(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20230703BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20230703BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20230703BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D29/00 A
F25B49/02 560
F25B1/00 361A
F25B1/00 371Z
(21)【出願番号】P 2019204383
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 佳邦
(72)【発明者】
【氏名】平野 幸利
(72)【発明者】
【氏名】関口 禎多
(72)【発明者】
【氏名】関根 隆人
(72)【発明者】
【氏名】小林 直之
(72)【発明者】
【氏名】難波 優紀
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-211307(JP,A)
【文献】特開平05-141837(JP,A)
【文献】特開2001-289549(JP,A)
【文献】特開2015-068510(JP,A)
【文献】特開2018-071813(JP,A)
【文献】特開2003-121032(JP,A)
【文献】特開2009-097853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0001866(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
F25B 1/00
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、
該圧縮機近傍に配された圧縮機温度センサと、
前記圧縮機に非絶縁のパワー基板と、
該パワー基板近傍に配された基板温度センサと、
前記圧縮機及び前記パワー基板まわりの流体に作用する機械室ファンと、を収容する機械室と、を備え、
前記圧縮機温度センサ
が高温
である場合は、
前記圧縮機を停止させ、
前記圧縮機温度センサが高温でない場合は、前記機械室ファンが異常で、かつ、前記基板温度センサが高温であるとき、前記圧縮機を停止させ、
一方、前記圧縮機温度センサが高温でない場合は、前記機械室ファンが異常で、かつ、前記基板温度センサが高温でないとき、前記圧縮機の回転数を制限して低くし、
前記圧縮機温度センサが高温でなく、かつ、前記機械室ファンが異常でないときは、前記圧縮機を駆動させることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記圧縮機温度センサ及び/又は前記基板温度センサの高温
、非高温の
判定には、ヒステリシス領域(不感帯領域)を用い、
前記ヒステリシス領域は、非高温判定値と高温判定値を異なる値に設定し、これらを上下限とした数値範囲とし、
検知温度が高温判定値を超えたら、それ以降、検知温度が非高温判定値を下回るまで「高温」と判定し、
一方、検知温度が非高温判定値を下回ったら、それ以降、検知温度が高温判定値を上回るまで「非高温」と判定することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、機械室ファン(Cファン)20が異常停止すれば、制御装置21はこのCファン20の再起動をあらかじめ設定した回数N(例えば、3回)まで繰り返し、実際に再起動すればCファン20は故障ではないと判断し、通常運転に戻ると開示している(0025)。また、再起動できなかった場合は、圧縮機を停止し得る(0027)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械室ファンが異常停止したことを検知した場合、実際に機械室ファンが駆動していない場合と、機械室ファンのフィードバック信号をマイコンに届ける経路が断線等していることで異常停止していると判断してしまう場合とが考えられる。後者の場合は機械室ファン自体は駆動できているので、圧縮機を直ちに停止させる必要性は比較的小さい。圧縮機を停止してしまうと冷蔵庫内の冷却が停止するため、ユーザにとって大きな不利益となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記事情に鑑みてなされた本発明の冷蔵庫は、
