(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】押込み装置及びそれを備えた箱詰め装置
(51)【国際特許分類】
B65B 5/06 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B65B5/06
(21)【出願番号】P 2019212132
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有本 直弘
(72)【発明者】
【氏名】池澤 和幸
(72)【発明者】
【氏名】竹本 文彦
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-159359(JP,A)
【文献】特開2013-193776(JP,A)
【文献】特開2016-168623(JP,A)
【文献】特開平07-206211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能な軸体の下端に接続された押込み部を有し、前記押込み部に開閉可能な一対の床板上に複数の物品が整列されてなる物品群の上面を吸着させて前記床板が開放された状態において前記押込み部を下降させて前記床板の下方の箱詰め位置に配置された外装箱に前記物品群を押し込む押込み装置であって、
前記押込み部は、
前記軸体の下端に接続され中空の箱状に形成された押込み本体部と、
前記押込み本体部の下壁に形成された開口部と、
前記開口部の周縁から下方に突出して形成され、吸引装置が前記軸体を介して前記押込み本体部の内部空間の空気を吸引することによって前記物品群の上面を吸着するための吸着口と、を有し、
前記押込み本体部は、前記軸体に接続された一の枠体部を含む複数の枠体部を有し、前記一の枠体部に対して他の前記枠体部が前記物品群の整列方向にスライド可能に嵌め合わされて固定解除可能に固定されるとともに、前記他の枠体部が固定解除されたときに前記物品群の整列方向に伸縮可能に構成され、
前記開口部及び前記吸着口は、前記押込み本体部を前記物品群の整列方向に伸縮させることにともなって前記物品群の整列方向に伸縮するよう構成された、
押込み装置。
【請求項2】
前記押込み本体部は
前記軸体に接続された第1の枠体部と、
前記第1の枠体部に前記物品群の整列方向の一方向側から嵌め合わされて前記整列方向にスライド可能に構成された第2の枠体部と、
前記第1の枠体部に前記物品群の整列方向の他方向側から嵌め合わされて前記整列方向にスライド可能に構成された第3の枠体部と、
前記第1の枠体部と前記第2の枠体部とを固定解除可能に固定する第1の固定部材と、
前記第1の枠体部と前記第3の枠体部とを固定解除可能に固定する第2の固定部材と、を有する、
請求項1に記載の押込み装置。
【請求項3】
前記吸着口は、
前記第1の枠体部の下壁に下方に突出して設けられ、各々前記整列方向に延びて対向するように設けられた2つの棒状の突起部と、
前記第2の枠体部の下壁に下方に突出して設けられ、一部が前記2つの棒状の突起部に沿って隣接する第1のU字状の突起部と、
前記第3の枠体部の下壁に下方に突出して設けられ、一部が前記2つの棒状の突起部に沿って隣接する第2のU字状の突起部と、を有し、
前記第1のU字状の突起部の両端と前記第2のU字状の突起部の両端とが向かい合うように、前記第1のU字状の突起部と前記第2のU字状の突起部とが配置されている、
請求項2に記載の押込み装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の押込み装置を備えた箱詰め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品を外装箱に押し込む押込み装置及びそれを備えた箱詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の物品を段ボールケース等の外装箱の内部に収容する箱詰め装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の箱詰め装置では、開閉可能な床板上に物品を整列させ、この床板上に整列された物品を、昇降可能に構成された押込み部で吸着し、床板を開放して、押込み部を下降させることにより下方に配置された外装箱に押し込むよう構成されており、押込み部は、中空の箱状に形成された押込み本体部と、押込み本体部の下壁に形成された開口部と、開口部の周縁から下方に突出して形成された環状の突起部と、を有し、吸引装置が押込み本体部の内部空間の空気を吸引するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の箱詰め装置では、押込み部の環状の突起部が物品の吸着口となって、床板上に整列された物品を吸着することができるが、床板上に整列される複数の物品(物品群)の整列方向の長さに変更が生じた場合には、押込み部を交換しないと吸着できない物品が生じる場合があり、物品群の整列方向の長さの変更に対応できないという問題がある。