(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】被処理物の乾燥冷却方法および乾燥冷却装置
(51)【国際特許分類】
F26B 17/32 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
F26B17/32 G
F26B17/32 C
(21)【出願番号】P 2020119039
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504298291
【氏名又は名称】月島機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【氏名又は名称】柏野 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】長野 一徳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 善二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 澄人
(72)【発明者】
【氏名】小島 久史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 健太
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-083677(JP,A)
【文献】特開2010-181129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側から他端側に向かうに従い下方に傾斜するように横方向に延びる軸線回りに回転させられる上記軸線を中心とした筒状の回転体により、上記一端側から上記回転体の内部に供給した被処理物を上記他端側に搬送しつつ、
上記回転体の上記一端側に備えられた加熱手段によって上記被処理物を間接的に加熱して乾燥させるとともに、
上記加熱手段によって加熱されて乾燥された上記被処理物を、上記回転体の上記他端側に備えられた冷却手段によって間接的に冷却して排出する
被処理物の乾燥冷却方法であって、
上記加熱手段においては、上記回転体の上記一端側の内周部に上記軸線方向に延びる加熱伝熱管が周方向に複数本配設されており、この加熱伝熱管内に、上記一端側から上記回転体の内部に供給した上記被処理物よりも高温の熱媒が供給され、
上記回転体の上記一端側における上記加熱手段と上記他端側における上記冷却手段との境界部には、上記回転体の内周面から内周側に突出する中空壁状の加熱マニホールドが設けられており、
この加熱マニホールドよりも内周側の上記回転体の内部には、上記被処理物を上記回転体の上記一端側から上記他端側に通過させる加熱手段通過孔が形成されるとともに、
上記加熱マニホールドの中空部には、上記加熱伝熱管が連通させられて開口していることを特徴とする被処理物の乾燥冷却方法。
【請求項2】
上記加熱手段においては、上記回転体の上記一端側の内周部に上記軸線方向に延びる加熱伝熱管が周方向に複数本配設されており、この加熱伝熱管内に、上記一端側から上記回転体の内部に供給した上記被処理物よりも高温の熱媒を供給して該被処理物を間接的に加熱して乾燥することを特徴とする請求項1に記載の被処理物の乾燥冷却方法。
【請求項3】
上記熱媒は、蒸気であることを特徴とする請求項2に記載の被処理物の乾燥冷却方法。
【請求項4】
上記冷却手段においては、上記回転体の上記他端側の内周部に上記軸線方向に延びる冷却伝熱管が周方向に複数本配設されており、この冷却伝熱管内に、上記加熱手段によって加熱された上記被処理物よりも低温の冷媒を供給して該被処理物を間接的に冷却することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の被処理物の乾燥冷却方法。
【請求項5】
上記冷媒は、水であることを特徴とする請求項4に記載の被処理物の乾燥冷却方法。
【請求項6】
上記回転体の内部に上記他端側からキャリアガスを供給して、このキャリアガスを上記一端側から排出することを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の被処理物の乾燥冷却方法。
【請求項7】
一端側から他端側に向かうに従い下方に傾斜するように横方向に延びる軸線回りに回転させられて、上記一端側から内部に供給された被処理物を上記他端側に搬送する上記軸線を中心とした筒状の回転体と、
この回転体の上記一端側に備えられて、該一端側から上記回転体の内部に供給された被処理物を間接的に加熱して乾燥させる加熱手段と、
上記回転体の上記他端側に備えられて、上記加熱手段によって加熱されて乾燥された上記被処理物を間接的に冷却する冷却手段とを有し
、
上記加熱手段においては、上記回転体の上記一端側の内周部に上記軸線方向に延びる加熱伝熱管が周方向に複数本配設されており、この加熱伝熱管内に、上記一端側から上記回転体の内部に供給した上記被処理物よりも高温の熱媒が供給され、
上記回転体の上記一端側における上記加熱手段と上記他端側における上記冷却手段との境界部には、上記回転体の内周面から内周側に突出する中空壁状の加熱マニホールドが設けられており、
この加熱マニホールドよりも内周側の上記回転体の内部には、上記被処理物を上記回転体の上記一端側から上記他端側に通過させる加熱手段通過孔が形成されるとともに、
上記加熱マニホールドの中空部には、上記加熱伝熱管が連通させられて開口していることを特徴とする被処理物の乾燥冷却装置。
