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特許7305310光学ユニット、光照射装置、画像表示装置および光学ユニットの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】光学ユニット、光照射装置、画像表示装置および光学ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20230703BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20230703BHJP
   G02B 1/118 20150101ALI20230703BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20230703BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230703BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20230703BHJP
   G02B 17/08 20060101ALN20230703BHJP
   B29C 59/02 20060101ALN20230703BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02B3/00 A
G02B3/00 Z
G02B1/118
G02B5/18
G02F1/13357
G02B13/00
G02B17/08
B29C59/02 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018100529
(22)【出願日】2018-05-25
(65)【公開番号】P2019204045
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田澤 洋志
(72)【発明者】
【氏名】有馬 光雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩司
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-296428(JP,A)
【文献】特表2011-503643(JP,A)
【文献】特開2012-103290(JP,A)
【文献】特開2013-256015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00-5/136
G02B 3/00
G02B 1/118
G02B 5/18
G02F 1/13357
G02B 13/00
G02B 17/08
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂積層光学体と、
光源ユニットと、
を含み、
前記樹脂積層光学体は、
第1曲面を有する第1光学基材と、
前記第1光学基材の前記第1曲面上に設けられる第1樹脂層と、
を備え、
前記第1樹脂層の表面には、光拡散構造が形成されており、
前記光源ユニットは、
光源と、
前記光源を内蔵する第2光学基材と、
前記第2光学基材の発光面上に設けられる第2樹脂層と、
を備え、
前記第2樹脂層の表面には、第2微細凹凸構造が形成されていることを特徴とする、光学ユニット。
【請求項2】
前記第2微細凹凸構造は、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ構造、または回折格子構造のいずれか1種類以上であることを特徴とする、請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記第2微細凹凸構造は、モスアイ構造を含み、かつ、前記第2微細凹凸構造を構成する微細凹部間の平均間隔、または微細凸部間の平均間隔が50nm~400nmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記第2微細凹凸構造は、モスアイ構造を含み、かつ、前記第2微細凹凸構造において隣接する微細凹部と微細凸部との高低差が100~500nmであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記光源は、前記第2光学基材と一体に構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記第2光学基材と前記第2樹脂層との間の界面には、第2曲面が形成されており、
前記第2樹脂層は、前記第2曲面に沿って積層されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記第2光学基材は、前記光源に対するレンズとして機能する、請求項1~のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記第2樹脂層には、前記第2微細凹凸構造の形状に由来する第2光学特性が付与されている、請求項1~のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項9】
前記樹脂積層光学体の前記第1樹脂層には、前記光拡散構造により第1光学特性として光拡散特性が付与されており、
前記光源ユニットの前記第2樹脂層に付与された前記第2光学特性は、前記樹脂積層光学体の前記第1樹脂層に付与された前記第1光学特性とは異なる、請求項に記載の光学ユニット。
【請求項10】
前記光源ユニットの前記第2光学基材の内部において、複数の前記光源がマトリックス状に配置されている、請求項1~のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項11】
前記樹脂積層光学体の前記光拡散構造は、第1微細凹凸構造を含み、
前記第1微細凹凸構造を構成する微細凹部間の平均間隔、または微細凸部間の平均間隔が1~150μmであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項12】
前記第1微細凹凸構造において隣接する微細凹部と微細凸部との高低差が0.5~50μmであることを特徴とする、請求項11に記載の光学ユニット。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の光学ユニットを含むことを特徴とする、光照射装置。
【請求項14】
請求項13に記載の光照射装置を含むことを特徴とする、画像表示装置。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の光学ユニットの製造方法であって、
前記第2光学基材と前記第2樹脂層との間の界面に、コロナ処理、エキシマ処理、UVオゾン処理、加熱処理、火炎処理、溶剤洗浄、またはプライマー塗布処理のいずれか1種以上を含む前処理を施すことを特徴とする、光学ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニット、光照射装置、画像表示装置および光学ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数の光学素子を内包する光学機器(例えば各種の画像投影装置、撮像装置等)の開発、普及が進んできている。これらの光学機器には、人体への装着、各種機器あるいは車両などのインフラへの組み込みという観点から、小型軽量化が強く要望されている。このような要望に応えるべく、例えば特許文献1、2に開示されるように、複数の光学素子を複合化させる技術が提案されている。具体的には、特許文献1、2では、反射防止構造を光学レンズの表面に複合化させる。特許文献1、2によれば、光学レンズに反射防止特性を付与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-256015号公報
【文献】特開2001-300944号公報
【文献】特開2017-174542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば特許文献3に開示されるように、画像投影装置には、画像をムラなく表示するという観点から、光拡散板(特許文献3では光拡散シートと規定している)が設けられることが多い。しかしながら、光拡散板は光学レンズとは別体となっていた。このため、画像投影装置の内部には、光拡散板及び光学レンズを収納するための広いスペースが必要であり、このために、画像投影装置が大型となっていた。さらに、光学レンズと光拡散板とが別体となっている場合、光学レンズの表面、あるいは光拡散板の表面で界面反射が生じ、光透過率の低下、筐体内の迷光によるゴーストの発生といった発光品質の低下が生じる場合があった。
【0005】
さらに、画像投影装置の光源として、LED(発光ダイオード)またはレーザ等の光源が光学レンズに内蔵された光源ユニットが使用される場合がある。しかしながら、光源ユニットと他の光学素子は別体であった。このため、画像投影装置が大型となっていた。さらに、光源ユニットの表面、あるいは他の光学素子の表面で界面反射が生じ、光透過率の低下、ゴーストの発生といった発光品質の低下が生じる場合があった。
【0006】
上記の光拡散板、光源ユニットは、他の種類の光学機器に使用される場合があり、これらの光学機器においても、大型化、発光品質の低下という問題が生じうる。このように、光学機器の小型化、発光品質の改善という観点から、光学機器にはさらなる改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、光学機器を小型化することができ、発光品質を改善することが可能な、新規かつ改良された光学ユニット、光照射装置、画像表示装置および光学ユニットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、曲面を有する光学基材と、光学基材の曲面上に設けられる樹脂層と、を備え、樹脂層の表面には、光拡散構造が形成されていることを特徴とする、樹脂積層光学体が提供される。
【0009】
ここで、光拡散構造は、微細凹凸構造を含み、微細凹凸構造を構成する微細凹部間の平均間隔、または微細凸部間の平均間隔が1~150μmであってもよい。
【0010】
また、隣接する微細凹部と微細凸部との高低差が0.5~50μmであってもよい。
【0011】
本発明の他の観点によれば、光源と、光源を内蔵する光学基材と、光学基材の発光面上に設けられる樹脂層と、を備え、樹脂層の表面には、微細凹凸構造が形成されていることを特徴とする、光源ユニットが提供される。
【0012】
ここで、微細凹凸構造は、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ構造、または回折格子構造のいずれか1種類以上であってもよい。
【0013】
また、微細凹凸構造は、モスアイ構造を含み、かつ、微細凹凸構造を構成する微細凹部間の平均間隔、または微細凸部間の平均間隔が50nm~400nmであってもよい。また隣接する微細凹部と微細凸部との高低差が100~500nmであってもよい。
【0014】
本発明の他の観点によれば、
樹脂積層光学体と、
光源ユニットと、
を含み、
前記樹脂積層光学体は、
第1曲面を有する第1光学基材と、
前記第1光学基材の前記第1曲面上に設けられる第1樹脂層と、
を備え、
前記第1樹脂層の表面には、光拡散構造が形成されており、
前記光源ユニットは、
光源と、
前記光源を内蔵する第2光学基材と、
前記第2光学基材の発光面上に設けられる第2樹脂層と、
を備え、
前記第2樹脂層の表面には、第2微細凹凸構造が形成されていることを特徴とする、光学ユニットが提供される。
前記第2微細凹凸構造は、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ構造、または回折格子構造のいずれか1種類以上であるようにしてもよい。
前記第2微細凹凸構造は、モスアイ構造を含み、かつ、前記第2微細凹凸構造を構成する微細凹部間の平均間隔、または微細凸部間の平均間隔が50nm~400nmであるようにしてもよい。
前記第2微細凹凸構造は、モスアイ構造を含み、かつ、前記第2微細凹凸構造において隣接する微細凹部と微細凸部との高低差が100~500nmであるようにしてもよい。
前記光源は、前記第2光学基材と一体に構成されるようにしてもよい。
前記第2光学基材と前記第2樹脂層との間の界面には、第2曲面が形成されており、
前記第2樹脂層は、前記第2曲面に沿って積層されているようにしてもよい。
前記第2光学基材と前記第2樹脂層との間の界面には、コロナ処理、エキシマ処理、UVオゾン処理、加熱処理、火炎処理、溶剤洗浄、またはプライマー塗布処理のいずれか1種以上を含む前処理が施されているようにしてもよい。
