(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】電動巻上下装置用制御装置
(51)【国際特許分類】
H02P 25/16 20060101AFI20230703BHJP
B66D 1/46 20060101ALI20230703BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H02P25/16
B66D1/46 Z
H02M1/08 311A
(21)【出願番号】P 2021558233
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(86)【国際出願番号】 JP2020039631
(87)【国際公開番号】W WO2021100397
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2019208954
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000129367
【氏名又は名称】株式会社キトー
(74)【代理人】
【識別番号】100120101
【氏名又は名称】畑▲崎▼ 昭
(72)【発明者】
【氏名】井戸 勇作
(72)【発明者】
【氏名】山野 正
(72)【発明者】
【氏名】一色 拓真
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-262595(JP,A)
【文献】特開平9-191681(JP,A)
【文献】特開平6-165588(JP,A)
【文献】中国実用新案第202218190(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/16
B66D 1/46
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無接点スイッチング素子(21-1~21-5)及び該無接点スイッチング素子のON/OFF制御を行なうマイクロコンピュータ(23)を搭載した制御基板(20)を備え、該制御基板(20)の入力側に3個の供給端子(Rt,St,Tt)と出力側に前記供給端子(Rt,St,Tt)のそれぞれに対応して3個の出力端子(Ut,Vt,Wt)を有し、
三相交流電動機(10)を使用する場合には、前記供給端子(Rt,St,Tt)に三相交流電源(100)を接続し、前記出力端子(Ut,Vt,Wt)に三相交流電動機(10)を接続し、前記マイクロコンピュータ(23)により前記無接点スイッチング素子(21-1~21-5)を制御して前記三相交流電動機(10)に供給される交流電流を制御し、
単相交流電動機(50)を使用する場合には、前記制御基板(20)の3個の前記供給端子(Rt,St,Tt)の内の2個の供給端子(Rt,St)を第1接続部材(61)で電気的に接続して単相交流電源(200)の一方の端子を接続する単相交流電源供給端子(SP1)とし、残る供給端子(Tt)に第2接続部材(62)を接続すると共に単相交流電源の他方の端子を接続する単相交流電源供給端子(SP2)とし、
前記単相交流電源供給端子(SP1,SP2)の間に単相交流電源(200)を接続し、前記電気的に接続された前記供給端子(Rt,St)に対応する前記出力端子(Ut,Vt)の1つの出力端子(Ut)と、前記残る供給端子(Tt)に対応する前記出力端子(Wt)から出力される交流電流が前記単相交流電動機(50)の主巻線(51)を通るように主巻線通電路を形成し、他の出力端子(Vt)と前記第2接続部材(62)から出力される交流電流が前記単相交流電動機(50)の補助巻線(52)を通るように補助巻線通電路を形成し、前記マイクロコンピュータ(23)により前記無接点スイッチング素子(21-1~21-5)を制御して主巻線(51)および補助巻線(52)に供給される交流電流を制御することを特徴とする電動巻上下装置用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動巻上下装置用制御装置において、
前記三相交流電動機(10)を使用する場合で該三相交流電動機(10)の正転・逆転の切換えは前記無接点スイッチング素子(21-1~21-5)のON/OFF制御により前記三相交流の二相を入れ替えて行い、
前記単相交流電動機(50)を使用する場合で該単相交流電動機(50)の正転・逆転の切換えは前記無接点スイッチング素子(21-1~21-5)のON/OFF制御により前記単相交流電動機(50)の主巻線(51)に流れる主電流を正転の場合と逆転の場合で位相を180度反転するように切換えを行うことを特徴とする電動巻上下装置用制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電動巻上下装置用制御装置において、
前記主巻線通電路は、前記主巻線(51)と全波整流回路(26)の入力側とモータスタートリレー(63)の作動コイル(63c)とを直列に接続し、電磁ブレーキ(27)の励磁コイル(27a)を前記全波整流回路(26)の出力側に接続した構成であり、
前記補助巻線通電路は、前記補助巻線(52)と進相コンデンサ(65)とモータスタートリレー(63)の接点(63a,63b)とを直列に接続した構成であり、
前記モータスタートリレー(63)により前記補助巻線通電路をON/OFF制御できるようになっていることを特徴とする電動巻上下装置用制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電動巻上下装置用制御装置において、
前記主巻線通電路は、前記主巻線(51)と全波整流回路(26)の入力側とを直列に接続し、電磁ブレーキ(27)の励磁コイル(27a)を前記全波整流回路(26)の出力側に接続した構成であり、
前記補助巻線通電路は、前記補助巻線(52)と進相コンデンサ(65)とを直列に接続した構成であり、単相交流電動機の主巻線通電路に流れる電流の大きさにより前記マイクロコンピュータ(23)で前記無接点スイッチング素子(21-2)をON/OFF制御し、補助巻線通電路に流れる電流を遮断できるようになっていることを特徴とする電動巻上下装置用制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動巻上下装置用制御装置において、
前記供給端子(Rt,St,Tt)のそれぞれに接続されたパターン配線(22-1,22-2,22-3)の内の2個のパターン配線(22-2,22-3)に、それぞれ測定範囲の異なる電流センサ(28S,28T)を設けたことを特徴とする電動巻上下装置用制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電動巻上下装置用制御装置において、
前記単相交流電動機(50)の前記主巻線(51)に電流を通電するパターン配線(22-3)に、測定範囲の大きな電流センサ(28T)を設け、前記補助巻線(52)に電流を通電するパターン配線(22-2)に、測定範囲の小さな電流センサ(28S)を設けたことを特徴とする電動巻上下装置用制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電動巻上下装置用制御装置において、
