(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】少なくとも1つの親指ループ区域と保持ループ区域とを有する外反母趾サンダル
(51)【国際特許分類】
A43B 7/26 20060101AFI20230704BHJP
A43B 3/12 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A43B7/26
A43B3/12 E
(21)【出願番号】P 2020547294
(86)(22)【出願日】2018-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2018082679
(87)【国際公開番号】W WO2019102033
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】202017107165.0
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018201113.3
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520187551
【氏名又は名称】ハルフィックス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ブラス、マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、フランツ
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0179674(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338449(US,A1)
【文献】特表2015-514528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 7/26
A43B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親指と中足骨との位置異常で適用するための外反母趾サンダル(1)であって、
アウターソール(2.1)及び足に履いたときに足のほうを向くフットベッド(2.2)を備えるソール部材(2)と、
足に前記外反母趾サンダル(1)を保持するための中足ループ区域(4)と、親指ループ区域(3)とを有し、
親指ループ区域(3)は第1の端部領域(3.1)をもって、親指とこれに隣接する足指との間に位置している前記ソール部材(2)の領域で前記ソール部材(2)の表面又は内部に固定されるとともに、親指(10)の周りへの巻付け長さに関して、調整可能な矯正力を親指(10)に対して及ぼすことが可能であるように変更可能であり、
前記親指ループ区域(3)は、第1の端部領域(3.1)を起点として親指の領域を介して斜め後方に向かって案内され、前記外反母趾サンダル(1)の内側において前記外反母趾サンダル(1)の外側へと通じる前記ソール部材(2)の通路(16)の中に入る外反母趾サンダルであって、
前記中足ループ区域(4)は、
足内側部分(4.1)と足外側部分(4.2)とを有し、前記足内側部分(4.1)は前記ソール部材(2)に固定され、
前記中足ループ区域(4)の前記
足外側部分(4.2)は前記親指ループ区域(3)と連結され、且つ
前記通路(16)は、
前記外反母趾サンダル(1)の中足領域における足の拇指球の領域の後方に配置されていることを特徴とする
外反母趾サンダル(1)。
【請求項2】
前記中足ループ区域(4)は、調整可能な矯正力を前記中足領域に対して及ぼすことが可能であるように前記中足領域の周りへの巻付け長さを変更可能である
、請求項1に記載の外反母趾サンダル(1)。
【請求項3】
アウターソール(2.1)及びフットベッド(2.2)を備えるソール部材(2)と、親指を横方向に位置固定するための親指ループ区域(3)と、前記外反母趾サンダルを履いたときにソール部材(2)の上で支持される足の
中足骨を循環するように包囲する、巻付け長さに関して変更可能である中足ループ区域(4)とを有する、
親指及び中足骨の位置異常で適用するための請求項2に記載の外反母趾サンダル(1)において、
前記中足ループ区域(4)と前記親指ループ区域(3)は前記中足ループ区域(4)の巻付け長さが変化したときに中足骨に対して横方向に作用する中足矯正力を変更可能であるように互いに連結され、該中足矯正力が足内側(13)に位置する中足骨を側方の方向へ足外側(14)へと押圧し、該中足矯正力によって
前記中足ループ区域(4)と連結された前記親指ループ区域(3)が前記中足ループ区域(4)と一緒に引き締められ、それによって足内側(13)に向かう方向へ親指矯正力を及ぼすことが可能である、外反母趾サンダル(1)。
【請求項4】
前記中足ループ区域(4)の前記足内側部分(4.1)を前記足外側部分(4.2)の上で引っ張ることによって巻付け長さを短縮可能であることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の外反母趾サンダル(1)。
【請求項5】
前記中足ループ区域(4)を折り畳むことで巻付け長さを短縮可能であり、展開することによって延長可能であることを特徴とする、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の外反母趾サンダル(1)。
【請求項6】
