(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】ポリアミド酸、ポリイミド、およびそれから形成される素子
(51)【国際特許分類】
C08G 73/10 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
C08G73/10
(21)【出願番号】P 2021192981
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2021-11-29
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515119088
【氏名又は名称】李長榮化學工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】傅 傳人
(72)【発明者】
【氏名】李 世偉
(72)【発明者】
【氏名】林 筱筑
(72)【発明者】
【氏名】楊 淑媚
(72)【発明者】
【氏名】黄 士紘
(72)【発明者】
【氏名】施 子元
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-049661(JP,A)
【文献】特開2017-200991(JP,A)
【文献】特開2021-002016(JP,A)
【文献】特開平11-212097(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0085131(US,A1)
【文献】特開2020-060755(JP,A)
【文献】特開2009-058867(JP,A)
【文献】特開2022-116646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G73/00-73/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式M、N、およびO
【化1】
からなる群から選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位を含
み、
全ての前記繰り返し単位に対する前記一般式M、N、およびOで表される前記繰り返し単位のモル分率が、それぞれm、n、およびoであり、mが40~80%、nが20~50%、oが0~40%であり、かつm、n、およびoが同時に0にならない、ポリイミド。
(式中、Xは、式I
【化2】
で表されるTCA(3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物)から誘導された残基であり、
Y
1は、カルド構造を有するジアミンから誘導された残基であり、
Y
2は、ベンゼン環、ビフェニル、フェニルベンゾイミダゾールまたはフェニルベンゾオキサゾールの構造を有するジアミンから誘導された残基であり、
Y
3は、エーテル基またはエステル基を有するジアミンから誘導された残基である。)
【請求項2】
Y
1は、式II
【化3】
で表されるFDA(9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン)から誘導された残基であり、
Y
2は、式IIIまたはIV
【化4】
で表されるジアミンから誘導された残基であり、
Y
3は、式V
【化5】
で表されるジアミンから誘導された残基である、
請求項1に記載のポリイミド。
(式中、各R1は独立
に*-F、*-Cl、*-CH
3または*-CF
3であり、
R2は*-C(O)NH-*であり、
R3およびR4は各々独立に*-O-*または*-C(O)O-*であり、
Zは*-NH-*または*-O-*であり、
Arは、
【化6】
R5は*-CH
3または*-CF
3であり、
i、j、p、qおよびrは0または1であり、
kは0~4の整数である。)
【請求項3】
Y
2が、次の式III-1からIII-4、およびIV-1、
【化7】
またはそれらの組み合わせで表されるジアミンから誘導された残基より選択される、請求項2に記載のポリイミド。
【請求項4】
Y
3が、次の式V-1からV-3、
【化8】
またはそれらの組み合わせで表されるジアミンから誘導された残基より選択される、請求項2に記載のポリイミド。
【請求項5】
全ての前記繰り返し単位に対する前記一般式M、N、およびOで表される前記繰り返し単位のモル分率が、それぞれm、n、およびoであり、m、nおよびoが下式:
【数1】
を満たす、請求項1に記載のポリイミド。
【請求項6】
m、n、およびoがそれぞれ40%~60%、40%~
50%、および0であり、かつ
X、Y
1、およびY
2がそれぞれTCA、
【化9】
から誘導された残基である、請求項
1に記載のポリイミド。
【請求項7】
m、n、およびoがそれぞれ70%~
80%、
20%~30%、および0であり、かつ
X、Y
1、およびY
2が、TCA、
【化11】
から誘導された残基である、請求項
1に記載のポリイミド。
【請求項8】
m、n、およびoがそれぞれ40%~60%、40%~
50%、および0であり、かつ
XおよびY
1がそれぞれTCAおよび
【化12】
から誘導された残基であり、Y
2が
【化13】
から誘導された残基である、請求項
1に記載のポリイミド。
【請求項9】
次の一般式M”、N”およびO”
【化14】
からなる群から選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位を含
み、
全ての前記繰り返し単位に対する前記一般式M”、N”、およびO”で表される前記繰り返し単位のモル分率が、それぞれm、n、およびoであり、mが40~80%、nが20~50%、oが0~40%であり、かつm、n、およびoが同時に0にならない、ポリアミド酸。
(式中、Xは、式I
【化15】
で表されるTCAから誘導された残基であり、
Y
1は、カルド構造を有するジアミンから誘導された残基であり、
Y
2は、ベンゼン環、ビフェニル、フェニルベンゾイミダゾールまたはフェニルベンゾオキサゾールの構造を有するジアミンから誘導された残基であり、
Y
3は、エーテル基またはエステル基を有するジアミンから誘導された残基である。)
【請求項10】
Y
1は、式II
【化16】
で表されるFDA(9,9-ビス(4-アミノフェニル) フルオレン)から誘導された残基であり、
Y
2は、式IIIまたはIV
【化17】
で表されるジアミンから誘導された残基であり、
Y
3は、式V
【化18】
で表されるジアミンから誘導された残基である、
請求項
9に記載のポリアミド酸。
(式中、各R1は独立
に*-F、*-Cl、*-CH
3または*-CF
3であり、
R2は*-C(O)NH-*であり、
R3およびR4は各々独立に*-O-*または*-C(O)O-*であり、
Zは*-NH-*または*-O-*であり、
Arは、
【化19】
であり、
R5は*-CH
3または*-CF
3であり、
i、j、p、q、およびrは、0または1であり、
kは0~4の整数である。)
【請求項11】
Y
2が、次の式III-1からIII-4、およびIV-1
【化20】
またはそれらの組み合わせで表されるジアミンから誘導された残基より選択される、請求項
10に記載のポリアミド酸。
【請求項12】
Y
3が、次の式V-1からV-3
【化21】
またはそれらの組み合わせで表されるジアミンから誘導された残基より選択される、請求項
10に記載のポリアミド酸。
【請求項13】
全ての前記繰り返し単位に対する前記一般式M”、N”、およびO”で表される前記繰り返し単位のモル分率がそれぞれm、n、およびoであり、m、nおよびoが下式:
【数2】
を満たす、請求項
9に記載のポリアミド酸。
【請求項14】
m、n、およびoがそれぞれ40%~60%、40%~
