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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】はんだ付け治具及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/00 20060101AFI20230703BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
B23K3/00 310L
B23K1/00 330Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019124174
(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公開番号】P2021007979
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100100516
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 惠
(72)【発明者】
【氏名】青木 淳
(72)【発明者】
【氏名】佐野 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】上川 将章
(72)【発明者】
【氏名】大栗 守正
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-157377(JP,A)
【文献】特開平09-051049(JP,A)
【文献】実開昭50-101534(JP,U)
【文献】特開2014-212161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 3/00
B23K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ付けを行う重ね合わせた2枚の銅板に搭載される四辺形の板状の本体部の外側に形成され一部は前記2枚の銅板の下部銅板にだけに搭載される外枠部と、
前記本体部の内側に形成され全部が前記2枚の銅板の上部銅板に搭載され前記上部銅板の端部に前記下部銅板と前記上部銅板との間にはんだを流し込むための反り返り部を発生させる内枠部と、
前記外枠部と前記内枠部との間に形成され前記上部銅板の端部の反り返り部を露出させるための溝部とを備えたことを特徴とするはんだ付け治具。
【請求項2】
前記銅板が敷設されたケーブルラックに前記内枠部を前記2枚の銅板を挟んで固定するための内枠固定具を備えたことを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け治具。
【請求項3】
板状部材で門形に形成され下部に垂直部を有し、一部ははんだ付けを行う重ね合わせた2枚の銅板の下部銅板にだけに搭載される外枠部と、
中央部に開口部を有した四辺形の板状部材で一辺が垂立して形成され、全部が前記外枠部の内側で前記2枚の銅板の上部銅板に搭載され前記上部銅板の端部に反り返り部を発生させる内枠部と、
前記外枠部と前記内枠部との間に形成され前記上部銅板の端部の反り返り部を露出させるための溝部とを備えたことを特徴とするはんだ付け治具。
【請求項4】
前記銅板が敷設されたケーブルラックに前記内枠部を前記2枚の銅板を挟んで固定するための内枠固定具と、前記銅板を敷設されたケーブルラックに前記外枠部を固定するための外枠固定具とを備えたことを特徴とする請求項3に記載のはんだ付け治具。
【請求項5】
はんだ付けを行う重ね合わせた2枚の銅板に前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のはんだ付け治具を搭載し、
前記外枠部と前記内枠部との間に形成された溝部から露出した前記2枚の銅板の上部銅板の端部に反り返り部を形成し、
前記反り返り部により生じた前記2枚の銅板の隙間にはんだを流し込み、
前記上部銅板と前記下部銅板とをはんだにて密着させることを特徴とするはんだ付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅板同士をはんだ付けする際に用いるはんだ付け治具及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波電源は、超音波洗浄、誘導加熱、高周波プラズマなどの装置に使用され、このような装置の高周波電源の接地工事は、接地線の代わりに平導体(銅板)の接地導体をケーブルラックに敷設して行われる。これは、接地導体のリアクタンス分(L分)の低減や表皮効果の関係から、高調波電源の性能に悪影響を与えないようにするためである。接地導体は銅板同士を接続して構成され、銅板同士の接続ははんだ付けで行われる。従って、接地導体の低インピーダンス化を図る上では、銅板同士のはんだ付け箇所での接触抵抗の低減を図ることが重要となる。
