(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】移動型医療・ヘルスケアボックス
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
A61G12/00 U
A61G12/00 C
(21)【出願番号】P 2023076971
(22)【出願日】2023-05-08
【審査請求日】2023-05-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523170839
【氏名又は名称】FLOATBASE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100215027
【氏名又は名称】留場 恒光
(72)【発明者】
【氏名】井川 太介
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-001768(JP,A)
【文献】特開2001-299743(JP,A)
【文献】特開2017-012577(JP,A)
【文献】特開2003-328574(JP,A)
【文献】特開平11-151210(JP,A)
【文献】特開2000-289520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
E04H 3/08
B60P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上の移動型ボックスを備える医療・ヘルスケアボックスであって、
前記移動型ボックスは、
少なくとも蓄電池を備える電源部と、
筐体を備えるボックス部と、
前記筐体の少なくとも1箇所に配設される扉部と、
前記扉部を施錠または開錠する施錠部と、
牽引によりまたは自走により、前記ボックス部を移動させる車両部と、
他の車両と連結するための連結部と、
を備え、
前記移動型ボックスの少なくとも1つは、
(1)前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が医療・ヘルスケアサービス提供者と画像通信を行うための通信制御部を備え、かつ、(2)前記ボックス部が医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が入室可能なスペースを備えるボックス部であることを特徴とする、医療・ヘルスケアボックス。
【請求項2】
少なくとも1つの前記移動型ボックスが、さらに、物資管理部を備え、
前記物資管理部は、外部からの通信制御により、前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者に対して物資を自動で供給することを特徴とする、請求項1に記載の医療・ヘルスケアボックス。
【請求項3】
少なくとも1つの前記移動型ボックスにおいて、前記連結部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、当該制御部を備える移動型ボックスと他の車両とを連結する制御を行うことを特徴とする、請求項1に記載の医療・ヘルスケアボックス。
【請求項4】
少なくとも1つの前記移動型ボックスが、さらに、ユーザを認証する認証入力部を備え、
前記認証によりいずれかの移動型ボックスの施錠部を開錠することを特徴とする、請求項1に記載の医療・ヘルスケアボックス。
【請求項5】
前記扉部を施錠または開錠する施錠部が、
医療・ヘルスケアサービス提供者が端末を通じて送信する信号により、前記扉部を施錠または開錠する施錠部であることを特徴とする、請求項1に記載の医療・ヘルスケアボックス。
【請求項6】
前記電源部が電源コネクタを備え、
一の移動型ボックスから他の移動型ボックスに給電が可能であることを特徴とする、請求項1に記載の医療・ヘルスケアボックス。
【請求項7】
少なくとも1つの前記移動型ボックスが、さらに、検査機器と、短距離通信を行う短距離通信制御部と、を備え、
前記短距離通信
制御部は、前記検査機器により得たデータを、他の移動型ボックスに送信することを特徴とする、請求項1に記載の医療・ヘルスケアボックス。
【請求項8】
少なくとも1つの前記移動型ボックスにおいて、前記ボックス部の壁面、床面、または天井の少なくとも一部が、樹脂、木材、紙材、または軽金属で構成されることにより、前記移動型ボックス1つあたりの総重量が200kg以下であることを特徴とする、請求項1に記載の医療・ヘルスケアボックス。
【請求項9】
さらに、前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が受付を行うための画像通信を行う受付受信部と、前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が医療・ヘルスケアサービスの提供を受けるための画像通信を行うサービス受信部とを含む、受付・サービス受信部を備え、
前記受付・サービス受信部は、前記受付受信部の処理のあとに前記サービス受信部の処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の医療・ヘルスケアボックス。
【請求項10】
前記移動型ボックスの通信制御部、または当該移動型ボックスの通信制御部と通信を行うサーバの通信制御部が、報知部を備え、
前記報知部は、前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者に対し、予約時間を報知することを特徴とする、請求項1に記載の医療・ヘルスケアボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動型医療・ヘルスケアボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国内の、例えば都市部から離れた山間部等において、医療サービスへのアクセスが困難な、無医地区・準無医地区と呼ばれる地域が1,000以上あり、当該地域に1,000万人以上が居住しているとされている。
当該地域には診療所などの医療機関がないことから、へき地拠点病院等が定期的に巡回診療・訪問医療を行い、定期的な診療を提供している。
しかしながら、医師・看護師不足の問題や採算性の問題などにより、巡回診療、医師派遣、または代診医派遣を月1回以上実施できている医療機関は3割ほどに留まる(厚生労働省医政局地域医療計画課資料「へき地の医療について」より)。
【0003】
患者自身が長時間をかけて医療機関に訪問しているケースもあるが、例えば山間部から市街地に赴かなければならないとなると、移動だけで時間がかかる。このため、患者自身が健康に対して時間を割くことが困難となっている。
【0004】
日本国外、例えばアフリカのサブサハラの国では、2億7000万人以上が医療機関から2時間以上かかる場所で生活を送っている。マラウイ共和国など、国によっては他国からの支援によって医療費がかからないにも関わらず、地理的な障壁によって健康診断を受けることができない人が存在する。
【0005】
近年、ICT機器を用いたオンライン診療は効果的な仕組みとなりつつある。しかしながら、日本におけるへき地医療において、令和4年度時点では、オンライン診療を活用している医療機関は30%程度に留まっている。
【0006】
その理由として、超音波検査装置や人工透析装置といった大型の装置など、特定の検査機器が必要な場合は、患者が病院に赴かなければならないことが挙げられる。また、オンライン診療において通信環境が不安定な場合、患者の手元の細かな所作や体全体の様子を同一条件で診ることは難しい。さらに、高齢者は視力低下や操作性に関する不便から、ICT機器の使用を遠ざける傾向にあることも理由として挙げられる。
【0007】
特許文献1は、他のユニット型診察室と連結可能なユニット型診察室について開示する。
特許文献2は、在宅患者の多様な身体データを総合的に医療機関に送信することが可能な在宅医療システムについて開示する。
特許文献3は、医療・ヘルスケアサービスに関連するものではないが、解錠のための認証を行う防音室について開示する。
また、非特許文献1は、移動診療車に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-205640号公報
【文献】特開1997-047436号公報
【文献】特開2022-060292号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】MONET Technologies Inc.、“(長野県伊那市)医師の乗らない移動診療車で医療サービスが患者のもとへMONET初の医療MaaS”、[online]、[2023年5月1日検索]、インターネット<URL:https://www.monet-technologies.com/case/010>
【0010】
車両部分を含まない、例えばコンテナ型診療室などは、容易に移動ができず、仮に移設させるにしても大掛かりになるため、一定の地域を巡回してヘルスケアサービスを提供するような用途には向いていない。
また、例えば移動診療車のように、ヘルスケアサービスを提供する部分と車両とが一体化していると、診療に使用しない検査機器などであっても、例えば重量があり、容易に移動できない検査機器の場合は、常に車両に搭載しておかなくてはならなくなる。さらにこの場合、使用する車両が専用車両となるため、コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題点は、まず一つ目として、コンテナ型の診察室は容易に移動ができない点である。また二つ目として、車両等に必要な機器等を搭載してヘルスケアサービスを提供する場合、ヘルスケアサービスを提供する部分と、自動車部分とを分離できない点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、医療・ヘルスケアサービスを提供する部分(ボックス部)が、当該ボックス部を移動させるための車両等から分離・独立していることを最も主要な特徴とする。そして、少なくとも2以上の移動型ボックスを備えることにより、例えば必要な検査機器だけを搭載して運送するなど、機能を分離することを可能とする。
【0013】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、例えば以下の手段を採用している。
すなわち、少なくとも2以上の移動型ボックスを備える医療・ヘルスケアボックスであって、前記移動型ボックスは、少なくとも蓄電池を備える電源部と、筐体を備えるボックス部と、前記筐体の少なくとも1箇所に配設される扉部と、前記扉部を施錠または開錠する施錠部と、牽引によりまたは自走により、前記ボックス部を移動させる車両部と、他の車両と連結するための連結部と、を備え、
前記移動型ボックスの少なくとも1つは、(1)前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が医療・ヘルスケアサービス提供者と画像通信を行うための通信制御部を備え、かつ、(2)前記ボックス部が医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が入室可能なスペースを備えるボックス部であることを特徴とする、医療・ヘルスケアボックスを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の医療・ヘルスケアボックスは、移動させるための車両と切り離せることから、医療・ヘルスケアボックス自体が場所を取らず、また移動させるための車両を移動型ボックス用の専用車両にしなくて済むという利点がある。
また、例えば検査機器など、必要とされる設備や物品を別の移動型ボックスなどに搭載して運送することにより、ヘルスケアサービスを提供する現地でのニーズに柔軟に対応できるという利点がある。
加えて、医療・ヘルスケアボックス自体を設置場所に残すことができるため、ヘルスケアサービスを受ける者が、医療にアクセスできる期間を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】移動型ボックス10の外観を示す斜視図である。
【
図2】医療・ヘルスケアシステム1のネットワーク構成図である。
【
図3】従来の医療車両と、移動型ボックス10との相違点を示す図である。
【
図4】移動型ボックス10が備える機能を説明するための機能ブロック図である。
【
図6】ボックス内端末20のハードウェア構成図である。
【
図7】駆動部151および連結部152の機能を説明するためのブロック図である。
【
図10】医療機関ユーザ用メニュー画面を示す図である。
【
図17】受信画像を壁面に投影している移動型ボックス10を示す図である。
【
図19】サービス提供処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の各実施形態では、同一又は対応する部分については同一の符号を付して説明を適宜省略する場合がある。また、以下に用いる図面は本実施形態を説明するために用いるものであり、実際の寸法や表示する画面とは異なる場合がある。