【請求項8】
上記回転体の上記一端側における上記加熱手段と上記他端側における上記冷却手段との境界部よりも上記他端側において、上記加熱手段に上記熱媒を供給する熱媒の供給連結管と、上記加熱手段から上記熱媒を排出する排出連結管とは、上記回転体の外周部に沿って延びていることを特徴とする請求項7に記載の被処理物の乾燥冷却装置。
【請求項9】
上記冷却手段においては、上記回転体の上記他端側の内周部に上記軸線方向に延びる冷却伝熱管が周方向に複数本配設されており、この冷却伝熱管内に、上記加熱手段によって加熱されて乾燥された上記被処理物よりも低温の冷媒が供給されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の被処理物の乾燥冷却装置。
【請求項10】
上記回転体の上記一端側における上記加熱手段と上記他端側における上記冷却手段との境界部よりも上記他端側には、上記回転体の内周面から内周側に突出する中空壁状の冷却マニホールドが設けられており、
この冷却マニホールドよりも内周側の上記回転体の内部には、上記被処理物を上記回転体の上記他端側に通過させる冷却手段通過孔が形成されるとともに、
上記冷却マニホールドの中空部には、上記冷却伝熱管が連通させられて開口していることを特徴とする請求項9に記載の被処理物の乾燥冷却装置。
【請求項11】
上記回転体の上記他端側にはキャリアガスの供給口が設けられるとともに、上記回転体の上記一端側には、上記キャリアガスの排気口が設けられていることを特徴とする請求項7から請求項10のうちいずれか一項に記載の被処理物の乾燥冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームチューブドライヤーのような一端側から他端側に向かうに従い下方に傾斜するように横方向に延びる軸線回りに回転させられる回転体を用いた被処理物の乾燥冷却方法および乾燥冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような被処理物の乾燥冷却方法および乾燥冷却装置においては、例えば特許文献1に、副生塩の回収方法および回収装置として、塩分を含む被処理水を濃縮し、その濃縮水を乾燥した後、不活性ガス雰囲気下で300~550℃に加熱し、次いで、急冷する副生塩の回収方法、および濃縮水を蓄えた濃縮水槽と乾燥・焼成炉と冷却容器を有する副生塩の回収装置であって、濃縮水槽から乾燥・焼成炉を経て冷却容器に至る経路によりこれらの装置を接続した副生塩の回収装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この特許文献1に記載された被処理物の乾燥冷却方法および乾燥冷却装置においては、乾燥・焼成炉と冷却容器とが独立した別の装置とされており、このため乾燥・焼成炉から冷却容器に被処理物を搬送する際に時間を要する。さらに、被処理物の搬送経路の乾燥・焼成炉との接続部には、コンベアなどの搬送機器やロータリーバルブ等が必要とされたり、乾燥・焼成炉の熱膨張を吸収するためにフレキシブルな配管を用いたりしなければならず、摩耗や熱の影響によって頻度の高いメンテナンスや交換が必要とされる。
【0005】
また、このように乾燥・焼成炉と冷却容器とが独立した別の装置とされていると、この特許文献1の
図3~
図5に示されているように乾燥・焼成炉の下に冷却容器を配設した場合には装置全体の高さが大きくなる一方、乾燥・焼成炉と冷却容器とを直列に配設した場合には装置全体の全長が長くなり、上述した搬送経路やメンテナンスエリア等の確保も含めていずれの場合も大きなスペースが必要となる。しかも、乾燥・焼成炉と冷却容器とを独立して運転することになるので、特に連続して処理を行う場合には運転制御が複雑化する。
【0006】
さらに、この特許文献1に記載された被処理物の乾燥冷却装置においては、乾燥・焼成炉と冷却容器とがともにモーターによって回転する構造とされており、回転する乾燥・焼成炉や冷却容器と、回転しない被処理物の供給経路や上記搬送経路、排出経路との接続部にシール性が要求され、それぞれの接続部にシール材を配設したり、シールガスを供給したりしなければならない。
【0007】
さらにまた、乾燥・焼成炉と冷却容器にキャリアガスを供給して排出する場合には、排出されたキャリアガスに被処理物の微粉等が同伴されることがあり、乾燥・焼成炉と冷却容器のそれぞれにおいて、被処理物の製品ロスが生じるとともに、排出されたキャリアガスの処理が必要となる。
【0008】
本発明は、このような背景の下になされたもので、被処理物の搬送に時間を要することがなく、また被処理物の加熱と冷却との間の搬送経路にコンベアなどの搬送機器やロータリーバルブ、回転体の熱膨張を吸収するフレキシブルな配管などが必要とされることもなく、装置全体を配設するスペースを小さくできるとともに運転制御も容易であり、しかも回転体のシール材やシールガス、キャリアガスに同伴される微粉等による製品ロスを削減することが可能な被処理物の乾燥冷却方法および乾燥冷却装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の被処理物の乾燥冷却方法は、一端側から他端側に向かうに従い下方に傾斜するように横方向に延びる軸線回りに回転させられる上記軸線を中心とした筒状の回転体により、上記一端側から上記回転体の内部に供給した被処理物を上記他端側に搬送しつつ、上記回転体の一端側に備えられた加熱手段によって上記被処理物を間接的に加熱して乾燥させるとともに、上記加熱手段によって加熱されて乾燥された上記被処理物を、上記回転体の他端側に備えられた冷却手段によって間接的に冷却して排出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の被処理物の乾燥冷却装置は、一端側から他端側に向かうに従い下方に傾斜するように横方向に延びる軸線回りに回転させられて、上記一端側から内部に供給された被処理物を上記他端側に搬送する上記軸線を中心とした筒状の回転体と、この回転体の上記一端側に備えられて、該一端側から上記回転体の内部に供給された被処理物を間接的に加熱して乾燥させる加熱手段と、上記回転体の上記他端側に備えられて、上記加熱手段によって加熱されて乾燥された上記被処理物を間接的に冷却する冷却手段とを有していることを特徴とする。
