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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】被洗浄物の無人洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/04 20060101AFI20230703BHJP
   B08B 3/06 20060101ALI20230703BHJP
   B08B 3/12 20060101ALI20230703BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
B08B3/04 A
B08B3/06
B08B3/12 A
B08B3/10 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022182548
(22)【出願日】2022-11-15
【審査請求日】2022-11-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019884
【氏名又は名称】ジャパン・フィールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】翠弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内野 正英
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-285083(JP,A)
【文献】特開平07-031941(JP,A)
【文献】実開平06-029680(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄槽内に、円筒状の洗浄治具と、当該洗浄治具を支持するとともに当該洗浄治具を周壁方向に回動可能とする回転伝達機構とを備えた洗浄装置において、上記洗浄治具の周壁には、被洗浄物の導出入を可能とする蓋体を設けない開口部を備えるとともに、上記回転伝達機構は、上記洗浄治具を支持した状態で上記洗浄槽内にて上下方向に摺動可能とするとともに、上記洗浄治具を正逆方向に回転可能としたことを特徴とする被洗浄物の無人洗浄装置。
【請求項2】
上記洗浄槽には、上記洗浄治具の開口部に臨ませて被洗浄物の導入路を設けたことを特徴とする被洗浄物の無人洗浄装置。
【請求項3】
上記洗浄治具には、当該洗浄治具の開口部から搬出された被洗浄物を上記洗浄槽の外方に移送するための移送レールを接続可能としたことを特徴とする請求項1の被洗浄物の無人洗浄装置。
【請求項4】
上記洗浄槽の底部側は、洗浄液を貯留して液洗浄を行う液洗浄部としたことを特徴とする請求項1の被洗浄物の無人洗浄装置。
【請求項5】
上記洗浄槽の外方には、当該洗浄槽の液洗浄部にて液洗浄を行った被洗浄物を乾燥するための乾燥室を備え、当該乾燥室と上記洗浄槽との間には、上記被洗浄物を上記洗浄槽から上記乾燥室に移送するための移送レールを架設したことを特徴とする請求項1の被洗浄物の無人洗浄装置。
【請求項6】
上記洗浄槽は、底部側に液を貯留して液洗浄を行う液洗浄部と、当該液洗浄部の上方に位置し洗浄蒸気を発生させて蒸気洗浄を行う蒸気洗浄部と、当該蒸気洗浄部の上方に位置し上記被洗浄物の自熱乾燥を行う乾燥部とを備えたことを特徴とする請求項1の被洗浄物の無人洗浄装置。
【請求項7】
上記洗浄槽では、常圧下にて被洗浄物の洗浄を行うことを特徴とする請求項1の被洗浄部の無人洗浄装置。
【請求項8】
