(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】調合装置および制御装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/82 20220101AFI20230703BHJP
B01F 35/214 20220101ALI20230703BHJP
B01F 35/213 20220101ALI20230703BHJP
G05D 24/02 20060101ALI20230703BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230703BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20230703BHJP
B01J 4/00 20060101ALI20230703BHJP
B67D 7/74 20100101ALI20230703BHJP
B01F 27/80 20220101ALI20230703BHJP
【FI】
B01F35/82
B01F35/214
B01F35/213
G05D24/02
B01F35/71
B01F35/75
B01J4/00 103
B67D7/74 Z
B01F27/80
(21)【出願番号】P 2022010649
(22)【出願日】2022-01-27
(62)【分割の表示】P 2020211718の分割
【原出願日】2020-12-21
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 久樹
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-336289(JP,A)
【文献】特開昭61-170815(JP,A)
【文献】特開昭50-033875(JP,A)
【文献】実公平06-007366(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 23/23-231、40-47、35/00-83
B01J 4/00
B05C 11/00
B44D 3/00
B67D 7/74
G05D 24/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体が入った第1タンクと、
前記第1液体よりも粘度が低い第2液体が入った第2タンクと、
前記第1タンクから供給される前記第1液体と、前記第2タンクから供給される第2液体とを撹拌して調合液を調合する調合タンクと、
前記調合タンクに設けられ、前記調合液の粘度を計測する粘度センサと、
前記第1タンクから前記調合タンクへ規定量の前記第1液体を圧力一定で供給した際の供給時間に基づいて前記第1液体の粘度を
求め、前記第1液体の前記粘度に基づいて目標粘度よりも高い粘度となるように前記第2液体を供給して調合する粗調合を行い、前記粗調合の後、前記調合液の前記粘度センサの計測結果に基づいて、前記第2液体を前記調合タンクへ供給することで、前記調合液を目標粘度で調合する精密調合を行う制御装置と
を備えることを特徴とする調合装置。
【請求項2】
第1液体が入った第1タンクと、
前記第1液体よりも粘度が低い第2液体が入った第2タンクと、
前記第1タンクから供給される前記第1液体と、前記第2タンクから供給される第2液体とを撹拌して調合液を調合する調合タンクと、
前記調合タンクに設けられ、前記調合液の粘度を計測する粘度センサと、
を有する調合装置に設けられ、前記調合タンクにおいて、前記第1液体と、前
記第2液体とを撹拌して
前記調合液を調合する制御を行う制御装置であって、
前記第1タンクから前記調合タンクへ規定量の前記第1液体を圧力一定で供給した際の供給時間に基づいて前記第1液体の粘度を
求め、前記第1液体の前記粘度に基づいて目標粘度よりも高い粘度となるように前記第2液体を供給して調合する粗調合を行い、前記粗調合の後、前記調合液の粘度センサの計測結果に基づいて、前記第2液体を
前記調合タンクへ供給することで、前記調合液を目標粘度で調合する精密調合を行
い、
前記供給時間と前記第1液体の粘度とが対応付いた粘度マップ情報を用いて前記第1液体の粘度を計測すること
を特徴とする制御装置。
【請求項3】
前記粗調合は、
第2液体の供給量を決定し、決定した供給量の前記第2液体を前記調合タンクへ供給して調合すること
を特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
空気を供給量一定で供給した際に、前記第2液体が入った第2タンクの内部が規定圧に到達するまでの加圧時間に基づいて前記第2タンクの前記第2液体の液面高さを算出し、算出した前記第2液体の液面高さに基づいて水頭差を補正し、補正した前記水頭差に基づいて、前記第2液体の供給量を補正すること
