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特許7305677漂白活性化剤として有用なテトラアセチルジアミンおよびトリアセチルジアミンの誘導体
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  • 特許-漂白活性化剤として有用なテトラアセチルジアミンおよびトリアセチルジアミンの誘導体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】漂白活性化剤として有用なテトラアセチルジアミンおよびトリアセチルジアミンの誘導体
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/39 20060101AFI20230703BHJP
   C11D 3/32 20060101ALI20230703BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20230703BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20230703BHJP
   C11D 7/38 20060101ALI20230703BHJP
   C11D 7/54 20060101ALI20230703BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
C11D3/39
C11D3/32
C11D3/395
C11D7/32
C11D7/38
C11D7/54
C11D17/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020557345
(86)(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019027431
(87)【国際公開番号】W WO2019204184
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】62/658,346
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】503060525
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ イリノイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シュ
(72)【発明者】
【氏名】キング,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ソング,チュアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジャンジュン
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-046621(JP,A)
【文献】特公昭46-006966(JP,B1)
【文献】国際公開第2017/040501(WO,A1)
【文献】特開平10-072595(JP,A)
【文献】特開2014-065714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 19/00
C07B 31/00- 61/00;
63/00- 63/04
C07C 1/00-409/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の活性酸素剤、および少なくとも1つの式(I):
【化1】

[式中、
【化2】

は、単結合または二重結合を表し、ただし、前記結合がC原子の原子価要件を満たすことを条件とし;
は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のRで置換されており;
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のRで置換されており;またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、もしくはC~Cシクロアルキル環を形成し;
は水素またはアセチルであり;
各RおよびRは、独立して、C~Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択される]の化合物またはその塩を含む水性組成物。
【請求項2】
記化合物(I)が、式(I-1):
【化3】

の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、任意選択で1つまたは複数のRで置換されたC~Cアルキルであるか;またはR が、非置換のC~Cアルキルである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
が、水素であるか;または
が、任意選択で1つまたは複数のRで置換されたC~Cアルキルであるか;また
が、非置換のC~Cアルキルである、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記式(I)の化合物が:
【化4】

である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記1つまたは複数の活性酸素剤が、過酸素化合物、過酸素化合物付加物、過酸化水素、過酸化水素を遊離するかまたは発生する化合物、無機または有機のペルオキシ酸、ペルオキシカルボン酸、過炭酸塩、過ホウ酸塩、ペルオキシ水和物、過ケイ酸塩、過硫酸塩、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1からのいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記式(I)の化合物が、洗剤組成物の総重量に対して、0.5wt%~10wt%の量で存在し;かつ/または前記1つまたは複数の活性酸素剤が、前記洗剤組成物の総重量に対して、0.5wt%~20wt%の量で存在する、請求項1からのいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)の含量が、前記組成物の総重量に対して、1wt%以下である、請求項1からのいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
1つまたは複数の界面活性剤および請求項1からのいずれかに記載の組成物を含む、洗剤組成物。
【請求項10】
前記1つまたは複数の界面活性剤が、前記洗剤組成物の総重量に対して、0.5wt%~70wt%の量で存在する、請求項に記載の洗剤組成物。
【請求項11】
液体形態まはゲル形態である、請求項または10に記載の洗剤組成物。
【請求項12】
汚れた基材を処理する方法であって、前記基材と請求項から11のいずれかに記載の洗剤組成物とを接触させることを含む、方法。
【請求項13】
材を消毒する方法であって、前記基材と請求項1からのいずれかに記載の組成物とを接触させることを含む、方法。
【請求項14】
過酢酸溶液を生成する方法であって、水溶液中で、活性酸素剤と式(I):
【化5】

