(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】光学フィルム積層体及び光学フィルム積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20230703BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20230703BHJP
B32B 7/03 20190101ALI20230703BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20230703BHJP
B05D 1/38 20060101ALI20230703BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20230703BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20230703BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
B32B7/03
B32B27/16 101
B05D1/38
B05D7/24 301T
B05D3/06 Z
B05D3/00 E
(21)【出願番号】P 2020569502
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2020001373
(87)【国際公開番号】W WO2020158428
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2019012977
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】酒井 丈也
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004142(JP,A)
【文献】特開2012-255926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 7/023
B32B 7/03
B32B 27/16
B05D 1/38
B05D 7/24
B05D 3/06
B05D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルム積層体であって、
感光性を有する第1の液晶性材料を含み、該第1の液晶性材料が所定の配向性を示す第1の層と、
前記第1の層上に直接積層された、ポジティブAプレートの光学特性を有する第2の層とを備え、
前記第1の液晶性材料は、少なくとも一部の側鎖に感光性基を含み、少なくとも下記化学式1で表される第1の側鎖を含む第1の重合体で少なくとも構成され、
前記第2の層は、第2の液晶性材料から形成され、該第2の液晶性材料がホモジニアス配向している、
光学フィルム積層体。
【化1】
式中、nは1~12、mは
1の整数をそれぞれ示し、Xは、none、-COO、-OCO-、-N=N-、-C=C-または-C
6H
4-をそれぞれ表し、W
1はシンナモイル
基を表す。
【請求項2】
光学フィルム積層体であって、
感光性を有する第1の液晶性材料を含み、該第1の液晶性材料が所定の配向性を示す第1の層と、
前記第1の層上に直接積層された、ポジティブAプレートの光学特性を有する第2の層とを備え、
前記第1の液晶性材料は、少なくとも一部の側鎖に感光性基を含み、少なくとも下記化学式1で表される第1の側鎖と、下記化学式2で表される第2の側鎖を
含む第1の重合体で少なくとも構成され、
前記第2の層は、第2の液晶性材料から形成され、該第2の液晶性材料がホモジニアス配向している、
光学フィルム積層体。
【化2】
式中、nは1~12、mは1の整数をそれぞれ示し、Xは、none、-COO、-OCO-、-N=N-、-C=C-または-C
6
H
4
-をそれぞれ表し、W
1
は-OHを表す。
【化3】
式中、sは0または1を表し、rは1~12の整数を表し、tは1~3の整数を表し、RはH、アルキル基、アルキルオキシ基またはハロゲンを表す。
【請求項3】
請求項2に記載の光学フィルム積層体であって、前記第1の液晶性材料が、前記第2の側鎖、あるいは前記第1の側鎖および前記第2の側鎖の両方を含む第2の重合体をさらに含み、該第2の重合体の側鎖全体における、前記第1の側鎖の割合は、前記第1の重合体の側鎖全体における、前記第1の側鎖の割合よりも少ない、光学フィルム積層体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体であって、前記第1の重合体が、末端に架橋性基を有する非液晶性の第3の側鎖をさらに含み、前記第2の層が前記架橋性基と反応する架橋剤を含む、光学フィルム積層体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学フィルム積層体であって、前記第1の層
の前記第1の液晶性材料がホメオトロピック配向して
おり、
該第1の層がポジティブCプレートの光学特性を有する、光学フィルム積層体。
【請求項6】
請求項2に記載の光学フィルム積層体であって、前記第1の側鎖が末端に感光性基を有
し、前記第1の層がNz係数5以上の光学特性を有する、光学フィルム積層体。
【請求項7】
感光性基を有する第1の液晶性材料を含む第1の塗膜を形成する工程と、
前記第1の塗膜を加熱後冷却して配向性を誘起する工程と、
前記加熱の前又は後に、前記塗膜に直線偏光を照射し、前記感光性基を異方的に光反応させる工程と、
前記偏光照射後の塗膜上に、直接第2の液晶性材料を塗布し、第2の塗膜を形成する工程と、
前記第1の塗膜および第2の塗膜の積層体を加熱する工程とを含む光学フィルム積層体の製造方法であって、
前記第1の液晶性材料は、少なくとも下記化学式1で表される第1の側鎖と、下記化学式2で表される第2の側鎖とを含む第1の重合体で少なくとも構成されている、光学フィルム積層体の製造方法。
【化4】
式中、nは1~12、mは
1の整数をそれぞれ示し、Xは、none、-COO、-OCO-、-N=N-、-C=C-または-C
6H
4-をそれぞれ表し、W
1
は-OHを表す。
【化5】
式中、sは0または1を表し、rは1~12の整数を表し、tは1~3の整数を表し、RはH、アルキル基、アルキルオキシ基またはハロゲンを表す。
【請求項8】
感光性基を有する第1の液晶性材料を含む第1の塗膜を形成する工程と、
前記第1の塗膜を加熱後冷却して配向性を誘起する工程と、
前記加熱の前又は後に、前記塗膜に直線偏光を照射し、前記感光性基を異方的に光反応させる工程と、
前記偏光照射後の塗膜上に、直接第2の液晶性材料を塗布し、第2の塗膜を形成する工程と、
前記第1の塗膜および第2の塗膜の積層体を加熱する工程とを含む光学フィルム積層体の製造方法であって、
前記第1の液晶性材料は、少なくとも下記化学式1で表される第1の側鎖を含む第1の重合体で少なくとも構成されている、光学フィルム積層体の製造方法。
【化6】
式中、nは1~12、mは
1の整数をそれぞれ示し、Xは、none、-COO、-OCO-、-N=N-、-C=C-または-C
6H
4-をそれぞれ表し、W
1はシンナモイル
基を表す。
【請求項9】
請求項
7または8に記載の方法において、前記第1の塗膜に加熱および偏光照射を行った後に、前記第2の液晶性材料を塗布する、光学フィルム積層体の製造方法。
【請求項10】
請求項
7または8に記載の方法において、前記第1の塗膜に偏光を照射した後、該第1の塗膜の加熱前に、前記第2の液晶性材料を塗布し、前記第1の塗膜の加熱により配向性を誘起する工程を、前記第1の塗膜および第2の塗膜の積層体を加熱する工程によって行う、光学フィルム積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、日本国で2019年1月29日に出願した特願2019-012977の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本出願の一部をなすものとして引用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、光学フィルム積層体に関し、また該積層体の形成に用い得る液晶配向特性を有するポジティブCプレートに関する。
【背景技術】
【0003】
液晶表示装置には、広視野角化、高コントラスト化が求められている。液晶表示装置の前面、裏面に配置され、偏光方向が互いに直交する2枚の偏光板を斜めから見た場合、2枚の偏光板の吸収軸が見かけ上直交からずれてくることにより、黒表示時の光漏れが生じ、コントラストが低下するという問題点がある。このような問題を解消するために、各種の光学補償フィルムが利用されている。このような光学補償フィルムとして、ポジティブCプレートの光学特性を有する光学フィルムや、ポジティブCプレートと、ポジティブAプレートの積層体の光学特性を有する光学フィルム積層体などの機能の向上や、製法の効率化が検討されている。
【0004】
例えば特許文献1(特開2013-33128号公報)は、ホメオトロピック配向した光学フィルムに関し、メソゲン成分と感光性基を有する側鎖と、メソゲン成分を有し光反応を示さない側鎖とを、90/10~10/90のモル比で含む液晶性高分子を垂直または略垂直配向させ、光照射によってその配向性を固定した光学フィルムを開示している。
【0005】
特許文献2(特開2016-4142号公報)は、光学フィルム積層体に関し、感光性基を有する液晶性材料から形成され、ホメオトロピック配向層の配向性が固定されたポジティブCプレートの上に、重合性を有する液晶性材料から形成され、ホモジニアス配向層の配向性が固定されたポジティブAプレートが直接積層された構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-33128号公報
