(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】流量制御弁
(51)【国際特許分類】
F16K 1/36 20060101AFI20230703BHJP
F16K 1/42 20060101ALI20230703BHJP
F16K 31/04 20060101ALN20230703BHJP
【FI】
F16K1/36 Z
F16K1/42 Z
F16K31/04 K
(21)【出願番号】P 2022556714
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 JP2020038598
(87)【国際公開番号】W WO2022079790
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000108557
【氏名又は名称】タイム技研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菱川 実
(72)【発明者】
【氏名】今西 正和
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-235969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00- 1/54
F16K 31/00-31/05
F16K 47/00-47/16
F23K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室と、
前記弁室に連通する一次口及び二次口と、
前記二次口の弁口に設けられた弁座と、
前記弁座に着座する弁体と、
前記弁体に接続し、前記弁体を弁開閉方向に位置移動可能にする駆動部とからなり、
前記弁体と前記二次口の弁口の開度を増減制御して前記弁口を通過する流体の流量を制御する流量制御弁において、
前記弁体は、中心に前記二次口の弁口に挿入可能なプラグを備え、
前記弁体と前記弁座との間には、前記弁体の移動により圧縮/解放する多孔質の弾性体が介在して設けられ、
前記弁体が前記弁座方向に移動し前記弾性体が前記弁体と前記弁座との両方に当接した状態で前記弁体の移動により前記弾性体を圧縮/解放して、流体の極微の流量の制御を可能にするとともに、
前記弁体が前記弁座方向とは逆方向に移動し前記弾性体が前記弁体と前記弁座とのいずれか一方と隔離した状態で前記弁体の移動により前記プラグが前記弁口内を移動して、流体の前記極微の流量より大きな流量の制御を可能にすることを特徴とする流量制御弁。
【請求項4】
前記弁口は、前記プラグが挿入、かつ、摺動可能な上部弁口と、前記弾性体が着座する弁座を上端部に備える下部弁口とを備え、
前記弾性体は、外径が前記上部弁口の開口径より小さく、かつ、前記下部弁口の開口径より大きい円柱形状或いは多角柱形状であり、前記弁体の前記プラグの下端面と前記弁座との間に介在し、前記弾性体の上端面は、前記プラグの下端面に固着して設けられることを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
【請求項6】
前記駆動部はステッピングモータにより前記弁体を弁開閉方向に位置に移動制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の流量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示の技術は、主に空気や燃料ガスなどの流量を制御する流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニードル弁を用いた流量制御弁が特許文献1などに開示されている。
【0003】
特許文献1には、弁室に連通する一次口及び二次口を有し該二次口側隔壁の連通弁口に弁座を設けた弁本体と該弁本体の弁口弁座に接離するニードル弁と、ステータコイルの通電励磁によって回転される弁開閉方向に位置移動可能なロータを設けたステッピングモータと、該ステッピングモータの回転によるねじ送り作用で前記ニードル弁を開閉作動させる弁作動機構とを具備する電動流量制御弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1などに開示されたニードル弁を用いた流量制御弁では、ニードルを長くすることや傾斜するテーパ面の傾斜角度を小さくすることで、低流量の流量制御を可能にしている。
