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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/09 20060101AFI20230704BHJP
   B24B 49/16 20060101ALI20230704BHJP
   B24B 49/18 20060101ALI20230704BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20230704BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20230704BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20230704BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20230704BHJP
   G05B 19/4155 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B23Q17/09 A
B24B49/16
B24B49/18
B24B49/10
B24B49/12
B23Q17/24 Z
B23Q17/20 Z
G05B19/4155 V
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018205607
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020069600
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】川村 淳一
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 有哉
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-263437(JP,A)
【文献】特開2010-274406(JP,A)
【文献】特開平05-077160(JP,A)
【文献】特開2010-115692(JP,A)
【文献】特開2018-118372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/09、17/20、17/24
B24B 49/10ー49/18
G05B 19/4155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具により工作物を加工している最中に加工負荷を計測する加工負荷計測器と、
順次加工された複数個の前記工作物の中から選択された前記工作物の実表面状態を計測する表面状態計測器と、
前記工作物の表面状態を表す工作物指標前記加工負荷との関係情報に基づいて決定された閾値であって、前記工具の修正または交換のために用いる前記閾値を記憶する閾値記憶部と、
複数個の前記工作物を順次加工し続ける際に計測されたそれぞれの前記工作物に関する前記加工負荷と、前記閾値とに基づいて、前記工具の修正または交換の実施の可否を判定する実施判定部と、
前記工作物指標前記加工負荷との前記関係情報であって、予め設定された前記関係情報を記憶する関係情報記憶部と、
複数個の前記工作物を順次加工し続ける際に計測されたそれぞれの前記工作物に関する前記加工負荷と、前記関係情報とに基づいて、前記工作物の表面状態を推定する推定部と、
前記推定部により推定された前記工作物の表面状態と前記表面状態計測器により計測された前記実表面状態とを比較することにより前記閾値の良否を判定し、判定結果に基づいて前記閾値記憶部に記憶される前記閾値を更新する情報判定部と、
を備える、工作機械。
【請求項2】
前記工作機械は、さらに、
1個の前記工作物を加工している最中の前記加工負荷に関する特徴量を演算する特徴量演算部を備え、
前記関係情報は、前記特徴量と前記工作物指標との関係情報であり、
前記推定部は、前記加工負荷に関する前記特徴量と、前記関係情報とに基づいて、前記工作物の表面状態を推定する、請求項に記載の工作機械。
【請求項3】
前記特徴量演算部は、1個の前記工作物を加工している最中の前記加工負荷に関する複数種の前記特徴量を演算し、
前記関係情報は、複数種の前記特徴量と前記工作物指標との関係情報であり、
前記推定部は、前記加工負荷に関する複数種の前記特徴量と、前記関係情報とに基づいて、前記工作物の表面状態を推定する、請求項に記載の工作機械。
【請求項4】
前記工作機械は、さらに、
前記工具により1個の前記工作物を複数の加工工程により加工する加工制御部を備え、
前記特徴量演算部は、1個の前記工作物を加工している最中の前記加工負荷のうち、少なくとも所定の加工工程における加工負荷に関する前記特徴量を演算する、請求項またはに記載の工作機械。