なお、床板上に整列される物品群の整列方向の長さは、袋詰め物品の場合に袋内の空気量が変更されて各物品の厚みが変更されること、物品の品種が変更されて各物品の厚みが変更されること、整列させる物品の個数が変更になること、等によって変更が生じる。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、床板上に整列される物品群の整列方向の長さの変更に容易に対応することができる押込み装置及びそれを備えた箱詰め装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る押込み装置は、昇降可能な軸体の下端に接続された押込み部を有し、前記押込み部に開閉可能な一対の床板上に複数の物品が整列されてなる物品群の上面を吸着させて前記床板が開放された状態において前記押込み部を下降させて前記床板の下方の箱詰め位置に配置された外装箱に前記物品群を押し込む押込み装置であって、前記押込み部は、前記軸体の下端に接続され中空の箱状に形成された押込み本体部と、前記押込み本体部の下壁に形成された開口部と、前記開口部の周縁から下方に突出して形成され、吸引装置が前記軸体を介して前記押込み本体部の内部空間の空気を吸引することによって前記物品群の上面を吸着するための吸着口と、を有し、前記押込み本体部は、前記軸体に接続された一の枠体部を含む複数の枠体部を有し、前記一の枠体部に対して他の前記枠体部が前記物品群の整列方向にスライド可能に嵌め合わされて固定解除可能に固定されるとともに、前記他の枠体部が固定解除されたときに前記物品群の整列方向に伸縮可能に構成され、前記開口部及び前記吸着口は、前記押込み本体部を前記物品群の整列方向に伸縮させることにともなって前記物品群の整列方向に伸縮するよう構成されている。
【0008】
この構成によれば、作業者が枠体部の固定を解除して、押込み本体部を物品群の整列方向に伸縮させることによって開口部及び吸着口を物品群の整列方向に伸縮させることができる。よって、床板上に整列される物品群の整列方向の長さに応じて開口部及び吸着口の物品群の整列方向における長さを設定することができ、物品群を確実に吸着することが可能となるので、床板上に整列される物品群の整列方向の長さの変更に容易に対応することができる。
【0009】
前記押込み本体部は、前記軸体に接続された第1の枠体部と、前記第1の枠体部に前記物品群の整列方向の一方向側から嵌め合わされて前記整列方向にスライド可能に構成された第2の枠体部と、前記第1の枠体部に前記物品群の整列方向の他方向側から嵌め合わされて前記整列方向にスライド可能に構成された第3の枠体部と、前記第1の枠体部と前記第2の枠体部とを固定解除可能に固定する第1の固定部材と、前記第1の枠体部と前記第3の枠体部とを固定解除可能に固定する第2の固定部材と、を有していてもよい。
【0010】
前記吸着口は、前記第1の枠体部の下壁に下方に突出して設けられ、各々前記整列方向に延びて対向するように設けられた2つの棒状の突起部と、前記第2の枠体部の下壁に下方に突出して設けられ、一部が前記2つの棒状の突起部に沿って隣接する第1のU字状の突起部と、前記第3の枠体部の下壁に下方に突出して設けられ、一部が前記2つの棒状の突起部に沿って隣接する第2のU字状の突起部と、を有し、前記第1のU字状の突起部の両端と前記第2のU字状の突起部の両端とが向かい合うように、前記第1のU字状の突起部と前記第2のU字状の突起部とが配置されていてもよい。
【0011】
また、本発明のある態様に係る箱詰め装置は、上記の押込み装置を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上に説明した構成を有し、床板上に整列される物品群の整列方向の長さの変更に容易に対応することができる押込み装置及びそれを備えた箱詰め装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態の箱詰め装置の一例の概略を示す斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、