【0017】
本実施形態では、医療・ヘルスケアサービスが医療サービスである場合を例に説明する。また、「医療・ヘルスケアシステム1」を「医療システム1」と表記する。
【0018】
(実施形態の概要)
本実施形態の概要について、図を用いて説明する。
図1は、移動型ボックス10の外観を示す斜視図である。移動型ボックス10は患者がオンラインで診療を受けるためのスペースを備える。また、移動型ボックス10は牽引車Tにけん引され、または自走して移動することができる。
【0019】
図2は、移動型ボックス10を含む医療システム1のネットワーク構成図である。医療システム1は、ネットワークNに接続している移動型ボックス10、サーバ30、および医療機関端末40を備える。移動型ボックス10のボックス内端末20は、ネットワークNを通じて医療機関端末40と通信を行うことができる。よって、医療機関にいる医師は、遠隔地の移動型ボックス10内にいる患者に対し、診療や会話をすることができる。
【0020】
図3は、従来の医療車両(巡回医療車両や移動診察車)と、本実施形態の移動型ボックス10との相違点を示す図である。
図中のAからCは、例えば医療機器など、搭載を要する物品を示す。また、雲のマークはクラウドサービスを示し、医者などの医療関係者と通信ができることを示す。
【0021】
図中の丸印は、公民館や病院など、車両等が停車してサービスを提供する場所を示す。また、矢印は移動経路を示す。点線は、移動することを示すとともに、ある場所または複数箇所に設置できることも意味する(後述)。
【0022】
巡回医療車両(
図3(1))は、一台で地域を訪問し、比較的大型の車両に検査機器を常に搭載するものである。例えばレントゲン車などがこれにあたる。大型の検査機器を搭載できるという利点はあるものの、狭い道路を通行することができないため、アクセスできる地域に制限がある。
【0023】
移動診察車(
図3(2))は、中型の車両にインターネット接続が可能なコンピュータ端末を搭載するものである。当該コンピュータ端末は、医療機関の端末とネットワークで接続されている。これにより、患者は車の中でオンラインで診療を受けることができる。
また、車両に搭載可能な小型から中型の検査機器を搭載することができるため、簡易的な診療を行うことができ、その診療データをインターネットで送信することができる。
上述した巡回医療車両ほど大型の車両を必要としないため、アクセスできる地域は巡回医療車両より多くなる。ただし、検査機器を搭載する場合は、大型の車両を用いる必要がある。
【0024】
巡回医療車両と移動診察車のいずれも、検査機器の搭載が前提となるため、例えば、ある診療においては必要としない検査機器を搭載している場合がある。
逆に、ある診療において必要な検査機器が搭載できておらず、結局患者には地域の拠点病院などに赴いてもらう必要がある場合があるなど、非効率な場合が生じ得る。
また、例えばレントゲン車など、特定の検査機器を搭載している車両は、その検査機器専用の車両となるため、他の目的には利用できない。
【0025】
これらに対し、本実施形態の医療・ヘルスケアボックス(
図3(3))の場合は、機能を分割できる点が特長であり、最低限必要な機能を備えた移動型ボックスだけを診療を必要とする地域に配送することができる。
【0026】
例えば、オンラインによる問診のみが必要で、検査機器による測定を必要としない場合、医療機関とのオンライン通信が可能な設備を備えた移動型ボックスのみを配備すればよい。
一方、診療のため、ある特定の検査機器が必要という場合は、その検査機器のみを搭載した移動型ボックスを配送し、その検査機器による検査を行うことができる。
【0027】
このほか、本実施形態の医療・ヘルスケアボックスに用いる移動型ボックスは低価格のため、複数地域に同時に設置することができるという利点がある。つまり、移動型ボックス自体が毎回物理的に移動することを要しない。そして、医療機関は通信接続先となる移動型ボックスを変えるだけで、複数の患者に対応することができる。
【0028】
機能を分割できることにより、検査機器を常に搭載しておく必要がないため、移動型ボックスのサイズを小さく抑えることができる。そして、この小さなサイズの移動型ボックスは医療用に限られない一般的な自動車に連結できるため、配送が容易である。これにより、巡回医療車両や移動診察車と比べアクセス可能な地域が格段に多くなる。
【0029】
また、機能を分割できることにより、必要な検査機器を備えた移動型ボックスのみを配達すればよいため、診療に使わない検査機器を運送する必要がないという利点がある。
さらに、本実施形態の移動型ボックスは、車両のスペースを効率的に利用できるという利点がある。そのほか、検査機器によっては振動に弱く、頻繁な移動には向かないものもあるため、そのような検査機器の配送にも、本実施形態の移動型ボックス10を用いることができる。
【0030】
(実施形態の詳細)
以下、本実施形態に係る医療システム1と、医療システム1が備える移動型ボックス10について、詳細を説明する。
また、医療システム1は、受付・サービス提供プログラムP31を備えるコンピュータを含み、ヘルスケアサービス提供機関とその利用者との間で、オンラインでの対話を可能にする。
すなわち医療システム1は、受付・サービス提供プログラムP31による情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものである。
以下、医療システム1を構成する、1.装置、2.ユーザーインターフェース、3.プログラム処理、および4.データについて順に説明する。
【0031】
(用語の定義)
ここで、いくつか言葉の定義を行う。
「医療・ヘルスケア」は、医療またはヘルスケアを意味する。医療・ヘルスケアサービスは、医療サービスまたはヘルスケアサービスである。
ただし、医療とヘルスケアを区別するものではなく、ヘルスケアの語は医療の一部または全部を含む。
また医療・ヘルスケアサービスは、人間が受けるサービスのほか、例えば獣医師によるペットの診療のように、自分以外がサービスを受ける場合も含む。
「医療・ヘルスケアサービス提供者」は、医療・ヘルスケアサービスを提供する者である。医者、看護師、受付スタッフなどの個人に限らず、医療機関などの組織体も含む。
「ユーザ」は、本実施形態の医療・ヘルスケアシステム1(医療システム1)を利用する者を指す。
例えば、移動型ボックス10で医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者(例えば患者)や、医療・ヘルスケアサービス提供者(例えば医師、看護師、事務員など、医療機関端末40を使用する医療機関の職員)などである。
なお、サービスの提供を受ける者は、サービス利用者とも記載する。
「車両」は、乗り物を意味する。車両は例えば、移動型ボックス10を牽引する牽引車両や、移動型ボックス10を意味する。
車両は、車輪が接地して移動するものに限らず、無限軌道やロボット脚により移動可能となるものも含む。移動型ボックス10の説明において「他の車両」という場合、説明に係る当該移動型ボックス10以外の車両を意味する。
「受付・サービス」は、サービスの受付と、サービスの提供を意味する。医療・ヘルスケアサービス提供者は、サービスの提供を受ける者(サービス利用者)の受付が終わった後にサービスを提供する。
【0032】
1.装置
<医療・ヘルスケアシステム1(医療システム1)>
医療システム1は、遠隔地にいる患者と医師とをネットワークでつなぎ、コミュニケーションを可能にするシステムである。
図2に示すように、医療システム1は、移動型ボックス10と、サーバ30、医療機関端末40を備える。
【0033】
また、これらの各装置は、ネットワークNを介して相互に接続されている。ネットワークNは例えばインターネットなどである。
以下、それぞれの装置について説明する。医療システム1は、複数の移動型ボックス10を備える。
【0034】
本実施形態の移動型ボックス10は、例えば画像通信を可能にするボックス内端末20や物資を管理する物資管理部14などを備えるが、これらの機能は、複数の移動型ボックス10に分けてもよい。
つまり、例えば、画像通信を行う移動型ボックス10と、物資管理を行う移動型ボックス10は別であってもよい。
また、重複する部分については説明を省略する。
【0035】
<移動型ボックス10>
移動型ボックス10は、例えば車輪などを備えることで、牽引によりまたは自走により移動可能な筐体である。医療・ヘルスケアシステム1(医療システム1)の中核となる装置であるため、以下詳細に説明する。
【0036】
図4は、移動型ボックス10が備える機能を説明するための機能ブロック図である。
図4に示すように、移動型ボックス10は、患者が入室するスペースを形成するボックス部10Aと、ボックス部10Aを搭載し、移動させるための車両部10Bとを備える移動型の診療所である。ボックス部10Aに、患者が医療機関と通信を行うためのコンピュータ(ボックス内端末20)を備える。
【0037】
ボックス部10Aは車両部10Bから着脱可能である。例えばボックス部10Aが古くなった場合や汚れた場合などは、車両部10Bはそのままにボックス部10Aを交換することができる。
【0038】
<ボックス部10A>
ボックス部10Aは、医療サービスを受けようとするユーザが入室可能なスペース、または、医療サービスに関わる物資を搭載可能なスペースを備える。
【0039】
本実施形態のボックス部10Aは、例えば患者など、医療サービスを受けようとするユーザが入室して、オンラインで診療を受けるための小型の診療所となる部分である。
図4に示すように、ボックス部10Aは、筐体11、電源部12、施錠部13、およびボックス内端末20を備える。
【0040】
<筐体11>
筐体11は、壁などにより、外の空間から仕切られているスペース(空間)を構成する構造体である。本実施形態の筐体11は、診療所となるスペースを構成する筐体である。ただし筐体11は、例えば天井部分があいているなど、一部において開口していてもよい。
【0041】
運送可能であるかどうかや運送に係る法律上の要請は別とすると、筐体11の大きさに特に制限は無いが、筐体11は高さ3m以下が好ましく、高さ2m以下がより好ましい。高さがありすぎると、トンネルが通行できないなど、移動に係る利便性が損なわれるからである。
本実施形態において、筐体11内のスペースは、床面が1.2m×0.8m、高さが2mである。
【0042】
筐体11は、軽量かつ丈夫であることが好ましく、筐体のいわゆる面や辺に当たる部分、つまり壁面、床面、若しくは天井や、柱、梁、若しくは桁の少なくとも一部が軽量素材で構成される。軽量素材は、例えば樹脂材、木材、紙材、または軽金属材である。ここで軽金属とは、密度が5g/cm3以下の金属を指し、例えばアルミニウムやチタンなどである。
【0043】
筐体に軽量素材を用いることで、移動型ボックス10を軽量化することができる。
本実施形態において、検査機器やコンピュータが搭載されていない状態(空の状態)におけるボックス部10Aと車両部10Bの重量の合計(以下「空の状態の総重量」とする。)は200kg以下に抑えられる。
【0044】
言い換えると、本実施形態の移動型ボックス10は、ボックス部の壁面、床面、または天井の少なくとも一部が、樹脂、木材、紙材、または軽金属で構成されることにより、移動型ボックス10の1つあたりの総重量が200kg以下に抑えられる。
【0045】
さらに、本実施形態において、壁面などのいわゆる面を構成する部分が、古紙材を含む、軽量で低価格な繊維強化プラスチック(Fiber-Reinforced Plastics、FRP)で構成されている。また、柱などのいわゆる辺を構成する部分が木材で構成されている。
このような素材を用いることで、本実施形態の移動型ボックス10は、空の状態の総重量が100kg以下に抑えられている。
【0046】
ここで、日本の現行法上、被牽引車の車両総重量が750kg以下の場合は牽引免許が不要となる。
本実施形態の移動型ボックス10は、検査機器等を積載している状態でも総重量が750kg以下になるため、牽引免許を有さない者であっても、移動型ボックスを牽引することができる。
【0047】
これにより、運送に際してけん引免許を有する者、例えば業者、に依頼する必要がないことから、移動型ボックス10の運送がより容易になり、利用しやすいという利点がある。
また、本実施形態の移動型ボックス10は、筐体11が軽量であるため、その分多くの検査機器が搭載できるという利点がある。
【0048】
なお、移動型ボックス10の総重量は、総重量が常に750kg以下に限定されるわけではない。重量のある検査機器を搭載する場合など、移動型ボックス10の総重量が750kgを超える場合があってもよく、その場合は牽引免許を有する者が移動型ボックス10を運送する。
【0049】