[式中、
【化6】

は、単結合または二重結合を表し、ただし、前記結合がC原子の原子価要件を満たすことを条件とし;
は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のRで置換されており;
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のRで置換されており;またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、もしくはC~Cシクロアルキル環を形成し;
は水素またはアセチルであり;
各RおよびRは、独立して、C~Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択される]の化合物またはその塩とを反応させて、アミド結合を過加水分解することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月16日に出願された米国仮特許出願第62/658,346号の優先権を主張し、よってその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に漂白活性化剤組成物に関する。本開示は、より詳細には、テトラアセチルジアミンおよび/またはトリアセチルジアミンの誘導体ならびにその組成物、ならびに漂白活性化剤としてのそれらの使用、および洗剤または殺生物剤としてそれらを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
過酸素系漂白剤化合物は、基材から汚れを除去するその能力に関して周知である。そのような漂白剤としては、過酸化水素、または無機もしくは有機の過酸化物などのペルヒドロキシルラジカルを生じ得る物質が挙げられる。一般に、過酸素系漂白剤化合物または過酸化水素は、活性化されなければならない。活性化の一方法は、60℃より高い洗浄温度を用いることである。過酸素系漂白剤化合物の活性化に必要とされる高温により、基材(詳細には布帛基材)に早期損傷が起きる場合があり、布帛基材に使用される染料が損傷されることが多い。
【0004】
活性化の別の公知の手法は、過酸素系漂白剤化合物と共に有機前駆体化合物を使用することである。過酸素系漂白剤化合物を有する組成物に、漂白活性化剤とも呼ばれることが多い有機前駆体を添加することにより、例えば40~60℃のようなより低い洗浄温度における漂白活性が改善される。漂白活性化剤の例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)およびノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS)である。漂白活性化剤は、過酸素系漂白剤化合物により水溶液中に放出される過酸化水素のペルヒドロキシドアニオン(OOH-)と反応して、単独の過酸化物漂白剤より漂白剤として反応性が高いペルオキシ酸を形成する。
【0005】
TAEDは、過酸化物誘導体(過ホウ酸塩、過炭酸塩、または過硫酸塩など)と反応して過酢酸を生成することができ、これが低温における(<60℃)効率のよい漂白を可能にする。TAEDに関する主要な欠点は、塩基性条件下における競争的加水分解であり、このためにTAEDが消費され、漂白作用がない酢酸が生成されて、低い漂白効率がもたらされる。結果として、TAEDは、詳細には液体洗剤配合物において、長い貯蔵寿命に伴いその漂白活性を失う。したがって、塩基性条件下における競争的加水分解が少ない(すなわち、液体配合物中でより長い貯蔵寿命を有する)が、低温において(<60℃)依然として漂白可能である、効率のよい漂白活性化剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、本開示の組成物が、TAEDと比較してより良好な加水分解安定性を有することを見出した。同時に、本開示の組成物は、TAED組成物と等価な漂白活性を保持している。したがって、本開示の組成物は、詳細には液体洗剤配合物において、より長い貯蔵寿命を有する。さらに、有機溶媒の助力なしでは水に容易に溶解し得ないTAEDと比較して、式(I)の化合物は水性環境に容易に溶解し得る。本開示の組成物は、付加的な溶媒を使用することなく液体洗剤組成物に含まれることが可能であり、したがって、それらは環境をより配慮したものとなる。
【0007】
したがって、本開示の一態様は、1つまたは複数の活性酸素剤、および少なくとも1つの式(I):
【化1】
[式中、
【化2】
は、単結合または二重結合を表し、ただし、結合がC原子の原子価要件を満たすことを条件とし;
は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のRで置換されており;
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のRで置換されており;
またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、もしくはC~Cシクロアルキル環を形成し;
は水素またはアセチルであり;
各RおよびRは、独立して、C~Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択される]の化合物またはその塩を含む水性組成物を提供する。
【0008】
本開示の別の態様は、1つまたは複数の界面活性剤、1つまたは複数の活性酸素剤、および少なくとも1つの式(I)の化合物を含む洗剤組成物を提供する。
【0009】
本開示の別の態様は、汚れた基材(例えば、セラミック、布帛、または金属の基材)を処理する方法を提供する。そのような方法は、基材を本開示の洗剤組成物と接触させることを含む。
【0010】
本開示の別の態様は、基材(例えば、セラミック、布帛、または金属の基材)を消毒する方法を提供する。そのような方法は、基材を本開示の組成物と接触させることを含む。
【0011】
本開示の別の態様は、基材(例えば、セラミック、布帛、または金属の基材)を漂白する方法を提供する。そのような方法は、基材を本開示の組成物と接触させることを含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、過酢酸溶液を生成する方法を提供する。そのような方法は、活性酸素剤と式(I)の化合物とを水溶液中で反応させて、アミド結合を過加水分解する(perhydrolyse)ことを含む。
【0013】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物を調製する方法を提供する。そのような方法は、式(II)の化合物
【化3】
[式中、
【化4】
は、単結合または二重結合を表し、ただし、結合がC原子の原子価要件を満たすことを条件とし;
11は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のR41で置換されており;
21は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のR51で置換されており;
またはR11およびR21は、それらが結合している原子と一緒になって、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、もしくはC~Cシクロアルキル環を形成し;
各R41およびR51は、独立して、C~Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択される]
またはその塩と、無水酢酸または塩化アセチル、および塩基とを接触させることを含む。
【0014】
添付の図は、本開示の方法および組成物のさらなる理解をもたらすために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成している。図は本開示の1つまたは複数の実施形態を例示し、その記載と共に、本開示の原理および操作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】TAED、N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1)、およびN-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)の、pH8.0における、過ホウ酸ナトリウム(10当量)の非存在下(点線を伴う塗りつぶし記号)および過ホウ酸ナトリウムの存在下(実線を伴う塗りつぶしなし記号)における分解動態を示す図である。(A)試験分子の正規化分解プロット。(B)試験分子の動態プロット。
図2】さまざまな化合物を用いた処理後の、異なる時間における食用色素の写真画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
開示される方法および材料を説明する前に、本明細書に記載される態様は、特定の実施形態、または構成に限定されることはなく、したがって、当然のことながら変更することができることを理解されたい。本明細書中で使用される専門用語は、特定の態様を説明することのみを目的としたものであり、本明細書で特に定義されない限り、限定することを意図するものではないこともまた理解されたい。
【0017】
本開示を考慮すると、本明細書に記載される組成物および方法は、所望される必要性を満たすように当業者により構成され得る。一般に、本開示の組成物および方法は、漂白活性化剤、詳細には洗剤および殺生物剤配合物に使用される漂白活性化剤の改善を提供する。
【0018】
例えば、ある特定の実施形態では、本開示の組成物(すなわち、1つまたは複数の式(I)の化合物を含む組成物)は、TAED組成物と比較して、より良好な加水分解安定性を有する。特に、N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1)は、予期しなかったことだが、約5~9の間のpH値において、TAEDと比較して、よりゆっくりとした加水分解を示す。1の半減期は、pH8.0においてTAEDの半減期より1.5倍長く、pH9.0において2.6倍長い。同様に、N-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)は、塩基性pHにおいて、さらにゆっくりとした加水分解を示した。2の半減期は、pH8.0においてTAEDの半減期より5.7倍長く、かつpH9.0において5.8倍長い。特定の理論に束縛されないが、Rおよび/またはR置換基が、加水分解性の分解を減速させるのに十分な立体障害をもたらすと考えられる。
【0019】
ある特定の実施形態では、本開示の組成物(すなわち、1つまたは複数の式(I)の化合物を含む組成物)は、TAED組成物と等価な漂白活性を保持する。特に、10当量の過ホウ酸ナトリウムの存在下における過加水分解の速度は、1とTAEDとの間で同等であり、そのより遅い加水分解に起因して、1の漂白活性化剤としてのより高い効率を示している。青色染料を用いた漂白研究もまた、染料を漂白する、1およびTAEDの同様の有効性を示した。
【0020】
したがって、本開示の一態様は、1つまたは複数の活性酸素剤、および少なくとも1つの式(I)の化合物:
【化5】
[式中、
【化6】
は、単結合または二重結合を表し、ただし、結合がC原子の原子価要件を満たすことを条件とし;
は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、そのそれぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のRで置換されており;
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、そのそれぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のRで置換されており;
またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、もしくはC~Cシクロアルキル環を形成し;
は水素またはアセチルであり;
各RおよびRは、独立して、C~Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択される]またはその塩を含む水性組成物を提供する。
【0021】
上記のとおり、本開示の組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物を含む。
【0022】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、
【化7】
が単結合を表す化合物であり、例えば、化合物(I)は、式(I-1)の化合物:
【化8】
である。
【0023】
一実施形態では、本開示は、Rが、任意選択で1つまたは複数のRで置換されたC~Cアルキルである、式(I)または(I-1)の化合物を提供する。他の実施形態は、Rが、任意選択で1つまたは複数のRで置換されたC~Cアルキルである化合物である。他の実施形態は、Rが、任意選択で1つまたは複数のRで置換されたC~Cアルキルである化合物である。
【0024】
一実施形態では、本開示は、Rが、非置換のC~Cアルキルである、式(I)または(I-1)の化合物を提供する。他の実施形態は、Rが、非置換のC~Cアルキルであるか、またはRが、非置換のC~Cアルキルである化合物である。さらに他の実施形態では、Rはメチルである。さらに他の実施形態では、Rはエチルである。
【0025】
本開示の別の実施形態は、Rが水素である、式(I)または(I-1)の化合物を提供する。
【0026】
本開示のまた別の実施形態は、Rが、任意選択で1つまたは複数のRで置換されたC~Cアルキルである、式(I)または(I-1)の化合物を提供する。他の実施形態は、Rが、任意選択で1つまたは複数のRで置換されたC~Cアルキルである化合物である。他の実施形態は、Rが、任意選択で1つまたは複数のRで置換されたC~Cアルキルである化合物である。
【0027】
一実施形態では、本開示は、Rが、非置換のC~Cアルキルである、式(I)または(I-1)の化合物を提供する。他の実施形態は、Rが、非置換のC~Cアルキルであるか、またはRが、非置換のC~Cアルキルである化合物である。さらに他の実施形態では、Rはメチルである。さらに他の実施形態では、Rはエチルである。
【0028】
本開示の特定の実施形態は、RおよびRが、それらが結合している原子と一緒になって、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはC~Cシクロアルキル環を形成する、式(I)の化合物を提供する。本開示の一部の実施形態は、RおよびRが、それらが結合している原子と一緒になって、アリールまたはC~Cシクロアルキル環を形成する、式(I)の化合物を提供する。一部の実施形態では、RおよびRは、
【化9】
が二重結合を表している時、それらが結合している原子と一緒になって、フェニル環を形成する。一部の実施形態では、RおよびRは、
【化10】
が単結合を表している時、それらが結合している原子と一緒になって、シクロペンチルまたはシクロヘキシル環を形成する。本開示の一部の実施形態は、RおよびRが、それらが結合している原子と一緒になって、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環を形成する、式(I)の化合物を提供する。
【0029】
本開示の別の実施形態は、Rがアセチルである、式(I)または(I-1)の化合物を提供する。
【0030】
本開示の別の実施形態は、Rが水素である、式(I)または(I-1)の化合物を提供する。
【0031】
例えば、本開示のある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、
【化11】
である。
【0032】
本開示のある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、
【化12】
である。
【0033】
本開示の他の実施形態では、式(I)の化合物は、
【化13】
である。
【0034】
本開示の組成物のある特定の実施形態では、1つまたは複数の活性酸素剤中の過酸化物と、少なくとも1つの式(I)の化合物とのモル比は、約1:1~約10:1である。例えば、1つまたは複数の活性酸素剤中の過酸化物と、少なくとも1つの式(I)の化合物とのモル比は、約1:1~約7:1、または約1:1~約5:1、または約1:1~約3:1、または約2:1~約10:1、または約2:1~約7:1、または約2:1~約5:1、または約2:1~約3:1、または約3:1~約10:1、または約3:1~約7:1、または約3:1~約5:1である。