圧縮機と、
該圧縮機近傍に配された圧縮機温度センサと、
前記圧縮機に非絶縁のパワー基板と、
該パワー基板近傍に配された基板温度センサと、
前記圧縮機及び前記パワー基板まわりの流体に作用する機械室ファンと、を収容する機械室と、を備え、
前記圧縮機温度センサが高温である場合は、前記圧縮機を停止させ、
前記圧縮機温度センサが高温でない場合は、前記機械室ファンが異常で、かつ、前記基板温度センサが高温であるとき、前記圧縮機を停止させ、
一方、前記圧縮機温度センサが高温でない場合は、前記機械室ファンが異常で、かつ、前記基板温度センサが高温でないとき、前記圧縮機の回転数を制限して低くし、
前記圧縮機温度センサが高温でなく、かつ、前記機械室ファンが異常でないときは、前記圧縮機を駆動させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】実施形態の冷蔵庫のパワー基板及び制御基板の回路ブロック図
【
図7】実施形態の圧縮機やパワー基板の高温判定の閾値の設定図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[冷蔵庫1]
図1は、本実施形態の冷蔵庫1の正面図である。冷蔵庫1は、貯蔵室として上方から順に、冷蔵室2、製氷室3及び上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6を有する。冷蔵室2の正面には観音開きで冷蔵室2を開閉する冷蔵室左扉8、冷蔵室右扉9が取り付けられており、それぞれ上ヒンジ10、下ヒンジ11にて固定されている。製氷室3、冷凍室4,5、野菜室6はそれぞれ、正面の開口が引出式の扉で開閉される。各扉近傍にはそれぞれ公知の扉センサが配されており、各扉の開閉を検知できる。
【0008】
図2は冷蔵庫1内部の構成を示す縦断面図である。冷蔵庫1は、冷却器13や圧縮機14を含む冷凍サイクルによって冷気を生成し、冷凍室ファン15をはじめとする1以上のファンで冷気を循環させることにより冷蔵庫1の各貯蔵室2-6を所定の温度帯に冷却する。圧縮機14等はパワー基板17で制御され、ファン等は制御基板26で制御される。各貯蔵室は、外気に面する外箱50と貯蔵室内に面する内箱51との間に在る断熱材52によって外気から断熱されている。
【0009】
冷蔵室2には、冷蔵室温度センサ29、庫内灯LED31、棚、棚の背後に配された背面パネル53が配されており、好ましくは、後述する制御基板26が背面パネル53の背後に設けられている。
【0010】
冷却器13は、冷凍室3,4,5何れかの後方に在り、冷却器13下方には除霜ヒータ22が設けられている。冷蔵庫1は、その他ヒータとして、例えば冷蔵室2や野菜室6の壁面に配されて結露を抑制する冷蔵室底面ヒータ23や野菜室ヒータ25、冷蔵室扉8,9いずれかに配されて冷蔵室扉8,9の間の断熱に寄与する周知の回転仕切りに設けられた回転仕切りヒータ24、を有することができる。
【0011】
[パワー基板17(非絶縁基板)の概要]
パワー基板17は、商用電源に対して非絶縁の領域を少なくとも一部に有する基板であり、圧縮機14やヒータ22-25等の高圧系の負荷を駆動する回路を有している基板である。パワー基板17は、冷蔵庫1の背面側(後方側)に設けられ、圧縮機14を収容した機械室16に収容されている。機械室16には他に、リアクタ18や、圧縮機14等の機械室16内の部材を冷却する機械室ファン19が配されている。パワー基板17は電源プラグ20を介して商用電源に電気的に接続している。なお、機械室16は冷蔵庫1の上部背面側でも下部背面側でもよい。機械室16は、少なくとも背面側を含む範囲に、着脱自在の機械室カバー161が配されている。
【0012】
[制御基板26(絶縁基板)の概要]
制御基板26は、電源プラグ20が商用電源に電気的に接続しても、商用電源から絶縁される基板であり、ファンや照明等の低圧系(例えばDC12V)の負荷を駆動する回路を有している基板である。制御基板26はいずれかの貯蔵室に配されている。例えば制御基板26は、機械室16(パワー基板17)から最も遠い貯蔵室である冷蔵室2内に配されている。制御基板26をユーザが操作する必要性は小さいので、貯蔵室背面側の背面パネル53の背後に設けるのが好ましい。
【0013】
制御基板26の出力配線である制御系負荷配線30(
図2中、点線)は、ファンの一例としての冷凍室ファン15や機械室ファン19、照明の一例としての庫内灯LED31、冷気風路の開閉に用いられるダンパのモータなどに接続されている。
【0014】
