(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、レジンシート、積層板、金属箔張積層板、並びにプリント配線板
(51)【国際特許分類】
C08G 73/00 20060101AFI20230703BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20230703BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20230703BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230703BHJP
C08L 79/00 20060101ALI20230703BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230703BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
C08G73/00
B32B15/08 J
B32B15/08 Q
C08J5/24 CFC
C08J5/24 CFG
C08J5/24 CFH
C08K3/013
C08L79/00
C08L101/00
H05K1/03 610L
H05K1/03 610R
H05K1/03 610T
(21)【出願番号】P 2018510544
(86)(22)【出願日】2017-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2017012309
(87)【国際公開番号】W WO2017175614
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-02-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2016076144
(32)【優先日】2016-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017000666
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】久保 孝史
(72)【発明者】
【氏名】大西 展義
(72)【発明者】
【氏名】高野 与一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 環
(72)【発明者】
【氏名】志賀 英祐
【合議体】
【審判長】藤原 浩子
【審判官】藤井 勲
【審判官】近野 光知
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/006887(WO,A1)
【文献】特開平9-176309(JP,A)
【文献】特開2004-087897(JP,A)
【文献】特開平9-025471(JP,A)
【文献】国際公開第2012/099133(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/153101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00 - 73/26
B32B 15/08
B32B 27/08
B32B 27/04
B32B 27/20
C08J 5/24
C08K 3/22
C08K 3/28
C08K 3/36
C08L 79/00
H05K 1/03
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ変性シリコーン(A)とマレイミド化合物(B-1)とを反応させて得られる一次ポリマーと、
カルボン酸(C)又はカルボン酸無水物(D)の少なくともいずれか
(但し、カルボキシル基含有アクリロニトリル-ブタジエンゴムを除く)と、を反応させて得られる反応生成物(P)、を含む、
樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂組成物のアミン価が、2.0mgKOH/g以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記反応生成物(P)は、前記カルボン酸無水物(D)を少なくとも反応させて得られ、
前記カルボン酸無水物(D)は、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、及び無水酢酸からなる群より選択される一種又は二種以上である、
請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記反応生成物(P)は、前記カルボン酸(C)を少なくとも反応させて得られ、
前記カルボン酸(C)は、マレイン酸、フタル酸、コハク酸、及び酢酸からなる群より選択される一種又は二種以上である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
熱硬化性成分(E)をさらに含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記熱硬化性成分(E)は、マレイミド化合物(B-2)、エポキシ樹脂(F)、シアン酸エステル化合物(G)、及びアルケニル置換ナジイミド(H)からなる群より選択される一種又は二種以上を含む、
請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記反応生成物(P)における前記アミノ変性シリコーン(A)は、下記一般式(1)で表される化合物を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、複数のR
aは、各々独立に水素原子、メチル基又はフェニル基を表し、複数のR
bは、各々独立に単結合、アルキレン基又はアリール基を表し、nは、1以上の整数を表す。)
【請求項8】
前記反応生成物(P)における前記アミノ変性シリコーン(A)のアミノ基当量が、130以上6000以下である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記マレイミド化合物(B-1)は、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド-ビス(4-マレイミドベンゾエート)、及び下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選択される一種又は二種以上を含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【化2】
(式(2)中、複数のR
5は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、n
1は、1以上の整数を示す。)
【請求項10】
充填材(J)をさらに含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記充填材(J)は、シリカ、アルミナ、及び窒化アルミニウムからなる群より選択される一種又は二種以上を含む、
請求項10に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記樹脂組成物は、前記反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量100質量部に対して、前記充填材(J)を50質量部以上300質量部以下含む、
請求項10又は11に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
基材と、該基材に含浸又は塗布された請求項1~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、を有する、
プリプレグ。
【請求項14】
前記基材は、Eガラスクロス、Tガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス、及び有機繊維からなる群より選ばれる一種又は二種以上である、
請求項13に記載のプリプレグ。
【請求項15】
支持体と、該支持体の表面に配された請求項1~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、を有する、
レジンシート。
【請求項16】
前記支持体は、樹脂シート又は金属箔である、
請求項15に記載のレジンシート。
【請求項17】
請求項13又は14に記載のプリプレグ、及び請求項15又は16に記載のレジンシートからなる群より選択される一種又は二種以上を、複数備える、
積層板。
【請求項18】
請求項13又は14に記載のプリプレグ、及び請求項15又は16に記載のレジンシートからなる群より選択される一種又は二種以上と、金属箔と、を備える、
金属箔張積層板。
【請求項19】
請求項1~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された導体層と、を備える、
プリント配線板。
【請求項20】
アミノ変性シリコーン(A)と、マレイミド化合物(B-1)と、を反応させて一次ポリマーを得る第一反応工程と、
前記一次ポリマーと、カルボン酸(C)又はカルボン酸無水物(D)の少なくともいずれか
(但し、カルボキシル基含有アクリロニトリル-ブタジエンゴムを除く)と、を反応させる第二反応工程と、を有する、
樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、レジンシート、積層板、金属箔張積層板、並びにプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器や通信機、パーソナルコンピューター等に広く用いられている半導体パッケージの高機能化、小型化が進むに従い、半導体パッケージ用の各部品の高集積化や高密度実装化が近年益々加速している。その中でも、半導体素子と半導体プラスチックパッケージ用プリント配線板との熱膨張率の差によって生じる半導体プラスチックパッケージの反りが問題となっており、様々な対策が講じられてきている。
【0003】
