(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】案内面を有する圧着工具
(51)【国際特許分類】
H01R 43/048 20060101AFI20230703BHJP
H01R 43/042 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
H01R43/042
(21)【出願番号】P 2020508090
(86)(22)【出願日】2018-04-11
(86)【国際出願番号】 IB2018052537
(87)【国際公開番号】W WO2018197981
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2019-10-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-20
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】モリス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】デミング,ニール エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ゲルスト,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー,マシュー スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】コンテ,アロイス
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】久島 弘太郎
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-254687(JP,A)
【文献】特開2011-3363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/18
H01R 43/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子(120)をワイヤ(122)に圧着する圧着工具(114)であって、
前記圧着工具(114)は、
- ベース(180)および先端(184)を有し、前記端子を支持するクレードル(188)を前記先端(184)に有し、前記クレードル(188)に対して位置決めされた第1のアンビル案内面(170)および第2のアンビル案内面(172)を有するアンビル(128)と、
- 板状のワイヤクリンパ本体(134)と、前記ワイヤクリンパ本体(134)よりも下方に位置し、かつ圧着スロット(140)の両側に形成された第1の脚部(144)および第2の脚部(146)と、を有するワイヤクリンパ(126)とを備え、
前記ワイヤクリンパ(126)の外形は左右対称であり、
前記ワイヤクリンパ(126)の前記第1の脚部(144)および前記第2の脚部(146)は、
それらの底部にリードイン領域(158)を含み、
前記アンビル(128)は、
- 前部ブロック(160)と、
- 前記前部ブロック(160)とは別個の後部ブロック(162)と、を含み、
前記アンビル(128)の前記前部ブロック(160)は前記後部ブロック(162)に結合され、
前記クレードル(188)は、前記前部ブロック(160)に設けられており、
前記アンビル(128)の前記後部ブロック(162)は、
前記前部ブロック(160)を受け取るチャネル(164)と、
前記前部ブロック(160)に係合して前記前部ブロック(160)を前記後部ブロック(162)に対して位置決めする位置決め面(166)と、を含み、
前記後部ブロック(162)
には、前記位置決め面(166)に対して位置決めされた前記第1のアンビル案内面(170)および前記第2のアンビル案内面(172)
が形成されており、
前記ワイヤクリンパ(126)の前記圧着スロット(140)は、前記クレードル(188)を受け取り、
前記ワイヤクリンパ(126)は、圧着中に前記端子(120)を形成するように構成された圧着プロファイル(150)を前記圧着スロット(140)内に画定し、
前記第1の脚部(144)および前記第2の脚部(146)は、それぞれ外側面である第1のワイヤクリンパ案内面(154)および第2のワイヤクリンパ案内面(156)を有し、