を特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
第1液体が入った第1タンクと、
前記第1液体よりも粘度が低い第2液体が入った第2タンクと、
前記第1タンクから供給される前記第1液体と、前記第2タンクから供給される第2液体とを撹拌して調合液を調合する調合タンクと、
前記調合タンクに設けられ、前記調合液の粘度を計測する粘度センサと、
前記第1タンクから前記調合タンクへ規定量の前記第1液体を圧力一定で供給した際の供給時間と、前記供給時間と前記第1液体の粘度の対応関係を表すマップ情報に基づいて前記第1液体の粘度を求め、前記第1液体の前記粘度に基づいて目標粘度よりも高い粘度となるように前記第2液体を供給して調合する粗調合を行い、前記粗調合の後、前記調合液の前記粘度センサの計測結果に基づいて、前記第2液体を前記調合タンクへ供給することで、前記調合液を目標粘度で調合する精密調合を行う制御装置と
を備えることを特徴とする調合装置。
【請求項6】
第1液体が入った第1タンクと、
前記第1液体よりも粘度が低い第2液体が入った第2タンクと、
前記第1タンクから供給される前記第1液体と、前記第2タンクから供給される第2液体とを撹拌して調合液を調合する調合タンクと、
前記調合タンクに設けられ、前記調合液の粘度を計測する粘度センサと、
を備えた調合装置によって実行される調合方法であって、
前記第1タンクから前記調合タンクへ規定量の前記第1液体を圧力一定で供給した際の供給時間に基づいて前記第1液体の粘度を求め、前記第1液体の前記粘度に基づいて目標粘度よりも高い粘度となるように前記第2液体を供給して調合する粗調合を行い、前記粗調合の後、前記調合液の前記粘度センサの計測結果に基づいて、前記第2液体を前記調合タンクへ供給することで、前記調合液を目標粘度で調合する精密調合を行うこと
を特徴とする調合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調合装置および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、プリント基板に塗布する防湿材等を目標粘度で調合する調合装置が知られている。かかる調合装置では、原液よりも粘度が低い希釈液を原液と調合するとともに、粘度センサで粘度を計測しながら目標粘度となるように調合する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、調合液を高精度に目標粘度で調合する点で更なる改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、調合液を高精度に目標粘度で調合することができる調合装置および制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る調合装置は、第1タンクと、第2タンクと、調合タンクと、粘度センサと、制御装置とを備える。前記第1タンクは、第1液体が入る。前記第2タンクは、前記第1液体よりも粘度が低い第2液体が入る。前記調合タンクは、前記第1タンクから供給される前記第1液体と、前記第2タンクから供給される第2液体とを撹拌して調合液を調合する。前記粘度センサは、前記調合タンクに設けられ、前記調合液の粘度を計測する。前記制御装置は、前記第1タンクから前記調合タンクへ規定量の前記第1液体を圧力一定で供給した際の供給時間に基づいて前記第1液体の粘度を計測し、計測した前記第1液体の前記粘度に基づいて目標粘度よりも高い粘度となるように前記第2液体を供給して調合する粗調合を行い、前記粗調合の後、前記調合液の前記粘度センサの計測結果に基づいて、前記第2液体を前記調合タンクへ供給することで、前記調合液を目標粘度で調合する精密調合を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、調合液を高精度に目標粘度で調合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る調合装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、粘度マップ情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、配合比マップ情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、調合タンクの洗浄工程の説明図である。
【
図7】
図7は、調合タンクの洗浄工程の説明図である。
【
図8】
