(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】逆流防止装置、及び、逆流防止装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230703BHJP
G05F 1/10 20060101ALI20230703BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H02M3/155 C
G05F1/10 304F
H02J1/00 309P
(21)【出願番号】P 2019080344
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊介
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 和彦
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-194791(JP,A)
【文献】特開2002-132358(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0050853(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0164289(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00-7/98
G05F 1/00-1/10
H01L 21/822
H01L 27/04
H02J 1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧端子に印加された入力電圧を整流して、出力電圧を出力電圧端子に出力し、前記出力電圧端子から前記入力電圧端子への逆流を防止する逆流防止装置であって、
ソースが入力電圧端子に接続され且つドレインが出力電圧端子に接続されたnMOSトランジスタと、
前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間に接続され、オンすることにより前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間を導通し、一方、オフすることにより前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間を遮断する制御スイッチと、
前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて前記出力電圧端子から前記入力電圧端子への逆流を防止するように前記制御スイッチを制御する逆電圧保護用電圧監視回路と、
前記入力電圧端子の前記入力電圧が供給されて駆動し、前記入力電圧に応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、
前記発振信号に応じて昇圧動作して前記入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧をゲート電圧として前記nMOSトランジスタのゲートに出力する昇圧回路と、
前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて前記発振回路の動作を制御する昇圧用電圧監視回路と、を備える
ものであり、
前記昇圧用電圧監視回路は、
前記昇圧回路の昇圧速度を増加させることで、前記電位差が予め設定された下限閾値まで降下した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号の周波数を減少させることにより、前記昇圧回路の昇圧速度を減少させ、
一方、前記昇圧回路の昇圧速度を減少させることで、前記電位差が前記下限閾値よりも高い予め設定された上限閾値まで上昇した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号の周波数を増加させることにより、前記昇圧回路の昇圧速度を増加させる
ことを特徴とする逆流防止装置。
【請求項2】
前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の前記電位差は、前記nMOSトランジスタのドレインとソースとの間のドレイン・ソース電圧である
ことを特徴とする請求項1に記載の逆流防止装置。
【請求項3】
前記昇圧用電圧監視回路は、
前記昇圧回路が昇圧動作することで、前記ドレイン・ソース電圧が予め設定された下限閾値まで降下した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号の出力を停止させることにより、前記昇圧回路が昇圧動作を停止させ、
一方、前記昇圧回路が昇圧動作を停止することで、前記nMOSトランジスタの前記ドレイン・ソース電圧が前記下限閾値よりも高い予め設定された上限閾値まで上昇した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号を出力させることにより、前記昇圧回路を昇圧動作させる
ことを特徴とする請求項2に記載の逆流防止装置。
【請求項4】
前記発振回路が前記発振信号の出力を停止することにより前記昇圧回路が昇圧動作を停止して、前記ゲート電圧を降下させ、
一方、前記発振回路が出力する前記発振信号により前記昇圧回路が昇圧動作して、前記ゲート電圧を上昇させる
ことを特徴とする請求項3に記載の逆流防止装置。
【請求項5】
前記発振回路が出力する前記発振信号の周波数を予め設定された第1周波数にすることにより前記昇圧回路の昇圧速度が減少して、前記ゲート電圧を降下させ、
一方、前記発振回路が出力する前記発振信号の周波数を前記第1周波数よりも高い予め設定された第2周波数にすることにより前記昇圧回路の昇圧速度が増加して、前記ゲート電圧を上昇させる
ことを特徴とする請求項
1に記載の逆流防止装置。
【請求項6】
前記ドレイン・ソース電圧が前記下限閾値まで降下した場合には、前記ゲート電圧を降下させることで、前記nMOSトランジスタのオン抵抗が増加して、前記ドレイン・ソース電圧を上昇させ、
一方、前記ドレイン・ソース電圧が前記上限閾値まで上昇した場合には、前記ゲート電圧を上昇させることで、前記nMOSトランジスタのオン抵抗が減少して、前記ドレイン・ソース電圧を降下させることで、前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を所定の範囲内に制御する
