(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】血管閉塞用デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20230703BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
A61B17/12
A61B17/00 500
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021177822
(22)【出願日】2021-10-29
(62)【分割の表示】P 2018542213の分割
【原出願日】2017-02-10
【審査請求日】2021-11-26
(32)【優先日】2016-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517416374
【氏名又は名称】マイクロベンション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROVENTION, INC.
【住所又は居所原語表記】35 Enterprise, Aliso Viejo, California 92656 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】シミズ,ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン,ヒース
(72)【発明者】
【氏名】ラム,キエット
(72)【発明者】
【氏名】レタレカー,ローヒニー
(72)【発明者】
【氏名】モレノ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】コルテス,ロヘリオ
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-027592(JP,A)
【文献】特表2012-523931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞システムであって、
近位の開口を有する閉塞デバイスと、
該閉塞デバイスに取り外し可能に接続された押圧具であって、該押圧具はその中を通る管腔を有し、該管腔は該押圧具の全長さに亘って延びる、押圧具と、及び
該押圧具と該閉塞デバイスとを、取り外し可能に結合する取り外しシステム
であって、該取り外しシステムはヒーターと、犠牲層とを含む、取り外しシステムと、
を備え、
該取り外しシステムは該管腔の外側に置かれて、該押圧具の該管腔と該近位の開口との間に連続的な経路を形成
し、該ヒーターが加熱されると該犠牲層が溶融されて該押圧具と該閉塞デバイスとが取り外される、閉塞システム。
【請求項2】
該押圧具が1以上のチャンネルを有し、
該ヒーターが該1以上のチャンネル内に置かれる、請求項1記載の閉塞システム。
【請求項3】
該ヒーターに電流を運ぶための、該ヒーターに接続された第一ワイヤー及び第二ワイヤーをさらに含む、請求項
1記載の閉塞システム。
【請求項4】
該第一ワイヤーと第二ワイヤーが、該ヒーターの近位端の2つの異なる位置に接続されている、請求項3記載の閉塞システム。
【請求項5】
該取り外しシステムは該押圧具の遠位側領域に配置される、請求項1記載の閉塞システム。
【請求項6】
該取り外しシステムが該押圧具の遠位部の周囲外側に置かれる、請求項1記載の閉塞システム。
【請求項7】
該犠牲層が、該ヒーターが加熱されると溶融するポリマーまたは接着層を含む、請求項1記載の閉塞システム。
【請求項8】
該閉塞デバイスが該押圧具の
遠位端を覆って配置された
、該閉塞デバイスの近位のカバーを
有し、該犠牲層が該カバーと該ヒーターとの間に位置する、請求項
1記載の閉塞システム。
【請求項9】
閉塞システムであって、
押圧具であって、その中を通る細長い通路を有し、該押圧具は1以上のチャンネルを有する、押圧具と、
該押圧具に取り外し可能に接続された閉塞デバイスであって、該閉塞デバイスは近位の開口を有する、閉塞デバイスと、
該押圧具と該閉塞デバイスとを取り外し可能に接続する取り外しシステムであって、該取り外しシステムは該押圧
具の遠位側領域に配置され、
該取り外しシステムは、
該押圧具の該1以上のチャンネル内に配置されたヒーターと、
該閉塞デバイスの近位端に配置される結合要素と、
該結合要素と該押圧具の遠位端をつなぐテザーと、
を含み、 該取り外しシステムは、該押圧具の該細長い通路の外側に配置されて、該押圧具の該細長い通路と該閉塞デバイスの近位の開口の間を延びる経路を形成し、
該テザーは該ヒーターが加熱されると破壊されて、該押圧具と該閉塞デバイスとが取り外される、
閉塞システム。
【請求項10】
該
結合要素は、1以上の開口を有するリング形状部材
である、請求項
9記載の閉塞システム。
【請求項11】
該リング形状部材の該1以上の開口が、該押圧具の該1以上のチャンネルと一列に並んでいる請求項
10記載の閉塞システム。
【請求項12】
該テザーが該押圧具の該1以上のチャンネルと、該リング形状部材の該1以上の開口の間に延びる、請求項
11記載の閉塞システム。
【請求項13】
該ヒーターがコイル状であり、該テザーの外側を取り囲む、請求項9記載の閉塞システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2016年2月10日付けで出願された米国仮出願第62/293,710(発明の名称「血管閉塞用デバイス」)に基づく優先権を主張し、該米国仮出願の全てが、参照によりここに援用される。
【背景技術】
【0002】
血管閉塞は、これに限定されないが、動脈瘤、心房中隔欠損症、卵円孔開存症、左心耳閉塞、動脈管開存症、瘻孔、動脈-静脈奇形、不妊のための卵管閉塞、および末梢血管系の閉塞の処置を含む様々なケースにおいて実行が必要となることが多い。血管閉塞の1つの方法は、塞栓の目的で、血管、奇形、または動脈瘤を、閉塞デバイスで埋める工程を含む。典型的には、この目的のために、塞栓用コイルが使用される。
【0003】
血管系の様々なターゲット領域と潜在的に関連する複雑な配置によって、閉塞を成功させることが困難である。そのため、血管系に関する複雑な形状に形状を合わせることが可能で、ターゲット領域を素早く閉塞することが可能な閉塞デバイスが切望されている。
【発明の概要】
【0004】
閉塞デバイスが以下に記述される。
【0005】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、保持部分と、支持部分とを含む。1つの実施形態において、保持部分は、クローバー形状であり、先端側の支持部分は円筒状メッシュである。
【0006】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、保持部分と、支持部分とを含み、他の閉塞デバイスを、支持部分を満たすために用いることができる。
【0007】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、保持部分と、支持部分と、取り付けられた搬送チューブとを含み、支持部分を埋めるために、追加的な閉塞デバイスが、取り付けられた搬送チューブを介して搬送可能となっている。
【0008】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、1つ以上のディスク状要素を含む。
【0009】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、1つ以上のディスク状要素と、少なくともいくつかのディスク状要素を横断する中央要素とを含む。
【0010】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、リボン形状を含む。1つの実施形態において、閉塞デバイスは、螺旋状のリボン形状を含む。
【0011】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、小径領域と、大径領域とを含む。1つの実施形態において、これら小径領域と大径領域は、小径領域と大径領域が交互に連続している。1つの実施形態において、小径領域は、1つの実質的に一定な形状を利用しており、大径領域は、異なる1つの実質的に一定な形状を利用している。
【0012】
1つの実施形態において、閉塞デバイスを搬送および取り外すための搬送システムが記述される。
【0013】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、搬送の際に、閉塞デバイスの拡張の制御を補助するための伸縮抵抗部材を利用する。
【0014】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、外側部材と、内側部材とを含む。1つの実施形態において、内側部材および外側部材は、ちょうど互いに内部に充填される同じ編み上げ材から構成されている。
【0015】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、1つ以上の封止部材を含み、封止部材は、デバイスの基端および/または先端の少なくとも1つの上に配置することができる。
【0016】
異なる1つの実施形態において、閉塞デバイスは、構造部分と、構造部分を覆うメッシュまたは膜部分とを含む。
【0017】
異なる1つの実施形態において、閉塞デバイスは、頸部ブリッジ要素と、1つ以上の充填構造とを含む。
【0018】
異なる1つの実施形態において、閉塞デバイスは、頸部ブリッジ要素と、塞栓用コイルのような塞栓材とを含む。
【0019】
異なる1つの実施形態において、閉塞デバイスは、複数の構造的支柱と、先端接触部分とを含む。
【0020】
異なる1つの実施形態において、閉塞デバイスは、コイルによって接続された2つの分離された閉塞セクションを含む。
【0021】
さらに、閉塞デバイスを製造するための方法が記述される。
【0022】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、中央要素を取る工程と、1つ以上のワイヤーを該中央要素に取り付け、保持部分を形成する工程とによって製造される。1つの実施形態において、閉塞デバイスは、中央要素を取る工程と、1つ以上のワイヤーを該中央要素に挿通させ、保持部分を形成する工程とによって製造される。1つの実施形態において、この保持部分の形状は、クローバー状である。支持部分、すなわち、1つの実施形態においては複数のワイヤーを含むメッシュは、その後、保持部分に取り付け可能である。
【0023】
1つの実施形態において、閉塞デバイスは、1つ以上のディスク状要素を覆うように、閉塞デバイスを巻線する工程によって製造される。1つ以上のディスク状要素は、閉塞デバイスを構成する構成ワイヤーが挿通されて巻線される複数の孔を有している。1つ以上のディスク状要素は、任意選択的に、少なくともいくつかのディスク状要素を横断する中央要素を形成するために、複数のワイヤーが引き出される中央チャンネルを含んでいてもよい。
【0024】
異なる1つの実施形態において、閉塞デバイスは、マンドレル(心棒)を覆うデバイスを、小径領域と大径領域を含む形状に熱硬化させる工程によって製造される。異なる1つの実施形態において、閉塞デバイスは、相対的に一定の径を有するマンドレルを覆うように製造される。その後、複数のマーカーバンドまたは複数の結合要素が、選択的に、閉塞デバイス全体に渡って配置され、閉塞デバイスの長さの全てを覆う小径領域を形成する。
【0025】
異なる1つの実施形態において、ブレイダー(製紐機)は、内側ブレイダーおよび外側ブレイダーの双方を利用し、閉塞デバイスを編む。閉塞デバイスは、1つ以上のマンドレルを覆うように巻線され、内側ブレイダーおよび外側ブレイダーの双方の使用が、製造プロセスのスピードアップを補助することができる。
【0026】
異なる1つの実施形態において、内側領域および外側領域の双方を含む閉塞デバイスを形成するために、テーパー状のマンドレルがブレイダーと共に使用可能である。
【0027】
異なる1つの実施形態において、閉塞デバイスを巻線するために、除去可能なマンドレルが使用可能である。
【0028】
異なる1つの実施形態において、垂直ブライダーが記述される。垂直ブライダーは、閉塞デバイスを製造するために使用することができる。
【0029】
異なる1つの実施形態において、閉口端部を含むインプラントが、閉口端部と、閉口端部セクション上の一連のピンとを利用するマンドレルを覆うよう編まれ、閉口端部の形成を補助する。インプラントは、閉塞デバイスであってもよい。
【0030】
異なる1つの実施形態において、回転可能なブライダーが記述される。回転可能なブライダーは、剛性の異なる複数の領域を有するインプラントを形成するために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
