(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】肝臓送達に基づくエンテカビルプロドラッグであるヌクレオシドの環状リン酸エステル化合物および応用
(51)【国際特許分類】
C07F 9/6574 20060101AFI20230703BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20230703BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20230703BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
C07F9/6574 Z CSP
A61P31/20
A61K31/675
A61P43/00 123
(21)【出願番号】P 2020533279
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2018122824
(87)【国際公開番号】W WO2019120301
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】201711408937.2
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518453741
【氏名又は名称】浙江柏拉阿図医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】席志堅
(72)【発明者】
【氏名】徐華強
(72)【発明者】
【氏名】陸春平
(72)【発明者】
【氏名】伍中山
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101475594(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0016986(US,A1)
【文献】特表2011-505351(JP,A)
【文献】特開平04-282373(JP,A)
【文献】特表2005-533777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/
A61P 31/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式で示される化合物、又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項2】
前記式
で示される化合物の塩は、
前記式
で示される化合物が無機酸または有機酸と反応して形成される薬用塩であり、あるいは
前記式
で示される化合物の塩は、
前記式
で示される化合物が塩基と反応して形成される薬用塩であり、
前記
式で示される化合物またはその塩は、無定形物質または結晶である、ことを特徴とする、
請求項1に記載の化合物、又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項3】
治療有効量の請求項1または2に記載の化合物又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物と、
薬学的に許容される補助剤、希釈剤または担体とを含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項4】
B型肝炎ウイルス感染
を治療及び/または予防する医薬組成物の調製への、治療有効量の請求項1または2に記載の化合物又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝臓特異的デリバリー技術(肝臓送達)(Liver Specific D
elivery(LSD))に基づく抗ウイルスプロドラッグであるヌクレオシドの環状
リン酸エステル化合物の調製および応用、又はその光学異性体、水和物、溶媒和物、薬用
塩および医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
B型肝炎ウイルス(HBV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、ヒト免疫不全ウイルス(H
IV)等のウイルスは、人間の健康を深刻に脅かしている。B型肝炎ウイルスを例として
、B型ウイルス性肝炎(B型肝炎)は、B型肝炎ウイルスによって引き起こされ、肝臓炎
性病変を主とする疾患であり、多器官損傷を招来することがある。世界保健機関(WTO
)の調査結果により示すように、全世界に慢性B型肝炎の感染者が約2.4億人であり、
毎年、約78万人がB型肝炎感染で亡くなっていること推定し、その中、65万人が慢性
B型肝炎による肝硬変と肝がんで、13万人が急性B型肝炎感染で亡くなっていることを
推定し、これは、全世界に健康に関わる重要な問題になっている。
【0003】
抗B型肝炎ウイルス薬物のうち、最も主要なのは、例えば、アデフォビルジピボキシル、
テノホビルジソプロキシル(TDF)、テノホビルアラフェナミド(TAF)、エンテカ
ビル、ラミブジン、テルビブジン等のヌクレオチド類薬物であり、その作用機序は、細胞
内で活性化されて三リン酸代謝物になり、ウイルスのDNAポリメラーゼの活性を阻害し
、ウイルスDNAの合成を阻止することにより、ウイルス複製を阻害することである。
【0004】
抗B型肝炎ウイルスヌクレオシド系化合物には、一リン酸を有するヌクレオチド類似物及
び一リン酸を有しないヌクレオシド類似物が含まれる。ヌクレオチド類似物、例えばアデ
フォビルやテノホビル等は、一般的に、リン酸エステルとして製薬し、例えば、アデフォ
ビルジピボキシル及びテノホビルジソプロキシルは、体内で一リン酸生成物に直接に代謝
できる。ヌクレオシド類似物、例えばエンテカビル等は、ヌクレオシド類似物のままで製
薬され、体内でさらにリン酸化されて一リン酸代謝物になる必要があり、また、当該リン
酸化プロセスは、最終活性形態である三リン酸代謝物に転化する律速段階であり、これに
より、肝臓で有効活性成分が低くなる。現在、エンテカビル一リン酸エステルプロドラッ
グがまだ開発、出荷されていない。
【0005】
エンテカビルは、インビトロで抗ウイルス活性が非常に強く(EC50=0.004μM
)、従来のヌクレオシド類薬物のなかでも活性が最も強い化合物であり、ラミブジンに耐
性を有するウイルス株に対しても、非常に強い阻害活性(EC50=0.010-0.0
59μM)を持つ。エンテカビルは、HBVポリメラーゼ(Polymerase)の三
種類の活性をすべて阻害できる:1)HBVポリメラーゼの開始及び起動、2)プレゲノ
ムRNAの逆転写合成rcDNA(弛緩した環状の二本鎖DNA)のマイナス鎖;3)r
cDNAプラス鎖の合成。また、エンテカビルへの耐性の発生率が非常に低く、6年間に
耐性の発生率が1.2%である。これにより、出荷されたヌクレオシド類薬物において、
エンテカビルは、抗ウイルス活性が強く、耐薬品性バリアが高いという利点があることが
わかった。
【0006】
しかしながら、臨床的に、エンテカビルは、頭痛、疲労、眩暈、吐き気等の副作用がある
ことが発見され、これらの副作用は、その臨床的な使用量を限定する。例えば、バラクル
ード(エンテカビルの商品名)1mg規格は、ラミブジンに対して耐性を有する患者のみ
に推奨し、耐性を有しない患者に推奨する使用量は、0.5mgである。
【0007】
本発明は、肝臓特異的デリバリー技術により、キナーゼリン酸化工程を回避する上で、肝
中の活性成分の濃度向上に成功した。
【0008】
環状リン酸エステルによって修飾されたエンテカビルプロドラッグは、肝中にCYP3A
酵素代謝を経て、リン酸キナーゼなしに、一リン酸化合物を生成する。具体的に、環状リ
ン酸エステル(4-アリール-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホリナン)前駆体
構造は、優れた肝臓特異的デリバリー機能を有し、メカニズムが非常に明らかであり、4
-アリール置換位置は、肝細胞でのシトクロムP450アイソザイムファミリーのうちの
CYP3Aによって特異的に触媒され、水酸基を生成した後、開環して負に帯電したリン
酸中間体を生成し、当該物質は、細胞膜を通過しにくくて細胞内に残り、ホスホジエステ
ラーゼ触媒下で、加水分解、β-脱離反応を経て、ヌクレオシド一リン酸類似物を生成し
、続いて、ヌクレオチドキナーゼ作用下で、生物学的活性を有するヌクレオチド三リン酸
類似物を生成するとともに、代謝副生成物であるアリールビニルケトンは、肝細胞に富ん
だ抗酸化およびフリーラジカル成分であるグルタチオンと、1,4-付加反応を行い、ク
リアランスされ、当該付加生成物は、副作用を有することがはまだ報告されていない。
現在、臨床的に、活性が高く、肝臓送達特異性が強く、また毒性と副作用が低いエンテカ
ビル一リン酸エステルプロドラッグの応用は、まだ発見されていない。そのため、本分野
では、活性が高く、肝臓送達特異性が強く、また毒性と副作用が低い等の利点を有する新
規なエンテカビルプロドラッグの開発が切望されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、抗ウイルスエンテカビル一リン酸の環状リン酸エステルを合成し、その芳香族
環置換基に対してさらに改善することにより、肝臓送達作用を有する一連のプロドラッグ
を得、それらは治療効果がさらに高く、毒性と副作用が小さくなる。
【0010】
本発明の第一態様によれば、下述式Iに示される化合物、又はその光学異性体、薬学的に
許容される塩、水和物または溶媒和物を提供する。
ここで、
各R
1は、独立してハロゲン、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シアノ基、置換または非置
換のC1-C6アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換また
は非置換のC1-C6アルコキシ基、置換または非置換のC1-C6アルキルアミン基、
置換または非置換のC1-C6カルボキシル基、置換または非置換のC1-C6エステル
基、置換または非置換のC2-C6アルカノイル基、置換または非置換のC2-C6アル
キルアミド基から選択され、ここで、前記の置換とは、ハロゲン、C1-C3アルキル基
、C1-C3ハロゲンアルキル基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シアノ基からなる群か
