(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】屋外用照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/11 20200101AFI20230703BHJP
F21S 8/08 20060101ALI20230703BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230703BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20230703BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230703BHJP
【FI】
H05B47/11
F21S8/08 100
F21V23/00 113
F21V23/00 140
F21V23/04
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019136185
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 徹
(72)【発明者】
【氏名】青山 博行
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049694(JP,A)
【文献】特開2008-083864(JP,A)
【文献】特開2003-282280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F21S 8/08
F21V 23/00
F21V 23/04
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方領域を照明する発光部と、照明器具の周囲の明るさを検出する照度センサと、前記照度センサの検出により前記発光部の点灯・消灯の制御を行う点灯制御回路と
、前記照度センサの検出による前記発光部の点灯・消灯制御が行われないように
して、前記発光部が連続点灯モードとなるように切り替えることにより、夜間にもかかわらず前記照度センサに外部光が侵入した場合でも前記発光部を点灯状態とする手動スイッチ
と、前記発光部を覆い前記照明器具に取り外し可能または開閉可能に取り付けられた透光性カバーとを備え、
前記照度センサと前記点灯制御回路はカバーで覆われ、前記手動スイッチが前記カバーに取り付けられ、
前記手動スイッチは、前記透光性カバーを取り外した状態または開いた状態で操作可能状態に前記照明器具内に配置された、
ことを特徴とする屋外用照明器具。
【請求項2】
照明器具の下方領域を照明する発光部と、前記照明器具の周囲の明るさを検出する照度センサと、前記照度センサの検出により前記発光部の点灯・消灯の制御を行う点灯制御回路と、前記照度センサの検出信号が実質的に前記点灯制御回路へ作用しない回路構成と
して、前記発光部が連続点灯モードとなるように切り替えることにより、夜間にもかかわらず前記照度センサに外部光が侵入した場合でも前記発光部を点灯状態とする手動スイッチ
と、前記発光部を覆い前記照明器具に取り外し可能または開閉可能に取り付けられた透光性カバーとを備え、
前記照度センサと前記点灯制御回路はカバーで覆われ、前記手動スイッチが前記カバーに取り付けられ、
前記手動スイッチは、前記透光性カバーを取り外した状態または開いた状態で操作可能状態に前記照明器具内に配置された、
ことを特徴とする屋外用照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具の周囲の照度に応じて点灯・消灯が制御されるLED(発光ダイオード)の発光によって道路面等の被照明部を照明する屋外用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置たる防犯灯1が街路8の街路脇8Aに立設された支柱9に取り付けられ、防犯灯1は、街路8が延びる方向(通行方向)である街路方向Gに広い照射範囲を照らす。防犯灯1は周囲の明るさを検出する明るさセンサ65を備えており、防犯灯1の周囲の明るさに応じて電源回路60を制御しLED51の点灯/消灯を行う点灯回路が設けられており、夜間に点灯するようにしたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018―120876号公報
【文献】特開平11―073811号公報