実施可能な本発明の実施形態のこれらおよびその他の態様、特徴、および利点が、以下の本発明の実施形態の記述および添付の図面への参照から明らかにされ、かつ、説明される。
【0032】
【
図1-5】
図1-5は、保持部分と、支持部分とを含む閉塞デバイスを示している。
【0033】
【
図6】
図6は、複数の保持部分を含む閉塞デバイスを示している。
【0034】
【
図7】
図7は、閉塞デバイスの保持部分を形成するために用いられる製造要素を示している。
【0035】
【
図8-12】
図8-12は、複数のディスク状部分と、それを作成するためのマンドレルとを含む閉塞デバイスを示している。
【0036】
【
図13-14】
図13-14は、小径領域および大径領域を含む閉塞デバイスを示している。
【0037】
【
図15】
図15は、螺旋状のリボンを含む閉塞デバイスを示している。
【0038】
【
図16-22】
図16-22は、インプラント用の様々な取り外しシステムを示している。ここで、インプラントは、閉塞デバイスであってもよい。
【0039】
【
図23】
図23Aおよび23Bは、デバイスが湾曲構成で拡張することを可能とする張力部材を有する閉塞デバイスを示している。
【0040】
【
図24】
図24Aおよび24Bは、オフセット構成において、自身のカテーテルから拡張している閉塞デバイスを開示している。
【0041】
図24Cは、
図24Aおよび24Bの閉塞デバイスを形成するためのマンドレルを示している。
【0042】
【
図25】
図25A-25Dは、複数の凹端終端点と、それらを作成するためのマンドレルとを有する編み上げ閉塞デバイスを示している。
【0043】
【
図26】
図26A-26Fは、外側セクションと、内側セクションとを含む閉塞デバイスを示している。
【0044】
【
図27】
図27A-27Dは、封止部材を含む閉塞デバイスを示している。
【0045】
図27E-27Fは、構造部分と、メッシュまたは膜部分とを含む閉塞デバイスを示している。
【0046】
【
図28】
図28A-28Cは、内側ブライダーと、外側ブライダーとを含むブライダーを示している。ブライダーは、閉塞デバイスを編むために使用することができる。
【0047】
【
図29】
図29A-29Eは、閉塞デバイスを形成するために用いられるテーパー状のマンドレルを示している。
【0048】
【0049】
【
図31】
図31Aおよび31Eは、閉口端部を有するインプラントを形成するために用いられるマンドレルを示している。
【0050】
図31B-31Dおよび31Fは、編み上げられた閉口端部を有する閉塞デバイスの代替的な実施形態を示している。
【0051】
【
図32】
図32A-32Cは、回転可能ブライダーによって形成される編み上げ構造体の交差セクションを示している。
【0052】
【
図33】
図33A-33Eは、閉塞デバイスと共に用いられる取り外しシステムを示している。
【0053】
【
図34】
図34A-34Bは、閉塞デバイスと共に用いられる取り外しシステムを示している。
【0054】
【
図35-40】
図35-40は、頸部ブリッジ要素を含む閉塞デバイスを示している。
【0055】
【
図41-42】
図41-42は、複数の支柱と、先端接触部分とを含む閉塞デバイスを示している。
【0056】
【
図43-45】
図43-45は、最上部要素と、底部要素と、コイル接続コンポーネントとを含む閉塞デバイスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の複数の特定の実施形態が、添付の図面を参照して記述される。しかしながら、本発明は、複数の異なる形態で実施することができ、さらに、ここに説明される実施形態に限定されて構成されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全となるように提供されるものであり、さらに、本分野における当業者に、本発明の範囲を完全に伝達するものである。添付の図面に示された複数の実施形態の詳細な説明において用いられる専門用語は、本発明を限定する意図のものではない。図面中において、同様の番号は、同様の要素を参照するものである。
【0058】
閉塞および/または塞栓用デバイスが記述される。該デバイスは、これに限定されないが、動脈瘤の充填、心房中隔欠損症、卵円孔開存症、左心耳閉塞、動脈管開存症、瘻孔、動静脈奇形、不妊のための卵管閉塞、および末梢血管系の閉塞を含む様々な目的のために使用することができる。ここに記述される実施形態のいくつかは、嚢内デバイス(intrasaccular device)と見なすことができる。
【0059】
ここに記述される複数の実施形態の使用を説明する目的のために、説明および一貫性確保が簡単な動脈瘤の処置が記述される。しかしながら、本デバイスの様々な実施形態は、動脈瘤の処置に加えて、上述の目的を含む数多くの目的のために使用可能である。
【0060】
動脈瘤のような血管疾患を処置するための典型的な技術は、空間を埋めるためのコイルまたはターゲット領域への血流を遮断するためのクリップを利用する。これらの技術は、動脈瘤/処置領域が幅広な頸部または複雑な形状を有している場合に、コイルの配置および保持に問題があるものとなり得るため、困難さを伴う。嚢内デバイスは、動脈瘤の頸部において閉塞を形成し、さらに、動脈瘤の一般的な形状に自身の形状を合わせ、これにより、頸部から動脈瘤への血流を制限し、ターゲット部位を閉塞することを目的としている。このようなデバイスの例は、参照によりここに開示の全体が援用される、同一出願人によるUS20140200607に見つけることができる。
【0061】
また、ここに記述される嚢内デバイスは、ターゲット部位における閉塞効果を増補するために、塞栓用コイル、液体塞栓材、または他の塞栓手段と共に用いられてもよい。本明細書に開示される多くの実施形態は、カテーテルに接続された取り外し可能な嚢内デバイスであり、また、塞栓材が自身のカテーテルを介して搬送されることを可能とするものである。カテーテルは、自身の長さ方向に沿って延伸し、嚢内デバイスにおいて開口する経路を備えている。嚢内デバイスがターゲットの動脈瘤へ向かうよう前に進まされ、拡張すると、塞栓用コイルまたは液体塞栓材のような塞栓手段がカテーテルを介して前に進まされ、カテーテル内から嚢内デバイスおよび/または動脈瘤内へ出る。最終的に、嚢内デバイスを、カテーテルから取り外すことができる。なお、最初に、動脈瘤を隣接する血管から封鎖するために、嚢内デバイスを、動脈瘤内に配置することができ、続いて、塞栓材を搬送することができる。処置手順のこの順番は、最初に塞栓材を搬送し、その後、嚢内デバイスを搬送する場合と比較して、動脈瘤内で塞栓材をよりよく保持することを可能とする。また、嚢内デバイス内の開口は、同様にカテーテルに接続されたテザー(つなぎ網)またはモノフィラメントを取り付けるために用いられてもよく、これにより、カテーテル内において、取り外し機構を用いて嚢内デバイスを取り外すことが可能となる。
【0062】
このような嚢内デバイス11の1つの実施形態を、
図1-5に見ることができる。嚢内デバイス11は、複数の塞栓用コイル6を支持するための複数の支持部12と、拡張し、支持部12の基端を支持する保持部10とを含む。以下にさらに詳細に述べるように、嚢内デバイス11は、マイクロカテーテル9内の経路と接続された開口を備えており、嚢内デバイス11を取り外し可能に保持するためのテザーの拡張および/または接続後の塞栓材の搬送を可能としている。
【0063】
1つの実施例において、支持部12は、メッシュまたは編み上げ構造体となるように織られた複数のワイヤーから構成されており、さらに、円筒形状または凹状ディスク形状に拡張する。
図4Aおよび4Bに最も好適に示されているように、支持部分12の基端は、円筒状の基端部材15と共に、自身のメッシュで終端している。この端部材15は、好ましくは、支持部分12の基端側と先端側との間を接続する経路15A(
図4B参照)を備えている。
【0064】
1つの実施例において、基端部材15は、最初に支持部分12のメッシュの基端を寄せ集め、次に、相対的に大きなX線不透過性のマーカーバンドを、寄せ集めたメッシュの基端を囲むように配置することによって形成することができる。次に小さなマーカーバンドがメッシュの内側において並べられ、大きなマーカーバンドと同心となるように整列される。最後に、2つのマーカーバンドが互いに溶接される。双方のマーカーバンドは、環状またはリング状であるため、双方のマーカーバンドによって、双方のマーカーバンドを挿通する経路15Aを有する基端部材15が形成される。
【0065】
異なる1つの実施例において、支持部分のメッシュの複数の編み上げワイヤーの全てを、X線不透過性のマーカーバンドの中央部に挿通するよう送り出すことにより、基端部材15を形成することができる。低い溶接能力を有するマンドレル(すなわち、通常の溶接温度では融解しにくいマンドレル)がメッシュおよびマーカーバンド内に配置され、メッシュおよびリングが溶接され、結果として得られた基端部材15を挿通する経路15Aが残される。
【0066】
さらに異なる1つの実施例において、支持部分メッシュの複数の編み上げワイヤーを、低い溶接特性を有するチューブ内に挿通するよう配置することによって、基端部材15を形成することができる。同様に低い溶接特性を有するマンドレルがメッシュの内側に挿通され、メッシュの複数のワイヤーを互いに溶接することが可能となっている。チューブおよびマンドレルがメッシュから除去され、結果として得られた基端部材15を挿通する経路15Aが残される。任意選択的に、端部材15の強度を増加させるために、デバイスの外径を囲むように追加的な溶接を実行することができる。
【0067】
異なる1つの実施形態において、最初に支持部分12の初期状態の編み上げ構造体の基端を、先端が尖ったまたは三角形状の複数のフラップ12Aとなるように切断することにより、基端部材15のサイズを減少させることができる。例えば、4個から16個のフラップを形成することができる。上述の技術のうちの1つにおいて、結果として得られた複数のフラップ12Aは、互いにより集められ、基端部材15を形成することができる。端部材15において互いに保持されているワイヤーの数の減少により、複数のフラップ12Aを形成しない場合よりも実質的に小さい端部材15を得ることができる。
【0068】
保持部分10は、1つの実施例において、1つ以上のワイヤーから形成された複数のループ22を備えており、さらに、保持部分10は、複数のループ22が単一の平面内で実質的に整列されるよう、放射状に拡張している。保持部分10は、
図3および4の上面図および側面図に示された中央要素18を備えており、中央要素18は、複数のループ22を形成する複数のワイヤーを保持している。中央要素は、中央開口または管腔21と、複数の小開口20とを備えている。中央開口21は、好ましくは、支持部分12の経路15Aと接続または一列に配置されており、これにより、カテーテル9内の経路、経路15A、および開口21間の連続的な経路が形成される。この連続的な経路によって、塞栓材を嚢内デバイス11内へ送り出すことが可能となっている。
【0069】
複数のワイヤーは、複数の小開口20を挿通し、
図5に示されているようなクローバー形状を形成する。これらの「クローバーの葉」ループ22の4つが
図5に示されているが、これより少ないまたはこれより多い葉が用いられてもよい。1つの実施例において、各葉は、単一のワイヤーにより形成可能であり、ワイヤーの一方の端部が、第1の孔を挿通するよう配置され、ワイヤーの他方の端部が、第2の孔を挿通するよう配置される。ワイヤーの2つの端部は、互いに溶接または他の方法によって結合される。よって、各葉は、中央要素18上の2つの孔を利用する。
図3-4には、4つの葉のそれぞれと共に用いられる8つの孔が示されている。異なる1つの実施例において、中央要素は、孔を含んでいなくてもよく、代わりに、クローバーの葉のワイヤーが(接着剤、機械的結合、または溶接により)取り付けられた、単なる一つの部品であってもよい。
【0070】
図7は、保持部10を形成するために使用可能なマンドレルまたは固定具17を示している。固定具17は、中央要素18を収納するためのスロット17Aを備えている。複数のワイヤーが「花弁」状の固定具17Bを囲むように巻線され、複数の「クローバーの葉」ループ22を形成することができる。任意選択的に、デバイスを下方に押圧し、形状を保持するために、プレス17Cを用いてもよい。さらに加えて、任意選択的に、その後に熱処理手順を実行することができる。
【0071】
支持要素12を、接着剤、機械的結合、または溶接によって、保持部分10に取り付けることができる。支持要素12は、複数の「クローバーの葉」ループ22の基端対向部を横切るよう配置され、その後、先端方向に突出する壁部を有する円筒のように延伸する。
