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特許7305650不均一触媒を使用した酸化的エステル化によるメタクリル酸メチルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】不均一触媒を使用した酸化的エステル化によるメタクリル酸メチルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/44 20060101AFI20230703BHJP
   B01J 23/52 20060101ALI20230703BHJP
   C07C 69/54 20060101ALI20230703BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230703BHJP
【FI】
C07C67/44
B01J23/52 Z
C07C69/54 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020535233
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 US2018065374
(87)【国際公開番号】W WO2019139720
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】62/615,504
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリック、クリストファー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘロン、ジェフェリー
(72)【発明者】
【氏名】リンバッハ、カーク ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェンシェン
(72)【発明者】
【氏名】サスマン、ヴィクター ジェイ.
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-361086(JP,A)
【文献】特開2003-053188(JP,A)
【文献】特開2004-181357(JP,A)
【文献】特開2004-181359(JP,A)
【文献】特表2016-515645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07B
B01J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクロレインおよびメタノールからメタクリル酸メチルを調製するための方法であって、メタクロレイン、メタノール、および酸素を含む混合物を、担体およびを含む不均一触媒と接触させることを含み、前記担体が、ケイ素を含み、前記触媒が、0.1~40モル%のチタンおよび0.1~10モル%のを含み、モル百分率が、ケイ素原子および金属原子の総モルに基づき、前記担体が、Mg-SiO からなる、方法。
【請求項2】
前記触媒が、60ミクロン~10mmの平均直径を有する、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒が、0.1~8モル%の、60~95モル%のケイ素、0.1~20モル%のチタン、および0.1~20モル%のマグネシウムを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記の少なくとも90重量%が、触媒体積の外側60%にある、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒が触媒床に含まれる、請求項に記載の方法。
【請求項6】
メタノールおよびメタクロレインが、それぞれ、1:1~10:1のモル比で、前記触媒床を含む反応器に供給される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記反応器が管状連続反応器である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、不均一触媒を使用してメタクロレインおよびメタノールからメタクリル酸メチルを調製するための方法に関する。
【0002】
貴金属をアルミナおよび他の要素と組み合わせてシリカに担持させた不均一触媒が既知であり、例えば、米国特許第US8461737B2号を参照されたい。しかしながら、改善された特性を有する追加の触媒粒子が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、メタクロレインおよびメタノールからメタクリル酸メチルを調製するための方法であって、メタクロレイン、メタノール、および酸素を含む混合物を、担体および貴金属を含む不均一触媒と接触させることを含み、前記担体が、ケイ素を含み、前記触媒が、0.1~40モル%のチタンおよび0.1~10モル%の少なくとも1つの貴金属を含み、モル百分率が、ケイ素原子および金属原子の総モルに基づく、方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0004】
