(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】筐体
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
H05K7/18 D
(21)【出願番号】P 2020014811
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2021-09-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日:令和 1年11月10日 販売した場所:株式会社SUMCO(佐賀県伊万里市東山代町長浜826-1) 公開者名:三菱電機プラントエンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】599041606
【氏名又は名称】三菱電機プラントエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】馬場 賢爾
(72)【発明者】
【氏名】小山田 朋貴
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-324624(JP,A)
【文献】特開2011-233771(JP,A)
【文献】特開2011-029363(JP,A)
【文献】特開2002-076647(JP,A)
【文献】特開2014-081053(JP,A)
【文献】実開昭58-099885(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00
H05K 7/18
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の縦フレームと、一対の横フレームとで構成された矩形形状を有するフレーム組立体を備えた筐体であって、
前記一対の縦フレームのそれぞれは、直角に連なった縦フレーム前面部、縦フレーム側面部および縦フレーム後面部からなる断面コの字状に形成されており、
前記一対の横フレームのそれぞれは、直角に連なった横フレーム前面部、横フレーム側面部および横フレーム後面部からなり、前記縦フレーム内に嵌合する断面コの字状に形成されており、
前記一対の縦フレームと前記一対の横フレームは、前記横フレームの端部が前記縦フレームの端部内に嵌合された状態で、それぞれの断面コの字状の開口を内側に向けて配置されて固定されることで前記矩形形状を形成し、
縦フレーム用固定穴が、
直角に連なった断面コの字状に形成された前記縦フレームの端部における前記縦フレーム前面部と前記縦フレーム後面部と
のそれぞれに
一対の縦フレーム用固定穴として形成され、
横フレーム用固定穴が、
直角に連なった断面コの字状に形成された前記横フレームの端部における前記横フレーム前面部と前記横フレーム後面部と
のそれぞれに
一対の横フレーム用固定穴として形成され、
前記縦フレーム前面部と前記縦フレーム後面部とに形成されたそれぞれの前記
一対の縦フレーム用固定穴の位置が、前記縦フレーム前面部および前記縦フレーム後面部に直交する方向から見て異なり、
前記横フレーム前面部に形成された前記
一対の横フレーム用固定穴の位置が、前記横フレームの端部が前記縦フレームの端部内に嵌合された状態で、前記縦フレーム前面部に形成された前記
一対の縦フレーム用固定穴の位置に一致し、
前記横フレーム後面部に形成された前記
一対の横フレーム用固定穴の位置が、前記横フレームの端部が前記縦フレームの端部内に嵌合された状態で、前記縦フレーム後面部に形成された前記
一対の縦フレーム用固定穴の位置に一致し、
前記縦フレームと前記横フレームの端部同士が、一致している前記
一対の縦フレーム用固定穴と前記
一対の横フレーム用固定穴とを用いて固定され、
前記フレーム組立体は、前記縦フレーム側面部を利用して自立させることが可能に構成された前記矩形形状を有する
筐体。
【請求項2】
前記縦フレームと前記横フレームの端部同士は、リベットで固定されている
請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
矩形形状を有する天井パネルと、
矩形形状を有する底面パネルと、
をさらに備え、
前記天井パネルは、前記フレーム組立体に含まれる前記縦フレーム後面部が相対するように、2つの前記フレーム組立体が離れた状態で平行に配置された一対のフレーム組立体の上部に配置され、前記一対のフレーム組立体をリベットで固定し、
前記底面パネルは、前記一対のフレーム組立体の下部に配置され、前記一対のフレーム組立体をリベットで固定する
