IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋インキSCホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ トーヨーケム株式会社の特許一覧

特許7305096接着性樹脂組成物、該組成物を用いたシート、蓋材、部材セット及び容器
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】接着性樹脂組成物、該組成物を用いたシート、蓋材、部材セット及び容器
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/08 20060101AFI20230703BHJP
   C09J 123/06 20060101ALI20230703BHJP
   C09J 123/12 20060101ALI20230703BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20230703BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230703BHJP
   C09J 131/04 20060101ALI20230703BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230703BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20230703BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
C09J123/08
C09J123/06
C09J123/12
C09J11/04
C09J11/06
C09J131/04
B32B27/00 D
B32B27/28 101
B65D65/40 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022097079
(22)【出願日】2022-06-16
【審査請求日】2023-01-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山田 智紀
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-187744(JP,A)
【文献】特開2021-169564(JP,A)
【文献】特開昭62-187743(JP,A)
【文献】特開2018-176617(JP,A)
【文献】特開2016-186059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B65D 53/00,65/40
B32B 27/00- 27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、及び球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)を含む接着性樹脂組成物であって、
接着性樹脂組成物の不揮発成分100質量%中、エチレン-αオレフィン共重合体(A1)10~45質量%、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)35~65質量%、ポリエチレン(A3)0~45質量%、ポリプロピレン(A4)0~45質量%、粘着付与樹脂(B)10~30質量%、不飽和脂肪酸アミド(C1)0.15~0.45質量%、飽和脂肪酸アミド(C2)0.05~0.45質量%、及び、球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)0.20~1質量%を含むことを特徴とする、
接着性樹脂組成物。
【請求項2】
エチレン-αオレフィン共重合体(A1)は、密度0.8~0.95g/cm、示差走査型熱量計により測定した融点が75~90℃、且つJIS.K7210に準拠して測定した190℃、21.168Nにおけるメルトフローレートが20~40g/10分であり、
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)は、酢酸ビニル含有率が5~15質量%且つJIS.K7210に準拠して測定した190℃、21.168Nにおけるメルトフローレートが0.1~10g/10分であり、
ポリエチレン(A3)、及びポリプロピレン(A4)が、密度0.90~1.00g/cm3 、示差走査型熱量計により測定した融点が140~155℃、且つJIS.K7210に準拠して測定した190℃、21.168Nにおけるメルトフローレートが1~10g/10分であり、
不飽和脂肪酸アミド(C1)の示差走査型熱量計により測定した融点が65~85℃であり、
飽和脂肪酸アミド(C2)の示差走査型熱量計により測定した融点が、100~110℃である、請求項1記載の接着性樹脂組成物。
【請求項3】
基材上に、請求項1または2に記載の接着性樹脂組成物の被膜が積層されたシート。
【請求項4】
請求項に記載のシートにより形成された蓋材。
【請求項5】
ポリエステル系樹脂製の容器本体又は内面がポリエステル系樹脂で覆われた容器本体と、請求項に記載の蓋材とからなる、開封可能な密封容器用部材セット。
【請求項6】