【0006】
しかしながら、これら従来のニードル弁を用いた流量制御弁では、流量制御できる下限の流量には限度があり、さらに小さい極微の流量を安定して流量制御することは困難であるという問題がある。そのため、制御できる最大流量と最小流量との差であるターンダウンの大きさには限界があった。
【0007】
本願に開示される技術は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、従来のニードル弁では不可能であった極めて小さな流量の制御を可能にし、大きなターンダウンを実現する流量制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため請求項1に係る流量制御弁は、弁室と、弁室に連通する一次口及び二次口と、二次口の弁口に設けられた弁座と、弁座に着座する弁体と、弁体に接続し、弁体を弁開閉方向に位置移動可能にする駆動部とからなり、弁体と二次口の弁口の開度を増減制御して弁口を通過する流体の流量を制御する流量制御弁において、弁体は、中心に二次口の弁口に挿入可能なプラグを備え、弁体と弁座との間には、弁体の移動により圧縮/解放する多孔質の弾性体が介在して設けられ、弁体が弁座方向に移動し弾性体が弁体と弁座との両方に当接した状態で弁体の移動により弾性体を圧縮/解放して、流体の極微の流量の制御を可能にするとともに、弁体が弁座方向とは逆方向に移動し弾性体が弁体と弁座とのいずれか一方と隔離した状態で弁体の移動によりプラグが弁口内を移動して、流体の極微の流量より大きな流量の制御を可能にすることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る流量制御弁は、請求項1に記載の流量制御弁において、弾性体は、内径がプラグの最大径より大きい円筒形状であり、弁体と弁座との間においてプラグの周囲を囲うように介在し、弾性体の上端面は、プラグに固着して設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る流量制御弁は、請求項1に記載の流量制御弁において、弾性体は、内径がプラグの最大径より大きい円筒形状であり、弁体のプラグと弁座との間においてプラグの周囲を囲うように介在し、弾性体の下端面は、弁座の上面に固着して設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る流量制御弁は、請求項1に記載の流量制御弁において、弁口は、プラグが挿入、かつ、摺動可能な上部弁口と、弾性体が着座する弁座を上端部に備える下部弁口とを備え、弾性体は、外径が上部弁口の開口径より小さく、かつ、下部弁口の開口径より大きい円柱形状或いは多角柱形状であり、弁体のプラグの下端面と弁座との間に介在し、弾性体の上端面は、プラグの下端面に固着して設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る流量制御弁は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の流量制御弁において、弾性体は合成ゴム素材のスポンジであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る流量制御弁は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の流量制御弁において、駆動部はステッピングモータにより弁体を弁開閉方向に位置に移動制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る流量制御弁では、中心に二次口の弁口に挿入可能なプラグを備えた弁体が駆動部により弁座の方向に移動し、弁体と弁座との間に介在する弾性体を弁体と弁座との両方に当接させ、さらに弁体が弁座の方向に移動して弾性体を完全に圧縮して、弾性体の空孔の体積の総和をゼロにすることにより、弾性体により弁口を閉弁することができる。そして、弾性体の相対する2つの端面が弁体および弁座に当接した状態で、弁体を弁座に対して接近/乖離方向に移動させて、弾性部材を圧縮/解放して弾性体の空孔の体積の総和を増減させることにより、従来のニードル弁では不可能であった極めて小さな流量を可変制御可能にする。また、弁体が駆動部により弁座の方向とは逆方向に移動し、弾性体の相対する2つの端面のいずれか一端が弁体あるいは弁座のいずれか一方と隔離した状態で、弁体のプラグを弁口に対して挿入/隔離し、さらに、プラグを弁口から完全に隔離することにより、従来のニードル弁と同等な流量の可変制御も可能となる。これにより、流量制御可能な最小流量と最大流量との差が大きくなり、大きなターンダウンの実現が可能になる。