50%、および0であり、かつX、Y
1、およびY
2がそれぞれTCA、
【化22】
から誘導された残基である、請求項
9に記載のポリアミド酸。
【請求項15】
m、n、およびoがそれぞれ70%~
80%、
20%~30%、および0であり、かつX、Y
1、およびY
2が、それぞれTCA、
【化24】
から誘導された残基である、請求項
9に記載のポリアミド酸。
【請求項16】
m、n、およびoがそれぞれ40%~60%、40%~
50%、および0であり、
かつXおよびY
1がそれぞれTCAおよび
【化25】
から誘導された残基であり、
Y
2が
【化26】
から誘導された残基である、請求項
9に記載のポリアミド酸。
【請求項17】
請求項1に記載のポリイミドのうちの1つまたはそれ以上を含む素子。
【請求項18】
次の光学特性:
(1)ASTM D1003に従って前記素子を400~800nmの波長範囲で測定したときに、前記素子の全光線透過率(T.T)が80%よりも大きい、
(2)ASTM D1925に従って前記素子を測定したときに、前記素子のイエローインデックス(YI)が5未満である、
(3)ASTM D1925に従って前記素子を測定したときに、前記素子のb*が3未満である、
(4)ASTM D1003に従って前記素子を測定したときに、前記素子のヘイズが2.5%未満である、
のうちの少なくとも1つを満たす請求項
17に記載の素子。
【請求項19】
請求項
9に記載のポリアミド酸の製造方法であって、
式I
【化27】
で表されるTCA(3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物)とジアミン化合物とを反応させてポリアミド酸を形成する工程を含み、前記ジアミン化合物はy
1、y
2、およびy
3からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
y
1はカルド構造を有するジアミンであり、
y
2はベンゼン環、ビフェニル、フェニルベンゾイミダゾール、またはフェニルベンゾオキサゾールの構造を有するジアミンであり、かつ
y
3はエーテル基またはエステル基を有するジアミンである、
ポリアミド酸の製造方法。
【請求項20】
y
1が、式II
【化28】
で表されるFDA(9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン)であり、
y
2が、式IIIまたはIV
【化29】
で表されるジアミンであり、
y
3が、式V
【化30】
で表されるジアミンである、
請求項
19に記載のポリアミド酸の製造方法。
(式中、各R1は独立
に*-F、*-Cl、*-CH
3、または*-CF
3であり、
R2は*-C(O)NH-*であり、
R3およびR4は各々独立に*-O-*または*-C(O)O-*であり、
Zは*-NH-*または*-O-*であり、
Arは、
【化31】
であり、
R5は*-CH
3または-CF
3であり、
i、j、p、q、およびrは、0または1であり、
kは0~4の整数である。)
【請求項21】
y
2が、次の式III-1からIII-4、およびIV-1、
【化32】
またはそれらの組み合わせで表されるジアミンから選択される、請求項
20に記載のポリアミド酸の製造方法。
【請求項22】
y
3が、次の式V-1からV-3、
【化33】
またはそれらの組み合わせで表されるジアミンから選択される、請求項
20に記載のポリアミド酸の製造方法。
【請求項23】
前記反応が、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン(NEP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン(GBL)、キシレン、テトラヒドロフラン、またはこれらの組み合わせから選ばれた溶媒中で行われる、請求項
19に記載のポリアミド酸の製造方法。
【請求項24】
請求項1に記載のポリイミドの製造方法であって、
ポリアミド酸のイミド化を行ってポリイミドを形成する工程を含み、前記ポリアミド酸が、次の一般式M”、N”、およびO”
【化34】
からなる群から選ばれた少なくとも1つの繰り返し単位を含む、ポリイミドの製造方法。
(式中、Xは、式I
【化35】
で表されるTCAから誘導された残基であり、
Y
1は、カルド構造を有するジアミンから誘導された残基であり、
Y
2は、ベンゼン環、ビフェニル、フェニルベンゾイミダゾール、またはフェニルベンゾオキサゾールの構造を有するジアミンから誘導された残基であり、
Y
3は、エーテル基またはエステル基を有するジアミンから誘導された残基である。)
【請求項25】
前記イミド化が80~100℃で行われる、請求項
24に記載のポリイミドの製造方法。
【請求項26】
前記イミド化が、無水酢酸および触媒を加え前記ポリアミド酸を脱水閉環させて前記ポリイミドを形成することにより行われる、請求項
24に記載のポリイミドの製造方法。
【請求項27】
前記触媒が、イソキノリン、β-メチルピリジン、ピリジン、N-エチルピペリジン、またはこれらの組み合わせから選ばれる、請求項
26に記載のポリイミドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月15日に出願された台湾特許出願第110113533号の優先権を主張し、その全体が参照することにより本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、ポリアミド酸、ポリイミド、およびその応用に関する。
【背景技術】
【0003】
LCD(液晶ディスプレイ)およびAMOLED(アクティブマトリックス式有機発光ダイオード)ディスプレイはLTPS(低温ポリシリコン)TFTs(薄膜トランジスタ)により駆動される。LTPSプロセスは高温であるため、従来から基板としてガラスが用いられている。しかし、近年、ディスプレイ装置の設計者らは、例えば、軽量、薄さ、およびフレキシビリティのような特徴を追求しており、ガラス基板はもはやこれらの要求を満たすことができない。よって、ディスプレイ製造メーカーは、ガラス基板に代わって用いることのできるプラスチック材料を探している。
【0004】
ポリイミドは、透明度、フレキシビリティ、十分な機械強度、耐薬品性、優れた耐熱性、および良好な光学特性等の特徴を有することから、フレキシブルおよび透明ディスプレイへの利用という点で、プラスチック材料の中で現在最も適したものである。よって、ポリイミドは、プラスチック産業、電子産業および航空宇宙産業のような各種産業に広く用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存のポリイミドは、大方において各種要求を満たしているものの、あらゆる面で満足しているというわけではない。例えば、LTPS TFTの比較的高温のプロセスに耐えられるようにするには、耐熱性の高い透明ポリイミドが求められる。しかしながら、現在市販されている透明ポリイミドの耐熱性は、なおもこの要求を満たせていないと思われる。これについて詳細は後述する。したがって、依然としてポリイミド改良の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの実施形態によれば、次の一般式M、N、およびOからなる群から選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリイミドが提供される。
【0007】
【0008】
式中、Xは、式Iで表されるTCA(3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物)から誘導された残基である。
【0009】
【0010】