その対策の一つとして、プリント配線板に用いられる絶縁層の低熱膨張化が挙げられる。これは、プリント配線板の熱膨張率を半導体素子の熱膨張率に近づけることで反りを抑制する手法であり、現在盛んに取り組まれている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0004】
半導体プラスチックパッケージの反りを抑制する手法としては、プリント配線板の低熱膨張化以外にも、積層板の剛性を高くすること(高剛性化)や積層板のガラス転移温度を高くすること(高Tg化)が検討されている(例えば、特許文献4及び5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-216884号公報
【文献】特許第3173332号公報
【文献】特開2009-035728号公報
【文献】特開2013-001807号公報
【文献】特開2011-178992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~5に記載されるような熱硬化性樹脂組成物を用いたプリント配線板であっても、金属箔を積層した積層板のピール強度や例えば強アルカリ性の洗浄液に対する耐薬品性(耐デスミア性)等の他の特性との両立が難しいことから、結果として半導体プラスチックパッケージに反りが生じる問題が残存している。
【0007】
ここで、上記熱膨張率の差を低減し、上記反りが生じる問題を解決するために、樹脂組成物に、低弾性成分として、例えば、アミノ変性シリコーンと熱硬化性成分とが反応して生成するアミノ変性した重合体を含有させることができる。しかし、アミノ変性した重合体は、一般的に、重合体同士で又は他の樹脂成分と、更に重合反応する性質を有している。このため、樹脂組成物やプリプレグの保存中又は成形中に、アミノ変性した重合体が更に重合反応を起こすことに起因して、優れた保存安定性を得ることができないことがある。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、アミノ変性した重合体を含有しつつ、優れた保存安定性を有する樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
アミノ変性シリコーン(A)と、
マレイミド化合物(B)と、
カルボン酸(C)又はカルボン酸無水物(D)の少なくともいずれかと、を反応させて得られる反応生成物(P)、を含む、
樹脂組成物。
[2]
前記樹脂組成物のアミン価が、2.0mgKOH/g以下である、
[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記反応生成物(P)は、前記カルボン酸無水物(D)を少なくとも反応させて得られ、
前記カルボン酸無水物(D)は、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、及び無水酢酸からなる群より選択される一種又は二種以上である、
[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記反応生成物(P)は、前記カルボン酸(C)を少なくとも反応させて得られ、
前記カルボン酸(C)は、マレイン酸、フタル酸、コハク酸、及び酢酸からなる群より選択される一種又は二種以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
熱硬化性成分(E)をさらに含む、
[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]
前記熱硬化性成分(E)は、マレイミド化合物(B)、エポキシ樹脂(F)、シアン酸エステル化合物(G)、及びアルケニル置換ナジイミド(H)からなる群より選択される一種又は二種以上を含む、
[5]に記載の樹脂組成物。
[7]
前記反応生成物(P)における前記アミノ変性シリコーン(A)は、下記一般式(1)で表される化合物を含む、
[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、複数のR
aは、各々独立に水素原子、メチル基又はフェニル基を表し、複数のR
bは、各々独立に単結合、アルキレン基又はアリール基を表し、nは、1以上の整数を表す。)
[8]
前記反応生成物(P)における前記アミノ変性シリコーン(A)のアミノ基当量が、130以上6000以下である、
[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9]
前記マレイミド化合物(B)は、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド-ビス(4-マレイミドベンゾエート)、及び下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選択される一種又は二種以上を含む、
[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【化2】
(式(2)中、複数のR
5は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、n
1は、1以上の整数を示す。)
[10]
充填材(J)をさらに含む、
[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11]
前記充填材(J)は、シリカ、アルミナ、及び窒化アルミニウムからなる群より選択される一種又は二種以上を含む、
[10]に記載の樹脂組成物。
[12]
前記樹脂組成物は、前記反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量100質量部に対して、前記充填材(J)を50質量部以上300質量部以下含む、
[10]又は[11]に記載の樹脂組成物。
[13]
基材と、該基材に含浸又は塗布された[1]~[12]のいずれかに記載の樹脂組成物と、を有する、
プリプレグ。
[14]
前記基材は、Eガラスクロス、Tガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス、及び有機繊維からなる群より選ばれる一種又は二種以上である、
[13]に記載のプリプレグ。
[15]
支持体と、該支持体の表面に配された[1]~[12]のいずれかに記載の樹脂組成物と、を有する、
レジンシート。
[16]
前記支持体は、樹脂シート又は金属箔である、
[15]に記載のレジンシート。
[17]
[13]又は[14]に記載のプリプレグ、及び[15]又は[16]に記載のレジンシートからなる群より選択される一種又は二種以上を、複数備える、
積層板。
[18]
[13]又は[14]に記載のプリプレグ、及び[15]又は[16]に記載のレジンシートからなる群より選択される一種又は二種以上と、金属箔と、を備える、
金属箔張積層板。
[19]
[1]~[12]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された導体層と、を備える、
プリント配線板。
[20]
アミノ変性シリコーン(A)と、マレイミド化合物(B)と、を反応させて一次ポリマーを得る第一反応工程と、
前記一次ポリマーと、カルボン酸(C)又はカルボン酸無水物(D)の少なくともいずれかと、を反応させる第二反応工程と、を有する、
樹脂組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で、適宜に変形して実施できる。
【0011】
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、アミノ変性シリコーン(A)と、マレイミド化合物(B)と、カルボン酸(C)又はカルボン酸無水物(D)の少なくともいずれかと、を反応させて得られる反応生成物(P)(プレポリマー)を含む。ここで、反応生成物(P)は、上述したアミノ変性した重合体の一種である。
【0012】
本実施形態の樹脂組成物は、優れた保存安定性を有する。この要因は、次のように推察される(ただし、要因はこれに限定されない。)。従来のアミノ変性シリコーンと熱硬化性成分とを含む樹脂組成物は、該樹脂組成物に含まれるアミノ変性した重合体中に、原料のアミノ変性シリコーンの反応基であるアミノ基がプレポリマーの構造中に比較的多く残存し、そのアミノ基が熱硬化性成分とさらに反応することに起因して、その樹脂組成物(ワニスを含む)及び該樹脂組成物から得られる成形体(例えば、プリプレグ及びその成形体)において優れた保存安定性が得られない。例えば、樹脂組成物を常温で保存した場合において、残存したアミノ基と熱硬化性成分との反応がさらに進行することに起因して、その樹脂組成物は、粘度の増加、分子量の増加により、優れた保存安定性を得ることができない。また、ワニスの場合はゲル化を起こし、プリプレグの場合はプリプレグ粘度の上昇により、成形性が悪くなり、優れた保存安定性を得ることができない。一方、本実施形態の樹脂組成物は、アミノ変性シリコーン(A)とマレイミド化合物(B)との反応で残存したアミノ基が、カルボン酸(C)及び/又はカルボン酸無水物(D)と反応した反応生成物(P)を含むことにより、当該樹脂組成物及びその樹脂組成物から得られる成形体において優れた保存安定性が得られる。
【0013】
樹脂組成物のアミン価は、1級アミン及び2級アミンの合計量としてのアミン価である。アミン価は、特に限定されないが、好ましくは2.0mgKOH/g以下であり、より好ましくは1.0mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは0.5mgKOH/g以下である。アミン価が2.0mgKOH/g以下であることにより、樹脂組成物の粘度の増加、分子量の増加、ワニスのゲル化、プリプレグ粘度の上昇を抑制できる傾向にある。また、アミン価は、小さいほど樹脂組成物の粘度の増加、分子量の増加等が抑制できる傾向にある。アミン価の下限値は、好ましくは0mgKOH/gである。アミン価は、JIS K 7237:1995に準拠する方法により測定される。
【0014】
〔反応生成物(P)〕
本実施形態の反応生成物(P)は、アミノ変性シリコーン(A)と、マレイミド化合物(B)と、カルボン酸(C)又はカルボン酸無水物(D)の少なくともいずれかと、を反応させて得られる。
【0015】
