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特許7305748デジタル画像にダミー画素を埋め込むことによるデジタル印刷における歪み補正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】デジタル画像にダミー画素を埋め込むことによるデジタル印刷における歪み補正
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 101
B41J2/01 451
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021507506
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2019056746
(87)【国際公開番号】W WO2020035766
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】62/717,957
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シマン トヴ,アロン
(72)【発明者】
【氏名】ステイン,ヨアフ
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-174060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0116734(US,A1)
【文献】特開2004-318132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像印刷における歪みを補正するための方法であって、前記方法は、
印刷画像から取得されたデジタル画像を受信することと、
前記デジタル画像に基づいて、前記印刷画像における幾何学的歪みを推定することと、
1つ以上のダミー画素がその中に埋め込まれる時に、推定された幾何学的歪みを補償する1つ以上の画素位置を計算することであって、前記画素位置のうち少なくとも1つは、前記デジタル画像の列または行のセクションに沿う画素のバーを備えることと、
印刷されることになる後続のデジタル画像における幾何学的歪みを、前記後続のデジタル画像内の1つ以上の計算された画素位置で前記バー内に前記1つ以上のダミー画素を埋め込むことによって補正することと、
補正された幾何学的歪みを有する後続のデジタル画像を印刷することと、
を備える、方法。
【請求項2】
計算された画素位置に前記1つ以上のダミー画素を埋め込むことは、所与の画素位置における1つ以上の既存の画素を、埋め込まれた1つ以上のダミー画素の分だけシフトすることを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デジタル画像は、少なくとも第1および第2の色を備え、前記幾何学的歪みを補正することは、それぞれ、前記第1および第2の色の印刷された第1および第2の幅の間の差を補正することを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記幾何学的歪みを補正することは、前記デジタル画像の印刷の台形を補償することを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記デジタル画像に基づいて、少なくとも、前記印刷画像を印刷するために用いられるソース画像に対する前記印刷画像の追加の幾何学的歪みを推定することを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記追加の幾何学的歪みは、前記ソース画像に対する前記印刷画像の傾きを備え、前記方法は、前記ソース画像に、前記傾きに対する事前補償を適用することによって前記傾きを補正することを備える、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記追加の幾何学的歪みは、前記印刷画像の第1および第2の色の間の色対色位置差を備え、前記方法は、前記後続のデジタル画像において、前記第1および第2の色のうち少なくとも1つをシフトすることによって前記色対色位置差を補正することを備える、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記デジタル画像は、複数の色画像を備え、前記1つ以上のダミー画素を埋め込むことは、所与の色画像内の所与の画素位置における所与のダミー画素に関して、前記所与の画素位置に隣接する1つ以上の選択された画素に基づいて前記所与のダミー画素のサイズを決定する波形を設定することを備え、前記後続のデジタル画像を印刷することは、前記波形に従って前記所与のダミー画素を印刷することを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
画像印刷における歪みを補正するための装置であって、前記装置は、
印刷画像から取得されたデジタル画像を受信するように構成されるインタフェースと、
プロセッサであって、
前記デジタル画像に基づいて、前記印刷画像における幾何学的歪みを推定することと
1つ以上のダミー画素がその中に埋め込まれる時に、推定された幾何学的歪みを補償する1つ以上の画素位置を計算することであって、前記画素位置のうち少なくとも1つは、前記デジタル画像の列または行のセクションに沿う画素のバーを備えることと
印刷されることになる後続のデジタル画像における幾何学的歪みを、前記後続のデジタル画像内の1つ以上の計算された画素位置で前記バー内に前記1つ以上のダミー画素を埋め込むことによって補正することと、
を行うように構成される、プロセッサと、
を備える、装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、所与の画素位置における1つ以上の既存の画素を、埋め込まれた1つ以上のダミー画素の分だけシフトするように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記デジタル画像は、少なくとも第1および第2の色を備え、前記プロセッサは、それぞれ、前記第1および第2の色の印刷された第1および第2の幅の間の差を補正することによって前記幾何学的歪みを補正するように構成される、請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記デジタル画像の印刷の台形を補償することによって前記幾何学的歪みを補正するように構成される、請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記デジタル画像に基づいて、少なくとも、前記印刷画像を印刷するために用いられるソース画像に対する前記印刷画像の追加の幾何学的歪みを推定するように構成される、請求項12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記追加の幾何学的歪みは、前記ソース画像に対する前記印刷画像の傾きを備え、前記プロセッサは、前記ソース画像に、前記傾きに対する事前補償を適用することによって前記傾きを補正するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記追加の幾何学的歪みは、前記印刷画像の第1および第2の色の間の色対色位置差を備え、前記プロセッサは、前記後続のデジタル画像において、前記第1および第2の色のうち少なくとも1つをシフトすることによって前記色対色位置差を補正するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記デジタル画像は、複数のレジストレーションマークを備え、前記プロセッサは、前記レジストレーションマーク間の幾何学的歪みを分析することによって前記幾何学的歪みを推定するように構成される、請求項15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記デジタル画像は、(i)前記デジタル画像の余白および(ii)前記デジタル画像の内側のうち少なくとも1つの中にレジストレーションマークを備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
印刷システムであって、
その上にインク画像を形成するために画像形成ステーションからインク液滴を受け取り、前記インク画像を標的基板へ転写することによって印刷画像を形成するように構成された中間転写部材(ITM)を備える印刷サブシステムと、
プロセッサであって、
前記印刷画像から取得されたデジタル画像を受信することと
前記デジタル画像に基づいて、前記印刷画像における幾何学的歪みを推定することと
1つ以上のダミー画素がその中に埋め込まれる時に、推定された幾何学的歪みを補償する1つ以上の画素位置を計算することであって、前記画素位置のうち少なくとも1つは、前記デジタル画像の列または行のセクションに沿う画素のバーを備えることと
印刷されることになる後続のデジタル画像における幾何学的歪みを、前記後続のデジタル画像内の1つ以上の計算された画素位置で前記バー内に前記1つ以上のダミー画素を埋め込むことによって補正することと、
を行うように構成される、プロセッサと、
を備える、印刷システムであり、
前記印刷サブシステムは、補正された幾何学的歪みを有する後続のデジタル画像を印刷するように構成される、印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にデジタル印刷に関し、特に、デジタル印刷画像における歪みを補償するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野において、デジタル印刷画像における歪みを補正するための様々な方法およびシステムが知られている。
【0003】
たとえば、米国特許第6,966,712号は、印刷媒体にテストパターンを印刷することと、撮像デバイスを用いて、印刷されたテストパターンのデジタル画像を生成することとを含む方法およびシステムを説明する。この方法およびシステムは、印刷媒体の歪みを測定するために干渉パターンを分析することと、測定された歪みに基づいて、印刷デバイスを較正することとを含む。
【0004】
米国特許出願公開第2017/0104887号は、シートの両面に画像を形成する時、画像処理を実行するように構成された画像処理ユニットを含む画像処理装置を説明する。画像処理は、シートに形成される画像に生じる歪みをオフセットするために、事前に画像を変形させるスキュー補正を含む。
【0005】
米国特許第8,891,128号は、欠陥記録素子検出装置を説明する。この装置は、読取り画像データ取得デバイス、基準領域設定デバイス、比較領域設定デバイス、相関演算デバイス、歪み補正値決定デバイス、画像歪み補正デバイス、および欠陥記録素子決定デバイスを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で説明される本発明の実施形態は、画像印刷における歪みを補正するための方法を提供し、この方法は、印刷画像から取得されたデジタル画像を受信することを含む。デジタル画像に基づいて、印刷画像における幾何学的歪みが推定される。1または複数のダミー画素がその位置へ埋め込まれた時に推定された幾何学的歪みを補償するように、1または複数の画素位置が計算される。後続のデジタル画像において、後続のデジタル画像内の1または複数の計算された画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことによって、幾何学的歪みが補正される。補正された幾何学的歪みを有する後続のデジタル画像が印刷される。
【0007】
いくつかの実施形態において、計算された画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことは、所与の画素位置における1または複数の既存の画素を、埋め込まれた1または複数のダミー画素の分だけシフトすることを含む。他の実施形態において、画素位置の少なくとも1つは、デジタル画像の列または行のセクションに沿った画素のバーを含み、幾何学的歪みを補正することは、バーにダミー画素を埋め込むことを含む。また他の実施形態において、少なくとも1つの他の画素位置は、行または列の追加のセクションに沿った位置にある追加の画素のバーを含み、幾何学的歪みを補正することは、追加のバーにダミー画素を埋め込むことを含む。
【0008】