【文献】特開平10―195819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものは、明るさセンサ65が防犯灯1の上方の明るさを検出するように設けられているため、防犯灯1の設置場所の近傍に照明看板やその他の光源が存在すれば、それの光が明るさセンサ65に侵入し、夜間になったにも関わらず明るさセンサ65はその夜間を検出できず、LED51は消灯状態のままとなり、夜間に点灯すべき防犯灯1の役目を果たせなくなる。
その場合、明るさセンサ65が前記照明看板やその他の光源の光を拾わない形態の防犯灯1に交換する等の対策が必要となり、防犯灯1の機種を多く揃える必要が生じる等の問題が生じる。
【0005】
本発明は、このように防犯灯(照明器具)の交換を行うことがないようにできる技術を提供する。
そのため、本発明では、正規の状態では照度センサ(明るさセンサ)による明るさ検出によりLED の点灯・消灯制御が行われる状態とし、照度センサへ外部の光が侵入して誤動作する状況にあれば、強制的に、照度センサによるLEDの点灯・消灯制御が行われないようにする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明の屋外用照明器具は、照明器具本体に設けられ下方領域を照明する発光部と、前記照明器具本体に設けられ前記照明器具の周囲の明るさを検出する照度センサと、前記照度センサの検出により前記発光部の点灯・消灯の制御を行う点灯制御回路と、を備え、前記照度センサの検出による前記発光部の点灯・消灯制御が行われないようにする手動スイッチを備えた、ことを特徴とする。
【0007】
第2の本発明の屋外用照明器具は、下方領域を照明する発光部と、前記照明器具の周囲の明るさを検出する照度センサと、前記照度センサの検出により前記発光部の点灯・消灯の制御を行う点灯制御回路と、前記照度センサの検出信号が実質的に前記点灯制御回路へ作用しない回路構成とする手動スイッチと、を備えることを特徴とする。
【0008】
第3の本発明の屋外用照明器具は、上記第1の本発明又は第2の本発明において、
前記発光部を覆い前記照明器具に取り外し可能または開閉可能に取り付けられた透光性カバーを備え、
前記手動スイッチは、前記透光性カバーを取り外した状態または開いた状態で操作可能状態に前記照明器具内に配置された、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、照度センサへの外部の光侵入による誤動作状況にない正規の状態では、照度センサによる明るさ検出により、発光部のLED の点灯・消灯制御が行われる。しかし、照度センサへ外部の光が侵入して夜間にもかかわらず発光部のLEDが点灯しない状況にあれば、その照明器具は動作不良として、手動スイッチを操作して、照度センサの検出による発光部のLEDの点灯・消灯制御が行われないようにするため、この照明器具は照度センサを備えないものと同等となる。
このため、この照明器具は交換することなくそのまま使用状態とし、看板光やその他の外部光が入らない位置にて、照明器具の取り付けポール等へ別の外付けの照度センサを取り付け、その外付けの照度センサの検出動作によって、発光部の点灯・消灯の制御を行う点灯制御回路への電力供給を制御し、夜間に発光部のLEDを点灯し、昼間は消灯するようにすれば、問題が解決する。
【0010】
また本発明では、発光部を覆い照明器具に取り外し可能または開閉可能に取り付けられた透光性カバーを設け、この透光性カバーを取り外しまたは開いた状態で手動スイッチが操作可能となるため、手動スイッチが外部に露出せず、防水効果と悪戯防止効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る屋外用照明器具の発光部の一つの発光制御方式を説明する発光制御回路構成図である。
【
図2】
図1の発光制御回路構成を他の発光制御方式とした場合の発光制御回路構成図である。
【
図3】本発明に係る下方取り付け形態である屋外用照明器具の構成を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明に係る後方取り付け形態である屋外用照明器具の底面図である。
【
図5】本発明に係る下方取り付け形態である屋外用照明器具の六面図であり、(イ)は正面図、(ロ)は平面図、(ハ)は底面図、(ニ)は左側面図、(ホ)は右側面図である。
【
図6】本発明に係る下方取り付け形態である屋外用照明器具の支持部Pへの取り付け説明図であり、(イ)は支持部Pへ照明器具を取り付け前の関係図、(ロ)は支持部Pへ照明器具を取り付けた状態図である。
【
