHBSSで再懸濁し、2時間溶解させ、小さなチューブに充填し、-70℃で保存した。
【0102】
(9.3 発現細胞の調製)
培養した293A細胞を消化させ、1mlの培地量で、105細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播種した。24時間後、上記標的遺伝子を発現するウイルス10μlを加え、インキュベーター中でさらに24時間培養を続けた。次いで上清を廃棄し、培地を新鮮な培地に置き換えて培養を続けた。細胞が一杯になった後、細胞を培養フラスコに移し、3μg/mlの最終濃度のピューロマイシンを加えて培養を続けた。培地を2日ごとに置き換え、ピューロマイシンの濃度を維持した。1週間のスクリーニング後、生存している細胞はタンパク質を安定して発現する細胞であり、293A-fIL12bIL12aIL2DiaN76F8GMCSFと命名した。
【0103】
(9.4 タンパク質の発現および精製)
構築したfIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSF発現細胞293A-fIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFを15cm培養皿で継代培養した。細胞が一杯になった後、培地を30mlのCDM4HEK293で置き換え、さらに5日間培養を続けた。次いで上清を回収し、0.45μmフィルターでろ過し、限外ろ過し、50kdのAMICON ULTRA-15で濃縮した。得られた濃縮タンパク質溶液をニッケルキレート磁性ビーズ(Beaver Biosciences Inc.)で精製し、指示書に従って操作フローを行った。得られた精製タンパク質溶液をAMICON ULTRA-0.5限外ろ過チューブで限外ろ過し、バッファーをPBSで置き換えた。最終的に得られたタンパク質溶液のタンパク質濃度を、IL12p70 ELISAキットを使用して検出した。PBSによりタンパク質濃度を2μg/μlに調整した後、タンパク質溶液を充填し、-20℃で保存した。
【0104】
〔実施例10〕cIL12bIL12aIL2GMCSFによるイヌ腫瘍の処置例
精製したcIL12bIL12aIL2GMCSF融合タンパク質溶液を、1:1の体積比で3%キトサンと混合し、次いで1ml/バイアルで充填した。混合物は使用直前に混合した。3つのバイアルの試薬を毎回腫瘍内に注入し、腫瘍内注入は15日に1回、3回連続で行った。腫瘍の大きさは以下のように記録した。
【0105】
注:「c」は融合タンパク質がイヌタンパク質であることを示し、これは全文において同じであった。
【0106】
10歳齢のディアドッグ(deer dog)は、65mm×65mm×55mmの大きさの右前肢肉腫を有していた(図1参照)。表1に示すように、3回の腫瘍内注入後、腫瘍面積は85%減少した。腫瘍体積は約95%減少した(図2参照)。投与後、体温は正常で、その他の有害反応は観察されなかった。
【0107】
〔実施例11〕cIL12bIL12aGMCSFIL2によるイヌの腫瘍の処置例
精製したcIL12bIL12aGMCSFIL2融合タンパク質溶液を、1:1の体積比で3%キトサンと混合し、次いで、1ml/バイアルの量で充填した。混合物は使用直前に混合した。3つのバイアルの試薬を毎回腫瘍内に注入し、腫瘍内注入は15日に1回、3回連続で行った。腫瘍の大きさは以下のように記録した。
【0108】
【表1】
【0109】
13歳齢のサモエドドッグ(samoyed dog)は甲状腺がんに罹患し、腫瘍の大きさは約140mm×90mmであった。表2に示すように、3回の腫瘍内注入後、腫瘍面積は80%減少した。投与後、体温は正常で、その他の有害反応は観察されなかった。
【0110】
〔実施例12〕fIL12bIL12aIL2GMCSFによるネコ腫瘍の処置例
精製したfIL12bIL12aIL2GMCSF融合タンパク質溶液を、1:1の体積比で3%キトサンと混合し、次いで、1ml/バイアルで充填した。混合物は使用直前に混合した。2つのバイアルの試薬を毎回腫瘍内に注入し、腫瘍内注入は15日に1回、3回連続で行った。腫瘍の大きさは以下のように記録した。
【0111】
【表2】
【0112】
注:「f」は融合タンパク質がネコタンパク質であることを示し、これは全文において同じであった。
【0113】
12歳齢の雑種猫は乳房基底細胞がんに罹患し、腫瘍の大きさは45mm×35mmであった。表2に示すように、3回の腫瘍内注入後、腫瘍面積は95%減少した。投与後、体温は正常で、その他の有害反応は観察されなかった。
【0114】
〔実施例13〕fIL12bIL12aGMCSFIL2によるネコ腫瘍の処置例
精製したfIL12bIL12aGMCSFIL2融合タンパク質溶液を、1:1の体積比で3%キトサンと混合し、次いで、1ml/バイアルに充填した。混合物は使用直前に混合した。1つのバイアルの試薬を毎回腫瘍内に注射し、腫瘍内注射を30日に1回、3回連続して行った。腫瘍の大きさは以下のように記録した。
【0115】
【表3】
【0116】
11歳齢の雑種猫は舌根部が扁平上皮がんに罹患し、腫瘍の大きさは25mm×20mmであった。表4に示すように、3回の腫瘍内注入後、腫瘍面積は80%減少した。投与後、体温は正常で、その他の有害反応は観察されなかった。
【0117】
〔実施例14〕cIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFによるイヌ腫瘍の処置例
精製したcIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSF融合タンパク質溶液を、1:1の体積比で3%キトサンと混合し、次いで1ml/バイアルで充填した。混合物は使用直前に混合した。2つのバイアルの試薬を毎回腫瘍内に注入し、腫瘍内注入は15日に1回、3回連続で行った。腫瘍の大きさは以下のように記録した。
【0118】
【表4】
【0119】
12歳齢の雑種犬は乳がんに罹患し、腫瘍の大きさは78mm×60mmであった。表3に示すように、3回の腫瘍内注入後、腫瘍面積は87%減少した。投与後、体温は正常で、発熱などの有害反応は観察されなかった。
【0120】
〔実施例15〕fIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSFによるネコ腫瘍の処置例
精製したfIL12bIL12aIL2DiaNHS76F8GMCSF融合タンパク質溶液を、1:1の体積比で3%キトサンと混合し、次いで1ml/バイアルで充填した。混合物は使用直前に混合した。2つのバイアルの試薬を毎回腫瘍内に注入し、腫瘍内注入は15日に1回、3回連続で行った。腫瘍の大きさは以下のように記録した。
【0121】
【表5】
【0122】
13歳齢の雑種猫は乳がんに罹患し、腫瘍の大きさは55mm×45mmであった。表4に示すように、3回の腫瘍内注入後、腫瘍面積は88%減少した。投与後、体温は正常で、発熱などの有害反応は観察されなかった。
【0123】
実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定することを意図しない。明細書を読んだ後、当業者は必要に応じて実施例に創造的に寄与することなく改変し得るが、当該改変が本発明の特許請求の範囲内にある限り、当該改変は特許法によって保護される。
図1
図2
【配列表】
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