【文献】特開2016-4142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、メソゲン成分と感光性基を有する側鎖とメソゲン成分を有し光反応性を示さない側鎖を所定の割合で含む液晶性高分子を使用することにより、光重合開始剤を含有しなくても、光照射により液晶性高分子のホメオトロピック配向を固定することができることを記載している。特許文献2は、ホメオトロピック配向層に直線偏光を照射することにより、感光性基を異方的に光反応させ、直上に積層された重合性液晶性材料を配向させる液晶配向能を付与し得ることを記載している。
【0008】
しかし、特許文献2で作製した光学フィルム積層体では、偏光顕微鏡で観察した際に、ポジティブAプレートが消光位で完全な暗色にはならず、配向欠陥が含まれるとの問題があった。また、ホメオトロピック配向層に直線偏光を照射する際に、長時間の照射を要することから、エネルギー効率の改善が求められていた。特許文献1でも特許文献2と同様の材料を用いており、上記の問題を解決する手段を示唆するものではない。
【0009】
また、光学補償の設計上、ポジティブCプレートとポジティブAプレートの積層体以外の光学特性を有するフィルムも準備することが望ましい。
【0010】
本発明は、従来より配向欠陥の抑制されたポジティブAプレートを有する光学フィルム積層体を提供することを一つの目的とする。
【0011】
本発明はまた、従来より配向欠陥の抑制されたポジティブAプレートを提供し得る液晶配向能を有する、ポジティブCプレートの光学特性を有する光学フィルムを提供することを目的とする。
【0012】
本発明はさらに、ポジティブCプレートとポジティブAプレートの積層体以外の光学特性を有する光学フィルム積層体を提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、従来よりも低いエネルギーで製造し得る光学フィルム積層体を提供することを目的とする。
【0014】
本発明はまた、上記の光学フィルム及び光学フィルム積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以下の態様を構成に含むことができる。
本発明の第1の態様は、光学フィルム積層体であって、感光性を有する第1の液晶性材料を含み、該第1の液晶性材料が所定の配向性を示す第1の層と、前記第1の層上に直接積層された、ポジティブAプレートの光学特性を有する第2の層とを備え、前記第1の液晶性材料は、少なくとも一部の側鎖に感光性基を含み、少なくとも下記化学式1で表される第1の側鎖を含む第1の重合体で少なくとも構成され、前記第2の層は、第2の液晶性材料から形成され、該第2の液晶性材料がホモジニアス配向している、光学フィルム積層体である。
【化1】
式中、nは1~12、mは1~5の整数をそれぞれ示し、Xは、none、-COO、-OCO-、-N=N-、-C=C-または-C
6H
4-をそれぞれ表し、W
1はシンナモイル基、シンナミリデン基、フリルアクリロイル基もしくはそれらの誘導体から選択される単環式の感光性基を表すか、または、-H、-OH、もしくは-CNを表す。
【0016】
第2の態様として、前記第1の態様に係る光学フィルム積層体において、前記第1の重合体が、下記化学式2で表される第2の側鎖をさらに含む、光学フィルム積層体であってもよい。
【化2】
式中、sは0または1を表し、rは1~12の整数を表し、tは1~3の整数を表し、RはH、アルキル基、アルキルオキシ基またはハロゲンを表す。
【0017】
第3の態様として、前記第2の態様に係る光学フィルム積層体において、前記第1の液晶性材料が、前記第2の側鎖、あるいは前記第1の側鎖および前記第2の側鎖の両方を含む第2の重合体をさらに含み、該第2の重合体の側鎖全体における、前記第1の側鎖の割合は、前記第1の重合体の側鎖全体における、前記第1の側鎖の割合よりも少ない、光学フィルム積層体であってもよい。
【0018】
第4の態様として、前記第1から第3のいずれか一つの態様に係る光学フィルム積層体において、前記第1の重合体が、末端に架橋性基を有する非液晶性の第3の側鎖をさらに含み、前記第2の層が前記架橋性基と反応する架橋剤を含む、光学フィルム積層体であってもよい。
【0019】
第5の態様として、前記第1から第4のいずれか一つの態様に係る光学フィルム積層体において、前記第1の層が前記第1の液晶性材料がホメオトロピック配向している、ポジティブCプレートの光学特性を有する、光学フィルム積層体であってもよい。
【0020】
第6の態様として、前記第2の態様に係る光学フィルム積層体において、前記第1の側鎖が末端に感光性基を有し、前記第1の層がNz係数5以上の光学特性を有する、光学フィルム積層体であってもよい。
【0021】
本発明の第7の態様は、感光性を有する第1の液晶性材料を含み、前記第1の液晶性材料は、少なくとも下記化学式1で表される第1の側鎖を含む第1の重合体で少なくとも構成されており、前記第1の液晶性材料がホメオトロピック配向している、ポジティブCプレートの光学特性を有する光学フィルムである。
【化3】
式中、nは1~12、mは1~5の整数をそれぞれ示し、Xは、none、-COO、-OCO-、-N=N-、-C=C-または-C
6H
4-をそれぞれ表し、W
1はシンナモイル基、シンナミリデン基、フリルアクリロイル基もしくはそれらの誘導体から選択される単環式の感光性基を表すか、または、-H、-OH、もしくは-CNを表す。
【0022】
本発明の第8の態様は、感光性基を有する第1の液晶性材料を含む第1の塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱後冷却して配向性を誘起する工程と、前記加熱の前又は後に、前記塗膜に直線偏光を照射し、前記感光性基を異方的に光反応させる工程と、前記偏光照射後の第1の塗膜上に、直接第2の液晶性材料を塗布し、第2の塗膜を形成する工程と、前記第1の塗膜および第2の塗膜の積層体を加熱する工程とを含む光学フィルム積層体の製造方法であって、前記第1の液晶性材料は、少なくとも下記化学式1で表される第1の側鎖を含む第1の重合体で少なくとも構成されている、光学フィルム積層体の製造方法である。
【化4】
式中、nは1~12、mは1~5の整数をそれぞれ示し、Xは、none、-COO、-OCO-、-N=N-、-C=C-または-C
6H
4-をそれぞれ表し、W
1はシンナモイル基、シンナミリデン基、フリルアクリロイル基もしくはそれらの誘導体から選択される単環式の感光性基を表すか、または、-H、-OH、もしくは-CNを表す。
【0023】
第9の態様として、前記第8の態様に係る方法において、前記第1の塗膜に加熱および偏光照射を行った後に、前記第2の液晶性材料を塗布する方法であってもよい。
【0024】
第10の態様として、前記第1の塗膜に偏光を照射した後、該第1の塗膜の加熱前に、前記第2の液晶性材料を塗布し、前記第1の塗膜の加熱により配向性を誘起する工程を、前記第1の塗膜および第2の塗膜の積層体を加熱する工程によって行う方法であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、側鎖型の液晶性材料が配向した光学フィルムを基層とする光学フィルム積層体において、液晶性材料中の感光性基を有する側鎖と感光性基を持たない側鎖とを同様に良好に配向させることができる。このフィルムに直線偏光を照射して感光性基を異方的に光反応させることにより、従来のフィルムに比して液晶配向を誘起する性能を改善し、またその性能を付与する際のエネルギーも低減することができる。このフィルム上で液晶性材料をホモジニアス配向させると、配向欠陥の少ないポジティブAプレートを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の光学フィルム積層体の一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(光学フィルム積層体の基本構成)
図1は、本発明の光学フィルム積層体の構成を示す模式断面図である。本発明の光学フィルム積層体1は、感光性を有する第1の液晶性材料を含み、該第1の液晶性材料の配向性が固定された第1の層10と、前記第1の層10上に直接積層された、ポジティブAプレートの光学特性を有する第2の層20とを備えている。光学フィルム積層体1は、さらに支持体30を含むものであってもよいが、支持体30を用いて形成後、第1の層10と第2の層20の積層体のみを支持体30から剥離して使用してもよい。
【0028】
前記第1の液晶性材料は、第1の重合体で少なくとも構成され、前記第2の層20は第2の液晶性材料から形成された、ホモジニアス配向層の配向性が固定されたものである。第1の重合体は、下記化学式1で表される側鎖を有し、少なくとも1部の側鎖(第1の側鎖または、後述の第2の側鎖)に感光性基を含む。
【0029】
【化5】
式中、nは1~12、mは1~5の整数をそれぞれ示し、Xは、none、-COO、-OCO-、-N=N-、-C=C-または-C
6H
4-をそれぞれ表し、W
1はシンナモイル基、シンナミリデン基、フリルアクリロイル基もしくはそれらの誘導体から選択される単環式感光性基を表すか、または、-H、-OH、もしくは-CNを表す。
【0030】
驚くべきことに、本発明者は、上記の第1の重合体が含む第1の側鎖の化学式において、酸素(O)と末端基W1をつなぐ炭素鎖の炭素数を奇数とした場合、末端基が非感光性基であれば垂直配向性に優れるとともに、末端基W1が感光性基の場合にも、単環式の化合物からなる感光性基であれば、末端基が非感光性基の場合と同様に、優れた垂直配向性が得られることを見出した。また第1の液晶性材料を用いて形成される第1の層において、感光性基を有する側鎖も垂直配向する構成とした場合に、直線偏光の照射によって付与される液晶配向能が向上し、第1の層上に第2の層を形成した際に、第2の層を構成する液晶性材料の配向欠陥を抑制できること、また直線偏光の照射に要するエネルギーも低減し得ることを見出した。