【0035】
ある特定の実施形態では、本開示の組成物は、TAEDを実質的に含まないものであり、例えば、組成物の総重量に対して、1wt%以下(例えば、0.5wt%以下、または0.1wt%以下、または0.01wt%以下、または0.001wt%以下、またはさらに0wt%)のTAEDが、組成物中に存在する。
【0036】
本開示の組成物のある特定の実施形態では、式(I)の化合物は:
N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)、
N,N’-(ブタン-2,3-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)、および/または
N,N’-(シクロヘキサン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)ではない。
【0037】
本開示のある特定の実施形態では、本組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物を、組成物の総重量に対して約70wt%までの量で含む。例えば、本組成物のある特定の実施形態では、本明細書に別段に記載されなければ、少なくとも1つの式(I)の化合物は、約50wt%まで、または約30wt%まで、または約15wt%まで、または約10wt%まで、または約5wt%まで、または約3wt%まで、または約2wt%までの量で存在する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の活性酸素剤は、約10wt%~約70wt%、例えば、約20wt%~約70wt%、または約25wt%~約70wt%、または約30wt%~約70wt%、または約40wt%~約70wt%、または約20wt%~約50wt%、または約25wt%~約50wt%、または約30wt%~約50wt%の量で存在する。例えば、本組成物のある特定の実施形態では、本明細書に別段に記載されなければ、少なくとも1つの式(I)の化合物は、約0.5wt%~約10wt%、例えば、約0.5wt%~約8wt%、または約0.5wt%~約5wt%、または約0.5wt%~約3wt%、または約0.5wt%~約2wt%、または約1wt%~約10wt%、または約1wt%~約8wt%、または約1wt%~約5wt%、または約5wt%~約10wt%の範囲の量で存在する。
【0038】
上述のように、本開示の組成物は、1つまたは複数の活性酸素剤を含む。好適な活性酸素剤には、過酸素化合物、過酸素化合物付加物、過酸化水素、過酸化水素を遊離するかまたは発生する化合物、無機または有機のペルオキシ酸、ペルオキシカルボン酸、過炭酸塩、過ホウ酸塩、ペルオキシ水和物、過ケイ酸塩、過硫酸塩、およびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
活性酸素剤は、過酸素化合物であってもよく、例えば、過酸化水素、第1族(IA)活性酸素化合物(例えば、過酸化ナトリウム)、第2族(IIA)活性酸素化合物(例えば、過酸化マグネシウム)、第12族(IIB)活性酸素化合物(例えば、過酸化亜鉛)、第13族(IIIA)活性酸素化合物(例えば、過ホウ酸塩)、第14族(IVA)活性酸素化合物(例えば、過ケイ酸塩およびペルオキシ炭酸塩)、第15族(VA)活性酸素化合物(例えば、過リン酸塩)、第16族(VIA)活性酸素化合物(例えば、ペルオキシ硫酸およびその塩)、第17族(VITA)活性酸素化合物(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム)、および遷移金属過酸化物が含まれる。種々の過酸化水素および/または過酸化水素付加物のいずれも、本開示における使用に好適であり得る。過炭酸ナトリウム(2NaCO-3H)もまた、活性酸素剤として用いることができる。有機活性酸素化合物を含む活性酸素剤はまた、モノ-またはジ-ペルオキシカルボン酸などのペルオキシカルボン酸、これらの種類の化合物を含むアルカリ金属塩、またはそのような化合物の付加物も含み得る。過酸、ペルオキシ酸、過カルボン酸およびペルオキシカルボン酸は、それぞれ、一般式R(COH)(式中、Rは、飽和または不飽和の、置換または非置換のアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、芳香族、ヘテロ環式、またはエステル基であり得、nは、1、2、または3である)を有する酸を同義的に表す。
【0040】
本開示のある特定の実施形態では、本組成物は、1つまたは複数の活性酸素剤を、組成物の総重量に対して約70wt%までの量で含む。例えば、本組成物のある特定の実施形態では、本明細書に別段に記載されなければ、1つまたは複数の活性酸素剤は、約50wt%まで、または約30wt%まで、または約15wt%まで、または約10wt%まで、または約5wt%まで、または約3wt%まで、または約2wt%までの量で存在する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の活性酸素剤は、約20wt%~約70wt%、例えば、約25wt%~約70wt%、または約30wt%~約70wt%、または約40wt%~約70wt%、または約20wt%~約50wt%、または約25wt%~約50wt%、または約30wt%~約50wt%の量で存在する。例えば、本組成物のある特定の実施形態では、本明細書に別段に記載されなければ、1つまたは複数の活性酸素剤は、約0.5wt%~約20wt%、例えば、約0.5wt%~約15wt%、または約0.5wt%~約10wt%、または約0.5wt%~約5wt%、または約0.5wt%~約2wt%、または約1wt%~約20wt%、または約1wt%~約15wt%、または約1wt%~約10wt%、または約1wt%~約5wt%、または約5wt%~約20wt%、または約5wt%~約15wt%、または約5wt%~約10wt%の範囲の量で存在する。
【0041】
本開示の別の態様は、1つまたは複数の界面活性剤、1つまたは複数の活性酸素剤、および本明細書に記載される少なくとも1つの式(I)の化合物を含む洗剤組成物を提供する。
【0042】
界面活性剤は、セッケン、またはアニオン性、非イオン性、両性、双極性もしくはカチオン性の界面活性剤またはこれらの混合物であってもよい。一般に、非イオン性およびアニオン性の界面活性剤は、当技術分野で一般的に知られている、使用されているものから選択されてもよい。例えば、好適なアニオン性界面活性剤には、C~C22アルキルラジカルを有する、有機の硫酸塩およびスルホン酸塩の水溶性アルカリ金属塩(例えば、獣脂またはヤシ油由来の高級C~C18アルコールを硫酸塩にすることにより得られるアルキル硫酸ナトリウムおよびアルキル硫酸カリウム;アルキルC~C20ベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびアルキルC~C20ベンゼンスルホン酸カリウム;アルキルグリセリルエーテル硫酸ナトリウム、特に獣脂またはヤシ油に由来する高級アルコールおよび石油に由来する合成アルコールのこれらのエーテル)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、アニオン性界面活性剤は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、C10~C15アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、C12~C18アルキル硫酸ナトリウム(PAS)であってもよい。
【0043】
好適な非イオン性界面活性剤には、疎水基、および例えば脂肪族アルコール、酸、アミドまたはアルキルフェノールのような反応性水素原子を有する化合物と、酸化アルキレンと、特に単独または酸化プロピレンと共に用いるいずれかの酸化エチレンとの反応生成物が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、C~C22アルキルフェノール-酸化エチレン縮合物、一般に5~25個のEO、すなわち1分子当たり5~25単位の酸化エチレンを有するもの、および脂肪族C~C18第一級または第二級の直鎖または分岐状のアルコールと酸化エチレンとの縮合生成物、一般に5~50個のEO(例えば、10~50個のEO、または20~35個のEO)のもの、であってもよい。
【0044】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の界面活性剤には、セッケンが含まれる。脂肪酸セッケンは、約16~約22個の炭素原子を、好ましくは直鎖配置で含有してもよい。好ましいセッケンは、天然の供給源から得られる飽和および不飽和の脂肪酸に由来してもよいし、合成による調製されてもよい。そのような脂肪酸の例には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸が含まれる。
【0045】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の界面活性剤は、アニオン性および非イオン性の界面活性剤の混合物であってもよい。
【0046】
両性または双極性の界面活性剤もまた、本開示の洗剤組成物に使用されてもよい。ある特定の実施形態では、両性および/または双極性の界面活性剤は、アニオン性および/または非イオン性の界面活性剤と組み合わせて使用されてもよい。
【0047】
本開示のある特定の実施形態では、洗剤組成物は、1つまたは複数の界面活性剤を、洗剤組成物の総重量に対して約70wt%までの量で含む。例えば、洗剤組成物のある特定の実施形態では、本明細書に別段に記載されなければ、1つまたは複数の界面活性剤は、約50wt%まで、または約30wt%まで、または約15wt%まで、または約10wt%まで、または約5wt%まで、または約3wt%まで、または約2wt%までの量で存在する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の界面活性剤は、約15wt%~約70wt%、例えば、約20wt%~約70wt%、または約25wt%~約70wt%、または約30wt%~約70wt%、または約40wt%~約70wt%、または約15wt%~約50wt%、または約20wt%~約50wt%、または約25wt%~約50wt%、または約30wt%~約50wt%の量で存在する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の界面活性剤は、約0.5wt%~約15wt%、例えば、約0.5wt%~約10wt%、または約0.5wt%~約5wt%、または約0.5wt%~約3wt%、または約0.5wt%~約2wt%、または約0.5wt%~約1.5wt%、または約1wt%~約15wt%、または約1wt%~約10wt%、または約1wt%~約5wt%、または約1wt%~約3wt%の範囲の量で存在する。
【0048】
本開示のある特定の実施形態では、洗剤組成物は、1つまたは複数の活性酸素剤を、洗剤組成物の総重量に対して約20wt%までの量で含む。例えば、洗剤組成物のある特定の実施形態では、本明細書に別段に記載されなければ、1つまたは複数の活性酸素剤は、約0.5wt%~約20wt%、例えば、約0.5wt%~約15wt%、または約0.5wt%~約10wt%、または約0.5wt%~約5wt%、または約0.5wt%~約2wt%、または約1wt%~約20wt%、または約1wt%~約15wt%、または約1wt%~約10wt%、または約1wt%~約5wt%、または約5wt%~約20wt%、または約5wt%~約15wt%、または約5wt%~約10wt%の範囲の量で存在する。
【0049】
本開示のある特定の実施形態では、洗剤組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物を、洗剤組成物の総重量に対して、約10wt%までの量で含む。例えば、本組成物のある特定の実施形態では、本明細書に別段に記載されなければ、少なくとも1つの式(I)の化合物は、約0.5wt%~約10wt%、例えば、約0.5wt%~約8wt%、または約0.5wt%~約5wt%、または約0.5wt%~約3wt%、または約0.5wt%~約2wt%、または約1wt%~約10wt%、または約1wt%~約8wt%、または約1wt%~約5wt%、または約5wt%~約10wt%の範囲の量で存在する。
【0050】
本開示の洗剤組成物はまた、ビルダーも含んでもよい。当業者は、所望の使用に基づいて好適なビルダーを選択することができる。好適なビルダーには、カルシウム捕捉物質、沈殿性物質、カルシウムイオン交換物質、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。カルシウム捕捉物質の例には、トリポリリン酸ナトリウムなどのポリリン酸アルカリ金属塩、およびエチレンジアミン四酢酸などの有機捕捉剤が含まれる。沈殿性ビルダー物質の例には、オルトリン酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが含まれる。カルシウムイオン交換ビルダー物質の例には、さまざまな種類の水不溶性結晶または非晶質のアルミノケイ酸(例えば、ゼオライトA、ゼオライトB(ゼオライトPとしても公知)、ゼオライトC、ゼオライトX、ゼオライトYなど)が含まれる。ある特定の実施形態では、不溶性の無機ビルダーは、0.1~10μm(粒度分析計によりレーザー回折を使用して測定される)の範囲の大きさを有してもよい。ある特定の実施形態では、洗剤組成物中のビルダーの量は、洗剤組成物の総重量に対して、約1wt%~約40wt%の範囲である。
【0051】
本開示の洗剤組成物は、酵素、ポリマー、芳香剤、蛍光剤、汚れ放出ポリマー、殺菌剤、布帛軟化剤、着色剤、および青色スペックルなどの着色スペックルなどの1つまたは複数の他の成分を含んでもよい。
【0052】
本開示の洗剤組成物は、粉末剤、錠剤、液体、棒状、結晶、ゲル、カプセル剤、または水性もしくは非水性の液体、またはシートもしくは他の基材上でまたはパウチ内で運ばれるなどの異なる形態であってもよい。ある特定の実施形態では、本開示の洗剤組成物は、水性液体の形態である。ある特定の実施形態では、本開示の洗剤組成物は、ゲル形態である。
【0053】
本明細書に記載される洗剤組成物は、任意の好適な基材を処理(例えば、漂白)する目的に使用することができる任意の調製物、例えば、洗濯洗浄用、洗濯漂白用、前処理漂白用、硬質表面洗浄用(洗面所、台所作業表面、床、機械的な部分などの洗浄を含む)、または自動食器洗浄用の組成物を作製するために使用されてもよい。
【0054】
洗剤組成物は、水に溶解した場合(例えば、第1の使用サイクル中)、約8~約12の範囲内、例えば、約8~約11、または約8~約10、または約8~約9、または約8.2~約9.8、または約8.3~約9.7、または約8.4~約9.6、または約8.6~約9.5、または約8.8~約9.3の範囲内のpH値を有する。
【0055】
本開示の別の態様は、過酢酸溶液を生成する方法であって、活性酸素剤と本明細書に記載される式(I)の化合物とを水溶液中で反応させて、アミド結合を過加水分解することを含む、方法を提供する。
【0056】
本方法のある特定の実施形態では、活性酸素剤と式(I)の化合物とのモル比は、約1:1~約3:1の範囲である。
【0057】
本開示の別の態様は、本明細書に記載される式(I)の化合物を調製する方法であって、式(II)
【化14】
[式中、
【化15】
は、単結合または二重結合を表し、ただし、該結合がC原子の原子価要件を満たすことを条件とし;
11は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、そのそれぞれは独立して、1つまたは複数のR41で任意選択で置換されており;
21は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、またはC~Cアルキニルであり、そのそれぞれは独立して、1つまたは複数のR51で任意選択で置換されており;
またはR11およびR21は、それらが結合している原子と一緒になって、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、もしくはC~Cシクロアルキル環を形成し;
各R41およびR51は、独立して、C~Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択される]の化合物またはその塩と、無水酢酸または塩化アセチル、および塩基とを接触させることを含む、方法を提供する。