上記洗浄槽は、密閉するとともに減圧し、当該減圧下にて被洗浄物の洗浄を行うことを特徴とする請求項1の被洗浄部の無人洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄溶剤にて機械部品、電子部品、医療機器等の被洗浄物を洗浄するための洗浄装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-6261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より使用されている多くの洗浄装置では、特許文献1に示す如く専用のカゴに被洗浄物を収納し、当該カゴを洗浄槽内に配置することにより、当該カゴに収納された被洗浄物の洗浄作業が行われていた。
【0005】
しかしながら、このような従来の方法では、被洗浄物をカゴに入れたり、当該カゴから被洗浄物を取り出す手間がかかるものであった。また、このような被洗浄物のカゴへの出し入れや当該カゴの取り扱いを人手で行わなければならないが、最近は人手不足の問題が深刻となっていることから人手を必要としない装置の開発が急務である。
【0006】
また、上記専用のカゴを洗浄槽内に配置して被洗浄物の洗浄作業を行うものであるから、当該専用のカゴに洗浄溶剤が付着したまま洗浄槽から取り出し乾燥作業が行われるものとなるため、乾燥作業の際にはカロリーが多く消費されてしまうという問題があった。更に、キャップ状のような凹部を備えた被洗浄物の場合、当該凹部に洗浄液が溜まったまま十分に液切りを行えない場合もあり、このような場合も乾燥に時間や手間やカロリーが多くかかるものとなり問題となっていた。
【0007】
そこで本願では上述の如き課題を解決しようとするものであって、被洗浄物を回転させながら洗浄可能とするとともに、被洗浄物の投入や搬出を人手を必要とすることなく容易に行うことができるとともに、洗浄中の揺動や十分な液切りが可能な洗浄治具を備えた洗浄装置を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は上述の如き課題を解決するため、洗浄槽内に、円筒状の洗浄治具と、当該洗浄治具を支持するとともに当該洗浄治具を周壁方向に回動可能とする回転伝達機構とを備えた洗浄装置において、上記洗浄治具の周壁には、被洗浄物の導出入を可能とする蓋体を設けない開口部を備えるとともに、上記回転伝達機構は、上記洗浄治具を支持した状態で上記洗浄槽内にて上下方向に摺動可能とするとともに、上記洗浄治具を正逆方向に回転可能としたものである。
【0009】
また、上記洗浄槽には、上記洗浄治具の開口部に臨ませて被洗浄物の導入路を設けたものであってもよい。
【0010】
また、上記洗浄治具には、当該洗浄治具の開口部から搬出された被洗浄物を上記洗浄槽の外方に移送するための移送レールを接続可能としたものであっても良い。
【0011】
また、上記洗浄槽の底部側は、洗浄液を貯留して液洗浄を行う液洗浄部としたものであっても良い。
【0012】
また、上記洗浄槽の外方には、当該洗浄槽の液洗浄部にて液洗浄を行った被洗浄物を乾燥するための乾燥室を備え、当該乾燥室と上記洗浄槽との間には、上記被洗浄物を上記洗浄槽から上記乾燥室に移送するための移送レールを架設したものであっても良い。
【0013】
また、上記洗浄槽は、底部側に液を貯留して液洗浄を行う液洗浄部と、当該液洗浄部の上方に位置し洗浄蒸気を発生させて蒸気洗浄を行う蒸気洗浄部と、当該蒸気洗浄部の上方に位置し上記被洗浄物の自熱乾燥を行う乾燥部とを備えたものであっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記の如く構成することにより、内部に被洗浄物を収納した洗浄治具を正逆方向に回転させたり上下方向に移動させたりすることによって、様々な方向から被洗浄物に外力を与えることが可能となり上記被洗浄物の洗浄効果を更に高めることができる。また、被洗浄物どうしが衝突して傷がつくおそれのある場合には、洗浄時に洗浄治具の回転揺動作業を行うことなく、上下のみの揺動を行ったり超音波振動子を用いるなどして静かに洗浄作業を行うことも可能である。
【0015】