前記第1のワイヤクリンパ案内面(154)および前記第2のワイヤクリンパ案内面(156)は、前記後部ブロック(162)に一体的に設けられた、前記第1のアンビル案内面(170)および前記第2のアンビル案内面(172)にそれぞれ係合して、前記アンビル(128)に対する前記ワイヤクリンパ(126)の位置を案内するように構成されており、
前記第1のアンビル案内面(170)および前記第2のアンビル案内面(172)は、第1の距離によって分離され、前記第1のワイヤクリンパ案内面(154)および前記第2のワイヤクリンパ案内面(156)は、前記第1の距離よりわずかに大きい第2の距離によって分離されている、
圧着工具(114)。
【請求項2】
前記ワイヤクリンパ(126)は、前記第1のワイヤクリンパ案内面(154)が前記第1のアンビル案内面(170)に直接係合するように構成され、
前記ワイヤクリンパ(126)は、前記第2のワイヤクリンパ案内面(156)が前記第2のアンビル案内面(172)に直接係合するように構成されている、
請求項1に記載の圧着工具(114)。
【請求項3】
前記第1のワイヤクリンパ案内面(154)および前記第2のワイヤクリンパ案内面(156)は、互いに平行である、
請求項1に記載の圧着工具(114)。
【請求項4】
前記第1の脚部(144)および前記第2の脚部(146)は内縁部(148)を有し、
前記内縁部(148)は、互いに対向し、前記圧着スロット(140)を画定し、
前記第1の脚部および前記第2の脚部は、前記内縁部の反対側に外縁部(152)を有し、
前記第1のワイヤクリンパ案内面(154)および前記第2のワイヤクリンパ案内面(156)は、それぞれ前記第1の脚部の前記外縁部および前記第2の脚部の前記外縁部に画定されている、
請求項1に記載の圧着工具(114)。
【請求項5】
前記第1の脚部(144)および前記第2の脚部(146)は内縁部(148)を有し、
前記内縁部(148)は、互いに対向し、前記圧着スロット(140)を画定し、
前記第1の脚部および前記第2の脚部は、前記内縁部の反対側に外縁部(152)を有し、
追加のワイヤクリンパ案内面が、それぞれ前記第1の脚部の前記内縁部(148)および前記第2の脚部の前記内縁部(148)に画定されている、
請求項1に記載の圧着工具(114)。
【請求項6】
前記後部ブロック(162)に、追加のリードイン領域(176)が形成されており、前記追加のリードイン領域(176)は前記第1のアンビル案内面(170)および前記第2のアンビル案内面(172)よりも上に位置する、
請求項1に記載の圧着工具(114)。
【請求項7】
前記第1のアンビル案内面(170)および前記第2のアンビル案内面(172)は、間隙(174)を介して互いに対向し、
前記ワイヤクリンパ(126)は、ラム(132)によって前記間隙(174)内へ駆動され、前記第1のアンビル案内面(170)および前記第2のアンビル案内面(172)によって前記間隙(174)内に位置決めされている、
請求項1に記載の圧着工具(114)。
【請求項8】
前記第1のワイヤクリンパ案内面(154)および前記第2のワイヤクリンパ案内面(156)は、前記圧着工具の初期セットアップ中に前記ワイヤクリンパ(126)を前記アンビル(128)に対して位置決めするために使用される、
請求項1に記載の圧着工具(114)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の主題は、一般に、電気端子をワイヤに圧着するための端子圧着機械向けの圧着工具に関する。
【背景技術】
【0002】
端子圧着機械は、コネクタ業界において様々なケーブルを高速で大量に終端するために長く使用されてきた。端子圧着機械は、アプリケータと呼ばれる交換可能な工具アセンブリを有することが一般的な慣行である。通常、そのような端子圧着機械は、ターミネータまたはプレスと呼ばれるが、リードメーカ、ベンチ機械、または手圧着工具など、他のタイプの端子圧着機械も同様に使用することができる。端子圧着機械は、アンビルおよびワイヤクリンパなどの圧着工具を含み、ワイヤクリンパは、可動のラムに取り付けられており、圧着行程中に端子またはコネクタをワイヤの端部に圧着するようにアンビルに対して動かされる。ワイヤは典型的に、圧着動作中はワイヤクランプによって保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらの周知の端子圧着機械に欠点がないわけではない。たとえば、ワイヤクリンパは、圧着中にアンビルに対してわずかにずれることがある。