図4に戻り、筐体11は、ボックス部10A内外に人が出入りするための扉部111を備える。扉の材質やタイプは公知のものを適宜用いることができる。本実施形態の扉部111は、後述する施錠部13を備え、施錠できるようになっている。
【0050】
<電源部12>
電源部12は、移動型ボックス10が備える各装置(部品等含む)に電力を供給するための装置である。電源部12は蓄電池121を備え、電気的に自立している。つまり、本実施形態の移動型ボックス10はいわゆるオフグリッドである。
蓄電池121を備えることにより、移動型ボックス10は電源供給が見込めない場所であってもオンライン診療が可能な診療施設を提供することができる。
【0051】
また、本実施形態の電源部12は電源コネクタ122を備える。移動型ボックス10の電源部12は、電源コネクタ122を通じて、他の移動型ボックス10との間で電力のやり取り(給電または受電)をすることができる。
【0052】
これにより、例えば、一の移動型ボックスに大容量の蓄電池121や次項のソーラーパネルを搭載し、一方、他の移動型ボックスは小型の蓄電池121を搭載する、といったことができる。この場合、当該他の移動型ボックスは軽量化をすることができ、その分他の検査機器を搭載することができる。
【0053】
さらに、本実施形態の電源部12は、ソーラーパネルを備える(不図示)。ソーラーパネルにより、電力を自給することができるという利点がある。特に山間部などにおいて、電力を自給できるということは、安定して移動型ボックス10内の機器を稼働できるという利点がある。
【0054】
<施錠部13>
施錠部13は、扉部111を施錠または開錠する装置である。施錠部13は例えば鍵である。施錠部13は扉部111を施錠することにより、入室を予定しない者がボックス部10A(筐体11)内に入室することを防ぐ。
【0055】
図4に示すように、本実施形態の施錠部13は、制御部21や通信制御部25と接続されている電子錠である。つまり、制御部21、または遠隔地にある医療機関端末40は、施錠部13に電気信号を送ることで施錠または解錠することができる。
【0056】
以下、移動型ボックス10が患者の認証を行う認証入力部231を備えている例で説明する。なお、認証入力部231の詳細は後述する。
患者が移動型ボックス10に来訪した時、患者は認証入力部231に入力を行う。ここで正しく認証できた場合、制御部21は施錠部13を開錠する。これにより、患者はボックス部10A内に入室することができる。
【0057】
言い換えると、本実施形態の移動型ボックス10は、ユーザを認証する認証入力部231を備え、認証により(つまり、認証に成功した場合に)施錠部13を開錠する。
ここでユーザの定義は上述した通りであり、例えば医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者(患者など)や医療・ヘルスケアサービス提供者(看護師など)を指す。
【0058】
認証入力部231を備える移動型ボックス10と、施錠部13を備える移動型ボックス10は異なる場合がある。
例えば、診療用の移動型ボックス10と、物資管理用の移動型ボックスが連結している場合で、診療用の移動型ボックス10のみが認証入力部231を備える場合である。
【0059】
このとき、医療・ヘルスケアサービス提供者は、医療・ヘルスケアサービス提供者用は当該認証入力部231に入力を行い、連結している物資管理用の移動型ボックス10の施錠部13を開錠することができる。
言い換えると、移動型ボックス10は、認証によりいずれかの移動型ボックス10の施錠部13を開錠することができる。
【0060】
このほか、移動型ボックス10が認証入力部231を備えなくとも、医療・ヘルスケアサービス提供者(受付スタッフや看護師、医師など)が患者の来訪を知得したときに、医療機関端末40を操作することで、オンラインで施錠部13を開錠することもできる。
【0061】
言い換えると、扉部111を施錠または開錠する施錠部13が、医療・ヘルスケアサービス提供者が医療機関端末40を通じて送信する信号により、前記扉部を施錠または開錠する施錠部であるといえる。
【0062】
<物資管理部14>
図5は、物資管理部14の概要を示す図である。
図5(A)は物資管理部14を真上から見た図であり、
図5(B)は物資管理部14を側面から見た図である。
図5(B)の上下方向は鉛直方向であり、図面上側が天井側、図面下側が床側である。
図中の白抜き矢印は、物資Lが押し出される方向を示す。
【0063】
物資管理部14は、物資の種類の数だけ筐体11内に設置されるユニットデバイスである。
本実施形態において、物資管理部14の本体部分は筐体11の壁内に埋設され、取出口E部分が筐体11の壁から露出している。
ただし、取出口E部分には蓋があり(不図示)、取出しEからは物資管理部内14の物資Lを抜き取ることはできないようになっている。
【0064】
医療機関側のユーザ(スタッフ、看護師、または薬剤師など)は物資供給口(不図示)から物資Lを供給することができ、一方患者は物資管理部14の取出口Eから医薬品などの物資Lを受け取ることができる。ただし、患者は物資供給口や物資管理部14内にストックされている物資Lには触れることはできない。
【0065】
図5に示すように、本実施形態の物資管理部14は、物資Lを格納する物資格納部のほか、ステッピングモーター141、ブレード142、押出壁143、ばね144、およびロードセル145を備える。
なお物資格納部は
図5中、物資Lが置いてある部分である。図中において、物資格納部に物資Lが6つ格納されている。
【0066】
ステッピングモーター141は一定の角度ずつ回転するモーターであり、ブレード142を回転させる。ばね144は押出壁143に付勢し、押出壁143は物資Lを取出口E側(図中右から左)に押し出す。
ブレード142は、所定の条件で回転するステッピングモーター141により回転し、ブレード142手前まで供給されている、最前列の物資Lを取出口Eに供給する。
ロードセル145は荷重を検出するセンサである。ロードセル145は物資L全体の重さを検出することで、物資の量を測ることに寄与する。
【0067】
図5に示すように、制御部21は、ステッピングモーター141とロードセル145を制御する。制御部21の詳細については後述する。
制御部21はロードセル145を通じて物資Lの全体の重さ、すなわち物資の量(在庫)を取得する。在庫数があらかじめ定められた数以下になった場合、制御部21はアラートを発する。このアラートは、通信制御部25を通じて医療機関端末40に送信される。
【0068】
また、このアラートに関するデータは、移動型ボックスデータベースD20に格納される。つまり、医療機関側のユーザが、例えば後述するボックス一覧画面(
図16)により移動型ボックス10の情報を呼び出したときにもこのアラートが表示される。
【0069】
また、制御部21は、ネットワークNを通じて医療機関端末40からの命令信号を受け付け、ステッピングモーター141を動作させる。すなわち、制御部21は、所定のタイミングでステッピングモーター141を180度回転させて最前列の物資を押し出すことにより、患者等に医薬品などの物資を提供する。
【0070】
言い換えると、本実施形態の物資管理部14は、外部からの通信制御により、前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者に対して物資を自動で供給する。
なお、物資管理部14を備える移動型ボックス10と、患者の診療等を行う移動型ボックス10は別の移動型ボックス10であってもよい。
【0071】
なお物資はIDによって管理され((医療)物資ID)、制御部21が取得する物資の数量などのデータはサーバ30の医療物資データベースD30に格納される。
【0072】
<ボックス内端末20>
図6は、ボックス内端末20のハードウェア構成図である。
ボックス内端末20は、移動型ボックス10に配設されるコンピュータ端末である。ボックス内端末20として市販のパーソナルコンピュータ(PC)などが適宜用いられる。
図6に示すように、ボックス内端末20は制御部21、記憶部22、入力部23、出力部24、そして通信制御部25を備える。
【0073】
ここで、ボックス内端末20は1つに限られない。例えば、機能ごとにボックス内端末20が別々に用意されていてもよい。例えば、画像通信を行うための端末と、後述する連結部152を制御するための端末は分かれていてもよい。
【0074】
<制御部21>
制御部21は、接続している機器の制御を行う。制御部21は一般的なコンピュータと同じように、ボックス内端末20の機器、すなわち記憶部22、入力部23、出力部24、そして通信制御部25を制御するほか、電源部12、施錠部13、車両部10B(駆動部151など)を制御する。
なお、本実施形態において、機器間の接続態様(ネットワークトポロジ)は特に限定されない。例えばバス型であってもよいし、スター型、メッシュ型などであってもよい(以下に説明するハードウェアおいて同じ)。
【0075】
制御部21は例えば、接続されている各種装置から情報を取得してサーバ30や医療機関端末40にと共有する。またこれとは逆に、医療機関側ユーザから医療機関端末40を通じて入力(命令信号)を受け付け、インホイールモーター151bなどを含むセンサやデバイスの制御を行う。
【0076】
制御部21は、プロセッサ211、ROM212、RAM213、計時部214を備える。これらについて以下説明する。
【0077】
プロセッサ211は、ROM212や記憶部22などに記憶されたプログラムに従って、情報処理や各種装置の制御を行う。本実施形態において、プロセッサ211はCPU(Central Processing Unit)である。
【0078】
なお、プロセッサ211はCPUに限られるものではない。CPU、DSP(Degital Signal Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはGPGPU(General Purpose computing on GPU)など、各種プロセッサを単独で、あるいは組み合わせて用いてもよい。
例えば、CPUとGPUを統合したプロセッサはAPU(Accelerated Proessing Unit)などと呼ばれるが、このようなプロセッサを用いてもよい。
【0079】
ボックス内端末20の制御部21は、画像通信に係る処理を行う受付・サービス受信部215として機能する。
受付・サービス受信部215は、受付・サービス受信プログラムP21を実行して受付・サービス受信処理を行う。
受付・サービス受信プログラムP21は、受付受信処理を実行する受付受信プログラムP21aおよびサービス受信処理を実行するサービス受信プログラムP21bを含む。
【0080】
受付・サービス受信処理は、サーバ30による受付・サービス提供処理(後述)に伴い、ボックス内端末20が行う処理である。つまり、受付受信処理は後述の受付処理に、サービス受信処理は後述のサービス提供処理に対応する。
詳細はプログラム処理の項で説明する。
【0081】
図6に戻り、ROM212は、プロセッサ211が各種制御や演算を行うための各種プログラムやデータがあらかじめ格納された、リードオンリーメモリである。
【0082】
RAM213は、プロセッサ211にワーキングメモリとして使用されるランダムアクセスメモリである。このRAM213には、本実施形態の各種処理を行うための各種エリアが確保可能になっている。
すなわち、記憶部22に格納された、受付・サービス受信プログラムP21などの各種プログラムや、各種データがプロセッサ211により読み出され、RAM213に記録(格納)される。
【0083】
計時部214は、計時処理を行う。本実施形態において、計時部214は例えば、患者が訪問する日時のスケジュール管理などに用いられる。
【0084】
上記のほか、制御部21は、本実施形態で説明する機能を支援するための種々の機能を備える。
例えば、制御部21は内部の保護回路により、落雷等の予期せぬトラブルから自身(制御部21)やインホイールモーター151bなどを保護する回路保護機能を備える。
【0085】
<記憶部22>
記憶部22は、プログラムやデータなどの情報を記憶するための装置である。記憶部はストレージとも称する。
本実施形態において、記憶部22はボックス内端末20に内蔵されるが、これに限られるものではなく、専用HDD(ハードディスクドライブ)等の外部記憶を備えていてもよい。
【0086】
記憶部22は、データの読み書きが可能な記憶媒体と、当該記憶媒体に読み書きするドライブとを含む。
当該記憶媒体は、特に制限されないが、例えば、内蔵型でも外付型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROMなどが挙げられる。
当該ドライブは、特に制限されないが、例えばHDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)等が挙げられる。
【0087】
図6に示すように、記憶部22は、プログラム格納部221とデータ格納部222を備える。