【0011】
このように構成された被処理物の乾燥冷却方法および乾燥冷却装置では、回転体の一端側から内部に供給された被処理物は、回転体の回転に伴い他端側に搬送されるうちに、まず回転体の一端側に備えられた加熱手段によって間接的に加熱されて乾燥され、次いで同じ回転体の他端側に搬送されて、この他端側に備えられた冷却手段によって冷却され、排出される。
【0012】
すなわち、供給された被処理物を加熱して乾燥させる加熱手段と、この加熱手段によって加熱、乾燥された被処理物を冷却する冷却手段とが、1つの回転体の一端側と他端側とに配設されているので、被処理物を加熱、乾燥してから冷却するまでを連続して行うことができ、加熱、乾燥された被処理物を搬送経路によって搬送して冷却するのに比べて、加熱、乾燥から冷却までに要する搬送時間を短くすることができる。
【0013】
また、搬送経路の接続部にコンベアなどの搬送機器やロータリーバルブ、フレキシブルな配管などが必要となることもなく、このような機器や配管のメンテナンスや交換も不要となるとともに、加熱、乾燥と冷却の間の搬送経路自体が不要となるので、特許文献1に記載された被処理物の乾燥冷却装置において乾燥・焼成炉と冷却容器とを直列の配置した場合に比べ、装置全体をコンパクト化して配設するスペースを小さくすることができるとともに、設備コストを削減することができる。さらに、被処理物の搬送は、1つの回転体を回転するだけで済むので、運転制御も容易となり、ランニングコストも削減することができる。
【0014】
しかも、回転する回転体に対して、回転しない被処理物の供給経路や排出経路は1つずつで済むので、特許文献1に記載された被処理物の乾燥冷却方法および乾燥冷却装置のような乾燥・焼成炉と冷却容器とが搬送経路で接続されている場合のように、この搬送経路と乾燥・焼成炉および冷却容器との接続部にシール材を配設したり、シールガスを供給したりする必要もない。
【0015】
さらにまた、回転体の内部にキャリアガスを供給して排出する場合でも、キャリアガスの排気口は1つで済むので、排出されたキャリアガスに同伴される被処理物の微粉等の排出量も少なくて済み、被処理物の製品ロスを抑えることができるとともに、この1つの排気口から排出されたキャリアガスを集塵して処理すればよく、キャリアガスの処理も容易となる。
【0016】
ここで、上記加熱手段においては、上記回転体の一端側の内周部に上記軸線方向に延びる加熱伝熱管を周方向に複数本配設し、この加熱伝熱管内に、上記一端側から上記回転体の内部に供給した上記被処理物よりも高温の熱媒を供給して該被処理物を間接的に加熱して乾燥することにより、被処理物との接触面積が大きい伝熱管によって伝熱効率を向上させることができるとともに、加熱伝熱管による被処理物の撹拌を促すことも可能となり、効率的な被処理物の加熱、乾燥を図ることができる。なお、このような供給された被処理物よりも高温の熱媒としては、スチームチューブドライヤーと同様に蒸気を用いることができる。
【0017】
また、このように加熱手段として被処理物よりも高温の熱媒が供給される加熱伝熱管を用いた場合には、上記回転体の上記一端側における上記加熱手段と上記他端側における上記冷却手段との境界部に、上記回転体の内周面から内周側に突出する中空壁状の加熱マニホールドを設け、この加熱マニホールドよりも内周側の上記回転体の内部には、上記被処理物を上記回転体の上記一端側から上記他端側に通過させる加熱手段通過孔を形成するとともに、上記加熱マニホールドの中空部には、上記加熱伝熱管を連通させて開口させるのが望ましい。
【0018】
これにより、上記加熱マニホールドによって被処理物をある程度せき止めて回転体の一端側に滞留させ、加熱伝熱管によって加熱することができるとともに、加熱マニホールドの中空部に供給された熱媒によっても被処理物を加熱することができるので、被処理物の効率的な乾燥を図ることができる。
【0019】
また、上記回転体の上記一端側における上記加熱手段と上記他端側における上記冷却手段との境界部よりも上記他端側においては、上記加熱手段に上記熱媒を供給する熱媒の供給連結管と、上記加熱手段から上記熱媒を排出する排出連結管とを、上記回転体の外周部に沿って延びるように配設することにより、これら供給連結管と排出連結管を通る熱媒によって冷却手段による冷却効果が損なわれるのを防ぐことができる。
【0020】
一方、この冷却手段においても、上記回転体の他端側の内周部に上記軸線方向に延びる冷却伝熱管を周方向に複数本配設し、この冷却伝熱管内に、上記加熱手段によって加熱されて乾燥された上記被処理物よりも低温の冷媒を供給して被処理物を間接的に冷却することにより、冷却伝熱管によって被処理物との接触面積を確保することができるとともに、被処理物を冷却伝熱管によって撹拌して冷却効果を向上させることが可能となる。なお、加熱手段によって加熱されて乾燥された被処理物よりも低温の冷媒としては、水を用いることができる。