【0058】
本方法のある特定の実施形態では、式(II)の化合物:無水酢酸:塩基のモル比は、約1:4:3~約1:8:4である。
【0059】
TAEDの合成は、当技術分野で周知である。ジアミンのアセチル化は、無水酢酸、酢酸、またはケトンを化学量論量またはモル過剰のいずれかで含むアセチル化剤を用いて達成することができる。任意選択で、塩基(例えば、アミン)を触媒として添加し、反応を促進するか、またはほぼモル当量(生成された酢酸の量に対して)において、ジアミンと無水酢酸との反応から生じた酢酸を中和してもよい。任意選択で、溶媒(例えば、炭化水素)を使用し、反応混合物からの水の除去において(除去オーバーヘッド(removal overhead)を介して)補助してもよい。合成は、N,N’ジアセチルジアミンを最初に合成し、単離して、トリアセチルジアミンもしくはテトラアセチルジアミンの生成用の中間体として使用する2ステップ反応であり得るか、または中間体ジアセチルジアミンを単離しない1ステップ反応のいずれかであり得る。1ステップ反応を用いる場合は、アセチル化剤が、ジアミンの少なくとも2モル当量より多い量で存在する。
【0060】
ある特定の実施形態では、接触させる工程は、溶媒の非存在下(すなわち、接触は無溶媒(neat solution)中である)である。ある特定の実施形態では、接触させる工程は、非極性溶媒の存在下である。好適な溶媒には、トルエンおよびキシレンなどの高沸点を有する溶媒が含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
定義
使用される以下の用語および表現は、示された意味を有する。
【0062】
本明細書全体を通して、文脈によりそうでない旨が要求されない限り、語「含む(comprise)」および「含む(include)」ならびに変形(例えば、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」)は、述べられた構成要素、特色、要素、もしくはステップ、または構成要素、特色、要素、もしくはステップの群の包含を意味するが、任意の他の必須のもの(integer)もしくはステップまたは必須のものもしくはステップの群を排除しないことが理解されるであろう。
【0063】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈により明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0064】
範囲は、本明細書で、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までのように表現され得る。そのような範囲が表現される時、別の態様は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」の使用により近似値として表現される時、特定の値が別の態様を形成することを理解されたい。各範囲の端点が、他の端点と関連する場合も、他の端点から独立する場合もその両方とも有意であることをさらに理解されたい。
【0065】
本明細書の全ての百分率、比および割合は、特に明記されない限り、重量による。構成要素の重量パーセント(重量%、wt%とも)は、それに反して特に述べられない限り、構成要素が含まれる配合物または組成物の総重量に対する(例えば、洗剤組成物の総量)。全てのモル%値は、活性化合物のモルに基づく。
【0066】
用語「アルケニル」とは、本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、2~10個の炭素を含有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素を意味する。アルケニルの代表例には、エテニル、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-メチル-1-ヘプテニル、3-デセニルおよび3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエニル、ならびに2-プロピル-2-ヘプテニルが含まれるが、これらに限定されない。用語「アルケニレン」は、2価のアルケニル基を指し、アルケニルは本明細書で定義される通りである。
【0067】
用語「アルキル」とは、本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、1~10個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素を意味する。アルキルの代表例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、およびn-デシルが含まれるが、これらに限定されない。用語「アルキレン」は、2価のアルキル基を指し、アルキルは本明細書で定義される通りである。
【0068】
用語「アルキニル」とは、本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、2~10個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味する。アルキニルの代表例には、アセチレニル、1-プロピニル、2-プロピニル、3-ブチニル、2-ペンチニル、および1-ブチニルが含まれるが、これらに限定されない。用語「アルキニレン」は、2価のアルキニル基を指し、アルキニルは本明細書で定義される通りである。
【0069】
用語「アリール」とは、本明細書で使用される場合、フェニル(すなわち、単環式アリール)、または少なくとも1つのフェニル環を含有する二環系もしくは芳香族二環系中に炭素原子のみを含有する芳香族二環、または少なくとも1つのフェニル環を含有する多環系を意味する。二環式アリールは、アズレニル、ナフチル、またはシクロアルキル、シクロアルケニルもしくはヘテロシクリルと縮合したフェニルであり得る。二環式または多環式のアリールは、二環系または多環系のフェニル部分内に含まれる任意の炭素原子、またはナフチル、アズレニル、アントラセンもしくはピレン環の任意の炭素原子を通して、親分子部分に結合している。
【0070】
用語「シクロアルキル」とは、本明細書で使用される場合、単環式または二環式のシクロアルキル環系を意味する。単環系は、3~10個の炭素原子を含有する環式の炭化水素基であり、そのような基は、飽和または不飽和であり得るが、芳香族ではない。ある特定の実施形態では、シクロアルキル基は、完全に飽和している。単環式シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれる。二環系の代表例には、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、およびビシクロ[4.2.1]ノナンが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
用語「ヘテロアリール」とは、本明細書で使用される場合、単環式ヘテロアリール、または少なくとも1つの芳香族複素環を含有する二環式もしくは多環式の環系を意味する。単環式ヘテロアリールは、5員環または6員環であり得る。5員環は、2つの二重結合および1、2、3または4個の窒素原子ならびに任意選択で1個の酸素原子または硫黄原子からなる。6員環は、3つの二重結合および1、2、3または4個の窒素原子からなる。5員環または6員環のヘテロアリールは、ヘテロアリール中に含有される任意の炭素原子または任意の窒素原子を通して親分子部分に接続している。二環式または多環式のヘテロアリールは、フェニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールに縮合したヘテロアリールからなる。ヘテロアリールの代表例には、フリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、トリアジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、シンノリニル、5,6-ジヒドロキノリン-2-イル、5,6-ジヒドロイソキノリン-1-イル、フロピリジニル、インダゾリル、インドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、キノリニル、またはプリニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
用語「ヘテロシクリル」とは、本明細書で使用される場合、単環式複素環または二環式複素環を意味する。単環式複素環は、独立して、O、N、およびSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5員、6員または7員環であり、環は飽和または不飽和であるが、芳香族ではない。5員環は、ゼロまたは1つの二重結合、ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有し得る。6員、または7員環は、ゼロ、1、または2つの二重結合、ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有する。二環式複素環は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式複素環、または単環式ヘテロアリールのいずれかと縮合した単環式複素環である。複素環の代表例には、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、マレイミジル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、トリチアニル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-2-イル、およびインドリニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
句「1つまたは複数の」置換基は、本明細書で使用される場合、1個から、利用できる結合部位の数に基づいて可能性がある最大数の置換基までと等しいいくつかの置換基を指し、ただし、安定性および化学的な実現可能性の上記条件を満たしている場合である。別段の指示がない限り、任意選択で置換された基は、基のそれぞれの置換可能な位置において置換基を有してもよく、置換基は、同一であってもまたは異なってもよい。本明細書で使用される場合、用語「独立して選択される」とは、同一または異なる値が、単一の化合物において所与の可変要素の複数の場合に対して選択され得ることを意味する。
【0074】
「任意選択の」または「任意選択で」とは、それに続いて記載された事象または状況が生じても生じなくてもよく、該記述は、前記事象または状況が生じる場合およびそれが生じない場合を含むことを意味する。当業者は、1つまたは複数の任意選択の置換基を含有すると記載された任意の分子に関して、立体的に実用的および/または合成上実現可能な化合物のみが含まれることを意味することを理解するであろう。「任意選択で置換される」は、別段に明記されない限り、用語中の全てのそれに続く変更要素を指す。
【0075】
用語「置換される」とは、本明細書で使用される場合、明示された部分の水素ラジカルが、特定の置換基のラジカルで置き換えられることを意味し、ただし、置換により、安定なまたは化学的に実行可能な化合物がもたらされるとする。用語「置換可能な」とは、明示された原子に関連して使用される時、その原子に結合しているのが水素ラジカルであり、それが好適な置換基のラジカルで置き換えられ得ることを意味する。
【0076】
調製方法
本開示の化合物の合成に有用な、一般に知られている化学合成のスキームおよび条件を提供する多くの一般的な参照文献が入手可能である(例えば、Smith and March, March's Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms, and Structure, Fifth Edition, Wiley-Interscience, 2001;またはVogel, A Textbook of Practical Organic Chemistry, Including Qualitative Organic Analysis, Fourth Edition, New York: Longman, 1978を参照されたい)。
【0077】
本明細書に記載される化合物は、HPLC、分取薄層クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー手段を含む、当技術分野で公知の任意の手段により精製することができる。順相および逆相と同様にイオン性樹脂を含む、任意の好適な固定相を使用することができる。最も典型的には、本開示の化合物は、シリカゲルおよび/またはアルミナのクロマトグラフィーを介して精製される。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography, 2nd Edition, ed. L. R. Snyder and J. J. Kirkland, John Wiley and Sons, 1979;およびThin Layer Chromatography, ed E. Stahl, Springer-Verlag, New York, 1969を参照されたい。
【0078】
対象化合物の任意の調製プロセス中に、関係する任意の分子上の感受性または反応性の基を保護することが必要かつ/または望ましくあり得る。これは、慣用的な保護基という手段により達成され得、例えば、J. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry,” Plenum Press, London and New York 1973, in T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis,” Third edition, Wiley, New York 1999, in “The Peptides”; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981, in “Methoden der organischen Chemie,” Houben-Weyl, 4.sup.th edition, Vol. 15/l, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974, in H.-D. Jakubke and H. Jescheit, “Aminosauren, Peptide, Proteine,” Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982および/またはin Jochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide and Derivate,” Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974などの標準的な著書に記載される。保護基は、当技術分野で公知の方法を使用して、都合の良い後続段階で除去され得る。
【0079】
本明細書に開示される化合物は、当業者によく知られている手順を使用して、本明細書に記載されるように作製することができる。例えば、本開示の化合物は、スキーム1(以下)、または類似の合成スキームに従って調製することができる。当業者は、スキーム1の出発物質および反応シーケンスを、所望の標的分子に適するように適合させることができる。当然のことながら、ある特定の状況では、当業者は、異なる試薬を使用して、1つまたは複数の個々のステップに影響を及ぼすか、または特定の置換基の保護されたバージョンを使用する。加えて、当業者は、本開示の化合物が、完全に異なる経路を使用して合成され得ることを理解するであろう。
【実施例
【0080】
本開示の化合物の調製および本開示の方法を、以下の実施例によりさらに例示し、これらは、本開示を範囲または趣旨において、本開示の特定の手順に限定するものと解釈されるべきではない。
【0081】
[実施例1]
N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1)およびN-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)の合成
【化16】