図1の箱詰め装置におけるサクションボックスを前方から視た図であり、
図2(B)は、同サクションボックスを下方から視た図であり、
図2(C)は、
図2(B)においてA-A方向から見た図であり、
図2(D)は、
図2(B)においてB-B線断面図である。
【
図3】
図3(A)は、
図2のサクションボックスを上方から視た図であり、
図3(B)は、同サクションボックスを下方から視た
図2(B)において可動枠部の底板部を太線で強調して示した図である。
【
図4】
図4は、箱詰め装置の制御系統の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、箱詰め装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0015】
(実施形態)
[全体構成]
図1は、本実施形態の箱詰め装置の一例の概略を示す斜視図である。
【0016】
本実施形態の箱詰め装置100は、例えば食品が袋詰め又は箱詰めされた物品Wを複数整列させた状態で外装箱110に箱詰めする装置である。この箱詰め装置100において、便宜上、前後左右を
図1に示すように決めて説明する。なお、
図1に示す上下は真である。
【0017】
この箱詰め装置100は、供給コンベア200から順次供給される物品Wを複数(所定個数)整列させて所定の押出し位置Tまで搬送する整列コンベア6と、押出しプレート70の押出し動作によって整列コンベア6の押出し位置Tから複数の物品Wを整列状態で一対の床板11上の物品載置位置Aへ押し出す押出し装置7と、物品載置位置Aへ押し出された複数の物品Wからなる物品群と当接するストッパプレート17と、物品載置位置Aへ押し出された物品群を押出方向と直交する水平方向から挟圧する挟圧装置8と、物品群が載置されている一対の床板11を開閉する床開閉装置10と、物品群を外装箱110に押し込む押込み装置9と、外装箱110を床板11の下方に配置する外装箱配置装置20と、箱詰め装置100の動作を制御する制御装置30と、操作表示器50と、これら箱詰め装置100の各構成要素を所定の位置に支持する枠体1と、を有している。
【0018】
[供給コンベアの構成]
供給コンベア200は、例えばベルトコンベアによって構成され、包装機等の前段の装置(図示省略)から複数の物品Wが順次供給されると、これらの物品Wを搬送して整列コンベア6へ供給する。
【0019】
[整列コンベアの構成]
整列コンベア6は、無端軌道60からなるコンベア上に該コンベアの搬送方向と直交する方向に延在しかつ搬送方向に並列して立設する一群の仕切板61の各々の間に、物品Wを収容することによって、該コンベア上に複数の物品Wを立てた状態で1列に整列させるものである。
【0020】
すなわち、この整列コンベア6は、複数の物品Wを一方向(
図1では左から右に向かう方向)に搬送する無端軌道60と、無端軌道の搬送面60aに搬送方向に間隔を隔てて設けられた複数の仕切板61とを有している。複数の仕切板61によって仕切板61間の無端軌道60上に物品Wを収容できる収容部62が複数連なって形成される。
【0021】
無端軌道60は、4本の環状チェーンが一対のスプロケット63(63A,63B)によって支持されている。4本の環状チェーンは2本ずつに分かれて第1チェーン群64及び第2チェーン群65を構成している。第1チェーン群64及び第2チェーン群65にはそれぞれ、仕切板61が複数装着されている。第1チェーン群64は、一方のスプロケット63Aによって回転駆動され、第2チェーン群65は、他方のスプロケット63Bによって回転駆動されるように構成されている。一対のスプロケット63のそれぞれは、別々の駆動装置(例えば、サーボモータ)によって駆動される。これによって、第1チェーン群64及び第2チェーン群65を互いに独立して循環駆動することができ、一方のチェーン群が暫時停止を繰り返しながら物品取り込み位置Sにおいて収容部62に物品Wを受け入れる動作と、他方のチェーン群が収容部62の物品Wを押出し位置Tにおいて停止させた状態を保持する動作とを同時に行うことができる。
【0022】
