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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】医療センサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/257 20210101AFI20230703BHJP
【FI】
A61B5/257
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019110801
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2019217280
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】16/010,393
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523117845
【氏名又は名称】ジョンソン メドテック リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】スコット ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード コレンダ
(72)【発明者】
【氏名】リービン ジャン
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04522211(US,A)
【文献】特表2010-511465(JP,A)
【文献】特表2005-532841(JP,A)
【文献】特開平09-271467(JP,A)
【文献】特開2014-237045(JP,A)
【文献】特表2005-501641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイタルサインモニタリングのためのモニタリング装置に備え付けられる医療センサであって、
基板と、前記基板の対向する側の1つに設けられる電極パターンとを備えるフレキシブル回路層と、
前記フレキシブル回路層に積層される発泡層であって、前記発泡層に対向する前記電極パターンと位置合わせして開口部を形成する発泡層と、
前記フレキシブル回路層と前記発泡層との間に挟まれて、前記発泡層を前記フレキシブル回路層に接合する接着層であって、前記接着層は、前記発泡層の前記開口部と位置合わせして開口部を形成し、前記接着層の面積は、前記発泡層の面積よりも小さく、前記発泡層の周囲に隣接する部分は、前記接着層によって覆われず、前記接着層によって前記フレキシブル回路層に接合されない、接着層と、
前記発泡層及び前記電極パターンの前記開口部を介して、前記電極パターンに配設されて、前記電極パターンに電気的に接続されることができるゲルスポンジと、
を備え、
前記発泡層の面積は積層方向に垂直な方向において、前記フレキシブル回路層の面積よりも小さいか又はこれに等しく、前記フレキシブル回路層は前記発泡層に完全に重なっていることを特徴とする医療センサ。
【請求項2】
前記発泡層の前記周囲は、前記フレキシブル回路層の周囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の医療センサ。
【請求項3】
前記ゲルスポンジの厚さは、前記発泡層及び前記接着層の合計の厚さよりもわずかに大きいことを特徴とする、請求項1に記載の医療センサ。
【請求項4】
更に、前記発泡層の前記フレキシブル回路層と反対の側に接着される剥離ライナを備えることを特徴とする、請求項1に記載の医療センサ。
【請求項5】
更に、前記フレキシブル回路層の前記基板の前記発泡層と反対の側に、前記電極パターンと位置合わせして配設される補強材を備え、前記補強材は、前記電極パターンの形状を保つのに十分な硬さであることを特徴とする、請求項1に記載の医療センサ。
【請求項6】
前記補強材は、大きさ及び形状が前記電極パターンと実質的に同じであることを特徴とする、請求項5に記載の医療センサ。
【請求項7】
前記基板は、実質的に円形の本体部と、前記本体部の周囲から延在して、ユーザが前記医療センサを扱いやすくするタブとを備えることを特徴とする、請求項1に記載の医療センサ。
【請求項8】
前記フレキシブル回路層は、更に、前記基板上に設けられる複数のトレースを備え、前記基板は、実質的に円形の本体部と、前記本体部の周囲から延在する尾部とを備え、前記電極パターンは、前記本体部に設けられ、前記複数の導電トレースは、前記尾部に設けられ、前記尾部に沿って延在し、前記複数の導電トレースの両端は、それぞれ、前記電極パターン及び前記モニタリング装置に電気的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の医療センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、医療センサに関する。特に、本出願は、電極パッドを皮膚界面として用いて、人体から電気信号を取得する医療センサに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 多くの種類の使い捨て医療センサが、心電図(ECG)、脳波図(EEG)、筋電図(EMG)モニタリング、神経刺激等などのバイタルサインモニタリングに用いられる。
【0003】