また、被洗浄物の液洗浄後には、上記洗浄治具を適宜正逆方向に回転させることによって、キャップ状となっている被洗浄物等の凹部等に溜まっていた洗浄液の排出が可能となるため十分に液切りを行った状態で乾燥作業に移行することが可能となる。また洗浄治具には蓋体を設けない開口部を備えているため、当該洗浄治具の開口部を上方に向けて配置することにより、当該開口部から被洗浄物を人手を要することなく自動的且つ容易に挿入することができるとともに、上記開口部が下方に移動するよう当該洗浄治具を回転させることによって、当該開口部から被洗浄物を、人手を要することなく上記洗浄治具の外方に容易に搬出することが可能となる。
【0016】
従って、本願発明の洗浄装置は、被洗浄物の洗浄治具への供給と搬出、及び当該洗浄治具内での被洗浄物の洗浄を、人手を必要とすることなく行うことが可能となる。よって近年社会問題となっている人手不足を解消することができるとともに、被洗浄物の洗浄作業に従事する作業員のケガや事故を防ぐことが可能となる。尚、本願発明にて行う洗浄では、全ての水溶系、非水系溶剤等の洗浄溶剤を用いることができるとともに、従来このような洗浄には用いることのなかった工作油、加工油等も使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1を示す断面図。
図2】実施例1の液洗浄時を示す断面図。
図3】実施例1の被洗浄物の搬出時を示す断面図。
図4】本発明の実施例2を示す断面図。
図5】本発明の実施例3を示す断面図。
【実施例1】
【0018】
本願発明の実施例1を説明すると、図1に示す如く(1)は上端開口(2)を設けた洗浄槽であって、この洗浄槽(1)の内部には、一対の回転伝達ローラー(3)を、間隔を設けて水平方向に配置した回転伝達機構(4)を備えている。そしてこの一対の回転伝達ローラー(3)は正逆方向に回転自在に組付けられるとともに、一方の回転伝達ローラー(3)には、当該回転伝達ローラー(3)を正逆方向に回転させるための回転駆動機構(図示せず。) を備えている。また上記回転伝達機構(4)には、上記一対の回転伝達ローラー(3)を上記洗浄槽(1)内にて上下動させるための上下駆動機構(図示せず。)を備えている。
【0019】
そして上記一対の回転伝達ローラー(3)には、金網状の周壁(5)にて形成された洗浄治具(6)を載置している。この洗浄治具(6)は断面円形の円筒状であって、上記回転伝達ローラー(3)と同じく水平方向に配置している。そして当該回転伝達ローラー(3)を一方向に回転させることにより、これと同時に上記洗浄治具(6)も当該回転伝達ローラー(3)とは逆方向に回転するものとなる。
【0020】
また図1の上下方向の矢印にて示す如く、上記一対の回転伝達ローラー(3)は、上記駆動機構(図示せず。)を作動させることにより洗浄槽(1)内にて上下方向に摺動可能としている。この一対の回転伝達ローラー(3)の上下方向への摺動に伴って、上記洗浄治具(6)も洗浄槽(1)内において上下方向に移動可能となる。尚、上記洗浄槽(1)の深さは、上記洗浄治具(6)の断面直径の二倍以上の高さとしている。
【0021】
また上記洗浄治具(6)には、図1に示す如く上記洗浄槽(1)の上端開口(2)の対向位置に、当該洗浄治具(6)の周壁(5)を切り欠いた開口部(7)を設けている。また上記洗浄槽(1)の上端開口(2)にはホッパー(8)を固定配置し、これにより被洗浄物(10)の洗浄槽(1)への導入路(11)が形成されるものとなる。このように導入路(11)を設けることによって、複数の被洗浄物(10)を上記洗浄槽(1)の上端開口(2)を通じて上記洗浄治具(6)内に効率的に導入することができる。
【0022】