前記供給端子(Rt,St,Tt)に接続された三相交流電源(100)の2相間電圧又は前記単相交流電源供給端子(SP1,SP2)に接続された単相交流電源(200)の単相電圧が入力され、該単相電圧が入力された場合にこれを倍圧にすることにより前記三相交流電源の2相間電圧と同じにする単相電圧倍圧手段(40)を具備する制御電源回路(24)を設け、前記マイクロコンピュータ(23)と前記制御電源回路(24)を含む制御回路ブロック(25)の共通化を図ったことを特徴とする電動巻上下装置用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンブロックやロープホイスト等の重量物(以下「荷」と言う)を巻上げ下げ(以下「巻上下」と記す)する電動巻上下装置用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動巻上下装置の多くは、荷を巻上下(上昇・下降)する電動機に三相交流電動機を使用するものと、単相交流電動機を使用するものとがある。そしてそれぞれ異なる構成の制御基板を使用して、電動巻上下装置の制御装置を構成している。しかしこのように荷巻上下用電動機が三相か単相かによって異なる構成の制御基板を使用する電動巻上下装置の制御装置では、電動機が三相か又は単相かの違いにより、制御基板に異なる構成の制御基板を準備しなければならず、コスト高になるという問題があった。また、電源電圧の違いに応じて異なる構成の制御電源回路を準備しなければならないという問題もあった。
【0003】
そのため、電動機に単相交流電動機又は三相交流電動機を使用する装置に、共通の位相制御可能な制御基板を使用して、該制御基板に単相交流電動機と三相交流電動機のどちらでも接続できるようにした装置(空気調和装置)が特許文献1に開示されている。この装置は
図4に示すように、制御基板101上に三相ソリッドステートリレー102、三相電源入力用接続コネクタ103、単相電源入力用接続コネクタ104、三相電源出力用接続コネクタ105、単相電源出力用接続コネクタ106、IC回路107を配置し、それぞれパターン配線108により接続した構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたものは、三相ソリッドステートリレー102の三相の通電路の一相の通電路を単相交流電動機の駆動用に利用するだけであり、三相ソリッドステートリレーの逆回転時の通電路を除く正回転時の三個の通電路の全部を単相交流電動機の駆動に利用するように構成したものではない。そのため単相交流電動機を使用する場合は、三相ソリッドステートリレーの無接点スイッチング素子の一部に大きな負担がかかるという問題がある。また、特許文献1に開示されたものは、交流電動機の正転逆転を考慮した技術でないため、電動巻上下装置のように荷の巻上下運転を頻繁に行う、即ち荷の巻上下の為に交流電動機の正転・逆転運転を頻繁に行う装置に使用できないという問題もある。
【0006】
本発明は上述に鑑みてなされたもので、荷巻上下用電動機に三相交流電動機を使用する場合は制御基板の出力側に該三相交流電動機を接続するだけで、単相交流電動機を使用する場合は該制御基板に簡単な接続部材を使用するだけで、その出力側に単相交流電動機を接続でき、該制御基板自体に何ら変更を加えること無く、三相交流電動機と単相交流電動機に共用できる電動巻上下装置用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、無接点スイッチング素子(21-1~21-5)及び該無接点スイッチング素子のON/OFF制御を行なうマイクロコンピュータ(23)を搭載した制御基板(20)を備え、該制御基板(20)の入力側に3個の供給端子(Rt,St,Tt)と出力側に前記供給端子(Rt,St,Tt)のそれぞれに対応して3個の出力端子(Ut,Vt,Wt)を有し、三相交流電動機(10)を使用する場合には、前記供給端子(Rt,St,Tt)に三相交流電源(100)を接続し、前記出力端子(Ut,Vt,Wt)に三相交流電動機(10)を接続し、前記マイクロコンピュータ(23)により前記無接点スイッチング素子(21-1~21-5)を制御して前記三相交流電動機(10)に供給される交流電流を制御し、単相交流電動機(50)を使用する場合には、前記制御基板(20)の3個の前記供給端子(Rt,St,Tt)の内の2個の供給端子(Rt,St)を第1接続部材(61)で電気的に接続して単相交流電源(200)の一方の端子を接続する単相交流電源供給端子(SP1)とし、残る供給端子(Tt)に第2接続部材(62)を接続すると共に単相交流電源の他方の端子を接続する単相交流電源供給端子(SP2)とし、前記単相交流電源供給端子(SP1,SP2)の間に単相交流電源(200)を接続し、前記電気的に接続された前記供給端子(Rt,St)に対応する前記出力端子(Ut,Vt)の1つの出力端子(Ut)と、前記残る供給端子(Tt)に対応する前記出力端子(Wt)から出力される交流電流が前記単相交流電動機(50)の主巻線(51)を通るように主巻線通電路を形成し、他の出力端子(Vt)と前記第2接続部材(62)から出力される交流電流が前記単相交流電動機(50)の補助巻線(52)を通るように補助巻線通電路を形成し、前記マイクロコンピュータ(23)により前記無接点スイッチング素子(21-1~21-5)を制御して主巻線(51)および補助巻線(52)に供給される交流電流を制御することを特徴とする電動巻上下装置用制御装置にある。
【0008】
また、本発明は、上記電動巻上下装置用制御装置において、前記三相交流電動機(10)を使用する場合で該三相交流電動機(10)の正転・逆転の切換えは前記無接点スイッチング素子(21-1~21-5)のON/OFF制御により前記三相交流の二相を入れ替えて行い、前記単相交流電動機(50)を使用する場合で該単相交流電動機(50)の正転・逆転の切換えは前記無接点スイッチング素子(21-1~21-5)のON/OFF制御により前記単相交流電動機(50)の主巻線(51)に流れる主電流を正転の場合と逆転の場合とで位相を180度反転するように切換えを行うことを特徴とする電動巻上下装置用制御装置にある。なおこのとき補助巻線(52)に流れる補助電流は、正転の場合と逆転の場合とで位相を変更しないようにする。
【0009】
また、本発明は、上記電動巻上下装置用制御装置において、前記主巻線通電路は、前記主巻線(51)と全波整流回路(26)の入力側とモータスタートリレー(63)の作動コイル(63c)とを直列に接続し、電磁ブレーキ(27)の励磁コイル(27a)を前記全波整流回路(26)の出力側に接続した構成であり、前記補助巻線通電路は、前記補助巻線(52)と進相コンデンサ(65)とモータスタートリレー(63)の接点(63a,63b)とを直列に接続した構成であり、前記モータスタートリレー(63)により前記補助巻線通電路をON/OFF制御できるようになっていることを特徴とする電動巻上下装置用制御装置にある。
【0010】
また、本発明は、上記電動巻上下装置用制御装置において、前記主巻線通電路は、前記主巻線(51)と全波整流回路(26)の入力側とを直列に接続し、電磁ブレーキ(27)の励磁コイル(27a)を前記全波整流回路(26)の出力側に接続した構成であり、前記補助巻線通電路は、前記補助巻線(52)と進相コンデンサ(65)とを直列に接続した構成であり、単相交流電動機の主巻線通電路に流れる電流の大きさにより前記マイクロコンピュータ(23)で前記無接点スイッチング素子(21-2)をON/OFF制御し、補助巻線通電路に流れる電流を遮断できるようになっていることを特徴とする電動巻上下装置用制御装置にある。
【0011】
