IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中煤科工集団沈陽研究院有限公司の特許一覧

特許7305874液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法
<>
  • 特許-液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/32 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
G01B21/32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022510847
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2021116177
(87)【国際公開番号】W WO2022247044
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】202110591972.2
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522061811
【氏名又は名称】中煤科工集団沈陽研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】CCTEG SHENYANG RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.11,Binhe Road,Shenfu Demonstration Zone,Shenyang,Liaoning 113122,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】仇 海生
(72)【発明者】
【氏名】曹 ▲ヤオ▼林
(72)【発明者】
【氏名】徐 成
(72)【発明者】
【氏名】趙 洪瑞
(72)【発明者】
【氏名】趙 洪超
(72)【発明者】
【氏名】王 貝
(72)【発明者】
【氏名】賈 艶武
(72)【発明者】
【氏名】廖 巍
(72)【発明者】
【氏名】張 洪禎
(72)【発明者】
【氏名】倪 ▲興▼
(72)【発明者】
【氏名】董 全
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205808394(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第104632075(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112097726(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106197363(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法であって、
前記液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置は、
伸縮保護ケースと、圧縮バネと、変位センサと、接続ロッドと、鎧装ケーブルと、膨張固定器と、直通逆止弁と、左ネジ高圧継手と、高圧封止接続ドリルロッドと、注水継手と、デジタル表示メータとを含んでおり、
前記変位センサは、伸縮保護ケースに沿って軸方向に移動することが可能であり、その一端が伸縮保護ケースの内端部にヒンジ接続されるとともに、他端が接続ロッドの一端に固定され、
伸縮保護ケースには、圧縮バネが設けられ、
圧縮バネは、その一端が伸縮保護ケースの内端部に固定されるとともに、他端が変位センサの外壁に固定され、
前記接続ロッドの他端は、膨張固定器の一端に固定され、
膨張固定器の他端は、直通逆止弁および左ネジ高圧継手を介して高圧封止接続ドリルロッドと連通し、
高圧封止接続ドリルロッドの末端は、注水継手に接続され、
前記注水継手は、高圧ホースを介して注水ポンプに接続され、
前記変位センサの他端は、鎧装ケーブルによって外部のデジタル表示メータに接続されており、
前記液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置を利用して、
石炭岩層の賦存状態が安定した坑道を選択して、被保護層を貫通するようにドリルを利用して所定寸法のドリル穴を施工し、石炭層を貫通してから1m施工した後に停止する第1のステップと、
液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置における注水継手を取り外し、高圧封止接続ドリルロッドによって液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置をドリル穴の底に押し込み、その後、鎧装ケーブルを外部のデジタル表示メータに接続して、デジタル表示メータによって変位センサの数値を表示し、さらに、測定装置を続いて少し押し込んで伸縮保護ケース内の圧縮バネを圧縮させ、かつデジタル表示メータにおける変位量の数値をリアルタイムに読み取ることにより、押し込み圧縮量を制御する第2のステップと、