ら選択される1つ以上の置換基を有することをいい、
R
2、R
3は、それぞれ独立してハロゲン(FまたはCl)であり、
mは、0、1、2または3である。
R
4は、水素、置換または非置換のC1-C6アルキル基、置換または非置換のC3-C
8シクロアルキル基、置換または非置換のC1-C6エステル基、置換または非置換のC
2-C6アルカノイル基から選択され、ここで、前記の置換とは、ハロゲン、C1-C3
アルキル基、C1-C3ハロゲンアルキル基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シアノ基か
らなる群から選択される1つ以上の置換基を有することをいい、
かつ、式I中、キラルが明記しない限り、キラル中心のそれぞれは、R型またはS型であ
り、
【0011】
他の好ましい例において、R2がClであり、且つR3がFであり、R2がClであり、
且つR3がClであり、あるいはR2がFであり、且つR3がClである。
【0012】
他の好ましい例において、前記の光学異性体には、互変異性体、シストランス異性体、配
座異性体、メソ化合物、およびエナンチオトピックまたはジアステレオトピックな関係に
ある光学異性体が含まれる。
【0013】
他の好ましい例において、前記の化合物は、以下のものから選択される。
【0014】
他の好ましい例において、前記式Iに示される化合物の塩は、式Iに示される化合物と無
機酸または有機酸との薬用塩であり、あるいは、前記式Iに示される化合物の塩は、式I
に示される化合物が塩基と反応して形成される薬用塩である。前記の式Iに示される化合
物またはその塩は、無定形物質または結晶である。
【0015】
本発明の第二態様によれば、医薬組成物を提供し、前記の医薬組成物は、治療有効量の本
発明の第一態様に記載の化合物又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物また
は溶媒和物と、薬学的に許容される補助剤、希釈剤または担体とを含む。
【0016】
本発明の第三態様によれば、B型肝炎ウイルス(HBV)感染に関連する急性または慢性
疾患を治療及び/または予防する医薬組成物の調製への、本発明の第一態様に記載の化合
物又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の使用を提供する
。
【0017】
本発明の第四態様によれば、本発明の第一態様に記載の式Iに示される化合物の調製方法
を提供し、前記方法は、以下の工程を含む。
(i-a)不活性溶媒において、式IIに示される化合物と酸、塩化アシル、ハロアルキ
ル基とを反応させ、式Iに示される化合物を形成する、
ここで、各基は前記の通りである。
【0018】
他の好ましい例において、前記の工程(i-a)中、前記の試薬は、ジシクロヘキシルカ
ルボジイミド(DCC)、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンまた
はそれらの組み合せからなる群から選択され、好ましくは、DCC及びトリエチルアミン
である。
【0019】
他の好ましい例において、前記の工程(i-a)中、前記の不活性溶媒は、N,N-ジメ
チルホルムアミド、ジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはそれらの組み合せからな
る群から選択され、好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミド及びジクロロメタン溶媒
である。
【0020】
他の好ましい例において、前記の工程(i-a)の反応温度が-0-100℃(好ましく
は25±5℃程度)である。
【0021】
他の好ましい例において、前記の工程(i-a)の脱保護反応の反応時間が0.5-24
時間であり、好ましくは、0.5-8時間である。
(i-b)不活性溶媒において、式IIaに示される化合物でTBSを除去し、式IIに
示される化合物を形成する、
他の好ましい例において、前記の工程(i-b)中、前記のTBSを除去する試薬は、T
BAF、氷酢酸、希塩酸またはそれらの組み合せからなる群から選択され、好ましくは、
塩酸エタノール溶液及びTBAFである。
【0022】
他の好ましい例において、前記の工程(i-b)中、前記の不活性溶媒は、N,N-ジメ
チルホルムアミド、テトラヒドロフランまたはそれらの組み合せからなる群から選択され
、好ましくは、テトラヒドロフラン溶媒である。
【0023】
他の好ましい例において、前記の工程(i-b)の反応温度が-50-30℃(好ましく
は25±5℃程度)である。
【0024】
他の好ましい例において、前記の工程(i-b)の脱保護反応の反応時間が0.5-6時
間であり、好ましくは、0.5-3時間であり、より好ましくは、0.5-2時間である
。
【0025】
他の好ましい例において、前記の式IIaに示される化合物は、以下の方法により調製さ
れる。
(i-c)不活性溶媒において、式Icに示される化合物をPA3001-3と置換反応
させ、式IIaに示される化合物を得る、
他の好ましい例において、工程(i-c)中、前記反応は、グリニャール試薬存在下で行
い、好ましくは、前記のグリニャール試薬は、tert-ブチルマグネシウムクロリド(
t-BuMgCl)からなる群から選択される。
【0026】
他の好ましい例において、前記の工程(i-c)の置換反応は、-50-30℃で(好ま
しくは25±5℃程度で)行う。
【0027】
他の好ましい例において、前記の工程(i-c)の置換反応の反応時間は、1-72時間
であり、好ましくは、3-48時間であり、より好ましくは、6-24時間である。
【0028】
他の好ましい例において、前記の工程(i-c)の不活性溶媒は、N,N-ジメチルホル
ムアミド、テトラヒドロフラン、またはそれらの組み合せからなる群から選択され、好ま
しくは、テトラヒドロフラン溶媒である。
【0029】
本発明の範囲内で、本発明の上述の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説
明する各技術的特徴とは、互いに組み合わせることができ、それにより新しいまたは好ま
しい技術案を構成できる。スペースの制限のため、ここでは繰り返しない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】ラットに0.036mmol/kg PA3001、PA3002、PA3003、PA3004、PA3017及びエンテカビルを胃内投与した後の一リン酸活性分子ETVMPの肝臓における濃度-時間ヒストグラム(nmol/g、モル濃度/組織重量)を示す。
【
図2】ラットに0.036mmol/kg PA3001、PA3002、PA3003、PA3004、PA3017及びエンテカビルを胃内投与した後のETVの肝臓における濃度-時間ヒストグラム(nmol/g、モル濃度/組織重量)を示す。
【
図3】ラットに0.036mmol/kg PA3001、PA3002、PA3003、PA3004、PA3017及びエンテカビルを胃内投与した後の一リン酸活性分子ETVMPの血漿における濃度-時間ヒストグラム(nmol/g、モル濃度/組織重量)を示す。
【
図4】ラットに0.036mmol/kg PA3001、PA3002、PA3003、PA3004、PA3017及びエンテカビルを胃内投与した後のETVの血漿における濃度-時間ヒストグラム(nmol/g、モル濃度/組織重量)を示す。
【
図5】ラットに0.036mmol/kg PA3001、PA3002、PA3003、PA3004、PA3017及びエンテカビルを胃内投与した後の一リン酸活性分子ETVMPの脳漿における濃度-時間ヒストグラム(nmol/g、モル濃度/組織重量)を示す。
【
図6】ラットに0.036mmol/kg PA3001、PA3002、PA3003、PA3004、PA3017及びエンテカビルを胃内投与した後のETVの脳漿における濃度-時間ヒストグラム(nmol/g、モル濃度/組織重量)を示す。
【0031】
注釈:
ETV:エンテカビル、2-アミノ-9-[(1S,3S,4S)-4-ヒドロキシ-3
-ヒドロキシメチル-2-メチレンシクロペンチル]-1,9-ジヒドロ-6H-プリン
-6-オン(CAS:142217-69-4)
ETVMP:2-アミノ-9-((1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-(モノリ
ン酸エステルメチレン)-2-メチレニルシクロペンチル)-3H-プリン-6(9H)
-オン(CAS:1103994-53-1)
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明者は、長期にわたって鋭意検討を重ねたところ、大量の化合物をスクリーニングして
研究することにより、特定の構造を有する式Iおよび式IIに示される化合物(ただし、
ベンゼン環部分の2位および5位が特定のハロゲンである)は、驚くべきことに、非常に
優れた抗ウイルス活性を有し、肝臓送達性を大きく向上させ、また毒性と副作用を顕著に
低減できることを初めて発見した。本発明者らは、以上の知見に基づき、本発明を完成し
た。
【0033】
用語
本発明に用いられる用語「C1-C6アルキル基」とは、1~6個の炭素原子を有する直
鎖または分岐鎖アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、
ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、または類似基をいう
。
本発明に用いられる用語「C2-C6アルカノイル基」とは、「1~6個の炭素原子を有
する直鎖または分岐鎖アルキル基-カルボニル基」構造の置換基、例えばアセチル基、プ
ロピオニル基、ブチリル基、または類似基をいう。
本発明に用いられる用語「C1-C6アルキルアミン基」とは、「1~6個の炭素原子を
有する直鎖または分岐鎖アルキル基-アミン基」構造の置換基、例えばメチルアミノ基、
ジメチルアミノ基、エチルアミン基、プロピルアミン基、ジエチルアミン基、または類似
基をいう。
用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びIをいう。
本発明において、用語「含有する」、「含む」または「からなる」は、それぞれの成分が
一緒に本発明の混合物または組成物に応用できることをいう。そのため、用語「主に..