ことを特徴とする請求項
2又は3に記載の逆流防止装置。
【請求項7】
前記逆電圧保護用電圧監視回路は、
前記出力電圧端子の前記出力電圧が、前記入力電圧端子の前記入力電圧よりも予め設定された逆電圧保護用閾値電圧以上高い場合には、前記制御スイッチをオンして、前記nMOSトランジスタを強制的にオフさせ、
一方、前記出力電圧端子の前記出力電圧が、前記入力電圧端子の前記入力電圧よりも前記逆電圧保護用閾値電圧以上高くない場合には、前記制御スイッチをオフする
ことを特徴とする請求項4に記載の逆流防止装置。
【請求項8】
前記昇圧用電圧監視回路は、
第1入力に前記nMOSトランジスタのソース電圧が入力され、第2入力に前記nMOSトランジスタのドレイン電圧が入力され、出力信号を前記発振回路に出力する第1のオペアンプであり、
前記発振回路は、前記第1のオペアンプが出力した出力信号に応じて、発振信号を出力する
ことを特徴とする請求項3に記載の逆流防止装置。
【請求項9】
前記逆電圧保護用電圧監視回路は、
第1入力に前記nMOSトランジスタのソース電圧が入力され、第2入力に前記nMOSトランジスタのドレイン電圧が入力され、出力信号を前記制御スイッチSWに出力する第2のオペアンプであり、
前記制御スイッチSWは、前記第2のオペアンプが出力した出力信号に応じて、オン又はオフに切り換えられる
ことを特徴とする請求項3に記載の逆流防止装置。
【請求項10】
前記nMOSトランジスタは、アノードが前記ソースに接続され且つカソードが前記ドレインに接続されたボディダイオードを含む
ことを特徴とする請求項3に記載の逆流防止装置。
【請求項11】
前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差が、前記上限閾値と前記下限閾値との間にある場合に、前記昇圧回路は、前記nMOSトランジスタのゲート電圧VGが前記nMOSトランジスタの閾値電圧以上になるように制御している
ことを特徴とする請求項3に記載の逆流防止装置。
【請求項12】
前記入力電圧端子には、直流電圧を出力するバッテリが接続され、前記出力電圧端子には、負荷が接続される
ことを特徴とする請求項3に記載の逆流防止装置。
【請求項13】
前記出力電圧端子に接続された前記負荷が大きい場合には、前記nMOSトランジスタのドレイン・ソース電圧が上昇することで、ゲート電圧は高くなり、
一方、前記出力電圧端子に接続された前記負荷が小さい場合には、前記nMOSトランジスタのドレイン・ソース電圧が降下することで、前記発振回路が停止する時間が増加して、前記発振回路の消費電力が削減される
ことを特徴とする請求項
12に記載の逆流防止装置。
【請求項14】
入力電圧端子に印加された入力電圧を整流して、出力電圧を出力電圧端子に出力し、前記出力電圧端子から前記入力電圧端子への逆流を防止する逆流防止装置であって、ソースが入力電圧端子に接続され且つドレインが出力電圧端子に接続されたnMOSトランジスタと、前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間に接続され、オンすることにより前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間を導通し、一方、オフすることにより前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間を遮断する制御スイッチと、前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて前記出力電圧端子から前記入力電圧端子への逆流を防止するように前記制御スイッチを制御する逆電圧保護用電圧監視回路と、前記入力電圧端子の前記入力電圧が供給されて駆動し、前記入力電圧に応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、前記発振信号に応じて昇圧動作して前記入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧をゲート電圧として前記nMOSトランジスタのゲートに出力する昇圧回路と、前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて前記発振回路の動作を制御する昇圧用電圧監視回路と、を備える逆流防止装置の制御方法であって、
前記昇圧用電圧監視回路は、
前記昇圧回路の昇圧速度を増加させることで、前記電位差が予め設定された下限閾値まで降下した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号の周波数を減少させることにより、前記昇圧回路の昇圧速度を減少させ、
一方、前記昇圧回路の昇圧速度を減少させることで、前記電位差が前記下限閾値よりも高い予め設定された上限閾値まで上昇した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号の周波数を増加させることにより、前記昇圧回路の昇圧速度を増加させる
ことを特徴とする逆流防止装置の制御方法。
【請求項15】
前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の前記電位差は、前記nMOSトランジスタのドレインとソースとの間のドレイン・ソース電圧である
ことを特徴とする
請求項14に記載の逆流防止装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆流防止装置、及び、逆流防止装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力電圧端子に印加された入力電圧を整流して、出力電圧を出力電圧端子に出力し、当該出力電圧端子から入力電圧端子への逆流を防止する逆流防止装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、
図6は、従来の逆流防止装置100Aの構成の一例を示す回路図である。この
図6に示す従来の逆流防止装置100Aでは、昇圧回路BCの入出力電位差を監視して周波数を制御しながら昇圧することで省電力化を図っている(
図6)。
【0004】