プログラム格納部221には、本実施形態に係る受付・サービス受信プログラムP21を含むアプリケーションソフトウェアのほか、制御部21に接続されている機器を制御するための制御プログラム、例えば通信制御部25を制御する通信制御プログラムなど、各種プログラムが格納されている。
データ格納部222には、受付・サービス受信プログラムP21に必要なデータや、サーバ30から取得しているデータなど、各種データが格納されている。
【0088】
<入力部23>
入力部23は、ユーザやほかの機器など、外部からの入力を受け付ける装置である。
以下では、入力部23として、マイクやカメラなどの入力装置のほか、認証に関する入力を受け付ける認証入力部や、センサについて説明する。
【0089】
本実施形態の移動型ボックス10は、入力部23として、移動型ボックス10のユーザが画像通信に使用するマイクとウェブカメラを備える。マイクやウェブカメラは市販のものを適宜用いることができる。
【0090】
このほか、入力装置として、移動型ボックス10は、キーボード、ポインティングデバイスとしてのマウス、トラックパッド、タブレット、またはタッチパネルなどを備えていてもよい。
入力装置がタブレットなどの場合、入力部分は、タッチスクリーンなどの形で、画像などを表示する表示部(ディスプレイ)の表面に配置される。この場合、入力部23は、当該表示部に表示される各種操作キーに対応した、ユーザのタッチ位置を特定し、当該操作キーの入力を受け付ける。
【0091】
本実施形態の移動型ボックス10は、入力部23として、認証のための入力を受け付ける認証入力部231を備える。
本実施形態の移動型ボックス10は、扉部111の外側に、認証入力部231を配設している。
【0092】
本実施形態において、認証入力部231は、タッチパネル式のパスワード入力部またはICカード読取部を備える。
つまり、移動型ボックス10に来訪した患者は、あらかじめ伝えられたパスワードを入力することで、施錠部13を開錠することができ、ボックス部10A内に入室できるようになる。
患者にあらかじめICカードが配布されている場合は、パスワードを入力する必要はなく、患者はICカード読取部にICカードをかざすだけで認証が可能である。
【0093】
本実施形態の移動型ボックス10は、入力部23として、センサ部232を備える。
センサ部232は、移動型ボックス10の環境を測定し、または、人や検査機器などの物品を検出する。
本実施形態の移動型ボックス10は、センサ部232として、環境センサ232aと検査機器を検出する検査機器センサ232bを備える。
このほか、移動型ボックス10は、物資管理部14のロードセンサ、車両部10Bの角度制御用センサなどを備えるが、特定の装置と密接にかかわるセンサについては、その装置のところで説明する。
【0094】
環境センサ232aは、移動型ボックス10内外の環境を測定し、測定データを記録・送信する。
具体的には、本実施形態の移動型ボックス10は環境センサ232aとして温度計および湿度計を備え、移動型ボックス内外の温度(気温、室温)や湿度を測定する。
また、本実施形態の移動型ボックス10はGPS(Global Positioning System)を備えるため、位置情報の測位が可能であり、移動型ボックス10の位置情報は、後述する通信制御部25を経てサーバ30のプロセッサ311が取得することができる。
なおここで、データの送信は、有線と無線とを問わない。これは以下のセンサも同様である。
【0095】
検査機器センサ232bは、移動型ボックス10に搭載されている検査機器を検出する。搭載されている検査機器の情報は、後述する通信制御部25を通じてサーバ30のプロセッサ311が取得することができる。
【0096】
センサ部232は、上記以外のセンサを備えていてもよい。例えば、移動型ボックス10は、ボックス部10Aの重量を測定する重量センサを備えていてもよい。重量センサを備えていることにより、患者の体重を測ることができるほか、移動型ボックス10が過積載状態にならないか、監視することなどができる。
【0097】
<出力部24>
出力部24は、移動型ボックス10においてサービスの提供を受ける者(例えば患者)に対し、情報の出力を行う装置である。
出力部24として例えば、プロジェクタやディスプレイ(液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ)などの表示装置や、スピーカなどの音声出力装置、プリンタなどの帳票出力装置などが挙げられる。
【0098】
本実施形態の移動型ボックスは、出力部24としてプロジェクタ241を備える。プロジェクタ241は、画像通信の相手を移動型ボックス10の壁面に投影する。
例えば、移動型ボックス10の患者が、医療機関の医師とオンライン診療を受ける場合において、相手方である医師の映像は、プロジェクタ241が壁面に投影する。
【0099】
なお、出力部24は汎用的なパソコンに使用されるディスプレイを用いてもよい。移動型ボックス10を利用するユーザは、当該ディスプレイを通じて遠隔地の医療施設にいる医師等と会話し、診療を受けることができる。
【0100】
<通信制御部25>
通信制御部25は、移動型ボックス10のボックス内端末20が、外部にある端末等との間で通信を行うための装置である。外部にある端末とは例えば、後述するサーバ30や医療機関端末40などである。
図6に示すように、通信制御部25は、移動型ボックス10をネットワークNに接続する。
【0101】
本実施形態において、通信制御部25は、ネットワークNを通じた長距離通信のほか、移動型ボックス10間で直接通信する短距離通信も制御する。
例えば、2つの移動型ボックスが近接する態様で使用される場合、当該2つの移動型ボックスは直接の短距離通信によりデータを送受信することができる。
具体的には、ある移動型ボックスに搭載されている検査機器で測定した患者のデータを、別の移動型ボックスに送信するなどである。
なお、ネットワークを介した長距離通信を行うか、直接の短距離通信を行うかは、ユーザの設定により適宜変更することができる。
【0102】
言い換えると、本実施形態の移動型ボックス10は、短距離通信を行う短距離通信制御部を備え、当該短距離通信部は、移動型ボックス10が搭載している検査機器により得たデータ(測定データなど)を、他の移動型ボックス10に送信することができる。
この場合、短距離通信制御部は、通信制御部25の機能の一部である。
【0103】
本実施形態における通信制御部25の通信方式は無線による方式である。ただし、これに限られるものではなく、有線LANが使用可能な場所では有線LANを用いてもよい。通信方式は公知のものを適宜用いることができる。
【0104】
無線であれば、例えばIEEE802.11(例えばWi-Fi)で規定される通信方式(フレームワーク)を好適に用いることができるが、それ以外にも、IEEE802.15(例えばブルートゥース(登録商標)、BLE(ブルートゥース(登録商標)ローエナジー)など)、IEEE802.16(例えばWiMAX)、または赤外線通信などの光通信で規定される通信方式などを用いてもよい。
また上記のほか、低消費電力、短距離の通信方式であるZigBee(登録商標)や、matter(登録商標)などを用いてもよい。
【0105】
有線であれば、例えばIEEE802.3(例えばバス型やスター型の有線LAN)で規定される通信方式を好適に用いることができるが、それ以外にも、IEEE802.5(例えばリング型の有線LAN)で規定される通信方式などを用いてもよい。
【0106】
上記のほか、ボックス部10Aは、例えば椅子などの、患者の診療に必要な備品を備える。
また、ボックス部10Aは、本実施形態の用途のために追加的に必要な装置や、本実施形態の用途について利便性を向上させるための装置を備えていてもよい。
例えば、ボックス部10Aは、プロジェクタ241の映像を映すためのスクリーンなどを備えていてもよい。
【0107】
<車両部10B>
車両部10Bは、牽引により、または自走により、移動型ボックス10を移動可能にするため装置である。本実施形態において、車両部10Bはボックス部10Aを搭載する。
図4に示すように、車両部10Bは、基台15と、車輪16を備える。
本実施形態の移動型ボックス10は、前輪1つと後輪2つの計3つの車輪16を備える3輪車である。
【0108】
<基台15>
基台15は、ボックス部10Aを支えるフレーム部分である。基台15はシャーシとも呼ばれる。
図4に示すように、基台15は、機能部として駆動部151と連結部152とを備える。
【0109】
駆動部151は、モーターやエンジンなどの動力を備え、移動型ボックス10の移動を可能にする装置である。
本実施形態の駆動部151は、モータードライバ151aとインホイールモーター151bを備える。詳細は後述する。
【0110】
駆動部151により、移動型ボックス10は自走が可能となるという利点がある。例えば、駆動部151は短い距離の移動を可能にするため、移動型ボックス10の配置場所を細かく決める際などに役立つ。
【0111】
連結部152は、基台15を備える移動型ボックス10と、他の移動型ボックス10または牽引車両などの他の車両とを連結するための装置である。
連結部152は例えば、移動型ボックス10が自走せず、自動車などの牽引車両や他の移動型ボックス10にけん引される場合などに使用する。
【0112】
本実施形態において、連結部152は少なくとも連結機構152aを備える。
連結機構152aは、牽引車両や他の移動型ボックス10の被連結部と連結する。
【0113】
本実施形態において、連結機構152aはフックである。また、他の移動型ボックス10や車両の被連結部は、フックを引っ掛けることができるリンクである。
例えば、本実施形態の移動型ボックス10のフックが、他の移動型ボックスのリンクと連結することで、移動型ボックス同士が連結する。
【0114】
ここで、リンクの形状は、連結機構152a(フック)と連結できる形状であれば制限は無いが、例えばリング状などの曲線形状、棒状などの直線形状、またはそれらの組み合わせなどが挙げられる。
本実施形態の移動型ボックス10が備えるリンク部の形状は棒状である。
【0115】
また、本実施形態の連結機構152a(フック)は、外れ止め152bを備える(不図示)。外れ止め152bは、フックがリンクと連結したときに、フックがリンクから外れないようにするためのものである。
例えば、移動型ボックス10が段差や凹凸路上を走行して連結部152に不測の力が加わったとしても、連結機構152aが外れ止め152bを備えることにより、連結が解除されないという利点がある。
【0116】
本実施形態の連結部は電子的に制御される。連結の制御方法については次項(
図7)で説明する。
【0117】
なお、
図4において、連結部152は1つのみ描画されているが、これに限られない。例えば基台15の前後など、2箇所に配設されていてもよい。
このような例として、3つ以上の移動型ボックスが連結して動く場合などが挙げられる。つまり、先頭が牽引車両、それに連なる2台目と3台目が移動型ボックス10である場合、2台目の移動型ボックス10は3台目の移動型ボックス10をけん引する牽引車両になるとともに、牽引車両にけん引される被牽引車両にもなる。
【0118】
図7は、電源部12、駆動部151、および連結部152の機能を説明するためのブロック図である。
図7において、実線は機能上の関わりがあることを示し、実線の矢印は電力供給の方向を示す。
【0119】
図7に示すように、電源部12は、ボックス内端末20の制御部21のほか、駆動部151に電力供給を行う。
また、制御部21は、車両部10Bの駆動部151を制御する。
【0120】
図7に示すように、本実施形態の駆動部151は、モータードライバ151a、インホイールモーター151b、および連動制御部151cを備える。
上述したように、本実施形態の移動型ボックス10は、前輪1つと後輪2つの計3つの車輪16を備える3輪車であるが、前輪のみがインホイールモーター151bを備える。
【0121】
モータードライバ151aは、インホイールモーター151bを制御する。
インホイールモーター151bは、車輪16のホイール内部に配設されるモーターでああり、車輪16を直接的に駆動させる。
連動制御部151cは、インホイールモーター151bの回転動作と、連結機構152b(フック)の回転動作との連動を制御するための装置である。本実施形態において、連動制御部151cはソレノイド(連動制御用ソレノイド)を用いている。
【0122】
図7に示すように、制御部21は、モータードライバ151aと連動制御部151cをそれぞれ制御する。以下、順に説明する。
【0123】
まず、制御部21によるモータードライバ151aの制御について説明する。
制御部21はモータードライバ151aに対して、駆動制御に必要なタイミングでトリガーとなる信号を発する。モータードライバ151aはその信号を受けて、インホイールモーター151bの駆動に最適なタイミングで信号を生成し、必要な電力を確保してインホイールモーター151bを駆動させる。
