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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】母乳保存袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20230703BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20230703BHJP
   B65D 77/30 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
B65D33/38
B65D30/16 A
B65D77/30 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019205286
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021075321
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】508337156
【氏名又は名称】カネソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】森藤 靖男
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-51946(JP,A)
【文献】特表2019-524580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0053945(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0122089(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0044381(US,A1)
【文献】特開2004-10155(JP,A)
【文献】特開2004-59085(JP,A)
【文献】特開2004-262497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/36-33/38
B65D 30/16
B65D 77/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形のフィルムを2枚重ね、周縁をヒートシールすることにより帯状の溶着部を形成し、形成した上下両辺及び左右両辺の溶着部によって密閉された母乳貯留部を区画形成し、左右両辺の溶着部に上辺の溶着部の直下でそれぞれ袋口用の切り込みラインを入れた母乳保存袋であって、
左辺溶着部又は右辺溶着部の上部から内側へ分岐して延びる分岐溶着部を形成し、該分岐溶着部によって、母乳貯留部に連通するとともに母乳貯留部から突出する注ぎ口を区画形成し、
分岐溶着部を注ぎ口に沿って2分割するカットラインを形成し、
カットラインで2分割された分岐溶着部のうち、注ぎ口側の分岐溶着部に、注ぎ口の先端部近傍で注ぎ口用の切り込みラインを入れ、
左右の袋口用の切り込みラインから上辺の溶着部を切り破って形成した袋口から母乳貯留部に母乳を充填したとき母乳貯留部の底部が広がるように底部にマチ部を設け、
袋口を巻き込むようにして閉じると、巻き込み部から注ぎ口が突出するようにしたことを特徴とする母乳保存袋。
【請求項2】
前記巻き込み部を表面に貼り付けることができるメモリーシールを備えたことを特徴とする請求項1に記載の母乳保存袋。
【請求項3】
袋口用の切り込みラインの下方で左右に延びる帯片を表裏両面に設け、帯片を引っ張って袋口を開くようにしたことを特徴とする請求項1に記載の母乳保存袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は母乳保存袋に関する。
【背景技術】
【0002】
母乳保存袋の一形式として、特開2004-59085号公報には、フィルムを2枚重ね、上下両辺及び左右両辺をヒートシールすることにより帯状の溶着部を形成し、形成した上下両辺及び左右両辺の溶着部によって密閉された母乳貯留部を区画形成した母乳保存袋が開示されている。この母乳保存袋の左右両辺の溶着部には上辺の溶着部の直下でそれぞれ袋口用の切り込みラインが入れられ、切り込みラインの直下にプラスチック製の帯片が表裏両面に貼着されている。母乳保存袋の表面には母乳貯留部に重なるように両面接着テープが貼着されている。そして、母乳保存袋の下部は先細りに形成され、先細り部の側縁に注ぎ口用の切り込みラインが形成されている。
【0003】