図8は、排出口より下流に位置する配管内の撹拌方法の説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る調合装置によって実行される処理の処理手順を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る調合装置によって実行される処理の処理手順を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る調合装置によって実行される処理の処理手順を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る調合装置によって実行される処理の処理手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する調合装置および制御装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
また、以下では、プリント基板に塗布する防湿材を調合液として調合する場合を例に挙げて説明するが、調合液は、例えば、塗料等の他の液体であってもよい。換言すれば、粘度が異なる2種類の液体を混ぜた調合液であればよい。
【0011】
まず、
図1は、実施形態に係る調合装置の構成例を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係る調合装置1は、原液タンク(第1タンクの一例)100と、希釈液タンク(第2タンクの一例)と、調合タンク300と、制御装置10(
図2参照)とを備える。原液タンク100および調合タンク300は、第1電磁弁V1が設けられた原液供給経路110によって互いに接続される。また、希釈液タンク200は、第2電磁弁V2が設けられた希釈液供給経路210によって互いに接続される。
【0012】
原液タンク100は、防湿材の原液(第1液体の一例)が入ったタンクである。また、
図1に示すように、原液タンク100には、ポンプP1と、圧力レギュレータR1と、圧力バルブV10と、圧力センサPS1とが接続される。
【0013】
ポンプP1は、原液タンク100の内部を加圧するための圧縮空気を生成する。圧力レギュレータR1は、ポンプP1によって生成された圧縮空気を一定の圧力にして原液タンク100へ供給する。圧力バルブV10は、例えば、電磁弁である。圧力センサPS1は、加圧された原液タンク100の内部の圧力を検出する。このような構成により、原液タンク100は、内部が一定の圧力で加圧された状態となる。
【0014】
原液タンク100は、制御装置10の制御によって第1電磁弁V1が開かれた場合に、原液タンク100内に貯留した原液を原液供給経路110を介して調合タンク300へ供給する。なお、原液タンク100の内部が一定の圧力で加圧された状態であるため、原液は、圧力一定で調合タンク300に供給される。
【0015】
希釈液タンク200は、原液を希釈する希釈液(第2液体の一例)が入ったタンクである。希釈液は、原液よりも粘度が低い液体であり、例えば、シンナーである。また、
図1に示すように、希釈液タンク200には、ポンプP2と、圧力レギュレータR2と、圧力バルブV20と、圧力センサPS2とが接続される。
【0016】
ポンプP2は、希釈液タンク200の内部を加圧するための圧縮空気を生成する。圧力レギュレータR2は、ポンプP2によって生成された圧縮空気を一定の圧力にして希釈液タンク200へ供給する。圧力バルブV20は、例えば、電磁弁である。圧力センサPS2は、加圧された希釈液タンク200の内部の圧力を検出する。このような構成により、希釈液タンク200は、内部が一定の圧力で加圧された状態となる。
【0017】
希釈液タンク200は、制御装置10の制御によって第2電磁弁V2が開かれた場合に、希釈液タンク200内に貯留した希釈液を希釈液供給経路210を介して調合タンク300へ供給する。なお、希釈液タンク200の内部が一定の圧力で加圧された状態であるため、希釈液は、圧力一定で調合タンク300に供給される。
【0018】
調合タンク300は、原液タンク100から供給される原液と、希釈液タンク200から供給される希釈液とを撹拌して調合液である防湿材を調合する。また、調合タンク300には、撹拌装置310と、液面センサHSh、HSlと、粘度センサVS1とが設けられる。
【0019】
撹拌装置310は、撹拌羽により調合タンク300の調合液を撹拌する。液面センサHSh、HSlは、調合タンク300に貯留した調合液の液面高さを検出する。具体的には、液面センサHSh、HSlは、第1の液面高さに到達したか否かを検出する液面センサHSlと、第1の液面高さよりも高い第2の液面高さに到達したか否かを検出する液面センサHShとにより構成される。
【0020】
なお、液面センサHSlにより検出される第1の液面高さは、粘度センサVS1による粘度測定が可能な液面高さであり、調合タンク300の撹拌可能な液面高さの最小値である。液面センサHShは、調合タンク300の撹拌可能な液面高さの最大値である。つまり、調合液は、第1の液面高さから第2の液面高さまでの範囲で調合される。
【0021】