Y1は、カルド(cardo)構造を有するジアミンから誘導された残基である。Y2は、ベンゼン環、ビフェニル、フェニルベンゾイミダゾールまたはフェニルベンゾオキサゾールの構造を有するジアミンから誘導された残基である。Y3は、エーテル基またはエステル基を有するジアミンから誘導された残基である。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態によれば、次の一般式M”、N”およびO”からなる群から選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリアミド酸が提供される。
【0012】
【0013】
式中、Xは、式Iで表されるTCAから誘導された残基である。
【0014】
【0015】
Y1は、カルド構造を有するジアミンから誘導された残基である。Y2は、ベンゼン環、ビフェニル、フェニルベンゾイミダゾールまたはフェニルベンゾオキサゾールの構造を有するジアミンから誘導された残基である。Y3は、エーテル基またはエステル基を有するジアミンから誘導された残基である。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態によれば、上述したポリイミドのうちの1つまたはそれ以上を含む素子がさらに提供される。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態によれば、上述したポリアミド酸の製造方法であって、式Iで表されるTCA(3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物)とジアミン化合物とを反応させてポリアミド酸を形成する工程を含み、該ジアミン化合物がy1、y2、およびy3からなる群から選ばれる少なくとも1つである、ポリアミド酸の製造方法が提供される。
【0018】
【0019】
y1は、カルド構造を有するジアミンであり、y2は、ベンゼン環、ビフェニル、フェニルベンゾイミダゾール、またはフェニルベンゾオキサゾールの構造を有するジアミンであり、y3は、エーテル基またはエステル基を有するジアミンである。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態によれば、上述したポリイミドの製造方法であって、上述したポリアミド酸のイミド化を行ってポリイミドを形成する工程を含むポリイミドの製造方法が提供される。
【0021】
本開示の特徴を明らかに、かつ理解し易くするため、添付の図面と対応させながら、以下に実施形態に挙げ、詳細を以下のように記載する。その他の事前注意事項については、本技術分野を参照されたい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ポリアミド酸、ならびにそれから形成される良好な耐熱性および光学特性を有するポリイミドを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本開示において提供されるポリイミド、ポリアミド酸、および光学素子について詳細に記載する。以下の記載において、本開示のいくつかの実施形態の異なる態様を実施するために多くの異なる実施形態または実施例が提示される、ということが理解されなければならない。本開示のいくつかの実施形態を簡潔かつ明らかとするべく特定の構成要素および配置が以下に述べられる。それらは当然に、単なる例に過ぎず、限定されることを意図したものではない。
【0024】
用語「約(about)」、「おおよそ(approximately)」は、本明細書で用いられるとき、数値の5%、好ましくは数値の3%、より好ましくは数値の2%、1%、または0.5%以内において変わる所定の数量の値を示す。本明細書において示される数量は概算数量である、つまり、「約」、「おおよそ」といった明確な記載がなくても、「約」および「おおよそ」の意味は依然として含まれ得る。
【0025】
本明細書において、「カルド-(cardo-)」は、4級炭素中心を有する構造であって、そのうちの2つの置換基が環状構造を形成するものを指す。「ビフェニル」は、2つのフェニル基が連結することにより形成される化合物を指す。「フェニルベンゾイミダゾール」は、ベンゼン環置換基を有するベンズイミダゾールを指し、ここで、ベンズイミダゾールは、構造
【化6】
を指す。「フェニルベンゾオキサゾール」は、ベンゼン環置換基を有するベンゾオキサゾールを指し、ここで、ベンゾオキサゾールは、構造
【化7】
を指す。「エーテル基」は、2つのアルキル基または芳香族基が酸素原子により連結することで形成される基を指す。「エステル基」は、一般式-COORを指し、式中、Rはアルキル基または水素原子以外の他の基である。
【0026】
以下に、本開示のポリアミド酸、ポリイミド、およびその製造方法について詳細に記載する。
【0027】
[ポリアミド酸]
【0028】
本開示の実施形態は、次の一般式M”、N”およびO”からなる群から選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリアミド酸を提供する。
【0029】
【0030】
式中、Xは、式Iで表されるTCA(3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物)から誘導された残基である。
【0031】
【0032】
Y1は、カルド構造を有するジアミンから誘導された残基である。Y2は、ベンゼン環、ビフェニル、フェニルベンゾイミダゾールまたはフェニルベンゾオキサゾールの構造を有するジアミンから誘導された残基である。Y3は、エーテル基またはエステル基を有するジアミンから誘導された残基である。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、特定の構造のモノマーおよび比率を選択することによって、良好な耐熱性および光学特性を備えるポリアミド酸およびポリアミド酸から形成されるポリイミドが提供される。例えば、Y1はカルド構造を有する。カルド構造の4級炭素中心は2つの置換基を有して環状構造を形成するため、中心は自由に動くことができず、強い剛性を備える。よって、Y1は、優れた耐熱性と望ましい光学特性とを同時に提供することができる。Y2は、ベンゼン環およびビフェニルのような芳香族構造を有し、同様に強い剛性を備える。よって、Y2は、優れた耐熱性、望ましい光学特性、および線熱膨張係数(CTE)等を同時に提供することができる。Y3は、回転可能なエーテル基またはエステル基を有するため、剛性が低くなる。エステル基およびエーテル基は、それら自身は耐熱性に乏しいが、望ましい光学特性およびCTEの特性を提供することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、Y1は例えば、カルド構造を有するジアミンの残基から誘導されたものであり得る。上述したジアミンの4級炭素中心は、ポリマーの主鎖に位置していることが要され、そのうちの2つの置換基は環状構造を形成する。いくつかの実施形態において、Y1は、下に示す構造から誘導された残基であり得るが、これに限定はされない。
【0035】
【0036】
具体的には、Y1は、式IIで表される(9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(FDA)から誘導された残基であることが好ましい。
【0037】
【0038】
いくつかの好ましい実施形態において、Y2は、式IIIまたはIVで表されるジアミンから誘導された残基である。
【0039】
【0040】
式中、各R1は独立に*-F、*-Cl、*-CH3または*-CF3である。R2は*-C(O)NH-*である。Zは*-NH-*または*-O-*である。iおよびjは0または1である。kは0~4の整数である。