また、上記洗浄槽(1)内には、当該洗浄槽(1)の底部側に位置する洗浄治具(6)を浸漬可能とする高さまで洗浄液(12)を収納し、当該洗浄液(12)収納部分を液洗浄部(13)としている。また、当該液洗浄部(13)の上方には上記洗浄槽(1)の側壁(14)に側壁開口(15)を備えるとともに、洗浄槽(1)の外方には当該側壁開口(15)に隣接して、洗浄後に当該洗浄槽(1)から移送された被洗浄物(10)を収納するための回収容器(16)を配置している。
【0023】
上記の如き構成の洗浄装置を用いた洗浄方法について以下に説明する。まず図1に示す如く、上記洗浄治具(6)を洗浄槽(1)の上端開口(2)付近に配置するとともに、ホッパー(8)の対向位置に洗浄治具(6)の開口部(7)を配置しておく。この状態において、上記ホッパー(8)に被洗浄物(10)を投入することにより、洗浄治具(6)の開口部(7)を通じて当該被洗浄物(10)を洗浄治具(6)内に収納する。その後、上記上下駆動機構を駆動させて、図2に示す如く上記回転伝達機構(4)とともに上記洗浄治具(6)を上記洗浄槽(1)の底部側に移動させることにより、当該洗浄治具(6)を液洗浄部(13)内に配置する。
【0024】
これにより、当該洗浄治具(6)に収納された被洗浄物(10)が洗浄液(12)中に浸漬された状態となるため、この状態で回転伝達機構(4)を作動させて上記洗浄治具(6)を一定の角度で正逆方向に回転させるとともに上下方向に揺動させる。これにより、洗浄液(12)中で上記洗浄治具(6)内の被洗浄物(10)に様々な方向からの外力が加わるとともに、当該被洗浄物(10)を全体的にまんべんなく洗浄液(12)に浸漬させながら洗浄作業を行うことができるため、作業者の手を必要とすることなく当該被洗浄物(10)の液洗浄を効率的に行うことができる。
【0025】
尚、本実施例及び以下の実施例では、液洗浄時や蒸気洗浄時に正逆方向に回転させることによって被洗浄物(10)に様々な方向からの外力を付与しているが、他の異なる実施例ではこれに限らず、特に外力によって傷がつきやすい被洗浄物(10)を洗浄する場合には、洗浄時において上記洗浄治具(6)を回転させることなく上下揺動のみを行うか、あるいは洗浄槽(1)内に超音波振動子(図示せず。)を配置して超音波洗浄を行うことも可能である。
【0026】
そして上記被洗浄物(10)の液洗浄が終了した後、上下駆動機構により回転伝達機構(4)とともに上記洗浄治具(6)を液洗浄部(13)の上方に移動させ、洗浄前の位置に配置し、当該洗浄治具(6)内の被洗浄物(10)の液切りを行う。ここで、凹部を備えた被洗浄物(10)の場合には、従来の洗浄装置では当該凹部に洗浄液(12)が溜まったまま乾燥作業に移行する場合があった。しかし本実施例では上記の如く洗浄治具(6)を正逆方向にランダムに回転させることによって、上記の如く被洗浄物(10)の凹部に溜まった洗浄液(12)を搬出させることが可能となるため、液切りを確実に行うことができる。そのため、次の乾燥作業を効率よく行うことができるとともに、乾燥作業のためのカロリーを低く抑えることが可能となる。その後、図3に示す如く上記洗浄治具(6)の下方から上記回収容器(16)の開口部にかけて、上記洗浄槽(1)の側壁開口(15)を通じて移送レール(17)を配置する。
【0027】
尚、上記移送レール(17)は図3に示す如く、洗浄治具(6)側の一端(18)の方が回収容器(16)側の他端(20)よりも高い位置となるよう傾斜して位置するようあらかじめ調節している。そして、上記洗浄治具(6)を一方向に回転させることにより、当該洗浄治具(6)の開口部(7)を上記移送レール(17)の対向位置に配置する。これにより、当該洗浄治具(6)内の被洗浄物(10)が、当該被洗浄物(10)の自重によって上記開口部(7)から移送レール(17)に移動し、更に当該移送レール(17)を通じて上記回収容器(16)内に上記被洗浄物(10)が回収されるものとなる。
【0028】