ポリエステル系樹脂製の容器本体又は内面がポリエステル系樹脂で覆われた容器本体の開口部が、請求項に記載の蓋材により密封された、開封可能な容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層後に良好なスリップ性能、アンチブロック性能を有し、開封時に界面剥離することで易開封性を示し、かつ優れた密封性を示すフィルムが得られる接着性樹脂組成物、該接着性樹脂組成物を用いたシート、蓋材、密封容器用部材セット及び容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム等からなる包装基材は、ガスバリアー性や透明性に優れるが、ヒートシール温度が高いため包装速度を速くすることができない。
上記包装基材が単独で使用されることは少なく、通常はヒートシール層フィルムとのラミネートフィルムとして使用される。
【0003】
このラミネートフィルムの製造方法としては、ポリエステル等の基材とインフレーション成形やキャスト成形により別に製造したヒートシールフィルムとを、押出ラミネート法、ドライラミネート法等の種々の方法で貼り合わせる製造方法が一般的である。
【0004】
貼り合わせるフィルム(以下、貼り合わせフィルム)の素材としては、高圧ラジカル重合法により製造される低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-αオレフィン共重合体等のポリエチレン等が一般的に使用される。
【0005】
この貼り合わせフィルムに要求される物性の中で、低温シール性、ヒートシール強度、低温衝撃性等を、特に必要とする場合は、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-αオレフィン共重合体などのポリエチレン系フィルムが最も好ましい。
【0006】
貼り合わせフィルムは基材フィルムと積層する場合、積層するラミネート方法によって接着剤を用いるが、その接着剤の種類により、積層後、接着剤硬化のため一般的に30~60℃ で24~120hr程度のエージングを行う。この際、接着剤の極性基の影響により貼り合わせフィルムの滑剤が接着剤硬化層に移行し、スリップ性能、アンチブロック性能が失われ、フィルムの開口性が不良であったり、フィルム同士がブロッキングしたり、スリップ性が著しく悪化する等の問題が生じる。
【0007】
フィルム同士のブロッキングやスリップ性の悪化については、衛生上の問題と外観上に問題のある積層時のニッカリコ等の澱粉塗布に変わり、貼合フィルムに接着剤の極性基の影響によるスリップ剤の移行の少ない脂肪酸アミドの添加や、貼り合わせフィルムのアンチブロック剤による表面租度のコントロールによる等による改良が行なわれている。しかしながら、これらの方法では、貼り合わせフィルムに必要な基材フィルムとの積層後に必要なアンチブロック性能及びスリップ性能を同時に満足することができないという問題がある。
【0008】
プラスチック容器蓋材における接着性樹脂組成物として、例えば、特許文献1では、エチレン-αオレフィン共重合体とエチレン-酢酸ビニル共重合体と粘着付与樹脂とを含む、ポリエステル系樹脂容器に対してヒートシール性に優れ、剥離感が良好な易開封性シール材に利用可能な組成物が提案されている。
また、特許文献2では、エチレン系重合体とグリセリン脂肪酸エステルとプロピレングリコール脂肪酸エステルと脂肪酸ビスアミドを含むエチレン系樹脂組成物が提案されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1で提案されている接着剤は、スリップ性能やアンチブロック性能が付与されておらず、インフレーション成型時にブロッキングが発生するという課題がある。
また、特許文献2で提案されている接着剤は、スリップ性が付与されている一方、インフレーション成型性と接着性の両立が困難であるという課題がある。
【0010】
【文献】特開2021-169564号公報
【文献】特開2001-200109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、基材フィルムと積層した場合にラミネート方法、接着剤の種類に係わらず、優れたアンチブロック性能とスリップ性能および易開封性を有するフィルムが得られる熱可塑性樹脂組成物、並びにそれを用いたシート及び蓋材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、及び球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)を含有する接着性樹脂組成物の被膜が積層されたシートを提供することができる。すなわち本発明は下記〔1〕~〔8〕の発明に関する。
【0013】
[1]熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、及び球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)を含有し、前記熱可塑性樹脂(A)が、エチレン-αオレフィン共重合体(A1)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)、ポリエチレン(A3)、及びポリプロピレン(A4)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、接着性樹脂組成物。
【0014】
[2]脂肪酸アミド(C)が、不飽和脂肪酸アミド(C1)及び飽和脂肪酸アミド(C2)のうち少なくとも1種を含む、[1]記載の接着性樹脂組成物。
【0015】
