IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カイト ファーマ インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ アメリカ合衆国の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】T細胞療法のための診断方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20230703BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20230703BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20230703BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230703BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230703BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230703BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
A61K35/17 ZMD
A61K31/7076
A61K31/675
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/04
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021086807
(22)【出願日】2021-05-24
(62)【分割の表示】P 2017561968の分割
【原出願日】2016-05-27
(65)【公開番号】P2021121625
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】62/167,738
(32)【優先日】2015-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/262,111
(32)【優先日】2015-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514266932
【氏名又は名称】カイト ファーマ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kite Pharma, Inc
(73)【特許権者】
【識別番号】512024037
【氏名又は名称】アメリカ合衆国
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボット エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィツォレク ジェフリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ゴー ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン ラジュール
(72)【発明者】
【氏名】コッフェンダーファー ジェイムズ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ スティーヴン エイ.
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0377334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00-35/768
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞療法に適する患者においてがんを処置する方法のための、抗CD19 CAR T細胞を含む組成物であって、
フルダラビンを含む予備コンディショニング剤と組み合わせたシクロホスファミドを含む予備コンディショニング剤の投与の後、インターロイキン-15(「IL-15」)、インターロイキン-7(「IL-7」)、ならびに単球走化性タンパク質1(「MCP-1」)、C反応性タンパク質(「CRP」)、胎盤成長因子(「PLGF」)、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(「IP-10」)、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルが増加し、パーフォリンの血清レベルが減少した場合に、該CAR T細胞は患者に投与される、
組成物。
【請求項2】
予備コンディショニング剤の投与後に、IL-15、IL-7、および少なくとも1つのサイトカインの血清レベルが測定されることによってさらに特徴付けられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
下記(a)~(g)のいずれかによって更に特徴付けられる、請求項1又は2に記載の組成物:
(a)患者におけるIL-7の血清レベルが、予備コンディショニング剤の投与前のIL-7の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも2倍に増加する;
(b)患者におけるIL-15の血清レベルが、予備コンディショニング剤の投与前のIL-15の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも10倍に増加する;
(c)患者におけるMCP-1の血清レベルが、予備コンディショニング剤の投与前のMCP-1の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも2倍に増加する;
(d)患者におけるPLGFの血清レベルが、予備コンディショニング剤の投与前のPLGFの血清レベルと比較して、投与後に少なくとも1.5倍に増加する;
(e)患者におけるCRPの血清レベルが、予備コンディショニング剤の投与前のCRPの血清レベルと比較して、投与後に少なくとも1.5倍に増加する;
(f)患者におけるIP-10の血清レベルが、予備コンディショニング剤の投与前のIP-10の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも2倍に増加する;
(g)上記(a)~(f)の任意の組み合わせ。
【請求項4】
予備コンディショニング剤の投与が、インターロイキン10(「IL-10」)、インターロイキン5(「IL-5」)、インターロイキン8(「IL-8」)、可溶性細胞間接着分子1(「sICAM-1」)、可溶性血管接着分子1(「sVCAM-1」)、またはそれらの任意の組合せの血清レベルをさらに増加させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
下記(i)~(iii)のいずれかによって更に特徴付けられる、請求項1に記載の組成物:
(i)シクロホスファミドの用量が、約300mg/m2/日~約2000mg/m2/日である;
(ii)フルダラビンの用量が、約20mg/m2/日~約900mg/m2/日である;
(iii)上記(i)及び(ii)の両方。
【請求項6】
下記(i)~(iii)のいずれかによって特徴付けられる、請求項1に記載の組成物:
(i)シクロホスファミドの用量が、約350mg/m2/日、約400mg/m2/日、約450mg/m2/日、約500mg/m2/日、約550mg/m2/日、約600mg/m2/日、約650mg/m2/日、約700mg/m2/日、約800mg/m2/日、約900mg/m2/日、または約1000mg/m2/日である;
(ii)フルダラビンの用量が、約25mg/m2/日、約35mg/m2/日、約40mg/m2/日、約45mg/m2/日、約50mg/m2/日、約55mg/m2/日、約60mg/m2/日、約65mg/m2/日、約70mg/m2/日、約75mg/m2/日、約80mg/m2/日、約85mg/m2/日、約90mg/m2/日、約95mg/m2/日、約100mg/m2/日、約200mg/m2/日、または約300mg/m2/日である;及び
(iii)上記の任意の組み合わせ。
【請求項7】
下記(i)又は(ii)によって特徴付けられる、請求項1に記載の組成物:
(i)シクロホスファミドの用量が約500mg/m2/日~約600mg/m2/日であり、フルダラビンの用量が約30mg/m2/日である;
(ii)シクロホスファミドの用量が約900mg/m2/日~約1000mg/m2/日であり、フルダラビンの用量が約25mg/m2/日である。
【請求項8】
シクロホスファミドを含む予備コンディショニング剤が、約3日間毎日投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
フルダラビンを含む予備コンディショニング剤が少なくとも2日間毎日投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
シクロフォスファミドの用量が約500mg/m2/日であり、フルダラビンの用量が約30mg/m2/日であり、シクロフォスファミドが三日間毎日投与される、請求項10に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権益に関する声明
本発明は、米国保健福祉省(Department of Health and Human Services)の一機関である米国国立がん研究所(NCI: National Cancer Institute)との共同研究開発協定(Cooperative Research and Development Agreement)の履行において成されたものである。合衆国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
発明の分野
本発明は、T細胞療法の効力を示す1つもしくは複数のサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を用いて患者を予備コンディショニングすることによって、T細胞療法に適する患者を特定する方法、またはT細胞療法に適するように患者を準備する方法に関する。
【0003】
発明の背景
ヒトのがんは、その性質からして、正常細胞が遺伝的またはエピジェネティックな転換を受けて異常ながん細胞になったものから構成される。そうすることで、がん細胞は、正常細胞によって発現されるものとは異なるタンパク質および他の抗原を発現し始める。身体の自然免疫系は、これらの異常な腫瘍抗原を利用して、がん細胞を特異的に標的指向して死滅させることができる。しかし、がん細胞は、Tリンパ球およびBリンパ球のような免疫細胞ががん細胞をうまく標的指向することを阻止する様々なメカニズムを採用している。
【0004】
ヒトT細胞療法は、患者におけるがん細胞を標的指向してそれを死滅させるために濃縮または改変されたヒトT細胞に依っている。腫瘍抗原を標的指向する能力がある天然T細胞の濃度を濃縮するため、またはT細胞を遺伝的に改変して公知のがん抗原を特異的に標的指向させるために、様々な技法が開発されている。これらの治療法は、腫瘍のサイズおよび患者の生存に有望ではあるものの軽度の効果を有することが判明した。しかし、所与のT細胞療法が各患者において有効かどうかを予測することは困難であることが判明した。したがって、T細胞療法にうまく応答する患者を特定する、またはT細胞療法にうまく応答するように患者を準備する必要がある。
【0005】
発明の概要
本開示は、
(i)インターロイキン-15(「IL-15」)、インターロイキン-7(「IL-7」)、ならびに単球走化性タンパク質1(「MCP-1」)、C反応性タンパク質(「CRP」)、胎盤成長因子(「PLGF」)、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(「IP-10」)、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、ならびに
(ii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、T細胞療法に適する患者においてがんを処置するための方法を提供する。
【0006】
本開示は、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階を含む、T細胞療法に適する患者においてがんを処置するための方法であって、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、該患者がT細胞療法で処置される方法をさらに提供する。
【0007】
本開示は、
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、
(ii)追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、または、有効量のIL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインを投与する段階、ならびに
(iii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、T細胞療法に適する患者においてがんを処置するための方法も提供する。
【0008】
本開示は、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階を含む、T細胞療法に適する患者を特定するための方法も提供する。
【0009】
本開示は、
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、ならびに
(ii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、T細胞療法に適する患者を特定するための方法も提供する。
【0010】
本開示は、
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、
(ii)追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、または有効量のIL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインを投与する段階、ならびに
(iii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、T細胞療法に適する患者を特定するための方法も提供する。
【0011】
本開示は、
患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階
を含む、T細胞療法を必要とする患者を予備コンディショニングするために、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させるための方法であって、患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法で処置される方法も提供する。
【0012】
本開示は、T細胞療法を必要とする患者を予備コンディショニングするために、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させるための方法であって、
(i)患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、ならびに
(ii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む方法も提供する。
【0013】
本開示は、T細胞療法を必要とする患者を予備コンディショニングするために、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させるための方法であって、
(i)患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、
(ii)追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、または有効量のIL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインを投与する段階、ならびに
(iii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む方法も提供する。
【0014】
ある特定の態様では、本明細書開示の方法は、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に、IL-15、IL-7、および少なくとも1つのサイトカインの血清レベルを測定する段階をさらに含む。
【0015】
特定の一態様では、本明細書開示の1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、シクロホスファミドおよびプリン類似体を含む。一態様では、プリン類似体は、ペントスタチンおよびフルダラビンより選択される。
【0016】
ある特定の態様では、T細胞療法は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)免疫療法、自己細胞療法、操作自己細胞療法(eACT)、同種T細胞移植、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】CAR操作T細胞の例およびその構成の略図を示す。この例示的なCAR操作T細胞では、標的結合ドメインは、抗体由来scFvドメインを含み、共刺激ドメインはCD28由来であり、必須活性化ドメインは、CD3ζ(ゼータ)由来である。ウイルスベクターがCARベクター構築物を保持し、それを次にT細胞ゲノムに組み入れることができる。次に、T細胞がCAR構築物を膜貫通タンパク質として発現することができる。
図2A】抗CD-19 CAR+ T細胞を用いた処置後の患者の疾患応答を示す。図2Aに、B細胞悪性疾患を有する患者の最良応答を病状の変化パーセントとして示す。斜線のバーは完全奏効(CR)を示す。網がけのバーは部分奏効を示す。白のバーは安定病態(SD)を示す。黒塗のバーは進行性疾患を示す(PD)。
図2B】抗CD-19 CAR+ T細胞を用いた処置後の患者の疾患応答を示す。図2Bは、CAR+ T細胞注入後の月数に対する患者の疾患応答を示す。黒塗のバーは部分奏効(PR)を示し、灰色のバーは完全奏効(CR)を示す。「PD」とマークしたバーの切れ目は、患者が進行性疾患を経験したことを示す。逆三角は、T細胞の注入時間をマークする。黒塗丸は、B細胞の回復時間を示す。白丸は、患者の血液からのCAR+ T細胞排除の時間を示す。横矢印は、患者の応答が進行中であることを示す。
図3】患者を500mg/m2/日のシクロホスファミド、30mg/m2/日のフルダラビン、および抗CD19 CAR+ T細胞2×106個/kgで処置する安全性、効力、および用量制限毒性を決定することに向けた第1相臨床試験のサンプル図を提供する。
図4】300mg/m2/日のシクロホスファミドおよび30mg/m2/日のフルダラビンを用いたコンディショニング前および後の選択されたサイトカイン分析物の血清レベルを示す。300mg/m2のシクロホスファミドおよび30mg/m2のフルダラビンの投与前および投与後のインターロイキン15(IL-15;図4A)、単球走化性タンパク質1(MCP-1;図4B)、ガンマ誘導タンパク質10(IP-10;図4C)、胎盤成長因子(PLGF;図4D)、可溶性細胞間接着分子1(sICAM-1;図4E)、C反応性タンパク質(CRP;図4F)、血管内皮増殖因子D(VEGF-D;図4G)、およびマクロファージ炎症タンパク質1β(MIP-1b;図4H)の血清レベルを示す。第-12日~第-5日に投与前血清を収集し、T細胞療法実施前の第0日に投与後血清を収集した(図4A~4H)。
図5】続いて起こるT細胞療法に応答したまたは応答しなかったいずれかの患者における300mg/m2/日のシクロホスファミドおよび30mg/m2/日のフルダラビンを用いたコンディショニング後の選ばれたサイトカイン分析物の血清レベルにおける変化倍率を示す。応答者および非応答者についてIL-15(図5A)、MCP-1(図5B)、IP-10(図5C)、PLGF(図5D)、sICAM-1(図5E)、CRP(図5F)、VEGF(図5G)、およびMIP-1b(図5H)の血清レベルにおける変化倍率を示す。横線は平均を示す(図5A~H)。個別の患者のIL-15変化を図5Aに示し、各患者の疾患応答性を、各データ点の横に部分奏効(PR)、完全奏効(CR)、安定病態(SD)、または進行性疾患(PD)として示す(図5A)。
図6-1】第0日にT細胞療法を受ける前に300mg/m2/日のシクロホスファミドおよび30mg/m2/日のフルダラビンを投与された患者について第-10日~第18日の様々な時点で測定された、選ばれたサイトカイン分析物の血清中濃度を示す。顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF;図6A)、IL-2(図6B)、MCP-1(図6C)、IL-6(図6D)、IL-10(図6E)、MCP-4(図6F)、CRP(図6G)、インターフェロンガンマ(IFNγ;図6H)、グランザイムA(図6I)、IL-15(図6J)、IL-5(図6K)、グランザイムB(図6L)の血清中濃度を示す。
図6-2】第0日にT細胞療法を受ける前に300mg/m2/日のシクロホスファミドおよび30mg/m2/日のフルダラビンを投与された患者について第-10日~第18日の様々な時点で測定された、選ばれたサイトカイン分析物の血清中濃度を示す。IL-8(図6M)、IP-10(図6N)、MIP-1b(図6O)、PLGF(図6P)の血清中濃度を示す。
図6-3】第0日にT細胞療法を受ける前に300mg/m2/日のシクロホスファミドおよび30mg/m2/日のフルダラビンを投与された患者について第-10日~第18日の様々な時点で測定された、選ばれたサイトカイン分析物の血清中濃度を示す。IL-16(図6Q)、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC;図6R)、エオタキシン-3(図6S)、sICAM-1(図6T)の血清中濃度を示す。
図6-4】第0日にT細胞療法を受ける前に300mg/m2/日のシクロホスファミドおよび30mg/m2/日のフルダラビンを投与された患者について第-10日~第18日の様々な時点で測定された、選ばれたサイトカイン分析物の血清中濃度を示す。可溶性血管接着分子1(sVCAM;図6U)、(SAA;図6V)の血清中濃度を示す。
図7】300mg/m2/日のシクロホスファミドおよび30mg/m2/日のフルダラビンの投与前および投与後に測定された、選ばれたサイトカイン分析物の血清中濃度を示す。T細胞注入の直前に投与後血清を収集した。IL-15(図7A)、IL-7(図7B)、PLGF(図7C)、CRP(図7D)、IL-5(図7E)、IL-10(図7F)、MCP-1(図7G)、IP-10(図7H)、およびsICAM-1(図7I)の血清中濃度を示す。各データポイントは単一の患者を表す。横棒線は平均を示す(図7A-7I)。ウィルコクソンのマッチドペア符号付き順位検定のP値を、コンディショニング前およびコンディショニング後に測定された分析物に適用し、対応するP値を示す(図7A~7I)。一部のIL-7値は定量の上限を超えた(ULOQ;図7B)。
図8】K562細胞を用いた刺激後に抗CD19 CAR+ T細胞(K562-CD19)によって産生される様々なサイトカイン分析物のインビトロ産生を陰性対照(K562-NGFR)と比較して示す。対照T細胞および抗CD19 CAR+ T細胞についてGM-CSF(図8A)、IL-2(図8B)、IFNγ(図8C)、IL-5(図8D)、IL-4(図8E)、IL-13(図8F)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα;図8G)、IL-6(図8H)、グランザイムB(図8I)、MIP-1β(図8J)、MIP-1α(図8K)、および可溶性CD137(図8L)の濃度を示す。T1、T2、および免疫恒常性サイトカイン(図8A-8F)ならびに炎症促進性サイトカインおよびケモカイン(図8G~8L)をそれ相応に標識する。産物T細胞をK562-CD19細胞または対照K562-NGFR細胞と共に同時インキュベートし、記載された分析物の培地中濃度を測定することによって、注入前にデータを収集した(図8A~8L)。
図9】標的抗原と会合後に様々なサイトカインを発現している抗CD19 CAR+ T細胞(K562-CD19)のパーセントを陰性対照(K562-NGFR)と比較して示す。CD107α(図9A)、4-1BB(図9B)、およびプログラム死1(PD-1;図9C)を発現している細胞のパーセントを示す。産物T細胞をK562-CD19細胞または対照K562-NGFR細胞と同時インキュベートし、選ばれた活性化マーカーの培地中濃度を測定することによって、注入前のデータを収集した(図9A~9C)。示したP値は、K562-CD19試験細胞をK562-NGFR陰性対照細胞と比較している、対応のあるT検定の結果を示す(図9A~9C)。
図10】製造時間(日)の点から見た産物T細胞および末梢血リンパ球(PBL)の様々な特徴を説明する。データは、産物中に検出された抗CD-19 CAR+ T細胞のパーセントをPBLと比較したもの;産物中のCD8とCD4との比をPBLと比較したもの;抗CD19 CAR+ CD8+ T細胞集団内のナイーブT細胞、中枢性メモリー(Tcm)T細胞、エフェクターメモリー(Tem)T細胞、およびエフェクター(Teff)T細胞の相対出現率;ならびに抗CD19 CAR+ CD4+ T細胞集団内のナイーブT細胞、中枢性メモリー(Tcm)T細胞、エフェクターメモリー(Tem)T細胞、およびエフェクター(Teff)T細胞の相対出現率を含む(図10)。注入前の産物T細胞および血中で増殖がピークであるPBLの表現型分析を抗CD19 CAR+ T細胞に関して行った(図10)。p値は、製造時間とT細胞サブセットの組成との間の関連の順位検定の結果を表す。
図11】本発明によるNHL患者のコンディショニング後に観察されたサイトカイン、ケモカインおよび他のマーカーの発現プロファイルを示す。CRP:C反応性タンパク質。PLGF:胎盤成長因子。MCP-1:単球走化性タンパク質-1。
図12】本発明によるシクロホスファミドおよびフルダラビンを用いたコンディショニング後にサイトカイン、ケモカインおよび他のマーカーで観察された変化の定量を示す。
図13】客観的奏効に関連するコンディショニング化学療法後の循環中IL-15およびパーフォリンにおける変化の大きさを示す。P値を多重性調整しなかった。CAR T細胞注入前に測定されたマーカーに関して分析を実施した。
図14】サイトカイン、ケモカイン、およびエフェクター分子のバイオマーカー分析を示す。ウィルコクソン符号付き順位検定を用いて、バイオマーカーの各分類内で低いp値から高いp値へとマーカーに順位を付けた。大部分の患者で改変されており、p値が<0.05であったバイオマーカーを表示した。測定されたマーカー41種のうち7種だけが、大部分の患者で変化を示し、p<0.05を伴っていた。CAR T細胞注入の前に測定されたマーカーに関して分析を実施した。
図15】免疫恒常性、炎症性、および調節性(modulating)サイトカイン、ケモカインならびに免疫エフェクター分子の逐次誘導および排除を示す。代表的なマーカーを示す。測定されたマーカー41種中合計22種:IL-15、IL-7、IL-2、グランザイムB、グランザイムA、CRP、IL-6、GM-CSF、IL-5、IFNg、IL-10、MCP-1、MCP-4、IP-10、IL-8、TARC、MIP1a、MIP1b、PLGF、VEGF-D、sICAM-1およびFGF-2が、患者の少なくとも50%においてCAR T細胞処置後に、ベースライン値よりも少なくとも2倍高い上昇を示した。免疫恒常性サイトカインおよびケモカインについて、第3~4日にピーク形成が観察された。
図16】免疫恒常性、炎症性、および調節性サイトカイン、ケモカインならびに免疫エフェクター分子の逐次誘導および排除を示す。代表的なマーカーを示す。測定されたマーカー41種中合計22種:IL-15、IL-7、IL-2、グランザイムB、グランザイムA、CRP、IL-6、GM-CSF、IL-5、IFNg、IL-10、MCP-1、MCP-4、IP-10、IL-8、TARC、MIP1a、MIP1b、PLGF、VEGF-D、sICAM-1およびFGF-2が、患者の少なくとも50%においてCAR T細胞処置後にベースライン値よりも少なくとも2倍高い上昇を示した。免疫調節性サイトカインおよびケモカインについて第5~7日にピーク形成が観察された。「ULOQ」:定量の上限。
図17】本発明による抗CD19 CAR T細胞によって誘導される処置関連バイオマーカーおよび臨床応答における変化を示す。ベースライン(コンディショニング前)と比べたCAR T細胞処置後のマーカーレベルの最大変化倍率。それぞれの行は、個別の対象を表す。ウィルコクソンの順位和検定を用いて、評価された全部で41種のバイオマーカーについて応答者群と非応答者群との間で最大変化倍率の値を比較した。P値を多重性調整せず、p<0.10のバイオマーカーだけを示した。IL-7およびsICAM-1についてのP値は<0.05であった。この関連は、IL-7(p=0.0165)、IL-15(p=0.0314)およびIL-15(p=0.041)の絶対レベルにおける変化にも適用可能であった。
図18-1】シクロホスファミドおよびフルダラビンを用いたコンディショニング前および後の分析物レベルにおける変化を示す。図18A~18Fは、IL-15(図18A)、IP-10(図18B)、CRP(図18C)、IL-7(図18D)、MCP-1(図18E)、およびパーフォリン(図18F)の前レベルおよび後レベルを示す。
図18-2】シクロホスファミドおよびフルダラビンを用いたコンディショニング前および後の分析物レベルにおける変化を示す。図18Gは、様々な分析物および対応するp値の血清レベルにおける変化を要約する。
図19】IL-15(図19A)、IP-10(図19B)、およびパーフォリン(図19C)について、コンディショニング後の分析物レベルにおける変化とCAR T細胞療法に対する客観的奏効との間の相関を示す。図19Dに、図19A-19Cのそれぞれに提供されたデータの統計的有意性の要約を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、T細胞療法、例えば、操作CART細胞療法、例えば、自己細胞療法(eACT(商標))に適する患者を特定し、次にT細胞療法を用いて患者を処置する方法に関する。したがって、この方法は、ある特定のサイトカイン、例えば、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与することによって患者を予備コンディショニングする段階を含む。1つまたは複数の予備コンディショニング剤を用いたT細胞療法の前に患者を予備コンディショニングすることは、内因性リンパ球の数を減少させること、ならびにIL-15およびIL-7を含む、患者に存在する恒常性サイトカインおよび/または免疫促進因子の血清レベルを増加させることによってT細胞療法の効力を改善する。これは、移植されたT細胞が患者に投与された後に増殖するので、より最適な微小環境を生み出す。
【0019】
本発明は、
(i)患者に、ある特定のサイトカイン、例えば、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング薬剤を投与する段階;
(ii)患者に、T細胞療法の増加した有効性と関連することが確認された1つまたは複数のサイトカイン、例えば、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインを投与する段階;または
(iii)患者に、追加的な処置、例えば、追加的なサイトカイン、追加的な用量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤、または1つもしくは複数のサイトカインを発現するように操作されたT細胞を投与する段階であって、追加的な処置が、T細胞療法の増加した有効性と関連すると確認された1つまたは複数のサイトカイン、例えば、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる、段階
を含む、T細胞療法を必要とする患者において該療法により適する環境を生み出す方法に、さらに関する。
【0020】
定義
本開示がより容易に理解され得るために、ある特定の用語を最初に定義する。本出願に使用されるような以下の用語のそれぞれは、別な方法で本明細書に明白に提供されるものを除き、下に記載される意味を有するものとする。追加的な定義は、本出願全体にわたり記載される。
【0021】
本明細書において使用される場合の用語「および/または」は、2つの特定の特徴または構成要素のそれぞれを、もう一方と一緒にまたはもう一方なしに具体的に開示することと見なすべきである。したがって、本明細書における「Aおよび/またはB」のような語句に使用されるような用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」のような語句に使用されるような用語「および/または」は、以下の局面のそれぞれを包含することが意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0022】
本明細書において局面が言葉「含む」を用いて記載される場合はいつも、「からなる」および/または「から本質的になる」という用語で記載される他の類似の局面も提供されることが理解される。
【0023】
特に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が関係する分野の技術者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press; The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press;およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、技術者に、本開示に使用された用語の多くの一般的な辞書を提供する。
【0024】