【0041】
いくつかの実施形態において、Y2は、例えば、下に示す構造から誘導された残基であり得るが、これに限定はされない。
【0042】
【0043】
具体的には、Y2は、下に示す構造から誘導される残基であることが好ましいが、これに限定はされない。
【0044】
式IIIの構造は例えば、下記であってよい。
【0045】
【0046】
式IVの構造は例えば、下記であってよい。
【0047】
【0048】
より好ましくは、Y2は、次の式III-1~III-4、およびIV-1、またはこれらの組み合わせで表されるジアミンから誘導された残基から選択される。
【0049】
【0050】
いくつかの実施形態において、Y3は、式Vで表されるジアミンから誘導された残基である。
【0051】
【0052】
各R1は独立に
、*-F、*-Cl、*-CH
3または*-CF
3である。R3およびR4は各々独立に*-O-*または*-C(O)O-*である。Arは、
【化18】
である。
R5は*-CH
3または*-CF
3である。p、q、およびrは、0または1である。kは0~4の整数である。*は結合部位を表している。
【0053】
いくつかの実施形態において、Y3は、例えば、下に示す構造から誘導された残基であり得るが、これに限定はされない。
【0054】
【0055】
具体的には、Y3は、下に示す構造から誘導される残基であることが好ましいが、これに限定はされない。
【0056】
【0057】
より好ましくは、Y3は、次の式V-1からV-3、またはそれらの組み合わせで表されるジアミンから誘導された残基より選択される。
【0058】
【0059】
上述したように、LTPS TFTまたは他の所望の応用に要される比較的高温のプロセスに対応できるようにするために、高い耐熱性を備えた透明ポリイミドが求められている。詳細には、既存のポリイミド材料は、高温プロセスで黄変してしまうため、色特性のパフォーマンスに悪影響を与える。故に、透明材料の要求を満たすべく、高温プロセス後に良好な光学特性を維持できるポリイミド材料を提供することが望まれている。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態において、ポリアミド酸ならびにそれから形成される良好な耐熱性および光学特性を有するポリイミドを提供するため、特定の構造のモノマーおよび比率を選択する。詳細には、本開示の実施形態は、全ての繰り返し単位に対する一般式M”、N”、およびO”で表される繰り返し単位のモル分率がそれぞれm、n、およびo(ただし、m+n+o≦1)であるポリアミド酸を提供する。いくつかの実施形態において、mは0~100%、nは0~100%、oは0~50%である。ただし、m、n、およびoは同時に0にはならない。いくつかの実施形態において、mは40%~80%、nは20%~50%、oは0~40%である。いくつかの実施形態において、mは40%~60%、nは40%~60%、oは0である。
【0061】
【0062】
一般式M”において、カルド構造を有するジアミンから誘導された残基であるY1は、上述したように、優れた耐熱性および所要の光学特性を提供する。一般式N”において、ベンゼン環、ビフェニル等のような芳香族化合物を有するジアミンから誘導された残基であるY2もまた、良好な耐熱性および所望の光学特性、線熱膨張係数(CTE)、ならびに他の特性を同時に提供する。一般式O”において、エーテル基またはエステル基を有するジアミンから誘導されたY3は、所望の光学特性および熱膨張係数特性を提供することができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、m、n、およびoはそれぞれ40%~60%、40%~60%、および0であり、かつX、Y
1、およびY
2は、TCA、
【化23】
から誘導された残基である。
【0064】
いくつかの実施形態において、m、n、およびoはそれぞれ0、100%、および0であり、かつXおよびY
2はそれぞれ、TCAおよび
【化24】
から誘導された残基である。
【0065】
いくつかの実施形態において、m、n、およびoはそれぞれ70%~90%、10%~30%、および0であり、かつX、Y
1、およびY
2は、TCA、
【化25】
から誘導された残基である。
【0066】
いくつかの実施形態において、m、n、およびoはそれぞれ40%~60%、40%~60%、および0である。XおよびY
1は、TCAおよび
【化26】
から誘導された残基である。Y
2は、
【化27】
から誘導された残基である。
【0067】
本発明者らは、いくつかの実施形態において、ポリアミド酸が成膜し得る条件の下、下式を満足するm、n、およびoが、ポリアミド酸からなるポリイミド膜に極めて高いTgを持たせ、良好な耐熱性を提供し得るということを実験から見出した。
【数1】
【0068】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ポリアミド酸の重量平均分子量は30,000から300,000であるのが好ましく、80,000から200,000であるとより好ましい。
【0069】
[ポリイミド]
【0070】
本開示の実施形態は、次の一般式M、N、およびOからなる群から選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリイミドを提供する。
【0071】
【0072】
式中、Xは、式Iで表されるTCAから誘導された残基である。
【0073】
【0074】
Y1は、カルド構造を有するジアミンから誘導された残基である。Y2は、ベンゼン環、ビフェニル、フェニルベンゾイミダゾールまたはフェニルベンゾオキサゾールの構造を有するジアミンから誘導された残基である。Y3は、エーテル基またはエステル基を有するジアミンから誘導された残基である。
【0075】
上述したように、本開示の実施形態では、特定の構造のモノマーおよび比率を選択して、ポリアミド酸、ならびにそれから形成された良好な耐熱性および光学特性を有するポリイミドを提供する。詳細には、本開示のいくつかの実施形態において、全ての繰り返し単位に対するポリイミドの一般式M、N、およびOで表される繰り返し単位のモル分率は、それぞれm、n、およびoである(ただし、m+n+o≦1)。m、n、o、Y1、Y2、およびY3の範囲、定義および具体例は、上に記載したものと同じであるため、ここで重複しない。
【0076】
本発明者らは、いくつかの実施形態において、ポリイミドが成膜し得る条件の下、下式を満足するm、n、およびoが、上記ポリイミドからなるポリイミド膜に極めて高いTgを持たせ、良好な耐熱性を提供し得るということを、実験により見出した。
【数2】
【0077】
さらに、上述したポリアミド酸またはポリイミドからなるポリイミド膜は良好な耐熱性を有するのみならず、良好な光学特性をも有し、かつ高温プロセス後も優れた光学特性を維持することができる。以下、詳述する。
【0078】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ポリイミドの重量平均分子量は30,000から300,000であるのが好ましく、80,000から200,000であるとより好ましい。
【0079】
[ポリアミド酸の製造プロセス]
【0080】
いくつかの実施形態において、ポリアミド酸は次の方法により形成される。式Iで表されるTCAとジアミン化合物とを溶媒中で混合し縮合重合させてポリアミド酸を形成する。いくつかの実施形態において、縮合重合反応は、室温、窒素雰囲気中、撹拌速度200~400rpmで、3から12時間行うことができ、例えば、室温、撹拌速度300rpmで4時間で行うことができる。反応が完了したら、冷却させてポリアミド酸を得る。
【0081】
【0082】