また、整列コンベア6の上流側には、物品取り込み位置Sに移送されてきた物品Wの存在を検出する光電センサ等からなる物品取込検出装置69が設けられている。整列コンベア6は、物品取り込み位置Sにおいて供給コンベア200から移送されてくる物品Wを順次受け取り、これら物品Wの姿勢を寝た姿勢から直立した姿勢に転換すると共に一列に整列し、押出し位置Tへ搬送する。
【0023】
[押出し装置の構成]
押出し装置7は、複数のスリット71が形成された平板状の押出しプレート70を備えている。そして、押出しプレート70は、駆動装置(図示せず)の駆動力によってレール部材(図示せず)に案内されて、整列コンベア6の一方の側に沿って位置する退避位置と、整列コンベア6の他方の側の所定の進出位置との間で、水平方向に進出及び退避動作するように構成されている。複数のスリット71は、押出しプレート70が退避位置から進出位置へ進出動作(押出し動作)する際に、押出し位置Tに位置する複数の仕切板61と接触しないよう、押出しプレート70の下端から上部にかけて鉛直方向に延びるように形成されている。
【0024】
押出しプレート70が、退避位置(図示されている位置)から進出動作(x方向へ移動)して進出位置まで進出することにより、整列コンベア6上に整列された複数の物品Wが移送路75を通って物品載置位置Aへ押し出される。移送路75は、渡り板73と閉じた床板11とで形成されている。なお、移送路75の両側には、押出しプレート70によって押し出された複数の物品Wが散乱することを防止するために一対の案内板74が設けられている。
【0025】
したがって、押出し位置Tに位置する一連の収容部62に収容された複数の物品Wは、押出しプレート70によって、整列コンベア6の搬送方向と直交する水平方向(x方向)へ押し出されて一対の案内板74の間を通って移動し、整列コンベア6の搬送方向と同方向に整列した物品群となって、閉じた床板11上に設定された物品載置位置Aに載置される。
【0026】
物品載置位置Aは、押出しプレート70によって複数の物品Wが床板11の上に押し出されたときに、押出しプレート70、ストッパプレート17及び一対の保持プレート80によって区画された領域である。ストッパプレート17は、整列コンベア6の搬送方向と平行方向に延びる板状体であり、進出位置に位置する押出しプレート70と対向するように枠体1に固定されている。したがって、押出しプレート70によって物品載置位置Aへ押し出された物品Wは、ストッパプレート17と当接し、閉じた床板11上で停止する。
【0027】
[挟圧装置の構成]
挟圧装置8は、一対の保持プレート80を備えている。この一対の保持プレート80は、押出しプレート70の押出方向xと直交する水平方向に対向して設けられている。各保持プレート80の背面には水平方向に延びる軸体81が設けられている。各軸体81は駆動装置(図示せず)によって、一対の保持プレート80が互いに近づく方向及び互いに遠ざかる方向に進退動作するように構成されている。
【0028】
前述の押出しプレート70によってx方向へ押し出された物品群は、ストッパプレート17と当接し、物品載置位置A上に一対の保持プレート80が対向する方向Yに整列した状態で載置される。そして、一対の保持プレート80が互いに近づく方向に進出することによって、物品載置位置Aに位置する物品群がその整列方向Yから一対の保持プレート80の間に挟圧される。
【0029】
[床開閉装置の構成]
床開閉装置10は、整列コンベア6の側方に配設され、水平方向に延びる一対の床板11を備えている。一対の床板11は、その縁部が枠体1に配設された複数のローラに支持され、互いに対向する端面同士が接触及び離隔するようにして進退自在に構成されている。そして、一対の床板11は、駆動装置(図示せず)の駆動力により開閉駆動されるように構成されている。一対の床板11が後退駆動されると、互いの端面同士が離隔された状態となり、物品載置位置Aの直下に開口が形成される(床板11が開放される)。
【0030】
[押込み装置の構成]
押込み装置9は、鉛直方向に延びる軸体90と、軸体90の下端がその上面に接合されたサクションボックス(押込み部)91とを有している。軸体90は、枠体1に昇降自在に支持され、吸引管としても機能するよう中空になっており、吸引装置9Aに接続されている。そして、軸体90は、サクションボックス91と共に駆動装置(図示せず)の駆動力により鉛直方向に昇降するように構成されている。この押込み装置9は、サクションボックス91を下降させて物品載置位置Aの物品群の上面に接して物品群を吸着させる。この物品群の上面を吸着して保持した状態のサクションボックス91を所定位置までさらに下降させることにより、開放した状態の一対の床板11の間の開口を介して、床板11の下方の箱詰め位置Pに位置している外装箱110に物品群を押し込むことができる。