高圧封止接続ドリルロッドを注水継手および高圧ホースを介して注水ポンプに接続した後、注水ポンプを起動して高圧封止接続ドリルロッドを介して測定装置の膨張固定器へ注水し、高圧水が直通逆止弁、固定器液体注入管を通過して膨張カプセルと固定器中間部管の間の空間に流入して、膨張カプセルを膨張変形させてドリル穴の岩壁を押圧することによって、測定装置の固定を実現する第3のステップと、
注水ポンプによる注水を停止し、注水継手および高圧ホースを取り外して、ドリルを利用して高圧封止接続ドリルロッドを逆方向に回転させることによって、左ネジ高圧継手と高圧封止接続ドリルロッドとを分離して、高圧封止接続ドリルロッドを取り出す第4のステップと、
デジタル表示メータをリセットし、保護層のストーピング過程においてデジタル表示メータにおける変位の数値をリアルタイムに監視して記録し、ドリル穴の角度から換算して被保護層の膨張変形量を得ることができる第5のステップと、を行う
ことを特徴とする液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法。
【請求項2】
前記液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置は、
前記膨張固定器は、膨張カプセルと、固定器液体注入管と、固定器中間部管とを含み、
前記膨張カプセルの両端は、固定器中間部管の外部にそれぞれ圧着封止され、
固定器液体注入管は、その出口端が膨張カプセルと固定器中間部管との間の密封空間に延伸するとともに、その入口端が前記直通逆止弁に接続され、
前記固定器中間部管には、傾斜孔が設けられ、
鎧装ケーブルは、接続ロッドおよび固定器中間部管を順に通過した後に傾斜孔から引き出されて外部のデジタル表示メータに接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法
【請求項3】
前記液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置は、
前記接続ロッドと伸縮式変位センサとは、右ネジで接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法
【請求項4】
前記液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置は、
前記左ネジ高圧継手と高圧封止接続ドリルロッドとは、左ネジで接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法
【請求項5】
前記液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置は、
前記接続ロッドの数および高圧封止接続ドリルロッドの数はいずれも少なくとも1つであり、
前記接続ロッドまたは高圧封止接続ドリルロッドの数が2つまたは2つ以上である場合、接続ロッド同士または高圧封止接続ドリルロッド同士は、右ネジで接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法
【請求項6】
前記液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置は、
前記変位センサは、伸縮式変位センサ、レーザ変位センサ、光ファイバ変位センサまたは格子変位センサである、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法
【請求項7】
前記液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置は、
前記注水ポンプには、安全リリーフ弁が設けられ、かつ、安全リリーフ弁の閾値が膨張カプセルの最大耐圧値より小さくなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法
【請求項8】
前記液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置は、
前記変位センサ、鎧装ケーブルおよびデジタル表示メータはいずれも本質安全型のものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭鉱の保護層採掘の技術分野に属し、特に液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置および使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
保護層の採掘技術は、炭層群の条件下で、炭層の保護層の採掘による減圧・透過向上作用によって、ガス濃度が高くまたは突出危険のある被保護炭層に隣接する炭層におけるガス含有量を低下させ、その突出危険性を消去させる区域ガス整備技術を意味する。保護層と被保護層との相対的な位置関係に応じて、保護層は、さらに上部保護層と下部保護層とに分けられる。中国の多くの鉱区の炭層群の賦存特徴によって、保護層の採掘は、中国で長期に採用すべきである区域突出危険防止措置である。炭層の膨張変形量は、保護層の採掘効果を判断するための重要な指標の1つである。《石炭とガス突出防止細則》(2019バージョン)第55条には、以下のように規定されている。炭鉱は、ある保護層を初めて採掘する場合、または保護層と被保護層との層間距離、岩性および保護層の採掘厚さ等が大きく変化した場合、被保護層に対する保護効果およびその有効な保護範囲を実際に考察すべきである。保護効果を考察した結果が有効である範囲は、突出危険がない領域である。実際に考察した結果、被保護層の最大膨張変形量が3‰よりも大きくなると、検証および考察の結果を、保護層と被保護層との関係が同様な他の領域にも適用することができる。最大膨張変形量が3‰を超えていないと、保護された作業面のそれぞれの保護効果を検証しなければならない。また、保護層と被保護層との層間距離、岩性および保護層の採掘厚さ等が大きく変化した場合、効果の検証および保護範囲の考察を再度行うべきである。