実施形態において、ダミー画素を埋め込むことは、追加のセクションをセクションに対してシフトすることを含む。他の実施形態において、デジタル画像は、少なくとも第1および第2の色を含み、幾何学的歪みを補正することは、それぞれ第1および第2の色の印刷された第1および第2の幅の間の差を補正することを含む。また他の実施形態において、幾何学的歪みを補正することは、デジタル画像の印刷の台形を補償することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、幾何学的歪みを推定することは、印刷画像の少なくとも一部を基準画像と比較することを含む。他の実施形態において、方法は、デジタル画像に基づいて、印刷画像および後続のデジタル画像の印刷の少なくとも1つを適格または不適格とすることを含む。また他の実施形態において、方法は、デジタル画像に基づいて、印刷画像を印刷するために用いられたソース画像に対する印刷画像の追加の幾何学的歪みを少なくとも推定することを含む。
【0010】
実施形態において、追加の幾何学的歪みは、ソース画像に対する印刷画像の傾きを含み、方法は、ソース画像に傾きの事前補償を適用することによって傾きを補正することを含む。他の実施形態において、追加の幾何学的歪みは、印刷画像の第1および第2の色の間の色対色位置差を含み、方法は、後続のデジタル画像において、第1および第2の色の少なくとも1つをシフトすることによって色対色位置差を補正することを含む。また他の実施形態において、デジタル画像は、少なくとも第1および第2の色画像を含み、方法は、第1および第2の色画像のエッジを、第2の色画像のエッジを第1の色画像のエッジと位置が合うようにシフトすることによって互いに位置を合わせることを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、デジタル画像は、複数の色画像を含み、1または複数のダミー画素を埋め込むことは、所与の色画像内の所与の画素位置における所与のダミー画素に関して、所与の画素位置に隣接した1または複数の選択された画素に基づいて所与のダミー画素のサイズを決定する波形を設定することを含み、後続のデジタル画像を印刷することは、波形に従って所与のダミー画素を印刷することを含む。他の実施形態において、デジタル画像は、複数のレジストレーションマークを含み、幾何学的歪みを推定することは、レジストレーションマーク間の幾何学的歪みを分析することを含む。
【0012】
実施形態において、デジタル画像は、(i)デジタル画像の余白および(ii)デジタル画像の内側の少なくとも1つにレジストレーションマークを含む。他の実施形態において、レジストレーションマークの少なくとも2つは、デジタル画像の列のセクションに沿って配列されたレジストレーションマークのバーを含む。
【0013】
本発明の実施形態によると、画像印刷における歪みを補正するための装置が更に提供され、この装置は、インタフェースおよびプロセッサを含む。インタフェースは、印刷画像から取得されたデジタル画像を受信するように構成される。プロセッサは、(a)デジタル画像に基づいて、印刷画像における幾何学的歪みを推定し、(b)1または複数のダミー画素がその位置へ埋め込まれた時に推定された幾何学的歪みを補償する1または複数の画素位置を計算し、(c)後続のデジタル画像における幾何学的歪みを、後続のデジタル画像内の1または複数の計算された画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことによって補正するように構成される。
【0014】
本発明の実施形態によると、プロセッサおよび印刷サブシステムを含むシステムが更に提供される。プロセッサは、(a)印刷画像から取得されたデジタル画像を受信し、(b)デジタル画像に基づいて、印刷画像における幾何学的歪みを推定し、(c)1または複数のダミー画素がその位置へ埋め込まれた時に推定された幾何学的歪みを補償する1または複数の画素位置を計算し、(d)印刷される後続のデジタル画像における幾何学的歪みを、後続のデジタル画像内の1または複数の計算された画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことによって補正するように構成される。印刷サブシステムは、補正された幾何学的歪みを有する後続のデジタル画像を印刷するように構成される。
【0015】
本発明の実施形態によると、プログラム命令が格納された有形非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品が更に提供され、この命令は、プロセッサによって読み取られると、プロセッサに、(a)印刷画像から取得されたデジタル画像を受信させ、(b)デジタル画像に基づいて、印刷画像における幾何学的歪みを推定させ、(c)1または複数のダミー画素がその位置へ埋め込まれた時に推定された幾何学的歪みを補償する1または複数の画素位置を計算させ、(d)印刷される後続のデジタル画像における幾何学的歪みを、後続のデジタル画像内の1または複数の計算された画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことによって補正させるように構成される。
【0016】
本発明の実施形態によると、印刷サブシステムおよびプロセッサを含む印刷システムが更に提供される。この印刷サブシステムは、表面にインク画像を形成するために画像形成ステーションからのインク液滴を受け取り、インク画像を標的基板へ転写することによって印刷画像を形成するように構成された中間転写部材(ITM)を含む。プロセッサは、(a)印刷画像から取得されたデジタル画像を受信し、(b)デジタル画像に基づいて、印刷画像における幾何学的歪みを推定し、(c)1または複数のダミー画素がその位置へ埋め込まれた時に推定された幾何学的歪みを補償する1または複数の画素位置を計算し、(d)印刷される後続のデジタル画像における幾何学的歪みを、後続のデジタル画像内の1または複数の計算された画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことによって補正するように構成される。印刷サブシステムは、補正された幾何学的歪みを有する後続のデジタル画像を印刷するように構成される。
【0017】
本発明の実施形態によると、画像印刷における歪みを補正するための方法が更に提供され、この方法は、中間転写部材(ITM)に、表面にインク画像を形成するために画像形成ステーションからのインク液滴を塗布し、ITMから標的基板へインク画像を転写することによって、印刷画像を印刷することを含む。印刷画像から取得されたデジタル画像が受信される。デジタル画像に基づいて、印刷画像における幾何学的歪みが推定される。1または複数のダミー画素がその位置へ埋め込まれた時に推定された幾何学的歪みを補償するように、1または複数の画素位置が計算される。印刷される後続のデジタル画像において、後続のデジタル画像内の1または複数の計算された画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことによって、幾何学的歪みが補正される。補正された幾何学的歪みを有する後続のデジタル画像が印刷される。
【0018】
本発明の実施形態によると、画像印刷における歪みを補正するための方法が更に提供され、この方法は、印刷画像から取得されたデジタル画像を受信することを含む。デジタル画像に基づいて、印刷画像における幾何学的歪みが推定される。1または複数の所与の画素がデジタル画像から除去された時に推定された幾何学的歪みを補償するように、1または複数の画素位置が計算される。印刷される後続のデジタル画像において、後続のデジタル画像内の1または複数の計算された画素位置における1または複数の所与の画素を除去することによって、幾何学的歪みが補正される。補正された幾何学的歪みを有する後続のデジタル画像が印刷される。
【0019】
本発明の実施形態によると、プロセッサおよび印刷サブシステムを含むシステムが更に提供される。プロセッサは、(a)印刷画像から取得されたデジタル画像を受信し、(b)デジタル画像に基づいて、印刷画像における幾何学的歪みを推定し、(c)1または複数の所与の画素がデジタル画像から除去された時に推定された幾何学的歪みを補償する1または複数の画素位置を計算し、(d)印刷される後続のデジタル画像における幾何学的歪みを、後続のデジタル画像内の1または複数の計算された画素位置における1または複数の所与の画素を除去することによって補正するように構成される。印刷サブシステムは、補正された幾何学的歪みを有する後続のデジタル画像を印刷するように構成される。
【0020】
本発明は、図面とともに取り上げられる以下の本発明の実施形態の詳細な説明によって、より詳しく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る、デジタル印刷システムの概略側面図である。
図2A】本発明の実施形態に係る、デジタル印刷システムにおいて印刷された画像における歪みを補正するためのプロセスシーケンスの概略絵図である。
図2B】本発明の実施形態に係る、デジタル印刷における歪みを補正するための方法を概略的に示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係る、デジタル印刷システムにおいて印刷される画像におけるシフト行列を計算するための方法の概略絵図である。
図4】本発明の実施形態に係る、デジタル印刷システムにおいて印刷される画像にダミー画素を埋め込むためのカウント行列を計算するための方法の概略絵図である。
図5】本発明の実施形態に係る、デジタル印刷システムにおいて印刷される画像にダミー画素を埋め込むための方法の概略絵図である。
図6】本発明の実施形態に係る、デジタル印刷システムにおいて印刷されるデジタル画像における画素位置を設定するための方法の概略絵図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る、デジタル印刷システムにおいて印刷されるデジタル画像における画素位置を設定するための方法の概略絵図である。
図8】本発明の実施形態に係る、デジタル印刷システムにおいて印刷される埋込み画像を位置合わせするための方法の概略絵図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
後述する本発明の実施形態は、デジタル画像の印刷において歪みを補正するための方法および装置を提供する。いくつかの実施形態において、デジタル印刷システムは、インク画像を受信し、たとえば紙シートなどの標的基板にインク画像を転写するために、本明細書においてX軸と称される軸に沿ってインプレッションステーションへ移動するように構成された可撓性中間転写部材(ITM)を備える。
【0023】
印刷された画像は、本明細書において波形X(Y)と称される、(X軸と直交する)Y軸上の位置とともに変化するX軸に沿った幾何学的歪み、および/または、本明細書においてY(X)と称される、X軸上の位置とともに変化するY軸に沿った歪みを有し得る。
【0024】
波形Y(X)歪みは、たとえばITMの撓みおよび延伸、インプレッションステーションにおける指定された速度からの逸脱、本明細書において「バー対バー位置デルタ」とも称される色画像間の位置ずれ、および本明細書において「バー対バー幅デルタ」または「色対色幅差」と称される、異なる色画像間での同様の特徴の異なる幅など、多数の原因によって生じ得る。デジタル画像は、たとえば台形、傾き、スキュー、および本明細書において「画像対基板Y(Im2SubY)」とも称される、たとえばY軸における、基板に対するデジタル画像の変位などの追加の歪みを有し得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、デジタル印刷システムは、印刷画像から取得されたデジタル画像を受信するように構成されたプロセッサを備える。印刷画像は、たとえばシアン、マゼンタ、黄色、および黒色などの複数の色画像の合成物として、デジタル印刷システムによって印刷されたものである。プロセッサは、デジタル画像に基づいて、上述した1または複数の種類の幾何学的歪みを推定し、歪みを補償するために、歪んだ画像に、画素のシフト、および本明細書において「ダミー画素」とも称される合成画素の埋込みを適用し、幾何学的歪みを補正する後続のデジタル画像を生成するように構成される。いくつかの実施形態において、後続のデジタル画像は印刷され、歪みが実際に補正されたかを確認するために追加のデジタル画像が取得される。
【0026】