制御基板26には各センサやスイッチの入力回路が設けられており、センサの一例としての冷蔵室温度センサ29や冷凍室温度センサ28、ドア開閉を検知するセンサ又はスイッチの一例としての冷蔵室ドアスイッチ7などが接続されている。入力配線は図示していない。
【0015】
[基板17,26の回路ブロック]
図3は冷蔵庫1の電気的システムを示す回路ブロック図である。
パワー基板17と制御基板26とは通信的及び電気的に接続している部分があり、情報や電力の授受ができる。例えば、制御基板26とパワー基板17の間はマイコン間通信および制御電源配線27(
図2中、一点鎖線)で通信的に接続されている。具体的には、パワー基板17のヒータマイコン41と制御基板26の庫内制御マイコン39とは通信的に接続しており、マイコン間通信として例えばシリアル通信ができる。これにより、庫内制御マイコン39は、ヒータ数が2以上であれば(本実施形態では4である。)ヒータ数より少ない通信線数(例えば1本)でヒータマイコン41を介して各ヒータの制御を実行できる。
【0016】
また、パワー基板17のスイッチング電源回路36で生成されて低電圧側と制御基板26のDC/DC変換回路38とは電気的に接続しており、スイッチング電源回路36で生成された12V(制御系)がDC/DC変換回路38に供給される。
【0017】
また、パワー基板17の圧縮機制御マイコン35と制御基板26の庫内制御マイコン39とは通信的に接続している。
【0018】
[パワー基板17の回路]
商用電源から電力を受けるパワー基板17は、高圧直流電圧に基づいて低圧直流電源を生成するスイッチング電源回路36、圧縮機14のモータに電圧供給するインバータモジュール34、インバータモジュール34を制御する圧縮機マイコン35、複数のヒータを制御するヒータマイコン41を有する。また、パワー基板17は、商用電源のノイズを低減するノイズフィルタ回路32、高調波電流を抑制するリアクタ18を有すると好ましい。
【0019】
(商用電源からの直流電圧の生成)
電源プラグ20を通じて冷蔵庫1に供給される商用電源は、好ましくはまず、ノイズフィルタ回路32やリアクタ18を通過して整形された交流電圧となる。この交流電圧はコンバータ回路33に供給されて、高圧直流電圧(例えばDC280V)へ変換される。
【0020】
(高圧直流電圧を基にした圧縮機14駆動)
高圧直流電圧(例えばDC280V)の一部は、インバータモジュール34へ供給される。
【0021】
インバータモジュール34は、圧縮機マイコン35からの制御信号に応じて高圧直流電圧を交流電圧に変換して圧縮機14のモータへ出力する。これにより、圧縮機14が可変速制御される。
【0022】
(低圧電源の生成)
高圧直流電圧(例えばDC280V)の一部は、スイッチング電源回路36に供給される。スイッチング電源回路36は、コンバータ回路33からの高圧直流電圧を、スイッチングトランスを利用して低圧の電源電圧へ降圧変換する。スイッチング電源回路36で降圧変換される電源としては、インバータモジュール34内部の制御回路の電源として使用されるP15V(パワー系)、圧縮機制御マイコン35やその周辺回路の電源として使用されるP3.3V(パワー系)が挙げられる。これらは、インバータモジュール34や圧縮機制御マイコン35が商用電源と電気的に接続しているため、非絶縁の電源である。P15V(パワー系)とP3.3V(パワー系)の基準電位(P0V)は、インバータモジュール34を制御するためにコンバータ回路33からの直流電圧の基準電位と同一としてあり、商用電源からは非絶縁の構成となる。
【0023】
スイッチング電源回路36で降圧変換される電源としてはほかに、制御電源配線を介して制御基板36に供給される12V(制御系)がある。12V(制御系)は、スイッチングトランスによって商用電源とは絶縁されている。12V(制御系)は、制御電源配線を介して、制御基板26と電気的に接続している。
図3中、1次側(非絶縁)の領域が商用電源(電源プラグ20)と非絶縁の回路構成であり、2次側(絶縁)の領域が商用電源から絶縁されている回路構成である。
【0024】
(ヒータ駆動)
パワー基板17はさらに、各ヒータ22-25への電力供給をON-OFFするスイッチを有するヒータ駆動回路40と、ヒータ駆動回路40のスイッチ(例えば、フォトカプラやSSRといった絶縁素子を使用できる。)を制御するヒータマイコン41とを有している。ヒータ駆動回路40には、好ましくはノイズフィルタ回路32を通過した高圧電源が供給される。ヒータマイコン41は、例えばフォトカプラを介して各スイッチのON-OFF指令を出力する。この指令は、後述する庫内制御マイコン39から通信線を介してヒータマイコン41に入力される。