前記フットベッド(2.2)は、前記中足ループ区域(4)の巻付け長さが短縮されたときに、前記中足ループ区域(4)の領域においで足内側のほうを向く側に押圧クッションのような形式で中足骨に対する矯正力を及ぼす、引き上げられた縁部(5)を有することを特徴とする、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の外反母趾サンダル(1)。
【請求項7】
前記中足ループ区域(4)はその足内側の領域に、前記中足ループ区域(4)の巻付け長さが短縮されたとき中足骨に対する矯正力を及ぼす、押圧クッションの形式のペロッテを有することを特徴とする、請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の外反母趾サンダル。
【請求項8】
巻付け長さの変更は、回転つまみ(6)として構成されたテンション装置と、前記回転つまみ(6)と協同作用する引張部材(7)
とによって行われ、該引張部材の一方の端部は前記中足ループ区域(4)の前記足内側部分(4.1)で前記回転つまみ(6)に結合されるとともに他方の端部は前記ソール部材(2)の
外部又は内部で前記親指ループ区域(3)の第2の端部領域(3.2)と結合され、前記親指ループ区域(3)は
前記第2の端部領域(3.2)とは反対側の第1の端部領域(3.1)で前記ソール部材(2)に固定されることを特徴とする、請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の外反母趾サンダル(1)。
【請求項9】
回転つまみとして構成され、引張部材(7)
と結合されたテンション装置によって、これが調節されたときに前記引張部材(7)を延長可能又は短縮可能であり、それに伴ってそれぞれの前記親指ループ区域(3)及び中足ループ区域(4)の巻付け長さを変更可能であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の外反母趾サンダル(1)。
【請求項10】
前記中足ループ区域(4)の折り畳み又は展開によって巻付け長さを変更可能であることを特徴とする、請求項2
に記載の外反母趾サンダル(1)。
【請求項11】
前記親指ループ区域(3)と前記中足ループ区域(4)の間の連結は前記中足ループ区域(4)が前記親指ループ区域(3)と前記ソール部材の中で一体的に結合されることによって行われることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の外反母趾サンダル(1)。
【請求項12】
前記回転つまみは巻付区域を有し、前記引張部材(7)をその短縮のために該巻付区域に巻取可能であり、又はその延長のために当該巻付区域から巻出可能であり、前記回転つまみは定義された巻付け長さに相当するそのつど調整された巻取位置で係止可能であることを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載の外反母趾サンダル(1)。
【請求項13】
前記中足ループ区域(4)と前記親指ループ区域(3)の間の領域に面ファスナーを有するバンド(17)又はバンド状舌部の形態の中間ループ区域(9)が構成されることを特徴とする、請求項1から請求項
12のいずれか一項に記載の外反母趾サンダル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載されている外反母趾サンダルに関し、親指ループ区域と保持ループ区域とが設けられ、好ましくは、アウターソール及びフットベッドとを有するソール部材と、親指を横方向に位置固定するための親指ループ区域と、サンダルを履いたときにソール部材の上で支持される足の中足骨を取り囲む中足ループ区域とが設けられ、巻付け長さを変更可能である。
【背景技術】
【0002】
外反母趾サンダルは周知である。特許文献1には、アウターソールと、足に履いたときに足のほうを向くフットベッドと、足にサンダルを保持するためにソール部材に固定された保持ループ区域と、親指ループ区域とを有するソール部材を有する、少なくとも親指の位置異常に適用するための治療用の外反母趾サンダルが記載されている。親指ループ区域は第1の端部領域をもって、親指とこれに隣接する足指との間に位置するソール部材の領域でソール部材の表面又は内部に定着されるとともに、親指の周りへの巻付け長さに関して、調整可能な矯正力を親指に対して及ぼすことが可能であるように変更可能である。親指ループ区域の調節に伴って、中足領域に配置された保持ループ区域も位置調節されるが、それは、これら両方の調節ループが互いに連結されているからである。これに類似する治療用サンダルの設計は、特許文献2及び特許文献3にも記載されている。本発明はこれらの先行技術を前提とする。
【0003】
先行技術に基づくこれらのサンダルは、親指ループ区域が親指に沿って直接的にこれを横切るように案内されるという欠点を有する。このことは、わずかな調節作用しか許容しない。力の作用点が不都合に位置していて、このことが親指基関節に関して、足指に対するわずかなトルクしかもたらさないからである。親指ループが引き締められるとき、必然的に親指の回転もその長軸を中心として行われ、このことは特別に欠点となる。さらに、親指ループ区域の大きさが親指の領域で、特にサンダルのソール領域への親指の入口位置で、親指にとって可能な側方への変位範囲を制限する。外反母趾では、病像が軸変位だけでなく親指の回転も伴う。先行技術に基づくサンダルは、これら両方のネガティブな側面を逆にいっそう強めてしまう。
【0004】