【0003】
ここで、はんだ付け作業を安定して確実に手間を掛けずに行えるようにしたはんだ付け治具がある(特許文献1参照)。これは、2枚のプレートで回路基板を挟んで所定箇所にはんだ付けする治具であり、回路基板を搭載する第1のプレートに、搭載した回路基板のはんだ付け面を露出する開口を設け、一方、回路基板の上に被さる第2のプレートに、回路基板及び回路基板上の回路部品が外れないように押さえるピンを設けて、第1のプレート及び第2のプレートをヒンジで開閉自在に取付け、回路基板ははんだ付け面を下にした状態で第1のプレートに搭載したのち部品を装着して第2のプレートを閉じ、第2のプレートに設けたピンが回路基板及び回路基板に装着された部品を押さえて落下や浮き上がらないように固定し、この状態で第1のプレート及び第2のプレートを反転させて開口を上に向け、開口から回路基板のはんだ付け面を臨むようにし、後付部品のはんだ付け作業を安定して確実に手間を掛けずに行えるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-238962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のものは、後付部品のはんだ付け作業を安定して行えるようにしたものであり、銅板同士をはんだ付けするものではない。銅板同士をはんだ付けする場合には、接触抵抗を低減させるために銅板同士の密着度を上げてはんだ付けする必要がある。そこで、銅板同士の密着度を確保するために手で銅板を押さえつけながらのはんだ付け作業となるので作業効率が悪い。また、銅板は薄く剛性が低いので銅板を押さえつけながらはんだ付けをしようとしても、1箇所を押さえると他の部分が反り返る傾向にあり、銅板同士の密着度を上げることが難しい。さらには、その際のはんだ付け作業は、トーチやバーナーなどであぶりながらの作業となるため、銅板を手で押さえることはやけどの危険が伴う。
【0006】
本発明の目的は、手で銅板を押さえつけることなく銅板同士の密着度を上げることができ、しかもトーチやバーナーによるやけどの危険を回避できるはんだ付け治具及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係るはんだ付け治具は、はんだ付けを行う重ね合わせた2枚の銅板に搭載される四辺形の板状の本体部の外側に形成され一部は前記2枚の銅板の下部銅板にだけに搭載される外枠部と、前記本体部の内側に形成され全部が前記2枚の銅板の上部銅板に搭載され前記上部銅板の端部に前記下部銅板と前記上部銅板との間にはんだを流し込むための反り返り部を発生させる内枠部と、前記外枠部と前記内枠部との間に形成され前記上部銅板の端部の反り返り部を露出させるための溝部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明に係るはんだ付け治具は、請求項1の発明において、前記銅板が敷設されたケーブルラックに前記内枠部を前記2枚の銅板を挟んで固定するための内枠固定具を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明に係るはんだ付け治具は、板状部材で門形に形成され下部に垂直部を有し、一部ははんだ付けを行う重ね合わせた2枚の銅板の下部銅板にだけに搭載される外枠部と、中央部に開口部を有した四辺形の板状部材で一辺が垂立して形成され、全部が前記外枠部の内側で前記2枚の銅板の上部銅板に搭載され前記上部銅板の端部に反り返り部を発生させる内枠部と、前記外枠部と前記内枠部との間に形成され前記上部銅板の端部の反り返り部を露出させるための溝部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明に係るはんだ付け治具は、請求項3の発明において、前記銅板が敷設されたケーブルラックに前記内枠部を前記2枚の銅板を挟んで固定するための内枠固定具と、前記銅板を敷設されたケーブルラックに前記外枠部を固定するための外枠固定具とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明に係るはんだ付け方法は、はんだ付けを行う重ね合わせた2枚の銅板に前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のはんだ付け治具を搭載し、前記外枠部と前記内枠部との間に形成された溝部から露出した前記2枚の銅板の上部銅板の端部に反り返り部を形成し、前記反り返り部により生じた前記2枚の銅板の隙間にはんだを流し込み、前記上部銅板と前記下部銅板とをはんだにて密着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外枠部と内枠部とをはんだ付けを行う重ね合わせた2枚の銅板に搭載し、2枚の銅板の上部銅板の端部に反り返り部を発生させ、その反り返り部にはんだを流し込み、上部銅板と下部銅板とをはんだにて密着させるので、手で銅板を押さえつけることなく作業ができ、銅板同士の密着度を上げることができる。