特に指定がない限り、すべてのパーセント組成は重量パーセント(重量%)であり、すべての温度は℃である。「貴金属」は、金、プラチナ、イリジウム、オスミウム、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウムのうちのいずれかである。2つ以上の貴金属が触媒に存在し得、その場合、制限がすべての貴金属の合計に適用される。「金属」とは、水素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、鉛、およびビスマスを除く、周期表の1~12族の元素である。「触媒中心」は、触媒粒子の重心、つまり、すべての座標方向のすべての点の平均位置である。直径は、触媒の中心を通過する任意の直線寸法であり、平均直径は、すべての可能な直径の算術平均である。アスペクト比は、最長の直径と最短の直径との比率である。
【0005】
好ましくは、担体は、耐火性酸化物を含む粒子、好ましくはシリカ、チタニア、マグネシア、またはそれらの組み合わせであり、好ましくは、担体は、シリカまたは他の耐火性酸化物で修飾されたシリカである。好ましくは、担体は、10m/g超、好ましくは30m/g超、好ましくは50m/g超、好ましくは100m/g超、好ましくは120m/g超の表面積を有する。好ましくは、担体は、ケイ素原子および金属原子の総モルに基づいて(すなわち、酸素およびケイ素以外の他の非金属元素を除いて)、0.1~40モル%、好ましくは少なくとも0.1モル%、好ましくは少なくとも1モル%、好ましくは40モル%以下、好ましくは30モル%以下のチタンを含むシリカ粒子を含む。好ましくは、担体は、ケイ素原子および金属原子の総モルに基づいて、10モル%以下、好ましくは5モル%以下、好ましくは2モル%以下、好ましくは1モル%以下、好ましくは0.5モル%以下のアルミニウムを含む。
【0006】
好ましくは、触媒粒子のアスペクト比は、10:1以下、好ましくは5:1以下、好ましくは3:1以下、好ましくは2:1以下、好ましくは1.5:1以下、好ましくは1.1:1以下である。粒子の好ましい形状としては、球、円柱、直方体、輪、多葉形状(例えば、クローバー断面)、複数の穴および「ワゴンホイール」を有する形状、好ましくは球が挙げられる。不規則な形状も使用され得る。
【0007】
好ましくは、触媒は、ケイ素原子および金属原子の総モルに基づいて、0.1~10モル%の少なくとも1つの貴金属、50~95モル%のSi、0.1~40モル%のTi、および0.1~40モル%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属またはそれらの組み合わせを含む。好ましくは、触媒は、少なくとも55モル%、好ましくは少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも65モル%、好ましくは少なくとも70モル%、好ましくは97モル%以下のSiを含む。好ましくは、触媒は、少なくとも0.1モル%、好ましくは少なくとも1モル%、好ましくは少なくとも5モル%、好ましくは30モル%以下、好ましくは20モル%以下、好ましくは15モル%以下のTiを含む。好ましくは、触媒は、少なくとも0.1モル%、好ましくは少なくとも0.2モル%、好ましくは少なくとも0.3モル%、好ましくは7モル%以下、好ましくは5モル%以下、好ましくは3モル%以下の貴金属(複数可)を含む。好ましくは、触媒は、少なくとも0.1モル%、好ましくは少なくとも1モル%、好ましくは少なくとも2モル%、好ましくは30モル%以下、好ましくは20モル%以下、好ましくは15モル%以下のアルカリまたはアルカリ土類金属(複数可)を含む。本発明の好ましい一実施形態では、触媒は、ケイ素原子および金属原子の総モルに基づいて、20モル%以下、好ましくは10モル%以下、好ましくは5モル%以下、好ましくは2モル%以下、好ましくは1モル%以下のマグネシウムを含む。本発明の好ましい一実施形態では、触媒は、ケイ素原子および金属原子の総モルに基づいて、20モル%以下、好ましくは10モル%以下、好ましくは5モル%以下、好ましくは2モル%以下、好ましくは1モル%以下のアルカリ土類金属を含む。
【0008】