【0025】
パワー基板17から各ヒータ負荷22-25へヒータ負荷配線21(
図2中、破線)が配線される。ヒータ負荷としては、冷却器13に付いた霜を除去するための除霜ヒータ22、冷蔵室下部の温度調整を行う冷蔵室底面ヒータ23、観音扉の間の冷気漏れ防止のために設けられた回転シキリへの露付きを防止するための回転シキリヒータ24、野菜室6の温度調整を行うための野菜室ヒータ25などが設けられている。
【0026】
(機械室19側からの運転情報データ(制御ログ)の読出)
冷蔵庫1の各種センサの検知値、圧縮機の回転数やヒータのON-OFF状態等の各時刻における運転情報データ(動作ログ)を冷蔵庫1のメモリに記憶させ、運転情報データを利用して工場出荷前に検査をしたり、家庭等への据付後のメンテナンスに利用したりすることがあり得る。メモリを有線接続で他機器に接続するには、メモリが配されている基板の読出コネクタ等と有線接続を確立する必要がある。
【0027】
ヒータマイコン41は、パワー基板17に配されたメモリ421と接続しており、庫内制御マイコン39から受信した各温度センサ値等の運転情報データを一定期間分、メモリ421に保存する。パワー基板17には、メモリ421にアクセスするための読出コネクタ431が設けられている。読出コネクタ431は商用電源から絶縁されている。
【0028】
メモリ421は読出コネクタ431を通じてパソコンなどの他機器にデータを出力する。工場出荷前の商用試験時には、運転情報データを利用して動作確認したり、不具合発生時の解析に使用したりし得るが、組立終えて工場出荷前の状態の冷蔵庫については、機械室19から運転情報データにアクセス可能であると利便性が高い。
【0029】
読出コネクタ431を使用する作業者の感電防止やパソコンなどの他機器の地絡による故障防止のため、ヒータマイコン41、メモリ421、読出コネクタ431は商用電源から絶縁された5V(制御系)電源によって動作する構成としている。後述の読出コネクタ43も同様である。制御基板26側にもメモリ42と読出コネクタ43が設けられているが、制御基板26が配されている貯蔵室内、例えば着脱可能な背面パネル53の背後の領域は、組立完了した出荷前の冷蔵庫1からのアクセスが機械室19に比して煩雑になりやすい。
【0030】
このため、本実施形態ではパワー基板17側にも読出コネクタ431があることで、組立が完了して制御基板26へのアクセスがしにくい冷蔵庫1であっても、機械室16を通じてアクセスできる。メモリ421は、出荷前の試験に用いる程度が通常であるから、記憶容量はそれほど不要であり、メモリ42より小容量にすることができる。
【0031】
なお、メモリ421は必ずしもヒータマイコン41に接続していなくてもよく、電源プラグ20から電気的に絶縁しているその他のマイコンに接続していることができる。
【0032】
[制御基板26の回路]
制御基板26は、各センサやドアスイッチの検知値、操作基板を通じたユーザの操作データを取得し、これらセンシング情報に基づいて各ファンや照明、ダンパ等を制御する庫内制御マイコン39を有する。庫内制御マイコン39は、接地されていると好ましい。
【0033】
(センサ等の駆動に用いる電源の生成)
制御基板26は、パワー基板17から供給される12V(制御系)電源(第1直流電圧)を利用して、センサの駆動に用いられる5V(制御系)電源(第2直流電圧)を生成する。このため、制御基板26は、12V(制御系)電源をさらに降圧するためのDC/DC変換回路38を有する。DC/DC変換回路38は、接地されていると好ましい。
【0034】
5V(制御系)は、庫内制御マイコン39や各センサ、ドアスイッチ、庫内制御マイコン39などの、低圧の検知信号や制御信号の授受を行う素子等の電源として用いられる。特に、センサの電源にノイズが重畳してしまうとセンサの検知精度が低下する。例えばアナログ電圧を利用して温度を検知する温度センサの検知信号にノイズが重畳すると、温度を誤検出してしまうことになる。本実施形態では、5V(制御系)の生成を制御基板26側で行うことにより、インバータモジュール34、圧縮機制御マイコン35やスイッチング電源回路36といった、高圧でノイズが比較的大きい構成から遠方で電源を生成できる。このため、センサの検知精度の低下を抑制できる。
【0035】