図1に示すような支持要素12は、開口した最上部を有しているが、閉口した最上部が用いられてもよい。支持要素12を、ニチノールワイヤーのようなワイヤーのメッシュまたは編み上げ構造体から構成することができる。また、チタン、プラチナ、金、および/またはパラジウムのようなX線不透過性材料を用いてもよい。1つの実施例において、メッシュは、単に、ニチノールワイヤーを含む。異なる1つの実施例において、メッシュは、別のX線不透過性のワイヤー(例えば、上述の材料)と共にニチノールワイヤーを含む。異なる1つの実施例においては、X線不透過性のコアおよびニチノールの外層、または、ニチノールのコアおよびX線不透過性の外層を含むワイヤーを用いてもよい。
図2に最も好適に示されているように、保持部分10は、1つの実施例において、動脈瘤の頸部に配置され、一方、支持要素12は、動脈瘤の内部に位置し、動脈瘤を埋める。
【0072】
図1のデバイス11を、その内部においてデバイス11自身が相対的に小さなマイクロカテーテル9に接続されている相対的に大きな搬送カテーテル8内に配置することができる。マイクロカテーテル9は、相対的に大きなカテーテル8を介して経路を辿るか、搬送カテーテル8の先端部内に事前に配置されている。デバイス11の支持部分12の基端は、保持部分10の中央要素18と同一平面で載置されているか、保持部分10を超えて近接して延伸しているか、複数の「クローバーの葉」ループ22の後部または全部のいずれかと凡そ同一平面で終端していてもよい。異なる1つの実施例において、複数のクローバーの葉ループ22のワイヤー部分は、中央要素18の開口20を挿通しているため(
図3参照)、中央要素18の下方に位置している。これにより、籠形状が形成され(
図5の形状においては、4つのループが4つのワイヤー籠突部を形成している)、メッシュ支持部分12の基端がこの籠内に位置し、この籠のワイヤーによって拘束される。代替的に、支持部分12のワイヤーを、接着剤、機械的結合、または溶接によって、複数のクローバーの葉ループ22の上方または下に直接取り付けることができる。この技術が使用されたのであれば、メッシュは、中央要素18の中央開口21を塞がないよう、構成されることになる。以下に説明するように、この管腔は、追加的な塞栓材を搬送するために用いられることができるため、管腔は、塞がれてはならない。
【0073】
1つの実施形態において、
図1の閉塞デバイス11は、マイクロカテーテル9に取り付けられる。すなわち、マイクロカテーテル9は、マイクロカテーテル9の先端において、中央要素18、支持部分12、および保持部分10に接続される。このマイクロカテーテル9は、相対的に大きなカテーテル8を介して搬送され、支持部分12および保持部分10は、この相対的に大きなカテーテル8内にあるとき、折り畳まれた構成を取る。この折り畳まれた構成において、保持部分のクローバーの葉ループ22が共に押圧され(開花前のつぼみと同様である)、マイクロカテーテルの先端を超えて配置される。ここで、支持部分は、さらに先端側に配置されており、同様に、折り畳まれた構成となっている。相対的に大きな搬送カテーテル8が、マイクロカテーテル9および取り付けられた閉塞デバイス11を露出させるために後退させられる。または、マイクロカテーテル9が、デバイスを露出させるため、搬送カテーテル8の先端から外に押し出される。露出すると、支持部分および保持部分が、
図1に示すような拡張された構成を取る。閉塞デバイス11がターゲット処置部位14内に配置された後、マイクロカテーテル9の管腔を、
図2に最も好適に示されているように、塞栓用コイル6または液体塞栓材のような追加的な塞栓材を搬送するために使用することができる。
【0074】
異なる1つの実施形態は、保持部分10のみを用い、支持部分12を用いなくてもよい。このような実施形態において、保持部分は、続いて搬送される塞栓用コイルが、動脈瘤14の頸部から外側に落下することを防止するために単独で用いられることになる。異なる1つの実施形態は、保持部分10の複数の「クローバーの葉」ループ22の上方、下方、または両側を完全に囲むように配置されたメッシュ層を有する保持部分10を用いてもよい。メッシュは、動脈瘤内部へ流入する血流量を制限する閉塞効果を提供する(すなわち、メッシュ自身が血液の侵入に対する障壁を提供する)。塞栓用コイルや液体塞栓材のような任意の追加的なその後に導入される塞栓材が、その後、動脈瘤/処置部位内の閉塞を増補することになる。例えば、閉塞デバイス11がターゲット処置部位に配置され、さらに、任意の選択的な塞栓材(すなわち、コイル、液体塞栓材、または他の塞栓材)がマイクロカテーテル9を介して導入された後、閉塞デバイス11がマイクロカテーテルから取り外され、処置部位に残る。これにより、マイクロカテーテル9を引き抜くことが可能となる。
【0075】
取り外しシステムを、保持要素10の中央要素18と共に利用することができる。マイクロカテーテルの先端セクションを取り外すための複数の取り外し可能な先端デバイスが本分野において既知であり、これらは、液体塞栓材搬送システムと共に用いられることが多く、カテーテルの先端セクションが、搬送された液体塞栓材にスタックまたは「接着」してしまった際に、カテーテルの残りの部分を引き抜き可能とするよう、取り外し可能となっている。取り外し可能な先端を、中央要素18と共に使用用いることができ、そのため、マイクロカテーテルは、中央要素16と、該マイクロカテーテルの先端側の端部上に構築されている保持要素10とを有することになる。マイクロカテーテルから中央要素を分離し、ターゲット処置部位に閉塞デバイスを残すため、電解、熱、または機械式の取り外しシステムを使用することができる。代替的に、取り外し接点が、中央要素の近位に位置してもよい。例えば、取り外し可能な先端要素が、中央要素16に接続されているが、該中央要素に近接して配置されていてもよい。米国特許公開公報第2015/0137773号は、本実施形態において利用可能ないくつかの取り外し可能先端システム実施形態を開示しており、米国特許公開公報第2015/0137773号の開示の全てが参照によりここに援用される。
【0076】
図33A-33Eは、本明細書において記述される複数の他の閉塞デバイスの任意のものと同様に、
図1に示す閉塞デバイス11と共に使用可能なユニークな取り外しシステム107を示している。従来技術における他の取り外しシステムと異なり、
図33A-33Eの実施形態は、(
図3に最も好適に示されている)管腔21の中央開口を収納可能な取り外しシステムを示している。本デバイス107の複数の実施形態の1つは、相対的に小さなマイクロカテーテルまたは搬送チューブ106の先端に接続されている閉塞デバイスを利用する。この場合、デバイス107自身が別の相対的に大きなカテーテルを介して搬送される。取り外しシステム107は、閉塞デバイス11に接続されたマイクロカテーテルまたは搬送チューブ106が、適切なタイミングで、閉塞デバイス11から取り外されることを可能とする。例えば、閉塞デバイス11が動脈瘤内に配置され、取り付けられたマイクロカテーテル106が追加的な塞栓材(例えば、液体塞栓材またはコイル)を搬送するために使用され、その後、マイクロカテーテル106が取り外しおよび除去され、その結果、閉塞デバイス11が適切な場所に残されることになる。取り外しシステム107は、取り付けられたマイクロカテーテル106の先端側領域内のヒーター104を利用する。ヒーター104は、様々なパターン(例えば、図面に示されている矩形波パターン)の電気抵抗ワイヤーコイルまたはレーザーカットシートである。ワイヤー108aおよび108bは、2つの箇所においてヒーター104に接続されており、各ワイヤーが互いに反対に分極されるよう、デバイス107の基端において電圧源から供給を受け、これにより、ヒーター104が電流を搬送することを可能としている。円筒状のカバー110がヒーター104を覆うように位置しており、犠牲ポリマー層または粘着層がカバー110とヒーター104との間に位置することができる。動作原理は、ヒーター104によって発生した熱が、犠牲層を分離し、マイクロカテーテル106をカバー110から取り外し、これにより、
図33Dおよび33Eに示すように、脈管構造からマイクロカテーテルを後退させることなく、マイクロカテーテルを残すことができる。
【0077】
図33Aには、犠牲ポリマーまたは接着層およびヒーターの双方が、180度より大きく360度未満の角度で、開口または管腔を囲むように延伸している様態が示されている。様々な構成が可能である。例えば、ヒーターによって溶融される内側の犠牲ポリマーまたは接着層が、選択的に開口の周面を覆う非連続的なセグメントで延伸していてもよい。ヒーターおよび犠牲層は、開口を360度完全に、または、ほぼ360度で、囲むよう延伸していてもよい。ヒーターまたは犠牲層の1つが開口を360度完全に囲むよう延伸しており、他方が開口を360度未満で囲むように延伸していてもよい。犠牲層は、開口を少なくとも180度で囲むように延伸していることが好ましく、一方、ヒーターは、犠牲層の幅を少なくとも覆わなくてはならない。
【0078】
図1の閉塞デバイス11および
図33A-33Eの取り外しシステム107を利用する動作方法は、取り付けられたマイクロカテーテル106と共に閉塞デバイス11を取る工程と、相対的に大きなカテーテルを介して本システムを搬送する工程とを含む。閉塞デバイス11が適切に配置されると、取り付けられたマイクロカテーテル106を介して追加的な塞栓材が任意選択的に搬送され、その後、取り外しシーケンスが開始され、マイクロカテーテル106が閉塞デバイス11から取り外され、続いて、マイクロカテーテル106が引き抜かれる。
【0079】
図34Aおよび34Bは、本明細書に記述された複数の他の閉塞デバイスの任意のものと同様に、閉塞デバイス11と共に用いることができる閉塞デバイス取り外しシステム150を示している。
図34Bに示されているように、システム150は、閉塞デバイスの基端上のデバイス結合リング152およびチューブ状の押圧体156に取り付けられた2つのテザー159を用いる。各テザー158は、選択的に作動される電力源に接続され、作動されたとき、温度を上昇させ、さらに、テザー159を破壊し、デバイス結合リング152とそれに接続された閉塞デバイスを取り外すヒーターコイル158に取り囲まれている。
【0080】
ヒーターコイル158は、好ましくは、チューブ状の押圧体156内に切り込まれた、対向して位置する2つのチャンネル内に配置される。ヒーターコイル158内の経路は、それぞれ、押圧結合リング154を介して開口154Aと一列に並ぶよう配列されている。同様に、デバイス結合リング152は、互いに対向または反対側となり、開口154Aと一列に並ぶよう配列された2つの開口152Aを備えている。テザー159は、開口152Aを挿通し、開口154Aおよびヒーターコイル158を介して、開口152Aの基端側に結合または固定されており、さらに、ヒーターコイル158の近位かつスロット156Aの内部に結合/固定されている。
【0081】
閉塞デバイスが、デバイス11と同様に、編み上げ構造体またはメッシュを備えている場合、最初に、メッシュをリング152の主開口を介して送り出し、その後、捕捉されたメッシュの中央内部において、押圧チューブ156の中央管腔のサイズにマッチングした内側マンドレルを配置することにより、閉塞デバイスがデバイス結合リング152に取り付けられる。その後、メッシュの端部がリング152に溶接され、マンドレルが除去され、これにより、経路が閉塞デバイス内に残る。押圧結合リング154の主開口は押圧チューブ156の端部を覆うようにサイズが設定され、配置されるので、押圧チューブ156の中央管腔が、デバイス結合リング152と閉塞デバイスのメッシュによって形成された経路と一直線に並ぶ。これにより、閉塞デバイスが取り外される前に、塞栓材が中央押圧管腔および閉塞デバイスを介して前に進められることが可能となる。
【0082】
図6に示されているように、複数の保持部分10が使用可能である。より基端側の保持部分13bが動脈瘤の頸部に配置され、さらに、先端側の保持部13aが動脈瘤内に配置される。また、本実施形態は、
図1の支持要素12と共に使用可能であり、先端側の保持部分10bが、支持要素12の基端に配置される。上述の加熱技術を用いて、保持部分13bにおける取り外しが実行される。
【0083】
図8-12は、4つのディスク形状を有する
図9のデバイス30aのような、複数のディスク状セクション31を形成する編み上げ構造体から構成される閉塞デバイスのいくつかの実施形態に関する。用語「ディスク状」が用いられるが、成形されたセクションは、楕円形、卵形、円筒形、円錐形、円錐台形等の数多くの形状を取ってもよい。このような形状の目的は、閉塞デバイスの圧縮率と伸張性の双方を考慮に入れることである。
【0084】