また、外枠部と内枠部との間に形成された溝部に反り返り部を露出させ、その箇所ではんだ付けの作業を行うので、はんだ付けの際のトーチやバーナーによるやけどの危険を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具の平面図。
図2】本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具が搭載される2枚の銅板の一例(T字に交差して重ね合わせられた2枚の銅板)を示す平面図。
図3】本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具を図2に示すT字に交差して重ね合わせられた2枚の銅板に搭載した平面図。
図4図3のA1-A1線及びB1-B1線での断面図。
図5】本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具が搭載される2枚の銅板の他の一例(直線上に重ねられた2枚の銅板)を示す平面図。
図6】本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具を図5に示す直線上に重ねられた2枚の銅板に搭載した平面図。
図7図6のA2-A2線及びB2-B2線での断面図。
図8】本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具が搭載される2枚の銅板の別の他の一例(十字に交差して重ね合わせられた2枚の銅板)を示す平面図。
図9】本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具を図8に示す十字に交差して重ね合わせられた2枚の銅板に搭載した平面図。
図10図9のA3-A3線及びB3-B3線での断面図。
図11】本発明の第2実施形態に係るはんだ付け治具の平面図。
図12】本発明の第2実施形態に係るはんだ付け治具を図2に示すT字に交差して重ね合わせられた2枚の銅板に搭載した平面図。
図13図12のA4-A4線、B4-B4線での断面図及びC4-C4線での断面図。
図14】本発明の第3実施形態に係るはんだ付け方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具の平面図である。はんだ付け治具の本体部11は、例えば鋼板で四辺形の板状に形成されている。図1では本体部11は略正方形に形成され、外側に外枠部12を有し内側に内枠部13を有している。外枠部12の4辺のうち1辺(下辺)と内枠部13の4辺のうちの1辺(下辺)とは共通枠14として連結されている。そして、外枠部12と内枠部13との間には溝部15が形成され、内枠部13の内側には開口部16が形成されている。すなわち、外枠部12及び内枠部13の上辺の間、外枠部12及び内枠部13の左辺の間、外枠部12及び内枠部13の右辺の間には溝部15が形成されている。なお、外枠部12及び内枠部13の下辺(共通枠14)には溝部15が形成されていない。このように構成された本体部11は、はんだ付けを行う重ね合わせた
2枚の銅板に搭載される。
【0015】
図2は本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具が搭載される2枚の銅板の一例を示す平面図である。図2では2枚の銅板はT字に交差している場合を示しており、2枚の銅板は、横方向の下部銅板17に縦方向の上部銅板18がT字に交差して重ね合わせられている。
【0016】
図3は、本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具を図2に示すT字に交差して重ね合わせられた2枚の銅板に搭載した平面図である。図3に示すように、はんだ付け治具の本体部11の外枠部12は、その一部が2枚の銅板の下部銅板17にだけに搭載される。図3では、外枠部12の上辺が2枚の銅板のうちの下部銅板17にだけに搭載され、また、外枠部12の左辺及び右辺も2枚の銅板のうちの下部銅板17にだけに搭載されている。外枠部12の下辺(共通枠14)は、下部銅板17と上部銅板18とが重なった部分(上部銅板18)に搭載されている。
【0017】
