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  • 特許-炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/36 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
C30B29/36 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022010056
(22)【出願日】2022-01-26
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】514173696
【氏名又は名称】國家中山科學研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】陳學儀
(72)【発明者】
【氏名】柯政榮
(72)【発明者】
【氏名】郭志偉
(72)【発明者】
【氏名】黄俊彬
(72)【発明者】
【氏名】戴嘉宏
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-189499(JP,A)
【文献】特開2018-080072(JP,A)
【文献】特開2017-088415(JP,A)
【文献】特開2009-274933(JP,A)
【文献】特開2004-224663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法であって、
(A)炭化ケイ素源を選別して黒鉛るつぼの底部に充填するステップと、
(B)受熱構成の黒鉛ガイドを前記黒鉛るつぼ内に入れるステップと、
(C)剛性受熱材料を前記黒鉛ガイドに置き、前記黒鉛ガイドと前記黒鉛るつぼのるつぼ壁との隙間を減らさせるステップと、
(D)種結晶を前記黒鉛るつぼの頂部に固定させるステップと、
(E)前記炭化ケイ素源及び前記種結晶を格納した前記黒鉛るつぼを物理気相輸送法用の誘導加式高温炉に入れるステップと、
(F)炭化ケイ素結晶成長工程を実施するステップと、
(G)炭化ケイ素単結晶体を得るステップと、
を含み、前記(C)ステップにおいて、
前記剛性受熱材料は、黒鉛、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)又は炭化タングステン(WC)の耐高温・低圧材料であり、熱伝導率>10W/m・Kであり、
前記剛性受熱材料の数は、少なくとも1つ以上で、幾何学的形状は円盤状又は多角形の軸対称の幾何学的形状であり、
前記剛性受熱材料の厚さは、15mm以下であり、
前記剛性受熱材料と前記るつぼ壁との隙間は、15mm以下であり、
前記剛性受熱材料の頂部と前記黒鉛ガイド管の頂部との距離は、1mm~30mmの範囲である、炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法。
【請求項2】
前記剛性受熱材料の数は、2つ以上であり、異なる幾何学的形状で組み合わせる請求項に記載の炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法に関し、特に、剛性材料を介して薄肉ガイド(以下,「ガイド」という。)と黒鉛るつぼ壁との隙間を低減させて炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展に伴い、半導体材料の仕様に対する要求が益々高くなり、Si、Geを主材料とした第1世代の半導体、GaAs、InPを主材料とした第2世代半導体から、現在の第3世代の半導体の炭化ケイ素(SiC)、GaN、Ga、AlN、ダイヤモンドの広帯域ギャップ材料まで、いずれも高出力又は広帯域の使用ニーズから進化してきた。現在の市場で最も人気のある材料は、SiC基板である。SiCは、高硬度、高い破壊電界、高い飽和電子移動速度、広いバンドギャップなどの優れた半導体特性を備え、高出力コンポーネント又は電気自動車コンポーネントのベストチョイスである。
【0003】
SiCウェハは、使用上の需要について、半絶縁型(Semi-insulation)と導電型(N-type or P-type)に分かれ、現在世界トップのいくつかの大手メーカーの主な商品は4~6インチで、一部のメーカーが8インチを披露したが、カタログにはまだ標準製品として記載されていない。この2つのタイプは、5G通信及び電気自動車の市場に各々使用され、現在の市場でも非常にホットな発展目標である。この2つのタイプのウェハの仕様上の違いは、主に抵抗率と結晶軸方向の違いによるものである。このうちの結晶成長過程で非常に大きな問題があり、すなわち結晶体の周りに欠陥が形成されたことにより、使用可能面積の減少につながることである。現在大手メーカーのカタログは、グレードの差に基づき、累積欠陥面積が≦10~30%で、結晶成長の実務経験によれば、結晶の欠陥は発生場所によって中心と周辺に分けることができるが、大部分が周辺から内側に向けて拡張している。
【0004】