図7】本発明に係る下方取り付け形態である屋外用照明器具の取り付け部分へのホルダー50の取り付け構成を示す分解斜視図である。
【
図8】本発明に係る下方取り付け形態である屋外用照明器具の照明角度変更状態の説明図であり、(イ)は角度5度図、(ロ)は水平状態図、(ハ)は10度図、(ニ)は15度図である。
【
図9】本発明に係る屋外用照明器具の下方取り付け形態と後方取り付け形態とに変更する状態の推移を示す説明図であり、(イ)は下方取り付け状態図、(ロ)はホルダーを外した状態図、(ハ)はホルダーの回転状態図、(ニ)は後方取り付け状態図である。
【
図10】本発明に係る後方取り付け形態である屋外用照明器具の六面図であり、(イ)は正面図、(ロ)は平面図、(ハ)は底面図、(ニ)は左側面図、(ホ)は右側面図である。
【
図11】本発明に係る後方取り付け形態である屋外用照明器具の支持部Pへの取り付け説明図であり、(イ)は支持部Pへ照明器具を取り付け前の関係図、(ロ)は支持部Pへ照明器具を取り付けた状態図である。
【
図12】本発明に係る後方取り付け形態である屋外用照明器具の取り付け部分へのホルダー50の取り付け構成を示す分解斜視図である。
【
図13】本発明に係る屋外用照明器具へバードプロテクタを取り付けた状態を示す図であり、(イ)は平面図、(ロ)は正面図である。
【
図14】本発明に係る屋外用照明器具へバードプロテクタを取り付けた状態で開閉蓋60を開いた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る屋外用照明器具は、下方領域を照明する発光部と、前記照明器具本体に設けられ前記照明器具の周囲の明るさを検出する照度センサと、前記照度センサの検出により前記発光部の点灯・消灯の制御を行う点灯制御回路と、を備え、前記照度センサの検出による前記発光部の点灯・消灯制御が行われないように設定する手動スイッチを備えたものである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
本発明に係る屋外用照明器具1(以下、照明器具1と称す)は、全体形状が前後方向に所定の長さを有する前後方向に長い形態をなし、照明部1Aは、下方の道路等を所定の明るさで照明する部分であり、照明用発光ダイオードであるLED素子7が放射する光を所定の配光にて出射する発光部6を備える。照明器具1が道路に略直交状態に取り付けられた状態で、発光部6の出射光、すなわちLED素子7の出射光が道路の長手方向に配光されるよう、主として左右方向に長く広がる配光特性を有する照明器具1である。
【0014】
更に、具体的には、照明器具1は、不透光性の金属製の照明器具本体2(以下、器具本体2という)と、器具本体2に取り付けられ照明器具1の下方領域を照明する発光部6と、発光部6を下方から覆う透光性カバー23を有する。
器具本体2は、上壁2Tと前記上壁2Tから下降する周囲壁2Sを有し、周囲壁2Sで囲まれた下側に開口する開口2Aを形成した内部空間4を有するアルミニウムのダイキャスト製等の熱良導材で前後方向に長い形態に構成されている。
器具本体2は、器具本体2の後部に所定の支持部Pへ取り付ける取り付け部10を備える。
【0015】
開口2Aに並行状態に臨むように前記内部空間4に発光部6が器具本体2に取り付けられる。発光部6を下方から覆って開口2Aを塞ぐように器具本体2に取り外し可能または開閉可能に透光性カバー23が取り付けられる。
透光性カバー23は、上面開口の容器形態をなすように平板状の底板部の周縁部に上方へ突出する環状フランジが形成された皿状又は盆状であり、器具本体2の開口2Aの周縁部にパッキンを介して水密状態に取り付けられる。これによって、発光部6を配置した前記内部空間4は略気密状態となる。
【0016】
発光部6は、照明用LED素子(発光ダイオード)7が放射する光を所定の配光にて出射する部分であり、矩形状の平板状のLED取り付け回路基板5の下側面にLED素子7が下方へ僅かに突出状態で配置され、各LED素子7は、LED素子7の発光を所定配光にて下方へ照射するためのレンズ機能を持つ配光ユニット8で覆われている。
LED取り付け回路基板5はネジによりアルミニウム製の放熱板9の下側面に取り付けられ、この放熱板9が前記内部空間4に配置される状態で、器具本体2の取り付けボスへネジ止めされ、LED素子7の発光熱が放熱板を介して器具本体2へ伝達され、器具本体2から放散される。
【0017】
LED素子7の発光光が照明器具1の左右方向へ長い配光をなすように、配光ユニット8は、アクリルやポリカーボネートの透明樹脂製であり、左右方向に長い半俵状・反円弧状等の形状をなすレンズ部を形成し、これによって、LED素子7の発光光は、楕円形状・長円形状等の左右方向に長い配光特性をなす。