【請求項5】
前記所定の加工工程は、荒加工工程であり、
前記特徴量演算部は、前記荒加工工程における前記加工負荷に関する前記特徴量を演算する、請求項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記所定の加工工程は、仕上加工工程であり
前記特徴量演算部は、前記仕上加工工程における前記加工負荷に関する前記特徴量を演算する、請求項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記所定の加工工程は、荒加工工程および仕上加工工程の両者であり
前記特徴量演算部は、前記荒加工工程における前記加工負荷に関する前記特徴量、および、前記仕上加工工程における前記加工負荷に関する前記特徴量を演算し、
前記関係情報は、前記荒加工工程における前記特徴量と、前記仕上加工工程における前記特徴量と、前記工作物の前記表面状態との関係情報である、請求項に記載の工作機械。
【請求項8】
前記関係情報記憶部が記憶する前記関係情報は、機械学習により生成された前記加工負荷と前記工作物指標との関係を表す学習モデルである、請求項1~のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項9】
前記関係情報である前記学習モデルは、前記推定部により推定された前記工作物の表面状態と前記工作物の前記実表面状態とに基づいて更新される、請求項に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、砥石車のツルーイングを行った後に、工作物の表面粗さが予め定められた基準に到達しない場合に、次のツルーイングを行うことが記載されている。そして、工作物の表面粗さは、光学式センサにより計測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-200719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、研削盤に取り付けられた状態での工作物には、クーラント液や切粉などの異物が付着しているおそれがあるため、当該工作物の表面粗さを高精度に計測することができない場合がある。クーラント液や異物を取り除くことにより表面粗さを高精度に計測することができるが、そのための装置が必要となり、高コスト化を招来する。また、専用のセンサを用いることも、高コストとなる。また、工作物の表面粗さを計測するセンサを用いることなく、砥石車のツルーイングのタイミングを判定することが望まれる。
【0005】
本発明は、専用のセンサを用いることなく、工作物の表面状態を計測すること、または、工具の修正、交換の判定を行うことができる工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、工具により工作物を加工している最中に加工負荷を計測する加工負荷計測器と、
順次加工された複数個の前記工作物の中から選択された前記工作物の実表面状態を計測する表面状態計測器と、
前記工作物の表面状態を表す工作物指標または前記工具の表面状態を表す工具指標と前記加工負荷との関係情報に基づいて決定された閾値であって、前記工具の修正または交換のために用いる前記閾値を記憶する閾値記憶部と、
複数個の前記工作物を順次加工し続ける際に計測されたそれぞれの前記工作物に関する前記加工負荷と、前記閾値とに基づいて、前記工具の修正または交換の実施の可否を判定する実施判定部と、
前記工作物指標または前記工具指標と前記加工負荷との前記関係情報であって、予め設定された前記関係情報を記憶する関係情報記憶部と、
複数個の前記工作物を順次加工し続ける際に計測されたそれぞれの前記工作物に関する前記加工負荷と、前記関係情報とに基づいて、前記工作物の表面状態を推定する推定部と、
前記推定部により推定された前記工作物の表面状態と前記表面状態計測器により計測された前記実表面状態とを比較することにより前記閾値の良否を判定し、判定結果に基づいて前記閾値記憶部に記憶される前記閾値を更新する情報判定部と、
を備える、工作機械にある。
【0007】
加工中の加工負荷を用いて、工作物の表面状態を表す指標、または、工具の表面状態を表す指標を推定している。従って、工作物の表面にクーラント液や切粉などの異物が付着しているとしても、高精度に上記指標を推定することができる。工作物指標は、例えば、工作物の表面粗さを含む。工具指標は、例えば、工具の表面の粗さを表す指標を含む。
【0011】
さらに、工具の修正または交換の実施の可否の判定は、加工負荷と閾値とを用いている。従って、専用のセンサを用いることなく、工具の修正または交換の実施の可否の判定が可能となるため、低コスト化を図ることができる。そして、閾値は、工作物の表面状態を表す指標加工負荷との関係情報に基づいて決定されている。つまり、加工負荷に基づいて実施可否の判定を行ったとしても、工作物の表面状態考慮した判定となる。従って、適切なタイミングで、工具の修正または交換の実施を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】工作機械の正面図である。