反応生成物(P)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
反応生成物(P)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは5000以上20000以下であり、より好ましくは10000以上15000以下である。重量平均分子量が5000以上であることにより、プリプレグの熱膨張率が低下する傾向にあり、重量平均分子量が20000以下であることにより、樹脂組成物の粘度の増加、分子量の増加、ワニスのゲル化、プリプレグ粘度の上昇を抑制できる傾向にある。重量平均分子量が5000以上20000以下である反応生成物(P)を得るためには、温度等の反応条件を制御すればよい。重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値として求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0017】
本実施形態の樹脂組成物において、反応生成物(P)の含有量は、特に限定されないが、熱硬化性成分(E)と組み合せる場合に、当該樹脂組成物中の反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量(100質量%;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、好ましくは10質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上70質量%以下であり、20質量%以上60質量%以下である。反応生成物(P)の含有量が上記範囲内であることにより、充填材充填時においても成形性に優れ、低熱膨張率、熱時弾性率、耐デスミア性、耐薬品性に優れるプリント配線板となる傾向にある。
【0018】
<アミノ変性シリコーン(A)>
本実施形態に用いるアミノ変性シリコーン(A)は、分子中に1個以上のアミノ基を有するシリコーンであれば特に限定されるものではないが、下記一般式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。
【化3】
式(1)中、複数のR
aは、各々独立に水素原子、メチル基又はフェニル基を表し、中でもメチル基が好ましい。複数のR
bは、各々独立に単結合、アルキレン基又はアリール基を表し、中でもアルキレン基が好ましい。アルキレン基の炭素数は、その主鎖において1~4であることが好ましい。具体的なアルキレン基は、特に限定されないが、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はテトラメチレン基であることがより好ましく、トリメチレン基であることがさらに好ましい。式(1)中、nは1以上の整数を表す。
【0019】
アミノ変性シリコーン(A)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
アミノ変性シリコーン(A)のアミノ基当量は、特に限定されないが、好ましくは130以上6000以下であり、より好ましくは500以上3000以下であり、さらに好ましくは600以上2500以下である。アミノ変性シリコーン(A)のアミノ基当量が上記範囲内であることにより、金属箔ピール強度及び耐デスミア性により優れるプリント配線板を得ることができる。アミノ基当量は、JIS K 7237:1995に準拠する方法により測定される。
【0021】
本実施形態の樹脂組成物において、アミノ変性シリコーン(A)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中の反応生成物(P)の総量(100質量%;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、好ましくは5.0質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上45質量%以下である。また、アミノ変性シリコーン(A)の含有量は、反応生成物(P)と熱硬化性成分(E)とを組み合せる場合に、反応生成物(P)の作製に用いられるアミノ変性シリコーン(A)及び熱硬化性成分(E)として含まれるアミノ変性シリコーン(A)の合計量として、該樹脂組成物中の反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量(100質量%;溶媒・溶剤成分は含まない固形分量として)に対して、好ましくは1.0質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは5.0質量%以上20質量%以下である。また、アミノ変性シリコーン(A)の含有量が上記範囲内であることにより、金属箔ピール強度及び耐デスミア性により優れるプリント配線板を得ることができる。なお、ここでいうアミノ変性シリコーン(A)の含有量には、反応生成物(P)の作製に用いられたアミノ変性シリコーン(A)に加えて、後述する熱硬化性成分(E)としてのアミノ変性シリコーン(A)も含まれる。
【0022】
<マレイミド化合物(B)>
本実施形態に用いるマレイミド化合物(B)は、分子中に一個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、N-フェニルマレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド-ビス(4-マレイミドベンゾエート)、下記一般式(2)で表されるマレイミド化合物、これらマレイミド化合物のプレポリマー、及びマレイミド化合物とアミン化合物とのプレポリマーが挙げられる。これらは一種又は二種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0023】
その中でも、マレイミド化合物(B)は、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド-ビス(4-マレイミドベンゾエート)、及び下記一般式(2)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される一種又は二種以上を含むことが好ましく、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパンを含むことがより好ましい。
【0024】
【化4】
式(2)中、複数のR
5は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、n
1は、1以上の整数を示す。
【0025】
式(2)中、複数のR5は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、中でも水素原子を示すことが好ましい。
【0026】
式(2)中、n1は、1以上の整数を示す。n1の上限値は、好ましくは10、より好ましくは7である。
【0027】
マレイミド化合物(B)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
本実施形態の反応生成物(P)において、アミノ変性シリコーン(A)に対するマレイミド化合物(B)の含有比は、特に限定されないが、質量基準で、好ましくは1.0以上3.0以下であり、より好ましくは1.0以上2.5以下であり、さらに好ましくは1.0以上2.0以下である。含有比が上記範囲内であることにより、反応生成物(P)製造性により優れる傾向にある。
【0029】
本実施形態の樹脂組成物において、マレイミド化合物(B)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中の反応生成物(P)の総量(100質量%;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、好ましくは10質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、さらに好ましくは45質量%以上75質量%以下である。また、マレイミド化合物(B)の含有量は、反応生成物(P)と熱硬化性成分(E)とを組み合せる場合に、反応生成物(P)の作製に用いられるマレイミド化合物(B)及び熱硬化性成分(E)として含まれるマレイミド化合物(B)の合計量として、反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量(100質量%;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、好ましくは10質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以上70質量%以下である。マレイミド化合物(B)の含有量が上記範囲内であることにより、成形性、熱時弾性率、耐デスミア性、及び耐薬品性により優れるプリント配線板を得ることができる傾向にある。なお、ここでいうマレイミド化合物(B)の含有量には、反応生成物(P)に用いられたマレイミド化合物(B)に加えて、後述する熱硬化性成分(E)としてのマレイミド化合物(B)も含まれる。
【0030】
<カルボン酸(C)、カルボン酸無水物(D)>
本実施形態に用いるカルボン酸(C)は、特に限定されないが、マレイン酸、フタル酸、コハク酸、酢酸、及びプロピオン酸からなる群より選択される一種又は二種以上であることが好ましく、マレイン酸、フタル酸、コハク酸、及び酢酸からなる群より選択される一種又は二種以上であることがより好ましく、マレイン酸、フタル酸、及びコハク酸からなる群より選択される一種又は二種以上であることがさらに好ましい。また、本実施形態に用いるカルボン酸無水物(D)は、特に限定されないが、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水酢酸、及び無水プロピオン酸からなる群より選択される一種又は二種以上であることが好ましく、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、及び無水酢酸からなる群より選択される一種又は二種以上であることがより好ましく、無水マレイン酸、無水フタル酸、及び無水コハク酸からなる群より選択される一種又は二種以上であることがさらに好ましい。