【0031】
吸引装置9Aは、軸体90を介して、サクションボックス91の内部空間(押込み本体部の内部空間)の空気を吸引することができる。吸引装置9Aは、周知の吸引装置で構成することができる。例えば、吸引装置9Aは、ブロワ及び電動式切換弁等を備えて構成され、制御装置30によって電動式切換弁が制御されることにより、サクションボックス91の吸着機能の作動及び停止の制御が行われる。なお、サクションボックス91の詳細については、後述する。
【0032】
[外装箱配置装置の構成]
外装箱配置装置20は、外装箱110を水平搬送する外装箱搬送コンベア(外装箱搬送装置)22と、外装箱昇降装置21とを有している。
【0033】
外装箱搬送コンベア22は、多数の駆動ローラ22aを備えた駆動ローラコンベアであり、駆動ローラ22aによって外装箱110がy方向へ搬送される。
【0034】
外装箱昇降装置21は、外装箱110が載置される昇降台24を備えている。昇降台24は、駆動ローラ22a間の隙間に埋没可能な複数の棒材24aと、各棒材24aを連結する連結材24bとを備えている。昇降台24は、公知の昇降装置(図示せず)に支持され、昇降動作できるように構成されている。すなわち、昇降台24は、棒材24aが駆動ローラ22a間の隙間に埋没した状態となる所定の下降位置と、所定の上昇位置との間で、昇降動作する。昇降台24が所定の上昇位置にあるときに、昇降台24上の外装箱110が所定の箱詰め位置Pとなるように構成されている。
【0035】
また、昇降台24には、エアシリンダ等からなる制止装置23が取り付けられている。制止装置23は、進退可能な棒体23aを備えており、昇降台24が下降位置において、棒体23aを進出させることにより、外装箱搬送コンベア22で搬送されてくる外装箱110を物品載置位置Aの下方の箱停止位置Uに停止させることができ、棒体23aを退避させることにより、外装箱110を箱停止位置Uから下流側へ搬送させることができる。また、昇降台24には、光電センサ等からなる箱検出装置25が取り付けられている。
【0036】
[制御系統の構成]
図4は、箱詰め装置100の制御系統の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0037】
制御装置30は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部31と、ROM及びRAM等のメモリを有する記憶部32とを備えている。物品取込検出装置69から出力される物品検出信号、及び箱検出装置25から出力される箱検出信号は、制御部31に入力される。記憶部32には所定の制御プログラムが記憶されていて、制御部31がこれらの制御プログラムを読み出して実行することにより、整列コンベア6、押出し装置7、挟圧装置8、押込み装置9(吸引装置9Aを含む)、床開閉装置10、外装箱配置装置20(外装箱昇降装置21及び外装箱搬送コンベア22)及び操作表示器50等の各装置の動作を制御する。すなわち、制御装置30によって、箱詰め装置100全体の動作が制御される。なお、制御装置30は、集中制御する単独の制御装置で構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置で構成されていてもよい。
【0038】
操作表示器50は、例えばタッチパネルディスプレイ等を用いて構成され、箱詰め装置の運転開始・停止等の操作およびその運転パラメータ等の設定を行うための操作器の機能と、箱詰め装置の設定情報等をスクリーン(ディスプレイ画面)に表示する表示器の機能とを備えている。
【0039】
また、制御装置30は、操作表示器50からの信号を入力するとともに、操作表示器50へ表示するデータ等の信号を出力する。
【0040】
[箱詰め装置の動作]
図5は、箱詰め装置100の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、制御装置30の処理によって実現される。
【0041】
作業者が、操作表示器50の例えば運転スイッチを操作して箱詰め装置100の運転を開始させると、ステップS1において、制御装置30は、整列コンベア6を制御して、供給コンベア200より順次供給される物品Wを1個ずつ各収容部62に収容し、所定個数の収容部62の全てに物品が収容されると、それらを押出し位置Tへ移送させる。