[3]接着剤樹脂組成物の不揮発成分100質量%中、エチレン-αオレフィン共重合体(A1)10~45質量%、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)35~65質量%、ポリエチレン(A3)0~45質量%、ポリプロピレン(A4)0~45質量%0~45質量%、粘着付与樹脂(B)10~30質量%、不飽和脂肪酸アミド(C1)0.15~0.45質量%、飽和脂肪酸アミド(C2)0.05~0.25質量%、及び、球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(E)0.25~1.0質量%を含む、[1]または[2]に記載の接着性樹脂組成物。
【0016】
[4]エチレン-αオレフィン共重合体(A1)が、密度0.80~0.95g/cm、示差走査型熱量計により測定した融点が75~90℃、且つJIS.K7210に準拠して測定した190℃、21.168Nにおけるメルトフローレートが20~40g/10分であり、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)が、酢酸ビニル含有率が5~15質量%且つJIS.K7210に準拠して測定した190℃、21.168Nにおけるメルトフローレートが0.1~10g/10分であり、ポリエチレン(A3)、及びポリプロピレン(A4)が、密度0.90~1.00g/cm 、示差走査型熱量計により測定した融点が140~155℃、且つJIS.K7210に準拠して測定した190℃、21.168Nにおけるメルトフローレートが1~10g/10分であり、不飽和脂肪酸アミド(C1)の示差走査型熱量計により測定した融点が65~85℃であり、飽和脂肪酸アミド(C2)の示差走査型熱量計により測定した融点が、100~110℃である、[1]~[3]いずれか記載の接着性樹脂組成物。
【0017】
[5]基材上に、上記[1]~[4]いずれか記載の接着性樹脂組成物の被膜が積層されたシート。
【0018】
[6][5]に記載のシートにより形成された蓋材。
【0019】
[7]ポリエステル系樹脂製の容器本体又は内面がポリエステル系樹脂で覆われた容器本体と、[6]に記載の蓋材とからなる、開封可能な密封容器用部材セット。
【0020】
[8]ポリエステル系樹脂製の容器本体又は内面がポリエステル系樹脂で覆われた容器本体の開口部が、[6]に記載の蓋材により密封された、開封可能な容器。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、特定の脂肪酸アミドを特定量添加することにより、積層するラミネート方法、接着剤の種類に関わらず、基材フィルムとの積層後に、優れたアンチブロック性能及びスリップ性能を有するフィルムが得られる熱可塑性樹脂組成物、並びにそれを用いたシート及び蓋材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値の範囲として含むものとする。
なお、本明細書における密度とは、JIS.K7112ピクノメーター法に準拠して測定した値である。また、本明細書におけるメルトフローレートとは、JIS.K7210に準拠して測定した190℃、21.168Nにおける値である。
【0023】
本発明の接着性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、及び球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)を含有する。以下に、本発明について、詳細に説明する。
【0024】
<熱可塑性樹脂(A)>
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(A)は、エチレン-αオレフィン共重合体(A1)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)、ポリエチレン(A3)、及びポリプロピレン(A4)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。なお、本発明の課題解決を妨げない範囲で、(A1)~(A4)以外のその他熱可塑性樹脂を含んでも良い。
<エチレン-αオレフィン共重合体(A1)>
本発明で用いられるエチレン-αオレフィン共重合体(A1)は、エチレンとαオレフィンの共重合体であれば特に限定されないが、エチレン-αオレフィン共重合体(A1)の密度は0.80~0.95g/cm、メルトフローレートが20~40g/10分であることが好ましい。このようなエチレン-αオレフィン共重合体を用いることで、ポリエステル系樹脂容器に対して接着性に優れるものとなる。このようなエチレン-αオレフィン共重合体(A1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。エチレン-αオレフィン共重合体(A1)のメルトフローレートは、好ましくは25~35g/10分である。
【0025】
エチレンと共重合可能なαオレフィンとしては、炭素数が3~20であるものが好ましく、例えば1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンが挙げられる。これらαオレフィンの中でも、フィルムサンプルの引張強度、引裂強度、衝撃強度に優れることから、1-ブテン又は1-オクテンが好ましく、ポリエステル系樹脂容器に対する接着性の観点から、より好ましくは1-オクテンである。
【0026】
エチレン-αオレフィン共重合体(A1)の含有率は、接着剤樹脂組成物の不揮発成分100質量%中、10~45質量%が好ましい。エチレン-αオレフィン共重合体(A1)が前記範囲であると、ポリエステル系樹脂容器への十分な接着性と成膜性を両立することができる。