このずれにより、圧着中の端子の咬み出しまたは端子の形成不良などのため、端子の圧着が不十分になることがある。いくつかの例では、このずれにより、ワイヤクリンパまたはアンビルの損傷が生じる可能性がある。ワイヤクリンパおよびアンビルの位置合わせ不良に適応してそれを補正する端子圧着機械が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この問題は、請求項1に記載の案内面を有する圧着工具によって解決される。本発明によれば、電気端子の圧着バレルをワイヤに圧着する圧着工具が提供され、圧着工具は、アンビルおよびワイヤクリンパを含む。アンビルは、ベースおよび先端を含み、端子を支持するクレードルを先端に有する。アンビルは、クレードルに対して位置決めされた第1のアンビル案内面および第2のアンビル案内面を有する。ワイヤクリンパは、端子圧着機械のラムによって駆動されるように構成される。ワイヤクリンパは、圧着スロットの両側に第1の脚部および第2の脚部を有しており、圧着スロットは、クレードルおよびクレードルによって支持された端子を受け取る。ワイヤクリンパは、圧着中に端子を形成するように構成された圧着プロファイルを圧着スロット内に画定する。
第1の脚部および第2の脚部は、それぞれ第1のワイヤクリンパ案内面および第2のワイヤクリンパ案内面を有する。第1のワイヤクリンパ案内面および第2のワイヤクリンパ案内面は、それぞれ第1のアンビル案内面および第2のアンビル案内面に係合して、アンビルに対するワイヤクリンパの位置を案内するように構成されている。
【0005】
本発明について、添付の図面を参照して例として次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例示的な実施形態による端子をワイヤに圧着するために使用される終端工具を有する端子圧着機械の正面図である。
【
図3】例示的な実施形態による圧着工具を示す端子圧着機械の一部分の分解図である。
【
図4】アンビルに対して後退状態にあるワイヤクリンパを示す圧着工具の斜視図である。
【
図5】例示的な実施形態によるアンビルの正面斜視図である。
【
図6】例示的な実施形態によるアンビルの底面斜視図である。
【
図7】アンビルに対して後退状態にあるワイヤクリンパを示す圧着工具の正面図である。
【
図8】下死点位置で前進状態にあるワイヤクリンパを示す圧着工具の正面図である。
【
図9】例示的な実施形態によるアンビルに対して後退状態にあるワイヤクリンパを示す圧着工具の正面斜視図である。
【
図10】下死点位置で前進状態にあるワイヤクリンパを示す圧着工具の正面図である。
【
図11】例示的な実施形態によるアンビルに対して前進状態にあるワイヤクリンパを示す圧着工具の正面図である。
【
図12】例示的な実施形態によるワイヤクリンパとアンビルとの間の圧着区間の拡大図である。
【
図13】例示的な実施形態によるワイヤクリンパの拡大図である。
【
図14】例示的な実施形態によるアンビルの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、コネクタまたは端子をワイヤに圧着するために使用される終端工具102を有する端子圧着機械100の正面図であるが、他のタイプの端子圧着機械100を使用することもできる。
図2は、端子圧着機械100の一部分の斜視図である。図示の実施形態では、端子圧着機械100は、ターミネータまたはプレスであるが、リードメーカ、ベンチ機械、手圧着工具など、他のタイプの端子圧着機械も同様に使用することができる。さらに、終端工具102について、アプリケータ(以下、アプリケータ102と呼ぶことができる)に関して以下に図示および説明するが、端子圧着機械のタイプに応じて、他のタイプの終端工具102を使用することもできる。
【0008】
端子120を圧着区間106へ供給するために、端子フィーダ104が使用される。図示の実施形態では、端子フィーダ104は電気作動式フィーダであるが、端子圧着機械のタイプに応じて、空気圧フィーダ、カム、およびリンケージフィーダなど、他のタイプのフィーダを使用することもできる。ワイヤ122を圧着区間106へ供給するために、ワイヤフィーダ(図示せず)を使用することができる。
【0009】