前記第2光学基材は、前記光源に対するレンズとして機能するようにしてもよい。
前記第2樹脂層には、前記第2微細凹凸構造の形状に由来する第2光学特性が付与されているようにしてもよい。
前記樹脂積層光学体の前記第1樹脂層には、前記光拡散構造により第1光学特性として光拡散特性が付与されており、
前記光源ユニットの前記第2樹脂層に付与された前記第2光学特性は、前記樹脂積層光学体の前記第1樹脂層に付与された前記第1光学特性とは異なるようにしてもよい。
前記光源ユニットの前記第2光学基材の内部において、複数の前記光源がマトリックス状に配置されているようにしてもよい。
前記樹脂積層光学体の前記光拡散構造は、第1微細凹凸構造を含み、
前記第1微細凹凸構造を構成する微細凹部間の平均間隔、または微細凸部間の平均間隔が1~150μmであるようにしてもよい。
前記第1微細凹凸構造において隣接する微細凹部と微細凸部との高低差が0.5~50μmであるようにしてもよい。
【0015】
本発明の他の観点によれば、上記の光学ユニットを含むことを特徴とする、光照射装置が提供される。
【0016】
本発明の他の観点によれば、上記の光照射装置を含むことを特徴とする、画像表示装置が提供される。
本発明の他の観点によれば、上記の光学ユニットの製造方法であって、前記第2光学基材と前記第2樹脂層との間の界面に、コロナ処理、エキシマ処理、UVオゾン処理、加熱処理、火炎処理、溶剤洗浄、またはプライマー塗布処理のいずれか1種以上を含む前処理を施すことを特徴とする、光学ユニットの製造方法が提供される。
【0017】
本発明の他の観点によれば、樹脂積層光学体の製造方法であって、曲面を有する光学基材を準備する第1の工程と、光学基材の曲面上に未硬化樹脂層を形成する第2の工程と、表面に光拡散構造の反転構造が形成され、かつ、可撓性を有する可撓性原盤を準備する第3の工程と、可撓性原盤を未硬化樹脂層に近接させる第4の工程と、可撓性原盤に印圧を加えることで、可撓性原盤を変形させながら可撓性原盤の反転構造を未硬化樹脂層に押し当てる第5の工程と、可撓性原盤の反転構造を未硬化樹脂層に押し当てた状態で、未硬化樹脂層を硬化させることで、光学基材の曲面上に樹脂層を形成する第6の工程と、を含むことを特徴とする、樹脂積層光学体の製造方法が提供される。
【0018】
ここで、光拡散構造は、微細凹凸構造を含み、微細凹凸構造を構成する微細凹部間の平均間隔、または微細凸部間の平均間隔が1~150μmであってもよい。
【0019】
また、隣接する微細凹部と微細凸部との高低差が0.5~50μmであってもよい。
【0020】
本発明の他の観点によれば、光源ユニットの製造方法であって、曲面を有し、かつ光源を内蔵する光学基材を準備する第1の工程と、光学基材の曲面上に未硬化樹脂層を形成する第2の工程と、表面に微細凹凸構造の反転構造が形成され、かつ、可撓性を有する可撓性原盤を準備する第3の工程と、可撓性原盤を未硬化樹脂層に近接させる第4の工程と、可撓性原盤に印圧を加えることで、可撓性原盤を変形させながら可撓性原盤の反転構造を未硬化樹脂層に押し当てる第5の工程と、可撓性原盤の反転構造を未硬化樹脂層に押し当てた状態で、未硬化樹脂層を硬化させることで、光学基材の曲面上に樹脂層を形成する第6の工程と、を含むことを特徴とする、光源ユニットの製造方法が提供される。
【0021】
また、本発明の他の観点によれば、光源ユニットの製造方法であって、曲面を有する光学基材を準備する第1の工程と、光学基材の曲面上に未硬化樹脂層を形成する第2の工程と、表面に微細凹凸構造の反転構造が形成され、かつ、可撓性を有する可撓性原盤を準備する第3の工程と、可撓性原盤を未硬化樹脂層に近接させる第4の工程と、可撓性原盤に印圧を加えることで、可撓性原盤を変形させながら可撓性原盤の反転構造を未硬化樹脂層に押し当てる第5の工程と、可撓性原盤の反転構造を未硬化樹脂層に押し当てた状態で、未硬化樹脂層を硬化させることで、光学基材の曲面上に樹脂層を形成する第6の工程と、光源上に樹脂層が形成された光学基材を設置する第7の工程と、を含むことを特徴とする、光源ユニットの製造方法が提供される。
【0022】
ここで、微細凹凸構造は、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ構造、または回折格子構造のいずれか1種類以上であってもよい。
【0023】
また、微細凹凸構造は、モスアイ構造を含み、かつ、微細凹凸構造を構成する微細凹部間の平均間隔、または微細凸部間の平均間隔が50nm~400nmであってもよい。また、隣接する微細凹部と微細凸部との高低差が100~500nmであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明によれば、光学機器を小型化することができ、発光品質を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る樹脂積層光学体の一例を示す断面図である。
図2】同実施形態に係る樹脂積層光学体の表面に形成された微細凹凸構造の一例を示す断面図である。
図3】樹脂積層光学体の他の例を示す断面図である。
図4】樹脂積層光学体の他の例を示す断面図である。
図5】樹脂積層光学体の他の例を示す断面図である。
図6】樹脂積層光学体の他の例を示す断面図である。
図7】樹脂積層光学体の他の例を示す断面図である。
図8】樹脂積層光学体の他の例を示す断面図である。
図9】本発明実施形態に係る光源ユニットの一例を示す断面図である。
図10】樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。
図11】樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。
図12】樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。
図13】樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。
図14】樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。
図15】樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。
図16】樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。
図17】本実施形態に係る原盤の外観例を示す斜視図である。
図18】露光装置の構成例を示すブロック図である。
図19】可撓性原盤をロールツーロールで製造する転写装置の一例を示す模式図である。
図20】本実施形態に係る樹脂積層光学体及び光源ユニットの適用例を示す説明図である。
図21】本実施形態に係る樹脂積層光学体及び光源ユニットの適用例を示す説明図である。
図22】本実施形態に係る樹脂積層光学体及び光源ユニットの適用例を示す説明図である。
図23】本実施形態に係る樹脂積層光学体及び光源ユニットの適用例を示す説明図である。
図24】本実施形態に係る樹脂積層光学体及び光源ユニットの適用例を示す説明図である。
図25】本実施形態に係る樹脂積層光学体及び光源ユニットの適用例を示す説明図である。
図26】本実施形態に係る樹脂積層光学体及び光源ユニットの適用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
<1.樹脂積層光学体の構成>
まず、図1図2に基づいて、本実施形態に係る樹脂積層光学体1の構成について説明する。図1に示すように、樹脂積層光学体1は、光学基材10と樹脂層20とを備える。光学基材10は、凸レンズであり、凸型の曲面11を有する。なお、図1の例では光学基材10は平凸レンズ(片面が平面となっている凸レンズ)となっているが、両凸レンズ(両面が凸面となっている凸レンズ)であってもよい。また、光学基材10は他の種類のレンズ、例えば凹レンズ、フレネルレンズであってもよい。光学基材10の形状は上記のものに限定されず、例えば、非球面形状、丸型、角型、非対称形状などであってもよい。光学基材10はミラーであってもよい。
【0028】
光学基材10の材料は特に制限されず、光学レンズあるいは光学ミラーに使用される材料であればよい。光学基材10の材料の一例として、ポリカーボネート、アクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリプロピレン、ガラス等が挙げられる。光学基材10の材料は、樹脂積層光学体1の用途等に応じて適宜選択されればよい。なお、光学基材10を光学ミラーとして使用する場合、曲面11には、鏡面加工(例えば、金属膜あるいは誘電体の蒸着など)がなされてもよい。
【0029】
曲面11には、樹脂層20との密着性を向上させるために、各種の前処理(樹脂層20を曲面11に積層する前の処理)を施してもよい。このような前処理としては、例えば、コロナ処理、エキシマ処理、UVオゾン処理、加熱処理、火炎処理(火炎を曲面11に当てる処理)、溶剤洗浄、プライマー塗布処理等が挙げられる。
【0030】
樹脂層20は、光学基材10の曲面11上に設けられる。樹脂層20の表面21には、図2に示すように、微細凹凸構造50が形成されている。微細凹凸構造50は、多数の微細凸部50a及び微細凹部50bで構成される。樹脂層20には、この微細凹凸構造50に由来する光学特性が付与される。微細凹凸構造50の形状を変えることで、樹脂層20に様々な光学特性を付与することができる。特に、本実施形態では、微細凹凸構造50が光拡散構造となっている。具体的には、光学基材10内を通って微細凹凸構造50に到達した光が拡散して外部に放射されるように、微細凸部50aまたは微細凹部50bの形状が調整される。したがって、樹脂層20には、光拡散特性が付与される。
【0031】
微細凹部50b間の平均間隔、または微細凸部50a間の平均間隔は、1~150μmであることが好ましい。さらに、隣接する微細凹部50bと微細凸部50aとの高低差は、0.5~50μmであることが好ましい。これらの条件のうち少なくとも一方(好ましくは両方)が満たされる場合、光拡散特性がより高まる。
【0032】
ここで、微細凹凸構造50の形状は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)または原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観測される。そして、観測結果に基づいて、上記の平均間隔または高低差が測定される。例えば、微細凹部50b間の平均間隔は、以下の方法で測定される。すなわち、樹脂積層光学体1の中心の断面(光軸を通り、かつ光軸に平行な断面)を観察する。そして、隣接する微細凹部50bの中心点(底面の中心点)間距離を測定する。そして、中心点間距離をいくつか測定し、これらの算術平均値を微細凹部50b間の平均間隔とすればよい。微細凸部50a間の平均間隔も同様の方法で測定される。すなわち、隣接する微細凸部50aの頂点(上端部の中心点)間距離を測定する。そして、頂点間距離をいくつか測定し、これらの算術平均値を微細凸部50a間の平均間隔とすればよい。隣接する微細凹部50bと微細凸部50aとの高低差は、微細凹部50bの底面の中心点と微細凸部50aの頂点との距離(樹脂層20の厚さ方向の距離)である。
【0033】
樹脂層20の厚さは特に制限されないが、例えば200μm以下であることが望ましい。樹脂層20が厚すぎる場合、光(UV)硬化時に樹脂の硬化収縮により膜応力が蓄積され、光学基材10と樹脂層20の間で密着不良が発生する可能性がある。
【0034】
ここで、上述したように、樹脂層20の表面21には微細凹凸構造50が形成されているので平坦ではない。そこで、樹脂層20の厚さは、例えば以下の方法により測定される。すなわち、各種の3次元測定器(例えば、Panasonic社製3次元測定器UA3P)を用いて、樹脂積層光学体1の中心の断面(光軸を通り、かつ光軸に平行な断面)を観察する。そして、得られた表面21の曲線を最小二乗法により球面フィッティングする。光学基材10(つまり、加工前)の中心の断面(光軸を通り、かつ光軸に平行な断面)を観察し、得られた画像を樹脂積層光学体1の中心の断面と対比することで樹脂層20の領域を特定する。そして、上述した球面フィッティングにより得られた表面21の曲線から曲面11の曲線までの距離を樹脂層20の厚さとする。後述する実施例では、この方法により樹脂層20の厚さを測定した。なお、厚さはいくつかの測定点で測定した値の算術平均値とした。測定には、Panasonic社製3次元測定器UA3Pを用いた。