[0003] 医療センサは、皮膚と回路及びモニタリング装置との間の皮膚界面として働くヒドロゲルを含む。従来、回路は、ボタン電極であり、これは、ケーブルを介して、モニタリング装置に接続される。ボタン電極は、比較的硬いので、医療センサは、柔軟性を欠き、皮膚に合わせて装着しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] したがって、本出願の目的は、人体へのなじみやすさが改良された医療センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] したがって、本発明は、バイタルサインモニタリングのためのモニタリング装置に備え付けられる医療センサを提供するものである。この医療センサは、基板と、前記基板の対向する側の1つに設けられる電極パターンとを有するフレキシブル回路層と、前記フレキシブル回路層に積層される発泡層と、前記フレキシブル回路層と前記発泡層との間に挟まれて、前記発泡層を前記フレキシブル回路層と接合する接着層と、前記電極パターンに配設されて、前記電極パターンに電気的に接続されるゲルスポンジと、を含む。前記発泡層及び前記接着層は、それぞれ、前記電極パターンと位置合わせして開口部を形成して、前記ゲルスポンジが、開口部内に位置することができるようにする。前記接着層の面積は、前記発泡層の面積よりも小さい。前記発泡層の周囲に隣接する部分は、前記接着層によって覆われず、前記接着層によって前記フレキシブル回路層に接合されない。
【0006】
[0006] 前記発泡層の前記周囲は、前記フレキシブル回路層の周囲内にあることが好ましい。
【0007】
[0007] 前記ゲルスポンジの厚さは、前記発泡層及び前記接着層の合計の厚さよりもわずかに大きいことが好ましい。
【0008】
[0008] 前記電極パターンは、導電性インクで、前記基板上に印刷されることが好ましい。
【0009】
[0009] 前記導電性インクは、熱可塑性導電性インクであることが好ましい。
【0010】
[0010] 前記医療センサは、更に、前記発泡層の前記フレキシブル回路層と反対の側に接着される剥離ライナを含むことが好ましい。
【0011】
[0011] 前記医療センサは、更に、前記フレキシブル回路層の前記基板の前記発泡層と反対の側に、前記電極パターンと位置合わせして配設される補強材を含むことが好ましい。前記補強材は、前記電極パターンの形状を保つのに十分な硬さである。
【0012】
[0012] 前記補強材は、大きさ及び形状が前記電極パターンと実質的に同じであることが好ましい。
【0013】
[0013] 前記基板は、実質的に円形の本体部と、前記本体部の周囲から延在して、ユーザが前記医療センサを扱いやすくするタブとを備えることが好ましい。
【0014】
[0014] 前記フレキシブル回路層は、更に、前記基板上に設けられる複数のトレースを含むことが好ましい。前記基板は、実質的に円形の本体部と、前記本体部の周囲から延在する尾部とを含む。前記電極パターンは、前記本体部に設けられ、前記複数の導電トレースは、前記尾部に設けられ、前記尾部に沿って延在する。前記複数の導電トレースの両端は、それぞれ、前記電極パターン及び前記モニタリング装置に電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態によるセンサの分解図である。
図2】人体に接着された、図1に示すセンサの概略図である。
図3図1に示すセンサを2つ又はそれ以上含むモニタリング装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0015] ここで、添付図面の図を参照して、単なる例示として本出願の好ましい実施形態を説明する。図において、複数の図に現れる同一の構造体、要素又は部品は、一般に、それらが現れる全ての図において同じ符号で表記される。図内に示される構成部品及び構造部の寸法は、一般に、便宜のため及び提示の明確さのために選択されたものであり、必ずしも縮尺通りではない。
【0017】
[0019] 以下、図面を参照して、本出願の実施形態を詳細に説明する。各図面は、実施形態を十分に理解できるように、実施形態を概略的に示しているにすぎない。したがって、実施形態は、図面に示されるものに限定されない。更に、各図面において、共通の構成要素及び同様の構成要素は、同じ符号で表記され、重複説明を省略する。
【0018】
[0020] 図1を参照すると、本発明の一実施形態の医療センサ100は、フレキシブル回路層10、接着層20、発泡層30、ゲルスポンジ40、剥離ライナ50、及び補強材60を含む。
【0019】
[0021] ここで、フレキシブル回路層10は、マイラー基板などの基板11と、基板11上に設けられる電極パターン12と、基板11上に設けられ、電極パターン12に電気的に接続される複数の導電トレース13とを含む。電極パターン12及びトレースは、導電性インクで、基板11上に印刷される。導電性インクは、熱可塑性導電性インクであることが好ましい。導電トレース13は、モニタリング装置に接続されて、医療センサ100を、モニタリング装置に電気的に接続させることができることによって、電気信号を、医療センサ100とモニタリング装置との間で転送することができるようにする。
【0020】
[0022] 一実施形態では、基板11は、実質的に円形の本体部110と、本体部110の周囲からそれぞれ延在するタブ14及び尾部15とを含む。タブ14及び尾部15は、互いに実質的に対向する。タブ14は、ユーザが医療センサ100を扱いやすくする。導電トレース13は、尾部15に印刷され、尾部15に沿って延在する。導電トレース13は、更に、絶縁層(図示せず)で覆われていることを理解することができる。別の実施形態では、尾部15を省略し、これに代えて、ケーブルを用いて、医療センサ100をモニタリング装置に接続することができることを理解することができる。タブ14及び尾部15は、基板11の周囲のどこにでも配設することができ、これら2つの位置は、必ずしも「対向する」わけではないことを理解することができる。
