(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】挿入体を有する変形可能な縫合ブリッジならびにそれを製造および使用する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
A61B17/04
(21)【出願番号】P 2021512358
(86)(22)【出願日】2019-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019012362
(87)【国際公開番号】W WO2019212607
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-12-29
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520425730
【氏名又は名称】スチャーガード メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リア, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ラディジンスキー, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アクロイド, ジェニファー
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-000186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0071596(US,A1)
【文献】特表2014-516288(JP,A)
【文献】米国特許第04275736(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
A61B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合ブリッジであって、
第1の材料を含む伸長堅性挿入体と、
第2の材料を含む変形可能なシェルであって、前記第2の材料は、前記第1の材料と異なり、前記シェルは、少なくとも部分的に、前記堅性挿入体を囲繞し、前記挿入体および前記シェルは、ブリッジ本体を集合的に形成し、前記ブリッジ本体は、患者の皮膚に接触するように構成される第1の患者接触表面を含む第1の脚部と、前記第1の脚部から離間され、前記患者の皮膚に接触するように構成される第2の患者接触表面を含む第2の脚部と、前記第1の脚部に接続される第1の支持体と、前記第2の脚部に接続される第2の支持体と、少なくとも部分的に、前記第1の脚部の一部および前記第1の支持体の一部を通して形成される第1のスロットと、少なくとも部分的に、前記第2の脚部の一部および前記第2の支持体の一部を通して形成される第2のスロットと、前記第1の支持体と前記第2の支持体との間に延在する横断部材とを有する、変形可能なシェルと
を備える、縫合ブリッジ。
【請求項2】
前記第1の材料は、ポリマーである、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項3】
前記第2の材料は、エラストマである、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項4】
前記エラストマの第2の材料は、シリコーンを含む、請求項3に記載の縫合ブリッジ。
【請求項5】
前記ブリッジ本体は、前記第1の脚部から前記第2の脚部までの複数の厚さを含み、前記挿入体は、前記横断部材において前記ブリッジ本体の第1の厚さの第1の割合と、前記第1の脚部において前記本体の第2の厚さの第2の割合とを構成し、前記第1の割合は、前記第2の割合を上回る、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項6】
前記ブリッジ本体は、前記第1の脚部から前記第2の脚部までの複数の厚さを含み、前記シェルは、前記横断部材において前記ブリッジ本体の第1の厚さの第1の割合と、前記第1の脚部において前記本体の第2の厚さの第2の割合とを構成し、前記第1の割合は、前記第2の割合を下回る、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項7】
前記挿入体は、前記シェルよりも大きい曲げ弾性率を有し、前記シェルは、前記挿入体よりも変形可能である、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項8】
第3の脚部と、第4の脚部とをさらに備える、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項9】
前記横断部材は、前記第1の脚部よりも堅性である、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項10】
前記第1の脚部は、前記横断部材よりも変形可能である、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項11】
前記横断部材は、前記挿入体および前記シェルの両方を通して画定される中心開口を含む、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項12】
前記横断部材は、前記挿入体および前記シェルの両方を通して画定される複数の開口を含む、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項13】
前記ブリッジ本体は、前記第1の脚部から前記第2の脚部までの一定の厚さと、前記第1の脚部から前記第2の脚部までの複数の異なる剛度とを有する、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項14】
一体型ヒンジを介して前記横断部に取り付けられる保定器フラップをさらに備える、請求項1に記載の縫合ブリッジ。
【請求項15】
キットであって、
第1の材料を含む伸長堅性挿入体と、第2の材料を含む変形可能なシェルとを含む縫合ブリッジであって、前記第2の材料は、前記第1の材料と異なり、前記シェルは、少なくとも部分的に、前記堅性挿入体を囲繞し、前記挿入体および前記シェルは、ブリッジ本体を集合的に形成し、前記ブリッジ本体は、患者の皮膚に接触するように構成される第1の患者接触表面を含む第1の脚部と、前記第1の脚部から離間され、前記患者の皮膚に接触するように構成される第2の患者接触表面を含む第2の脚部と、前記第1の脚部に接続される第1の支持体と、前記第2の脚部に接続される第2の支持体と、少なくとも部分的に、前記第1の脚部の一部および前記第1の支持体の一部を通して形成される第1のスロットと、少なくとも部分的に、前記第2の脚部の一部および前記第2の支持体の一部を通して形成される第2のスロットとを有する、縫合ブリッジと、
保定器部材と、
縫合糸と、
外科手術用針と
を備える、キット。
【請求項16】
創傷閉鎖のためのシステムであって、
堅性挿入体およびエラストマシェルを有するブリッジ本体であって、前記挿入体および前記シェルは、患者の皮膚に接触するように構成される第1の患者接触表面を含む第1の脚部と、前記第1の脚部から離間され、前記患者の皮膚に接触するように構成される第2の患者接触表面を含む第2の脚部と、前記第1の脚部に接続される第1の支持体と、前記第2の脚部に接続される第2の支持体と、少なくとも部分的に、前記第1の脚部の一部および前記第1の支持体の一部を通して形成される第1のスロットと、少なくとも部分的に、前記第2の脚部の一部および前記第2の支持体の一部を通して形成される第2のスロットと、前記第1の支持体と前記第2の支持体との間に延在する横断部材と
を集合的に形成する、ブリッジ本体と、
前記スロットのうちの少なくとも1つを通して通過するように構成される縫合糸と
を備え、
前記創傷は、4ニュートンを上回る力を前記縫合糸上に印加することによって閉鎖される、システム。
【請求項17】
前記縫合糸は、2つのスロットの最も外側の部分に隣接する前記患者の組織を通して通過するように構成され、前記縫合糸上に印加される前記力は、前記縫合糸に前記2つのスロット内を進行させ、前記患者の組織の2つの部分をともに寄せ集めさせる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記力は、創傷組織の弾性限界を超過する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記
ブリッジ本体は、前記力が印加されると、部分的に平坦化されるように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記
ブリッジ本体は、前記力が前記