図2図1の工作機械の平面図であって、搬送装置を除く部分を示す。
図3】工作機械の第一例の機能ブロック図である。
図4】1個の工作物を加工する際において、加工開始から終了までの加工負荷の変化を示すグラフである。
図5】加工負荷の特徴量と表面粗さとの相関を示すグラフである。
図6】ツルーイング後の工作物の加工数に対する、推定された工作物の表面粗さの推移を示すグラフである。
図7】工作機械の第二例の機能ブロック図である。
図8】ツルーイング後の工作物の加工数に対する、加工負荷の特徴量の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1.工作機械1の構成)
工作機械1の構成について、図1および図2を参照して説明する。工作機械1は、工作機械本体2、ストッカ3、表面状態計測器4、搬送装置5を備える。工作機械本体2は、工具Tにより工作物Wに対して加工を施す機械である。工作機械本体2は、例えば、切削、研削、切断、鍛造、折り曲げ等の加工を施す機械である。工作機械本体2は、例えば、研削盤、旋盤、フライス盤、マシニングセンタなどである。
【0014】
ストッカ3は、加工前の工作物Wおよび加工後の工作物Wを保管するための場所である。ストッカ3は、例えば、軸状の工作物Wを垂直に立てた状態で保管している。ここで、ストッカ3は、加工前の工作物Wを保管する第一ストッカと、加工後の工作物Wを保管する第二ストッカとを別々に備えるようにしてもよい。
【0015】
表面状態計測器4は、工作機械本体2の外部に配置されている機外計測器である。表面状態計測器4は、工作機械本体2にて加工された工作物Wの表面状態に関する種々の値を計測する。表面状態計測器4は、主として、工作物Wの形状に関する値を計測する専用の装置である。表面状態計測器4は、少なくとも、工作物Wの表面状態を表す指標の一つとして、工作物Wの実表面粗さ(実表面状態に相当する)を計測する。表面状態計測器4は、工作物Wの表面に対して非接触で計測可能な光学式センサ、磁気センサなどとしてもよいし、触針によって工作物Wの表面になぞって計測可能な接触式センサとしてもよい。
【0016】
ここで、表面状態計測器4により計測される実表面粗さは、例えば、ISO25178に規定されている面粗さパラメータである。面粗さパラメータは、例えば、算術平均高さSa、最大高さSz、二乗平均平方根高さSq、スキューネス(偏り度)Ssk、最大山高さSpなどである。もちろん、面粗さパラメータとして、規定されている他の指標を適用することもできる。
【0017】
なお、表面状態計測器4は、実表面粗さ以外の値を計測することも可能である。また、表面状態計測器4の計測対象である工作物Wの表面は、クーラント液や異物(切粉など)が付着していない状態とされている。従って、表面状態計測器4は、高精度な計測を可能とする。ここで、表面状態計測器4は、工作機械本体2にて加工された工作物Wの全てを計測対象とするのではなく、順次加工された複数個の工作物Wの中から選択された工作物Wのみを計測対象とする。また、表面状態計測器4は、本例においては、工作機械本体2とストッカ3との間に配置されている。
【0018】
搬送装置5は、工作機械本体2、ストッカ3および表面状態計測器4の間で、工作物Wを搬送する。搬送装置5は、工作機械本体2の上方から工作物Wの搬入出を行う。ただし、搬送装置5は、工作機械本体2の前面から工作物Wの搬入出を行うようにしてもよい。本例では、搬送装置5は、水平方向に延びるように設置されたビーム5aと、ビーム5aに沿って水平方向に移動可能であると共にビーム5aに対して上下方向に移動可能な搬送装置本体5bとを備える。
【0019】
(2.工作機械1の動作)
搬送装置5が、ストッカ3に保管されている加工前の工作物Wを保持し、当該工作物Wを工作機械本体2へ搬入する。続いて、工作機械本体2が、搬入された工作物Wの加工を行う。続いて、搬送装置5が、加工後の工作物Wを工作機械本体2から搬出する。搬出された工作物Wは、ストッカ3に保管される。ただし、順次加工された複数個の工作物Wの中から選択された工作物Wについては、搬送装置5が、工作機械本体2から表面状態計測器4へ搬送する。そして、表面状態計測器4は、当該工作物Wの表面粗さなどの計測を行う。計測を終了した工作物Wは、搬送装置5によって、ストッカ3に搬送される。そして、上記処理が順次繰り返される。
【0020】
(3.工作機械本体2の構成)