この形状は、所望の編み上げセクション31の形状を有する複数の巻線マンドレル26によって形成される。
図8は、挿通して延伸する支柱24によって互いに接続された2つのディクス状マンドレル26の1つの実施例を示している。各マンドレル26は、所望の編みパターンを形成するためにピン23を挿入可能な複数の孔28を備えている。ピン23の一部分は、ホール29の外側に位置しており、編み上げ構造体が様々なピンを囲むように巻線され、閉塞デバイス形状を形成することができる。各マンドレル26は同じ形状を有していてもよく、各マンドレル26は異なる形状を有していてもよく、組み合わせまたは同様/異なる形状が複数のマンドレル26に用いられてもよい。
【0085】
図10は、
図9のデバイス30aと同様であるが、中央編み上げ要素32を有する閉塞デバイス33の実施形態を示している。
図8の成形されたマンドレル26は、中央支柱24を備えている。複数のワイヤーが上側のマンドレルを挿通して巻線することにより、閉塞デバイスの最上部が形成されると、複数のワイヤーの残りの部分が中央要素および中央支柱24の底部から引き出される。代替的に、中央要素24がロッドであり、管腔を有さない場合、複数のワイヤーの残りの部分は、中央要素24を囲むように引き出され、中央要素24を挿通しない。代替的に、複数の構成ワイヤーが、最初に、中央ロッド24を挿通または中央ロッド24を囲むように引き出され、その後、マンドレルの巻線が開始される。様々な巻線技術が使用可能である。例えば、
図10に示されているように3つのディスク状要素31が用いられる場合、プロセスは、最初に中央のマンドレル26、次に下側のマンドレル26を囲むように巻線することから開始され、その後、複数のワイヤーを複数のマンドレルを覆うように上側に引き戻し、その後、複数のワイヤーが上側のマンドレル26を覆うように巻線される。これにより、複数のワイヤーがデバイスを覆うように引き戻されるので、側壁がメッシュデバイスの一部分を覆う二重となり、多層効果を得ることができる。
図9-12は、3-4つの成形されたセクション31を含む閉塞デバイスを示しているが、これより少ないまたはこれより多い成形されたセクション31を用いることができる。
【0086】
複数の他の閉塞デバイスの形状は、編み上げ構造体の一部分だけではなく、全てにおいて、中央要素を利用してもよい。より少ないまたはより多いディスク状要素を利用する様々な閉塞形状が可能である。
図11は、異なる形状の様々な要素31および閉塞デバイスの一部分のみを挿通する中央要素を利用する閉塞デバイス35の異なる形状を示している。1つの実施例において、閉塞デバイスの基端が一体となるように、複数のワイヤーの基端が中央要素32の基端に溶接または取り付けられる。
【0087】
図12は、動脈瘤14内の
図10のデバイス33を示している。上述したように、メッシュを利用し、さらに、異なる形状の複数のディスク状要素を有することの1つの利点は、編み上げ構造体の圧縮性および伸長性にある。編み上げ構造体は、伸長可能であり、さらに、ディスク要素の径方向の寸法を減少させることができ、また、長尺方向の伸長を犠牲にして、急速に圧縮および拡張可能である。
【0088】
1つの実施形態において、
図8-12の閉塞デバイスを巻線する巻線方法が記述され、
図28A-28Eに示される。巻線方法は、ディスク部分31内部において中央編み上げ要素32を利用する
図10-12に示すようなデバイスと同様のデバイスを形成するのに有用である。巻線プロセスは、2つの編み機構、すなわち、外側ブライダー84および内側ブライダー86を利用する。ワイヤー80の第1のセットが外側ブライダー84に接続され、これらワイヤー80がマンドレル26Aの複数のピンを覆うように巻線される。ワイヤー82の第2のセットが内側ブライダー86に接続され、これらワイヤーは、複数のピンを覆うようには編まれないが、その代わり、マンドレルの中央チャンネル(すなわち、
図8の要素24)内に引き込まれる。その後、複数のワイヤー82が外側ブライダー84上に配置される。
【0089】
第2のマンドレル26Bは、第1のマンドレル26Aの隣に配置される。ワイヤー80の第1のセットが第2のマンドレル26bの内側チャンネルを挿通するよう引き出され(ワイヤー82が最初に第1のマンドレル26aの内側チャンネルを挿通するよう引き出されたのと同様に行われる)、一方、ワイヤー82の第2のセットが第2のマンドレルの複数のピンを覆うよう巻線される。ワイヤー80の第1のセットは、内側ブライダーに接続される。十分に理解可能されることであるが、ワイヤーのセットがマンドレルの内側チャンネルを挿通するよう引き出されると、このワイヤーが内側ブライダーに接続され、一方、ワイヤーのセットがマンドレルの複数のピンを覆うよう巻線されると、このワイヤーが外側ブライダーに接続される。ブライダーは、多数のキャリア86を有しており、キャリアは、ワイヤーを収納するため多数のボビンを含んでいる。ブライダーは、マンドレルが長尺方向に動いている間に、キャリアが様々な設定で回転するよう自動化され、編み上げの実行を可能としている。また、追加的なマンドレルが配置されてもよく、ワイヤー配置は、連続して交互に行われる。そのため、例えば、ワイヤー80の第1のセットが、最初に、第1のマンドレルを囲むよう外側編み上げ構造体を形成し、その後、第2のマンドレル内に内側編み上げ構造体を形成し、その後、第3のマンドレルの外側編み上げ構造体を形成し、一方、ワイヤー82の第2のセットが第1のマンドレルの内側編み上げ構造体を形成し、その後、第2のマンドレルの外側編み上げ構造体を形成し、その後、第3のマンドレルの内側編み上げ構造体を形成する等である。異なる複数のワイヤー要素が外側編み上げ構造体の異なる複数の部分を形成し、外側編み上げ構造体の異なる複数の箇所を形成するので、記述されたこの巻線方法の内側編み上げ構造体32を、非連続とみなすことができる。いくつかの箇所において、全てのワイヤー(ワイヤーセット80、82の双方)を外側ブライダーによって保持する必要があるため、外側編み上げ構造体は、様々なワイヤーを保持するためのより多くのキャリアを必要とし、一方、内側ブライダーは、ワイヤーのセット80、82のみを保持すればよく(または、どちらも保持しない)、そのため、外側ブライダー84は、内側ブライダー86の少なくとも2倍の数のキャリアを必要とすることになる。例えば、各セクション用の編み上げ構造体が48本のワイヤーから構成される場合(すなわち、各ワイヤーのセット80および82が48本のワイヤーを含み、合計で96本のワイヤーが使用される)、内側ブライダーは、ワイヤーセットの1つを収納するための少なくとも48のキャリアを有している必要があり、一方、外側ブライダーは、ワイヤーセットの双方を収納するための少なくとも96のキャリアを有している必要がある。
【0090】
図28A-28Cは、まさに上述した様々な製造工程を示している。複数の異なる巻線方法も、連続した内側要素32を利用してもよく、例えば、ワイヤー82の第2のセットが一連のマンドレルの内側チャンネルを挿通するよう引き上げられ、ワイヤー80の第1のセットが様々なマンドレルの周面を囲むように巻線される。内側および外側のブライダーがこのような設定で用いられると、編み上げ動作の間、連続した内側要素32を含むワイヤー82の第2のセットが内側ブラーダーに接続されたままとなり、一方、外側編み上げ部分を含むワイヤー80の第1のセットが外側ブライダーに接続されたままになる。
【0091】
図29A-29Eは、複数の層を有する編み上げ構造体を形成するための別の方法を示している。テーパー状のマンドレル88が、ブライダー90によって編まれる。テーパーは、一方の端部が小さな径を有し、さらに、他方の径が大きな径を有することを可能とし、両端部の間で径が変化する。以下に述べる理由から、
図29Cに示されているように、小径端部88aの一部分が一定の径を有していることが望ましい。テーパー状のマンドレルが編まれる。円形要素92を、テーパー状のマンドレルの小径で、一定の径の部分88aに沿った1つ以上の箇所に配置することができる。その後、編み上げ構造体の残りの部分が、外側球形状を形成する円形要素を覆うように折り畳まれ、一方、部分88aはそのまま残り、部分88aは内側編み上げ部分を含む。
図29Eにおいて、3つの拡大セクションを形成するために、3つの円形要素がセクション88aに沿って配置されている。形状をセットするため、折り畳まれたセクションを、結合および熱硬化させることができる。
【0092】
図13Aおよび13Bは一連の小幅メッシュ領域39および大幅領域30b(すなわち、複数の「花弁」形状30b)を形成するために、二重の層に平坦化され、その後、熱成形されるチューブ状の編み上げ構造を含む閉塞デバイス37を示している。これら花弁形状30bは、2回熱硬化され、動脈瘤内部の湾曲と凡そマッチする湾曲形状を実現することができる。
【0093】
最初のチューブ状編み上げ構造体が均一の編み上げパターンで織られると、編み上げの密度は、小幅領域39において最大となり、各花弁30bの中央において最小密度となる。しかしながら、花弁30bの中央は、デバイス37が動脈瘤内部において最大の流れの阻害を形成しようとする箇所であり、そのような編み上げの密度は、意図したとおりに、流れを最適に阻害するものとはならない。
図14は、編み上げ構造体のピッチおよび幅の双方が変化する編み上げ技術およびパターンを示しており、これにより、花弁30bの中央における編み上げ密度増加領域41と、複数の花弁30bの中央間の編み上げ密度減少領域43とが提供される。この可変ピッチ/幅の技術は、最も必要とされる花弁の幅が大きい箇所における最も効果のある流れの阻害のために、編み上げの密度を最適化することを可能とする。
【0094】
編み上げ固定具35Aを、編み上げ構造体の可変ピッチ/幅を形成するために使用することができる。固定具35Aは、径が規則どおりに増減するバルブ構造であり、繰り返しの3次元波パターンを形成する。また、固定具35Aは、1つ以上のワイヤーが固定具35Aを囲むように編まれることを可能とする、固定具35Aを囲むように一定の間隔で配置される複数のピン35B用の多数の取り付け箇所を備えている。各ピン35Bの長尺方向の離間距離は、領域41における「波」のそれぞれのピークにおいて最小となり、領域43の波の谷間に近づくにつれて徐々に増大し、その後、波のピークに近づくにつれて配置が再度増大する。なお、編みパターンのポア(孔)サイズは、各「波」のピークにおいて最小となり、「波」の谷間において最大となる。
【0095】
図15は、螺旋状のリボンメッシュを含む閉塞デバイス34を示している。螺旋状のリボンは、一様または可変の径/厚さを有していてもよい。
図1の支持要素12および
図9-15の閉塞デバイスは、ワイヤーの編み上げ構造体またはメッシュを利用する。複数のワイヤーは、ニチノール、コバルト-クロム、ポリマー、ステンレス鋼、および/またはバネテンパーステンレス鋼から作成することができる。また、タンタル、パラジウム、金、および/またはパラジウムのようなX線不透過性材料を代わりに使用してもよく、前の文において列挙されたX線透過性材料と共に、メッシュ内に組み込まれていてもよい。1つの実施例において、メッシュは、ニチノールワイヤーのみを含んでいてもよく、また、異なる1つの実施例において、メッシュは、メッシュを含む他のX線不透過性のワイヤー(上述の材料のもの)と共にニチノールワイヤーのメッシュを含んでいてもよい。異なる1つの実施例において、X線不透過性のコアおよびニチノールの外層、または、X線不透過性のコアおよびニチノールの外層を含むワイヤーが使用されてもよい。1つの実施例において、ワイヤーの径は、約0.002”から約0.005”であってもよい。また、可視化を補助するため、編み上げ構造体/メッシュを含むワイヤーのいくつかまたは全てが、X線不透過性(すなわち、タンタル)のコイルを含んでいてもよい。
【0096】
図1のデバイス11は、この図の閉塞デバイスが、相対的に大きなカテーテル8を介して搬送されるマイクロカテーテル9の先端に取り付けられるため、既に述べたような取り外し可能な先端タイプのシステムを利用してもよい。異なる1つの実施形態は、代わりに、固形管腔押圧具を利用してもよい。上述のようにデバイスが搬送されることが可能であり、さらに、続いて塞栓材を導入するためのマイクロカテーテルの管腔が不要となる。よって、例えば、
図1の閉塞デバイス11が、搬送カテーテルまたはマイクロカテーテルを介して押され、動脈瘤内部に配置される押圧ロッドに接続されていてもよく、デバイスを露出させるためにデバイスが続いて押し出されるか、カテーテルが後退させられる。デバイスの中央要素16を押圧ロッドから取り外すために、熱、機械、または電解式の取り外しシステムを使用することができる。様々な取り外しシステムが、US5895385、US5108407、US6500149、US4346712、US8182506、US20100268204、US20110301686、US20150289879において議論されており、これらの全ての開示の全てが、参照によりここに援用される。押圧ロッドおよびカテーテルは、その後に後退させられる。代替的に、他の塞栓材(例えば、コイルまたは液体塞栓材)を基端側から配置された閉塞デバイスに導入するために、カテーテルの管腔が続いて用いられる。よって、閉塞デバイスは、動脈瘤のドームを衝撃から保護する先端側障壁を形成し、追加的な塞栓材が動脈瘤のより基端側のセクションを埋めることになる。