特許文献4には、アウターソールとフットベッドとを備えたソール部材を有する外反母趾サンダルが記載されている。さらにこのサンダルは、親指を横方向に支持するための親指受けと、サンダルを履いたときにソール部材と連動して中足骨を循環するように包囲する、長さに関して変更可能な中足ベルトとを有している。サンダルの内側には中足の領域に、押圧クッションを介して中足ベルトが当て付けられることで横方向を向く力を内側の中足骨に対して及ぼす押圧クッションが設けられている。中足ベルトは分割されており、それにより、中足ベルトの両方の部分の相互の重なり合いの程度を通じて、中足ベルトの循環する長さを調整可能である。足内側に位置する中足骨に対して押圧クッションにより及ぼされる力によって、相応の中足骨がそれにより外方に向かって押圧され、親指が内方に向かって比較的強い方向付けを受ける。しかし、親指ベルトは調節不能かつ固定的であり、親指を横方向で支持する役目を果たすにすぎない。それに伴って親指の方向付けの矯正は、押圧クッションにより惹起される中足骨の矯正によって間接的に行われる。親指の位置異常を矯正するための治療上の効果にも資する追加の整復は、そこでは直接的には行われない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2016/0242508号明細書
【文献】米国特許第3066678号明細書
【文献】米国特許第3275002号明細書
【文献】国際公開第2013/160377号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底にある課題は、親指ループ区域と中足ループ区域のいずれもが、親指と中足骨の両方の方向付けに治療上の影響を及ぼすことを可能にする外反母趾サンダルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1及び請求項3に記載の構成要件を有する外反母趾サンダルによって解決される。好都合な発展例は、それぞれの従属請求項に定義されている。
【0008】
本発明によると、少なくとも親指の位置異常に適用するために意図される外反母趾サンダルは、アウターソール及び足に履いたときに足のほうを向くフットベッドを備えるソール部材と、足にサンダルを保持するためにソール部材に固定された保持ループ区域と、親指ループ区域とを有する。保持ループ区域は、親指ループ区域に加えて、サンダルが足に保持されるために設けられる。そのために保持ループ区域は、位置異常を治療上の効果という意味合いで矯正することができる特質と機能をもつ親指ループ区域に追加して、たとえば親指の領域に配置されていてよい。矯正とは、少なくとも親指が足外側に向かって、すなわち他方の親指に向かって、位置異常を有している外反母趾において、親指が再び実質的に足の方向への方向付けを受ける程度まで位置異常が矯正されるようにすることを意味する。
【0009】
親指のこのような位置異常の治療上の処置では、処置の過程においてその処置がポジティブに進行すれば、次第に親指が再び当初の、すなわち足の方向に方向付けされた方向へと矯正されていく。すなわち処置中に、親指を外方に向く位置異常からまっすぐな位置へと矯正するのに必要な矯正力が変化していく。このことを治療成果に応じて矯正可能に実行できるようにするために、親指ループ区域は、ソール部材の表面又は内部に定着された第1の端部区域を有する。そして親指ループ区域は、定着部に向かい合う端部で、調整可能な矯正力を親指に対して及ぼすことが可能であるように、親指の周りへの親指ループ区域の巻付け長さを変更可能であるように働く力が作用するように構成されるのが好ましい。そのために、親指ループ区域の定着部に対向して位置する第2の端部はその位置に関して巻付け長さが短くなるように変更され、好ましくは引っ張られ、それにより相応の矯正力を親指に対して及ぼすことができる。すなわち、親指の周りへの巻付け長さに関して変更可能である親指ループ区域のみによって、親指の位置異常の治療上の効果を惹起することが可能である。このことは、位置異常を矯正するために親指に対して作用する矯正力を、そのつどすでに達成された治療上の効果に合わせて適合化できることを意味する。追加的に設けられるべき保持ループ区域は、それ自体として治療上の効果を発揮しなくてよく、まず第1に、外反母趾サンダルを足に保持するための役目を果たす。
【0010】
請求項1によれば、親指ループ区域は第1の端部領域を起点として親指の領域にわたって斜め後方に向かって案内され、外反母趾サンダルの内側で外反母趾サンダルの外側へと通じるソール部材の通路の中に入り、この通路は外反母趾サンダルの中足領域に配置される。
【0011】
親指ループ区域のこのような案内は、親指ループを引き締めたときの長軸を中心とする親指の回動を防止する。さらに、斜めへの延在は親指への力作用点の延長を惹起し、それに伴って、先行技術に基づく実施形態に比較してレバーアームの延長を惹起する。中足領域に位置するソール部材の通路へと拇指球の後方で親指ループ区域が案内されることで、ソール部材の脆弱化が最小限に留められる。特に、ソール部材に対する圧力が特別に高い拇指球の領域で脆弱化が生じない。すなわち、本発明に基づくこのような構成により、-先行技術に基づくサンダルとは異なり-親指の軸変位と長軸を中心とする回転への対処がなされる。
【0012】