このため、照明器具1が、左右方向に延びる道路に対して略直行状態の配置となるように、取り付け部10にて所定の支持部Pへ取り付けられた正規の状態で、配光ユニット8によって、LED素子7の出射光が、照明器具1の前後方向への配光が抑制されて道路の長手方向に向かう配光となるよう、主として左右方向に長い配光となる配光特性である。
【0018】
発光部6の後方位置には、LED素子7の点灯・消灯の電力供給制御に関わる電気回路部20が配置されて、電気回路部20の下側が器具本体2の取り付けボスへネジ止めされるカバー21で覆われる。
電気回路部20は、商用電力が供給され、LED素子7を点灯するために商用電力31を直流電力に変換するA/D変換回路と照明器具1の周囲の照度を検出する照度センサ25の照度検出によりLED素子7の点灯・消灯を制御する点灯制御回路とを含むLED点灯制御回路20Aと、照度センサ25を含む照度センサ制御回路25K等を有する。
照度センサ制御回路25Kは、照度センサ25、制御素子25S、リレーRY等を含む回路構成がセンサ基板27に取り付けられて、絶縁シート26で覆われる状態で器具本体2の内部空間4に取り付けられる。照度センサ25は、器具本体2の側面に開口する採光窓25Pに対応配置され、採光窓25Pの外側開口はシリコンゴム製の透光部材25Tで覆われており、防水構造を成す。
【0019】
カバー21を貫通して操作部30Aが下方へ突出するように、手動スイッチ30が電気回路部20の側方にてカバー21に取り付けられ、電気回路部20の回路に電気的接続される。
この手動スイッチ30は、操作部30Aによるスイッチ切り替え操作によって、照度センサ25の検出による発光部6の点灯・消灯制御が行われないように切り替えるものである。
上記からして、発光部6、放熱板9、電気回路部20、カバー21、照度センサ25、絶縁薄板26、センサ基板27、手動スイッチ30は、器具本体2の内部空間4に配置され、透光性カバー23で覆われる。
【0020】
照度センサ25の検出動作として、照明器具1の周囲の照度が夜間のように暗くなったとき、そのときの照度を照度センサ25が検出することにより、LED点灯制御回路20Aの動作によってLED素子7を点灯状態に制御する。また照明器具1の周囲の照度が昼間のように明るくなったとき、そのときの照度を照度センサ25が検出することにより、LED点灯制御回路20Aの動作によってLED素子7消灯状態に制御する。
手動スイッチ30は、通常状態では、このような動作が得られる状態にあるが、操作部30Aによるスイッチ切り替え操作によって、照度センサ25の検出による発光部6の点灯・消灯制御が行われないようにするためのものである。
【0021】
このように、通常状態では、照度センサ25への外部の光侵入による誤動作状況にない正規の状態においては、照度センサ25による明るさ検出により、LED点灯制御回路20Aの動作により発光部6のLED7 の点灯・消灯制御が正常に行われる。
しかし、照度センサ25へ照明看板やその他の光源である外部の光が侵入して、夜間にもかかわらず発光部6のLED7が点灯しない状況にあることが管理者によって確認されれば、管理者はその照明器具1は動作不良と判断する。
【0022】
その場合、本発明では、動作不良となった照明器具1は、交換することなくそのまま使用状態とするために、管理者は透光性カバー23を取り外した状態または開いた状態で、操作部30Aを操作して、照度センサ25の検出による発光部6のLED7の点灯・消灯制御が行われないようにする。これによって、この照明器具1は照度センサ25を備えないものと同等となる。
そして、別の外付けの照度センサ250を看板光やその他の外部光が入らない位置にて、照明器具の取り付けポール等へ取り付け、その外付けの照度センサ250の検出動作によって、発光部の点灯・消灯の制御を行うように、LED点灯制御回路20Aへの電力供給を制御し、夜間に発光部のLEDを点灯し、昼間は消灯するようにすれば、問題が解決する。
【0023】
一つの実施例を
図1に示す。
図1は、照明器具1が上記のような動作不良にならない設置状態にあり、正常動作を行う状態の発光制御回路1Kの構成である。この場合、スイッチ30は接点を開いた状態に設定され、照明器具1の周囲の照度が昼間のように明るいときは、そのときの照度を照度センサ25が検出し、制御素子25Sの動作によりリレーRYは非励磁にてその接点は開いており、LED点灯制御回路20Aへの電力供給は絶たれ、LED素子7は消灯状態である。