【0097】
マイクロカテーテルの代わりに、押圧ロッドに接続された
図1のデバイスを利用する1つの実施形態において、閉塞デバイスを配置するために第1のカテーテルを使用することができる。特に塞栓材のために用いられる相対的に小さなカテーテルは、その後、カテーテル内に配置され、さらに、追加的な塞栓材(すなわち、塞栓用コイルまたは液体塞栓材)を導入するために、閉塞デバイスを介して配置可能である。その後、閉塞デバイスを取り外すことができる。代替的に、閉塞デバイスを配置し、取り外すことができる。最初に閉塞デバイスを搬送するために用いられるカテーテルを、その後、追加的な塞栓材(すなわち、コイルまたは液体塞栓材)を搬送するために使用することができる。別のケース(分離されたカテーテルが用いられるケース、または、同じ閉塞デバイスが再利用されるケース)において、追加的な塞栓材を搬送するために、カテーテルが編み上げ構造体内に配置される別の場所に、カテーテルを案内することができる。1つの実施例において、カテーテルを、動脈瘤のドームの近くの閉塞デバイスの最上部に向けて配置可能であり、それにより、動脈瘤および閉塞デバイスが底部から上部へ満たされることになる。異なる1つの実施例において、カテーテルを閉塞デバイスの底部に向かけて配置可能であり、それにより、動脈瘤および閉塞デバイスが底部から上部へ満たされることになる。
【0098】
図8-12のディスク状要素、
図13-14の小径/大径領域、または
図15の螺旋状のリボン形状のデバイスは、押圧要素に接続されることになる。デバイスを押圧要素から取り外すために、参照よってこれより前の援用された出願において検討された取り外しシステムを含む、様々な熱、機械、または電解式の取り外しシステムを用いることができる。同様に、閉塞デバイスを搬送するために用いられるカテーテルは、続いて、塞栓用コイルや液体塞栓材のような追加的な塞栓材を搬送するために用いられてもよい。
【0099】
図16-22は、長尺の押圧デバイス47の先端近くに位置する押圧具取り外しシステム45を示している。押圧具47がカテーテル8を介して前に進められ、その取り外しシステム47が作動され、本明細書で記述されたデバイス48のような閉塞デバイス48を取り外す。閉塞デバイス48は、押圧具上の軸方向可動取り外しワイヤー38によって押圧具に対して固定されている。すなわち、最初に、閉塞デバイス48がデバイス48の基端側の結合固定具40の空洞内に配置され、デバイス49が押圧具47の基端から横側に移動することが防止される。結合固定具40に接続され、さらに、押圧体36の先端領域側の切り取り領域44から露出している取り外しワイヤー38のより基端側の部分に接続されたテザーによって、デバイス48が取り外しワイヤー38から外れるように動くことが防止される。可撓性を向上させ、さらに、押圧体36と結合固定具40との間の接続性を向上させるために、バネ42がこれら2つの間に配置されている。
【0100】
取り外しシステム45を作動させるため、ワイヤー38の先端が基端側に動き、切り離し領域44に向かい、かつ、テザー46の取り付け部の基端側の点を超えるように、取り外しワイヤー38が基端側に後退させられる。テザーは、テザーが取り外しワイヤー38に対してスライドするように、取り外しワイヤー38に接続されている(例えば、緩い結び目やループ状の固定具によって結合されている)。よって、取り外しワイヤー38が結合固定具40から出ていくように動くだけでなく、テザー46がワイヤー38から完全に離れるようスライドすることを可能とするように後退し、これにより、押圧具47との接続が完全に解除された閉塞デバイス48が残される。さらに、バネ42が結合固定具40に当接するので、閉塞デバイス48を押圧具47から遠ざけるいくらかの力またはキックが提供される。
【0101】
図17-20は、押圧体36の基端を破壊し、ワイヤー38の基端部分を露出させることにより、押圧具47の取り外しワイヤー38を後退させ、それにより、医師がワイヤー38を基端側に後退させ、取り外しシステム45を作動させることができる1つの可能な機構を示している。
図17に示されているように、押圧体36の基端は、好ましくは、脆い領域52(例えば、押圧体36の1つ以上の孔)と、ユーザーに破壊ツール54をどこに位置合わせすべきかを示し、押圧体36の破壊を補助する視覚的ガイド50とを備えている。好ましくは、押圧体36の脆い領域52は、ツール54によって加えられる、テコの作用無しには、手順の間に一般的に破壊されないだけの十分な強度を有しており、これにより、閉塞デバイス48が意図せず取り外されるという困難な事態を防止することができる。
【0102】
破壊ツール54は、好ましくは、押圧体36の基端の径とほぼ同じサイズとなるように形成された経路を有しており、これにより、ツール54が押圧体36上をスライドすることが可能となる。ツール54は、好ましくは、相対的に小さな径を有し、脆い領域52と一列に配置される狭い領域56を備えており、これにより、
図19および20に示されているように、医師が追加的な力を脆い領域52に加え、押圧体36およびツール54自身の双方を破壊することが可能となっている。医師が適切に狭い領域56を位置合わせすることを容易とするために、
図18に示されているように、押圧体36は、好ましくは、ユーザーが視覚的ガイド50を視認し、位置合わせすることを可能とする窓を備えている。代替的に、ガイドは、ツール54がガイドに隣接するよう素早く動かなければならないように構成されていてもよく、触覚性の戻り止めのように構成されていてもよく、これにより、窓を設ける必要性が除去される。
【0103】
図21-22は、
図16の取り外しシステム45のいくつかの代替的な実施形態を示している。
図21は、システム45のものと同様であるが、結合具40を押すための追加キックを提供するバネ42を利用していない取り外しシステム53を示している。
図22は、結合固定具40の上に切り取り形成された2つの窓と、2つのテザー46Aおよび46Bを用いている。一方のテザー46Aは、取り外しワイヤー38の先端部に取り付けられ、押圧体36の先端部を囲むループを有している。他方のテザーは、取り外しワイヤー38のもう1つの基端セクションと接続し、さらに、押圧体36の基端部を囲むループのセクションと接続している。双方のシステムにおいて、取り外しワイヤー36回りの結び目は緩んだものであり、そのため、取り外しワイヤーを引くことにより、結合固定具40およびインプラント48が取り外される。
【0104】
図8-12および13-15の閉塞デバイスの実施形態も、
図1の実施形態と同様に動作するよう構成されていてもよい。すなわち、閉塞デバイスは、相対的に大きなカテーテルを介して搬送されるマイクロカテーテルの先端部に事前に搭載されていてもよい。異なる1つの実施形態において、閉塞デバイスの基端は、
図1の中央要素16と同種の要素を利用する。中央要素は、複数の構成編み上げワイヤーを共に拘束することになる。中央要素は、マイクロカテーテルの先端の近くに位置することになり、上で参照された取り外し可能先端システムと同様の取り外し可能先端システムが、本システムにおいて利用されることになる。
図1の実施形態と同様に、ユーザーは、動脈瘤の頸部にデバイスを配置し、任意選択的に、マイクロカテーテルおよび閉塞デバイスを介して、塞栓材(すなわち、塞栓用コイルまたは液体塞栓材)を搬送することになる。塞栓材が搬送されると、ユーザーは、上で述べられた取り外しコンセプトを介して、マイクロカテーテルの先端を分離し、マイクロカテーテルを後退させることになる。
【0105】
嚢内編み上げデバイスは、搬送カテーテルを動脈瘤内において比較的真っすぐ通すことができる分岐状動脈瘤において、非常によく機能する。しかしながら、側壁動脈瘤のような他の動脈瘤においては、搬送カテーテルの位置が、動脈瘤の頸部の入り口に対してより垂直なものとなり、そのため、編み上げ嚢内タイプのデバイスの配置がより困難となる。嚢内デバイスを、角度をつけて配置すると、取り付けられた押圧体およびデバイスの相対的に硬質な特性が、カテーテルを真っすぐにしようしてしまい、さらに、デバイスが動脈瘤内において角度をつけて配置されることになる。
【0106】
図23A-23Bは、閉塞デバイス64がオフセットまたは湾曲構成において拡張することを可能とし、これにより、上述のような困難な事態を回避するための張力システム59を示している。具体的には、張力システム59は、編み上げ閉塞デバイス64の先端および基端に接続されたテザー58を備えている。押圧具60が閉塞デバイスをカテーテル8から出ていくように押すと、テザー58の材料が、自身が拡張している間、デバイス64がデバイス64の一方の側に維持する張力を維持するようにさせ、反対側への最大の拡張を可能とする。これにより、拡張している間、テザー58の方向に湾曲または折り曲がるデバイス64が可能となる。
【0107】
より制御され、折れ曲がった搬送は、カテーテルが比較的真っすぐな軌道で動脈瘤にアクセスすることができない場合に、閉塞デバイス64が自身の拡張された形状を取り、動脈瘤を埋めるチャンスを最大化する。張力部材は、閉塞デバイスの接続部に対する張力を維持し、これにより、デバイス64の一方の側に沿った拡張を制限し、湾曲形状を形成することができる。加えて、この技術の利点は、テザー58を、1オーバー1パターン、2オーバー1パターン、2オーバー2パターンのような閉塞デバイス64の編みパターンの幅広い種類に適用可能であるということである。
【0108】
テザー58は、弾性ポリマー、伸長ニチノールまたはステンレス鋼、コイルバネ、ニチノールまたはステンレス鋼ワイヤー、形状記憶ワイヤーまたはリボン、プラチナまたはタンタルワイヤーまたは長片であり得る。さらに、1つより多いテザーが用いられてもよく、すなわち、複数のテザーが長尺方向に連なって接続されていてもよいし、インプラントの垂直寸法に沿ってオフセットされていてもよい。1つの実施形態において、テザーは、ニチノールコイルまたはワイヤーであり、テザーの剛性特性を変化させるために、熱源がテザーに接続されている。
【0109】
図24Aおよび24Bは、拡張されたメッシュ形状がカテーテル8(または、押圧具)に対してオフセットされた様態で拡張するよう編まれ、これにより、
図24Bに示されているようにカテーテル8によって角度をつけて接近したときに、動脈瘤内においてより最適に拡張することができる編み上げメッシュ閉塞デバイス160を示している。換言すれば、デバイス160が拡張したときに、その中心軸は、デバイス160がそこから拡張するカテーテル8の中心軸からオフセットしている。
【0110】
このようなオフセット拡張閉塞デバイス160を、編み上げメッシュチューブまたは被包囲構造を、相対的に大きな径の円筒構造162Aと相対的に小さな径の円筒形状162Bとを有するマンドレル162(
図24C)に配置することにより形成することができる。小径円筒構造162Bは、大径円筒構造162Aの中心軸からオフセットされた位置に固定されており、これにより、熱硬化を施された後に、閉塞デバイス160のオフセット形状を実現することができる。好ましくは、編み上げメッシュチューブは、最初に均一な円筒またはチューブを形成するよう形成され、その後、熱硬化によりオフセット形状となる。この技術は、最終的な閉塞デバイス160の編み上げセルのサイズがより一定のものとなることを可能とする。加えて、この技術の利点は、このオフセット熱硬化形状を、1オーバー1パターン、2オーバー1パターン、および2オーバー2パターンのような閉塞デバイス160の編みパターンの幅広い種類に適用可能であるということである。
【0111】
加えて、マンドレル162は、小径円筒構造162Bの接合面を囲むように、大径円筒構造162Aの端部に機械加工され、円筒が小径円筒構造162Bを超えて挿通されることを可能とし、閉塞デバイス162の基端を囲む凹みまたは押し下げ領域を実現する凹部を備えていてもよい。この凹部は、
図25A-25Dを参照してより詳細に述べられる。
【0112】
本明細書において記述される編み上げ嚢内閉塞デバイスは、本明細書の他の場所で記述されたように、マーカーバンドまたは他の溶接技術によって、基端、および、任意選択的に先端において終端していてもよい。しかしながら、閉塞デバイスの基端または先端の編み上げ端面を超えて突出することは、終端領域にとって、一般的に好ましくない。例えば、基端の終端点の突部が患者の動脈内に延伸したり、不必要な血栓形成を引き起こしたりしてしまう可能性がある。加えて、基端の終端点の突部は、動脈瘤のドームを破裂させてしまう可能性がある。