プロピレン-1,2-ジアミンを、トリエチルアミン(TEA)の存在下で、過剰の無水酢酸(AcO)を用いて、100℃で20時間(時間)処理することにより、N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1;TA(Me)EDとしても公知)およびN-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2;TriA(Me)EDとしても公知)を合成した(スキーム1)。プロピレン-1,2-ジアミン:AcO:TEAの供給比は、1gのプロピレン-1,2-ジアミンを用いて、1:4.5:3.5(mol/mol/mol)であった。反応後、DI水を添加し、反応混合物をジクロロメタン(DCM)で抽出した。大部分の副生成物の酢酸(AcOH)、TEA-AcOH塩、および未反応のN,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ジアセトアミド(3;DA(Me)EDとしても公知)は、水性相中に留まり、生成物のN,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1)およびN-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)は、DCM相中に豊富であった。純粋生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル(EtOAc):ヘキサンを溶離液として、1:2~10:1の体積比)を通して得た。N-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)は、再結晶によりさらに精製することができ、DCM:エーテル:ヘキサンを使用して白色針状結晶を得た。
【0082】
Hおよび13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルを、Varian U500分光計で記録した。化学シフトをppmで報告し、溶媒プロトン不純物を参照した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を、126P溶媒モジュール、System Gold 128 UV検出器、および分析用Phe-Hexカラム(5μm、100mm×4.6mm、Phenomenex)を取り付けたSystem Goldシステム(Beckman Coulter、Fullerton、CA、USA)で実施した。HPLC試験の一部を、PDA検出器(SPD-M20A)と接続したShimadzu HPLCシステム(LC-20AT)で実施した。勾配法を採用し、移動相として0.1%のTFA-HOおよびアセトニトリル(ACN)を使用した。N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1)およびN-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)の検出用のUV波長は、218nmに設定した。
【0083】
N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1):H NMR(CDCl、δ、500MHz):4.30(m、1H、-CH(CH)CH-)、4.04(d、J=6.88Hz、2H、-CH(CH)CH-)、2.38(s、6H、CHC(=O)-)、2.33(s、6H、CHC(=O)-)、1.38(d、J=6.93Hz、3H、-CH(CH)CH-);MS(ESI):m/z[M+Na]1118Naに関する計算値 265.1164;実測値:265.1165。
【0084】
N-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2):H NMR(CDCl、δ、500MHz):5.86(s、1H、-NHCH(CH)CH-)、4.16(m、1H、-NHCH(CH)CH-)、3.97(dd、J=9.74Hz、J=14.8Hz、1H、-NHCH(CH)CH-)、3.55(dd、J=5.10Hz、J=14.8Hz、1H、-NHCH(CH)CH-)、2.44(s、6H、CHC(=O)-)、1.91(s、3H、CHC(=O)-)、1.17(d、J=6.56Hz、3H、-NHCH(CH)CH-);MS(ESI):m/z [M+Na]1118Naに関する計算値 265.1164;実測値:265.1165。
【0085】
N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ジアセトアミド(3):H NMR(CDCl3、δ、500MHz):6.44(s、1H、-NHCH(CH)CHNH-)、6.18(s、1H、-NHCH(CH)CHNH-)、4.03(m、1H、-NHCH(CH)CHNH-)、3.34(m、1H、-NHCH(CH)CHNH-)、3.20(m、1H、-NHCH(CH)CHNH-)、1.98(s、3H、CHC(=O)-)、1.96(s、3H、CHC(=O)-)、1.16(d、J=6.68Hz、3H、-NHCH(CH)CHNH-)。
【0086】
[実施例2]
N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1)およびN-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)の評価