外付けのnMOSトランジスタTrを制御する場合、当該nMOSトランジスタの闘値は、製品によって異なるため、昇圧回路BCの出力電圧(すなわち、ゲート電圧)は製品毎に設定する必要がある。
【0005】
また、nMOSトランジスタTrのドレイン側の出力電圧端子TOUTに接続される負荷の大きさに基づいて、制御するものでは無い。
【0006】
このように、従来の逆流防止装置100Aでは、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTとの間の電位差(すなわち、nMOSトランジスタTrのソース・ドレイン電圧)を監視して発振回路OSCを制御しておらず、nMOSトランジスタTr毎の閾値に対する調整が必要になるとともに、出力電圧端子TOUTに接続される負荷の大きさに基づいてnMOSトランジスタTrのゲート電圧を制御しておらず、消費電力を削減することができない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、入力電圧端子の入力電圧と出力電圧端子の出力電圧との間の電位差(すなわち、nMOSトランジスタのソース・ドレイン電圧)を監視して発振回路を制御することで、nMOSトランジスタの閾値に対する調整をせずに、nMOSトランジスタのオン状態を維持しつつ、出力電圧端子に接続される負荷の大きさに基づいてnMOSトランジスタのゲート電圧を制御して、消費電力を削減することが可能な逆流防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る逆流防止装置は、
入力電圧端子に印加された入力電圧を整流して、出力電圧を出力電圧端子に出力し、前記出力電圧端子から前記入力電圧端子への逆流を防止する逆流防止装置であって、
ソースが入力電圧端子に接続され且つドレインが出力電圧端子に接続されたnMOSトランジスタと、
前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間に接続され、オンすることにより前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間を導通し、一方、オフすることにより前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間を遮断する制御スイッチと、
前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて前記出力電圧端子から前記入力電圧端子への逆流を防止するように前記制御スイッチを制御する逆電圧保護用電圧監視回路と、
前記入力電圧端子の前記入力電圧が供給されて駆動し、前記入力電圧に応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、
前記発振信号に応じて昇圧動作して前記入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧をゲート電圧として前記nMOSトランジスタのゲートに出力する昇圧回路と、
前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて前記発振回路の動作を制御する昇圧用電圧監視回路と、を備える
ことを特徴とする。
【0010】
前記逆流防止装置において、
前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の前記電位差は、前記nMOSトランジスタのドレインとソースとの間のドレイン・ソース電圧である
ことを特徴とする。
【0011】
前記逆流防止装置において、
前記昇圧用電圧監視回路は、
前記昇圧回路が昇圧動作することで、前記ドレイン・ソース電圧が予め設定された下限閾値まで降下した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号の出力を停止させることにより、前記昇圧回路が昇圧動作を停止させ、
一方、前記昇圧回路が昇圧動作を停止することで、前記nMOSトランジスタの前記ドレイン・ソース電圧が前記下限閾値よりも高い予め設定された上限閾値まで上昇した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号を出力させることにより、前記昇圧回路を昇圧動作させる
ことを特徴とする。
【0012】
前記逆流防止装置において、
前記発振回路が前記発振信号の出力を停止することにより前記昇圧回路が昇圧動作を停止して、前記ゲート電圧を降下させ、
一方、前記発振回路が出力する前記発振信号により前記昇圧回路が昇圧動作して、前記ゲート電圧を上昇させる
ことを特徴とする。
【0013】
前記逆流防止装置において、
前記昇圧用電圧監視回路は、
前記昇圧回路の昇圧速度を増加させることで、前記ドレイン・ソース電圧が予め設定された下限閾値まで降下した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号の周波数を減少させることにより、前記昇圧回路の昇圧速度を減少させ、
一方、前記昇圧回路の昇圧速度を減少させることで、前記nMOSトランジスタの前記ドレイン・ソース電圧が前記下限閾値よりも高い予め設定された上限閾値まで上昇した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号の周波数を増加させることにより、前記昇圧回路の昇圧速度を増加させる
ことを特徴とする。
【0014】
前記逆流防止装置において、
前記発振回路が出力する前記発振信号の周波数を予め設定された第1周波数にすることにより前記昇圧回路の昇圧速度が減少して、前記ゲート電圧を降下させ、
一方、前記発振回路が出力する前記発振信号の周波数を前記第1周波数よりも高い予め設定された第2周波数にすることにより前記昇圧回路の昇圧速度が増加して、前記ゲート電圧を上昇させる
ことを特徴とする。
【0015】
前記逆流防止装置において、
前記ドレイン・ソース電圧が前記下限閾値まで降下した場合には、前記ゲート電圧を降下させることで、前記nMOSトランジスタのオン抵抗が増加して、前記ドレイン・ソース電圧を上昇させ、
一方、前記ドレイン・ソース電圧が前記上限閾値まで上昇した場合には、前記ゲート電圧を上昇させることで、前記nMOSトランジスタのオン抵抗が減少して、前記ドレイン・ソース電圧を降下させることで、前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を所定の範囲内に制御する