【0113】
図25A-25Dは、拡張構成のときに、編み上げ終端点の外側へ向かう突部を減らすことによって、上述の困難な事態を軽減している。具体的には、
図25Aは、拡張されたときに、内側へ向かって陥凹する基端編み上げ終端点170Aを有する先端開口端閉塞デバイス170を開示している。同様に、
図25Bは、先端編み上げ終端点172Aおよび基端編み上げ終端点172Bを有する被包囲閉塞デバイス172を示しており、終端点172Aおよび172Bの双方は、拡張されたときに内側に向かって陥凹する。
【0114】
図25Cおよび25Dに示されているように、内側に陥凹する編み上げ終端点を形成するために、相対的に大きな円筒部分174Aおよび相対的に小さく、隣り合う円筒部分174Bを有するマンドレル174を使用することができる。相対的に大きな円筒部分174Aは、端部に機械加工され、相対的に小さな円筒部分174Bを内部に配置可能な径を有する凹部174Cを備えている。凹部は、好ましくは、湾曲または凹状にされ、相対的に小さな円筒部分174Bが内部にあるときであっても、露出している。閉塞デバイスの編み上げ構造体は、最初に、円筒部分174Aおよび174Bの双方を覆うように配置され、その後、チューブ176が相対的に小さな円筒部分174B上の編み上げ構造体の一部分上で移動させられ、凹部174Cに対して押し付けられる。さらに、チューブ176の位置を保持するようクリップ177が用いられる。この動きにより、編み上げ構造体が凹部174C内に押し込まれ、マンドレル174をオーブン内に配置し、所望の陥凹形状を実現するための熱硬化を施すことが可能となる。マンドレル174が1つの陥凹端部174Cおよび1つの相対的に小さな円筒部分174Aと共に示されている一方、相対的に大きな円筒部分174Aの両端は、基端および先端の双方の陥凹端部を有する閉塞デバイス172を形成するためのこれらの特徴を備えることができる。
【0115】
図31A-31Bは、突出する基端または先端に関連する困難な事態を軽減する完全編み上げ端部(または両端部)を有する編み上げ閉塞デバイス101の異なる1つの実施形態を示している。換言すれば、円筒状に編まれた構造体の端部を溶接または他の技術で閉塞する代わりに、1つ以上の端部が、デバイス101の端部において、ワイヤーの如何なる終端もなくなるように、閉じるように編まれている。1つの実施形態において、デバイス101は、互いに相互接続され、デバイス101の軸を囲む円形パターンに配置された複数のループ101A状に終端する少なくとも1つの端部を有する円筒体を含み、これにより、端部が、編み上げ構造体の基本ワイヤーの如何なる自由端も含まない。
【0116】
デバイス101を、所望のボディ形状(例えば、円筒)およびドームまたは凹状端部(必要であれば、両端部)を有するマンドレル102(
図31Aおよび31Eの端面図に示されている)上に編むことができる。代替的に、マンドレルの両端部は、複数のピンを備える相対的に平坦な形状を有していてもよい。マンドレル102は、自身から突出し、ユーザーがマンドレル102の端部を囲む所望の編みパターンでワイヤーを巻線または編むことを可能とする複数のピン102Aを備えている。事前に織られた円筒部分と共に用いられる典型的な編み上げ技術は、ワイヤーの第2のセットを用いて、デバイスの中心軸に向かって内側に編むことを開始する。これにより、円筒部分の縁またはデバイスの端部の中心において、ワイヤーの自由端が得られる。
【0117】
デバイス101の編みパターンは、マンドレル102の端部の中央から始まる。複数のワイヤーのそれぞれの自由端を用いて、この場所において編み上げを開始する代わりに、複数のワイヤーのそれぞれの自由端のいずれかから実質的に離れて編み上げが開始され、これにより、閉塞デバイスの先端に向かって下降する編み上げ構造体を完成させるのに十分な長さをワイヤーのそれぞれの各端部に確保することができる。なお、デバイス101の中心軸を囲む円形パターンに形成された複数のワイヤー形成ループ101Aのそれぞれを用いて、編み上げが始まる。この基端部を共に保持することを補助するため、ループ101Aのそれぞれが、少なくとも2つの隣り合うループが互いに織り合わされるよう編まれる。2つのループだけが互いに織り合わされる場合(すなわち、左側と右側で折り合わされる場合)、複数のループ101Aは、
図31Bおよび31Cに示されているように、中央開口を有する円計パターンを形成する。ループ101Aが、円形パターンの斜めまたは反対側のループ101Aと互いに織り合わされる場合、デバイス101は、
図31Dに示すように、中央開口を実質的に有さないものとなる。さらに、ループ101Aのサイズがより大きい場合、より大きな潜在的な中央開口が得られ(
図31C)、ループ101Aのサイズがより小さい場合、より小さな任意の潜在的な中央開口が得られる(
図31D)。なお、デバイス101の基端を、軸方向の中央開口(本明細書の他の実施形態と共に記述されたようなものであり、搬送塞栓デバイス用に使用される)を有するよう、または、軸方向の開口を有さないよう、マンドレル102上で織ることができる。
【0118】
所望の編み上げが実行された後、マンドレル102およびデバイス101が熱硬化され、マンドレル102上においてデバイス構成を保持することができる。デバイス101の編み上げ端部は、端部の一部分を介して結合またはループにされたテザー101Bを介して押圧具またはカテーテルに接続可能であり、さらに、本明細書の別の箇所で記述された取り外し機構の1つによって、取り外し可能とすることができる(
図31F)。
【0119】
図31Cおよび31Dは、閉塞デバイスの端部用の2つの交互編みパターンを示している。
図31Cは、デバイスの中央または軸上点が開かれるように、環状に配置された複数の相互接続された円形ループで終端している。
図31Dは、デバイスの中央または軸上点を覆うように配置された複数の卵形で相互に接続された複数のループで終端しており、これにより、デバイスの端部の中央が閉じられている。
【0120】
図26A-26Fは、嚢内デバイス用の複数の異なるデザインを示しており、これらデザインの多くは、編みパターン内に組み込まれた複数の折り畳み要素を含んでいる。これら図面に示されたデバイスが、1つの構成に製造および熱硬化され、これにより、様々な要素が互いに折り畳まれ、編み上げデバイスを形成することができる。搬送の間、デバイスは、長尺で、折り畳まれていない構成を取り、この構成では、全ての要素が平坦かつ直線的に配置される。搬送カテーテルから取り外されると、その後、様々な層が順番に事前に配置された層内に圧力を与えるので、編み上げ構造体が、自身の折り畳まれた構成を取ることになる。この折り畳み効果は、編み上げ構造体が圧縮梱包され、さらに、メッシュの閉塞密度を増加させることから、閉塞目的のために特に有用である。代替的に、デバイスの長尺な搬送形状もまた、最終的に配置される形状と比較して伸長され、長尺な同じ折り畳み形状を利用してもよい。1つの実施例において、編み上げ構造体の先端は、より長い茎部を利用することができ、そのため、茎部が動脈瘤のドームを押して、拡張させ、これにより、編み上げ構造体の残りが接触し、動脈瘤の残りの部分を埋める、柔らかい先端キャップを提供することができる。
【0121】
図27Aは、本明細書において記述されたもののような、閉塞デバイス66と共に使用可能な封止デバイス69を示している。封止デバイス69は、接続部材68によって閉塞デバイス66に接続される凹状封止部分70を備えている。封止デバイス69を、デバイスの先端および/またはデバイス66の基端に搬送することができる。デバイス66の先端に配置された場合、封止デバイス69は、動脈瘤のドームに接触し、メッシュ閉塞デバイス66の残りの部分が動脈瘤の残りの部分を埋めることができる先端足場を提供する。デバイスの基端に配置された場合、封止デバイス69は、動脈瘤の頸部を封止することになり、閉塞デバイスが動脈瘤の外に配置されてしまうことを防止することになる。さらに、嚢内デバイスの後に続いて塞栓デバイス(すなわち、塞栓用コイルまたは液体塞栓材)が配置された場合、基端の封止デバイス69は、塞栓材が動脈瘤から外れることを防止する捕捉タイプの要素を提供することになる。1つの実施例において、封止要素は、任意選択的に複数のワイヤーを覆う膜を利用するワイヤーの傘状連続体から構成される。封止デバイス69が動脈瘤内において閉塞デバイス66に接続されている場合、接続部材68は、続く搬送の間、閉塞デバイス66と係合可能な複数のフックまたは他の係合部材を有する。しかしながら、封止デバイス69を、搬送の前に、閉塞デバイス66に接続することも可能であり、そのため、接続部材68もまた、接着、溶接、または他の係合機構を備え得る。
【0122】
図27Bは、編み上げメッシュの3つの折り畳み層となるように形成された閉塞デバイス72と同様の配置で用いられる基端および先端封止デバイス69を示している。接続部材68は、内側充填部材71に接続され、さらに、閉塞デバイス72の複数の層の内部に配置され、これにより、デバイスの閉塞が増補される。
図27Cは、内側充填部材71を使用していない点を除き、
図27Bのものと同様の配置を示している。充填構造17は、ワイヤー、ハイポチューブ、またはシートカット構造の形態を取り得る。ターゲット領域の閉塞を容易とするために、充填構造17を、直線形状、波状形状、正弦波形状、および/またはコイル形状のような数多くの形態に成形することができる。1つの実施例において、充填構造は、約0.002”から約0.005”の径を有するニチノールワイヤーから作成されてもよい。他の実施例は、形状固定ポリマー、コバルト-クロム、およびバネテンパーステンレス鋼を利用してもよい。1つの実施例において、各ワイヤーは、造影のためのタンタルコイルを備え、タンタルコイルは、ワイヤーを囲むように巻き付けられ、ワイヤー全体またはワイヤーの十分な長さに渡って延伸し、処置手順の間のデバイスの可視化を可能とする。
【0123】
図27dは、カテーテルから搬送されるため、自身のメッシュまたは膜カバーを有さない封止デバイス69のワイヤー下部構造を示している。搬送の間、封止デバイス69は、動脈瘤内で折り畳まれた際、直線状で、長尺の形状を取り、その後、取り外された際、拡張し、傘形状を取ることになる。
【0124】
この封止のコンセプトは、他の実施形態において有用となり得る。例えば、頸部ブリッジ要素が、動脈瘤の頸部を塞ぐ基端封止デバイスを利用し、その後、他の塞栓材(例えば、コイルまたは液体塞栓材)が動脈瘤内部に配置され、封止デバイスによって受けられる。
図27Eおよび27Fにおいては、閉塞デバイス75、77は、ワイヤー足場78を含む。
図27Eにおいては、ワイヤーが球形状を形成し、デバイスが動脈瘤を実質的に埋めるよう意図されている。
図27Fにおいては、ワイヤーが延伸し、部分的な球形状を形成し、デバイスが動脈瘤を実質的に埋めるようには意図されていない。ワイヤー足場78の基端および先端は、封止部材76を利用可能であり、この場合、全てのワイヤーが、封止部材によって一緒にまとめられる。デバイスの基端は、例えば、動脈瘤の頸部を封止するために、メッシュまたは膜を利用することができる。頸部封止は、頸部封止が取り外される押圧具の先端に搬送され、その後、カテーテルが頸部封止内に導入され、コイルおよび/または液体塞栓材のような追加的な塞栓材を搬送する。代替的に、頸部封止は、開口管腔押圧具(マイクロカテーテルに類似するもの)の先端に搬送され、頸部封止がターゲット部位内に配置され、続いて、押圧具の開口管腔が追加的な塞栓材を搬送するために用いられる。続いて、押圧具が取り外される。また、
図27Eの要素74によって示されているように、メッシュ/膜を足場内に配置することができる。メッシュまたは膜をこのような様態で配置することにより、基本的に、動脈瘤の頸部から膜の最上部に渡って広がる閉塞領域を形成することになる。続いて導入される塞栓材(すなわち、コイルまたは液体塞栓材)が、膜によって規定される領域内において捕捉されることになる。本コンセプトの異なる複数のバリエーションは、ワイヤー形成足場を含むが、メッシュ/膜が足場の全周を囲むよう配置されていてもよいし、足場の中央のみを囲むよう配置されていてもよいし、足場の先端のみを囲むよう配置されていてもよい。頸部ブリッジは、搬送カテーテル内に収納されたとき、折り畳まれた構成を取り、搬送され、カテーテルから取り外された際には、自身の拡張された形状を取ることになる(