エチレン-αオレフィン共重合体(A1)の含有率は、より好ましくは20~45質量%であり、成膜性の観点から、さらに好ましくは30~45質量%であり、成膜性、易開封性、剥離感の観点から、特に好ましくは35~40質量%である。
【0027】
また、示差走査型熱量計により測定したエチレン-αオレフィン共重合体(A1)の融点(以下、DSC融点)は、好ましくは75~90℃であり、より好ましくは75~85℃である。上記の範囲内であると、ポリエステル系樹脂容器への密着性を向上できる点で好ましい。
【0028】
<エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)>
本発明におけるエチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)は、エチレンと酢酸ビニルの共重合体であれば特に限定されないが、酢酸ビニル含有率が5~15質量%且つメルトフローレートが0.1~10g/10分であることが好ましい。このようなエチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)を用いることで、成膜性に優れ、ポリエステル系樹脂容器に対して易開封性に優れるものとなる。このようなエチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)の含有率は、接着剤樹脂組成物の不揮発成分100質量%中、35~65質量%が好ましい。エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)が35質量%以上であると、開封強度を損なうことなく、ポリエステル系樹脂製容器に十分に接着する。また、65質量%以下であると、塗加工適性と接着性とのバランスに優れるだけでなく、容器のフランジにおける樹脂残りや糸曳きが発生しない。エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)の含有率は、より好ましくは40~60質量%であり、成膜性の観点から、さらに好ましくは40~55質量%であり、成膜性、易開封性、剥離感の観点から、特に好ましくは40~45質量%である。
【0030】
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)の、DSC融点は、好ましくは85~110℃であり、より好ましくは90~100℃である。上記の範囲内であると、エチレン-αオレフィン共重合体(A1)との相溶性が向上し、加工適性が向上するだけでなく、開封強度を損なうことなく十分に接着できる点で好ましい。
【0031】
<ポリエチレン(A3)>
本発明におけるポリエチレン(A3)は、繰り返し単位がエチレンのみの重合体であれば特に限定されないが、密度が0.90~1.00g/cm、示差走査型熱量計により測定した融点が140~155℃、且つメルトフローレートが1~10g/10分であることが好ましい。
【0032】
ポリエチレン(A3)の含有率は、接着剤樹脂組成物の不揮発成分100質量%中、成膜性の観点から、好ましくは0~45質量%であり、成膜性と接着性の観点から、より好ましくは30~45質量%である。
【0033】
<ポリプロピレン(A4)>
本発明におけるポリプロピレン(A4)は、繰り返し単位がプロピレンのみの重合体であれば特に限定されないが、密度0.90~1.00g/cm、示差走査型熱量計により測定した融点が140~155℃、且つメルトフローレートが1~10g/10分であることが好ましい。このようなポリプロピレン系重合体(A3)を用いることで、成膜性に優れ、ポリエステル系樹脂容器に対して易開封性に優れるものとなる。このようなポリプロピレン系重合体(A3)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
ポリプロピレン(A4)の含有率は、接着剤樹脂組成物の不揮発成分100質量%中、成膜性の観点から、好ましくは0~45質量%であり、成膜性と接着性の観点から、より好ましくは30~45質量%である。
【0035】
<粘着付与樹脂(B)>
本発明における粘着付与樹脂(B)は特に制限されず、シーラント樹脂分野において公知の粘着付与樹脂から適宜選択することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン類が挙げられ、ポリテルペン樹脂としては、α-ピネン、β-ピネンなどの単独重合又は共重合体、及びそれらを水添した水添テルペン樹脂を使用することができる。
中でも、粘着付与樹脂(B)は、脂環族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂及びポリテルペン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、脂環族炭化水素樹脂及びポリテルペン樹脂の少なくともいずれか1種を含むことがより好ましく、ブロッキング性と接着性の観点から、脂環族炭化水素樹脂が特に好ましいものである。
【0036】
粘着付与樹脂(B)の含有率は、接着剤樹脂組成物の不揮発成分100質量%中10~30質量%の範囲が好ましい。粘着付与樹脂(B)が10質量%以上であると、開封強度を損なうことなく、ポリエステル系樹脂製容器に十分に接着することができる。また、30質量%以下であると、成膜性が良好となる。粘着付与樹脂(B)の含有率は、より好ましくは15~25質量%の範囲であり、成膜性、易開封性、剥離感の観点から、さらに好ましくは15~20質量%である。