必要に応じて、添加されるジアミンとTCAとのモル比を適切に選択することができ、通常は約1:0.9~1:1.1とする。いくつかの実施形態において、ジアミンの含有量が高すぎる、またはTCAの含有量が高すぎると、得られるポリアミド酸の重量平均分子量が過度に小さくなり得る。
【0083】
本開示の実施形態に用いられるジアミン化合物は、y1、y2、およびy3からなる群から選ばれる少なくとも1つである。y1はカルド構造を有するジアミンである。y1の構造については、誘導されて残基Y1を形成することのできる上述したジアミン構造を参照にすることができ、ここに繰り返し記載しない。y2は、ベンゼン環、ビフェニル、フェニルベンゾイミダゾール、またはフェニルベンゾオキサゾールを有するジアミンである。y2の構造については、誘導されて残基Y2を形成することのできる上述したジアミン構造を参照にすることができ、ここに繰り返し記載しない。y3は、エーテル基またはエステル基を有するジアミンである。y3の構造については、誘導されて残基Y3を形成することのできる上述したジアミン構造を参照にすることができ、ここに繰り返し記載しない。
【0084】
下表に、ジアミンおよびそれらの対応する化学名のいくつかの特定の例をリストアップしている。
【0085】
【0086】
いくつかの実施形態において、溶媒は、イミド化反応を妨げず、かつ得られるポリイミドを溶解させることのできるものなら何でもよい。例えば溶媒は、非プロトン性溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、フェノール系溶媒、エーテル系溶媒、カーボネート系溶媒等、またはこれらの組み合わせであってよいが、これに限定はされない。
【0087】
いくつかの実施形態において、非プロトン性溶媒は、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン(NEP)、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチルイミダゾリドン(1,3-dimethylimidazolidone)、テトラメチル尿素のようなアミド系溶媒;γ-ブチロラクトンおよびγ-バレロラクトンのようなラクトン系溶媒;ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなホスホニウム含有アミド系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、およびスルホランのような硫黄含有溶媒;アセトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンのようなケトン溶媒;メチルピリジンおよびピリジンのようなアミン溶媒;酢酸-2-メトキシ-1-メチルエチルエステルのようなエステル溶媒であってよいが、これに限定されない。
【0088】
いくつかの実施形態において、芳香族炭化水素溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン等であってよいが、これに限定はされない。
【0089】
いくつかの実施形態において、フェノール系溶媒は、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等であってよいが、これに限定はされない。
【0090】
いくつかの実施形態において、エーテル溶媒は、例えば、1,2-ジメトキシエタン,ビス(2-メトキシエチル)エーテル、および1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等であってよい。
【0091】
いくつかの実施形態において、カーボネート系溶媒は、例えば、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、酢酸エチル、およびプロピルカーボネート等であってよいが、これに限定はされない。
【0092】
いくつかの実施形態において、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン(NEP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン(GBL)、キシレン、テトラヒドロフラン、またはこれらの組み合わせが好ましい。いくつかの実施形態において、溶媒がγ-ブチロラクトン(GBL)であるとより好ましい。
【0093】
本開示のいくつかの実施形態によれば、反応時における全重量(固形分)に対するモノマーの範囲は15~50%が好ましく、18~30%であるとより好ましい。
【0094】
本発明者らが行った研究によれば、固形分が上述の範囲内にあるときに、所望の重量平均分子量のポリアミド酸またはポリイミドを得ることができる。
【0095】
[ポリイミドの製造プロセス]
【0096】
本開示の実施形態はポリイミドを提供し、それは次の方法により形成される。酸二無水物とジアミンとを溶媒中で反応させて重合を進行させ、ポリアミド酸を得てから、ポリアミド酸にイミド化を行って、ポリイミドを形成する。ポリアミド酸のイミド化には2つの合成法がある。第1の方法は2段階に分けられる。先ず、ジアミンおよびTCAモノマーを極性溶媒中に入れて反応させ、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を形成する。次いで、高温法(300℃~500℃)または化学的方法を用いてイミド化反応を行い、ポリアミド酸を脱水閉環させてポリイミドを形成する。いくつかの実施形態において、高温法は300~500℃で4~8時間、例えば、温度400℃で6時間行う。いくつかの実施形態において、化学的方法は、無水酢酸および触媒を加え、室温から120℃で3~24時間、例えば90℃で16時間反応させることにより行う。第2の方法は、1段階でポリイミドを合成するものである。ジアミンおよびTCAモノマーを極性非プロトン性溶媒中で反応させ、還流温度まで加熱して反応を進行させ、ポリイミドを形成する。反応が完了したら、冷却、再結晶、精製、および乾燥して、ポリイミドの固体を得る。次いで、ポリイミド固体を溶媒に加え、ポリイミドワニスを作製する。
【0097】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ポリイミドワニス中のポリイミド固形分(つまり、溶媒およびポリイミドの総重量に対するポリイミドの含有量)は、重量%で、5~30wt%、好ましくは8~20wt%、より好ましくは10~15wt%である。
【0098】
本発明者らの研究によれば、固形分が上述した範囲内にあるとき、塗布時においてより優れたコーティングおよびレベリング特性が備わるということが示されている。
【0099】
いくつかの実施形態において、上述した触媒は、ポリアミド酸の脱水および閉環を触媒してポリイミドを形成することのできる任意の化合物であってよい。いくつかの実施形態において、触媒は、例えば、塩基触媒または酸触媒であってよい。
【0100】
いくつかの実施形態において、塩基触媒は例えば、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α-メチルピリジン、β-メチルピリジン、2,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、N-エチルピペリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、イミダゾール、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリンのような有機塩基触媒;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムのような無機塩基触媒であり得るが、これらには限定はされない。