ことを特徴とする。
【0016】
前記逆流防止装置において、
前記逆電圧保護用電圧監視回路は、
前記出力電圧端子の前記出力電圧が、前記入力電圧端子の前記入力電圧よりも予め設定された逆電圧保護用閾値電圧以上高い場合には、前記制御スイッチをオンして、前記nMOSトランジスタを強制的にオフさせ、
一方、前記出力電圧端子の前記出力電圧が、前記入力電圧端子の前記入力電圧よりも前記逆電圧保護用閾値電圧以上高くない場合には、前記制御スイッチをオフする
ことを特徴とする。
【0017】
前記逆流防止装置において、
前記昇圧用電圧監視回路は、
第1入力に前記nMOSトランジスタのソース電圧が入力され、第2入力に前記nMOSトランジスタのドレイン電圧が入力され、出力信号を前記発振回路に出力する第1のオペアンプであり、
前記発振回路は、前記第1のオペアンプが出力した出力信号に応じて、発振信号を出力する
ことを特徴とする。
【0018】
前記逆流防止装置において、
前記逆電圧保護用電圧監視回路は、
第1入力に前記nMOSトランジスタのソース電圧が入力され、第2入力に前記nMOSトランジスタのドレイン電圧が入力され、出力信号を前記制御スイッチSWに出力する第2のオペアンプであり、
前記制御スイッチSWは、前記第2のオペアンプが出力した出力信号に応じて、オン又はオフに切り換えられる
ことを特徴とする。
【0019】
前記逆流防止装置において、
前記nMOSトランジスタは、アノードが前記ソースに接続され且つカソードが前記ドレインに接続されたボディダイオードを含む
ことを特徴とする。
【0020】
前記逆流防止装置において、
前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差が、前記上限閾値と前記下限閾値との間にある場合に、前記昇圧回路は、前記nMOSトランジスタのゲート電圧VGが前記nMOSトランジスタの閾値電圧以上になるように制御している
ことを特徴とする。
【0021】
前記逆流防止装置において、
前記入力電圧端子には、直流電圧を出力するバッテリが接続され、前記出力電圧端子には、負荷が接続される
ことを特徴とする。
【0022】
前記逆流防止装置において、
前記出力電圧端子に接続された前記負荷が大きい場合には、前記nMOSトランジスタのドレイン・ソース電圧が上昇することで、ゲート電圧は高くなり、
一方、前記出力電圧端子に接続された前記負荷が小さい場合には、前記nMOSトランジスタのドレイン・ソース電圧が降下することで、前記発振回路が停止する時間が増加して、前記発振回路の消費電力が削減される
ことを特徴とする。
【0023】
本発明の一態様に係る逆流防止装置の制御方法は、入力電圧端子に印加された入力電圧を整流して、出力電圧を出力電圧端子に出力し、前記出力電圧端子から前記入力電圧端子への逆流を防止する逆流防止装置であって、ソースが入力電圧端子に接続され且つドレインが出力電圧端子に接続されたnMOSトランジスタと、前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間に接続され、オンすることにより前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間を導通し、一方、オフすることにより前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間を遮断する制御スイッチと、前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて前記出力電圧端子から前記入力電圧端子への逆流を防止するように前記制御スイッチを制御する逆電圧保護用電圧監視回路と、前記入力電圧端子の前記入力電圧が供給されて駆動し、前記入力電圧に応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、前記発振信号に応じて昇圧動作して前記入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧をゲート電圧として前記nMOSトランジスタのゲートに出力する昇圧回路と、前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて前記発振回路の動作を制御する昇圧用電圧監視回路と、を備える逆流防止装置の制御方法であって、
前記昇圧用電圧監視回路は、
前記昇圧回路が昇圧動作することで、前記ドレイン・ソース電圧が予め設定された下限閾値まで降下した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号の出力を停止させることにより、前記昇圧回路が昇圧動作を停止させ、
一方、前記昇圧回路が昇圧動作を停止することで、前記nMOSトランジスタの前記ドレイン・ソース電圧が前記下限閾値よりも高い予め設定された上限閾値まで上昇した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号を出力させることにより、前記昇圧回路を昇圧動作させる
ことを特徴とする。
【0024】
本発明の一態様に係る逆流防止装置の制御方法は、入力電圧端子に印加された入力電圧を整流して、出力電圧を出力電圧端子に出力し、前記出力電圧端子から前記入力電圧端子への逆流を防止する逆流防止装置であって、ソースが入力電圧端子に接続され且つドレインが出力電圧端子に接続されたnMOSトランジスタと、前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間に接続され、オンすることにより前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間を導通し、一方、オフすることにより前記nMOSトランジスタのソースとゲートとの間を遮断する制御スイッチと、前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて前記出力電圧端子から前記入力電圧端子への逆流を防止するように前記制御スイッチを制御する逆電圧保護用電圧監視回路と、前記入力電圧端子の前記入力電圧が供給されて駆動し、前記入力電圧に応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、前記発振信号に応じて昇圧動作して前記入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧をゲート電圧として前記nMOSトランジスタのゲートに出力する昇圧回路と、前記入力電圧端子の前記入力電圧と前記出力電圧端子の前記出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて前記発振回路の動作を制御する昇圧用電圧監視回路と、を備える逆流防止装置の制御方法であって、