アプリケータ102は、端子圧着機械100の枠112に結合される。圧着区間106で電気コネクタまたは端子120を対応するワイヤ122の端部に圧着する圧着工具114が、アプリケータ102に結合され、または枠112に直接結合される。異なるサイズ/タイプの端子120を終端するとき、異なるサイズ/タイプのワイヤ122を終端するとき、アプリケータ102が摩耗もしくは損傷したとき、または異なる構成を有するアプリケータが所望されるときなどは、アプリケータ102を取り外して、異なるアプリケータと交換することができる。したがって、各端子圧着機械100に対して複数のアプリケータ102を使用することができ、異なるアプリケータ102は、異なるセットアップ構成を有することができる。
【0010】
例示的な実施形態では、圧着工具114は、ワイヤクリンパ126およびアンビル128を含む。アンビル128は、圧着工程中に端子120およびワイヤ122を支持し、ワイヤクリンパ126は、圧着工程中にワイヤ122周りに端子120を形成して、端子120をワイヤ122に機械的かつ電気的に接続する。動作中、ワイヤクリンパ126は、端子圧着機械100の駆動機構またはアクチュエータ130(
図1)による圧着行程によって作動または駆動される。たとえば、ワイヤクリンパ126は、アクチュエータ130によって駆動されるラム132(
図2)に結合することができる。任意選択で、アクチュエータ130は、ワイヤクリンパ126を動かすクランクシャフトを有するモータとすることができる。別法として、アクチュエータ130は、直線アクチュエータ、圧電アクチュエータ、空気圧アクチュエータなどとすることができる。
他の様々な実施形態では、アンビル128は、静止式ではなく可動式とすることができる。
【0011】
ワイヤクリンパ126は、圧着行程中にアンビル128に対して前進方向および後退方向に可動である。ワイヤクリンパ126は、圧着行程の上部にある解放位置から、圧着行程の底部にある下死点位置などを通って圧着位置へ進み、次いで解放位置へ戻るように、圧着行程を通じて周期的に駆動される。圧着行程は、前進または下方成分と、戻りまたは上方成分との両方を有する。任意選択で、ワイヤクリンパ126は、端子120をワイヤ122の導体に圧着する導体クリンパと、端子120をワイヤ122の外装などの絶縁体に圧着する絶縁クリンパとの両方を含むことができる。
【0012】
動作中、ワイヤクリンパ126は、アンビル128に向かって下方へ初期接触位置まで前進し、初期接触位置で、ワイヤクリンパ126は端子120に最初に接触する。ワイヤクリンパ126は、前進方向に下方へ下死点位置まで進む。ワイヤクリンパ126が初期接触位置から下死点位置まで前進するにつれて、ワイヤクリンパ126は圧着行程の圧着形成段階を進む。圧着形成段階中、ワイヤ122周りに端子120が形成される。圧着工具114は、圧着形成段階中、ワイヤ122周りで端子120の形状を変化させる。ワイヤ122への端子120の圧着は、圧着行程の下方成分中に行われる。次いでワイヤクリンパ126は、上方へ圧着行程の上部にある解放位置まで戻る。圧着行程の解放段階中のある箇所で、ワイヤクリンパ126は端子120から分離され、この箇所はワイヤクリンパ126の分離位置と呼ばれる。
端子120およびワイヤ122の金属材料の弾性によって、端子120およびワイヤ122は、ワイヤクリンパ126が下死点位置から解放された後にわずかな跳ね返りを有する。解放位置で、ワイヤクリンパ126は、アンビル128および端子120から離れて位置決めされる。
【0013】
図3は、例示的な実施形態による圧着工具114を示す端子圧着機械100の一部分の分解図である。
図4は、アンビル128に対して後退状態にあるワイヤクリンパ126を示す圧着工具114の斜視図である。
【0014】
ワイヤクリンパ126は、ワイヤクリンパ126の上部136に本体134を含む。本体134は、ラム132(
図2に示す)に結合するように構成される。たとえば、本体134は、ワイヤクリンパ126をラム132に固定するファスナを受け取る1つまたは複数の開口138を含む。ワイヤクリンパ126は、ワイヤクリンパ126の底部に開いたベルマウス142を有する圧着スロット140を含む。圧着スロット140は、端子120を受け取る受取り空間を画定する。ベルマウス142は、圧着スロット140への引込みとして外方へ移行する。
【0015】
圧着スロット140は、圧着スロット140の両側にある第1の脚部144および第2の脚部146によって画定される。脚部144、146は内縁部148を有し、内縁部148は、圧着スロット140の境界となり、圧着スロット140の上部に隣接して圧着プロファイル150を画定する。脚部144、146は、内縁部148の反対側に外縁部152を有する。内縁部148は概して、圧着スロット140を介して互いに対向することができ、外縁部152は、互いに反対側を向くことができる。