【0015】
請求項2および3に係る流量制御弁では、弾性体を内径がプラグの最大径より大きい円筒形状とし、弁体と弁座との間においてプラグの周囲を囲うように介在させて、プラグの下端面或いは弁座の上面に固着して設けることにより、閉弁時において弾性体を完全に圧縮して、弾性体の空孔の体積をゼロにして、弾性体により確実に弁口を閉止することができる。さらに、弾性体が弁座に当接した状態で、弁体を弁座に対して上下に移動させて弾性部材を圧縮/解放し、弾性体の空孔の体積を増減させることにより、極めて小さな流量の制御を可能にする。また、弾性体がプラグの周囲を囲うように介在させるため、弁体の移動量と弁口を通過する流体の流量との関係が略一定となり、極めて小さな流量の制御が容易に、かつ、安定して可能になる。
【0016】
請求項4に係る流量制御弁では、弁口をプラグが挿入し摺動可能な上部弁口と、弾性体が着座する弁座を上端部に備える下部弁口とを備える。そして、弾性体を外径が上部弁口の開口径より小さく、かつ、下部弁口の開口径より大きい円柱形状或いは多角柱形状とし、弁体のプラグの下端面と弁座との間に介在し、弾性体の上端面をプラグの下端面に固着して設けている。そのため、弁体を上下に移動させることにより、弾性体が下部弁口の上端部に設けた弁座に着座して当接した状態では弾性部材の圧縮/解放により、弾性体が下部弁口の上端部に設けた弁座から離隔した状態ではプラグが上部弁口を上下移動或いは上部弁口から離隔することにより、上記請求項1から3に記載した流量制御弁と同様、極めて小さな流量の制御を可能にするとともに、従来のニードル弁と同等な流量の流量制御も可能になる。
【0017】
請求項5に係る流量制御弁では、弾性体を合成ゴム素材のスポンジで形成することにより、部品コストを低減できる。
【0018】
請求項6に係る流量制御弁では、駆動部にステッピングモータを用いることにより、弁体の移動を微細に制御することができることから、弁口を通過する流体の流量を微細に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明にかかる一実施形態である流量制御弁の閉弁状態での断面図である。
【
図2】本発明にかかる一実施形態である流量制御弁の開弁状態での断面図である。
【
図3】本発明にかかる弁体を構成するプラグ(ニードルに相当)の(A)上面図、(B)正面図である。
【
図4】本発明にかかる弁体を構成するスポンジ(弾性体に相当)の(A)上面図、(B)正面図である。
【
図5】弁体の移動量(ストローク)と流量との関係を説明する図である。
【
図6】本発明にかかる他の実施形態(その1)である流量制御弁の開弁状態での断面図である。
【
図7】
図6にかかる実施形態における弁体の移動の状態を説明する図である。
【
図8】本発明にかかる他の実施形態(その2)である流量制御弁の開弁状態での断面図である。
【
図9】
図8にかかる実施形態における弁体の移動の状態を説明する図である。
【
図10】本発明にかかる他の実施形態(その3)、(その4)および(その5)である流量制御弁を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明にかかる一実施形態である流量制御弁1について図面を参照して説明する。
【0021】
図1および
図2は、バーナなどへのガス供給路に介設する本発明にかかる一実施形態である流量制御弁1を示したものであり、
図1は閉弁状態での断面図であり、
図2は開弁状態での断面図である。
【0022】
図1に示すように、流量制御弁1はガスなどの流体の流路を形成するボディ10に組み込まれている。ボディ10には、流量制御弁1の弁体25が収納される弁室22と、弁室22に連通する一次口20および二次口21とが設けられている。弁室22と二次口21との間には弁口19が設けられ、弁口19の上端面は、流量制御弁1の弁体25が着座する弁座18が設けられている。ボディ10の下面は弾性材であるパッキン24を介して下部プレート11で支持され、ボディ10と下部プレート11との間のシール状態を保持されている。
【0023】