前記昇圧用電圧監視回路は、
前記昇圧回路が昇圧動作することで、前記ドレイン・ソース電圧が予め設定された下限閾値まで降下した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号の出力を停止させることにより、前記昇圧回路が昇圧動作を停止させ、
一方、前記昇圧回路が昇圧動作を停止することで、前記nMOSトランジスタの前記ドレイン・ソース電圧が前記下限閾値よりも高い予め設定された上限閾値まで上昇した場合には、その後、前記発振回路に前記発振信号を出力させることにより、前記昇圧回路を昇圧動作させる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様に係る逆流防止装置は、入力電圧端子に印加された入力電圧を整流して、出力電圧を出力電圧端子に出力し、出力電圧端子から入力電圧端子への逆流を防止する逆流防止装置であって、ソースが入力電圧端子に接続され且つドレインが出力電圧端子に接続されたnMOSトランジスタと、nMOSトランジスタのソースSとゲートとの間に接続され、オンすることによりnMOSトランジスタのソースとゲートとの間を導通し、一方、オフすることによりnMOSトランジスタのソースとゲートとの間を遮断する制御スイッチと、入力電圧端子の入力電圧と出力電圧端子の出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて出力電圧端子から入力電圧端子への逆流を防止するように制御スイッチを制御する逆電圧保護用電圧監視回路と、入力電圧端子の入力電圧が供給されて駆動し、入力電圧に応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、発振信号に応じて昇圧動作して入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧をゲート電圧としてnMOSトランジスタのゲートに出力する昇圧回路と、入力電圧端子の入力電圧と出力電圧端子の出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて発振回路の動作を制御する昇圧用電圧監視回路と、を備える。
【0026】
すなわち、本発明の一態様に係る逆流防止装置によれば、入力電圧端子の入力電圧と出力電圧端子の出力電圧との間の電位差(すなわち、nMOSトランジスタのソース・ドレイン電圧)を監視して発振回路を制御することで、nMOSトランジスタの閾値に対する調整をせずに、nMOSトランジスタのオン状態を維持しつつ、出力電圧端子に接続される負荷の大きさに基づいてnMOSトランジスタのゲート電圧を制御して、消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る逆流防止装置100の構成の一例を示す回路図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す逆流防止装置100の昇圧用電圧監視回路Xの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す逆流防止装置100の逆電圧保護用電圧監視回路Yの構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る
図1に示す逆流防止装置100の動作波形の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る
図1に示す逆流防止装置100の動作波形の他の例を示す図である。
【
図6】
図6は、従来の逆流防止装置100Aの構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る逆流防止装置について、図面とともに説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る逆流防止装置100の構成の一例を示す回路図である。また、
図2は、
図1に示す逆流防止装置100の昇圧用電圧監視回路Xの構成の一例を示す図である。また、
図3は、
図1に示す逆流防止装置100の逆電圧保護用電圧監視回路Yの構成の一例を示す図である。
【0030】
図1に示す逆流防止装置100は、入力電圧端子TINに印加された入力電圧VINを整流して、出力電圧VOUTを出力電圧端子TOUTに出力し、出力電圧端子TOUTから入力電圧端子TINへの逆流を防止するようになっている。
【0031】
この逆流防止装置100は、例えば、
図1に示すように、入力電圧端子TINと、出力電圧端子TOUTと、nMOSトランジスタTrと、制御スイッチSWと、逆電圧保護用電圧監視回路Yと、発振回路OSCと、昇圧回路BCと、昇圧用電圧監視回路Xと、を備える。
そして、入力電圧端子TINは、例えば、直流電圧を出力するバッテリ(図示せず)が接続されるようになっている。
【0032】
また、出力電圧端子TOUTは、例えば、負荷(図示せず)が接続されるようになっている。
【0033】
また、nMOSトランジスタTrは、例えば、
図1に示すように、ソースSが入力電圧端子TINに接続され且つドレインDが出力電圧端子TOUTに接続されている。
【0034】
このnMOSトランジスタTrは、例えば、
図1に示すように、アノードがソースSに接続され且つカソードがドレインDに接続されたボディダイオードZを含む。
【0035】
なお、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTとの間の電位差は、例えば、
図1に示すように、このnMOSトランジスタTrのドレインとソースとの間のドレイン・ソース電圧VDSである。
【0036】
また、制御スイッチSWは、例えば、