【0101】
さらに、酸触媒は例えば、クロトン酸、アクリル酸、トランス-3-ヘキセン酸、ケイ皮酸、安息香酸、メチル安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸であり得るが、これらには限定はされない。
【0102】
いくつかの実施形態において、触媒は、イソキノリン、β-メチルピリジン、ピリジン、N-エチルピペリジン、またはこれらの組み合わせから選ばれたものであると好ましい。いくつかの実施形態において、触媒がN-エチルピペリジンであるとより好ましい。
【0103】
本開示のいくつかの実施形態によれば、溶媒およびポリイミドの総重量(固形分)に対するポリイミドの含有量は、8wt%から20wt%が好ましく、10wt%から15wt%であるとより好ましい。
【0104】
本発明者らによる研究によれば、固形分が上述の範囲内にあるときに、塗布時においてより優れたコーティングおよびレベリング特性が備わるということが示されている。
【0105】
[素子]
【0106】
本開示の素子は、上述したポリイミドのうち1つまたはそれ以上を含み、電子デバイスに適用可能なものである。いくつかの実施形態において、素子は、光学素子、例えば透明フィルム、透明基板、透明シート、透明層等であり得るが、これらに限定はされない。
【0107】
本開示のいくつかの実施形態では、用語「電子デバイス」は、本明細書において、1つまたはそれ以上の有機半導体層または材料を含むデバイスを意味するよう意図されている。いくつかの実施形態において、電子デバイスには、限定はされないが、(1)電気エネルギーを発光に変えるデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、もしくはライティングパネル)、(2)電子的なプロセスを用いて信号を検出するデバイス(例えば、受光素子、光伝導セル、光抵抗器、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管、赤外線(“IR”)検出器、もしくはバイオセンサ)、(3)発光を電気エネルギーに変えるデバイス(例えば、光起電デバイスもしくは太陽電池)、(4)1つもしくはそれ以上の有機半導体層を含む1つもしくはそれ以上の電子コンポーネントを含むデバイス(例えばトランジスタもしくはダイオード)、または(1)から(4)におけるデバイスの任意の組み合わせが含まれる。
【0108】
いくつかの実施形態において、電子ディスプレイ装置中のガラスをポリイミド薄膜に置き換えるため、ポリイミドが良好な光学特性を備えるという限定条件を満たさなければならない。上述したように、本開示の実施形態により提供されるポリイミド薄膜は、良好な耐熱性を有するのみならず、良好な光学特性も有し、かつ高温プロセス後も良好な光学特性を維持することができる。いくつかの実施形態において、本開示の実施形態のポリイミド薄膜の厚さは5μm~50μmであり、5μm~15μmであると好ましい。さらに、いくつかの実施形態において、本開示の実施形態のポリイミド薄膜は、次の少なくとも1つの光学特性を満たす:(1)全光線透過率(T.T)>80%、(2)イエローインデックス(YI)<5、(3)b*<3、(4)ヘイズ<2.5%。よって、本開示の実施形態により提供されるポリイミドは良好な光学特性を備えるため、ガラスに代わって電子ディスプレイ装置中に用いることができる。
【0109】
本開示の実施形態のポリイミドは、全光線透過率(T.T)が80%より大きく、85%より大きいと好ましく、88%より大きいとより好ましい。
【0110】
本開示の実施形態のポリイミドは、イエローインデックス(YI)が5未満であり、3.5未満であると好ましく、3未満であるとより好ましい。
【0111】
本開示の実施形態のポリイミドは、b*が3未満であり、2未満であると好ましく、1.5未満であるとより好ましい。
【0112】
本開示の実施形態のポリイミドは、ヘイズが2.5%未満であり、1.5%未満であると好ましく、1%未満であるとより好ましい。
【0113】
さらに、実際の応用において、耐熱性はガラス転移温度(Tg)によって判断される。Tg>300℃であると耐熱性が良好である。本開示の実施形態のポリイミドは、ガラス転移温度(Tg)が300℃よりも高く、350℃よりも高いと好ましく、400℃よりも高いとより好ましい。
【0114】
さらに、本開示の実施形態のポリイミドは、5%重量減少温度(Td5%)が350℃よりも高く、400℃よりも高いと好ましく、450℃よりも高いとより好ましい。本開示の実施形態のポリイミドはまた、線熱膨張係数(CTE)が55ppm/℃未満であり、50ppm/℃未満であると好ましく、45ppm/℃未満であるとより好ましい。
【0115】
いくつかの実施形態において、ウェットコーティング法により厚さ100~300μmのポリイミドワニスをガラス基板に塗布してから、加熱プレートにより温度50℃~250℃に加熱して溶媒を蒸発させ、厚さ5~15μmのポリイミド膜を得ることができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、本開示のポリイミド薄膜は、液晶ディスプレイ(LCD)中の素子として用いることができる。本開示の一実施形態において、本開示で開示されたポリイミドは、ディスプレイ装置中のアライメント層として用いることができる。本開示の別の実施形態において、本開示のポリイミド薄膜は、有機発光ダイオード(OLED)を有する有機電子デバイス中の素子として用いることができる。最後に、いくつかの実施形態において、本開示のポリイミド薄膜は、カメラの透明保護フィルター(transparent protective filter)として用いることができる。
【0117】
いくつかの実施形態において、本開示の素子は、半導体デバイスのような非光学デバイスにもなり得る。
【0118】
以下に、いくつかの実施例を提示して、本開示の実施形態によりポリアミド酸およびポリイミドが達成できる効果、ならびに本開示を適用することにより作製されるポリアミド酸およびポリイミドの特徴について、さらに詳細に説明する。しかしながら、以下の実施例は単に説明するためのものであって、本開示の実施に対する限定と解されてはならない。
【0119】
[作製例1]ポリアミド酸
【0120】
半月形のテフロン撹拌羽根、窒素吸気管、および冷水を導入するための凝縮装置を250mlの三口丸底フラスコに取り付けた。2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)(Zhonghou Chemical Co., Ltd.製)0.0223モル、4,4’-(9- フルオレニリデン)ジアニリン(FDA)(JFE Chemical Co., Ltd.製)7.7704g(0.0223モル)、およびγ-ブチロラクトン(Hongsheng chemical Co., Ltd.製)45gをその三口フラスコに加え、窒素雰囲気下、室温で回転速度300rpmにして撹拌し、清澄液を得た。
【0121】
その溶液に、(3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物(TCA)(LCY Chemical Industries Co., Ltd.製) 10.0000g(0.0446モル)およびγ-ブチロラクトン(Hong-chemical Co., Ltd.製)45gを加えてから、300rpmで撹拌し重合反応を進行させた。4時間反応させた後、反応粘稠溶液(viscous reaction solution)が得られた。γ-ブチロラクトン(Hong-chemical Co., Ltd.製)90gをその溶液に加えて希釈し、0.5時間撹拌して、本実験に用いるポリアミド酸を得た。