粘度センサVS1は、調合液の粘度を計測するセンサである。粘度センサVS1は、目標粘度の前後を計測レンジとするセンサであり、比較的計測レンジが狭く精度重視のセンサである。
【0022】
また、調合タンク300は、調合後、手動バルブV30が作業者によって開かれた場合、排出口320から調合済タンク400(
図6参照)に排出される。すなわち、実施形態に係る調合装置1は、調合タンク300の容量を1バッチとするバッチ式の調合装置である。
【0023】
ここで、実施形態に係る調合方法について説明する。上述したように、プリント基板の防湿材は、塗布する粘度で品質が左右される。具体的には、粘度が高いと基板で拡がらないことで充分にコーティングされず、粘度が低いとコーティングしてはならない領域まで拡がってしまう。
【0024】
このため、従来は、計測レンジが広く精度が低いセンサを調合の初期段階(粗調合)で使用し、計測レンジが狭く精度が高いセンサを目標粘度に調合する最終段階(精密調合)で使用する必要があった。このように、従来は、幅広い粘度測定を可能にするために計測レンジが異なる粘度センサが必要となるため、装置のコストが嵩むという問題があった。
【0025】
そこで、実施形態に係る調合方法では、原液の供給時間から粘度を計測することで、粗調合時に使用する粘度センサ(広い計測レンジ、低精度)を省略することとした。
【0026】
具体的には、実施形態に係る調合方法では、まず、原液タンク100から調合タンク300へ規定量の原液を圧力一定で供給した際の供給時間を計測する。つづいて、調合方法では、計測した供給時間に基づいて原液の粘度を計測する。そして、調合方法では、計測した粘度に基づいて、希釈液を調合タンク300へ供給することで、調合液を目標粘度で調合する。
【0027】
つまり、実施形態に係る調合方法では、規定量の原液を圧力一定で供給する場合、供給時間は粘度に比例する関係性に着目している。具体的には、供給時間が長い程、原液の粘度が高くなり、供給時間が短い程、原液の粘度が低くなる。
【0028】
なお、供給時間から計測した粘度を用いるのは粗調合時であり、目標粘度に合わせるための精密調合時には、粘度センサVS1を用いる。これにより、目標粘度への調整精度を担保できる。
【0029】
このように、実施形態に係る調合方法では、原液の供給時間から粘度を計測することで、粗調合時に使用する粘度センサが不要となる。従って、実施形態に係る調合方法によれば、装置のコストを抑えることができる。
【0030】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る調合装置1が備える制御装置10の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る制御装置10の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置10は、制御部20と、記憶部30とを備える。
【0031】
ここで、制御装置10は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0032】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の取得部21、計測部22、算出部23およびバルブ制御部24として機能する。
【0033】
また、制御部20の取得部21、計測部22、算出部23およびバルブ制御部24の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0034】
また、記憶部30は、RAMやフラッシュメモリに対応する。RAMやフラッシュメモリは、粘度マップ情報31や、配合比マップ情報32、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、制御装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0035】
粘度マップ情報31は、後述する計測部22によって粘度を計測するための情報である。
図3は、粘度マップ情報31の一例を示す図である。
図3に示す粘度マップ情報31は、実験結果等により予め生成される。
図3に示すように、粘度マップ情報31は、供給時間と粘度とが対応付いたマップ情報である。供給時間とは、規定量の原液が調合タンク300に供給される時間である。粘度は、原液の粘度である。
【0036】
図3に示すように、粘度マップ情報31では、供給時間が長い程、粘度が高くなっている。すなわち、供給時間と粘度とは比例関係にある。
【0037】
配合比マップ情報32は、調合液を目標粘度で調合するために必要な希釈液の量を算出するための情報である。
図4は、配合比マップ情報32の一例を示す図である。
図4に示す配合比マップ情報32は、実験結果等により予め生成される。