図1に示すように、nMOSトランジスタTrのソースSとゲートGとの間に接続されている。
【0037】
例えば、この制御スイッチSWは、オンすることによりnMOSトランジスタTrのソースとゲートとの間を導通するようになっている。
【0038】
一方、この制御スイッチSWは、オフすることによりnMOSトランジスタTrのソースとゲートとの間を遮断するようになっている。
【0039】
また、逆電圧保護用電圧監視回路Yは、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTとの間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて出力電圧端子TOUTから入力電圧端子TINへの逆流を防止するように制御スイッチSWを制御するようになっている。
【0040】
例えば、この逆電圧保護用電圧監視回路Yは、出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTが、入力電圧端子TINの入力電圧VINよりも予め設定された逆電圧保護用閾値電圧以上高い場合には、制御スイッチSWをオンして、nMOSトランジスタTrを強制的にオフさせるようになっている。
【0041】
これにより、後述のように、出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTが入力電圧端子TINの入力電圧VINよりも予め設定された逆電圧保護用閾値電圧以上高い場合には、出力電圧端子TOUTから逆流する電流を遮断することができるようになっている。
【0042】
一方、この逆電圧保護用電圧監視回路Yは、出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTが、入力電圧端子TINの入力電圧VINよりも逆電圧保護用閾値電圧以上高くない場合には、制御スイッチSWをオフするようになっている。
【0043】
これにより、後述のように、nMOSトランジスタTrが、昇圧回路BCが出力する電圧により、オン/オフが制御される状態になるようになっている。
【0044】
すなわち、後述のように、出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTが入力電圧端子TINの入力電圧VINよりも逆電圧保護用閾値電圧以上高くない場合には、nMOSトランジスタtrは、昇圧用電圧監視回路Xがゲート電圧VGを制御することで、オン/オフが制御される状態になるようになっている。
【0045】
このような逆電圧保護用電圧監視回路Yは、例えば、
図3に示すように、第1入力(非反転入力端子)にnMOSトランジスタTrのソース電圧(すなわち、入力電圧VIN)が入力され、第2入力(反転入力端子)にnMOSトランジスタTrのドレイン電圧(すなわち、入力電圧VIN)が入力され、出力信号を制御スイッチSWに出力する第2のオペアンプCOMP2である。この場合、制御スイッチSWは、第2のオペアンプCOMP2が出力した出力信号VYに応じて、オン又はオフに切り換えられるようになっている。
【0046】
また、発振回路OSCは、入力電圧端子TINの入力電圧VINが供給されて駆動し、入力電圧VINに応じた振幅の発振信号SAを出力するようになっている。
【0047】
また、昇圧回路BCは、発振信号SAに応じて昇圧動作して入力電圧VINを昇圧し、得られた昇圧電圧をゲート電圧VGとしてnMOSトランジスタTrのゲートGに出力するようになっている。
【0048】
また、昇圧用電圧監視回路Xは、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTとの間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて発振回路OSCの動作を制御するようになっている。
【0049】
例えば、この昇圧用電圧監視回路Xは、昇圧回路BCが昇圧動作することで、ドレイン・ソース電圧VDSが予め設定された下限閾値Vthbまで降下した場合には、その後、発振回路OSCに発振信号SAの出力を停止させることにより、昇圧回路BCが昇圧動作を停止させるようになっている。
【0050】
すなわち、この逆流防止装置100において、発振回路OSCが発振信号SAの出力を停止することにより昇圧回路BCが昇圧動作を停止して、ゲート電圧VGを降下させるようになっている。
【0051】
したがって、例えば、この逆流防止装置100において、出力電圧端子TOUTに接続された負荷が小さい場合には、nMOSトランジスタTrのドレイン・ソース電圧VDSを降下させることで、発振回路OSCが停止する時間が増加して、発振回路OSCの消費電力が削減されるようになっている。
【0052】
このように、この昇圧用電圧監視回路Xは、ドレイン・ソース電圧VDSが下限閾値Vthbまで降下した場合には、ゲート電圧VGを降下させることで、nMOSトランジスタTrのオン抵抗が増加して、ドレイン・ソース電圧VDSを上昇させるようになっている。
【0053】
一方、昇圧用電圧監視回路Xは、昇圧回路BCが昇圧動作を停止することで、nMOSトランジスタTrのドレイン・ソース電圧VDSが下限閾値Vthbよりも高い予め設定された上限閾値Vthaまで上昇した場合には、その後、発振回路OSCに発振信号SAを出力させることにより、昇圧回路BCを昇圧動作させるようになっている。
【0054】
すなわち、この逆流防止装置100において、発振回路OSCが出力する発振信号SAにより昇圧回路BCが昇圧動作して、ゲート電圧VGを上昇させるようになっている。
【0055】
したがって、例えば、この逆流防止装置100において、出力電圧端子TOUTに接続された負荷が大きい場合には、nMOSトランジスタTrのドレイン・ソース電圧VDSが上昇することで、ゲート電圧VGは高くなるようになっている。
【0056】
このように、この昇圧用電圧監視回路Xは、ドレイン・ソース電圧VDSが上限閾値Vthaまで上昇した場合には、ゲート電圧VGを上昇させることで、nMOSトランジスタTrのオン抵抗が減少して、ドレイン・ソース電圧VDSが降下することで、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTとの間の電位差を所定の範囲内に制御するようになっている。
【0057】