単結晶SiC成長の主な方法は、液相成長法と気相成長法に分けることができる。液相成長法はチョクラルスキー法(Czochralski growth method)であるが、炭化ケイ素は融点に達するには3000K以上の高温を必要とし、かつケイ素中の炭素溶解度が非常に低いため、制御が難しく、成長速度もかなり遅いので、この方法は工業生産には適していない。
【0005】
気相結晶成長法は、化学気相沈積(CVD)法以外に、Modified-Lely物理気相輸送法(Physical Vapor Transport、PVT)が主であり、結晶成長炉にも抵抗加熱式及び誘導加熱式の2つのタイプがあり、後者が多数を占める。一般的な配置は、図1に示され、炭化ケイ素種結晶1を黒鉛るつぼ3の頂部に置き、炭化ケイ素源2を黒鉛るつぼ3の底部に置き、次に断熱材4を入れて誘導式結晶成長炉内に入れ、誘導コイル5で2000~2500℃まで加熱し、圧力を50torr以下に下げ、黒鉛るつぼ3内の上下の温度勾配を確立することにより、炭化ケイ素源2を昇華させると共に炭化ケイ素種結晶1に結晶化する。
【0006】
典型的なPVT法でSiC結晶成長を実施すると、成長時間が長くなるにつれて、通常、次の問題が発生し、すなわち成長する単結晶の周辺に多結晶で覆われるため、ガイド6が入れられる。図2に示すように、周辺の多結晶を除けて、結晶がガイド6の経路に従って成長させることで、結晶の厚さの増加又はウェハ拡張という目的を達成する。ガイド6を使用しない元の状況と比較すると、周辺の多結晶は入ることができないが、ガイド6は、多結晶を堆積するためのプラットフォームを提供することで、内部の単結晶の成長状況に影響を与えた。成長過程中に多結晶と単結晶が接触すると、単結晶のエッジが結晶格子の歪みを引き起すか、角度粒界を生成する可能性が高くなって結晶の使用可能領域に影響を与え、その後の切断、研削、研磨工程でも、ひび割れのリスクがある。したがって、ガイドでの多結晶の形成を防ぐことは非常に重要な課題である。
【0007】
物理気相輸送法は、主に、高温低圧の条件下でSiCの昇華点に到達することであり、固体昇華から気体状態へのSiC反応ガスは、るつぼ3内の低温域に堆積され、この時熱場を制御することにより、SiCを種結晶1に堆積させると、SiC単結晶が成長し始める。結晶の厚さの増加又はウェハ拡張という目的を達成するため、通常、ガイド6が導入される。ガイド6自体はSiC昇華ガスの反応ゾーンにさらされるため、多結晶堆積が発生しやすくなる。一部の研究者は、堆積を防ぐためTaC、NbCなどの高温セラミックなどの保護コーティングを使用するが、保護コーティングとガイド6の付着力が不足することは、やはり1つの大きな技術的難点である。
【0008】
従来の二重層材料のガイドのSiC結晶成長方法は、ガイドを2つの材料に分割し、昇華ゾーン近くの内層ガイドの熱伝導率>50W/(m・K)で、外層ガイドの熱伝導率<20W/(m・K)である。この目的は、多孔質よりも腐食性ガスと反応しやすい熱伝導率の低い材料を利用することで、熱伝導率の高いガイド管(ガイド)の腐食を排除又は回避することである。また、成長過程でケイ素に富む昇華蒸気がガイド管の表面と反応するため、表面が滑らかにならず、結晶周縁の成長品質に影響を及ぼす。上記の従来技術では理論的にはこの効果を奏することができるが、PVT法で使用する炉体が誘導加熱炉の場合は悪影響がある。誘導加熱IH(Induction Heating、IH)はるつぼの表面に渦電流が生じるため、加熱源はるつぼの外層であり、熱伝導及び熱放射によって熱を内部に伝達し、2層ガイド管の設計により、熱が内部に伝わらないようになっているため、ガイドの温度が下がり、多結晶の堆積が増え、その後の単結晶の成長に悪影響を及ぼす。
【0009】
上記をまとめると、現在、ガイドによる炭化ケイ素単結晶成長熱場の調整は、内部単結晶成長状況に影響を与えるであろう。成長過程中に多結晶と単結晶が接触すると、単結晶のエッジが結晶格子の歪みを引き起すか、角度粒界を生成する可能性が高くなって結晶の使用可能領域に影響を与え、その後の切断、研削、研磨工程でも、ひび割れのリスクがある。これにより本願の出願者は、鋭意研究を重ねた結果、炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法を開発し、単結晶成長で遭遇する問題を効果的に解決することに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の従来技術の欠陥に鑑み、本発明の主な目的は、より速い熱伝導を介して、外部るつぼで生じた熱をガイド管に導入し、成長過程中のガイド管の結晶化を低減又は回避することで、単結晶の使用可能領域を増やす炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明で提示された技術的手段に基づいて、(A)炭化ケイ素源を選別して黒鉛るつぼの底部に充填するステップと、(B)ガイドを黒鉛るつぼ内に入れるステップと、(C)剛性受熱材料をガイドに置き、ガイドと黒鉛るつぼのるつぼ壁との隙間を減らさせるステップと、(D)種結晶を黒鉛るつぼの頂部に固定させるステップと、(E)炭化ケイ素源及び種結晶を格納した黒鉛るつぼを物理気相輸送法用の誘導加式高温炉に入れるステップと、(F)炭化ケイ素結晶成長工程を実施するステップと、(G)炭化ケイ素単結晶体を得るステップとを含む炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法を提供する。