図4に示すように、配合比マップ情報32は、原液粘度と、希釈液の希釈量とが対応付いたマップ情報である。
【0038】
図4に示すように、配合比マップ情報32では、原液粘度が高い程、希釈量が高くなっている。すなわち、原液粘度と希釈量とは比例関係にある。
【0039】
次に、制御部20の各機能(取得部21、計測部22、算出部23およびバルブ制御部24)について説明する。
【0040】
取得部21は、各種情報を取得する。例えば、取得部21は、原液タンク100に設けられた圧力センサPS1や、希釈液タンク200に設けられた圧力センサPS2のセンサ値の情報を取得する。
【0041】
また、取得部21は、調合タンク300に設けられた粘度センサVS1のセンサ値や、液面センサHSh、HSlのセンサ値の情報を取得する。また、取得部21は、不図示の液温センサにより検出された原液、希釈液および調合液の液温の情報を取得する。また、取得部21は、後述する洗浄タンク500(
図6参照)に設けられた圧力センサPS3のセンサ値の情報を取得する。
【0042】
計測部22は、各種情報を計測する。例えば、計測部22は、規定量の原液が原液タンク100から調合タンク300に供給される際に要した供給時間を計測する。具体的には、計測部22は、原液の初期供給時において、原液供給経路110に設けられた第1電磁弁V1が開いてから閉じるまでの時間を供給時間として計測する。
【0043】
より具体的には、計測部22は、原液の供給を開始してから、調合タンク300における液面センサHSlにより第1の液面高さに到達するまでの時間を供給時間として計測する。すなわち、規定量とは、調合タンク300における第1の液面高さまでの量である。
【0044】
そして、計測部22は、粘度マップ情報31を参照して、計測した供給時間から原液の粘度を計測する。なお、計測部22は、調合タンク300に供給された原液の液温に応じて、計測した粘度を補正してもよい。これにより、供給後に調合タンク300内で原液の液温が上昇(あるいは下降)した場合であっても粘度を高精度に把握することができる。
【0045】
また、計測部22は、ポンプP1によって原液タンク100が規定圧まで加圧されるまでの加圧時間を計測する。具体的には、計測部22は、圧力バルブV10が開いてから、圧力センサPS1のセンサ値が規定圧まで到達する時間を加圧時間として計測する。なお、圧力レギュレータR1により圧縮空気の供給量は一定に保たれているため、原液タンク100の液面が低い程、加圧時間は長くなる。
【0046】
また、計測部22は、ポンプP2によって希釈液タンク200が規定圧まで加圧されるまでの加圧時間を計測する。具体的には、計測部22は、圧力バルブV20が開いてから、圧力センサPS2のセンサ値が規定圧まで到達する時間を加圧時間として計測する。なお、圧力レギュレータR2により圧縮空気の供給量は一定に保たれているため、希釈液タンク200の液面が低い程、加圧時間は長くなる。
【0047】
算出部23は、各種情報を算出する。例えば、算出部23は、計測部22によって計測された原液の粘度に基づいて、粗調合時における希釈液の初期供給量を算出する。具体的には、算出部23は、配合比マップ情報32を参照して、計測した原液の粘度から希釈液の初期供給量を算出する。
【0048】
なお、初期供給量は、配合比マップ情報32における希釈量よりもわずかに少なく設定することが好ましい。これにより、粗調合終了時点において、目標粘度よりもわずかに高い粘度の調合液を調合できるため、後段の精密調合時における調合時間の短縮と目標粘度を前後するハンチング現象を抑えることができる。
【0049】
また、算出部23は、調合タンク300に設けられた粘度センサVS1によって検出された調合液の現在の粘度(以下、現在粘度)に基づいて、精密調合時における原液あるいは希釈液の供給量を算出する。例えば、算出部23は、現在粘度が目標粘度と同じである場合、原液あるいは希釈液の供給量をゼロとして算出する。すなわち、調合液の調合を完了する。
【0050】
また、例えば、算出部23は、現在粘度が目標粘度よりも高い場合、現在粘度と目標粘度との偏差に基づいて希釈液の供給量を算出する。具体的には、算出部23は、偏差が大きい程、供給量を多くするPID制御を行うためのPID演算を行い、演算結果に基づいて希釈液の供給量を算出する。
【0051】
また、例えば、算出部23は、現在粘度が目標粘度よりも低い場合、現在粘度と目標粘度との偏差に基づいて原液の供給量を算出する。そして、算出部23は、偏差が大きい程、供給量を多くするPID制御を行うためのPID演算を行い、演算結果に基づいて原液の供給量を算出する。
【0052】
なお、算出部23は、粗調合時や精密調合時の原液および希釈液の供給量を、原液タンク100や希釈液タンク200の液面高さに基づいて補正してもよい。具体的には、算出部23は、計測部22によって計測された加圧時間に基づいてタンク(原液タンク100または希釈液タンク200)の液面高さを算出する。これにより、液面高さを簡易な構成で高精度に検出することができる。