ブリッジ本体から除去されると、より隆起された静置条件に戻ることを可能にするように構成される、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その両方の内容が、本明細書に完全に記載されている場合と同様に、本明細書に完全に組み込まれる、「DEFORMABLE SUTURE BRIDGE HAVING AN INSERT AND METHODS OF MANUFACTURING AND USING SAME」と題され、2018年5月1日に出願された、米国仮出願第62/665,329号、および「DEFORMABLE SUTURE BRIDGE HAVING AN INSERT AND METHODS OF MANUFACTURING AND USING SAME」と題され、2019年1月4日に出願された、米国第16/240,127号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して、創傷閉鎖、およびそれを改良するための方法ならびにデバイスに関する。より具体的には、本開示は、創傷閉鎖を促進するための、変形可能な部分的に隆起された縫合ブリッジデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
縫合は、患者の開放創および/または外科手術切開部を閉鎖するために使用される、縫い目である。医療施術者は、概して、取り付けられた糸を伴う針を使用し、実質的に、皮膚の2つの隣接する区分をともに縫着し、創傷または切開部を閉鎖する。外科手術的な結び目が、多くの場合、縫合糸を固着し、適切な治癒を確実にするために使用される。
【0004】
効果的な外科手術的な結び目は、結ぶことが困難であり、それによって、潜在的に、創傷または切開部の再開放を可能にし得る。そのような場合、患者は、創傷または切開部が再度開放した場合、感染のリスクがあり得る。別の実施例では、皮膚に接触する縫合糸および外科手術的な結び目が、炎症性である、ならびに/もしくは「肉の中に食い込んだ」状態になり、実際に創傷または切開部の治癒を妨げ得る。加えて、縫合糸が過度に緊密に、または過度に緩く結ばれた場合、合併症が、生じ得る。
【0005】
例えば、創傷外転は、特に、皮膚が、肩、膝、下顎角等を覆うような皮膚の高張力面積における、縫合技法の所望される成果であり得る。創傷外転は、2つの創傷表面が、閉鎖された切開部が張力下になく、構造特徴的に、静置している水平な皮膚平面の上方の平面内に置かれるように、水平に相互に対向されたときに生じる。最大の外転を伴う創傷閉鎖は、創傷治癒および瘢痕成熟プロセスの間の高張力面積における継続する周囲応力に起因する、瘢痕の過度の拡張に抵抗する。しかしながら、創傷外転は、熟練度の低いオペレータには達成することが技術的に困難であり得、これを促進するためのデバイスが、望ましい。さらに、切除欠損が皮膚内に存在する閉鎖部に、過度の張力が、存在し得る。縫合糸が、そのような創傷を閉鎖するために過度の張力下に設置されると、縫合糸自体が、皮膚を通してスライス(「チーズ切断(cheesewiring)」)し得る。本設定において、縫合糸の力をより広範囲な面積にわたって拡散させる目的のために、皮膚と縫合糸との間に挿入される外科手術用デバイスが、望ましい。以下の説明における実施形態は、これらの2つの重要な機能を単一のデバイスの中で統合する、すなわち、縫合糸によって誘発される、皮膚への外傷の防止を伴う最大限の創傷外転閉鎖の達成である。したがって、公知の縫合デバイスの設計を改善し、それを進歩させる、縫合デバイスの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくともいくつかの実施形態では、縫合ブリッジは、第1の材料を含む、伸長堅性挿入体と、第2の材料を含む、変形可能なシェルであって、第2の材料は、第1の材料と異なり、シェルは、少なくとも部分的に、堅性挿入体を囲繞し、挿入体およびシェルは、患者の皮膚に接触するように構成される第1の患者接触表面を含む、第1の脚部と、第1の脚部から離間され、患者の皮膚に接触するように構成される第2の患者接触表面を含む、第2の脚部と、第1の脚部に接続される、第1の支持体と、第2の脚部に接続される、第2の支持体と、少なくとも部分的に、第1の脚部の一部ならびに第1の支持体の一部を通して形成される、第1のスロットと、少なくとも部分的に、第2の脚部の一部および第2の支持体の一部を通して形成される、第2のスロットと、第1の支持体と第2の支持体との間に延在する、横断部材とを有する、ブリッジ本体を集合的に形成する、変形可能なシェルとを含む。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
縫合ブリッジであって、
第1の材料を含む伸長堅性挿入体と、
第2の材料を含む変形可能なシェルであって、前記第2の材料は、前記第1の材料と異なり、前記シェルは、少なくとも部分的に、前記堅性挿入体を囲繞し、前記挿入体および前記シェルは、ブリッジ本体を集合的に形成し、前記ブリッジ本体は、患者の皮膚に接触するように構成される第1の患者接触表面を含む第1の脚部と、前記第1の脚部から離間され、前記患者の皮膚に接触するように構成される第2の患者接触表面を含む第2の脚部と、前記第1の脚部に接続される第1の支持体と、前記第2の脚部に接続される第2の支持体と、少なくとも部分的に、前記第1の脚部の一部および前記第1の支持体の一部を通して形成される第1のスロットと、少なくとも部分的に、前記第2の脚部の一部および前記第2の支持体の一部を通して形成される第2のスロットと、前記第1の支持体と前記第2の支持体との間に延在する横断部材とを有する、変形可能なシェルと
を備える、縫合ブリッジ。
(項目2)
前記第1の材料は、ポリマーである、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目3)
前記第2の材料は、エラストマである、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目4)
前記エラストマの第2の材料は、シリコーンを含む、項目3に記載の縫合ブリッジ。
(項目5)
前記ブリッジ本体は、前記第1の脚部から前記第2の脚部までの複数の厚さを含み、前記挿入体は、前記横断部材において前記ブリッジ本体の第1の厚さの第1の割合と、前記第1の脚部において前記本体の第2の厚さの第2の割合とを構成し、前記第1の割合は、前記第2の割合を上回る、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目6)
前記ブリッジ本体は、前記第1の脚部から前記第2の脚部までの複数の厚さを含み、前記シェルは、前記横断部材において前記ブリッジ本体の第1の厚さの第1の割合と、前記第1の脚部において前記本体の第2の厚さの第2の割合とを構成し、前記第1の割合は、前記第2の割合を下回る、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目7)
前記挿入体は、前記シェルよりも大きい曲げ弾性率を有し、前記シェルは、前記挿入体よりも変形可能である、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目8)
第3の脚部と、第4の脚部とをさらに備える、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目9)
前記横断部材は、前記第1の脚部よりも堅性である、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目10)
前記第1の脚部は、前記横断部材よりも変形可能である、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目11)
前記横断部材は、前記挿入体および前記シェルの両方を通して画定される中心開口を含む、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目12)
前記横断部材は、前記挿入体および前記シェルの両方を通して画定される複数の開口を含む、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目13)
前記ブリッジ本体は、前記第1の脚部から前記第2の脚部までの一定の厚さと、前記第1の脚部から前記第2の脚部までの複数の異なる剛度とを有する、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目14)
一体型ヒンジを介して前記横断部に取り付けられる保定器フラップをさらに備える、項目1に記載の縫合ブリッジ。
(項目15)
キットであって、
第1の材料を含む伸長堅性挿入体と、第2の材料を含む変形可能なシェルであって、前記第2の材料は、前記第1の材料と異なり、前記シェルは、少なくとも部分的に、前記堅性挿入体を囲繞し、前記挿入体および前記シェルは、ブリッジ本体を集合的に形成し、前記ブリッジ本体は、患者の皮膚に接触するように構成される第1の患者接触表面を含む第1の脚部と、前記第1の脚部から離間され、前記患者の皮膚に接触するように構成される第2の患者接触表面を含む第2の脚部と、前記第1の脚部に接続される第1の支持体と、前記第2の脚部に接続される第2の支持体と、少なくとも部分的に、前記第1の脚部の一部および前記第1の支持体の一部を通して形成される第1のスロットと、少なくとも部分的に、前記第2の脚部の一部および前記第2の支持体の一部を通して形成される第2のスロットとを有する、変形可能なシェルとを含む、縫合ブリッジと
保定器部材と、