【0031】
第1の液晶性材料を構成する第1の重合体は、さらに下記の化学式2で表される第2の側鎖を含むものであってもよい。この場合、第2の側鎖は感光性を有するため、第1の側鎖は、末端基W1として感光性基を含まないものであってもよい。
【0032】
【0033】
式中、sは0または1を表し、rは1~12の整数を表し、tは1~3の整数を表し、RはH、アルキル基(好ましくはC1-4アルキル基),アルキルオキシ基(好ましくはC1-4アルキルオキシ基)またはハロゲンを表す。
【0034】
上記化学式2で示される側鎖は、下記に説明する液晶配向能にすぐれるので、これを含むことによって、第1の層10に液晶配向能を付与する際の直線偏光のエネルギーを抑制することができる。
【0035】
上記第1の液晶性材料は、さらに第2の重合体を含んでもよい。この第2の重合体は、前記第2の側鎖を含む重合体であってもよく、あるいは前記第1の側鎖および前記第2の側鎖の両方を含み、該第2の重合体の側鎖全体における、前記第1の側鎖の割合が、前記第1の重合体の側鎖全体における、前記第1の側鎖の割合よりも少ないものであってもよい。ここで、第1の重合体は、側鎖全体に対する第1の側鎖の割合が第2の側鎖より大きいものであることが好ましい。
【0036】
なお、必要に応じ、第1の重合体および/または第2の重合体は、末端に架橋性基を有する非液晶性の側鎖(第3の側鎖)をさらに含んでもよい。
【0037】
第1の重合体は、複数の第1の側鎖を含み、場合によっては、さらに複数の第2の側鎖を含む側鎖型液晶ポリマーである。第2の重合体は、複数の第2の側鎖を含み、場合によってはさらに複数の第1の側鎖を含む、側鎖型液晶ポリマーである。第1の液晶性材料では、第1の重合体、第2の重合体ともに、第1の側鎖の少なくとも1部が末端に単環式の感光性基を含むこと、かつ/または、第2の側鎖を含むことによって感光性を有する。
【0038】
上記の感光性側鎖型液晶性ポリマーを構成する主鎖としては、上記側鎖をスペーサーを介して結合した炭化水素、アクリレート、メタクリレート、シロキサン、マレインイミド、N-フェニルマレインイミドなどが挙げられる。これらのポリマーは同一の側鎖を有する単一重合体または構造の異なる側鎖を有する複数の単位からなる共重合体のいずれであってもよい。また、配向を増強するために低分子化合物を添加しても構わない。なお、本発明において感光性基とは、光照射により他の分子と結合する官能基をいう。また、本発明において、液晶性材料とは、材料単独に物理的な外部刺激(加熱、冷却、電場、磁場、せん断の印加等)を与えた時に液晶性を示すか、または溶媒や非液晶性成分との混合により液晶性を発現する材料をいう。
【0039】
さらに、上記第1の液晶性材料に光増感剤を添加してもよい。光増感剤としては、例えば、ミヒラーケトン等のベンゾフェノン系化合物;キサントン及びチオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等);アントラセン及びアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセン等)等のアントラセン化合物;フェノチアジン;ルブレン等が挙げられる。光増感剤の添加により、直線偏光照射時の反応が促進され、照射時間を短縮(照射エネルギーを節約)する上で効果がある。
【0040】
また例えば、上記第1の液晶性材料を構成する第1の重合体および/または第2の重合体が架橋性の官能基を有する非液晶性の側鎖を第3の側鎖として有するものであってもよい。非液晶性の側鎖が有する架橋性官能基は活性水素基であってもよい。活性水素基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、およびチオール基等が挙げられる。
【0041】
(液晶配向能を有する第1の層の形成)
本発明の光学フィルム積層体1において、第1の層10は、上記の第1の液晶性材料(側鎖型液晶性ポリマー)を、適当な溶媒に溶解した溶液(塗布液)を支持体30上に塗布してフィルムを製膜し、乾燥により溶媒を除去後、加熱工程で加熱・冷却(徐冷)することにより形成される。本発明では、加熱・冷却前、あるいは加熱・冷却後のフィルムに直線偏光、好ましくは紫外線直線偏光を照射することによって、液晶配向能が付与される。偏光の照射を加熱工程後に行った場合には、第1の液晶性材料はホメオトロピック配向を示し、ポジティブCプレートの光学特性を有するフィルムが形成される。偏光の照射を加熱工程前に行った場合には、第1の層10が含む側鎖の構成に応じ、ポジティブCプレートとは異なる光学特性(たとえばNz係数5以上)のフィルムが形成される。
【0042】
ここで、第1の層10が有する液晶配向能とは、第1の層10の上に第2の液晶性材料からなる層を形成した際に、第2の液晶性材料の配向を誘起する特性である。第1の液晶性材料から形成されたフィルムに直線偏光を照射した場合、偏光の振動面に平行な方向で選択的に感光性側鎖間の反応が進むため、第1の層10の表面状態が異方的となり、第1の層10上に積層される第2の液晶性材料に、所定方向のホモジニアス配向を誘起するものと考慮される。第1の層10が液晶配向能を有するため、第2の液晶性材料を積層するにあたって、別途配向膜などは必要とせず、第2の層20を第1の層10上に直接、積層することができる。
【0043】
溶媒としては、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、テトラヒドロフラン、o-ジクロロベンゼン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられ、これらの溶媒は、単独または混合して用いられる。
【0044】
支持体30は、ガラス基板の他、種々の高分子フィルムの中から適宜選択して用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマーフィルム、ビスフェノールA・炭酸共重合体などのポリカーボネート系ポリマーフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン・プロピレン共重合体などの直鎖または分枝状ポリオレフィンフィルム、ポリアミド系フィルム、イミド系ポリマーフィルム、スルホン系ポリマーフィルムなどが挙げられる。
【0045】
スピンコート、ロールコート、スクリーン印刷法、ナイフコート、スプレーコートなどの塗布方法により、上記の支持体30上に所定の膜厚の塗膜が形成される(塗工工程)。塗膜の乾燥は常温で行ってもよく、材料の等方相転移温度以下の温度(例えば60℃以下)に加熱して行ってもよい(乾燥工程)。乾燥過程で、すでに第1の液晶性材料は、一定の配向性を示すが、乾燥後のフィルムを材料の液晶相転移温度以上であって等方性転移温度以下(好ましくは等方性転移温度未満)の温度に加熱・冷却(徐冷)することにより配向が促進される。加熱は例えば80~130℃、好ましくは、100~120℃程度の温度で行ってもよい(加熱工程)。場合により、加熱は第1の層上に、第2の液晶性材料を塗布した後に行ってもよい。
【0046】
(直線偏光照射)
直線偏光の照射は、加熱前(好ましくは乾燥後)、または加熱後(好ましくは冷却後)に行われる。照射には、直線偏光紫外線を用いることが好ましい。この照射により、液晶性ポリマーの感光性基の光反応が異方的に進むことにより、第1の層10を構成するフィルムに、第2の層20の液晶性材料を配向させる液晶配向能が付与される。この光反応を進めるには、感光性基の部分が反応し得る波長の光の照射を要する。この波長は、側鎖の種類によっても異なるが、一般に200-500nmであり、中でも250-400nmの有効性が高い場合が多い。上記の直線偏光を照射する工程において、照射されるエネルギーは、0.1mJ/cm2~10J/cm2であることが好ましく、1mJ/cm2~5J/cm2であることがさらに好ましい。
【0047】
第1の液晶性材料に含まれる第1の側鎖の、感光性側鎖の割合が大きい場合、加熱工程前に直線偏光を照射した場合、感光性基の反応が、側鎖の配向性に影響し、その後の加熱・冷却によっても、第1の液相性材料は、完全なホメオトロピック配向とはならず、第1の層10は、ポジティブCプレート以外の光学特性を有する光学フィルムとなる。例えば、第1の側鎖が感光性基を有するものとした場合、Nz係数5以上の光学フィルムが形成される。他方、加熱前に直線偏光の照射を行わない場合、乾燥工程で誘起されたホメオトロピック配向が、加熱・冷却で促進され、第1の層10は、ポジティブCプレートの光学特性を有するホメオトロピック配向層となる。その後、直線偏光(直線偏光性紫外線)の照射がなされても、ホメオトロピック配向層の配向性は実質的に影響されない。なお、第1の液晶性材料を、第2の側鎖と、感光性基を持たない第1の側鎖とを含むものとして、加熱工程前に直線偏光を照射し、加熱工程を第2の液晶性材料の塗布後に行った場合には、第1の層10は、ポジティブCプレートの光学特性を有するホメオトロピック配向層となる。この場合、液晶配向能は、第1の液晶性材料が含む第2の側鎖に付与される。
【0048】
(ホモジニアス配向層の形成)
上記のようにして形成された第1の層上に、第2の液晶性材料を溶媒に溶解し溶液として、塗布し、塗布後乾燥し、加熱処理を行うことにより第2の液晶性材料の配向を誘起させる。その際、第1の層が有する前述の液晶配向能により、第2の液晶性材料にはホモジニアス配向が誘起される。ついで、非偏光性の紫外線を照射することにより、この配向を固定することができる。第1の層の加熱工程を行った後に、第2の液晶性材料を塗布する場合、加熱処理は、例えば60~120℃程度の温度で行ってもよい。第1の液晶性材料と第2の層の液晶性材料の加熱処理を同時に行う場合、上記の加熱工程と同程度の温度(例えば80~130℃、好ましくは、100~120℃程度の温度)で行ってもよい。