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(SI)に認められた形で表示される。数値の範囲は、その範囲を定義する数を含む。本明細書において提供される見出しは、本明細書の全体としての参照により有することができる本開示の様々な局面の限定ではない。したがって、すぐ下に定義される用語は、明細書全体の参照により、より十分に定義される。
【0025】
用語「活性化」は、検出可能な細胞増殖を誘導するように十分に刺激された免疫細胞、例えばT細胞の状態を表す。活性化は、誘導されたサイトカインの産生および検出可能なエフェクター機能に関連することもできる。用語「活性化T細胞」は、とりわけ、細胞分裂を受けているT細胞を表す。
【0026】
「投与する」は、当業者に公知の多様な方法および送達システムのいずれかを使用する、対象の身体への薬剤の導入を表す。本明細書開示の製剤のための例示的な投与経路には、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の腸管外の投与経路、例えば注射または注入によるものが含まれる。本明細書において使用される語句「腸管外投与」は、経腸および局所投与以外の、通常は注射による投与方式を意味し、非限定的に、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入、ならびにインビボエレクトロポレーションを含む。一部の態様では、製剤は、非腸管外経路を介して、例えば経口的に投与される。他の非腸管外経路には、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸、舌下または局所が含まれる。投与は、例えば、1回、複数回、および/または1つもしくは複数の長期間にわたり行うこともできる。
【0027】
本明細書に使用される「有害事象」(AE)は、任意の不都合な、一般的に意図されないまたは望ましくない徴候(異常な検査所見を含む)、症状、医学的発生、または医学処置の使用に関連する疾患である。有害事象の定義は、既存の医学的状態の悪化を含む。悪化は、既存の医学的状態の重症度、頻度、および/もしくは持続時間が増加した、またはより悪い転帰に関連したことを示す。
【0028】
用語「抗体」(Ab)には、非限定的に、抗原に特異的に結合する糖タンパク質である免疫グロブリンが含まれる。一般的に、抗体は、ジスルフィド結合によって相互に連結された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖またはその抗原結合部分を含むことができる。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVHと略記する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略記する)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメイン、CLを含む。VH領域およびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域、およびその間に散在するフレームワーク領域(FR)と呼ばれるより大きく保存された領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に以下の順序で配列されている3つのCDRおよび4つのFRを含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。Abの定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む、ホストの組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介する場合がある。
【0029】
免疫グロブリンは、非限定的にIgA、分泌IgA、IgGおよびIgMを含む、一般に公知のアイソタイプのいずれかに由来し得る。IgGのサブクラスも当業者に周知であり、それらには、非限定的にヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が含まれる。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされるAbのクラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を表す。用語「抗体」には、例として天然および非天然Abの両方;モノクローナルおよびポリクローナルAb;キメラおよびヒト化Ab;ヒトまたは非ヒトAb;完全合成Ab;ならびに単鎖Abが含まれる。非ヒトAbは組換え法によってヒト化されて、ヒトにおけるその免疫原性が減少される場合がある。明白に述べない場合、および文脈が他のことを示さない限り、用語「抗体」には、前述の免疫グロブリンのうちいずれかの抗原結合フラグメントまたは抗原結合部分も含まれ、一価および二価のフラグメントまたは部分、ならびに単鎖Abが含まれる。
【0030】
「抗原結合分子」または「抗体フラグメント」は、全体に満たない抗体の任意の部分を表す。抗原結合分子は、抗原相補性決定領域(CDR)を含むことができる。抗体フラグメントの例には、非限定的に、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFvフラグメント、dAb、線状抗体、scFv抗体、ならびに抗原結合分子から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0031】
「抗原」は、免疫応答を誘発する、または抗体によって結合される能力がある任意の分子を表す。免疫応答は、抗体産生または特異的免疫適格細胞の活性化のいずれかまたは両方を伴い得る。当業者ならば、事実上全てのタンパク質またはペプチドを含む任意の巨大分子が、抗原として働き得ることを容易に理解する。抗原は、内因性発現される、すなわちゲノムDNAによって発現され得、または組換え発現され得る。抗原は、がん細胞のようなある特定の組織に特異的であり得、または広く発現され得る。加えて、比較的大きな分子のフラグメントが抗原として作用し得る。一態様では、抗原は腫瘍抗原である。
【0032】
用語「自己」は、後にその個体に再び導入される、同じ個体に由来する任意の材料を表す。例えば、本明細書記載の操作自己細胞療法(eACT(商標))は、患者からリンパ球を収集し、そのリンパ球が次に、例えばCAR構築物を発現するように操作され、次に同じ患者に投与し戻されることを含む。
【0033】
用語「同種」は、一個体由来の任意の材料であって、次に同じ種の別の個体に導入される材料を表し、例は、同種T細胞移植である。
【0034】
「がん」は、体内の異常な細胞の制御できない増殖によって特徴付けられる様々な疾患の幅広い群を表す。調節されていない細胞分裂および増殖は、隣接組織に浸潤する悪性腫瘍の形成を招き、リンパ系または血流を通過して身体の遠隔部分に転移する場合もある。「がん」または「がん組織」は、腫瘍を含むことができる。本発明の方法によって処置できるがんの例には、非限定的に、リンパ腫、白血病、および他の白血病悪性疾患を含む免疫系のがんが含まれる。いくつかの態様では、本発明の方法は、例えば、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚または眼内悪性メラノーマ、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部がん、胃がん、精巣がん、子宮がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、腟がん、外陰がん、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、縦隔原発大細胞型B細胞性リンパ腫(PMBC)、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換した濾胞性リンパ腫、脾性辺縁層リンパ腫(SMZL)、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、慢性または急性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(非T細胞ALLを含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓または尿管がん、腎盂がん、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍の血管新生、脊髄軸腫瘍(spinal axis tumor)、脳幹膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘導されるがんを含む環境誘導がん、他のB細胞悪性疾患、および前記がんの組合せに、由来する腫瘍の腫瘍サイズを減少させるために使用することができる。特定のがんは、化学療法もしくは放射線療法に応答性であり得、またはがんは抗療性の可能性がある。抗療性のがんは、外科的介入で修正不可能ながんを表し、そのがんは、最初から化学療法もしくは放射線療法に非応答性であるか、または時間と共に非応答性になるかのいずれかである。
【0035】
本明細書において使用される「抗腫瘍効果」は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、転移数の減少、全生存期間もしくは無増悪生存期間の増加、平均余命の増加、または腫瘍に関連する様々な生理的症状の改善として現れ得る生物学的効果を表す。抗腫瘍効果は、腫瘍の発生の予防、例えばワクチンを表すこともできる。
【0036】
本明細書において使用される、PFSと略すことができる用語「無増悪生存期間」は、処置の日付から悪性リンパ腫に対するIWGの治療効果判定基準の改訂版(the revised IWG Response Criteria for Malignant Lymphoma)による疾患進行または任意の原因の死亡の日付までの時間を表す。
【0037】
「疾患進行」は、放射線画像または他の方法を用いた悪性病変の測定によって判定され、有害事象と報告されるべきではない。徴候および症状の非存在下での疾患進行による死亡は、原発腫瘍のタイプ(例えば、DLBCL)として報告されるべきである。
【0038】
本明細書において使用される、DORと略すことができる「奏効期間」は、対象の最初の客観的奏効から悪性リンパ腫に対するIWGの治療効果判定基準の改訂版により確定された疾患進行または死亡の日付までの期間を表す。
【0039】
OSと略すことができる用語「全生存期間」は、処置の日付から死亡日までの時間として定義される。
【0040】
本明細書において使用される「サイトカイン」は、特異抗原との接触に応答して1つの細胞により放出される非抗体性タンパク質を表し、その際、サイトカインは、第2の細胞と相互作用して第2の細胞における応答を媒介する。サイトカインは、細胞によって内因性発現され得、または対象に投与され得る。サイトカインは、マクロファージ、B細胞、T細胞、およびマスト細胞を含む免疫細胞によって放出されて免疫応答を伝播し得る。サイトカインは、レシピエント細胞において様々な応答を誘導することができる。サイトカインは、恒常性サイトカイン、ケモカイン、炎症促進性サイトカイン、エフェクター、および急性期タンパク質を含むことができる。例えば、インターロイキン(IL)7およびIL-15を含む恒常性サイトカインは、免疫細胞の生存および増殖を促進し、炎症促進性サイトカインは、炎症応答を促進することができる。恒常性サイトカインの例には、非限定的に、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12p40、IL-12p70、IL-15、およびインターフェロン(IFN)ガンマが含まれる。炎症促進性サイトカインの例には、非限定的に、IL-1a、IL-1b、IL-6、IL-13、IL-17a、腫瘍壊死因子(TNF)-アルファ、TNF-ベータ、線維芽細胞増殖因子(FGF)2、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、可溶性細胞間接着分子1(sICAM-1)、可溶性血管接着分子1(sVCAM-1)、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF-C、VEGF-D、および胎盤成長因子(PLGF)が含まれる。エフェクターの例には、非限定的に、グランザイムA、グランザイムB、可溶性Fasリガンド(sFasL)、およびパーフォリンが含まれる。急性期タンパク質の例には、非限定的に、C反応性タンパク質(CRP)および血清アミロイドA(SAA)が含まれる。
【0041】
「ケモカイン」は、細胞走化性または指向性移動を媒介するタイプのサイトカインである。ケモカインの例には、非限定的に、IL-8、IL-16、エオタキシン、エオタキシン-3、マクロファージ由来ケモカイン(MDCまたはCCL22)、単球走化性タンパク質1(MCP-1またはCCL2)、MCP-4、マクロファージ炎症タンパク質1α(MIP-1α、MIP-1a)、MIP-1β(MIP-1b)、ガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、ならびに胸腺および活性化制御ケモカイン(TARCまたはCCL17)が含まれる。
【0042】
本発明の分析物およびサイトカインの他の例には、非限定的に、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド(CCL)1、CCL5、単球特異的ケモカイン3(MCP3もしくはCCL7)、単球走化性タンパク質2(MCP-2またはCCL8)、CCL13、IL-1、IL-3、IL-9、IL-11、IL-12、IL-14、IL-17、IL-20、IL-21、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、CD154、リンホトキシン(LT)ベータ、4-1BBリガンド(4-1BBL)、増殖誘導リガンド(APRIL)、CD70、CD153、CD178、グルココルチコイド誘導TNFR関連リガンド(GITRL)、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)、OX40L、TNFおよびApoL関連白血球発現リガンド1(TALL-1)、またはTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)が含まれる。
【0043】
本明細書に使用される用語「血清レベル」および「血清中濃度」は、互換可能に使用され、対象の血清中の分析物の量を表す。所与の分析物の血清レベルは、当技術分野において公知の任意の方法を用いて測定することができる。例えば、サイトカインの血清レベルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて測定することができる。特定の一態様では、サイトカインの血清レベルは、EMDmillipore LUMINEX(登録商標)xMAP(登録商標)多重アッセイを用いて測定することができる。
【0044】
本明細書において使用される「投与間隔」は、本明細書開示の製剤の複数用量が対象に投与される間に経過する時間の量を意味する。したがって、投与間隔を、範囲として表示することができる。
【0045】
本明細書記載の用量は、「重量に基づく用量」または「体表面積(BSA)に基づく用量」として表現することができる。重量に基づく用量は、患者の重量に基づき計算された、患者に投与される用量、例えばmg/kgである。BSAに基づく用量は、患者の表面積に基づき計算された、患者に投与される用量、例えばmg/m2である。ヒトへの投与について、重量に基づく用量に37を掛けるまたはBSAに基づく用量を37で割ることによって、2つの形式の用量測定を変換することができる。例えば、ヒト対象に投与されるシクロホスファミドの用量60mg/kgは、同じ対象に投与される同じ薬物の用量2220mg/m2に対応する。
【0046】
本明細書において使用される用語「投与回数」は、所与の時間内で本明細書開示の製剤の用量を投与する回数を表す。投与回数は、所与の時間のあたりの用量の数として表示することができる。例えば、予備コンディショニング剤、例えばシクロホスファミドは、連続する5日のそれぞれに1日1回、連続する4日のそれぞれに1日1回、連続する3日のそれぞれに1日1回、連続する2日のそれぞれに1日1回、または1日に1回として投与することができる。さらに、第2の予備コンディショニング剤、例えばフルダラビンは、連続する8日のそれぞれに1日1回、連続する7日のそれぞれに1日1回、連続する6日のそれぞれに1日1回、連続する5日のそれぞれに1日1回、連続する4日のそれぞれに1日1回、連続する3日のそれぞれに1日1回、連続する2日のそれぞれに1日1回、または1日に1回として投与することができる。他の態様では、フルダラビンは、1日1回連続5日間または1日1回連続3日間として投与される。
【0047】
薬物、予備コンディショニング剤、または治療剤、例えば操作CAR T 細胞の、「治療有効量」、「有効用量」、「有効量」、または「治療有効投薬量」は、単独で使用または別の治療剤と併用した場合に、対象を発病から保護する、あるいは疾患症状の重症度の減少、無疾患症状期間の頻度および持続時間の増加、または病気の苦痛が原因の機能障害もしくは能力障害の予防によって証明される疾患後退を促進する薬物の任意の量である。治療剤が疾患後退を促進する能力は、熟練の実務家に公知の多様な方法を用いて、例えば、臨床試験の際のヒト対象において、ヒトにおける効力を予測する動物モデル系において、またはインビトロアッセイにおいて薬剤の活性をアッセイすることによって、評価することができる。
【0048】
本明細書において使用される用語「リンパ球」には、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、またはB細胞が含まれる。NK細胞は、固有の免疫系の主要構成要素に相当する細胞傷害性(細胞毒性)リンパ球の一タイプである。NK細胞は腫瘍およびウイルス感染した細胞を拒絶する。それは、アポトーシスまたはプログラム細胞死過程を通じて働く。NK細胞は、細胞を死滅させるために活性化を要さないので、「ナチュラルキラー」と名付けられた。T細胞は、細胞性免疫(抗体の関与なし)に主要な役割を果たす。そのT細胞レセプター(TCR)は、他のリンパ球のタイプから自己を見分ける。免疫系の専門器官である胸腺は、主としてT細胞の成熟を担う。6タイプのT細胞、すなわちヘルパーT細胞(例えば、CD4+細胞)、細胞傷害性T細胞(TC、細胞傷害性Tリンパ球、CTL、T-キラー細胞、細胞溶解T細胞、CD8+ T細胞またはキラーT細胞としても公知)、メモリーT細胞((i)ナイーブ細胞のようなメモリーTSCM幹細胞は、CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+(L-セレクチン)、CD27+、CD28+およびIL-7Rα+であるが、これらの細胞は、大量のCD95、IL-2Rβ、CXCR3、およびLFA-1も発現し、メモリー細胞に特有の多数の機能的特質を示す);(ii)中枢性メモリーTCM細胞は、L-セレクチンおよびCCR7を発現し、これらの細胞は、IL-2を分泌するが、IFNγまたはIL-4を分泌せず、(iii)しかし、エフェクターメモリーTEM細胞は、L-セレクチンまたはCCR7を発現するのでなく、IFNγおよびIL-4のようなエフェクターサイトカインを産生する)、制御性T細胞(Treg、サプレッサーT細胞、またはCD4+CD25+制御性T細胞)、ナチュラルキラーT細胞(NKT)およびガンマデルタT細胞がある。他方でB細胞は、体液性免疫(抗体の関与あり)に主要な役割を演じる。それは、抗体および抗原を作り、抗原提示細胞(APC)の役割を果たし、抗原の相互作用によって活性化した後にメモリーB細胞に変わる。哺乳動物では、その名前の由来となる骨髄で未熟B細胞が形成される。
【0049】
用語「遺伝子操作」または「操作」は、非限定的に、コード領域もしくは非コード領域またはその部分を欠失させること、あるいはコード領域またはその部分を挿入することを含む、細胞のゲノムを改変する方法を表す。いくつかの態様では、改変される細胞は、患者またはドナーのいずれかから得ることができるリンパ球、例えばT細胞である。例えばキメラ抗原レセプター(CAR)またはT細胞レセプター(TCR)のような、細胞のゲノムに組み入れられる外因性構築物を発現するように、細胞を改変することができる。
【0050】
「免疫応答」は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞および好中球)ならびにこれらの細胞のいずれかまたは肝臓によって産生された可溶性巨大分子(Ab、サイトカイン、および補体を含む)の作用であって、脊椎動物の体から、侵入病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、がん性細胞もしくは他の異常細胞、または自己免疫もしくは病的炎症の場合、正常なヒト細胞もしくは組織の選択的標的指向、これへの結合、損傷、この破壊、および/または除去を招く作用を表す。
【0051】
用語「免疫療法」は、免疫応答を誘導、強化、抑制またはその他の方法で改変する段階を含む方法による、疾患に苦しむ、または疾患に罹患するもしくはその再発を受けるリスクがある対象の処置を表す。免疫療法の例には、非限定的に、T細胞療法が含まれる。T細胞療法は、養子T細胞療法、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)免疫療法、自己細胞療法、操作自己細胞療法(eACT)、および同種T細胞移植を含むことができる。しかし、当業者ならば、本明細書開示のコンディショニング方法が任意の移植T細胞療法の有効性を強化することを認識するであろう。T細胞療法の例は、米国特許公開公報第2014/0154228号および同第2002/0006409号、米国特許第5,728,388号、および国際公開公報第2008/081035号に記載されている。
【0052】
免疫療法のT細胞は、当技術分野において公知の任意の起源からもたらされることができる。例えば、T細胞は、造血幹細胞集団からインビトロで分化することができ、またはT細胞は、対象から得ることができる。T細胞は、例えば、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍から得ることができる。加えて、T細胞は、当技術分野において利用可能な1つまたは複数のT細胞株に由来することができる。T細胞は、熟練の技術者に公知の任意の数の技法、例えばFICOLL(商標)分離および/またはアフェレーシスを用いて対象から収集された血液単位から得ることもできる。T細胞療法のためにT細胞を単離する追加的な方法は、米国特許公開公報第2013/0287748号に開示されており、これは、参照によりその全体で本明細書に組み入れられる。
【0053】
養子細胞移植としても公知の、「eACT(商標)」と略すことができる、用語「操作自己細胞療法」は、患者自身のT細胞が収集され、続いて、1つまたは複数の特異的腫瘍細胞または悪性疾患の細胞表面に発現された1つまたは複数の抗原を認識および標的指向するように遺伝的に変更されるプロセスである。T細胞は、例えば、キメラ抗原レセプター(CAR)またはT細胞レセプター(TCR)を発現するように操作することができる。CAR陽性(+)T細胞は、共刺激ドメインおよび活性化ドメインを含む細胞内シグナル伝達部分に連結された、特定の腫瘍抗原に対して特異性を有する細胞外単鎖可変フラグメント(scFv)を発現するように操作される。共刺激ドメインは、例えばCD28由来であり得、活性化ドメインは、例えばCD3-ゼータ由来であり得る(図1)。ある特定の態様では、CARは、2つ、3つ、4つ、またはそれを超える共刺激ドメインを有するように設計される。CAR scFvは、例えば、全ての正常B細胞ならびに非限定的に、NHL、CLL、および非T細胞ALLを含むB細胞悪性疾患を含むB細胞系列の細胞によって発現される膜貫通タンパク質であるCD19を標的指向するように設計することができる。CAR+ T細胞療法および構築物の例は、米国特許公開公報第2013/0287748号、同第2014/0227237号、同第2014/0099309号、および同第2014/0050708号に記載されており、これらの参考文献は、その全体で参照により組み入れられる。
【0054】
本明細書において使用される「患者」には、がん(例えば、リンパ腫または白血病)に苦しむ任意のヒトが含まれる。用語「対象」および「患者」は、本明細書において互換可能に使用される。
【0055】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」は、互換可能に使用され、ペプチド結合によって共有結合的に連結したアミノ酸残基から構成される化合物を表す。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含まなければならず、タンパク質またはペプチドの配列を構成することができるアミノ酸の最大数に制限は置かれない。ポリペプチドには、相互にペプチド結合によって繋がった2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質が含まれる。本明細書において使用されるように、該用語は、当技術分野において一般に例えばペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも呼ばれる短鎖と、例えば、多数のタイプが存在する、当技術分野において一般的にタンパク質と言及されるより長い鎖との両方を表す。「ポリペプチド」には、例えばとりわけ、生物学的に活性なフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの異種、改変ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、またはその組合せが含まれる。
【0056】
本明細書において使用される「刺激」は、刺激分子とそのコグネイトリガンドとの結合によって誘導される一次応答を表し、その際、結合は、シグナル伝達事象を媒介する。「刺激分子」は、T細胞上の分子、例えば、抗原提示細胞上に存在するコグネイト刺激リガンドと特異的に結合するT細胞レセプター(TCR)/CD3複合体である。「刺激リガンド」は、抗原提示細胞(例えば、aAPC、樹状細胞、B細胞など)上に存在する場合に、T細胞上の刺激分子と特異的に結合することによって、非限定的に、活性化、免疫応答の開始、増殖などを含む、T細胞による一次応答を媒介することができるリガンドである。刺激リガンドには、非限定的に、ペプチドを負荷したMHCクラスI分子、抗CD3抗体、スーパーアゴニスト抗CD28抗体、およびスーパーアゴニスト抗CD2抗体が含まれる。
【0057】
本明細書において使用される「共刺激シグナル」は、TCR/CD3ライゲーションのような一次シグナルと組み合わされて、非限定的に、増殖および/または鍵分子のアップレギュレーションもしくはダウンレギュレーションのようなT細胞応答に繋がるシグナルを表す。
【0058】
本明細書において使用される「共刺激リガンド」には、T細胞上のコグネイト共刺激分子と特異的に結合する、抗原提示細胞上の分子が含まれる。共刺激リガンドの結合は、非限定的に、増殖、活性化、分化などを含むT細胞応答を媒介するシグナルを提供する。共刺激リガンドは、シグナルを誘導し、そのシグナルは、刺激分子によって、例えばT細胞レセプター(TCR)/CD3複合体とペプチドを負荷した主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子との結合によって提供される一次シグナルに追加的である。共刺激リガンドは、非限定的に、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、プログラム死(PD)L1、PD-L2、4-1BBリガンド、OX40リガンド、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30リガンド、CD40、CD70、CD83,ヒト白血球抗原G(HLA-G)、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)、MHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)、ヘルペスウイルス侵入媒介因子(HVEM)、リンホトキシンベータレセプター、3/TR6、免疫グロブリン様転写物(ILT)3、ILT4、Tollリガンドレセプターと結合するアゴニストまたは抗体、およびB7-H3と特異的に結合するリガンドを含むことができる。共刺激リガンドには、非限定的に、T細胞上に存在する共刺激分子、例えば非限定的に、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14またはLIGHT)、ナチュラルキラー細胞レセプターC(NKG2C)、B7-H3と特異的に結合する抗体およびCD83と特異的に結合するリガンドが含まれる。
【0059】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合することによって、T細胞による共刺激応答、例えば非限定的に、増殖を媒介する、T細胞上のコグネイト結合パートナーである。共刺激分子には、非限定的に、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、CD83、PD-1、ICOS、LFA-1、CD2、CD7、TNFSF14(LIGHT)、NKG2C、B7-H3、MHCクラス1分子、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、ならびにTollリガンドレセプターが含まれる。
【0060】
用語「コンディショニング」および「予備コンディショニング」は、本明細書において互換可能に使用され、T細胞療法を必要とする患者に適切な状態を準備することを示す。本明細書において使用されるコンディショニングには、非限定的に、T細胞療法の前に、内因性リンパ球の数を減少させること、サイトカインシンクを一掃すること、1つもしくは複数のバイオマーカーサイトカインもしくは炎症促進因子の血清レベルを増加させること、コンディショニング後に投与されたT細胞のエフェクター機能を強化すること、抗原提示細胞の活性化および/もしくは利用能を強化すること、またはそれらの任意の組合せが含まれる。一態様では、「コンディショニング」は、1つまたは複数のサイトカイン、例えば、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン15(IL-15)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン5(IL-5)、ガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、インターロイキン8(IL-8)、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、胎盤成長因子(PLGF)、C反応性タンパク質(CRP)、可溶性細胞間接着分子1(sICAM-1)、可溶性血管接着分子1(sVCAM-1)、またはそれらの任意の組合せの血清レベルを増加させることを含む。別の態様では、「コンディショニング」は、IL-7、IL-15、IP-10、MCP-1、PLGF、CRP、またはそれらの任意の組合せの血清レベルを増加させることを含む。
【0061】
用語「減少させる」および「低下させる」は、本明細書において互換可能に使用され、最初よりも少ない任意の変化を示す。「減少させる」および「低下させる」は、測定前と測定後との間の比較を要する相対的な用語である。「減少させる」および「低下させる」は、全枯渇を含む。
【0062】
対象の「処置」または対象を「処置する」は、症状、合併症もしくは状態の発生、進行、発展、重症度もしくは再発、または疾患に関連する生化学的特徴を後退、緩和、回復、阻害、減速または予防する目的で対象に対して行われる任意のタイプの介入もしくはプロセスまたは対象への活性薬剤の投与を表す。一態様では、「処置」または「処置する」は、部分奏効を含む。別の態様では、「処置」または「処置する」は、完全奏効を含む。
【0063】
選択肢(例えば「または」)の使用は、選択肢の1つ、両方、またはそれらの任意の組合せのいずれかを意味すると理解すべきである。本明細書において使用される不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、記載または列挙された任意の構成要素の「1つまたは複数」を表すと理解すべきである。
【0064】
用語「約」または「から本質的に構成される」は、当業者によって決定される特定の値または組成について許容される誤差範囲内である値または組成を表し、それは、一部にはその値または組成がどのように測定または決定されるか、すなわち測定システムの限界に依存する。例えば、「約」または「から本質的に構成される」は、当技術分野における実施について1標準偏差以内または1標準偏差を超えることを意味することができる。あるいは、「約」または「から本質的に構成される」は、最大10%(すなわち±10%)の範囲を意味することができる。例えば、約3mgは、2.7mg~3.3mg(10%について)の任意の数を含むことができる。さらに、特に生体系または生体プロセスに関して、これらの用語は、値の最大1桁または最大5倍を意味することができる。特定の値または組成が出願および特許請求の範囲に提供される場合、特に述べない限り、「約」または「から本質的に構成される」の意味は、その特定の値または組成について許容される誤差範囲内であると仮定されるべきである。
【0065】
本明細書記載の任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比の範囲または整数の範囲は、記載された範囲内の任意の整数、および適切な場合、特に表示しなければその分数(例えば、整数の10分の1および100分の1)の値を含むと理解されたい。
【0066】
本発明の様々な局面は、以下のサブセクションにさらに詳細に記載されている。
【0067】
発明の方法