縫合糸と、
外科手術用針と
を備える、キット。
(項目16)
創傷閉鎖の方法であって、
堅性挿入体と、エラストマシェルとを有するブリッジ本体を提供することであって、前記挿入体および前記シェルは、患者の皮膚に接触するように構成される第1の患者接触表面を含む第1の脚部と、前記第1の脚部から離間され、前記患者の皮膚に接触するように構成される第2の患者接触表面を含む第2の脚部と、前記第1の脚部に接続される第1の支持体と、前記第2の脚部に接続される第2の支持体と、少なくとも部分的に、前記第1の脚部の一部および前記第1の支持体の一部を通して形成される第1のスロットと、少なくとも部分的に、前記第2の脚部の一部および前記第2の支持体の一部を通して形成される第2のスロットと、前記第1の支持体と前記第2の支持体との間に延在する横断部材と、前記第1の支持体と前記第2の支持体との間に延在する横断部材とを集合的に形成する、ことと、
前記スロットのうちの少なくとも1つを通して縫合糸を通過させることと、
4ニュートンを上回る力を前記縫合糸上に印加し、前記創傷を閉鎖することと
を含む、方法。
(項目17)
前記縫合糸を通すことは、前記縫合糸を2つのスロットの最も外側の部分に隣接する前記患者の組織を通して通過させることを含み、前記縫合糸上に力を印加することは、前記縫合糸に前記2つのスロット内を進行させ、前記患者の組織の2つの部分をともに寄せ集めさせる、項目16に記載の方法。
(項目18)
力を印加することは、創傷組織の弾性限界を超過する力を印加することを含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
力を印加することは、前記縫合ブリッジを部分的に平坦化することを含む、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記縫合ブリッジから前記力を除去し、前記縫合ブリッジが、より隆起された静置条件に戻り、前記創傷の反対側に組織を寄せ集め、前記組織を前記横断部材に向かって引き上げることを可能にすることをさらに含む、項目19に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示される縫合ブリッジの種々の実施形態が、図面を参照して本明細書に開示される。
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による、縫合ブリッジの概略斜視図である。
【0009】
【0010】
【0011】
【
図3】
図3は、複数の中心開口を有する、縫合ブリッジの別の実施形態の概略上面図である。
【0012】
【0013】
【
図5】
図5A-Bは、
図1の縫合ブリッジ内の種々の本体の厚さを示す、概略側面図および関連付けられたグラフである。
【0014】
【
図6】
図6A-Gは、縫合ブリッジの一実施例の概略的な右、左、底面、上面、正面、背面、および斜視図である。
【0015】
【
図7】
図7A-Gは、挿入体の上面、側面、底面、正面、断面、および斜視図の概略図である。
【0016】
【
図8】
図8A-Gは、シェルの上面、側面、底面、正面、断面、および斜視図の概略図である。
【0017】
【
図9】
図9A-Bは、第1および第2の縫合パターンを用いて創傷を閉鎖するために使用されている、縫合ブリッジの概略側面図である。
【0018】
【
図10】
図10A-Bは、従来の技法から生じ得るチーズ切断を示す写真である。
【0019】
【
図11】
図11は、縫合ブリッジ脚部の1つの異形を示す概略図であり、脚部は、丸みを帯びた底部を有する。
【0020】
【
図12】
図12A-Dは、異なる使用段階における縫合ブリッジの形状を示す略図、および縫合ブリッジの接触部分の詳細な概略図である。
【0021】
【
図13】
図13A-Jは、創傷を閉鎖するための本デバイスの使用を示す、アニメーションからの種々のステップのスクリーンショットである。
【0022】
【
図14A】
図14A-Bは、H字形の縫合ブリッジ、および可撓性の接続部材を有する類似するH字形縫合ブリッジの概略上面図である。
【
図14B】
図14A-Bは、H字形の縫合ブリッジ、および可撓性の接続部材を有する類似するH字形縫合ブリッジの概略上面図である。
【0023】
【0024】
【
図14D】
図14Dは、X字形の縫合ブリッジ、および1つの可能性として考えられる縫合パターンの概略上面図である。
【0025】
【
図15】
図15A-Bは、縫合ブリッジの別の異形の概略的な上面および側面図であり、縫合ブリッジは、種々の幅を有する。
【0026】
【
図16】
図16A-Cは、縫合ブリッジと、外科手術用針と、縫合糸と、保定器とを含む、キット、および1つの可能性として考えられる縫合パターンの概略図である。
【0027】
【
図17】
図17A-Cは、開放および閉鎖条件における統合された圧力緩和部材を有する縫合ブリッジ、ならびに1つの可能性として考えられる縫合パターンの概略斜視図である。
【0028】
【
図18A】
図18A-Cは、プーリを有する2つの縫合パターンの概略的鳥瞰図、および2つの中心小孔を有するブリッジ上の縫合パターンの第3の鳥瞰図である。
【
図18B】
図18A-Cは、プーリを有する2つの縫合パターンの概略的鳥瞰図、および2つの中心小孔を有するブリッジ上の縫合パターンの第3の鳥瞰図である。
【
図18C】
図18A-Cは、プーリを有する2つの縫合パターンの概略的鳥瞰図、および2つの中心小孔を有するブリッジ上の縫合パターンの第3の鳥瞰図である。
【0029】
【0030】
【
図19】
図19は、統合された保定器を有するクランプの概略斜視図である。
【0031】
本発明の種々の実施形態が、ここで、添付の図面を参照して説明されるであろう。これらの図面が、本発明のいくつかの実施形態のみを描写し、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0032】
創傷閉鎖デバイスに成されている種々の改良にもかかわらず、従来の方法は、上記に議論されるようないくつかの欠点を被る。
【0033】
したがって、創傷の適切かつより迅速な治癒を促進することに役立つために使用される、デバイスおよび方法へのさらなる改良の必要性が存在する。他の利点の中でもとりわけ、本開示は、これらの必要性のうちの1つまたはそれを上回るものに対処し得る。
【0034】
開示される縫合ブリッジは、図と併せて以下の詳細な説明の精査を通してより深く理解された状態になるであろう。詳細な説明および図は、単に、本明細書に説明される種々の発明の実施例を提供する。当業者は、開示される実施例が、本明細書に説明される発明の範囲から逸脱することなく、変動、修正、および改変され得ることを理解するであろう。多くの変形例が、異なる用途および設計考慮点のために考えられるが、しかしながら、簡潔性のために、ありとあらゆる考えられる変形例が、以下の詳細な説明において個々に説明されるわけではない。
【0035】
これらおよび他の利点は、本開示の考察ならびに精査の結果、当業者により完全に明白となるであろう。本開示は、種々の詳述な実施形態を説明するが、図示および説明される実施形態のみに限定されることを意図しない。開示される実施形態は、本明細書に説明される発明の範囲から逸脱することなく変動、修正、および改変され得る。さらに、多くの変形例が、異なる用途および設計考慮点のために考えられるが、簡潔性のために、ありとあらゆる考えられる変形例が、個々に説明されるわけではない。
【0036】
本明細書に説明される縫合糸固着デバイス、システム、および方法は、他の目的の中でもとりわけ、縫合糸を固着し、縫合糸が炎症を起こす、感染する、肉に食い込む、ならびに/もしくは再度開放した状態になり得る可能性を低減または排除し、縫合糸が定位置に留まり得る時間の長さを増加させるために使用され得る。加えて、本明細書に開示されるデバイスは、医師が近傍の組織を損傷させることなく縫合糸を結ぶときに大きい力を印加することを可能にすることが可能であり得、ある場合には、比較的に大きい創傷を閉鎖するために植皮または皮弁の使用を回避するために使用され得る。
【0037】
図10A-Bは、従来の技法を介してともに縫合される創傷(
図10A)、およびそのような技法から生じ得る結果として生じるチーズ切断(
図10B)を示す写真である。具体的には、
図10Aは、皮膚の2つの部分の間に配置され、縫合糸を介してともに結ばれる創傷を示す。
図10Bは、縫合糸が除去された後の30分後のそれを示す。示されるように、縫合糸内の高張力は、縫合糸に軟組織の一部を損傷させている(「チーズ切断」)。本問題に対処するために、縫合糸自体の材料および構成を再設計するステップを含む、解決策が、提案されている。加えて、ある臨床的用途では、例えば、植皮の必要性を回避するために、縫合糸上に通常よりも高い張力を印加することが、望ましくあり得る。そのような実施例では、縫合糸上の高張力は、皮膚の裂傷および引裂をもたらし得る。本縫合ブリッジは、患者の組織を保護しながら、創傷の高張力閉鎖を可能にし得る。
【0038】
