(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】緯編編み物及びその編み方
(51)【国際特許分類】
D04B 1/10 20060101AFI20230703BHJP
D04B 1/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
D04B1/10
D04B1/00 Z
(21)【出願番号】P 2023004115
(22)【出願日】2023-01-13
【審査請求日】2023-01-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】393010101
【氏名又は名称】佰龍機械廠股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江 滔
(72)【発明者】
【氏名】李 信忠
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-049166(JP,A)
【文献】実開昭50-145876(JP,U)
【文献】実開平07-038105(JP,U)
【文献】国際公開第2020/045531(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 1/00 - 1/28
D04B 21/00 - 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸編機を用いて、表糸と地糸によって編まれる緯編編み物であって、
前記緯編編み物は、少なくとも1つの第1ブロックと少なくとも1つの第2ブロックとを含み、前記少なくとも1つの第1ブロックと前記少なくとも1つの第2ブロックは、それぞれ、少なくとも1つのコースを含み、前記第1ブロックでは、前記表糸と前記地糸が全てループし、前記表糸と前記地糸の相対位置は同じ前記コースで一定ではなく、前記第2ブロックでは、前記地糸が全てループし、前記表糸がループ、
ウェルトのいずれかで前記地糸と組み合わせることを特徴とする緯編編み物。
【請求項2】
前記緯編編み物は、複数の前記第1ブロックと複数の前記第2ブロックとを含み、複数の前記第1ブロックと複数の前記第2ブロックは交互に形成されることを特徴とする請求項1に記載の緯編編み物。
【請求項3】
前記第2ブロックでは、前記表糸が、
ウェルトにする前の編みとその後の編みがいずれも前記地糸とループすることを特徴とする請求項1又は2に記載の緯編編み物。
【請求項4】
前記表糸の色は前記地糸の色と異なることを特徴とする請求項3に記載の緯編編み物。
【請求項5】
前記表糸の色は前記地糸の色と異なることを特徴とする請求項1に記載の緯編編み物。
【請求項6】
表糸と地糸で編む丸編機で実施する緯編編み物の編み方であって、
前記丸編機は同じコースの編みにおいて選択的に標準給糸と逆給糸のいずれかにより前記表糸と前記地糸を給糸するよう制御することにより、前記表糸と前記地糸のループを編んだ後の相対位置は同じ前記コースにおいて一定ではないことと、
前記丸編機は、同じ前記コースの編みにおいて、前記地糸が全てループを編み、前記表糸がループを編むか糸を針に掛けて
ウェルトにするかで前記地糸と組み合わせるよう選針するように制御することとを含むことを特徴とする緯編編み物の編み方。
【請求項7】
前記表糸は、糸を針に掛けて
ウェルトにする前の編みとその後の編みがいずれも前記表糸と前記地糸をループに編ませることを特徴とする請求項6に記載の緯編編み物の編み方。
【請求項8】
前記表糸の色は前記地糸の色と異なることを特徴とする請求項6に記載の緯編編み物の編み方。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緯編編み物及びその編み方に関し、特に、メッシュ及び先染めジャカードを同時に備える緯編編み物及びその編み方に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の緯編編み物では、メッシュ構造を有する編み物に表面の色を変える場合に、編んでから染めるという方法でしか実施できず、先染めによって実現できない。また、先染めジャカードを備える従来の緯編編み物はメッシュ構造を有しない。そこで出願人は、当該課題を解決するための技術的解決手段を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、メッシュ構造を有する従来の緯編編み物には先染めジャカードを適用できないという課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の目的を達成するために、丸編機を用いて、表糸と地糸によって編まれる緯編編み物を提供する。当該緯編編み物は、少なくとも1つの第1ブロックと少なくとも1つの第2ブロックとを含み、当該少なくとも1つの第1ブロックと当該少なくとも1つの第2ブロックは、それぞれ、少なくとも1つのコースを含み、当該第1ブロックでは、当該表糸と当該地糸が全てループし、当該表糸と当該地糸の相対位置は同じ当該コースで一定ではなく、当該第2ブロックでは、当該地糸が全てループし、当該表糸がループ、ウェルトのいずれかで当該地糸と組み合わせる。
【0005】
一実施例において、当該緯編編み物は、複数の当該第1ブロックと複数の当該第2ブロックとを含み、複数の当該第1ブロックと複数の当該第2ブロックは交互に形成される。
【0006】
一実施例において、当該第2ブロックでは、当該表糸がウェルト前とその後にいずれも当該地糸とループする。
【0007】
一実施例において、当該表糸の色は当該地糸の色と異なる。
【0008】
さらに、本発明は、当該表糸と当該地糸で編む丸編機で実施する緯編編み物の編み方を提供し、当該緯編編み物の編み方は、
当該丸編機は同じコースの編みにおいて選択的に標準給糸と逆給糸のいずれかにより当該表糸と当該地糸を給糸するよう制御することにより、当該表糸と当該地糸のループを編んだ後の相対位置は同じ当該コースにおいて一定ではないことと、
当該丸編機は、同じ当該コースの編みにおいて、当該地糸が全てループし、当該表糸がループを編むか糸を針に掛けてウェルトにするかで当該地糸と組み合わせるよう選針するように制御することとを含む。
【0009】