【0003】
現在では、炭層の膨張変形量に対する測定は、深部基点法を採用することが多く、すなわち、岩石坑道で炭層を貫通するドリル穴を炭層に施工し、炭層の頂板および底板にそれぞれ1対の鋼楔を取り付けて深部基点を固定し、鋼楔から鉄筋および鋼管を穴の外部に引き出し、鉄筋と鋼管との相対変位を測定し、かつドリル穴の角度と結合して換算することにより、炭層の膨張変形量を得ることができる。ドリル穴の距離が深い場合に、鉄筋および鋼管の代わりにワイヤロープを使用することができる。従来の測定方法は、実際の操作の困難度が大きく、潜在的な安全リスクが存在する。鋼楔の体積が大きく、ドリル穴における押し込み過程において穴壁と衝突して位置ずれが発生しやすく、ひいてはドリル穴の途中に引っ掛かられ、取付の失敗を引き起こすことがある。鋼楔や鉄筋は、まず炭層の頂板に押し込まれて固定され、その後、底板に押し込まれて固定されるため、取付を1回で完了することができず、底板の基点の取付が頂板の基点の安定に対して影響を与えることがある。測定箇所が被保護層から遠く離れる場合、鋼管や鉄筋の長さが長くなり、重量も増大するので、手動での押し込みが難しくなり、鉄筋および鋼管が自重の作用で落下しやすいので、潜在的な安全リスクが存在する。
鉄筋および鋼管の代わりにワイヤロープを使用すると、基点での鋼楔の取付固定が困難となり、そして、測定用のワイヤロープが保護されていないので、穴壁の割れに引っ掛かられることに起因して測定が不正確になる可能性がある。また、ドリル穴の変形およびドリル屑の影響によって鋼楔を所定の位置に取り付けにくくなり、良好に取り付けられた鋼楔も採掘の影響によって緩んで滑り落ちが発生しやすいので、測定に失敗することを引き起こしやすく、失敗率が極めて高くなる。被保護層の膨張変形量が小さく、通常数ミリメートルだけである一方、ドリル穴の深さが通常大きく、上下2本のワイヤロープの相対変位から直感的に読み取り、誤差が大きい。
【0004】
例えば、中国特許番号がCN202010972156.1の中国発明特許には、ドリル穴に設けられたガイド管、第1の封止バッグ、第1のバッグパルプ注入管、スリーブ、第2の封止バッグ、第2のバッグパルプ注入管およびワイヤロープを含む被保護層の膨張変形量の測定装置および方法が開示された。当該発明では、ドリル穴を施工するためのドリルおよびドリルロッドを利用して、ワイヤロープ、第1の封止バッグ、第1のバッグパルプ注入管などをドリル穴における被保護炭層の頂板より上方の位置までに送って、パルプを注入して固定して、被保護炭層の頂板の変位量を測定する。そして、スリーブを利用して封止部材を固定した後にワイヤロープを通し、ドリル穴における被保護炭層の底板の下方に送って、パルプを注入して固定して、被保護炭層の底板の変位量を測定する。さらに、保護層を採掘した後、被保護炭層の頂板の変位量、底板の変位量を利用して、保護層が採掘された後の被保護層の膨張変形量を算出するようになっている。当該装置は、被保護層の膨張変形量の測定を実現できるように、被保護炭層の頂板および底板の位置にそれぞれ封止バッグによってワイヤロープを固定し、かつワイヤロープによって炭層の頂板の変位量および底板の変位量を測定する必要があるため、その固定方式が複雑であり、ワイヤロープで測定するため、測定の誤差が大きくなる。
【0005】
従来、変位センサによって保護層の膨張変形量の測定を行うことに関する技術が少ない。例えば、中国特許番号がCN201610559046.6の中国発明特許には、被保護層の膨張変形量の測定方法が開示された。当該測定方法では、まずドリルによるドリル穴の形成、拡孔を行い、その後、ドリル穴および拡孔にそれぞれ頂板変位測定装置および底板変位測定装置を配置する必要があり、この頂板変位測定装置は、上部小トレイと、下部小トレイと、第1の中空ロッドと、第1のバネと、第1のデータ伝送線と、第1の変位センサと、第1のデジタル表示メータとを含み、前記第1のバネは、その上端が上部小トレイに接続されるとともにその下端が第1の変位センサによって下部小トレイに接続され、前記第1の変位センサは、下部小トレイの頂面に固定され、前記第1の中空ロッドの上端は、下部小トレイの底面に溶接される。
【0006】
底板変位測定装置は、上部大トレイと、下部大トレイと、第2の中空ロッドと、第2のバネと、第2のデータ伝送線と、第2の変位センサと、第2のデジタル表示メータとを含み、前記第2のバネは、その上端が上部大トレイに接続されるとともにその下端が第2の変位センサによって下部大トレイに接続され、前記第2の変位センサは、下部大トレイの頂面に固定され、前記第2の中空ロッドの上端は、下部大トレイの底面に溶接される。
【0007】