【0042】
次に、ステップS2において、制御装置30は、押出し装置7を制御して、押出しプレート70を退避位置から進出位置に移動させることにより、押出し位置Tにおいて整列した物品Wを床板11上へ押し出させる。これにより、複数の物品Wからなる物品群が物品載置位置Aに整列状態で載置され、各物品Wは、押出しプレート70及びストッパプレート17によって整列方向Yと直交する水平方向の両端部が揃った状態となる。
【0043】
次に、ステップS3において、制御装置30は、挟圧装置8を制御して、一対の保持プレート80を互いに近づく方向にそれぞれ進出させる。これによって、物品群がその整列方向Yから一対の保持プレート80によって挟圧される。
【0044】
次に、ステップS4において、制御装置30は、押込み装置9(吸引装置9Aを含む)を制御して、サクションボックス91を、挟圧された物品群の上面に接触するように降下させ、物品群の上面を吸着させる。これによって物品群がサクションボックス91に保持される。
【0045】
次に、ステップS5において、制御装置30は、床開閉装置10を制御して、一対の床板11を後退駆動させて床板11を開放状態にする。これによって、物品載置位置Aに位置する物品群の直下に開口部が形成される。
【0046】
一方、運転を開始させると、制御装置30は、外装箱搬送コンベア22に搬送動作を開始させ、上記の処理と並行して、ステップS6の外装箱配置処理を行っている。この外装箱配置処理では、予め制止装置23の棒体23aを進出位置に位置させた状態にしており、外装箱搬送コンベア22で搬入されてきた外装箱110を箱停止位置Uに停止させる。そして、制御装置30は、箱検出装置25から箱検出信号を入力すると、昇降台24を上昇させ、箱停止位置Uの外装箱110を箱詰め位置Pに位置させる。なお、次に箱停止位置Uへ外装箱搬送コンベア22で搬送されてくる外装箱は、箱停止位置Uよりも上流側の位置で制止装置(図示せず)によって止められている。
【0047】
そして、前述のステップS5で床板11を開放状態にした後、ステップS7において、制御装置30は、押込み装置9を制御して、物品群を吸着しているサクションボックス91を降下させることによって、箱詰め位置Pの外装箱110に物品群を押し込む。この際、物品群の両端の物品Wは保持プレート80表面上を滑り抜ける。
【0048】
次に、ステップS8において、制御装置30は、押出し装置7、挟圧装置8、押込み装置9、床開閉装置10などを元の状態に復帰させる。例えば、押出しプレート70を退避位置へ戻し、保持プレート80を後退させて元の位置へ戻す。また、押込み装置9のサクションボックス91の吸着機能を停止させた後、サクションボックス91を物品群の形成位置の上方にまで上昇させる。このサクションボックス91の上昇後、床板11を閉鎖する。
【0049】
このステップS8の復帰処理と並行して、制御装置30は、ステップS9の搬出処理を行う。このステップS9では、昇降台24を下降させて物品群を収容した外装箱110を箱停止位置Uに位置させた後、制止装置23の棒体23aを搬送路から退避させ、外装箱搬送コンベア22の搬送動作によって外装箱110を箱詰め装置100から搬出する。そして、外装箱搬送コンベア22の箱停止位置Uよりも上流側の位置の制止装置(図示せず)の制止動作を解除して、次の外装箱を箱停止位置Uへ搬送させる。
【0050】
上記の箱詰め動作によって外装箱110に複数の物品Wが収容された箱詰め品が生産される。そして、上記と同様の箱詰め動作が順次繰り返される。
【0051】
次に、サクションボックス91の詳細な構成の一例を
図2、
図3を参照して説明する。
図2はサクションボックス91の構成の一例を示す図である。
図2(A)は、
図1の箱詰め装置におけるサクションボックス91を前方から視た図であり、
図2(B)は、同サクションボックス91を下方から視た図であり、
図2(C)は、
図2(B)においてA-A方向から見た図であり、
図2(D)は、
図2(B)においてB-B線に沿った断面図である。また、
図3(A)は、サクションボックス91を上方から視た図であり、
図3(B)は、同サクションボックス91を下方から視た
図2(B)において可動枠体部91B,91Cの各底板部98を強調して太線(太い破線および実線)で示した図である。
【0052】