本発明は、初期の予備コンディショニング段階の後にT細胞療法に適する患者を特定する方法に向けられている。したがって、本発明は、最初の予備コンディショニング段階の後に患者を亜集団に層別化することおよび該集団を適切な次の段階で処置することに向けられている。この方法によって特定される患者の1つの群は、最初の予備コンディショニング方式を投与した後であるが、いかなる追加的な予備コンディショニング方式もなしに、T細胞療法に適する患者であり得る。患者の別の群は、最初の予備コンディショニング段階を用いたT細胞療法に適さず、第2の予備コンディショニング段階を要する群であり得る。第3群の患者は、その後の予備コンディショニング段階の後であってもT細胞療法に適さない患者であり得る。本発明は、1つまたは複数の予備コンディショニング段階を用いて、患者におけるある特定のバイオマーカー性サイトカインを増加させることによって、T細胞療法のための患者を準備することも含む。
【0068】
本発明は、予備コンディショニング方式の投与を受けた患者におけるある特定のサイトカインの増加した発現が、T細胞療法の増加した効力を示すことを確認するものである。増加したT細胞療法の効力を示すサイトカインは、IL-15、IL-7、ならびに単球走化性タンパク質1(「MCP-1」)、C反応性タンパク質(「CRP」)、胎盤成長因子(「PLGF」)、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(「IP-10」)、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインを含む。一態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、およびMCP-1である。別の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、およびCRPである。他の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、およびPLGFである。なお他の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、MCP-1、およびIP-10である。さらに他の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、MCP-1、およびCRPである。いくつかの態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、MCP-1、およびPLGFである。ある特定の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、IP-10、およびCRPである。他の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、PLGF、およびIP-10である。さらに他の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、MCP-1、IP-10、およびCRPである。なお他の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、MCP-1、IP-10、およびPLGFである。ある特定の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、MCP-1、CRP、およびPLGFである。いくつかの態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、IP-10、CRP、およびPLGFである。他の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、IP-10、MCP-1、CRP、およびPLGFである。
【0069】
バイオマーカー性サイトカインの増加した血清発現に加えて、T細胞療法に適する患者は、追加的な特徴、すなわち(i)減少した数の内因性リンパ球;(ii)T細胞の増加したエフェクター機能;(iii)抗原提示細胞の増加した活性化および/もしくは利用能;または(iv)それらの任意の組合せも示すことができる。
【0070】
予備コンディショニング方式により減少する内因性リンパ球は、非限定的に、養子移植されたT細胞の抗腫瘍効果を阻害することができる、内因性制御性T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。内因性リンパ球は、抗原および支持的サイトカインとの可触性について養子移植されたT細胞と競合する可能性がある。1つまたは複数の予備コンディショニング剤を用いた前処置は、この競合を一掃し、IL-15およびIL-7を含めた内因性サイトカインのレベルの増加を招く。養子移植されたT細胞が患者に投与された後、それらは、増加したレベルの内因性IL-15およびIL-7ならびに他の恒常性サイトカインまたは炎症促進因子に曝露される。加えて、予備コンディショニング処置は、腫瘍細胞死を引き起こし、患者の血清中の腫瘍抗原を増加させることに繋がることができる。いかなる理論にも縛られるわけでなく、非限定的に、シクロホスファミドおよびプリン類似体を含む1つまたは複数の予備コンディショニング剤を用いたコンディショニングは、T細胞の恒常性増殖、活性化、および輸送に好都合であり得るIL-15、IL-7、および1つまたは複数の他のバイオマーカー性サイトカインの誘導を通じて免疫環境を改変する。
【0071】
一態様では、本発明は、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階を含む、T細胞療法に適する患者を特定するための方法を含む。
【0072】
別の態様では、本発明は、
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、ならびに
(ii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、T細胞療法に適する患者を特定するための方法を含む。
【0073】
本発明は、
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、
(ii)IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを測定する段階、ならびに
(iii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、T細胞療法に適する患者を特定するための方法も含む。
【0074】
ある特定の態様では、本発明は、
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、
(ii)追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、または有効量のIL-15、IL-7、ならびに/もしくはMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインを直接投与する段階、ならびに
(iii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、T細胞療法に適する患者を特定するための方法も含む。
【0075】
いくつかの態様では、本発明は、
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、
(ii)IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを測定する段階、
(iii)追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、または有効量のIL-15、IL-7、ならびに/もしくはMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインを直接投与する段階、
(iv)IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを任意で測定する段階、ならびに
(v)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、T細胞療法に適する患者を特定するための方法も含む。
【0076】
本発明は、
患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階
を含む、T細胞療法を必要とする患者を予備コンディショニングするために、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させるための方法であって、患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法で処置される方法をさらに含む。
【0077】
一態様では、本発明は、T細胞療法を必要とする患者を予備コンディショニングするために、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させるための方法であって、
(i)患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、ならびに
(ii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、方法を含む。
【0078】
別の態様では、本発明は、T細胞療法を必要とする患者を予備コンディショニングするために、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させるための方法であって、
(i)患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、
(ii)追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、または有効量のIL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインを投与する段階、ならびに
(iii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む方法を含む。
【0079】
ある特定の態様では、この方法は、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを測定する段階をさらに含む。一態様では、IL-15の血清レベルが測定される。別の態様では、IL-7の血清レベルが測定される。別の態様では、IL-15およびIL-7の血清レベルが測定される。
【0080】
本発明は、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後にIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す患者を処置する方法であって、患者にT細胞療法を施す段階を含む方法も提供する。本発明の方法は、第1の用量の1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に十分な血清レベルのIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインを示さない患者をさらに予備コンディショニングする段階であって、第2の用量の1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与することを含む段階も含む。1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に、任意のIL-15、IL-7、および少なくとも追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示さないある特定の患者において、本発明は、患者に直接、有効量のバイオマーカー性サイトカインをさらに投与する段階を含む。
【0081】
他の態様では、本発明は、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に患者の血清において増加する1つまたは複数のサイトカインを特定する段階を含み、その際、1つまたは複数のサイトカインの増加した血清レベルは、その後のT細胞療法に対する増加した応答性と相関する。一態様では、1つまたは複数のサイトカインの血清レベルは、予備コンディショニング剤の投与後に測定することができる。1つまたは複数のサイトカインの増加した血清レベルを示さない患者は、追加的な処置に供されることができる。一態様では、追加的な処置は、ある特定のサイトカイン、例えば、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある第2の用量の1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階を含む。別の態様では、追加的な処置は、1つもしくは複数の追加的なサイトカイン、患者に以前に投与されていない1つもしくは複数の予備コンディショニング剤、または1つもしくは複数のサイトカイン、例えば、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインを発現するように操作されたT細胞を、患者に投与する段階を含む、1つまたは複数のサイトカインの血清レベルを増加させる1つまたは複数の他の処置を患者に投与する段階を含む。
【0082】
別の態様では、本発明は、T細胞療法の実施前の患者においてアップレギュレーションされている場合に、T細胞療法の有効性を増加させるサイトカインを特定するための方法であって、患者に他の予備コンディショニング剤を投与してもしくは投与せずに、T細胞療法前に患者に特定されたサイトカインが投与される、または特定されたサイトカインの血清レベルをさらに増加させるために1つもしくは複数の予備コンディショニング剤の用量が増加される方法を提供する。別の態様では、本発明は、コンディショニング中に、ある特定のバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを連続的にモニタリングし、それに応じてタイミングおよび投薬を調整する方法、例えば、バイオマーカー性サイトカインの所望の血清レベルが達成され、患者のT細胞療法の準備ができるまで予備コンディショニングし続ける方法を提供する。
【0083】
他の態様では、本発明は、T細胞療法を必要とする患者における1つまたは複数のバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる方法を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカー性サイトカインの血清レベルは、患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与することによって増加する。いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカー性サイトカインの血清レベルは、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインより選択される1つまたは複数のサイトカインを患者に投与することによって増加する。いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカー性サイトカインの血清レベルは、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインより選択される1つまたは複数のサイトカインを発現するように操作されたT細胞を患者に投与することによって増加する。
【0084】
一態様では、本発明は、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与することによって患者を予備コンディショニングする段階を含む、T細胞療法に適する患者におけるがんを処置する方法であって、患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法で処置される方法を含む。本発明は、IL-15、IL-7ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を用いて患者を予備コンディショニングする段階が、続いて患者に投与されるT細胞療法の有効性を強化することを示す。別の態様では、本発明は、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階を含む、T細胞療法に適する患者におけるがんを処置するための方法であって、患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法で処置される方法を含む。
【0085】
他の態様では、本発明は、
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、ならびに
(ii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、T細胞療法に適する患者におけるがんを処置するための方法を含む。
【0086】
別の態様では、本発明は、
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、
(ii)追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、または有効量のIL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインを投与する段階、ならびに
(iii)患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、T細胞療法に適する患者におけるがんを処置するための方法を含む。
【0087】
別の態様では、本発明は、
(i)患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤(例えば、シクロホスファミドおよび/またはフルダラビン)を投与する段階、
(ii)IL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、パーフォリン、MIP-1b、またはそれらの任意の組合せの血清レベルを測定する段階、ならびに
(iii)1つまたは複数の予備コンディショニング剤(例えば、シクロホスファミドおよび/またはフルダラビン)の投与後に、対象がIL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せ、例えば、IL-15、IP-10、および/もしくはIL-7の増加した血清レベル、ならびに/またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示す場合に、1つまたは複数の予備コンディショニング剤を、T細胞療法のために対象を準備するために有効であるとして特徴付ける段階
を含む、T細胞療法のために対象を準備するために有効な1つまたは複数の予備コンディショニング剤の用量を特定する方法を含む。いくつかの態様では、この方法は、IL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、またはそれらの任意の組合せ、例えば、IL-15、IP-10、および/もしくはIL-7の増加した血清レベル、ならびに/またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示す患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階をさらに含む。他の態様では、この方法は、IL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せ、例えば、IL-15、IP-10、および/もしくはIL-7の増加した血清レベル、ならびに/またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示す患者にT細胞療法を施す段階をさらに含む。
【0088】
別の態様では、本発明は、
(i)患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤(例えば、シクロホスファミドおよび/またはフルダラビン)を投与する段階、
(ii)IL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、パーフォリン、MIP-1b、またはそれらの任意の組合せの血清レベルを測定する段階、ならびに
(iii)1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に対象がIL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せ、例えば、IL-15、IP-10、および/もしくはIL-7の増加した血清レベル、ならびに/またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示す場合に、1つまたは複数の予備コンディショニング剤(例えば、シクロホスファミドおよび/またはフルダラビン)を、T細胞療法のために対象を準備するために有効であるとして特徴付ける段階
を含む、T細胞療法のために対象を準備するために1つまたは複数の予備コンディショニング剤の有効性を検証する方法を含む。いくつかの態様では、この方法は、IL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せ、例えば、IL-15、IP-10、および/もしくはIL-7の増加した血清レベル、ならびに/またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示した患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階をさらに含む。他の態様では、この方法は、IL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せ、例えば、IL-15、IP-10、および/もしくはIL-7の増加した血清レベル、ならびに/またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示した患者にT細胞療法を施す段階をさらに含む。
【0089】
いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与は、患者における内因性リンパ球の数を減少させる。ある特定の態様では、内因性リンパ球は、制御性T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与は、恒常性サイトカイン、例えば、IL-15および/またはIL-7の利用能を増加させる。いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与は、コンディショニング後に投与されたT細胞のエフェクター機能を強化する。いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与は、抗原提示細胞の活性化および/または利用能を強化する。
【0090】
ある特定の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与は、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与なしのT細胞療法の抗腫瘍効力と比較して、改善されたT細胞療法の抗腫瘍効力を誘導する。
【0091】
サイトカインのレベル
本発明は、T細胞療法における効果的ながんの処置のためのバイオマーカー性サイトカインの使用を記載する。特に、本出願は、移植されたT細胞のために妥当な環境を提供することの鍵となる因子であるサイトカイン群を確認し、T細胞療法の効力を改善する。一態様では、本発明は、バイオマーカー性サイトカインのアップレギュレーションを誘導することまたは血清レベルを増加させることに関する。T細胞療法の実施前の1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与は、バイオマーカー性サイトカインのレベルを増加させ、T細胞の恒常性増殖、活性化、および輸送に好都合な方法で免疫環境を改変する。養子移植されたT細胞が患者に投与された後、それらは、増加したレベルの内因性サイトカインに曝露される。T細胞の効力を示すバイオマーカー性サイトカインには、非限定的に、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインが含まれる。
【0092】
本発明は、T細胞療法を必要とする患者におけるバイオマーカー性サイトカインの利用能を増加させる方法も含む。ある特定の態様では、バイオマーカー性サイトカインは、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なバイオマーカー性サイトカインである。
【0093】
ある特定の態様では、本発明は、
(i)第1の用量の1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後にバイオマーカー性サイトカイン(例えば、IL-15またはIL-7)の血清レベルを測定する段階、および
(ii)増加したレベルの1つまたは複数のバイオマーカー性サイトカインを示す患者(例えば、T細胞療法に応答する可能性がより高い患者)にT細胞療法を施す段階
を含む、患者のための処置選択肢を決定する方法を提供する。他の態様では、本発明は、
(i)第1の用量の1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後にバイオマーカー性サイトカイン(例えば、IL-15またはIL-7)の血清レベルを測定する段階、および
(ii)増加したレベルの1つもしくは複数のバイオマーカー性サイトカインを示さない患者、または閾値レベル未満の1つもしくは複数のバイオマーカー性サイトカインを示す患者(例えば、T細胞療法に応答する可能性が低い患者)に第2の用量の1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階
を含む、患者のための処置選択肢を決定する方法を提供する。いくつかの態様では、本発明は、
(i)1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後にバイオマーカー性サイトカイン(例えば、IL-15またはIL-7)の血清レベルを測定する段階、
(ii)増加したレベルの1つもしくは複数のバイオマーカー性サイトカインを示さない患者または閾値レベル未満の1つもしくは複数のバイオマーカー性サイトカインを示す患者に1つまたは複数のバイオマーカー性サイトカインを投与する段階、
(iii)増加したレベルの1つもしくは複数のバイオマーカー性サイトカインを示す患者または閾値レベルを超える1つもしくは複数のサイトカインを示す患者にT細胞療法を施す段階
を含む、患者のための処置選択肢を決定する方法を提供する。
【0094】
一態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IL-15のレベルにおける約5倍を超える、約10倍を超える、約15倍を超える、約20倍を超える、約25倍を超える、約30倍を超える、約35倍を超える、約40倍を超える、約45倍を超える、約50倍を超える、約60倍を超える、約70倍を超える、約80倍を超える、または約90倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。特定の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IL-15のレベルにおける約10倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IL-15のレベルにおける約20倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IL-15のレベルにおける約30倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。IL-15の血清レベルを増加させるために、外因性IL-15および/または追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与することができる。
【0095】
別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IL-7のレベルにおける約2倍を超える、約3倍を超える、約4倍を超える、約5倍を超える、約10倍を超える、約15倍を超える、約20倍を超える、約25倍を超える、約30倍を超える、約35倍を超える、約40倍を超える、約45倍を超える、約50倍を超える、約60倍を超える、約70倍を超える、約80倍を超える、または約90倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。特定の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IL-7レベルにおける約2倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。IL-7の血清レベルを増加させるために、外因性IL-7および/または追加的な用量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与することができる。
【0096】
他の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IP-10レベルにおける約2倍を超える、約3倍を超える、約4倍を超える、約5倍を超える、約6倍を超える、約7倍を超える、約8倍を超える、約9倍を超える、約10倍を超える、約15倍を超える、約20倍を超える、または約30倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。特定の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IP-10レベルにおける約2倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IP-10レベルにおける約3倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IP-10レベルにおける約4倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清IP-10レベルにおける約7倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。IP-10の血清レベルを増加させるために、外因性IP-10および/または追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与することができる。
【0097】
いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清MCP-1レベルにおける約1.5倍を超える、約2倍を超える、約3倍を超える、約4倍を超える、約5倍を超える、約6倍を超える、約7倍を超える、約8倍を超える、約9倍を超える、約10倍を超える、約15倍を超える、または約20倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。他の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清MCP-1レベルにおける約2倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清MCP-1レベルにおける約3倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清MCP-1レベルにおける約5倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清MCP-1レベルにおける約7倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。MCP-1の血清レベルを増加させるために、外因性MCP-1および/または追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与することができる。
【0098】
ある特定の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清PLGFレベルにおける約1.5倍を超える、約2倍を超える、約3倍を超える、約4倍を超える、約5倍を超える、約10倍を超える、約15倍を超える、約20倍を超える、約25倍を超える、約30倍を超える、約35倍を超える、約40倍を超える、約45倍を超える、約50倍を超える、約60倍を超える、約70倍を超える、約80倍を超える、約90倍を超える、または約100倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。特定の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清PLGFレベルにおける約1.5倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清PLGFレベルにおける約2倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清PLGFレベルにおける約3倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。PLGFの血清レベルを増加させるために、外因性PLGFおよび/または追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与することができる。
【0099】