図27E-27F参照)。使用されるメッシュ/膜材は、ポリマーまたは金属材料から構成されていてもよい。メッシュ/膜を、接着剤、縫い合わせ、熱処理、または他の手段によって、ワイヤー足場に固定することができる。ワイヤー足場が記述されたが、様々なバリエーションが可能である。例えば、足場は、主として、足場を形成するためにワイヤーを利用するが、リンク要素(宝石ペンダントやチェーンリンクを想像してほしい)が、可撓性を増補するために、ワイヤーの長さに沿って選択的に組み入れられていてもよい。代替的に、足場が、レーザーカットシートによって構成されていてもよい。
【0125】
図30は、閉塞デバイスを形成するための編み上げ構造体を巻線するために使用可能なマンドレルおよび巻線技術を示している。このデザインは、張力および編み上げ構造体を巻線するために重力を利用する。最初に、編み上げ構造体を含む複数のワイヤー96が、マンドレル94上に配置される。マンドレルの最上部は、複数のワイヤーを収納するための複数の切り込みまたは溝を有している。または、初期状態において、複数のワイヤーに対する張力を維持するために、複数のワイヤーがマンドレルの最上部に配置され、テープや他の手段によって固定されていてもよい。複数の錘98が複数のワイヤーの底部に配置されており、編みリング100も利用される。編みリングは、複数のワイヤーを収納するための複数の切り込みを有しており、また、編みリングは、マンドレルに対して選択的に上下に移動可能であるが、さらに、所望の場所においてロック可能である。ワイヤー編み上げ構造体の角度をコントロールするために編みリングを用いることができ、編みリングを高い位置で保持することにより、より小さな編み角度およびより高密度の編み上げ構成を得ることができ、一方、編みリングを低い位置で保持することにより、より大きな編み角度およびより緩い編み上げ構成を得ることができる。ユーザーは、マンドレルを覆うようにワイヤーを巻線するにつれて、編みリングを下降させることにより、編み上げ構造体の一定の張力および一定の編み角度を維持することができる。ユーザーは、手動で様々なワイヤーを上側および下側に互いに巻線し、巻き上げ構造体を形成する。一定の編み角度を維持するため、ユーザーが編み上げ構造体の各漸増セクションを巻線するにしたがって、編みリングが下降される。形状を補強するため、巻線を実行した後、デバイスを熱硬化させることができる。
【0126】
本説明の複数の部分において、編み上げデバイスを形成するためのブライダーの使用が述べられたが、典型的には、これらブライダーは、長尺方向に移動するマンドレルと、キャリアフレーム内に取り付けられた一連のボビンとを利用する。この場合、複数のボビンは、キャリアフレーム内において様々な設定で回転する。マンドレルの長尺方向の動きに連結されたキャリアおよび複数のボビンの回転は、デバイスの編み上げが実行されることを可能とする。異なる1つの実施形態において、回転可能ブライダーが使用されてもよい。すなわち、周回するキャリア内または周回するブライダーに収納された複数のボビンの代わりに、ブライダー自身が回転する自由を有していてもよい。
図32Aは、ワイヤー編み上げ構造体の交差の典型的な形状を示している。各線はワイヤーを表しており、そのため、4つのワイヤーの交差点が表示の形状を形成する。参照を簡単にするため、以下、この4つのワイヤーの交差点をセルという。
図32Aの編み角は一定であるため、典型的な編み上げプロセスの間、菱形タイプのセル形状が典型的に生成される。複数のボビンおよびキャリアの回転に加えて、ブライダー自身に回転を加えることによって、さらなる発展が可能となる。ブライダーに回転を加えることにより、ブライダーがマンドレルを覆うように巻線するにつれて、巻線角度がシフトし、菱形タイプの形状に変えて、角度が平行四辺形タイプの構成よりにシフトし、
図32B-32Cに示すいずれか1つのような、より歪んだ形状を可能とする。フレームを時計回りに回転することにより、1つの形状を製造することができ、フレームを反時計回りに回転することにより、異なる1つの形状を製造することができる。これは、製造された編み上げデバイス(すなわち、閉塞デバイス)の選択的な領域において、異なる可撓性を持たせた場合に、有用となり得る。
図32B-32Cのより伸長された編み上げ構造体セクションを有する場合、
図32Aの形状とは異なる剛性特性をその部分に与えることができる。例えば、おそらく、製造者は、デバイスの大部分においては一般的な剛性を有するが、中央部分においては異なる剛性特性を有するように、編み上げデバイスを形成したいと希望するだろう。編み上げ構造体の中央セクションが巻線される際、ユーザーは、
図31B-31Cに示されているタイプのセル形状を形成するために、キャリアフレームを回転させることができる。これにより、特定の領域において、デバイスの剛性特性を変えることができる。このようなプロセスは自動化可能であり、そのため、例えば、編み上げプロセスが典型的には自動化され、キャリアフレームの回転量(能力)もまた自動化され、巻線動作における異なる変数としてみなすことができる。その他複数の変数は、マンドレルの長尺方向のスピード、マンドレルを囲むようにワイヤーを巻きつけるキャリアおよび複数のボビンの回転スピード、編み上げ構造体の角度等を含む。
【0127】
他の複数の実施形態は、先端充填構造および基端頸部ブリッジ構造を利用してもよい。充填構造は、ワイヤー、ハイポチューブ、またはシートカット構造の形態を取ることができる。充填構造は、ターゲット領域の閉塞を容易にするために、直線形状、波状形状、正弦波形状、および/またはコイル形状のような数多くの形態に成形することができる。1つの実施例において、充填構造は、約0.002”-0.005”の径を有するニチノールワイヤーから作成されてもよい。他の複数の実施形態は、形状固定ポリマー、コバルト-クロム、およびバネテンパーステンレス鋼を利用してもよい。1つの実施例において、各ワイヤーは、造影のためのタンタルコイルを備え、タンタルコイルは、ワイヤーを囲むように巻き付けられ、ワイヤー全体またはワイヤーの十分な長さに渡って延伸し、処置手順の間のデバイスの可視化を可能とする。頸部ブリッジは、動脈瘤の頸部または動脈瘤のちょうど内部に配置されるメッシュ編み上げ要素を含んでいてもよく、充填構造が動脈瘤から外れることを防止する。代替的に、頸部ブリッジは、複数のディクス状要素を含む構造を含んでいてもよく、1つのディクスが動脈瘤の内部に位置し、他の複数のディスクが動脈瘤の外側に位置する。頸部ブリッジは、金属製(すなわち、ニチノール、ステンレス鋼、コバルト-クロム)またはポリマー製の編み上げ構造体であってもよい。
【0128】
図35は、動脈瘤を閉塞するために用いられる先端ワイヤー充填構造110および基端メッシュ頸部ブリッジ構造112Aを示している。デバイスは、カテーテル8から搬送される。1つの実施例において、先端充填構造110および基端メッシュ/頸部ブリッジ構造112Aが接続され、システム全体がコアワイヤーベースの押圧システムを介して押圧される。この場合、取り外しシステムがコアワイヤーおよびメッシュ/頸部ブリッジの基端に組み込まれており、デバイスが取り外すことができる。本明細書において開示された他の複数の取り外しコンセプトを含む任意の機械、熱、または電解式の取り外しシステムを用いることができる。
【0129】
図36は、二重ディスク頸部ブリッジ構造112Bを有している点を除き、
図34のものと同様の実施形態を示している。本実施例において、頸部ブリッジ112Bは、複数のディスク状要素を含んでいてもよく、1つのディスクが動脈瘤の内部に位置し、他の複数のディスクが動脈瘤の外側に位置している。
【0130】
1つの実施形態において、充填構造110が頸部ブリッジ112A/112Bの先端部分に固定されている。搬送される際、頸部ブリッジの先端に位置する充填構造110と共にシステム全体がカテーテル8内部で折り畳まれる。異なる1つの実施形態において、頸部ブリッジ構造112A/112Bは、カテーテル8の先端に事前に配置され、カテーテル8の外側に位置していてもよい。1つの実施形態において、カテーテル8は、頸部ブリッジ112A/112Bを挿通して延伸し、頸部ブリッジ112A/112Bを介した動脈瘤14内部への追加的な塞栓材の搬送のための管腔を提供する。
【0131】
異なる1つの実施形態において、
図34に示す頸部ブリッジ構造112Bは、1つ以上の管腔を利用してもよく、充填構造が、頸部ブリッジ112Bを介し、動脈瘤14内に、1つ以上の管腔を介して搬送される。充填構造は、カテーテルおよび頸部ブリッジを介して搬送され、頸部ブリッジが配置された後、頸部ブリッジを介して配置されることになる。
【0132】
1つの実施形態において、充填構造110が、充填構造110の基端側の頸部ブリッジ112A/112Bに固定される。充填構造110および取り付けられた頸部ブリッジは、基端側の押圧システムによって、カテーテル8を介して押圧される。取り外しシステム(本明細書において記述または参照によりこれより以前に援用された電解式、熱式、機械式、または他の取り外しシステム)が押圧具と頸部ブリッジとをリンクさせる。頸部ブリッジおよび充填構造をカテーテルから押し出すために押圧具が用いられ、その後、システムを押圧具から取り外すために取り外しシステムが用いられ、その後、押圧具が引き抜かれる。
図37は、充填構造110が頸部ブリッジ(図示せず)の基端部分に固定されたこのような配置の断面図を示しており、デバイス全体がカテーテル8を介して搬送される。3つの充填構造が使用される。充填構造110は、可視化を補助するために、X線不透過性のコイル116によって囲まれたワイヤー111を備えている。X線不透過性のコイル116は、1つの実施例において、タンタルまたはタングステンを含み、0.001”の糸形状を有し、これは、コイル116がワイヤー111を囲むように位置するため、ワイヤー111よりもわずかに大きい径である。頸部ブリッジ112A/112Bは、充填構造の基端側に位置している。コアワイヤー押圧具のような基端側の押圧具が頸部ブリッジ112A/112Bに接続されている。熱、機械、または電解式手段を利用する取り外しシステムは、頸部ブリッジ112A/112Bから、押圧具を分離することができる。本明細書において議論された任意の取り外しシステムおよび参照により援用された任意のシステムもまた、使用可能である。
【0133】
図38および39は、連続的な管腔が頸部ブリッジ112Bを挿通して存在するよう、基端頸部ブリッジ構造112B(代替的に、112A)が、カテーテル8に接続された内部チャンネル124を備えている異なる1つの実施形態を示している。頸部ブリッジ112Bは、カテーテル8の先端に位置する。異なる1つの実施例において、カテーテル8が適切な箇所に配置された際(すなわち、動脈瘤または処置部位の近くに配置された際)、頸部ブリッジ112Bの一部分がカテーテル8の基端に位置し、一部分がカテーテル8の内部に位置し、頸部ブリッジ112Bをカテーテル8から押し出すために、取り外し可能押圧要素が用いられる。代替的に、頸部ブリッジ112B全体を露出させるために、カテーテル8を後退させることができる。頸部ブリッジ112Bが管腔を含むので、頸部ブリッジが適切に配置された際、頸部ブリッジ112Bを介して、処置部位(例えば、動脈瘤)内に塞栓材(例えば、塞栓用コイル)を押し入れるための管路として、管腔を使用することができる。頸部ブリッジ112Bは、塞栓用コイルが処置部位から外れることを防止し、さらに、その他の事態を回避することになる。カテーテル8が引き抜き可能となるように、頸部ブリッジがカテーテル8から押し出される、または、カテーテル8は、カテーテルを頸部ブリッジから取り外すための取り外しシステム(熱式、機械式、電解式、本明細書において記述された他の取り外しデバイス、本明細書において参照により援用された他の取り外しシステム)を備え得る。
【0134】
米国特許出願公開第20150173772は、可変取り外しシステムを形成するために、コイルの長さに沿った複数の取り外し要素を利用する塞栓用コイルシステムを開示している。ここで、コイルの選択的な長さがターゲット処置部位内に配置される。該米国特許出願公開の開示の全てが参照によりここに援用される。
図38-39に示されている1つの実施形態は、頸部ブリッジコンセプトに沿った可変取り外しコイルシステムを利用可能である。可変取り外しシステムは、複数の塞栓用コイルセグメント間における複数のリンクと相互接触するカテーテル上の接触要素を利用し、複数のリンクは、コイルのセグメントを分離するために、カテーテルの接触要素が複数のコイルリングと電気的に相互接触した際に分解する分解可能要素を備えている。要素124は、
図39において頸部ブリッジ112の内部を結ぶ内側管腔を表している。この管腔は、カテーテル搬送システムから頸部ブリッジを分離する分解可能リンク機構を含むカプセル126に接続されている。カテーテル(
図38参照)を介して押圧される複数の塞栓用コイル120は、複数のリンク122を含み、複数のリンクがカプセル要素128(