いくつかの実施形態において、デジタル画像は、デジタル画像のY軸に沿って第1(たとえば左)および第2(たとえば右)の対向エッジに位置するレジストレーションマークを備える。レジストレーションマークは、上述した歪みの少なくとも一部を示す。いくつかの実施形態において、プロセッサは、歪んだレジストレーションマークに基づいて、デジタル画像における歪みの少なくとも一部を識別し、たとえば傾き、スキュー、Im2SubY、および他の波形物などの様々な歪みを補償するために、色画像の1または複数に、線形オフセットおよび/または非線形シフトを適用するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態において、プロセッサは更に、第1の端部における歪んだレジストレーションマークに基づいて、異なる色画像間のバー対バー位置デルタ歪みを識別し、全ての色画像の第1の端部の位置を合わせるために、色画像の少なくとも1つをシフトするように構成される。
【0028】
その後、プロセッサは、第2の端部におけるレジストレーションマークに基づいて、色画像間のバー対バー幅デルタの歪みを識別し、色画像の1または複数において、(色ごとにX軸に沿って変動し得る)色画像間でのバー対バー幅デルタを補償するための画素位置およびそこへ埋め込まれるダミー画素の量を計算する。
【0029】
開示された技術は、多様な歪みを補償することによって印刷デジタル画像の品質を向上させる。また、開示される技術は、印刷基板の生産高を高めることによって基板の浪費を低減する。
システム説明
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る、デジタル印刷システム10の概略側面図である。いくつかの実施形態において、システム10は、画像形成ステーション60、乾燥ステーション64、インプレッションステーション84、およびブランケット処理ステーション52を循環する回転可撓性ブランケット44を備える。本発明の文脈および特許請求の範囲において、「ブランケット」および「中間転写部材(ITM)」という用語は同義的に用いられ、詳しく後述するように、インク画像を受け取り、標的基板にインク画像を転写するように構成された中間部材として用いられる1または複数の層を備える可撓性部材を指す。
【0031】
動作モードにおいて、画像形成ステーション60は、ブランケット44の表面の上側ランにおいて、デジタル画像42の、本明細書において「インク画像」とも称されるミラーインク画像(不図示)を形成するように構成される。その後、インク画像は、ブランケット44の下側ランの下に位置する標的基板(たとえば紙、折り畳み箱、またはシートまたは連続ウェブ形状の任意の適当な可撓性包装材)に転写される。
【0032】
本発明の文脈において、「ラン」という用語は、その上でブランケット44がガイドされる任意の所与の2つのローラ間にあるブランケット44の長さまたはセグメントを指す。
【0033】
いくつかの実施形態において、設置中、ブランケット44は、連続ブランケットループ(不図示)を形成するようにエッジとエッジとを接着され得る。シームの設置のための方法およびシステムの例は、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/532,400号において詳しく説明される。
【0034】
いくつかの実施形態において、画像形成ステーション60は一般に、ブランケット44の上側ランの表面より上の一定の高さに位置するフレーム(不図示)に各々が(たとえばスライダを用いて)取り付けられた複数の印刷バー62を備える。いくつかの実施形態において、各印刷バー62は、ブランケット44上の印刷領域と同じ幅の印刷ヘッドのストリップを備え、個々に制御可能な印刷ノズルを備える。
【0035】
いくつかの実施形態において、画像形成ステーション60は、任意の適当な数のバー62を備えてよく、各バー62は、たとえば様々な色の水性インクなどの印刷流体を含んでよい。インクは一般に、限定されないがたとえばシアン、マゼンタ、赤色、緑色、青色、黄色、黒色、および白色などの可視色を有する。図1の例において、画像形成ステーション60は、7つの印刷バー62を備えるが、たとえば、シアン、マゼンタ、黄色、および黒色などの任意の選択された色を有する4つの印刷バー62を備えてよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、印刷ヘッドは、ブランケット44の表面にインク画像(不図示)を形成するためにブランケット44の表面に様々な色のインク液滴を噴射するように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態において、様々な印刷バー62は、矢印94で表されるブランケット44の移動軸に沿って互いに離間している。この構成において、バー62間の正確な間隔、および各バー62のインク液滴の方向付けと移動ブランケット44との同期は、画像パターンの正確な配置を可能にするために不可欠である。
【0038】
本開示の文脈および特許請求の範囲において、「色間パターン配置」、「パターン配置精度」、「色対色レジストレーション」、「C2Cレジストレーション」、「バー対バーレジストレーション」、および「色レジストレーション」という用語は、同義的に用いられ、2つ以上の色の互いに対する任意の配置精度を指す。
【0039】
いくつかの実施形態において、システム10は、印刷バー62間に位置し、ブランケット44の表面に堆積したインク液滴を部分的に乾燥するように構成された、たとえば熱ガスまたは空気送風器66などの加熱器を備える。この印刷バー間の熱気流は、たとえば、印刷ヘッドの表面における凝結の軽減および/または付随体(たとえば主なインク液滴の周囲に分散した残余物または小液滴)の処理、および/または印刷ヘッドのインクジェットノズルの詰まり防止、および/またはブランケット44上の様々な色のインク液滴が不所望に混ざり合うことの防止に貢献し得る。いくつかの実施形態において、システム10は、ブランケット44の表面に熱気(または他の気体)を吹き付けるように構成された乾燥ステーション64を備える。いくつかの実施形態において、乾燥ステーションは、送風器68または他の任意の適当な乾燥装置を備える。
【0040】
乾燥ステーション64において、ブランケット44上に形成されたインク画像は、インクをより完全に乾燥するために放射および/または熱気に晒され、液体キャリアのほとんどまたは全てが蒸発し、粘着性インク膜になる点まで加熱される樹脂および着色剤の層のみが残される。
【0041】
いくつかの実施形態において、システム10は、たとえばブランケット44などの回転ITMを備えるブランケットモジュール70を備える。いくつかの実施形態において、ブランケットモジュール70は、1または複数のローラ78を備え、ローラ78の少なくとも1つは、それぞれの印刷バー62に対するブランケット44のセクションの位置を制御するためにブランケット44の位置を記録するように構成されたエンコーダ(不図示)を備える。いくつかの実施形態において、ローラ78のエンコーダは一般に、それぞれのローラの角変位を示すロータリベースの位置信号を生成するように構成されたロータリエンコーダを備える。
【0042】
追加または代替として、ブランケット44は、システム10の様々なモジュールの動作を制御するための一体型エンコーダ(不図示)を備えてよい。一体型エンコーダは、たとえば、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/689,852号において詳しく説明される。
【0043】
いくつかの実施形態において、ブランケット44は、ローラ76および78、および本明細書においてダンサ74とも称される動力付き張力ローラの上でガイドされる。ダンサ74は、ブランケット44におけるたるみの長さを制御するように構成され、その動きは、両頭矢印で概略的に表される。また、経年によるブランケット44の任意の延伸は、システム10のインク画像配置性能に影響を及ぼすことはなく、張力ダンサ74によってより多くのたるみを巻き取ることを要するのみである。
【0044】
いくつかの実施形態において、ダンサ74はモータ式であってよい。ローラ76および78およびダンサ74の構成および動作は、たとえば、その開示が全て参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0008272号および上述したPCT国際公開第WO2013/132424号において更に詳しく説明される。
【0045】
インプレッションステーション84において、ブランケット44は、インプレッションシリンダ82と、圧縮性ブランケットを搬送するように構成された圧力シリンダ90との間を通過する。
【0046】
いくつかの実施形態において、システム10は、たとえばブランケットモジュール70、ブランケットモジュール70の上に位置する画像形成ステーション60、およびブランケットモジュール70の下に位置する基板搬送モジュール80など、システム10の複数のモジュールを制御するように構成された制御コンソール12を備える。
【0047】
いくつかの実施形態において、コンソール12は、ケーブル57を介してコントローラ54とインタフェース接続し、そこからの信号を受信するための適当なフロントエンドおよびインタフェース回路を有する、一般に汎用コンピュータであるプロセッサ20を備える。いくつかの実施形態において、単一のデバイスとして概略的に示されたコントローラ54は、既定の位置でシステム10に取り付けられた1または複数の電子モジュールを備えてよい。コントローラ54の電子モジュールの少なくとも1つは、システム10の様々なモジュールおよびステーションを制御するように構成された、たとえば制御回路またはプロセッサ(不図示)などの電子デバイスを備えてよい。いくつかの実施形態において、プロセッサ20および制御回路は、印刷システムによって用いられる機能を実行し、ソフトウェア用のデータをメモリ22に格納するために、ソフトウェアにおいてプログラムされ得る。ソフトウェアは、たとえばネットワークを介して電子形式でプロセッサ20および制御回路へダウンロードされてよく、または、たとえば光、磁気、または電子メモリ媒体などの非一時的有形媒体において提供され得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、コンソール12は、プロセッサ20から受信したデータおよび画像、または入力デバイス40を用いてユーザ(不図示)によって挿入された入力を表示するように構成されたディスプレイ34を備える。いくつかの実施形態において、コンソール12は、他の任意の適当な構成を有してよく、たとえば、コンソール12およびディスプレイ34の代替構成は、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,229,664号において詳しく説明される。
【0049】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、画像42の1または複数のセグメント(不図示)を備えるデジタル画像42およびメモリ22に格納された(後に詳しく説明される)様々な種類のテストパターンをディスプレイ34に表示するように構成される。
【0050】
いくつかの実施形態において、本明細書において冷却ステーションとも称されるブランケット処理ステーション52は、たとえばブランケットを冷却および/またはブランケット44の外側表面に処理液を塗布すること、および/またはブランケット44の外側表面を洗浄することによって、ブランケットを処理するように構成される。ブランケット処理ステーション52において、ブランケット44の温度は、ブランケット44が画像形成ステーション60に入る前に、所望の値まで低減され得る。処理は、ブランケットの外側表面に冷却および/または洗浄および/または処理液を塗布するために構成された1または複数のローラまたはブレードの上でブランケットを動かすことによって実行され得る。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、ブランケット44の温度を監視し、ブランケット処理ステーション52の動作を制御するために、たとえば温度センサ(不図示)から、ブランケット44の表面温度を示す信号を受信するように構成される。そのような処理ステーションの例は、たとえば、その開示が全て参照によって本明細書に組み込まれるPCT国際公開第WO2013/132424号およびWO2017/208152号において説明される。
【0051】
追加または代替として、画像形成ステーションにおけるインク噴射の前に、処理液が噴射によって塗布され得る。
【0052】