【0122】
[作製例2] ポリアミド酸
【0123】
作製例2では2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を用いず、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FDA)を作製例1におけるFDAの1.2倍とし、かつ4,4’-オキシジアニリン(ODA)(Shi manufactured peak Technology Co., Ltd製)0.0178モルを用いたこと以外は、作製例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0124】
[作製例3]ポリアミド酸
【0125】
作製例3では2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を用いず、0.0223モルの5,4’-ジアミノ-2-フェニルベンゾイミダゾール(DAPBI)(Asahi Biotechnology Co., Ltd.製)を用いたこと以外は、作製例1と同じとした。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0126】
[作製例4]ポリアミド酸
【0127】
作製例4では4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FDA)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を用いず、0.0446モルの2,2-ジメチルベンジジン(m-TB)(TCI Tokyo Chemical industry Co., Ltd.製)を用いたこと以外は、作製例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0128】
[作製例5]ポリアミド酸
【0129】
作製例5では、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FDA)および2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を作製例1におけるそれらの0.8倍とし、かつ0.0089モルのビス(4-アミノフェニル)テレフタレート(BPTP)を用いたこと以外は、作製例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0130】
[作製例6]ポリアミド酸
【0131】
作製例6では、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を用いず、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FDA)を作製例1におけるFDAの1.6倍とし、かつ0.0089モルのp-フェニレンジアミン(p-PDA)(TCI Tokyo Chemical industry Co., Ltd.製)を用いたこと以外は、作製例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0132】
[作製例7]ポリアミド酸
【0133】
作製例7では、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を作製例1におけるTFMBの0.5倍とし、かつ0.0112モルの4,4’-ジアミノベンズアニリド(DABA)(John new international Co., Ltd.製)を用いたこと以外は、作製例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0134】
[作製例8]ポリアミド酸
【0135】
作製例8では、4,4’-(9- フルオレニリデン)ジアニリン(FDA)を作製例1におけるFDAの0.8倍とし、かつ0.0045モルの(4,4’-(1,1’-ビフェニル-4,4’-ジイルジオキシ)ジアニリン(BAPB)(Taiwan Merck Co., Ltd.製)を用いたこと以外は、作製例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0136】
[作製例9]ポリアミド酸
【0137】
作製例9では、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FDA)を用いず、0.0223モルの4,4’-オキシジアニリン(ODA)を用いたこと以外は、作製例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0138】
[作製例10]ポリアミド酸
【0139】
作製例10では、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FDA)を用いず、かつ0.0223モルのビス(4-アミノフェニル)テレフタレート(BPTP)を用いたこと以外は、作製例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0140】
[作製例11]ポリアミド酸
【0141】
作製例11では、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を用いず、0.0223モルの4,4’-(1,1’-ビフェニル-4,4’-ジイルジオキシ)ジアニリン(BAPB)を用いたこと以外は、作製例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0142】
[作製例12] ポリアミド酸
【0143】
作製例12では4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(FDA)および2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を用いず、0.0446モルの4,4’-(1,1’-ビフェニル-4,4’-ジイルジオキシ)ジアニリン(BAPB)を用いたこと以外は、作製例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。本実験で用いるポリアミド酸が得られた。
【0144】
[実施例1]ポリイミド
【0145】
18.2gの無水酢酸および15.1gのN-エチルピペリジンを、作製例1のポリアミド酸に加え、油浴中で加熱し、その系を16時間90℃に維持した。
【0146】
次いで、その反応系を室温まで冷却した。その反応液を取り出し、メタノールに滴下して加え、固体を沈殿させた。その固体をろ紙でろ過し、メタノールで3回洗浄した。次いで、その固体を真空下200℃で5時間乾燥させた。クリーンなポリイミド固体が得られた。
【0147】
[実施例2~12]ポリイミド
【0148】
実施例2~12で用いたポリアミド酸を、それぞれ作製例2~12で得られたポリアミド酸にしたこと以外は、実施例1において記載したのと同じ手順を繰り返し行った。実施例2~12のポリイミド固体を得た。
【0149】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC法)を用い、次の条件でポリアミド酸およびポリイミドの重量平均分子量(Mw)の測定を行った。
装置:Alliance2695
カラム:Shodex KD-803、KD-804、KD-805、KD-G 4A
カラム温度:40℃
溶媒:DMAc/LiBr/リン酸/THF(0.1wt%)
流速:1.0mL/min
測定液の固形分の濃度:0.5質量%
注入量:50μL
検出器:RI