【0031】
カルボン酸(C)及びカルボン酸無水物(D)は、それぞれ上述した中でも、一価のカルボン酸及び一価のカルボン酸無水物、又は、二価のカルボン酸及び二価のカルボン酸無水物であることが好ましく、二価のカルボン酸及び二価のカルボン酸無水物であることがさらに好ましい。カルボン酸(C)及びカルボン酸無水物(D)は、それぞれ、二価のカルボン酸及び二価のカルボン酸無水物であることにより、一価のカルボン酸及び一価のカルボン酸無水物である場合と比較して、樹脂組成物の保存安定性により優れ、また、プリント配線板としたときの絶縁信頼性の低下を抑制できる傾向にある。この要因は、特に限定されるものではないが、二価のカルボン酸又は二価のカルボン酸無水物を用いると、一価のカルボン酸及び一価のカルボン酸無水物を用いる場合と比較して、アミノ変性シリコーン(A)のアミノ基と二価のカルボン酸又は二価のカルボン酸無水物のカルボキシル基とが反応した場合に、反応したカルボキシル基と対をなしていたカルボキシル基が遊離カルボン酸として樹脂組成物中に残留しにくいことに起因すると推察される。
【0032】
カルボン酸(C)及びカルボン酸無水物(D)は、それぞれ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。また、カルボン酸(C)及びカルボン酸無水物(D)は、それぞれを単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0033】
また、本実施形態において、カルボン酸(C)のみを用いることと比較して、カルボンカルボン酸無水物(D)のみを用いることが好ましい。これにより、アミノ変性シリコーン(A)との反応性により優れることにより、保存安定性により優れる傾向にある。
【0034】
本実施形態の反応生成物(P)において、アミノ変性シリコーン(A)に対するカルボン酸(C)及びカルボン酸無水物(D)の含有比は、特に限定されないが、質量基準で、好ましくは0.01以上0.4以下であり、より好ましくは0.01以上0.2以下であり、さらに好ましくは0.02以上0.1以下である。含有比が上記範囲内であることにより、反応生成物(P)の保存安定性により優れる傾向にある。
【0035】
本実施形態の樹脂組成物において、カルボン酸(C)及びカルボン酸無水物(D)の含有量は、特に限定されないが、反応生成物(P)の総量(100質量%;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、好ましくは0.5質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下である。また、カルボン酸(C)及びカルボン酸無水物(D)の含有量は、反応生成物(P)と熱硬化性成分(E)とを組み合せる場合に、反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量(100質量%;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、好ましくは0.05質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上2.0質量%以下である。カルボン酸(C)及びカルボン酸無水物(D)の含有量が上記範囲内であることにより、成形性、熱時弾性率、耐デスミア性、及び耐薬品性により優れるプリント配線板を得ることができる傾向にある。
【0036】
〔熱硬化性成分(E)〕
本実施形態の樹脂組成物は、熱硬化性成分(E)をさらに含むことが好ましい。
【0037】
本実施形態に用いる熱硬化性成分(E)は、熱により硬化する成分であれば特に限定されない。熱硬化性成分(E)としては、特に限定されないが、例えば、上述したアミノ変性シリコーン(A)、マレイミド化合物(B)に加えて、後述するエポキシ樹脂(F)、シアン酸エステル化合物(G)、及びアルケニル置換ナジイミド(H)が挙げられる。即ち、熱硬化性成分(E)として用いるアミノ変性シリコーン(A)、及びマレイミド化合物(B)は、上述したアミノ変性シリコーン(A)、及びマレイミド化合物(B)と同様のものを用いることができる。なかでも、熱硬化性成分(E)は、マレイミド化合物(B)、エポキシ樹脂(F)、シアン酸エステル化合物(G)、及びアルケニル置換ナジイミド(H)からなる群より選択される一種又は二種以上を含むことが好ましく、マレイミド化合物(B)を含むことがより好ましい。
【0038】
本実施形態の樹脂組成物において、熱硬化性成分(E)の含有量は、特に限定されないが、反応生成物(P)と熱硬化性成分(E)とを組み合わせる場合に、反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量(100質量%;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、好ましくは20質量%以上85質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上85質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上80質量%以下である。熱硬化性成分(E)の含有量が上記範囲内であることにより、充填材充填時においても成形性に優れ、熱時弾性率、耐デスミア性、耐薬品性に優れるプリント配線板となる傾向にある。
【0039】
<エポキシ樹脂(F)>
本実施形態の樹脂組成物は、エポキシ樹脂(F)を含むことにより、接着性、吸湿耐熱性、可撓性等により優れる傾向にある。エポキシ樹脂(F)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されない。その具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、ブタジエンなどの二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物、及びこれらのハロゲン化物が挙げられる。
【0040】
このなかでも、エポキシ樹脂(F)が、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂からなる群より選択される一種以上であることが好ましい。このようなエポキシ樹脂(F)を含むことにより、得られる硬化物の難燃性及び耐熱性がより向上する傾向にある。
【0041】
エポキシ樹脂(F)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
本実施形態の樹脂組成物において、エポキシ樹脂(F)の含有量は、特に限定されないが、反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量(100質量%;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、好ましくは1.0質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以上15質量%以下であり、さらに好ましくは2.0質量%以上10質量%以下である。エポキシ樹脂(F)の含有量が上記範囲内であることにより、接着性及び可撓性により優れる傾向にある。
【0043】
<シアン酸エステル化合物(G)>
本実施形態に用いるシアン酸エステル化合物(G)としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(3)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル、下記一般式(4)で表されるノボラック型シアン酸エステル、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル、ビス(3,3-ジメチル-4-シアナトフェニル)メタン、ビス(4-シアナトフェニル)メタン、1,3-ジシアナトベンゼン、1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-ジシアナトナフタレン、1,4-ジシアナトナフタレン、1,6-ジシアナトナフタレン、1,8-ジシアナトナフタレン、2,6-ジシアナトナフタレン、2、7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4、4’-ジシアナトビフェニル、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、及び2、2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンが挙げられる。
【0044】
この中でも下記一般式(3)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、下記一般式(4)で表されるノボラック型シアン酸エステル、及びビフェニルアラルキル型シアン酸エステルが難燃性に優れ、硬化性が高く、かつ硬化物の熱膨張係数が低いことから好ましく、下記一般式(3)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、及び下記一般式(4)で表されるノボラック型シアン酸エステルからなる群より選択される一種又は二種以上がより好ましい。
【0045】
【化5】
式(3)中、複数のR
6は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、n
2は、1以上の整数を示す。
【0046】
式(3)中、複数のR6は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、中でも水素原子を示すことが好ましい。
【0047】
式(3)中、n2は、1以上の整数を示す。n2の上限値は、好ましくは10、より好ましくは6である。
【0048】
【化6】
式(4)中、複数のR
7は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、複数のR
8は、各々独立に水素原子又は炭素数が1~4のアルキル基若しくはアルケニル基を示し、n
3は、1以上の整数を示す。