【0053】
そして、算出部23は、算出した液面高さに基づいて水頭差を補正し、補正した水頭差に基づいて、算出した供給量を補正する。これにより、供給量を高精度に算出することができる。
【0054】
バルブ制御部24は、算出部23によって算出された供給量に基づいて、第1電磁弁V1または第2電磁弁V2を制御する。具体的には、バルブ制御部24は、現在粘度および目標粘度の偏差に基づくPID演算結果に応じた時間だけ第1電磁弁V1または第2電磁弁V2を開くことで原液や希釈液を供給量だけ供給する。
【0055】
つまり、バルブ制御部24は、調合液の現在粘度と、目標粘度との偏差に基づいて、第1電磁弁V1または第2電磁弁V2の開閉時間を制御することで、調合タンク300への原液および希釈液の供給量を制御する。このように、PID演算結果を用いて電磁弁の開閉時間により供給量を制御することで、バッチ式の調合装置1において原液や希釈液の供給量を高精度に制御することができる。
【0056】
次に、
図5を用いて、調合液の調合方法についてより具体的に説明する。
図5は、調合液の調合方法の説明図である。
図5に示すように、調合液の調合方法は、粗調合と、精密調合との2つの工程で構成される。
【0057】
粗調合工程は、目標粘度の近辺まで調合液を調合する工程である。具体的には、制御装置10は、供給時間に基づき計測した原液の粘度に基づいて目標粘度よりも高い粘度となるように希釈液を供給する。より具体的には、制御装置10は、調合液の粘度が閾値TH1未満となる供給量の希釈液を供給する。
【0058】
精密調合は、閾値TH1未満の粘度を有する調合液を目標粘度となるように調合する工程である。具体的には、制御装置10は、希釈液を供給後の調合液の粘度センサVS1の計測結果に基づいて、希釈液を調合タンク300へ供給することで、調合液を目標粘度で調合する。
【0059】
より具体的には、制御装置10は、少量の希釈液を複数回に分けて供給することで、調合液の粘度を目標粘度に徐々に近づけるようにする。このように、粗調合および精密調合により調合液を調合することで、調合液を高精度に目標粘度で調合することができる。
【0060】
また、制御装置10は、精密調合時における希釈液や原液の供給量を供給時間により制御する。すなわち、制御装置10は、原液タンク100および希釈液タンク200から調合タンク300への液体の供給圧を一定にした状態で、供給時間に基づいて液体の供給量を制御する。これにより、供給量を検出するセンサ等が不要となるため、装置のコストを抑えることができる。
【0061】
次に、
図6および
図7を用いて、調合タンク300の洗浄工程について説明する。
図6および
図7は、調合タンク300の洗浄工程の説明図である。
図6および
図7に示すように、調合装置1は、調合済タンク400と、洗浄タンク500とをさらに備える。
【0062】
調合済タンク400は、調合タンク300によって調合後の調合液を貯留するタンクである。調合済タンク400に貯留された調合液は、プリント基板へ防湿材を塗布する塗布装置へ送られる。
【0063】
洗浄タンク500は、調合タンク300を洗浄するための洗浄液が貯留するタンクである。なお、洗浄液は、希釈液である。また、洗浄タンク500には、ポンプP3と、圧力レギュレータR3と、圧力バルブV40と、圧力センサPS3とが接続される。
【0064】
ポンプP3は、洗浄タンク500の内部を加圧するための圧縮空気を生成する。圧力レギュレータR3は、ポンプP3によって生成された圧縮空気を一定の圧力にして洗浄タンク500へ供給する。圧力バルブV40は、例えば、電磁弁である。圧力センサPS3は、加圧された洗浄タンク500の内部の圧力を検出する。このような構成により、洗浄タンク500は、内部が一定の圧力で加圧された状態となる。
【0065】
洗浄タンク500は、制御装置10の制御によって電磁弁V50が開かれた場合に、洗浄タンク500内に貯留した希釈液を排出口320を介して調合タンク300へ供給する。なお、
図6では、洗浄液である希釈液が第2の液面高さ(液面センサHShのセンサ値)まで調合タンク300に供給された場合を示している。
【0066】
そして、制御装置10は、調合タンク300が洗浄液で満たされた後、撹拌装置310を駆動して、調合タンク300内を撹拌し、洗浄する。そして、制御装置10は、一定時間撹拌後、撹拌装置310を停止するとともに、電磁弁V50を開いて、洗浄液を調合タンク300から洗浄タンク500へ移動させる。なお、この際、ポンプP3は停止させ、洗浄液の自重で洗浄タンク500へ移動させる。
【0067】
また、洗浄液は、所定回数の洗浄工程を行った後、換言すれば、洗浄液に含まれる調合液の含有量が所定量以上となった場合に、洗浄液を排出バルブ510から排出し、新しい希釈液に入れ替える。