【0037】
粘着付与樹脂(B)は、ヒートシール時の接着性の観点から、軟化点が120℃以下であることが好ましい。なお、本明細書における軟化点とは、JIS.K 6863に準拠して求めることができる。また、粘着付与樹脂(B)のDSC融点は、接着性の観点から、好ましくは50~95℃であり、成膜性の観点から、より好ましくは50~70℃である。
【0038】
<脂肪酸アミド(C)>
本発明における脂肪酸アミド(C)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の成膜時及び、熱可塑性樹脂組成物よりなるフィルム並びに基材フィルムとのラミネート後に卓越したスリップ性能、アンチブロッキング性能を付与するものである。
【0039】
脂肪酸アミド(C)は、不飽和脂肪酸アミド(C1)及び飽和脂肪酸アミド(C2)の少なくともいずれか一方を含むことが好ましく、不飽和脂肪酸アミド(C1)と飽和脂肪酸アミド(C2)を両方含むことがより好ましい。
【0040】
不脂肪酸アミド(C1)としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N ,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N ,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂との相溶成分の観点から、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミドが好ましい。
【0041】
不飽和脂肪酸アミド(C1)の含有率は、接着剤樹脂組成物の不揮発成分100質量%中、スリップ性の観点から、0.15~0.45重量%が好ましく、スリップ性と接着性の観点から、0.15~0.25重量%がより好ましい。
【0042】
飽和脂肪酸アミド(C2)としては、例えばパルミチン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミドや、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N ,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N ,N’-ジステアリルセバシン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミドが挙げられる。
【0043】
飽和脂肪酸アミド(C2)の含有率は、接着剤樹脂組成物の不揮発成分100質量%中、スリップ性の観点から、0.05~0.45質量%が好ましく、スリップ性と接着性の観点から、0.05~0.25重量%がより好ましい。
【0044】
<球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)>
本発明で使用することができる球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)としては、市販されているものでは、例えば、シルトンJC-50、JC-70等(いずれも水澤化学工業社製)や、HSZ-920NHA(東ソー社製)などが挙げられる。球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)の含有率は、接着剤樹脂組成物の不揮発成分100質量%中、0.20~1.0質量%である。0.20~1.0質量%であることで、成膜時のフィルムのアンチブロッキング性を得ることができ、フィルムの外観不良も抑制できる。
【0045】
<接着性樹脂組成物>
本発明の接着性樹脂組成物は、前述の熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)を公知の方法で混合し、製造することができる。このような製造法としては例えば、各成分をヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーなどの混合装置に投入し、ブレンド時間5~20分間で混合した後、押出機に入れ、加熱混練した後、押し出す方法が挙げられる。押出工程は、通常140~200℃で行われる。押出物は通常ペレット形状とされ、後の工程で利用される。押出機としては、二軸押出機が好適に用いられるが、これに限られるものではない。
本発明の接着性樹脂組成物における、熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)の合計量は、接着剤樹脂組成物の不揮発成分100質量%中、好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは98質量%以上である。
【0046】
接着性樹脂組成物のメルトフローレートは、好ましくは10~30g/10分の範囲であり、より好ましくは15~25g/10分の範囲である。上記範囲であると、ポリエステル系樹脂製容器に対して接着性に優れる点で好ましい。
【0047】
本発明の接着性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)以外の樹脂や添加剤を配合してもよい。
【0048】