図1-6を参照すると、縫合ブリッジの第1の実施例、すなわち、縫合ブリッジ100が、ここで説明されるであろう。縫合ブリッジ100は、第1の脚部106と、第2の脚部108と、第1の支持体110と、第2の支持体112と、横断部材114と、多くの場合、横断部材の下方に配置される、「創傷外転空隙」または「空隙」132と称される、間隔とを含む。隆起部128が、横断部材、支持体、および脚部の少なくとも一部の中に形成され、これは、下記により詳細に説明されるであろう。縫合ブリッジ100はまた、底面102と、底面102の反対の上面104とを含む。縫合ブリッジ100は、最も一般的な縫合パターンによって採用されながら、縫合糸の耐用年数を延長させ、皮膚に対する損傷を低減させるように機能する。
【0039】
第1の脚部106および第2の脚部108の反対の端部において、第1の支持体110ならびに第2の支持体112は、横断部材114によって、鈍角にともに接続される。ともに、第1の脚部106、第2の脚部108、第1の支持体110、第2の支持体112、および横断部材114は、ブリッジ構造を画定する。横断部材114は、第1の脚部106と第2の脚部108との間に位置し、第1の支持体110および第2の支持体112によって第1の脚部106ならびに第2の脚部108から離れるように隆起され、隆起された創傷外転空隙132を形成する。
【0040】
創傷外転空隙132が、横断部材114の真下に形成され、外転創傷138を受入するように構成される。第1の支持体110および第2の支持体112と同様に、横断部材114は、上面104から底面102まで測定されると、第1の脚部106ならびに第2の脚部108よりも厚くあり得る。第1の支持体110および第2の支持体112に加えて、横断部材114の追加された厚さは、その隆起された部分において、縫合ブリッジ100のためのより高い剛度を提供する。増加された剛度は、異なる縫合パターンの力に耐えることに役立ち、創傷外転空隙132における縫合ブリッジ100の圧潰または屈曲に抵抗することに役立つ。代替実施形態では、第1の支持体110、第2の支持体112、および横断部材114は、本デバイスの全体的厚さを調節するステップに加えて、またはその代わりとして、代替もしくは付加的材料を組み込むことによって剛度を増加させる。したがって、その長さに沿って比較的に一定の厚さを有するが、異なる剛度および変形特性を有する、縫合ブリッジが、形成され得る。
【0041】
図1-4に見られ得るように、横断部材114は、患者の皮膚136および創傷138から離れるように隆起される。隆起され、堅性である、横断部材は、創傷138が縫合ブリッジ100および付随の縫合糸によってともに押圧されるにつれて、創傷外転空隙132の中への創傷外転を促進することに役立つ。縫合ブリッジ100が、創傷上で縫合糸と併用されると、創傷外転空隙132は、創傷の略上方に位置付けられ、創傷外転を促進する。創傷138は、創傷外転空隙132の中の底面102に接触する場合とそうではない場合がある。
【0042】
第1の脚部106および第1の支持体110は、変曲点116において鈍角を形成するように接続する。同様に、第2の脚部108および第2の支持体112は、変曲点118において鈍角を形成するように接続する。変曲点116および118は、縫合、例えば、縫合ブリッジ100上に下向きかつ内向きの力を印加する水平マットレス縫合を受け、閉じ込める。いくつかの実施例では、変曲点116および118は、縫合糸の移動を捕捉ならびに制限するように画定された角度を形成する。変曲点116および118は、水平マットレス縫合のような一般的な縫合パターンが縫合ブリッジ100と併用されることを可能にすることに役立つ。
【0043】
隆起部128は、縫合ブリッジ100の上面104上に、主に、横断部材114の長さに沿って位置する。いくつかの実施例では、隆起部は、第1の支持体および第2の支持体112の長さを辿って延在する。隆起部128は、縫合糸によって印加される内向きおよび下向きの力に耐えることに役立つように、追加された強度、堅性、ならびに剛度を縫合ブリッジ100に提供し得る。
【0044】
縫合ブリッジ100は、現在の縫合技法およびデバイスとともに存在する、欠点のうちの多くのものに対処する。例えば、縫合ブリッジ100は、縫合糸の耐用年数を延長する。縫合糸を患者の皮膚から離れるように隆起させることによって、縫合糸は、皮膚に炎症を生じさせることなくより長く持続し得る。加えて、縫合糸からの圧力が、低減され、患者の皮膚の表面を横断してより均一に発散されるため、縫合糸は、より長く留まり、創傷が、皮膚の壊死等の条件を回避しながら、治癒するためのより多くの時間を可能にすることができる。少なくともいくつかの実施例では、縫合ブリッジ100は、長さが約33.75mm、およびその最も大きい幅において8.15mmである。代替として、より大きい縫合ブリッジ100が、本明細書に説明される同一の比率で形成され、縫合ブリッジは、長さが約10.35cm×幅が2.5cmであり得る。一実施例では、縫合ブリッジの長さは、1.0cm~15cmの長さに形成され得、幅は、適宜調節され得る。縫合ブリッジの他の要素の全て(例えば、脚部、横断部材、支持体、およびスロット)が、適宜増減され得ることを理解されたい。
【0045】
縫合ブリッジ100はまた、単純な断続縫合、埋没真皮縫合、プーリ(「遠近近遠」)縫合、水平マットレス縫合、および垂直マットレス縫合を含む、多くの一般的なタイプの縫合パターンと連動して使用され得る。縫合ブリッジ100は、任意の一般的なタイプの縫合糸の力の下で圧潰しないように十分に丈夫かつ堅性でありながら、依然として創傷を寄せ集め、創傷の外転および創傷の適切な治癒を促す。
【0046】
図1-6に見られ得るように、縫合ブリッジ100は、少なくとも2つの脚部を含み、第1の脚部106および第2の脚部108は、ブリッジの両端部に位置する。第1の脚部106および第2の脚部108における縫合ブリッジ100の底面102上に位置するものは、患者接触表面126である。患者接触表面126は、通常、縫合ブリッジ100のない状態で生じるであろう、患者の皮膚136上の全体的圧力を低減させ、縫合糸のより長い使用を可能にする。代替実施形態では、複数の脚部および複数の患者接触表面が、存在し得る。少なくともいくつかの異形において、脚部106、108は、
図11に示されるように、終端部において湾曲している。具体的には、患者接触表面126は、それ自体が、丸みを帯びてもよく、脚部126の最遠位部分127は、患者の身体から離れるように湾曲してもよい。
【0047】
第1の脚部106および第2の脚部108は、丈夫であるが、依然として可撓性であるように十分に厚い。いくつかの実施例では、2つの脚部は、対称的であり、同一の材料から同一の構成に形成され、同一または類似する様式で挙動する。代替として、異なるより可撓性の材料が、第1の脚部および第2の脚部のために使用され、脚部のそれぞれにおける異なる程度の可撓性を可能にし得る。
【0048】
第1の脚部106および第2の脚部108の可撓性は、それらが、患者が移動するにつれて捻転し、患者の皮膚136に適合することを可能にする。脚部は、可撓性であり、皮膚の炎症および圧力壊死を低減させ、患者の皮膚の移動を可能にする。加えて、第1の脚部106および第2の脚部108の可撓性は、より良好な患者の快適性を提供し、衣類上での縫合ブリッジ100の引っ掛かり等の煩わしさを低減させる。
【0049】
図2A-Bに示されるように、第1の脚部106および第2の脚部108はそれぞれ、伸長スロット120を含有する。第1の脚部106および第2の脚部108上のスロット120は、縫合ブリッジ100を完全に通して上面104から底面102まで延在する。スロット120は、単純な断続縫合と併用され、縫合ブリッジ100を患者に、創傷138にわたって固着させ、縫合糸の寿命を延長し、創傷の適切な治癒を促すことができる。示されるように、スロット120は、ある長さと、ある幅とを有し、スロットの長さは、組織を寄せ集めて上記に説明されるような創傷外転を形成するときの縫合糸の進行を可能にするように選定される。少なくともいくつかの実施例では、スロット120の長さ「LS」は、可能にされる創傷外転の量を判定するであろう。具体的には、スロット120は、縫合ブリッジの全体的な長さ「LB」の約15%、20%、25%、30%、または40%である、長さ「LS」を有してもよい。代替として、ともに引き込まれている組織もまた、創傷外転空隙の中に、かつ横断部材に向かって上に寄せ集められるであろうため、スロット120は、創傷外転空隙132の高さに比例し得る(例えば、創傷外転空隙の高さの1.2倍、1.25倍、1.3倍、または1.5倍)。
【0050】
スロット120を使用すると、経験のないオペレータも、縫合糸を(例えば、
図2Aの点P1等のスロット120内の横断部材から最も遠く離れた点における)スロット内の最も外側の空間に設置することによって、最大限の外転閉鎖を達成することができる。張力が、縫合糸上に印加されるにつれて、組織が、寄せ集められ、縫合糸は、スロット内で、横断部材に向かって内向きに進行し(例えば、
図2Aの点P2により接近して進行し、これに結合された組織をもたらす)、横断部材114の下方の創傷外転空隙132内での創傷の外転を可能にするであろう。
【0051】