一方、はんだ付け治具の本体部11の内枠部13は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように、その全部が2枚の銅板の上部銅板18に搭載されている。図3では、内枠部13の上辺、内枠部13の左辺及び右辺、内枠部13の下辺(共通枠14)は、2枚の銅板の上部銅板18に搭載されている。なお、内枠部13の下辺(共通枠14)には、溝部15がなく上部銅板18の端部もない。
【0018】
ここで、はんだ付け治具の本体部11を2枚の銅板に搭載する際に、内枠部13を銅板が敷設された図示省略のケーブルラックに内枠固定具19により固定するようにしてもよい。内枠固定具19としては、例えばシャコ万力を用いる。つまり、シャコ万力により内枠部13とケーブルラックとの間に2枚の銅板を挟み込んで内枠部13をケーブルラックに固定する。さらに、内枠固定具19に加えて外枠部12をケーブルラックに固定するための外枠固定具23を設けるようにしてもよい。この場合、外枠部12とケーブルラックとの間に下部銅板17を挟み込むようにしてもよいし、挟み込まないようしてもよい。図3では外枠部12とケーブルラックとの間に下部銅板17を挟み込まずに外枠部12をケーブルラックに固定した場合を示している。
【0019】
本体部11が搭載された銅板には、外枠部12及び内枠部13の重量により押し力が加わり上部銅板18の端部に反り返り部が発生する。内枠固定具19の締め付け力を調整することで銅板への押し力を調整することができ、反り返り部の大きさも調整できる。
【0020】
図4図3のA1-A1線及びB1-B1線での断面図であり、図4(a)は図3のA1-A1線での断面図、図4(b)は図3のB1-B1線での断面図である。図4(a)において、内枠部13の左辺及び右辺は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように2枚の銅板に搭載されており、上部銅板18の端部には反り返り部20が発生している。同様に、図4(b)において、内枠部13の上辺は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように2枚の銅板に搭載されており、上部銅板18の端部には反り返り部20が発生している。なお、外枠部12及び内枠部13の下辺(共通枠14)には、溝部15がなく上部銅板18の端部もないので反り返り部は発生していない。
【0021】
この溝部15から露出した2枚の銅板の上部銅板18の端部の反り返り部20に対し、その反り返り部20より生じた下部銅板17と上部銅板18との間にはんだを流し込み、上部銅板18と下部銅板17とをはんだにて密着させ密着度を高める。はんだ付けの際はトーチやバーナーによりはんだを溶融させるが、溝部15に露出した上部銅板18の端部の反り返り部20に対して、はんだ付けの作業を行うので安全に作業を行うことができ、はんだ付けの際のトーチやバーナーによるやけどの危険を回避できる。
【0022】
このように、図2に示したT字に交差している2枚の銅板の場合は、上部銅板18と下部銅板17とのはんだ付けは、内枠部13の上辺、内枠部13の左辺及び右辺の3箇所で行われる。すなわち、内枠部13の上辺、内枠部13の左辺及び右辺の外側に形成された上部銅板18の反り返り部20で上部銅板18と下部銅板17とのはんだ付けが行われる。
【0023】
次に、図5は本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具が搭載される2枚の銅板の他の一例を示す平面図である。この他の一例は、図2に示した2枚の銅板がT字に交差している場合に対し、2枚の銅板が直線上に重ねられている場合を示している。すなわち、縦方向の下部銅板17に縦方向の上部銅板18が直線上に重ね合わせられている。
【0024】
図6は、本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具を図5に示す直線上に重ねられた2枚の銅板に搭載した平面図である。図3に示した場合と同様に、はんだ付け治具の本体部11の外枠部12は、その一部が2枚の銅板の下部銅板17にだけに搭載される。図6では、外枠部12の上辺が2枚の銅板のうちの下部銅板17にだけに搭載され、外枠部12の左辺及び右辺も2枚の銅板のうちの下部銅板17にだけに搭載されている。外枠部12の下辺(共通枠14)は、下部銅板17と上部銅板18とが重なった部分(上部銅板18)に搭載されている。
【0025】