【0021】
さらに、この場合にも、上記回転体の上記一端側における上記加熱手段と上記他端側における上記冷却手段との境界部よりも上記他端側に、上記回転体の内周面から内周側に突出する中空壁状の冷却マニホールドを設け、この冷却マニホールドよりも内周側の上記回転体の内部には、上記被処理物を上記回転体の上記他端側に通過させる冷却手段通過孔を形成するとともに、上記冷却マニホールドの中空部には、上記冷却伝熱管を連通させて開口させることにより、冷却マニホールドによって被処理物をある程度せき止めて回転体の他端側に滞留させ、冷却伝熱管内の冷媒と冷却マニホールドの中空部に供給された冷媒によって被処理物を効率的に冷却することができる。
【0022】
さらにまた、回転体の内部にキャリアガスを供給する場合には、上記回転体の上記他端側にキャリアガスの供給口を設けるとともに、上記回転体の上記一端側には上記キャリアガスの排気口を設け、上記回転体の内部に上記他端側からキャリアガスを供給して、このキャリアガスを上記一端側から排出することにより、キャリアガスが昇温しながら一端側に流れることで乾燥がより一層効率よく行われるとともに、加熱手段によって加熱されたキャリアガスが他端側に流れることによって冷却手段による冷却効果が損なわれるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、被処理物の搬送時間を短くするとともに、配管のメンテナンスや交換の頻度を抑えることができ、また装置全体の配設スペースの省スペース化を図るとともに運転制御を容易とし、さらに回転体のシール材やシールガス、キャリアガスに同伴される微粉等による製品ロスを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の被処理物の加熱冷却装置の一実施形態の概略を示す回転体の軸線に沿った側断面図である。
【
図2】
図1に示す実施形態の回転体の他端側の詳細な拡大側断面図である(ただし、被処理物の排出口やキャリアガスの供給口等は図示が略されている。)。
【
図3】
図1に示す実施形態の回転体の軸線方向中央部の詳細な拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1~
図3は、本発明の被処理物の乾燥冷却装置の一実施形態を示すものである。本実施形態において、回転体1は、鋼材等の金属材料により軸線Oを中心とした円筒状に形成されており、この軸線Oは回転体1の一端側(
図1~
図3において左側)から他端側(
図1~
図3において右側)に向かうに従い僅かに下方に向かうように傾斜して横方向に延びている。
【0026】
回転体1の外周部には、
図1に示すように上記一端側と他端側とに軸線Oを中心とする環状のタイヤ1Aが外周側に突出するように設けられるとともに、これらのタイヤ1Aの間には、やはり軸線Oを中心とする環状の従動ギア1Bが外周側に突出するように設けられている。回転体1は、上記タイヤ1Aが図示されない支持ローラに載せられて上述のように傾斜した軸線O回りに回転自在に支持され、従動ギア1Bに噛み合う駆動ギアを備えたモーター等の回転駆動手段2によって軸線O回りに回転駆動される。
【0027】
回転体1の一端部には、乾燥、冷却する被処理物Pの供給装置3が備えられている。この供給装置3においては、ケーシング3A内に、上記軸線Oに沿って延びるスクリューシャフトの外周にスクリュー羽根が取り付けられたスクリューフィーダー3Bが設けられている。
【0028】
そして、このスクリューフィーダー3Bがモーター等の駆動装置3Cによって軸線O回りに回転させられることにより、ケーシング3Aの一端側上部に設けられた被処理物Pの供給口3Dからケーシング3A内に投入された被処理物Pが回転体1の一端部の中央から回転体1の内部に供給される。
【0029】
また、この供給装置3は、回転する回転体1に対して回転しないように固定されて支持されており、回転体1の一端部とは、この回転体1の一端部を覆う端板1aに取り付けられたシール材を備えた第1のシール部1Cを介して回転体1の回転を許容しつつ気密に接続されている。
【0030】
この第1のシール部1Cと、上記供給装置3のスクリューフィーダー3Bと駆動装置3Cとの間に配設される供給装置シール部3Eとに、それぞれシールガスAが供給されることにより、回転体1と供給装置3のケーシング3Aの内部の気密状態が維持される。なお、供給装置3のケーシング3Aの上部には、被処理物Pの供給口3Dよりも他端側に、後述するキャリアガスGの排気口3Fが設けられている。また、供給装置3は、スクリューフィーダー3Bを用いたもの以外に、例えば振動フィーダーやシュートによって被処理物Pを供給するものであってもよい。
【0031】
一方、回転体1の他端部には、
図2に示すように、本実施形態の乾燥冷却装置の加熱手段4における熱媒Bの供給・排出装置4A(本実施形態ではロータリージョイント)と、冷却手段5における冷媒Cの供給・排出装置5Aとが設けられている。これらの熱媒Bの供給・排出装置4Aと冷媒Cの供給・排出装置5Aも、被処理物Pの供給装置3と同様に、回転する回転体1に対して回転しないように固定されて支持されている。
【0032】
回転体1の他端部には、軸線Oに沿って他端側に突出する軸線Oを中心とした三重管状の連結管1Dが回転体1と一体に回転可能に取り付けられている。この連結管1Dの三重管のうち、内周側の二重管である最内管1Daと中内管1Dbは、回転体1の他端部を覆う端板1bの近くにまで延びている。