【0049】
一実施形態では、第1の層を加熱した後、第1の層に偏光を照射し、その後第2の液晶性材料の塗布と加熱が行われる。別の実施形態では、第1の層に偏光照射を行った後、第1の層を加熱し、その後第2の液晶性材料の塗布と加熱が行われる。さらに別の実施形態では、第1の液晶性材料に配向性を誘起するための第1の層の加熱と、第2の液晶性材料に配向性を誘起させるための加熱が同時に行われる。この場合、第1の層に偏光を照射して液晶配向能を付与した後、加熱を経ずに第2の液晶性材料が塗布され、その後、未加熱の第1の層と第2の層からなる積層体が加熱・冷却(徐冷)される。
【0050】
ここで、必要によってホモジニアス配向層を形成するために用いられる重合性液晶性材料中に、該重合性液晶性材料の液晶性を乱さない程度の量で感光性を有する化合物を添加することができる。この場合、感光性基は、第1の層を形成する感光性基を有する液晶性材料の感光性基と化学構造が同一または類似するものを用いることが、第1の層と第2の層との界面における密着を高める点で好ましい。
【0051】
(ホモジニアス配向層を形成する第2の液晶性材料)
本発明において、第2の層20を構成する第2の液晶性材料は、液晶性ポリマーからなるものであっても、液晶性モノマーからなるものであってもよい。第2の液晶性材料は、光や熱により重合する官能基を有する重合性液晶性材料や、イソシアネート材料、エポキシ材料などの架橋剤により、液晶性を損なわない程度に架橋構造を導入した液晶性ポリマーであっても、液晶性モノマーであってもよい。また、低分子材料として下記の多官能性の低分子材料を加えて塗布し、重合性液晶性材料を配向させた後、重合させ架橋性ポリマーを含有するようにしてもよい。必要に応じ、光重合開始剤、熱重合開始剤や増感剤を混合してもよい。このような重合性液晶性材料を液晶配向能を付与された第1の層10上でホモジニアス配向させ、その配向を固定することにより、第1の層10上にポジティブAプレートの光学特性を有する光学フィルムを形成できる。
【0052】
重合性液晶としては、シッフ塩基系、ビフェニル系、ターフェニル系、エステル系、チオエステル系、スチルベン系、トラン系、アゾキシ系、アゾ系、フェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、シクロヘキシルシクロヘキサン系、トリメシン酸系、トリフェニレン系、トルクセン系、フタロシアニン系、ポルフィリン系分子骨格を有する液晶化合物、またはこれら化合物の混合物等が挙げられ、架橋性基の導入あるいは適宜な架橋剤のブレンドによって、液晶状態あるいは液晶転移温度以下に冷却した状態で、熱架橋あるいは光架橋等の手段により配向固定化できるものが含まれる。重合性液晶としては、ネマチック性の液晶相を示す化合物を用いることが好ましい。
【0053】
また、重合性液晶は、架橋性基の導入あるいは適宜な架橋剤のブレンドによって、液晶状態あるいは液晶転移温度以下に冷却した状態で、熱架橋あるいは光架橋等の手段により配向固定化できる液晶ポリマーでもよく、メソゲン形成性基で構成されたユニットを有する限り特に限定されない。前記ユニットを液晶ポリマーの主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。主鎖型液晶ポリマーとしては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエステルカーボネート系、ポリエステルイミド系の液晶ポリマー、またはこれらの混合物等が挙げられる。また側鎖型液晶性ポリマーとしては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネート系等の直鎖状又は環状構造の骨格鎖を有する高分子に側鎖としてメソゲン基が結合した液晶ポリマー、またはこれらの混合物等が挙げられる。液晶ポリマーとしては、ネマチック性の液晶相を示すポリマーを用いることが好ましい。
【0054】
架橋性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0055】
光重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン(株)製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学(株)製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬(株)製)、カヤキュアーUVI-6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP-152又はアデカオプトマーSP-170(以上、全て(株)ADEKA製)、TAZ-A、TAZ-PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)及びTAZ-104(三和ケミカル社製)など、市販の光重合開始剤も用いることができる。
【0056】
熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;過酸化水素、過硫酸塩、過酸化ベンゾイル等の過酸化物等が挙げられる。重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物(または重合性液晶ポリマー)100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、0.5~8質量部がさらに好ましい。上記範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合させることができる。重合開始剤として光重合開始剤を用いる場合、光増感剤を併用してもよい。光増感剤としては、例えば、キサントン及びチオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等);アントラセン及びアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセン等)等のアントラセン化合物;フェノチアジン;ルブレン等が挙げられる。
【0057】
必要に応じ、第2の液晶性材料に架橋剤を添加してもよい。第1の液晶性材料を構成する第1の重合体および/または第2の重合体が、架橋性官能基を有する側鎖を含む場合、それらの官能基と架橋結合を形成する架橋剤を第2の液晶性材料が含むことが好ましい。これによって、第1の層10と第2の層20の間で架橋結合を形成し、層間密着性を高めることができる。架橋剤としては、分子内に2個以上の官能基を有する多官能性化合物が挙げられる。多官能性化合物としては、液晶性高分子と架橋結合を形成できる官能基を有していれば特に制限されないが、例えば、第1の液晶性材料が架橋性官能基を有し、当該架橋性官能基が水酸基またはカルボキシ基の場合、イソシアネート基、カルボジイミド基、アジリジン基、アゼチジン基、オキサゾリン基、エポキシ基等を有する化合物が挙げられる。これらの架橋剤のうち、液晶性高分子が有する架橋性官能基と比較的温和な反応条件で反応する反応性の観点から、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能性化合物であるポリイソシアネート系化合物が好ましく、ポリイソシアネート系化合物は公知のものが使用可能である。例えば、ポリイソシアネート系化合物としては、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物等が挙げられる。ジイソシアネート化合物としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとジオールとの縮合化合物等が挙げられる。また、トリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネートとメチロールプロパンとの付加体であるアダクト体等が挙げられる。これらの架橋剤のうち、トリイソシアネート化合物を好適に用いることができる。
【0058】
例えば、第1の液晶性材料(第1の液晶性材料を構成する重合体)が、架橋性官能基として水酸基、カルボキシ基、アミノ基、およびチオール基等の活性水素基を有し、第2の液晶性材料が架橋剤としてポリイソシアネート系化合物を含む場合、ウレタン結合(-NH-CO-O-)、アミド結合(-NH-CO-)、ウレア結合(-NH-CO-NH-)、チオウレタン結合(-NH-CO-S-)等の結合によって、第1の層10と第2の層20の界面接合性を向上できる。
【0059】
また、必要に応じ、第1の液晶性材料の感光性基と反応し得る感光性基を有する化合物を第2の液晶性材料に添加してもよい。例えば、シンナモイル基、シンナミリデン基、フリルアクリロイル基または、それらの誘導体などの感光性基である。このような感光性基を第2の液晶性材料に含有させる方法として、感光性基が第2の液晶性材料の分子構造に含まれていてもよく、あるいは該感光性基を有する化合物を添加してもよい。必要によって添加する化合物が重合性液晶性材料自体の重合性基と反応し得る反応性基を有していてもよい。更には、第2の液晶性材料の液晶性を損なわないことが望ましく、このような化合物として結晶性または液晶性を有する化合物が好適に用いられる。
【0060】
(非偏光性の紫外線照射)
液晶配向能を付与された第1の層10上に第2の液晶性材料を配向させホモジニアス配向層を形成した後、非偏光性の紫外線を照射することが好ましい。非偏光性紫外線を照射すると、第2の液晶性材料中の重合性基が反応して配向が固定され、安定したホモジニアス配向層が形成されるともに、第1の層10における配向も固定される。
【0061】
以上のようにして、第1の層10上に直接、第2の層20を形成することにより、本発明の光学フィルム積層体1を形成することができる。支持体30上に形成された光学フィルム積層体1は、液晶パネルを構成する偏光板または液晶セルに粘着剤を塗布しておけば、その上に転写することにより、支持体30フィルムから分離することができる。