【0035】
このように、本実施形態では、光拡散特性を有する樹脂層20と光学基材10とが一体化されている。したがって、樹脂積層光学体1を光学機器に適用することで、光学機器を小型化することができる。さらに、光拡散特性を有する基板と無処理の光学基材10とを別々の部品として配置した場合と比較すると、本実施形態ではこれらの部品を一体化することで反射を発生し得る界面が減少することから、光透過率が向上し、ゴーストの発生が抑制される。すなわち、発光品質が改善される。
【0036】
ここで、樹脂層20の表面21の一部の領域に光拡散特性を付与し、他の領域に異なる光学特性を付与してもよい。つまり、微細凹凸構造50の種類を表面21の領域ごとに変えてもよい。光拡散構造以外の微細凹凸構造50の構造としては、例えば、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ構造、及び回折格子構造等が挙げられる。つまり、樹脂層20の表面21には、光拡散構造の他、これらの構造のいずれか1種以上が混在していてもよい。
【0037】
微細凹凸構造50がモスアイ構造となる場合、微細凸部50aまたは微細凹部50bは、可視光波長以下の平均周期(ここでの平均周期は上述した平均間隔と同義)で表面21に配列される。これにより、表面21における外光の反射が抑制される。さらに、微細凹凸構造を構成する微細凹部間の平均間隔、または微細凸部間の平均間隔が50nm~400nmであることが好ましく、隣接する微細凹部50bと微細凸部50aとの高低差が100~500nmであることが好ましい。この場合、外光の反射がより効果的に抑制される。したがって、微細凹凸構造50がモスアイ構造となる場合、樹脂層20には、反射防止特性が付与される。
【0038】
微細凹凸構造50がマイクロレンズアレイ構造となる場合、微細凸部50aまたは微細凹部50bがミクロンオーダーのマイクロレンズとなっている。微細凹凸構造50が回折格子構造となる場合、微細凸部50aまたは微細凹部50bが回折格子の形状を有している。光拡散構造以外の微細凹凸構造50は上記の例に限定されない。また、同種のパターンでも光学特性は異なるように調整された微細凹凸構造50が樹脂層20の表面21上に混在ないし配列されていてもよい。例えば、光拡散構造が形成された領域のうち、一部の領域と他の領域とで光拡散特性が異なるように微細凹凸構造50を設計してもよい。この場合、上述した平均間隔あるいは高低差を領域ごとに変更すればよい。
【0039】
樹脂層20は、硬化性樹脂の硬化物で構成される。硬化性樹脂の硬化物は、透明性を有することが好ましい。硬化性樹脂は、重合性化合物と硬化開始剤とを含む。重合性化合物は、硬化開始剤によって硬化する樹脂である。重合性化合物としては、例えばエポキシ重合性化合物、及びアクリル重合性化合物等が挙げられる。エポキシ重合性化合物は、分子内に1つまたは2つ以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーである。エポキシ重合性化合物としては、各種ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、F型等)、ノボラック型エポキシ樹脂、ゴムおよびウレタン等の各種変性エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びこれらのプレポリマー等が挙げられる。
【0040】
アクリル重合性化合物は、分子内に1つまたは2つ以上のアクリル基を有するモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーである。ここで、モノマーは、さらに分子内にアクリル基を1つ有する単官能モノマー、分子内にアクリル基を2つ有する二官能モノマー、分子内にアクリル基を3つ以上有する多官能モノマーに分類される。
【0041】
「単官能モノマー」としては、例えば、カルボン酸類(アクリル酸等)、ヒドロキシ類(2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート)、アルキル又は脂環類のモノマー(イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、その他機能性モノマー(2-メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、2-(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピル-アクリレート、2-(パーフルオロデシル)エチル-アクリレート、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチルアクリレート)、2,4,6-トリブロモフェノールアクリレート、2,4,6-トリブロモフェノールメタクリレート、2-(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エチルアクリレート)、2-エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられる。
【0042】
「二官能モノマー」としては、例えば、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパン-ジアリルエーテル、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0043】
「多官能モノマー」としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどが挙げられる。
【0044】
上記で列挙したアクリル重合性化合物以外の例としては、アクリルモルフォリン、グリセロールアクリレート、ポリエーテル系アクリレート、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルカプロラクトン、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、脂肪族ウレタンオリゴマー、ポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
【0045】
硬化性樹脂の構成単位、すなわちモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーの種類、配合比等を調整することで、樹脂層20の特性、例えば屈折率、粘度等を調整することができる。
【0046】
硬化開始剤は、硬化性樹脂を硬化させる材料である。硬化開始剤の例としては、例えば、熱硬化開始剤、光硬化開始剤等が挙げられる。硬化開始剤は、熱、光以外の何らかのエネルギー線(例えば電子線)等によって硬化するものであってもよい。硬化開始剤が熱硬化開始剤となる場合、硬化性樹脂は熱硬化性樹脂となり、硬化開始剤が光硬化開始剤となる場合、硬化性樹脂は光硬化性樹脂となる。
【0047】
ここで、樹脂層20の加工性の観点からは、硬化開始剤は、紫外線硬化開始剤であることが好ましい。紫外線硬化開始剤は、光硬化開始剤の一種である。紫外線硬化開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。したがって、硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。透明性の観点から、硬化性樹脂は、紫外線硬化性アクリル樹脂であることがより好ましい。上記硬化性樹脂は、光学基材10を構成する材料の光学特性や、装置の光学設計に合わせて適宜選択・調整することができる。
【0048】
<2.樹脂積層光学体の各種変形例>
次に、図3図8に基づいて、樹脂積層光学体1の各種変形例について説明する。図3に示す変形例では、光学基材10が平凹レンズ(片面が平面となっている凹レンズ)となっている。樹脂層20は、光学基材10の曲面11上に形成されている。樹脂層20には、上述した微細凹凸構造50が形成されている。
【0049】
図4に示す変形例では、図1に示す光学基材10の表裏両面に樹脂層20が形成されている。各樹脂層20には、上述した微細凹凸構造50が形成されている。これらの微細凹凸構造50の種類は同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、表裏両面の微細凹凸構造50を光拡散構造としてもよい。表面(ここでは曲面11)側の微細凹凸構造50を光拡散構造とし、裏面側の微細凹凸構造50をモスアイ構造としてもよい。逆に、表面側の微細凹凸構造50をモスアイ構造とし、裏面側の微細凹凸構造50をモスアイ構造としてもよい。つまり、樹脂積層光学体1に形成される微細凹凸構造50には、光拡散構造が含まれていればよい。以下の各変形例についても同様である。
【0050】
図5に示す変形例では、図3に示す光学基材10の表裏両面に樹脂層20が形成されている。各樹脂層20には、上述した微細凹凸構造50が形成されている。微細凹凸構造50の種類は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0051】
図6に示す変形例では、光学基材10が両凸レンズ(表裏両面が凸面となっているレンズ)となっており、表裏両面に樹脂層20が形成されている。各樹脂層20には、上述した微細凹凸構造50が形成されている。微細凹凸構造50の種類は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0052】
図7に示す変形例では、光学基材10が両凹レンズ(表裏両面が凹面となっているレンズ)となっており、表裏両面に樹脂層20が形成されている。各樹脂層20には、上述した微細凹凸構造50が形成されている。微細凹凸構造50の種類は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0053】
図8に示す変形例では、光学基材10の表面が凸面、裏面が凹面となっており、さらに光学基材10の表裏両面に樹脂層20が形成されている。各樹脂層20には、上述した微細凹凸構造50が形成されている。微細凹凸構造50の種類は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0054】
もちろん、本実施形態に係る樹脂積層光学体1は、図1の例及び上記の変形例に限定されない。例えば、図4図8において、表面側、または裏面側の樹脂層20は省略されてもよい。
【0055】
<3.光源ユニットの構成>
次に、図2及び図9に基づいて、本実施形態に係る光源ユニット30の構成について説明する。図9に示すように、光源ユニット30は、光源31と、光学基材32と、樹脂層40とを備える。光源31は、発光する部材である。光源31の種類は特に問われず、例えば発光ダイオード(LED)であってもよいし、レーザであってもよい。図9では光源31は3つ描かれているが、光源ユニット30に含まれる光源31の数は光源ユニット30の用途などに応じて適宜調整される。
【0056】
ここで、光源31は、光学基材32に内蔵されるものである。光源31は、光学基材32と一体となっていてもよいし、光学基材32と別体となっていてもよい。光源ユニット30は、光源31から発光した光を界面32aから外部に出射する。界面32aには曲面33が形成されており、曲面33に沿って樹脂層40が積層されている。図9の例では曲面33が凸面となっているが、凹面であってもよい。したがって、光学基材32は光源31に対するレンズとして機能する。曲面33は省略されてもよい。光学基材32の材料は特に制限されず、例えば光学基材10と同様であってもよい。
【0057】
界面32aには、樹脂層40との密着性を向上させるために、各種の前処理(樹脂層20を発光面32aに積層する前の処理)を施してもよい。このような前処理としては、例えば、コロナ処理、エキシマ処理、UVオゾン処理、加熱処理、火炎処理(火炎を曲面11に当てる処理)、溶剤洗浄、プライマー塗布処理等が挙げられる。
【0058】
樹脂層40は、光学基材32の界面32a上に設けられる。樹脂層40の表面41には、図2に示す微細凹凸構造50が形成されている。微細凹凸構造50の詳細な内容は上述したとおりである。樹脂層40には、この微細凹凸構造50に由来する光学特性が付与される。微細凹凸構造50の形状を変えることで、樹脂層40に様々な光学特性を付与することができる。
【0059】