本実施例は上記の如く、被洗浄物(10)の洗浄治具(6)内への供給と搬出、及び当該被洗浄物(10)の洗浄を、人手を必要とすることなく全自動的に行うことできる。よって、近年問題となっている人手不足を解消することが可能となる。尚、本実施例及び以下の実施例では常圧下での洗浄について説明しているが、他の異なる実施例ではこれに限らず、例えば洗浄槽に蓋体等を被覆するなどして当該洗浄槽内を気密的に密閉するとともに減圧ポンプ等を用いて減圧状態とし、減圧状態下で被洗浄物の洗浄を行うことも可能である。
【実施例2】
【0029】
また、上記実施例1では洗浄槽(1)に隣接して収納器具を配置するとともに、当該収納器具と上記洗浄治具(6)との間に移送レール(17)を架設したが、本実施例2では洗浄槽(1)と収納器具との間に乾燥室(23)を配置するとともに、当該乾燥室(23)と上記洗浄治具(6)との間に移送レール(24)を架設している。本実施例について以下に説明すると、洗浄槽(1)、洗浄治具(6)、回転伝達機構(4)の構成については上記実施例1と同じである。
【0030】
そして上記洗浄槽(1)と回収容器(16)との間には箱型の乾燥室(23)を備えている。この乾燥室(23)の内部には、上記洗浄槽(1)内の被洗浄物(10)を上記回収容器(16)に移送するための移送コンベヤー(25)が配置されている。この移送コンベヤー(25)は、乾燥室(23)内の一側壁(26)から他側壁(27)にかけて水平方向に配置されており、コンベヤー駆動機構(図示せず。)により駆動可能としている。またこの乾燥室(23)は、当該乾燥室(23)の内部に温熱送風機(28)から熱風が供給されるとともに、当該乾燥室(23)の一側壁(26)及び他側壁(27)には、一側開口(30)及び他側開口(31)をそれぞれ設けている。
【0031】
また以下に説明する被洗浄物(10)の液切りが完了した後は、当該洗浄治具(6)の下方から上記乾燥室(23)内にかけて、図4に示す如く移送レール(24)を上記洗浄槽(1)の側壁開口(15)及び上記乾燥室(23)の一側開口(30)を通じて架設している。これにより、当該移送レール(24)の一端(32)が上記洗浄治具(6)の下方に位置するとともに、他端(33)が上記乾燥室(23)内の移送コンベヤー(25)上に位置するものとなる。尚、本実施例でも上記実施例1と同様に、上記移送レール(24)を、洗浄治具(6)側の一端(32)が乾燥室(23)側の他端(33)よりも高い位置となるよう傾斜して位置するようあらかじめ調節している。
【0032】
上記構成の洗浄装置を用いた洗浄方法について以下に説明すると、本実施例においても上記実施例1と同様の方法により、上記洗浄槽(1)内の液洗浄部(13)にて上記洗浄治具(6)内に収納した被洗浄物(10)の液洗浄を行った後、回転伝達機構(4)とともに当該洗浄治具(6)を上記洗浄槽(1)の上端開口(2)側に移動させて被洗浄物(10)の液切りを行う。
【0033】
その後、図4に示す如く上記洗浄治具(6)と乾燥室(23)との間に移送レール(24)を配置する。そして、上記洗浄治具(6)を一方向に回転させることにより、当該洗浄治具(6)の開口部(7)を上記移送レール(24)の対向位置まで移動させる。これにより、当該洗浄治具(6)内の被洗浄物(10)が、自重により当該洗浄治具(6)の開口部(7)から上記移送レール(24)に落下し、当該移送レール(24)を通じて上記乾燥室(23)内の移送コンベヤー(25)に供給されるものとなる。そして、上記移送コンベヤー(25)に供給された被洗浄物(10)は、上記回収容器(16)に移送されるまでの間に当該移送コンベヤー(25)上にて温熱送風機(28)からの熱風に晒され、乾燥作業が行われる。その後、当該乾燥室(23)の他側開口(31)を通じて上記回収容器(16)内に落下し当該回収容器(16)に回収される。
【0034】