工作機械本体2の詳細構成について、図1および図2を参照して説明する。工作機械本体2の一例として、研削盤を例にあげる。研削盤は、砥石車(工具T)により工作物Wを研削加工する。当該工作機械本体2は、円筒研削盤、カム研削盤等、種々の構成の研削盤を適用できる。本例においては、工作機械本体2は、テーブルトラバース型の研削盤を例にあげる。ただし、工作機械本体2は、砥石台トラバース型の円筒研削盤を適用することもできる。
【0021】
工作機械本体2としての研削盤は、主として、ベッド11、テーブル12、主軸台13、心押台14、砥石台15、砥石車(工具T)、定寸装置16、砥石車修正装置17、クーラント装置18、制御装置19、および、操作盤20を備える。
【0022】
ベッド11は、設置面上に固定されている。テーブル12は、長尺状に形成されている。テーブル12は、ベッド11の上面において、工作物Wの中心軸方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。詳細には、テーブル12は、ベッド11に設けられた駆動装置12aの駆動により移動する。
【0023】
主軸台13は、テーブル12の上面に設けられ、工作物Wを工作物Wの中心軸線回り(Z軸回り)に回転可能に支持する。心押台14は、テーブル12の上面において、主軸台13に対向する位置に設けられている。そして、主軸台13および心押台14が、工作物Wを回転可能に両端支持する。工作物Wは、主軸台13に設けられた駆動装置13aおよび心押台14に設けられた駆動装置14aの駆動により回転される。
【0024】
砥石台15は、ベッド11の上面において、工作物Wに接近および離間する方向(X軸方向)に移動可能に設けられている。砥石台15は、ベッド11に設けられた駆動装置15aの駆動により移動する。
【0025】
砥石車Tは、円盤状に形成されており、砥石台15に回転可能に支持されている。砥石車Tは、砥石台15に設けられた駆動装置Taの駆動により回転する。駆動装置Taは、例えば、図2に示すように、ベルトおよびプーリを介して砥石車Tを駆動するようにしてもよいし、砥石車Tと同軸上に配置されることで、ベルトおよびプーリを介することなく直接駆動するようにしてもよい。
【0026】
砥石車Tは、複数個の砥粒を結合材により固定されて構成されている。砥粒には、一般砥粒と超砥粒が存在する。一般砥粒としては、アルミナや炭化ケイ素などのセラミックス質の材料などが良く知られている。超砥粒は、ダイヤモンドやCBNである。本例においては、加工可能な工作物Wの数が多い超砥粒を適用する。これにより、砥石車Tのツルーイングおよび交換の頻度が低くなり、低コスト化およびサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0027】
定寸装置16は、テーブル12の上面に設けられ、工作物Wの外周面に接触可能な一対の接触子を備えており、工作物Wの加工部位の寸法(径)を計測する。定寸装置16による定寸信号は、後述する制御装置19による加工制御において、加工工程(荒加工、仕上加工)の切替に用いられる。
【0028】
砥石車修正装置17は、砥石車Tの表面状態を修正する。砥石車修正装置17は、砥石車Tの修正として、ツルーイングを行う装置である。さらに、砥石車修正装置17は、砥石車Tの寸法(径)を測定する機能も有する。ここで、ツルーイングは、形直し作業であり、研削によって砥石車Tが摩耗した場合に工作物Wの形状に合わせて砥石車Tを成形する作業、片摩耗によって砥石車Tの振れを取り除く作業等である。
【0029】
クーラント装置18は、砥石車Tによる工作物Wの研削点にクーラント液を供給する。クーラント装置18は、回収したクーラント液を、所定温度に冷却して、再度研削点に供給する。
【0030】
制御装置19は、NCプログラムおよびPLCの制御プログラムに基づいて、各駆動装置12a,13a,14a,15a,Taを制御する。NCプログラムは、工作物Wの形状、砥石車Tの形状、加工条件、クーラント液の供給タイミング情報、砥石車Tをツルーイングするタイミング情報等に基づいて生成される。PLCの制御プログラムは、入力機器の指令信号のON/OFFに応じて出力機器を動作する。
【0031】
すなわち、制御装置19は、NCプログラムおよびPLCの制御プログラムに基づいて各駆動装置12a,13a,14a,15a,Taおよびクーラント装置18等を制御することにより工作物Wの研削を行う。特に、制御装置19は、定寸装置16により測定される工作物Wの径に基づいて、工作物Wが仕上げ形状となるまで研削を行う。
【0032】
操作盤20は、工作機械本体2の前面に配置されており、作業者によって各種操作を行うための装置である。操作盤20は、各種情報を表示する表示装置としても機能する。
【0033】
(4.工作機械1の第一例の機能構成)