ここで、樹脂層40には、任意の光学特性が付与される。すなわち、微細凹凸構造50は、例えば、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ構造、または回折格子構造であってもよい。つまり、樹脂層40が有する光学特性は、必ずしも光拡散特性に限定されない。樹脂層40の表面41には、これらの構造のいずれか1種以上が混在していてもよい。また、同種のパターン(例えば光拡散構造)でも光学特性は異なるように微細凹凸構造50の形状を調整してもよい。樹脂層40を構成する材料、厚さは樹脂層20と同様であればよい。樹脂層40の厚さは樹脂層20と同様の方法で測定される。
【0060】
このように、本実施形態では、光源ユニット30と各種の光学特性を有する樹脂層40とが一体化されている。したがって、光源ユニット30を光学機器に適用することで、光学機器を小型化することができる。さらに、例えば光源ユニット30の表面にモスアイ構造を形成することで界面32aでの反射が抑制され、光透過率が向上し、ゴーストの発生が抑制される。すなわち、発光品質が改善される。
【0061】
<4.樹脂積層光学体の製造方法>
樹脂積層光学体1は、所謂インプリンティング法により作製することが可能である。以下、図10図14に基づいて、樹脂積層光学体1の製造方法について詳細に説明する。なお、図10図14の例では、光学基材10は両凸レンズとなっている。
【0062】
(4-1.第1の工程)
まず、上述した光学基材10を準備する。
【0063】
(4-2.第2の工程)
ついで、図10に示すように、光学基材固定治具600に光学基材10をセットする。ついで、塗布装置700を用いて、光学基材10の曲面11(ここでは片側の凸面)上に未硬化の硬化性樹脂を塗布する。これにより、光学基材10の曲面11上に未硬化樹脂層20aを形成する。塗布装置700の種類は特に制限されず、例えばスピンコータ、ディスペンサ、インクジェット装置等であってもよい。塗布装置700の種類は未硬化樹脂層20aの性状等に応じて選択されればよい。光学基材10に対する未硬化樹脂層20aの密着性、未硬化樹脂層20aの粘度等を調整するために、塗布の前あるいは塗布の間に光学基材10を加熱してもよい。また、未硬化樹脂層20aの種類に応じて塗布後に未硬化樹脂層20aに加熱処理を施してもよい。なお、塗布装置700は後述のチャンバー装置500に組み込んでもよいし、チャンバー装置500とは別体であってもよい。
【0064】
(4-3.第3の工程)
第3の工程では、図11に示す可撓性原盤400を準備する。ここで、可撓性原盤400は可能性を有するフィルムであり、その表面には微細凹凸構造50の反転構造(以下、「反転凹凸構造430」とも称する)が形成されている。可撓性原盤400はソフトモールドと称されることもある。反転凹凸構造430は図19に示される。可撓性原盤400の製造方法については後述する。第3の工程は、少なくとも後述の第4の工程が行われる前に行われればよい。
【0065】
(4-4.第4の工程)
第4の工程は光学基材・可撓性原盤セット工程及び光学基材アプローチ工程で構成される。
【0066】
(光学基材・可撓性原盤セット工程)
図11に示すように、チャンバー装置500に光学基材固定治具600及び光学基材10をセットする。ここで、チャンバー装置500は、中空の装置であり、上チャンバーボックス510、下チャンバーボックス520、フィルム固定治具530、及び可動テーブル540を有する。上チャンバーボックス510は、下側に開口した箱型の部材であり、下チャンバーボックス520は上側に開口した箱型の部材である。
【0067】
上チャンバーボックス510及び下チャンバーボックス520には真空ポンプあるいは圧空ポンプが接続されており、各々の内部空間を陰圧または陽圧状態にすることができる。ここで、各チャンバーボックス内の空間を陽圧状態にする際には、各種の流体を各チャンバーボックス内の空間に導入する。ここで、流体の例は例えば空気等のガスであるが、液体であってもよい。各チャンバーボックス内の圧力の具体的な値、そのような圧力を保持する時間は任意に調整可能である。また、上チャンバーボックス510内には図示しない紫外線照射装置が設けられる。紫外線照射装置は下チャンバーボックス520内に設けられてもよい。紫外線の強度、照射時間は任意に調整可能である。なお、この例では未硬化樹脂層20aが紫外線硬化性樹脂であることが前提となっているが、他の種類の硬化性樹脂となる場合には、その硬化性樹脂を硬化させるための装置が上チャンバーボックス510あるいは下チャンバーボックス520内に設けられればよい。また、各チャンバーボックスには加熱装置が設けられていてもよい。フィルム固定治具530は後述する可撓性原盤400を下チャンバーボックス520の開口面に固定する治具である。可動テーブル540は下チャンバーボックス520内に配置され、図示しない駆動装置により上下に移動可能となっている。
【0068】
光学基材10は、具体的には、光学基材固定治具600ごと可動テーブル540にセットされる。ついで、フィルム固定治具530に可撓性原盤400を固定する。可撓性原盤400によって下チャンバーボックス520の開口面が閉塞される。可撓性原盤400は、反転凹凸構造430が光学基材10を向くようにフィルム固定治具530に固定される。
【0069】
(光学基材アプローチ工程)
ついで、図12に示すように、上チャンバーボックス510と下チャンバーボックス520とを連結する。これにより、チャンバー装置500内の空間が密閉される。この際、チャンバー装置500内を昇温してもよい。ついで、チャンバー装置500内の空間を真空引きする。ついで、可動テーブル540を上昇させることで、可撓性原盤400と光学基材10とを近接させる。可撓性原盤400と光学基材10との距離は光学基材10の形状等に応じて適宜調整されればよい。図12中の矢印は、可動テーブル540の移動方向を示す。
【0070】
(4-5.第5の工程(プレス工程))
ついで、上チャンバーボックス510に流体を導入することで、上チャンバーボックス510内の空間を陽圧状態にする。これにより、可撓性原盤400に印圧を加える。図13中の矢印は印圧の方向を示す。この工程によって、可撓性原盤400を変形させながら可撓性原盤400の反転凹凸構造430を未硬化樹脂層20aに押し当てる。これにより、未硬化樹脂層20aが曲面11(片側の凸面)の全体に広がり、反転凹凸構造430の微細凸部間に未硬化樹脂層20aが侵入する。ここで、未硬化樹脂層20aと可撓性原盤400との間にはなるべく隙間を形成しないことが好ましい。隙間が残っていると、気泡の噛みこみや、反転凹凸構造430が十分に樹脂層20に転写されない、という現象が発生する可能性があるからである。
【0071】
(4-6.第6の工程(硬化工程))
そして、この状態で未硬化樹脂層20aを硬化させる。具体的には、未硬化樹脂層20aに紫外線を照射させる。これにより、未硬化樹脂層20aが樹脂層20となり、かつ、樹脂層20の表面に反転凹凸構造430が転写される。すなわち、樹脂層20の表面21に反転凹凸構造430の反転構造、すなわち微細凹凸構造50が形成される。以上の工程により、樹脂積層光学体1が作製される。
【0072】
(2-7.剥離工程)
ついで、図14に示すように、可動テーブル540を下降させることで、可撓性原盤400から樹脂積層光学体1を剥離させる。なお、この工程では、可撓性原盤400と樹脂積層光学体1との剥離を促進させるための剥離補助工程を行ってもよい。このような剥離補助工程としては、可撓性原盤400と樹脂積層光学体1との間にブレードを差し込む、可撓性原盤400と樹脂積層光学体1との間に空気等のガスを吹き込む等が挙げられる。
【0073】
その後、チャンバー装置500内の空間を大気圧状態として上チャンバーボックス510を取り外す。ついで、可撓性原盤400及び樹脂積層光学体1を下チャンバーボックス520から取出す。なお、樹脂層20の硬化促進を目的としてさらなる紫外線照射処理を行ってもよいし、樹脂層20内の応力緩和を目的として加熱処理を行ってもよい。
【0074】
以上の工程により光学基材10の片側の曲面11に樹脂層20を形成することができる。必要に応じて逆側の曲面にも上記と同様の工程により樹脂層20を形成してもよい。
【0075】
なお、光学基材10が凹レンズとなる場合も上記と同様の工程により樹脂積層光学体1を作成することができる。工程の概要を図15及び図16に示す。図15に示すように、光学基材10の曲面11上に未硬化樹脂層20aを形成する。ついで、チャンバー装置500内に光学基材10及び可撓性原盤400をセットする。ついで、可撓性原盤400と光学基材10とを近接させる。ついで、図16に示すように、可撓性原盤400に印圧を加える。図16中の矢印は印圧の方向を示す。この工程によって、可撓性原盤400を変形させながら可撓性原盤400の反転凹凸構造430を未硬化樹脂層20aに押し当てる。これにより、未硬化樹脂層20aが曲面11の全体に広がり、反転凹凸構造430の微細凸部間に未硬化樹脂層20aが侵入する。ここで、未硬化樹脂層20aと可撓性原盤400との間にはなるべく隙間を形成しないことが好ましい。この状態で未硬化樹脂層20aを硬化させる。具体的には、未硬化樹脂層20aに紫外線を照射させる。これにより、未硬化樹脂層20aが樹脂層20となり、かつ、樹脂層20の表面に反転凹凸構造430が転写される。すなわち、樹脂層20の表面21に反転凹凸構造430の反転構造、すなわち微細凹凸構造50が形成される。以上の工程により、樹脂積層光学体1が作製される。
【0076】
ついで、可撓性原盤400から樹脂積層光学体1を剥離させ、可撓性原盤400及び樹脂積層光学体1をチャンバー装置500から取出す。
【0077】
以上の工程により光学基材10の片側の曲面11に樹脂層20を形成することができる。必要に応じて逆側の曲面にも上記と同様の工程により樹脂層20を形成してもよい。上述した樹脂積層光学体1の製造方法によれば、光学基材10の曲面11上に樹脂層20を容易に形成することができる。
【0078】
<5.光源ユニットの製造方法>
つぎに、光源ユニット30の製造方法について説明する。光源ユニット30も樹脂積層光学体1と同様の製造方法により作製されるが、光源31を光源ユニット30に内蔵させる工程が追加されるという点で樹脂積層構造体1の製造方法とは異なる。ここで、光源ユニット30に光源31を内蔵させる方法としては、例えば、光学基材32に予め光源31を内蔵させる方法が挙げられる。この方法では、光源31上にモールディング等の成型にて樹脂を直接充填することで、光学基材32に光源31を埋め込む。この光学基材32に対して、上述した第2の工程以降の工程を行うことで、光源ユニット30を作製する。光源ユニット30に光源31を内蔵させる他の方法としては、以下の方法が挙げられる。すなわち、光源31とは別体となった光学基材32に対して上述した第1の工程から剥離工程まで行うことで、光学基材32上に樹脂層40を形成する。ついで、樹脂層40が形成された光学基材32を光源31上に設置する。これにより、光源ユニット30を作製する。上述した光源ユニット30の製造方法によれば、光学基材32の曲面33上に樹脂層40を容易に形成することができる。
【0079】
<6.可撓性原盤の詳細構成及び製造方法>
つぎに、可撓性原盤400の詳細構成及び製造方法について説明する。図19に示すように、可撓性原盤400は、可撓性基材410と、可撓性基材410の表面に形成された樹脂層425とを備える。可撓性基材410は、可撓性を有する平板状の基材である。可撓性基材410を構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート。なお、PETの性状は特に問われず、非晶質であってもよいし、延伸したものであってもよい)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、塩化ビニル等が挙げられる。
【0080】
樹脂層425は、硬化性樹脂で構成される。硬化性樹脂の種類は特に制限されず、例えば樹脂層20を構成する硬化性樹脂と同様の硬化性樹脂であってもよい。樹脂層425には、反転凹凸構造430が形成される。反転凹凸構造430は、多数の微細凸部430a及び微細凹部430bで構成される。
【0081】
つぎに、可撓性原盤400の製造方法について説明する。可撓性原盤400の製造方法は、反転凹凸構造430の反転構造を有する転写型を作製する第1の原盤作製工程と、可撓性基材410の表面に未硬化樹脂層420を形成する第2の原盤作製工程と、未硬化樹脂層420を硬化させるとともに、転写型の凹凸構造を硬化後の樹脂層425に転写する第3の原盤作製工程と、を含む。
【0082】
(6-1.第1の原盤作製工程)
第1の原盤作製工程は、反転凹凸構造430の反転構造を有する転写型を作製する工程である。転写型は、例えば図17に示す原盤100である。
【0083】
(6-1-1.原盤の構成)