また、本発明は、上記電動巻上下装置用制御装置において、前記供給端子(Rt,St,Tt)のそれぞれに接続されたパターン配線(22-1,22-2,22-3)の内の2個のパターン配線(22-2,22-3)に、それぞれ測定範囲の異なる電流センサ(28S,28T)を設けたことを特徴とする電動巻上下装置用制御装置にある。
【0012】
また、本発明は、上記電動巻上下装置用制御装置において、前記単相交流電動機(50)の前記主巻線(51)に電流を通電するパターン配線(22-3)に測定範囲の大きな電流センサ(28T)を設け、前記補助巻線(52)に電流を通電するパターン配線(22-2)に測定範囲の小さな電流センサ(28S)を設けたことを特徴とする電動巻上下装置用制御装置にある。
【0013】
また、本発明は、上記電動巻上下装置用制御装置において、前記供給端子(Rt,St,Tt)に接続された三相交流電源(100)の2相間電圧又は前記単相交流電源供給端子(SP1,SP2)に接続された単相交流電源(200)の単相電圧が入力され、該単相電圧が入力された場合にこれを倍圧にすることにより前記三相交流電源の2相間電圧と同じにする単相電圧倍圧手段(40)を具備する制御電源回路(24)を設け、前記マイクロコンピュータ(23)と前記制御電源回路(24)を含む制御回路ブロック(25)の共通化を図ったことを特徴とする電動巻上下装置用制御装置にある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、荷巻上下用電動機として三相交流電動機(10)を使用する場合は制御基板(20)の出力端子(Ut,Vt,Wt)に三相交流電動機(10)の各相巻線の引出し線(11-1~11-3)を接続するだけで、単相交流電動機(50)を使用する場合は、制御基板(20)の2個の出力端子(Ut,Vt)にそれぞれ単相交流電動機の主巻線(51)の引出し線(66-1)及び補助巻線(52)の引出し線(66-3)を接続するだけでよい。よって、三相交流電動機(10)及び単相交流電動機(50)を使用することが可能な電動巻上下装置用制御装置の主要部品である制御基板(20)を安価に提供できると共に、この安価な制御基板(20)を主要部品として電動巻上下装置用制御装置を構成するので、該電動巻上下装置用制御装置自体も安価に提供できる。
【0015】
また、制御基板(20)に第1接続部材(61)と第2接続部材(62)を付加するだけで、単相交流電動機(50)を使用する場合の電動巻上下装置用制御装置を構成できるから、単相交流電動機(50)を使用する場合の電動巻上下装置用制御装置を安価に提供できる。
【0016】
また、制御基板(20)の入力側の供給端子(Rt,St,Tt)と出力側の出力端子(Ut,Vt,Wt)の間に配置されている無接点スイッチング素子(21-1~21-5)のON/OFF制御により、三相交流電動機を使用する場合の正・逆回転の二相切換え及び単相交流電動機を使用する場合の正・逆回転の主巻線に流れる電流の位相を180度反転する(180度位相をずらす)ように切換えができるので、正・逆回転の切換制御が無接点スイッチング素子のON/OFF制御のみにより実施できる。
【0017】
更に荷巻上下用電動機として三相交流電動機(10)を使用する場合も、単相交流電動機(50)を使用する場合も、無接点スイッチング素子(21-1~21-5)を含む通電路を略均等に使用することになり、無接点スイッチング素子等の寿命を長く維持することが可能となる。
【0018】
また、単相交流電動機(50)の荷巻上げ又は荷巻下げの運転開始から主巻線(51)に流れる電流が所定の値に達した後や所定時間経過後(例えば回転が安定するタイミングで)、無接点スイッチング素子(21-2)をOFFとして、その後の補助巻線(52)に流れる電流を停止することにより、補助巻線(52)等により消費される電力を無くし、省エネルギーの効果が得られる。更に、無接点スイッチング素子(21-2)のOFFにより、モータスタートリレーを必要としないでこの省エネルギーの効果を達成できるので、モータスタートリレーを必要としない分安価にできる。
【0019】
また、三相交流電動機(10)及び単相交流電動機(50)を使用することが可能な電動巻上下装置用制御装置の主要部品である制御基板(20)において、単相交流電動機(50)の主巻線(51)に電流を通電するパターン配線(22-3)に測定範囲の大きな電流センサ(28T)を設け、補助巻線(52)に電流を通電するパターン配線(22-2)に測定範囲の小さな電流センサ(28S)を設けたことで、三相交流電動機を制御する場合(
図8)は、三相交流電動機の電流を測定するのに適した測定範囲の小さい電流センサ(28S)による測定結果を主体に電力を算出し、単相交流電動機を制御する場合(
図9)は、単相交流電動機の電流を測定するのに適した測定範囲の大きい電流センサ(28T)による測定結果を主体に電力を算出するようにしたので、電力算出結果によるモータ負荷を検出する精度を改善することができ、定格電流の小さい三相交流電動機(例えば電圧460V)、定格電流の大きい単相交流電動機(例えば電圧100V)でも、電流・電力検出のための検出回路の共通化が可能となる。
【0020】
また、本発明は、制御電源回路(24)に、単相電圧を倍圧にする単相電圧倍圧手段(40)を設けたことにより、マイクロコンピュータ(23)と制御電源回路(24)を含む制御回路ブロック(25)を単相電圧が異なる複数の単相電源に共通化が可能となり、その製造機種を大幅に削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る電動巻上下装置用制御装置の出力部に三相交流電動機を接続した構成例を示す図である。
【
図2】本発明に係る電動巻上下装置用制御装置の出力部に単相交流電動機を接続した構成例を示す図である。
【
図3】本発明に係る電動巻上下装置用制御装置の出力部に単相交流電動機を接続した構成例を示す図である。
【
図4】上記特許文献1に開示された空気調和装置の回路構成を示す図である。
【
図5】単相倍電圧による制御回路ブロックの共通化を説明するための図である。
【
図7】本発明に係る電動巻上下装置用制御装置の制御フローを示す図である。
【
図8】本発明に係る電動巻上下装置用制御装置の出力部に三相交流電動機を接続した構成例を示す図である。
【
図9】本発明に係る電動巻上下装置用制御装置の出力部に単相交流電動機を接続した構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明に係る電動巻上下装置用制御装置の基本的全体構成例を示す図である。ここでは電動巻上下装置の荷を巻上下(上昇・下降)する電動機に三相交流電動機(ここでは三相誘導電動機)10を使用する例を説明する。本電動巻上下装置用制御装置は制御基板20を具備し、該制御基板20に三相用無接点デバイス(ソリッドステートリレーSSR)21を構成する5個の無接点スイッチング素子21-1~21-5が搭載されている。ここで無接点スイッチング素子21-1~21-3は三相交流電動機10を正回転、即ち荷を巻上げる(上昇させる)方向に回転させるための素子であり、無接点スイッチング素子21-4、21-2、21-5(例えば半導体スイッチであるトライアック)は三相交流電動機10を逆回転、即ち荷を巻下げる(下降させる)方向に回転させるための素子である。
【0023】