この点について詳述すると、DC/DC変換回路38は、高効率化のためにDC/DCコンバータという高周波スイッチング動作にて出力電圧調整をするICを使用する。DC/DCコンバータは出力電圧を監視しながらスイッチング周期を調整することから、外来ノイズの影響が懸念される。DC/DC変換回路38を制御基板26側に搭載することにより、ノイズの大きいインバータモジュール34やスイッチング電源回路36から遠ざけ、外来ノイズの影響を低減できる。
【0036】
また、DC/DC変換回路38は構成素子として、一般的には、前述の高周波スイッチング動作を行うためのICや、電力エネルギーを蓄えるためにコイルを使用する場合が多く、それらから放射される高周波ノイズや漏れ磁束などが周辺部品や配線に重畳し、誤動作させてしまう場合がある。
図4は、本実施形態の制御基板26の正面概略図である。DC/DC変換回路38を制御基板26の基板縁側に配している。また、制御基板26に接続する配線80がDC/DC変換回路38の鉛直上方向を通過しない構造としている。また、DC/DC変換回路38の周辺でコネクタ81との間に、制御系電源の接地パターン82を設けて好ましくは囲むようにした。これにより、制御基板26上の他制御素子や他配線パターンへノイズが重畳しづらい構成にできる。
【0037】
なお、冷凍室ファン15や機械室ファン19、庫内灯LED31などは、パワー基板17から供給される12V(制御系)を利用して駆動する。庫内制御マイコン39は、これら12V系負荷を駆動する12V系負荷駆動回路37を有する。
【0038】
(貯蔵室側からの運転情報データ(制御ログ)の読出)
制御基板26は、庫内制御マイコン39が取得するセンサ検知値や、各ファン、照明、圧縮機14の駆動状態のログを記憶するメモリ42と、メモリ42にアクセス自在とする読出コネクタ43を有する。冷蔵庫の家庭等への据付後は、パワー基板17の読出コネクタ431からのアクセスは、通常機械室19が壁面に接しているため行いづらい。このため、据付後のメンテナンス時等のアクセス性を向上すべく、制御基板26側にもメモリ42と読出コネクタ43とを設けている。
【0039】
本実施形態では、冷蔵庫1の背面側からアクセス可能な機械室19内、及び正面側からアクセス可能な貯蔵室内それぞれに、読出コネクタを設けたが、家庭等でのメンテナンス時には機械室19側からのアクセスが困難であることに鑑みれば、正面側からのアクセスを容易にする貯蔵室内に限らず、側面側に読出コネクタを設けてもよい。例えば、貯蔵室内の側壁に制御基板や読出コネクタを設けてもよい。
【0040】
(ヒータ22-25の駆動指令)
庫内制御マイコン39は、各センサ(温度センサや湿度センサ)の検知値を利用して各ヒータ22-25の通電率を決定して、通信的に接続したヒータマイコン41に各ヒータの通電率を送信する。ヒータマイコン41は庫内制御マイコン39からの指令の通りに、ヒータ駆動回路40を駆動する。ヒータ駆動回路40はデューティ比指令を受けて、商用電源に対する各ヒータの通電状態を切替える。
【0041】
2基板間を亘る配線数を低減する等の目的から、パワー基板17にヒータマイコン41を設け、ヒータマイコン41の指令は庫内制御マイコン39から行っている。このため、ヒータマイコン41と庫内制御マイコン39間の通信が、通信線の断線など何らかの理由でできなくなる虞がある。本実施形態では、ヒータマイコン41が庫内制御マイコン39との通信途絶を検知すると、ヒータの過度の温度上昇を防止するため、原則としてヒータの動作を停止、またはデューティ比を低下させる。但し、露が生じやすいヒータ、例えば回転仕切りヒータ24については、デューティ比を所定以上、例えば50%以上に維持する。
【0042】
[機械室レイアウト]
図5は本実施形態の機械室16の内部の上面図である。
機械室16には、商用電源1から非絶縁の圧縮機14、商用電源1から絶縁して制御基板26の庫内制御マイコン39から制御される機械室ファン19、圧縮機14の例えば外殻に配されて圧縮機14の温度情報を検知する圧縮機温度センサ91、パワー基板17、パワー基板17近傍に配された基板温度センサ92が設けられている。機械室ファン19の一方側には圧縮機14が、他方側にはパワー基板17が配されている。機械室ファン19は、
図3に例示するように12V系負荷駆動回路37から電源供給されて駆動し、圧縮機14やパワー基板17、その周囲に空気流を生じさせて空冷する。
【0043】
[機械室ファン19の異常時の制御]