【0033】
さらに、このうち、最も内周側の最内管1Daには、加熱手段4の上記供給・排出装置4Aにおける熱媒Bの供給管4Aaが軸線Oに対する半径方向に上方に延びるように、またこの最内管1Daの外周側の中内管1Dbには、熱媒Bの排出管4Abが軸線Oに対する半径方向に下方に延びるように、それぞれ最内管1Daおよび中内管1Dbの回転体1との一体回転を許容するように摺動可能に気密に接続されている。
【0034】
ここで、供給管4Aaから供給される加熱手段4の熱媒Bは、回転体1の一端側から供給される被処理物Pよりも高温の流体であって、本実施形態では蒸気(水蒸気)であり、被処理物Pを加熱して自身は冷却された熱媒Bは上記排出管4Abからドレンされて排出される。なお、熱媒Bの供給管4Aaは排出管4Abよりも軸線O方向の一端側に配設されている。
【0035】
また、連結管1Dのうち最外周の外管1Ddは、回転体1の他端側の上記端板1bに連結されている。この外管1Ddの外周部には、冷却手段5の上記供給・排出装置5Aにおける冷媒Cの供給管5Aaが軸線Oに対する半径方向に下方に延びるように設けられるとともに、冷媒Cの排出管5Abが軸線Oに対する半径方向に上方に延びるように設けられている。なお、冷媒Cの供給管5Aaは排出管5Abよりも軸線O方向の一端側に配設されている。また、冷媒Bは、加熱手段4によって加熱されて乾燥された被処理物Pよりも低温の流体であり、本実施形態では水(冷却水)である。さらに、外管1Ddの直径は、
図2に示すように回転体1の直径よりも小さい。
【0036】
ここで、外管1Ddの外周部には、
図2に示すように軸線Oを中心とする円環状のカバー5Bが、シール部材5Cを介して外管1Ddの外周部に液密に、また回転体1と一体に回転する外管1Ddの回転を許容するように取り付けられている。このカバー5Bには、軸線Oに沿った断面が該軸線O方向に延びる長方形状の中空の冷媒供給部5Baと冷媒排出部5Bbとが互いに隔絶されて軸線O方向に並んで形成されており、これらの冷媒供給部5Baと冷媒排出部5Bbとは外管1Ddの外周面に開口していて、冷媒Cの供給管5Aaは冷媒供給部5Baに接続されるとともに、冷媒Cの排出管5Abは冷媒排出部5Bbに接続されている。
【0037】
また、外管1Ddの内周部には、外管1Ddの内周面寄りに中内管1Dbと軸線Oに対する径方向に間隔をあけて、複数本ずつの冷媒Cの供給連結管5Caと排出連結管5Cbとが周方向に交互に配設されている。これらの冷媒Cの供給連結管5Caと排出連結管5Cbは、その他端部が外管1Ddの外周面に開口して冷媒供給部5Baと冷媒排出部5Bbにそれぞれ連通し、外管1Ddの内周面に沿って軸線O方向の一端側に向けて延びている。
【0038】
一方、連結管1Dの上記最内管1Daと中内管1Dbの一端部には、1本ずつの熱媒Bの供給連結管4Baと排出連結管4Bbとがそれぞれ接続されている。これらの熱媒Bの供給連結管4Baと排出連結管4Bbとは、最内管1Daと中内管1Dbの一端部からそれぞれ軸線Oに対する半径方向に互いに反対向きに、冷媒Cの供給連結管5Caと排出連結管5Cbに干渉しないように延びて外管1Ddの外周に突出した後に、回転体1の外周部を軸線O方向の一端側に向けて延びている。
【0039】
なお、
図2では図示を略するが、連結管1Dの上記外管1Ddの外周部には、これらの熱媒Bの供給連結管4Baと排出連結管4Bbとが外管1Ddの外周に突出した位置よりも他端側に、
図1に示すように被処理物Pの排出口6とキャリアガスGの供給口7とが設けられている。これらの被処理物Pの排出口6とキャリアガスGの供給口7とは、外管1Ddの外周部を覆うように設けられた軸線Oを中心とする円筒状のカバー8の下部と上部とにそれぞれ設けられている。
【0040】
ここで、このカバー8は回転する外管1Ddに対して回転しないように固定されて支持され、このカバー8の内周面と外管1Ddの外周面との間には、排出口6と供給口7の一端側と他端側とにシール材を備えた第2のシール部8aが介装されており、この第2のシール部8aにシールガスAが供給されることによって外管1Dd内と排出口6および供給口7は気密にシールされる。
【0041】
また、外管1Ddには、軸線O方向において排出口6および供給口7の位置に合わせて周方向に間隔をあけて複数の開口部が形成されており、これらの開口部が回転体1と一体の連結管1Dの回転によって排出口6の位置に来たときに被処理物Pが排出され、供給口7の位置に来たときにキャリアガスGが供給される。
【0042】
さらに、回転体1の外周部を一端側に延びた上記熱媒Bの供給連結管4Baと排出連結管4Bbとは、この回転体1の軸線O方向の長さの略1/2の位置において、回転体1の一端側における上記加熱手段4と他端側における上記冷却手段5との境界部に設けられた回転体1の内周面から内周側に突出する中空壁状の加熱マニホールド9に接続されている。
【0043】
この加熱マニホールド9は、本実施形態では
図3に示すように軸線Oに沿った断面が方形で軸線Oを中心とする円環状に形成され、互いに隔絶された回転体1の外周側に突出する熱媒供給室9Aと回転体1の内周側に突出する熱媒排出室9Bとを備えている。熱媒Bの供給連結管4Baは熱媒供給室9Aに、熱媒Bの排出連結管4Bbは熱媒排出室9Bにそれぞれ接続されている。また、熱媒排出室9Bよりも回転体1の内周側の部分は、回転体1の一端側から他端側に開口していて加熱手段通過孔9Cとされている。
【0044】