代替実施形態では、スロット120は、第1の脚部106および第2の脚部108の中の円形の孔として構成されてもよい。いくつかの実施例では、各脚部106、108上の伸長スロットの代わりとして、1つ、2つ、3つ、またはそれを上回る円形もしくは楕円形の開口が、各脚部上に提供されてもよい。少なくともいくつかの実施例では、対向する脚部上のスロット120は、約8.05mm相互から離間されてもよい。少なくともいくつかの実施例では、スロット間の距離は、4mm~15mmであってもよい。加えて、各スロットは、幅が2~3mm、長さが4~30mmであってもよい。
【0052】
随意に、明確性のために
図2A-Bの中で想像線のみで示されるように、中心開口121が、横断部材114の中心に形成され、本デバイスの上部から底部まで通路を画定してもよい。中心開口121は、略円形または楕円形であってもよく、スロット120から等距離であってもよい。中心開口121を有する実施例では、医師は、必要性に従って、縫合糸を本通路を通して螺入し得る。本中心開口を利用する縫合パターンが、
図9Aおよび9Bを参照して本開示の端部に近接して最も詳細に示されるであろう。中心開口121およびスロット120の両方を有する実施形態では、医師は、したがって、最も望ましい縫合構成を選択し得る。例えば、最大限の創傷外転を取得するために、スロット120は、組織を寄せ集め、これを外転させるときに、縫合糸がそれを通して進行することを可能にするために使用され得る。代替として、創傷外転が、優先事項ではない場合、中心開口は、創傷を閉鎖するタスクを十分に遂行し得る。
【0053】
図3に示されるように、縫合ブリッジ100は、代わりに、横断部材の中に複数の中心開口121a-cを含んでもよい。したがって、横断部材は、中心開口を有していない、単一の中心開口、または複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれを上回る)中心開口を有してもよい。中心開口の形状および/またはサイズが、他のものと同一もしくは異なり得ることを理解されたい。
【0054】
第1の脚部106は、第1の支持体110に接続され、第2の脚部108は、第2の支持体112に接続される。第1の支持体110および第2の支持体112は、持ち上がり、第1の脚部106ならびに第2の脚部108を基準として0~60度の角度a1で内向きに傾斜する(
図5A参照)。より具体的には、いくつかの実施例では、角度a1は、30~60度であってもよく、これは、最大限の創傷外転のための上昇された横断部材を可能にする。代替として、角度a1は、0~30度であってもよく、そのような角度は、横断部材が創傷により接近することを可能にし、これは、脚部と患者の皮膚との間により小さい力をもたらす。そのような実施形態は、植皮が回避可能であるとき等の臨床設定における高張力創傷閉鎖のために有用であり得る。例えば、30~60度の角度a1の場合、4~50ニュートンの力を印加することが可能であり得ると考えられ、これは、縫合ブリッジがない状態で縫合糸のみを介して印加された場合に隣接する組織を障害させ得る量である。少なくともいくつかの実施例では、角度は、少なくとも25ニュートンの力が組織を損傷させることなく縫合糸に印加され得るように選択される。加えて、横断部材を創傷から離れるように上昇させる上昇させるステップが、他の構成要素が、後に議論されるであろうように本圧力を軽減するために使用されるように、脚部の下方の組織上により多くの圧力をもたらし得ることを理解されたい。少なくともいくつかの実施例では、角度a1は、(例えば、0~30度の間で)0度により近くあってもよく、横断部材は、脚部と完全に整合されるか、または真下の創傷から0~10mmの間の距離だけわずかに上昇されるかのいずれかに該当する。
【0055】
いくつかの実施例では、第1の支持体110および第2の支持体112は、上面104から底面102まで測定されると、第1の脚部106ならびに第2の脚部108よりも厚くあり得る。第1の支持体110および第2の支持体112の厚さは、第1の脚部106ならびに第2の脚部108と比較して、第1の支持体110および第2の支持体112の剛度を増加させる。代替実施形態では、第1の支持体110および第2の支持体112は、脚部とほぼ同一の厚さであるが、異なる材料を組み込む。これらの材料は、第1の支持体110および第2の支持体112を完全に異なる材料から作成することによって組み込まれ得る、または代替として、それらは、
図7-8を参照してより詳細に説明されるであろうように、内部もしくは外部支持構造を有し得る。
【0056】
縫合ブリッジのいくつかの実施形態では、縫合ブリッジの全体または一部、例えば、底面102は、付加的薬剤のコーティングを含んでもよい。これらの実施形態では、患者の皮膚および創傷に移送するための成長因子、抗菌剤、または他の薬品のうちの1つもしくは組み合わせのコーティングが、創傷の適切な治癒を補助する。代替として、いくつかの実施形態では、縫合ブリッジは、1つまたはそれを上回る付加的薬剤に完全もしくは部分的に含浸され、創傷の適切な治癒を補助し得る。
【0057】
縫合ブリッジ100は、シリコーン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ゴム、金属、プラスチック、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)ポリカーボネート、熱可塑性エラストマ、ポリブチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニル、ナイロン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、およびそれらの好適な組み合わせ等の任意の丈夫かつ弾性の材料から部分的または完全に形成され得る。縫合ブリッジはまた、種々の厚さの1つの材料から、または背骨もしくは隆起部を使用することによって作製され、第1の脚部および第2の脚部において可撓性のままでありながら、横断部材のための支持を提供し得る。
【0058】
代替として、縫合ブリッジは、ともに結合される複数の部分から形成され、内側および外側部分は、異なる材料を含み、第1の脚部ならびに第2の脚部において可撓性でありながら、横断部材のための支持および強度を提供し得る。例えば、任意の数の本体が、使用され、縫合ブリッジを完全に、すなわち、支持構造および脚部を形成し、そのような本体は、異なる材料から形成され、相互を収容する、または別様に結合するように構成されてもよい。2つの構成要素を有する、そのようなブリッジの一実施例が、
図6A-Gに示される。これらの構成要素の実施例は、下記により詳細に説明されるであろう。
【0059】
示される実施例では、縫合ブリッジは、内側部分、すなわち、挿入体150(
図7A-G)と、外側部分、すなわち、シェル160(
図8A-G)とを含み、挿入体150およびシェル160は、異なる材料から形成され、脚部と、支持体と、横断部材とを含む、ブリッジ本体を集合的に形成する。本実施例に示されるように、シェル160は、これが完全に挿入体150を包含し、これを全ての側面で封入するように、挿入体にわたって共成型される。代替として、シェル160は、挿入体150の上側表面が、例えば、本デバイスの上部において被覆されないが、底面が、被覆され、患者に快適性を提供するように、挿入体150を部分的にのみ被覆してもよい。
【0060】
挿入体150の詳細は、
図7A-Gを参照して最も深く理解されるであろう。挿入体150は、シェル160よりも堅性である材料から形成されてもよい。挿入体150は、第1の端部152と第2の端部154との間に延在し、対向端部上にそれを通して画定されるスロット156を有する、一般的なブリッジ形状を形成してもよい。例えば、
図7A-Gを見ることによって、挿入体150が、縫合ブリッジ100の脚部、支持部、および横断部材の一部を形成することを理解されたい。図示されていないが、挿入体150はまた、所望に応じて、横断部材の中に1つまたはそれを上回る開口を含んでもよい。挿入体150の厚さ「TI」は、下記により詳細に議論されるであろうように、その長さに沿って変動するであろう。本時点では、挿入体が、その中心において最も厚く、第1および第2の端部152、154の近傍で最も薄くあるであろうと述べれば十分である。加えて、複数の挿入体が、単一の挿入体の代わりとして縫合ブリッジの本体の中に提供され得ることを理解されたい。
【0061】
いくつかの実施例では、挿入体150は、シリコーン等のエラストマとともにオーバーモールドされてもよく、挿入体150の材料は、シェル160のオーバーモールド加工の間に融解する可能性が低い耐熱性材料から選択されてもよい。例えば、シリコーンによって被覆される挿入体150は、高温の金型を要求し得、挿入体150は、高温の金型のために必要な温度まで加熱するために耐性があり得る。挿入体150のための好適な材料は、上記に議論されるもののいずれか、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエーテルイミド(例えば、Ultem)等の比較的に高い曲げ弾性率(例えば、1.5~4GPa)を有する高温耐性材料を含んでもよい。したがって、いくつかの実施例では、挿入体150は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から形成されてもよく、シェル160は、軟質シリコーンから形成されてもよい。