請求項1または請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記天井パネルは、
前記一対のフレーム組立体間の上部開口を覆う天井パネル上面部と、
前記天井パネル上面部の相対する2辺のそれぞれから直角に折り曲げられて形成され、前記一対のフレーム組立体の上部に位置する一対の前記横フレームの前記横フレーム前面部のそれぞれに沿い、かつ前記縦フレーム前面部と面一に配置された一対の天井パネル前後折り曲げ部と、
を有し、
前記底面パネルは、
前記一対のフレーム組立体間の下部開口を覆う底面パネル下面部と、
前記底面パネル下面部の相対する2辺のそれぞれから直角に折り曲げられて形成され、前記一対のフレーム組立体の下部に位置する一対の前記横フレームの前記横フレーム前面部のそれぞれに沿い、かつ前記縦フレーム前面部と面一に配置された一対の底面パネル前後折り曲げ部と、
を有する
請求項3に記載の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御盤、配電盤等に用いられる筐体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、制御盤、配電盤等に使用される直方体状の筐体は、一般的に、溶接接合によって製作されているものが多かった。しかしながら、筐体を構成するフレーム部材同士を溶接により接合する場合には、以下のような課題があった。
【0003】
第1の課題として、溶接焼け(酸化による肌荒れあるいは冷却後の収縮による溶接痕)が外表面に生じる。このため、塗装前にグラインダー仕上げによって溶接焼けを修正・除去する作業が必要となり、この作業のためには、熟練と工数を要することとなる。
【0004】
第2の課題として、溶接スパッタ、グラインダー仕上げなどの塵埃等が発生し、作業環境が悪いことが挙げられる。さらに、第3の課題として、直方体状の筐体を溶接接合する際には、定盤という平面の基準となる水平な鉄製の台を用いて溶接し、組立てる必要がある。この結果、組立可能な場所が限定されることとなる。
【0005】
これらの課題は、いずれも、筐体のコストダウンを阻害する要因であった。このため、近年では、溶接による接合ではなく、リベットによる接合が積極的に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1では、4つのコの字形状の高さ方向フレーム部材と、4つのコの字形状の奥行方向フレーム部材と、4つのコの字形状の幅方向フレーム部材の各々の端部を段曲げ加工し、重ね合わせてリベット締結することで、筐体が形成される。
【0007】
このような構成により、特許文献1に開示されている筐体のフレーム構造は、フレーム部材相互の結合をコーナー部材無しで可能とし、フレーム部材同士の位置決め精度が高いものとなっている。さらに、特許文献1に開示されている筐体のフレーム構造は、フレーム部材端部の形状を同一とすることにより、標準化された部材によって組立できる。
【0008】
すなわち、特許文献1には、フレーム部材の歪みがなく、接合後の手直しが不要であり、かつ、特殊な工具あるいは熟練技能がなくても組立できる筐体のフレーム構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1に係る従来の筐体構造は、高さ方向フレーム部材と奥行き方向フレーム部材と幅方向フレーム部材のそれぞれの形状が同一である。このため、誤った方向の部材を締結したり、締結面の向きを間違えたりすることにより、作業性の悪化を招くおそれがある。
【0011】
また、特許文献1に係る従来の筐体構造は、フレーム部材の端部に段曲げ加工を施すことで、コーナー部材無しにフレーム部材相互の結合を可能としている。しかしながら、段曲げ加工を行う分、部材の加工工数が増えてしまい、組立性の改善が望まれる。