【0049】
式(4)中、複数のR7は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、中でも水素原子を示すことが好ましい。
【0050】
式(4)中、複数のR8は、各々独立に水素原子又は炭素数が1~4のアルキル基若しくはアルケニル基を示す。
【0051】
式(4)中、n3は、1以上の整数を示す。n3の上限値は、好ましくは10、より好ましくは7である。
【0052】
これらのシアン酸エステル化合物の製法は、特に限定されず、シアン酸エステル合成法として現存するいかなる方法で製造してもよい。具体的に例示すると、下記一般式(5)で表されるナフトールアラルキル型フェノール樹脂とハロゲン化シアンとを不活性有機溶媒中で、塩基性化合物存在下反応させることにより得ることができる。また、同様なナフトールアラルキル型フェノール樹脂と塩基性化合物による塩とを、水を含有する溶液中にて形成させ、その後、ハロゲン化シアンと2相系界面反応を行い、合成する方法を採ることもできる。
【0053】
【化7】
式(5)中、複数のR
6は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、n
4は、1以上の整数を示す。
【0054】
式(5)中、複数のR6は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、中でも水素原子が好ましい。
【0055】
式(5)中、n4は、1以上の整数を示す。n4の上限値は、好ましくは10、より好ましくは6である。
【0056】
また、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物は、α-ナフトールあるいはβ-ナフトール等のナフトール類とp-キシリレングリコール、α,α’-ジメトキシ-p-キシレン、1,4-ジ(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ベンゼン等との反応により得られるナフトールアラルキル樹脂とシアン酸とを縮合させて得られるものから選択することができる。
【0057】
シアン酸エステル化合物(G)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0058】
本実施形態の樹脂組成物において、シアン酸エステル化合物(G)の含有量は、特に限定されないが、反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量(100質量%;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、好ましくは0.005質量%以上5.0質量%以下であり、より好ましくは0.005質量%以上3.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上1.0質量%以下である。シアン酸エステル化合物(G)の含有量が上記範囲内であることにより、成形性、熱時弾性率、耐デスミア性、及び耐薬品性により優れるプリント配線板を得ることができる傾向にある。
【0059】
<アルケニル置換ナジイミド(H)>
本実施形態に用いるアルケニル置換ナジイミド(F)は、分子中に1個以上のアルケニル置換ナジイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0060】
【0061】
式(6)中、複数のR1は、各々独立に水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基を示し、R2は、炭素数1~6のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、又は下記一般式(7)若しくは(8)で表される基を示す。
【0062】
【0063】
式(7)中、R3は、メチレン基、イソプロピリデン基、CO、O、S、又はSO2で表される置換基を示す。
【0064】
【0065】
式(8)中、複数のR4は、各々独立に炭素数1~4のアルキレン基、又は炭素数5~8のシクロアルキレン基を示す。
【0066】
また、式(6)で表されるアルケニル置換ナジイミド(F)は、市販のものを用いることもできる。市販されているものとしては、特に限定されないが、例えば、下記式(9)で表される化合物(BANI-M(丸善石油化学(株)製))、下記式(10)で表される化合物(BANI-X(丸善石油化学(株)製))などが挙げられる。
【0067】
アルケニル置換ナジイミド(H)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0068】
【0069】
【0070】
本実施形態の樹脂組成物において、アルケニル置換ナジイミド(H)の含有量は、特に限定されないが、反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量(100質量%;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、好ましくは5.0質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上40質量%以下である。アルケニル置換ナジイミド(H)の含有量が上記範囲内であることにより、成形性、熱時弾性率、耐デスミア性、及び耐薬品性により優れるプリント配線板を得ることができる傾向にある。
【0071】
上述したエポキシ樹脂(F)、シアン酸エステル化合物(G)、及びアルケニル置換ナジイミド(H)は、反応生成物(P)の原料として用いてもよい。
【0072】
熱硬化性成分(E)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0073】
また、本実施形態の樹脂組成物においては、所期の特性が損なわない範囲において、反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)に加え、他の樹脂を添加することも可能である。当該他の樹脂の種類については絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂を適宜併用することで、金属密着性や応力緩和性といった特性を付与することができる。
【0074】
〔充填材(J)〕
本実施形態の樹脂組成物は、充填材(J)をさらに含むことが好ましい。充填材(J)としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等のシリカ類;アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベーマイト、酸化モリブデン、酸化チタン、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維(EガラスやDガラス等のガラス微粉末類)、中空ガラス、及び球状ガラスなどの無機系の充填材、シリコーンゴム、シリコーン複合パウダーなどの有機系の充填材が挙げられる。これらは一種又は二種以上を適宜混合して使用することが可能である。
【0075】
これらの中でも、充填材(J)は、低熱膨張の観点からのシリカ、高熱伝導性の観点からのアルミナ及び窒化アルミニウムからなる群より選択される一種又は二種以上を含むことが好ましい。
【0076】
本実施形態の樹脂組成物における充填材(J)の含有量は、特に限定されないが、反応生成物(P)と熱硬化性成分(E)とを組み合わせる場合における反応生成物(P)及び熱硬化性成分(E)の合計量(100質量部;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)又は反応生成物(P)のみを用いる場合における反応生成物(P)の総量(100質量部;溶媒・溶剤成分、充填材(J)は含まない固形分量として)に対して、充填材(J)を50質量部以上300質量部以下含むことが、低熱膨張や、高熱伝導といった特性の観点から好ましく、その中でも、100質量部以上300質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上250質量部以下であることがさらに好ましい。
【0077】
〔シランカップリング剤、湿潤分散剤〕
本実施形態の樹脂組成物には、充填材の微粒子の分散性、樹脂と微粒子やガラスクロスの接着強度を向上させるために、シランカップリング剤及び/又は湿潤分散剤を併用することも可能である。これらのシランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系;γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン系;N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等のカチオニックシラン系;スチリルシラン等のフェニルアリールシラン系のシランカップリング剤が挙げられ、一種又は二種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。また湿潤分散剤としては、塗料用に使用されている分散安定剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、例えば、ビッグケミー・ジャパン(株)製の商品名でDISPER-BYK110、111、118、180、161、BYK-W996、W9010、W903等の湿潤分散剤が挙げられる。
【0078】
〔硬化促進剤〕