他の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清CRPレベルにおける約1.5倍を超える、約2倍を超える、約3倍を超える、約4倍を超える、約5倍を超える、約9倍を超える、約10倍を超える、約15倍を超える、約20倍を超える、約25倍を超える、約30倍を超える、約35倍を超える、約40倍を超える、約45倍を超える、約50倍を超える、約60倍を超える、約70倍を超える、約80倍を超える、約90倍を超える、または約100倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。特定の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清CRPレベルにおける約1.5倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清CRPレベルにおける約2倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清CRPレベルにおける約5倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清CRPレベルにおける約9倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清CRPレベルにおける約10倍を超える増加は、患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。別の態様では、T細胞療法に適する患者におけるCRPのレベルは、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後の血清CRPレベルにおいて少なくとも約25倍を超えるだけ増加し、これは患者がT細胞療法に応答する可能性がより高いことを示す。CRPの血清レベルを増加させるために、外因性CRPおよび/または追加的な用量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与することができる。
【0100】
いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、インターロイキン10(「IL-10」)、インターロイキン5(「IL-5」)、インターロイキン8(「IL-8」)、可溶性細胞間接着分子1(「sICAM-1」)、可溶性血管接着分子1(「sVCAM-1」)、またはそれらの任意の組合せの血清レベルをさらに増加させる。
【0101】
いくつかの態様では、任意の1つまたは複数のサイトカインの血清レベルは、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与の日または1日もしくは複数の日前およびT細胞療法の実施の日からT細胞療法の実施の21日後までより選択される1日または複数の日に測定される。
【0102】
当業者は、非限定的に、本明細書記載の1つまたは複数の予備コンディショニング剤の使用、本明細書に記載するように患者への1つまたは複数の外因性サイトカインの投与、1つまたは複数の内因性サイトカインの発現を誘導するまたは分解を防止する1つまたは複数の組成物の投与、1つまたは複数の組換えサイトカインを発現する能力がある1つまたは複数のトランスジェニック細胞の投与、および患者におけるバイオマーカー性サイトカインのレベルを増加させる効果を有する任意の他の方法を含む、いくつかの異なる方法によってバイオマーカー性サイトカインのレベルを増加させることができることを認識している。
【0103】
いくつかの態様では、本発明は、患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤ならびに有効量のIL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインを投与する段階を含む、T細胞療法を必要とする患者を予備コンディショニングする方法を含む。患者に投与されるべきサイトカインは、当技術分野において公知の任意の方法によって得ることができる。例えば、サイトカインは、単離されたサイトカインまたは組換えサイトカインであり得る。単離されたサイトカインまたは組換えサイトカインの1つまたは複数の用量は、T細胞療法の前、またはT細胞療法の後、またはそれらの任意の組合せで投与することができる。
【0104】
一態様では、T細胞療法を必要とする患者をコンディショニングする方法は、患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤および1つまたは複数の用量のIL-2を投与する段階を含む。いくつかの態様では、IL-2の用量は、少なくとも約10,000IU/kg、少なくとも約50,000IU/kg、少なくとも約100,000IU/kg、少なくとも約200,000IU/kg、少なくとも約400,000IU/kg、少なくとも約600,000IU/kg、少なくとも約700,000IU/kg、少なくとも約800,000IU/kg、または少なくとも約1,000,000IU/kgである。一態様では、IL-2の用量は、少なくとも約700,000IU/kgである。特定の一態様では、IL-2の用量は約720,000IU/kgである。いくつかの態様では、IL-2は、15用量までまたは毒性が追加的な用量を妨げるまで8時間毎に患者に投与される。
【0105】
1つもしくは複数の予備コンディショニング剤および/またはT細胞療法の実施後の患者の血清において、様々なサイトカインが濃縮されることができる。いくつかの態様では、1つもしくは複数の予備コンディショニング剤および/またはT細胞療法の実施後の患者は、インターロイキン(IL)15、IL-7、IL-10、IL-5、IL-8、IL-1、IL-1b、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-9、IL-11、IL-12、IL-12p40、IL-12p70、IL-13、IL-14、IL-16、IL-17、IL-17a、IL-20、IL-21、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、MCP-4、ガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、胎盤成長因子(PLGF)、可溶性細胞間接着分子1(sICAM-1)、可溶性血管接着分子1(sVCAM-1)、C反応性タンパク質(CRP)、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF-C、VEGF-D、マクロファージ炎症タンパク質1β(MIP-1β、MIP-1b)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、インターフェロン(IFN)アルファ、IFN-ベータ、IFN-ガンマ、腫瘍壊死因子(TNF)アルファ、TNF-ベータ、CD154、リンホトキシン(LT)ベータ、4-1BBリガンド(4-1BBL)、増殖誘導リガンド(APRIL)、CD70、CD153、CD178、グルココルチコイド誘導TNFR関連リガンド(GITRL)、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)、OX40L、TNFおよびApoL関連白血球発現リガンド1(TALL-1)、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド(CCL)1、マクロファージ炎症タンパク質1アルファ(MIP-1aまたはCCL3)、CCL5、単球特異的ケモカイン3(MCP3またはCCL7)、単球走化性タンパク質2(MCP-2またはCCL8)、CCL13、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARCまたはCCL17)、CCL22、FGF2、エオタキシン、MDC、グランジンA、グランジンB、パーフォリン、SAA、MCP-4、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択される、増加した血清濃度のサイトカインまたは炎症促進因子を示す。いくつかの態様では、シクロホスファミドおよびフルダラビンの投与後に、患者は、IL-15および/またはIP-10の増加した血清レベルを示す。いくつかの態様では、シクロホスファミドおよびフルダラビンの投与後に、患者は、パーフォリンの減少した血清レベルを示す。
【0106】
予備コンディショニング剤
本発明の1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、および/またはそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルのレベルを増加させる能力がある任意の予備コンディショニング剤であり得る。例えば、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、アルキル化剤を含むことができる。ある特定の態様では、アルキル化剤は、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ムスチン(HN2)、ウラムスチン、ウラシルマスタード、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ベンダムスチン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、スルホン酸アルキル、ブスルファン、チオテパまたはその類似体、その任意の類似体またはその機能的誘導体、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択することができる。特定の一態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、シクロホスファミドを含む。
【0107】
シクロホスファミド(ENDOXAN(登録商標)、CYTOXAN(登録商標)、PROCYTOX(登録商標)、NEOSAR(登録商標)、REVIMMUNE(登録商標)、CYCLOBLASTIN(登録商標))は、強力な免疫抑制活性を有するナイトロジェンマスタード誘導アルキル化剤である。シクロホスファミドは、抗悪性腫瘍薬として作用し、リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、菌状息肉症、神経芽腫、卵巣がん、眼がん、および乳がんを含む様々なタイプのがん、ならびに自己免疫障害を処置するために使用される。
【0108】
シクロホスファミドは、患者に投与された後、肝臓においてアクロレインおよびホスホラミドに変換される。これらの代謝物は、一緒になって、休止細胞および分裂中の細胞の両方においてDNAのグアニン塩基のイミダゾール環の7位の窒素原子にアルキル基を付加することによってDNAを架橋する。結果として、DNAの複製は阻害され、細胞死に繋がる。
【0109】
別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、白金系化学療法剤を含むことができる。ある特定の態様では、白金系化学療法剤は、白金、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、四硝酸トリプラチン(triplatin tetranitrate)、プロカルバジン、アルトレタミン、トリアゼン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、ダカルバジン、テモゾロミド、その任意の類似体または機能的誘導体、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0110】
別の態様では、1つまたは複数予備コンディショニング剤は、プリン類似体を含むことができる。ある特定の態様では、プリン類似体は、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、メルカプトプリン、チオプリン、チオグアニン、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン、その任意の類似体または機能的誘導体、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。一態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、フルダラビンを含む。
【0111】
フルダラビンリン酸エステル(FLUDARA(登録商標))は、糖部がリボースまたはデオキシリボースの代わりにアラビノースである点が生理的ヌクレオシドと異なる、合成プリンヌクレオシドである。フルダラビンは、プリン拮抗性代謝拮抗物質として作用し、様々なリンパ腫および白血病を含む様々なタイプの血液悪性疾患を処置するために使用される。
【0112】
フルダラビンは、患者に投与された後、2-フルオロ-ara-Aに迅速に脱リン酸され、次に細胞内でデオキシシチジンキナーゼによって活性三リン酸エステルである2-フルオロ-ara-ATPにリン酸化される。次に、この代謝物は、おそらくDNAポリメラーゼアルファ、リボヌクレオチドレダクターゼ、およびDNAプライマーゼを阻害することでDNA合成を阻害することによって、DNA複製を妨害する。結果として、フルダラビンの投与は、分裂中の細胞における増加した細胞死に繋がる。
【0113】
いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、シクロホスファミドおよびプリン類似体を含むことができる。プリン類似体は、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、メルカプトプリン、チオプリン、チオグアニン、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン、その任意の類似体または機能的誘導体、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択することができる。特定の一態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、シクロホスファミドおよびペントスタチンを含む。特定の一態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、シクロホスファミドおよびフルダラビンを含む。
【0114】
ある特定の態様では、第1の用量の1つまたは複数の予備コンディショニング剤が患者に投与される。例えば、一部の態様では、第1の用量のシクロホスファミドは、約300mg/m2/日~約2000mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの第1の用量は、300mg/m2/日よりも高く、2000mg/m2/日未満である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は、約350mg/m2/日~約2000mg/m2/日、少なくとも約400mg/m2/日~約2000mg/m2/日、約450mg/m2/日~約2000mg/m2/日、約500mg/m2/日~約2000mg/m2/日、約550mg/m2/日~約2000mg/m2/日、または約600mg/m2/日~約2000mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は、約350mg/m2/日~約1500mg/m2/日、約350mg/m2/日~約1000mg/m2/日、約400mg/m2/日~約900mg/m2/日、約450mg/m2/日~約800mg/m2/日、約450mg/m2/日~約700mg/m2/日、約500mg/m2/日~約600mg/m2/日、または約300mg/m2/日~約500mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの用量は、約350mg/m2/日、約400mg/m2/日、約450mg/m2/日、約500mg/m2/日、約550mg/m2/日、約600mg/m2/日、約650mg/m2/日、約700mg/m2/日、約800mg/m2/日、約900mg/m2/日、または約1000mg/m2/日である。
【0115】
別の態様では、シクロホスファミドの第1の用量は、約200mg/m2/日~約3000mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの第1の用量は、200mg/m2/日よりも高く、3000mg/m2/日未満である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は、約200mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約300mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約400mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約500mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約600mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約700mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約800mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約900mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約1000mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約1100mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約1200mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約1300mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約1400mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約1500mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約1600mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約1700mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約1800mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約1900mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約2000mg/m2/日~約3000mg/m2/日、約200mg/m2/日~約2900mg/m2/日、約400mg/m2/日~約2800mg/m2/日、約500mg/m2/日~約2700mg/m2/日、約600mg/m2/日~約2600mg/m2/日、約700mg/m2/日~約2500mg/m2/日、約800mg/m2/日~約2400mg/m2/日、約900mg/m2/日~約2350mg/m2/日、約1000mg/m2/日~約2300mg/m2/日、約1100mg/m2/日~約2250mg/m2/日、または約1110mg/m2/日~約2220mg/m2/日である。ある態様では、シクロホスファミドの第1の用量は、200mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの第1の用量は、300mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの第1の用量は、500mg/m2/日である。
【0116】
いくつかの態様では、フルダラビンの第1の用量は、約20mg/m2/日~約900mg/m2/日である。いくつかの態様では、フルダラビンの用量は、30mg/m2/日よりも高く、900mg/m2/日未満である。いくつかの態様では、フルダラビンの用量は、約35mg/m2/日~約900mg/m2/日、約40mg/m2/日~約900mg/m2/日、約45mg/m2/日~約900mg/m2/日、約50mg/m2/日~約900mg/m2/日、約55mg/m2/日~約900mg/m2/日、または約60mg/m2/日~約900mg/m2/日である。いくつかの態様では、フルダラビンの用量は、約35mg/m2/日~約900mg/m2/日、約35mg/m2/日~約800mg/m2/日、約35mg/m2/日~約700mg/m2/日、約35mg/m2/日~約600mg/m2/日、約35mg/m2/日~約500mg/m2/日、約35mg/m2/日~約400mg/m2/日、約35mg/m2/日~約300mg/m2/日、約35mg/m2/日~約200mg/m2/日、約35mg/m2/日~約100mg/m2/日、約40mg/m2/日~約90mg/m2/日、約45mg/m2/日~約80mg/m2/日、約45mg/m2/日~約70mg/m2/日、または約50mg/m2/日~約60mg/m2/日である。いくつかの態様では、フルダラビンの用量は、約20mg/m2/日、約25mg/m2/日、約30mg/m2/日、約35mg/m2/日、約40mg/m2/日、約45mg/m2/日、約50mg/m2/日、約55mg/m2/日、約60mg/m2/日、約65mg/m2/日、約70mg/m2/日、約75mg/m2/日、約80mg/m2/日、約85mg/m2/日、約90mg/m2/日、約95mg/m2/日、約100mg/m2/日、約200mg/m2/日、または約300mg/m2/日である。いくつかの態様では、フルダラビンの用量は、約20mg/m2/日、約25mg/m2/日、約30mg/m2/日、約35mg/m2/日、約40mg/m2/日、約45mg/m2/日、約50mg/m2/日、約55mg/m2/日、約60mg/m2/日、約65mg/m2/日、約70mg/m2/日、約75mg/m2/日、約80mg/m2/日、約85mg/m2/日、約90mg/m2/日、約95mg/m2/日、または約100mg/m2/日である。他の態様では、フルダラビンの用量は、約110mg/m2/日、120mg/m2/日、130mg/m2/日、140mg/m2/日、150mg/m2/日、160mg/m2/日、170mg/m2/日、180mg/m2/日、または190mg/m2/日である。いくつかの態様では、フルダラビンの用量は、約210mg/m2/日、220mg/m2/日、230mg/m2/日、240mg/m2/日、250mg/m2/日、260mg/m2/日、270mg/m2/日、280mg/m2/日、または290mg/m2/日である。特定の一態様では、フルダラビンの用量は約20mg/m2/日である。特定の一態様では、フルダラビンの用量は約25mg/m2/日である。別の態様では、フルダラビンの用量は約30mg/m2/日である。
別の態様では、フルダラビンの用量は約60mg/m2/日である。
【0117】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、100mg/m2/日(または110mg/m2/日、120mg/m2/日、130mg/m2/日、もしくは140mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0118】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、150mg/m2/日(または160mg/m2/日、170mg/m2/日、180mg/m2/日、もしくは190mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0119】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、約200mg/m2/日(または210mg/m2/日、220mg/m2/日、230mg/m2/日、もしくは240mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0120】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、250mg/m2/日(または260mg/m2/日、270mg/m2/日、280mg/m2/日、もしくは290mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0121】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、300mg/m2/日(または310mg/m2/日、320mg/m2/日、330mg/m2/日、もしくは340mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0122】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、350mg/m2/日(または360mg/m2/日、370mg/m2/日、380mg/m2/日、もしくは390mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0123】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、400mg/m2/日(または410mg/m2/日、420mg/m2/日、430mg/m2/日、もしくは440mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0124】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、450mg/m2/日(または460mg/m2/日、470mg/m2/日、480mg/m2/日、もしくは490mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0125】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、500mg/m2/日(または510mg/m2/日、520mg/m2/日、530mg/m2/日、もしくは540mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0126】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、550mg/m2/日(または560mg/m2/日、570mg/m2/日、580mg/m2/日、もしくは590mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0127】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、600mg/m2/日(または610mg/m2/日、620mg/m2/日、630mg/m2/日、もしくは640mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0128】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、650mg/m2/日(または660mg/m2/日、670mg/m2/日、680mg/m2/日、もしくは690mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0129】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、700mg/m2/日(または710mg/m2/日、720mg/m2/日、730mg/m2/日、もしくは740mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0130】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、750mg/m2/日(または760mg/m2/日、770mg/m2/日、780mg/m2/日、もしくは790mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0131】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、800mg/m2/日(または810mg/m2/日、820mg/m2/日、830mg/m2/日、もしくは840mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0132】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、850mg/m2/日(または860mg/m2/日、870mg/m2/日、880mg/m2/日、もしくは890mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0133】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、900mg/m2/日(または910mg/m2/日、920mg/m2/日、930mg/m2/日、もしくは940mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0134】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、950mg/m2/日(または960mg/m2/日、970mg/m2/日、980mg/m2/日、もしくは990mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0135】
いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は、1000mg/m2/日(または1010mg/m2/日、1020mg/m2/日、1030mg/m2/日、もしくは1040mg/m2/日)であり、フルダラビンの用量は、5mg/m2/日、10mg/m2/日、15mg/m2/日、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、35mg/m2/日、40mg/m2/日、45mg/m2/日、50mg/m2/日、55mg/m2/日、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、または75mg/m2/日である。
【0136】
他の態様では、シクロホスファミドの用量は、100mg/m2/日~650mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は、10mg/m2/日~50mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は、150mg/m2/日~600mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は、20mg/m2/日~50mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は、200mg/m2/日~550mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は、20mg/m2/日~40mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は、250mg/m2/日~550mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は、15mg/m2/日~45mg/m2/日である。
【0137】
ある特定の態様では、シクロホスファミドの用量は1000mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は、60mg/m2/日、65mg/m2/日、70mg/m2/日、75mg/m2/日、80mg/m2/日、85mg/m2/日、90mg/m2/日、95mg/m2/日、100mg/m2/日、105mg/m2/日、110mg/m2/日、115mg/m2/日、120mg/m2/日、125mg/m2/日、130mg/m2/日、135mg/m2/日、140mg/m2/日、145mg/m2/日、150mg/m2/日、155mg/m2/日、160mg/m2/日、165mg/m2/日、170mg/m2/日、175mg/m2/日、180mg/m2/日、185mg/m2/日、190mg/m2/日、195mg/m2/日、200mg/m2/日、205mg/m2/日、210mg/m2/日、215mg/m2/日、220mg/m2/日、225mg/m2/日、230mg/m2/日、235mg/m2/日、240mg/m2/日、245mg/m2/日、または250mg/m2/日である。
【0138】