工作機械1の第一例の機能構成について、図3図6を参照して説明する。図3に示すように、工作機械1は、駆動装置12a,13a,14a,15a,Ta,18、表面状態計測器4、加工負荷計測器21、加工制御部22、特徴量演算部23、関係情報記憶部24、推定部25、実施判定部26、実施部27、情報判定部28を備える。ここで、加工制御部22、特徴量演算部23、関係情報記憶部24、推定部25、実施判定部26、実施部27、情報判定部28は、制御装置19における処理部を構成する。
【0034】
駆動装置12a,13a,14a,15a,Ta,18は、上述したように、工作機械本体2における各部材を駆動する。表面状態計測器4は、工作機械本体2の外部に配置された機外計測器であって、工作物Wの表面状態を計測する。ただし、表面状態計測器4は、全ての工作物Wを計測対象とするのではなく、選択された一部の工作物Wのみを計測対象とする。
【0035】
加工負荷計測器21は、砥石車Tにより複数の工作物Wを順次加工し続ける最中に加工負荷を計測する。加工負荷は、加工抵抗に相当する。例えば、加工負荷計測器21は、研削加工において、研削抵抗を計測する。ただし、加工負荷の計測手段は、種々存在する。第一として、加工中における工具Tを移動させる駆動装置の動力を加工負荷として計測する手段がある。本例においては、砥石車Tを回転駆動する駆動装置の動力を、研削抵抗とすることができる。この場合、加工負荷計測器21は、砥石車Tを回転駆動する駆動装置Taの動力を計測するセンサであって、当該動力を加工負荷(研削抵抗)として計測する。なお、以下において、当該動力を、砥石車Tの動力と称する。
【0036】
第二として、工作物Wを支持する部材にかかる負荷を、加工負荷として計測する手段がある。本例においては、主軸台13が工作物Wから受ける力を、研削抵抗とすることができる。この場合、加工負荷計測器21は、主軸台13における工作物Wを支持する部位に設けられた力センサであって、当該力を加工負荷として計測する。第一、第二の場合のように加工負荷をセンサにより計測する場合の他、演算により加工負荷を取得するようにしてもよい。
【0037】
また、加工負荷計測器21は、上記の他、砥石車Tや工作物Wの回転状態を計測するセンサを用いることもできるし、工作機械本体2の主軸台13、心押台14、砥石台15、ベッド11、回転を支持する軸受部などの振動を計測するセンサを用いることもできる。回転状態を計測するセンサは、例えば、光センサ、レーザセンサ、超音波センサ、渦電流センサ、静電容量センサ、ポテンショメータ、加速度センサなどである。また、振動を計測するセンサは、圧電式センサ、静電容量センサ、加速度センサ、速度センサなどである。
【0038】
さらに、加工負荷計測器21は、クーラント液の流量を計測する流量計としてもよいし、クーラント液の温度をとしてもよい。クーラント液の流量および温度は、いずれも、加工負荷に影響を及ぼすパラメータである。そこで、加工負荷計測器21は、クーラント液の流量または温度を計測するようにしてもよい。
【0039】
さらに、上記においては、加工負荷計測器21は、1つの対象を計測する例をあげた。この他に、加工負荷計測器21は、加工負荷に影響を及ぼす複数の対象を計測するようにしてもよい。例えば、加工負荷計測器21は、砥石車Tを回転駆動する駆動装置の動力、主軸台13の振動、および、クーラント液の流量など、複数の対象を計測するようにしてもよい。
【0040】
加工制御部22は、制御装置19の主要機能であり、NCプログラムおよびPLCの制御プログラムに基づいて、各駆動装置12a,13a,14a,15a,Taを制御する。加工制御部22は、定寸装置16による定寸信号に基づいて、加工工程(荒加工、仕上加工)の切替を行う。
【0041】
荒加工および仕上加工について、図4を参照して説明する。図4には、1個の工作物Wを加工した場合の加工負荷(砥石車Tの動力)を示す。加工制御部22は、荒加工工程Aにより工作物Wを加工した後に、仕上加工工程Bにより工作物Wを加工する。仕上加工工程Bは、B1~B3の3工程に分けられる。例えば、荒加工工程Aは、粗研工程を構成し、仕上加工工程Bは、精研工程B1、微研工程B2、スパークアウト工程B3により構成される。
【0042】
加工負荷は、荒加工工程Aが最も大きく、仕上加工工程Bでは荒加工工程Aに比べて小さくなる。さらに、仕上加工工程Bにおいて、加工負荷は、大きい順に、精研工程B1、微研工程B2、スパークアウト工程B3となる。そして、加工制御部22は、各工程A,B1,B2,B3の切替を、定寸装置16による定寸信号に基づいて実施する。
【0043】
特徴量演算部23は、複数個の工作物Wを順次加工し続ける際に加工負荷計測器21により計測されたそれぞれの工作物Wの加工負荷を用いて、加工負荷に関する特徴量を演算する。特徴量演算部23は、1個の工作物Wを加工している最中に、図4に示すような加工負荷の挙動に基づいて、特徴量を演算する。ここで、特徴量は、最大値、平均値、1階微分の最大値、1階微分の平均値、最頻値、分散、標準偏差、尖度、歪度などの何れかを適用できる。また、特徴量演算部23は、1種のみの特徴量を演算してもよいし、複数種の特徴量を演算してもよい。なお、後述する推定部による処理において、機械学習を適用する場合には、複数種の特徴量を用いると効果的である。