.から構成する」及び「...から構成する」は、用語「含有する」に含まれる。
本発明において、用語「薬学的に許容される」成分とは、ヒト及び/または動物に適用し
て、過度の副反応(例えば、毒性、刺激及びアレルギー反応)なしに合理的なリスク/ベ
ネフィット比を有する物質をいう。
本発明において、用語「有効量」とは、目的の疾患または状况を治療、緩和または予防す
る治療剤の量、或いは検出できる治療または予防効果を表現する量をいう。ある対象に対
する正確な有効量は、当該対象の体型や健康状態、病症の性質と程度、および投与される
治療剤及び/または治療剤の組み合わせに依頼する。そのため、予め正確な有効量を指定
することが無駄である。しかしながら、ある所定の状况について、当該有効量は、一般的
な実験で決定でき、臨床的にも医師が判断できるものである。
本発明において、特に記載されない限り、用語「置換」とは、基上の1つ以上の水素原子
がハロゲン、C1-C3アルキル基、C1-C3ハロゲンアルキル基、ニトロ基、水酸基
、アミノ基、シアノ基からなる群から選択される置換基で置換されることをいう。
特に記載されない限り、本発明に記載のすべての化合物には、存在可能なすべての光学異
性体、例えばキラル単一化合物、または種々なキラルの異なる化合物の混合物(即ちラセ
ミ化合物)が含まれる。本発明に記載のすべての化合物のうち、各不斉炭素原子は、R型
またはS型、またはR型とS型との混合物であってもよい。
本発明に用いられる用語「本発明の化合物」とは、式I及び式IIに示される化合物をい
う。当該用語は、さらに式I及び式IIに示される化合物の種々な結晶形、薬学的に許容
される塩、水和物または溶媒和物を含む。
本発明に用いられる用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物と酸または塩基
との、医薬品として適用される塩をいう。薬学的に許容される塩は、無機塩と有機塩を含
む。好ましい塩は、本発明の化合物と酸との塩である。塩形成に適合な酸は、塩酸、臭化
水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シ
ュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン
酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等
の有機酸、およびアスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸が含まれるが、これら
に限らない。
本発明におけるいくつの化合物は、水または種々な有機溶媒で結晶または再結晶し、この
場合に、種々な溶媒和物を形成できる。本発明の溶媒和物は、化学量論の水和物のような
溶媒和物を含み、さらに、低圧昇華乾燥法で調製された、変数である水を含有する化合物
を含む。
なお、本発明の化合物が調製された後、種々な熱力学的に安定な異性体、例えば互変異性
体、配座異性体、メソ化合物及びエナンチオトピックまたはジアステレオトピックな関係
にある光学異性体等が存在する可能性があり、当業者にとって、本発明の開示を読んだ上
、上記の変更が自明なことになろう。
【0034】
式Iに示される化合物及びその調製
肝臓送達機構により、抗ウイルスヌクレオチド類医薬品を肝細胞で放出させる効率的かつ
低毒性の肝臓送達プロドラッグを提供するために、発明者は、式Iに示される化合物を調
製した。
ここで、
各R
1は、それぞれ独立して、ハロゲン、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シアノ基、置換
または非置換のC1-C6アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基
、置換または非置換のC1-C6アルコキシ基、置換または非置換のC1-C6アルキル
アミン基、置換または非置換のC1-C6カルボキシル基、置換または非置換のC1-C
6エステル基、置換または非置換のC2-C6アルカノイル基、置換または非置換のC2
-C6アルキルアミド基から選択され、ここで、前記の置換とは、ハロゲン、C1-C3
アルキル基、C1-C3ハロゲンアルキル基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シアノ基か
らなる群から選択される1つ以上の置換基を有することをいい、
mは、0、1、2または3であり、
R
2、R
3は、それぞれ独立してハロゲン(FまたはCl)であり、
R
4は、独立して水素、置換または非置換のC1-C6アルキル基、置換または非置換の
C3-C8シクロアルキル基、置換または非置換のC1-C6エステル基、置換または非
置換のC2-C6アルカノイル基から選択され、ここで、前記の置換とは、ハロゲン、C
1-C3アルキル基、C1-C3ハロゲンアルキル基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シ
アノ基からなる群から選択される1つ以上の置換基を有することをいい、
且つ、式I中、キラルが明記しない限り、キラル中心のそれぞれは、R型またはS型であ
る。
【0035】
前記の化合物は、消旋体であっても、光学異性体であってもよく、両方とも一定の抗ウイ
ルス活性を有する。好ましくは、前記の式Iに示される化合物は、以下の構造を有する。
【0036】
他の好ましい例において、前記のP2とリン酸エステル環構造での4位の芳香族基とは互
いにシス型になり、且つP2がR型であり、C4がS型である。
【0037】
他の好ましい例において、R2がClであり、且つR3がFであり、R2がClであり、
且つR3がClであり、あるいはR2がFであり、且つR3がClである。
【0038】
他の好ましい例において、前記の光学異性体には、互変異性体、シストランス異性体、配
座異性体、メソ化合物、及びエナンチオトピックまたはジアステレオトピックな関係にあ
る光学異性体が含まれる。
【0039】
他の好ましい例において、前記の化合物は、以下のものから選択される。
一般式Iに示される化合物の調製方法は、以下のとおりである。
【0040】
テトラヒドロフラン溶液にPA3001-3化合物を加え、その後、0℃で、tert-
ブチルマグネシウムクロリドを滴下し、30分間反応させ、その後、一気にIcに示され
る化合物を加え、一晩反応させ、クエンチし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによ
り精製し、得られた中間体IIa、IIaを塩酸エタノール溶液に加え、保護基TBSを
除去し、一般式IIに示される化合物を得、IIと酸、塩化アシル、ハロアルキル基と反
応させて一般式Iに示される化合物を得た。
ここで、各反応物は、市販品のまま入手してもよく、市販の原材料を用いて、本分野での
一般的な方法により調製されてもよい。
【0041】
医薬組成物及び施用方法
本発明の化合物は、B型肝炎ウイルスへの阻害活性に優れるため、本発明の化合物及びそ
の種々な結晶形、薬学的に許容される無機または有機塩、水和物または溶媒和物、および
本発明の化合物を主な活性成分として含む医薬組成物は、B型肝炎ウイルスによる疾患を
治療、予防および緩和することに適用できる。従来の技術によれば、本発明の化合物は、
HBV、HCV、HIV及びHCMV等の感染による疾患を治療することに適用できる。
本発明の医薬組成物は、安全有効量の範囲内において、本発明の化合物またはその薬理学
的に許容される塩及び薬理学的に許容される賦形剤または担体を含む。ここで、「安全有
効量」とは、重い副作用を引き起こさなくて病状を顕著に改善するに十分な化合物の量を
いう。通常、医薬組成物は、0.1-1000mgの本発明の化合物/剤を含有し、より
好ましくは、0.5~500mgの本発明の化合物/剤を含有する。好ましくは、前記の
「一剤」は、一つのカプセルまたは錠剤をいう。
【0042】
「薬学的に許容される担体」とは、一つまたは複数の相容性固体または液状充填材または
ゲル物質をいい、人に適用し、十分な純度及び十分に低い毒性を持つ必要がある。ここで
、「相容性」とは、組成物中の各成分同士、または本発明の化合物と互いにブレンドでき
、化合物の薬物効果を顕著に低減しないことをいう。薬学的に許容される担体のいくつか
の例として、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、エチルセルロースナトリウム、セルロースアセテート等)、ゼラチン、タルク、固形
潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油
(例えば、大豆油、ごま油、落花生油、オリーブ油等)、ポリオール(例えば、プロピレ
ングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトール等)、乳化剤(例えば、トゥイ