好ましくは、貴金属(複数可)の少なくとも90重量%は、触媒体積(すなわち、平均触媒粒子体積)の外側80%、好ましくは外側60%、好ましくは外側50%、好ましくは外側40%、好ましくは外側30%、好ましくは外側25%にある。好ましくは、任意の粒子形状の外部体積は、外部表面に垂直な線に沿って測定された、その内部表面から外部表面(粒子の表面)まで一定の距離を有する体積に対して計算される。例えば、球形粒子の場合、体積の外側x%は球形シェルであり、その外部表面は粒子の表面であり、その体積は球全体の体積のx%である。好ましくは、貴金属の少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%、好ましくは少なくとも99重量%は、触媒の外部体積にある。好ましくは、貴金属(複数可)の少なくとも90重量%(好ましくは少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%、好ましくは少なくとも99重量%)は、触媒直径の15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは8%以下、好ましくは6%以下の表面からの距離内にある。表面からの距離は、表面に垂直な線に沿って測定される。
【0009】
好ましくは、貴金属は、金またはパラジウム、好ましくは金である。
【0010】
好ましくは、触媒粒子の平均直径は、少なくとも60ミクロン、好ましくは少なくとも100ミクロン、好ましくは少なくとも200ミクロン、好ましくは少なくとも300ミクロン、好ましくは少なくとも400ミクロン、好ましくは少なくとも500ミクロン、好ましくは少なくとも600ミクロン、好ましくは少なくとも700ミクロン、好ましくは少なくとも800ミクロン、好ましくは30mm以下、好ましくは20mm以下、好ましくは10mm以下、好ましくは5mm以下、好ましくは3mm以下である。担体の平均直径および最終触媒粒子の平均直径は、著しく異ならない。
【0011】
好ましくは、貴金属および担体の百分率としての貴金属の量は、0.2~5重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも0.8重量%、好ましくは少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも1.2重量%、好ましくは4重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは2.5重量%以下である。
【0012】
本発明の触媒は、触媒床を含有する酸化的エステル化反応器(OER)内でメタクロレインをメタノールで処理することを含むメタクリル酸メチル(MMA)を製造するためのプロセスに有用である。触媒床は、触媒粒子を含み、OER内に位置し、流体の流れが触媒床を通過し得る。触媒床内の触媒粒子は、典型的には、固体壁およびスクリーンによって適所に保持される。いくつかの構成では、スクリーンは、触媒床の両端にあり、固体壁は、側面(複数可)にあるが、いくつかの構成では、触媒床は、完全にスクリーンで囲まれ得る。触媒床の好ましい形状は、円柱、直方体、および円柱シェル、好ましくは円柱を含む。OERは、メタクロレイン、メタノール、およびMMAを含む液相と、酸素を含む気相と、をさらに含む。液相は、副生成物、例えば、メタクロレインジメチルアセタール(MDA)およびイソ酪酸メチル(MIB)をさらに含み得る。好ましくは、液相は、40~120℃、好ましくは少なくとも50℃、好ましくは少なくとも60℃、好ましくは110℃以下、好ましくは100℃以下の温度である。好ましくは、触媒床は、0~2000psig(101.3~13890.8kPa)、好ましくは2000kPa以下、好ましくは1500kPa以下の圧力である。好ましくは、触媒床のpHは、4~10、好ましくは少なくとも4.5、好ましくは少なくとも5、好ましくは9以下、好ましくは8以下、好ましくは7.5以下、好ましくは7以下、好ましくは6.5以下である。好ましくは、触媒床は、管状連続反応器内にある。
【0013】
OERは、典型的には、メタクリル酸および未反応のメタノールとともにMMAを製造する。好ましくは、メタノールおよびメタクロレインは、1:10~100:1、好ましくは1:2~20:1、好ましくは1:1~10:1のメタノール:メタクロレインモル比で固定床を含有する反応器に供給される。好ましくは、固定床は、不活性材料をさらに含む。好ましい不活性材料としては、例えば、アルミナ、粘土、ガラス、炭化ケイ素、および石英が挙げられる。好ましくは、不活性材料は、触媒のサイズ範囲以下である。好ましくは、反応生成物は、メタノールおよびメタクロレインに富む塔頂流を提供するメタノール回収蒸留塔に供給され、好ましくは、この流れは、OERに戻されてリサイクルされる。メタノール回収蒸留塔からの底流は、MMA、MDA、メタクリル酸、塩、および水を含む。本発明の一実施形態では、MDAは、MMA、MDA、メタクリル酸、塩、および水を含む媒体中で加水分解される。MDAは、メタノール回収蒸留塔からの底流中で加水分解され得、上記流れは、MMA、MDA、メタクリル酸、塩、および水を含む。別の実施形態では、MDAは、メタノール回収塔底流から分離された有機相中で加水分解される。MDAの加水分解に十分な水が存在することを確実にするために、有機相に水を添加する必要があり得、これらの量は、有機相の組成から容易に測定され得る。MDA加水分解反応器の生成物は、相分離され、有機相は、1つ以上の蒸留塔を通過して、MMA生成物ならびに軽質および/または重質の副生成物を製造する。