【0124】
つづいて、制御部21による連動制御部151cの制御について説明する。
制御部21は、移動型ボックス10と、他の車両との自動的な連結を可能にする。例えば、医療機関端末40からの操作により、移動型ボックス10が他の車両と連結する。
以下、この連結の制御方法について説明する。
【0125】
本実施形態の移動型ボックス10は前輪にインホイールモーター151bを備え、このインホイールモーター151bの回転中心からは回転軸が延びている。
この回転軸と、連結機構152b(フック)は結合しており、連動することができる。つまり、回転軸の回転に合わせて、フックは回動することができる。
【0126】
この連動を制御するのが連動制御部151cである。上述した通り、本実施形態では、連動制御部151cは連動制御用ソレノイドである。
連動制御用ソレノイドは、インホイールモーター151bの動力を車輪に伝えるか、フックに伝えるかを制御する。
【0127】
連動制御用ソレノイドがONの場合、車輪16が回転し、移動型ボックス10を走行させる。
連動制御用ソレノイドがOFFの場合、フックが回転し、被連結部であるリンクに引っ掛けることができる。
【0128】
このほか、本実施形態の車両部10Bは、フックとリンクとの相対位置を測定する相対位置センサ、およびフックの回転角度を測定する角度制御用センサを備える(不図示)。
これらのセンサにより、フックの回動や、フックとリンクの連結が適切に制御され、移動型ボックス10の連結を確実にすることができる。
【0129】
制御部21は、連動制御部151cを制御し、さらに、連動制御部151cの制御を通じて連結部152を制御する。
言い換えると、本実施形態の移動型ボックス10は、連結部152を制御する制御部21を備え、制御部21は、当該移動型ボックス10と他の車両とを連結する制御を行う。
【0130】
<車輪16>
車輪16は、移動型ボックス10を滑らかに移動させるためのタイヤである。上述したように、本実施形態において、移動型ボックス10は前輪1つ後輪2つの計3つの車輪16を備える。この3つの車輪のうち、前輪がインホイールモーター151bにより駆動する。
車輪16は市販のものを適宜使用できる。
【0131】
車輪16を備える車両部10Bがあることで、牽引により、または自走により移動が可能になるため、移動型ボックス10は病院のない地域まで移動することができる。
【0132】
以上のように、本実施形態の医療・ヘルスケアボックスは、少なくとも2以上の移動型ボックスを備え、前記移動型ボックスは、少なくとも蓄電池を備える電源部と、筐体を備えるボックス部と、前記筐体の少なくとも1箇所に配設される扉部と、前記扉部を施錠または開錠する施錠部と、牽引によりまたは自走により、前記ボックス部を移動させる車両部と、他の車両と連結するための連結部と、を備える。
【0133】
また、前記移動型ボックスの少なくとも1つは、(1)前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が医療・ヘルスケアサービス提供者と画像通信を行うための通信制御部を備え、かつ、(2)前記ボックス部が医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が入室可能なスペースを備えるボックス部である。
つまり、当該少なくとも1つの移動型ボックスでは、医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける患者などが、中に入って、医療・ヘルスケアサービス提供者である医師などと画像通信を行うことができる。
【0134】
このような構成により、本実施形態の移動型ボックス10は、機能分割を可能にし、コンパクトながら必要十分な医療サービス提供することを可能にする。
また、2以上の移動型ボックス10を用いることにより、このような医療サービスを、複数の拠点に同時に提供することが可能である。
【0135】
本実施形態の移動型ボックス10は、患者が中に入ることができるスペースと、病院などの医療機関とオンライン画像通信ができる端末を備える。また、移動型ボックス10は、牽引車などの移動するための車両とは切り離すことができるため、設置に際して、場所を取らないという利点がある。
【0136】
また、複数の移動型ボックス10は、ニーズに応じて柔軟にその組み合わせを変えることができる。例えば、診療用のもの(複数の移動型ボックス10)と身体測定用のものの組み合わせ、診療用・身体測定用・医療物資提供用の組み合わせなどである。そのほか、診療用のものを複数台用意し、複数の患者を複数の医師が診療できるようにしてもよい。
【0137】
つづいて、
図2に示す医療システム1のうち、移動型ボックス10以外の装置について説明する。
【0138】
<サーバ30>
サーバ30は、オンラインサービスを提供するコンピュータである。
サーバ30は、ネットワークNを通じて移動型ボックス10のボックス内端末20や医療機関端末40と接続されており、ボックス内端末20や医療機関端末40からの要求に応じて、該当するデータを送信するなどの機能を有する。
【0139】
なお
図2において、サーバ30は1台のみ図示しているが、数は1台に限られるものではなく、複数のサーバにより実現してもよい。負荷分散や可用性の観点から、複数のサーバを用いてもよい。
【0140】
図8は、サーバ30のハードウェア構成図である。
図8に示すように、サーバ30は、制御部31、記憶部32、および通信制御部33を備える。以下の説明に関係しない入出力部などについては説明を省略する。
制御部31は、プロセッサ311のほかROM、RAM、および計時部を備える。記憶部32は、プログラム格納部321とデータ格納部322を備える。
既に説明済みの事項について記載を省略する。
【0141】
本実施形態において、サーバ30は画像通信サービスを提供する。
例えば、ボックス内端末20のマイクは音声の入力を受け付け、ウェブカメラは映像の入力を受け付ける。サーバ30はこれらの情報を取得し、通信制御部33を通じて画像通信の相手方(ここでは医療機関端末40)に転送する。
つまり、サーバ30は、例えば患者と医者など、遠隔地にいる者同士の画像通信を仲介する。
【0142】
サーバ30の制御部31は、画像通信サービスに係る処理を行う受付・サービス提供部312として機能する。
受付・サービス提供部312は、受付・サービス提供プログラムP31を実行して受付・サービス提供処理を行う。受付・サービス提供プログラムP31は、受付プログラムP31aおよびサービス提供プログラムP31bを含む。
詳細はプログラム処理の項で説明する。
【0143】
さらに、サーバ30の制御部31は、予約時間が近くなると、患者に報知を行う報知処理を行う。
具体的には、本実施形態において、サーバ30の通信制御部33は、予約時間が近くなると、患者の電話に電話(IP電話)をかけ、予約時間を知らせることができる。報知の方法は電話に限られるものではなく、電子メールやショートメッセージなどであってもよい。報知の回数やタイミングは、医療・ヘルスケアサービスの提供者が適宜設定することができる。
【0144】
すなわち、サーバ30の制御部31は、報知処理を行う報知部313として機能する。
報知部313は、報知プログラムP32を実行して報知処理を行う。
【0145】
なお、この報知機能は、サーバ30の通信制御部33ではなく、ボックス内端末20の通信制御部25が備えていてもよい。その場合、ボックス内端末20の制御部21は報知部として機能する。
【0146】
言い換えると、ボックス内端末20の通信制御部25、または、通信制御部25と通信を行うサーバ30の通信制御部33は、報知部を備える。
そして当該報知部は、医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者に対し、予約時間を報知する。
【0147】
サーバ30の記憶部32は、画像通信機能や報知機能に必要なプログラムやデータを記憶部32に格納している。
本実施形態において、記憶部32のプログラム格納部321は、受付・サービス提供プログラムP31や報知プログラムP32などの各種プログラムを備える。また、記憶部32のデータ格納部322は、移動型ボックスデータベースD1のデータなど、各種データを格納する。
【0148】
<医療機関端末40>
医療機関端末40は、医療機関に配設されるコンピュータ端末である。
本実施形態の医療機関端末40は、医療機関端末40のユーザ(受付スタッフ、看護師、医師などの医療機関職員)と、ボックス内端末20のユーザ(患者など)をネットワークNで繋ぎ、オンラインで、受付や医療サービスの提供を可能にする。
例えば、医療機関端末40のユーザである医師は、医療機関端末40を用いて患者とオンラインで会話し、診療を行う。
【0149】
医療機関端末40は例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、またはタブレットなどが挙げられる。本実施形態において、医療機関端末40はスマートフォンである。
【0150】
医療機関端末40は、少なくとも制御部、記憶部、入力部、出力部、および通信制御部を備える。これらの基本的な機能については、ボックス内端末20の箇所で説明しているため説明を省略する。
【0151】
医療機関端末40の記憶部は、患者の受付や患者と画像通信を行うためのプログラムやデータを備える。当該プログラムは、アプリケーションソフトウェアとして医療機関端末40にインストールされている。
そして患者の受付や患者と画像通信を行うためのプログラムは、医療機関端末40の通信制御部を通じて、サーバ30の受付・サービス提供プログラムP31や、ボックス内端末20の受付・サービス受信プログラムP21と連携する。
【0152】
以上のような構成により、医療システム1は、ボックス内端末20を備える移動型ボックス10、サーバ30、そして医療機関端末40を備えることから、医療サービス提供者(受付スタッフ、医師など)は、遠隔地に居る複数の異なる医療サービス利用者(患者)に対して、受付や診療などを行うことができる。
つまり、医療機関端末40と、複数の移動型ボックス10とをネットワークNを介して繋ぎ、サーバ30がサービスに必要な機能を提供することにより、遠隔地での医療サービスを可能にする。
【0153】
2.ユーザーインターフェース(UI)
まず、本実施形態の医療システム1において表示されるインターフェース(UI)について、図を用いて説明する。
以降で説明するインターフェースは、サーバ30のプロセッサ311が、医療機関端末40のブラウザに表示させるものを簡略化したものである。
【0154】
なお以下において、簡単のため、「サーバ30のプロセッサ311が、端末(ボックス内端末20や医療機関端末40)からのリクエストを受けて、当該端末のブラウザに表示するためのデータを返す」ことを、「プロセッサ311が端末のブラウザに表示する(させる)」または「プロセッサ311が表示する(させる)」などと記載する場合がある。
また同様に、「サーバ30のプロセッサ311が、記憶部32のデータ格納部322にデータを保存させる」ことを、「プロセッサが(データを)保存する(させる)」などと記載する場合がある。
【0155】
以下において、医療・ヘルスケアサービス提供機関が病院であり、医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者(サービス利用者)が患者である場合の例で説明する。
つまり、移動型ボックス10側のユーザ(医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者)が患者、医療機関(医療機関端末40)側のユーザ(医療・ヘルスケアサービス提供者)が医療機関の職員(医師、看護師、受付スタッフその他の事務員など)である。またこのとき、患者は移動型ボックス10を使用するサービスの予約者でもある。
【0156】
以下の例では、受付スタッフが患者と画像通信を行って受け付けを行い、そのあとに医師が患者と画像通信を行って診療を行う。
【0157】
説明に必要な機能に関わるアイコン等のみ表示することとし、それ以外の公知の機能を持つアイコンなどは省略する。例えば、直前に表示されていたページに戻るための戻るボタンなどは省略している。
【0158】
プロセッサ311は、画面に表示するボタンやテキストボックスからユーザの入力を受け付ける。つまりユーザは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)により、視覚的かつ簡単な操作で入力を行うことができる。
【0159】
図9は、ログイン画面を示す図である。
以下、医療機関端末40に表示されるUIの説明において、医療機関側のユーザを単に「ユーザ」と略記する。
【0160】
図9に示すように、プロセッサ311は、ログイン画面にユーザ表示部UI-11、テキストボックスUI-12、およびログインボタンUI-13を表示する。