ーン(登録商標))、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、調味剤、安
定剤、抗酸化剤、防腐剤、発熱性物質除去水等が挙げられる。
【0043】
本発明の化合物または医薬組成物の施用方式については、特に限定されず、代表的な施用
方式は、経口投与、直腸内投与、非経口投与(静脈内投与、筋肉内投与または皮下投与)
、及び局所投与を含む(これらに限らない)。特に好ましい施用方式は、経口投与である
。
経口投与のための固体剤形は、カプセル、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤を含む。これらの
固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムのよう
な一般的な不活性賦形剤(または担体)の少なくとも一つと混合し、あるいは下述の成分
と混合する:(a)充填材または相溶化剤、例えば、澱粉、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マ
ンニトール及びケイ酸、(b)粘着剤、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン
酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及びアラビアガム、(c)保湿剤、例え
ば、グリセリン、(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、じゃがいも澱粉または
キャッサバ澱粉、アルギン酸、ある複合ケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、(e)溶解遅延
剤、例えばパラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、第四級アミン化合物、(g)湿潤剤
、例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセリル、(h)吸着剤、例えば、カ
オリン、及び(i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混
合物。カプセル、錠剤及び丸剤では、剤形が緩衝剤を含んでも良い。
【0044】
錠剤、シューガーピルズ、カプセル、丸剤及び顆粒剤のような固体剤形は、ケーシング、
本分野での公知の他の材料のようなコーティング及びシェル材により調製されることがで
きる。その中、不透明剤を含んでもよく、また、このような組成物では、活性化合物また
は化合物の放出が遅延して、消化道内のある部位で放出されてもよい。用いられる埋込成
分の例として、ポリマー及びワックス類物質が挙げられる。必要に応じて、活性化合物は
、上述の賦形剤の中の一つまたは複数と、マイクロカプセルになる可能性がある。
【0045】
経口投与のための液状剤形としては、薬学的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップ
またはチンキ剤が挙げられる。液状剤形には、活性化合物以外に、本分野で通常に用いら
れる不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エタノール
、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタン
ジオール、ジメチルホルムアミドおよび油、特に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油
、オリーブ油、ひまし油及びごま油またはこれらの混合物等が含まれる。
【0046】
組成物には、これらの不活性希釈剤以外に、助剤、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘
味料、矯味剤及び香料が含まれる。
【0047】
懸濁液には、活性化合物以外に、懸濁剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール
、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アル
ミニウムメトキシド及び寒天またはこれらの混合物等が含まれる。
【0048】
非経口注射のための組成物は、生理学的に許容される無菌の含水または非水溶液、分散液
、懸濁液または乳液、及び改めて無菌の注射溶液または分散液に溶解するための無菌粉末
が含まれる。適切な含水及び非水担体、希釈剤、溶媒または賦形剤には、水、エタノール
、ポリオール及びそれらの適切な混合物が含まれる。
【0049】
局所投与のための本発明の化合物の剤形には、軟膏剤、散剤、パッチ剤、噴射剤及び吸入
剤が含まれる。活性成分は、無菌条件下で生理学的に許容される担体及び任意の防腐剤、
緩衝剤、または必要に応じて必要としうる推進剤とともに混合される。
【0050】
本発明の化合物は、単独投与されてもよく、または他の薬学的に許容される化合物と併用
して投与されてもよい。
【0051】
医薬組成物を使用するとき、安全有効量の本発明の化合物を、治療される哺乳動物(例え
ば、人)に適用し、ここで、施用時の使用量は、薬学的に認められる効果的な投与使用量
であり、60kgの人に対して、1日あたり投与使用量は、通常0.2~1000mg、
好ましくは0.5~100mgである。無論、具体的な使用量は、投与経路、患者の健康
状態等の要素を考えする上で定めなければならず、熟練した医師にとっての技能範囲にあ
る。
【0052】
本発明は、主として以下の利点を含む。
(1)肝臓送達性が高く、化合物が肝細胞でのシトクロムP450アイソザイムファミリ
ーのうちのCYP3Aのみに特異的に触媒され、活性分子が生成させ、当該活性分子は、
大量の負の電荷を持ち、肝外に排出されにくく、他の組織では、CYP3A酵素の発現が
ほとんど見られず、そのため、肝での活性分子は、他の組織よりも濃度がはるかに高く、
これにより、肝臓送達効果を達成する。
(2)活性が高く、化合物が肝細胞でのシトクロムP450アイソザイムファミリーのう
ちのCYP3Aのみに特異的に触媒され、活性分子が生成され、当該活性分子は、大量の
負の電荷を持ち、肝外に排出されにくく、経口投与で吸収された後、まず肝臓代謝(初回
通過効果)を経るため、より多くの活性分子が肝臓に集まり、抗ウイルス活性が大きく向
上させることができる。
(3)毒性と副作用が低い:同じ使用量のプロドラッグは、肝臓以外の組織で、活性分子
に代謝される量が非常に少ないため、腎臓、脳等の主な臓器への毒性が大きく低減される
。
【0053】
以下、具体な実施例により、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を例示
するためだけに使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである
。以下の実施例で具体な条件が明記されない実験方法は、一般的な条件で、またはメーカ
ーによって推奨される条件で行う。特に明記しない限り、百分率及び部数は、重量として
算出される。
【0054】
実施例1 PA3001(比較例)
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3001-2の合成:
化合物エンテカビル一水和物PA3001-1(5.32g、18mmol)及びイミダ
ゾール(8.0g、117.6mmol)をDMF(40ml)に溶解させ、氷浴でte
rt-ブチルジメチルクロロシラン(TBSCl、13.3g、88mmol)をゆっく
り加え、窒素雰囲気下で、室温で反応を一晩攪拌し、反応終了後、ゆっくり水(400m
L)に加え、15分間攪拌し、酢酸エチル(3×150mL)で抽出し、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離
精製し(溶離液:PE:EA(V:V)=1:3)、PA3001-2(8.2g)を得
、収率90%であった。
工程2)化合物PA3001-3の合成:
化合物PA3001-2(2.5g、4.9mmol)を0.5%の塩酸エタノール溶液
(50ml)中に溶解させ、室温で0.5時間攪拌した直後、飽和NaHCO
3溶液でp
H=9に中和し、エバポレーターでエタノールを除去し、シリカゲルクロマトグラフィー
カラムにより分離精製し(溶離液:PE:EA:CH
3OH(V:V)=30:150:
4.5)、白色固体である化合物PA3001-3(1.5g)を得、収率78%であっ
た。
工程3)化合物PA3001-5の合成:
化合物PA3001-3(484mg、1.24mmol)を無水テトラヒドロフランに
溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(4.9
mL、4.9mmol)を滴下し、1時間攪拌し、PA3001-4(633mg、1.
71mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。飽和塩化アンモニウムを20mL加えてク
エンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、スピン乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(D
CM:MeOH(V:V)=20:1)、PA3001-5(538g)を得、収率70
%であった。
工程4)化合物PA3001の合成:
化合物PA3001-5(270mg、0.43mmol)を2%の塩酸エタノール溶液
(10mL)に加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後、飽和NaHCO
3溶液でpH
値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去した後、酢酸エチル(2
×50mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾
過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィーカラムにより精製し、ラ
イトホワイト固体であるPA3001(155mg)を得、収率70%であった。
【0055】
実施例2 PA3002
合成経路:
工程1)化合物PA3002-2の合成:
化合物PA3001-3(561mg、1.4mmol)をテトラヒドロフラン(30m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
5.6mL、5.6mmol、4.0eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時
間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA3002-1(833mg、2.1mmol)を加え
、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応
をクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾
過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:
DCM:MeOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3002-2(600m
g)を得、収率65%であった。
工程2)目的の化合物PA3002の合成:
化合物PA3002-2(310mg、0.48mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(15ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去
した後、酢酸エチル(2×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィー
カラムにより精製し、ライトホワイト固体であるPA3002(170mg)を得、収率
66%であった。
【0056】
実施例3 PA3003
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3003-2の合成:
化合物PA3001-3(900mg、2.3mmol)をテトラヒドロフラン(50m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
4.6mL、4.6mmol)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時間攪拌し、再
度0℃に冷却し、PA3003-1(1.17g、3.5mmol)を加え、その後、反
応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応をクエンチし
、酢酸エチル(3×150mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン
乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:Me
OH(V:V)=10:1)、白色固体であるPA3003-2(700mg)を得、収
率64%であった。
工程2)目的の化合物PA3003の合成:
化合物PA3003-2(600mg、1.02mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(15ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去
した後、酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィ
ーカラムにより精製し、ライトホワイト固体であるPA3003(200mg)を得、収
率41%であった。
【0057】
実施例4 PA3004
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3004-2の合成:
化合物PA3001-3(677mg、1.73mmol)をテトラヒドロフラン(40
ml)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液
(6.6mL、6.6mmol)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時間攪拌し、
再度0℃に冷却し、PA3004-1(970mg、2.5mmol)を加え、その後、
反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応をクエンチ
し、酢酸エチル(3×150mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピ
ン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:M
eOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3004-2(580mg)を得、
収率53%であった。
工程2)目的の化合物PA3004の合成:
化合物PA3004-2(580mg、0.91mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(15ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去
した後、酢酸エチル(2×80mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィー
カラムにより精製し、ライトホワイト固体であるPA3004(250mg)を得、収率
52%であった。
【0058】
実施例5 PA3005
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3005の合成:
化合物PA3004(300mg、0.57mmol)をDMF(10ml)に溶解させ
、室温で、DCC(352mg、1.71mmol)を加え、イソ酪酸(60mg、0.
68mmol)及び触媒量のDMAP(10mg)を加え、その後、反応液を室温で一晩
攪拌し、飽和塩化ナトリウム水溶液(40mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(3×
50mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combif
lashクロマトグラフィーカラムにより精製し、白色固体であるPA3005(206
mg)を得、収率61%であった。
【0059】
実施例6 PA3006
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3006-1の合成:
化合物PA3004(200mg、0.38mmol)をDMF(10ml)に溶解させ
、室温で、DCC(234mg、1.14mmol)、(S)-2-((tert-ブト
キシカルボニル)アミノ)-3-メチル酪酸(124mg、0.68mmol)及び触媒
量のDMAP(10mg)を加え、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化ナトリ
ウム水溶液(40mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、無
水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフ
ィーカラムにより精製し、白色固体であるPA3006-1(180mg)を得、収率6
5%であった。
工程2)化合物PA3006の合成:
化合物PA3006-1(180mg、0.25mmol)をトリフルオロ酢酸溶液(5
ml)に加え、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、エバポレーターでト
リフルオロ酢酸を除去した後、酢酸エチル40mLで溶解させ、水50mLを加え、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフ
ィーカラムにより精製し、ライトホワイト固体であるPA3006(78mg)を加え、
収率50%であった。
【0060】
実施例7 PA3007
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3004(200mg、0.38mmol)、DCC(235mg、
1.14mmol)、DMAP(5mg、0.038mmol)をN,N-ジメチルホル
ムアミド:ジクロロメタン(V、V=1:1、10ml)に加え、氷浴で、ゆっくりプロ
ピオン酸(45uL、0.76mmol)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で一晩攪
拌した。反応液を濃縮した後、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、酢酸エチ
ル(3×30mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリ
カゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V
)=20:1)、白色固体であるPA3007(105mg)を得、収率47%であった
。
【0061】
実施例8 PA3008
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3008-1の合成:
化合物PA3004(500mg、0.95mmol)をピリジン(5mL)に溶解させ
、氷浴で、ゆっくりN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.2mL、1
.9mmol)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、
真空ボックスで乾燥してPA3008-1粗生成物(510mg)を得た。
工程2)目的の化合物PA3008-2の合成:
化合物PA3008-1(500mg、0.86mmol)をピリジン(5mL)に溶解
させ、氷浴で、ゆっくりクロロギ酸イソプロピル(0.1mL、0.86mmol)を滴
下し、滴下終了後、反応液を室温で4h攪拌した後、残りのクロロギ酸イソプロピル(0
.1mL、0.86mmol)を反応液にゆっくり滴下し、滴下終了後、反応液を室温で
一晩攪拌した。反応液を濃縮し、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、酢酸エ
チル(3×30mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シ
リカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:
V)=50:1)、白色固体であるPA3008-2(520mg)を得、収率87%で
あった。
工程3)目的の化合物PA3008の合成:
化合物PA3008-2(200mg、3.02mmol)を9%の塩酸エタノール溶液
(10ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら16時間反応させた。反応終了後、飽和N
aHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去し
た後、酢酸エチル(3×300mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィー
カラムにより精製し、ライトホワイト固体であるPA3008(120mg)を得、収率
65%であった。
【0062】
実施例9 PA3009
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3009の合成:
化合物PA3004(300mg、0.57mmol)をDMF(10ml)に溶解させ
、室温で、DCC(352mg、
1.71mmol)、カプリン酸(117mg、0.68mmol)及び触媒量のDMA
P(10mg)を加え、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化ナトリウム水溶液
(40mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、無水Na
2S
O
4で乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィーカラム
により精製し、白色固体であるPA3009(243mg)を得、収率63%であった。
【0063】
実施例10 PA3010
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3010-2の合成:
化合物PA3001-3(300mg、0.77mmol)をテトラヒドロフラン(5m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
2.7mL、2.7mmol、3.5eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で2時
間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA3010-1(370mg、0.92mmol)を加
え、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反
応をクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、
濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液
:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3010-2(300
mg)を得、収率66%であった。
工程2)目的の化合物PA3010の合成:
化合物PA3010-2(300mg、0.47mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が7.5程度になるまで中和し、エバポレーターでエタノール
を除去した後、酢酸エチル(3×80mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラ
ムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、粗生成物を得
、粗生成物をCombiflashクロマトグラフィーカラムにより精製し、白色固体で
あるPA3010(45mg)を得、収率18%であった。
【0064】
実施例11 PA3011
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3011-2の合成:
化合物PA3001-3(300mg、0.77mmol)をテトラヒドロフラン(5m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
2.7mL、2.7mmol、3.5eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で2時
間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA3011-1(0.37g、0.99mmol、1.