サクションボックス91は、固定枠体部(第1の枠体部)91Aと、2つの可動枠体部(第2,第3の枠体部)91B,91Cと、固定枠体部91Aに取り付けられた2つの棒状の突起部P1,P2と、可動枠体部91Bに取り付けられたU字状の突起部P3と、可動枠体部91Cに取り付けられたU字状の突起部P4とを有している。
【0053】
固定枠体部91Aは、水平方向に対向して平行に配置される矩形断面のフレーム92a,92bと、フレーム92a,92bの上面に固定されてフレーム92a,92bを連結する天板部93と、フレーム92a,92bのそれぞれの下面に固定された長方形状の底板部94a,94bとを有している。天板部93の中央には軸体取付用の孔93aが設けられ(
図3(A)も参照)、この孔93aに、吸引管としての機能を有する軸体90が取り付けられ、孔93aを介してサクションボックス91の内部空間と軸体90の内部空間とが連通している。そして、底板部94a,94bのそれぞれに突起部P1,P2が溶接またはねじ止め等によって固定されている。2つの突起部P1,P2は平行に取り付けられている。長方形状の底板部94aの内側になる長辺部分の縁部94aeに沿って、かつ下方に突出するように突起部P1が取り付けられ、長方形状の底板部94bの内側になる長辺部分の縁部94beに沿って、かつ下方に突出するように突起部P2が取り付けられている。
【0054】
2つの可動枠体部91B,91Cは、同一構造であり、
図2(A)、(B)に示すように左右対称となるように配置される。ここでは、主に可動枠体部91Bについて説明する。
【0055】
可動枠体部91Bは、各々矩形断面の3つのフレーム96a,96b,96cが連結されてなるU字状のフレーム96と、このフレーム96の上面に固定されたU字状の天板部97(
図3(A)も参照)と、フレーム96の下面に固定されたU字状の底板部98(
図3(B)も参照)とを有している。フレーム96は、水平方向に対向して平行に配置されるフレーム96a,96bと、この2つのフレーム96a,96bの端部同士を連結するフレーム96cとでU字状に構成されている。U字状の底板部98の内側の縁部に沿って、かつ下方に突出するようにU字状の突起部P3が溶接またはねじ止め等によって固定されている。
【0056】
可動枠体部91Cは、可動枠体部91Bと同様の構成であり、U字状の底板部98の内側の縁部に沿って、かつ下方に突出するようにU字状の突起部P4が溶接またはねじ止め等によって固定されている。
【0057】
可動枠体部91Bと可動枠体部91Cとは左右対称に向かい合うようにして固定枠体部91Aに左右から嵌め合わされ、それぞれ天板部97の下方から押さえ板99を当てて、固定枠体部91Aの天板部93と可動枠体部91B,91Cの天板部97と押さえ板99とを、ボルトBLとナットNTで締め付けることにより、固定枠体部91Aと可動枠体部91B,91Cとが固定されている。なお、固定枠体部91Aの天板部93と押さえ板99には、ボルトBLを挿通する穴が設けられている。本例では、押さえ板99、ボルトBL及びナットNTで第1,第2の固定部材が構成される。
【0058】
また、ボルトBLとナットNTの締め付けを緩めると、固定が解除され、固定枠体部91Aに対し可動枠体部91B,91Cを物品群の整列方向Yにスライドさせることができる。よって、固定枠体部91Aに対し可動枠体部91B,91Cの整列方向Yの位置を変更することができる。これにより、可動枠体部91B,91Cに固定されているU字状の突起部P3,P4の位置が変更される。
【0059】
なお、可動枠体部91Bと可動枠体部91Cとが左右対称に向かい合うように取り付けられることにより、U字状の突起部P3の両端と、U字状の突起部P4の両端とが向かい合うように配置される。また、それぞれの突起部P3,P4は、その一部が2つの棒状の突起部P1,P2に沿って隣接するよう構成されている。
【0060】
以上のように、固定枠体部91A及び可動枠体部91B,91C等で構成される押込み本体部は、中空の箱状に形成されるとともに、その下壁に開口部9Sが形成される。この開口部9Sは、固定枠体部91Aの下壁となる底板部94a,94bと可動枠体部91B,91Cの下壁となる各底板部98とで囲まれた領域である。
【0061】
そして、開口部9Sの周縁から下方に突出して形成された吸着口PSが設けられている。この吸着口PSは、突起部P1~P4の開口部9Sの周縁に沿った部分からなる吸い込み口である。突起部P1~P4は、例えばステンレス製の部材によって構成されている。なお、突起部P1~P4は、吸着する物品Wの性状等に応じて、ステンレスのような剛性を有する材料で構成されてもよいし、柔軟性を有する材料で構成されてもよい。