そこで、原盤100の構成について説明する。原盤100は、円筒形状となっている。原盤100は円柱形状であっても、他の形状(例えば平板状)であってもよい。ただし、原盤100が円柱または円筒形状である場合、ロールツーロール方式によって原盤100の凹凸構造(すなわち、原盤凹凸構造)120を樹脂基材等にシームレス的に転写することができる。これにより、可撓性基材410の表面に反転凹凸構造430を高い生産効率で形成することができる。このような観点からは、原盤100の形状は、円筒形状または円柱形状であることが好ましい。
【0084】
原盤100は、原盤基材110と、原盤基材110の周面に形成された原盤凹凸構造120とを備える。原盤基材110は、例えば、ガラス体であり、具体的には、石英ガラスで形成される。ただし、原盤基材110は、SiO純度が高いものであれば、特に限定されず、溶融石英ガラスまたは合成石英ガラス等で形成されてもよい。原盤基材110は、金属母材上に上記の材料を積層したものや金属母材(例えば、Cu、Ni、Cr、Al)であってもよい。原盤基材110の形状は円筒形状であるが、円柱形状、他の形状であってもよい。ただし、上述のように、原盤基材110は円筒形状または円柱形状であることが好ましい。原盤凹凸構造120は、反転凹凸構造430の反転構造を有する。
【0085】
(6-1-2.原盤の製造方法)
つぎに、原盤100の製造方法を説明する。まず、原盤基材110上に、基材レジスト層を形成(成膜)する。ここで、基材レジスト層を構成するレジスト材は特に制限されず、有機レジスト材及び無機レジスト材のいずれであってもよい。有機レジスト材としては、例えば、ノボラック系レジスト、または化学増幅型レジストなどが挙げられる。また、無機レジスト材としては、例えば、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)などの1種または2種以上の遷移金属を含む金属酸化物等が挙げられる。その他、無機レジスト材としては、Cr、Au等が挙げられる。ただし、熱反応リソグラフィを行うためには、基材レジスト層は、金属酸化物を含む熱反応型レジストで形成されることが好ましい。
【0086】
有機レジスト材を使用する場合、基材レジスト層は、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、またはスクリーン印刷等を用いることで原盤基材110上に形成されてもよい。また、基材レジスト層に無機レジスト材を使用する場合、基材レジスト層は、スパッタ法を用いることで形成されてもよい。有機レジスト材、無機レジスト材は併用されてもよい。
【0087】
次に、露光装置200(図18参照)により基材レジスト層の一部を露光することで、基材レジスト層に潜像を形成する。具体的には、露光装置200は、レーザ光200Aを変調し、レーザ光200Aを基材レジスト層に対して照射する。これにより、レーザ光200Aが照射された基材レジスト層の一部が変性するため、基材レジスト層に原盤凹凸構造120に対応する潜像を形成することができる。
【0088】
続いて、潜像が形成された基材レジスト層上に現像液を滴下することで、基材レジスト層を現像する。これにより、基材レジスト層に凹凸構造が形成される。ついで、基材レジスト層をマスクとして原盤基材110及び基材レジスト層をエッチングすることで、原盤基材110上に原盤凹凸構造120を形成する。なお、エッチングの方法は特に制限されないが、垂直異方性を有するドライエッチングであることが好ましく、例えば、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)であることが好ましい。以上の工程により、原盤100を作製する。エッチングはウエットエッチングであってもよい。
【0089】
(6-1-3.露光装置の構成)
次に、図18に基づいて、露光装置200の構成について説明する。露光装置200は、基材レジスト層を露光する装置である。露光装置200は、レーザ光源201と、第1ミラー203と、フォトダイオード(Photodiode:PD)205と、偏向光学系と、制御機構230と、第2ミラー213と、移動光学テーブル220と、スピンドルモータ225と、ターンテーブル227とを備える。また、原盤基材110は、ターンテーブル227上に載置され、回転することができるようになっている。
【0090】
レーザ光源201は、レーザ光200Aを発する光源であり、例えば、固体レーザまたは半導体レーザなどである。レーザ光源201が発するレーザ光200Aの波長は、特に限定されないが、例えば、400nm~500nmの青色光帯域の波長であってもよい。また、レーザ光200Aのスポット径(レジスト層に照射されるスポットの直径)は、原盤凹凸構造120の凹部の開口面の直径より小さければよく、例えば200nm程度であればよい。レーザ光源201から発せられるレーザ光200Aは制御機構230によって制御される。
【0091】
レーザ光源201から出射されたレーザ光200Aは、平行ビームのまま直進し、第1ミラー203で反射され、偏向光学系に導かれる。
【0092】
第1ミラー203は、偏光ビームスプリッタで構成されており、偏光成分の一方を反射させ、偏光成分の他方を透過させる機能を有する。第1ミラー203を透過した偏光成分は、フォトダイオード205によって受光され、光電変換される。また、フォトダイオード205によって光電変換された受光信号は、レーザ光源201に入力され、レーザ光源201は、入力された受光信号に基づいてレーザ光200Aの位相変調を行う。
【0093】
また、偏向光学系は、集光レンズ207と、電気光学偏向素子(Electro Optic Deflector:EOD)209と、コリメータレンズ211とを備える。
【0094】
偏向光学系において、レーザ光200Aは、集光レンズ207によって、電気光学偏向素子209に集光される。電気光学偏向素子209は、レーザ光200Aの照射位置を制御することが可能な素子である。露光装置200は、電気光学偏向素子209により、移動光学テーブル220上に導かれるレーザ光200Aの照射位置を変化させることも可能である(いわゆる、Wobble機構)。レーザ光200Aは、電気光学偏向素子209によって照射位置を調整された後、コリメータレンズ211によって、再度、平行ビーム化される。偏向光学系から出射されたレーザ光200Aは、第2ミラー213によって反射され、移動光学テーブル220上に水平かつ平行に導かれる。
【0095】
移動光学テーブル220は、ビームエキスパンダ(Beam expader:BEX)221と、対物レンズ223とを備える。移動光学テーブル220に導かれたレーザ光200Aは、ビームエキスパンダ221により所望のビーム形状に整形された後、対物レンズ223を介して、原盤基材110上に形成された基材レジスト層に照射される。また、移動光学テーブル220は、原盤基材110が1回転する毎に矢印R方向(送りピッチ方向)に1送りピッチ(トラックピッチ)だけ移動する。ターンテーブル227上には、原盤基材110が設置される。スピンドルモータ225はターンテーブル227を回転させることで、原盤基材110を回転させる。これにより、レーザ光200Aを基材レジスト層上で走査させる。ここで、レーザ光200Aの走査方向に沿って、基材レジスト層の潜像が形成される。
【0096】
また、制御機構230は、フォーマッタ231と、ドライバ233とを備え、レーザ光200Aの照射を制御する。フォーマッタ231は、レーザ光200Aの照射を制御する変調信号を生成し、ドライバ233は、フォーマッタ231が生成した変調信号に基づいて、レーザ光源201を制御する。これにより、原盤基材110へのレーザ光200Aの照射が制御される。
【0097】
フォーマッタ231は、基材レジスト層に描画する任意のパターンが描かれた入力画像に基づいて、基材レジスト層にレーザ光200Aを照射するための制御信号を生成する。具体的には、まず、フォーマッタ231は、基材レジスト層に描画する任意の描画パターンが描かれた入力画像を取得する。入力画像は、軸方向に基材レジスト層の外周面を切り開いて一平面に伸ばした、基材レジスト層の外周面の展開図に相当する画像である。この展開図には、原盤100の周面形状に相当する画像が描かれている。この画像は、反転凹凸構造430の反転構造を示す。なお、原盤100の原盤凹凸構造120が転写された転写用フィルムを作製し、この転写用フィルムを転写型として用いて可撓性基材410上に反転凹凸構造430を形成してもよい。この場合、原盤凹凸構造120は反転凹凸構造430と同じ凹凸構造を有することになる。
【0098】
次に、フォーマッタ231は、入力画像を所定の大きさの小領域に分割し(例えば、格子状に分割し)、小領域の各々に凹部描画パターン(つまり、原盤100の凹部に相当するパターン)が含まれるか否かを判断する。続いて、フォーマッタ231は、凹部描画パターンが含まれると判断した各小領域にレーザ光200Aを照射するよう制御する制御信号に生成する。この制御信号(すなわち、露光信号)は、スピンドルモータ225の回転と同期されることが好ましいが、同期されていなくてもよい。また、制御信号とスピンドルモータ225の回転との同期は原盤基材110が1回転する毎に取り直されてもよい。さらに、ドライバ233は、フォーマッタ231が生成した制御信号に基づいてレーザ光源201の出力を制御する。これにより、基材レジスト層へのレーザ光200Aの照射が制御される。なお、露光装置200は、フォーカスサーボ、レーザ光200Aの照射スポットの位置補正等のような公知の露光制御処理を行ってもよい。フォーカスサーボはレーザ光200Aの波長を用いてもよく、他の波長を参照用に用いてもよい。
【0099】
また、レーザ光源201から照射されたレーザ光200Aは、複数系統の光学系に分岐された後に基材レジスト層に照射されてもよい。この場合、複数の照射スポットが基材レジスト層に形成される。この場合、一方の光学系から出射されたレーザ光200Aが他方の光学系によって形成された潜像に到達した際に、露光を終了すればよい。
【0100】
したがって、本実施形態によれば、入力画像の描画パターンに応じた潜像をレジスト層に形成することができる。そして、レジスト層を現像し、現像後のレジスト層をマスクとして原盤基材110及び基材レジスト層をエッチングすることで、原盤基材110上に入力画像の描画パターンに応じた原盤凹凸構造120を形成する。すなわち、描画パターンに応じた任意の原盤凹凸構造120を形成することができる。したがって、描画パターンとして、反転凹凸構造430の反転構造が描かれた描画パターンを準備すれば、反転凹凸構造430の反転構造を有する原盤凹凸構造120を形成することができる。
【0101】
なお、本実施形態で使用可能な露光装置は露光装置200に制限されず、露光装置200と同様の機能を有するものであればどのような露光装置を使用してもよい。
【0102】
(6-1-4.原盤を用いた凹凸構造の形成方法について)
次に、図19を参照して、原盤100を用いた反転凹凸構造430の形成方法の一例について説明する。反転凹凸構造430は、原盤100を用いたロールツーロール方式の転写装置300によって可撓性基材410上に形成可能である。図19に示す転写装置300では、樹脂層425を構成する硬化性樹脂が所謂紫外線硬化性樹脂となっている。転写装置300を用いて、上述した第2および第3の原盤作製工程が行われる。
【0103】
転写装置300は、原盤100と、基材供給ロール301と、巻取りロール302と、ガイドロール303、304と、ニップロール305と、剥離ロール306と、塗布装置307と、光源309とを備える。
【0104】
基材供給ロール301は、長尺な可撓性基材410がロール状に巻かれたロールであり、巻取りロール302は、可撓性原盤400を巻き取るロールである。また、ガイドロール303、304は、可撓性基材410を搬送するロールである。ニップロール305は、未硬化樹脂層420が積層された可撓性基材410、すなわち被転写フィルム450を原盤100に密着させるロールである。剥離ロール306は、可撓性原盤400を原盤100から剥離するロールである。
【0105】
塗布装置307は、コーターなどの塗布手段を備え、未硬化の硬化性樹脂を可撓性基材410に塗布し、未硬化樹脂層420を形成する。塗布装置307は、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、またはダイコーターなどであってもよい。また、光源309は、未硬化樹脂を硬化可能な波長の光を発する光源であり、例えば、紫外線ランプなどであってもよい。
【0106】