一方、はんだ付け治具の本体部11の内枠部13は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように、その全部が2枚の銅板の上部銅板18に搭載されている。図6では、内枠部13の上辺、内枠部13の左辺及び右辺、内枠部13の下辺(共通枠14)は、2枚の銅板の上部銅板18に搭載されている。なお、内枠部13の下辺(共通枠14)には、溝部15がなく上部銅板18の端部もない。ここで、はんだ付け治具の本体部11を2枚の銅板に搭載する際に、図3に示した場合と同様に、内枠固定具19を設け内枠部13とケーブルラックとの間に2枚の銅板を挟み込んで内枠部13をケーブルラックに固定するようにしてもよい。さらに、内枠固定具19に加えて外枠部12をケーブルラックに固定するための外枠固定具23を設けるようにしてもよい。
【0026】
図7図6のA2-A2線及びB2-B2線での断面図であり、図7(a)は図6のA2-A2線での断面図、図7(b)は図6のB2-B2線での断面図である。図7(a)において、内枠部13の左辺及び右辺は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように2枚の銅板に搭載されており、上部銅板18の端部には反り返り部20が発生している。同様に、図7(b)において、内枠部13の上辺は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように2枚の銅板に搭載されており、上部銅板18の端部には反り返り部20が発生している。なお、外枠部12及び内枠部13の下辺(共通枠14)には、溝部15がなく上部銅板18の端部もないので反り返り部は発生していない。
【0027】
この溝部15から露出した2枚の銅板の上部銅板18の端部の反り返り部20に対し、その反り返り部20より生じた下部銅板17と上部銅板18との間にはんだを流し込み、上部銅板18と下部銅板17とをはんだにて密着させ密着度を高める。はんだ付けの際はトーチやバーナーによりはんだを溶融させるが、溝部15に露出した上部銅板18の端部の反り返り部20に対して、はんだ付けの作業を行うので安全に作業を行うことができ、はんだ付けの際のトーチやバーナーによるやけどの危険を回避できる。
【0028】
このように、図5に示した直線上に重ねられている2枚の銅板の場合も、図2に示したT字に交差している2枚の銅板の場合と同様に、上部銅板18と下部銅板17とのはんだ付けは、内枠部13の上辺、内枠部13の左辺及び右辺の3箇所で行われる。すなわち、内枠部13の上辺、内枠部13の左辺及び右辺の外側に形成された上部銅板18の反り返り部20で上部銅板18と下部銅板17とのはんだ付けが行われる。
【0029】
次に、図8は本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具が搭載される2枚の銅板の別の他の一例を示す平面図である。この別の他の一例は、図2に示した2枚の銅板がT字に交差している場合に対し、2枚の銅板が十字に交差している場合を示している。すなわち、横方向の下部銅板17に縦方向の上部銅板18が十字に交差して重ね合わせられている。
【0030】
図9は、本発明の第1実施形態に係るはんだ付け治具を図8に示す十字に交差して重ね合わせられた2枚の銅板に搭載した平面図である。図3に示した場合と同様に、はんだ付け治具の本体部11の外枠部12は、その一部が2枚の銅板の下部銅板17にだけに搭載される。図9では、外枠部12の左辺及び右辺が2枚の銅板のうちの下部銅板17にだけに搭載されている。外枠部12の上辺、外枠部12の下辺(共通枠14)は、下部銅板17と上部銅板18とが重なった部分(上部銅板18)に搭載されている。
【0031】
一方、はんだ付け治具の本体部11の内枠部13は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように、その全部が2枚の銅板の上部銅板18に搭載されている。図9では、内枠部13の上辺、内枠部13の左辺及び右辺、内枠部13の下辺(共通枠14)は、2枚の銅板の上部銅板18に搭載されている。なお、内枠部13の下辺(共通枠14)には、溝部15がなく上部銅板18の端部もない。ここで、はんだ付け治具の本体部11を2枚の銅板に搭載する際に、図3に示した場合と同様に、内枠固定具19を設け内枠部13とケーブルラックとの間に2枚の銅板を挟み込んで内枠部13をケーブルラックに固定するようにしてもよい。さらに、内枠固定具19に加えて外枠部12をケーブルラックに固定するための外枠固定具23を設けるようにしてもよい。
【0032】