【0012】
好ましくは、剛性受熱材料は、黒鉛、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)又は炭化タングステン(WC)の耐高温・低圧材料であり得、熱伝導率>10W/m・Kである。
【0013】
好ましくは、剛性受熱材料の数は、少なくとも1つ以上であり得、幾何学的形状は円盤状又は多角形の軸対称の幾何学的形状であり得る。
【0014】
好ましくは、剛性受熱材料の数は、2つ以上であり得、異なる幾何学的形状で組み合わせることができる。
【0015】
好ましくは、剛性受熱材料と前記るつぼ壁との隙間は、15mm以下である。
【0016】
好ましくは、剛性受熱材料の頂部と前記ガイドの頂部との距離は、1mm~30mmの範囲であり得る。
【0017】
好ましくは、前記剛性受熱材料の厚さは、15mm以下である。
【0018】
上記の概要と後記の詳細な説明及び添付図面は、すべて意図された目的を達成するために本発明によって講じられる方法、手段及び効果をさらに説明するためのものである。本発明の他の目的及び利点に関しては、後記の説明及び図面内に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来技術の黒鉛るつぼを示す概略図である。
図2】従来技術の黒鉛るつぼのガイドを示す概略図である。
図3】本発明の炭化ケイ素結晶成長黒鉛るつぼを示す概略図である。
図4】本発明のウェハ検査図である。
図5】本発明の炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下は、特定の具体的実例を介して本発明の実施形態を説明し、当業者であれば、本明細書に開示された内容から本発明の利点及び効果を容易に理解することができる。
【0021】
図5及び図3を参照すると、図5は、本発明の炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法のフローチャート図で、図3は本発明の炭化ケイ素結晶成長黒鉛るつぼを示す概略図である。本発明は、次のステップS1~ステップS6を含む炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法を提供するものである。炭化ケイ素源2を選別して黒鉛るつぼ3の底部に充填するステップS1、ガイド6を黒鉛るつぼ3内に入れるステップS2、剛性受熱材料7をガイド6に置き、ガイド6と黒鉛るつぼ3のるつぼ壁との隙間を減らさせるステップS3と、種結晶1を黒鉛るつぼ3の頂部に固定させるステップS4、炭化ケイ素源2及び種結晶1を格納した黒鉛るつぼ3を物理気相輸送法用の誘導加式高温炉に入れるステップS5、炭化ケイ素結晶成長工程を実施するステップS6、炭化ケイ素単結晶体を得るステップS7。
【0022】
本実施形態において、剛性受熱材料7は、黒鉛、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)又は炭化タングステン(WC)の耐高温・低圧材料であり得、熱伝導率>10W/m・Kである。また、ガイド6上に置かれる剛性受熱材料7の数は、少なくとも1つ以上であり得、幾何学的形状は円盤状又は多角形の軸対称の幾何学的形状であり得る。次に、ガイド6上に置かれる剛性受熱材料7の数が2つ以上の場合、剛性受熱材料7は異なる幾何学的形状で組み合わせるものであり得る。
【0023】
本実施形態において、剛性受熱材料7と黒鉛るつぼ3のるつぼ壁との隙間Aは、15mm以下である。また、剛性受熱材料7の頂部とガイド6の頂部との距離は、1mm~30mmの範囲であり得る。さらに、剛性受熱材料7の厚さは、15mm以下であり、剛性受熱材料7を介して薄肉ガイド6と黒鉛るつぼ3のるつぼ壁との隙間を減らさせ、薄肉ガイド6をより高い温度に維持させ、多結晶の堆積を低減又は回避させる。炭化ケイ素多結晶から拡張する粒界欠陥を減少できるだけではなく、使用可能面積を増加させ、将来もウェハ拡張実験にも用いることができる。
【0024】
以上、本発明は、物理気相輸送法(PVT)で炭化ケイ素単結晶を成長させ、結晶成長炉が誘導加熱式であるという前提において、薄肉ガイド6を使用すると共に剛性受熱材料7を介しるつぼ壁の熱源につなぐことで、ガイド6への熱伝達が速くなり、また異なる熱場設計要件に応じるつぼ壁と(黒鉛)ガイド6を接続するための剛性受熱材料7の材質、サイズ、幾何学的形状及び接触面積を含めて調整できる。
【0025】
本発明は、誘導加熱炉体を備えたSiC結晶成長炉を使用して、SiC単結晶を成長させ、剛性受熱材料7で、薄肉ガイド6と黒鉛るつぼ壁を接続する。剛性受熱材料7は、耐高温・低圧の金属、炭化物、炭素材料などの他の純粋な元素又は化合物であり得る。より速い熱伝導を介しるつぼ3の外部で生じた熱をガイド6に導入し、成長過程中のガイド6の結晶化を低減又は回避することから、単結晶の使用可能領域を増やす。