図1の例において、ステーション52はローラ78とローラ76との間に取り付けられるが、ステーション52は、インプレッションステーション84と画像形成ステーション60との間の他の任意の適当な位置においてブランケット44に隣接して取り付けられてよい。
【0053】
図1の例において、インプレッションシリンダ82は、インプレッションシリンダ82を介して入力スタック86から出力スタック88へ基板搬送モジュール80によって運搬される、たとえば個々のシート50などの標的可撓性基板にインク画像を押し付ける。
【0054】
いくつかの実施形態において、ブランケット44の下側ランは、圧力シリンダ90の圧力の働きによってブランケット44とインプレッションシリンダ82との間で圧縮された標的可撓性基板に画像パターンを押し付けるために、インプレッションステーション84においてインプレッションシリンダ82と選択的に相互作用する。図1に示す片面プリンタ(すなわちシート50の片面への印刷)の場合、1つのインプレッションステーション84しか必要ではない。
【0055】
他の実施形態において、モジュール80は、両面印刷を可能にするために2つのインプレッションシリンダを備えてよい。この構成は、両面プリントを印刷する速度の2倍で片面プリントを行うことも可能にする。加えて、片面および両面プリントの混在したロットも印刷され得る。代替実施形態において、異なる構成のモジュール80が、連続ウェブ基板への印刷のために用いられ得る。両面印刷システムおよび連続ウェブ基板への印刷のためのシステムの詳細な説明および様々な構成は、たとえば、その開示が全て参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,914,316号および第9,186,884号、PCT国際公開第WO2013/132424号、米国特許出願公開第2015/0054865号、および米国仮特許出願第62/596,926号において提供される。
【0056】
簡単に上述したように、シート50または連続ウェブ基板(不図示)は、入力スタック86からモジュール80によって搬送され、インプレッションシリンダ82と圧力シリンダ90との間に位置するニップ(不図示)を通過する。ニップ内で、インク画像を搬送するブランケット44の表面は、たとえば圧力シリンダ90の圧縮性ブランケット(不図示)によってシート50(または他の適当な基板)にしっかりと押圧され、それによってインク画像はシート50の表面に押し付けられ、ブランケット44の表面から綺麗に分離する。その後、シート50は、出力スタック88へ搬送される。
【0057】
図1の例において、ローラ78は、ブランケット44の上側ランに位置し、画像形成ステーション60の隣を通過する時、ブランケット44のピンと張った状態を維持するように構成される。また、形成ステーション60によるインク液滴の正確な噴射および堆積、およびそれに伴うブランケット44の表面へのインク画像の正確な配置を得るために、画像形成ステーション60の下でのブランケット44の速度を制御することが特に重要である。
【0058】
いくつかの実施形態において、インプレッションシリンダ82は、移動ブランケット44から、ブランケット44とインプレッションシリンダ82との間を通過する標的基板へインク画像を転写するために、周期的にブランケット44と係合し、ブランケット44から離脱する。いくつかの実施形態において、システム10は、上側ランのピンと張った状態を維持し、ブランケット44の上側ランを、下側ランにおいて生じる任意の機械的振動による影響を受けないように実質的に隔離するために、上述したローラおよびダンサを用いてブランケット44にトルクを付与するように構成される。
【0059】
いくつかの実施形態において、システム10は、システム10に統合された閉ループ検査システムとしての役割を果たす、本明細書において自動品質管理(AQM)システムとも称される画像品質制御ステーション55を備える。いくつかの実施形態において、ステーション55は、図1に示すようにインプレッションシリンダ82に隣接した位置にあり、または、システム10内の他の任意の適当な位置にあってよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、ステーション55は、シート50に印刷された上述したインク画像の1または複数のデジタル画像を取得するために構成されたカメラ(不図示)を備える。いくつかの実施形態において、カメラは、たとえば密着型イメージセンサ(CIS)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサなどの任意の適当なイメージセンサ、および約1メートルの幅または他の任意の適当な幅を有するスリットを備えるスキャナを備えてよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、ステーション55は、シート50に印刷されたインクの品質を監視するように構成された分光光度計(不図示)を備えてよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、ステーション55によって取得されたデジタル画像は、それぞれの印刷画像の品質を査定するように構成された、たとえばプロセッサ20またはステーション55の他の任意のプロセッサなどのプロセッサへ送信される。コントローラ54から受信した査定および信号に基づいて、プロセッサ20は、システム10のモジュールおよびステーションの動作を制御するように構成される。本発明の文脈および特許請求の範囲において、「プロセッサ」という用語は、ステーション55のカメラおよび/または分光光度計から受信した信号を処理するように構成された、たとえばプロセッサ20またはステーション55に接続または統合された他の任意のプロセッサなど、任意の処理ユニットを指す。ただし、本明細書で説明される信号処理動作、制御関連命令、および他の演算動作は、単一のプロセッサによって実行され、または1または複数のそれぞれのコンピュータの複数のプロセッサ間で共有され得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、ステーション55は、限定されないがたとえばシート50とのフル画像レジストレーション、色対色レジストレーション、印刷ジオメトリ、画像均一性、色のプロファイルおよび直線性、および印刷ノズルの機能性などの様々な属性を監視するために、印刷画像およびテストパターンの品質を検査するように構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、幾何学的歪みおよび上述した属性の1または複数における他のエラーを自動的に検出するように構成される。たとえば、プロセッサ20は、所与のデジタル画像の(本明細書においてソース画像とも称される)設計バージョンと、カメラによって取得される所与の画像の印刷バージョンのデジタル画像とを比較するように構成される。
【0064】
他の実施形態において、プロセッサ20は、上述したエラーを示す歪みを検出するために、任意の適当な種類の画像処理ソフトウェアをテストパターンに適用してよい。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、検出された歪みを補償するために、誤動作しているモジュールに補正処置を適用し、および/またはシステム10の他のモジュールまたはステーションに命令を供給するために、検出された歪みを分析するように構成される。
【0065】
いくつかの実施形態において、シート50のベベルに印刷されたテストマークの画像を取得することによって、ステーション55は、たとえばC2Cレジストレーション、画像対基板レジストレーション、本明細書において「バー対バー幅デルタ」または「色対色幅差」と称される色間の様々な幅、様々な種類の局所的歪み、および(両面印刷における)表面対裏面レジストレーションエラーなど、様々な種類の歪みを測定するように構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、(i)第1の既定の閾値セットを超過する歪みを有するシート50を、たとえば廃棄トレー(不図示)へ分類し、(ii)第2のより低い既定の閾値セットを超過する歪みを有するシート50のための補正処置を開始し、および(iii)たとえば第2の閾値セットを下回る小さな歪みを有するシート50を出力スタック88へ出力するように構成される。
【0066】
いくつかの実施形態において、図2A図2B、および図3~8において詳しく後述するように、プロセッサ20は更に、たとえば印刷された検査マークのパターンを分析することによって、ブランケット44の移動軸に平行な軸および直交する軸の少なくとも1つにおいて形成された、たとえば拡大または縮小、歪み、または波形歪みなどの追加の幾何学的歪みを検出するように構成される。
【0067】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、画像形成ステーション60のノズルを監視するために、ステーション55によって取得された信号を分析するように構成される。ステーション60の各色のテストパターンを印刷することによって、プロセッサ20は、それぞれのノズルの動作における誤動作を示す様々な種類の欠陥を識別するように構成される。
【0068】
たとえば、テストパターン内の指定の位置におけるインクの欠如は、紛失または閉塞したノズルを示す。印刷パターンの(本明細書においてソース画像とも称されるオリジナル設計に対する)ずれは、それぞれの印刷バー62またはそれぞれの印刷バーの1または複数のノズルの不正確な配置を示す。テストパターンの印刷特徴の不均一な厚さは、上記でバー対バー幅デルタと称された、それぞれの印刷バー62間の幅差を示す。
【0069】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、ステーション55の分光光度計から受信した信号に基づいて、印刷色のプロファイルおよび直線性における逸脱を検出するように構成される。
【0070】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、ステーション55によって取得された信号に基づいて、様々な種類の(i)たとえば擦過傷、小さな穴、エッジ欠けなどの基板(たとえばブランケット44および/またはシート50)における欠陥、および(ii)たとえば不規則な色斑点、付随物、およびはねなどの印刷関連欠陥を検出するように構成される。
【0071】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、印刷されたセクションと、本明細書においてマスタまたはソース画像とも称されるオリジナル設計のそれぞれの基準セクションとを比較することによって、これらの欠陥を検出するように構成される。プロセッサ20は更に、欠陥を分類し、分類および既定の基準に基づいて、指定された既定の基準の範囲内ではない欠陥を有するシート50を廃棄するように構成される。
【0072】
いくつかの実施形態において、ステーション55のプロセッサは、たとえば、欠陥の密度が指定された閾値を超過する場合、システム10の動作を停止するかを決定するように構成される。ステーション55のプロセッサは更に、上述したように、システム10のモジュールおよびステーションの1または複数において補正処置を開始するように構成される。補正処置は、印刷動作を停止すること、およびシステム10のそれぞれのモジュールおよび/またはステーションにおける問題を修復することによって、オンザフライで(システム10が印刷プロセスを継続しながら)、またはオフラインで実行され得る。他の実施形態において、システム10の他の任意のプロセッサまたはコントローラ(たとえばプロセッサ20またはコントローラ54)は、欠陥の密度が指定された閾値を超過する場合、補正処置を開始し、またはシステム10の動作を停止するように構成される。
【0073】
追加または代替として、プロセッサ20は、たとえばステーション55から、システム10の印刷プロセスにおける追加の種類の欠陥および問題を示す信号を受信するように構成される。これらの信号に基づいて、プロセッサ20は、パターン配置精度および上述されていない追加の種類の欠陥のレベルを自動的に推定するように構成される。他の実施形態において、たとえば、外部(たとえばオフライン)検査システム、または任意の種類の測定用ジグおよび/またはスキャナを用いて、シート50に(または上述した他の任意の基板に)印刷されたパターンを検査するための他の任意の適当な方法が用いられ得る。これらの実施形態において、外部検査システムから受信した情報に基づいて、プロセッサ20は、任意の適当な補正処置を開始および/またはシステム10の動作を停止するように構成される。