【0012】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、フレーム部材同士の組立間違いを防止し、組立性の改善を実現する筐体を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係る筐体は、一対の縦フレームと、一対の横フレームとで構成された矩形形状を有するフレーム組立体を備えた筐体であって、一対の縦フレームのそれぞれは、直角に連なった縦フレーム前面部、縦フレーム側面部および縦フレーム後面部からなる断面コの字状に形成されており、一対の横フレームのそれぞれは、直角に連なった横フレーム前面部、横フレーム側面部および横フレーム後面部からなり、縦フレーム内に嵌合する断面コの字状に形成されており、一対の縦フレームと一対の横フレームは、横フレームの端部が縦フレームの端部内に嵌合された状態で、それぞれの断面コの字状の開口を内側に向けて配置されて固定されることで矩形形状を形成し、縦フレーム用固定穴が、直角に連なった断面コの字状に形成された縦フレームの端部における縦フレーム前面部と縦フレーム後面部とのそれぞれに一対の縦フレーム用固定穴として形成され、横フレーム用固定穴が、直角に連なった断面コの字状に形成された横フレームの端部における横フレーム前面部と横フレーム後面部とのそれぞれに一対の横フレーム用固定穴として形成され、縦フレーム前面部と縦フレーム後面部とに形成されたそれぞれの一対の縦フレーム用固定穴の位置が、縦フレーム前面部および縦フレーム後面部に直交する方向から見て異なり、横フレーム前面部に形成された一対の横フレーム用固定穴の位置が、横フレームの端部が縦フレームの端部内に嵌合された状態で、縦フレーム前面部に形成された一対の縦フレーム用固定穴の位置に一致し、横フレーム後面部に形成された一対の横フレーム用固定穴の位置が、横フレームの端部が縦フレームの端部内に嵌合された状態で、縦フレーム後面部に形成された一対の縦フレーム用固定穴の位置に一致し、縦フレームと横フレームの端部同士が、一致している一対の縦フレーム用固定穴と一対の横フレーム用固定穴とを用いて固定され、フレーム組立体は、縦フレーム側面部を利用して自立させることが可能に構成された矩形形状を有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、フレーム部材同士の組立間違いを防止し、組立性の改善を実現する筐体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1における筐体を構成する基本フレーム構造を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1における高さ方向フレームを示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1における高さ方向フレームの端部を拡大した斜視図である。
【
図4】実施の形態1における幅方向フレームを示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1における幅方向フレームの端部を拡大した斜視図である。
【
図6】実施の形態1における縦フレームと横フレームとの締結を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態1において、一対の縦フレームと一対の横フレームとにより形成された矩形形状を有するフレーム組立体を、一対として自立させた状態を示す斜視図である。
【
図8】実施の形態1における天井パネルを示す斜視図である。
【
図9】実施の形態1における底面パネルを示す斜視図である。
【
図10】実施の形態1における一対のフレーム組立体に対して天井パネルと底面パネルを締結させる状態を示す斜視図である。
【
図11】実施の形態1における側面補強板を示す斜視図である。
【
図12】実施の形態1における一対のフレーム組立体と天井パネルと底面パネルとで構成されたフレーム構造に対して側面補強板を締結させる状態を示す斜視図である。
【
図13】実施の形態1における天板を示す斜視図である。
【
図14】実施の形態1における底板を示す斜視図である。
【
図15】実施の形態1における一対のフレーム組立体と天井パネルと底面パネルと側面補強板とで構成されたフレーム構造に対して、天板および底板を締結させる状態を示す斜視図である。
【
図16】実施の形態1における底板を基礎ベースに取り付けた状態を示す断面詳細図である。
【
図17】実施の形態1における側面化粧板を側面補強板に取り付けた状態を示す平面図である。
【
図18】実施の形態1における側面化粧板締結皿ネジのテーパー部を側面補強板の丸穴で逃がしていることを示す平面図である。
【
図19A】実施の形態1に係る筐体の組立手順を示した説明図である。
【
図19B】実施の形態1に係る筐体の組立手順を示した説明図である。
【
図19C】実施の形態1に係る筐体の組立手順を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の筐体の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0017】