照明器具1の周囲の照度が夜間のように暗くなったとき、そのときの照度を照度センサ25が検出することにより、制御素子25Sの動作によりリレーRYは励磁されその接点が閉じ、LED点灯制御回路20Aへ電力供給状態となり、LED素子7を点灯状態に制御する。
【0024】
図1の回路において、上記のように、照度センサ25へ照明看板やその他の光源である外部の光が侵入して、夜間にもかかわらず発光部6のLED7が点灯しない状況にあることが管理者によって確認されれば、管理者はその照明器具1は動作不良と判断する。
その場合は、その照明器具1の操作部30Aを操作してスイッチ30の接点を閉じる。これによって、照度センサ25の検出信号が実質的にLED点灯制御回路20Aへ作用しない回路構成となり、リレーRYは励磁されその接点が閉じ、LED点灯制御回路20Aは電力供給状態となり、LED素子7を点灯状態に制御する。この場合の照明器具1は、停電がない限り商用電力31が供給されている間はLED素子7は点灯状態となる。
すなわち、照明器具1は照度センサ25を備えない照明器具と同じになり、照明器具1に商用電力31が供給されれば、リレーRYは励磁されその接点が閉じ、LED点灯制御回路20Aへ電力供給状態となり、LED素子7を点灯モードになるものである。
すなわち、照度センサ25の検出による発光部6のLED素子7の点灯・消灯制御に替わって、発光部6のLED素子7が連続点灯モードとなるように切り替える手動スイッチ30を設けた照明器具1となる。
【0025】
このようにスイッチ30が操作された照明器具1を照度センサによって、LED素子7を夜間に点灯し昼間は消灯する照明器具1とするためには、
図2に示すように、照明器具1への電力供給を別の照度センサ250を含む外付け自動点滅器250Kの動作によって制御するように改良する。
この場合、別の外付けの照度センサ250は、看板光やその他の外部光が入らない位置にて、照明器具1を取り付けるポール等の支柱に取り付ける。
図2では、発光制御回路1Kへの電力供給を外付け自動点滅器250Kの動作によって制御し、照明器具1の周囲の照度が夜間のように暗くなったときはそれを照度センサ250が検出することにより、外付け自動点滅器250Kの動作によって、リレーRYの閉じた状態の接点を通してLED点灯制御回路20Aへ電力が供給され、LED素子7を点灯状態に制御する。また、照明器具1の周囲の照度が昼間のように明るくなったとき、そのときの照度を照度センサ250が検出することにより、外付け自動点滅器250Kの動作によって、LED点灯制御回路20Aへの電力供給が絶たれ、LED素子7は消灯状態に制御される。
【0026】
これによって、動作不良となった照明器具1は、廃棄することなく、又は照度センサ25が照明看板やその他の光源である外部の光が侵入しない位置にて器具本体2に設けられた機種に変更することなく、その動作不良となった照明器具1をそのまま継続使用できることとなる。
【0027】
また、本発明は、照明器具1の取り付けが、後方から延びる支持部Pのタイプと、下方から延びる支持部Pのタイプの何れにも取り付け可能な構成を提供する。
【0028】
照明器具1の後方から延びる支持アームに取り付ける場合と、照明器具の下面より支持アームに取り付ける場合に適用した先行技術として、特許文献2がある。特許文献2のものは、器具本体の後面と後部下面にそれぞれポール嵌入孔を形成したものであり、照明器具本体の外側面のポール嵌入孔にポールの支持部を嵌入し、下面のポール嵌入孔をポール嵌入孔覆体で覆う。また、照明器具本体の下面のポール嵌入孔にポールを嵌入する場合は外側面のポール嵌入孔をポール嵌入孔覆体で覆う。
【0029】
特許文献2のものは、器具本体の後面と後部下面にそれぞれポール嵌入孔を形成する必要があり、また、ポールが挿入されないポール嵌入孔をポール嵌入孔覆体8で覆うように、ポール嵌入孔覆体8の取り付け位置を変える必要がある。
また、ポールに照明器具本体を固定するために、ポール嵌入孔覆体の一部に突出入自在に螺合してなるボルトでポールの一部を押圧するため、ポール嵌入孔覆体を強固な材質で構成し、器具本体へのポール嵌入孔覆体の保持が強固であり且つそれとは逆に取り外しができる構成とする必要がある。
【0030】
本発明に係る解決しようとする課題は、そのような点に鑑み、器具本体2の後面と後部下面にそれぞれポール嵌入孔を形成する構成ではない構成によって、特許文献2のものでは奏し得ない効果を奏する技術構成の照明器具1を提供する。
本発明の照明器具1は、金属製の器具本体2の後部に所定の支持部Pへ取り付けるために、以下に記載するような特徴的な取り付け部10を形成している。