本実施形態においてプロセッサ311は、ユーザ表示部UI-11に医療機関側ユーザの名前と職種、およびユーザIDを表示する。
【0161】
ユーザは、メールアドレスおよびパスワードをテキストボックスUI-12に入力し、画面中央下部のログインボタンUI-13を押下することで、所望のメニュー、例えば次項の「患者一覧画面」などにログインする。
【0162】
言い換えると、プロセッサ311は、ログインボタンの選択(押下)をトリガーとして入力を受け付け、メールアドレスとパスワードの組が合致しているかを判断し、ユーザの認証を行う。
認証に成功すると、プロセッサ311は次項のメニュー画面を表示させる。
なお、以下のUIにおいてもユーザ表示部UI-11が表示されるが、描画を省略する。
【0163】
図10は、医療機関端末40に表示される、医療機関ユーザ用メニュー画面を示す図である。
図10に示すように、プロセッサ311は、医療機関ユーザ用メニュー画面にメニューボタンUI-14を表示する。以下それぞれについて説明する。
【0164】
本実施形態において、プロセッサ311はメニューボタンUI-14により、「診療」(UI-14a)、「ボックス一覧」(UI-14b)、および「患者一覧」(UI-14c)を選択可能なメニューとして表示する。ユーザは、これらの項目のうち必要なものを選択して詳細画面に進む。
ユーザが「診療」ボタン(UI-14a)を選択すると、プロセッサ311は次項の患者一覧画面を表示する。
【0165】
図11は、患者一覧画面を示す図である。患者一覧画面は、受付待ちや診療待ちの患者の一覧を表示する。
図11に示すようにプロセッサ311は、患者一覧画面に日付表示部UI-15、患者一覧表示部UI-16を表示する。
患者一覧画面においてユーザは、日付を選択し、その日付における患者の予約状況を確認することができる。
【0166】
日付表示部UI-15は対象となる日付を表示する。また、ユーザは任意の日付を選択することができる。ユーザは日付表示部UI-15の左右に表示されている矢印を選択することでその前後の日付を選択でき、またカレンダー(非表示)を選択することにより、離れた日付を選択することができる。
【0167】
患者一覧表示部UI-16は、日付表示部UI-15に表示した日付における患者の一覧を表示する。
図11に示すように、プロセッサ311は、患者一覧表示部UI-16に予約日時欄、予約者名欄、使用予定ボックス欄を表示する。
ユーザは患者一覧表示部UI-16により予約日時、予約者氏名、患者ID、使用予定の移動型ボックスを確認することができる。そのほか、特記事項がある場合は、予約者ごとにメモ入力部(非表示)から入力し、または確認することができる。
【0168】
プロセッサ311は、予約日時欄(
図11では「予約」と表示)に、予約日と予約時間、および受付状態を表示する。受付状態とは例えば、「受付待ち」、「受付中」、「受付済」などである。ユーザは受付状態を確認することにより、受付漏れがないことなどを確認できる。
【0169】
またプロセッサ311は、患者欄(
図11では「名前(ID)」と表示)に、患者本人の写真と氏名、患者IDを表示する。
さらにプロセッサ311は、使用予定ボックス欄(
図11では「ボックス」と表示)に、使用予定である移動型ボックス10のID(移動型ボックスID)と、型番(非表示)、写真(非表示)などを表示する。
【0170】
以下、
図11から
図13を用いて、患者の受付を行う場合について説明する。このとき、医療機関のユーザは例えば受付を担当する事務員(以下「受付スタッフ」とする。)である。
【0171】
なお、診療ボタン(UI-14a)を選択して患者を確認し、選択する手順は後述する医師による診療でも同じであるため、重複する部分については説明を省略する。
【0172】
例えば、9時、および10時に診療の予約が入っており、現在時刻が8時45分、次の患者は9時に予約している患者であるとする。また、当該9時に予約している予約者は、すでに移動型ボックス10内で待機しているものとする。
受付スタッフが予約者一覧表示部UI-16から9時予約の患者を選択すると、プロセッサ311は、次項(
図12)の画面を表示させる。
【0173】
受付スタッフは、受付を行う患者を選択し、受付開始ボタンUI-17を選択することで、受付を開始する。なおこの選択は、患者一覧表示部UI-16のチェックボックスをチェックすることにより行う。
なお、ユーザが医師である場合は、「受付開始ボタン」の代わりに「診療開始ボタン」が表示される。
【0174】
図12は、受付用画像通信準備画面を示す図である。
図12に示すように、プロセッサ311は、受付用画像通信準備画面に医療機関ユーザ表示部UI-18と、移動型ボックスユーザ表示部UI-19、患者情報表示部UI-20を表示する。
受付用画像通信準備画面において、ユーザは、画像通信を行う患者の患者情報を確認する。
【0175】
プロセッサ311は、医療機関ユーザ表示部UI-18に、医療機関側のウェブカメラが映している、医療機関側のユーザ(受付スタッフ)の映像を表示する。
また、プロセッサ311は、移動型ボックスユーザ表示部UI-19に、移動型ボックス側のウェブカメラが映している、移動型ボックス側のユーザ(患者)の映像を表示する。
なお、
図12は患者確認前の図面を示しているため、移動型ボックスユーザ表示部UI-19に患者の映像はまだ映っていない。
【0176】
プロセッサ311は、患者情報表示部UI-20に、予約時間、患者の氏名、患者ID、性別、使用する移動型ボックス10のID(ボックスID)、メモ、測定予定または測定済みの医療データなどの、患者情報を表示する。ここで、患者情報はこれに限られるものではなく、住所、年齢、または患者の保険証に記載されている情報などを含んでいてもよい。
【0177】
ここで、受付の手順を説明する。ユーザである受付スタッフは、患者情報表示部UI-20に表示される患者情報が、受付を行う患者のものであるかどうかを確認する。予約時間や患者情報に誤りが無ければ、受付スタッフは確認ボタンUI-21を選択し、患者との画像通信を開始する(次項)。
【0178】
図13は、受付用画像通信画面を示す図である。
図13に示すように、プロセッサ311が、受付用画像通信画面に医療機関ユーザ表示部UI-18と、移動型ボックスユーザ表示部UI-19、患者情報表示部UI-20を表示する点は
図12と同じである。
ただし
図12の場合と異なり、
図13の移動型ボックスユーザ表示部UI-19には、患者の映像がリアルタイムで表示される。
受付用画像通信画面において、受付スタッフは移動型ボックス10内の患者と、画像通信を行い、受付を行う。
【0179】
なお、プロセッサ311は、患者情報表示部UI-20を表示するが、この表示は医療機関側ユーザの操作により、表示・非表示を切り替えることができる。これにより、患者の様子を明確に確認することができる。
また、
図13は移動型ボックスユーザ表示部UI-19に患者の上半身を表示しているが、患者の表示箇所は顔のアップや全身、またはその組み合わせでもよい。
医療機関ユーザ表示部UI-18および移動型ボックスユーザ表示部UI-19の映像はリアルタイムの映像(動画)である。ただし、通信の遅延等がある場合はタイムラグが生じ得る。
【0180】
本人確認や予約の確認、保険証の確認などができたことをもって、受付スタッフは受付を完了する。受付が完了したら、受付スタッフは受付完了ボタンUI-22を選択する。
受付が完了すると、ユーザ(特に診療を行う医師など)は、医療機関ユーザ用メニュー画面の「診療」(UI-14a)から、診療のための画像通信ができるようになる。詳細は次項で説明する。
【0181】
続いて、
図14および
図15を用いて、医師が患者と画像通信を行い、診療を行う場合について説明する。この場合、医療機関側のユーザが医師である。
ここで医師は、「診療」(UI-14a)メニューを選択し(
図10参照)、患者を確認して(
図11参照)、「診療開始」ボタン(不図示)を選択している。これにより、医師の医療機関端末40には、次項の診療用画像通信準備画面が表示される。
【0182】
図14は、診療用画像通信準備画面を示す図である。
図14に示すように、プロセッサ311は、診療用画像通信準備画面に医療機関ユーザ表示部UI-18と、移動型ボックスユーザ表示部UI-19、患者情報表示部UI-20を表示する。これは上述した受付用画像通信準備画面と変わらないが、
図14では
図12と異なり、医療機関ユーザ表示部UI-18に医師の映像が表示されている。
診療用画像通信準備画面において医師は、画像通信を行う患者の患者情報を確認する。
【0183】
医療機関のユーザである医師は、患者情報表示部UI-20に表示される患者情報が、診療を行う患者のものであるかどうかを確認する。予約時間や患者情報に誤りが無い場合、医師は確認ボタンUI-21を選択し、患者との画像通信を開始する(次項)。
本実施形態において、確認ボタンUI-21を押した時点で受付が終わっていないときは、医師は患者の入室があるまで待機する。
【0184】
図15は、診療用画像通信画面を示す図である。
図15に示すように、プロセッサ311は、医療機関ユーザ表示部UI-18、移動型ボックスユーザ表示部UI-19のほか、検査機器情報表示部UI-23を表示する。
診療用画像通信画面において、医療機関の医師は、移動型ボックス10内の患者と、画像通信を行い、診療を行う。
【0185】
プロセッサ311は、検査機器情報表示部UI-23に、例えば超音波検査装置や血圧計、または体重計といった、検査機器が取得したデータを表示する。
【0186】
医師は、検査機器が取得したデータを参照しつつ、移動型ボックスユーザ表示部UI-19に表示されている患者の様子を確認し、問診等を行うことで診療を行う。診療が完了したら、医師は診療完了ボタン(不図示)を選択する。
【0187】
なお、プロセッサ311は、検査機器情報表示部UI-23を表示するが、この表示は医療機関のユーザの操作により、表示・非表示を切り替えることができる。
【0188】
図16は、ボックス一覧画面を示す図である。
図16は、その中で、ある移動型ボックス10の情報を表示している画面である。
プロセッサ311は、医療機関ユーザ用メニュー画面(
図10)において「ボックス一覧」が選択されたときに、ボックス一覧画面を表示する。
図16に示すように、本実施形態において、プロセッサ311は、ボックス一覧画面に、所在地情報表示部UI-30と、移動型ボックス情報表示部UI-31を表示する。
【0189】
本実施形態の移動型ボックス10はGPSを備えているため、ユーザは移動型ボックス10の位置情報を確認することができる。つまり、プロセッサ311は、それぞれの移動型ボックス10がどこで稼働しているか、所在地情報表示部UI-30の地図上に表示し、その所在地名を表示することができる。
また
図16の検索ボックスに示すように、ユーザは逆に、地名から移動型ボックス10の所在地を検索することもできる。
【0190】
図16に示すように、プロセッサ311は、移動型ボックス情報表示部UI-31に、室温、湿度などの環境情報、電源残量などの電源情報、および搭載している検査機器に係る検査機器情報を表示する。
このほか、プロセッサ311は、移動型ボックス情報表示部UI-31に、移動型ボックス10の使用開始日、最終メンテナンス日、メンテナンス担当者・担当企業などを表示する。
【0191】
図16に示すように、これらの情報は移動型ボックス10ごとに確認することができる。つまり。医療機関のユーザやメンテナンス業者などは、様々な場所に配置されている移動型ボックス10のそれぞれについて、医療機関端末40から状況を確認することができる。
【0192】
ボックス一覧に表示される情報は、位置情報、環境情報、電源情報、および検査機器情報に限られない。
例えば、搭載している検査機器や医療用物資の数量・状態などを表示してもよく、また、稼働スケジュールなどの時間的情報を含んでいてもよい。
つまり、医療機関側のユーザは、運送する検査機器・医療用物資の数量・状態の管理を遠隔で行うことができる。
【0193】
図17は、受信画像を壁面に投影している移動型ボックス10を示す図である。移動型ボックス10のプロジェクタ241は、移動型ボックス10の壁面に画像通信の相手方を大きく投影する。
図17中、壁やスクリーンなどの投影部UI-40には相手方、つまり医療機関側ユーザ(受付スタッフや医者など)の映像が表示される。移動型ボックス10側のユーザである患者は、その映像を見ながら受付を行い、診療を受ける。
【0194】
プロジェクタ241を用いて大きく表示することにより、相手方を等身大に近いサイズで表示することができることから、患者にとって医師などと対面しているというリアリティが増すという利点がある。
等身大で対面に近いコミュニケーションを実現すると共に、広い壁面を活かすことによって、多様なユーザーインターフェースを実現することが可能となる。
このほか、ディスプレイを配設した場合における、ディスプレイの盗難のような予期せぬトラブルを未然に防ぐことができるという利点もある。
【0195】
3.プログラム処理