実施の形態1.
本開示の筐体において、フレーム部材同士の組立間違いを防止する具体的な構成について、図面を用いて説明する。
図1は、実施の形態1における筐体を構成する基本フレーム構造を示す斜視図である。
図1に示す基本フレーム構造は、4本の高さ方向フレーム1、4本の幅方向フレーム2、天井パネル3、底面パネル4、および2枚の側面補強板5を備えて構成されている。
【0018】
図2は、実施の形態1における高さ方向フレーム1を示す斜視図である。また、
図3は、実施の形態1における高さ方向フレーム1の端部を拡大した斜視図である。ここで、以下の説明では、高さ方向フレーム1のことを縦フレーム1と称して説明する。
【0019】
図2および
図3に示したように、縦フレーム1は、直角に連なった縦フレーム前面部1A、縦フレーム側面部1C、および縦フレーム後面部1Bからなる断面コの字状に形成されている。ここで、縦フレーム前面部1Aは第1壁に相当し、縦フレーム側面部1Cは第2壁に相当し、縦フレーム後面部1Bは第3壁に相当する。すなわち、縦フレーム1は、第1壁~第3壁の3つの壁により、断面コの字状に形成されている。
【0020】
図3に示すように、縦フレーム1の端部には、縦フレーム前面部1Aにリベット締結穴1Dが形成され、縦フレーム後面部1Bにリベット締結穴1Eが形成されている。また、
図2に示すように、縦フレーム側面部1Cにはリベット締結穴1Fが形成されている。ここで、リベット締結穴1Dおよびリベット締結穴1Eは、縦フレーム用固定穴に相当する。
【0021】
一方、
図4は、実施の形態1における幅方向フレーム2を示す斜視図である。また、
図5は、実施の形態1における幅方向フレーム2の端部を拡大した斜視図である。ここで、以下の説明では、幅方向フレーム2のことを横フレーム2と称して説明する。
【0022】
図4および
図5に示したように、横フレーム2は、直角に連なった横フレーム前面部2A、横フレーム側面部2C、および横フレーム後面部2Bからなる断面コの字状に形成されている。ここで、横フレーム前面部2Aは第1壁に相当し、横フレーム側面部2Cは第2壁に相当し、横フレーム後面部2Bは第3壁に相当する。すなわち、横フレーム2は、縦フレーム1と同様に、第1壁~第3壁の3つの壁により、断面コの字状に形成されている。
【0023】
図5に示すように、横フレーム2の端部には、横フレーム前面部2Aにリベット締結穴2Dが形成され、横フレーム後面部2Bにリベット締結穴2Eが形成されている。また、
図4に示すように、横フレーム側面部2Cにはリベット締結穴2Fが形成され、横フレーム後面部2Bにはボルト締結穴2Gが形成されている。ここで、リベット締結穴2Dおよびリベット締結穴2Eは、横フレーム用固定穴に相当する。
【0024】
図6は、実施の形態1における縦フレーム1と横フレーム2との締結を示す斜視図である。より具体的には、
図6(a)は、横フレーム2の端部と縦フレーム1の端部とが嵌合される前の状態を示した斜視図であり、
図6(b)は、横フレーム2の端部が縦フレーム1の端部内に嵌合された状態を示した斜視図である。
図6(b)に示すように、横フレーム2は、断面コの字状に形成された縦フレーム1内に嵌合されるような断面コの字状を有している。
【0025】
また、先の
図3に示したように、縦フレーム1において、リベット締結穴1Dとリベット締結穴1Eとは、前面部1Aおよび後面部1Bに直交する方向から見て、異なる位置に配置されている。同様に、先の
図5に示したように、横フレーム2において、リベット締結穴2Dとリベット締結穴2Eとは、前面部2Aおよび後面部2Bに直交する方向から見て、異なる位置に配置されている。
【0026】
さらに、
図6(b)に示すように、横フレーム2が縦フレーム1内に嵌合された状態で、リベット締結穴1Dとリベット締結穴2Dとの穴位置が一致し、リベット締結穴1Eとリベット締結穴2Eとの穴位置が一致するように、それぞれのリベット締結穴1D、1E、2D、2Eが配置されている。これにより、縦フレーム1と横フレーム2の端部同士は、リベット100を用いて容易に固定することができる。
【0027】
このように、
図2および
図3に示したような形状を有する縦フレーム1と、
図4および
図5に示したような形状を有する横フレーム2とを用いることで、
図6に示したように、フレーム部材同士の組立間違いを防止し、かつ、組立性の改善を実現する構造を備えた筐体を実現できる。
【0028】
図7は、実施の形態1において、一対の縦フレーム1と一対の横フレーム2とにより形成された矩形形状を有するフレーム組立体10を、一対として自立させた状態を示す斜視図である。