図40参照)と電気的に相互接触し、血管内において塞栓用コイルの適切なセグメントを取り外す。カテーテル8は、カテーテルを介して搬送される複数の塞栓用コイルおよび頸部ブリッジ(カテーテルの先端側に接続されている)の双方のための搬送プラットフォームを提供する。内側管腔および取り付けられた頸部ブリッジが、分解可能カプセル126によって、カテーテルから分離される。カプセルは、上述のように、頸部ブリッジ112および頸部ブリッジの内側を結ぶ内側管腔124を、カテーテルから取り外すために取り外し手段を使用可能である。カプセル126および128に電流を提供するために、いくつかのワイヤー130が用いられ、電圧源(すなわち、バッテリー)がシステムの基端に位置し、バッテリーとカプセルとの間の電流を提供する。内側管腔24は、ポリマー、金属、金属メッシュを含む数多くの材料を含んでいてもよい。
【0135】
動脈瘤の頸部または内部に位置する頸部ブリッジ(
図35)または動脈瘤の内部に位置する一部分と動脈瘤の外側に位置する他の部分を有する頸部ブリッジ(
図36)を利用するこれまでの複数の実施形態が述べられた。他の実施形態は、浮遊式頸部ブリッジを利用し、頸部ブリッジは、動脈瘤内に配置され、複数の充填構造または複数の塞栓用コイルが動脈瘤内に配置されるので、これら塞栓材は、動脈瘤の内部空間を埋め、さらに、頸部ブリッジを最終的に押し下げ、その結果、頸部ブリッジが動脈瘤の頸部を封止する。1つの実施例において、
図35-40において配置されるカテーテル8は、0.017”-0.021”の径を有するマイクロカテーテルである。
【0136】
カテーテル内で搬送される間の、圧縮され、長尺の状態にある閉塞デバイス143のさらに異なる1つの実施形態が、
図41に示されている。
図42には、カテーテル8から現れた際の拡張された構成が示されている。デバイス143は、先端閉塞部分140に接続された多数の構造ループまたは支柱138を備えている。基端閉塞部分140は、動脈瘤内において用いられる際、動脈瘤内においてドーム状または凹状の閉塞領域を形成し、一方、複数の支柱138は、閉塞部分140が拡張することを補助し、閉塞部分140下の領域を埋める。
【0137】
複数の接続構造142が、(例えば、接着剤または溶接によって)基端接触部分140に固定され、さらに、(例えば、複数の支柱138が挿通するループによって)複数の支柱138に固定され、これにより、複数の支柱138を基端閉塞部分140に接続することができる。複数の支柱は、ニチノールワイヤーやハイポチューブのような、金属またはポリマーにより構成することができ、造影を補助するためにX線不透過性のアイテムも使用することができる。基端閉塞部分140は、事前にセットされた湾曲形状を有していてもよいし、動脈瘤の形状に形状を合わせることが可能な、可鍛性の薄い材料を含んでいてもよい。1つの実施例において、基端閉塞部分140は、薄膜ポリマー(例えば、PTFE、ePTFE、ポリエチレン)または金属(例えば、ニチノール、ステンレス鋼)材料である。複数の支柱138は、基端接触部分の拡張を制御することを補助し、さらに、デバイス143が徐々に配置することを確実にすることを補助する。
【0138】
複数の支柱138の基端が、例えば、収集バンド136内の開口を挿通することにより、円筒収集バンド136に接続されている。コイル134(1つの実施形態においてはステンレス鋼)が、収集バンド136の基端と、押圧具131上の基端バンド132の先端に接続されており、これにより、基端閉塞部分140と同様に、複数の支柱が前に押し出され、開くことを補助することができる。コイル134は、デバイス143がカテーテル8内にある時は、圧縮された形状を取り、支柱138もまた、圧縮され、長尺な形状を取る。そのため、コイル134は、蓄積されたエネルギーを有しており、デバイス143が搬送され、複数の支柱138が開き始めるにつれて、コイル134は、蓄積されていたエネルギーを解放し、取り付けられた基端接触部分140と同様に、複数の支柱をさらに拡張させることを支援する。
【0139】
押圧具131は、コアワイヤーまたはハイポチューブシステムを含み得、ユーザーが、カテーテル8および血管を介しデバイス143を操作することを可能とする。取り外しシステムを押圧体の先端側の箇所に設けることができる。また、1つの実施例において、コイル134は、取り外しシステムの一部であり、分離可能なテザーがコイル134の管腔内に配置されている。複数のワイヤーがコイルの一方の端部を接続可能であり、これらワイヤーは、システムの基端において、バッテリーのような電圧源に接続し、ユーザーが、押圧具からデバイスを取り外すために、コイルを加熱し、テザーを分離する取り外しシーケンス(すなわち、ボタンを押下することによるもの)を開始することを可能とする。取り外しシステムは、コイル134が血管内に進まないように、コイル134と同一平面またはコイル134の基端にあってもよい。1つの実施例において、取り外しシステムは、コイル134を介して収集バンド136を結ぶテザーを利用し、コイルが要素132に強固に接続されている。よって、取り外しシーケンスが開始され、デバイスが配置されると、押圧具の基端が基端バンド132に取り付けられているため、テザーは分離するが、コイルは押圧具に取り付けられたままとなる。
【0140】
また、基端閉塞部分140を複数の支柱138に接続する張力要素141を用いることができる。張力要素141は、薄いワイヤーまたはテザーであってもよく、搬送された際に、開放が低速、または、より急激ではないようになるように、基端部分140および複数の支柱138の拡張を制御することを補助する。
【0141】
複数の支柱138に、1つの実施例において、
図40に示すような形状記憶開放形状を有するようになるための熱処理が施される。この形状記憶は、複数の支柱138を素早く開かせ、自身の形状を記憶された開放形状とさせるものであり、テザーが、搬送の間のデバイスの開放を制御することを補助する。張力要素141は、代替的に、基端閉塞部分140と押圧具131との間の領域、または、複数の支柱138、バンド136、コイル134、要素132または押圧具131のベースの基端側を結合してもよい。テザーの基端を非支柱要素に固定すると、拡張しない要素にテザーを固定することができるという利点があり、その結果、配置を非常に正確に制御できることになる。テザーの基端を支柱138に固定することは、基端は配置の際に拡張されるものに固定されるので、拡張を対して制限しない。テザーの基端の位置は、ユーザーが、配置の際に、デバイスの拡張の制御をより正確にしたいか、より曖昧にしたいかどうかに基づいて調整され、デバイスにおいて使用される材料およびデバイスのサイズが、操作中において重要な変数となる。
【0142】
図43-45は、それぞれ動脈瘤のドームおよび頸部に対して拡張する凹状最上部閉塞要素144Aおよび凹状底部閉塞要素144Bを有する閉塞デバイス145を示している。最上部および底部要素144A、144Bは、金属メッシュ、金属シート、およびポリマーを含む様々な成分から構成され得る。コイル146は、最上部および底部閉塞要素144A、144Bと接続し、要素144A、144Bの双方を接続し、異なる動脈瘤サイズに対応するための距離の変化を可能とする。最上位要素114Aが動脈瘤内に最初に配置され、底部要素114Bがカテーテルから外に出る最後の要素である。
図44および45に示されているように、デバイス145は、任意選択的に、最上部および底部要素144A、144B内において拡張するフレーム148を備えていてもよい。フレーム148は、要素144A、144Bの凹状開口の開口部分を横断するよう放射状に拡張する複数のループを有しており、そのため、最上位および底部要素の開閉のための足場として機能すると同時に、デバイスのより正確に制御された伸縮を提供する。
図45は、カテーテルを介して搬送される間に取られる折り畳まれた構成にあるデバイス145を示している。フレーム要素148は、折り畳まれると、コイルの一部分を覆うように位置する(拡張された状態と比較して、収縮された状態では、傘状フレームと考えることができる)。拡張されると、フレーム要素は、同一平面上で平坦に配置され、それぞれ、最上部および底部要素内に配置される。
【0143】
他の複数の実施形態は、上述および
図35-36に示された先端充填構造110を利用してもよいが、保持部分10と、支持部分12とを備える
図1に示されたデバイスを利用してもよい。
【0144】
閉塞デバイスを形成するために用いられる様々なマンドレルおよび巻線技術が、既に述べられた。異なる1つの実施形態は、除去可能な可能マンドレルを利用し、この場合、製造されたデバイスがマンドレルを覆うように編まれた後にマンドレルを除去するために、破砕、化学溶解、または他の技術を用いることができる。製造されたデバイスは、編み上げ治療デバイスのような、閉塞デバイスを含む数多くのデバイスであってもよい。従来の編み上げ技術は、マンドレルを覆うようにデバイスを編み上げる工程と、マンドレルを覆うデバイスを熱硬化する工程と、続いて、マンドレルを除去する工程とを利用する。マンドレルは、任意選択的に、デバイスがその周囲で編まれる多数のピンを備えることができる。この場合、非円筒で、テーパー状の閉塞デバイスが形成され(すなわち、両端が中央よりも小さくなる)、マンドレルを除去する工程が、マンドレルおよび閉塞デバイスのテーパー形状によって、困難となり得る。この問題を解決する1つの方法が、機械的手段(すなわち、破砕)または科学的手段(すなわち、化学溶解)によって除去可能なマンドレルを用い、マンドレルを除去し、編み上げデバイスを残すことである。
【0145】
1つの実施形態において、マンドレルは、セラミックまたはガラスによって構成されている。セラミックおよびガラスの双方は、高脆性であり、そのため、デバイスが形成された後にマンドレルを除去するために、ハンマーによって、マンドレルを機械的に破砕することができる。ガラス製のマンドレルが使用された場合、ガラスは、シリコンまたはラテックス材料によってコーティングされ、マンドレルを覆うように巻線されたデバイスが、滑ることを防止することができる。異なる1つの実施形態において、アルミニウムマンドレルが用いられ、濃縮水酸化ナトリウム溶液が、マンドレルを溶解するために用いられる。濃縮(すなわち、1-10M)水酸化ナトリウム溶液は、液体であると確信が持てる高温(すなわち、100-150華氏)で用いられることができる。アルミニウムマンドレルは、低速で溶解するが、本技術は、介入デバイスを巻線するために使用されるであろうニチノールのような他の材料を溶解することはない。よって、マンドレルが消え、デバイスが残る。異なる1つの実施形態において、マンドレルは、砂型である。砂型マンドレルは、液体ジェットによって除去可能であり、形成されたマンドレルが破壊されると、単純に砂が残る。1つの実施例において、マンドレルは、アルミニウムコアを有し、砂型がアルミニウムコアの上側を覆うように構築される。異なる1つの実施形態は、マンドレルを覆うように形成された編み上げ構造と同様のワイヤー形成構造を含む除去可能マンドレルを利用してもよい。よって、マンドレルは、第1の編み上げ構造体を含み、第2の編み上げ介入デバイスが編み上げマンドレルを覆うように巻線される。編み上げマンドレルは、編み上げ介入デバイスを除去するために、容易に圧縮可能である。編み上げマンドレルは、強度と圧縮性を両立し、さらに、高い熱硬化の硬化温度に耐え得る任意のワイヤー構造を含んでいなければならず、例えば、316ステンレス鋼や321ステンレス鋼が挙げられる。異なる1つの実施形態は、第1の層(すなわち、典型的な金属マンドレル)と、第2の層とを含むマンドレルを使用し、この場合、第2の層は、二重または複数の層の編み上げ介入デバイスを形成するために、ここに記述された除去可能マンドレル要素の任意のものを含む。ユーザーは、ベースのマンドレルを覆うように、デバイスの第1の層を巻線する。除去可能な第2のマンドレル層は、その後、介入デバイスの第1のマンドレル層および第1の編み上げ層を覆うように配置される。介入デバイスの第2の層は、その後、第2の(除去可能)マンドレル層を覆うように巻線される。除去可能マンドレルセクションは、その後、除去され、これにより、第1のマンドレルおよび複数の層の介入デバイスが残される。2つまたは二重層のデバイスを形成するために、このプロセスが記述されたが、追加的な除去可能マンドレルが、3つ、4つ、5つ等の層の編み上げ介入デバイスを形成するために追加されてもよい。
【0146】
特定の実施形態および用途の観点から本発明が記述されたが、本分野における当業者であれば、本教示を参照して、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を超えることなく、または、本発明の原理から逸脱することなく、追加的な実施形態および変形を得ることが可能である。したがって、本図面および本明細書は、本発明の包括的な理解を容易とするための例として提供されたことが理解されるであろうし、本図面および本明細書は、本発明の範囲の限定を構成するものではない。