【0068】
このように、制御装置10は、調合液の排出後の洗浄工程において、洗浄タンク500から排出口320を介して調合タンク300へ洗浄液である希釈液を供給し、洗浄後、排出口320を介して調合タンク300から洗浄タンク500へ洗浄液を排出する。
【0069】
これにより、調合タンク300内の残渣や、排出口320付近の残渣を洗い流すことができるため、洗浄効果を高めることができる。また、洗浄液に希釈液を用いることで、次工程(次バッチ)における洗浄液の影響を排除できる。
【0070】
次に、
図8を用いて、排出口320より下流の配管内の調合液の撹拌方法について説明する。
図8は、排出口320より下流に位置する配管内の撹拌方法の説明図である。
図8に示すように、調合タンク300における排出口320の下流には、調合済タンク400(外部の一例)に調合液を排出するための排出経路330と、排出経路330から分岐した分岐経路340とが接続される。
【0071】
そして、本実施形態では、分岐経路340には、分岐経路340から排出口320に向かってエアバブルを供給するバブル供給装置600が接続される。バブル供給装置600は、ポンプP4と、手動バブルV60と、逆流防止弁V70とを備える。逆流防止弁V70は、分岐経路340からポンプP4側へ調合液が逆流することを防止する弁である。
【0072】
バブル供給装置600は、制御装置10の制御に従ってポンプP4から間欠的に圧縮空気を生成して、分岐経路340へ供給することで、エアバブルを発生させる。そして、発生したエアバブルは、上流側である排出口320へ向かい、調合タンク300の上方において脱気される。
【0073】
すなわち、制御装置10は、バブル供給装置600によりエアバブルを供給することで、分岐経路340から排出口320の間に充填された調合液を撹拌する。これにより、配管内の調合液を高精度に撹拌できるため、配管ロスを減らすことができる。なお、エアバブルの強さ(空気量)や、完結時間は使用する材料に合わせて調整可能である。
【0074】
次に、
図9~
図12を用いて、実施形態に係る調合装置1によって実行される処理の処理手順をについて説明する。
図9~
図12は、実施形態に係る調合装置1によって実行される処理の処理手順を示す図である。
【0075】
まず、
図9を用いて、粗調合時の処理手順について説明する。
【0076】
図9に示すように、調合装置1は、まず、原液タンク100および希釈液タンク200の内部を加圧する(ステップS101)。つづいて、調合装置1は、原液タンク100から調合タンク300への原液の供給を開始する(ステップS102)。
【0077】
つづいて、調合装置1は、調合タンク300に貯留した原液が規定量に到達したか否かを判定する(ステップS103)。調合装置1は、原液が規定量に到達した場合(ステップS103:Yes)、調合タンク300への原液の供給を終了する(ステップS104)。なお、調合装置1は、原液が規定量に到達していない場合(ステップS103:No)、ステップS102に戻る。
【0078】
つづいて、調合装置1は、規定量の原液の供給時間から原液の粘度を計測する(ステップS105)。つづいて、調合装置1は、調合タンク300に貯留する原液の液温に基づいて計測した粘度を補正する(ステップS106)。
【0079】
つづいて、調合装置1は、補正後の粘度から希釈液の初期供給量を算出する(ステップS107)。つづいて、調合装置1は、算出した初期供給量の希釈液を調合タンク300へ供給する(ステップS108)。つづいて、調合装置1は、撹拌装置310により調合液を撹拌し(ステップS109)、処理を終了する。
【0080】
次に、
図10を用いて、精密調合時の処理手順について説明する。
【0081】
図10に示すように、調合装置1は、まず、粘度センサVS1により粗調合後の調合液の粘度を計測する(ステップS201)。つづいて、調合装置1は、目標粘度と計測した現在粘度とが同じであるか否かを判定する(ステップS202)。
【0082】
調合装置1は、目標粘度と現在粘度とが同じである場合(ステップS202:Yes)、精密調合の処理を終了する。一方、調合装置1は、目標粘度と現在粘度とが異なる場合(ステップS202:No)、目標粘度より現在粘度が高いか否かを判定する(ステップS203)。
【0083】
調合装置1は、目標粘度より現在粘度が高い場合(ステップS203:Yes)、希釈液を供給するためのPID演算を行い(ステップS204)、希釈液の供給量を算出する(ステップS205)。
【0084】
つづいて、調合装置1は、希釈液の供給を開始し(ステップS206)、算出した供給量に到達したか否かを判定する(ステップS207)。調合装置1は、供給量に到達した場合(ステップS207:Yes)、ステップS202に戻る。なお、調合装置1は、供給量に到達していない場合(ステップS207:No)、供給量に到達するまでステップS207を繰り返す。