【0062】
ここでシェル160に目を向けると、その詳細は、
図8A-Gを参照して最も深く理解されるであろう。シェル160は、第1の端部162と第2の端部164との間に延在し、挿入体150および縫合ブリッジ100と同一の一般的なブリッジ形状を有し得る。シェル160はまた、対向端部上にそれを通して画定されるスロット166を含み、スロット166は、挿入体150のスロット156と整合するように成形、定寸、および離間されてもよい。図示されていないが、シェル160はまた、横断部材の中に1つまたはそれを上回る開口を含み、縫合糸が横断部材を通して通過され得るように挿入体150の開口と整合してもよい。少なくともいくつかの実施例では、シェル160は、第1および第2の端部162、164において最も厚い。例えば、シェル160は、脚部において1.0mm~10mmの厚さ「TS」を有し、そのような厚さは、張力が縫合糸に印加されると、患者の皮膚上の圧力を緩和することが可能であり得る。少なくともいくつかの実施例では、シェル160は、縫合ブリッジの脚部の全体的な体積の60%、70%、75%またはそれを上回るものを形成する。加えて、
図8A-Gに示されるように、シェル160は、本デバイスの残部よりも広い、球根状の略円形の湾曲した接触部材826を形成する。本特徴は、随意であり、他の実施形態では、シェルが、
図2Aに図示されるように上方から見られると、略スタジアム形状であることを理解されたい。
【0063】
少なくともいくつかの実施例では、挿入体150およびシェル160は、最初に共成型され、スロットは、成型プロセスの後、2つの部材を通して同時に形成される。例えば、
図8A-Gを見ることによって、シェル160が、縫合ブリッジ100の脚部、支持部、および横断部材の一部を形成することを理解されたい。シェル160の厚さ「TS」は、下記により詳細に議論されるであろうように、その長さに沿って変動し、ある場合には、本厚さは、挿入体150の厚さとの数学的関係に従って変動するであろう。
【0064】
シェル160は、圧力の放散を可能にし、鋭的縁を伴わずに成型され、皮膚の損傷または裂傷を防止し得る、比較的に軟質の材料から選択されてもよい。シェルのための材料の軟度または硬度は、Shoreスケールを用いて測定され得る。例えば、硬質プラスチックは、典型的には、Shore Dスケール上で測定される。Shore AおよびA00スケールに基づくより軟質の材料も、使用され得る。いくつかの実施例では、シェルは、40またはそれ未満のShore A硬度を伴うシリコーンから形成され得る。少なくともいくつかの実施例では、シェルは、60またはそれ未満のShore A硬度を有する材料で形成され得る。少なくともいくつかの実施例では、材料は、60に等しい、またはそれ未満のShore A硬度、もしくは90に等しい、またはそれ未満のShore A00硬度を有するべきである。いくつかの実施例では、シェル160は、挿入体150にわたってオーバーモールドされた軟質シリコーン等の、蒸気またはオートクレーブを介して容易に滅菌されるものから選定される、生体適合性材料をオーバーモールドすることによって形成される。
【0065】
いくつかの他の実施例では、生体適合性熱可塑性エラストマ(TPE)、または生体適合性熱可塑性ウレタン(TPU)、もしくはそれらの組み合わせが、シェルのために使用され得る。そのような実施例では、挿入体の材料は、必ずしも高耐性材料である必要はなく、挿入体は、一般的なタイプのプラスチック、ナイロン、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン(例えば、Delrinまたはアセタール)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、および同等物のような材料から形成されてもよい。したがって、Delrin挿入体と、TPUシェルとを有するデバイスが、使用されてもよい。
【0066】
いくつかの実施例では、デバイス100は、横断部材114において、脚部106と実質的に等しい全体的な厚さを有し、厚さは、上面から底面まで測定される(すなわち、
図5Aに示されるように、T114=T106である)。これらの厚さは、等しいが、挿入体およびシェルに起因する厚さの一部は、異なり得る。例えば、横断部材の近傍の厚さT114において、シェルは、厚さの少ない部分、例えば、厚さの10%~50%を形成し得る一方、挿入体は、厚さの残りの部分(例えば、厚さの50%~90%)を形成する。逆に、脚部の近傍の厚さT106において、シェルは、厚さの大部分、例えば、厚さの50%~90%を形成し得る一方、挿入体は、厚さの残りの部分を形成する。
【0067】
図5Bは、その上方の
図5Aと併せて理解され、その真上に示され、それと整合された縫合ブリッジの長さに沿ったある点における、シェル(および明示的に挿入体)の厚さを示す。
図5Bに示されるように、シェルに起因するブリッジ本体厚の割合の可能性として考えられる範囲は、本体の一端から他端までの長さに沿って変動し得る。
図5Bをより深く理解するために、3つの垂直の線が、標識「T1」、「T2」、および「T3」とともに示されている。「T1」は、これが、シェルが本場所においてブリッジの全体的な厚さの10%~50%を形成し得る、対応する陰影が付けられた領域を見ることによって理解されるであろうように、横断部材に沿った点「T1」における可能性として考えられる厚さを示す。「T2」は、これが、シェルが本場所においてブリッジの全体的な厚さの50%~90%を形成し得る、対応する陰影が付けられた領域を見ることによって理解されるであろうように、脚部に沿った点「T2」における可能性として考えられる厚さを示す。「T3」は、これが、シェルが本場所においてブリッジの全体的な厚さの100%を形成し得る、対応する陰影が付けられた領域を見ることによって理解されるであろうように、脚部に沿った点「T3」における可能性として考えられる厚さを示す。したがって、グラフは、シェルがブリッジ本体の割合を形成する、いくつかの可能性として考えられる構成を示し、陰影が付けられた領域は、ブリッジ本体内のシェルのある可能性として考えられる組成を示す。ブリッジ本体の両先端において、シェルは、ブリッジ本体の厚さの100%を構成する(例えば、一実施例では、挿入体は、脚部の最も外側の部分まで延在しない)。シェルの割合は、好ましい偏向および変形性質を有するブリッジ本体を取得するために、所望に応じて、本体に沿って減少ならびに増加する。
【0068】
挿入体の厚さの割合が、単に、100%-シェルの厚さの割合に等しく、そのため、40%のシェルの厚さが、60%の挿入体の厚さに相当することを理解されたい。シェルと挿入体の具体的な厚さの比率は、選択される材料の剛度に依存し得る。
【0069】
少なくともいくつかの実施例では、シェルは、本デバイスの脚部に隣接して最も厚く、横断部材に隣接して最も薄い。逆に、堅性挿入体は、横断部材に隣接して最も厚く、脚部に隣接して最も薄くあり得る。縫合ブリッジの厚さが、材料に伴って変動し得ることを理解されたい。例えば、ポリプロピレン等のあまり硬質ではない挿入体は、PEEKの代わりとして使用され得るが、中心部分は、材料の剛度の欠如を補償するためにより厚くある必要があり得る。
【0070】
このように挿入体150およびシェル160の厚さを変動させることによって、デバイス100の変形特性が、慎重に選定され得る。
図7-8に示される実施例では、変形可能なシェル160の増加された厚さは、ブリッジの脚部における本デバイスの圧力の一部を緩和することに役立ち得る一方、横断部材における堅性挿入体150の増加された厚さは、縫合糸によって印加される内向きおよび下向きの力に耐えることに役立つように、強度、堅性、ならびに剛度を縫合ブリッジ100に提供し得る。
【0071】
図9Aおよび9Bを参照すると、縫合ブリッジを使用する2つの実施例が、示されている。
図9Aでは、医師は、本具体的な用途のためにスロット120の代わりとして中心開口121を使用するように選んでおり、縫合糸「S1」は、概して、創傷の両側の皮膚の2つの部分を通して穿刺し、縫合糸の2つの尾部が、中心開口121を通して皮膚から離れるように垂直に延在する。逆に、
図9Bでは、医師は、中心開口の代わりとしてスロット120を使用し、創傷の両側の皮膚の2つの部分を通して縫合糸「S2」を通過させ、中心開口の両側のスロットのうちの一方を通して縫合糸の各尾部を通過させるように採択している。
【0072】
本開示の縫合ブリッジの少なくとも一部は、可撓性であり、ばねのような性質を有してもよい。
図12A-Dは、本開示による縫合ブリッジの、使用の間の一実施例を図示する。単純にするために、縫合ブリッジ1200は、単一の構成要素として示されているが、挿入体およびシェルの両方を有する縫合ブリッジが、考えられ、本説明が、一体型ならびに多構成要素ブリッジの両方に適用されることを理解されたい。
【0073】