3eq)を加え、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3
0mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精
製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3011
-2(320mg)を得、収率65%であった。
工程2)目的の化合物PA3011の合成:
化合物PA3011-2(0.32g、0.5mmol)を3.6%の塩酸エタノール溶
液(10ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和N
aHCO
3溶液でpH値が7.5程度になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを
除去した後、酢酸エチル(3×80mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラム
により分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、粗生成物を得、
粗生成物をCombiflashクロマトグラフィーカラムにより精製し、白色固体であ
るPA3011(115mg)を得、収率44%であった。
【0065】
実施例12 PA3012
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3012-2の合成:
化合物PA3001-3(300mg、0.77mmol)をテトラヒドロフラン(5m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
2.7mL、2.7mmol、3.5eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で2時
間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA3012-1(446mg、1.2mmol)を加え
、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応
をクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾
過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:
DCM:MeOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3012-2(300m
g)を得、収率66%であった。
工程2)目的の化合物PA3012の合成:
化合物PA3012-2(300mg、0.47mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が7.5程度になるまで中和し、エバポレーターでエタノール
を除去した後、酢酸エチル(3×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラ
ムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、粗生成物を得
、粗生成物をCombiflash クロマトグラフィーカラムにより精製し、ライトホ
ワイト固体であるPA3012(45mg)を得、収率18%であった。
【0066】
実施例13 PA3013
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3013-2の合成:
化合物PA3001-3(300mg、0.77mmol)をテトラヒドロフラン(10
ml)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液
(2.7mL、2.7mmol、3.5eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で2
時間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA3013-2(446mg、1.2mmol)を加
え、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反
応をクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、
濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液
:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3013-2(350
mg)を得、収率71%であった。
工程2)目的の化合物PA3013の合成:
化合物PA3013-2(350mg、0.55mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(15ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去
した後、酢酸エチル(2×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムによ
り分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、分取プレートにより
精製し(展開剤:DCM:MeOH(V:V)=10:1)、さらにCombiflas
hクロマトグラフィーカラムにより精製し、ライトホワイト固体であるPA3013(2
0mg)を得、収率7%であった。
【0067】
実施例14 PA3014
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3014-2の合成:
化合物PA3001-3(230mg、0.58mmol)をテトラヒドロフラン(20
ml)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液
(1.75mL、1.75mmol、5.5eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温
で1時間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA3014-1(0.27g、0.69mmol
、1.3eq)を加え、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶
液(20mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより
分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)白色固体であるPA30
14-2(298mg)を得、収率79%であった。
工程2)目的の化合物PA3014の合成:
化合物PA3014-2(298mg、0.46mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(3.5ml)に加え、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和N
aHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去し
た後、酢酸エチル(2×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィーカ
ラムにより精製し、ライトホワイト固体であるPA3014(61mg)を得、収率36
%であった。
【0068】
実施例15 PA3016
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3016-2の合成:
化合物PA3001-3(230mg、0.59mmol)をテトラヒドロフラン(10
ml)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液
(2.1mL、2.1mmol、3.5eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で2
時間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA3016-1(340mg、0.88mmol)を
加え、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で
反応をクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し
、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離
液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3016-2(25
0mg)を得、収率66%であった。
工程2)目的の化合物PA3016の合成:
化合物PA3016-2(250mg、0.39mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(15ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去
した後、酢酸エチル(2×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムによ
り分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、Combiflas
hクロマトグラフィーカラムにより精製し、ライトホワイト固体であるPA3016(2
0mg)を得、収率51%であった。
【0069】
実施例16 PA3017
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3017-2の合成:
化合物PA3001-3(300mg、0.77mmol)をテトラヒドロフラン(5m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
2.7mL、2.7mmol、3.5eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で2時
間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA3017-1(446mg、1.2mmol)を加え
、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応
をクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾
過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:
DCM:MeOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3017-2(300m
g)を得、収率66%であった。
工程2)目的の化合物PA3017の合成:
化合物PA3017-2(300mg、0.47mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が7.5程度になるまで中和し、エバポレーターでエタノール
を除去した後、酢酸エチル(3×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラ
ムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、粗生成物を得
、粗生成物をCombiflashクロマトグラフィーカラムにより精製し、ライトホワ
イト固体であるPA3017(80mg)を得、収率28%であった。
【0070】
実施例17 PA3018
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3018-2の合成:
化合物PA3001-3(391mg、1.0mmol)をテトラヒドロフラン(40m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
3.5mL、3.5mmol)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時間攪拌し、再
度0℃に冷却し、PA3018-1(371mg、1.0mmol)を加え、その後、反
応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応をクエンチし