【0029】
一対の縦フレーム1と一対の横フレーム2は、横フレーム2の端部が縦フレーム1の端部内に嵌合された状態で、それぞれのフレームの断面コの字状の開口が内側を向くように配置されて固定される。この結果、矩形形状を有するフレーム組立体10が形成される。
【0030】
図7においては、2つのフレーム組立体10が、それぞれの後面部が相対するように、離れた状態で平行に配置されることで、一対のフレーム組立体10を構成している。2つのフレーム組立体10は、重心が中心線上にあるため、縦フレーム1の側面部1Cを利用して、自立させることが可能である。
【0031】
次に、一対のフレーム組立体10の上部に配置され、一対のフレーム組立体を固定する天井パネル、および一対のフレーム組立体の下部に配置され、一対のフレーム組立体を固定する底面パネルについて説明する。
【0032】
図8は、実施の形態1における天井パネル3を示す斜視図である。
図8に示すように、天井パネル3は、天井パネル上面部3A、天井パネル前後折り曲げ部3B、天井パネル側面折り曲げ部3C、および天井パネル側面内曲げ部3Dを備えて構成されている。天井パネル上面部3Aには、リベット締結穴3Eおよびネジ締結穴3Gが形成されている。また、天井パネル側面折り曲げ部3Cには、リベット締結穴3Fが形成されている。
【0033】
一方、
図9は、実施の形態1における底面パネル4を示す斜視図である。
図9に示すように、底面パネル4は、底面パネル下面部4A、底面パネル前後折り曲げ部4B、底面パネル側面折り曲げ部4C、および底面パネル側面内曲げ部4Dを備えて構成されている。また、底面パネル下面部4Aにはリベット締結穴4Eが形成され、底面パネル前後折り曲げ部4Bにはリベット締結穴4Eが形成され、底面パネル側面折り曲げ部4Cにはリベット締結穴4Fが形成され、底面パネル下面部4Aには基礎ベース締結ボルト穴4Gが形成されている。
【0034】
図10は、実施の形態1における一対のフレーム組立体10に対して天井パネル3と底面パネル4を締結させる状態を示す斜視図である。一対のフレーム組立体10と天井パネル3とは、横フレーム側面部2Cに設けられたリベット締結穴2Fと、天井パネル上面部3Aに設けられたリベット締結穴3Eとを貫通するリベット100を用いて締結される。
【0035】
すなわち、天井パネル3は、フレーム組立体10に含まれる縦フレーム後面部1Bが相対するように、2つのフレーム組立体10が離れた状態で平行に配置された一対のフレーム組立体10の上部に配置され、一対のフレーム組立体10を固定している。
【0036】
また、一対のフレーム組立体10と底面パネル4とは、横フレーム側面部2Cに設けられたリベット締結穴2Fと、底面パネル下面部4Aに設けられたリベット締結穴4Eとを貫通するリベット100を用いて締結される。すなわち、底面パネル4は、一対のフレーム組立体10の下部に配置され、一対のフレーム組立体10を固定している。
【0037】
図8~
図10に示したように、天井パネル3および底面パネル4は、それぞれの縁部分がL字曲げ加工あるいはコの字曲げ加工が施されているため、横フレーム2に対して嵌め込むようにして、リベット100を用いた締結が可能となっている。この結果、一対のフレーム組立体10に対して天井パネル3と底面パネル4を、コーナー部材なしに高精度に位置決め固定することができる。
【0038】
また、縦フレーム1と横フレーム2とは、
図6に示したように、横フレーム2が縦フレーム1内に嵌合されるようにして固定されている。従って、横フレーム前面部2Aおよび横フレーム後面部2Bは、縦フレーム1で覆われた端部と、その他の部分とで、縦フレーム1の板厚分の段差がある。
【0039】
しかしながら、
図10に示したように、一対のフレーム組立体10に対して天井パネル3と底面パネル4を締結させることで、天井パネル前後折り曲げ部3Bおよび底面パネル前後折り曲げ部4Bにより、板厚分の段差が覆われる。
【0040】
換言すると、天井パネル3は、一対のフレーム組立体10間の上部開口を覆う天井パネル上面部3Aと、天井パネル上面部3Aの相対する2辺のそれぞれから直角に折り曲げられて形成され、一対のフレーム組立体10の上部に位置する一対の横フレーム2の横フレーム前面部2Aのそれぞれに沿い、縦フレーム前面部1Aと面一に配置された一対の天井パネル前後折り曲げ部3Bとを有している。
【0041】