さらに含有してもよい樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン樹脂及びその酸化物やマレイン酸変性物;エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のようなエチレン-不飽和モノカルボン酸共重合体及びその金属塩;高密度ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、酸化ワックス、マレイン酸変性ワックスのようなワックス類;が挙げられる。このような樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
さらに含有してもよい添加剤は、例えば、熱劣化、熱分解、ブロッキング等を防止する目的、及び、フィルム加工、押出ラミネート加工等の加工適正を確保する目的で用いることができる。このような添加剤としては、例えば、エルカ酸アミド等の有機滑剤、炭酸カルシウム等の無機滑剤、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤、その他ブロッキング防止剤、帯電防止剤、充填剤、防曇剤、非晶質アルミノケイ酸塩、二酸化ケイ素が挙げられる。
【0050】
これら樹脂及び添加剤は、熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)を混合する際に配合してもよいし、予めエチレン-熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)のいずれかに配合してもよい。
【0051】
<シート>
次に、基材上に、本発明の接着性樹脂組成物の被膜(以下、接着剤層ともいう)が積層されたシートについて説明する。接着性樹脂組成物の基材への積層方法としては、特に制限されず、例えば、通常の空冷インフレーション成形法、水冷フィルム成形法、T - ダイ成形法等の公知の成形方法を用いる事ができる。また、フィルム化する際には単層フィルムに限らずポリエチレン系樹脂同士もしくは、他の熱可塑性樹脂との組み合わせにより、二層ないし二層以上の共押出フィルムとすることもできる。他にも、混練された接着性樹脂組成物を直接基材に被覆する方法が挙げられる。フィルムと基材との積層は、別の接着剤層を介して積層されていてもよい。基材としては、長尺及びカットされた短尺のフィルム、シートを包含し、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムといった単層フィルムのほか、樹脂ラミネートされたような複数の層を有する積層物であってもよい。例えば、ポリエチレン系樹脂を予めラミネートされている基材を用いる場合、接着性樹脂組成物をダイレクトに押出しラミネートしてシートを製造することができる。また、接着性樹脂組成物を、ポリエチレンやポリプロピレン等との共押出しで多層フィルムとし、ドライラミネーション又はサンドラミネーションにより、基材フィルムと積層することでシートを得ることができる。
【0052】
基材と接着性樹脂組成物の被膜との接着性を向上させるために、基材表面が、火炎処理、オゾン処理、コロナ放電処理又はアンカーコート剤のような処理を行われていてもよい。
また、本発明の接着性樹脂組成物の被膜の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。
【0053】
本発明のシートは、後述の蓋材として用いることができるだけでなく、シーラントフィルムとして接着性樹脂組成物の被膜を内面としてシールする製袋品にも好適に使用できる。
【0054】
<蓋材>
基材上に接着性樹脂組成物の被膜が積層された本発明のシートは、密封対象である容器本体の開口形状に合わせて裁断され蓋材として好適に用いられる。
本発明のシートを蓋材として用いる場合、基材としては種々の基材を用いることができる。使用される基材としては、例えば、紙、アルミニウム、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アルミ蒸着ポリエステル、アルミ蒸着ポリプロピレン又はシリカ蒸着ポリエステルが挙げられる。このような基材は、単層である必要はなく、二層以上の積層物であっても良い。
また、本発明のシートにより蓋材を形成する場合、基材として好ましくは、例えば5~20μmのPETと5~30μmのポリエチレンとの積層物であり、前記積層物のポリエチレン面に、本発明の接着性樹脂組成物から形成される厚さ5~40μmの被膜を積層したものが好ましい。本発明の蓋材を使用する場合、シールする相手材料としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を用いた容器やシートが挙げられる。中でも、耐寒性、透明性、耐水性、保香性等に優れる点から、好ましくはポリエステルであり、本発明の接着性樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂に対して、優れた接着強度(易開封性)及び剥離感を発揮するため、好適に用いられることができる。
【0055】
<部材セット>
本発明の密封容器用部材セットは、ポリエステル系樹脂製の容器本体又は内面がポリエステル系樹脂で覆われた容器本体と、前記蓋材とからなり、開封可能なものである。基材にポリエステルやポリエチレンを使用し、該基材に接着性樹脂組成物を積層したシート及び、ポリエステル系樹脂製の容器本体又は内面がポリエステル系樹脂で覆われた容器本体からなる形態が好ましい。
【0056】
<容器>