当該測定方法では、ドリル穴を形成して拡孔する必要があるため、プロセスが複雑であり、そして、炭層の頂板および底板のいずれにも測定装置を配置する必要があり、下部トレイは、石炭岩の落下体に起因する影響を受けて測定の正確性に影響を与えやすく、そして、4組のセンサを採用しているため、コストが高くなる。
【0008】
被保護層は、保護層の採掘過程において膨張変形が発生し、かつ膨張変形量が小さく、通常数ミリメートルだけであるため、タイムリーに測定して捉える必要があり、そして、装置の信頼性、正確性に対する要求が高い。また、被保護層の膨張変形量の測定装置の研究は、保護層の採掘におけるガス抽出採掘および効果検証作業に対して非常に重要な意味を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術に存在している課題に対して、液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置および使用方法を提供する。本発明の測定装置は、ドリル穴の固定の安定性を考慮して膨張固定器を設計し、被保護層の変形膨張量が小さいことを考慮して、変位センサおよび圧縮バネによって保護層の採掘過程における被保護層の膨張変形の全ての変化を敏感に捕捉することによって、監視データをタイムリーで正確であるとともに精度がより高いものとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を実現するために、本発明は、以下のような技術案を講じる。
【0011】
本発明に係る液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置は、伸縮保護ケースと、圧縮バネと、変位センサと、接続ロッドと、鎧装ケーブルと、膨張固定器と、直通逆止弁と、左ネジ高圧継手と、高圧封止接続ドリルロッドと、注水継手と、デジタル表示メータとを含む。
【0012】
前記変位センサは、伸縮保護ケースに沿って軸方向に移動することが可能であり、その一端が伸縮保護ケースの内端部にヒンジ接続されるとともに、他端が接続ロッドの一端に固定され、伸縮保護ケースには、圧縮バネが設けられ、圧縮バネは、その一端が伸縮保護ケースの内端部に固定されるとともに、他端が変位センサの外壁に固定され、前記接続ロッドの他端は、膨張固定器の一端に固定され、膨張固定器の他端は、直通逆止弁および左ネジ高圧継手を介して高圧封止接続ドリルロッドと連通し、高圧封止接続ドリルロッドの末端は、注水継手に接続され、前記注水継手は、高圧ホースを介して注水ポンプに接続され、前記変位センサの他端は、鎧装ケーブルによって外部デジタル表示メータに接続されている。
【0013】
さらに、前記膨張固定器は、膨張カプセルと、固定器液体注入管と、固定器中間部管とを含み、前記膨張カプセルの両端は、固定器中間部管の外部にそれぞれ圧着封止され、固定器液体注入管は、その出口端が膨張カプセルと固定器中間部管との間の密封空間に延伸するとともに、その入口端が前記直通逆止弁に接続され、前記固定器中間部管には、傾斜孔が設けられ、鎧装ケーブルは、接続ロッドおよび固定器中間部管を順に通過した後に傾斜孔から引き出されて外部のデジタル表示メータに接続されている。
【0014】
さらに、前記接続ロッドと伸縮式変位センサとは、右ネジで接続されている。
【0015】
さらに、前記左ネジ高圧継手と高圧封止接続ドリルロッドとは、左ネジで接続されている。
【0016】
さらに、前記接続ロッドの数および高圧封止接続ドリルロッドの数はいずれも少なくとも1つであり、前記接続ロッドまたは高圧封止接続ドリルロッドの数が2つまたは2つ以上である場合、接続ロッド同士または高圧封止接続ドリルロッド同士は、右ネジで接続される。
【0017】
さらに、前記伸縮保護ケースのストロークは、変位センサの測定レンジよりも小さくなる。
【0018】
さらに、前記注水ポンプには、安全リリーフ弁が設けられ、かつ、安全リリーフ弁の閾値が膨張カプセルの最大耐圧値よりも小さくなる。
【0019】
さらに、前記変位センサは、伸縮式変位センサ、レーザ変位センサ、光ファイバ変位センサまたは格子変位センサである。
【0020】
さらに、前記変位センサ、鎧装ケーブルおよびデジタル表示メータはいずれも本質安全型のものである。
【0021】
また、本発明は、上記の液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置を利用して、
【0022】
石炭岩層の賦存状態が安定した坑道を選択して、被保護層を貫通するようにドリルを利用して所定寸法のドリル穴を施工し、石炭層を貫通してから1m施工した後に停止する第1のステップと、
【0023】
液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置における注水継手を取り外し、高圧封止接続ドリルロッドによって液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置をドリル穴の底に押し込み、その後、鎧装ケーブルをデジタル表示メータに接続し、デジタル表示メータによって変位センサの数値を表示し、さらに、測定装置を続いて押し込んで伸縮保護ケース内の圧縮バネを圧縮させ、かつデジタル表示メータにおける変位量の数値をリアルタイムに読み取ることにより、押し込み圧縮量を制御する第2のステップと、