また、制御基板20にはその入力側に三相交流電源100から三相交流を供給するための3個の供給端子Rt、St、Ttと、三相交流電動機10に該制御基板20で制御された三相交流を出力するための3個の出力端子Ut、Vt、Wtが設けられている。そして供給端子Rtと出力端子Utとの間にはパターン配線22-1を介して無接点スイッチング素子21-1が配置され、供給端子Stと出力端子Vtとの間にはパターン配線22-2を介して無接点スイッチング素子21-2が配置され、供給端子Ttと出力端子Wtとの間にはパターン配線22-3を介して無接点スイッチング素子21-3が配置され、それぞれ三相交流電動機10にその回転子(図示せず)を正回転させる回転磁界を発生させる三相交流電流を供給するための下記する3個の通電路を形成している。
【0024】
また、供給端子Rtと出力端子Wtとの間にはパターン配線22-4を介して無接点スイッチング素子21-4が配置され、供給端子Ttと出力端子Utとの間にはパターン配線22-5を介して無接点スイッチング素子21-5が配置されている。この無接点スイッチング素子21-4とパターン配線22-4、無接点スイッチング素子21-5とパターン配線22-5、及び上記無接点スイッチング素子21-2とパターン配線22-2とで、それぞれ三相交流電動機10にその回転子を逆回転させるための回転磁界を発生させる三相交流電流を供給する3個の下記する通電路を形成している。
【0025】
また、供給端子Rtと無接点スイッチング素子21-1の間にはパターン配線22-1を介して三相交流電動機10の巻線に供給されるR相電流を検出する電流センサ(ホールIC)28Rが配置され、供給端子Ttと無接点スイッチング素子21-3の間にはパターン配線22-3を介して三相交流電動機10の巻線に供給されるT相電流を検出する電流センサ(ホールIC)28Tが配置されている。また、図に示す通り、電流センサ28Rは、無接点スイッチング素子21-4を通る電流も検出できる位置に配置され、電流センサ28Tは無接点スイッチング素子21-5を通る電流も検出できる位置に配置されている。
【0026】
また、上記制御基板20には、マイクロコンピュータ23や制御電源回路24を具備する制御回路ブロック25も搭載されている。制御電源回路24には供給端子Stと供給端子Ttとの相間に入力された交流電圧(相間電圧)がパターン配線22-6、22-7を介して制御電源回路24に入力している。また、電流センサ28R、28Tで検出された検出電流IR、ITはマイクロコンピュータ23に入力されるようになっている。三相交流電動機10のステータの三相中二相の巻線に接続された引出し線11-1、11-2が制御基板20の出力端子Ut、Vtにそれぞれ接続され、更に三相交流電動機10のステータの残りの相の巻線に接続された引き出し線11-3が全波整流回路26を介して制御基板20の出力端子Wtに接続されている。
【0027】
また、27は電磁ブレーキであり、該電磁ブレーキ27の励磁コイル27aは全波整流回路26の出力端に接続されている。制御基板20の出力端子Wtからの交流電流は全波整流回路26で直流に変換され、励磁コイル27aにブレーキ電流として通電すると、電磁ブレーキ27が解放され、三相交流電動機10の回転子は非拘束状態になる。ここで通常、三相交流電動機10は、全波整流回路26、電磁ブレーキ27及び引出し線11-1~11-3等が各作用等を奏するように機械的、電気的に調整され、組み込まれた一つの製品としたものが多い。このように一つの製品としての三相交流電動機10を荷巻上下用電動機として使用する場合は、該三相交流電動機10を装置内に機械的に組み付け後、制御基板20の出力端子Ut、Vt、Wtに三相交流電動機10の引出し線11-1、11-2、11-3をそれぞれ接続するだけで、電動巻上下装置用制御装置を構成できる。
【0028】
30は本電動巻上下装置用制御装置の操作部であり、該操作部30は非常用押釦スイッチ31、巻上押釦スイッチ32、巻下押釦スイッチ33等を備えている。三相交流電源(商用三相電源)100が上記制御基板20の各供給端子Rt、St、Ttを介して投入された状態で、操作部30の例えば巻上押釦スイッチ32を押圧すると、マイクロコンピュータ23に巻上信号が出力され、該マイクロコンピュータ23の処理により、三相用無接点デバイス(ソリッドステートリレーSSR)21の無接点スイッチング素子21-1、21-2、21-3がON制御され、三相交流電動機10のそれぞれのステータ巻線にその回転子を荷を巻上げる方向に回転させる回転磁界を発生させる三相電流が供給される。これと同時に電磁ブレーキ27の励磁コイル27aには全波整流回路26を介してブレーキ電流が通電され、電磁ブレーキ27が解放される。これにより三相交流電動機10の回転子は荷巻上げ方向に回転し、荷を巻上げる(上昇させる)。
【0029】
また、荷が所定の位置に達したら、巻上押釦スイッチ32の押圧を停止することにより、マイクロコンピュータ23への上記巻上信号が停止され、マイクロコンピュータ23の処理により、無接点スイッチング素子21-1、21-2、21-3が開放(OFF)され、三相交流電動機10の電流が停止すると同時に、電磁ブレーキ27の励磁コイル27aへのブレーキ電流が停止し、電磁ブレーキ27が機械的に作動して、三相交流電動機10の回転子は停止(拘束)される。
【0030】
操作部30の巻下押釦スイッチ33が押圧されると、マイクロコンピュータ23に巻下信号が出力され、マイクロコンピュータ23の処理により、三相用無接点デバイス21の無接点スイッチング素子21-4、21-2、21-5がON制御され、三相交流電動機10にその回転子を荷巻下げ方向に回転させる回転磁界を発生させる三相電流が供給される。これと同時に電磁ブレーキ27の励磁コイル27aには全波整流回路26を通してブレーキ電流が通電され、電磁ブレーキ27が解放される。これにより三相交流電動機10の回転子は回転し、荷を巻下げる(下降させる)。
【0031】
荷が所定の位置に達したら、巻下押釦スイッチ33の押圧を停止することにより、マイクロコンピュータ23への上記巻下信号が停止され、マイクロコンピュータ23の処理により、無接点スイッチング素子21-4、21-2、21-5が開放され、三相交流電動機10の電流が停止する。同時に電磁ブレーキ27の励磁コイル27aへのブレーキ電流が停止し、電磁ブレーキ27が機械的に作動し、三相交流電動機10の回転子は停止(拘束)される。
【0032】
上記のように制御基板20にはその対向する一対の側辺部(入力側と出力側)に、供給端子Rt、St、Ttと出力端子Ut、Vt、Wtとを設け、該供給端子Rt、St、Ttと出力端子Ut、Vt、Wtの間に三相交流電動機10の回転子を荷巻上方向に回転させる三相交流を通電させる巻上げ通電路(パターン配線22-1と無接点スイッチング素子21-1、パターン配線22-2と無接点スイッチング素子21-2、パターン配線22-3と無接点スイッチング素子21-3で構成されている)と、該荷巻上げ方向とは逆方向の荷巻下げ方向に回転させる三相交流を通電する巻下げ通電路(パターン配線22-4と無接点スイッチング素子21-4、パターン配線22-2と無接点スイッチング素子21-2、パターン配線22-5と無接点スイッチング素子21-5で構成されている)とを配置している。
【0033】
上記説明は、本発明に係る電動巻上下装置用制御装置の制御基板20の出力端子Ut、Vt、Wtにそれぞれ三相交流電動機10の各相巻線からの引出し線11-1、11-2、11-3を接続し、該三相交流電動機10の回転子を荷の巻上げ方向又は荷の巻下げ方向に運転制御する例を説明した。本発明に係る電動巻上下装置用制御装置は、制御基板20自体を何ら変更することなく、簡単な外部配線を追加して単相交流電源に接続し、また該制御基板20の出力側の出力端子Ut、Vt、Wtに単相交流電動機からの引出し線を接続するだけで、電動巻上下装置及びその制御装置を構成できるようになっている。以下、荷巻上下用電動機に単相交流電動機を使用した電動巻上下装置用制御装置の例を詳細に説明する。