【0062】
(第1の層および第2の層の厚み)
第1の層10および第2の層20の厚みは、それぞれ0.3~3μmであることが好ましく、0.5~2.5μmであることがさらに好ましい。本発明によれば、第1の層10および第2の層20とからなる光学フィルム積層体1を、0.6~6μmという非常に薄く形成できることから、従来の液晶表示装置に使用されている光学補償フィルム(薄くても15μmの厚みあり)に比べて、表示装置の薄型化が達成される。
【0063】
以下、本発明に係る光学フィルム積層体1の例示的実施形態について説明する。説明のため、第1の側鎖において、末端基が感光性基ではない側鎖を側鎖Ia、末端基が感光性基を有する側鎖を側鎖Ib、第2の側鎖を側鎖IIと記載する。
【0064】
(実施形態1)
一実施形態において、第1の液晶性材料は、第1の重合体から構成され、該第1の重合体の側鎖が側鎖Ibからなるものであってもよい。この液晶性材料を用いれば、第1の層10において感光性基を有する側鎖Ibをホメオトロピック配向させ、直線偏光の照射によって液晶配向能を付与し、第2の層20を形成する第2の液晶性材料にホモジニアス配向性を付与することができる。
【0065】
(実施形態2)
一実施形態において、第1の液晶性材料は、側鎖が側鎖Iaと側鎖IIとからなり、側鎖IIに対して側鎖Iaのモル比が多い第1の重合体と、側鎖が側鎖IIからなる第2の重合体または、側鎖が側鎖Iaと側鎖IIとからなり、側鎖Iaに対する側鎖IIのモル比が多い第2の重合体とからなるものであってもよい。側鎖IIに起因する液晶配向能は、側鎖Ibよりも強いため、第1の層10において側鎖Iaと側鎖IIをホメオトロピック配向させ、直線偏光の照射で液晶配向能を付与する際の照射エネルギーを抑制でき、第2の層20を形成する第2の液晶性材料に良好なホモジニアス配向性を付与することができる。
【0066】
(実施形態3)
一実施形態において、第1の液晶性材料は、側鎖が側鎖Ibと側鎖IIからなる第1の重合体から構成されたものであってもよい。この場合、第1の液晶性材料は、ホメオトロピック配向性が良好でかつ感光性基を有する側鎖Ibと、液晶配向能にすぐれる側鎖IIとの共重合体からなるので、第1の層10で両方の側鎖Ib、側鎖IIを良好にホメオトロピック配向させ、直線偏光の照射で液晶配向能を付与する際の照射エネルギーを抑制でき、第2の層20を形成する第2の液晶性材料に良好なホモジニアス配向性を付与することができる。
【0067】
(実施形態4)
一実施形態において、第1の液晶性材料を側鎖が側鎖Ibと側鎖IIからなる第1の重合体から構成し、これにポジティブCプレート以外の光学特性を付与してもよい。上記の実施形態3においては、第1の液晶性材料からなる塗膜を加熱・冷却すると、側鎖がホメオトロピック配向した層が形成され、液晶配向能を付与するための直線偏光の照射によってもその配向性は変化しない。他方、加熱前に直線偏光を照射すると、光反応が先に進行するため、後の加熱・冷却によっては完全なホメオトロピック配向はとらず、ポジティブCプレートとは異なる光学特性(例えばNz係数5以上)のフィルムが形成される。このフィルム上に、第2の層20を形成することにより、ポジティブCプレートとは異なる光学特性を有する第1の層10上に、ポジティブAプレートの光学特性を有する第2の層20を形成することができる。
【0068】
(実施形態5)
一実施形態において、第1の液晶性材料は、実施形態1と同様に、側鎖Ibを有する第1の重合体から構成され、さらに光増感剤を含むものであってもよい。この構成によれば、第1の層10に液晶配向能を付与するための照射エネルギーを低減し、より高いエネルギー効率で光学フィルム積層体1を形成することができる。
【0069】
(実施形態6)
一実施形態において、第1の液晶性材料は、側鎖Ibと、末端に架橋性基(例えば水酸基)を有する非液晶性の側鎖を含む第1の重合体から構成され、第2の液晶性材料が前記架橋性基と反応する架橋剤(例えばイソシアネート系化合物)を含むものであってもよい。この構成によれば、第1の層10と第2の層20の層間密着性を向上することができる。
【0070】
(実施形態7)
一実施形態において、第1の液晶性材料からなる塗膜を形成後、加熱による配向性の誘起を行うことなく、液晶配向能を付与するための直線偏光の照射を行い、第2の液晶性材料を塗布し、その後、加熱・冷却することによって、第1の液晶性材料と、第2の液晶性材料の配向性を同時に誘起してもよい。この場合、第1の液晶性材料を側鎖が側鎖Iaと側鎖IIからなる第1の重合体から構成してもよい。第4実施形態では、偏光を照射した後、加熱・冷却によりポジティブCプレートの以外の配向を誘起した第1の層10上に、第2の層20を形成しているが、本実施形態では、第1の層10を構成する第1の液晶性材料を、垂直配向性を示すが末端基が感光性基ではない側鎖Iaを含むものとすることにより、直線偏光を照射した際に生じる配向が抑制され、第2の液晶性材料を塗布した後の加熱・冷却により、第1の層は、ホメオトロピック配向が誘起される。第2実施形態と対比すると、本実施形態では、側鎖IIのモル比が多い第2の重合体を含まない場合にも、第1の層10と第2の層20の配向誘起を同時に行うことにより、配向欠陥の発生を抑制するとともに、第1の層を良好に配向させることができる。
【実施例】
【0071】
以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。本発明の実施例において用いた材料に関する合成方法を以下に示す。また、本発明の実施例で得られたサンプルの光学特性の判定には、自動複屈折計を用い、ポジティブCプレート、ポジティブAプレートの判定は位相差値の角度依存性に基づいて行った。第2の層を構成するポジティブAプレートの配向性については、偏光顕微鏡でクロスニコル像を観察し、大部分が消光する消光位における透光性部分(配向欠陥)の多寡(または有無)により判断した。
【0072】
(単量体A)
4,4’-ビフェニルジオールと3-クロロプロパノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4-ヒドロキシ-4’-ヒドロキシプロピルオキシビフェニルを合成した。この生成物に、アルカリ条件下で1,6-ジブロモヘキサンを反応させ、4-(6-ブロモヘキシルオキシ)-4’-ヒドロキシプロピルオキシビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、化学式3で示される単量体Aを合成した。
【0073】
【0074】
(単量体B)
単量体Aに、塩基性の条件下において、塩化シンナモイルを加え、化学式4で示される単量体Bを合成した。
【0075】
【0076】
(単量体C)
単量体Aに、塩基性の条件下において、塩化ナフチルアクリロイルを加え、下記化学式5で示される単量体Cを合成した。
【0077】
【0078】
(単量体D)
4,4’-ビフェニルジオールと2-クロロエタノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4-ヒドロキシ-4’-ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。この生成物に、アルカリ条件下で1,6-ジブロモヘキサンを反応させ、4-(6-ブロモヘキシルオキシ)-4’-ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、化学式6で示される単量体Dを合成した。
【0079】
【0080】
(単量体E)
単量体Dに、塩基性の条件下において、塩化シンナモイルを加え、化学式7に示される単量体Eを合成した。
【0081】
【0082】
(単量体F)
p-クマル酸と6-クロロ-1-ヘキサノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)桂皮酸を合成した。この生成物にp-トルエンスルホン酸の存在下でメタクリル酸を大過剰量加えてエステル化反応させ、化学式8で示される単量体Fを合成した。
【0083】
【0084】
(重合体1-1)
単量体BをTHF中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、56℃で24時間重合することにより感光性の重合体1-1を得た。この重合体1-1は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0085】
(重合体1-2)
単量体AをTHF中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、56℃で24時間重合することにより重合体1-2を得た。この重合体1-2は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0086】
(重合体1-3)
単量体CをTHF中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、56℃で24時間重合することにより感光性の重合体1-3を得た。この重合体1-3は液晶性を呈したが、基板に塗布し熱処理しても垂直配向性は示さなかった。
【0087】
(重合体1-4)
単量体DをTHF中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、56℃で24時間重合することにより重合体1-4を得た。この重合体1-4は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0088】
(重合体1-5)
単量体EをTHF中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、56℃で24時間重合することにより感光性の重合体1-5を得た。この重合体1-5は液晶性を呈したが、基板に塗布し熱処理しても垂直配向性を示さなかった。