本実施形態の樹脂組成物においては、所期の特性が損なわれない範囲において、硬化促進剤を併用することも可能である。硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチル-ジ-パーフタレート等で例示される有機過酸化物;アゾビスニトリル等のアゾ化合物;N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルトルイジン、2-N-エチルアニリノエタノール、トリ-n-ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N-メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N-メチルピペリジンなどの第3級アミン類;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどのフェノール類;ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫マレート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトン鉄などの有機金属塩;これら有機金属塩をフェノール、ビスフェノールなどの水酸基含有化合物に溶解してなるもの;塩化錫、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの無機金属塩;ジオクチル錫オキサイド、その他のアルキル錫、アルキル錫オキサイドなどの有機錫化合物、及びトリフェニルイミダゾール(TPIZ)が挙げられる。
【0079】
〔有機溶剤〕
本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて溶剤を含有していてもよい。例えば、有機溶剤を用いると、樹脂組成物の調製時における粘度が下がり、ハンドリング性が向上するとともにガラスクロスへの含浸性が高められる。溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂の一部又は全部を溶解可能なものであれば、特に限定されない。その具体例としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートが挙げられる。溶剤は、一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0080】
〔その他の成分〕
本実施形態の樹脂組成物には、所期の特性が損なわれない範囲において、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類等の種々の高分子化合物;他の難燃性の化合物;添加剤等の併用も可能である。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性の化合物では、メラミンやベンゾグアナミン等の窒素含有化合物、オキサジン環含有化合物が挙げられる。添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、表面調整剤、光沢剤、重合禁止剤等を、所望に応じて適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0081】
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、アミノ変性シリコーン(A)と、マレイミド化合物(B)と、カルボン酸(C)又はカルボン酸無水物(D)の少なくともいずれかと、を反応させて得られた反応生成物(P)を、そのまま樹脂組成物として得ることができる。また、得られた反応生成物(P)と熱硬化性成分(B)とを混合させて樹脂組成物を得ることができる。さらに、必要に応じてその他の任意性分を混合させてもよい。
【0082】
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、好ましい態様として、アミノ変性シリコーン(A)と、マレイミド化合物(B)とを反応させて一次ポリマーを得る第一反応工程(以下、単に「第一反応工程」ともいう。)と、一次ポリマーと、カルボン酸(C)又はカルボン酸無水物(D)の少なくともいずれかとを反応させる第二反応工程(以下、単に「第二反応工程」ともいう。)と、を有することが、より優れた反応生成物(P)の保存安定性を得る観点から好ましい。
【0083】
第一反応工程における反応温度は、アミノ変性シリコーン(A)とマレイミド化合物(B)との反応が進行する温度であれば特に限定されないが、50℃~200℃であることが好ましく、100℃~150℃であることがより好ましい。
【0084】
第二反応工程に供される、第一反応工程により得られる一次ポリマーの粘度は、より優れた反応生成物(P)の保存安定性を得る観点から、100~500mPa・sであることが好ましく、150mPa・s~400mPa・sであることがより好ましい。なお、一次ポリマーの粘度の測定方法は、特に限定されるものではなく、一般的な粘度計を用いて測定できる。例えば、コーンプレート型粘度計(例えば、ICI粘度計)を用いて測定できる。
【0085】
第二反応工程における反応温度は、特に限定されないが、50℃~200℃であることが好ましく、100℃~150℃であることがより好ましい。反応時間は、特に限定されないが、好ましくは0.5時間~5時間であり、より好ましくは1.5時間~3.5時間である。
【0086】
当然、本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、アミノ変性シリコーン(A)と、マレイミド化合物(B)と、カルボン酸(C)又はカルボン酸無水物(D)の少なくともいずれかと、を同時に反応させてもよい。すなわち、第一反応工程と、第二反応工程とを同時に行ってもよい。
【0087】
第一工程及び第二工程において、アミノ変性シリコーン(A)、マレイミド化合物(B)、カルボン酸(C)又はカルボン酸無水物(D)の少なくともいずれか、及び一次ポリマーは、これらのハンドリング性を向上させるために溶剤に希釈されていることが好ましい。溶剤の種類は、特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートが挙げられる。溶剤は、一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0088】
樹脂組成物の製造時には、各成分を均一に溶解又は分散させるための公知の処理(攪拌、混合、混練処理等)を行うことができる。充填材(J)等の充填材の均一分散にあたり、適切な攪拌能力を有する攪拌機を付設した攪拌槽を用いて攪拌分散処理を行うことで、樹脂組成物に対する分散性が高められる。上記の攪拌、混合、混練処理は、例えば、ボールミル、ビーズミル等の混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置等の公知の装置を用いて適宜行うことができる。
【0089】
〔プリプレグ〕
本実施形態のプリプレグは、基材と、該基材に含浸又は塗布された本実施形態の樹脂組成物とを有する。プリプレグの製造方法は、常法にしたがって行うことができ、特に限定されない。例えば、上記の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布させた後、100~200℃の乾燥機中で1~30分加熱するなどして半硬化(Bステ-ジ化)させることで、プリプレグを得る方法が挙げられる。なお、本実施形態において、プリプレグの総量(100質量%)に対する上記の樹脂組成物の含有量(充填材、添加剤成分を含む)は、特に限定されないが、30質量%以上90質量%以下の範囲であることが好ましい。
【0090】
本実施形態のプリプレグで使用される基材としては、特に限定されるものではなく、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを、目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。その具体例としては、特に限定されないが、例えば、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス、球状ガラス、NEガラス、Tガラス等のガラス繊維;クォーツ等のガラス以外の無機繊維;ポリパラフェニレンテレフタラミド(ケブラー(登録商標)、デュポン社製)、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ社製)等の全芳香族ポリアミド;2,6-ヒドロキシナフトエ酸・パラヒドロキシ安息香酸(ベクトラン(登録商標)、クラレ社製)等のポリエステル;ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(ザイロン(登録商標)、東洋紡績株式会社製)、ポリイミド等の有機繊維が挙げられる。
【0091】
これらの中でも低熱膨張性の観点から、Eガラスクロス、Tガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス、及び有機繊維からなる群より選択される一種又は二種以上であることが好ましい。
【0092】
基材の形状としては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、及びサーフェシングマットが挙げられる。織布の織り方としては、特に限定されないが、例えば、平織り、ななこ織り、綾織りが知られており、これら公知のものから目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。また、これらを開繊処理したものやシランカップリング剤等で表面処理したガラス織布が好適に使用される。基材の厚さや質量は、特に限定されないが、通常は0.01~0.3mm程度のものが好適に用いられる。とりわけ、強度と吸水性との観点から、基材は、厚み200μm以下、質量250g/m2以下のガラス織布が好ましく、Eガラス、Sガラス、及びTガラス等のガラス繊維からなるガラス織布がより好ましい。
【0093】
本実施形態の積層板は、例えば、上述のプリプレグを複数枚重ねて硬化して得ることができる。また、本実施形態の金属箔張積層板は、例えば、上述のプリプレグと、金属箔とを積層して硬化して得ることができる。
【0094】