、酢酸エチル(3×70mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン乾
燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeO
H(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3018-2(262mg)を得、収率
42%であった。
工程2)目的の化合物PA3018の合成:
化合物PA3018-2(262mg、0.42mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去
した後、酢酸エチル(3×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィー
カラムにより精製し、白色固体であるPA3018(96mg)を得、収率45%であっ
た。
【0071】
実施例18 PA3019
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3019-2の合成:
化合物PA3001-3(200mg、0.51mmol)をテトラヒドロフラン(10
ml)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液
(1.8mL、1.8mmol)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時間攪拌し、
再度0℃に冷却し、PA3019-1(285mg、0.77mmol)を加え、その後
、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応をクエン
チし、酢酸エチル(3×150mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、ス
ピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:
MeOH(V:V)=10:1)、白色固体であるPA3019-2(180mg)を得
、収率56%であった。
工程2)目的の化合物PA3019の合成:
化合物PA3019-2(180mg、0.29mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(15ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去
した後、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィ
ーカラムにより精製し、ライトホワイト固体であるPA3019(20mg)を得、収率
13.5%であった。
【0072】
実施例19 PA3020
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3020-2の合成:
化合物PA3001-3(200mg、0.52mmol)をテトラヒドロフラン(5m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
1.8mL、1.8mmol、3.5eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で2時
間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA3020-1(190mg、0.52mmol)を加
え、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)で反
応をクエンチし、酢酸エチル(3×80mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾
過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:
DCM:MeOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3020-2(170m
g)を得、収率53%であった。
工程2)目的の化合物PA3020の合成:
化合物PA3020-2(170mg、0.27mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が7.5程度になるまで中和し、エバポレーターでエタノール
を除去した後、酢酸エチル(3×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラ
ムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、粗生成物を得
、粗生成物をCombiflashクロマトグラフィーカラムにより精製し、ライトホワ
イト固体であるPA3020(25mg)を得、収率18%であった。
【0073】
実施例20 PA3022
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3022-2の合成:
化合物PA3001-3(391mg、1.0mmol)をテトラヒドロフラン(40m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
3.5mL、3.5mmol)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時間攪拌し、再
度0℃に冷却し、PA3022-1(371mg、1.0mmol)を加え、その後、反
応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応をクエンチし
、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン
乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:Me
OH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3022-2(240mg)を得、収
率38.5%であった。
工程2)目的の化合物PA3022の合成:
化合物PA3022-2(240mg、0.38mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去
した後、酢酸エチル(3×80mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィー
カラムにより精製し、白色固体であるPA3022(103mg)を得、収率53%であ
った。
【0074】
実施例21 PA3023
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3023-2の合成:
化合物PA3001-3(200mg、0.51mmol)をテトラヒドロフラン(10
ml)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液
(1.8mL、1.8mmol)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時間攪拌し、
再度0℃に冷却し、PA3023-1(309mg、0.77mmol)を加え、その後
、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応をクエン
チし、酢酸エチル(3×150mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、ス
ピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:
MeOH(V:V)=10:1)、白色固体であるPA3023-2(120mg)を得
、収率36%であった。
工程2)目的の化合物PA3023の合成:
化合物PA3023-2(120mg、0.18mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(15ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去
した後、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィ
ーカラムにより精製し、ライトホワイト固体であるPA3023(22mg)を得、収率
22%であった。
【0075】
実施例22 PA3024
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3024-2の合成:
化合物PA3001-3(200mg、0.52mmol)をテトラヒドロフラン(5m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
1.8mL、1.8mmol、3.5eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で2時
間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA3024-1(200mg、0.52mmol)を加
え、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)で反
応をクエンチし、酢酸エチル(3×80mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾
過し、 スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液
:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3024-2(150
mg)を得、収率45%であった。
工程2)目的の化合物PA3024の合成:
化合物PA3024-2(150mg、0.23mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が7.5程度になるまで中和し、エバポレーターでエタノール
を除去した後、酢酸エチル(3×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラ
ムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、粗生成物を得
、粗生成物をCombiflashクロマトグラフィーカラムにより精製し、ライトホワ
イト固体であるPA3024(80mg)を得、収率65%であった。
【0076】
実施例23 PA3026
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA3026-2の合成:
化合物PA3001-3(391mg、1.0mmol)をテトラヒドロフラン(40m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
3.5mL、3.5mmol)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時間攪拌し、再
度0℃に冷却し、PA3026-1(402mg、1.0mmol)を加え、その後、反
応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応をクエンチし
、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン
乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:Me
OH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA3026-2(100mg)を得、収
率15.3%であった。
工程2)目的の化合物PA3026の合成:
化合物PA3026-2(100mg、0.15mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、飽和
NaHCO
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去
した後、酢酸エチル(3×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィー
カラムにより精製し、白色固体であるPA3026(32mg)を得、収率32.5%で
あった。
【0077】
表1 各実施例で調製された化合物が下記の表に示される
【0078】
表2 各実施例に調製された化合物のNMRが下記の表に示される
【0079】
実施例24 インビトロでのヒト、マウス及びラット肝ミクロソーム代謝の評価