【0089】
(重合体1-6)
単量体Aと単量体Cを7:3のモル比でジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体1-6を得た。この重合体1-6は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0090】
(重合体1-7)
単量体Dと単量体Eを7:3のモル比でジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して70℃で24時間重合することにより感光性の重合体1-7を得た。この重合体1-7は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0091】
(重合体2-1)
単量体Fをジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体2-1を得た。この重合体2-1は液晶性を呈した。この重合体2-1を基板に塗布して熱処理すると垂直配向性を示すものの異方性は大きくなかった。
【0092】
(重合体2-2)
単量体Aと単量体Fを7:3のモル比でジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体2-2を得た。この重合体2-2は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0093】
(重合体2-3)
単量体Aと単量体Fを3:7のモル比でジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体2-3を得た。この重合体2-3は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0094】
(重合体3-1)
単量体Bと単量体Fを5:5のモル比でジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体3-1を得た。この重合体3-1は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0095】
(重合体3-2)
単量体Aと単量体Fを7:3のモル比でジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体3-2を得た。この重合体3-2は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0096】
(重合体4-1)
単量体Bと単量体Fを5:5のモル比でジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体4-1を得た。この重合体4-1は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0097】
(重合体5-1)
単量体Bをジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体5-1を得た。この重合体5-1は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0098】
(重合体5-2)
単量体Aと単量体Eを7:3のモル比でジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体5-2を得た。この重合体5-2は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0099】
(重合体6-1)
単量体Bとメタクリル酸2-ヒドロキシエチルをモル比10:2でジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体6-1を得た。この重合体6-1は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0100】
(重合体6-2)
単量体BをTHF中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体6-2を得た。この重合体6-2は液晶性を呈し、基板に塗布し熱処理すると垂直配向性を示した。
【0101】
(重合体7-1)
単量体Aと単量体Fを5:5のモル比でジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体7-1を得た。この重合体7-1は液晶性を呈した。
【0102】
以下に記載する第1実施例から第7実施例において、直線偏光性の光としては、いずれも高圧水銀灯からの光を、グランテーラープリズムを用いて直線偏光性に変換した光を用いた。また、非偏光紫外線としては、高圧水銀灯からの光を偏光に変換せずに照射した。
【0103】
第1実施例
〔実施例1-1〕
重合体1-1をTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコーターを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた後、105℃まで加熱後徐冷することによって垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を50分照射し、液晶配向能を付与した。次いで、この基材上に、重合性液晶性化合物(「LC-242」、BASF製)100質量部に対し、光重合開始剤(「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.05重量部を混合しPEGMEAに溶解した。この混合物(混合物溶液)を作製した配向膜上に1.1μmの厚みとなるよう塗布し、70℃まで基板を加熱し混合物を等方相に転移後、室温まで降温した。更に、非偏光性の紫外線を300秒間照射(300mJ/cm2)し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶の配向が観察され、比較例1-1、1-2と比較して配向欠陥は大幅に低減されていることが確認できた。この基板の光学特性を測定すると、Re=150nm、Nz=0.38であり、ポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることが確認された。
【0104】
〔比較例1-1〕
重合体1-6をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコートを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた。続いて、130℃まで加熱後徐冷することによって配向を垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を50分照射したが液晶配向能が不十分であった。更に、30分照射したところ液晶配向能が付与されることを確認した。次いで、実施例1-1と同様に、この基材上に、重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物を塗布し、配向させた後、非偏光性の紫外線を照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶化合物の配向が観察されたが、実施例1-1と比較して配向欠陥が顕著に発生していることが確認できた。この比較例1-1でもポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることは確認された。
【0105】
〔比較例1-2〕
重合体1-7をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコートを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた。続いて、130℃まで加熱後徐冷することによって垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を50分照射したが液晶配向能が不十分であった。更に、30分照射したところ液晶配向能が付与されることを確認した。次いで、実施例1-1と同様に、この基材上に、重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物を塗布し、配向させた後、非偏光性の紫外線を照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶化合物の配向が観察されたが、実施例1-1と比較して配向欠陥が顕著に発生していることが確認できた。この比較例1-2でもポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることは確認された。
【0106】
第2実施例
〔実施例2-1〕
重合体2-1と重合体2-2を重量比3:7でTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコーターを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた後、105℃まで加熱後徐冷することによって垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を500秒照射し、液晶配向能を付与した。次いで、実施例1-1と同様に調製した重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物溶液を、作製した配向膜上に塗布し、70℃まで基板を加熱し混合物を等方相に転移後、室温まで降温した。更に、非偏光性の紫外線を300秒間照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶の配向が観察され、比較例2-1と比較して配向欠陥は大幅に低減されていることが確認できた。この基板の光学特性を測定すると、Re=150nm、Nz=0.38であり、ポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることが確認された。