加水分解性の分解を研究するために、上記1および2を、50μg/mLにおけるトリス緩衝液(pH8.0、0.1M):アセトニトリル(can)の混合物(3:1、v/v)に溶解した。過加水分解性の分解を、過ホウ酸ナトリウム(10当量)の存在下で、同様の条件で評価した。市販の漂白活性化剤であるテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)を対照として使用した。この混合物を、室温(20℃)で20日間インキュベートした。異なる時間間隔で、溶液のアリコートを取り出し、HPLCにより分析した。上記1および2の濃度を、λ最大=218nmにおけるUV-可視吸収により標準曲線を通して定量化した。漂白試験のために、上記1、2、TAED、および他の対照分子(20mg)を、市販の食用色素(100倍希釈、1mL)および過酸化水素(H、30%、1mL)で処理した。この混合物を、室温(20℃)でインキュベートし、異なる時間間隔で確認して、色素の漂白をモニタリングした。
【0087】
N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1)およびN-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)の両方とも、驚いたことに、広く使用されている漂白活性化剤であるTAEDと比較してより遅い分解を示した。このことは、ジアミン骨格上のα-メチル基が加水分解速度を低下させたことを示唆している(図1A)。全ての化合物の加水分解が一次速度則に従っており、ln([M]/[M])対時間の直線関係が観察された(図1B)。速度プロットにおける傾きから算出された速度定数を、表1に列記する。しかしながら、ナトリウム過酸塩の存在下(10当量)で、過加水分解速度は、TAED、1、および2間で同等であった。過加水分解性の分解は、加水分解性の分解と同じ順序(TAED>1>2)に従ったけれども、3つの分子全ての過加水分解は、72時間内に終了した(5%未満が残った)。したがって、TAEDよりも疎水性で立体障害性の骨格を有する、N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1)およびN-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)は、TAEDよりも、加水分解に対する驚くほど良好な耐性、および過酸塩の存在下での同等の過加水分解性の分解を有し、その結果として、漂白活性化剤としてTAEDより優れた代替物である。
【表1】
【0088】
本発明の化合物を漂白試験にかけた。食用色素をAdams Extractから購入し、使用前にトリス緩衝液(pH8.0、0.1M)で500倍に希釈した。希釈した食用色素を、H(30%)と1:1比(v/v)で混合した。全ての10mgのTAED/TA(Me)ED/TriA(Me)EDに対して、1mLの食用色素/Hの混合物を添加した。漂白試験の結果を図2に示す。広く使用されている漂白活性化剤のTAEDは、Hと活発に反応し、約24時間後に青色が消失した。ジアミン中心部にもう1個のメチル基を有するN,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1)は、同様の活性化能力を示し、24時間後に青色を漂白した。より良好な安定性を有し、過酢酸生成のための活性部位が1つ少ない(1分子当たり1個のイミド基)、N-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)は、かなり遅い漂白作用を示し、青色は処理の24時間後にゆっくりと消えていった。N,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(1)およびN-(2-アセトアミドプロピル)-N-アセチルアセトアミド(2)の両方とも、同様の活性化能力を示し、24時間(時間)後に青色を漂白した。比較として、利用できるイミド基を持たないジアセチルエチレンジアミン(DAED)およびN,N’-(プロパン-1,2-ジイル)ジアセトアミド(3)は、予想通りに挙動し、いかなる漂白活性化効果も示さなかった。
【0089】
[実施例3]
N,N’-(ブタン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(5)およびN,N’-(ブタン-2,3-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(6)の合成
【化17】