請求項3によれば、巻付け長さに関して調整可能な親指ループ区域に追加して、それぞれの端部領域においてソール部材の表面又は内部に取り付けられ、中足領域に対して調整可能な矯正力を及ぼすことが可能であるように中足領域の周りへの巻付け長さを変更可能である、中足ループ区域が設けられるのが好ましい。好ましくは中足ループ区域の巻付け長さについて調整可能性が与えられることにより、1又は複数の中足骨に対して相応の矯正力を及ぼすことができ、それにより、中足骨をその位置異常に関して矯正する矯正力が、解剖学的な所与の条件に即して、巻付け長さに関して調整可能な親指ループ区域に追加して外反母趾の治療上の効果を達成することができる。
【0013】
このような種類の装置の利点は、親指ループ区域と中足ループ区域の巻付け長さを、治療上の効果を達成するための矯正力を足指及び/又は中足の位置異常に対して及ぼすために個別に利用できるという点にあり、それは、これら両方のループ区域がそれぞれの巻付け長さを互いに独立して調整可能なように構成されるからである。
【0014】
外反母趾サンダルは、アウターソール及びフットベッドを備えたソール部材と、親指を横方向で位置固定するための親指ループ区域と、サンダルを履いたときにソール部材の上で支持される足の中足骨を循環するように包囲する中足ループ区域とを有するのが好ましく、中足ループ区域は足への巻付け長さに関して変更可能である。たとえば中足ループ区域の巻付け長さが短くなったときに中足ループ区域の巻付け長さを変更することで、足外側に向かう方向の矯正力が高くなり、このことにより、解剖学的な理由から、足外側への位置異常から足内側への正しい位置に向かう方向に親指を方向付けるポジティブな効果を以て矯正する。そして本発明によると、中足ループ区域と親指ループ区域が互いに連結され、それにより、中足ループ区域の操作時に、すなわちその巻付け長さの変更時に、親指ループ区域も引き締められるか緩められるかの意味合いで操作され、それにより、親指ループ区域もいっそう強い、又はいっそう弱い矯正力を足内側に向かう方向へと及ぼす。このとき中足ループ区域と親指ループ区域の間の連結はアウターソールの内部で行われ、又は、本来のフットベッドがサンダルから引出し可能な中敷きに設けられている場合には、フットベッドとアウターソールの間で行われる。このとき、アウターソールの内部に潜り込む中足ループ区域の部分は、サンダルの内部で親指ループ区域と対角線上で結合されるのが好ましく、アウターソールから、又はフットベッドとアウターソールの間から再び外に出て、その際に親指の横方向の位置固定のために設けられてこれに適したループを形成し、該ループを介して、親指に対する矯正力を足内側のほうを向く方向で調整可能に及ぼすことが可能である。このとき中足ループ区域の材料及び親指ループ区域の材料は、実質的に引張剛性が高く、それによりループ区域の各部分が中足領域でも親指領域でもそれぞれ上に説明した矯正力を及ぼすことができる。
【0015】
それに伴い、先行技術に記載されている、必然的に設けられる押圧クッションを全面的に省略することが可能なだけではない。それによって本発明によるサンダルは、本発明によるサンダルの治療上の効果にネガティブな影響を与えることなく、いっそう容易にモードに合った形態にすることもできる。
【0016】
第1の実施例では、中足ループ区域が分割され、足内側部分と足外側部分とを有し、中足ループ区域の足内側部分は親指ループ区域と連結され、本発明に基づいてアウターソールの内部に配置される。このことは、中足ループ区域がアウターソールの中に側方で入り、中足ソールを通して内部に挿通されて親指の領域で再び外に出て、そこで親指ループ区域のループをその横方向の位置固定のために形成することを意味する。中足ループ区域は、アウターソールの入口領域で親指ループ区域を外から覆うように、又は、親指ループ区域がアウターソールの入口領域で中足ループ区域を外から覆うように、側方からアウターソールの中へ通路の中に入るのが好ましい。
【0017】
中足ループ区域の巻付け長さは、中足ループ区域の足内側部分をその足外側部分を介して引っ張ることで短縮されるのが好ましく、それにより、矯正力をたとえば増大させることができ、ないしは中足ループ区域を、及びこれに伴って親指ループ区域を、治療上の矯正に準じて再調節することができる。
【0018】
しかしながら別の実施例では、中足ループ区域の巻付け長さを、これを折り畳むことによって短縮可能であることも可能である。実質的に閉じて構成される中足ループ区域に1つの装置が設けられ、該装置によって中足ループ区域がその下に位置する領域の上に折り畳まれ、これが折り畳まれた状態で固定され、それにより、中足ループ区域の長さが同じく短縮される。
【0019】
フットベッドは、中足ループ区域の領域で足内側のほうを向く側に、分割された中足ループ区域が重ねて引っ張られることで、又は閉じられて構成された中足ループ区域が折り畳まれ、ないしは畳み込まれることで巻付け長さが短縮されたときに、一種の押圧クッションのように矯正力を中足骨に対して及ぼす、引き上げられた縁部を有するのが好ましい。ただし押圧クッションそのものは必要ではないが、それでもフットベッドの特別な構成により、押圧クッションのような種類の効果を実現することができる。
【0020】
しかしながら1つの発展例では、中足ループ区域がその足内側の領域に、巻付け長さが短縮されたとき中足骨に対する矯正力を追加的に高める、押圧クッションのような種類のペロッテを有することも可能である。ペロッテは適当な取外し可能な結合によって取外し可能かつ再び取付可能であるのが好ましく、それにより、治療上の治癒成果に応じてペロッテの大きさに、及びこれに伴って追加的に及ぼされる矯正力に、影響を与えることが可能である。