【0024】
高圧封止接続ドリルロッドを注水継手および高圧ホースを介して注水ポンプに接続した後、注水ポンプを起動して高圧封止接続ドリルロッドを介して測定装置の膨張固定器へ注水し、高圧水が直通逆止弁、固定器液体注入管を通過して膨張カプセルと固定器中間部管との間の空間に流入して、膨張カプセルを膨張変形させてドリル穴の岩壁を押圧することによって、測定装置の固定を実現する第3のステップと、
【0025】
注水ポンプによる注水を停止し、注水継手および高圧ホースを取り外して、ドリルを利用して高圧封止接続ドリルロッドを逆方向に回転させることによって、左ネジ高圧継手と高圧封止接続ドリルロッドとを分離して、高圧封止接続ドリルロッドを取り出す第4のステップと、
【0026】
デジタル表示メータをリセットし、保護層のストーピング過程においてデジタル表示メータにおける変位の数値をリアルタイムに監視して記録し、ドリル穴の角度から換算して被保護層の膨張変形量を得ることができる第5のステップと、を行う液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法をさらに提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、従来技術と比べて、以下のような有益な効果を有する。すなわち、従来の鋼楔などによる固定方式の代わりに液圧方式を使用することによって、実装が安定的かつ便利であり、耐干渉性が強いなどのメリットを有する。また、長いワイヤロープの相対変位を利用した孔口の測定の代わりに、測定装置の内部に変位センサを配置することによって、膨張変形量を直接的に精度高くリアルタイムリに測定することができ、そして、変位センサシステムを1組のみ必要とし、高圧封止接続ドリルロッドを回収できるため、コストが低く、システムが簡単であり、依頼性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の自動測定装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術手段を明確で完全に説明するが、以下に説明する実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことは言うまでもない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な労働を付与せずに得られる他の実施例も全て本発明の保護範囲に含まれる。
【0030】
図1に示すように、液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置は、一般的に押し込み深さが10m以上である場合に用いられるものであって、伸縮保護ケース1と、圧縮バネ2と、変位センサ3と、接続ロッド4と、鎧装ケーブル5と、膨張固定器6と、直通逆止弁7と、左ネジ高圧継手8と、高圧封止接続ドリルロッド9と、注水継手10と、デジタル表示メータ31とを含んでおり、前記変位センサ3は、伸縮保護ケース1に沿って軸方向に移動することが可能であり、その一端が伸縮保護ケース1の内端部にヒンジ接続されるとともに、他端が接続ロッド4の一端に固定され、伸縮保護ケース1内には、圧縮バネ2が設けられ、圧縮バネ2は、その一端が伸縮保護ケースの内端部に固定されるとともに、他端が変位センサ3の外壁に固定され、前記接続ロッド4の他端は、膨張固定器6の一端に固定され、膨張固定器6の他端は、直通逆止弁7および左ネジ高圧継手8を介して高圧封止接続ドリルロッド9と連通し、高圧封止接続ドリルロッド9の末端は、注水継手10に接続され、注水継手10は、高圧ホース12を介して注水ポンプ11に接続され、前記変位センサ3の他端は、鎧装ケーブル5によって外部のデジタル表示メータ31に接続される。
【0031】
前記膨張固定器6は、膨張カプセル61と、固定器液体注入管62と、固定器中間部管63とを含み、前記膨張カプセル61の両端は、固定器中間部管63の外部にそれぞれ圧着封止され、固定器液体注入管62は、その出口端が膨張カプセル61と固定器中間部管63との間の密封空間に延伸するとともに、その入口端が前記直通逆止弁7に接続され、前記固定器中間部管63には、傾斜孔631が設けられ、鎧装ケーブル5は、接続ロッド4および固定器中間部管63を順に通過した後に傾斜孔631から引き出されて外部のデジタル表示メータ31に接続されている。固定器液体注入管62の出口端は、湾曲した構造であって、かつ固定器中間部管63に設けられた貫通孔から膨張カプセル61と固定器中間部管63との間の密封空間に挿入されている。
【0032】
前記接続ロッド4と変位センサ3とは、右ネジで接続されている。
【0033】
前記接続ロッド4の数および高圧封止接続ドリルロッド9の数はいずれも少なくとも1つであり、前記接続ロッド4と固定器中間部管63とは、右ネジで接続されている。実際の必要に応じて、前記接続ロッド4または高圧封止接続ドリルロッド9の数を2つまたは2つ以上とする場合、接続ロッド4同士または高圧封止接続ドリルロッド9同士は、右ネジで接続される。
【0034】
前記左ネジ高圧継手8と高圧封止接続ドリルロッド9とは、左ネジで接続されている。
【0035】