以上のように、この逆流防止装置100において、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧との間の電位差が、上限閾値Vthaと下限閾値Vthbとの間にある場合に、昇圧回路BCは、nMOSトランジスタTrのゲート電圧VGがnMOSトランジスタTrの閾値電圧以上になるように制御している。
【0058】
なお、昇圧用電圧監視回路Xは、例えば、
図2に示すように、第1入力(非反転入力端子)に前記nMOSトランジスタTrのソース電圧(すなわち、入力電圧VIN)が入力され、第2入力(反転入力端子)にnMOSトランジスタTrのドレイン電圧(すなわち、出力電圧VOUT)が入力され、出力信号VXを発振回路OSCに出力する第1のオペアンプCOMP1である。この場合、発振回路OSCは、例えば、第1のオペアンプCOMP1が出力した出力信号に応じて、発振信号SAを出力するようになっている。
【0059】
以上のような構成を有する逆流防止装置100によれば、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧との間の電位差(すなわち、nMOSトランジスタTrのソース・ドレイン電圧)を監視して発振回路OSCを制御することで、nMOSトランジスタTrの閾値に対する調整をせずに、nMOSトランジスタTrのオン状態を維持しつつ、出力電圧端子TOUTに接続される負荷の大きさに基づいてnMOSトランジスタTrのゲート電圧VGを制御して、消費電力を削減することができるようになっている。
【0060】
次に、以上のような構成を有する逆流防止装置100の制御方法の例について説明する。
【0061】
ここで、
図4は、本発明の実施形態に係る
図1に示す逆流防止装置100の動作波形の一例を示す図である。
【0062】
例えば、
図4に示すように、昇圧用電圧監視回路Xは、昇圧回路BCが昇圧動作することで、ドレイン・ソース電圧VDSが予め設定された下限閾値Vthbまで降下した場合には、その後、発振回路OSCに発振信号SAの出力を停止させることにより、昇圧回路BCが昇圧動作を停止させる。
【0063】
すなわち、この逆流防止装置100において、発振回路OSCが発振信号SAの出力を停止することにより昇圧回路BCが昇圧動作を停止して、ゲート電圧VGを降下させる。
【0064】
したがって、例えば、この逆流防止装置100において、出力電圧端子TOUTに接続された負荷が小さい場合には、nMOSトランジスタTrのドレイン・ソース電圧VDSを降下させることで、発振回路OSCが停止する時間が増加して、発振回路OSCの消費電力が削減される(
図4)。
【0065】
このように、この昇圧用電圧監視回路Xは、ドレイン・ソース電圧VDSが下限閾値Vthbまで降下した場合には、ゲート電圧VGを降下させることで、nMOSトランジスタTrのオン抵抗が増加して、ドレイン・ソース電圧VDSを上昇させる(
図4)。
【0066】
一方、昇圧用電圧監視回路Xは、昇圧回路BCが昇圧動作を停止することで、nMOSトランジスタTrの前記ドレイン・ソース電圧VDSが下限閾値Vthbよりも高い予め設定された上限閾値Vthaまで上昇した場合には、その後、発振回路OSCに発振信号SAを出力させることにより、昇圧回路BCを昇圧動作させる(
図4)。
【0067】
すなわち、この逆流防止装置100において、発振回路OSCが出力する発振信号SAにより昇圧回路BCが昇圧動作して、ゲート電圧VGを上昇させる。
【0068】
したがって、例えば、この逆流防止装置100において、出力電圧端子TOUTに接続された負荷が大きい場合には、nMOSトランジスタTrのドレイン・ソース電圧VDSが上昇することで、ゲート電圧VGは高くなる。
【0069】
このように、この昇圧用電圧監視回路Xは、ドレイン・ソース電圧VDSが上限閾値Vthaまで上昇した場合には、ゲート電圧VGを上昇させることで、nMOSトランジスタTrのオン抵抗が減少して、ドレイン・ソース電圧VDSが降下することで、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTとの間の電位差を所定の範囲内に制御する。
【0070】
なお、既述のように、例えば、逆電圧保護用電圧監視回路Yは、出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTが、入力電圧端子TINの入力電圧VINよりも予め設定された逆電圧保護用閾値電圧以上高い場合には、制御スイッチSWをオンして、nMOSトランジスタTrを強制的にオフさせる。
【0071】
これにより、出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTが入力電圧端子TINの入力電圧VINよりも予め設定された逆電圧保護用閾値電圧以上高い場合には、出力電圧端子TOUTから逆流する電流を遮断することができる。
【0072】
一方、逆電圧保護用電圧監視回路Yは、出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTが、入力電圧端子TINの入力電圧VINよりも逆電圧保護用閾値電圧以上高くない場合には、制御スイッチSWをオフする。
【0073】
これにより、nMOSトランジスタTrが、昇圧回路BCが出力する電圧により、オン/オフが制御される状態になる。
【0074】
すなわち、出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTが入力電圧端子TINの入力電圧VINよりも逆電圧保護用閾値電圧以上高くない場合には、nMOSトランジスタtrは、昇圧用電圧監視回路Xがゲート電圧VGを制御することで、オン/オフが制御される状態になる。
【0075】
以上のように、本実施例1係る逆流防止装置100によれば、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧との間の電位差(すなわち、nMOSトランジスタTrのソース・ドレイン電圧)を監視して発振回路OSCを制御することで、nMOSトランジスタTrの閾値に対する調整をせずに、nMOSトランジスタTrのオン状態を維持しつつ、出力電圧端子TOUTに接続される負荷の大きさに基づいてnMOSトランジスタTrのゲート電圧VGを制御して、消費電力を削減することができる。
【実施例2】
【0076】