【0074】
システム10の構成は、本発明を明確にするために、簡略化され、単に例として提供される。上述した印刷システム10において説明された構成要素、モジュール、およびステーション、および追加の構成要素および構成は、たとえば、その開示が全て参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第9,327,496号および第9,186,884号、PCT国際公開第WO2013/132438号、WO2013/132424号、およびWO2017/208152号、米国特許出願公開第2015/0118503号および第2017/0008272号において詳しく説明される。
【0075】
システム10の特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示するため、およびそのようなシステムの性能を向上させるためのこれらの実施形態の応用を論証するために、例として示される。ただし、本発明の実施形態は決して、この特定の種類のシステム例に限定されることはなく、本明細書で説明される原理は、他の任意の種類の印刷システムにも同様に適用され得る。
デジタル印刷システムによって印刷されたようなデジタル画像における歪みの補正
【0076】
図2Aは、本発明の実施形態に係る、システム10において印刷されるデジタル画像200における歪みを補正するためのプロセスシーケンスの概略絵図である。図2Aの例において、画像200は、2色画像を備えるので、たとえば上述の図1の画像42のサブセットと置き換えられ得る。
【0077】
ただし、図2Aの説明は、プロセスシーケンス全体の概観であるため、ステップは簡単に説明される。各ステップの詳細な説明は、後述の図2Bおよび図3~8において提供される。開示される技術は、たとえば本明細書で説明される局所的歪みおよび連続波形歪みなどの様々な種類の歪みを補正するために適用される。
波形歪み
【0078】
波形歪みの現象は、限定されないがたとえば(i)画像形成ステーション60における1または複数の印刷バー62の誤った配置、(ii)ブランケット44の指定された動きプロファイルからの逸脱、および(iii)インプレッションステーション84におけるブランケット44とシート50との間の指定された相対速度からの逸脱などの様々なエラーによって生じる。上述したように、印刷バー62は、矢印94で表され本明細書においてX軸とも称されるブランケット44の移動軸に沿って互いに既定の距離をおいて配置される。各印刷バー62は、本明細書においてY軸とも称される、矢印94に直交する軸上でフレームに取り付けられる。
【0079】
上述した歪みおよび追加のエラーは、波形パターンの印刷特徴をもたらし得る。ただし、一般に波形パターンは、(i)たとえばインプレッションステーション84における上述した逸脱に起因する全ての色の共通波形、および(ii)たとえば1または複数の印刷バー62の誤った配置によって生じる、および/または、たとえば上側ランが黒色印刷バーとシアン印刷バーとの間を通過する時のブランケット44の速度における一時的変動に起因する各色画像に形成された異なる波形、という2つの構成要素を有する。
【0080】
追加の種類の歪みは、バー対バー幅デルタとも称される、バー間の印刷幅の逸脱、および/または、本明細書において「バー対バーY位置デルタ」または「色対色位置差」とも称される、少なくとも1つのバーによって噴射された液滴の位置の(たとえばY軸方向の)ずれをもたらし得る。上記に基づいて、波形歪みは、本明細書において波形X(Y)と称される、Y軸上の位置に伴い変化するX軸に沿った歪み、および本明細書において波形Y(X)と称される、X軸上の位置に伴い変化するY軸に沿った歪みという2つの構成要素を有する。波形X(Y)およびY(X)の歪みおよび補正に関する更なる詳細は、後述の図2A図2B、および図3~8において示される。
局所的歪みおよび波形歪みの補償
【0081】
波形歪みを補正するためのプロセスシーケンスは、デジタル画像200の概略図で開始する。図1において上述したように、モジュール55は、システム10によって印刷された画像からデジタル画像を取得する。上述したように、画像200は、2色を有するために取得されたデジタル画像のサブセット、たとえば、破線多角形として示されたマゼンタ画像202および実線多角形として示されたシアン画像204である。後述する本発明の実施形態は、概念上の明確性のために、シアン色およびマゼンタ色のみにおいて実行された歪みおよび補正プロセスを示す。ただし、同じ実施形態が、たとえば図1において上述した任意の数の色に適用可能である。
【0082】
画像200に示す歪み例において、画像202および204は、互いに対し、Y軸におけるバー対バー位置デルタおよびバー対バー幅デルタを有する。加えて、画像202および204の少なくとも1つは、たとえば(a)台形、(b)傾き、(c)本明細書においてIm2SubYとも称される、基板(たとえばシート50)に対するY軸方向の変位、および(d)本明細書においてバー対バーY位置デルタとも称される、任意の適当な基準、たとえば他の色に対するX軸方向の所与の色の変位など、1または複数の追加の歪みを有する。
【0083】
いくつかの実施形態において、ステップ1において、プロセッサ20は、たとえば可撓性ITMの撓みおよび延伸によって、およびインプレッションステーション84における指定された速度からの逸脱によって生じる、波形Y(X)歪みの一部を補償するために、画像202および204の少なくとも1つに、線形オフセットおよび/または非線形シフトを適用する。
【0084】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、画像200に基づいて、かつ図1において上述したソース画像に対し、印刷画像を印刷するために用いられる印刷画像の追加の幾何学的歪みを少なくとも推定するように構成される。追加の幾何学的歪みは、たとえば、ソース画像に対する印刷画像の傾きを備えてよい。そのような実施形態において、プロセッサ20は、傾きに関する事前補償をソース画像に適用することによって、傾きを補正するように構成される。プロセッサ20は更に、線形オフセットまたは他の任意の適当な技術を用いて、画像202および204のいずれかにおける傾きおよびIm2SubYを補償するように構成される。ただし、矢印212で表される、ステップ1において実行されるシフトおよびオフセットは、不均一な長さの矢印212で示すように、それぞれの画像202および204の左エッジに位置する、本明細書において左エッジとも称される左端部208および210に沿って異なり得る。
【0085】
実施形態において、ステップ2において、プロセッサ20は、それぞれのマゼンタ印刷バーとシアン印刷バーとの間のバー対バーY位置デルタを補正する。この実施形態において、プロセッサ20は、同様の長さを有する矢印220で示すように、画像202および204を互いに対してシフトすることにより、それぞれの端部208および210を互いに位置合わせする。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、全色画像の中から、Y軸に沿って主にシフトされた画像として基準画像を選択してよい。ステップ1の例において、端部210は、本明細書において右方向とも称される矢印94の方向にシフトされるので、端部208が基準としての役割を果たす。
【0086】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、ステップ1および2を同時に実行するように構成される。他の実施形態において、ステップ1および2は、上述した順序で、またはステップ2がステップ1より先に実行される逆の順序で、順次実行され得る。ステップ1および2を終えた後、マゼンタ画像202およびシアン画像204は、それぞれの端部208および210において位置が合っているが、たとえばそれぞれの端部222および224などの他の端部は、たとえばシアン画像204とマゼンタ画像202との間のバー対バー幅デルタなどの幾何学的歪みによって位置が合っていない。バー対バー幅デルタは、ステップ2において示すような画像202および204の少なくとも1つの、台形または他の種類の線形および/または非線形歪みによって更に歪んだ台形として、他の任意の種類の線形または非線形形状を有する歪みとして出現することもある。
【0087】
いくつかの実施形態において、ステップ3において、プロセッサ20は、画像200に基づいて、画像202および204のうち、どちらの色画像が最大印刷バー幅を有するかを識別する。すなわち、プロセッサは、どの印刷バー62が、最終的に最も幅広の画素または画素バーを印刷する液滴を噴射しているかを識別する。
【0088】
ステップ2に示すように、マゼンタ画像202の破線は、全色画像の中で最大幅を有する。ただし、図2Aの例には2色しか存在しないが、現実には、一般に4~7の色画像が存在し、その中でマゼンタ画像が最大幅を有する。実施形態において、最大印刷バー幅を有する画像は、各々が基準画像に対する歪みを有する全ての他の色のための基準としての役割を果たし得る。図2Aの例において、マゼンタ画像202は、基準としての役割を果たす。この実施形態において、ステップ2の色画像に基づいて、プロセッサ20は、マゼンタ画像202に対するシアン画像204の幾何学的歪みを推定する。
【0089】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、1または複数のダミー画素が位置228においてシアン画像に埋め込まれた時、埋め込まれたダミー画素が、マゼンタ画像202に対するシアン画像204の推定された幾何学的歪みを補償するように、画像204において1または複数の画素位置228を計算するように構成される。ステップ3に示すように、ダミー画素は、シアン画像204の幾何学的歪みを補償するために、画素位置228に埋め込まれる。ダミー画素の埋込みの結果、シアン画像204の端部224は、マゼンタ画像202の端部222の方向へ移動し、最終的にそこで位置が合う。
【0090】
位置228にダミー画素を埋め込んだ後、画像202および204は互いに位置が合っているが、最初にバー対バー幅デルタによって形成された台形または他の任意の形状、および、その後、画素位置228において埋め込まれたダミー画素による他の歪みを有する。
【0091】
いくつかの実施形態において、ステップ4において、プロセッサ20は、1または複数のダミー画素232および234が位置230においてそれぞれの画像202および204に埋め込まれた時、埋め込まれたダミー画素の増加幅が台形歪みを補償し、画像202および204の台形を長方形または平行四辺形に変換するように、1または複数の形状補正位置230を計算するように構成される。ステップ3および4に示すように、ダミー画素は、画像202および204の列のセクションに沿って画素のバーとして埋め込まれ得る。埋込み画素バーは、図6および図7において更に詳しく後述される。
【0092】
ステップ1および2において上述したシーケンスと同様、プロセッサ20は、ステップ3および4を同時に実行するように構成される。他の実施形態において、ステップ3および4は、上述した順序で、または逆の順序で、順次実行され得る。図2Aの実施形態例において、画像202および204の左端部(たとえば端部208および210)はアンカとして設定され、画像202および204の右端部(たとえば端部222および224)は、台形歪みおよび波形Y(X)の原因となるバー対バー幅デルタを補償するために埋込みによって動かされる。
【0093】
この実施形態において、ステップ1および2において説明したシフト、およびステップ3および4において説明した埋込みは、左から右へ行われる。他の実施形態において、シフトおよび埋込みステップは、任意の適当な方向で実行されてよく、たとえばステップ1において、端部208は、端部210と位置が合うように左側へシフトされる。
【0094】
追加または代替として、シフトおよび埋込みステップは、歪みを補償するために、任意の適当な方向で垂直に実行され得る。たとえば、ステップ1および2の後、画像202および204の上端部は位置が合っていてよく、画像202および204の下端部は、ステップ3および4において実行されるダミー画素埋込みプロセスの結果、動かされる。
【0095】