図12Aは、患者表面「PS1」上の静置(「または静置している」)条件にある縫合ブリッジ1200(すなわち、それに印加される外力を伴わない)を図示し、縫合ブリッジは、一対の脚部1206、1208と、一対の支持体1210、1212と、2つの支持体の間に延在する、横断部材1214とを有する。患者表面は、例えば、創傷の部位における患者の皮膚であり得る。示されるように、脚部1206、1208は、例えば、縫合ブリッジが静置状態にあるときに約150度の、ブリッジの2つの脚部の間の角度として画定される脚部静置角を形成し、脚部および支持体は、横断部材を患者表面PS1から離れるように隆起させる役割を果たし得る。
【0074】
図12Bに示されるように、外力「F1」が、横断部材1214等の縫合ブリッジ1200の一部に印加され得る。少なくともいくつかの実施例では、本外力「F1」は、縫合糸を緊締することによって印加される力であり得る。外力「F1」は、脚部の間の角度が、170度まで増加するように縫合ブリッジ1200を平坦化し得る。
図12Bでは、横断部材1214が、静置状態にあるときよりも外力が印加されるときに患者表面「PS1」に接近することに留意されたい。本平坦化された条件において、医師は、上記に説明される技法のいずれかを使用して、縫合糸を介して縫合ブリッジを創傷に結合し始め得る。
【0075】
縫合ブリッジ1200の少なくとも一部は、外力「F1」が除去された後にその元の条件に戻る材料から形成されてもよい。したがって、縫合ブリッジ1200は、ばねとして作用し得、いかなる外力もないその静置条件に戻るための記憶を有し得る。具体的には、外力「F1」が、除去されると、縫合ブリッジは、
図12Aに示される同一または類似する条件に戻り得る。ブリッジは、患者の皮膚に結合されるため、縫合ブリッジ1200をその静置条件に戻すステップは、患者表面「PS1」を寄せ集め、それを横断部材の真下の空洞まで引き上げるであろう(
図12C)。本技法には、少なくとも2つの利点が存在する。第1に、患者の皮膚をこのように寄せ集めるステップは、創傷外転をもたらし、これは、前述に議論される恩恵の少なくともいくつかのものを提供すると考えられる。加えて、真皮深部および表面皮下組織の並置が、本デバイスを部分的に圧縮する、内向きの圧縮力から可能になる。加えて、創傷が、組織に見掛け損傷なく、非常に高い張力下で閉鎖され得る。これは、本デバイスを用いずに実施される同一の縫合と比較するときの、皮膚から外に出る縫合糸の角度および本デバイスの増加された表面積からの両方の結果であると考えられる。
【0076】
加えて、いかなる特定の理論にも拘束されるわけではないが、縫合ブリッジが、外力が除去されるときにその静置条件まで跳ね返る程度が、シェルまたは挿入体のいずれかの材料の硬度(すなわち、デュロメータ)に関連すると考えられる。少なくともいくつかの実施例では、縫合ブリッジのシェルは、挿入体よりも低い硬度を有する。少なくともいくつかの実施例では、シェルは、80~90のShore Aデュロメータまたは30のShore Aデュロメータを有する、エラストマを含む。
【0077】
本デバイスの記憶を例証するために、脚部と、150.55度の脚部静置角度とを有する、縫合ブリッジが、形成された。16.5Nの圧縮力「F1」が、45分にわたって縫合ブリッジに印加された。圧縮力「F1」が、緩和されたとき、縫合ブリッジは、153度の脚部角度に戻った。ある臨床設定では、本反跳は、縫合の後、外力が除去された後に生じ、それに伴って組織を寄せ集めるであろう。
【0078】
縫合ブリッジの記憶性質に加えて、患者の皮膚を寄せ詰めるステップを改良するための付加的な特徴が、含まれてもよい。例えば、
図12Dの詳細図に示されるように、縫合ブリッジ1200は、皮膚接触部分1250を有する、脚部1208を含む。皮膚接触部分1250は、シェルの一部として形成されてもよい。加えて、少なくともいくつかの実施例では、各脚部上の皮膚接触部分1250は、皮膚接触部分が組織の寄せ集めを補助するように、患者表面「PS1」との必須摩擦係数を提供する粗い構造特徴を伴う、「粘性」材料または粗面を含んでもよい。少なくともいくつかの実施例では、皮膚接触部分の摩擦係数は、意図される用途に基づいて選定されるであろう。少なくともいくつかの実施例では、摩擦係数は、0.38~0.5または0.5~1である。
【0079】
使用時、本明細書に説明される縫合ブリッジのいずれかが、創傷を閉鎖することに役立ち得る。
図13A-Jに目を向けると、本デバイスの使用を示す、アニメーションからの一連のスクリーンショットが、提示される。縫合ブリッジは、モース外科手術の後に形成される、大きい創傷1300の閉鎖を補助するために使用され得る。創傷1300は、本実施例では、略楕円形であるものとして示される、比較的に大きい創傷として開始し得る。創傷を閉鎖するために、外科医は、最初に、針および縫合糸1305を用いて大咬合手技を実施し、2-0またはより大きいナイロン縫合糸を使用して、傷つけることなく、創傷の両側に、皮膚縁から約1cmの所に縫合糸を通過させ得る(
図13B)。医師は、次いで、縫合ブリッジの脚部が創傷の両側に配置され、横断部材が、創傷の真上に配置され、ブリッジの縦軸が創傷に対して略垂直である状態で、縫合ブリッジ1310を、創傷を横断して静置条件に設置し得る。縫合糸1305の端部または尾部は、まとめられ、次いで、縫合ブリッジ1310のスロットを通して挿入され、縫合糸の端部は、次いで、横断部材にわたって交差されてもよい(
図13C)。適切な張力が、例えば、クランプ1320を介して印加され、縫合糸を固着させ、本張力は、縫合ブリッジを平坦化させ、脚部の間の角度を増加させ、横断部材は、ここで、静置条件にあるときよりも創傷に近接し得る(
図13D)。本時点において、いったんクランプ1320が固着されると、縫合ブリッジ1310は、創傷1300上に圧力を及ぼし続け、皮膚を伸展させ、クランプは、約5~10分の間隔にわたって縫合糸を保持するために使用され得る(
図13E)。縫合糸1305は、連続的にクランプを外され、再緊締され、連続するモース層が初期の緊締の後に捉えられることを可能にし得る。縫合糸を緊締するステップは、組織の拡張後、創傷を、より容易に一体化させ、完全に伸展させるステップは、約30~60分以内に達成され得る。加えて、縫合ブリッジは、その隆起された静置条件に戻り、創傷を寄せ集め、外転させ、これを創傷空隙の中にもたらし、横断部材に向かって上方に持ち上げる(
図13F-G)。最後に、適切な量の時間の後、本デバイスは、除去され(
図13H)、創傷は、元の状態にあったときよりも実質的に小さくなり得る(
図13I)。線形の閉鎖が、次いで、ステープル1320、または縫合糸、接着剤、もしくは他の好適な方法を使用して実施され得る(
図13J)。本技法は、瘢痕の存在および/または出現を最小限にさせるために使用され得る。具体的には、本明細書に開示される縫合ブリッジのうちの1つを使用することによって、皮膚は、伸展され、より低い張力下での閉鎖を可能にし、皮膚の伸展は、目立った瘢痕の可能性を低減させることに役立ち得る。したがって、上記に概説されるステップを使用して瘢痕を低減させる方法が、考えられ、瘢痕修正外科手術もまた、本明細書に開示されるブリッジおよび技法を使用して可能となり得る。
【0080】
図14A-Dに示されるような、ブリッジの他の変形例もまた、可能性として考えられる。例えば、
図14Aは、より大きい創傷「W1」のために有用であり得る、H字形の縫合ブリッジ1400の概略上面図である。H字形のブリッジ1400は、概して、接続部材1420によってともに継合される、
図1に示されるもの等の2つのブリッジ部材1410、1412として形成される。
図14A-15は、ブリッジの隆起が見えない上面図を示すが、これらの図面の各ブリッジ部材が、脚部と、支持部と、創傷から隆起される横断部材とを含む、上記に説明されるブリッジに類似するように形成され得ることを理解されたい。加えて、ブリッジ部材はそれぞれ、上記に説明されるように、挿入体と、シェルとを含んでもよい。
図14Aの接続部材1420は、挿入体のために使用される材料のうちの少なくともいくつかのもの、またはシェルのために使用される材料のうちの少なくともいくつかのもの、もしくはそれらの組み合わせを含んでもよい。少なくともいくつかの実施例では、H字形のブリッジは、ブリッジ部材1410、1412および接続部材1420の両方のシェルを形成する、一体型のシェルを含む。
【0081】
いくつかの実施例では、接続部材1420は、2つのブリッジ部材1410、1420が、所望に応じて、相互に向かって、またはそれから離れるように角度を成し得るように、可撓性であってもよい。
図14Bに示されるように、ブリッジ部材1412は、ブリッジ部材が、1つを上回る場所において湾曲した創傷「W2」に対して垂直のままであるように、ブリッジ部材1410を基準として約10度の角度で配置される。少なくともいくつかの実施例では、ブリッジ部材1410、1412は、相互に平行であるが、それらの間に1~60度の角度を形成するように撓曲することが可能である。加えて、H字形の縫合ブリッジの代わりとして、3つのブリッジ部材1410、1412、1414を伴う、3つの部材から成るブリッジ1450等の変形例もまた、可能性として考えられ、各ブリッジ部材は、所望に応じて、可撓性または堅性の接続部材1420、1422によって接続され、創傷「W3」にわたって配置される(