既述の実施例1では、逆流防止装置100の昇圧用電圧監視回路Xは、昇圧回路BCが昇圧動作することで、ドレイン・ソース電圧VDSが予め設定された下限閾値Vthbまで降下した場合には、その後、発振回路OSCに発振信号SAの出力を停止させることにより、昇圧回路BCが昇圧動作を停止させる構成及び動作の一例について説明した。
【0077】
本実施例2では、この昇圧用電圧監視回路Xは、ドレイン・ソース電圧VDSが予め設定された下限閾値Vthbまで降下した場合の他の制御動作の例について説明する。
【0078】
ここで、
図5は、本発明の実施形態に係る
図1に示す逆流防止装置100の動作波形の他の例を示す図である。
【0079】
例えば、
図5に示すように、この昇圧用電圧監視回路Xは、昇圧回路BCの昇圧速度を増加させることで、ドレイン・ソース電圧VDSが予め設定された下限閾値Vthbまで降下した場合には、その後、発振回路OSCに発振信号SAの周波数を減少させることにより、昇圧回路BCの昇圧速度を減少させるようにしてもよい。
【0080】
すなわち、この逆流防止装置100において、発振回路OSCが出力する発振信号SAの周波数を予め設定された第1周波数F1にすることにより昇圧回路BCの昇圧速度が減少して、ゲート電圧VGを降下させるようにしてもよい(
図5)。
【0081】
このように、この昇圧用電圧監視回路Xは、実施例1と同様に、ドレイン・ソース電圧VDSが下限閾値Vthbまで降下した場合には、ゲート電圧VGを降下させることで、nMOSトランジスタTrのオン抵抗が増加して、ドレイン・ソース電圧VDSを上昇させる。
【0082】
一方、
図5に示すように、この昇圧用電圧監視回路Xは、昇圧回路BCの昇圧速度を減少させることで、nMOSトランジスタTrのドレイン・ソース電圧VDSが下限閾値Vthbよりも高い予め設定された上限閾値Vthaまで上昇した場合には、その後、発振回路OSCに発振信号SAの周波数を増加させることにより、昇圧回路BCの昇圧速度を増加させるようにしてもよい。
【0083】
すなわち、この逆流防止装置100において、発振回路OSCが出力する発振信号SAの周波数を第1周波数F1よりも高い予め設定された第2周波数F2にすることにより昇圧回路BCの昇圧速度が増加して、ゲート電圧VGを上昇させるようにしてもよい(
図5)。
【0084】
このように、この昇圧用電圧監視回路Xは、実施例1と同様に、ドレイン・ソース電圧VDSが上限閾値Vthaまで上昇した場合には、ゲート電圧VGを上昇させることで、nMOSトランジスタTrのオン抵抗が減少して、ドレイン・ソース電圧VDSを降下させることで、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧VOUTとの間の電位差を所定の範囲内に制御する。
【0085】
すなわち、実施例2に係る逆流防止装置100において、出力電圧端子TOUTに接続された負荷が小さい場合には、nMOSトランジスタTrのドレイン・ソース電圧VDSが降下することで、発振回路OSCの発振周波数が減少して、発振回路OSCの消費電力が削減される。
【0086】
なお、この実施例2におけるその他の逆流防止装置100の構成及び動作は、実施例1と同様である。
【0087】
すなわち、本実施例2に係る逆流防止装置100によれば、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧との間の電位差(すなわち、nMOSトランジスタTrのソース・ドレイン電圧)を監視して発振回路OSCを制御することで、nMOSトランジスタTrの閾値に対する調整をせずに、nMOSトランジスタTrのオン状態を維持しつつ、出力電圧端子TOUTに接続される負荷の大きさに基づいてnMOSトランジスタTrのゲート電圧VGを制御して、消費電力を削減することができる。
【0088】
以上のように、本発明の一態様に係る逆流防止装置は、入力電圧端子TINに印加された入力電圧VINを整流して、出力電圧VOUTを出力電圧端子TOUTに出力し、出力電圧端子TOUTから入力電圧端子TINへの逆流を防止する逆流防止装置であって、ソースSが入力電圧端子TINに接続され且つドレインDが出力電圧端子TOUTに接続されたnMOSトランジスタTrと、nMOSトランジスタTrのソースSとゲートGとの間に接続され、オンすることによりnMOSトランジスタTrのソースとゲートとの間を導通し、一方、オフすることによりnMOSトランジスタTrのソースとゲートとの間を遮断する制御スイッチSWと、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて出力電圧端子TOUTから入力電圧端子TINへの逆流を防止するように制御スイッチSWを制御する逆電圧保護用電圧監視回路Yと、入力電圧端子TINの入力電圧VINが供給されて駆動し、入力電圧VINに応じた振幅の発振信号SAを出力する発振回路OSCと、発振信号SAに応じて昇圧動作して入力電圧VINを昇圧し、得られた昇圧電圧をゲート電圧VGとしてnMOSトランジスタTrのゲートGに出力する昇圧回路BCと、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧との間の電位差を監視し、この監視結果に基づいて発振回路OSCの動作を制御する昇圧用電圧監視回路Xと、を備える。
【0089】
すなわち、本発明の一態様に係る逆流防止装置によれば、入力電圧端子TINの入力電圧VINと出力電圧端子TOUTの出力電圧との間の電位差(すなわち、nMOSトランジスタTrのソース・ドレイン電圧)を監視して発振回路OSCを制御することで、nMOSトランジスタTrの閾値に対する調整をせずに、nMOSトランジスタTrのオン状態を維持しつつ、出力電圧端子TOUTに接続される負荷の大きさに基づいてnMOSトランジスタTrのゲート電圧VGを制御して、消費電力を削減することができる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
100 逆流防止装置
TIN 入力電圧端子
TOUT 出力電圧端子
Tr nMOSトランジスタ
SW 制御スイッチ
Y 逆電圧保護用電圧監視回路
OSC 発振回路
BC 昇圧回路
X 昇圧用電圧監視回路
COMP1 第1のオペアンプ
COMP2 第2のオペアンプ
VIN 入力電圧
VOUT 出力電圧