本発明の容器は、ポリエステル系樹脂製の容器本体又は内面がポリエステル系樹脂で覆われた容器本体の開口部が、前記蓋材により密封された、開封可能な容器である。内容物を保つことができる容器であればどのような形態であってもよい。一般的に食品や飲料の充填、収容に用いられる成形容器の形態が好ましい。また、これらの形態の容器は、異物、特に不溶性の異物の生成・混入の視認や確認のために、透明性を有し、無着色のものが好ましいが、内容物の耐光性や容器の意匠性、利便性を考慮すれば、内容物の視認を損なわない範囲で着色されたものであってもよい。
【実施例
【0057】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」及び「%」は、各々「質量部」及び「質量%」を表す。
【0058】
[メルトフローレート(MFR)]
MFRは、JIS.K7210に準拠し、メルトインデクサーL244(宝工業株式会社製)の内径9.55mm、長さ162mmのシリンダにサンプルを充填し、190℃で溶融した後、重さ2160g、直径9.48mmのプランジャーを使用して均等に荷重をかけ、シリンダの中央に設けた径2.1mmのオリフィスより単位時間あたりに押出される樹脂量(g/10分)から求めた。
【0059】
[密度]
密度は、JIS.K7112に準拠して測定した。
【0060】
[融点]
インジウム標準にて較正した島津製作所社製示差走査型熱量計(DSC―60A plus)を用いて、DSC測定を行い、融点(Tm)を求めた。
試料10mgになるようにアルミニウム製DSCパン上に上記測定サンプルを秤量し、蓋をパンにクリンプして密閉雰囲気下とし、サンプルパンを得た。次にサンプルパンをDSCセルに配置し、リファレンスとして空のアルミニウムパンを配置した。DSCを用いて、30mL/分の窒素気流下で室温から10℃/分で200℃まで昇温した後、10℃/分で-80℃まで冷却、再び150℃まで10℃/分で昇温してDSC曲線を測定した。二度目の昇温工程で観測される吸熱曲線の最大ピーク温度を融点とした。
【0061】
[実施例1:接着性樹脂組成物(S-1)の製造]
熱可塑性樹脂(A)として、(A1-1)30部、(A2-1)54.1部、粘着付与樹脂(B)として(B1)15部、脂肪酸アミド(C)として(C1-1)0.2部、(C2)0.1部、球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)として(D1)0.5部及び添加剤としてイルガノックス1010(酸化防止剤)0.1部を、ヘンシェルミキサーで5分間プリブレンドした。ホッパーにプリブレンド物を投入し、スクリューフィーダーを用いて下記押出機に供給し、ペレット状の接着性樹脂組成物(S-1)を製造した。(S-1)のMFRは、20g/10分であった。
≪押出機条件≫
押出機:アイ・ケー・ジー社製同方向回転二軸押出機PMT32-40.5
バレル温度:140℃(供給口130℃)
スクリュー回転速度:200rpm
供給速度:10kg/hr
【0062】
[実施例2~18、比較例1~9:接着性樹脂組成物(S-2)~(S-18)、(S’-1)~(S’-9)の製造]
熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)及び添加剤を、表1に記載の種類、配合量に変更した以外は実施例1と同様にして、ペレット状の接着性樹脂組成物(S-2)~(S-18)、(S’-1)~(S’-9)を製造した。
但し、実施例10~15は参考例である。
【0063】
<接着性樹脂組成物の評価>
得られた接着性樹脂組成物について、以下の成膜性を評価した。また、成膜後のフィルムについて、白化およびブロックングを評価した。結果を表1に示す。
【0064】
[成膜性]
接着性樹脂組成物の成膜性は、下記加工条件において、Labtech製インフレーション成形機(ダイス径:40mmφ、成形温度:130℃)でインフレーション成形を行ない、厚み30μm、40μm、80μmのフィルムを得た。得られたフィルムから膜厚計を用いて無作為に選択した10カ所の被膜厚みから、下記基準で評価した。
≪単層成型条件≫
インフレーション成型機:Labtech製
樹脂温度:130℃
ニップロール速度:6m/分
冷却ロール表面温度:20℃
○:成膜可能
×:成膜不可
【0065】
[白化]
インフレーション成型後、60日経過したフィルムの添加剤のブリードによる白化状況を目視により観察し、次の基準で評価した。
A:フィルムの白化が全く認められない(良好)
B:フィルムの一部が白化(実用上問題なし)
C:フィルム全体が白化(実用不可)
― : 成膜不可のため評価不可
【0066】
[ブロッキング]
インフレーション成型後、24時間経過したフィルムを手で剥がし、剥離感により、ブロッキングを次の基準で評価した。
A:剥離抵抗感が全くなく剥がれる(良好)
B:剥離抵抗感があるものの、軽いピッキングで剥がれる(実用上問題なし)
C:ブロッキングし、剥がれない(実用不可)
― : 成膜不可のため評価不可
[実施例1:シートの作製]
得られた接着性樹脂組成物(S-1)を、ラミネーターを用いて、PET12μm/PE25μmの基材のPE面にドライラミネートして、シートを作製した。接着剤層の厚みは20μmであった。以下に加工条件を示す。
ラミネーター:ムサシノキカイ製400M/MテストEXTラミネーター
Tダイ幅:400mm
冷却ロール表面温度:20℃
【0067】
[実施例2~18、比較例1~9:シートの作成]
接着性樹脂組成物(S-2)~(S-18)、(S’-1)~(S’-9)を用いて、実施例1と同様にしてシートを作製した。
但し、実施例10~15は参考例である。
【0068】
<シートの評価>
得られたシートについて、易開封性を評価した。結果を表1に示す。
【0069】
[易開封性]