ブタン-1,2-ジアミンを、トリエチルアミン(TEA)の存在下で、過剰の無水酢酸(AcO)を用いて、100℃で20時間処理した(スキーム2)。ブタン-1,2-ジアミン:AcO:TEAの供給比は、1gのブタン-1,2-ジアミンを用いて、約1:4.5:3.5(mol/mol/mol)である。反応後、DI水を添加し、反応混合物をジクロロメタン(DCM)で抽出する。大部分の副生成物の酢酸(AcOH)、TEA-AcOH塩、および未反応のN,N’-(ブタン-1,2-ジイル)ジアセトアミド(4)は、水性相中に留まり、生成物のN,N’-(ブタン-1,2-ジイル)ビス(N-アセチルアセトアミド)(5;TA(Et)EDとしても公知)およびN-(2-アセトアミドブチル)-N-アセチルアセトアミド(6;TriA(Et)EDとしても公知)は、DCM相中に豊富であった。純粋生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを通して得た。
【0090】
[実施例4~7]
本開示の表2中の化合物は、本質的に実施例1で提供した方法により調製することができる。
【表2】
【0091】
本明細書に記載される実施例および実施形態は、単に例示的な目的のためであり、その観点からさまざまな修正または変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨および全範囲ならびに添付の特許請求の範囲に組み込まれることを理解されたい。本明細書に引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。