流量制御弁1は、(図示しない)ステッピングモータやギアなどで構成されている駆動部13と、駆動部13内のステッピングモータやギアなどにより、図面に対して上下方向に移動するシャフト15と、シャフト15の下端部に接続する弁体25と、弁体25を図面下方(閉弁方向)に付勢するコイルバネ17とから構成される。本実施形態では、弁体25は、中心に図面下方に向けて突出し弁口19を貫通可能な円錐台形状の突出部を設けたプラグ14と、プラグ14の突出部の外周面を囲む円筒形状のスポンジ16とから構成される。駆動部13は上部プレート12とボディ10との間に介設するOリング23を介してボディ10に対してシール状態を保持して組み付けられている。尚、弁体25のプラグ14は、弁口19に挿入可能に設けられ、スポンジ16は、下端部が弁座18に着座するようになっている。尚、本実施形態では駆動部13にステッピングモータを採用しているが、駆動部13はシャフト15を図面に対して上下に移動制御できればいいのであって、DCモータやギヤードモータ、アクチュエータなども採用可能である。
【0024】
ここで、本発明の特徴である弁体25を構成するプラグ14およびスポンジ16について
図3および
図4を参照して説明する。
【0025】
図3の(A)は、プラグ14の上面図であり、
図3の(B)は、プラグ14の正面図である。
図3の(B)に示すように、プラグ14は、図面上方から、シャフト15と接続する円柱状のプラグ接続部14a、コイルバネ17を支持する円柱状のプラグ支持部14bおよび図面下方に向けて徐々に径が小さくなる略円錐台形状のプラグ本体14dから構成されている。また、プラグ接続部14aの上端部にはシャフト15に取り付けるためのネジ穴14cが設けられている。プラグ本体14dの最大径は弁口19の開口径よりやや小さく設定されており、これにより、プラグ本体14dは弁口19対して挿入/隔離可能になっている。
【0026】
図4の(A)は、スポンジ16の上面図であり、
図4の(B)は、スポンジ16の正面図である。
図4に示すように、スポンジ16は内周面16aを有する円筒形状に形成されている。スポンジ16の円筒部の外径は、プラグ14のプラグ支持部14bの外径と略同一に、また、スポンジ16の内周面16aの内径は、プラグ14のプラグ本体14dの最大径よりやや大きく設定されている。これにより、スポンジ16は、プラグ14のプラグ本体14dの外周を囲うようにプラグ14のプラグ支持部14bの下面に固着される。本実施形態では、スポンジ16は合成ゴム素材の多孔質の弾性部材で形成されているが、素材は合成ゴム素材に限定されるものではなく、スポンジ16の圧縮/解放により多孔質の空孔の体積の和が増減可能であれば、他の素材も採用可能である。
【0027】
次に、流量制御弁1の閉弁状態および開弁状態について説明する。
【0028】
図1に示すように、流量制御弁1の閉弁状態では、駆動部13によりシャフト15が図面下方に移動する。これにより、弁体25のスポンジ16が弁座18に着座するとともに、弁体25のプラグ14(詳細にはプラグ本体14d)は弁口19に挿入する。そして、さらにシャフト15を下方に移動させて、スポンジ16の多孔質の空孔の体積の総和がゼロになるまでスポンジ16を圧縮すると、弁口19がスポンジ16によりシールされて、閉弁状態になる。
【0029】
また、
図2に示すように、流量制御弁1の開弁状態では、駆動部13によりシャフト15が矢印(1)に示すように図面上方に移動する。これにより、弁体25がコイルバネ17の付勢力に抗して上方に移動し、弁体25のスポンジ16が弁座18から隔離するとともに、弁体25のプラグ14(詳細ではプラグ本体14d)も弁口19から隔離して、流量制御弁1は開弁状態になり、弁室22および弁口19を介して一次口20と二次口21とが連通する。
【0030】
次に、本発明にかかる流量制御弁1のプラグ14とスポンジ16とからなる弁体25の効果について
図5を参照して説明する。
【0031】
図5の(A)から(E)は、流量制御弁1が閉弁状態(
図5の(A))から、駆動部13によりシャフト15を上方に移動して、プラグ14(弁体25)を徐々に上方(開弁方向)に移動させた状態を図示したものである。
図5の(A)の状態をストロークゼロ(S(A)=0)とし、
図5の(B)から(E)は、
図5の(A)に対して、それぞれ、
図5の(B)ではストロークS(B)、
図5の(C)ではストロークS(C)、
図5の(D)ではストロークS(D)、
図5の(E)ではストロークS(E)と、プラグ14を徐々に上方に移動した状態を示した図である。
【0032】
図5の(F)は、ストローク(プラグ14が