【0062】
そして、作業者が段取り替え等を行う運転開始前に、段取り替えの1つとして、物品載置位置Aに整列される複数の物品Wの整列方向Yの長さに応じて、吸着口PSの整列方向Yの長さを変更することができる。具体的には、作業者がボルトBLとナットNTの締め付けを緩めて固定枠体部91Aと可動枠体部91B,91Cとの固定を解除し、固定枠体部91Aに対し可動枠体部91B,91Cを物品群の整列方向Yにスライドさせて所望の位置にして、ボルトBLとナットNTで締め付けることにより、吸着口PSの整列方向Yの長さを変更する。このとき、吸着口PSとともに開口部9Sの整列方向Yの長さも変更される。
【0063】
ここで、固定枠体部91Aに対し可動枠体部91B,91Cを物品群の整列方向Yにスライドさせて位置を変更できることは、固定枠体部91A及び可動枠体部91B,91C等で構成される押込み本体部が整列方向Yに伸縮可能に構成されていることである。よって、押込み本体部が整列方向Yに伸縮することにともなって、吸着口PS及び開口部9Sも整列方向Yに伸縮するよう構成されている。
【0064】
なお、
図2、
図3では、2つの可動枠体部91B,91Cが最も離れて取り付けられている状態が示されている。よって、この状態から2つの可動枠体部91B,91Cを近づけるようにスライドさせて固定しなおすと、吸着口PS及び開口部9Sの整列方向Yの長さは短くなる。
【0065】
本実施形態では、作業者が固定枠体部91Aと可動枠体部91B,91Cとの固定を解除して、可動枠体部91B,91Cを物品群の整列方向Yにスライドさせて押込み本体部を整列方向Yに伸縮させることによって吸着口PS及び開口部9Sを整列方向Yに伸縮させることができる。つまり、床板11上に整列される物品群の整列方向Yの長さに応じて吸着口PS及び開口部9Sの物品群の整列方向Yにおける長さを設定することができ、床板11上に整列される物品群を確実に吸着することが可能となる。よって、袋詰め物品の場合に袋内の空気量が変更されて各物品の厚みが変更されること、物品の品種が変更されて各物品の厚みが変更されること、整列させる物品の個数が変更になること等による、床板11上に整列される物品群の整列方向Yの長さの変更に容易に対応することができる。
【0066】
〔変形例〕
上記の例では、固定枠体部91Aの2つの棒状の突起部P1,P2の内側に沿って、可動枠体部91B,91CのU字状の突起部P3,P4が配置されるように構成したが、2つの棒状の突起部P1,P2の外側に沿ってU字状の突起部P3,P4が配置されるように構成してもよい。この場合、可動枠体部91B,91Cが固定枠体部91Aの外側に整列方向Yにスライド可能に嵌め合わされるように構成することができる。
【0067】
また、固定枠体部91Aに突起部P1,P2を設けずに、可動枠体部91B,91C及びそのU字状の突起部P3,P4の整列方向Yの長さを長くするとともに、突起部P3,P4のU字状の幅(整列方向Yと直交する方向の長さ)を異ならせてこれらの突起部P3,P4が隣接するように構成してもよい。この場合、いずれか一方の可動枠体部91Bが固定枠体部91Aの外側に整列方向Yにスライド可能に嵌め合わされるように構成され、他方の可動枠体部91Cが可動枠体部91Bと一部重なって可動枠体部91B及び固定枠体部91Aの外側に整列方向Yにスライド可能に嵌め合わされるように構成することができる。
【0068】
また、可動枠体部91B,91Cのいずれか一方のみが設けられた構成でもよい。例えば、可動枠体部91Bが設けられ、可動枠体部91Cが無い場合には、固定枠体部91Aを可動枠体部91Cと合体(一体化)して簡単化した構成、例えば、突起部P1,P2と突起部P4とを合体して簡単化し、1つの大きなU字状の突起部を設けた構成とすることができる。
【0069】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、床床板上に整列される物品群の整列方向の長さの変更に容易に対応することができる押込み装置及びそれを備えた箱詰め装置等として有用である。
【符号の説明】
【0071】
9 押込み装置
9A 吸引装置
10 床開閉装置
11 床板
90 軸体
91 サクションボックス
91A 固定枠体部
91B,91C 可動枠体部
99 押さえ板
100 箱詰め装置
110 外装箱
9S 開口部
P1~P4 突起部
PS 吸着口
Y 整列方向