一方、底面パネル4は、一対のフレーム組立体10間の下部開口を覆う底面パネル下面部4Aと、底面パネル下面部4Aの相対する2辺のそれぞれから直角に折り曲げられて形成され、一対のフレーム組立体10の下部に位置する一対の前記横フレーム2の横フレーム前面部2Aのそれぞれに沿い、かつ縦フレーム前面部1Aと面一に配置された一対の底面パネル前後折り曲げ部4Bとを有している。
【0042】
この結果、縦フレーム前面部1Aに対して、天井パネル前後折り曲げ部3Bおよび底面パネル前後折り曲げ部4Bが面一となり、意匠性がよくなる。さらに、幅方向において、横フレーム2と天井パネル3の鋼板2枚分の板厚、および横フレーム2と底面パネル4の鋼板2枚分の板厚とすることができ、振動に対する剛性を高めることができる。
【0043】
次に、一対のフレーム組立体10に対して天井パネル3と底面パネル4を締結した後のフレーム構造に対して取付可能な側面補強板5について説明する。
図11は、実施の形態1における側面補強板5を示す斜視図である。
【0044】
図11に示した側面補強板5は、一対の縦フレーム1および一対の横フレーム2からなるフレーム組立体10の側面に取り付けられるように、矩形形状を有している。そして、矩形形状を有する側面補強板5には、側面補強板リベット締結穴5A、側面補強板盤間連結用穴5B、側面補強板皿ネジ逃がし穴5Cが形成されている。
【0045】
図12は、実施の形態1における一対のフレーム組立体10と天井パネル3と底面パネル4とで構成されたフレーム構造に対して側面補強板5を締結させる状態を示す斜視図である。
【0046】
側面補強板リベット締結穴5Aは、縦フレーム側面部1Cに形成されたリベット締結穴1F、天井パネル側面折り曲げ部3Cに形成されたリベット締結穴3F、および底面パネル側面折り曲げ部4Cに形成されたリベット締結穴4Fのそれぞれと対応する位置に設けられている。従って、側面補強板5は、一対のフレーム組立体10に対して天井パネル3と底面パネル4を締結した後のフレーム構造に対して、側面補強板リベット締結穴5Aを介してリベット100により締結することができる。
【0047】
次に、天井パネル3に取付可能な天板6、および一対のフレーム組立体10下部の横フレーム2に取付可能な底板7について説明する。
図13は、実施の形態1における天板6を示す斜視図である。天板6には、天板ネジ締結穴6Aが形成されている。
図13に示した天板6には、配線ケーブル、電源ケーブル等を通すための穴、排熱用の通風穴が一例として設けられている。
【0048】
また、
図14は、実施の形態1における底板7を示す斜視図である。底板7には、底板ボルト締結穴7A、および基礎ベース締結ボルト穴7Bが形成されている。
図14に示した底板7には、配線ケーブル、電源ケーブル等を通すための穴が一例として設けられている。
【0049】
図15は、実施の形態1における一対のフレーム組立体10と天井パネル3と底面パネル4と側面補強板5とで構成されたフレーム構造に対して、天板6および底板7を締結させる状態を示す斜視図である。
【0050】
天板ネジ締結穴6Aは、天井パネル上面部3Aに形成されたネジ締結穴3Gと対応する位置に設けられている。従って、天板6は、天板ネジ締結穴6Aおよびネジ締結穴3Gを介して、天板締結ネジ101により締結される。
【0051】
また、底板ボルト締結穴7Aは、横フレーム後面部2Bに形成されたボルト締結穴2Gと対応する位置に設けられている。従って、底板7は、底板ボルト締結穴7Aおよびボルト締結穴2Gを介して、底板締結ボルト102により締結される。
【0052】
図16は、実施の形態1における底板7を基礎ベース9に取り付けた状態を示す断面詳細図である。ここで、基礎ベース(=チャンネルベース)とは、盤を床あるいは基礎上に固定するための台座のことである。基礎ベース締結ボルト穴7Bは、底面パネル下面部4Aに形成された基礎ベース締結ボルト穴4Gと対応する位置に長穴として形成されている。従って、
図15に示した筐体は、
図16に示したように、基礎ベース締結ボルト穴7Bおよび基礎ベース締結ボルト穴4Gを介して、基礎ベース締結ボルト103を用いて基礎ベース9に取り付けることができる。
【0053】
次に、側面化粧板8について説明する。
図17は、実施の形態1における側面化粧板8を側面補強板5に取り付けた状態を示す平面図である。また、
図18は、実施の形態1における側面化粧板締結皿ネジ105のテーパー部を側面補強板5の丸穴で逃がしていることを示す平面図である。側面化粧板8には、側面化粧板皿穴8A、および側面化粧板盤間連結用穴8Bが形成されている。
【0054】