転写装置300では、まず、基材供給ロール301からガイドロール303を介して、可撓性基材410が連続的に送出される。なお、送出の途中で基材供給ロール301を別ロットの基材供給ロール301に変更してもよい。送出された可撓性基材410に対して、塗布装置307により未硬化樹脂が塗布され、可撓性基材410に未硬化樹脂層420が積層される。これにより、被転写フィルム450が作製される。被転写フィルム450は、ニップロール305により、原盤100と密着させられる。光源309は、原盤100に密着した未硬化樹脂層420に紫外線を照射することで、未硬化樹脂層420を硬化する。これにより、未硬化樹脂層420が樹脂層425となり、かつ、樹脂層425の表面に原盤凹凸構造120が転写される。すなわち、樹脂層425の表面に原盤凹凸構造120の反転構造、すなわち反転凹凸構造430が形成される。続いて、反転凹凸構造430が形成された可撓性基材410は、剥離ロール306により原盤100から剥離される。ついで、反転凹凸構造430が形成された可撓性基材410は、ガイドロール304を介して、巻取りロール302によって巻き取られる。なお、原盤100は縦置きであっても横置きであってもよく、原盤100の回転時の角度、偏芯を補正する機構を別途設けてもよい。例えば、チャッキング機構に偏芯チルト機構を設けてもよい。転写は圧空転写により行われてもよい。
【0107】
このように、転写装置300では、被転写フィルム450をロールツーロールで搬送する一方で、原盤100の周面形状を被転写フィルム450に転写する。これにより、可撓性基材410上に反転凹凸構造430が形成される。
【0108】
なお、可撓性基材410を熱可塑性樹脂フィルムとした場合、塗布装置307及び光源309は不要となる。この場合、原盤100よりも上流側に加熱装置を配置する。この加熱装置によって可撓性基材410を加熱して柔らかくし、その後、可撓性基材410を原盤100に押し付ける。これにより、原盤100の周面に形成された原盤凹凸構造120が可撓性基材410に転写される。なお、可撓性基材410を熱可塑性樹脂以外の樹脂で構成されたフィルムとし、可撓性基材410と熱可塑性樹脂フィルムとを積層してもよい。この場合、積層フィルムは、加熱装置で加熱された後、原盤100に押し付けられる。したがって、転写装置300は、可撓性基材410上に反転凹凸構造430が形成された転写物を連続的に作製することができる。
【0109】
また、原盤100の原盤凹凸構造120が転写された転写用フィルムを作製し、この転写用フィルムを転写型として用いて可撓性基材410上に反転凹凸構造430を形成してもよい。転写用フィルムの凹凸構造をさらに転写した転写用フィルムを転写型としてもよい。この場合、樹脂層425に形成される微細凹凸構造が反転凹凸構造となるように、原盤凹凸構造120が形成される。また、電鋳や熱転写などにより原盤100を複製し、この複製品を転写型として用いてもよい。さらに、原盤100の形状はロール形状に限られる必要は無く平面状の原盤でもよく、レーザ光200Aをレジスト照射する方法のほか、マスクを用いた半導体露光、電子線描画、機械加工、陽極酸化等、種々の加工方法を選択することができる。
【0110】
<7.樹脂積層光学体及び光源ユニットの適用例>
次に、図20図26に基づいて、樹脂積層光学体1及び光源ユニット30の適用例について説明する。図20の例では、投影型の画像表示装置(すなわち画像投影装置)1000に樹脂積層光学体1及び光源ユニット30を適用している。画像表示装置1000は、透過型拡散スクリーン構造を有する。すなわち、画像表示装置1000は、光照射装置1010と、液晶パネル1015と、ミラー1020、1030と、表示部1040とを備える。光照射装置1010から照射された光は、液晶パネル1015を通過し、ミラー1020、1030、表示部1040で順次反射され、ユーザ(人物U)の視界に入る。つまり、液晶パネル1015に表示される画像は、表示部1040に虚像として表示される。これにより、ユーザは、表示部1040に表示される画像(虚像)を視認することができる。
【0111】
光照射装置1010は、図21に示す光学ユニット1aを有する。光学ユニット1aは、樹脂積層光学体1及び光源ユニット30を有する。図21の例では、光学基材10は両凹レンズとなっており、表裏両面に樹脂層20が形成されている。光源ユニット30内の光源31はマトリックス状に配置されており、各光源31が所望の態様で発光することで、所望の画像を表示部1040に表示することができる。表示部1040は、例えばウインドシールドまたはコンバイナ等である。例えば、画像表示装置1000が車載される場合、表示部1040はウインドシールドとなる。
【0112】
光学ユニット1aの構成は図21の例に限定されない。例えば、樹脂積層光学体1は、図1図8に列挙された例であってもよい。さらに、樹脂積層光学体1及び光源ユニット30のいずれかを従来の構成に置き換えてもよい。例えば図22に示すように、光源ユニット30の樹脂層40を省略してもよい。また、図23に示すように、樹脂積層光学体1を光学基材10(つまり従来の光学レンズ)に置き換えてもよい。
【0113】
さらに、ミラー1020、1030の少なくとも一方を樹脂積層光学体1に置き換えても良い。
【0114】
図20の例によれば、光照射装置1010に光学ユニット1aを内蔵させるので、光照射装置1010を小型化することができ、ひいては、画像表示装置1000を小型化することができる。ミラー1020、1030の少なくとも一方を樹脂積層光学体1に置き換えることで、画像表示装置1000のさらなる小型化が期待できる。さらに、樹脂層20と光学基材10との間、あるいは樹脂層40と光学基材32との間で界面反射が生じにくくなるので、発光品質、具体的には表示画像の品質が向上しうる(例えば、輝度ムラの低減等)。
【0115】
図24の例では、投影型の画像表示装置(すなわち画像投影装置)2000に樹脂積層光学体1を適用している。画像表示装置2000は、透過型拡散スクリーン構造を有する。すなわち、画像表示装置2000は、光照射装置2010と、表示部2020とを備える。光照射装置2010は、例えばラスタスキャン方式レーザ照射装置であり、光照射装置2010から照射された光は、樹脂積層光学体1を通って表示部2020に入射する。表示部2020に入射した光は、表示部2020で反射され、ユーザの視界に入る。これにより、ユーザは、表示部2020に表示される画像(虚像)を視認することができる。表示部2020は、例えばコンバイナ等である。
【0116】
このように、図24の例では、光照射装置2010から出射された光の光路状に樹脂積層光学体1が配置される。図24の例では、図1に示す樹脂積層光学体1が配置されるが、図3図8に列挙された他の樹脂積層光学体1を配置してもよい。
【0117】
図24の例によれば、画像表示装置2000に樹脂積層光学体1を内蔵させるので、画像表示装置1000を小型化することができる。さらに、樹脂層20と光学基材10との間で界面反射が生じにくくなるので、発光品質、具体的には表示画像の品質が向上しうる(例えば、輝度ムラの低減等)。
【0118】
図25の例では、投影型の画像表示装置(すなわち画像投影装置)3000に樹脂積層光学体1を適用している。画像表示装置3000は、反射型拡散スクリーン構造を有する。すなわち、画像表示装置3000は、光照射装置3010と、液晶パネル3015と、ミラー3020と、表示部3030とを備える。光照射装置3010は、例えばレーザ光を出射するレーザ光源、あるいはLED光源であってもよい。光照射装置3010から照射された光は、液晶パネル3015を通過し、ミラー3020、表示部3030で反射され、ユーザの視界に入る。つまり、液晶パネル3015に表示される画像は、表示部3030に虚像として表示される。これにより、ユーザは、表示部3030に表示される画像(虚像)を視認することができる。
【0119】
図25の例では、ミラー3020が樹脂積層光学体1で構成されている。表示部3030は、例えばウインドシールドまたはコンバイナ等である。樹脂積層光学体1の構成は図25の例に限られず、図1図8に列挙された他の樹脂積層光学体1であってもよい。また、光照射装置3010を上述した光照射装置1010で構成してもよい。
【0120】
図25の例によれば、ミラー3020を樹脂積層光学体1で構成するので、画像表示装置3000を小型化することができる。さらに、樹脂層20と光学基材10との間で界面反射が生じにくくなるので、発光品質、具体的には表示画像の品質が向上しうる(例えば、輝度ムラの低減等)。
【0121】
図26の例では、投影型の画像表示装置(すなわち画像投影装置)4000に樹脂積層光学体1を適用している。画像表示装置4000は、反射型拡散スクリーン構造を有する。すなわち、画像表示装置4000は、光照射装置4010と、液晶パネル4015と、ミラー4020、4030と、表示部4040とを備える。光照射装置4010は、例えばレーザ光を出射するレーザ光源、あるいはLED光源であってもよい。光照射装置4010から照射された光は、液晶パネル4015を通過し、ミラー4020、4030、表示部4040で反射され、ユーザの視界に入る。つまり、液晶パネル4015に表示される画像は、表示部4040に虚像として表示される。これにより、ユーザは、表示部4040に表示される画像(虚像)を視認することができる。
【0122】
図26の例では、ミラー4020、4030が樹脂積層光学体1で構成されている。表示部4040は、例えばウインドシールドまたはコンバイナ等である。樹脂積層光学体1の構成は図26の例に限られず、図1図8に列挙された他の樹脂積層光学体1であってもよい。また、ミラー4020、4030の少なくとも一方は従来のミラーで構成されていてもよい。
【0123】
図26の例によれば、ミラー4020、4030を樹脂積層光学体1で構成するので、画像表示装置4000を小型化することができる。
【実施例
【0124】
<1.実施例1>
つぎに、本実施形態の実施例について説明する。実施例1~18、比較例1では、図20に示す光照射装置1010の特性を評価する試験を行った。以下、詳細に説明する。
【0125】
(1-1.可能性原盤の作製)
上述した第1~第3の原盤作製工程を行うことで、反転凹凸構造430が光拡散構造またはモスアイ構造となる可撓性原盤400を作製した。より具体的には、可撓性基材410として、厚さ75μmのPETフィルムを準備した。そして、図19に示す転写装置300を用いて可撓性基材410の一方の表面に樹脂層425を形成した。ここで、紫外線硬化性樹脂として、デクセリアルズ社製の紫外線硬化性アクリル樹脂組成物SK1120を使用した。モスアイ構造を構成する反転凹凸構造430の平均周期は250nmであり、高低差は200nmであった。光拡散構造を構成する反転凹凸構造430では、微細凹部間の平均間隔、及び微細凸部間の平均間隔は48μmであり、高低差は1.2μmであった。
【0126】
(1-2.光学基材の準備)
レンズ用の光学基材10(以下、「光学基材10-1」とも称する)として、平凹レンズを用意した。ここで、光学基材10-1の直径(φ)は50mm、材質はBK7、曲率半径は102mmであった。また、光学基材10-1の屈折率は1.52であった。ここで、曲率半径はPanasonic社製3次元測定器UA3Pにより測定し、屈折率はアタゴ社製のアッベ屈折率計により測定した。なお、屈折率は波長587nmに対する屈折率とした。
【0127】
さらに、光源ユニット30用の光学基材32の材料として、シクロオレフィンポリマー(ゼオン社製ゼオネックス480R)を用意した。
【0128】
(1-3.紫外線硬化樹脂の準備)
樹脂層20を構成する紫外線硬化性樹脂として、以下の組成のアクリル系紫外線硬化性樹脂を準備した。アクリル系紫外線硬化性樹脂の未硬化時の粘度(cP)は1240cPであり、屈折率は1.52であった。ここで、粘度はブルックフィールド社製の回転粘度計により測定し、屈折率は硬化後にアタゴ社製のアッベ屈折率計により測定した。屈折率は、波長587nmに対する屈折率とした。
モノマー:東亞合成 アロニックスM305:45質量部
オリゴマー:日本合成化学 UV-1700 :20質量部
反応性希釈剤:KJケミカル DMAA :30質量部
光重合開始剤:イルガキュア184 :5質量部
【0129】
(1-4.光源ユニットの作製)
上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光源ユニット30-1を作製した。ここで、可撓性原盤400として、反転凹凸構造430がモスアイ構造となっている可撓性原盤400(以下、「可撓性原盤400-1」とも称する)を使用した。さらに、光源31として白色LEDを使用した。また、光源31上にモールディングにて上述したシクロオレフィンポリマーを直接充填することで、光学基材32に光源31を埋め込んだ。これにより、光源ユニット30-1を作製した。樹脂層40の厚さは3μmとした。なお、以下の実施例では、樹脂層40の厚さは全て実施例1と同様とした。