【0085】
一方、ステップS203において、調合装置1は、目標粘度より現在粘度が低い場合(ステップS203:No)、原液を供給するためのPID演算を行い(ステップS208)、原液の供給量を算出する(ステップS209)。
【0086】
つづいて、調合装置1は、原液の供給を開始し(ステップS210)、算出した供給量に到達したか否かを判定する(ステップS211)。調合装置1は、供給量に到達した場合(ステップS211:Yes)、ステップS202に戻る。なお、調合装置1は、供給量に到達していない場合(ステップS211:No)、供給量に到達するまでステップS211を繰り返す。
【0087】
次に、
図11を用いて、原液タンク100または希釈液タンク200の液面高さにより供給量を補正する処理の処理手順について説明する。なお、
図11では、原液タンク100または希釈液タンク200をタンクと総称し、原液および希釈液を液体と総称する。
【0088】
図11に示すように、調合装置1は、まず、液体の供給量を算出する(ステップS301)。なお、ステップS301は、例えば、
図9に示すステップS107や、
図10に示すステップS205およびステップS209に相当する。
【0089】
つづいて、調合装置1は、タンクの加圧を開始し(ステップS302)、タンク内の圧力が規定圧に到達したか否かを判定する(ステップS303)。
【0090】
調合装置1は、タンク内の圧力が規定圧に到達した場合(ステップS303:Yes)、タンクの加圧を終了する(ステップS304)。なお、調合装置1は、タンク内の圧力が規定圧に到達していない場合(ステップS303:No)、ステップS303を繰り返し実行する。
【0091】
つづいて、調合装置1は、加圧時間からタンクに貯留した液体の液面高さを算出し(ステップS305)、算出した液面高さから水頭差を補正する(ステップS306)。つづいて、調合装置1は、補正した水頭差から供給量を補正し(ステップS307)、処理を終了する。
【0092】
次に、
図12を用いて、洗浄工程における処理の処理手順について説明する。
【0093】
図12に示すように、調合装置1は、まず、精密調合を完了させる(ステップS401)。つづいて、調合装置1は、調合タンク300から調合済タンク400へ調合液を排出する(ステップS402)。
【0094】
つづいて、調合装置1は、原液タンク100および希釈液タンク200の電磁弁(第1電磁弁V1および第2電磁弁V2)を閉じる(ステップS403)。つづいて、調合装置1は、洗浄タンク500の内部を加圧する(ステップS404)。
【0095】
つづいて、調合装置1は、洗浄タンク500を一定圧まで加圧後、洗浄液である希釈液を調合タンク300へ供給する(ステップS405)。つづいて、調合装置1は、調合タンク300の撹拌を開始する(ステップS406)。
【0096】
つづいて、調合装置1は、撹拌を終了し(ステップS407)、洗浄液を洗浄タンク500へ排出後(ステップS408)、処理を終了する。
【0097】
上述してきたように、実施形態に係る調合装置1は、原液タンク100(第1タンク)と、希釈液タンク200(第2タンク)と、調合タンク300と、制御装置10とを備える。原液タンク100は、原液(第1液体)が入る。希釈液タンク200は、原液よりも粘度が低い希釈液(第2液体)が入る。調合タンク300は、原液タンク100から供給される原液と、希釈液タンク200から供給される希釈液とを撹拌して調合液を調合する。制御装置10は、原液タンク100から調合タンク300へ規定量の原液を圧力一定で供給した際の供給時間に基づいて原液の粘度を計測し、計測した粘度に基づいて、希釈液を調合タンク300へ供給することで、調合液を目標粘度で調合する。これにより、粗調合時に使用する粘度センサが不要となるため、装置のコストを抑えることができる。
【0098】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 調合装置
10 制御装置
20 制御部
21 取得部
22 計測部
23 算出部
24 バルブ制御部
30 記憶部
31 粘度マップ情報
32 配合比マップ情報
100 原液タンク
110 原液供給経路
200 希釈液タンク
210 希釈液供給経路
300 調合タンク
310 撹拌装置
320 排出口
330 排出経路
340 分岐経路
400 調合済タンク
500 洗浄タンク
510 排出バルブ
600 バブル供給装置
HSh、HSl 液面センサ
P1~P4 ポンプ
PS1~PS3 圧力センサ
R1~R3 圧力レギュレータ
V1 第1電磁弁
V10、V20、V40 圧力バルブ
V2 第2電磁弁
V30、V60 手動バルブ
V50 電磁弁
V70 逆流防止弁
VS1 粘度センサ