この母乳用保存袋に母乳を蓄えるには袋口用の切り込みラインから上辺の溶着部を切り破って袋口を形成し、袋口を開いて母乳貯留部に母乳を充填する。そして、プラスチック製の帯片を巻き込むようにして袋口を閉じ、両面接着テープの保護紙をはがし、両面接着テープで巻き込み部を保存袋の表面に粘着して母乳貯留部を密閉する。哺乳時には保存袋の先細り部を注ぎ口用の切り込みラインから切り破って注ぎ口を形成し、注ぎ口から哺乳瓶に充填する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-59085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の母乳保存袋は、母乳を充填したとき底部が窄まった形状を呈するので、冷蔵庫内の棚に置いて保管する場合、横置きで棚に置くしかなく、縦置きでは保管できない。
ところで、母乳保存袋の表面には貯留した母乳の量を確認できるように目盛りが印刷されている。また、母乳保存袋の表面には氏名や搾乳日等のデータを示すメモリーシールが貼着される。
しかし、母乳保存袋の母乳量を確認する場合、母乳保存袋を縦にしないと目盛りが母乳量の指標にならいので、横置きのままでは母乳量を確認できない。また、メモリーシールのデータも横置きのままでは読み難く、使い勝手が悪い。
本発明はかかる点に鑑み、縦置きで保管できて使い勝手の良い母乳保存袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
矩形のフィルムを2枚重ね、周縁をヒートシールすることにより帯状の溶着部を形成し、形成した上下両辺及び左右両辺の溶着部によって密閉された母乳貯留部を区画形成し、左右両辺の溶着部に上辺の溶着部の直下でそれぞれ袋口用の切り込みラインを入れた母乳保存袋であって、
左辺溶着部又は右辺溶着部の上部から内側へ分岐して延びる分岐溶着部を形成し、該分岐溶着部によって、母乳貯留部に連通するとともに母乳貯留部から突出する注ぎ口を区画形成し、
分岐溶着部を注ぎ口に沿って2分割するカットラインを形成し、
カットラインで2分割された分岐溶着部のうち、注ぎ口側の分岐溶着部に、注ぎ口の先端部近傍で注ぎ口用の切り込みラインを入れ、
左右の袋口用の切り込みラインから上辺の溶着部を切り破って形成した袋口から母乳貯留部に母乳を充填したとき母乳貯留部の底部が広がるように底部にマチ部を設け、
袋口を巻き込むようにして閉じると、巻き込み部から注ぎ口が突出するようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の母乳保存袋において、前記巻き込み部を表面に貼り付けることができるメモリーシールを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の母乳保存袋において、袋口用の切り込みラインの下方で左右に延びる帯片を表裏両面に設け、帯片を引っ張って袋口を開くようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、マチ部を設けたので、母乳貯留部に母乳を充填したとき母乳貯留部の底部が広がり、母乳保存袋を縦置きで保管できる。そのため、表面に印刷した目盛りを見て母乳量を確認できる。また、貼着したメモリーシールのデータも読み易くなる。
母乳保存袋は重ねた矩形のフィルム2枚から成るので、多数枚を重ねても単純な矩形の束で保管できる。
袋口を巻き込むようにして閉じると、巻き込み部から注ぎ口が突出するので、注ぎ口用の切り込みから分岐溶着部の先端部を切り破って注ぎ口を開くことができ、使い勝手が良い。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、袋口から充填した母乳を保存するとき、メモリーシールで巻き込み部を表面に貼り付けることにより、袋口を閉じて母乳貯留部を密閉できる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、袋口から母乳を充填するとき、帯片を引っ張って袋口を開くことができるので、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施例に係る母乳保存袋を示す正面図である。
図2図1の2-2線から切断した断面図である。
図3】本発明の第1実施例に係る、母乳を蓄えた母乳保存袋を示す斜視図である。
図4】本発明の第1実施例に係る、母乳を蓄えた母乳保存袋を示す断面図である。
図5】本発明の第2実施例に係る母乳保存袋を示す正面図である。
図6】本発明の第2実施例に係る、母乳を蓄えた母乳保存袋を示す正面図である。
【実施例1】
【0013】