【0016】
圧着プロファイル150は、圧着中に端子120を形成し、圧着された端子の形状を画定する。たとえば、内縁部148は、圧着工程中に端子の壁に係合し、圧着プロファイル150に対して壁を形成する。圧着工程中、端子120の壁を折り畳み、ワイヤ122内へ押し込むことができる。圧着プロファイル150は、端子120に沿ってFクリンプなどの開バレルクリンプを形成するような形状とすることができる。例示的な実施形態では、内縁部148は、高精度圧着プロファイル150を画定するように、放電加工(EDM)またはワイヤEDM処理によって形成することができる。内縁部148は、ワイヤクリンパ126のミリングもしくは研削または3D印刷もしくは鍛造などの他の除去処理によって形成することもできる。
【0017】
アンビル128は、圧着工程中に端子120および/またはワイヤ122を支持するために使用される。例示的な実施形態では、アンビル128は、アンビル128を形成するようにともに組み立てられた複数の部品からなる構造である。別法として、アンビル128は、単体構造とすることもできる。図示の実施形態では、アンビル128は、前部ブロック160および後部ブロック162を含む。前部ブロック160は、圧着工程中に端子120を支持し、後部ブロック162は、前部ブロック160を位置決めして保持する。後部ブロック162は、枠112に結合するように構成される。前部ブロック160を後部ブロック162に取外し可能に結合することで、損傷したとき、または異なる端子を支持するために使用されるときなどに、前部ブロック160の交換が可能になる。
【0018】
後部ブロック162は、前部ブロック160を受け取るチャネル164を含む。後部ブロック162は、前部ブロック160を後部ブロック162に対して位置決めするための1つまたは複数の位置決め面166を含む。たとえば、位置決め面166は、チャネル164の1つまたは複数の壁を画定することができる。例示的な実施形態では、後部ブロック162は、後部ブロック162の上部に結合された上板168を含む。上板168は、端子120の一部分および/またはワイヤ122の一部分を支持するために使用することができる。たとえば、上板168は、端子の嵌合端を支持することができるが、端子のうち圧着されている部分を支持するために使用することはできない。上板168は、後部ブロック162から取外し可能であり、損傷したとき、または異なる端子を支持するために使用されるときなどに、上板168の交換が可能になる。
【0019】
例示的な実施形態では、後部ブロック162は、第1のアンビル案内面170および第2のアンビル案内面172を含む。任意選択で、アンビル案内面170、172は、後部ブロック162の上部付近に位置決めすることができるが、代替実施形態では、アンビル案内面170、172を他の位置に位置決めすることもできる。アンビル案内面170、172は、間隙174を介して互いに対向している。アンビル128は、間隙174内にワイヤクリンパ126を受け取る。例示的な実施形態では、前部ブロック160の一部分が間隙174内に位置決めされる。
【0020】
アンビル案内面170、172は、圧着工程中にワイヤクリンパ126を案内するために使用される。アンビル案内面170、172は、ワイヤクリンパ126を前部ブロック160などのアンビル128に対して中心に位置決めしまたは向きを決めるために使用される。ワイヤクリンパ126が圧着中に中心からずれている場合、ワイヤクリンパ126は、アンビル案内面170、172の一方または両方に係合することができ、アンビル案内面170、172は、ワイヤクリンパ126をアンビル128に対して中心に位置決めし直す働きをする。いくつかの圧着中、ワイヤクリンパ126は、アンビル案内面170または172のうちの1つのみに係合することができる。他の圧着工程中は、ワイヤクリンパ126がアンビル案内面170または172のいずれにも係合しないように、ワイヤクリンパ126をアンビル128に対して適当に位置決めすることもできる。
たとえば、第1のワイヤクリンパ案内面154および/または第2のワイヤクリンパ案内面156は、圧着工具114の初期セットアップ中に、それぞれ第1のアンビル案内面170および/または第2のアンビル案内面172に係合して、ワイヤクリンパ126をアンビル128に対して位置決めすることができ、圧着工具は概して、後の圧着中に位置合わせの必要なく相対位置を維持することができる。
【0021】