【0034】
図2は荷巻上下用電動機に単相交流電動機50(ここでは単相誘導電動機)を使用した電動巻上下装置用制御装置の構成例を示す図である。
図2において、制御基板20自体は
図1に示す電動巻上下装置用制御装置の制御基板20と同じ構成である。即ち、制御基板20にはその入力側に3個の供給端子Rt、St、Ttと出力側に3個の出力端子Ut、Vt、Wtを備えている。そして供給端子Rtと出力端子Utとの間にはパターン配線22-1を介して無接点スイッチング素子21-1が配置され、供給端子Stと出力端子Vtとの間にはパターン配線22-2を介して無接点スイッチング素子21-2が配置され、供給端子Ttと出力端子Wtとの間にはパターン配線22-3を介して無接点スイッチング素子21-3が配置され、更に供給端子Rtと出力端子Wtとの間にはパターン配線22-4を介して無接点スイッチング素子21-4が配置され、供給端子Ttと出力端子Utとの間にはパターン配線22-5を介して無接点スイッチング素子21-5が配置されている。
【0035】
図2では、制御基板20の供給端子Rt、St、Ttが配置された入力側に、2本の渡り線(外部配線)61、62を追加している。そして第1の渡り線61は供給端子Rtと供給端子Stに接続され、これらを電気的に一体(短絡)にすると共に、その一端を単相交流電源200(商用単相電源)の一方の端子が接続される単相交流電源供給端子SP1としている。第2の渡り線62は供給端子Ttとモータスタートリレー63の接点63bに接続されこれらを電気的に一体(短絡)すると共に、その一端を単相交流電源(商用単相電源)200の他方の端子が接続される単相供給端子SP2としている。また、モータスタートリレー63の接点63aは第2の渡り線62を介して進相コンデンサ65に接続されている。
【0036】
制御基板20の出力端子Ut、Vt、Wtが配置された出力側には、単相交流電動機50が配置されている。該単相交流電動機50は主巻線51と補助巻線52を具備する構成であり、主巻線51の一端Uは引出し線66-1を介して制御基板20の出力端子Utに接続され、該主巻線51の他端Vは引出し線66-2を介して全波整流回路26の中間点に接続されている。全波整流回路26の出力端は電磁ブレーキ27の励磁コイル27aの一端に接続され、励磁コイル27aの他端は全波整流回路26及びモータスタートリレー63の作動コイル63cを経由して制御基板20の出力端子Wtに接続されている。補助巻線52の一端Yは引出し線66-3を介して制御基板20の出力端子Vtに接続され、該補助巻線52の他端Xは引出し線66-4を介して進相コンデンサ65の一端に接続され、該進相コンデンサ65の他端は上記のように渡り線62、モータスタートリレー63の接点63a,63b及び渡り線62を経由して供給端子Ttに接続されている。
【0037】
図2に示す電動巻上下装置用制御装置においても、
図1と同様、非常用押釦スイッチ31、巻上押釦スイッチ32、巻下押釦スイッチ33等を備えている操作部30やマイクロコンピュータ23及び制御電源回路24を具備する制御回路ブロック25を備えている。そして単相交流電源200を単相交流電源供給端子SP1と単相供給端子SP2との間に接続し、該単相交流電源を投入した状態で、操作部30の例えば巻上押釦スイッチ32を押圧すると、マイクロコンピュータ23に巻上信号が出力され、該マイクロコンピュータ23の処理により、無接点スイッチング素子21-1、21-2、21-3がON制御されるようになっている。
【0038】
そして制御基板20の出力端子Utから引出し線66-1を通って、単相交流電動機50の主巻線51の一端Uから他端Vを通って、更に、電磁ブレーキ27の励磁コイル27aが接続された全波整流回路26、モータスタートリレー63の作動コイル63c、制御基板20の出力端子Wt、パターン配線22-3及び無接点スイッチング素子21-3及び供給端子Ttを経由し単相供給端子SP2に主電流が流れる。ここで主巻線51、全波整流回路26等で構成する通電路を主巻線通電路と言う。主巻線51と全波整流回路26とモータスタートリレー63の作動コイル63cは直列に接続されていればよく、上記
図2以外の配置、例えば、出力端子Utと主巻線51の一端Uの間に電磁ブレーキ27の励磁コイル27aを接続するように配置しても良い。
【0039】
また、制御基板20の出力端子Vtから引出し線66-3を通って、単相交流電動機50の補助巻線52にその一端Yから他端Xに補助電流が流れ、更に該補助電流は引出し線66-4と進相コンデンサ65を経由し、更に渡り線62、モータスタートリレー63の接点63a、63b及び渡り線62を経由して単相供給端子SP2に流れる。ここで補助巻線52、進相コンデンサ65、モータスタートリレー63の接点(36a,36b)等で構成する通電路を補助巻線通電路という。補助巻線52と進相コンデンサ65とモータスタートリレー63の接点(36a,36b)は直列に接続されていれば良く、上記した
図2以外の配置、例えば、出力端子Vtと補助巻線52の一端Yとの間に始動用の進相コンデンサ65を配置するようにしても良い。
【0040】
上記のように、制御基板20から上記主巻線通電路を通って単相交流電動機50の主巻線51に主交流電流が流れ、補助巻線52に上記補助巻線通電路を通って進相コンデンサ65を経由して補助交流電流が流れることにより、前記主交流電流と該補助交流電流の間に位相差が生じ、単相交流電動機50のステータ内にその回転子53を荷の巻上方向に正回転させる回転磁界が発生し、該回転子53は回転磁界の回転方向と同方向に回転する。これにより単相交流電動機50の回転子53はマイクロコンピュータ23で指定された方向に回転を開始し、荷を巻上げる。なお、主巻線51に流れる主交流電流が所定の電流値以下になったら、モータスタートリレー63が作動し、その接点63a、63bが開き、上記補助巻線通電路を流れる補助電流を遮断する。これにより、単相交流電動機が起動し所定の回転に達した後の補助巻線通電路に流れる補助電流を無くすることができるから、省エネルギー効果を達成できる。
【0041】
一方、操作部30の巻下押釦スイッチ33が押圧された場合は、単相交流電動機50のステータ内に発生する回転磁界の回転方向を上記荷巻上方向と逆方向にする必要がある。つまり、単相交流電動機50の補助巻線52に流れる補助巻線電流の位相は巻上と巻下で同一位相(変更無し)としたままで、主巻線51に流れる主電流の位相を巻上と巻下で180度反転する(180度位相をずらす)ようにするために、荷巻上げ時と荷巻下げ時とで出力端子UtとWtと入力端子RtとTtの電気的接続を互いに逆になるように切換える必要がある。ここでは荷の巻上げでは、無接点スイッチング素子21-1、無接点スイッチング素子21-3及び無接点スイッチング素子21-2をON制御し、荷の巻下げでは、無接点スイッチング素子21-4、無接点スイッチング素子21-5及び無接点スイッチング素子21-2をON制御することにより、主巻線51を流れる主電流の位相は荷の巻上げと荷の巻下げとで180度反転する。