【0107】
〔実施例2-2〕
重合体2-2と重合体2-3を重量比7:3でTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコーターを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた後、105℃まで加熱後徐冷することによって垂直配向を誘起した。次いで、実施例2-1と同様に、この塗膜に、直線偏光性の光を500秒照射した。この基材上に、重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物を塗布し、配向させた後、非偏光性の紫外線を照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして作製した基板を偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶の配向が観察され、比較例2-1と比較して配向欠陥は大幅に低減されていることが確認できた。この基板の光学特性を測定すると、ポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることが確認された。
【0108】
〔比較例2-1〕
重合体2-2をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコートを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた。続いて、130℃まで加熱後徐冷することによって配向を垂直配向を誘起した。次いで、実施例2-1と同様に、この塗膜に、直線偏光性の光を500秒照射した。この基材上に、重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物を塗布し、配向させた後、非偏光性の紫外線を照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして作製した基板を偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶化合物の配向が観察されたが、実施例2-1、実施例2-2と比較して配向欠陥が顕著に発生していることが確認できた。この比較例2-1でもポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることは確認された。
【0109】
第3実施例
〔実施例3-1〕
重合体3-1をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコーターを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた後、100℃まで加熱後徐冷することによって垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を40秒照射し、液晶配向能を付与した。次いで、この基材上に作製した配向膜上に、実施例1-1と同様に調製した重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物溶液を塗布し、70℃まで基板を加熱し混合物を等方相に転移後、室温まで降温した。更に、非偏光性の紫外線を300秒間照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶の配向が観察され、比較例3-1と比較して配向欠陥は大幅に低減されていることが確認できた。
この基板の光学特性を測定すると、Re=218nm、Nz=0.41であり、ポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることが確認された。
【0110】
〔比較例3-1〕
重合体3-2をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコートを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた。続いて、130℃まで加熱後徐冷することによって配向を垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を40秒照射したが液晶配向能が不十分であった。更に、100秒照射したところ液晶配向能が付与されることを確認した。次いで、実施例3-1と同様に、この基材上に、重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物を塗布し、配向させた後、非偏光性の紫外線を照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶化合物の配向が観察されたが、実施例3-1と比較して配向欠陥が顕著に発生していることが確認できた。この比較例3-1でもポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることは確認された。
【0111】
第4実施例
〔実施例4-1〕
重合体4-1をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコーターを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた後、直線偏光性の光を40秒照射した。続いて、100℃まで加熱後徐冷することによって配向を誘起した。この配向層の光学特性は、面内位相差値は16.7nm、Nz係数は7.4であった。次いで、この基材上に、実施例1-1と同様に調製した重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物溶液を塗布し、70℃まで基板を加熱し混合物を等方相に転移後、室温まで降温した。更に、非偏光性の紫外線を300秒間照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして作製した基板は、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶の配向が観察され、面内位相差値は141.5nm、Nz係数は0.47であった。
【0112】
この基板の各層の光学特性を調査するために、重合性液晶層のみを粘着材付の光学等方性フィルムに転写し、重合性液晶層のみ光学特性、剥離後の基板の光学特性を測定すると、重合性液晶層は、Re=127.5nm、Nz=0.99(ほぼ一軸性=Aプレート)であり、剥離後の基板は、17.5nm、Nz=8.0であった。これにより、Nz=5以上の配向層とポジティブAプレートとを組み合わせた光学積層体であることが確認された。
【0113】
第5実施例
〔実施例5-1〕
重合体5-1と光増感剤(ミヒラーケトン)5重量部をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコーターを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた後、105℃まで加熱後徐冷することによって垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を150秒照射し、液晶配向能を付与した。次いで、実施例1-1と同様に調製した重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物溶液を作製した配向膜上に塗布し、70℃まで基板を加熱し混合物を等方相に転移後、室温まで降温した。更に、非偏光性の紫外線を300秒間照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶の配向が観察され、比較例5-1と比較して配向欠陥は大幅に低減されていることが確認できた。この基板の光学特性を測定すると、Re=150nm、Nz=0.38であり、ポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることが確認された。
【0114】
〔実施例5-2〕
重合体5-1をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコーターを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた後、105℃まで加熱後徐冷することによって垂直配向を誘起した。この塗膜において、直線偏光性の光を照射することによって、実施例5-1と同様の液晶配向能を得るには、50分の照射を要すことが確認された。
【0115】
〔比較例5-1〕
重合体5-2をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコートを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた。続いて、130℃まで加熱後徐冷することによって配向を垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を50分照射したが液晶配向能が不十分であった。更に、30分照射したところ液晶配向能が付与されることを確認した。次いで、実施例5-1と同様に、この基材上に、重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物を塗布し、配向させた後、非偏光性の紫外線を照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶化合物の配向が観察されたが、実施例5-1と比較して配向欠陥が顕著に発生していることが確認できた。この比較例5-1でもポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることは確認された。