図17に示すように、側面化粧板盤間連結用穴8Bは、側面補強板盤間連結用穴5Bと対応する位置に設けられている。従って、側面化粧板8は、側面化粧板盤間連結用穴8Bおよび側面補強板盤間連結用穴5Bを介して、盤間連結ボルト104により隣接する盤に連結することができる。
【0055】
なお、側面補強板盤間連結用穴5Bは、
図11および
図12に示したように、側面補強板5の四隅のコーナー部において、縦フレーム1、横フレーム2、天井パネル3、底面パネル4のいずれとも重複しない位置に設けられている。従って、
図17に示したように、隣接する盤に対して側面補強板5及び側面化粧板8を介して、盤間連結ボルト104により直接連結することができる。
【0056】
また、
図18に示すように、側面化粧板皿穴8Aは、側面補強板5に設けられた側面補強板皿ネジ逃がし穴5Cと対応する位置に設けられている。従って、側面化粧板8は、側面化粧板皿穴8Aおよび側面補強板皿ネジ逃がし穴5Cを介して、側面化粧板締結皿ネジ105により、筐体のフレームに締結させることができる。
【0057】
次に、上述した構造を有する本開示の筐体に関して、一連の組立手順について、
図19A~
図19Cを用いて説明する。
図19A~
図19Cは、実施の形態1に係る筐体の組立手順を示した説明図である。一連の組立手順は、ステップ1~ステップ14により構成されており、
図19Aにおいてステップ1~ステップ6を示し、
図19Bにおいてステップ7~ステップ12を示し、
図19Cにおいてステップ13、ステップ14を示している。
【0058】
<ステップ1>
作業者は、一対の縦フレーム1および一対の横フレーム2を用いて、縦フレーム1に対して横フレーム2を嵌め込むことで、ロの字状のフレーム組立体10を形成する。なお、この際には、
図6(b)で説明したように、リベット締結穴1Dとリベット締結穴2Dとの穴位置、およびリベット締結穴1Eとリベット締結穴2Eとの穴位置が合うように、嵌め込みが行われる。
【0059】
<ステップ2>
作業者は、位置合わせされたリベット締結穴に対してリベット100を挿入し、縦フレーム1と横フレーム2とを、前面部または後面部の一方から締結する。
【0060】
<ステップ3>
さらに、作業者は、ロの字状のフレーム組立体10を180度反転させ、ステップ2のときとは逆側から、位置合わせされたリベット締結穴に対してリベット100を挿入し、前面部または後面部の他方から締結する。
【0061】
<ステップ4>
作業者は、締結が完了したロの字状のフレーム組立体10を自立させ、天井パネル3をフレーム組立体10に含まれる横フレーム2に対して嵌め込む。
【0062】
<ステップ5>
作業者は、ステップ4で嵌め込みが完了した天井パネル3と横フレーム2とを、リベット100を用いて締結する。
【0063】
<ステップ6>
作業者は、フレーム組立体10に対向する位置において、もう1つのフレーム組立体10に含まれる横フレーム2を、天井パネル3に嵌め込む。
【0064】
<ステップ7>
作業者は、ステップ6で嵌め込みが完了した天井パネル3と横フレーム2とを、リベット100を用いて締結する。
【0065】
<ステップ8>
作業者は、ステップ7において一対のフレーム組立体10に天井パネル3が締結された状態のフレーム構造において、天井パネル2のときと同様に横フレーム2に対して、底面パネル4を嵌め込む。
【0066】
<ステップ9>
作業者は、ステップ8で嵌め込みが完了した底面パネル4と横フレーム2とを、リベット100を用いて締結する。
【0067】
<ステップ10>
作業者は、ステップ6までで組み上がった筐体構造に対して、側面補強板5を載せ、締結穴位置を合わせる。
【0068】
<ステップ11>
作業者は、締結穴にリベット100を挿入し、側面補強板5を一方の側面に締結する。
【0069】
<ステップ12>
作業者は、ステップ11で一方の側面に側面補強板5が締結された状態の筐体を180度反転させ、ステップ11のときとは反対側の他方の側面に側面補強板5を載せ、締結穴位置を合わせる。
【0070】
<ステップ13>
作業者は、締結穴にリベット100を挿入し、側面補強板5を他方の側面に締結する。
【0071】
<ステップ14>
作業者は、組立が完了した筐体を起立させる。天板、底板の組立手順は省略する。これにより、本実施の形態1における筐体の一連の組立手順が終了する。
【0072】
最後に、本実施の形態1における筐体の効果をまとめると、以下のようになる。
(効果1)縦フレームとで横フレームとで形状の違いを持たせており、天井パネルと底面パネルとで形状の違いを持たせている。この結果、作業者は、直感的にどの部材であるかを判断できる。
【0073】