具体的には巻上押釦スイッチ32が押圧された時はマイクロコンピュータ23の処理により無接点スイッチング素子21-1、無接点スイッチング素子21-3及び21-2をON制御し、主巻線51の一端Uに無接点スイッチング素子21-1を経由して単相交流電源供給端子SP1が電気的に接続され、他端Vに無接点スイッチング素子21-3を経由して単相交流電源供給端子SP2が電気的に接続され、巻下押釦スイッチ33が押圧された時はマイクロコンピュータ23の処理により、無接点スイッチング素子21-4、無接点スイッチング素子21-5及び無接点スイッチング素子21-2をON制御し、主巻線51の一端Uに無接点スイッチング素子21-5を経由して単相交流電源供給端子SP2が電気的に接続され、他端Vに無接点スイッチング素子21-4を経由して単相交流電源供給端子SP1が電気的に接続されるように切換えている。一方、補助巻線52の一端Yと他端Xについては、巻上押釦スイッチ32が押圧された時も巻下押釦スイッチ33が押圧された時も、一端Yは無接点スイッチング素子21-2と第1の渡り線61を経由して単相交流電源供給端子SP1に電気的に接続され、他端Xは進相コンデンサ65とモータスタートリレー63の接点63a、63bと第2の渡り線62を経由して単相交流電源供給端子SP2に電気的に接続されている。
【0042】
なお、荷の巻下げにおいても主巻線51に流れる主交流電流が所定の電流値以下になった時、所定のタイミングでモータスタートリレー63が作動し、その接点63a、63bが開き、上記補助巻線通電路を流れる補助電流を遮断する。このように、荷の巻上・巻下運転において、補助巻線通電路を流れる補助電流が所定の電流値以下になった時、補助電流を遮断する。これにより、単相交流電動機が起動して所定の回転に達した後の補助巻線通電路に流れる補助電流が無くなり省エネルギー効果が得られる。ここでは補助巻線52に流れる電流をON/OFFするのにモータスタートリレー63を用いる例を説明したが、補助巻線52に流れる電流をON/OFFできる開閉器であれば他の無接点開閉器又は有接点開閉器でもよい。
【0043】
図3は荷巻上下用電動機に
図2と同様、単相交流電動機50を使用した電動巻上下装置用制御装置の他の構成例を示す図である。
図3の電動巻上下装置用制御装置が
図2のそれと異なる点は、
図3ではモータスタートリレー63を使用することなく、単相交流電動機50の主巻線51の他端Vを、全波整流回路26、電磁ブレーキ27の励磁コイル27a及び全波整流回路26を経由して直接制御基板20の出力端子Wtに接続している点(
図2では全波整流回路26を出た後、モータスタートリレー63の作動コイル63cを経由して制御基板20の出力端子Wtに接続している)と、単相交流電動機50の補助巻線52の他端Xを、進相コンデンサ65、渡り線(第2外部配線)62を経由して単相交流電源供給端子SP2に接続している点(
図2では進相コンデンサ65を出た後、モータスタートリレー63の接点63a、63b、渡り線(第2外部配線)62を経由して単相交流電源供給端子SP2に接続している)である。
【0044】
図3の電動巻上下装置用制御装置において、操作部30の例えば巻上押釦スイッチ32が押圧されると制御回路ブロック25のマイクロコンピュータ23から制御基板20の無接点スイッチング素子21-1、21-2にON信号が出力され、出力端子Ut及びVtから単相交流電動機50の主巻線51及び補助巻線52に単相交流が供給される。これにより単相交流電動機50の主巻線51及び補助巻線52に流れる主電流と補助電流の間に進相コンデンサ65の静電容量に応じた位相差が発生し、単相交流電動機50のステータ内に回転子53を荷の巻上方向に回転させる回転磁界が発生して、該回転子53は該回転磁界の回転方向に回転する点、及び単相交流電動機50の正転・逆転の切換は、
図2の電動巻上下装置用制御装置と同じである。ここでは、主電流の電流値が所定値以下となるとマイクロコンピュータ23から所定のタイミングで無接点スイッチング素子21-2にOFF信号が出力され、無接点スイッチング素子21-2がOFFとなる。これにより補助巻線52を流れる補助電流は遮断される(
図2の電動巻上下装置用制御装置では主電流の値が所定の値以下となったらモータスタートリレー63が作動しその接点63a,63bをOFFとし、補助電流を遮断する)。
【0045】
上記のように、制御基板20の出力端子Ut及びVtからの単相交流が単相交流電動機50の主巻線51及び補助巻線52に流れることにより、単相交流電動機50のステータ内に回転磁界が発生し、単相交流電動機50の回転子53が荷の巻上方向又は巻下方向に回転することは、
図2の電動巻上下装置用制御装置と同じである。また、単相交流電動機50の荷の巻上又は巻下方向の回転から所定時間経過したら(例えば回転が安定したタイミング)、マイクロコンピュータ23からの指令信号により、無接点スイッチング素子21-2をOFFすることにより、OFF後の単相交流電動機50の補助巻線52に流れる電流を停止させ、その後に補助巻線52等で消費されるエネルギーを無くすことができ、省エネルギーの観点からも効果が期待できる点も
図2の電動巻上下装置用制御装置と同じである。
図3の電動巻上下装置用制御装置では
図2の装置のように、モータスタートリレー63を使用しない分安価に構成することができる。
【0046】
また、電動巻上下装置に使用する荷巻上下用電動機に三相交流電動機を使用する場合は
図1に示すように三相交流電源100の相間電圧(S相とT相間の電圧)を、単相交流電動機を使用する場合は
図2又は
図3に示すように単相交流電源200の単相電圧を、それぞれ制御電源回路24に導入している。そして
図5に示すように、単相電圧115V/230V(商用単相交流電源電圧)を制御電源回路24が具備する倍電圧回路で倍電圧にすることで、三相交流電源100の相間電圧230V/460V(商用三相交流電源電圧)と同じ値の電圧にしている。そしてこの交流(AC)230V/460Vを制御電源回路24で直流(DC)325V/650Vに変換することで、制御回路ブロック25の共通化を図っている。
【0047】
図6は上記制御電源回路24が具備する倍電圧回路40の一構成例を示す図である。該倍電圧回路40は入力部41、単相電源切換スイッチ42、単相用AC-DCコンバータ43、直流回路44、出力部45を具備する。単相電源切換スイッチ42は固定接点42a,42bと切換切片42cを備えている。単相用AC-DCコンバータ43は4個のダイオードD
1~D
4を備え、ダイオードD
1の陰極とダイオードD
3の陽極を接続すると共にダイオードD
2の陰極とダイオードD
4の陽極を接続し、ダイオードD
1及びダイオードD
2の陽極を陽極配線Pに接続し、ダイオードD
3及びダイオードD
4の陰極を陰極配線Nに接続してダイオードブリッジを形成している。直流回路44は4個のコンデンサC
1~C
4と2個の抵抗器R
1,R
2を具備し、コンデンサC
1とコンデンサC
3の直列回路と、コンデンサC
2とコンデンサC
4の直列回路を、それぞれのその両端を陽極配線Pと陰極配線Nに接続し、更に抵抗器R
1と抵抗器R
2の直列回路の両端を陽極配線Pと陰極配線Nに接続している。そして出力部45の端子45aに陽極配線Pの一端を接続すると共に端子45bに陰極配線Nの一端を接続している。
【0048】