以下に本発明を説明する。図1図4には本発明の第1実施例に係る母乳保存袋10が示されている。当該母乳保存袋10は長方形のフィルム10a10bを2枚重ね、周縁をヒートシールすることにより、長方形の扁平な形態の袋に成形されている。この母乳保存袋10には周縁のヒートシールによっていずれも帯状の上辺溶着部11、下辺溶着部12、左辺溶着部13及び右辺溶着部14が形成されている。左辺溶着部13には上辺溶着部11との接続部から内側へ分岐して下方へ延びる左辺分岐溶着部15が形成されている。また、右辺溶着部14にも上辺との接続部から内側へ分岐して下方へ延びる右辺分岐溶着部16が形成されている。
【0014】
母乳保存袋10には上辺溶着部11と左辺分岐溶着部15及び右辺分岐溶着部16によって母乳受け口17が区画形成されている。また、左辺溶着部13と右辺溶着部14及び下辺溶着部12によって母乳貯留部18が区画形成されている。母乳受け口17と母乳貯留部18は連通している。そして、母乳受け口17が上辺溶着部11によって密閉されている。
また、左辺分岐溶着部15によって、注ぎ口19が区画形成されている。注ぎ口19は母乳貯留部18に連通するとともに、母乳貯留部18から上方へ突出している。
【0015】
左右両辺の溶着部13,14には、それぞれ上辺溶着部11の直下で袋口用の切り込み20,21が入れられている。注ぎ口19を区画形成する左辺分岐溶着部15には注ぎ口19にそってカットライン22が入れられ、カットライン22によって左辺分岐溶着部15が注ぎ口19側の左辺分岐溶着部15aと反注ぎ口側の左辺分岐溶着部15bに2分割されている。そして、カットライン22で2分割された左辺分岐溶着部15a,15bのうち、注ぎ口19側の左辺分岐溶着部15aに、注ぎ口19の先端部近傍で注ぎ口用の切り込みライン23,24が入れられている。また、母乳保存袋10の表面には母乳貯留部18に貯えられた母乳量の目安となる目盛り25が印刷されている。
【0016】
母乳保存袋10の表裏両面には、袋口用の切り込みライン20,21の下方で左右に延びる帯片26が形成されている。また、母乳貯留部18の底部18aは二つ折りにしてマチ部27が形成されている。
【0017】
本実施例に係る母乳保存袋10の構成は以上の通りであって、以下にその使用方法を説明する。
母乳保存袋10に母乳を蓄えるには、袋口用の切り込み20,21から上辺溶着部11を切り破って袋口10cを形成し、帯片26を指で摘まみ、引っ張って袋口10cを開き、母乳を袋口10cから受け口17を通して母乳貯留部18に充填する。
母乳貯留部18に母乳を充填した後、注ぎ口19が突出するまで、袋口10cを帯片26とともに巻き込んで袋口10cを閉じ、図3に示すように、巻き込み部10dをメモリーシール28で母乳保存袋10の表面に貼り付ける。これにより母乳貯留部18が密閉される。
哺乳時には、注ぎ口用の切り込み23,24から分岐溶着部15aを切り破って注ぎ口19を開く。
【0018】
本実施例によれば、マチ部27を設けたので、母乳貯留部18に母乳を充填したとき、図4に示すように、母乳貯留部18の底部18aが広がる。そのため、母乳保存袋10を縦置きで保管できるので、表面に印刷した目盛り25を見て母乳量を確認できる。また、貼着したメモリーシール28のデータも読み易くなる。
母乳保存袋10は重ねた2枚の矩形のフィルム10a,10bから成るので、多数枚を重ねても単純な矩形の束で保管できる。
帯片26を巻き込むようにして袋口10cを閉じると、巻き込み部10dから注ぎ口19が突出するので、注ぎ口用の切り込み23,24から分岐溶着部15aの先端部を切り破って注ぎ口19を開くことができ、使い勝手が良い。
【0019】
袋口10cから充填した母乳を保存するとき、メモリーシール28で巻き込み部10dを表面に貼り付けることにより、袋口10cを閉じて母乳貯留部18を密閉できる。また、袋口10cから母乳を充填するとき、帯片26を引っ張って袋口10cを開くことができるので、使い勝手が良い。
【実施例2】
【0020】
本発明の第2実施例に係る母乳保存袋30を図5及び図6に示す。第1実施例に係る母乳保存袋10では注ぎ口19が上方へ突出しているが、図5及び図6に示すように側方へ突出させることもできる。
なお、本実施例の他の構成は第1実施例に係る母乳保存袋10と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【符号の説明】
【0021】
10,30…母乳保存袋
10a,10b…フィルム
10c…袋口
10d…巻き込み部
11…上辺溶着部
12…下辺溶着部
13…左辺溶着部
14…右辺溶着部
15、15a、15b…左辺分岐溶着部
16…右辺分岐溶着部
17…母乳受け口
18…母乳貯留部
18a…底部
19…注ぎ口
20,21…袋口用の切り込み
22…カットライン
23,24…注ぎ口用の切り込み
25…目盛り
26…帯片
27…マチ部
28…メモリーシール
図1
図2
図3
図4
図5
図6