図10図9のA3-A3線及びB3-B3線での断面図であり、図10(a)は図9のA3-A3線での断面図、図10(b)は図9のB3-B3線での断面図である。図10(a)において、内枠部13の左辺及び右辺は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように2枚の銅板に搭載されており、上部銅板18の端部には反り返り部20が発生している。一方、図10(b)において、内枠部13の上辺は上部銅板18の端部がないので反り返り部は発生していない。また、外枠部12及び内枠部13の下辺(共通枠14)には、溝部15がなく上部銅板18の端部もないので反り返り部は発生していない。前述したように、溝部15から露出した2枚の銅板の上部銅板18の端部の反り返り部20に対し、その反り返り部20より生じた下部銅板17と上部銅板18との間にはんだを流し込み、上部銅板18と下部銅板17とをはんだにて密着させ密着度を高める。
【0033】
図8に示したT字に交差している2枚の銅板の場合は、上部銅板18と下部銅板17とのはんだ付けは、内枠部13の左辺及び右辺の2箇所で行われる。すなわち、内枠部13の左辺及び右辺の外側に形成された上部銅板18の反り返り部20で上部銅板18と下部銅板17とのはんだ付けが行われる。
【0034】
本発明の第1実施形態によれば、はんだ付け治具の本体部11の外枠部12と内枠部13とを2枚の銅板に搭載するので、本体部11の重量で2枚の銅板を固定できる。また、本体部11の重量で2枚の銅板の上部銅板18の端部に反り返り部20を発生させ、その反り返り部20にはんだを流し込み、上部銅板18と下部銅板17とをはんだにて密着させるので、手で銅板を押さえつけることなく作業ができ、銅板同士の密着度を上げることができる。また、外枠部12と内枠部13との間に形成された溝部15に反り返り部20を露出させ、その箇所ではんだ付けの作業を行うので、はんだ付けの際のトーチやバーナーによるやけどの危険を回避できる。また、内枠固定具19や外枠固定具23を設けると、はんだ付け治具の本体部11を固定できるのでより安全にはんだ付け作業を行える。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図11は本発明の第2実施形態に係るはんだ付け治具の平面図であり、図11(a)は平面図、図11(b)は本体部11の外枠部12の平面図、図11(c)は本体部11内枠部13の平面図である。図11(a)に示すように、本発明の第2実施形態に係るはんだ付け治具は、図1に示した第1実施形態に対し、本体部11の外枠部12と内枠部13とが別々に構成され、外枠部12の内側に内枠部13を配置したものである。すなわち、図1に示した第1実施形態では本体部11の外枠部12と内枠部13とは一体構成としたが、第2実施形態では本体部11の外枠部12と内枠部13とを別部材で構成している。
【0036】
外枠部12は、図11(b)に示すように板状部材で門形に形成され下部に垂直部21を有する。一方、内枠部13は、図11(c)に示すように、中央部に開口部16を有した四辺形の板状部材で構成され、そのうちの一辺が垂立して形成されている。すなわち、内枠部13は、四辺形の板状部材の下辺が垂直に屈曲して垂立部22を有している。そして、図11(a)に示すように、外枠部12の内側に溝部15が形成されるように内枠部13を配置し、はんだ付け治具を形成する。
【0037】
図12は、本発明の第2実施形態に係るはんだ付け治具を図2に示すT字に交差して重ね合わせられた2枚の銅板に搭載した平面図である。図12に示すように、はんだ付け治具の本体部11の外枠部12は、その一部が2枚の銅板の下部銅板17にだけに搭載される。図12では、外枠部12の上辺が2枚の銅板のうちの下部銅板17にだけに搭載され、また、外枠部12の左辺及び右辺も2枚の銅板のうちの下部銅板17にだけに搭載されている。外枠部12の下辺(垂直部21)は、下部銅板17と上部銅板18とが重なった部分(上部銅板18)に搭載されている。
【0038】
一方、はんだ付け治具の本体部11の内枠部13は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように、その全部が2枚の銅板の上部銅板18に搭載されている。図12では、内枠部13の上辺、内枠部13の左辺及び右辺、内枠部13の下辺(垂立部22)は、2枚の銅板の上部銅板18に搭載されている。なお、内枠部13の下辺(垂立部22)には、溝部15がなく上部銅板18の端部もない。ここで、はんだ付け治具の本体部11を2枚の銅板に搭載する際に、図3に示した場合と同様に、内枠固定具19を設け内枠部13とケーブルラックとの間に2枚の銅板を挟み込んで内枠部13をケーブルラックに固定するようにしてもよい。さらに、内枠固定具19に加えて外枠部12をケーブルラックに固定するための外枠固定具23を設けるようにしてもよい。第2実施形態では、本体部11の外枠部12と内枠部13とが別々に構成されているので、内枠固定具19及び外枠固定具23の双方を設けることが望ましい。
【0039】