このように、液切り後の被洗浄物(10)を乾燥室(23)内に移送することにより、被洗浄物(10)に付着した洗浄液(12)を更に確実に除去することが可能となる。また、上記洗浄治具(6)への被洗浄物(10)の供給と搬出、及び当該被洗浄物(10)の洗浄と乾燥作業を、人手を必要とすることなく自動的に行うことできる。よって、近年問題となっている人手不足を解消することができる。
【実施例3】
【0035】
また、上記実施例1、2の洗浄槽(1)には液洗浄部(13)のみを設けていたが、本実施例の洗浄槽(37)には液洗浄部(38)の他に蒸気洗浄部(40)及び乾燥部(41)を備えている。本実施例について以下に説明すると、図5に示す如く(37)は上端開口(42)を設けた洗浄槽であって、この洗浄槽(37)の内部には、一対の回転伝達ローラー(43)を、間隔を設けて水平方向に配置した回転伝達機構(44)を備えている。そしてこの一対の回転伝達ローラー(43)は正逆方向に回転自在に組付けられるとともに、一方の回転伝達ローラー(43)には、当該回転伝達ローラー(43)を正逆方向に回転させるための回転駆動機構(図示せず。) を備えている。また上記回転伝達機構(44)には、上記一対の回転伝達ローラー(43)を上記洗浄槽(37)内にて上下動させるための上下駆動機構(図示せず。)を備えている。
【0036】
そして上記一対の回転伝達ローラー(43)には、金網状の周壁(45)にて形成された洗浄治具(46)を載置している。この洗浄治具(46)は断面円形の円筒状であって、上記周壁(45)を切り欠いた開口部(47)を設けている。そして当該洗浄治具(46)を、上記回転伝達ローラー(43)と同じく水平方向に配置している。そして当該回転伝達ローラー(43)を一方向に回転させることにより、これと同時に上記洗浄治具(46)も当該回転伝達ローラー(43)とは逆方向に回転するものとなる。
【0037】
また上記一対の回転伝達ローラー(43)は、上下駆動機構(図示せず。)を作動させることにより洗浄槽(37)内で鉛直上下方向に摺動可能とし、当該回転伝達ローラー(43)の上下方向への摺動に伴って、上記洗浄治具(46)も洗浄槽(37)内において上下方向に移動可能となる。尚、上記洗浄槽(37)内の深さは、上記洗浄治具(46)の断面直径の四倍以上としている。
【0038】
また、上記洗浄槽(37)の上端開口(42)にはホッパー(48)を固定配置し、これにより被洗浄物(50)の洗浄槽(37)内への導入路(51)が形成されるものとなる。このようにホッパー(48)を備えることによって、複数の被洗浄物(50)を上記洗浄槽(37)の上端開口(42)から上記洗浄治具(46)内に効率的に導入することが可能となる。
【0039】
また図5に示す如く、上記洗浄槽(37)内には、当該洗浄槽(37)の底部側に位置する洗浄治具(46)を浸漬可能とする高さまで洗浄液(52)を収納し、当該洗浄液(52)収納部分を液洗浄部(38)としている。また、当該液洗浄部(38)の上方を蒸気洗浄部(40)とするとともに、更にこの蒸気洗浄部(40)の上方を乾燥部(41)とし、当該乾燥部(41)の内周には冷却コイル(53)を配置している。また当該冷却コイル(53)の上方には側壁開口(54)を設けている。
【0040】
上記の如き構成の洗浄装置を用いた洗浄方法について以下に説明する。まず、図5に示す如く、上記洗浄治具(46)を洗浄槽(37)の上端開口(42)付近に配置するとともに、ホッパー(48)の対向位置に洗浄治具(46)の開口部(47)を配置しておく。この状態において、上記ホッパー(48)に被洗浄物(50)を投入することにより、洗浄治具(46)の開口部(47)を通じて当該被洗浄物(50)を洗浄治具(46)内に収納する。その後、上記上下駆動機構を駆動させて、図5の二点鎖線にて示す如く上記回転伝達機構(44)とともに上記洗浄治具(46)を上記洗浄槽(37)の底部側に移動させることにより、当該洗浄治具(46)を液洗浄部(38)内に配置する。
【0041】