【0116】
第6実施例
〔実施例6-1〕
重合体6-1をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコーターを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた後、105℃まで加熱後徐冷することによって垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を50分照射し、液晶配向能を付与した。次いで、この基材上に、重合性液晶性化合物(「LC-242」、BASF製)100質量部、光重合開始剤(「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.05重量部、ポリイソシアネート(旭化成株式会社製、デュラネートTKA-100)0.6重量部を混合しPEGMEAに溶解した。この混合物を作製した配向膜上に塗布し、70℃まで基板を加熱し混合物を等方相に転移後、室温まで降温した。更に、非偏光性の紫外線を300秒間照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶の配向が観察された。また、クロスカット試験にて密着性を確認したところ、剥離は見られなかった。この基板の光学特性を測定すると、Re=150nm、Nz=0.38であり、ポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることが確認された。
【0117】
〔実施例6-2〕
重合体6-2をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコートを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた。続いて、130℃まで加熱後徐冷することによって配向を垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を50分照射し、液晶配向能を付与した。次いで、実施例6-1と同様に、この基材上に、重合性液晶性化合物、光重合開始剤、ポリイソシアネートの混合物を塗布し、配向させた後、非偏光性の紫外線を照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶化合物の配向が観察された。クロスカット試験にて密着性を確認したところ、実施例6-1と同様の密着性は得られていなかった。
【0118】
〔実施例6-3〕
重合体6-1をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコートを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた。続いて、130℃まで加熱後徐冷することによって配向を垂直配向を誘起した。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を50分照射したが液晶配向能が不十分であった。更に、30分照射したところ液晶配向能が付与されることを確認した。次いで、ポリイソシアネートを混合しないことは除いて、実施例6-1と同様に、この基材上に、重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物を塗布し、配向させた後、非偏光性の紫外線を照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶化合物の配向が観察された。クロスカット試験にて密着性を確認したところ、実施例6-1と同様の密着性は得られていなかった。
【0119】
第7実施例
〔実施例7-1〕
重合体7-1をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコーターを用いて約1.5μmの厚みとなるように第1の層を塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた。続いてこの塗膜に、直線偏光性の光を500秒照射し、液晶配向能を付与した。次いで、この基材上に、重合性液晶性化合物(「LC-242」、BASF製)100質量部に対し、光重合開始剤(「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.05重量部を混合しPEGMEAに溶解した。この混合物(混合物溶液)を、液晶配向能の付与された基板上に塗布した(第2の層)。次いで、110℃まで基板を加熱し室温まで徐冷することによって、第1の層の垂直配向を誘起するとともに、第2の層の面内配向を誘起した。更に、非偏光性の紫外線を300秒間照射し、第2の層の重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶の配向が観察され、比較例7-1と比較して配向欠陥は低減されていることが確認できた。この基板の光学特性を測定すると、Re=145nm、Nz=0.55であり、ポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることが確認された。
【0120】
〔比較例7-1〕
重合体7-1をTHFに溶解し溶液を調整した。この溶液をカバーガラス基板上にスピンコートを用いて約1.5μmの厚みとなるよう塗布した。この基板を室温(25℃)で乾燥させた。続いて、130℃まで加熱後徐冷することによって垂直配向を誘起した。次いで、実施例7-1と同様に、この塗膜に、直線偏光性の光を500秒照射した。この基材上に、重合性液晶性化合物、光重合開始剤の混合物を塗布し、配向させた後、非偏光性の紫外線を照射し、重合性液晶性化合物を架橋反応させた。このようにして、偏光板クロスニコル下で観察すると重合性液晶化合物の配向が観察されたが、実施例7ー1と比較して配向欠陥が顕著に発生していることが確認できた。この比較例7-1でもポジティブAプレートとポジティブCプレートを積層した光学特性であることは確認された。
【0121】
以下の表1に使用した重合体の特性を、表2に各実施例・比較例の材料、偏光照射時間、および光学特性の評価結果を示す。なお、重合体2-2は、重合体3-2と同じ材料及び製法で作製されており、重合体4-1も、重合体3-1と同じ材料・製法で作製されている。実施例5-2は、本願発明の範囲に入るが、光増感剤の効果についての比較例である。実施例6-2、6-3も本願発明の範囲に入るが、実施例6-1における密着性向上の効果に対しては比較例である。
【0122】
【0123】
【0124】
表1及び表2にまとめた結果が示すように、上述の化学式1で酸素(O)と末端基W1をつなぐ炭素鎖の炭素数が奇数の場合、単環式の感光性基である単量体Bからなる重合体1-1は、末端基を感光性基に置換しない単量体Aからなる重合体1-2と同様に垂直配向性を示すが、末端基W1が複環式の感光性基である単量体Cからなる重合体1-3では垂直配向性は見られない。また、重合体1-3のように、酸素(O)と末端基W1をつなぐ炭素鎖の炭素数が偶数の場合、感光性基が単環式であっても、垂直配向性は見られない。側鎖が垂直配向性でかつ感光性基を有する実施例1-1は、垂直配向性側鎖と、感光性基は有するが垂直配向性のない側鎖が共重合した比較例1-1、1-2に比し、短時間の偏光照射で液晶配向能が付与され、しかも第2の層の配向欠陥が少ない。実施例3-1と実施例1-1を対比すると、実施例3-1では、単量体Bと単量体Fが共重合され、上述の化学式2で示される液晶配向能に優れた感光性側鎖を含むことにより、偏光照射時間をさらに短縮できている。また比較例2-1、3-1のように、感光性基を含まない垂直配向性の側鎖を形成する単量体Aを単量体Fと共重合したものだけでは、配合比を変えても第2の層に配向欠陥が見られるが、単量体Aと単量体Fの共重合体で、垂直配向性の単量体Aの割合が多い重合体と、単量体Aに対し単量体Fの割合が多い重合体との混合物から第1の層を形成した場合には、第2の層で良好な配向性が得られていることが分かる。実施例5-1は、光増感剤を第1の液晶性材料に添加することにより、偏光照射時間を低減し得ることを示しており、実施例6-1は、第1の液晶性材料を構成する重合体が架橋性官能基(ここでは水酸基)を含み、第2の層を構成する液晶性材料に前記官能基と反応する架橋剤を含む場合に、密着性が高上していることを示している。比較例7-1では、第1の液晶性材料が単量体Aを単量体Fと共重合したものであり、単量体Fの割合を比較例2-1に比して多くしても、第2の層に配向欠陥が発生しているが、実施例7-1で、第1の液晶性材料の加熱による配向性の誘起を、第2の液晶性材料を塗布した後に行った場合、配向欠陥が抑制される結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発によれば、第1の層をポジティブCプレートの光学特性を有するホメオトロピック配向層、またはポジティブCプレート以外の光学特性(例えばNz係数5以上)を有する層とし、その上にポジティブAプレートの光学特性を有するホモジニアス配向層を直接積層した光学フィルム積層体を得ることができる。これによって、薄型化された光学補償機能を有する光学フィルムが得られるので、液晶表示装置等の光学機器の薄型化に貢献することができる。さらに、フィルム中の液晶性材料の配向欠陥の低減により、光学特性を改善でき、製造時のエネルギーの節約によって、光学フィルム積層体や、これを用いた光学機器の製造コストを低減できる。
【0126】
以上の通り、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
1: 光学フィルム積層体
10: 第1の層
20: 第2の層
30: 支持体