【0130】
(1-5.光拡散板の作製)
反転凹凸構造430が光拡散構造となっている可撓性原盤400(以下、「可撓性原盤400-2」とも称する)と上述した紫外線硬化樹脂を用いて、光拡散板を作製した。具体的には、アクリルフィルム上に上述した紫外線硬化性樹脂を5μmの厚みで塗布し、その上から可撓性原盤400-2を貼り合わせた。この状態で紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し、可撓性原盤400-2を剥離することで光拡散板を作製した。
【0131】
(1-6.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-1の発光面32a上に光学基材10-1及び光拡散板をこの順で配置することで、光学ユニット1aを作製した。ここで、光学基材10-1の曲面11を光拡散板に対向させた。以下、曲面11を光学基材10-1の「表面」とし、表面と反対側の面(光源ユニット30-1側の表面)を「裏面」とする。そして、光源31を発光させ、光拡散板を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。ここで、全光透過率は、光源31の発光強度に対する透過光の発光強度の比であり、拡散角は、垂直透過(0°)の光強度で各発光角度の光強度を規格化したときに、光強度が半分となる角度である。全光線透過率は村上色彩技術研究所製:HM-150を使用して測定した。拡散角はELDIM社製EZ-Contrastを使用して測定した。光源は白色コリメート光源を使用した。結果を表1にまとめて示す。
【0132】
<2.実施例2>
(2-1.樹脂積層光学体の作製)
可撓性原盤400-1を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-1の表面に樹脂層20を形成した。これにより、樹脂積層光学体1-2を作製した。樹脂層20の表面21には、微細凹凸構造50としてモスアイ構造が形成されている。樹脂層20の厚さは5μmとした。なお、以下の実施例では、樹脂層20の厚さは全て実施例2と同様とした。
【0133】
(2-2.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-2及び光拡散板をこの順で配置することで、光学ユニット1aを作製した。光拡散板は実施例1で使用したものである。そして、光源31を発光させ、光拡散板を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表1にまとめて示す。
【0134】
<3.実施例3>
(3-1.樹脂積層光学体の作製)
可撓性原盤400-1を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-1の裏面に樹脂層20を形成した。これにより、樹脂積層光学体1-3を作製した。樹脂層20の表面21には、微細凹凸構造50としてモスアイ構造が形成されている。
【0135】
(3-2.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-3及び光拡散板をこの順で配置することで、光学ユニット1aを作製した。光拡散板は実施例1で使用したものである。そして、光源31を発光させ、光拡散板を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表1にまとめて示す。
【0136】
<4.実施例4>
(4-1.樹脂積層光学体の作製)
可撓性原盤400-1を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-1の表裏両面に樹脂層20を形成した。これにより、樹脂積層光学体1-4を作製した。樹脂層20の表面21には、微細凹凸構造50としてモスアイ構造が形成されている。
【0137】
(4-2.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-4及び光拡散板をこの順で配置することで、光学ユニット1aを作製した。光拡散板は実施例1で使用したものである。そして、光源31を発光させ、光拡散板を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表1にまとめて示す。
【0138】
<5.比較例1>
(5-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光学基材32に光源31を内蔵させることで、光源ユニット30-c1を作製した。光源ユニット30-c1は、実施例1の光源ユニット30-1から樹脂層40を省略したものである。この光源ユニット30-c1の発光面32a上に光学基材10-1及び光拡散板をこの順で配置することで、光学ユニットを作製した。光拡散板は実施例1で使用したものである。したがって、比較例1の光学ユニットでは、光学基材10-1、32のいずれにも本実施形態に係る樹脂層が形成されていない。そして、光源31を発光させ、光拡散板を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表1にまとめて示す。
【0139】
【表1】
【0140】
なお、表1において、レンズ1、2はそれぞれ光学基材32、10-1を意味する。拡散板の「別置き」は、光学基材10-1と光拡散板とが別体になっていることを意味する。「無処理」は樹脂層が形成されていないことを意味する。「反射防止」はモスアイ構造が形成されていることを意味する。
【0141】
<6.実施例5>
(6-1.樹脂積層光学体の作製)
可撓性原盤400-2を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-1の表面に樹脂層20を形成した。これにより、樹脂積層光学体1-5を作製した。樹脂層20の表面21には、微細凹凸構造50として光拡散構造が形成されている。
【0142】
(6-2.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-c1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-5を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-5を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表2にまとめて示す。
【0143】
<7.実施例6>
(7-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-5を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-5を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表2にまとめて示す。
【0144】
<8.実施例7>
(8-1.樹脂積層光学体の作製)
可撓性原盤400-2を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-1の裏面に樹脂層20を形成した。これにより、樹脂積層光学体1-7を作製した。樹脂層20の表面21には、微細凹凸構造50として光拡散構造が形成されている。
【0145】
(8-2.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-c1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-7を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-7を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表2にまとめて示す。
【0146】
<9.実施例8>
(9-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-7を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-7を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表2にまとめて示す。
【0147】
<10.実施例9>
(10-1.樹脂積層光学体の作製)
可撓性原盤400-2を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-1の表裏両面に樹脂層20を形成した。これにより、樹脂積層光学体1-9を作製した。樹脂層20の表面21には、微細凹凸構造50として光拡散構造が形成されている。
【0148】
(10-2.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-c1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-9を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-9を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表2にまとめて示す。
【0149】
<11.実施例10>
(11-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-9を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-9を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表2にまとめて示す。
【0150】
<12.実施例11>
(12-1.樹脂積層光学体の作製)
可撓性原盤400-2を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-1の表面に樹脂層20を形成した。この樹脂層20の表面21には微細凹凸構造50として光拡散構造が形成されている。さらに、可撓性原盤400-1を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-1の裏面に樹脂層20を形成した。この樹脂層20の表面21には微細凹凸構造50としてモスアイ構造が形成されている。これにより、樹脂積層光学体1-11を作製した。
【0151】
(12-2.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-c1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-11を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-11を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表2にまとめて示す。
【0152】
<13.実施例12>
(11-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-11を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-11を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表2にまとめて示す。
【0153】
<14.実施例13>
(12-1.樹脂積層光学体の作製)
可撓性原盤400-1を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-1の表面に樹脂層20を形成した。この樹脂層20の表面21には微細凹凸構造50としてモスアイ構造が形成されている。さらに、可撓性原盤400-2を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-1の裏面に樹脂層20を形成した。この樹脂層20の表面21には微細凹凸構造50として光拡散構造が形成されている。これにより、樹脂積層光学体1-13を作製した。
【0154】
(12-2.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-c1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-13を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-13を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表2にまとめて示す。