【0044】
また、特徴量演算部23は、1個の工作物Wを加工している最中の前記加工負荷のうち、所定の加工工程における加工負荷に関する特徴量を演算するようにしてもよい。例えば、特徴量演算部23は、図4に示す荒加工工程Aにおける加工負荷に関する特徴量を演算してもよい。また、特徴量演算部23は、図4に示す仕上加工工程B、または、詳細工程B1,B2,B3における加工負荷に関する特徴量を演算してもよい。そして、特徴量演算部23が、複数種の特徴量を演算する場合には、複数の加工工程における特徴量を演算することもできる。例えば、特徴量演算部23は、荒加工工程Aにおける特徴量と仕上加工工程Bにおける特徴量の両者を演算するようにしてもよい。
【0045】
また、加工負荷計測器21が、1個の工作物Wについて複数の対象を計測する場合には、特徴量演算部23は、複数の対象のそれぞれについての特徴量を演算すればよい。
【0046】
関係情報記憶部24は、工作物Wの表面状態を表す工作物指標と加工負荷との関係情報を記憶する。ここで、工作物指標とは、例えば、工作物Wの表面粗さに相当する値である。表面粗さは、ISO25178に規定されている面粗さパラメータなどである。関係情報記憶部24が記憶する関係情報は、予め設定されたものである。ここで、関係情報記憶部24は、工作物指標の他に、または、工作物指標に代えて、工具Tの表面状態を表す工具指標と加工負荷との関係情報を記憶するようにしてもよい。
【0047】
ここで、砥石車Tをツルーイングした後に、当該砥石車Tにより複数個の工作物Wを順次加工する。この場合の工作物Wの加工数と加工負荷の特徴量(例、最大値)との関係、および、加工数と工作物Wの表面粗さとの関係をプロットしたグラフを図5に示す。
【0048】
図5に示すように、加工負荷は、砥石車Tのツルーイング後の1個目の工作物Wの加工において、最も高い値を示す。その後、工作物Wの加工数が増加するほど、加工負荷は減少していく。この理由は、以下の通りである。砥石車Tの表面状態は、ツルーイングによって、平らな部分を多く有する。つまり、砥粒の表面が、平らな部分を多く有する状態となる。そして、加工を繰り返すことによって、砥石車Tの表面状態は、粗くなっていく。つまり、砥粒の表面の平らな部分が、削られることで、鋭くなっていく。従って、上記のように、工作物Wの加工数が増加するほど、加工負荷は減少する。
【0049】
また、工作物Wの表面状態は、砥石車Tの表面状態が転写される。そのため、工作物Wの表面状態は、砥石車Tの表面状態に依存する。詳細には、図5に示すように、加工負荷の特徴量が減少すると、工作物Wの表面粗さは増加する。この理由は、加工数が増加するほど砥石車Tの表面状態が粗くなっていき、砥石車Tの表面状態が粗くなるほど工作物Wの表面状態が粗くなるためである。このように、加工負荷の特徴量と工作物Wの表面粗さとは、所定の関係を有する事が分かる。
【0050】
そこで、関係情報記憶部24は、例えば、加工負荷の特徴量(例、最大値)と工作物指標としての表面粗さとの関係情報を記憶する。なお、関係情報記憶部24は、例えば、加工負荷の特徴量と工具指標としての砥石車Tの表面状態との関係情報を記憶するようにしてもよい。
【0051】
ここで、関係情報記憶部24に記憶される関係情報は、図5から参照されるような、加工負荷の特徴量(例、最大値)と工作物指標としての表面粗さとの関係とすることができる。このように、関係情報の対象が1個の特徴量と1個の工作物指標との関係であれば、関係情報記憶部24は、マップや関係式などを記憶すればよい。
【0052】
ただし、関係情報の対象が、複数個の特徴量と1個の工作物指標との関係とすることもできる。この場合、関係情報記憶部24は、マップや関係式として記憶することもできる。この他に、関係情報記憶部24は、機械学習により生成された加工負荷の特徴量と工作物指標との関係を表す学習モデルを関係情報として記憶することもできる。なお、関係情報記憶部24は、機械学習により生成された加工負荷の特徴量と工具指標との関係を表す学習モデルを関係情報として記憶することもできる。
【0053】
推定部25は、特徴量演算部23により演算された特徴量を取得する。取得される特徴量は、関係情報の対象としての特徴量に対応する。つまり、関係情報の対象が1種の特徴量である場合には、推定部25は、当該1種の特徴量を取得することになる。また、関係情報の対象が複数種の特徴量である場合には、推定部25は、当該複数種の特徴量を取得することになる。さらに、推定部25は、関係情報記憶部24に記憶されている関係情報を取得する。
【0054】