【0021】
1つの実施例では、中足ループ区域にはその巻付け長さを短縮するために、たとえば紐、ケーブル、ワイヤなどの引張部材と協同作用する回転つまみが配置され、その両方の端部が中足ループ区域で、アウターソールの足外側にこれが取り付けられている領域で取り付けられる。このとき回転つまみを回すと、紐がローラなどの巻取区域に巻き取られ、このことは中足ループ区域の有効な巻付け長さを短縮する。回転つまみを回すことを通じて、治療上の処置成果に応じて、中足ループ区域の巻付け長さの短縮と延長を両方とも行うことができる。巻付け長さの短縮は、たとえば本発明によるサンダルでの治療の開始時に、場合により痛みを引き起こし得る、高すぎる強制力が及ばされることに患者が気づいたときに、たとえば患者によって実行して調整することもできる。
【0022】
中足ループ区域と親指ループ区域の間の連結は、中足ループ区域が親指ループ区域と一体的に結合されて、ソール部材の内部を通るように挿通され、それにより、中足ループ区域の足内側部分と足外側部分の重なり合いが変化したとき、同時に親指ループ区域の引き締めも行われ、それにより、親指に対して及ぼされる矯正力を増大できるように行うことができる。中足ループ区域の巻付け長さを増やせば、親指に対して作用する矯正力を相応に低減することができる。
【0023】
第2の実施形態では、回転つまみとして構成されるテンション装置が中足ループ部材の足内側部分に配置され、紐、ケーブル、又はワイヤなどの形態の引張部材を介して結合され、該引張部材はソール部材の内部を通って親指ループ区域の定着部に向かい合う端部に至るまでソール部材の内部で案内され、それにより、親指のループ区域と中足領域のループ区域との間では結合が成立するが一体的な結合は成立せず、すなわち、連結は引張部材を介して行われる。すなわち、回転つまみによる巻取りによって引張部材が短縮されると、中足ループ区域の巻付け長さが親指ループ区域の巻付け長さと同様に変化する。このように中足ループ区域と親指ループ区域の間の連結は、ただ1つの調節装置によって、治療上の効果のために必要な矯正力を中足領域でも親指領域でもただ1回の調節により変更することができるという主要な利点を有する。引張部材とは、ここでは引張をかけて負荷可能である部材であって、固有剛性も備えており、それにより、巻付け長さが増えたときにそれぞれのループ区域に対してスラスト力を及ぼすことが可能であるものを意味する。
【0024】
ループ区域は柔軟で引張剛性が高いのが好ましく、繊維材料又は多層の複合材料で構成されるのが好ましい。
【0025】
場合により、親指ループ区域のためのテンション部材だけがこれにより親指に対して作用する矯正力の調整のために存在し、又は、巻付け長さに関する中足ループ区域の変更によって中足領域に対して作用する矯正力を調整するために具体化される、場合により回転つまみとしても構成される第2のテンション部材が追加的に設けられるのが好ましい。このとき主要な利点は、親指又は中足領域に対してそれぞれ及ぼされる矯正力を個別に、かつそれに伴って互いに独立して調整可能であるという点にある。このとき、治療のために作用する矯正力に関して両方の領域を調整したい場合に2つのテンション部材が必要になるが、主要な利点は、それぞれ別様に処置されるべき足の領域についての調整の独立性にある。
【0026】
本発明のこの第1の態様では、たとえば足指領域にある保持区域が、巻付け長さを本発明に基づいて変更可能である中足ループ区域の形態のループ区域によって置き換えられることが意図されていてよいのが好ましい。その場合、足指の領域の保持区域は必要なくなる。しかしながら、保持区域が-前述したように-中足ループ区域によって形成されるが、それにもかかわらず、治療上の効果のために設けられるのでない追加のループ区域が、足指の領域に配置されていてよいことも可能である。
【0027】
中足ループ区域は分割された区域として設けられるのが好ましく、足内側部分と足外側部分とを有し、これらの部分がある程度の重なり合いないしオーバーラップを互いに有する。中足ループ区域の両方の部分の両方の端部の重なり合いないしオーバーラップを変更することで、その巻付け長さを変更することができる。このことは、同じく相応に構成されたテンション部材によって行うことができるのが好ましく、それは、引張部材が一方の区域で回転つまみないしこれに配置された巻取ローラと結合されるとともに、引張部材の各端部が中足ループ区域の他方の区域と結合される場合である。
【0028】
本発明の1つの発展例では、中足ループ区域の巻付け長さは当該区域の折り畳み又は展開によって変更することもできる。
【0029】
1つの発展例に基づき、親指ループ区域と中足ループ区域の間の連結が、たとえば中足ループ区域の足外側部分と親指ループ区域との一体的な結合を介して具体化されると、中足ループ区域と親指ループ区域の両方の巻付け長さの調節のために1つのテンション装置しか必要ない。
【0030】
テンション装置の主要部分である回転つまみは、引張部材をその短縮のために巻取可能である巻付区域を有するように構成されるのが好ましく、その延長のために巻取ローラからの巻出しが行われ、さらに、そのつど調整された、定義された巻付け長さに対応する巻取位置で係止可能であるように構成される。このような係止は、本発明による外反母趾サンダルを履いているときに不慮に脱落し、これに伴って、巻付け長さの縮小により高められた矯正力の治療効果が喪失されるのが防止されるという利点を有する。回転つまみに代えて、引張部材を所望の位置に規定可能ないし固定可能であるクランプ装置が設けられていてもよい。