本実施形態の金属箔張積層板は、具体的には、例えば、上述のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、その片面若しくは両面に金属箔を配して積層成形することにより、得ることができる。より具体的には、上述のプリプレグを1枚又は複数枚以上を重ね、所望によりその片面若しくは両面に銅やアルミニウム等の金属箔を配置した構成とし、これを必要に応じて積層成形することにより、金属箔張積層板を製造することができる。ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔等の公知の銅箔が好ましい。また、金属箔の厚さは、特に限定されないが、1.0μm以上70μm以下が好ましく、より好ましくは1.5μm以上35μm以下である。金属箔張積層板の成形方法及びその成形条件についても、特に限定されず、一般的なプリント配線板用積層板及び多層板の手法及び条件を適用することができる。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機等を用いることができる。また、金属箔張積層板の成形において、温度は100~300℃、圧力は面圧2.0~100kgf/cm2、加熱時間は0.05~5時間の範囲が一般的である。さらに、必要に応じて、150~300℃の温度で後硬化を行うこともできる。また、上述のプリプレグと、別途作成した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板とすることも可能である。
【0095】
本実施形態の金属箔張積層板は、所定の配線パターンを形成することにより、プリント配線板として好適に用いることができる。そして、本実施形態の金属箔張積層板は、低い熱膨張率、良好な成形性、金属箔ピール強度及び耐薬品性(特に耐デスミア性)を有し、そのような性能が要求される半導体パッケージ用プリント配線板として、殊に有効に用いることができる。
【0096】
また、本実施形態において、上述したプリプレグの形態の他、上述の樹脂組成物を金属箔やフィルムに塗布した形態の埋め込みシートの形態とすることもできる。
【0097】
〔レジンシート〕
本実施形態のレジンシートは、支持体と、該支持体の表面に配された本実施形態の樹脂組成物とを有する。上述の樹脂組成物を支持体の片面又は両面に塗布したレジンシートである。ここで、レジンシートとは、薄葉化の1つの手段として用いられるもので、例えば、金属箔やフィルム等の支持体に、直接、プリプレグ等に用いられる熱硬化性樹脂(充填材を含む)を塗布及び乾燥して製造することができる。
【0098】
本実施形態のレジンシートを製造する際において使用される支持体は、特に限定されないが、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを使用することができ、樹脂シート又は金属箔であることが好ましい。樹脂シート及び金属箔としては、例えば、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等の樹脂シート、及びアルミニウム箔、銅箔、金箔等の金属箔が挙げられる。その中でも電解銅箔、及びPETフィルムが好ましい。
【0099】
本実施形態のレジンシートは、上述した樹脂組成物を支持体に塗布後、半硬化(Bステージ化)させたものであることが好ましい。本実施形態のレジンシートの製造方法は一般にBステージ樹脂及び支持体の複合体を製造する方法が好ましい。具体的には、例えば、上記樹脂組成物を銅箔などの支持体に塗布した後、100~200℃の乾燥機中で、1~60分加熱させる方法などにより半硬化させ、レジンシートを製造する方法などが挙げられる。支持体に対する樹脂組成物の付着量は、レジンシートの樹脂厚で1.0μm以上300μm以下の範囲が好ましい。
【0100】
本実施形態のレジンシートは、プリント配線板のビルドアップ材料として使用可能である。
【0101】
本実施形態の積層板は、例えば、上述のレジンシートを1枚以上重ねて硬化して得ることができる。
【0102】
また、本実施形態の金属箔張積層板は、例えば、上述のレジンシートと、金属箔とを積層して硬化して得ることができる。
【0103】
本実施形態の金属箔張積層板は、具体的には、例えば、上述のレジンシートを用いて、その片面又は両面に金属箔を配置して積層形成することにより、得ることができる。より具体的には、例えば、前述のレジンシートを1枚又は所望によりその支持体を剥離したものを複数枚重ね、その片面又は両面に銅やアルミニウム等の金属箔を配置した構成とし、これを必要に応じて積層成形することにより、金属箔張積層板を製造することができる。ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔等の公知の銅箔が好ましい。金属箔張積層板の成形方法及びその成形条件についても、特に限定されず、一般的なプリント配線板用積層板及び多層板の手法及び条件を適用することができる。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができる。また、金属箔張積層板の成形時において、温度は100~300℃、圧力は面圧2.0~100kgf/cm2、加熱時間は0.05~5時間の範囲が一般的である。さらに、必要に応じて、150~300℃の温度で後硬化を行うこともできる。
【0104】
本実施形態の積層板は、レジンシート及び/又はプリプレグを、複数備える積層板であってもよく、レジンシート及び/又はプリプレグと、金属箔とを備える金属箔張積層板であってもよい。これらの積層板は、レジンシート、プリプレグ、及び金属箔を重ねて硬化することによって得られる。
【0105】
本実施形態において、回路となる導体層を形成しプリント配線板を作製する際、金属箔張積層板の形態をとらない場合、無電解めっきの手法を用いることもできる。
【0106】
〔プリント配線板〕
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の樹脂組成物を含む絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された導体層とを備える。
【0107】
本実施形態のプリント配線板は、例えば、絶縁層に金属箔や無電解めっきによって回路となる導体層が形成されて作製される。導体層は一般的に銅やアルミニウムから構成される。導体層が形成されたプリント配線板用絶縁層は、所定の配線パターンを形成することにより、プリント配線板に好適に用いることができる。そして本実施形態のプリント配線板は、絶縁層が上述の樹脂組成物を含むことにより半導体実装時のリフロー温度下においても優れた弾性率を維持することで、半導体プラスチックパッケージの反りを効果的に抑制し、金属箔ピール強度及び耐デスミア性に優れることから、半導体パッケージ用プリント配線板として、殊に有効に用いることができる。
【0108】
本実施形態のプリント配線板は、具体的には、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、上述の金属箔張積層板(銅張積層板等)を用意する。金属箔張積層板の表面にエッチング処理を施して内層回路の形成を行い、内層基板を作成する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を行い、次いでその内層回路表面に上述のプリプレグを所要枚数重ね、更にその外側に外層回路用の金属箔を積層し、加熱加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、硬化物層に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアを除去するためデスミア処理が行われる。その後この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成し、更に外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成し、プリント配線板が製造される。
【0109】
本実施形態のプリント配線板において、例えば、上述のプリプレグ(基材及びこれに添着された上述の樹脂組成物)、上述のレジンシート(支持体及びこれに添着された上述の樹脂組成物)、金属箔張積層板の樹脂組成物層(上述の樹脂組成物からなる層)が、上述の樹脂組成物を含む絶縁層を構成することになる。
【実施例】
【0110】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0111】
[重量平均分子量]
反応生成物の重量平均分子量は、下記実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を試料として、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値として算出した。具体的には、カラムからの溶出時間と分子量との関係をあらかじめ求めておき、これに基づいて溶出時間を分子量に置き換える。この時に用いる「溶出時間と分子量との関係」を示すグラフを「較正曲線」(又は検量線)という。「溶出時間と分子量との関係」は、ポリマーの種類毎に異なるため、原則としては、測定対象と同一構造で分子量既知の分子量分布の狭い標準ポリマーを用いる必要がある。しかし、現実的には困難な場合がほとんどのため、実際は、市販の標準ポリマーが用いられる。ここでは、標準ポリマーとしてポリスチレンを用いている。このように得られた分子量は、標準換算分子量という。これより下記の式から重量平均分子量(Mw)が算出される。
【数1】
式中、Nは、ポリマー分子の数を示し、Mは、分子量を示し、Cは、試料濃度を示す。試料濃度Cは、モノマーの単位数に比例するため、C=M×Nとなる。
【0112】
[合成例1]α-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂の合成
温度計、攪拌器、滴下漏斗及び還流冷却器を取りつけた反応器を予めブラインにより0~5℃に冷却しておき、そこへ塩化シアン7.47g(0.122mol)、35%塩酸9.75g(0.0935mol)、水76mL、及び塩化メチレン44mLを仕込んだ。
【0113】
この反応器内の温度を-5~+5℃、pHを1以下に保ちながら、撹拌下、式(5)におけるR
6がすべて水素原子を示すα-ナフトールアラルキル型フェノール樹脂(SN485、OH基当量:214g/eq.軟化点:86℃、新日鐵化学(株)製)20g(0.0935mol)、及びトリエチルアミン14.16g(0.14mol)を塩化メチレン92mlに溶解した溶液を滴下漏斗により1時間かけて滴下し、滴下終了後、更にトリエチルアミン4.72g(0.047mol)を15分間かけて滴下した。