【0031】
本発明に係る照明器具1の取り付け部10は、
図1に示すように、所定の支持部Pへ取り付ける部分であり、器具本体2の後部に設けた上面開口の後部室70に設けられる。
図1は本発明の実施形態に係る照明器具1を下方からみた斜視図であり、ストレート型とも呼ばれるポール型支柱P1の先端部の支持部P、または、アーム型の支柱P2の先端部の支持部Pに器具本体2を支持したものである。支柱P1、支柱P2は、路肩等の道路脇の地面に立設された柱であり、ポール型の支柱P1は、その先端部の支持部Pが鉛直方向に真っ直ぐに延びる。また、アーム型の支柱P2は、途中から曲がって先端部の支持部Pが水平方向に水平、或いは水平方向に対して所定角度上方に傾斜状態に延びている。
【0032】
金属製の器具照明器具1は、その設置場所によって、照明器具1の後方から前方へ延びるアーム型の支柱P2の支持部Pに取り付ける場合と、照明器具1の下面より上方へ延びるポール型支柱P1の先端部の支持部Pに取り付けることが求められる場合がある。
本発明の照明器具1の器具本体2の後部に設けた取り付け部10は、支柱P1、支柱P2の両方に取り付け可能に構成されている。
【0033】
金属製の器具本体2の後部に設けた後部室70に設ける取り付け部10は、支持部Pの先端に支持される金属製のホルダー50と、ホルダー50を固定する固定部54を備える。ホルダー50は、支持部Pの先端が挿入される支持筒状部53を有し、この支持筒状部53が後方に向く状態と、支持筒状部53が下方に向く状態とに選択的に固定部54に着脱可能に取り付けられる構成である。
【0034】
ホルダー50の固定部54は、上方に弧状に突出する形状の固定部54A、54Bを左右一対に形成し、ホルダー50は、固定部54A、54Bに対応するように左右一対の弧状の取り付け基部55A、55Bを形成している。
取り付け基部55A、55Bの取る付け面と、固定部54A、54Bの取り付け面は、互いに面接触するように同じ弧状を成す。
【0035】
支持筒状部53には、位置決め用ボルト75と締め付け用ボルト76が貫通状態に螺合する。また、支持筒状部53には、器具本体2と支持部Pとを電気的に接続するアース用ボルト77が貫通形成される。
【0036】
ホルダー50を器具本体2の後部室70に取り付ける第1の取り付け形態として、
図5乃至
図8のように、支持筒状部53が下方に向く状態となる所定状態にて、締め付けバンド58A、58Bの第1孔59Aと取り付け基部55A、55Bの第1孔55P1が一致する状態で、締め付けバンド58A、58Bを取り付け基部55A、55Bに結合ネジ57にて結合する。この状態で、締め付けバンド58A、58Bを固定ネジ56によって、器具本体2の所定の4箇所の取り付けボスBSに締め付け固定する。これによって、支持筒状部53が下方に向く所定状態にホルダー50が固定される。
この状態で、支持筒状部53に下方から延びる支持部Pの先端が所定位置迄挿入される関係に組み合わせ、支持部Pの先端に貫通形成された孔に位置決め用ボルト75の先端が挿入される状態まで位置決め用ボルト57を支持筒状部53にねじ込む。これによって支持部Pから照明器具1の落下が防止される。そして2個の締め付け用ボルト76を支持筒状部53にねじ込むことにより、支持筒状部53と支持部Pの先端とを固定する。更に、アース用ボルト77を先端が支持部Pに食い込む状態迄ねじ込み、照明器具1の電気的接地が十分となる。
【0037】
また、ホルダー50を器具本体2の後部室70に取り付ける第2の取り付け形態として、
図10乃至
図12のように、支持筒状部53が後方に向く状態となる所定状態にて、締め付けバンド58A、58Bの第1孔59Aと取り付け基部55A、55Bの第2孔55P2が一致する状態で、締め付けバンド58A、58Bを取り付け基部55A、55Bに結合ネジ57にて結合する。この状態で、締め付けバンド58A、58Bを固定ネジ56によって、器具本体2の所定の4箇所の取り付けボスBSに締め付け固定する。これによって、支持筒状部53が後方に向く所定状態にホルダー50が固定される。
この状態で、支持筒状部53に後方から延びる支持部Pの先端が所定位置迄挿入される関係に組み合わせ、支持部Pの先端に貫通形成された孔に位置決め用ボルト75の先端が挿入される状態まで位置決め用ボルト57を支持筒状部53にねじ込む。これによって支持部Pから照明器具1の落下が防止される。そして2個の締め付け用ボルト76を支持筒状部53にねじ込むことにより、支持筒状部53と支持部Pの先端とを固定する。更に、アース用ボルト77を先端が支持部Pに食い込む状態迄ねじ込み、照明器具1の電気的接地が十分となる。