これにより、当該洗浄治具(46)に収納した被洗浄物(50)が洗浄液(52)中に浸漬された状態となるため、この状態で上記回転駆動機構を作動させて回転伝達機構(44)を通じて上記洗浄治具(46)を一定の角度で正逆方向に回転させるとともに、上記上下駆動機構を作動させて上下方向に揺動させる。これにより、洗浄液(52)中で上記洗浄治具(46)内の被洗浄物(50)に様々な方向からの外力が加わるものとなるため、作業者の手を必要とすることなく当該被洗浄物(50)の液洗浄を効果的に行うことができる。
【0042】
そして上記被洗浄物(50)の液洗浄が終了した後、上記駆動機構により回転伝達機構(44)とともに上記洗浄治具(46)を上方に移動させ、図5の二点鎖線にて示す如く上記液洗浄部(38)の上方に位置する蒸気洗浄部(40)に配置する。この時、当該蒸気洗浄部(40)内には、上記洗浄槽(37)の外方に設けた蒸気発生槽(図示せず。)にて発生させた洗浄蒸気を予め導入し発生させておく。そして、蒸気洗浄部(40)内において、必要に応じて上記洗浄治具(46)を回転させたり上下揺動させたりしながら洗浄蒸気(55)による被洗浄物(50)の蒸気洗浄を行う。
【0043】
そして当該蒸気洗浄が終了した後、上記洗浄治具(46)を更に上方に移動させて、図5の二点鎖線にて示す如く乾燥部(41)内に配置する。尚、上記の如く蒸気洗浄部(40)内に発生させた洗浄蒸気(55)は、乾燥部(41)内の冷却コイル(53)にて凝縮され、回収されるものとなる。そして、当該乾燥部(41)内において洗浄治具(46)内に収納した被洗浄物(50)の液切り及び自熱乾燥を行うとともに、当該洗浄治具(46)を更に洗浄槽(37)の上端開口(42)側に移動させて被洗浄物(50)を当該洗浄治具(46)内に収納した位置まで復元する。
【0044】
その後、図5に示す如く上記洗浄治具(46)の下方から上記回収容器(60)の開口部にかけて移送レール(56)を架設する。尚、上記移送レール(56)は図5に示す如く、洗浄治具(46)側の一端(57)が回収容器(60)側の他端(58)よりも高い位置となるよう傾斜して位置するようあらかじめ調節している。
【0045】
そして、上記洗浄治具(46)を一方向に回転させて、当該洗浄治具(46)の開口部(47)を上記移送レール(56)の対向位置に配置する。これにより、上記の如く自熱乾燥を終えた被洗浄物(50)が、当該被洗浄物(50)の自重によって当該洗浄治具(46)の開口部(47)から上記移送レール(56)に移動し、当該移送レール(56)を通じて上記回収容器(60)内に回収されるものとなる。
【0046】
本実施例は上記の如く、上記洗浄治具(46)への被洗浄物(50)の供給と搬出、及び液洗浄、蒸気洗浄、自熱乾燥作業を、人手を必要とすることなく自動的に行うことが可能となる。よって、近年問題となっている人手不足を解消することができる。
【符号の説明】
【0047】
1、37 洗浄槽
4、44 回転伝達機構
5、45 周壁
6、46 洗浄治具
7、47 開口部
10、50 被洗浄物
11、51 導入路
12、52 洗浄液
13、38 液洗浄部
17、24、56 移送レール
23 乾燥室
40 蒸気洗浄部
41 乾燥部

【要約】
【課題】
被洗浄物を回転させながら洗浄可能とするとともに、被洗浄物の投入や搬出を人手を必要とすることなく容易に行うことができるとともに、洗浄中の揺動や十分な液切りが可能な洗浄治具を備えた洗浄装置を得る。
【解決手段】
洗浄槽1内に、円筒状の洗浄治具6と、当該洗浄治具6を支持するとともに当該洗浄治具6を周壁5方向に回動可能とする回転伝達機構4とを備えた洗浄装置において、上記洗浄治具6の周壁5には、被洗浄物10の導出入を可能とする開口部7を備えるとともに、上記回転伝達機構4は、上記洗浄治具6を支持した状態で上記洗浄槽1内にて上下方向に摺動可能とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5