そして、熱媒供給室9Aから熱媒排出室9Bにかけては、回転体1の上記一端側の内周部に、加熱手段4の加熱伝熱管4Cが周方向に間隔をあけて複数本配設されている。これらの加熱伝熱管4Cはそれぞれ、熱媒供給室9Aから回転体1の内周面寄りに一端側に向けて軸線Oに平行に延び、回転体1の一端側の端板1aを貫通した後に回転体1の内周側から他端側に向けてU字状に曲折し、一端側に延びる部分よりも回転体1の内周側を他端側に向けて延びて再び端板1aを貫通し、軸線Oに平行に延びて熱媒排出室9Bに達していて、加熱マニホールド9の中空部である熱媒供給室9Aと熱媒排出室9Bとに連通して開口している。
【0045】
一方、本実施形態では
図2に示すように、回転体1の上記一端側における加熱手段4と他端側における冷却手段5との境界部より他端側にも、回転体1の内周面から内周側に突出する中空壁状の冷却マニホールド10が設けられており、冷媒Cの供給管5Aaに冷媒供給部5Baを介して接続された冷媒Cの供給連結管5Caと、冷媒Cの排出管5Abに冷媒排出部5Bbを介して接続された冷媒Cの排出連結管5Cbとは、この冷却マニホールド10に接続されている。なお、上記カバー8を含む排出口6および供給口7は、この冷却マニホールド10の一端側に設けられていてもよい。
【0046】
この冷却マニホールド10も、本実施形態では
図2に示すように軸線Oに沿った断面が方形で軸線Oを中心とする円環状に形成され、回転体1の内周側に突出する互いに隔絶された冷媒供給室10Aと冷媒排出室10Bとを備えている。これらの冷媒供給室10Aと冷媒排出室10Bとは回転体1の他端側の端板1bの一端側に沿って配設され、冷媒供給室10Aが外周側に位置するとともに、この冷媒供給室10Aの内周側に冷媒排出室10Bが位置している。
【0047】
上記冷媒供給部5Baから一端側に延びた冷媒Cの供給連結管5Caは、回転体1の他端側の端板1bを越えたところで曲折して外周側に延び、内周側の冷媒排出室10Bを貫通して冷媒供給室10Aに連通させられて開口している。また、上記冷媒排出部5Bbから一端側に延びた排出連結管5Cbも、回転体1の他端側の端板1bを越えたところで曲折して外周側に延び、内周側の冷媒排出室10Bに連通させられて開口している。なお、この冷媒排出室10Bよりも回転体1の内周側の部分は、冷却手段通過孔10Cとされていて、被処理物Pを回転体1における冷却マニホールド10の一端側から他端側の連結管1Dの外管1Dd内に通過可能としている。
【0048】
そして、冷媒供給室10Aから冷媒排出室10Bにかけては、回転体1の上記他端側の内周部に、冷却手段5の冷却伝熱管5Dが周方向に間隔をあけて複数本配設されている。これらの冷却伝熱管5Dもそれぞれ、冷媒供給室10Aから回転体1の内周面寄りに一端側に向けて軸線Oに平行に延び、加熱マニホールド9の手前で回転体1の内周側から他端側に向けてU字状に曲折し、一端側に延びる部分よりも回転体1の内周側を他端側に向けて軸線Oに平行に延びて冷媒排出室10Bに達しており、冷却マニホールド10の中空部である冷媒供給室10Aと冷媒排出室10Bとに連通して開口している。
【0049】
このように構成された被処理物Pの乾燥冷却装置を用いた本発明の被処理物Pの乾燥冷却方法の一実施形態においては、回転体1を回転駆動手段2によって軸線O回りに回転駆動しつつ、供給装置3によって回転体1の一端側から内部に供給された被処理物Pを、この回転体1の軸線O回りの回転と、回転体1の軸線Oの下方への傾斜とによって他端側に搬送する。
【0050】
そして、加熱手段4の供給・排出装置4Aにおける供給管4Aaから供給された熱媒Bは、
図1に実線で示すように回転体1の一端側に向けて連結管1Dの最内管1Daから供給連結管4Baを介して加熱マニホールド9の熱媒供給室9Aに供給され、次いで加熱伝熱管4Cに供給されて回転体1の一端側に流れることにより、回転体1の一端側から供給された被処理物Pを間接的に加熱して乾燥した後、一端側においてU字状に曲折した加熱伝熱管4Cで折り返されて他端側に流れることにより、被処理物Pをさらに間接的に加熱して乾燥させる。
【0051】
また、こうして被処理物Pを加熱して乾燥させることによって自身は冷却された熱媒Bは、加熱伝熱管4Cから加熱マニホールド9の熱媒排出室9Bに排出され、
図1に破線で示すように排出連結管4Bbから連結管1Dの最内管1Daと中内管1Dbとの間を通って加熱手段4の供給・排出装置4Aにおける排出管4Abから排出される。
【0052】
さらに、回転体1の一端側において熱媒Bにより加熱されて乾燥させられた被処理物Pは、他端側に搬送されて加熱マニホールド9に達し、この加熱マニホールド9によってせき止められて滞留する。こうして滞留した被処理物Pは、回転体1の内周面からの滞留高さが加熱マニホールド9の内周側への突出高さを超えたところで、加熱マニホールド9を乗り越えて加熱手段通過孔9Cを通り他端側に搬送される。
【0053】
このように回転体1の他端側に搬送された被処理物Pは、この他端側に備えられた冷却手段5によって冷却される。この冷却手段5においては、冷媒Cの供給・排出装置5Aにおける供給管5Aaから供給された冷媒Cが、
図1に実線で示すように冷媒供給部5Baを介して供給連結管5Caに供給され、さらに冷却マニホールド10の冷媒供給室10Aから冷却伝熱管5Dに供給されて回転体1の一端側に流れて被処理物Pを冷却したした後に、一端側においてU字状に曲折した冷却伝熱管5Dにより折り返されて他端側に流れ、さらに被処理物Pを冷却する。
【0054】