一実施例において、当該表糸は、糸を針に掛けてウェルトにする前の編みとその後の編みがいずれも当該表糸と当該地糸をループに編ませる。
【0010】
一実施例において、当該表糸の色は当該地糸の色と異なる。
【発明の効果】
【0011】
上記のとおりに実施する本発明は、従来の技術と比べて次の利点を有する。本発明の緯編編み物は、メッシュと先染めジャカードを同時に備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の緯編編み物の構造模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の緯編編み物のブロック分布の模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の緯編編み物の編みのプログラミングの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の詳細な技術内容を、図面と結び付けて説明する。
図1が参照されるとおり、本発明は、丸編機(不図示)を用いて、表糸30と地糸31によって編まれる緯編編み物20を提供する。一実施例では、表糸30の色は地糸31の色と異なる。緯編編み物20の正面から観察すると、緯編編み物20は、少なくとも1つの第1ブロック21と少なくとも1つの第2ブロック22とを含み、少なくとも1つの第1ブロック21と少なくとも1つの第2ブロック22は、それぞれ、少なくとも1つのコース23(Course)を含む。第1ブロック21の含む少なくとも1つのコース23の数は、必ずしも第2ブロック22の含む少なくとも1つのコース23の数に等しいとは限らず、第1ブロック21及び第2ブロック22の大きさは、設計のニーズに応じて調整することができる。
【0014】
さらに、本発明の緯編編み物20の第1ブロック21では、表糸30と地糸31が全てループし、表糸30と地糸31の相対位置は同じコース23において一定ではない。これにより、本発明の緯編編み物20の第1ブロック21では、表糸30は必ずしも緯編編み物20の一面に位置するとは限らず、地糸31と位置が入れ替わることがあり、これにより緯編編み物20の第1ブロック21における色は表糸30だけによるものではない。また、本発明の緯編編み物20の第2ブロック22では、地糸31が全てループし、表糸30がループ、ウェルトのいずれかで地糸31と組み合わせる。さらに、表糸30がループするとは、表糸30と地糸31が同時に少なくとも1つの編針に牽引されてループを成形させることを指す。表糸30をウェルトにするとは、糸を針に掛けて実施することを指し、この場合に表糸30が地糸31と当該ループを形成しないため、緯編編み物20の表面にメッシュ(Mesh)が形成される。さらに、表糸30はウェルトにする前の編みとその後の編みがいずれも地糸31とループする。これにより、緯編編み物20の第2ブロック22では当該メッシュの形成により通気効果が向上することができる。
【0015】
図2が参照されるとおり、本発明の緯編編み物20は、複数の第1ブロック21と複数の第2ブロック22とを含み、複数の第1ブロック21と複数の第2ブロック22は交互に形成される。さらに、各第1ブロック21の大きさは必ずしも同じとは限らず、各第2ブロック22の大きさは必ずしも各第1ブロック21の大きさと同じとは限らないだけでなく、各第2ブロック22の大きさは必ずしも同じとは限らない。
【0016】
図1と
図3が参照されるとおり、
図3で、○は表糸30の編みを表し、■は地糸31の編みを表し、Wは表糸30を針に掛けることを表す。さらに、本発明は、表糸30と地糸31で編む当該丸編機で実施する緯編編み物20の編み方を提供し、緯編編み物20の編み方は、
当該丸編機は同じコース23の編みにおいて選択的に標準給糸と逆給糸のいずれかにより表糸30と地糸31を給糸するよう制御することにより、表糸30と地糸31のループを編んだ後の相対位置は同じコース23において一定ではない(例えば、
図3の列41)ことと、
当該丸編機は、同じコース23の編みにおいて、地糸31が全てループを編み、表糸30がループを編むか糸を針に掛けて
ウェルトにするかで地糸31と組み合わせるよう選針するように制御する(例えば、
図3の列42)こととを含む。
【0017】
上記の当該編み方において説明される2つの動作は、それぞれ、本発明の緯編編み物20の第1ブロック21、第2ブロック22を形成させるためのものであり、2つの動作の切り替えは、当該丸編機が単一のコース23を完成することを条件とし、言い換えれば、同じコース23では任意に変更することができない。また、前記2つの動作には順番が決まらず、プログラミングによって決定することができる。当該丸編機が第1ブロック21を編む動作では、色変更装置(例えば、US10669658、TWI672405)によって、又は少なくとも1つのシンカーの動作の制御(例えば、JP7089126)、又は当該少なくとも1つの編針の引き込み時間の制御(例えば、US11136698)によって標準給糸と逆給糸を実現することができる。また、当該丸編機が第2ブロック22を編む動作では、選針装置(不図示)によって編み部品を制御することで表糸30を編みに加え、又は糸を針に掛けて実施し、さらに、地糸31と組み合わせてループし、又は地糸31に対してウェルトにすることができる。
【符号の説明】
【0018】
20 緯編編み物
21 第1ブロック
22 第2ブロック
23 コース
30 表糸
31 地糸
41 動作
42 動作
【要約】
【課題】メッシュ及び先染めジャカードを同時に備える緯編編み物及びその編み方を提供する。
【解決手段】緯編編み物及びその編み方であって、緯編編み物(20)は、丸編機を用いて、表糸(30)と地糸(31)によって編まれる。緯編編み物(20)は、少なくとも1つの第1ブロック(21)と少なくとも1つの第2ブロック(22)とを含み、少なくとも1つの第1ブロック(21)と少なくとも1つの第2ブロック(22)は、それぞれ、少なくとも1つのコース(23)を含み、第1ブロック(21)では、表糸(30)と地糸(31)が全てループし、表糸(30)と地糸(31)の相対位置は同じコース(23)において一定ではなく、第2ブロック(22)では、地糸(31)が全てループし、表糸(30)がループ、トリミングのいずれかで地糸(31)と組み合わせる。
【選択図】
図1