前記変位センサ3は、伸縮式変位センサ、レーザ変位センサ、光ファイバ変位センサまたは格子変位センサである。
【0036】
変位センサ3に対する前記伸縮保護ケース1の軸方向の移動ストロークは、変位センサ3の測定レンジよりも小さくなる。
【0037】
前記注水ポンプ11には、安全リリーフ弁が設けられ、かつ、安全リリーフ弁の閾値が膨張カプセル61の最大耐圧値よりも小さくなる。
【0038】
前記変位センサ3、鎧装ケーブル5およびデジタル表示メータ31はいずれも本質安全型のものである。
【0039】
また、本発明は、上記の液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置を利用して、以下のステップを行う液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法をさらに提供する。
【0040】
ステップ1において、石炭岩層の賦存状態が安定した坑道を選択して、被保護層を貫通するようにドリルを利用して所定寸法のドリル穴を施工し、石炭層を貫通してから1m施工した後に停止する。
【0041】
ステップ2において、液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置における注水継手を取り外し、高圧封止接続ドリルロッド9によって液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置をドリル穴の底に押し込み(押し込み深さの必要に応じて、複数の高圧封止接続ドリルロッド9を接続して使用することができ、各高圧封止接続ドリルロッド9同士が右ネジで接続される)、その後、鎧装ケーブル5をデジタル表示メータ31に接続して、デジタル表示メータ31によって変位センサ3の数値を表示し、さらに、測定装置を続いて少し押し込んで伸縮保護ケース1内の圧縮バネ2を圧縮させ、かつデジタル表示メータ31における変位量の数値をリアルタイムに読み取ることにより、押し込み圧縮量を制御する。
【0042】
ステップ3において、高圧封止接続ドリルロッド9を注水継手10および高圧ホース12を介して注水ポンプ11に接続した後、注水ポンプ11を起動して高圧封止接続ドリルロッド9を介して測定装置の膨張固定器6へ注水し、高圧水が直通逆止弁7、固定器液体注入管62を通過して膨張カプセル61と固定器中間部管63との間の空間に流入して、膨張カプセル61を膨張変形させてドリル穴の岩壁を押圧することによって、測定装置の固定を実現する。
【0043】
ステップ4において、注水ポンプによる注水を停止し、注水継手10および高圧ホース12を取り外して、ドリルを利用して高圧封止接続ドリルロッド9を逆方向に回転させることによって、左ネジ高圧継手8と高圧封止接続ドリルロッド9とを分離して、高圧封止接続ドリルロッド9を取り出す。
【0044】
ステップ5において、デジタル表示メータ31をリセットし、保護層のストーピング過程においてデジタル表示メータ31における変位の数値をリアルタイムに監視して記録し、ドリル穴の角度から換算して被保護層の膨張変形量を得ることができる。
【0045】
本発明が提供する被保護層の膨張変形量の測定装置は、ドリル穴の固定の安定性を考慮して膨張固定器を設計し、被保護層の変形膨張量が小さいことを考慮して、変位センサとバネアセンブリによって保護層の採掘過程における被保護層の膨張変形の全ての変化を敏感に捕捉することによって、監視データをタイムリーで正確であるとともに精度がより高いものとすることができる。
【0046】
本明細書では、具体的な実施例を応用して本発明の原理および実施の形態を説明したが、以上の実施例の説明は本発明の方法およびその核心思想の理解に寄与するためのものである。そして、当業者にとっては、本発明の思想に基づいて、具体的な実施の形態および応用範囲に変更を加えることができる。以上のように、本明細書の内容は、本発明に対する制限と理解されるべきではない。
【符号の説明】
【0047】
1:伸縮保護ケース、2:圧縮バネ、3:変位センサ、4:接続ロッド、5:鎧装ケーブル、6:膨張固定器、7:直通逆止弁、8:左ネジ高圧継手、9:高圧封止接続ドリルロッド、10:注水継手、11:注水ポンプ、12:高圧ホース、31:デジタル表示メータ、61:膨張カプセル、62:固定器液体注入管、63:固定器中間部管。
【要約】
伸縮保護ケースと、圧縮バネと、変位センサと、接続ロッドと、鎧装ケーブルと、膨張固定器と、直通逆止弁と、左ネジ高圧継手と、高圧封止接続ドリルロッドと、注水継手と、デジタル表示メータとを含む液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置を提供する。また、本発明は、液体注入型の被保護層の膨張変形量の自動測定装置の使用方法をさらに提供する。本発明は、従来の鋼楔などによる固定方式の代わりに液圧方式を使用することによって、実装が安定的かつ便利であり、耐干渉性が強いなどのメリットを有する。また、長いワイヤロープの相対変位を利用した孔口の測定の代わりに、測定装置の内部に変位センサを配置することによって、膨張変形量を直接的に精度高くリアルタイムリに測定することができ、そして、変位センサシステムを1組のみ必要とし、高圧封止接続ドリルロッドを回収できるため、コストが低く、システムが簡単であり、依頼性が高くなる。
【選択図】図1
図1