また、こうして被処理物Pを冷却することによって自身は加温された冷媒Cは、冷却伝熱管5Dから冷却マニホールド10の冷媒排出室10Bに排出され、
図1に破線で示すように排出連結管5Cbから冷媒排出部5Bbを介して冷却手段5の冷媒Cの供給・排出装置5Aにおける排出管5Abから排出される。なお、この冷却伝熱管5Dは、二重管構造とされていてもよい。
【0055】
また、このように被処理物Pの乾燥、冷却が行われている間は、本実施形態では回転体1の他端側の供給口7からキャリアガスGが回転体1の内部に供給されて一端側に流れ、特に一端側における被処理物Pの加熱、乾燥の際に被処理物Pから発生するガスや粉塵を伴って一端側の供給装置3の排気口3Fから排気される。さらに、回転体1の一端側において加熱手段4により加熱されて乾燥され、次いで他端側において冷却手段5によって冷却された被処理物Pは、排出口6から排出される。
【0056】
このような構成の被処理物Pの乾燥冷却方法および乾燥冷却装置においては、回転体1の一端側から内部に供給された被処理物Pが、回転体1の回転に伴い軸線Oが下方に向いた他端側に搬送されるうちに、回転体1の一端側に備えられた加熱手段4によって間接的に加熱されて乾燥され、次いで同じ回転体1の他端側に搬送されて、この他端側に備えられた冷却手段5によって冷却され、排出される。
【0057】
従って、このように供給された被処理物Pを加熱して乾燥させる加熱手段4と、こうして加熱、乾燥された被処理物Pを冷却する冷却手段5とが、1つの回転体1の一端側と他端側とに配設されているので、被処理物Pを加熱、乾燥してから冷却するまでを連続して行うことができる。このため、特許文献1に記載された乾燥冷却方法および乾燥冷却装置のように加熱、乾燥された被処理物を搬送経路によって搬送して冷却するのに比べて、加熱、乾燥から冷却までに要する搬送時間を短くすることができ、ひいては被処理物Pの加熱、乾燥、冷却に要する時間の短縮を図ることができる。
【0058】
また、このような搬送経路を介して被処理物を搬送する場合のように、搬送経路の接続部にコンベアなどの搬送機器やロータリーバルブが必要とされたり、フレキシブルな配管が必要となったりすることもないので、このような機器や配管のメンテナンスや交換等が不要となる。さらに、被処理物Pの搬送は、1つの回転体1を回転するだけでよいので、運転制御を容易とすることができるとともに、ランニングコストの削減を図ることもできる。
【0059】
しかも、加熱、乾燥と冷却の間の搬送経路自体が不要となるので、例えば特許文献1に記載された乾燥冷却装置において乾燥・焼成炉と冷却容器とを直列の配置した場合と比べて、装置全体をコンパクトにして配設するスペースを小さくすることができるとともに、設備コストを削減することができる。
【0060】
さらに、回転する回転体1に対して、回転しない被処理物Pの供給装置3や排出口6は1つずつで済むので、特許文献1に記載された被処理物の乾燥冷却方法および乾燥冷却装置のように乾燥・焼成炉と冷却容器とが搬送経路で接続されている場合のように、この搬送経路と乾燥・焼成炉および冷却容器との接続部にシール材を配設したり、シールガスを供給したりする必要もない。
【0061】
さらにまた、本実施形態のように回転体1の内部にキャリアガスGを供給して排出する場合でも、キャリアガスGの排気口3Fは1つで済むので、排出されたキャリアガスGに同伴される被処理物Pの微粉等の排出量も少なくて済み、被処理物Pの製品ロスを抑えることができる。また、キャリアガスGの処理も、この1つの排気口3Fから排出されたキャリアガスGを集塵して処理すればよいので、容易となる。
【0062】
また、本実施形態では、上記加熱手段4において、回転体1の一端側の内周部に軸線O方向に延びる加熱伝熱管4Cが周方向に複数本配設され、この加熱伝熱管4C内に、一端側から回転体1の内部に供給した被処理物Pよりも高温の熱媒Bを供給して被処理物Pを間接的に加熱して乾燥している。
【0063】
この点、加熱手段4や、冷却手段5についても、例えば回転体1を二重管のジャケット構造として、二重管の内管と外管の間に熱媒Bや冷媒Cを供給するようにしてもよいが、本実施形態のように加熱手段4として加熱伝熱管4Cを用いることにより、被処理物Pとの接触面積を大きく確保して伝熱効率を向上させることができるとともに、加熱伝熱管4Cによって被処理物Pの撹拌を促すことも可能となり、効率的に被処理物Pを加熱、乾燥することができる。しかも、本実施形態では、この熱媒Bが蒸気であるので、取り扱いも容易である。ただし、熱媒Bとしては、蒸気の他に熱媒油や温水を使用することも可能である。
【0064】
さらに、本実施形態においては、このように加熱手段4として加熱伝熱管4Cを用いた場合において、回転体1の一端側における加熱手段4と他端側における冷却手段5との境界部に、回転体1の内周面から内周側に突出する中空壁状の加熱マニホールド9が設けられており、この加熱マニホールド9よりも内周側の回転体1の内部に、加熱、乾燥された被処理物Pを回転体1の一端側から他端側に通過させる加熱手段通過孔9Cが形成されるとともに、加熱マニホールド9の中空部である熱媒供給室9Aと熱媒排出室9Bには、加熱伝熱管4Cが連通させられて開口させられている。
【0065】