【0155】
<15.実施例14>
(11-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-1の発光面32a上に樹脂積層光学体1-13を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-13を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表2にまとめて示す。
【0156】
【表2】
【0157】
なお、表2において、レンズ1、2はそれぞれ光学基材32、10-1を意味する。拡散板の「レンズ一体」は、光学基材10-1及び光学基材32の少なくとも一方に光拡散構造が一体化している(すなわち、光拡散構造を有する樹脂層が形成されている)ことを意味する。「無処理」は樹脂層が形成されていないことを意味する。「反射防止」はモスアイ構造が形成されていることを意味する。「拡散」は光拡散構造が形成されていることを意味する。
【0158】
<16.実施例15>
(16-1.光源ユニットの作製)
上述した第1~第7の工程及び剥離工程を行うことで、光源ユニット30-15を作製した。ここで、可撓性原盤400として、可撓性原盤400-2を使用した。光源31は実施例1と同様のものを使用した。これにより、光源ユニット30-15を作製した。樹脂層40の表面41には、微細凹凸構造50として光拡散構造が形成されている。
【0159】
(16-2.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-15の発光面32a上に光学基材10-1を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、光学基材10-1を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表3にまとめて示す。
【0160】
<17.実施例16>
(17-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-15の発光面32a上に樹脂積層光学体1-2を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-2を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表3にまとめて示す。
【0161】
<18.実施例17>
(18-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-15の発光面32a上に樹脂積層光学体1-4を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-4を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表3にまとめて示す。
【0162】
<19.実施例18>
(19-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光源ユニット30-15の発光面32a上に樹脂積層光学体1-3を配置することで、光学ユニット1aを作製した。そして、光源31を発光させ、樹脂積層光学体1-3を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表3にまとめて示す。
【0163】
【表3】
【0164】
なお、表3において、レンズ1、2はそれぞれ光学基材32、10-1を意味する。拡散板の「レンズ一体」は、光学基材10-1及び光学基材32の少なくとも一方に光拡散構造が一体化している(すなわち、光拡散構造を有する樹脂層が形成されている)ことを意味する。「無処理」は樹脂層が形成されていないことを意味する。「反射防止」はモスアイ構造が形成されていることを意味する。「拡散」は光拡散構造が形成されていることを意味する。
【0165】
<20.実施例19>
実施例19~22、比較例2では、図24に示す画像表示装置2000(特に、光照射装置2010周辺)の光学特性を評価する試験を行った。以下、詳細に説明する。
【0166】
(20-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光照射装置2010として、ラスタスキャン方式レーザ照射装置を用意した。この光照射装置2010の光路上に樹脂積層光学体1-6を配置した。ここで、樹脂積層光学体1-6の表面(光学基材10-1の表面)を表示部2020側に向けた。そして、光照射装置2010から光を出射させ、樹脂積層光学体1-6を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表4にまとめて示す。
【0167】
<21.実施例20>
(21-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光照射装置2010の光路上に樹脂積層光学体1-9を配置した。ここで、樹脂積層光学体1-9の表面(光学基材10-1の表面)を表示部2020側に向けた。そして、光照射装置2010から光を出射させ、樹脂積層光学体1-9を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表4にまとめて示す。
【0168】
<22.実施例21>
(22-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光照射装置2010の光路上に樹脂積層光学体1-11を配置した。ここで、樹脂積層光学体1-11の表面(光学基材10-1の表面)を表示部2020側に向けた。そして、光照射装置2010から光を出射させ、樹脂積層光学体1-11を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表4にまとめて示す。
【0169】
<23.実施例22>
(21-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光照射装置2010の光路上に樹脂積層光学体1-13を配置した。ここで、樹脂積層光学体1-13の表面(光学基材10-1の表面)を表示部2020側に向けた。そして、光照射装置2010から光を出射させ、樹脂積層光学体1-13を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表4にまとめて示す。
【0170】
<24.比較例2>
(24-1.全光線透過率及び拡散角の測定)
光照射装置2010の光路上に光拡散板及び光学基材10-1をこの順で配置した。光拡散板は実施例1で使用したものである。ここで、光学基材10-1の表面を表示部2020側に向けた。そして、光照射装置2010から光を出射させ、光学基材10-1を透過した透過光の全光線透過率及び拡散角を測定した。測定条件は実施例1と同様とした。結果を表4にまとめて示す。
【0171】
【表4】
【0172】
なお、表4において、レンズは光学基材10-1を意味する。拡散板の「レンズ一体」は、光学基材10-1に光拡散構造が一体化している(すなわち、光拡散構造を有する樹脂層が形成されている)ことを意味する。「別置き」は光拡散板と光学基材10-1とが別体となっていることを意味する。「無処理」は樹脂層が形成されていないことを意味する。「反射防止」はモスアイ構造が形成されていることを意味する。「拡散」は光拡散構造が形成されていることを意味する。
【0173】
<25.実施例23>
実施例23、比較例3では、図25に示す画像表示装置3000の光学特性を評価する試験を行った。以下、詳細に説明する。
【0174】
(25-1.光学基材の準備)
ミラー用の光学基材10(以下、「光学基材10-2」とも称する)として、シクロオレフィンポリマー(ゼオン社製ゼオネックス480R)基材上にアルミ金属膜を真空蒸着にて成膜した物を用意した。
【0175】
(25-2.樹脂積層光学体の作製)
可撓性原盤400-2を用いて上述した第1~第6の工程及び剥離工程を行うことで、光学基材10-2の反射面(曲面11が形成されている面)に樹脂層20を形成した。これにより、樹脂積層光学体1-23を作製した。樹脂層20の表面21には、微細凹凸構造50として光拡散構造が形成されている。
【0176】
(25-3.輝度ムラの評価)
光照射装置3010として、白色LEDを用意した。そして、光照射装置3010、液晶パネル3015、ミラー3020、及び表示部3030を画像表示装置3000内に配置した。ここで、ミラー3020として樹脂積層光学体1-23を使用した。そして、光照射装置3010から光を出射させ、樹脂積層光学体1-23で反射された反射光を表示部3030に入射させた。これにより、表示部3030に虚像を表示させた。この虚像の中心輝度と外縁部の輝度との輝度差を測定した。輝度の測定はコニカミノルタ製CS-2000を用いて行った。外縁部の輝度は、複数の測定点で測定された値の算術平均値とした。ついで、輝度差が中心輝度の10%以下である場合に輝度ムラを合格(輝度ムラが少ない)とし、輝度差が中心輝度の10%を超える場合に輝度ムラを不合格(輝度ムラが大きい)とした。実施例23では輝度ムラは合格レベルであった。結果を表5にまとめて示す。
【0177】
<26.比較例3>
樹脂積層光学体1-23を光学基材10-2に変えた他は実施例23と同様の試験を行った。比較例3では輝度ムラが不合格レベルであった。結果を表5にまとめて示す。
【0178】
【表5】
【0179】
なお、表5において、ミラーはミラー3020を意味する。「拡散なし」は光学基材10-2に光拡散構造が形成されていないことを意味する。「拡散あり」は、光学基材10-2に光拡散構造が形成されていることを意味する。輝度ムラの「○」は「合格」を示し、「×」は不合格を示す。
【0180】
<27.実施例24>
実施例24~26、比較例4では、図26に示す画像表示装置4000の光学特性を評価する試験を行った。以下、詳細に説明する。
【0181】
(27-1.輝度ムラの評価)
光照射装置4010として、白色LEDを用意した。そして、光照射装置4010、液晶パネル4015、ミラー4020、4030、及び表示部4040を画像表示装置4000内に配置した。ここで、ミラー4020として樹脂積層光学体1-23を使用し、ミラー4030として光学基材10-2を使用した。そして、光照射装置4010から光を出射させ、樹脂積層光学体1-23で反射された反射光を表示部4040に入射させた。これにより、表示部4040に虚像を表示させた。この虚像の中心輝度と外縁部の輝度との輝度差を測定した。輝度の測定は実施例23と同様にして行った。ついで、輝度差が中心輝度の10%以下である場合に輝度ムラを合格(輝度ムラが少ない)とし、輝度差が中心輝度の10%を超える場合に輝度ムラを不合格(輝度ムラが大きい)とした。実施例24では輝度ムラは合格レベルであった。結果を表6にまとめて示す。
【0182】
<28.実施例25>
(28-1.輝度ムラの評価)
ミラー4020として光学基材10-2を使用し、ミラー4030として樹脂積層光学体1-23を使用した他は実施例24と同様の試験を行った。輝度ムラは合格レベルであった。結果を表6にまとめて示す。
【0183】
<29.実施例26>
(29-1.輝度ムラの評価)
ミラー4020、4030として樹脂積層光学体1-23を使用した他は実施例24と同様の試験を行った。輝度ムラは合格レベルであった。結果を表6にまとめて示す。
【0184】
<30.比較例4>
ミラー4020、4030として光学基材10-2を使用した他は実施例24と同様の試験を行った。輝度ムラは不合格レベルであった。結果を表6にまとめて示す。
【0185】
【表6】
【0186】
なお、表6において、ミラー1、2はそれぞれミラー4020、4030を示す。他の表記は表5と同様である。
【0187】
実施例1~26、比較例1~4から明らかな通り、本実施形態の要件を満たす実施例1~26では、発光品質が改善されていた。
【0188】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0189】
1 樹脂積層光学体
10 光学基材
20 樹脂層
30 光源ユニット
31 光源
32 光学基材
40 樹脂層
50 微細凹凸構造

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26