図13は、図12のA4-A4線、B4-B4線での断面図及びC4-C4線での断面図であり、図13(a)は図12A4-A4での断面図、図13(b)は図12のB4-B4線での断面図、図13(c)は図12のC4-C4線での断面図である。図13(a)において、内枠部13の左辺及び右辺は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように2枚の銅板に搭載されており、上部銅板18の端部には反り返り部20が発生している。一方、図13(b)において、内枠部13の上辺は、上部銅板18の端部が溝部15内に位置するように2枚の銅板に搭載されており、上部銅板18の端部には反り返り部20が発生している。
【0040】
さらに、図13(c)においては、内枠部13の垂立部22には、溝部15がなく上部銅板18の端部もないので反り返り部は発生していない。内枠部13の垂立部22に沿って上部銅板18は垂直方向に立ち上がっている。上部銅板18は外枠部12の垂直部21と内枠部13の垂立部22との間に挟まれている。
【0041】
前述したように、溝部15から露出した2枚の銅板の上部銅板18の端部の反り返り部20に、はんだを流し込み、上部銅板18と下部銅板17とをはんだにて密着させる。図12の場合には、図3に示したT字に交差している2枚の銅板であるので、内枠部13の上辺、内枠部13の左辺及び右辺の3箇所で行われる。すなわち、内枠部13の上辺、内枠部13の左辺及び右辺の外側に形成された上部銅板18の反り返り部20で上部銅板18と下部銅板17とのはんだ付けが行われ、内枠部13の垂立部22でははんだ付けは行われない。
【0042】
本発明の第2実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が得られる。外枠部12の垂直部21と内枠部13の垂立部22とにより上部銅板18を垂直方向に逃がすことができるので、はんだ付け作業の箇所として平坦な場所を確保しにくい場合には作業がし易くなる。
【0043】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。図14は本発明の第3実施形態に係るはんだ付け方法を示すフローチャートである。まず、はんだ付けを行う重ね合わせた2枚の銅板を用意する(S11)。2枚の銅板は下部銅板の上に上部銅板を重ねて用意される。例えば、T字交差部では図2に示すように横方向の下部銅板17に縦方向の上部銅板18をT字に重ねて用意され、直線上重ね部では図5に示すように縦方向の下部銅板17に縦方向の上部銅板18を重ねて用意され、十字交差部では図8に示すように横方向の下部銅板17に縦方向の上部銅板18を十字に重ねて用意される。
【0044】
次に、2枚の銅板にはんだ付け治具を搭載する(S12)。この場合、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のはんだ付け治具を、2枚の銅板のうちの上部銅板18の端部の外側に外枠部12が位置し、内側に内枠部13が位置するように搭載する。
【0045】
次に、外枠部と内枠部との間に形成された溝部から露出した2枚の銅板の上部銅板の端部に反り返り部を形成する(S13)。ステップS12により、2枚の銅板にはんだ付け治具を搭載すると、はんだ付け治具の重量により上部銅板18の端部が反り返る。つまり、銅板が反り返る性質に注目し、.敢えて上部銅板18の端部に反り返り部を作る。内枠固定具19や外枠固定具10の締め付け力を調整することで銅板への押し力を調整し反り返り部の大きさを調整できる。
【0046】
次に、反り返り部により生じた2枚の銅板の隙間にはんだを流し込む(S14)。ステップS12により、外枠部12と内枠部13との間に溝部15が形成され、ステップS13により、溝部15から露出した上部銅板18に反り返り部20が形成されるので、その溝部15から露出した上部銅板18の反り返り部20にはんだを流し込む。つまり、反り返り部20より生じた下部銅板17と上部銅板18との間にはんだを流し込む。これにより、上部銅板18と下部銅板17とをはんだにて密着させる(S15)。
【0047】
本発明の第3実施形態によれば、外枠部12と内枠部13とで2枚の銅板を押さえ、上部銅板の端部に反り返り部を作って、その間にはんだを流し込むようにしたので、作業中に銅板の状況を確認しながらはんだ付け作業が効率よく行える。
【0048】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
11…本体部、12…外枠部、13…内枠部、14…共通枠、15…溝部、16…開口部、17…下部銅板、18…上部銅板、19…固定具、20…反り返り部、21…垂直部、22…垂立部、23…外枠固定具
図1
図2
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図14