制御基板26は、庫内制御マイコン39から12V系負荷駆動回路37へ信号を出力する12V系負荷駆動回路93、12V系負荷駆動回路37から12V系負荷へ信号を出力する12V系負荷駆動配線95、機械室ファン19の駆動状態(回転数パルス、電流、ホールセンサ情報等)をフィードバックする12V系負荷駆動配線96、12V系負荷駆動回路94を有する。
【0044】
庫内制御マイコン39が機械室ファン19からフィードバック信号を検知できなくなった場合、たとえば回転数0および電流0がフィードバックされた場合、機械室ファン19に異常が生じたと判定する。これは、例えば回路37,93,94といった基板回路パターンや配線95,96が断線したりしていて、機械室ファン19は正常に駆動しているがフィードバックを得られていないだけの場合の他、実際に機械室ファン19が故障して駆動できていない場合が考えられる。前者の場合は圧縮機14やパワー基板17の冷却自体は行えているので、圧縮機14の駆動を継続しても一応問題はない。後者の場合は圧縮機14やパワー基板17の冷却が行えていないので、圧縮機14やパワー基板17の温度状態を観察して適宜圧縮機14の回転数を規制したり停止させたりする。パワー基板17やその近傍に設けられているリアクタ18やインバータモジュール34は、圧縮機14の回転数に応じて発熱量が変化するため、パワー基板17が過熱してきた場合は圧縮機14の回転数を抑えることが好ましい。
【0045】
機械室ファン19の異常判定結果は、後述する制御フローのステップS101に用いる。なお、フィードバックが得られなくなった瞬間に異常と判定するのではなく、連続した所定回数に亘って得られなかった場合に判定してもよい。
【0046】
図6は圧縮機14の回転数制御のフローチャートである。圧縮機温度センサ91が高温である場合(ステップS100,Yes)、圧縮機14を停止させる(ステップS105)。圧縮機温度センサ91が高温でない場合(ステップS100,No)、機械室ファン19が異常であり(ステップS101,Yes)、かつ基板温度センサ92が高温である(ステップS102,Yes)とき、圧縮機14を停止させる(ステップS105)。一方、圧縮機温度センサ91が高温でない場合(ステップS100,No)、機械室ファン19が異常であり(ステップS101,Yes)、かつ基板温度センサ92が高温でない(ステップS102,No)とき、圧縮機14の回転数を制限して低くする(ステップS103,S106)。圧縮機温度センサ91が高温でない場合(ステップS100,No)、機械室ファン19が異常でないとき(ステップS101,No)、圧縮機14を駆動しても問題はないと判断できるため、通常通り駆動させる(ステップS104,S106)。
【0047】
図7は圧縮機14やパワー基板17の高温判定の閾値の設定図である。圧縮機温度センサ91や基板温度センサ92の高温、非高温の判定には、ヒステリシス領域(不感帯領域)を設けてもよい。ヒステリシス領域は、非高温判定値と高温判定値を異なる値に設定し、これらを上下限とした数値範囲をいう。検知温度が高温判定値を超えたら、それ以降、検知温度が非高温判定値を下回るまで「高温」と判定する。また、検知温度が非高温判定値を下回ったら、それ以降、検知温度が高温判定値を上回るまで「非高温」と判定する。
図7に例示する場合、自刻T1で検知温度が高温判定値を上回ったため、これ以降を高温と判定し、それ以前を非高温と判定している。
【符号の説明】
【0048】
1 冷蔵庫
2 冷蔵室
3 製氷室
4 上段冷凍室
5 下段冷凍室
6 野菜室
7 冷蔵室ドアスイッチ
8 冷蔵室左扉
9 冷蔵室右扉
10 上ヒンジ
11 下ヒンジ
13 冷却器
14 圧縮機
15 冷凍室ファン
16 機械室
17 パワー基板
18 リアクタ
19 機械室ファン
20 電源プラグ
21 ヒータ負荷配線(破線)
22 除霜ヒータ
23 冷蔵室底面ヒータ
24 回転シキリヒータ
25 野菜室ヒータ
26 制御基板
27 制御電源配線
28 冷凍室温度センサ
29 冷蔵室温度センサ
30 制御系負荷配線(点線)
31 庫内灯LED
32 ノイズフィルタ回路
33 コンバータ回路
34 インバータモジュール
35 圧縮機マイコン
36 スイッチング電源回路
37 12V系負荷駆動回路
38 DC/DC変換回路
39 庫内制御マイコン
40 ヒータ駆動回路
41 ヒータマイコン
50 外箱
51 内箱
52 断熱材
53 背面パネル
91 圧縮機温度センサ
92 基板温度センサ
93 12V系負荷駆動回路(出力信号側)
94 12V系負荷駆動回路(入力信号側)
95 12V系負荷駆動配線(出力信号側)
96 12V系負荷駆動配線(入力信号側)