ステップ3および4の代替実施形態において、ダミー画素は、画像202および204の行のセクションに沿った画素のバーとして埋め込まれ得る。また、上述した画素のバーの埋込みは、1つの軸または2つの軸(たとえばXおよびY)において歪みの補償が同時にまたは順次実行され得るように、デジタル画像の列および/または行のセクションに沿って実行され得る。
【0096】
他の実施形態において、画素位置は、たとえば斜線ジオメトリまたは階段状など、他の任意の適当な構成を用いて配列され得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、画像200における歪みを補正するためのプロセスシーケンスを終えるステップ5において、波形X(Y)歪みの追加の原因を補償するため、およびシート50に対するY軸方向の変位(すなわちIm2SubY)および/またはX軸方向の変位を補正することによってシート50に対しマゼンタおよびシアン画像の位置を合わせるために、画像202および204においてスケーリングおよびシフト動作のセットが実行される。
【0098】
図2Bは、本発明の実施形態に係る、デジタル印刷における歪みを補正するための方法250を概略的に示すフローチャートである。方法250は、デジタル画像受信ステップ252で開始し、ここでプロセッサ20は、システム10によってシート50に印刷された印刷画像から取得された、色画像202および204を有するデジタル画像200を受信する。
【0099】
歪み推定ステップ254において、図2Aの生画像において上述したように、プロセッサ20は、デジタル画像200に基づいて、印刷画像における幾何学的歪みを推定する。シフトステップ256において、プロセッサ20は、図2Aのステップ1および2においてそれぞれ上述したように、端部208および210を互いに位置合わせするため、およびバー対バーY位置デルタ(および任意選択的に他の歪み)を補正するために、画像202および204の少なくとも1つにオフセットおよび/または非線形シフトを適用する。ただし、プロセッサ20は、ステップ256を同時に、または2つの異なるステップ(たとえば上述の図2Aのステップ1および2)で実行するように構成される。
【0100】
画素位置計算ステップ258において、プロセッサ20は、1または複数のダミー画素がそこへ埋め込まれた時に推定された幾何学的歪みを補償する1または複数の画素位置(たとえば上述の図2Aの画素位置228)を計算する。歪み補正ステップ260において、プロセッサ20は、後続するデジタル画像にダミー画素を埋め込むことによって幾何学的歪みを補正する。図2Aのステップ3および4において上述したように、ダミー画素は、画像202および204の列のセクションに沿った画素のバーとして埋め込まれてもよい。
【0101】
方法250を終える印刷ステップ262において、システム10は、プロセッサ20からの印刷命令を受信し、図2Aのステップ5において上述したように、補正された歪みを有する後続のデジタル画像を印刷する。
【0102】
図3は、本発明の実施形態に係る、システム10において印刷される画像306におけるシフト行列を計算するための方法の概略絵図である。画像306は、たとえば上述の図1の画像42と置き換えられてよく、方法は、図2Aのステップ1および2と置き換えられ得る。図3の例において、「右」という用語は、矢印94の方向に定義され、「左」という用語は、反対の方向に定義される。
【0103】
方法は、画像306と、それぞれフレーム300の左右の余白における画像306に隣接した位置にあるテスト側部302および304とを備える印刷フレーム300を用いて開始する。いくつかの実施形態において、側部302は、テスト側部302に沿って設計された5つのレジストレーションフレーム310、320、330、340、および350を備える。図3の例において、各レジストレーションフレームは、たとえばシアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)、および黒色(K)など4つのそれぞれ異なる色で設計された4つのレジストレーションマーク312、314、316、および318を備える。ただし、基準フレーム301は、テスト側部302および306のレジストレーションフレームおよびマークのオリジナル設計を表す。他の実施形態において、サイト302および306は、各々が任意の適当な数のレジストレーションマークを有する他の任意の適当な数のレジストレーションフレームを備えてよい。
【0104】
いくつかの実施形態において、フレーム300は、シート50に印刷され、その後、ステーション55は、フレーム300のデジタルフォーマットを取得し、プロセッサ20へ、または図2Aにおいて上述したような他の任意のプロセッサへ送信する。ただし、フレーム301は印刷されたものではなく、上述したようなオリジナル設計の基準として図3に示されただけにすぎない。図3の例において、黒色マーク318は、他の全てのマークよりも大きく右へシフトされ、フレーム310のマーク312および314は、左へシフトされる。
【0105】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、マーク312、314、316、および318を共通の位置において、たとえばフレーム301の重心(COG)303で位置を合わせるために、各レジストレーションマークに一定のオフセットを挿入する。プロセッサ20は更に、レジストレーションフレームおよびレジストレーションマークに基づいて、各色のそれぞれのマーク間、たとえばフレーム310、320、330、340、および350のマーク312間の補間曲線のセットを生成するように構成される。
【0106】
上述したように、レジストレーションフレームの設計において、レジストレーションマークが互いに重なり合って印刷されないように、レジストレーションマーク間に故意のシフトが存在する。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、所定のグラフィックスオフセットごとに各フレームの全てのレジストレーションマークの位置を共通位置に合わせ、その後、どのレジストレーションマークが(たとえばCOGに対して)シフトされたかを決定するように構成される。
【0107】
補間曲線は、本明細書において、システム10のそれぞれの色の印刷中に発生したシフト歪みを表す波形プロファイル曲線と称される。「波形プロファイル曲線」という用語は、簡略化のために、以下で単に「曲線」とも称される。
【0108】
図3の例において、プロセッサ20は、4つのレジストレーションマークに対応する4つの曲線、シアン曲線362、マゼンタ曲線364、黄色曲線366、および黒色曲線368を生成する。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、本明細書において基準曲線360とも称されるシフトエッジ画素に対する曲線の補償シフトを計算するように構成される。図3に示すように、印刷プロセス中、黒色曲線368は、他の全ての曲線よりも大きい右へのシフト歪みを有し、シアン曲線362は、他の全ての曲線に対する左シフト歪みを有する。
【0109】
図2Aにおいて上述したように、シフトステップは、たとえばバー対バー位置デルタによって生じる波形Y(X)歪みを補償する。実施形態において、プロセッサ20は、全ての曲線をその位置へ合わせるための標的基準を設定してよい。たとえば、標的曲線360が標的基準としての役割を果たす。
【0110】
他の実施形態において、プロセッサ20は、図2Aのステップ1に示すように、最も右の曲線(たとえば図3の例における曲線368)と位置を合わせるように全ての曲線をシフトしてよい。
【0111】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、各色画像について、印刷中にそれぞれの曲線に生じたシフト歪みを補償するシフト行列を計算するように構成される。プロセッサ20は更に、シフト行列が、補正ストリップの各々について計算されたシフトを備えるように、補正ストリップ372A~372Dとしての役割を果たす複数のセクションに曲線360を分割するように構成される。実施形態において、プロセッサ20は、任意の適当な数の補正ストリップを設定し使用するように構成され、各ストリップ372は、他のストリップのサイズと同様であってよく、または異なってよい任意の適当なサイズを有し得る。
【0112】
図3の例において、計算されたシフト行列は、曲線362、364、366、および368に対応する4つの曲線392、394、396、および398を有する。ただし、計算されたシフト行列の曲線392、394、396、および398は、歪んだ曲線、すなわち曲線362、364、366、および368のミラー画像と同様の形状である。
【0113】
上述の図2Aに示すように、シフト行列の適用後、シアンおよびマゼンタ画像の左端部208および210は、互いに位置が合っている。図3の例において、プロセッサ20は、互いに、かつ基準曲線360と位置が合ったシアン、マゼンタ、黄色、および黒色画像の全ての左端部を表す左端部370を計算するように構成される。
【0114】
他の実施形態において、システム10において印刷される画像376におけるシフト行列を計算するために代替方法が用いられ得る。画像376は、たとえばフレーム300の画像306または上述の図1の画像42と置き換えられてよく、代替方法は、図3において上述した方法および/または図2Aのステップ1および2と置き換えられ得る。代替方法は、たとえば上述した印刷フレーム300の代わりに用いられ得る印刷フレーム333、および/または上述の図2Aの画像202および204を用いて実行され得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、印刷フレーム333は、画像376、および少なくとも3つのテスト列373、374、および375を備える。いくつかの実施形態において、それぞれフレーム333の左右の余白に位置するテスト列373および374は、たとえば、それぞれテスト側部302および304と置き換えられ得る。いくつかの実施形態において、列373および374は、各々が、たとえばレジストレーションフレーム310、320、330、340、および350などの複数のレジストレーションフレームを備えてよい。上述したように、各レジストレーションフレームは、たとえばC、M、Y、およびKなどの4つのそれぞれ異なる色で設計された4つのレジストレーションマーク312、314、316、および318、または任意の適当なそれぞれの色を有する、任意の適当な構成を用いてレジストレーションフレーム内に配列された他の任意の適当な数のレジストレーションマークを備えてよい。
【0116】
いくつかの実施形態において、レジストレーションフレーム333は、画像376の内側に配置された、たとえばテスト列375などの1または複数の追加のテスト列を備えてよい。テスト列375は、たとえば上述したレジストレーションフレーム310、320、330、340、および350などの複数のレジストレーションフレームを備えてよい。フレーム333の例において、テスト列333は、画像376を、テスト列373と375との間のセクション377およびテスト列375と374との間のセクション378という2つのセクションに分割してよい。
【0117】
いくつかの実施形態において、フレーム333は、シート50に印刷され、その後、ステーション55または他の任意の撮像装置は、図2Aにおいて上述したように、フレーム333のデジタルフォーマットを取得し、たとえばプロセッサ20へ送信する。テスト列373に基づいて、プロセッサ20は、マーク312、314、316、および318をたとえばCOG303に位置合わせするために各レジストレーションマークに一定のオフセットを挿入する。加えて、プロセッサ20は、テスト列373のレジストレーションフレームおよびレジストレーションマークに基づいて、各色のそれぞれのマーク間の波形プロファイル曲線のセットを生成する。
【0118】
そのような実施形態において、波形プロファイル曲線は、システム10の各色の印刷中にセクション377内で発生したシフト歪みを表す。同様に、同じ技術を用いて、プロセッサ20は、テスト列375のレジストレーションフレームおよびレジストレーションマークに基づいて、セクション378内で各色に関して発生したシフト歪みを表す波形プロファイル曲線のセットを生成する。すなわち、フレーム333内のレジストレーションフレームおよびマークの頻度を増加させることによって、プロセッサ20は、生成される波形プロファイル曲線の数を増加させ得る。フレーム300の例において、プロセッサ20は、画像306の全領域に関してプロファイル曲線362、364、366、および368の1セットを生成する。ただし、フレーム333の例において、テスト列375を有することにより、プロセッサ20は、画像376のセクション377および378に関して2つのそれぞれの波形プロファイル曲線(たとえば曲線362、364、366、および368など)セットおよび2つのそれぞれのシフト行列(たとえば曲線392、394、396、および398など)を生成することによって、画像376内の歪み補正分解能を向上させ得る。