【0014】
好ましくは、触媒は、担体の存在下で、担体粒子(好ましくは、シリカ)上にチタン塩からチタンを、その後、金属塩の水溶液から貴金属を沈殿させることによって生成される。好ましいチタン塩としては、酢酸チタン、硫酸チタン、オキシ硫酸チタン(IV)、塩化チタン、オキシ塩化チタン、チタン(IV)ビス(乳酸アンモニウム)二水酸化物溶液、チタン(IV)2-エチルヘキシルオキシド、チタン(IV)ブトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、およびチタン(IV)オキシアセチルアセトネートが挙げられる。好ましい貴金属塩としては、テトラクロロ金酸、金チオ硫酸ナトリウム、金チオリンゴ酸ナトリウム、水酸化金、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、および酢酸パラジウムが挙げられる。好ましい一実施形態では、チタン修飾担体は、チタン前駆体塩の水溶液を多孔性無機酸化物に添加して細孔を溶液で充填し、次いで水を乾燥により除去する初期湿潤技法によって製造される。好ましくは、次いで、得られた材料は、チタン塩を金属または金属酸化物に分解するための当業者に知られている、焼成、還元、または他の処理によって処理される。好ましくは、貴金属(複数可)は、初期湿潤、続いて乾燥、好ましくは焼成によって、焼成されたチタン修飾担体に添加される。
【0015】
焼成は、好ましくは250℃~600℃、好ましくは少なくとも300℃、好ましくは550℃以下の温度で行われる。好ましくは、温度は、段階的または連続的な様式で、最終的な焼成温度まで上昇する。
【0016】
別の好ましい実施形態では、触媒は、好適な貴金属前駆体塩を含有する水溶液に多孔性無機酸化物を浸漬し、次いで、溶液のpHを調整することにより、塩を無機酸化物の表面と相互作用させる析出沈殿により生成される。次いで、得られた処理済み固体を(例えば濾過により)回収し、次いで、貴金属塩を金属または金属酸化物に分解するための当業者に知られている、焼成、還元、または他の処理によって完成触媒に変換される。
【実施例
【0017】
実施例1
単一パス固定床気泡塔反応器動作:
20重量%メタクロレイン、200ppm抑制剤、および残りがメタノールからなる供給物を、40g/時間の速度で、ホウケイ酸ガラスビーズの短い前部を含む3/8インチ(9.5mm)ステンレス鋼管状反応器に供給し、続いて5gの触媒を供給した。触媒1を利用した。窒素中に8%の酸素を含有するガスも、通気孔内に4.5%Oを得るのに十分な速度で反応器に供給した。反応器を60℃および160psig(1200kPa)で動作させた。反応器の生成物は気液分離器に送られ、蒸気は液戻りを有する凝縮器に送られ、非凝縮性ガスは通気孔に進んだ。結果を以下の表に記載する。
【0018】
触媒1の調製:
触媒1を、出発材料として20gのFuji Silysia Chemical,Ltd.製CARiACT Q-10担体を使用し、かつその担体材料にチタンを添加した初期湿潤技法によって調製した。具体的には、10.5gのチタンイソプロポキシドを3gの氷酢酸とともに回転装置内の触媒に添加し、溶液の担体材料への均一な分散を確実にした。添加時の溶液は40℃であった。その後、修飾された担体材料を、わずかな真空下で、60℃で4時間乾燥させ、その後、5℃/分で周囲温度から125℃まで上昇させて1時間保持し、その後、5℃/分で最大250℃まで上昇させて1時間保持し、その後、5℃/分で350℃まで上昇させて1時間保持し、最後に5℃/分で450℃まで上昇させて4時間保持することによって、周囲圧力下、空気中で焼成した。その後、40℃で10gの脱イオン水中0.83gの金チオ硫酸ナトリウムを利用する初期湿潤技法によって、金を担体に添加した。結果として生じた触媒を乾燥させ、上記と同じ加熱プロファイルを使用して空気中で焼成した。触媒のエネルギー分散分光法(EDS)を装備した走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた分析により、TiおよびAuの両方の卵殻堆積が存在し、Tiが堆積した場所にのみAuが優先的に存在することが明確に示される。TiおよびAu卵殻の厚さが約50ミクロン以下であることが分かった。直径1mmの触媒の外側50ミクロンに10モル%の推定装填で、チタンの局部装填がTi/(Ti+Si)として最大40モル%と推定される。
【0019】
実施例2(比較)
バッチリサイクル固定床気泡塔反応器動作:
10重量%のメタクロレイン、200ppmの抑制剤、および残りがメタノールを含む150gの供給溶液を調製し、ガス解放容器として機能する300mLのPARR(登録商標)反応器に入れた。容器の液体を約20℃の温度で維持した。液体供給物を、ガス解放容器から垂直に配向された固定床反応器の底部内に7mL/分でポンプ注入した。空気と窒素ガスを混合して7.8モル%の酸素を得て、液体供給物と混合した後に固定床反応器に入れた。固定床反応器は、外部加熱器を使用して60℃で維持したジャケット付き1/4インチ(6.4mm)ステンレス鋼管であった。反応器自体に2mmのガラスビーズを装填して管の約18インチ(46cm)を充填し、次いで触媒を充填した。反応器の上部の残りの空隙を、3mmのガラスビーズで充填した。反応器の上部を出る液体およびガスは凝縮器に送られ、非凝縮性ガスが通気される一方で、液体はガス解放容器に戻ってリサイクルされた。触媒2、ならびに以下の実施例3、4、および5からの触媒をこの様式で行った。
【0020】
触媒2の調製:
触媒2を、水溶液を作製するために100gの水中に溶解した4.1gの金チオ硫酸ナトリウムの初期湿潤によって調製し、その後、100gのFuji Silysia Chemical,Ltd.製CARiACT Q-20シリカ担体材料上に置いた。試料を120℃で1時間乾燥させた後、400℃で4時間焼成した。
【0021】
実施例3
触媒3の調製:
触媒3を以下のステップによって調製した。最初に、51.7gのチタンイソプロポキシドおよび28.5gの氷酢酸からなるチタン前駆体原液を混合し、周囲温度で撹拌した。その後、担体材料を、27.9gの上記のチタン原液を20gのFuji Silysia Chemical,Ltd.製CARiACT Q-10シリカ担体材料に含浸させて、その初期湿潤点にすることによって調製した。その後、試料を125℃で1時間乾燥させた後、異なる温度設定毎に5℃/分の上昇速度で、250℃で1時間、350℃で1時間、450℃で一晩焼成した。金の堆積を、0.4gの金チオ硫酸ナトリウムおよび16gの脱イオン水を含有する溶液を10gの上記の担体材料に含浸させて、その初期湿潤点にすることによって達成した。その後、試料を120℃で1時間乾燥させた後、400℃で4時間焼成した。触媒のエネルギー分散分光法(EDS)を装備した走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた分析により、TiおよびAuの両方の卵殻堆積が存在し、Tiが堆積した場所にのみAuが優先的に存在することが明確に示される。TiおよびAu卵殻の厚さが約300ミクロン以下であることが分かった。
【0022】
実施例4
触媒4の調製:
触媒4を以下のステップによって調製した。最初に、担体材料を、チタンイソプロポキシドを10gのFuji Silysia Chemical,Ltd.製CARiACT Q-10シリカ担体材料に含浸させて、その初期湿潤点にすることによって調製した。その後、試料を125℃で1時間乾燥させた後、250℃で1時間、350℃で1時間、450℃で1時間、550度で12時間焼成し、異なる温度設定間の上昇速度は5℃/分であった。金の堆積を、0.25gの金チオ硫酸ナトリウムおよび9gの脱イオン水を含有する溶液を6gの上記の担体材料に含浸させて、その初期湿潤点にすることによって達成した。その後、試料を120℃で1時間乾燥させた後、400℃で4時間焼成した。
【0023】
実施例5
触媒5の調製:
触媒5を以下のステップによって調製した。最初に、担体材料を、硝酸マグネシウム六水和物を10gのFuji Silysia Chemical,Ltd.製CARiACT Q-10シリカ担体材料に含浸させて、その初期湿潤点にすることによって調製した。その後、試料を120℃で1時間乾燥させた後、450℃で4時間焼成し、異なる温度設定間の上昇速度は5℃/分であった。8.5gのチタンイソプロポキシドおよび1.5gの酢酸を混合してチタン前駆体溶液を得て、その後、3.1gのチタン前駆体溶液を上記の焼成Mg-SiOに含浸させた。その後、試料を120℃で1時間乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、異なる温度設定間の上昇速度は5℃/分であった。金の堆積を、0.3gの金チオ硫酸ナトリウムおよび8gの脱イオン水を含有する溶液を8gの上記の担体材料に含浸させて、その初期湿潤点にすることによって達成した。その後、試料を120℃で1時間乾燥させた後、400℃で4時間焼成した。結果として生じた試料は、Siに合計4.7重量%のMgおよび4重量%のTiを含有し、1.5重量%のAuがその材料に装填された。卵殻堆積が存在するかを決定するためにこの試料を評価しなかった。
【表1】
【0024】
粉砕強度:
触媒または触媒担体粒子の機械的強度を、粒子を機械的破壊点まで破砕することによって直接測定した。破壊強度試験を、Mecmesin M100ECを使用して行った。単一の粒子をプラットフォーム上に置き、負荷がピーク値に達して材料が破損するまで、上部プランジャーを粒子に押し付けた。ピーク負荷を、Shimpo FGE-100Xゲージを使用して記録した。この試験を25個の個別の粒子で繰り返して、任意の材料の破砕強度の統計的平均を得た。結果を以下の表にする。
【表2】