【0031】
次に、本発明のその他の利点、構成、及び詳細について、実施例を参照しながら図面を援用して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明によるサンダルを斜め上からの視線で示す外観図である。
【
図2】
図2は、
図1のサンダルを平面図として示す外観図である。
【
図3】
図3は、本発明によるサンダルの足外側を側面図として示す外観図である。
【
図4】
図4は、本発明によるサンダルの足内側を向く方向で斜め上から示す外観図である。
【
図5】
図5は、本発明に基づく第2の実施例について、足外側を向く方向で斜め上から示す外観図である。
【
図6】
図6は、別の実施例に基づくソール部材の上の足を、ループ区域の表示なしに示す外観図である。
【
図7】
図7は、本発明によるサンダルの別の実施例の足内側を側面図として示す外観図である。
【
図8】
図8は、
図7の実施例を平面図として示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、本発明によるサンダルの外観図が、足外側への斜め上からの視線で示されている。この外反母趾サンダル1は、それ自体公知の設計形態で、本来のアウターソール2.1とフットベッド2.2とで構成される、2部分からなるソール部材2を有しており、フットベッドは、アウターソール2.1の上でサンダル1の内部に配置された中敷きに構成されている。フットベッド2.2はアウターソール2.1と固定的に結合されていてもよく、特に接着されていてよい。
【0034】
基本構造において、本発明によるサンダル1は親指ループ区域3と中足ループ区域4とを有している。中足ループ区域4は分割されており、足内側部分4.1と足外側部分4.2とを有する。足内側部分4.1は足外側部分4.2を上から覆うような形式で配置され、すなわち後者に重なり合う。親指ループ区域3と中足ループ区域4の間に2つの中間ループ区域9が設けられていて、これは、あくまでも治療用であるこのシューズのサンダルとしての性格を強調するためのものであるが、外反母趾の治療上の成果にとって重要ではない。たとえば中足ループ区域4が存在しない場合、中間ループ区域が保持ループ区域としての役目を果たす。中足ループ区域4は、中足領域を取り囲むその配置において、その巻付け長さを調整ないし適合化することができる。このとき巻付け長さは、中足ループ区域4の互いに重なり合う夫々の部分4.1及び4.2と、サンダルの中にある足の下の中敷きの中のフットベッドとによって形成される。紐の形態の引張部材結合を通じて取付部8と協同作用する回転つまみ6によって、ここで、回転つまみは足内側部分4.1に配置され、取付部8は本発明によるサンダルの足外側部分に配置されるのであるが、回転つまみ6を操作したときに回転つまみの回転方向に応じて紐の長さが、及びそれに伴って足外側部分4.2の上での足内側部分4.1の重なり合いの長さが、短縮又は延長され、それにより、引張部材7のこの長さが減ると中足領域の周りへの中足ループ区域4の巻付け長さが縮小される。
【0035】
中足ループ区域4の足外側部分4.2はサンダル1の内部で、すなわち
図1に示すように、フットベッドを含む中敷きと本来のアウターソールとの間で、又は、本来のアウターソールとフットベッド2.2が一体的に構成される場合には中敷きの下方で、親指ループ区域3と結合される。すなわち、中足ループ区域4の足外側部分4.2はサンダル1の内部にある通路16の中で、中足ループ区域4の足外側部分4.2が中に入るサンダルの外側から、これに向かい合うサンダル1の側まで延びており、すなわち、その足内側で再びソール部材から外に出る。すなわち、それによって形成される親指のためのループ区域の他方の端部領域3.2は、足内側に構成される。中足ループ区域4のこの1つの部分の端部4.4と親指ループ区域3の端部は、すなわち親指ループ区域にある端部は、サンダル1の本来のアウターソール2.1に取り付けられている。親指ループ区域3の第1の端部領域3.1は、アウターソール2.2に固定され、それに対して、その第2の端部領域3.2は、ソール部材2の内部の通路16の中で中足ループ区域4の足外側部分4.2へと移行する。組立上の理由により、親指ループ区域3の端部は本来のアウターソール2.1に取り付けられ、それにより、サンダル1の足内側に向かって親指ループ区域3の本来のループが構成される。
【0036】
フットベッド2.2は足内側のほうを向く足アーチに、中足ループ区域4の巻付け長さが短縮されたときに中足骨に対する増大した矯正力につながる、高くなった縁部を有している。しかしながら高くなった縁部5に代えて、中足ループ区域4の巻付け長さが短縮されたとき、親指の位置異常を補助的に矯正するために中足骨に対する矯正力の同じ機能を有する、別個のペロッテが配置されることも可能である。
【0037】
図2には、