【0119】
フレーム333の構成は、本発明の実施形態によって対処される、画像印刷における歪み補正などの特定の問題を例示するため、およびシステム10の性能の改善におけるこれらの実施形態の適用を論証するために、例として提供される。ただし、本発明の実施形態は決して、この特定の種類のデジタル印刷システム例に限定されることはなく、本明細書で説明される原理は、他の種類のデジタル印刷システムにも同様に適用され得る。
【0120】
他の実施形態において、フレーム333は、任意の適当な配列を用いて画像376内に配置され得る、たとえばレジストレーションフレーム310などの追加のレジストレーションフレームを備えてよい。実施形態例において、フレーム333は、画像376の内側に配置される、たとえばテスト列375などの追加のテスト列を備えてよい。たとえば、左右の余白におけるテスト列373および374、および画像376の内側に配置された3つのテスト列を有することにより、プロセッサ20は、画像376のそれぞれのセクションについて4つの波形プロファイル曲線およびシフト行列のセットを生成してよい。
【0121】
他の実施形態において、フレーム333は、テスト列374~376のいずれかに加えて、またはそれらの代わりに、任意の適当な構成を用いて、画像376およびその余白にわたり配置され得る、たとえばレジストレーションフレーム310などの複数のレジストレーションフレームを備えてよい。そのような実施形態において、プロセッサ20は、フレーム333を任意の適当な数のセクションに分割してよく、画像376のそれぞれの数のセクションについて波形プロファイル曲線およびシフト行列のセットを生成してよい。
既定の画素位置にダミー画素を埋め込むことによる波形Y(X)および台形歪みの補正
【0122】
図4は、本発明の実施形態に係る、画像306にダミー画素を埋め込むためのカウント行列を計算するための方法の概略絵図である。図4において説明する方法は、上述の図2Aのステップ3に対応する。
【0123】
いくつかの実施形態において、方法は、側部304にあるレジストレーションフレーム410、420、430、440、および450の生の位置を取得することで開始する。ただし、生の位置は、側部302の対応するフレーム(たとえばフレーム310、320、330、340、および350)の取得とともにステーション55によって取得される。側部304の各フレームは、設計によってレジストレーションフレーム310、320、330、340、および350のマーク312、314、316、および318に対応するマーク411、413、415、および417を備える。
【0124】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、図3において上述したものと同じ技術を用いて、マーク411、413、415、および417を共通の位置に合わせるために、各レジストレーションマークに一定のオフセットを挿入する。その後、プロセッサ20は、レジストレーションフレームおよびレジストレーションマークに基づいて、各色のそれぞれのマークの間の(上述の図3の曲線362、364、366、および368に対応する)補間曲線382、384、386、および388を生成する。
【0125】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、それぞれのシアン、マゼンタ、黄色、および黒色画像のそれぞれの波形プロファイル曲線462、464、466、および468を計算するために、曲線382、384、386、および388に、計算されたシフト行列を適用する。ただし、適用されたシフト行列は、左端部302のレジストレーションフレームに基づいて計算されたものであり、右端部306のレジストレーションフレームに適用される。
【0126】
上述の図2Aのステップ3に示すように、プロセッサ20は、各色画像に関して、1または複数のダミー画素が位置228に埋め込まれた時、位置228におけるそれぞれの特徴の増加した幅が、それぞれの色の推定された幾何学的歪みを補償するように、それぞれの画素位置(たとえば位置228)を計算するように構成される。すなわち、波形Y(X)および台形歪みは、それぞれの画素位置にダミー画素を埋め込むことによって補償される。実施形態において、ダミー画素の色および液滴のサイズは、画素位置228に最も近いもの(たとえば1画素左)に基づいて定義され得る。上述したように、シフトおよび埋込みは、各色について別々に計算される。いくつかの実施形態において、各画素は、実際の液滴のサイズを決定することにより印刷特徴の幅を決定するいくつかのレベルを有する。たとえばコントローラ54は、無液滴(たとえばレベル0)、狭小画素を形成する単一の液滴(たとえばレベル1)、中間幅を有する画素を形成する2つの液滴(たとえばレベル2)、および3つの液滴によって形成された幅広画素(たとえばレベル3)という4つのレベルを各画素について定義する2ビットの入力波形をステーション60に供給してよい。この実施形態は、後述の図5においてより詳しく示される。
【0127】
いくつかの実施形態において、計算されたシフト行列を適用した後、プロセッサ20は、各色画像の形状に基づいて、最終的に最大バー幅を印刷する液滴を噴射する所与の色の印刷バー62がどれかを識別する。これらの実施形態において、最大印刷バー幅を有する画像は、所与の色の画像と位置が合うように補正される他の全ての色のための基準としての役割を果たす。すなわち、埋め込まれたダミー画素は、バー対バー幅デルタを補償することにより、波形Y(X)および台形歪みとともに他の局所的歪みを補償する。
【0128】
他の実施形態において、プロセッサ20は、それぞれのデジタル画像にダミー画素を埋め込む代わりに、またはそれに加えて、デジタル画像から画素を除去することによって、デジタル画像(たとえば画像306)における歪みを補償するように構成される。
【0129】
他の実施形態において、プロセッサ20は、たとえばバー対バーY位置デルタおよび任意の局所的歪みなどの他の歪みを識別するように構成される。プロセッサ20は、計算された画素位置にダミー画素を埋め込むことによって、全ての色画像の位置を合わせるように構成される。図4の例において、全ての波形プロファイル曲線462、464、466、および468は歪んでいる。実施形態において、ダミー画素は、各色画像のそれぞれの計算された画素位置に埋め込まれる。
【0130】
たとえば、曲線462によって表されるシアン画像において、プロセッサ20は、1または複数のダミー画素がその位置へ埋め込まれた時、曲線360に対する曲線462の幾何学的歪みを補償するように、画素位置を計算するように構成される。シアン画像における幾何学的歪みは、矢印412、422、432、および442によって表され、それぞれの画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことによって補正される。同様に、矢印414、424、434、444、および454は、曲線464によって表されるマゼンタ画像における歪みを示す。
【0131】
いくつかの実施形態において、補正ストリップ372A~372Dの各々について画素位置が計算される。図4に示すように、計算されたシフト行列を適用した後、ストリップ372Bおよび372Cにおける歪みは、ストリップ372Aおよび372Dにおける歪みに比べて大きい。たとえば、ストリップ372Bの矢印422および424は、ストリップ372Aの矢印412および414よりも大きい。したがって、埋め込まれたダミー画素の密度は、ストリップ372Aおよび372Dに埋め込まれたダミー画素の密度と比べてストリップ372Bおよび372Cにおいて大きい。
【0132】
いくつかの実施形態において、ダミー画素を埋め込んだ後、曲線462、464、466、および468は、曲線360と位置が合っており、計算された左端部470として合併する。図2Aにおいて上述したように、図4のステップ2は、全ての色画像の位置を合わせることにより、全ての画像を同様の台形として形成し、ステップ4は、全ての色画像にダミー画素を埋め込むことによって台形歪みを補償する。
【0133】
図3に示すフレーム333に関して上述したように、プロセッサ20は、それぞれセクション377および378に関する2つの波形プロファイル曲線(たとえば曲線362、364、366、および368など)セットおよび2つのシフト行列(たとえば曲線392、394、396、および398など)を生成するように構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、テスト列374および375のレジストレーションフレームおよびレジストレーションマークに基づいて、各色のそれぞれのマーク間に、たとえば補間曲線382、384、386、および388などの2つの補間曲線セットを生成するように構成される。概念上の明確性のために、2つの補間曲線セットは、本明細書において、第1および第2の補間曲線セットと称され、2つのシフト行列は、本明細書において、第1および第2のシフト行列と称され、第1のシフト行列は、セクション377に関して計算された第1の補間曲線セットに対応し、第2のシフト行列は、セクション378に関して計算された第2の補間曲線セットに対応する。
【0134】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、セクション377のそれぞれのC、M、Y、およびK画像のそれぞれの第1の波形プロファイル曲線(たとえばプロファイル曲線462、464、466、および468など)セットを計算するために、第1の補間曲線(たとえば曲線382、384、386、および388など)セットに、計算された第1のシフト行列(たとえば曲線392、394、396、および398など)を適用する。同様に、プロセッサ20は、セクション378のそれぞれのC、M、Y、およびK画像の第2の波形プロファイル曲線セットを計算するために、第2の補間曲線セットに、計算された第2のシフト行列を適用する。
【0135】
ただし、セクション377を補正するために生成され、テスト列373のレジストレーションフレームに基づいて計算された第1のシフト行列は、テスト列375のレジストレーションフレームに適用される。同様に、セクション378を補正するために生成され、テスト列375のレジストレーションフレームに基づいて計算された第2のシフト行列は、テスト列374のレジストレーションフレームに適用される。
【0136】
いくつかの実施形態において、図2Aのステップ3において上述したように、プロセッサ20は、セクション377および378の各色画像に関して、本明細書においてそれぞれ第1および第2の画素位置セットと称される2つのそれぞれの画素位置セット(たとえば図2Aの位置228)を計算するように構成される。そのような実施形態において、1または複数のダミー画素が第1および第2の画素位置セットに埋め込まれた時、第1および第2の画素位置セットにおけるそれぞれの特徴の増加した幅が、それぞれセクション377および378の色画像の推定された幾何学的歪みを補償する。
【0137】
フレーム300に関して上述したように、CMYK画像における幾何学的歪みは、それぞれの画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことによって補正される。フレーム333の実施形態例において、第1および第2の幾何学的歪みのセットは、それぞれセクション377および378のCMYK画像において生成される。第1および第2の幾何学的歪みのセットは、それぞれ第1および第2の画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことによって補正される。
【0138】
いくつかの実施形態において、画像376を、たとえばセクション377および378などの複数のセクションに分割することによって、プロセッサ20は、(図3において上述したような)幾何学的歪み推定の分解能を向上させ得る。加えて、プロセッサ20は、セクション377および378に関して、それぞれ第1および第2のシフト行列を適用すること、およびそれぞれ第1および第2の画素位置に1または複数のダミー画素を埋め込むことによって、補正の分解能を向上させ得る。