測定方法:
1)試薬の供給源
ヒト肝ミクロソーム(HLM、Human Liver Microsomes)は、I
VT(In Vitro Technologies)から入手され、商品番号がX00
8070であり、ロット番号がSSPである。ラット肝ミクロソーム(RLM、Rat
Liver Microsomes)は、BDから入手され、ロット番号が16298で
あり、マウス肝ミクロソーム(MLM、Mice Liver Microsomes)
は、リルド肝臓疾患研究(上海)社から入手され、ロット番号がBQNIである。
試験化合物PA3001、PA3002、PA3003、PA3004はZHEJIAN
G PALO ALTO PHARMACEUTICALS INCによって合成され、
メタノール(国薬試薬)に溶解させ、濃度が25mMである保存液にした。
2)反応プロセス
酵素触媒反応は、100mMのKH
2PO
4緩衝溶液(pH 7.4)で行い、試験化合
物濃度が25μMであり、ヒト肝ミクロソーム濃度が2mg/mlであり、NADPH濃
度が2mMであった。反応は、最後に添加されたNADPHによって開始され、恒温振と
う水浴で5min反応させた直後、1.5倍体積のメタノールを加えて反応を停止させた
。
3)サンプル処理及び分析方法
I サンプル前処理:
Eppendorf卓上型遠心分離機により、最大回転数13,600rpmで20分間
遠心した。上澄み液を取り、窒素送風機で乾かした後、再度移動相A(0.1%ギ酸v/
vの水溶液)に溶解させた。
II 液相勾配:
分析カラム:Waters、Acquity UPLC HSS T3 column
流速:0.5ml/min
カラム温度:40℃
III 質量分析の条件
イオン源:エレクトロスプレーのイオン源
イオンモード:陽イオンモード
キャピラリー電圧:3.0kV
温度:500℃
脱溶媒ガス流量:100L/h
スキャン時間:0.025s
コーン電圧:40V
衝突エネルギー:18eV
Q1(m/z):358
Q3(m/z):152
【0080】
表3 インビトロで肝ミクロソーム代謝化合物が一リン酸生成物ETVMPを放出するレ
ート
注釈:ND=Not Determined
結果の分析:インビトロで、化合物PA3001、PA3003及びPA3004のいず
れも、ヒト、ラット、マウス肝ミクロソームによって活性化されて一リン酸代謝生成物E
TVMPになることができ、PA3002及びPA3004は、対照化合物PA3001
によりも、ヒト肝ミクロソームによって活性化されて一リン酸代謝生成物ETVMPにな
る効率が顕著に大きくなり、異なる化合物のコンバージョンレートは、有意な違いがあり
(表3)、ただし、PA3004は、すべての種でもコンバージョンレートが最も高かっ
た。
【0081】
実施例25 インビトロでのヒト肝ミクロソーム代謝の評価
測定方法:
1)試薬の供給源
ヒト肝ミクロソーム(HLM、Human Liver Microsomes)は、I
VT(In Vitro Technologies)から入手され、商品番号がX00
8070であり、ロット番号がIQFである。
試験化合物PA3001、PA3002、PA3003、PA3004、PA3010、
PA3011、PA3012A、 PA3013、PA3014、PA3016、PA3
017、PA3018、PA3019、PA3020、PA3022、PA3023、P
A3024、PA3026は、ZHEJIANG PALO ALTO PHARMAC
EUTICALS INCによって合成され、メタノール(国薬試薬)に溶解させ、濃度
が25mMの保存液にした。
2)反応プロセス
酵素触媒反応は、100mMのKH
2PO
4緩衝溶液(pH 7.4)で行い、試験化合
物濃度が25μMであり、ヒト肝ミクロソーム濃度が2mg/mlであり、NADPH濃
度が2mMであった。反応は、最後に添加されたNADPHによって開始され、恒温振と
う水浴で5min反応させた直後、1.5倍体積のメタノールを加えて反応を停止させた
。
3)サンプル処理及び分析方法
I サンプル前処理:
Eppendorf卓上型遠心分離機により、最大回転数13,600rpmで20分間
遠心した。上澄み液を取り、窒素送風機で乾かした後、再度移動相A(0.1%ギ酸v/
vの水溶液)に溶解させた。
II 液相勾配:
分析カラム:Waters、Acquity UPLC HSS T3 column
流速:0.5ml/min
カラム温度:40℃
III 質量分析の条件
イオン源:エレクトロスプレーのイオン源
イオンモード:陽イオンモード
キャピラリー電圧:3.0kV
温度:500℃
脱溶媒ガス流量:100L/h
スキャン時間:0.025s
コーン電圧:40V
衝突エネルギー:18eV
Q1(m/z):358
Q3(m/z):152
【0082】
表4 インビトロでヒト肝ミクロソーム代謝化合物が一リン酸生成物ETVMPを放出す
るレート
結果の分析:インビトロで、化合物のいずれも、ヒト肝ミクロソームによって活性化され
て一リン酸代謝生成物ETVMPになることができ、異なる化合物のコンバージョンレー
トは、有意な違いがあり(表4)、PA3017、PA3016、PA3004は、対照
化合物PA3001によりも、ヒト肝ミクロソームによって活性化されて一リン酸代謝生
成物ETVMPになる効率が顕著に大きくなり、それぞれPA3001によるコンバージ
ョンレートの4.6倍、3.0倍及び1.5倍であった。
【0083】
実施例26 化合物組織分布実験
26.1 方法:
26.1.1 動物実験
雄のSDラットは、体重が180~300gであり、Shanghai Sippe-B
k Lab Animal Co.,Ltd.によって提供された。雄の動物が環境に3
日間以上慣れさせ、実験前の一晩から12時間絶食させ、絶水させなかった。PA300
1、PA3002、PA3003、PA3004及びエンテカビルの溶液(Cremop
hor EL:エタノール:生理食塩水=10:10:80、V/V/V)を調製した。
投与する前に、動物の体重が実験要求に合うかを確認し、ラットを12匹選択し、グルー
プ毎に2匹のラットになるようにグループ分け、0.036mmol/kgの薬液を胃内
投与した。それぞれ0.5h、1h、3h、6h、12h及び24hに、二酸化炭素でラ
ットを安楽死させた後、サンプリングした。
26.1.2. 一リン酸であるETVMP及び脱リン酸代謝生成物ETVそれぞれの生
物サンプル中の含量測定
サンプル前処理
心臓から採血し、ヘパリン抗凝固チューブに保管し、4℃、6000rpmで5min遠
心し、上澄み血漿を取り、すぐに5倍体積の10%トリクロロ酢酸沈殿剤(内部標準PM
PA含有、濃度100ng/mL)を加え、血漿サンプル液を得、氷の上で適量のラット
の肝臓及び脳漿サンプルを量り、ホモジネートチューブに加え、上述のようにすぐに5倍
体積の10%トリクロロ酢酸沈殿剤を加え、ホモジネートチューブごとに2つのセラミッ
クビーズを加えてホモジナイズし、組織ホモジネート液サンプルを得た。
生物サンプルを100μL取り、1.5mL試験管に加え、5min遠心した。上澄み液
を20μL取り、180μLの水を加え、均一にし、LC-MS/MS分析を行った。
クロマトグラフィーの条件
LC-MS/MS-AJ(Triple Quad 5500、AB SCIEX)がサ
ンプルの分析に用いられた。クロマトグラフィーカラム:Acquity UPLC H
SS T3(2.1×50mm、1.8μm)、カラム温度:40℃、流速:0.5mL
/min。移動相A:0.1%ギ酸水溶液、移動相B:アセトニトリル溶液。サンプル分
離は、勾配洗脱を採用し、プロセスを表5に示す。
表5 ETVMP及びETVの液相洗脱勾配の条件
質量分析の条件
イオン源がエレクトロスプレーのイオン源(Turbo Ionspray)であり、陽
イオンモードで、キャピラリー電圧が3.0kVであり、温度が500℃であり、脱溶媒
気流1000L/hで、スキャン時間、コーン電圧、衝突エネルギー、及び定量分析のた
めのイオン反応を表6に示す。
表6 ETVMP及びETVの質量分析の条件
注:ETVMPサンプルの室温安定性があまりよくなかったため、氷の上に操作してすぐ
に沈殿剤を加えなければならない。
26.1.3. データー分析
各化合物の代謝生成物について、時間に対する肝臓での濃度をヒストグラムにした。ET
VMP及びETVの組織中濃度-時間曲線下面積(AUC
0-t)は、WinNonLi
n6.2.1(Pharsight、CA)の非コンパートメントモデル中の対数線形台
形法により、フィッティングして算出された。
26.2 実験結果
PA3001、PA3002、PA3003、PA3004、PA3017及びエンテカ
ビルがETVMP及びETVを放出した結果をまとめて表7に示す。
表7 ラットに0.036mmol/kg PA3001、PA3002、PA3003
、PA3004及びエンテカビルを胃内投与した後24時間以内の一リン酸代謝生成物E
TVMP及び脱リン酸代謝生成物ETVの肝臓、脳漿及び血漿での暴露量(AUC
0-2
4h、h・nmol/g、濃度/組織重量)
N.D.=Not detectable、検出されなかった(相応した器官または組織
での濃度が5nmol/gまたは5nmol/mLよりも低いことを示す)
26.2.1 代謝生成物の肝臓、血漿及び脳漿組織での分布
SDラットに0.036mmol/kgの試薬を胃内投与した後、肝臓組織分布の結果と
して、PA3001、PA3002、PA3003、PA3004及びPA3017によ
って代謝して放出された、B型肝炎ウイルスを阻害するポリメラーゼの活性分子であるE
TVMPは、対応した時刻のETVよりも若干低く、または同じレベル(
図1)であるが
、PA3001、PA3002、PA3003、PA3004及びPA3017の肝臓で
の脱リン酸代謝生成物ETVは、ETVよりもはるかに低い(
図2)ことを示し、プロド
ラッグによって代謝して生成されたETVMPは、逆にETVに代謝しにくく、プロドラ
ッグ薬物効果の働きに保証を提供したことを示した。式IIに示される化合物は、肝臓で
CYP3A4酵素触媒により一リン酸生成物ETVMPを放出し、ETVの一リン酸化が
その律速段階であり、ETVMPは、逆にETVに代謝しにくくなった。そのため、式I
Iに示される化合物は、活性代謝生成物の肝臓での分布比率を向上させ、代謝生成物の血
漿、脳漿等の組織での分布比率を低減することができる。
SDラットに0.036mmol/kgの試薬を胃内投与した後、血液及び脳漿分布の結
果として、PA3001、PA3002、PA3003、PA3004及びPA3017
によって代謝して放出されたETVMP及びETVのいずれも、対応した時刻のETVよ
りもはるかに低い(
図3、
図4、
図5及び
図6)ことを示した。これにより、ETVは、
血液脳関門を通過でき、ETV自身及びその代謝生成物ETVMPは、脳神経毒性を引き
起こす活性分子であり、確立されたLC-MS/MS検出方法(検出下限がLOD=5n
mol/gまたは5nmol/mL)により、PA3004及びPA3017を経口投与
したラットの脳サンプルでこれらの活性分子を検出できなかった(表7)ことを示した。
血液において、PA3004及びPA3017によって放出されたETVMPは、それぞ
れETVの16.4%及び14.5%であり、放出されたETVは、それぞれETVの2
.3%及び1.8%であり、また、比較例PA3001よりも低かった。
肝でのETVMPと血液でのETVのAUCの比率(肝ターゲットインデックス)により
化合物の肝標的指向性を表し、PA3004及びPA3017の肝ターゲットインデック
スは、それぞれ15.52及び15.47であり、PA3001及びETV(肝ターゲッ
トインデックスは、それぞれ12.46及び0.51)よりも著しく大きかった。これら
の結果により、ETVに比べると、同等の使用量で、肝臓送達基の修飾により、活性分子
ETVMP及びETVの血、脳での分布が著しく低減されたことがわかった。PA301
7及びPA3014は、臨床的にETVによる一般的な副作用、例えば頭痛、疲労、眩暈
、吐き気等を改善することができる。
以上のようにして、本発明に係る式I及び式IIに示される化合物は、より高い活性及び
より高い肝臓送達組織特異性を持つため、治療に必要な使用量がさらに低く、より高い安
全性及びより低い毒性と副作用を有する。
本発明において言及されるすべての文献は、本発明において参照として援用され、各文献
は、単独的に参照として引用される。さらに、本発明の上記の内容を読んだ後、当業者は
本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も本出願の添付
の特許請求の範囲によって定義される範囲内にあることを理解すべきである。