本実施形態の医療システム1において行われるプログラム処理について説明する。
【0196】
<受付・サービス提供処理>
受付・サービス提供処理は、サービス利用者の受付を行うための画像通信と、そのあとにサービスの提供を行うための画像通信を行う処理である。
本実施形態において、プロセッサ311は、受付・サービス提供プログラムP31に基づき、受付・サービス提供処理を行う。
すなわち、受付・サービス提供プログラムP31は、プロセッサ311による受付・サービス提供処理の実行により、コンピュータを受付・サービス提供手段として機能させる。
またこのとき、プロセッサ311を備える制御部31は、受付・サービス提供部312(または受付・サービス提供装置)としても機能する。
【0197】
受付・サービス提供処理は、受付に係る画像通信を行う受付処理と、診療に係る画像通信を行うサービス提供処理を含む。
つまり、受付プログラムP31aは、プロセッサ311による受付処理の実行により、コンピュータを受付手段として機能させる。このとき、制御部31は、受付部312aとして機能する。
また、サービス提供プログラムP31bは、プロセッサ311によるサービス提供処理の実行により、コンピュータをサービス提供手段として機能させる。このとき、制御部31は、サービス提供部312bとしても機能する。
以下それぞれの処理について説明する。
【0198】
なお以下の説明において、医療システム1へのログインは済んでいるものとする。
また以下の例では、受付スタッフが患者の受付を行い、次に医師が患者の診療を行い、最後に受付スタッフが請求書作成を行う例で説明する。
【0199】
前提として、患者はボックス内端末20を使用し、受付スタッフと医師は医療機関端末40を使用する。ただし、受付スタッフが使用する医療機関端末40と、医師が使用する医療機関端末40は別の端末であるものとする。
【0200】
図18は、受付処理を示すフローチャートである。
プロセッサ311は、医療機関ユーザ用メニュー画面(
図10)において、「診療」のメニューボタン(UI-14a)の入力を受け付けることにより、受付処理を開始する。
【0201】
受付処理を開始すると、プロセッサ311はまず患者一覧画面を表示する(ステップ1)。
プロセッサ311は、受付スタッフが、受付を行う患者を選択し、受付開始ボタンUI-17を選択するまで待機する(ステップ2No)。
【0202】
受付開始ボタンの入力があった場合(ステップ2Yes)、プロセッサ311は患者情報を表示する(ステップ3)。
プロセッサ311は、受付スタッフが患者情報の確認を終えて、確認ボタンUI-21を選択するまで待機する(ステップ4No)。
【0203】
確認開始ボタンの入力があった場合(ステップ4Yes)、プロセッサ311は医療機関端末40とボックス内端末20との画像通信を開始する(ステップ5)。画像通信方法は公知の技術が適宜用いられる。
ここで、患者と受付スタッフがオンラインで対面する。受付スタッフは、患者の本人確認や保険証の確認など、受付に必要な確認を行う。
【0204】
プロセッサ311は、画像通信開始後、完了ボタン(受付完了ボタンUI-22)から入力を受け付けるまで待機する(ステップ6No)。
受付が終わり、受付スタッフが完了ボタンを選択したら(ステップ6Yes)、プロセッサ311は各種データ(受付後データ)を保存し、受付に関する処理を終了する。
ここで、各種データ(受付後データ)の保存とは受付済」に更新して保存することなどを指す。
【0205】
ここでプロセッサ311は、このあとのサービス提供処理のために、画像通信の接続先を変更し、患者と受付スタッフとの通信を、患者と医師との通信に切り替える処理を行う。
なお、この処理は受付・サービス提供処理に含まれる処理であるが、受付処理に含めてもサービス提供処理に含めてもよい。
【0206】
図19は、サービス提供処理を示すフローチャートである。
プロセッサ311は、受付処理が終わるとサービス提供処理を開始する。
ここで、ステップ11からステップ13は、上述したステップ1からステップ3と同様の処理であるため、説明を省略する。
ただし、ステップ12において、プロセッサ311が医師の医療機関端末40に表示するのは、受付開始ボタンUI-17ではなく診療開始ボタンである。
【0207】
つづいて、プロセッサ311は、患者情報を表示した後、医師が確認ボタンUI-21を選択するのを待機する(ステップ14No)。
【0208】
プロセッサ311は、確認ボタンUI-21の入力を受け付けたら(ステップ14Yes)、患者のボックス内端末20と医師の医療機関端末40との画像通信を開始する。
ここで、患者と医師がオンラインで対面する。医師は、患者に対して診療を行う。
【0209】
プロセッサ311は、医師による診療完了ボタンの入力を待ち受ける(ステップ16No)。そして、診療完了ボタンの入力を受け付けたら(ステップ16Yes)、プロセッサ311は各種データ(診療後データ)を保存し、診療に関する処理を終了する。
ここで各種データ(診療後データ)とは、診療結果や医師の所見などを含む診療に係るデータ、診療日時、または次回の予約日などである。
【0210】
診察に係る処理は以上であるが、本実施形態のプロセッサ311は、続いて診療内容の確認と診療費用の請求に関する処理を行う。
すなわち、診療に関する処理を終了したら、プロセッサ311は、患者と医師との通信から患者と受付スタッフとの通信に切り替える(ステップ17)。
【0211】
またプロセッサ311は、診療完了を受付スタッフに報知する(不図示)。報知方法は、受付スタッフの医療機関端末40にインストールされているアプリケーション上に表示させることによる報知や、メールなどによる報知が挙げられる。
【0212】
受付スタッフは、診療の内容を確認し、診療費用の請求に係る事務処理を行う。そして、プロセッサ311は、診療内容の確認等が完了した旨の入力を受け付けたら(ステップ18)、各種データ(事務処理後データ)を保存し、受付・サービス提供処理を終了する。
ここで各種データ(事務処理後データ)とは、例えば請求額、請求日時などである。
【0213】
なお、診療内容の確認や、診療費用の請求に係る事務処理は医師が行うようにしてもよい(不図示)。
すなわち、診療に関する処理の終了後、診療内容の確認や、診療費用の請求に係る画面を医師の医療機関端末40に表示し、医師がこの処理を行ってもよい。
一方、医師は自分の意思で診療内容の確認等のステップをスキップすることができ、この場合は上述したように、受付スタッフが診療内容の確認等を行う。
【0214】
ここで、上述した通り、患者は受付が終わらない限り、診療を受けることができない。
つまり、プロセッサ311は、受付処理が終わらなければ、サービス提供処理を実行できない。
【0215】
言い換えると、プロセッサ311を備える制御部31は、受付・サービス提供部312として機能し、受付・サービス提供部312は、受付処理を行う受付部312aと、サービス提供処理を行うサービス提供部312bを含む。
そして、受付・サービス提供部312は、ある一の患者に対し、受付部312a、サービス提供部312bの順に処理を行うことを特徴とする。
【0216】
これにより、予約時間に到着していないヘルスケアサービス利用者(患者など)を待つ必要が無く、ヘルスケアサービス提供者(医師など)は効率的にヘルスケアサービスを提供することができる。
【0217】
次に、受付・サービス提供処理をボックス内端末20の視点で考える。
ボックス内端末20の制御部21は、
図18のステップ5の画像通信時(患者と受付スタッフの画像通信時)や、
図19のステップ15の画像通信時(患者と医師の画像通信時)などに、必要な各種処理を行っている。
【0218】
このとき、ボックス内端末20のプロセッサ211が行う処理がそれぞれ、上述した受付受信処理、サービス受信処理である。
受付受信処理は患者と受付スタッフとの画像通信処理を含む処理であり、サービス受信処理は患者と医師との画像通信処理を含む処理である。
【0219】
言い換えると、プロセッサ211を備える制御部21は、医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者(サービス利用者)が受付を行うための画像通信を行う受付受信部215aと、サービス利用者が医療・ヘルスケアサービスの提供を受けるための画像通信を行うサービス受信部215bとを含む、受付・サービス受信部215としても機能する。
そして、受付・サービス受信部215として機能する制御部21は、ある一の患者に対し、受付受信部215a、サービス受信部215bの順に処理を行う。
【0220】
4.データベース
以下、本実施形態の医療システム1が扱うデータについて、図を用いて説明する。
本実施形態の医療システム1は、サーバ30の記憶部32(データ格納部32b)に移動型ボックスデータベースD1を備える。移動型ボックスデータベースD1は、患者データベースD10、移動型ボックスデータベースD20、および医療物資データベースD30を備える。
【0221】
患者データベースD10は、患者に関するデータを備えるデータベースである。
表1は、患者データベースD10が備えるデータを例示するものである。
【0222】
【0223】
表1に示すように、患者データベースD10は、患者個人に紐づくデータとして、一意の患者ID、氏名、性別、年齢、住所、電話番号のデータを備える。また、患者データベースD10はこれらのほか、医療機関の職員が記載したメモ、移動型ボックスの予約日と予約時間、および使用予定の移動型ボックスに関するデータを備える。
【0224】
患者データベースD10が備える患者情報はこれに限られるものではなく、測定予定または測定済みの医療データや、患者の保険証に記載されている情報などを含んでいてもよい。
【0225】
例えば本実施形態において、プロセッサ311は、患者一覧表示部UI-16(
図11)や患者情報表示部UI-20(
図13、
図14)を表示する際に、患者データベースD10からデータを取得する。
【0226】
移動型ボックスデータベースD20は、移動型ボックス10に関するデータを備えるデータベースである。
表2は、移動型ボックスデータベースD20が備えるデータを例示するものである。
【0227】
【表2】
表2に示すように、移動型ボックスデータベースD20は、一意のボックスID、所在地(DEG)、室温、湿度、一日の総使用時間、電池残量、入力されている電力、出力している電力、当該移動型ボックス10の使用開始日、最後にメンテナンスを行った日(最終メンテナンス日)、メンテナンス担当者(または担当企業)、搭載している検査機器のデータを備える。
このほか、移動型ボックスデータベースD20は、物資が不足したときに物資管理部14から発出されたアラートに関するデータを備える(不図示)。
【0228】
また、移動型ボックスデータベースD20が備えるデータは上記に限られない。
例えば、移動型ボックスデータベースD20は、スケジュールに関するデータやそれに関連するデータを備えてもよい。具体的には、予約されている日時と、その予約者の患者IDなどである。
【0229】
例えば本実施形態において、プロセッサ311は、患者一覧表示部UI-16(
図11)や患者情報表示部UI-20(
図13、
図14)、移動型ボックス情報表示部31(
図16)などを表示する際に、移動型ボックスデータベースD20からデータを取得する。
【0230】
本実施形態においてこれらの情報はリアルタイムで更新されるが、更新頻度はユーザが自由に設定することができる。例えば、使用しない夜間などは更新頻度を抑えるようにしてもよい。
【0231】
なお、本実施形態において移動型ボックス10の所在地はDEG(度10進)で表記しているが、これに限られるものではなく、プロセッサ311は、DMS(度分秒)表記など、そのほかの公知の表記方法で保持してもよい。また、住所や地名などでデータを保持してもよい。
【0232】
医療物資データベースD30は、医療物資に関するデータを備えるデータベースである。
表3は、医療物資データベースD30が備えるデータを例示するものである。
【0233】
【0234】
表3に示すように、医療物資データベースD30は、一意の医療物資IDのほか、医療物資の名称、ロット番号(ロットNo.)、追加場所、初期数量、残数量、保管期間、使用期限を備える。
さらに、医療物資データベースD30は、物資の提供患者情報、提供日情報などのデータを備える。
医療物資データベースD30の提供情報は、患者データベースD10の患者データベースにおける移動型ボックス使用データと結びつけることが可能である。
【0235】
例えば本実施形態において、ボックス一覧画面(
図16)に移動型ボックス10が備える物資情報を載せる場合に、プロセッサ311は医療物資データベースD30からデータを取得する。
【0236】
また、医療物資データベースD30が備える医療物資情報はこれに限られない。例えば、医療物資の製造業者名や製品番号などを備えていてもよい。
【0237】