一態様では、シクロホスファミドの用量は約500mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は約60mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの用量は約300mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は約30mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの用量は約200mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は約20mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの用量は約200mg/m2/日でありフルダラビンの用量は約30mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの用量は約500mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は約30mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの用量は約300mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は約60mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの用量は約500mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は約60mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの用量は約1110mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は約25mg/m2/日である。別の態様では、シクロホスファミドの用量は約2220mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は約25mg/m2/日であり、その際、患者は、シクロホスファミドおよびフルダラビンの投与後に、IL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せ、例えば、IL-15、IP-10、および/もしくはIL-7の増加した血清レベル、またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示す。別の態様では、シクロホスファミドの用量は約60mg/kg/日であり、フルダラビンの用量は約25mg/m2/日であり、その際、患者は、シクロホスファミドおよびフルダラビンの投与後にIL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せ、例えば、IL-15、IP-10、および/もしくはIL-7の増加した血清レベル、またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示す。別の態様では、シクロホスファミドの用量は約30mg/kg/日であり、フルダラビンの用量は約25mg/m2/日である。特定の一態様では、シクロホスファミドは、フルダラビンの前、後または同時に投与される。ある特定の態様では、シクロホスファミドは、フルダラビンの前に投与される。
【0139】
1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与のタイミングは、効果を最大限にするように調整することができる。ある特定の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、2つ以上の予備コンディショニング剤を含む。2つ以上の予備コンディショニング剤は、同時にまたは順次投与することができる。特定の一態様では、第1の予備コンディショニング剤、例えばシクロホスファミドは、第2の予備コンディショニング剤、例えばフルダラビンの前または後に患者に投与される。
【0140】
シクロホスファミドおよびフルダラビンの用量は、一緒にまたは独立して増大または低減することができる。例えば、シクロホスファミドの用量を増加させることができる一方で、フルダラビンの用量は低下され、シクロホスファミドの用量を低下させることができる一方で、フルダラビンの用量は増加される。あるいは、シクロホスファミドおよびフルダラビンの両方の用量を一緒に増加または低下させることができる。いくつかの態様では、シクロホスファミドの用量は300mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は20mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は300mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は30mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は300mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は60mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は500mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は20mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は500mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は30mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は500mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は60mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は200mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は20mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は200mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は30mg/m2/日である。他の態様では、シクロホスファミドの用量は200mg/m2/日であり、フルダラビンの用量は60mg/m2/日である。
【0141】
本明細書記載のように、T細胞療法が投与される日は、第0日と称される。1つまたは複数の予備コンディショニング剤を、T細胞療法の実施前の任意の時間に投与することができる。いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与は、T細胞療法の実施の少なくとも7日前、少なくとも6日前、少なくとも5日前、少なくとも4日前、少なくとも3日前、少なくとも2日前、または少なくとも1日前に始まる。他の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与は、T細胞療法の実施の少なくとも8日前、少なくとも9日前、少なくとも10日前、少なくとも11日前、少なくとも12日前、少なくとも13日前、または少なくとも14日前に始まる。一態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与は、T細胞療法の実施の約7日前に始まる。別の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与は、T細胞療法の実施の約5日前に始まる。
【0142】
一態様では、第1の予備コンディショニング剤の投与はT細胞療法の実施の約7日前に始まり、かつ第2の予備コンディショニング剤の投与はT細胞療法の実施の約5日前に始まる。特定の一態様では、第1の予備コンディショニング剤は、患者に、T細胞療法の実施の約7日前か約6日前に2日間投与される。別の態様では、第2の予備コンディショニング剤は、患者に、T細胞療法の実施の約5、4、3、2、および1日前に5日間投与される。別の態様では、第1の予備コンディショニング剤は、患者に、T細胞療法の実施の約5、4、および3日前に3日間投与される。
【0143】
特定の一態様では、シクロホスファミドの投与はT細胞療法の実施の約7日前に始まり、かつプリン類似体(例えば、フルダラビンまたはペントスタチン)の投与はT細胞療法の実施の約5日前に始まる。別の態様では、シクロホスファミドの投与は、T細胞療法の実施の約5日前に始まり、プリン類似体(例えば、フルダラビンまたはペントスタチン)の投与は、T細胞療法の実施の約5日前に始まる。
【0144】
各成分の投与のタイミングは、効果を最大限にするように調整することができる。一般的に、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、毎日投与することができる。いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間毎日投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、または少なくとも7日間毎日投与することができる。特定の一態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、約3日間毎日投与される。
【0145】
本明細書記載のように、T細胞療法が患者に投与される日は、第0日と称される。いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤、例えばシクロホスファミドは、第0日から7日前および6日前(すなわち第-7日および第-6日)に患者に投与される。他の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤、例えばシクロホスファミドは、第-5日、第-4日、および第-3日に患者に投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤、例えばフルダラビンは、第-5日、第-4日、第-3日、第-2日、および第-1日に患者に投与される。他の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤、例えばフルダラビンは、第-5日、第-4日、および第-3日に患者に投与される。
【0146】
1つまたは複数の予備コンディショニング剤、例えば、シクロホスファミドおよびフルダラビンは、同じまたは異なる日に投与することができる。シクロホスファミドおよびフルダラビンが同じ日に投与される場合、シクロホスファミドの用量をフルダラビンの用量の前または後のいずれかに投与することができる。一態様では、シクロホスファミドの用量は、第-7日および第-6日に患者に投与され、フルダラビンの用量は、第-5日、第-4日、第-3日、第-2日、および第-1日に患者に投与される。別の態様では、シクロホスファミドの用量は、第-5日、第-4日、および第-3日に患者に投与され、フルダラビンの用量は、第-5日、第-4日、および第-3日に患者に投与される。
【0147】
ある特定の態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤、例えば、シクロホスファミドおよびフルダラビンは、同時にまたは順次投与することができる。一態様では、シクロホスファミドは、フルダラビンの前に患者に投与される。別の態様では、シクロホスファミドは、フルダラビンの後に患者に投与される。
【0148】
1つまたは複数の予備コンディショニング剤は、静脈内(IV)または経口を含む任意の経路により投与することができる。いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤、例えば、シクロホスファミドは、IVにより約30分かけて、約35分かけて、約40分かけて、約45分かけて、約50分かけて、約55分かけて、約60分かけて、約90分かけて、約120分かけて投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の予備コンディショニング剤、例えば、フルダラビンは、IVにより約10分かけて、約15分かけて、約20分かけて、約25分かけて、約30分かけて、約35分かけて、約40分かけて、約45分かけて、約50分かけて、約55分かけて、約60分かけて、約90分かけて、約120分かけて投与される。
【0149】
ある特定の態様では、T細胞療法は、1つまたは複数の予備コンディショニング剤、例えば、シクロホスファミドおよびフルダラビンの投与後に患者に投与される。いくつかの態様では、T細胞療法は、養子細胞療法を含む。ある特定の態様では、養子細胞療法は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)免疫療法、自己細胞療法、操作自己細胞療法(eACT)、および同種T細胞移植より選択される。特定の一態様では、eACTは、操作抗原特異的キメラ抗原レセプター(CAR)陽性(+)T細胞の投与を含む。別の態様では、eACTは、操作抗原特異的T細胞レセプター(TCR)陽性(+)T細胞の投与を含む。いくつかの態様では、操作T細胞は、患者における腫瘍を処置する。
【0150】
様々な他の介入が、本明細書記載の方法に含まれ得る。例えば、予備コンディショニング剤、例えば、シクロホスファミドおよびフルダラビンは、投与後に患者に有害事象を引き起こす可能性があることが周知である。これらの有害事象の一部を減少させるために組成物を患者に投与することができることも、本発明の範囲内である。いくつかの態様では、この方法は、患者に生理食塩水を投与する段階をさらに含む。生理食塩水は、1つもしくは複数の予備コンディショニング剤の投与の前もしくは後のいずれかに、または1つもしくは複数の予備コンディショニング剤の投与の前および後の両方に、患者に投与することができる。ある特定の態様では、生理食塩水は、1つまたは複数の予備コンディショニング剤と同時に投与される。特定の一態様では、生理食塩水は、各注入日に、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前および1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に患者に投与される。
【0151】
生理食塩水は、例えば、静脈内または経口を含む任意の経路により患者に投与することができる。いくつかの態様では、この方法は、生理食塩水約0.1L、約0.2L、約0.3L、約0.4L、約0.5L、約0.6L、約0.7L、約0.8L、約0.9L、約1L、約1.1L、約1.2L、約1.3L、約1.4L、約1.5L、約1.6L、約1.7L、約1.8L、約1.9L、または約2.0L投与する段階を含む。生理食塩水のNaClは、終濃度約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2.0%になるように溶解することができる。一態様では、この方法は、患者に0.9% NaCl生理食塩水1.0Lを投与する段階を含む。特定の一態様では、この方法は、各注入日に1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前および1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に患者に0.9% NaCl生理食塩水1.0Lを投与する段階を含む。
【0152】
さらに、補助剤および賦形剤も患者に投与することができる。例えば、メスナ(2-スルファニルエタンスルホン酸ナトリウム(sodium 2-sulfanylthanesulfonate))は、シクロホスファミドを用いた処置後に起こる可能性がある出血性膀胱炎および血尿を阻止するための解毒剤として作用する補助剤である。シクロホスファミドは、インビボでアクロレインのような尿毒性代謝物に変換される可能性がある。メスナは、そのスルフヒドリル基とビニル基との反応によりこれらの代謝物を解毒することを助ける。メスナは、システインの尿排泄も増加させる。ある特定の態様では、この方法は、患者にメスナを投与する段階をさらに含む。メスナは、シクロホスファミドおよび/もしくはフルダラビンの投与前、シクロホスファミドおよび/もしくはフルダラビンの投与後、またはシクロホスファミドおよび/もしくはフルダラビンの投与前および後の両方に投与することができる。一態様では、メスナは、静脈内または経口(口を経由して)投与される。例えば、経口のメスナは、経口のシクロホスファミドと共に与えることができる。
【0153】
加えて、本明細書記載の方法において、外因性サイトカインも患者に投与され得る。上述のように、内因性リンパ球の数を減少させることが、養子移植されたT細胞の増殖、活性化、および輸送に好都合であり得るサイトカインのような内因性分子のバイオアベイラビリティーを増加させると仮定されている。したがって、様々なサイトカインが患者に投与され得る。一態様では、この方法は、1つまたは複数の用量のIL-2、IL-15、IL-7、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、またはそれらの任意の組合せを投与する段階をさらに含む。特定の一態様では、この方法は、1つまたは複数の用量のIL-2を投与する段階を含む。IL-2の用量は、少なくとも約10,000IU/kg、少なくとも約50,000IU/kg、少なくとも約100,000IU/kg、少なくとも約200,000IU/kg、少なくとも約400,000IU/kg、少なくとも約600,000IU/kg、少なくとも約700,000IU/kg、少なくとも約800,000IU/kg、または少なくとも約1,000,000IU/kgであり得る。
【0154】
T細胞療法
本発明は、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与することによって患者を予備コンディショニングする段階を含む、T細胞療法に適する患者においてがんを処置するための方法であって、患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法で処置される方法を提供する。予備コンディショニング方式は、一般的に、T細胞の恒常性増殖、活性化、および輸送に好都合であり得るIL-15、IL-7および少なくとも1つの追加的なサイトカインの誘導により免疫環境を改変するように役立つので、様々な異なるT細胞療法が、本明細書記載のコンディショニング方法から利益を得ることができる。当業者は、この方法が、患者に1つまたは複数のT細胞を投与する段階を含む、患者を処置する任意の方法に適用できることを理解するであろう。
【0155】
例えば非限定的に、本明細書記載の方式は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)免疫療法、自己細胞療法、操作自己細胞療法(eACT)、同種T細胞移植、非T細胞移植、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される養子T細胞療法であり得るT細胞療法の有効性を強化することができる。養子T細胞療法には、腫瘍細胞を認識し、かつ腫瘍細胞と結合する能力がある患者の自己T細胞または同種T細胞を、選択する、インビトロ濃縮する、および患者に投与する、任意の方法が広く含まれる。TIL免疫療法は、腫瘍組織に浸潤する能力があるリンパ球が単離され、インビトロ濃縮され、および患者に投与される、養子T細胞療法のタイプである。TIL細胞は、自己または同種のいずれかであり得る。自己細胞療法は、患者からの腫瘍細胞を標的指向する能力があるT細胞を単離する段階、T細胞をインビトロ濃縮する段階、ならびに同じ患者にT細胞を投与し戻す段階を伴う養子T細胞療法である。同種T細胞移植は、エクスビボで増殖させた天然T細胞または遺伝子操作されたT細胞の移植片を含むことができる。上により詳細に記載する操作自己細胞療法は、患者自身のリンパ球を単離し、腫瘍標的指向分子を発現するように遺伝的に改変し、インビトロで増殖し、患者に投与し戻される養子T細胞療法である。非T細胞移植は、非限定的に、ナチュラルキラー(NK)細胞などの非T細胞を用いた自己療法または同種療法を含むことができる。
【0156】
特定の一態様では、本発明のT細胞療法は、操作自己細胞療法(eACT(商標))である。この態様によると、この方法は、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前に患者から血液細胞を収集する段階を含むことができる。次に、単離された血液細胞(例えばT細胞)は、キメラ抗原レセプター(「操作CAR T細胞」)またはT細胞レセプター(「操作TCR T細胞」)を発現するように操作することができる。いくつかの態様では、T細胞療法は、操作CAR T細胞療法または操作TCR T細胞療法を含む。特定の態様では、操作CAR T細胞または操作TCR T細胞は、1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与した後に患者に投与される。いくつかの態様では、操作CAR T細胞または操作TCR T細胞は、患者における腫瘍を処置する。ある態様では、操作CAR Tは腫瘍サイズを減少させる。別の態様では、操作TCR T細胞は、腫瘍サイズを減少させる。
【0157】
一態様では、T細胞は、キメラ抗原レセプターを発現するように操作される。キメラ抗原レセプターは、腫瘍抗原に対する結合分子を含むことができる。結合分子は、抗体またはその抗原結合分子であり得る。例えば、抗原結合分子は、scFv、Fab、Fab'、Fv、F(ab')2、およびdAb、ならびにその任意のフラグメントまたは組合せより選択することができる。
【0158】
キメラ抗原レセプターは、ヒンジ領域をさらに含むことができる。ヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、IgM、CD28、またはCD8アルファのヒンジ領域由来であり得る。特定の一態様では、ヒンジ領域は、IgG4のヒンジ領域に由来する。
【0159】
キメラ抗原レセプターは、膜貫通ドメインも含むことができる。膜貫通ドメインは、免疫細胞上の共レセプターである任意の膜貫通分子の膜貫通ドメインまたは免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーの膜貫通ドメインであり得る。ある特定の態様では、膜貫通ドメインは、CD28、CD8アルファ、CD4、またはCD19の膜貫通ドメインに由来する。特定の一態様では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメイン由来のドメインを含む。
【0160】
キメラ抗原レセプターは、1つまたは複数の共刺激シグナル伝達領域をさらに含むことができる。例えば、共刺激シグナル伝達領域は、CD28、OX-40、4-1BB、CD27、誘導性T細胞共刺激分子(ICOS)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD247、Igアルファ(CD79a)、またはFcガンマレセプターのシグナル伝達領域であり得る。特定の一態様では、共刺激シグナル伝達領域は、CD28シグナル伝達領域である。
【0161】
一態様では、キメラ抗原レセプターは、CD3ゼータシグナル伝達ドメインをさらに含む。
【0162】
キメラ抗原レセプターは、特定の腫瘍抗原を標的指向するように操作することができる。いくつかの態様では、腫瘍抗原は、CD19 CD20、ROR1、CD22、がん胎児性抗原、アルファフェトプロテイン、CA-125、5T4、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、前立腺特異抗原、メラノーマ関連抗原、変異型p53、変異型ras、HER2/Neu、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gpl20、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、GD2、CD123、CD33、CD138、CD23、CD30、CD56、c-Met、メソテリン、GD3、HERV-K、IL-llRアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、ERBB2、EGFRvIII、VEGFR2、HER2-HER3の組合せ、HER1-HER2の組合せ、およびそれらの任意の組合せより選択される。特定の一態様では、腫瘍抗原はCD19である。
【0163】
別の態様では、T細胞療法は、患者にT細胞レセプターを発現している操作T細胞(「操作TCR T細胞」)を投与する段階を含む。T細胞レセプター(TCR)は、腫瘍抗原に対する結合分子を含むことができる。いくつかの態様では、腫瘍抗原は、CD19 CD20、ROR1、CD22、がん胎児性抗原、アルファフェトプロテイン、CA-125、5T4、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、前立腺特異抗原、メラノーマ関連抗原、変異型p53、変異型ras、HER2/Neu、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gpl20、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、GD2、CD123、CD33、CD138、CD23、CD30、CD56、c-Met、メソテリン、GD3、HERV-K、IL-llRアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、ERBB2、EGFRvIII、VEGFR2、HER2-HER3の組合せ、HER1-HER2の組合せ、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0164】
一態様では、TCRは、ウイルスがん遺伝子に対する結合分子を含む。特定の一態様では、ウイルスがん遺伝子は、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、およびヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)より選択される。
【0165】
なお別の態様では、TCRは、精巣、胎盤、または胎児腫瘍抗原に対する結合分子を含む。特定の一態様では、精巣、胎盤、または胎児腫瘍抗原は、NY-ESO-1、滑膜肉腫Xブレイクポイント2(SSX2)、メラノーマ抗原(MAGE)、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0166】
別の態様では、TCRは、系列特異抗原に対する結合分子を含む。特定の一態様では、系列特異抗原は、T細胞に認識されるメラノーマ抗原1(MART-1)、gp100、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0167】
一態様では、T細胞療法は、CD19に結合するキメラ抗原レセプターを発現しており、かつCD28共刺激ドメインおよびCD3-ゼータシグナル伝達領域をさらに含む、操作CAR T細胞を患者に投与する段階を含む。特定の態様では、T細胞療法は、患者にKTE-C19を投与する段階を含む。
【0168】
本発明に含まれるT細胞療法は、患者へのT細胞の移植を伴う。T細胞は、治療有効量で投与することができる。例えば、治療有効量のT細胞、例えば、操作CAR+ T細胞または操作TCR+ T細胞は、少なくとも約104個、少なくとも約105個、少なくとも約106個、少なくとも約107個、少なくとも約108個、少なくとも約109個、または少なくとも約1010個であり得る。別の態様では、治療有効量のT細胞、例えば、操作CAR+ T細胞または操作TCR+ T細胞は、約104個、約105個、約106個、約107個、または約108個である。特定の一態様では、治療有効量のT細胞、例えば、操作CAR+ T細胞または操作TCR+ T細胞は、約1×105個/kg、約2×105個/kg、約3×105個/kg、約4×105個/kg、約5×105個/kg、約6×105個/kg、約7×105個/kg、約8×105個/kg、約9×105個/kg、約1×106個/kg、約2×106個/kg、約3×106個/kg、約4×106個/kg、約5×106個/kg、約6×106個/kg、約7×106個/kg、約8×106個/kg、約9×106個/kg、約1×107個/kg、約2×107個/kg、約3×107個/kg、約4×107個/kg、約5×107個/kg、約6×107個/kg、約7×107個/kg、約8×107個/kg、または約9×107個/kgである。特定の一態様では、T細胞、例えば、操作CAR+ T細胞または操作TCR+ T細胞の治療有効量は約2×106個/kgである。
【0169】
他の態様では、治療有効量のT細胞、例えば、操作CAR+ T細胞または操作TCR+ T細胞は、約1.0×105個/kg~約2×108個/kg、約2.0×105個/kg~約2×108個/kg、約3.0×105個/kg~約2×108個/kg、約4.0×105個/kg~約2×108個/kg、約5.0×105個/kg~約2×108個/kg、約6.0×105個/kg~約2×108個/kg、約7.0×105個/kg~約2×108個/kg、約8.0×105個/kg~約2×108個/kg、約9.0×105個/kg~約2×108個/kg、約0.5×106個/kg~約2×108個/kg、約2×106個/kg~約9×107個/kg、約3×106個/kg~約9×107個/kg、約4×106個/kg~約9×107個/kg、約5×106個/kg~約9×107個/kg、約6×106個/kg~約9×107個/kg、約7×106個/kg~約9×107個/kg、約8×106個/kg~約9×107個/kg、約9×106個/kg~約9×107個/kg、約1×107個/kg~約9×107個/kg、約2×107個/kg~約9×107個/kg、約3×107個/kg~約9×107個/kg、約4×107個/kg~約9×107個/kg、約5×107個/kg~約9×107個/kg、約6×107個/kg~約9×107個/kg、約7×107個/kg~約9×107個/kg、約8×107個/kg~約9×107個/kg、約2×106個/kg~約8×107個/kg、約2×106個/kg~約7×107個/kg、約2×106個/kg~約6×107個/kg、約2×106個/kg~約5×107個/kg、約2×106個/kg~約4×107個/kg、約2×106個/kg~約3×107個/kg、約2×106個/kg~約2×107個/kg、約2×106個/kg~約1×107個/kg、約2×106個/kg~約9×106個/kg、約2×106個/kg~約8×106個/kg、約2×106個/kg~約7×106個/kg、約2×106個/kg~約6×106個/kg、約2×106個/kg~約5×106個/kg、約2×106個/kg~約4×106個/kg、約2×106個/kg~約3×106個/kg、約3×106個/kg~約8×107個/kg、約4×106個/kg~約7×107個/kg、約5×106個/kg~約6×107個/kg、約6×106個/kg~約5×107個/kg、約7×106個/kg~約4×107個/kg、約8×106個/kg~約3×107個/kg、または約9×106個/kg~約2×107個/kgである。一態様では、治療有効量の操作CAR T細胞は、T細胞約0.8×106個/kg~約1.2×106個/kgである。特定の一態様では、治療有効量の操作CAR T細胞は、2.0×105個/kgである。特定の一態様では、治療有効量の操作CAR T細胞は、1.0×106個/kgである。
【0170】
がんの処置
本発明の方法は、対象におけるがんを処置する、腫瘍のサイズを減少させる、腫瘍細胞を死滅させる、腫瘍細胞の増殖を防止する、腫瘍の成長を防止する、患者から腫瘍を除去する、腫瘍の再発を防止する、腫瘍の転移を防止する、患者における寛解を誘導する、またはそれらの任意の組合せのために使用することができる。ある特定の態様では、この方法は、完全奏効を誘導する。他の態様では、この方法は、部分奏効を誘導する。
【0171】
処置され得るがんには、血管新生していない、まだ実質的に血管新生していない、または血管新生している腫瘍が含まれる。がんには、固形または非固形腫瘍も含まれ得る。ある特定の態様では、がんは、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚または眼内悪性メラノーマ、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部がん、胃がん、精巣がん、子宮がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、腟がん、外陰がん、ホジキン病、T細胞豊富B細胞リンパ腫(TCRBCL)、縦隔原発大細胞型B細胞性リンパ腫(PMBCL)、非ホジキンリンパ腫、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、慢性または急性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓または尿管がん、腎盂がん、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍の血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘導されるがんを含む環境誘導がん、および前記がんの組合せに由来する腫瘍より選択することができる。
【0172】
一態様では、この方法は、腫瘍を処置するために使用することができ、その際、腫瘍はリンパ腫または白血病である。リンパ腫および白血病は、リンパ球を特異的に冒す血液がんである。血中の全ての白血球は、骨髄中に見出される単一タイプの多能性造血幹細胞に起源をもつ。この幹細胞は、骨髄性前駆細胞およびリンパ性前駆細胞の両方を産生し、それらは次に、体内に見出される様々なタイプの白血球を生じさせる。骨髄性前駆細胞から発生する白血球には、Tリンパ球(T細胞)、Bリンパ球(B細胞)、ナチュラルキラー細胞、および形質細胞が含まれる。リンパ性前駆細胞から発生する白血球には、巨核球、マスト細胞、好塩基球、好中球、好酸球、単球、およびマクロファージが含まれる。リンパ腫および白血病は、患者におけるこれらの細胞タイプの1つまたは複数を冒す可能性がある。
【0173】
一般的に、リンパ腫は、少なくとも2つの亜群、すなわちホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫に分類することができる。非ホジキンリンパ腫(NHL)は、Bリンパ球、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞に起源をもつ不均一な群のがんである。米国では、B細胞リンパ腫が、報告された症例の80~85%に相当する。2013年にNHLの新症例およそ69,740例およびこの疾患に関連する死亡例19,000例超が生じると推定された。非ホジキンリンパ腫は、最も蔓延している血液悪性疾患であり、男性および女性の間の新たながんの部位の第7位であり、新たながん症例全体の4%およびがん関連死の3%を占める。
【0174】
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)は、NHL症例のおよそ30%を占める、NHLの最も一般的なサブタイプである。米国では毎年およそ22,000例のDLBCLの新たな診断が下される。これは、大多数の患者が従来の化学療法で治癒するアグレッシブなリンパ腫として分類される(NCCNガイドラインNHL2014)。
【0175】