前部ブロック160は、前部ブロック160の底部182にベース180を含み、前部ブロック160の上部186に先端184を含む。ベース180は、後部ブロック162に結合するように構成される。たとえば、ベース180は、チャネル164内に受け取ることができる。ベース180は、ベース180を後部ブロック162に対して位置決めするための位置決め面166のうちの1つまたは複数に係合することができる。先端184は、端子120を支持するためのクレードル188を上部186に含む。クレードル188は、圧着工程中に端子120の一部分を保持する。圧着工程中、端子120はクレードル188に押し付けられる。任意選択で、クレードル188を凹状にすることができるが、代替実施形態では、クレードル188を平坦または凸状にすることもできる。
【0022】
前部ブロック160は、クレードル188とベース180との間に外面190を含む。任意選択で、外面190は、クレードル188付近では互いに略平行とすることができ、ベース180付近では外方へ張り出している。代替実施形態では、外面190が他の形状を有することもできる。
【0023】
図5は、例示的な実施形態によるアンビル128の正面斜視図である。
図6は、例示的な実施形態によるアンビル128の底面斜視図である。
図5および
図6は、後部ブロック162に結合された前部ブロック160を示す。ベース180がチャネル164内に受け取られて、ベース180は位置決め面166に係合する。先端184は、間隙174でアンビル案内面170、172間に位置決めされる。外面190は、アンビル案内面170、172から隔置される。ワイヤクリンパ126(
図3に示す)は、外面190とアンビル案内面170、172との間の空間内に受け取られるように構成される。これらの空間は、底部で開くことができ、ワイヤクリンパ126が間隙174内に下方へ押されたときなど、空間内のあらゆる破片を空間から排出または除去することを可能にする。
【0024】
図7は、アンビル128に対して後退状態にあるワイヤクリンパ126を示す圧着工具114の正面図である。
図8は、下死点位置などで前進状態にあるワイヤクリンパ126を示す圧着工具114の正面図である。ワイヤクリンパ126は、圧着スロット140がアンビル128の前部ブロック160の先端184と概して位置合わせされるように、アンビル128の上に位置決めされる。使用の際、ワイヤクリンパ126は、圧着工程中にアンビル128に対して中心に位置決めされると最も効果的である。しかし、使用中または初期セットアップ時、ワイヤクリンパ126および/またはアンビル128が互いにわずかにずれていてもよい。ワイヤクリンパ126をアンビル128に対して手動で調整するのではなく、アンビル案内面170、172を使用して、ワイヤクリンパ126をアンビル128に対して自動的に調整することができる。
【0025】
例示的な実施形態では、ワイヤクリンパ126は、それぞれアンビル案内面170、172と相互作用して、アンビル128に対するワイヤクリンパ126の位置を案内するように構成された第1のワイヤクリンパ案内面154および第2のワイヤクリンパ案内面156を含む。図示の実施形態では、ワイヤクリンパ案内面154、156は、それぞれ第1の脚部144の外縁部152および第2の脚部146の外縁部152に沿って設けられる。任意選択で、ワイヤクリンパ案内面154、156は、互いに平行にすることができる。ワイヤクリンパ126がアンビル案内面170、172間の間隙174内に受け取られたとき、ワイヤクリンパ案内面154、156は、対応するアンビル案内面170、172に係合して、ワイヤクリンパ126をアンビル128に対して位置決めする(たとえば、左右に位置決めする)ことができる。
ワイヤクリンパ126は、第1のワイヤクリンパ案内面154が第1のアンビル案内面170に係合すると第1の方向に移動するように構成され、ワイヤクリンパ126は、第2のワイヤクリンパ案内面156が第2のアンビル案内面172に係合すると、第1の方向とは反対の第2の方向に移動するように構成される。
【0026】
例示的な実施形態では、脚部144、146の外縁部152は、脚部144、146の底部にリードイン領域158を含む。リードイン領域158は、ワイヤクリンパ案内面154、156より下に位置決めされる。リードイン領域158におけるワイヤクリンパ126の幅は、ワイヤクリンパ案内面154、156に沿ったワイヤクリンパ126の幅より小さい。例示的な実施形態では、後部ブロック162は、後部ブロック162の上部に間隙174へのリードイン領域176を含む。リードイン領域176は、アンビル案内面170、172より上に位置決めされる。リードイン領域176における間隙174の幅は、アンビル案内面170、172に沿った間隙174の幅より大きい。リードイン領域158、176は、ワイヤクリンパ126が間隙174内へ前進するとき、ワイヤクリンパ126がぶつかるのを防止する。