校正用標準物質:EasiCal PS-2(Agilent Technologies Co., Ltd.製)
上述にて得られた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)を分散度として定義する。
【0150】
上述した実施例の成分およびそれらの対応するモル分率を表2にまとめた。各成分に選んだ種類を以下に示す。酸二無水物を1モル分率と定義し、ジアミンの合計も1モル分率と定義する。
【0151】
【0152】
上記表における各成分はそれぞれ次の化合物を表している。
TCA:3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物(Li Changrong Chemical Industry Co., Ltd.製)
FDA:4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(JFE Chemical Co., Ltd.製)
TFMB:2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(Zhonghou Chemical Co., Ltd.製)
m-TB:2,2-ジメチルベンジジン(TCI Chemical Industry Development Co., Ltd.製)
p-PDA:p-フェニレンジアミン(Merck Taiwan Co., Ltd.製)
DAPBI:5,4’-ジアミノ-2-フェニルベンゾイミダゾール(Asahi Biotechnology Co., Ltd.製)
DABA:4,4’-ジアミノベンズアニリド(Hanxin International Co., Ltd.製)
ODA:4,4’-オキシジアニリン(Shifeng Technology Co., Ltd.製)
BPTP:ビス(4-アミノフェニル)テレフタレート(Merck Taiwan Co., Ltd.製)
BAPB:4,4’-(1,1’-ビフェニル-4,4’-ジイルジオキシ)ジアニリン(Merck Taiwan Co., Ltd.製)
【0153】
[ポリイミドワニスの製造]
【0154】
実施例1から12におけるポリイミド固体をγ-ブチロラクトンにそれぞれ加え、固形分12wt%のポリイミドワニスを得た。
【0155】
[ポリイミド薄膜の製造]
【0156】
厚さ200μmのポリイミドワニスをウェットコーティング法によりガラス基板に塗布した。加熱プレートにより温度50℃で30分、150℃で60分、および240℃で60分加熱することにより溶媒を蒸発させ、厚さ10μmの薄膜を得た。次いで、その実施例1から12のポリイミドからなる薄膜の各種特性を下記する試験方法により測定し、表3に記録した。
【0157】
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
【0158】
TA Instruments製の熱機械分析器「TMA/Q400」により、薄膜引張試験治具を用い、ガラス転移温度を分析した。サンプルを16mm×5mmにカットし、そのテスト片の両端を薄膜引張試験治具で挟んで固定し、TMA中に置いた。保護雰囲気として窒素を流速100ml/minで注入し、固定荷重0.05Nを加えた。そのサンプルを10℃/minの昇温速度で50℃から350℃に加熱してから、自然冷却により50℃まで下げ、次いで昇温速度10℃/minで500℃まで加熱した。TMAにより測定されたデータにおける勾配変化の転換点(turning point)がTgである。
【0159】
[5%重量減少温度(Td5%)の測定]
【0160】
TA Instruments製の熱重量分析器「TGA/Q500」を用い、重量減少温度を分析した。サンプルを5mm×5mmにカットした。総重量5~6mgのカットサンプルをトレイに積み置き、窒素雰囲気を流速60ml/minで注入した。そのサンプルを昇温速度10℃/minで40℃から900℃に加熱したところ、1wt%および5wt%の分解温度が測定できた。
【0161】
[線熱膨張係数(CTE)の測定]
【0162】
TA Instruments製の熱機械分析器「TMA/Q400」により、薄膜引張試験治具を用い、線熱膨張係数を分析した。サンプルを16mm×5mmにカットし、そのテスト片の両端を薄膜引張試験治具で挟んで固定し、TMA中に置いた。保護雰囲気として窒素を流速100ml/minで注入し、固定荷重0.05Nを加えた。そのサンプルを10℃/minの昇温速度で50℃から350℃に加熱してから、自然冷却により50℃まで下げ、次いで昇温速度10℃/minで500℃まで加熱した。TMA測定データから50~200℃の勾配(slope)を抽出することでCTE値が得られた。
【0163】
[全光線透過率(T.T)の測定]
【0164】
ASTM D1003に従って、Nippon Denshoku Industries Co., Ltd製の分光光度計「CSP-001」を用いて測定を行った。
【0165】
[イエローインデックステスト(YI)の測定]
【0166】
ASTM D1925に従って、Nippon Denshoku Industries Co., Ltd製の分光光度計「CSP-001」を用いて測定を行った。
【0167】
[b値(b*)の測定]
【0168】
ASTM D1925に従って、Nippon Denshoku Industries Co., Ltd製の分光光度計「CSP-001」を用いてCIE L*a*b*座標を測定した。
【0169】
[ヘイズ(Haze)の測定]
【0170】
ASTM D1003に従って、Nippon Denshoku Industries Co., Ltd製の分光光度計「CSP-001」を用いて測定を行った。
【0171】
【0172】
表2および表3における実施例1~12からわかるように、本発明のいくつかの実施例は、特定の構造のモノマーおよび比率を選択することで、得られる膜に優れた耐熱性および光学特性を備えさせることができる。
【0173】
具体的には、実施例1から12のガラス転移温度(Tg)はいずれも300℃より高く、良好な耐熱性を有していた。さらに、(実施例1、3および7~8に示されるように)モル比率mが40%~60%であり、nが40%~60%であり、かつoが0であるとき、ガラス転移温度はいずれも400℃より高くなり、より優れた耐熱性を有していた。
【0174】
さらにまた、実施例1~8に示されるように、モル分率m、n、およびoが次の式を満たすとき、ガラス転移温度は350℃より高くなり、ひいては400℃よりも高くなり、つまり優れた耐熱性を備えていた。
【数3】
【0175】
まとめると、ポリイミドからなるポリイミド薄膜は、式M、N、およびOからなる群から選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位を含むことにより、良好な耐熱性および光学特性を備え得るようになる。さらに、全ての繰り返し単位に対する一般式M、N、およびOで表される繰り返しユニットのモル分率m、n、およびoを、特定の比率にするか、または式1を満たすようにすることで、ポリイミドからなる薄膜は、より一層優れた耐熱性を備え得るようにもなる。
【0176】
本開示の態様について当業者がより理解し易いよう、いくつかの実施形態の特徴を上に概説した。ここに紹介された実施形態と同じ目的を達成するおよび/または同じ利点を実現するべく、他のプロセスおよび構造を設計するか、あるいはこれらに変更を加えるための基礎として、当業者が本開示を容易に利用できるということが理解されよう。当業者はまた、かかる均等な構成が本開示の精神および範囲を逸脱しないこと、ならびに本開示の精神および範囲を逸脱することなく各種変化、置換および変更を加え得るということも理解するはずである。