図5の(A)の状態から上方に移動した距離)と、プラグ14の(上方への)移動により開弁して弁口19を流れる流体の流量との関係を示したグラフである。
図5の(F)のグラフの中の黒丸(「●」)は、
図5の(A)から(E)の各状態におけるストローク(S(A)、S(B)、S(C)、S(D)、S(E))に対する流量(F(A)、F(B)、F(C)、F(D)、F(E))を示した点である。
図5の(A)から(C)の状態では、スポンジ16の下端面が弁座18に当接した状態で、スポンジ16が圧縮/解放される。この状態では、弁口19を流れる流体の流量は、スポンジ16の多孔質の空孔の体積の総和に略比例するため、ストロークに対して
図5の(F)のライン(1)に沿って変化する。これにより、従来のニードル弁に対して極めて小さな流量の制御が可能になる。そして、スポンジ16の下端面が弁座18から隔離すると(
図5の(C)から(E)の状態)、従来のニードル弁のようにプラグ14のストロークの大きさに略比例するため、ストロークに対して、
図5の(F)のライン(2)に沿って変化する。これにより、従来のニードル弁と同等な流量の制御が可能になる。
【0033】
上記のように、本発明にかかる流量制御弁1では、弁口19を流れる流体の流量は、スポンジ16の下端面が弁座18に当接した状態では、ストロークに対して、
図5の(F)のライン(1)に沿って変化するため、従来のニードル弁(
図5の(F)のライン(2))に比べて極めて小さな流量の制御が可能となり、スポンジ16の下端面が弁座18から隔離すると、弁口19を流れる流体の流量は、ストロークに対して、従来のニードル弁のように
図5の(F)のライン(2)に沿って変化するため、従来のニードル弁と同等な大きな流量まで制御可能となり、結果として流量制御可能な最小流量と最大流量との差が大きくなり、大きなターンダウンの実現が可能になるのである。
【0034】
ここで、流量制御弁1は流量制御弁の一例であり、弁室22は弁室の一例であり、一次口20は一次口の一例であり、二次口21は二次口の一例であり、弁座18は弁座の一例であり、弁体25は弁体の一例であり、弁口19は弁口の一例であり、駆動部13は駆動部の一例であり、プラグ14はプラグの一例であり、スポンジ16は多孔質の弾性体の一例である。
【0035】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることが、理解されるべきである。
【0036】
図6は、本発明にかかる他の実施形態(その1)である流量制御弁100の開弁状態での断面図を示す。上記実施形態の流量制御弁1では、スポンジ16は弁体25を構成するプラグ14に固着したが、スポンジの配置は、これに限定するものではなく、
図6に示す流量制御弁100のように、スポンジ116を弁座118の上面に固着して配置してもよい。スポンジ116は、流量制御弁1にかかるスポンジ16と同様、内径がプラグ114のプラグ本体114aの最大径より大きい円筒形状であり、プラグ114のプラグ本体114aの外周面を囲うように弁座118の上面に配置される。
【0037】
図7は、流量制御弁100にかかる弁体のプラグ114の移動の状態を説明する図である。
図7の(A)は、上記、
図5の(A)と同様、プラグ114によりスポンジ116を完全に圧縮し、スポンジ116の空孔の体積の総和をゼロにして閉弁した状態で、この場合のプラグ114のストロークをゼロ(S1(A)=0)とし、
図7の(B)から(E)は、徐々にプラグ114を上方(開弁方向)に移動した各状態(ストロークS1(B)、ストロークS1(C)、ストロークS1(D)、ストロークS1(E))を示した図である。スポンジ116がプラグ114と当接している間(
図7の(A)から(C))では、流量制御弁1の場合と同様、弁口119を流れる流体の流量は、スポンジ116の多孔質の空孔の体積の総和に略比例するため、ストロークに対して、例えば、上記の
図5の(F)のライン(1)のように変化し、スポンジ116がプラグ114と隔離する状態(
図7の(C)から(E))では、ストロークに対して、例えば、上記の
図5の(F)のライン(2)のように変化する。よって、スポンジ116を弁座118の上面に固着した流量制御弁100でも、流量制御弁1と同様、極めて小さな流量の制御も可能になることから、流量制御可能な最小流量と最大流量との差が大きくなり、大きなターンダウンの実現が可能になる。
【0038】