図9に、このように支持筒状部53の向きを変える手順を(イ)~(ニ)に示している。
【0038】
このような作業を行うために、器具本体2の後部室70の上面を開閉可能に開閉蓋60を設け、この開閉蓋60を開いた状態で、後部室70は器具本体2の上方に開放され上記の作業がし易くなる。また、器具本体2の後部室70には、器具本体2の後壁を貫通して照明器具1側の発光制御回路1Kへ電力供給する商用電力ラインと、照明器具1側の発光制御回路1Kの電力ラインを電気的に接続する端子台61が取り付け部10の側方に配置されており、開閉蓋60を開いた状態でこの接続作業を行う。
【0039】
上記からして、下方領域を照明する発光部6と、支持部Pに取り付ける取り付け部10を後部に備える屋外用照明器具1において、支持部Pの先端が挿入される支持筒状部53を有するホルダー50を備え、ホルダー50は、支持筒状部53が後方に向く状態と、支持筒状部53が下方に向く状態とに選択的に取り付け部10に着脱可能に取り付けられる構成である。
【0040】
また、取り付け部10は左右一対にホルダー50の固定部54A、54Bを有し、ホルダー50は固定部54A、54Bに対応するように左右一対の取り付け基部55A、55Bを有し、支持筒状部53が後方に向く状態と支持筒状部53が下方に向く状態との何れにおいても、固定部54A、54Bに取り付け基部55A、55Bが組み合わされ、その状態がネジ56で締め付け固定される構成である。
【0041】
また、器具本体2の後部に、取り付け部10と、照明器具1へ商用電力31を供給するために照明器具1側と商用電力31側を電気的に接続する端子台61が配置される後部室70を設け、後部室70の後部においてヒンジ80によって器具本体2に開閉可能に後部室70の上面を開閉する開閉蓋60を備える。この開閉蓋60を開いた状態で、取り付け部10と端子台61が器具本体2の上方に開放されるため、
ホルダー50の取り付け作業と、端子台61への電気的に接続作業がし易くなる。
後部室70は、上面に開口すると共に後部にホルダー50の支持筒状部53が外方へ突出する後部開口を有し、上記のようにホルダー50の支持筒状部53が後向き又は下方向きに取り付けられた状態で、後部開口がホルダー50で略塞がれる状態となる。
【0042】
上記のように、支持部Pの先端が挿入される支持筒状部53を形成したホルダー50が、器具本体2の後部に設けた取り付け部10に対して、支持筒状部53は後方に向く状態と下方に向く状態とを選択可能に取り付ける構成であるため、特許文献2のようにポール嵌入孔覆体で器具本体の後面と後部下面に形成したポール嵌入孔の一方を塞ぐ構成は不要となる。
【0043】
照明器具1の取り付け角度を調整可能とし、照明器具1の設置場所に応じた照明ができるように、発光部6による照明方向を変更可能としている。
支持部Pが取り付け部10へ下方から挿入される第1の取り付け形態では、
図8(イ)に示すように、水平に対して前上がりの仰角が5度のように第1の傾斜状態と、
図8(ニ)に示すように、水平に対して前上がりの仰角が15度のように大きくなる第2の傾斜状態とに選択可能である。
図8(イ)の状態は、上記にて説明した支持筒状部53が下方に向く第1の取り付け形態である。この状態において、水平に対して前上がりの仰角が15度の傾斜状態とするためには、結合ネジ57を緩めて締め付けバンド58A、58Bに対してホルダー50を回動させ、締め付けバンド58A、58Bの第2孔59Bと取り付け基部55A、55Bの第1孔55P1が一致する状態で、締め付けバンド58A、58Bを取り付け基部55A、55Bに結合ネジ57にて結合する。この状態で、前上がりの仰角が15度のように大きくなる第2の傾斜状態となる。
前上がりの仰角が5度のように第1の傾斜状態とする場合は、上記第1の取り付け形態に戻す。
【0044】
なお、取り付け基部55A、55Bの間に前方と後方へ突出する突部55Cを有しているため、
図8(イ)の状態と
図8(ニ)の状態の何れにおいても、器具本体2の後壁から前方へ向けて突出する庇壁2Cの下側に突部55Cが入り込み、この部分の隙間を覆い隠す構成となる。これは上記第2の取り付け形態においても同様である。
【0045】