入力部41の入力端子41aは単相用AC-DCコンバータ43のダイオードD1とダイオードD3の間に接続され、入力端子41bは単相電源切換スイッチ42の切換切片42cの一端に接続されている。また単相電源切換スイッチ42の固定接点42aは単相用AC-DCコンバータ43のダイオードD2とダイオードD4の間に接続され、固定接点42bは直流回路44のコンデンサC1とコンデンサC2の間、コンデンサC2とコンデンサC4の間、及び抵抗器R1,R2の間に接続されている。また、単相用AC-DCコンバータ43と直流回路44とに共通に配置されている陽極配線Pと陰極配線Nの一端はそれぞれ出力部45の端子45aと端子45bに接続されている。
【0049】
上記倍電圧回路40において、入力部41の入力端子41aと41bには、
図1乃至
図3の供給端子St、Ttのそれぞれに接続されたパターン配線22-2、22-3から分岐するパターン配線22-6、22-7が接続され、制御電源回路24には倍電圧回路40を介してその出力部45の端子45aと端子45bからの直流電圧が出力するようになっている。
【0050】
そして単相交流電動機50を使用する場合で、制御電源回路24が具備する
図6に示す倍電圧回路40で、単相電源電圧値が115Vの場合は、
図2及び
図3に示す単相交流電源供給端子SP1,SP2間に入力された115Vの単相交流電源電圧を単相電源切換スイッチ42の切換切片42cを固定接点42b側に切換えることで、直流回路44の平滑コンデンサC
1と平滑コンデンサC
3の接続点、平滑コンデンサC
2と平滑コンデンサC
4の接続点、及び抵抗器R
1と抵抗器R
2の接続点が入力端子41b(単相交流電源供給端子SP2)に接続されることになる。これにより三相交流電源100の相間電圧460Vと同じ値の交流(AC)電圧にし、そしてこの交流(AC)電圧460Vを制御電源回路24で直流(DC)325V/650Vに変換することで、制御回路ブロック25の共通化を図っている。
【0051】
上記のように、制御基板20に搭載された制御回路ブロック25には、マイクロコンピュータ23や制御電源回路24を備え、マイクロコンピュータ23には三相用無接点デバイス(三相ソリッドステートリレーSSR)21に入力される電圧に対応して無接点スイッチング素子21-1~21-5の各素子をON/OFF制御する各プログラムが格納されており、マイクロコンピュータ23は三相用無接点デバイス21の各無接点スイッチング素子21-1~21-5に入力される交流電圧を監視し、入力される交流電圧に対応するプログラムを呼び出し、各プログラムを実行して電動巻上下装置の運転制御を行っている。
【0052】
図7は荷の巻上下運転制御を行う処理フローを示す図である。ここで、荷の巻上下をする電動機を三相交流電動機とするか単相交流電動機とするかの切換えは、図示は省略するが、予め制御基板20等にDIPスイッチを設けておき、電動巻上下装置の荷巻上下用電動機が三相か単相かの切換えは、配線を
図1に示す状態か又は
図2又は
図3に示す状態に変更するとき、該DIPスイッチを操作してモードを変更できるようにしておくことが望ましい。
【0053】
先ず、上記のようにDIPスイッチの操作より、三相/単相のいずれかを設定し、ステップST1で電源を投入する。次いでステップST2で三相か単相かを確認し、三相であったらステップST10の三相処理フローに移行し、単相であったらステップST30の単相処理フローに移行する。
【0054】
ステップST10の三相処理フローでは、先ずステップST11で周波数を検出し、該検出した周波数が50Hzの場合はステップST12の50Hz処理フローに移行し、60Hzの場合はステップST13の60Hz処理フローに移行する。ステップST12の50Hz処理フローでは先ずステップST14で電圧を検出し、該検出電圧が200Vの場合(
図5では230V)はステップST15の200V処理に移行し、400Vの場合(
図5では460V)はステップST16の400V(
図5では460V)処理に移行する。また、ステップST13の60Hz処理フローでは先ずステップST17で電圧検出し、該検出電圧が200V(
図5では230V)の場合はステップST18の200V処理に移行し、400V(
図5では460V)の場合はステップST19の400V処理フローに移行する。ステップST15、ST16、ステップST18及びST19での各処理の終了後はそれぞれステップST20に移行し、各プログラムを呼び出し、三相交流電動機10の運転処理を実行する。
【0055】
また、ステップST30の単相処理フローでは、先ずステップST31で周波数を検出し、検出した周波数が50Hzの場合はステップST32の50Hz処理フローに移行し、周波数60Hzの場合はステップST33の60Hz処理フローに移行する。ステップST32の50Hz処理フローでは先ずステップST34で電圧を検出し、該検出電圧が115V(
図5では115V)の場合はステップST35の115V処理に移行し、230Vの場合はステップST36の230V処理に移行する。また、ステップST33の60Hz処理フローでは先ずステップST37で電圧を検出し、該検出電圧が115V(
図5では115V)の場合はステップST38の115V処理フローに移行し、230V(
図5では230V)の場合はステップST39の230V処理に移行する。ステップST35、ST36、ステップST38及びST39での各処理の終了後はそれぞれステップST40に移行し、各プログラムを呼び出し、単相交流電動機50の運転処理を実行する。
【0056】
上記のように、三相交流電動機10を使用する電動巻上下装置用制御装置(
図1参照)、単相交流電動機50を使用する電動巻上下装置用制御装置(
図2、
図3参照)は、それぞれ共通の制御基板20を用いて構成されている。そして該制御装置を使用して荷の巻上下を行うのであるが、この巻上下運転において各電動機(三相交流電動機10、単相交流電動機50)に供給される電流・電力を測定する必要がある。電動機が三相交流電動機10の場合は、
図1に示すように、パターン配線22-1、22-3に流れるR相、T相の電流を電流センサ28R、28Tで測定し、該測定値をマイクロコンピュータ23に送って、該マイクロコンピュータ23の処理により、電流と共に電力を算出している。
【0057】
また、電動機が単相交流電動機50の場合は、
図2、
図3に示すように、電流センサ28Rで単相交流電動機50の主巻線51に流れる主電流を測定し、該測定した主電流値をマイクロコンピュータ23に送って、該マイクロコンピュータ23の処理により、主電流を算出している。ここで単相交流電動機50の補助電流は、単相交流電動機50の起動後に所定時間が経過して回転が安定すると、無接点スイッチング素子21-2が開いて補助電流が遮断されるので、補助巻線52に流れる補助電流は、電動機の出力軸にかかる負荷算出のための電力算出において通常考慮しない。
【0058】
そして、三相交流電動機10の場合は電圧200V~230V又は400~460Vの三相交流電源100を、単相交流電動機50の場合は電圧115V又は230Vの単相交流電源200を使用する。そして三相交流電動機10のR相,T相の巻上電流IR,ITを測定する電流センサ28R、28Tには、単相交流電動機50を制御基板20に接続した場合、単相交流電動機50の主巻線51に流れる巻上電流(主電流)も流れることになるので、電流センサ28R、28Tの測定レンジは、単相交流電動機50の主巻線51に流れる巻上電流(主電流)を基に決定している。しかし、三相交流電動機10の各相に流れる電流値は、単相交流電動機50の主巻線51に流れる巻上電流(主電流)の半分以下であり、三相交流電動機10の電流値及び電力値を算出するには適切ではなく、また、両方の電動機の電流値及び電力値をマイコンで精度良く検知するには、回路を複雑化させるなど、サイズやコストに共通化のための技術的課題があった。また、単相交流電動機50の補助巻線52に流れる補助電流は、検出することが出来なかった。