【0139】
図5は、本発明の実施形態に係る、システム10において印刷されるシアンデジタル画像500にダミー画素を埋め込むためのプロセスシーケンスの概略絵図である。明確性のために、本明細書で説明されるシーケンスは、単一の色画像、たとえばシアンに関して実行されるが、現実の印刷では、推定歪みおよび画素位置は、各色画像に関して別々に計算される。その後、ダミー画素の物理的埋込みは、一般に、全ての色画像において同時に実行される。
【0140】
いくつかの実施形態において、全ての色画像に共通するエフェクトを補償する必要がある場合、画素位置は、全ての色画像に関して同様であってよい。
【0141】
シーケンスは、たとえば画像500の中央に「O」字形に配列されたシアン画素502を有する(本明細書においてソース画像とも称される)シアンデジタル画像500のオリジナルバージョンを伴うステップ1で開始する。図2Aのプロセスシーケンスにおいて上述したように、ステーション55は、図3に示すように、オリジナルデジタル画像500の印刷出力のデジタル画像を取得する。その後、プロセッサ20は、幾何学的歪みを推定し、各色に関して必要なシフト行列を計算する。画像500は、たとえば上述の図1の画像42など、任意のデジタル画像のサブセットであってよい。
【0142】
ステップ2において(ただし、これは図2において上述したステップ2とは異なるステップ2である)、プロセッサ20は、1または複数のダミー画素がその位置へ埋め込まれた時に上述した推定幾何学的歪みを補償する画素位置を計算する。図5の例において、たとえば位置504、506、および514などの画素位置は、「XX」パターンで埋められる。図2Aにおいて上述したように、各ダミー画素は、同じ行にある画素をそれぞれの画素位置の右側へシフトする。図5の例において、右へのシフトは、矢印520の方向によって表され、左方向は、矢印520の方向の反対である。したがって、所与の画素位置に関して、所与の画素位置の右側の同じ行にある画素は、矢印520の方向へ1画素分シフトされる。
【0143】
たとえば、位置506に埋め込まれるダミー画素は、同じ行の2つのシアン画素512および2つのシアン画素510を1画素位置だけ右へシフトする。同様に、位置514に埋め込まれるダミー画素は、同じ行の2つのシアン画素516を1画素位置だけ右へシフトする。ただし、2つのシアン画素512は位置514の左にあるので、位置514への埋込みによる影響を受けず、ステップ1の画像500に示すそれらのオリジナル位置に残る。
【0144】
上述の図2Aのステップ3に対応するステップ3において、ダミー画素は、ステップ2に示すそれぞれの画素位置に埋め込まれる。図5の例において、計算された画素位置の多くは、シアン画像の上部にあるので、ダミー画素埋込み後のシアン画像の形状を表すフレーム530は、台形を有する。
【0145】
上述したように、埋め込まれた各ダミー画素の色は、任意の適当なアルゴリズムに基づいて、プロセッサ20および/またはコントローラ54によって決定される。たとえば、色および幅は、ダミー画素位置の1つ左の位置の同じ行にある最も近い画素と同様であってよい。したがって、シアン画像500の例において、画素は、図4において上述したような波形のレベルによって定義された液滴サイズ値を有する。たとえば、位置504におけるダミー画素は、シアン色を有するので、各画素は、最も近い画素の幅に従って1と3との間のレベルを有する波形を受け取る。位置506および514に埋め込まれたダミー画素は、隣り合うシアンを有さないので、レベルゼロの波形を有する。同じ計算が、各色画像に関して繰り返される。
【0146】
ステップ3は、シアン画像の歪み補正を終え、全ての他の色に関して同様に実行される。図2Aのステップ4において上述したように、全ての色画像の共通の台形を補償するために、プロセッサ20は、1または複数のダミー画素のその位置への埋込みがフレーム530の台形を補償するような1または複数の形状補正位置を計算し、ステップ3の画像を長方形または平行四辺形に形成する。図2Aの例において、計算された形状補正位置230は、多くが台形の画像の下部に位置する。図5のステップ3における画像500の形状は、上述の図2Aのステップ3における画像200の形状と同様である。したがって、画像500の形状補正ステップ(不図示)において、下部は、上部よりも多くの画素位置を有する。
【0147】
図6は、本発明の実施形態に係る、システム10において印刷されるデジタル画像600における画素位置を設定するための方法の概略絵図である。画像600は、上述の図5の画像500と置き換えられ得る。図6の例において、デジタル画像600は、システム10が対応するような印刷可能幅の一部を包含する。
【0148】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、たとえばルックアップテーブル(LUT)を用いて実装される、推定された幾何学的歪みに対して既定位置における画素位置を設定するように構成される。図6の実施形態例において、既定位置は、有効幅の(本明細書において左エッジとも称される)左端部614から設定された有効幅612の百分率で計算される。たとえば、ストリップ608における単一の位置は、矢印660で示すように有効幅612の50%に設定される。プロセッサ20は、それぞれの矢印662および664で示すように、2つの画素位置610および630をそれぞれ幅612の25%および50%に設定する。同様に、ストリップ604において、画素位置610、630、および640は、それぞれ幅612の25%、50%、および75%に設定され、ここで画素位置640は、矢印666で示される。ストリップ602は、それぞれ有効幅612の25%、42%、50%、および75%に設定された4つの画素位置610、(矢印668で表された)620、630、および640を備える。
【0149】
いくつかの実施形態において、有効幅の百分率として画素位置を設定することは、デジタル画像の幅によって生じる任意の有効幅、およびそれに伴うそれぞれのデジタル画像とシート50との間の差に関して、同じ画素配置アルゴリズムを適用することを可能にする。他の実施形態において、画素位置の計算された位置およびそれを決定する方法は、他の任意の適当な技術を用いて実行され得る(たとえば、必ずしも全ての色について同じ位置ではない)。
【0150】
図7は、本発明の他の実施形態に係る、システム10において印刷されるデジタル画像700における画素位置を設定するための方法の概略絵図である。画像700は、たとえば上述の図5の画像500と置き換えられ得る。図7の例において、プロセッサ20は、非印刷可能領域750、シート50における画像700の有効幅730、およびそれぞれ4つ、3つ、2つ、および1つの画素位置を有する補正ストリップ702、704、706、および708を設定する。
【0151】
いくつかの実施形態において、画素位置の位置は、各ストリップにおいて一定であってよいが、本明細書において準ランダムアルゴリズムと称される方法を用いて、ストリップ間で異なり得る。たとえば、ストリップ702および708において、画素位置712および724のそれぞれの位置は、図6において上述したLUTに従って設定される。ストリップ704において、画素位置716は、矢印718で表示された既定の距離だけ、位置712と一直線上にある垂直破線714に対してシフトされる。実施形態において、ストリップ704の全ての画素位置716の位置において同じシフトが繰り返される。
【0152】
いくつかの実施形態において、直線714に対する様々なシフトが、ストリップ706において実行される。これらの実施形態において、画素位置722は、矢印720で示された別の既定の距離だけシフトされる。他の実施形態において、プロセッサ20は、たとえば矢印720と反対方向への、既定のシフトの他の任意の適当な方向を決定してよい。
【0153】
図7において説明される方法は、上述した実施形態に限定されない。他の実施形態において、プロセッサ20は、各画素位置の位置を設定するための他の任意の適当な方法を適用するように構成される。たとえばプロセッサ20は、それぞれのストリップに沿って変動し得るシフト距離を設定するように構成される。追加または代替として、シフトを有するストリップは、たとえば交互など系統的に、またはランダムに選択され得る。
【0154】
図8は、本発明の実施形態に係る、埋め込まれた画像810をシート50と位置合わせするための方法の概略絵図である。いくつかの実施形態において、フレーム800は、シート50のそれぞれ左および右端部802および804と、たとえば上述の図5の画像500と置き換えられ得る埋込み画像810とを備える。フレーム800において示すように、埋め込まれたダミー画素の結果、画像810は、デジタル画像のオリジナル設計における指定幅よりも大きく、かつ右にシフトされた、両頭矢印808によって示す幅を有する。したがって、画像810は、上で画像対基板Y(Im2SubY)と称されるように、シート50に対して中央になく、フレーム800の例に示すように、シート50の右端部804を跨いでもいる。
【0155】
ここで、フレーム820を参照する。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、画像810のサイズ、たとえば幅を、両頭矢印828によって示すオリジナルデジタル画像の指定幅にスケーリングするように構成される。プロセッサ20は更に、両頭矢印822によって示す指定幅を有する既定の非印刷可能領域を設定することによって、画像810をシート50に対し中央に置くように構成される。
【0156】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20(またはシステム10と結合または統合された他の任意のプロセッサ)は、合成色画像をスケーリングすることによって、画像810の幅を設定するように構成される。プロセッサは更に、画像810をシート50に対しシフトすることによって、画像810を中央に置くように構成される。追加または代替として、プロセッサは、たとえばY軸に沿ってシート50の載置位置を動かす、機械制御されたパラメータを修正するように構成される。ただし、場合によっては、設計によって、シート50のCOGに対する既定のシフトでデジタル画像のCOGを配置することが必要であってよい。実施形態において、プロセッサ20は、デジタル画像(たとえば画像810またはフレーム820)のエッジとシート50との間に不規則な非印刷可能領域を設定するように構成される。
【0157】
実施形態において、上述した方法は、たとえば、同じシートの異なる側面に印刷された画像間の位置ずれがある場合に、両面印刷システムにおいて適用され得る。
【0158】
いくつかの実施形態において、システム10は、プロセッサ20、およびプロセッサ20以外のシステム10の全ての部品、モジュール、およびステーションを表す印刷サブシステムとして定義され得る。これらの実施形態において、プロセッサ20は、幾何学的歪みを推定し、後続のデジタル画像を形成することによって歪みを補正するために画素位置を計算するように構成され、印刷サブシステムは、補正された幾何学的歪みを有する後続のデジタル画像を印刷するように構成される。
【0159】
本明細書で説明される実施形態は、シート上のデジタル印刷における歪みの補正に主に対処するが、本明細書で説明される方法およびシステムは、たとえば多数のレジストレーションマークおよび/またはレジストレーションフレームを含む連続ウェブおよび/または長尺印刷におけるデジタル印刷など、他のデジタル印刷用途にも用いられ得る。
【0160】
したがって、上述した実施形態は、例として記載され、本発明は、本明細書において具体的に示し上述したものに限定されないことが理解される。むしろ、本発明の範囲は、本明細書で上述した様々な特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせ、ならびに上記説明を読むことにより当業者が思い至る、従来技術において開示されないそれらの変形例および修正例の両方を含むものである。参照によって本特許出願に組み込まれた文書は、本願に不可欠な部分とみなされるべきであるが、例外として、これらの組み込まれた文書において、任意の用語が、本明細書に明示的または暗示的になされた定義と矛盾するように定義される範囲については、本明細書における定義のみが考慮されなくてはならない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8