上記のように、透光性カバー23で塞がれた器具本体2内の内部空間4は気密状態であるため、その内部空間4の後壁4Aに形成した通気孔44を水分は通過させないが通気性を有するフィルタFLで塞いでいる。これによって、LED7の点灯・消灯により内部空間4の空気膨張と収縮が生じた場合、このフィルタFLによって内部空間4の内外の空気流通が生じる。内部空間4の空気膨張・収縮が生じた場合、器具本体2と透光性カバー23との気密保持のパッキンにその影響が及び、そのパッキンの劣化が早くなるが、フィルタFLによってそれを防止することができる。また、内部空間4の後壁4Aには電力供給ラインの配線孔が形成され、この配線孔を弾力性のシールBBで気密状態、水密状態に塞いでいる。
【0046】
本発明の照明器具1は、照明器具1の上面の鳥が止まることによる糞害を防止するための技術を提供する。
所定の状態に設置された照明器具1は、その上面に鳥類が止まり照明器具1の上面がその糞で汚れることが屡々である。照明器具1の上面の鳥が止まることによる糞害を防止するものとして、特許文献3がある。
これは、照明柱の傾斜部に1aに一定間隔で支持金具3を固定する。傾斜部1aの全長にわたって張設されるコイルバネ2には支持金具3と同一ピッチでジグザグに屈折する針金状の芯線6が二本、菱形に組合わせて挿入され、交差部分が支持部3bに横向きに止着されるフックボルト3cに掛けられて支持され、山部と谷部とで支持金具間中央のコイルバネ2を支持する構成である。
【0047】
本発明の照明器具1は、解決しようとする課題として、このような構成とは異なり、鳥が止まることによる糞害の防止対策を講じると共に、照明器具1への電力供給に係る作業をし易くする技術構成を提供するものである。
その目的を達成するために、本発明の照明器具1は、照明器具1の上面に鳥が止まることによる糞害を防止するために、照明器具1の上面に延びるようにバードプロテクタ90の取り付け部63を開閉蓋60の後端部に後方へ突出して備える。
【0048】
照明器具1の上面に延びるようにバードプロテクタ90をネジNJ3にてバードプロテクタ取り付け部63に取り付けた状態で、開閉蓋60を開くと、開閉蓋60と共にバードプロテクタ90も動き、バードプロテクタ取り付け部63も開閉蓋60の開閉の邪魔にならない。このため、開閉蓋60を開く度にバードプロテクタ90を取り外す必要もなく、バードプロテクタ90の取り付けも簡単である。
【0049】
バードプロテクタ取り付け部63は、開閉蓋60の後端部に後方へ突出して設けているため、開閉蓋60の開閉の邪魔にならない。むしろ、開閉蓋60が斜め上後方に傾斜状態となるように開いたとき、バードプロテクタ取り付け部63のネジNJ3を含む後端部(先端部)が器具本体2の後壁に衝突することにより、開閉蓋60が開いた状態を安定的に維持できる状態を保持できることとなる。
【0050】
なお、開閉蓋60が斜め上後方に傾斜状態となるように開くことを制限するために、開閉蓋60の側部と器具本体2とに渡る保護紐87を設けることがあるが、その場合、保護紐87によって開閉蓋60の開いた斜め状態を保持できればよいが、保護紐87のみによってそれができない場合でも、保護紐87とバードプロテクタ取り付け部63との共同により、開閉蓋60が斜め上後方に所定角度の傾斜状態となるようにすればよい。
【0051】
上記からして、下方領域を照明する発光部6と、支持部Pに取り付ける取り付け部10を後部に備える屋外用照明器具1において、器具本体2の後部に、発光部6の電気回路部20と商用電力ラインとを電気的に接続する端子台61が配置される後部室70を設け、器具本体2に後部室70の上面を開閉する開閉蓋60を備え、照明器具1の上面に延びるようにバードプロテクタ90の取り付け部63を開閉蓋60の後端部に後方へ突出して備え、取り付け部10と器具本体2の後壁との衝突にて開閉蓋60が斜め上後方に所定角度の傾斜状態となる構成である。
【0052】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内で変更可能な技術範囲を包含するものである。
【符号の説明】
【0053】
1・・・・・屋外用照明器具
1A・・・・照明部
2・・・・・器具本体
2A・・・・開口
25・・・・照度センサ
250K・・外付け自動点滅器
4・・・・・内部空間
5・・・・・回路基板
6・・・・・発光部
7・・・・・照明用LED素子
8・・・・・配光ユニット
82・・・・配光部
9・・・・・放熱板
10・・・・取り付け部
20・・・・電気回路部
20A・・・LED点灯制御回路
23・・・・透光性カバー
25・・・・照度センサ
30・・・・手動スイッチ
50・・・・ホルダー
53・・・・支持筒状部
54A、54B・・・固定部
55A、55B・・・取り付け基部
58A、58B・・・締め付けバンド
60・・・・開閉蓋
63・・・・バードプロテクタ取り付け部
70・・・・後部室
90・・・・バードプロテクタ