図14C)。4つ、5つ、またはそれを上回るブリッジ部材を伴う変形例もまた、可能性として考えられることを理解されたい。
【0082】
図14Dは、X字形の縫合ブリッジ1460の概略上面図であり、ブリッジは、相互に垂直であり、中心小孔1465において交差する(またはともに継合される)、2つのブリッジ部材1462、1464を有する。X字形の縫合ブリッジ1460は、創傷にわたってより多くの横断部材の安定性を提供し得、医師にブリッジおよび縫合パターンに関する適切な構成またはレイアウトを選定することにおける柔軟性を提供し得る。本実施形態がまた、中心小孔1465が上記に説明されるものに類似する創傷の上方に隆起されるような、上昇された横断部材を検討することを理解されたい。1つの可能性として考えられる縫合パターンSP14が、示されているが、X字形の縫合ブリッジの中心小孔1465を通して通過するものを含む、他の縫合パターンも、可能性として考えられることを理解されたい。
【0083】
図15A-Bは、縫合ブリッジ1500の別の異形の概略上面および側面図である。縫合ブリッジ1500は、
図1の縫合ブリッジ100に類似し、一対の脚部と、一対の支持体と、横断部材とを有するブリッジ本体を形成する、挿入体1550および外側シェル1560の両方を有し、前述の実施形態の特徴の一部またはいずれかを含み得る。縫合ブリッジ1500はまた、上記に議論される材料を使用して、構成のうちのいずれかに形成され得る。縫合ブリッジ1500は、挿入体1550が、挿入体の一端から他端まで、実質的に均一な厚さを有するという点で、他の実施形態とわずかに異なる(すなわち、脚部、支持体、および横断部材に隣接する挿入体の一部は、同一の厚さで作製される)(
図15B参照)。代わりに、挿入体1550の堅性が、その幅を変化させることによって変動される。具体的には、
図15Aの上面図に示されるように、挿入体1550は、脚部に隣接する種々の幅を有し、挿入体の正中線に向かって幅が着実に増加し、横断部材において最大幅「WMAX」に到達する。したがって、挿入体は、一定の厚さを有するが(
図15B)、これはまた、横断部材において最も大きい堅性と、これが脚部に接近するにつれて、その長さに沿って減少する堅性とを有し得る。シェル1560はまた、その中に挿入体を適切に収容するための種々の幅を有し、シェルの幅は、挿入体のものに合致するように合わせられ得る。
【0084】
上記に説明される縫合ブリッジのいずれかが、
図16Aに示されるように、キット1600の一部として提供され得る。キット1600は、挿入体と、シェルとを有する(挿入体は、
図16Aに示されていない)、縫合ブリッジ1610等、本明細書に説明される縫合ブリッジのいずれかと、ワッシャの形態にある、保定器部材1620と、外科手術用針1630と、針に結合される、縫合糸1640の撚線とを含む。少なくともいくつかの実施例では、丸みを帯びた部分1654に遷移する平坦部分1652を有する、ハイブリッド縫合糸1650が、従来の縫合糸1640の代わりとして提供され得る。これらのもの等のハイブリッド縫合糸は、商標名FORCE FIBER FUSION (TM)としてTELEFLEX MEDICAL (TM)を通して入手可能である。少なくともいくつかの実施例では、縫合糸等の平坦部分は、皮膚に隣接して、切開部の辺縁に平行に整合するように配置されるであろう一方、丸みを帯びた部分は、横断部材に隣接して配置されるであろう。
【0085】
例えば、単純な断続縫合パターン等のいくつかの縫合パターンが、
図17Aのキットに関連して使用され得る。
図16Bは、キットとの併用のための1つの可能性として考えられる縫合パターンSP16を示す。示されるように、縫合糸保定器部材1620が、縫合ブリッジ1600の上に設置される。縫合パターンSP16は、縫合ブリッジのスロットを通して通過し、保定器(例えば、ワッシャ)の開口1622を通して螺入される。本実施形態では、保定器1620は、クランプ1675が(
図16C)、縫合糸の尾部を容易に握持するために使用され得るように、縫合糸の尾部をともに、かつ縫合ブリッジの上方の定位置に保つ役割を果たす。
【0086】
図17A-Cは、上記に説明されるものに類似するが、統合された保定器部材1720を有する、縫合ブリッジ1700の概略斜視図である。明確性のために、挿入体は、本図に示されていない。縫合ブリッジ1700は、一体型ヒンジ1725を介して横断部材に、一方の縁において取り付けられる、略長方形のフラップの形態にある、保定器部材1720を含み得る。一体型ヒンジ1725は、フラップが開放し(
図17A)、閉鎖する(
図17B)ことを可能にする、切れ目が入れられた、または薄くされた部分を含み得る。加えて、保定器部材1720は、示されるように、小孔1730を含んでもよい。統合された保定器部材1720を有することによって、別個のワッシャが、キットから排除され得る。
図17Cに示されるように、単純な縫合パターンSP17が、ブリッジ1700に関連して示されている。縫合糸の尾部は、保定器部材1720の小孔1730を通して通過し得る。閉鎖された位置における統合された保定器を用いて、縫合糸の尾部は、ともに寄せ集められ、クランプ1775を用いて縫合糸の両方の尾部を握持することが、より容易になる。本方法は、縫合糸の尾部を緊締し、解放する、いくつかの反復を含み得るため、統合された保定器は、縫合糸の尾部を迅速に位置特定し、握持することをより容易にし得る。
【0087】
2つの付加的な縫合パターンが、
図18A-Bに示され、2つの縫合パターンは、「プーリ」機構を利用する。ブリッジは、創傷(明確化のために図示せず)の真上に、それに略垂直に配置される。下記の縫合パターンでは、実線が、皮膚の上方に配置され、医師に可視であるパターンの一部を示し、点線が、皮膚の表面の下方にある、縫合パターンの一部を示す。
図18Aに示されるように、第1のシスプーリ縫合パターンSP18Aは、2つの略垂直の区分(すなわち、ブリッジの縦軸と整合される)、すなわち、2つのスロットの間の一方、および2つの縫合糸の尾部T1、T2を結合する他方を形成する、縫合パターンと、患者の皮膚下のX字形の配列とを含む。代替として、2つのスロットの間に形成される、垂直の区分と、2つの縫合糸の尾部の結合部から形成される斜線とを含む、トランスプーリ縫合パターンSP18Bが、使用されてもよい。
【0088】
図18Cは、2つの中心小孔を有する縫合ブリッジ1800C、および2つの中心小孔を利用する単純なパターンSP18Cの別の鳥瞰図を示す。本実施例では、パターンSP18Cの2つの尾部T1、T2は、中心小孔から外に延在し、ともに結合される。本構成の類似する断面図もまた、
図18Fに示されることに留意されたい。
【0089】
図18D-Gは、1つまたはそれを上回る中心小孔を利用する、いくつかの可能性として考えられる縫合パターンを示す、概略断面図である。
図18D-Eでは、単一の中心小孔1821が、示されており、中心小孔1821を利用する、2つの可能性として考えられるパターンSP18D、SP18Eが、示される。中心小孔1821およびスロット(図示せず)の両方を利用する、縫合パターンの変形例もまた、可能性として考えられ得る。
図18F-Gでは、2つの中心小孔1822a、1822bが、横断部材の中に形成され、相互から離間され、小孔を利用する、2つの可能性として考えられるパターンSP18F、SP18Gが、示されている。中心小孔およびスロット(図示せず)のうちの2つを利用する、縫合パターンの変形例もまた、可能性として考えられ得る。
【0090】
最後に、少なくともいくつかの実施例では、組み合わせられたクランプワッシャが、
図19に示されるように使用され得る。クランプ1900は、概して、一対のリングハンドル1902、ラチェット1904、シャンク1906、ピボット1908、および顎状部先端1910の従来的要素を含み得る。示されるように、保定器1920は、顎状部先端のうちの一方と一体的に成形される。保定器1920は、顎状部と同一の材料(例えば、ステンレス鋼)、または異なる材料(例えば、ポリマー)から形成されてもよく、それに結合される、もしくはそれと一体的に形成されてもよい。クランプ1900の本統合された構成は、縫合糸SP19のより容易な捕捉および操作を可能にし得る。詳細図に示されるように、保定器1920は、保定器の中の中心開口部を通して通過する縫合糸が、クランプの2つの顎状部の間で握持され得るように、顎状部先端1910のわずかに下方に配置される。
[1]上記の開示は、独立的有用性を伴う、複数の明確に異なる発明を包含する。各またはこれらの発明は、特定の形態で開示されているが、上記に開示および例証される具体的な実施形態は、多数の変形例が可能性として考えられるため、限定的な意味で考慮されるべきではない。本発明の主題は、そのような発明に関連して上記に開示され、かつ当業者に固有である、種々の要素、特徴、機能、および/または性質の全ての新規かつ非自明の組み合わせと、副次的組み合わせとを含む。本開示または続いて出願される請求項は、「1つの」要素、「第一の」要素、もしくは任意のそのような同等の用語を列挙している場合、本開示または請求項は、1つまたはそれを上回るそのような要素を組み込み、2つまたはそれを上回るそのような要素を要求も排除もしないと理解されるべきである。