(効果2)1つの筐体で4本使用する縦フレームの部材形状は、全く同じである。同様に、1つの筐体で4本使用する横フレームの部材形状も、全く同じである。従って、それぞれの部品で標準化が可能であり、ストック生産により製作期間を大幅に短縮できる。
【0074】
(効果3)縦フレームと横フレームにおいて、それぞれの前面部の締結穴と、それぞれの後面部の締結穴は、位置が異なっており、嵌め合う向きが決まっている。この結果、組立間違えが起こらないようにすることができる。
【0075】
(効果4)部材が自立できるくらいの平面度の床であれば、定盤の上で組み立てなくとも十分な精度で専用治具無しで、高剛性を有する筐体を、無理なく1人の作業者で組み立てることができる。具体的には、コの字形状の縦フレームを2本、コの字形状の横フレームを2本使用して、縦フレームの内側に横フレームを嵌め込む形状にすることにより、ずれにくく、高精度で位置決めでき、かつ、床に寝かして安定した状態で直角に締結できる。また、締結面が前面部と後面部の2面存在するため、剛性を高くすることができる。
【0076】
(効果5)コの字形状の縦フレームを2本、コの字形状の横フレームを2本使用して、ロの字状のフレーム組立体を構成することで、このフレーム組立体を床に対して自立させることができる。さらに、ロの字状とすることで、剛性の高いフレーム組立体を実現できる。
【0077】
(効果6)横フレームに嵌め込めるように、天井パネルと底面パネルの縁がL字曲げ加工あるいはコの字曲げ加工されている。この結果、縦フレーム前面部に対して、天井パネルおよび底面パネルの曲げ加工部分が面一となり、意匠性がよくなる。また、幅方向において、横フレームと天井パネルの鋼板2枚分の板厚、および横フレームと底面パネルの鋼板2枚分の板厚とすることができ、振動に対する剛性を高めることができる。さらに、一対のフレーム組立体に対して天井パネルと底面パネルを、コーナー部材なしに高精度に位置決め固定することができる。
【0078】
(効果7)側面補強板を設けることで、コーナー部の補強ができ、前後方向の振動に対して剛性を高くすることができる。また、側面補強板に対して長穴を設けることで、列盤配置時の盤間連結用穴位置の自由度が高くなり、他社製品との盤間連結が可能となる。また、側面補強板に丸穴を設けることで、側面化粧板を締結する皿ネジのテーパー部の逃がし穴として利用できるため、筐体側面に突起物が無く、意匠性がよくなる。
【0079】
なお、上述した実施の形態1では、溶接接合を行わずに異なる部材同士を固定するために、それぞれの部材にあけられた穴を介して、リベットを用いることにより固定する場合について詳細に説明した。しかしながら、リベット以外の機械的接合を用いることも可能である。
【0080】
また、上述した実施の形態1では、横フレームの端部が縦フレームの端部内に嵌合されるフレーム構造について説明したが、本開示は、このようなフレーム構造に限定されるものではない。実施の形態1で例示したフレーム構造とは逆に、縦フレームの端部が横フレームの端部内に嵌合されるフレーム構造とすることも可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 縦フレーム(高さ方向フレーム)、1A 縦フレーム前面部、1B 縦フレーム後面部、1C 縦フレーム側面部、1D リベット締結穴、1E リベット締結穴、1F リベット締結穴、2 横フレーム(幅方向フレーム)、2A 横フレーム前面部、2B 横フレーム後面部、2C 横フレーム側面部、2D リベット締結穴、2E リベット締結穴、2F リベット締結穴、2G ボルト締結穴、3 天井パネル、3A 天井パネル上面部、3B 天井パネル前後折り曲げ部、3C 天井パネル側面折り曲げ部、3D 天井パネル側面内曲げ部、3E リベット締結穴、3F リベット締結穴、3G ネジ締結穴、4 底面パネル、4A 底面パネル下面部、4B 底面パネル前後折り曲げ部、4C 底面パネル側面折り曲げ部、4D 底面パネル側面内曲げ部、4E リベット締結穴、4F リベット締結穴、4G 基礎ベース締結ボルト穴、5 側面補強板、5A 側面補強板リベット締結穴、5B 側面補強板盤間連結用穴、5C 側面補強板皿ネジ逃がし穴、6 天板、6A 天板ネジ締結穴、7 底板、7A 底板ボルト締結穴、7B 基礎ベース締結ボルト穴、8 側面化粧板、8A 側面化粧板皿穴、8B 側面化粧板盤間連結用穴、9 基礎ベース、10 フレーム組立体、100 リベット、101 天板締結ネジ、102 底板締結ボルト、103 基礎ベース締結ボルト、104 盤間連結ボルト、105 側面化粧板締結皿ネジ。