得られた積層シート(蓋材)を90mm×90mmのサイズに断裁後、ゲージ圧0.3MPa、150℃、1秒にて71ΦPET容器に、接着性樹脂組成物の被膜面を熱接着し、密封を行なった。温度23℃湿度65%の恒温恒湿室に24時間放置し、同恒温恒湿室にて90°角剥離、引張速度200mm/分の条件で剥離強度の測定を行った。剥離強度の最大値を開封強度とし、易開封性を下記基準で評価した。
A:剥離強度の最大値が、10N以上:良好
B:剥離強度の最大値が、5N以上10N未満:使用可能
C:剥離強度の最大値が、5N未満:不良
― : 成膜不可のため評価不可
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
表1の略称を以下に示す。
A1-1:ENGAGE8401(DOW社製、エチレン-1-オクテン共重合体、密度0.885g/cm、DSC融点80℃、MFR30g/10分)
A1-2:ENGAGE8402(DOW社製、エチレン-1-オクテン共重合体、密度0.900g/cm、DSC融点96℃、MFR30g/10分)
A1-3:ENGAGE8440(DOW社製、エチレン-1-オクテン共重合体、密度0.900g/cm、DSC融点93℃、MFR1.6g/10分)
【0073】
A2-1:ウルトラセン515(東ソー社製、エチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有率6%)、密度0.925g/cm、DSC融点99℃、MFR2.5g/10分)
A2-2:2030(ハンファ社製、エチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有率6.5%)、密度0.927g/cm、DSC融点102℃、MFR0.8g/10分)
A2-3:ウルトラセン540(東ソー社製、エチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有率10%)、密度0.929g/cm、DSC融点94℃、MFR3.0g/10分)
A2-4:ウルトラセン537(東ソー社製、エチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有率6%)、密度0.925g/cm、DSC融点98℃、MFR8.5g/10分)
【0074】
A3-1:ペトロセン212(東ソー社製、低密度ポリエチレン、密度0.919g/cm、DSC融点105℃、MFR13g/10分)
【0075】
A4-1:SFC-550(ロッテケミカル社製、ポリプロピレン共重合体、密度0.900g/cm、DSC融点148℃、MFR8.0g/10分)
【0076】
その他:G-1657(クレイトン社製スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体、水素添加エラストマー、密度0.900g/cm、MFR22g/10分)
【0077】
B1:アルコンM-115(荒川化学工業社製、部分水添脂環族炭化水素樹脂、軟化点115℃、DSC融点69℃)
B2:SYLBARES TRM1115(KRATON社製、テルペン樹脂、軟化点115℃、DSC融点79℃)
B3:KE311(荒川化学工業社製、ロジンエステル、軟化点100℃、DSC融点65℃)
【0078】
C1-1:インクロスリップC(クローダ社製、エルカ酸アミド、DSC融点80℃)
C1-2:脂肪酸アマイド O-N(花王社製、オレイン酸アミド、DSC融点70℃)
【0079】
C2:脂肪酸アマイドS(花王社製、ステアリン酸アミド、DSC融点80℃)
【0080】
D:シルトンJC-50(水澤化学工業社製、非晶質アルミノシリケート)
【0081】
<添加剤>
イルガノックス 1010:酸化防止剤(BASF社製、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
サイリシア550:シリカ( 富士シリシア化学社製、合成シリカ)
リケマール PO-100V:プロピレングリコール脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、プロピレングリコール モノオレート)
リケマールL-71D:グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ジグリセリンラウレート)
カオーワックス EB-FF:脂肪酸ビスアミド(花王社製、エチレン・ビスステアリン酸アミド)
【0082】
本発明により、基材フィルムと積層した場合にラミネート方法、接着剤の種類に係わらず、優れた成型性、良好なアンチブロック性能及びスリップ性能を有するフィルムが得られる熱可塑性樹脂組成物、該組成物を用いたシート、蓋材、部材セット及び容器を提供することができる。
【要約】
【課題】
基材フィルムと積層した場合にラミネート方法、接着剤の種類に係わらず、優れたアンチブロック性能及びスリップ性能を有するフィルムが得られる熱可塑性樹脂組成物、並びにそれを用いたシート及び蓋材を提供すること。
【解決手段】
熱可塑性樹脂(A)、粘着付与樹脂(B)、脂肪酸アミド(C)、及び球状非晶質アルミノ珪酸塩粒子(D)を含有し、熱可塑性樹脂(A)が、エチレン-αオレフィン共重合体(A1)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A2)、ポリエチレン(A3)、及びポリプロピレン(A4)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、接着性樹脂組成物により解決される。
【選択図】なし