続いて、推定部25は、取得した加工負荷の特徴量と関係情報とに基づいて、工作物指標または工具指標を推定する。推定する対象は、関係情報の対象に応じたものである。例えば、推定部25は、1個の工作物Wを加工している最中の加工負荷についての1種の特徴量と、関係情報とに基づいて、工作物指標としての工作物Wの表面粗さを推定する。
【0055】
実施判定部26は、推定部25により推定された工作物指標または工具指標に基づいて、砥石車Tのツルーイングまたは交換の実施の可否を判定する。例えば、実施判定部26は、推定部25により推定された工作物指標としての工作物Wの表面粗さに基づいて、砥石車Tのツルーイングの実施の可否を判定する。
【0056】
実施判定部26は、例えば、砥石車Tのツルーイングの実施の可否の判定を行うために、推定された工作物Wの表面粗さと比較可能な閾値Th1を記憶しておく。図6に示すように、実施判定部26は、推定された工作物Wの表面粗さが閾値Th1を超えた場合(上回った場合)に、砥石車Tのツルーイングの実施を行うように判定する。図6において、Tuのタイミングで、砥石車Tのツルーイングの実施を行うように判定されることになる。
【0057】
実施部27は、実施判定部26の判定結果に応じた処理を実施する。実施部27は、例えば、実施判定部26が砥石車Tのツルーイングを実施すると判定された場合には、砥石車Tのツルーイングを行うように駆動装置を駆動することができる。また、実施部27は、ツルーイングを実施すると判定された場合に、操作盤20に、ツルーイングの実施案内情報を表示したり、ツルーイングを実施している情報を表示したりすることもできる。また、実施判定部26が砥石車Tを交換するように判定した場合には、実施部27は、操作盤20に交換案内を表示することもできる。
【0058】
情報判定部28は、推定部25により推定された工作物Wの表面粗さと、表面状態計測器4により計測された工作物Wの実表面粗さとを取得する。ただし、表面状態計測器4は、全ての工作物Wを計測対象とするのではなく、順次加工された複数個の工作物Wの中から選択された一部の工作物Wを計測対象とする。
【0059】
そして、情報判定部28は、推定された工作物Wの表面粗さと実表面粗さとを比較する。ここで、比較対象は、同一の工作物Wについての表面粗さである。情報判定部28は、比較の結果に基づいて、関係情報記憶部24に記憶されている関係情報の良否を判定する。例えば、両者にずれが生じている場合には、情報判定部28は、関係情報が良好ではないと判定する。両者にずれが生じる原因としては種々存在するが、例えば、周囲環境の変化や工作機械本体2の経年変化などが存在する。そして、現在の関係情報が良好でないと判定された場合、情報判定部28は、関係情報を現状に応じた情報に更新することができる。
【0060】
また、関係情報が機械学習の学習モデルである場合には、情報判定部28は、学習モデルを更新することができる。例えば、推定された工作物Wの表面粗さと実表面粗さとにずれが生じている頻度が高い場合などには、情報判定部28は、前回学習した後の学習データをさらに追加することにより学習を再び行い、学習モデルを更新することができる。このように、学習モデルは、さらに取得した情報に基づいて更新することができる。
【0061】
加工中の加工負荷を用いて、工作物Wの表面状態を表す指標、または、砥石車Tの表面状態を表す指標を推定している。従って、工作物Wの表面にクーラント液や切粉などの異物が付着しているとしても、高精度に上記指標を推定することができる。工作物指標は、例えば、工作物Wの表面粗さを含む。工具指標は、例えば、砥石車Tの表面の粗さを表す指標を含む。そして、推定された工作物指標または工具指標に基づいて、砥石車Tのツルーイングまたは交換の実施の可否を判定している。従って、専用のセンサを用いることなく、砥石車Tのツルーイングまたは交換の実施の可否の判定が可能となるため、低コスト化を図ることができる。
【0062】
(5.変形例)
関係情報記憶部24は、上述したように、加工負荷の特徴量と工作物指標としての工作物Wの表面粗さとの関係情報を記憶する場合を例にあげた。この他に、関係情報記憶部24に記憶される関係情報は、工作物指標に代えて、工作物Wのびびりの状態、工作物Wの加工変質層の状態(加工焼けの状態など)、工具Tの状態(例えば、寿命や破損に関する状態)、工作機械本体2の加工状態(最適加工、主軸異常、自動工具交換装置の故障、自動パレット交換装置の故障)、工作物Wの加工時間(最適加工)などの指標との関係とすることもできる。この場合、推定部25は、関係情報における上記指標を推定することができる。例えば、推定部25は、工作物Wのびびりの状態や、工作物Wの加工変質層の状態などを推定するようにしてもよい。
【0063】
(6.工作機械1の第二例の機能構成)