【化13】
n
4は、1以上の整数を示す。
【0114】
滴下終了後、同温度で15分間撹拌後、反応液を分液し、有機層を分取した。得られた有機層を水100mLで2回洗浄した後、エバポレーターにより減圧下で塩化メチレンを留去し、最終的に80℃で1時間濃縮乾固させて、α-ナフトールアラルキル型フェノール樹脂のシアン酸エステル化物(α-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂)23.5gを得た。
【0115】
[実施例1]
マレイミド化合物(マレイミド基当量285g/eq、ケイ・アイ化成社製の商品名「BMI-80」)25質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル(KHネオケム社製)40質量部に加熱還流温度130℃の条件下において溶解させた溶液に、ジアミノ変性シリコーン(X-22-161B、アミノ基当量1500g/eq、信越化学工業社製の商品名「X-22-161B」)15質量部を溶解させて、一次ポリマーを調製した。その後、加熱還流温度130℃の条件下で攪拌を続け、ICI粘度計(コーンプレート型粘度計、東和工業社製)で一次ポリマーの粘度が200~300mPa・sまで増加した時点で、一次ポリマーに、無水マレイン酸(東京化成社製)1.0質量部をプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(ダウ・ケミカル社製)22.5質量部で溶解させた溶液を添加し、加熱還流温度130℃の条件下のまま、数時間反応させ、反応生成物を含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を試料として、反応生成物の重量平均分子量を測定した。また、その樹脂組成物の一部を25℃の条件下において7日間保存し、保存後の反応生成物の重量平均分子量を測定した。結果は表1に示す。
【0116】
[実施例2]
無水マレイン酸1.0質量部を無水酢酸(東京化成工業社製)1.0質量部に替えた以外は、実施例1と同様の方法により、重量平均分子量が13200である反応生成物を含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を試料として、反応生成物の重量平均分子量を測定した。また、その樹脂組成物の一部を25℃の条件下において7日間保存し、保存後の反応生成物の重量平均分子量を測定した。結果は表1に示す。
【0117】
[実施例3]
無水マレイン酸1.0質量部を無水フタル酸(東京化成工業社製)1.0質量部に替えた以外は、実施例1と同様の方法により、重量平均分子量が12500である反応生成物を含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を試料として、反応生成物の重量平均分子量を測定した。また、その樹脂組成物の一部を25℃の条件下において7日間保存し、保存後の反応生成物の重量平均分子量を測定した。結果は表1に示す。
【0118】
[実施例4]
無水マレイン酸1.0質量部をマレイン酸(東京化成工業社製)1.0質量部に替えた以外は、実施例1と同様の方法により、重量平均分子量が12000である反応生成物を含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を試料として、反応生成物の重量平均分子量を測定した。また、その樹脂組成物の一部を25℃の条件下において7日間保存し、保存後の反応生成物の重量平均分子量を測定した。結果は表1に示す。
【0119】
[実施例5]
無水マレイン酸1.0質量部を無水マレイン酸0.5質量部に替えた以外は、実施例1と同様の方法により、重量平均分子量が11710である反応生成物を含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を試料として、反応生成物の重量平均分子量を測定した。また、その樹脂組成物の一部を25℃の条件下において7日間保存し、保存後の反応生成物の重量平均分子量を測定した。結果は表1に示す。
【0120】
[比較例1]
無水マレイン酸1.0質量部及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート22.5質量部を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法により、重量平均分子量が13900である反応生成物を含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を試料として、反応生成物の重量平均分子量を測定した。また、その樹脂組成物の一部を25℃の条件下において7日間保存し、保存後の反応生成物の重量平均分子量を測定した。結果は表1に示す。
【0121】
[比較例2]
無水マレイン酸1.0質量部を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法により、重量平均分子量が14100である反応生成物を含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の一部を試料として、反応生成物の重量平均分子量を測定した。また、その樹脂組成物の一部を25℃の条件下において7日間保存し、保存後の反応生成物の重量平均分子量を測定した。結果は表1に示す。
【0122】
【0123】
表1中、「増加率」とは、保存前における樹脂組成物の重量平均分子量に対する、7日間保存後における樹脂組成物の重量平均分子量の比率(%)である。なお、保存前における樹脂組成物の「重量平均分子量」は、各樹脂組成物を得た直後に測定して得られた値ではなく、各樹脂組成物を得た日に測定して得られた値であった。よって、初期の保存安定性については、表1中の「重量平均分子量」の結果から、比較することができる。
【0124】
[実施例6]
実施例1で得られた樹脂組成物41.0質量部と、マレイミド化合物(マレイミド基当量186g/eq、大和化成工業社製の商品名「BMI-2300」)30質量部と、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製の商品名「NC-3000FH」)4.5質量部と、ビスジアリルナジイミド(アルケニル基当量286g/eq、丸善石油化学社製の商品名「BANI-M」)25質量部と、上記合成例1で得られたα-ナフトールアラルキル型フェノール樹脂のシアン酸エステル化物0.5質量部と、スラリーシリカ(アドマテックス社製の商品名「SC-2050MB」)200質量部と、エポキシシランカップリング剤(東レ・ダウコーティング社製の商品名「Z6040」)5質量部と、硬化促進剤のトリフェニルイミダゾール(東京化成工業社製)0.5質量部とを混合し、樹脂組成物を得た。
【0125】
[比較例3]
実施例1で得られた樹脂組成物41.0質量部を比較例2で得られた樹脂組成物40.0質量部に替えた以外は、実施例6と同様の方法により樹脂組成物を得た。
【0126】
[アミン価]
実施例6、比較例3で得られた各樹脂組成物について、アミン価を測定した。具体的には、JIS K 7237:1995に準拠し、樹脂組成物の1級アミン及び2級アミンの合計量としてアミン価を測定した。結果は表2に示す。
【0127】
[プリプレグの作製]
実施例6及び比較例3で得られた各樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスをTガラスクロス(T2118)に含浸塗工し、150℃で3分間加熱乾燥して、下記の積層板としたときに絶縁層の厚さが100μmとなるよう樹脂組成物の含有量(質量%)を調整し、プリプレグを得た。
【0128】
[ワニスゲルタイム]
上述したプリプレグの作成の際に得た各ワニスの一部を試料として、170℃でのゲルタイム(秒)を測定した。また、そのワニスの一部を25℃の条件下において7日間保存し、保存後のゲルタイム(秒)を上記同様に測定した。結果は表2に示す。
【0129】
[プリプレグ粘度]
上述の方法で作成したプリプレグから樹脂分を取得し、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製の商品名「AR2000」)を用い、角速度1rad/s、ジオメトリーギャップ1mmの120℃の測定条件における粘度(mPa・s)を測定した。また、上述したプリプレグを25℃の条件下において7日間保存し、保存後のプリプレグより樹脂分を取得し、せん断粘度(mPa・s)を上記同様に測定した。結果は表2に示す。
【0130】
【0131】
[積層板]
得られたプリプレグ1枚の上下に、12μm厚の電解銅箔(三井金属鉱業社製の商品名「3EC-III」)を配置し、圧力30kgf/cm2、温度220℃で120分間の積層成型を行い、絶縁層厚さ100μmの銅張積層板(保存前成型)を得た。また、得られたプリプレグを25℃の条件下において7日間保存し、保存後のプリプレグ1枚を用いて上記と同様の方法により積層成型を行い、絶縁層厚さ100μmの銅張積層板(保存後成型)を得た。
【0132】
〔熱膨張率〕
得られた各銅張積層板(保存前成型及び保存後成型)を全面エッチングすることにより銅箔を除去したのち、熱機械分析装置(TAインスツルメント社製)を用いて40℃から340℃まで毎分10℃で昇温して、60℃から120℃における面方向の線膨張係数を測定し、得られた値を熱膨張率(ppm/degC)の評価値とした。測定方向は積層板のガラスクロスの縦方向(Warp)を測定した。結果は表3に示す。
【0133】
【0134】
本出願は、2016年4月5日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2016-076144号)、及び2017年1月5日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2017-000666号)に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明の樹脂組成物及び該樹脂組成物から得られるプリント配線板は、パーソナルコンピューターをはじめとする種々の電子機器や通信機の部材として好適に用いることができる。