図1の本発明によるサンダルの外観平面図が示されており、ここでは、フットベッド2.2の下でフットベッドの下面と本来のアウターソール2.1との間に、中足ループ区域4と親指ループ区域3との間の一体的な連結部が破線で模式的に図示されている。これらの破線は、中足領域で足内側から足外側への通じる通路16の位置と形状も示唆している。足外側部分4.2は、フットベッド2.2の下の通路16の中でサンダルを通過するように案内されて、足内側の側で再び外に出て、親指ループ区域3のためのループを形成する。中足ループ区域4の足内側部分4.1に回転つまみ6が配置されていて、その上で紐の形態の引張部材7が取付部8により中足ループ区域4の足外側部分4.2に取り付けられ、それにより、回転つまみ6を回すことで引張部材7が巻き取られたり巻き出されたりするようになっており、それによって中足ループ区域4の巻付け長さが短縮され、又は、時計と逆回りに回されたときには延長される。それにより、中足骨に対して作用する圧力、及びこれに伴って矯正力、及びこれに伴って治療効果を調整することができる。足内側部分4.1はフットベッド2.2の引き上げられた縁部5を上から覆い、それにより、中足ループ区域4の巻付け長さが短縮されると、足内側のほうを向く中足骨に対して作用する矯正力が増大する。それと同時に、巻付け長さが短縮されると、中足ループ区域4と親指ループ区域3との連結によって親指ループ区域も引き締められ、それにより、親指に対しても相応の矯正力が及ぼされる。その他の基本構造は、
図1で説明した図面のものに相当する。親指ループ区域3との本来の連結を具体化する中足ループ区域4の足外側部分4.2は、足内側部分に向かう方向の端部で2つの端部からなっていて、これらは切欠きのある舌部を介して連結の過程で合流して、分割されていない1つの部品となる。これは、フットベッド2.2の下で外に出る前の親指ベルトにすぐ後続する連結の領域である。
【0038】
図3には、
図1又は
図2の実施例の外観側面図が示されている。一方では、フットベッド2.2が中敷きの形態でサンダルに挿入されていることが明らかとなる。他方では、中足ループ区域4の足外側部分が2つの舌部で構成されるように示されていて、これらの舌部にそれぞれ取付部8が設けられている。取付部8から引張部材7が回転つまみ6に枢支されていて、回転つまみを回すと紐が短縮され得るようになっており、このことは中足ループ区域4の巻付け長さの短縮につながり、又は延長され得るようになっており、このことは巻付け長さの延長につながり、それにより相応の治療上の効果を調整することができる。巻付け長さが短縮されると、足内側で中足骨に対して作用する矯正力が高くなり、それに対して、巻付け長さが延長されると矯正力が低くなる。それにより、患者が所望の治療効果に応じて、及びループ区域の調整された引き締めに応じて、治療上の成果に関して最終的にある程度の範囲内で自分で決めることが可能である。中足ループ区域4と親指ループ区域3の間にある中間ループ区域9が、
図3の図面では親指ループ区域を隠しており、そのためこれを図面に見ることはできない。
【0039】
図4には、足内側から見た外観側面図が示されており、ここでは、中敷きとして構成されたフットベッド2.2の下方のアウターソール2.1の領域で、親指ループ区域3が通路16の中へどのように挿通されるかが図示されている。この親指ループ区域は中足ループ区域の足外側部分4.2と連結によって直接的に結合されており、それにより、回転つまみ6を回すことが中足領域の周りへの巻付長さの変更につながるとともに、巻付け長さが低減された場合には、中足ループ区域4と親指ループ区域3の両方の同時の引き締めにつながる。同様に、巻付け長さが増やされれば、引き締めを弱めることができる。それ以外の点では、この
図4の図面は
図1の実施例に相当する。
【0040】
図5には、本発明に基づく第2の実施例の外観図が、サンダルの外側を、すなわち足外側14が配置されているサンダルの側を、斜め上から見た視線方向で示されている。この外反母趾サンダル1も、本来のアウターソール2.1とフットベッド2.2とを含むソール部材2を有している。フットベッドは本来のアウターソール2.1と強固に結合されていてよいが、フットベッド2.2が中敷きとして本来のアウターソール2.1へ挿入されてもよい。組立上の理由により、フットベッド2.2が中敷きの形態で本来のアウターソール2.1へ挿入されて、そこで恒久的に接着され、又はその他の仕方で固定的に結合されることも考えられる。サンダル1は、足内側部分4.1と足外側部分4.2とを有する、分割された中足ループ区域4を有している。足外側部分はスリットが入っており、2つの舌状の端部を有し、これらが中足ループ区域4のスリットのない足外側部分4.2と同様に、フットベッド2.2と本来のアウターソール2.2との間でサンダル1とそれぞれの端部に取り付けられている。端部領域4.3をもってソール部材2に取り付けられた、中足ループ区域4の足内側部分4.1には、回転つまみ6の形態のテンション装置が設けられていて、回転つまみが回されたとき、これにたとえばケーブル、紐、又はヤーンなどの引張部材を巻取り可能又は巻出し可能である。回転つまみ6の各々の側から、回転つまみ6の下方にある巻取装置へと接線方向に通じる、このような種類の2つの引張部材が存在する。中足ループ区域の足外側部分4.2は、その端部領域4.4をもってソール部材2に取り付けられている。
【0041】
ソール部材2のフットベッド2.2と本来のアウターソール2.1との間の結合個所の領域に、中足ループ区域4の足外側部分4.2の各々の舌状の舌部にそれぞれ1つの方向転換装置12が配置されており、これにより、そこでそれぞれ方向転換された引張部材が、ないしはそこでそれぞれ方向転換されるケーブルが、サンダル1の内部にある通路16の中へと案内される。