例示的な実施形態では、第1のアンビル案内面170および第2のアンビル案内面172は、第1の距離によって分離され、第1のワイヤクリンパ案内面154および第2のワイヤクリンパ案内面156は、第2の距離によって分離されている。任意選択で、第2の距離は、圧着工具114の拘束を防止するために、第1の距離よりわずかに大きくすることができる。
【0027】
ワイヤクリンパ126は、アンビル128によって左または右への移動が抑制される。たとえば、アンビル案内面170、172は、ワイヤクリンパ126の横方向の移動を防止するために、ワイヤクリンパ案内面154、156のすぐ外側に位置決めされる。したがって、圧着スロット140の上部における圧着プロファイル150は、アンビル128のクレードル188の上で適切に中心に位置決めされる。ワイヤクリンパ126をアンビル128の上で適切に中心に位置決めすることによって、圧着工程中の端子120の咬み出しが低減される。
【0028】
図9は、例示的な実施形態によるアンビル128に対して後退状態にあるワイヤクリンパ126を示す圧着工具114の正面斜視図である。
図10は、下死点位置などで前進状態にあるワイヤクリンパ126を示す圧着工具114の正面図である。アンビル128は、前部ブロック160および後部ブロック162を含む。図示の実施形態では、後部ブロック162ではなく前部ブロック160が、アンビル案内面170、172を含む。たとえば、前部ブロック160は、上部で先端184の両側にタワー192を含む。間隙174は、タワー192間に画定される。タワー192は、アンビル案内面170、172を画定する。タワー192は、ベース180と一体である。第1の脚部144および第2の脚部146は、タワー192と先端184との間の空間内に受け取られる。
アンビル案内面170、172は、ワイヤクリンパ案内面154、156に係合して、ワイヤクリンパ126をアンビル128に対して案内または位置決めするように構成される。
【0029】
図11は、例示的な実施形態によるアンビル128に対して前進状態にあるワイヤクリンパ126を示す圧着工具114の正面図である。
図12は、例示的な実施形態によるワイヤクリンパ126とアンビル128との間の圧着区間106の拡大図である。
図13は、例示的な実施形態によるワイヤクリンパ126の拡大図である。
図14は、例示的な実施形態によるアンビル128の拡大図である。
【0030】
アンビル128は、前部ブロック160にアンビル案内面170、172を含む。図示の実施形態では、アンビル案内面170、172は、先端184の外面190に設けられる。たとえば、外面190は、アンビル案内面170、172を画定する互いに平行な平面領域194を含む。アンビル案内面170、172は、ベース180付近に位置決めされる。クレードル188は、アンビル案内面170、172より上に位置決めされる。アンビル案内面170、172は、互いに反対側を向いている。
【0031】
ワイヤクリンパ126は、第1の脚部144の内縁部148および第2の脚部146の内縁部148に、ワイヤクリンパ案内面154、156を含む。たとえば、ベルマウス142付近にワイヤクリンパ案内面154、156を設けることができる。ワイヤクリンパ案内面154、156は、互いに平行に向けられた平面とすることができる。ワイヤクリンパ案内面154、156は、内方へ互いに対向している。
【0032】
ワイヤクリンパ126がアンビル128の方へ前進したとき、アンビル128の先端184は、第1の脚部144と第2の脚部146との間の圧着スロット140内に受け取られる。脚部144、146の内縁部148にあるワイヤクリンパ案内面154、156は、先端184の外面190にあるアンビル案内面170、172に係合して、アンビル128に対するワイヤクリンパ126の位置を案内する。ワイヤクリンパ126がアンビル128に対して中心からずれている場合、アンビル案内面170および/または172を使用して、ワイヤクリンパ126をいずれか一方の側へ移動させて、ワイヤクリンパ126をアンビル128に対して中心に位置決めすることができる。