【0021】
[0023] 発泡層30は、フレキシブル回路層10に積層される。発泡層30のフレキシブル回路層10と反対の側は、皮膚接着剤で被覆され、これにより、医療センサ100を人体に装着することができる。接着層20は、発泡層30とフレキシブル回路層10との間に挟まれて、発泡層30をフレキシブル回路層10と接合する。発泡層30及び接着層20には、それぞれ、フレキシブル回路層10の電極パターン12と位置合わせして開口部31及び21が設けられる。ゲルスポンジ40は、開口部31及び21を介して、電極パターン12に配設される。したがって、ゲルスポンジ40は、電極パターン12と電気的に接続されて、ゲルスポンジ40によって検出される生理信号を、フレキシブル回路層10を介して、モニタリング装置に転送することができるようにする。ゲルスポンジ40の大きさは、開口部31及び21の大きさと実質的に同じであり、ゲルスポンジ40の厚さは、発泡層30及び接着層20の合計の厚さよりもわずかに大きい。したがって、発泡層30を人体に装着させた後、ゲルスポンジ40は、一定量の圧力を受けて、確実に、ゲルスポンジ40を人体に密着させる。厚さとは、フレキシブル回路層10、接着層20、及び発泡層30の積層方向の距離を意味する。
【0022】
[0024] 積層方向に対して垂直な方向において、発泡層30の面積は、フレキシブル回路層10の面積よりも小さいか又はこれに等しい。したがって、発泡層30の周囲は、フレキシブル回路層10の周囲内にあり、発泡層30が損傷又は変形するのを防ぐ。
【0023】
[0025] 更に、積層方向に対して垂直な方向において、接着層20の面積は、発泡層30の面積よりも小さい。したがって、発泡層30の周囲に隣接する部分は、接着層20によって覆われず、フレキシブル回路層10に接合されない。換言すれば、発泡層30の周囲に隣接する領域は、接着層20から離れることができる。したがって、フレキシブル回路層10の発泡層30への制限は低減され、発泡層30を容易に曲げて、より身体になじみやすくすることができる。好ましくは、接着層20の面積と発泡層30の面積との比は、25%~75%の範囲内にあり、確実に、発泡層30をフレキシブル回路層10にしっかりと接合するとともに、医療センサ100に十分な身体へのなじみやすさを与える。
【0024】
[0026] 剥離ライナ50は、発泡層30のフレキシブル回路層10と反対の側に接着されて、発泡層30及びゲルスポンジ40が汚れたり損傷したりするのを防ぐ。使用時、剥離ライナ50は、剥がされて、発泡層30及びゲルスポンジ40を露出し、発泡層30は、人体に接着される。図2に示すように、接着層20が小型化されるので、発泡層30のなじみやすさが向上して、発泡層30が人体の湾曲に合わせられる。医療センサ100は、人体にしっかりと且つなじみやすく装着することができる。
【0025】
[0027] 補強材60は、電極パターン12の形状を保つために、すなわち、身体が大きく湾曲している場合でも、医療センサ100が人体に接着されるとき、医療センサ100が変形するのを防ぐために用いられるのに十分な硬さである。具体的には、本実施形態では、補強材60は、フレキシブル回路層10の基板11の発泡層30と反対の側に、電極パターン12と位置合わせして配設される。積層方向に対して垂直な方向において、補強材60は、大きさ及び形状が電極パターン12と実質的に同じである。
【0026】
[0028] 他の実施形態では、ゲルスポンジ40の厚さは、発泡層30及び接着層20の厚さに近似的に等しくすることもできることを理解されたい。フレキシブル回路層10の電極パターン12は、2つ又はそれ以上とすることができる。更に、発泡層30及び接着層20のそれぞれの開口部31及び21の数や、ゲルスポンジ40及び補強材60の数も、電極パターン12の数に対応して2つ又はそれ以上である。
【0027】
[0029] 図3を参照すると、医療センサ100を複数備えるモニタリング装置200が示されている。医療機器200は、ホスト201と、ホスト201に接続される複数の医療センサ100とを含む。一実施形態では、ホストと医療センサ100との間の接続は、着脱可能な接続、例えば、プラグ接続である。医療センサ100は、身体の生理信号を収集し、それを対応する電気信号に変換する。そして、対応する電気信号は、ホスト201に転送される。ホスト201は、電気信号を分析して、身体のバイタルサインモニタリングを行う。
【0028】
[0031] 特定の例示的な実施形態を説明し、添付図面に示してきたが、このような実施形態は、幅広い発明の例示にすぎず、これを制限するものではなく、当業者には、他の様々な修正を行うことができるので、この発明は、図示及び説明される特定の構造及び配置に限定されるべきではないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0029】
10 フレキシブル回路層
11 基板
12 電極パターン
13 導電トレース
14 タブ
15 尾部
20 接着層
21 開口部
30 発泡層
31 開口部
40 ゲルスポンジ
50 剥離ライナ
60 補強材
100 医療センサ
110 本体部
200 モニタリング装置/医療機器
201 ホスト
図1
図2
図3