図5にソール領域の破線によって長さが示唆されているこの通路の中で、引張部材7の各端部が親指ループ区域3の第2の端部領域3.2と結合され、親指ループ区域は定着部11から親指10を巡って、足内側にある、ないしは足内側のほうを向くサンダルの側にある、サンダル1の内部への入口まで案内され、そこで引張部材7の両方の端部が枢支されている。このことは、親指ループ区域3の第2の端部領域3.2が紐と方向転換装置12を介して、中足ループ区域4の足内側部分4.1で回転つまみ6まで案内されることを意味する。回転つまみ6を回すことで、それぞれの引張部材が巻き取られ、又は巻き出され、それにより、たとえば巻取時に発生する引張によって、中足ループ区域4の足外側部分4.2への足内側部分4.1の重なり合いの程度が増大するばかりでなく、重なり合いのこのような増大によって、及びこれに伴う中足ループ区域4の巻付け長さの縮小によって、親指ループ区域3が締め付けられ、それに伴って親指10に対する矯正力の増大が帰結されることも達成される。
【0042】
図示しない実施例では、
図1ないし5に示す、ないしは
図5の追加の引張部材による、中足ループ区域4と親指ループ区域3の間の連結が与えられない。むしろ中足ループ区域4と親指ループ区域3はいずれも独自のテンション装置を好ましくは回転つまみ6の形態でそれぞれ有し、それにより、この図示しない実施例では親指領域、中足領域で、又はこれら両方の領域のいずれかで矯正力の調節を行うことができる。
【0043】
図6にはソール部材2を前から見た足の図面が示されており、図面を簡略にするためにループ区域は省略されている。親指10は、足内側に向かって指の方向に延びる楔形の隆起部の上に載っており、この隆起部は、親指ループ区域3によって親指10が循環するように包囲されたときに、親指を追加的に支持する。親指ループ区域3の巻付け長さが短縮され、それに伴って親指10に対する矯正力が増大したとき、楔形の隆起部15によって、治療上の処置中に親指ループ区域により矯正力が印加されることで親指10が回動することが防止され、若しくは少なくともこれに対処がなされる。このように、楔形の隆起部15は親指10の下敷き又は側方の載置部の役目を果たし、足長手方向に対して横向きに傾いており、すなわち内側方向に上昇していき、外側方向に低下していく。このとき楔形の隆起部15は、ソール部材2のフットベッド2.2の一部であってよく、又は、前記フットベッド2.2の上面に、特に接着などの適宜の接着方法で接着されてもよい。
【0044】
図7は、本発明によるサンダル1の別の実施例の足内側の外観図を側面図としている。このサンダル1はアウターソール2.1を有していて、その上にフットベッド2.2が配置されている。フットベッド2.2の上には、サンダル1にわたって横方向に延びる、複数のバンドで構成されるバンド17が中足領域に存在していて、そのうちいくつかのバンド18がフットベッド2.2と固定的に結合されている。
【0045】
親指ループ区域3はその第1の端部領域3.1をもってフットベッド2.2に固定され、斜め後方に向かって通路16へと案内される。
図8に示すように、そこで親指ループ区域が通路16を介してフットベッド2.2の内部に入り、そこで中足ループ区域4と合体し、これと共にフットベッド2.2の他方の側で外に出るか、又はそれぞれ1つの引張部材7に連結される。親指ループ区域3と中足ループ区域4のテンショニングは、上記のとおり、回転つまみ6によって引き締めたり緩めたりすることができる引張部材7を介して行われる。
【0046】
図8は、
図7に示すサンダル1を上から見た平面図として示している。
【0047】
図9は、本発明によるサンダルの別の実施例を示しており、その基本構造は
図7ないし
図8のもとに相当するが、ここでは中足ループ区域4がバンドとして構成されるのではなく、幅の広い2つの舌部を有していて、これらを上下に位置させることが可能であり、所望のループサイズで面ファスナーにより適合化可能である。
【0048】
このサンダルも同じくフットベッド2.2を有し、その上で中足領域に中足ループ区域4と並んで、説明している実施形態ではさらに中間ループ区域9が配置されており、中足ループ区域4は足内側部分4.1と足外側部分4.2とを有し、これらが回転つまみ6と引張部材7によって互いに調節可能なように配置され、親指ループ区域3は第1の端部領域3.1をもってフットベッド2.2に定着されるとともに、
図9には示されない通路16へと斜め後方に向かって案内される。そこで親指ループ区域が通路を介してフットベッド2.2の中に入り、そこで中足ループ区域4ないし4.2と合体して、これと共にフットベッド2.2の他方の側で外に出る。しかしながら、
図8に示すように、親指ループ区域3がそれぞれ1つの引張部材に連結されることも可能である。親指ループ区域3と中足ループ区域4のテンショニングは、上記のとおり、回転つまみ6によって引き締めたり緩めたりすることができる引張部材7を介して行われる。
【0049】
親指ループ区域3と中足ループ区域4の間には、面ファスナーを有するバンド状舌部として構成された中間ループ区域9が設けられている。バンド状舌部17は、
図7及び8に示すバンドと同じように作用するが、いわばバンド状舌部としてまとめられたバンドを含む。
【符号の説明】
【0050】
1 サンダル
2 ソール部材
2.1 アウターソール
2.2 フットベッド
3 親指ループ区域
3.1 第1の端部領域
3.2 第2の端部領域
4 中足ループ区域
4.1 足内側部分
4.2 足外側部分
4.3 足内側部分の端部領域
4.4 足外側部分の端部領域
5 引き上げられた縁部
6 回転つまみ
7 引張部材
8 取付部
9 中間ループ区域
10 親指
11 定着部
12 方向転換装置
13 足内側
14 足外側
15 楔形の隆起部
16 通路
17 バンド
18 固定的なバンド