DLBCLのための第一次療法は、典型的には、客観的奏効率約80%および完全奏効率約50%を有する(Coiffier 2002)、R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)のようなリツキシマブを用いるアントラサイクリン含有方式を含み、患者の約3分の1が初回治療に対して抗療性疾患を有するまたはR-CHOP後に再発する(Sehn 2005)。第一次療法に対する応答後に再発する患者について、患者のおよそ40~60%が追加的な化学療法で二次応答を達成することができる。自己幹細胞移植(ASCT)に適格な患者のための第二次療法についての標準治療は、それぞれ客観的奏効率約63%および完全奏効率約26%を有する、R-ICE(リツキシマブ、イホスファミド、カルボプラチン、およびエトポシド)およびR-DHAP(リツキシマブ、デキサメタゾン、シタラビン、およびシスプラチン)のようなリツキシマブおよび併用化学療法を含む(Gisselbrecht 2010)。第二次療法に応答する患者および移植に十分適合すると見なされる患者は、高用量化学療法を用いた地固めおよびASCTを受け、それは、移植された患者の約半数を治癒する(Gisselbrecht 2010)。ASCTが失敗した患者は、予後が非常に不良であり、治癒的選択肢がない。
【0176】
縦隔原発大細胞型B細胞性リンパ腫(PMBCL)は、DLBCLと比べて別個の臨床的、病理学的、および分子的特徴を有する。PMBCLは、胸腺(髄質)B細胞から発生すると考えられ、DLBCLと診断された患者のおよそ3%に相当する。PMBCLは、典型的には40代の比較的若い成人集団において確認され、女性がやや多い。遺伝子発現プロファイリングにより、PMBCLにおいて調節解除された経路はホジキンリンパ腫と重複することが示唆されている。PMBCLの初期療法は、一般的に、領域照射療法を行うまたは行わない、ビンクリスチン、プレドニゾン、およびリツキシマブ併用の注入用量調整エトポシド、ドキソルビシン、およびシクロホスファミド(DA-EPOCH-R)のような、リツキシマブ併用のアントラサイクリン含有方式を含む。
【0177】
B細胞リンパ腫である濾胞性リンパ腫(FL)は、最もよく見られるインドレント(緩徐進行)型NHLであり、全てのNHLのおよそ20%~30%を占める。FLを有する一部の患者は、よりアグレッシブで、不良転帰に関連するDLBCLに組織学的に形質転換する(TFL)。DLBCLへの組織学的形質転換は、年率およそ3%で15年間起こり、形質転換のリスクは、続く数年に低下し続ける。組織学的形質転換の生物学的メカニズムは未知である。TFLの初期処置は、濾胞性リンパ腫のための前治療によって影響されるが、一般的に、この疾患のアグレッシブ成分を除去するためにリツキシマブ併用のアントラサイクリン含有方式を含む。
【0178】
再発性/抗療性PMBCLおよびTFLのための処置選択肢は、DLBCLにおける選択肢と類似である。これらの疾患の低い有病率という状況から、これらの患者集団における大規模な前向き無作為化試験は行われていない。化学療法抗療性疾患を有する患者は、抗療性DLBCLを有する患者と類似またはより悪い予後を有する。
【0179】
要約すれば、抗療性アグレッシブNHL(例えば、DLBCL、PMBCLおよびTFL)を有する対象は、大きな対処されていない医学的必要があり、これらの集団において新規な処置を用いたさらなる研究が是認される。
【0180】
したがって、一部の態様では、この方法は、リンパ腫または白血病を処置するために使用することができ、その際、リンパ腫または白血病は、B細胞悪性疾患である。いくつかの態様では、リンパ腫または白血病は、B細胞慢性リンパ球性白血病/小細胞型リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫(例えば、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症)、脾性辺縁層リンパ腫、ヘアリーセル白血病、形質細胞性新生物(例えば、形質細胞性骨髄腫(すなわち多発性骨髄腫)、または形質細胞腫)、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(例えばMALTリンパ腫)、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換した濾胞性リンパ腫(TFL)、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、エプスタイン-バーウイルス陽性DLBCL、リンパ腫様肉芽腫症、縦隔原発(胸腺)大細胞型B細胞性リンパ腫(PMBCL)、血管内大細胞型B細胞性リンパ腫、ALK+大細胞型B細胞性リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に発生する大細胞型B細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、T細胞前リンパ球性白血病、T細胞大顆粒リンパ球性白血病、アグレッシブNK細胞白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫、腸症関連T細胞リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、菌状息肉症/セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、末梢性T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、反復性遺伝子異常を伴うB細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、T細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、およびホジキンリンパ腫より選択される。いくつかの態様では、がんは、1つもしくは複数の以前の処置に抗療性であり、かつ/またはがんは、1つもしくは複数の以前の処置の後に再発したものである。
【0181】
ある特定の態様では、がんは、濾胞性リンパ腫、形質転換した濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、および縦隔原発(胸腺)大細胞型B細胞性リンパ腫より選択される。特定の一態様では、がんは、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫である。
【0182】
いくつかの態様では、がんは、化学療法、放射線療法、免疫療法(T細胞療法および/または抗体もしくは抗体-薬物コンジュゲートを用いた処置を含む)、自己幹細胞移植、またはそれらの任意の組合せのうち1つまたは複数に抗療性である、あるいはがんがその後に再発したものである。特定の一態様では、がんは、抗療性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫である。
【0183】
さらに限定的であると解釈すべきでない以下の実施例により、本発明をさらに例証する。本出願にわたり引用される全ての参考文献の内容は、参照により本明細書に明白に組み入れられる。
【実施例
【0184】
実施例1
第1/2相単一群非盲検試験を計画して、B細胞悪性疾患を有する対象に投与された抗CD19CAR+ T細胞の安全性および実現性を判定した。
【0185】
インフォームドコンセントに署名し、試験のエントリー基準に適合した対象を試験に登録し、抗CD19 CAR+ T細胞産生用のPBMCを得るために白血球アフェレーシスを対象に受けさせた。第0日の抗CD19 CAR+ T細胞の単回注入に備えた入院の前に、対象をコンディショニング化学療法で処置した。次に、抗CD19 CAR+ T細胞注入の3時間後に一部の対象をインターロイキン-2(群1のみ)で処置した。1回目の注入後に部分奏効(PR)または完全奏効(CR)の応答があり、次に疾患進行が続いたならば、2回目に投与する抗CD19 CAR+ T細胞の再処置が許された。
【0186】
3群の対象を登録した。群1は、抗CD19 CAR+ T細胞3×106~30×106個/kgの範囲の抗CD19 CAR+ T細胞を投与した対象8人を含み、その中に再処置された対象1人を含む。抗CD19 CAR+ T細胞の用量は、60~120mg/kg(2220~4440mg/m2)の高用量シクロホスファミドを2日間、続いて25mg/m2のフルダラビンを5日間からなるコンディショニング方式に従った。これらの対象は、抗CD19 CAR+ T細胞の投与後にその増殖を刺激するために720,000IU/kgの高用量インターロイキン-2(IL-2)(15回まで、または毒性が追加的な用量を妨げるまで8時間毎)の投与も受けた。
【0187】
群2は、高用量のシクロホスファミドおよびフルダラビンの投与を受け、様々な用量の抗CD19 CAR+ T細胞の投与(抗CD19 CAR+ T細胞1×106~5×106個/kg)後にインターロイキン-2の投与を受けなかった対象15人を含み、その中に再処置された群1からの対象2人を含む。
【0188】
群3は、削減されたコンディショニング方式である300mg/m2のシクロホスファミドおよび30mg/m2のフルダラビン(いずれも3日間同時投与でIL-2の投与なし)の投与を受けた対象11人を含む。これらの対象のうちそれぞれ、前7人は1×106個の抗CD19 CAR+ T細胞、後4人は2×106個の抗CD19 CAR+ T細胞の、抗CD19 CAR+ T細胞の注入を受けた。
【0189】
人口統計学
対象の人口統計および疾患の特徴を表1に提供する。対象32人を登録し、対象19人(59%)はDLBCLまたはPMBCLを有し、対象7人(22%)はCLLを有し、対象6人(19%)は、インドレント濾胞性リンパ腫および脾性辺縁層リンパ腫を含む他のインドレントNHLを有した。大部分の対象は抗療性疾患(84%)を有し、以前に中央値で3系列の治療を受けていた。アグレッシブNHLを有する全ての対象は、以前に抗CD20療法、白金併用化学療法を受け、95%が以前にアントラサイクリンに基づく化学療法を受けていた。
【0190】
薬物動態
qPCR分析を用いて、第0日に初回投与した後の様々な時点での末梢血中抗CD19 CAR+ T細胞数を評価し、抗CD19 CAR構築物中に存在するscFvに特異的な抗体試薬を用いたフローサイトメトリーによって作成した標準曲線により実証した(Kochenderfer et al., "B-cell depletion and remissions of malignancy along with cytokine-associated toxicity in a clinical trial of anti-CD19 chimeric-antigen-receptor-transduced T cells," Blood 119:2709-20 (2012))。
【0191】
(表1)臨床試験の対象の人口統計
【0192】
群1において、抗CD19 CAR+ T細胞 3×106~30×106個/kgを注入した。対象のうち、前6人では、注入後2週間以内に循環血中の抗CD19 CAR+ T細胞が総PBMCの最大0.02~1%に達する、より高いレベルで検出され、次に急速に消失し、50日後に検出不能であった。最も大きな数の抗CD19 CAR+ T細胞(それぞれ抗CD19 CAR+ T細胞 28×106個/kgおよび抗CD19 CAR+ T細胞 30×106個/kg)を与えられた対象7および8は、総PBMCの>10%に達する、より高いピークパーセンテージの抗CD19 CAR+ T細胞を有し、血中で抗CD19 CAR+ T細胞のより長期の存続期間を有した(それぞれ>130日および180日)。
【0193】
群2において、インターロイキン-2処置の非存在下で、抗CD19 CAR+ T細胞は、2週間以内に末梢血中で同様の増殖を示し、続いて消失し、数週間以内に循環から完全に消滅した(表2)。
【0194】
全体的に見て、抗CD19 CAR+ T細胞の用量とその増殖および末梢血中での存続期間との間に明白な関係はなかった。同じく、これまでのところ、それぞれ、抗CD19 CAR+ T細胞の用量、血中での抗CD19 CAR+ T細胞の増殖または存続期間、およびこの治療に関連する臨床応答または毒性の間に明らかな関係はなかった。
【0195】
(表2)群2における対象の末梢血中での抗CD19 CAR+ T細胞の増殖および存続期間
【0196】
群1および2において、注入の7~14日後の抗CD19 CAR+ T細胞の一次増殖後に二次増殖はなかった。これまで試験された対象において、CAR発現レトロウイルスのゲノム挿入に起因する発がん性形質転換の証拠はない。群3の結果は、データのカットオフの時点でまだ入手できていなかった。
【0197】
効力
臨床家が安全性について対象32人を、効力について対象29人を評価した。効力について評価可能な対象29人についての全奏効率は76%であった。対象29人のうち11人(38%)がCRを達成し、11人/29人の対象(38%)がPRを達成した(図2Aおよび2B;表3)。
【0198】
評価可能な対象29のうち16人(55%)は、その最初の処置から奏効のままであり、対象12人(再処置された対象を含む)の奏効期間は1年を超えた(表3)。奏効している対象3人は、進行後に再処置されたものであり、全員が奏効継続中である(17.4~52.2ヶ月超)。
【0199】
表3に示すように、抗療性アグレッシブDLBCL/PMBCLを有する対象19人のうち17人が、疾患応答について評価可能であった(対象1人は評価不能であり;対象1人はまだ評価されていなかった)。これら対象17人のうち、11人(65%)が奏効を示し、対象6人/17人(35%)がCRを達成した。奏効期間の中央値は7.3ヶ月である。
【0200】
(表3)腫瘍のタイプ毎の客観的奏効率および奏効期間
「+」は、奏効がまだ継続中であることを示す。
【0201】
CLLを有する評価可能な対象7人のうち6人(86%)が奏効を示し、対象4人/7人(57%)がCRを達成した(表3)。奏効期間の中央値は22.2ヶ月であり、奏効が27ヶ月よりも長く継続中の対象3人を含む対象4人/7人(57%)がまだ奏効中である(表3)。
【0202】
インドレントNHLを有する評価可能な対象5人のうち5人(100%)は、奏効を示し、対象1人/5人(20%)がCRを達成した。奏効期間の中央値は18.8ヶ月である(表3)。対象5人(5人/5人;100%)が奏効し続け、対象2人が45ヶ月よりも長く奏効を示している(表4)。
【0203】
安全性
有害事象
対象32人が抗CD19 CAR+ T細胞で処置され、処置された最後の対象について有害事象はまだ報告されていない。全体的な安全性の概要は、処置された対象32人全員を含む。群毎の概要は、対象1010003および1010004について2回(1回目はこれらの対象が群1で処置されたときおよび2回目はこれらの対象が群2で処置されたとき)(抗CD19 CAR+ T細胞を用いた再処置)の安全性データを含む。
【0204】
有害事象の概要
有害事象の概要を表4に提供する。全体的に見て、対象31人(97%)がいずれかの有害事象を経験し、対象0人(0%)が最悪のグレードでグレード3を経験し、対象29人(91%)が最悪のグレードでグレード4を経験し、対象2人(6%)が致死的有害事象を有した。対象20人(63%)が抗CD19 CAR+ T細胞に関連する有害事象;対象6人(19%)が最悪でグレード3、対象8人(25%)が最悪でグレード4を経験し、グレード5の事象を経験した対象はいなかった。対象16人(50%)が重篤な有害事象;対象3人(9%)が最悪でグレード3、対象9人(28%)が最悪でグレード4、対象2人(6%)が最悪でグレード5を経験した。
【0205】
用量制限毒性
群1、2および3内のDLTの発生率は、それぞれ38%、40%、および0%であった。対象1010002を除き、DLTは主として神経毒性であり、クレアチニン上昇が2例、低酸素および低血圧がそれぞれ1事象であった。表6にDLTの一覧を提供する。群3において、DLTは報告されなかった。群3では、2×106個/kgの抗CD19 CAR+ T細胞を用いてコンディショニング方式を試験した。
【0206】
(表4)有害事象の概要
【0207】
サイトカイン放出症候群
サイトカインの放出は、CD19標的と会合した活性化T細胞によって誘導される。幅広い検索戦略を用いて、処置後に発現したCRSに起因し得る有害事象には、発熱、発熱性好中球減少症、低血圧、急性血管漏出症候群、クレアチニン上昇、腎不全、低酸素、および胸水が含まれる。対象28人(88%)では、サイトカインの放出に起因する可能性もある有害事象が報告され、その際、対象24人(75%)では、≧グレード3の事象が報告され、対象6人(19%)は重篤な事象を経験した。IL-2(群1において使用)およびコンディショニング化学療法(発熱性好中球減少症を引き起こす)のような併用療法による有害事象は、潜在的にこの解析と交絡する。
【0208】
CRSの臨床徴候は、典型的には抗CD19 CAR+ T細胞注入後の最初の週に起こり、群3の対象にはあまり見られなかった。群3の対象11人のうち1人だけがグレード3の低血圧を経験し、4人がグレード3の発熱を経験した。急性血管漏出症候群、乏尿、クレアチニン上昇、および腎不全という事象は、群1および2の対象だけから報告された。
【0209】
(表5)用量制限毒性
【0210】
神経学的有害事象
3つの群の全てから、神経学的有害事象、主として失語/言語障害、錯乱、運動神経障害および傾眠が観察された。対象13人(41%)が、重症の、≧グレード3の神経毒性を有し、対象11人(34%)が重篤な事象を経験した。
【0211】
神経毒性を示して死亡した対象は、A型インフルエンザウイルス感染の状況でCNS脳血管虚血の事象を有した。治験責任医師は、これを抗CD19 CAR+ T細胞と無関係であると見なした。
【0212】
神経毒性事象を有した対象5人(16%)が、神経学的有害事象に対して気道を確保するために機械的人工換気を要し、これらの対象の全員が群1および2であった。群3に挿管された対象はいなかった。
【0213】
神経学的有害事象は、抗CD19 CAR+ T細胞注入後2日目から17日目の範囲で中央値が6日目に発生した。ただし、対象1人に起こった、抗CD19 CAR+ T細胞注入後第110日に発生したグレード4の脊髄炎を除く。発生の時間、症状、および脳MRI所見の状況からして、治験責任医師は、この事象がフルダラビンに関係し、抗CD19 CAR+ T細胞に起因しないと見なした。神経学的有害事象がグレード1以下に消散するまでの時間の中央値は、注入後14日であった。
【0214】
死亡
対象2人が、化学療法および抗CD19 CAR+ T細胞注入から30日以内に死亡した。対象2人が、治験中の処置の18日後に、ウイルス性肺炎、A型インフルエンザ感染、大腸菌(E coli)感染、呼吸困難、および低酸素と同時発生した脳梗塞により死亡した。対象11は、広範な線維性縦隔リンパ腫波及を伴うPMBCLを有し、治験中の処置の16日後に死亡した。剖検の際に死因は決定されず、剖検報告書は、PMBCLの縦隔波及から考えて、可能性のある死因が心不整脈であると結論した。治験責任医師は、どの事象も抗CD19 CAR+ T細胞に関係すると見なさなかった。
【0215】
実施例2
選ばれた患者にシクロホスファミド300mg/m2/日およびフルダラビン30mg/m2/日を含むコンディショニング化学療法を施した。コンディショニング化学療法を第-5日~第-3日の3日間投与した。第0日に、患者の最初のサブセット(患者22~28)(表6)は10日間製造の新鮮抗CD19 CAR+ T細胞の投与を受け、患者の第2のサブセット(患者29~32)は、6日間製造の凍結保存された抗CD19 CAR+ T細胞の投与を受けた。
【0216】
Millipore HCD8MAG15K17PMXキット(T1、T2、免疫調節性サイトカイン、ケモカイン、免疫エフェクター)を使用するルミネックスによって、患者の血清を検査した。コンディショニングの前および後に、インターロイキン15(IL-15)、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、ガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、胎盤成長因子(PLGF)、可溶性細胞間接着分子1(sICAM-1)、C反応性タンパク質(CRP)、血管内皮増殖因子D(VEGF-D)、マクロファージ炎症タンパク質1β(MIP-1β)のレベルを測定した。
【0217】
(表6)患者22~28についての状態および転帰に関するデータ
DLBCL=びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫;FL=濾胞性リンパ腫;PR=部分奏効;CR=完全奏効;PD=進行性疾患
【0218】
患者22~28のうち、患者22~25および27は、少なくとも部分奏効を示し、患者26および28は、処置後に進行性疾患を示した。患者22~26について、患者の血清中のIL-15、MCP-1、およびPLGFのレベルは、少なくともいくらかの増加を示し(図4A、4B、および4D)、一方で、一部の患者においてIP-10、sICAM-1、CRP、VEGF-D、およびMIP-1βのレベルは増加し、他の患者では安定を維持するまたは減少した(図4Cおよび4E~4H)。患者27および28についてIL-15だけを測定した(図4A)。
【0219】
部分奏効または完全奏効のいずれかを示す奏効患者と、進行性疾患を有する非奏効患者との間でマーカーレベルにいくつかの差が観察された。IL-15のレベルは、ベースラインと比較して奏効患者において約10倍から約55倍までの範囲の平均約35倍だけ増加し、一方で非奏効患者は、それぞれIL-15のレベルに約10倍未満の増加を有した(図5A)。奏効者におけるMCP-1のレベルは、約2倍から約7倍までの範囲の平均約5倍だけ増加し、一方で非奏効者(患者26)は、MCP-1のレベルに4倍未満の増加を有した(図5B)。奏効者におけるIP-10のレベルは、約2倍から約7倍までの範囲の平均約3.5倍だけ増加し、一方で非奏効者は、血清IP-10レベルに本質的に変化を有さなかった (図5C)。奏効者におけるPLGFのレベルは、約2倍以下というわずかな増加から約100倍超の増加まで平均約30倍だけ増加し、一方で非奏効者は、血清PLGFレベルにわずかな増加だけを有した(図5D)。奏効者におけるsICAM-1のレベルは、本質的に無変化から約4.5倍の増加までの範囲の平均約3倍だけ増加し、一方で非奏効者は、血清sICAM-1レベルが本質的に無変化であった(図5E)。奏効者におけるCRPレベルは、本質的に無変化から約25倍の増加までの範囲の平均約10倍だけ増加し、一方で非奏効者は、血清CRPのレベルが本質的に無変化であった(図5F)。奏効者におけるVEGF-Dのレベルは、本質的に無変化から約6倍の増加までの範囲の平均約3倍だけ増加し、一方で非奏効者は、血清VEGF-Dのレベルが本質的に無変化であった(図5G)。奏効者におけるMIP-1βのレベルは、本質的に無変化から約3倍の増加までの範囲の平均約1.5倍だけ増加し、一方で血清MIP-1βのレベルは、非奏効者において約50%だけ減少した(図5H)。
【0220】
患者30~33に6日間製造した凍結保存細胞を与え、第-6日~第18日にわたる選ばれた日に、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロンγ(IFNγまたはIFNG)、インターロイキン10(IL-10)、IL-15、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン5(IL-5)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン8(IL-8)、IP-10、MCP-1、MIP-1β、血清グランザイムA(GRNZA)、血清グランザイムB(GRNZB)、PLGF、CRP、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、インターロイキン16(IL-16)、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)、エオタキシン-3、sICAM-1、可溶性血管接着分子1(sVCAM-1)、および血清アミロイドA(SAA)を含む様々なサイトカイン、ケモカイン、エフェクター、炎症マーカー、および接着分子のレベルを測定した(図6A~6V)。
【0221】
実施例3
実施例1の群3において観察されたリンパ球枯渇の度合および持続時間を改善するために、コホートA1におけるコンディショニング化学療法の用量をシクロホスファミド500mg/m2およびフルダラビン30mg/m2に増加させ、その両方を抗CD19 CAR+ T細胞の標的用量2×106個/kgで3日間同時に与えた。この方式(コホートA1)に使用されるシクロホスファミドの用量は、実施例1からの群2のシクロホスファミド30mg/kgのコンディショニング方式(用量制限毒性(DLT)の発生率29%)において使用された用量よりもおよそ38%低く、実施例1の群3と同じより低用量のフルダラビン用量を用いた。
【0222】
コンディショニング化学療法のより高い用量および/または抗CD19 CAR+ T細胞の様々な用量の評価を、DLTの発生率および損益の評価に基づき進める。CARベクター構築物は、実施例1に記載された構築物と同一である。本実施例は、迅速な閉鎖型無ビーズプロセスによって生成した抗CD19 CAR+ T細胞の安全性および効力を検定するために設計した臨床試験について記載する。プロセスを終えたとき、T細胞産物の特徴が保持される。
【0223】
実験計画
抗療性NHLを有する対象におけるKTE-C19の安全性および効力を評価する第1/2相多施設非盲検試験を行う。この試験は、第1相および第2相と称される2つの異なる相に分けられる。
【0224】
第1相の間に、DLBCL、PMBCLまたはTFLを有する対象およそ6~24人を登録して、KTE-C19方式の安全性を評価する。治験依頼者内部の安全審査チーム(SRT)が安全性のデータを審査し、図3に示すように第1相試験のさらなる実施および第2相への進行に関して勧告を行う。
【0225】
第2相の間に、コホート1およびコホート2と称される2つの別々のコホートに対象を登録する。コホート1に抗療性DLBCLを有する成人対象を登録し、コホート2に抗療性PMBCLおよびTFLを有する成人対象を登録する。TFLは、濾胞性リンパ腫に対して以前に化学療法を受けた対象として定義される。
【0226】
試験の相とは無関係に、各対象は、同じ試験処置スケジュールおよび手順の用件に従う。各対象は、以下の試験期間、すなわちスクリーニング/白血球アフェレーシス期間;コンディショニング化学療法期間;治験薬(IP)処置期間;処置後判定期間;長期経過観察期間を経て進む。
【0227】
試験持続時間
個別の対象について、参加時間の長さは、最大28日のスクリーニング期間、5~7日のコンディショニング化学療法処置期間、KTE-C19処置期間(これには7日の入院回復期間を含む)、処置後判定期間、および長期経過観察期間(最大15年間の生存サーベイランス)を含む。
【0228】
対象を、全ての有害事象について処置後3ヶ月間経過観察する。3ヶ月後に、標的とされた有害事象/重篤な有害事象(例えば、血液的、神経学的、二次的な悪性疾患、感染または自己免疫障害)および対象の血中の複製可能なレトロウイルス(RCR)の存在について、評価スケジュール(SOA)に概要した間隔で対象を経過観察する。長期経過観察の必要性は、処置された対象における遺伝子導入ベクターの潜在的存続性に基づく。
【0229】
試験の完了は、最後の対象が、長期経過観察期間の来診を完了する、経過観察に失敗と見なされる、コンセントを取り下げる、または死亡する時間として定義される。どれが最初に起ころうと、第2相のコホート1における全ての対象および全体的な試験集団がそれぞれ、6ヶ月の疾患応答判定を完了する、経過観察に失敗する、試験を中止する、または死亡するときに一次解析が実施される。
【0230】
対象の適格性
対象についての組入れ基準は以下を含む:
a)WHO 2008によって定義される以下のタイプを含む組織学的に確定されたアグレッシブB細胞NHL:DLBCL非特定型、T細胞/組織球豊富型B大細胞リンパ腫、慢性炎症に伴うDLBCL、老人性エプスタイン-バーウイルス(EBV)+ DLBCL;縦隔原発(胸腺)B大細胞リンパ腫;または濾胞性リンパ腫のDLBCLへの形質転換;
b)つい最近の化学療法含有方式に対する最良応答としての安定病態(安定病態の持続時間は≦12ヶ月でなければならない)または進行性疾患;および以前の自己SCTから≦12ヶ月の疾患進行または再発のうち1つまたは複数として定義される、化学療法抗療性疾患;
c)対象は、最低でも、腫瘍がCD20陰性と治験責任医師が判定しない限り、抗CD20モノクローナル抗体およびアントラサイクリン含有化学療法方式を含む十分な以前の治療を受けていなければならない;
d)形質転換FLを有する対象は、濾胞性リンパ腫についての以前の化学療法を受けており、続いてDLBCLへの形質転換後に抗化学療法性疾患を有さなければならない;
e)悪性リンパ腫に対するIWGの治療効果判定基準の改訂版による少なくとも1つの測定可能な病変;以前に照射された病変は、放射線療法の完了後に進行が実証された場合のみ測定可能と見なす;
f)中枢神経系リンパ腫の証拠を示さない脳MRI;
g)対象への白血球アフェレーシスが計画された時点で、以前の放射線療法または全身療法のいずれかから2週間以上経過していなければならない;
h)以前の治療による毒性が安定しているまたは≦グレード1(脱毛などの臨床的意義のない毒性を除く)に回復していなければならない;
i)対象は18歳以上でなければならない;
j)米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG: Eastern cooperative oncology group)のパフォーマンスステータスが0または1;
k)対象は、以下の臨床検査値を有さなければならない:(i)ANC≧1000/uL;(ii)血小板数≧50,000/uL;(iii)血清クレアチニン≦1.5mg/dL、血清ALT/AST≦2.5ULN、およびジルベール症候群を有する対象を除き総ビリルビン≦1.5mg/dlとして定義される十分な腎、肝、および心機能;ならびにiv)エコーによって決定されるとき心駆出分画≧50%および心嚢液貯留の証拠なし;ならびに
l)妊娠可能な女性は、血清または尿妊娠検査が陰性でなければならない。
【0231】
対象についての除外基準は以下を含む:
a)少なくとも3年間無病である場合を除き、非メラノーマ性皮膚がんもしくは上皮内がん(例えば、子宮頸、膀胱、乳房)以外の悪性疾患または濾胞性リンパ腫の病歴;
b)CLLのリヒター形質転換の病歴;
c)インフォームドコンセントの6週間以内の自己幹細胞移植;
d)同種幹細胞移植歴;
e)当試験においてKTE-C19の投与を受けかつ再処置に適格な対象を除く、以前のCD19標的療法;
f)以前のキメラ抗原レセプター療法または他の遺伝的改変T細胞療法;
g)アミノグリコシド系薬に起因する重症の即時型過敏反応歴;
h)臨床的に意義のある活動性感染(例えば、単純性UTI、細菌性咽頭炎は許容される)または現在抗生物質のIV投与を受けているまたは登録前7日以内に抗生物質のIV投与を受けたことがある(予防的な抗生物質、抗ウイルス薬および抗真菌薬は許される);
i)HIVまたはB型肝炎ウイルス(HBsAg陽性)またはC型肝炎ウイルス(抗HCV陽性)の感染歴が分かっている;
j)検出可能な脳脊髄液悪性細胞もしくは脳転移を有する、または脳脊髄液悪性細胞もしくは脳転移の病歴を有する対象;
k)発作性障害、脳血管虚血/出血、認知症、小脳疾患、またはCNSに波及した任意の自己免疫疾患の病歴;
l)心房または心室にリンパ腫が波及した対象;
m)腸閉塞または血管圧迫のような腫瘤効果が原因の緊急治療が必要;
n)原発性免疫不全症;
o)試験処置の安全性または効力の判定を妨害する可能性がある任意の医学的状態;
p)現在必要または必要と予想される全身性コルチコステロイド療法;副腎不全を有する対象のための標準用量の局所および吸入コルチコステロイドならびに生理的代用品は許容される;プレドニゾン5mg/日以上のコルチコステロイド用量または他のコルチコステロイドの同等用量は許容されない;
q)当試験に使用された薬剤のいずれかに対する重症の即時型過敏反応の病歴;
r)コンディショニング方式の開始の≦6週間前の生ワクチン;
s)胎児または乳児に対する予備化学療法の潜在的悪影響のため、妊娠しているまたは授乳中の妊娠可能な女性;不妊手術を受けた女性または閉経後少なくとも2年の女性は妊娠可能と見なされない;
t)合意の時点からKTE-C19の完了後6ヶ月間にわたり受胎調節を実行したくない両方の性別の対象;ならびに
u)治験責任医師の判断において、対象は、経過観察の診察を含む全てのプロトコールに必要な試験診察もしくは手順を完了しそうにない、または試験の参加要件に従いそうにない。
【0232】
加えて、血液試料および腫瘍試料にバイオマーカーの分析を行って、KTE-C19に関する予測的マーカーおよび薬力学マーカーを評価する。アグレッシブNHLにおける予後マーカーも評価してもよい。ベースラインの白血球アフェレーシス試料および最終的なKTE-C19試料を預け、免疫表現型判定および/または遺伝子発現プロファイリングによって分析してもよい。DNAマーカー、RNAマーカー、またはタンパク質マーカーの将来的な探査分析のために、残りの試料を保存してもよい。保管された腫瘍組織を中央パス審査(central path review)のために収集する。追加的な分析には、CD19発現、遺伝子発現プロファイリング、およびDNA変化の分析が含まれ得る。DNAマーカー、RNAマーカー、またはタンパク質マーカーの将来的な探査分析のために、残りの腫瘍試料を保存してもよい。
【0233】
処置プロトコール
スケジュール
白血球アフェレーシス(KTE-C19の製造のために単核細胞約5×109~10×109個を標的とする目標で12~15リットルのアフェレーシス)によって、対象から白血球を得る。各対象の白血球アフェレーシス産物を処理して、T細胞含有PBMC画分について濃縮する。次に、T細胞を刺激して増殖させ、それにレトロウイルスベクターを形質導入してCAR遺伝子を導入する。次にT細胞を増殖させ、凍結保存して治験産物を生成させる。各対象のコンディショニング化学療法方式の完了後、対象は、それぞれのKTE-C19注入を受ける