以上のような構成により、本実施形態の移動型ボックス10は、受付機能、診療機能、管理機能、運送機能、物資管理機能を有する。
受付機能は、患者が移動型ボックスに訪問した際に、初めにコミュニケーションをとるための機能である。医療機関のユーザは、本人確認、予約の確認、保険証の確認、そして必要に応じてレセプト業務を行う。
診療機能は、受付が完了した後、医師画面に移り、問診や検査を実施するための機能である。検査機器から得られたデータは、検査結果ごとに共有される。
管理機能は、ボックス内に接続されている検査機器や、ボックス内の環境を確認し、管理する機能である。
運送機能は、移動型ボックス10が運送可能であるという機能である。移動型ボックス10の全重量が750kg以下(空の状態で100kg以下)に抑えられるため、移動型ボックス10の運送に牽引免許などは必要なく、どのような車両であっても移動させることが可能である。
物資管理機能は、定期的な処方をおこなっている封筒に入った医薬品等を遠隔操作で対象者(患者など)に提供することが可能な機能である。
【0238】
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0239】
例えば、上述の実施形態では患者が医師によるオンライン診療を受ける例で説明したが、ヘルスケアサービスはこれに限られない。
上記医療機関の代わりに薬局、上記医師の代わりに薬剤師とし、移動型ボックス10が、医薬品の処方などといったヘルスケアサービスを提供するものであってもよい。
また、ヘルスケアサービスを提供する者は、医師、薬剤師など、資格を要する者に限らない。例えば、感染症の感染が疑われる患者に対するメディカルチェックのように、業務を委託された者が移動型ボックス10を利用してもよい。
【0240】
このほか、ヘルスケアサービスは、ヘルスケアに関わるサービスを広く含む。この場合、例えば、上記実施形態で記載した「医療」は「ヘルスケアサービス」に、「患者」は「ヘルスケアサービス利用者」に、「受付スタッフ」や「看護師」、「医師」は「ヘルスケアサービス提供者」に読み替えることができる。
これにより、医療機関端末40はヘルスケアサービス機関端末40に、患者データベースD10はヘルスケアサービス利用者データベースD10に、医療物資データベースD30はヘルスケアサービス物資データベースD30になる。
【0241】
上記の実施形態では、移動型ボックス10を患者1人が使用する例を記載しているが、これに限られない。
例えば、看護師などのヘルスケアサービスを補助する補助者が、移動型ボックス10に待機しており、ヘルスケアサービスを補助する態様であってもよい。ヘルスケアサービスの補助とは、血圧などの各種測定のほか、ボックス内端末20の操作などが挙げられる。
【0242】
またこの場合、ヘルスケアサービス提供者が画像通信により、補助者に指導する態様であってもよい。
例えば、医療機関端末40を使用する医師が、移動型ボックス10にいる看護師に指導するようなものであってもよい。
【0243】
この応用例も考えられる。ヘルスケアサービスがマッサージなどの場合で、ヘルスケアサービス提供者と補助者が共にマッサージ師の場合、ヘルスケアサービス機関端末40を使用するマッサージ師が、移動型ボックス10にいるマッサージ師に指導するような態様にも適用し得る。
【0244】
本実施形態においてログイン画面の認証手段(
図9)はパスワード(知識認証)を用いていたが、これに限られない。例えば、ユーザが使用する端末による所有物認証や、生体認証によりログインできるようにしてもよい。
【0245】
所有物認証であれば、例えばICカードやワンタイムパスワード、SMS(ショートメッセージサービス)を用いた認証などが挙げられる。
【0246】
また、生体認証の場合、指紋認証装置や虹彩認証装置、または顔認証装置による認証などが挙げられる。例えば指紋認証の場合、ボックス内端末20に入力部23として指紋認証装置を接続する。
【0247】
知識認証のほか、所有物認証や生体認証を利用できる点は、扉部111の施錠部13を開錠するための認証入力部231も同様である。
【0248】
本実施形態の駆動部151はインホイールモーター151bを備え、動力源は電気であった。ただし駆動部151はこれに限られるものではなく、例えばガソリンエンジンなど、燃料で駆動するものであってもよい。
【0249】
なお実務上、個々の移動型ボックス10を医療・ヘルスケアボックス(または医療ボックス、ヘルスケアボックスなど)と称する場合がある。便宜上、上記では独立した1個の移動型ボックスを移動型ボックス10と称するが、呼称は特に限定されない。
【0250】
本実施形態を含む発明は、換言すると以下の特徴を備える。下記は本願出願時における特許請求の範囲と対応する。ただし、出願後における特許請求の範囲の補正により、当該補正後の特許請求の範囲の記載とは異なる場合がある。
(1)第1の発明は、少なくとも2以上の移動型ボックスを備える医療・ヘルスケアボックスであって、前記移動型ボックスは、少なくとも蓄電池を備える電源部と、筐体を備えるボックス部と、前記筐体の少なくとも1箇所に配設される扉部と、前記扉部を施錠または開錠する施錠部と、牽引によりまたは自走により、前記ボックス部を移動させる車両部と、他の車両と連結するための連結部と、を備え、
前記移動型ボックスの少なくとも1つは、(一)前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が医療・ヘルスケアサービス提供者と画像通信を行うための通信制御部を備え、かつ、(ニ)前記ボックス部が医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が入室可能なスペースを備えるボックス部であることを特徴とする、医療・ヘルスケアボックスを提供する。
(2)第2の発明は、少なくとも1つの前記移動型ボックスが、さらに、物資管理部を備え、前記物資管理部は、外部からの通信制御により、前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者に対して物資を自動で供給することを特徴とする、第1の発明に記載の医療・ヘルスケアボックスを提供する。
この場合、医療・ヘルスケアサービスを受ける者に物資を提供するに際し、移動型ボックス10に人員を配置しなくてもよいという利点がある。例えば、医療サービス(診療)を受ける患者に医薬品を提供するに際して、移動型ボックス10に薬剤師や看護師などを配置しなくてもよいため、他のサービスに人員を割くことができる。
(3)第3の発明は、少なくとも1つの前記移動型ボックスにおいて、前記連結部を制御する制御部を備え、前記制御部は、当該制御部を備える移動型ボックスと他の車両とを連結する制御を行うことを特徴とする、第1の発明に記載の医療・ヘルスケアボックスを提供する。
この場合、移動型ボックス10と他の車両との連結が自動化されるため、連結に人員を要さないという利点がある。
(4)第4の発明は、少なくとも1つの前記移動型ボックスが、さらに、ユーザを認証する認証入力部を備え、前記認証によりいずれかの移動型ボックスの施錠部を開錠することを特徴とする、第1の発明に記載の医療・ヘルスケアボックスを提供する。
この場合、移動型ボックス10を利用する予定のない者が移動型ボックス10内に入室できないため、セキュリティが向上するという利点がある。
(5)第5の発明は、前記扉部を施錠または開錠する施錠部が、医療・ヘルスケアサービス提供者が端末を通じて送信する信号により、前記扉部を施錠または開錠する施錠部であることを特徴とする、第1の発明に記載の医療・ヘルスケアボックスを提供する。
この場合、移動型ボックス10を利用する予定のない者が移動型ボックス10内に入室できないため、セキュリティが向上する。また、医療・ヘルスケアサービス提供者が直接移動型ボックス10への来訪者を確認するため、さらにセキュリティが向上する。
(6)第6の発明は、前記電源部が電源コネクタを備え、一の移動型ボックスから他の移動型ボックスに給電が可能であることを特徴とする、第1の発明に記載の医療・ヘルスケアボックスを提供する。
この場合、移動型ボックス10間で電力のやり取りができるため、少なくとも一部の移動型ボックス10には大型の蓄電池を搭載する必要がなくなるという利点がある。
(7)第7の発明は、少なくとも1つの前記移動型ボックスが、さらに、検査機器と、短距離通信を行う短距離通信制御部と、を備え、前記短距離通信部は、前記検査機器により得たデータを、他の移動型ボックスに送信することを特徴とする、第1の発明に記載の医療・ヘルスケアボックスを提供する。
この場合、移動型ボックス10間で直接通信ができるため、データの授受に関する時間を短縮できるという利点がある。
(8)第8の発明は、少なくとも1つの前記移動型ボックスにおいて、前記ボックス部の壁面、床面、または天井の少なくとも一部が、樹脂、木材、紙材、または軽金属で構成されることにより、前記移動型ボックス1つあたりの総重量が200kg以下であることを特徴とする、第1の発明に記載の医療・ヘルスケアボックスを提供する。
この場合、牽引に係る法律上の要請をクリアすることができるため、牽引免許を有さない者であっても移動型ボックス10を運送できるようになる。また、軽量であることから運送が容易になり、運送コストが低減するという利点がある。
(9)第9の発明は、さらに、前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が受付を行うための画像通信を行う受付受信部と、
前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者が医療・ヘルスケアサービスの提供を受けるための画像通信を行うサービス受信部とを含む、受付・サービス受信部を備え、
前記受付・サービス受信部は、前記受付受信部の処理のあとに前記サービス受信部の処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の医療・ヘルスケアボックスを提供する。
この場合、例えば遅刻などで移動型ボックス10に到着しておらず、受付ができていないサービス利用者をスキップすることができ、医師などのサービス提供者がその時間を他のサービス利用者に割くことができるという利点がある。
(10)第10の発明は、前記移動型ボックスの通信制御部、または当該移動型ボックスの通信制御部と通信を行うサーバの通信制御部が、報知部を備え、前記報知部は、前記医療・ヘルスケアサービスの提供を受ける者に対し、予約時間を報知することを特徴とする、第1の発明に記載の医療・ヘルスケアボックスを提供する。
この場合、サービスの提供を受ける者が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0251】
医療に限らず、遠隔地のユーザを対象とするヘルスケアサービス全般に適用できる。
【符号の説明】
【0252】
1 医療・ヘルスケアシステム(医療システム)
10 移動型ボックス
10A ボックス部
11 筐体
111 扉部
12 電源部
121 蓄電池
122 電源コネクタ
13 施錠部
14 物資管理部
141 ステッピングモーター
142 ブレード
143 押出壁
144 ばね
145 ロードセル
L 物資
E 取出口
10B 車両部
15 基台
151 駆動部
151a モータードライバ
151b インホイールモーター
151c 連動制御部
152 連結部
152a 連結機構
152b 外れ止め
16 車輪
20 ボックス内端末
21 制御部
211 プロセッサ
212 ROM
213 RAM
214 計時部
215 受付・サービス受信部
215a 受付受信部
215b サービス受信部
22 記憶部
221 プログラム格納部
222 データ格納部
23 入力部
231 認証入力部
232 センサ部
232a 環境センサ、
232b 検査機器センサ
232c 物資センサ
24 出力部
241 プロジェクタ
25 通信制御部
30 サーバ
31 制御部
311 プロセッサ
312 受付・サービス提供部
312a 受付部
312b サービス提供部
313 報知部
32 記憶部
321 プログラム格納部
322 データ格納部
33 通信制御部
40 医療機関端末
T 牽引車
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D1 移動型ボックスデータベース
D10 患者データベース
D20 移動型ボックスデータベース
D30 医療物資データベース
【要約】
【課題】都市部から離れた山間部など、交通が不便な地にヘルスケアサービスを提供する。
【解決手段】本発明の医療・ヘルスケアボックスは、医療・ヘルスケアサービスを提供する部分(ボックス部分)と、当該ボックスを移動させるための部分(車両部)とが、分離していることを最も主要な特徴とする。そして、本発明の医療・ヘルスケアボックスは、少なくとも2以上の移動型ボックスを備えることにより、例えば必要な検査機器だけを搭載して運送するなど、機能を分離することを可能とする。
【選択図】
図1