【0059】
図8は上記課題を解消するために開発された電動巻上下装置用制御装置の基本的全体構成例を示す図で、電動機に三相交流電動機10を使用する例を示す。この電動巻上下装置用制御装置が
図1に示す電動巻上下装置用制御装置と異なる点は、制御基板20の三相交流電動機10の固定子にR相の電流を供給するためのパターン配線22-1に設けられていた電流センサ28Rを除去し、三相交流電動機10の固定子にS相の電流を供給するためのパターン配線22-2に電流センサ(ホールIC)28Sを設けた点と、電流センサ28Sの電流測定範囲の上限値を三相交流電動機10に流れるS相電流を基準に設定(7A)し、電流センサ(ホールIC)28Tの電流測定範囲の上限値を後述する
図9に示す単相交流モータの主巻線に流れる電流を基準に設定(15A)した点である。このように電流測定範囲の上限値がそれぞれ異なる2個の電流センサ28Sと電流センサ28Tを使用することにより、三相交流電動機と単相交流電動機に最適な共通の制御基板に改善できる。尚、三相交流電動機10に流れる電流値を基準に選定した測定範囲が狭い電流センサ28Sの耐電流値は、単相交流電動機50の補助巻線52に流れる最大電流値を十分に越えるように設定している。
【0060】
図9は上記問題を解消するために開発された電動巻上下装置用制御装置の基本的全体構成例を示す図で、電動機に単相交流電動機50を使用する例を示す。この電動巻上下装置用制御装置が
図3に示す電動巻上下装置用制御装置と異なる点は、制御基板20の単相交流電動機50の主巻線51に電流を供給するためのパターン配線22-1に設けた電流センサ28Rを除去し、単相交流電動機50の補助巻線52に電流を供給するためのパターン配線22-2に電流センサ28Sを設けた点(
図8に示す電動巻上下装置用制御装置の制御基板20と同じ)と、電流センサ28Sの電流測定範囲の上限値を前述の
図8に示す三相交流電動機10の固定子に流れるS相の電流を基準に設定(7A)し、単相交流電動機50の主幹線51に電流を供給するためのパターン配線22-3に設けられていた電流センサ28Tの電流測定範囲の上限値を単相交流電動機50の主巻線51に流れる電流を基準に設定(15A)した点である。即ち電流測定範囲の違う2個の電流センサ28Sと電流センサ28Tとを併用して、単相交流電動機50の電流・電力の検出(測定)の改善を行っている。このように電流検出精度を改善することにより、定格電流値が三相交流電動機よりも2倍以上大きい単相交流電動機の回路(制御基板20を含む)の共通化が可能となった。
【0061】
一般に単相交流電動機においては、電動機の始動時に主巻線と補助巻線に同時に電流を通電し、電動機が所定の回転数に達したら、補助巻線の電流を遮断するから、電流・電力の検出(測定)では主巻線に流れる電流が重要である。従って、
図9に示す構成の電動巻上下装置用制御装置では、補助巻線52に流れる補助電流は単相交流電動機50の荷の巻上下時に電動機の主に起動時に通電するだけで、回転数が所定の回転数になったら、マイクロコンピュータ23の制御により無接点スイッチング素子21-2をOFFとして該補助巻線52に流れる補助電流を遮断する。よって電流センサ28Sの測定が、その設定最大値を越えても耐電流値の範囲であればその影響は小さい。
図9の電動巻上下装置用制御装置では、単相交流電動機50の補助巻線52に流れる補助電流を検出する電流センサ28Sの検出上限値を7Aにしている。電流センサ28Sでは、補助巻線52に流れる起動時の電流値を正確に測定することは出来ないが、補助巻線等の欠相を検知することに用いることができる。三相交流電動機を使用する電動巻上下装置用制御装置では、上記のように電流・電力を精度良く検出するのに2個の電流センサを必要とするが、電流測定範囲の上限値15Aの2個の電流センサを使用し測定範囲の1/5以下の電流値を測定するよりも、
図8、
図9に示すように、電流測定範囲を三相交流電動機に流れる電流を基準に選定した電流測定範囲の狭い上限値7Aの電流センサ28Sと単相交流電動機に流れる電流を基準に選定した電流測定範囲の広い上限値15Aの電流センサ28Tを各1個ずつ使用した方が電力の検出(測定)精度が相対的に改善する。あるいは、電流センサ28Sのみの出力結果から三相交流電動機10の電力値を算出するようにしても良い。
【0062】
またここでは、三相交流電動機10を使用する電動巻上下装置用制御装置(
図8)と、単相交流電動機50を使用する電動巻上下装置用制御装置(
図9)とで、それぞれ測定範囲の異なる電流センサ28S及び28Tを配置し、電流検出精度を改善したことで、定格電流の小さい三相交流電動機(例えば460V)、定格電流の大きい単相電動機(例えば100V)で、電流・電力検出のための回路基板20を含む検出回路の共通化が可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0064】
例えば、
図8、
図9に示す制御基板20では、2つの電流センサ28S及び28Tが配置されているが、供給端子Rtと無接点スイッチング素子21-1及び無接点素子21-4を電気的に接続する共通のパターン配線22-1に、三相交流電動機10の電流値を測定するのに適した電流センサ28Sと電流測定範囲が同じ電流センサ28R(図示せず)を配置し、三相交流電動機10の電力を算出するようにすれば、電力値を精度良く算出することが出来る。
【0065】
また、3つの電流センサ28R、28S、28Tの電流測定範囲が全て異なる電流センサを配置し、2種類の測定範囲では達成できない電力算出精度を高めたり、電流範囲の異なる交流モータの電力測定を可能とすることが出来る。
【0066】
また、三相交流電源100または単相交流電源200の電圧を、トライアック(双方向サイリスタ)等の無接点スイッチング素子(21-1~21-5)により位相制御し、出力電圧を制御することによって、三相交流電動機10または単相交流電動機50の電圧仕様による種類を統一する、または、三相交流電動機10または単相交流電動機50で、それぞれ対応できる交流電源の電圧範囲を広くすることができるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 三相交流電動機
11-1~11-3 引出し線
20 制御基板
21 三相用無接点デバイス(ソリッドステートリレーSSR)
21-1~21-5 無接点スイッチング素子
22-1~22-7 パターン配線
23 マイクロコンピュータ
24 制御電源回路
25 制御回路ブロック
26 全波整流回路
27 電磁ブレーキ
27a 励磁コイル
28R 電流センサ
28S 電流センサ
28T 電流センサ
30 操作部
31 非常用押釦スイッチ
32 巻上押釦スイッチ
33 巻下押釦スイッチ
40 倍電圧回路
41 入力部
42 単相電源切換スイッチ
43 単相用AC-DCコンバータ
44 直流回路
45 出力部
50 単相交流電動機(単相誘導電動機)
51 主巻線
52 補助巻線
53 回転子
61 渡り線(第1外部配線)
62 渡り線(第2外部配線)
63 モータスタートリレー
65 進相コンデンサ
66-1~66-4 引出し線
100 三相交流電源
200 単相交流電源
SP1 単相交流電源供給端子
SP2 単相交流電源供給端子
Rt 供給端子
St 供給端子
Tt 供給端子
Ut 出力端子
Vt 出力端子
Wt 出力端子