このため、回転体1の一端側に供給されて加熱手段4によって加熱、乾燥された処理物Pは、上述のように加熱マニホールド9によってある程度せき止められて回転体1の一端側に滞留させられるので、加熱伝熱管4Cによってさらに加熱されるとともに、加熱マニホールド9の中空部である熱媒供給室9Aや熱媒排出室9Bに供給された熱媒Bによっても加熱されるので、被処理物Pの効率的な乾燥を図ることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、熱媒供給室9Aから延びた加熱伝熱管4Cを回転体1の一端側の端板1aを貫通した後にU字状に曲折して熱媒排出室9Bに連通して、被処理物Pを加熱することにより自身は冷却されて液体(本実施形態では温水)となった熱媒Bを熱媒排出室9Bに排出するようにしているが、例えば端板1aを貫通したところで加熱伝熱管4Cを封止して、自身は冷却されて液体となった熱媒Bを、同じ加熱伝熱管4Cを通して熱媒排出室9Bに排出するようにしてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、回転体1の一端側における加熱手段4と他端側における冷却手段5との境界部よりも他端側においては、加熱手段4に熱媒Bを供給する熱媒Bの供給連結管4Baと、加熱手段4から熱媒Bを排出する排出連結管4Bbとが、回転体1の外周部に沿って延びるように配設されている。このため、これら供給連結管4Baや排出連結管4Bbを通る熱媒Bによって上記境界部よりも他端側における冷却手段5による冷却効果が損なわれるのを防ぐことができるので、効率的な被処理物Pの冷却を図ることも可能となる。
【0068】
一方、本実施形態では、この冷却手段5においても、回転体1の他端側の内周部に軸線O方向に延びる冷却伝熱管5Dが周方向に複数本配設され、この冷却伝熱管5D内に、加熱手段4によって加熱されて乾燥された被処理物Pよりも低温の冷媒Cを供給して被処理物Pが間接的に冷却される。
【0069】
このため、冷却手段5においても、冷却伝熱管5Dによって被処理物Pとの接触面積を大きく確保することができるとともに、被処理物Pを冷却伝熱管5Dによって撹拌することができるので、冷却効果の向上を図ることが可能となる。また、本実施形態では、この冷却伝熱管5Dに供給される冷媒Cが水であるので、やはり取り扱いが容易である。ただし、冷媒Cは熱媒Bよりも低温の流体であればよく、水以外の液体等の流体を冷媒Cとして使用することもできる。
【0070】
さらに、本実施形態では、この冷却手段5においても、回転体1の一端側における加熱手段4と他端側における冷却手段5との境界部よりも他端側に、回転体1の内周面から内周側に突出する中空壁状の冷却マニホールド10が設けられており、この冷却マニホールド10よりも内周側の回転体1の内部に、被処理物Pを回転体1の他端側に通過させる冷却手段通過孔10Cが形成されるとともに、冷却マニホールド10の中空部である冷媒供給室10Aと冷媒排出室10Bには、冷却伝熱管5Dが連通させられて開口させられている。
【0071】
このため、この冷却手段5においても、冷却マニホールド10によって被処理物Pをある程度せき止めて回転体1の他端側に滞留させることができるので、冷却伝熱管5D内に供給された冷媒Cと、冷却マニホールド10の冷媒供給室10Aと冷媒排出室10Bに供給された冷媒Cとにより、被処理物Pの効率的な冷却を図ることができる。
【0072】
さらにまた、本実施形態では上述のように回転体1の内部にキャリアガスGを供給しているが、このキャリアガスGの供給口7は回転体1の他端側に設けられるとともに、キャリアガスGの排気口3Fは回転体1の一端側の上記供給装置3に設けられており、回転体1の内部に他端側からキャリアガスGを供給して、回転体1の一端側から排出するようにしている。
【0073】
このため、回転体1の一端側に備えられた加熱手段4によって加熱されたキャリアガスGが他端側に流れるのを防ぐことができるので、この他端側における冷却手段5による冷却効果が損なわれるのを防止することができ、やはり被処理物Pの効率的な冷却を図ることができる。ただし、このキャリアガスGは、回転体1の一端側から供給されて他端側から排出されるようにされていてもよい。
【0074】
なお、本実施形態においては、上述のように回転体1の軸線O方向の長さの略1/2の位置に、回転体1の一端側における加熱手段4と他端側における冷却手段5との境界部の加熱マニホールド9が設けられていて、加熱手段4と冷却手段5とが回転体1の軸線O方向の長さにおいて略等しい長さとされているが、これら加熱手段4と冷却手段5との軸線O方向の長さは、被処理物Pの特性や要求される処理条件に応じて適宜設定することができる。すなわち、加熱手段4の軸線O方向の長さが冷却手段5より長くてもよく、逆に冷却手段5の軸線O方向の長さが加熱手段4よりも長くてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 回転体
1D 連結管
2 回転駆動手段
3 供給装置
3F 排気口
4 加熱手段
4A 加熱手段4における供給・排出装置
4Aa 加熱手段4における供給管
4Ab 加熱手段4における排出管
4Ba 加熱手段4における供給連結管
4Bb 加熱手段4における排出連結管
4C 加熱伝熱管
5 冷却手段
5A 冷却手段5における供給・排出装置
5Aa 冷却手段5における供給管
5Ab 冷却手段5における排出管
5Ba 冷媒供給部
5Bb 冷媒排出部
5Ca 冷却手段5における供給連結管
5Cb 冷却手段5における排出連結管
5D 冷却伝熱管
6 排出口
7 供給口
9 加熱マニホールド
9A 熱媒供給室
9B 熱媒排出室
10 冷却マニホールド
10A 冷媒供給室
10B 冷媒排出室
O 回転体1の軸線
P 被処理物
A シールガス
B 熱媒
C 冷媒
G キャリアガス