図8は、本発明にかかる他の実施形態(その2)である流量制御弁200の開弁状態での断面図を示す。
図8に示すように、流量制御弁200では、本発明に特徴であるスポンジ216はプラグ214の下端面に固着して設けられ、プラグ214とスポンジ216とで弁体225が構成される。また、弁口は、プラグ214が挿入し摺動可能な上部弁口226と、スポンジ216の下端面が着座する弁座218を上端部に設けた下部弁口219とを備える。そして、スポンジ216は、外径が上部弁口226の開口径より小さく、かつ、下部弁口216の開口径より大きい円柱形状のスポンジを採用したものである。ここで、スポンジ216の形状は、円柱形状に限定されるものではなく、多角柱形状であってもよい。
【0039】
図9は、流量制御弁200にかかる弁体のプラグ214の移動の状態を説明する図である。
図9の(A)は、上記、
図5の(A)と同様、プラグ214によりスポンジ216を完全に圧縮し、スポンジ216の空孔の体積の総和をゼロにして閉弁した状態であり、この場合のプラグ214のストロークをゼロ(S2(A)=0)とし、
図9の(B)から(E)は、徐々にプラグ214を上方(開弁方向)に移動した各状態(ストロークS2(B)、ストロークS2(C)、ストロークS2(D)、ストロークS2(E))を示した図である。スポンジ216の下端面が弁座218と当接している間(
図9の(A)から(C))では、流量制御弁1の場合と同様、弁口219を流れる流体の流量は、スポンジ216の多孔質の空孔の体積の総和に略比例するため、ストロークに対して、例えば、上記の
図5の(F)のライン(1)のように変化し、スポンジ216が弁座218と隔離する状態(
図9の(C)から(E))では、プラグ214が上部弁口226を移動し、さらに、上部弁口226から離隔するため、ストロークに対して、例えば、上記の
図5の(F)のライン(2)のように変化する。よって、流量制御弁200においても、流量制御弁1と同様、極めて小さな流量の制御も可能になることから、流量制御可能な最小流量と最大流量との差が大きくなり、大きなターンダウンの実現が可能になる。
【0040】
流量制御弁1および100、200では、スポンジ(16、116、216)を圧縮させて、弁口(19、119、219)をシールして閉弁したが、スポンジの材質によっては、スポンジを圧縮させても弁口を完全にシールできない場合がある。その場合、スポンジとは別に弾性部材からなるシール部材を追加してもよい。
【0041】
図10にはシール部材を追加した他の実施形態(その3)、(その4)および(その5)を示した図である。
図10の(A)および(B)は、一例として上記実施形態の流量制御弁1にシール部材を追加した流量制御弁300(実施形態(その3))の閉弁時および開弁時の断面図であり、
図10の(C)および(D)は、一例として上記実施形態の流量制御弁200にシール部材を追加した流量制御弁400(実施形態(その4))の閉弁時および開弁時の断面図である。シール部材330および430は、いずれも内径が各々のプラグ314および414の外周径より大きい円筒形状であり、閉弁時において、
図10の(A)および(C)に示すように、各々の弁座318および418に着座して各々の弁口を完全にシールすることができるようにしたものである。尚、流量制御弁300および流量制御弁400には、
図10に示すように、スポンジ316およびスポンジ416が設けられている。
【0042】
また、シール部材は、シール部材330および430のような円筒形状のシール部材に限定するものではなく、例えば、
図10の(E)に示す流量制御弁500(実施形態(その5))のように、Oリング530を採用してもよい。プラグ514の上端外周部にOリング530に嵌合する凹溝514aを設けてOリング530を装着して、Oリング530により弁口をシールすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1、100、200、300、400、500・・流量制御弁
10、110、210・・ボディ
11・・下部プレート
12・・上部プレート
13・・駆動部
14、114、214、314、414、514・・プラグ
15・・シャフト
16、116、216、316、416・・スポンジ
17・・コイルバネ
18、118、218、318、418・・弁座
19、119、219、226・・弁口
20・・一次口
21・・二次口
22・・弁室
23・・Oリング
24・・パッキン
25、225・・弁体