本出願は例えば以下の発明を提供する。
[1] 1つまたは複数の活性酸素剤、および少なくとも1つの式(I):
【化18】

[式中、
【化19】

は、単結合または二重結合を表し、ただし、前記結合がC原子の原子価要件を満たすことを条件とし;
は、C ~C アルキル、C ~C アルケニル、またはC ~C アルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のR で置換されており;
は、水素、C ~C アルキル、C ~C アルケニル、またはC ~C アルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のR で置換されており;またはR およびR は、それらが結合している原子と一緒になって、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、もしくはC ~C シクロアルキル環を形成し;
は水素またはアセチルであり;
各R およびR は、独立して、C ~C シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択される]の化合物またはその塩を含む水性組成物。
[2]
【化20】

が単結合を表し、例えば、前記化合物(I)が、式(I-1):
【化21】

の化合物である、上記[1]に記載の組成物。
[3] R が、任意選択で1つまたは複数のR で置換されたC ~C アルキルであるか;または
が、任意選択で1つまたは複数のR で置換されたC ~C アルキルであるか;または
が、任意選択で1つまたは複数のR で置換されたC ~C アルキルであるか;または
が、非置換のC ~C アルキルであるか;またはR が、非置換のC ~C アルキルであるか;または
が、非置換のC ~C アルキルであるか;またはR がメチルであるか;またはR がエチルである、上記[1]または[2]に記載の組成物。
[4] R が、水素であるか;または
が、任意選択で1つまたは複数のR で置換されたC ~C アルキルであるか;または
が、任意選択で1つまたは複数のR で置換されたC ~C アルキルであるか;または
が、任意選択で1つまたは複数のR で置換されたC ~C アルキルであるか;または
が、非置換のC ~C アルキルであるか;またはR が、非置換のC ~C アルキルであるか;または
が、非置換のC ~C アルキルであるか;またはR がメチルであるか;またはR がエチルである、上記[1]から[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] R がアセチルであるか;またはR が水素である、上記[1]から[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記式(I)の化合物が:
【化22】

であるか;または
前記式(I)の化合物が:
【化23】

であるか;または
前記式(I)の化合物が:
【化24】

である、上記[1]に記載の組成物。
[7] 前記1つまたは複数の活性酸素剤が、過酸素化合物、過酸素化合物付加物、過酸化水素、過酸化水素を遊離するかまたは発生する化合物、無機または有機のペルオキシ酸、ペルオキシカルボン酸、過炭酸塩、過ホウ酸塩、ペルオキシ水和物、過ケイ酸塩、過硫酸塩、およびこれらの組合せからなる群から選択される、上記[1]から[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 前記式(I)の化合物が、洗剤組成物の総重量に対して、約0.5wt%~約10wt%の範囲内の量で存在し;かつ/または前記1つまたは複数の活性酸素剤が、前記洗剤組成物の総重量に対して、約0.5wt%~約20wt%の範囲内の量で存在する、上記[1]から[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)を実質的に含有せず、例えば、前記組成物の総重量に対して、1wt%以下(例えば、0.5wt%以下、または0.1wt%以下、または0.01wt%以下、または0.001wt%以下、またはさらに0wt%)のTAEDが、前記組成物中に存在する、上記[1]から[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 1つまたは複数の界面活性剤および上記[1]から[9]のいずれかに記載の組成物を含む、洗剤組成物。
[11] 前記1つまたは複数の界面活性剤が、前記洗剤組成物の総重量に対して、約0.5wt%~約70wt%の範囲内の量で存在する、上記[10]に記載の洗剤組成物。
[12] 液体形態であるか;または
約8~約12の範囲内、例えば、約8~約11、もしくは約8~約10、もしくは約8~約9、もしくは約8.2~約9.8、もしくは約8.3~約9.7、もしくは約8.4~約9.6、もしくは約8.6~約9.5、もしくは約8.8~約9.3の範囲内のpH値を有する液体形態;または
ゲル形態であるか;または
水に溶解した時、約8~約12の範囲内、例えば、約8~約11、もしくは約8~約10、もしくは約8~約9、もしくは約8.2~約9.8、もしくは約8.3~約9.7、もしくは約8.4~約9.6、もしくは約8.6~約9.5、もしくは約8.8~約9.3の範囲内のpH値を有するゲル形態である、上記[10]または[11]に記載の洗剤組成物。
[13] 汚れた基材(例えば、セラミック、布帛、または金属の基材)を処理する方法であって、前記基材と上記[10]から[12]のいずれかに記載の洗剤組成物とを接触させることを含む、方法。
[14] 基材(例えば、セラミック、布帛、または金属の基材)を消毒する方法であって、前記基材と上記[1]から[9]のいずれかに記載の組成物とを接触させることを含む、方法。
[15] 過酢酸溶液を生成する方法であって、水溶液中で、活性酸素剤と式(I):
【化25】

[式中、
【化26】

は、単結合または二重結合を表し、ただし、前記結合がC原子の原子価要件を満たすことを条件とし;
は、C ~C アルキル、C ~C アルケニル、またはC ~C アルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のR で置換されており;
は、水素、C ~C アルキル、C ~C アルケニル、またはC ~C アルキニルであり、それぞれは独立して、任意選択で1つまたは複数のR で置換されており;またはR およびR は、それらが結合している原子と一緒になって、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、もしくはC ~C シクロアルキル環を形成し;
は水素またはアセチルであり;
各R およびR は、独立して、C ~C シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択される]の化合物またはその塩とを反応させて、アミド結合を過加水分解することを含む、方法。
図1
図2