【0234】
試験処置
対象は、リンパ球の枯渇を誘導するためにシクロホスファミドおよびフルダラビンからなる非骨髄破壊的コンディショニング方式の投与を受け、KTE-C19の増殖に最適な環境をインビボで作る。対象に、第-5日(またはコホートBについて第-7日)に開始してから第-1日にかけてシクロホスファミドおよびフルダラビンを用いたコンディショニング化学療法を開始する。5日間のコンディショニング化学療法方式は、外来患者の状況で投与される。7日間のコンディショニング化学療法方式は、治験責任医師の裁量で外来患者または入院患者方式として投与され得る。
【0235】
第1相:
コホートA1およびA2において、対象は、以下の5日間のコンディショニング化学療法方式の投与を受ける:注入日にシクロホスファミドの前に与えた0.9% NaCl生理食塩水1Lを用いたIVでの水分補給;続いて第-5日、第-4日、および第-3日に500mg/m2のシクロホスファミドを60分間かけてIV;続いて第-5日、第-4日、および第-3日に30mg/m2のフルダラビンを30分かけてIV;続いてフルダラビンの注入完了時に追加的な0.9% NaCl生理食塩水1L(図3)。ある特定の場合には、施設のガイドラインによりメスナ(2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム)を追加することができる。
【0236】
コホートA3において、対象は、以下の5日間化学療法方式の投与を受ける:注入日にシクロホスファミドの前に与えた0.9% NaCl生理食塩水1Lを用いたIVでの水分補給;続いて第-5日、第-4日、および第-3日に300mg/m2のシクロホスファミドを60分間かけてIV;続いて第-5日、第-4日、および第-3日に30mg/m2のフルダラビンを30分かけてIV;続いてフルダラビンの注入完了時に追加的な0.9% NaCl生理食塩水1L。ある特定の場合には、施設のガイドラインによりメスナが追加される場合がある。
【0237】
コホートA1、A2、またはA3に登録された対象について、第-2日および第-1日は、第0日のKTE-C19注入前の休息日である。
【0238】
コホートB1およびB2において、対象は、以下の7日間化学療法方式の投与を受ける:シクロホスファミドの注入の11時間前に開始した連続注入として投与される推奨2.6ml/kg/hr (最大200ml/hr)の0.9% NaCl生理食塩水を用いてIVでの水分補給を行い、最終シクロホスファミド注入の24時間後まで水分補給を続ける;第-7日および第-6日に30mg/kg(1110mg/m2) のシクロホスファミドをIV投与し、120分間かけて注入する;続いて第-5日、第-4日、第-3日、第-2日および第-1日に25mg/m2のフルダラビンをIV投与し、30分間かけて注入する。ある特定の場合には、施設ガイドラインによりメスナが追加されてもよい。
【0239】
コホートB1またはB2に登録された対象について、化学療法の最終日(第-1日)と第0日のKTE-C19注入との間に休息日はない。
【0240】
KTE-C19について、コホートA1、A3、またはB1における対象は、抗CD19 CAR+ T細胞の標的用量2×106個/kg(±20%;抗CD19 CAR+ T細胞1.6×106個/kg~抗CD19 CAR+ T細胞2.4×106個/kg)で静脈内投与されるCAR形質導入自己T細胞の単回注入からなるKTE-C19処置を受ける。抗CD19 CAR+ T細胞の最小用量1×106個/kgが投与されてもよい。体重が100kgを超える対象について、抗CD19 CAR+ T細胞の最大均一用量2×108個が投与される。
【0241】
コホートA2またはB2における対象は、抗CD19 CAR+ T細胞の標的用量1×106個/kg(±20%;抗CD19 CAR+ T細胞0.8×106個/kg~抗CD19 CAR+ T細胞1.2×106個/kg)で静脈内投与されるCAR形質導入自己T細胞の単回注入からなるKTE-C19処置を受ける。抗CD19 CAR+ T細胞の最小用量の0.5×106個/kgが投与されてもよい。体重が100kgを超える対象については、抗CD19 CAR+ T細胞の最大均一用量1×108個が投与される。
【0242】
第2相:
SRTによって第1相において安全であると判定されたKTE-C19方式を試験の第2相部分に進める。
【0243】
再処置
PRまたはCRを達成した対象は、疾患がその後進行する(および再発がCD19-悪性細胞であると知られていない)場合、第2クールのコンディショニング化学療法およびKTE-C19の投与を受けることができる。第2クールの処置に適格であるために、対象は再評価され、以前のCAR療法に関する除外基準を除き、本来の試験適格基準に適合し続けているべきであり、リンパ腫の処置のためのその後の化学療法を受けたことがあるべきでない。さらに、フルダラビンまたはシクロホスファミドに関係する任意の毒性は、脱毛を除き、再処置前に安定しているまたはグレード1未満に回復しているべきである。対象1人あたり最大1つの再処置クールが起こり得る。第2相に登録された対象は、同じKTE-C19方式の投与を受ける。第1相に登録された対象は、第2相について選択されたKTE-C19方式の投与を受ける。第2相の方式がまだ選択されていない場合、対象は、SRTによって安全と判定された最終KTE-C19方式の投与を受ける。
【0244】
第1相においてDLTを経験した、または第2相において匹敵する毒性を経験した対象は、再処置に不適格である。さらに、対象が中和抗体を有することが分かっている場合、対象は再処置に不適格である。しかし、非中和性のHAMAまたはHABA抗体が発生している場合、対象が適格基準に適合するならば、その対象は再処置され得る。
【0245】
処置後の判定
KTE-C19注入を完了し、退院(典型的には第8日)した後、全ての対象は、処置後判定期間中に経過観察される。第0日(KTE-C19の注入)から数えて、対象は、第2週、第4週(±3日)、2ヶ月目(±1週)、および3ヶ月目(±1週)にクリニックに戻る。判定は、MMSE(ミニメンタルステート検査);疾患判定のためのPET-CT;身体検査および生命徴候;化学物質パネルを含む臨床検査、鑑別を伴うCBC血液像、妊娠可能な全ての女性に対するβ-HCG妊娠検査(血清または尿)、抗KTE-C19抗体、リンパ球サブセット、サイトカインレベル、抗CD19 CAR+ T細胞、および複製可能レトロウイルス(RCR)分析;有害/重篤な有害事象の報告;併用薬の記述;ならびに合意の任意的部分に署名した対象について新鮮腫瘍試料の収集を含むことができる。
【0246】
形質導入された抗CD19 CAR+ T細胞の血中における存在度、増殖、存続、および免疫表現型を、主としてPCR分析によって、フローサイトメトリーにより補足してモニタリングする。血液から血清サイトカインのレベルも評価する。以下のサイトカインがパネルに含まれ得る:炎症促進性および免疫調節性サイトカインであるIL-6、TNFα、IL-8、IL-1、IL-2、GM-CSF、IL15、IL-17a、IFNγ、IL-12p40/p70;免疫エフェクター分子であるグランザイムA、B、パーフォリン、sFasL;急性期反応の相関物であるCRP、SAAおよびケモカインMIP-1α、MIP-3α、IP-10、エオタキシン、MCP-4。KTE-C19は、レトロウイルスベクターを形質導入されたT細胞を含むので、処置された患者の血中の複製可能レトロウイルス(RCR)の存在もモニタリングする。
【0247】
対象がKTE-C19を用いた再処置に適格な場合、再処置前の最終スキャンが再処置に対する応答を評価するためのベースラインと見なされる。
【0248】
処置後判定期間の任意の時点で、対象が処置に応答する(すなわちCRもしくはPR)ことがなかったまたは応答後に進行する場合、対象は、3ヶ月目の診察に直接進み、長期経過観察期間中の疾患転帰について経過観察される。
【0249】
妥当な場合、長期経過観察期間中に、全ての対象を生存および病状について経過観察する。対象は、処置後判定期間の3ヶ月目の診察を完了した後で(処置に応答した場合であろうと、または疾患進行のため3ヶ月目の診察に直接進んだ場合であろうと)、長期経過観察期間を始める。第0日(KTE-C19注入)から数えて、対象は、18ヶ月目まで3ヶ月毎(±2週間);24ヶ月目~60ヶ月目に6ヶ月毎(±1ヶ月)にクリニックに戻り;対象は、6年目、すなわち72ヶ月目(±3ヶ月)から始めて、年に1回最大15年までクリニックに戻る。この診察で以下の手順を完了する:身体検査;PET-CTスキャン;疾患判定;鑑別を伴うCBC、抗KTE-C19抗体、リンパ球サブセット、抗CD19 CAR+ T細胞、およびRCR分析を含む臨床検査;神経的、血液的、感染症、自己免疫障害、および二次的な悪性疾患を含む、疾患進行までの目標の有害事象/重篤な有害事象の報告(24ヶ月間または疾患進行まで、どちらか最初に起こった方);ガンマグロブリン、免疫抑制薬、抗感染薬、ワクチン、および進行性疾患の処置のための任意の治療を含む、目標の併用薬の記述(疾患進行後2年間)。
【0250】
評価は、疾患の全ての他の部位の適切なイメージングと併せて、頸部、胸部、腹部および骨盤のベースラインPET-CTスキャンを含む。対象は、KTE-C19の注入の4週間後に最初のKTE-C19注入後計画PET-CT腫瘍判定を受け、上記の規則的間隔で該判定を受ける。
【0251】
CRについて判定されている対象において骨髄穿刺液および生検を行う。悪性リンパ腫に対するIWGの治療効果判定基準の改訂版により、対象が治療前にリンパ腫の骨髄波及を有したとき、または末梢血球数もしくは血液塗抹標本における新たな異常により処置後にリンパ腫が骨髄に波及したという臨床的疑いが生じた場合にのみ、骨髄穿刺液および生検を行うべきである。処置に対してCRを割り当てるには、骨髄穿刺液および生検は、形態学的に疾患の証拠を示してはならず、または形態学的に不確かならば、免疫組織化学検査が陰性でなければならない。
【0252】
試験評価項目
主要
第1相についての主要評価項目は、用量制限毒性(DLT)として定義される有害事象の発生率である。第2相についての主要評価項目は、治験責任医師によって判定されるような悪性リンパ腫に対するIWGの治療効果判定基準の改訂版により完全奏効または部分奏効のいずれかの発生率として定義される客観的奏効率(ORR)である。解析カットオフ日までに客観的奏効の基準に適合しない全ての対象を非奏効者と見なす。
【0253】
副次
第1相における対象の客観的奏効率をまとめる。第2相における対象の間の客観的奏効率を、IRRCにより判定する。客観的奏効率は、IRRCにより判定されるような悪性リンパ腫に対するIWGの治療効果判定基準の改訂版による完全奏効または部分奏効のいずれかの発生率として定義される。解析データのカットオフ日までに客観的奏効の基準に適合しない全ての対象を非奏効者と見なす。客観的奏効を経験している対象についての奏効期間(DOR)は、最初の客観的奏効の日から、悪性リンパ腫に対するIWGの治療効果判定基準の改訂版による疾患進行または原因にかかわらない死亡と確定されるまでと定義される。解析データのカットオフ日までに進行または死亡の基準に適合しない対象を最終の評価可能疾患判定日に打ち切り、その奏効が進行中であると記録する。
【0254】
用量制限毒性(DLT)
用量制限毒性は、KTE-C19の注入から最初の30日以内に発生した、以下のKTE-C19関連事象として定義される:
a)細胞移植日から21日よりも長く持続するグレード4の好中球減少症;
b)細胞移植日から35日よりも長く持続するグレード4の血小板減少症;
c)気道確保のために挿管を必要とするグレード4の錯乱を含む、挿管を必要とする任意のKTE-C19関連有害事象はDLTと見なされる;
d)3日よりも長く持続する全ての他のグレード3毒性およびDLTと見なされない以下の状態を除く全てのグレード4毒性:(i)2週間以内にグレード1以下および4週間以内にベースラインに回復した失語/言語障害または錯乱/認知障害;(ii)発熱グレード3;(iii)リンパ球減少症、低下したヘモグロビン、好中球減少症および血小板減少症が上記DLTの定義を満たさない限り、好中球減少症および血小板減少症として定義される骨髄抑制(50×109/L未満の血小板数の状況での出血および好中球減少症の状況で記録された細菌感染症を含む);(iv)細胞注入の2時間以内に(細胞注入に関係して)発生し、標準的治療を用いて細胞投与の24時間以内にグレード2以下に戻ることができる即時型過敏反応;ならびに(v)グレード3または4の低ガンマグロブリン血症。
【0255】
CRSを、改訂版グレード付けシステム(Lee 2014)によりグレート付けする。CRSに帰すことができる有害事象を、DLTの決定のために全体的CRSグレード付け判定にマッピングする。
【0256】
第1相の間、KTE-C19方式の安全性を評価するためにDLBCL、PMBCLまたはTFLを有する対象約6~24人を登録する。各コホートにおける対象を、対象のそれぞれのKTE-C19注入の完了から最初の30日以内にDLTについて評価する。対象のDLT発生率が対象6人のうち≦1人ならば、コホートB1が調査され得る、または試験が臨床試験の第2相に進められ得る。この決定は、全体的な便益/リスクおよび入手可能なバイオマーカーのデータに基づく。
【0257】
しかし、登録された対象6人のうち2人が、第1相の間にプロトコールで定義されたDLTを示すならば、SRTは、最初の対象6人に投与されたのと同じ用量で対象3人の追加的な2組(合計で対象最大12人)を登録することを推奨してもよい。このシナリオでは、最初の9人のうち≦2人または対象12人のうち≦3人がDLTを示すならば、追加的なコホートへ、または試験の第2相へ前進を行う。
【0258】
対象のDLT発生率が対象>2人/6人、>3人/9人、または>4人/12人ならば、追加的な対象6~12人において他のKTE-C19方式が調査され得る(図3)。上と同じDLTの規則が適用される。
【0259】
実施例4
抗CD19 CAR構築物遺伝子を有するg-マウスレトロウイルスを自己リンパ球に形質導入してT細胞産物を生成させ、続いて増殖させることによって所望の細胞用量を達成した。回収時またはCD19+細胞との共培養後に、フローサイトメトリーおよび共培養上清の多重サイトカイン分析によって抗CD19 CAR+ T細胞産物の特徴を評価した。K562-CD19細胞またはK562-NGFR対照細胞を用いてエフェクター対標的比1:1で産物の特徴付けのためのCAR+ T細胞の共培養を行った。標準的なインキュベーション時間は18時間であった。再発/抗療性B細胞悪性疾患を有する患者をシクロホスファミドおよびフルダラビンでコンディショニングし、次に患者に抗CD19 CAR+ T細胞を与えた。
【0260】
EMDmillipore Luminex(登録商標)xMAP(登録商標)多重アッセイを用いてサイトカインおよびケモカインのレベルを測定した。Luminex 200(商標)装置およびxPONENT(登録商標)3.1データ解析ソフトウェアを使用してデータの取得および分析を行った。IL-7について、ヒトIL-7 Quantikine HS ELISA Kit(HS750)を使用し、製造業者のガイドラインに従って試料をニートで用いた。定量PCR分析によって循環中のCAR T細胞数を測定した。第-5日および第-4日の300mg/m2シクロホスファミド、ならびに第-5日、第-4日、および第-3日の30mg/m2フルダラビンから構成される予備コンディショニング方式を患者に投与した。第-12日~第-5日のシクロホスファミドおよびフルダラビンの投与前(「前」)、第0日のCAR+ T細胞の投与直前(「後」)およびCAR+ T細胞の投与後の最大で第18日までの選ばれた日に、患者の血清を収集した。図6に示すように、GF-CSF、IL-2、MCP-1、IL-6、IL-10、MCP-4、CRP、IFNガンマ、グランザイムA、IL-15、IL-5、グランザイムB、IL-8、IP-10、MIP-1b、PLGF、IL-16、TARC、エオタキシン-3、sICAM-1、sVCAM-1、およびSAAの血清中濃度を、コンディショニングの前および後ならびにCAR+ T細胞の投与後の選ばれた日に測定した。ある特定のサイトカインの濃度は、300mg/m2シクロホスファミドおよび30mg/m2フルダラビンを用いたコンディショニング後の患者血清中で増加することが見出された(図7A~7Iおよび18A~18E)。特に、IL-15、IL-7、PLGF、CRP、およびMCP-1の濃度は、シクロホスファミドおよびフルダラビンを用いたコンディショニング後に有意に増加した(図7A~7D,7G、18A、および18C~18E)。IL-5、IL-10、IP-10、およびs-ICAM1の濃度にも増加が観察された(図7E~7F、7H~7I、および18B)。逆に、パーフォリンは、シクロホスファミドおよびフルダラビンを用いたコンディショニング後に減少することが見出された(図18F)。図18Gに示すように、様々な他の分析物の血清中濃度は、予備コンディショニング後に増加または減少することが観察された。追加的な患者を処置し、結果を図11~17に示す。加えて、予備コンディショニング後にIL-15(図19A)およびIP-10(図19B)の増加した血清レベルならびにパーフォリンの減少した血清レベル(図19C)が、CAR T細胞で処置された患者におけるプラスの客観的奏効と有意に相関することが見出された。
【0261】
CAR+ T細胞注入後の末梢血リンパ球(PBL)および血清を、それぞれフローサイトメトリーおよび多重サイトカイン分析によって評価した。注入前の抗CD19 CAR+ T細胞のサイトカイン産生をK562-NGFR陰性対照と比較した(図8)。T1、T2、ならびに免疫恒常性サイトカインGM-CSF、IL-2、IFNガンマ、IL-5、IL-4、およびIL-13、ならびに炎症促進性サイトカインおよびケモカインTNFアルファ、IL-6、グランザイムB、MIP-1b(ベータ)、MIP-1a(アルファ)、およびsCD137の濃度は、陰性対照よりも抗CD19 CAR+ T細胞試料の方が高かった(図8A~8L)。加えて、注入前の産物T細胞による標的抗原の会合は、その活性を調節することができるCD107a(アルファ)、401BB、およびPD-1のようなレセプターのアップレギュレーションをもたらす(図9A~9C)。
【0262】
データ取得および解析のためにFlowJoソフトウェアを利用するBD FACSCanto IIを用いて多色フローサイトメトリーを実施した。より短い製造プロセスにより、CD4+、ナイーブ、および中枢性メモリーT細胞をより高度に表現するCAR+ T細胞産物が得られた(図10)。注入後に、CAR+ T細胞は、主に分化済みのT細胞および一部の中枢性メモリーまたはナイーブT細胞を含む多様化したサブセット組成を示す(図10)。
【0263】
抗CD19 CD28ゼータCAR+ T細胞は、臨床的に有効であり、リンパ腫および白血病の両方において長続きする奏効を誘導する。持続的臨床応答は、循環中に長期持続性CAR+ T細胞なしに起こることができ、正常B細胞を回復させる。シクロホスファミドおよびフルダラビンを用いたコンディショニングは、T細胞の恒常性増殖、活性化、および輸送に好都合であり得る分子の誘導により免疫環境を改変する。CAR+ T細胞処置は、処置後3週間以内に循環中のサイトカインおよびケモカインの急速な増大およびその後の回復を招く。
【0264】
実施例5
300mg/m2以上のシクロホスファミドおよび30mg/m2以上のフルダラビンの用量からなる非骨髄破壊的コンディショニング方式を用いて対象を処置する安全性および効力を検定するために試験を行う。リンパ球の枯渇をさらに誘導し、KTE-C19のインビボ増殖により最適な環境を生み出すために、これらのコンディショニング化学療法剤の用量を使用する。
【0265】
登録された対象は、抗CD19 CAR+ T細胞の産生用のPBMCを得るために白血球フェレーシスを受ける。対象は、次に第-5日~第-3日に投与された500mg/m2/日のシクロホスファミドおよび60mg/m2/日のフルダラビンを含むコンディショニング化学療法を施される。次に対象は、第0日にIVによる抗CD19 CAR+ T細胞/kgの投与を受ける。出発用量として、対象は抗CD19 CAR+ T細胞2×106個/kg(±20%)の投与を受けてもよく、次に対象の応答性に応じて出発用量を増加または減少することができる。
【0266】
抗CD19 CAR+ T細胞のコンディショニング化学療法および投与後に、有害作用、血清サイトカインレベル、T細胞数、および疾患応答について対象をモニタリングする。非限定的に、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-15、IL-16、IL-21、MCP-1、IP-10、PLGF、sICAM-1、CRP、VEGF、VEGF-C、VEGF-D、sVCAM-1、MIP-1β、FGF2、IL-1b、エオタキシン、GM-CSF、IFNガンマ、IL-12p40、MDC、IL-12p70、IL-13、IL-17A、MIP-1a、TNFa、TNFb、グランザイムA、グランザイムB、パーフォリン、SAA、MCP-4、およびTARCを含む様々なサイトカイン、ケモカイン、エフェクター、炎症マーカー、および接着分子の血清レベルをコンディショニングの前および後に測定して、コンディショニング化学療法の効果を判定する。血清を、シクロホスファミド、フルダラビン、および抗CD19 CAR+ T細胞のそれぞれの投与の前または後に収集し、全てのレベルを、コンディショニング化学療法前のレベルと比較する。疾患応答性をコンディショニング後の各患者のサイトカインプロファイルと比較して、疾患応答性とコンディショニング後の1つまたは複数のサイトカインのレベルとの間の任意の相関を確認する。
【0267】
有害作用の発生を緊密にモニタリングして、シクロホスファミドおよびフルダラビンの最大許容用量を決定する。必要に応じて有害作用が医学的に制御される場合がある。シクロホスファミドおよびフルダラビンの一方または両方の用量を増加または減少させて、臨床効力を改善して有害作用を制限し得る。最初の部分奏効に続く疾患進行を示す任意の対象が、同じまたは異なるレベルのシクロホスファミドおよび/またはフルダラビンの第2の処置を受け得る。本出願にわたり、様々な刊行物がカッコ内の著者名および日付により、または特許番号もしくは特許公開番号により参照される。これらの刊行物についての完全な引用は、特許請求の範囲の直前の明細書の最後に見出され得る。これらの刊行物の開示は、これにより、本明細書において記載および請求された発明日時点で当業者に公知であるとして技術の現状をより十分に説明するために、その全体で参照により本出願に組み入れられる。しかし、本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明の先行技術であるという承認として解釈されるべきでない。本明細書記載の様々な局面、態様、および選択肢の全ては、任意および全ての変形で組み合わせることができる。
【0268】
実施例6
1つまたは複数の予備コンディショニング剤を用いた予備コンディショニングに対するサイトカインの応答性に基づきT細胞療法に対する患者の応答の可能性を予測するために試験を行う。この試験のために、T細胞療法に適する、がんを患う患者を選択する。
【0269】
任意の介入前に患者の血液を収集する。次に、本発明による1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与することによって患者を予備コンディショニングする。例えば、患者は、T細胞療法の前に300または500mg/m2/日のシクロホスファミドで2または3日間および30または60mg/m2/日のフルダラビンで3、4、または5日間処置され得る。次に、予備コンディショニング後、T細胞療法を施す直前に、例えば投与と同じ日に、患者の血液を再び収集する。次に、患者にT細胞療法を施し、疾患応答性、例えば、進行性疾患、部分奏効、または完全奏効についてモニタリングする。
【0270】
非限定的に、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインを含む様々なサイトカインの血清レベルについて、予備コンディショニングの前および後に収集された血液を分析する。各患者について各サイトカインの変化倍率を記録し、全体的な疾患応答性と比較する。任意の1つまたは複数のサイトカインの増加または低下が全体的な疾患応答性を予測するかどうかを判定するために、相関性研究を行う。
【0271】
本明細書において言及された全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み入れられると具体的および個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。しかし、本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明の先行技術であるという承認として解釈されるべきでない。
【0272】
本発明を一般的に説明したが、本明細書において提供される実施例の参照によりさらなる理解を得ることができる。これらの実施例は、単なる例証目的であり、限定することが意図されない。
項1
(i)インターロイキン-15(「IL-15」)、インターロイキン-7(「IL-7」)、ならびに単球走化性タンパク質1(「MCP-1」)、C反応性タンパク質(「CRP」)、胎盤成長因子(「PLGF」)、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(「IP-10」)、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、ならびに
(ii)該患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、該T細胞療法に適する該患者においてがんを処置するための方法。
項2
IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階を含む、T細胞療法に適する患者においてがんを処置するための方法であって、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、該患者が該T細胞療法で処置される、方法。
項3
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、
(ii)追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、または有効量のIL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインを投与する段階、ならびに
(iii)該患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、該T細胞療法に適する該患者においてがんを処置するための方法。
項4
IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階を含む、T細胞療法に適する該患者を特定するための方法。
項5
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、ならびに
(ii)該患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、該T細胞療法に適する該患者を特定するための方法。
項6
(i)IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させる能力がある1つまたは複数の予備コンディショニング剤を患者に投与する段階、
(ii)追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、または有効量のIL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインを投与する段階、ならびに
(iii)該患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、T細胞療法を施す段階
を含む、該T細胞療法に適する患者を特定するための方法。
項7
患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階
を含む、T細胞療法を必要とする患者を予備コンディショニングするために、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させるための方法であって、IL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、該患者が該T細胞療法で処置される、方法。
項8
T細胞療法を必要とする患者を予備コンディショニングするために、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させるための方法であって、
(i)該患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、ならびに
(ii)該患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、該T細胞療法を施す段階
を含む、方法。
項9
T細胞療法を必要とする患者を予備コンディショニングするために、IL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインの血清レベルを増加させるための方法であって、
(i)該患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、
(ii)追加的な量の1つもしくは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、または有効量のIL-15、IL-7、ならびにMCP-1、CRP、PLGF、IP-10、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加的なサイトカインを投与する段階、ならびに
(iii)該患者がIL-15、IL-7、および少なくとも1つの追加的なサイトカインの増加した血清レベルを示す場合に、該T細胞療法を施す段階
を含む、方法。
項10
1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に、IL-15、IL-7、および少なくとも1つのサイトカインの血清レベルを測定する段階をさらに含む、項1~9のいずれか一項記載の方法。
項11
1つまたは複数の予備コンディショニング剤が、患者における内因性リンパ球の数を減少させる、項1~10のいずれか一項記載の方法。
項12
内因性リンパ球が、制御性T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、またはそれらの任意の組合せを含む、項11記載の方法。
項13
患者におけるIL-7の血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のIL-7の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、または少なくとも90倍に増加する、項1~12のいずれか一項記載の方法。
項14
患者におけるIL-15の血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のIL-15の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、または少なくとも90倍に増加する、項1~13のいずれか一項記載の方法。
項15
患者におけるMCP-1の血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のMCP-1の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、または少なくとも20倍に増加する、項1~14のいずれか一項記載の方法。
項16
患者におけるPLGFの血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のPLGFの血清レベルと比較して、投与後に少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、または少なくとも100倍に増加する、項1~15のいずれか一項記載の方法。
項17
患者におけるCRPの血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のCRPの血清レベルと比較して、投与後に少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも約9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、または少なくとも100倍に増加する、項1~16のいずれか一項記載の方法。
項18
患者におけるIP-10の血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のIP-10の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、または少なくとも30倍に増加する、項1~17のいずれか一項記載の方法。
項19
予備コンディショニング剤が、患者におけるインターロイキン10(「IL-10」)、インターロイキン5(「IL-5」)、インターロイキン8(「IL-8」)、可溶性細胞間接着分子1(「sICAM-1」)、可溶性血管接着分子1(「sVCAM-1」)、またはそれらの任意の組合せの血清レベルをさらに増加させる、項1~18のいずれか一項記載の方法。
項20
患者におけるIL-10の血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のIL-10の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍に増加する、項19記載の方法。
項21
患者におけるIL-5の血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のIL-5の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、または少なくとも100倍に増加する、項19または20記載の方法。