【0026】
本発明は、誘導加熱技術を利用することを想定し、特定の周波数の交流電流を銅コイルに流れてコイルの周りに交番磁界を生成させ、電磁誘導を利用してるつぼ3に渦電流を生じさせて加熱の目的を達成し、かつ表皮効果により渦電流はるつぼ3の表面へ集中する。換言すれば、加熱源はるつぼ3の表面に集中し、加熱源はるつぼ3内に薄肉ガイドを設ける場合において、熱源はガイド6に到達しにくいので、本発明者らは剛性受熱材料7を介して薄肉ガイド6と黒鉛るつぼ3のるつぼ壁を接続し、薄肉ガイド6がより高い温度を維持して多結晶堆積を低減又は回避することを可能にする。
【0027】
本発明は、剛性受熱材料7を介して薄肉ガイド6に接続し、剛性受熱材料7が高温・低圧環境に耐えることができなければならず、例えば黒鉛、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)又は炭化タングステン(WC)等である。接続方式は、完全接触、非接触などの方式であり得る。幾何学的形状は、使用ニーズに応じて変化できるものとするが、軸対称を原則とする。概略図は図3に示す通りで、隙間A、距離B、厚さCは、いずれも調整可能なサイズである。
【0028】
本実施例は、4つの実験を比較する。図4に示すように、(1)左上の図(a)は、普通(Normal)ガイド管6によって製造されたウェハであった。(2)右上の図(b)は、受熱構成のガイド管6を示し、隙間A、距離B、厚さCは全て=8mmであり、黒鉛である剛性受熱材料7によって製造されたウェハであった。(3)左下の図(c)は、受熱構成のガイド管6を示し、隙間A=1mm、距離B=5mm、C=1mmで、TaCである剛性受熱材料7によって製造されたウェハであった。(4)右下の図(d)は、受熱構成のガイド管6を示し、隙間A=1mm、距離B及び厚さC=5mmで、黒鉛である剛性受熱材料7によって製造されたウェハであった。これらを3.5kgの炭化ケイ素源2を含有する黒鉛るつぼ3の上方に設置し、断熱材4で設置を完了した黒鉛るつぼ3を包み、加熱炉内に入れて成長し、成長温度は2100~2200℃の範囲、圧力は5Torrであり、100時間成長させた後厚さ約1.5cmの炭化ケイ素結晶を得た。
【0029】
炭化ケイ素結晶の種結晶を基準面とし、1cm上向きに切断し、切断したウェハをXRT(X-Ray Topography)検査に供し、ウェハ周辺の粒界状態を観察した。図4に示すように、左上の図(a)は、普通ガイド管で製造されたウェハで、図4の(a)から(d)の順から周辺の欠陥が徐々に減少していることを観察できた。したがって、本発明は、ウェハの歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0030】
上記をまとめると、本発明は、炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法であり、物理気相輸送法について構成設計を行い、誘導加熱技術及びるつぼ3内に薄肉ガイド6を設けたことを想定し、るつぼ3の表面に集中する加熱源が剛性受熱材料7を介して薄肉ガイド6と黒鉛るつぼ3のるつぼ壁との隙間を減らさせ、薄肉ガイド6をより高い温度に維持させ、多結晶の堆積を低減又は回避させる。これにより、炭化ケイ素多結晶から拡張する粒界欠陥を減少できるだけではなく、使用可能面積を増加させ、将来もウェハ拡張実験にも用いることができる。
【0031】
以上に述べた実施例は、あくまでも本考案の特徴及び効果を説明するための単なる例示であり、本発明の本質的な技術内容の範囲を限定することを意図するものではない。当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で上記実施例へ潤色や変動を加えることができる。従って本発明の保護範囲は、後記の特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0032】
1・・・種結晶
2・・・炭化ケイ素
3・・・るつぼ
4・・・断熱材
5・・・誘導コイル
6・・・ガイド
7・・・剛性受熱材料
A・・・隙間
B・・・距離
C・・・厚さ
S1~S7・・・ステップ
【要約】
【課題】炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、(A)炭化ケイ素源を選別して黒鉛るつぼの底部に充填するステップと、(B)ガイドを前記黒鉛るつぼ内に入れるステップと、(C)剛性受熱材料を前記ガイドに置き、前記ガイドと前記黒鉛るつぼのるつぼ壁との隙間を減らさせるステップと、(D)種結晶を前記黒鉛るつぼの頂部に固定させるステップと、(E)前記炭化ケイ素源及び前記種結晶を格納した前記黒鉛るつぼを物理気相輸送法用の誘導加式高温炉に入れるステップと、(F)炭化ケイ素結晶成長工程を実施するステップと、(G)炭化ケイ素単結晶体を得るステップとを含む炭化ケイ素単結晶成長の熱場調整方法を提供する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5