項22
患者におけるIL-8の血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のIL-8の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、または少なくとも100倍に増加する、項19~21のいずれか一項記載の方法。
項23
患者におけるsICAM-1の血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のsICAM-1の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、または少なくとも30倍に増加する、項19~22のいずれか一項記載の方法。
項24
患者におけるsVCAM-1の血清レベルが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前のsVCAM-1の血清レベルと比較して、投与後に少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、または少なくとも5倍に増加する、項19~23のいずれか一項記載の方法。
項25
1つまたは複数の予備コンディショニング剤が、アルキル化剤を含む、項1~24のいずれか一項記載の方法。
項26
アルキル化剤が、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ムスチン(HN2)、ウラムスチン、ウラシルマスタード、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ベンダムスチン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、スルホン酸アルキル、ブスルファン、チオテパまたはその類似体、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項24記載の方法。
項27
1つまたは複数の予備コンディショニング剤が、白金系予備コンディショニング剤である、項26記載の方法。
項28
白金系予備コンディショニング剤が、白金、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、四硝酸トリプラチン(triplatin tetranitrate)、プロカルバジン、アルトレタミン、トリアゼン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、ダカルバジン、テモゾロミド、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項27記載の方法。
項29
1つまたは複数の予備コンディショニング剤が、シクロホスファミドである、項1~26のいずれか一項記載の方法。
項30
1つまたは複数の予備コンディショニング剤が、プリン類似体である、項1~29のいずれか一項記載の方法。
項31
プリン類似体が、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、メルカプトプリン、チオプリン、チオグアニン、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項30記載の方法。
項32
1つまたは複数の予備コンディショニング剤が、シクロホスファミドおよびプリン類似体である、項1~24のいずれか一項記載の方法。
項33
プリン類似体が、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、メルカプトプリン、チオプリン、チオグアニン、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項32記載の方法。
項34
1つまたは複数の予備コンディショニング剤が、シクロホスファミドおよびペントスタチンである、項32記載の方法。
項35
1つまたは複数の予備コンディショニング剤が、シクロホスファミドおよびフルダラビンである、項32記載の方法。
項36
シクロホスファミドの有効量が、約300mg/m 2 /日~約2000mg/m 2 /日である、項32~35記載の方法。
項37
シクロホスファミドの有効量が、300mg/m 2 /日よりも高く、2000mg/m 2 /日よりも低い、項32~35記載の方法。
項38
フルダラビンの有効量が、約20mg/m 2 /日~約900mg/m 2 /日である、項35~37のいずれか一項記載の方法。
項39
フルダラビンの有効量が、30mg/m 2 /日よりも高く、900mg/m 2 /日よりも低い、項35~37のいずれか一項記載の方法。
項40
シクロホスファミドの有効量が、約350mg/m 2 /日~約2000mg/m 2 /日、少なくとも約400mg/m 2 /日~約2000mg/m 2 /日、約450mg/m 2 /日~約2000mg/m 2 /日、約500mg/m 2 /日~約2000mg/m 2 /日、約550mg/m 2 /日~約2000mg/m 2 /日、または約600mg/m 2 /日~約2000mg/m 2 /日である、項32~39のいずれか一項記載の方法。
項41
シクロホスファミドの有効量が、約350mg/m 2 /日~約1500mg/m 2 /日、約350mg/m 2 /日~約1000mg/m 2 /日、約400mg/m 2 /日~約900mg/m 2 /日、約450mg/m 2 /日~約800mg/m 2 /日、約450mg/m 2 /日~約700mg/m 2 /日、約500mg/m 2 /日~約600mg/m 2 /日、または約300mg/m 2 /日~約500mg/m 2 /日である、項32~39のいずれか一項記載の方法。
項42
シクロホスファミドの有効量が、約350mg/m 2 /日、約400mg/m 2 /日、約450mg/m 2 /日、約500mg/m 2 /日、約550mg/m 2 /日、約600mg/m 2 /日、約650mg/m 2 /日、約700mg/m 2 /日、約800mg/m 2 /日、約900mg/m 2 /日、または約1000mg/m 2 /日である、項41記載の方法。
項43
フルダラビンの有効量が、約35mg/m 2 /日~約900mg/m 2 /日、約40mg/m 2 /日~約900mg/m 2 /日、約45mg/m 2 /日~約900mg/m 2 /日、約50mg/m 2 /日~約900mg/m 2 /日、約55mg/m 2 /日~約900mg/m 2 /日、または約60mg/m 2 /日~約900mg/m 2 /日である、項35~42のいずれか一項記載の方法。
項44
フルダラビンの有効量が、約35mg/m 2 /日~約900mg/m 2 /日、約35mg/m 2 /日~約800mg/m 2 /日、約35mg/m 2 /日~約700mg/m 2 /日、約35mg/m 2 /日~約600mg/m 2 /日、約35mg/m 2 /日~約500mg/m 2 /日、約35mg/m 2 /日~約400mg/m 2 /日、約35mg/m 2 /日~約300mg/m 2 /日、約35mg/m 2 /日~約200mg/m 2 /日、約35mg/m 2 /日~約100mg/m 2 /日、約40mg/m 2 /日~約90mg/m 2 /日、約45mg/m 2 /日~約80mg/m 2 /日、約45mg/m 2 /日~約70mg/m 2 /日、または約50mg/m 2 /日~約60mg/m 2 /日である、項35~42のいずれか一項記載の方法。
項45
フルダラビンの有効量が、約35mg/m 2 /日、約40mg/m 2 /日、約45mg/m 2 /日、約50mg/m 2 /日、約55mg/m 2 /日、約60mg/m 2 /日、約65mg/m 2 /日、約70mg/m 2 /日、約75mg/m 2 /日、約80mg/m 2 /日、約85mg/m 2 /日、約90mg/m 2 /日、約95mg/m 2 /日、約100mg/m 2 /日、約200mg/m 2 /日、または約300mg/m 2 /日である、項44記載の方法。
項46
シクロホスファミドの有効量が約500mg/m 2 /日であり、フルダラビンの有効量が60mg/m 2 /日である、項35記載の方法。
項47
1つまたは複数の予備コンディショニング剤が、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、または少なくとも7日間毎日投与される、項1~46のいずれか一項記載の方法。
項48
1つまたは複数の予備コンディショニング剤が、約3日間毎日投与される、項1~46のいずれか一項記載の方法。
項49
シクロホスファミドが、フルダラビンの前、後、または同時に投与される、項35~48のいずれか一項記載の方法。
項50
シクロホスファミドが、フルダラビンの前に投与される、項49記載の方法。
項51
1つまたは複数の用量のIL-2を投与する段階をさらに含む、項1~50のいずれか一項記載の方法。
項52
IL-2の各用量が、少なくとも約10,000IU/kg、少なくとも約50,000IU/kg、少なくとも約100,000IU/kg、少なくとも約200,000IU/kg、少なくとも約400,000IU/kg、少なくとも約600,000IU/kg、少なくとも約700,000IU/kg、少なくとも約800,000IU/kg、または少なくとも約1,000,000IU/kgである、項51記載の方法。
項53
T細胞療法が、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)免疫療法、自己細胞療法、操作自己細胞療法(eACT)、同種T細胞移植、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項1~52のいずれか一項記載の方法。
項54
1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前に患者から血液細胞を収集する段階をさらに含む、項1~53のいずれか一項記載の方法。
項55
キメラ抗原レセプター(「操作CAR細胞」)またはT細胞レセプター(「操作TCR細胞」)を発現するように血液細胞を操作する段階をさらに含む、項54記載の方法。
項56
T細胞療法が、操作CAR細胞療法または操作TCR細胞療法を含む、項1~55のいずれか一項記載の方法。
項57
操作CAR細胞または操作TCR細胞療法が、患者における腫瘍を処置する、項56記載の方法。
項58
1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与が、T細胞療法の実施の少なくとも7日前、少なくとも6日前、少なくとも5日前、少なくとも4日前、少なくとも3日前、少なくとも2日前、または少なくとも1日前に始まる、項1~57のいずれか一項記載の方法。
項59
第1の予備コンディショニング剤の投与がT細胞療法の実施の約7日前に始まり、かつ第2の予備コンディショニング剤の投与がT細胞療法の実施の約5日前に始まる、項58記載の方法。
項60
第1の予備コンディショニング剤が、患者にT細胞療法の実施の約7日前および約6日前に2日間投与される、項58記載の方法。
項61
第2の予備コンディショニング剤が、患者にT細胞療法の実施の約5、4、3、2、および1日前に5日間投与される、項60記載の方法。
項62
1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与が、T細胞療法の実施の約5日前に始まる、項1~57のいずれか一項記載の方法。
項63
第1の予備コンディショニング剤が、T細胞療法の実施の約5、4、および3日前に3日間患者に投与される、項62記載の方法。
項64
1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与が、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与なしのT細胞療法の抗腫瘍効力と比較して、T細胞療法の改善された抗腫瘍効力を誘導する、項1~63のいずれか一項記載の方法。
項65
1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与およびT細胞療法を施した後の患者が、IL-15、IL-7、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-9、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-20、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、血管内皮増殖因子D(VEGF-D)、マクロファージ炎症タンパク質1β(MIP-1β)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、インターフェロン(IFN)アルファ、IFN-ベータ、IFN-ガンマ、腫瘍壊死因子(TNF)アルファ、TNF-ベータ、CD154、リンホトキシン(LT)ベータ、4-1BBリガンド(4-1BBL)、増殖誘導リガンド(APRIL)、CD70、CD153、CD178、グルココルチコイド誘導TNFR関連リガンド(GITRL)、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)、OX40L、TNFおよびApoL関連白血球発現リガンド1(TALL-1)、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド(CCL)1、マクロファージ炎症タンパク質1アルファ(MIP-1aまたはCCL3)、CCL5、単球特異的ケモカイン3(MCP3またはCCL7)、単球走化性タンパク質2(MCP-2またはCCL8)、CCL13、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARCまたはCCL17)、CCL22、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択される、サイトカインまたは炎症促進因子の増加した血清レベルを示す、項1~64のいずれか一項記載の方法。
項66
2つ以上の予備コンディショニング剤が、同時または順次に投与される、請求1~65のいずれか一項記載の方法。
項67
第1の予備コンディショニング剤が、第2の予備コンディショニング剤の前または後に患者に投与される、項66記載の方法。
項68
操作CAR T細胞が、キメラ抗原レセプターを発現する、項55~67のいずれか一項記載の方法。
項69
キメラ抗原レセプターが、腫瘍抗原に対する結合分子を含む、項68記載の方法。
項70
結合分子が、抗体またはその抗原結合分子である、項69記載の方法。
項71
結合分子が、scFv、Fab、Fab'、Fv、F(ab')2、dAb、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される抗原結合分子である、項70記載の方法。
項72
キメラ抗原レセプターが、ヒンジ領域を含む、項68~71のいずれか一項記載の方法。
項73
ヒンジ領域が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、IgM、CD28、またはCD8アルファのものである、項72記載の方法。
項74
ヒンジ領域が、IgG4のものである、項73記載の方法。
項75
キメラ抗原レセプターが、膜貫通ドメインを含む、項68~74のいずれか一項記載の方法。
項76
膜貫通ドメインが、CD28、CD8アルファ、CD4、またはCD19由来の膜貫通ドメインである、項75記載の方法。
項77
膜貫通ドメインが、CD28の膜貫通ドメインである、項76記載の方法。
項78
キメラ抗原レセプターが、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、項68~77のいずれか一項記載の方法。
項79
共刺激シグナル伝達領域が、CD28、OX-40、4-1BB、CD27、誘導性T細胞共刺激分子(ICOS)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD247、Igアルファ(CD79a)、またはFcガンマレセプター由来のシグナル伝達領域である、項78記載の方法。
項80
共刺激シグナル伝達領域が、CD28のシグナル伝達領域である、項79記載の方法。
項81
キメラ抗原レセプターが、CD3ゼータシグナル伝達ドメインをさらに含む、項68~80のいずれか一項記載の方法。
項82
腫瘍抗原が、CD19 CD20、1型受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体(「ROR1」)、CD22、がん胎児性抗原、アルファフェトプロテイン、CA-125、5T4、ムチン1(「MUC-1」)、上皮性腫瘍抗原、前立腺特異抗原、メラノーマ関連抗原、変異型p53、変異型ras、HER2/Neu、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gpl20、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、GD2、CD123、CD33、CD138、CD23、CD30、CD56、c-Met、メソテリン、GD3、HERV-K、IL-llRアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(「CSPG4」)、ERBB2、EGFRvIII、VEGFR2、HER2-HER3の組合せ、HER1-HER2の組合せ、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項69~81のいずれか一項記載の方法。
項83
操作CAR細胞が、腫瘍のサイズを減少させる、項68~82のいずれか一項記載の方法。
項84
操作TCR細胞が、T細胞レセプターを発現する、項55~67のいずれか一項記載の方法。
項85
T細胞レセプターが、腫瘍抗原に対する結合分子を含む、項84記載の方法。
項86
腫瘍抗原が、CD19、CD20、ROR1、CD22、がん胎児性抗原、アルファフェトプロテイン、CA-125、5T4、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、前立腺特異抗原、メラノーマ関連抗原、変異型p53、変異型ras、HER2/Neu、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gpl20、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、GD2、CD123、CD33、CD138、CD23、CD30、CD56、c-Met、メソテリン、GD3、HERV-K、IL-llRアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、ERBB2、EGFRvIII、VEGFR2、HER2-HER3の組合せ、HER1-HER2の組合せ、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項85記載の方法。
項87
T細胞レセプターが、ウイルスがん遺伝子に対する結合分子を含む、項84記載の方法。
項88
ウイルスがん遺伝子が、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、およびヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)より選択される、項87記載の方法。
項89
T細胞レセプターが、精巣、胎盤、または胎児腫瘍抗原に対する結合分子を含む、項84記載の方法。
項90
精巣、胎盤、または胎児がん抗原が、NY-ESO-1、滑膜肉腫Xブレイクポイント2(SSX2)、およびメラノーマ抗原(MAGE)より選択される、項89記載の方法。
項91
T細胞レセプターが、系列特異抗原に対する結合分子を含む、項84記載の方法。
項92
系列特異抗原が、T細胞に認識されるメラノーマ抗原1(MART-1)、gp100、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、および前立腺幹細胞抗原(PSCA)より選択される、項91記載の方法。
項93
操作TCR細胞が、患者における腫瘍のサイズを減少させる、項55~67および84~92のいずれか一項記載の方法。
項94
操作CAR細胞または操作TCR細胞の治療有効量が、少なくとも約10 4 個、少なくとも約10 5 個、少なくとも約10 6 個、少なくとも約10 7 個、少なくとも約10 8 個、少なくとも約10 9 個、または少なくとも約10 10 個である、項55~93のいずれか一項記載の方法。
項95
操作CAR細胞の治療有効量が、約10 4 個、約10 5 個、約10 6 個、約10 7 個、約10 8 個、約10 9 個、または約10 10 個である、項55~93のいずれか一項記載の方法。
項96
操作CAR細胞の治療有効量が、約2×10 6 個/kg、約3×10 6 個/kg、約4×10 6 個/kg、約5×10 6 個/kg、約6×10 6 個/kg、約7×10 6 個/kg、約8×10 6 個/kg、約9×10 6 個/kg、約1×10 7 個/kg、約2×10 7 個/kg、約3×10 7 個/kg、約4×10 7 個/kg、約5×10 7 個/kg、約6×10 7 個/kg、約7×10 7 個/kg、約8×10 7 個/kg、または約9×10 7 個/kgである、項55~93のいずれか一項記載の方法。
項97
腫瘍が、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚または眼内悪性メラノーマ、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部がん、胃がん、精巣がん、子宮がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、腟がん、外陰がん、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、慢性または急性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓または尿管がん、腎盂がん、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍の血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘導されるがんを含む環境誘導がん、および前記がんの組合せに由来する腫瘍より選択される、項83または93記載の方法。
項98
腫瘍抗原がCD19である、項69~97のいずれか一項記載の方法。
項99
腫瘍が、リンパ腫または白血病である、項98記載の方法。
項100
リンパ腫または白血病が、B細胞慢性リンパ球性白血病/小細胞型リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫(例えば、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症)、脾性辺縁層リンパ腫、ヘアリーセル白血病、形質細胞性新生物(例えば、形質細胞性骨髄腫(すなわち多発性骨髄腫)、または形質細胞腫)、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、MALTリンパ腫)、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、形質転換した濾胞性リンパ腫、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、エプスタイン-バーウイルス陽性DLBCL、リンパ腫様肉芽腫症、縦隔原発(胸腺)大細胞型B細胞性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞性リンパ腫、ALK+大細胞型B細胞性リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に発生する大細胞型B細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、T細胞前リンパ球性白血病、T細胞大顆粒リンパ球性白血病、アグレッシブNK細胞白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫、腸症関連T細胞リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、菌状息肉症/セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、末梢性T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、反復性遺伝子異常を伴うBリンパ芽球性白血病/リンパ腫、T細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、およびホジキンリンパ腫からなる群より選択される、項99記載の方法。
項101
患者に生理食塩水を投与する段階をさらに含む、項1~100のいずれか一項記載の方法。
項102
生理食塩水が、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前に投与される、項101記載の方法。
項103
患者にメスナ(2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム)を投与する段階をさらに含む、項1~102のいずれか一項記載の方法。
項104
メスナが、1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与前に投与される、項103記載の方法。
項105
シクロホスファミドの有効量が約200mg/m 2 /日である、項35記載の方法。
項106
シクロホスファミドの有効量が、200mg/m 2 /日~3000mg/m 2 /日であり、患者が、シクロホスファミドおよびフルダラビンの投与後にIL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せの、増加した血清レベル、またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示す、項35記載の方法。
項107
シクロホスファミドの有効量が、1000mg/m 2 /日~2000mg/m 2 /日である、項35~39、43~45、47~104、および106のいずれか一項記載の方法。
項108
シクロホスファミドの有効量が約1110mg/m 2 /日である、項35~41、43~45、47~104、106、および107記載の方法。
項109
シクロホスファミドの有効量が約300mg/m 2 /日である、項35~39、47~104、106、および107のいずれか一項記載の方法。
項110
シクロホスファミドの有効量が約30mg/kg/日である、項35~41、43~45、47~104、106、および107のいずれか一項記載の方法。
項111
フルダラビンの有効量が約20mg/m 2 /日である、項35~42および47~110のいずれか一項記載の方法。
項112
フルダラビンの有効量が約25mg/m 2 /日である、項35~42および47~110のいずれか一項記載の方法。
項113
フルダラビンの有効量が約30mg/m 2 /日である、項35~42および47~110のいずれか一項記載の方法。
項114
シクロホスファミドの有効量が約200mg/m 2 /日であり、フルダラビンの有効量が約20mg/m 2 /日である、項35~39および47~104のいずれか一項記載の方法。
項115
シクロホスファミドの有効量が約300mg/m 2 /日であり、フルダラビンの有効量が約30mg/m 2 /日である、項35~39および47~104のいずれか一項記載の方法。
項116
シクロホスファミドの有効量が約300mg/m 2 /日であり、フルダラビンの有効量が約60mg/m 2 /日である、項35~39および47~104のいずれか一項記載の方法。
項117
シクロホスファミドの有効量が約500mg/m 2 /日であり、フルダラビンの有効量が約30mg/m 2 /日である、項35~41および47~104のいずれか一項記載の方法。
項118
シクロホスファミドの有効量が約1110mg/m 2 /日であり、フルダラビンの有効量が約25mg/m 2 /日である、項35~41、47~104、および106のいずれか一項記載の方法。
項119
シクロホスファミドの有効量が約2220mg/m 2 /日であり、フルダラビンの有効量が約25mg/m 2 /日であり、患者が、シクロホスファミドおよびフルダラビンの投与後にIL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せの、増加した血清レベル、またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示す、項106記載の方法。
項120
操作CAR T細胞の治療有効量が、細胞約1.0×10 5 個/kg~約2×10 8 個/kg、約2.0×10 5 個/kg~約2×10 8 個/kg、約3.0×10 5 個/kg~約2×10 8 個/kg、約4.0×10 5 個/kg~約2×10 8 個/kg、約5.0×10 5 個/kg~約2×10 8 個/kg、約6.0×10 5 個/kg~約2×10 8 個/kg、約7.0×10 5 個/kg~約2×10 8 個/kg、約8.0×10 5 個/kg~約2×10 8 個/kg、約9.0×10 5 個/kg~約2×10 8 個/kg、約2×10 6 個/kg~約9×10 7 個/kg、約3×10 6 個/kg~約9×10 7 個/kg、約4×10 6 個/kg~約9×10 7 個/kg、約5×10 6 個/kg~約9×10 7 個/kg、約6×10 6 個/kg~約9×10 7 個/kg、約7×10 6 個/kg~約9×10 7 個/kg、約8×10 6 個/kg~約9×10 7 個/kg、約9×10 6 個/kg~約9×10 7 個/kg、約1×10 7 個/kg~約9×10 7 個/kg、約2×10 7 個/kg~約9×10 7 個/kg、約3×10 7 個/kg~約9×10 7 個/kg、約4×10 7 個/kg~約9×10 7 個/kg、約5×10 7 個/kg~約9×10 7 個/kg、約6×10 7 個/kg~約9×10 7 個/kg、約7×10 7 個/kg~約9×10 7 個/kg、約8×10 7 個/kg~約9×10 7 個/kg、約2×10 6 個/kg~約8×10 7 個/kg、約2×10 6 個/kg~約7×10 7 個/kg、約2×10 6 個/kg~約6×10 7 個/kg、約2×10 6 個/kg~約5×10 7 個/kg、約2×10 6 個/kg~約4×10 7 個/kg、約2×10 6 個/kg~約3×10 7 個/kg、約2×10 6 個/kg~約2×10 7 個/kg、約2×10 6 個/kg~約1×10 7 個/kg、約2×10 6 個/kg~約9×10 6 個/kg、約2×10 6 個/kg~約8×10 6 個/kg、約2×10 6 個/kg~約7×10 6 個/kg、約2×10 6 個/kg~約6×10 6 個/kg、約2×10 6 個/kg~約5×10 6 個/kg、約2×10 6 個/kg~約4×10 6 個/kg、約2×10 6 個/kg~約3×10 6 個/kg、約3×10 6 個/kg~約8×10 7 個/kg、約4×10 6 個/kg~約7×10 7 個/kg、約5×10 6 個/kg~約6×10 7 個/kg、約6×10 6 個/kg~約5×10 7 個/kg、約7×10 6 個/kg~約4×10 7 個/kg、約8×10 6 個/kg~約3×10 7 個/kg、または約9×10 6 個/kg~約2×10 7 個/kgである、項55~93および97~116のいずれか一項記載の方法。
項121
(i)患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、
(ii)IL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、パーフォリン、MIP-1b、またはそれらの任意の組合せの血清レベルを測定する段階、ならびに
(iii)該1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に、対象がIL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せ、例えば、IL-15、IP-10、および/もしくはIL-7の増加した血清レベル、ならびに/またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示す場合に、該1つまたは複数の予備コンディショニング剤を、T細胞療法のために対象を準備するために有効であると特徴付ける段階
を含む、該T細胞療法のために対象を準備するために有効な該1つまたは複数の予備コンディショニング剤の用量を特定する方法。
項122
(i)患者に1つまたは複数の予備コンディショニング剤を投与する段階、
(ii)IL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、パーフォリン、MIP-1b、またはそれらの任意の組合せの血清レベルを測定する段階、ならびに
(iii)該1つまたは複数の予備コンディショニング剤の投与後に、対象がIL-7、IL-15、IL-10、IL-5、IP-10、IL-8、MCP-1、PLGF、CRP、sICAM-1、sVCAM-1、もしくはそれらの任意の組合せ、例えば、IL-15、IP-10、および/もしくはIL-7の増加した血清レベル、ならびに/またはパーフォリンおよび/もしくはMIP-1bの減少した血清レベルを示す場合に、該1つまたは複数の予備コンディショニング剤を、T細胞療法のために対象を準備するために有効であると特徴付ける段階
を含む、該T細胞療法のために対象を準備するための該1つまたは複数の予備コンディショニング剤の有効性を検証する方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18-1】
図18-2】
図19