工作機械1の第二例の機能構成について、図7図8を参照して説明する。図7に示すように、工作機械1は、駆動装置12a,13a,14a,15a,Ta,18、表面状態計測器4、加工負荷計測器31、加工制御部32、特徴量演算部33、閾値記憶部34、実施判定部35、実施部36、関係情報記憶部37、推定部38、情報判定部39を備える。ここで、加工制御部32、特徴量演算部33、閾値記憶部34、実施判定部35、実施部36、関係情報記憶部37、推定部38、情報判定部39は、制御装置19における処理部を構成する。
【0064】
駆動装置12a,13a,14a,15a,Ta,18、表面状態計測器4、加工負荷計測器31、加工制御部32、特徴量演算部33、関係情報記憶部37、推定部38については、第一例における駆動装置12a,13a,14a,15a,Ta,18、表面状態計測器4、加工負荷計測器21、加工制御部22、特徴量演算部23、関係情報記憶部24、推定部25と実質的に同一である。
【0065】
閾値記憶部34は、砥石車Tのツルーイングまたは交換の実施の可否を判定するための閾値Th2(図8に示す)を記憶する。閾値Th2は、工作物Wの表面状態を表す工作物指標と加工負荷の特徴量との関係情報に基づいて決定される。関係情報は、第一例における関係情報記憶部24に記憶された関係情報に相当する。また、閾値Th2は、砥石車Tの表面状態を表す工具指標と加工負荷の特徴量との関係情報に基づいて決定されるようにしてもよい。
【0066】
実施判定部35は、特徴量演算部33により演算された特徴量と、閾値記憶部34に記憶された閾値Th2とに基づいて、砥石車Tのツルーイングまたは交換の実施の可否を判定する。例えば、実施判定部35は、工作物Wの加工負荷の特徴量と閾値Th2とを比較する。
【0067】
ここで、図8に示すように、工作物Wの加工負荷の特徴量(例、最大値)は、加工数が増加するほど、加工負荷の特徴量は減少する。そこで、加工負荷の特徴量が閾値Th2を超えた場合(下回った場合)に、砥石車Tのツルーイングの実施を行うように判定する。図8において、Tuのタイミングで、砥石車Tのツルーイングの実施を行うように判定されることになる。
【0068】
実施部36は、実施判定部35の判定結果に応じた処理を実施する。実施部36は、例えば、実施判定部35が砥石車Tのツルーイングを実施すると判定された場合には、砥石車Tのツルーイングを行うように駆動装置を駆動することができる。また、実施部36は、ツルーイングを実施すると判定された場合に、操作盤20に、ツルーイングの実施案内情報を表示したり、ツルーイングを実施している情報を表示したりすることもできる。また、実施判定部35が砥石車Tを交換するように判定した場合には、実施部36は、操作盤20に交換案内を表示することもできる。
【0069】
情報判定部39は、推定部38により推定された工作物Wの表面粗さと、表面状態計測器4により計測された実表面粗さとを比較する。ここで、比較対象は、同一の工作物Wについての表面粗さである。情報判定部39は、比較の結果に基づいて、閾値記憶部34に記憶されている閾値Th2の良否を判定する。例えば、両者にずれが生じている場合には、情報判定部39は、閾値が良好でないと判定する。両者にずれが生じる原因としては種々存在するが、例えば、周囲環境の変化や工作機械本体2の経年変化などが存在する。そして、現在の閾値Th2が良好でないと判定された場合、情報判定部39は、閾値Th2を現状に応じた値に更新することができる。
【0070】
そして、情報判定部39は、推定された工作物Wの表面粗さと実表面粗さとの比較の結果に基づいて、関係情報記憶部37に記憶されている関係情報の良否を判定することもできる。例えば、両者にずれが生じている場合には、情報判定部39は、関係情報が良好ではないと判定する。そして、現在の関係情報が良好でないと判定された場合、情報判定部28は、関係情報を現状に応じた情報に更新することができる。
【0071】
また、関係情報が機械学習の学習モデルである場合には、情報判定部39は、学習モデルを更新することができる。例えば、推定された工作物Wの表面粗さと実表面粗さとにずれが生じている頻度が高い場合などには、情報判定部39は、前回学習した後の学習データをさらに追加することにより学習を再び行い、学習モデルを更新することができる。このように、学習モデルは、さらに取得した情報に基づいて更新することができる。
【0072】
上記のように、砥石車Tのツルーイングまたは交換の実施の可否の判定は、加工負荷と閾値とを用いている。従って、専用のセンサを用いることなく、砥石車Tのツルーイングまたは交換の実施の可否の判定が可能となるため、低コスト化を図ることができる。そして、閾値Th2は、工作物Wの表面状態を表す指標または砥石車Tの表面状態を表す指標と加工負荷との関係情報に基づいて決定されている。つまり、加工負荷に基づいて実施可否の判定を行ったとしても、工作物Wの表面状態または砥石車Tの表面状態を考慮した判定となる。従って、適切なタイミングで、砥石車Tのツルーイングまたは交換の実施を行うことができる。
【符号の説明】
【0073】
1:工作機械、2:工作機械本体、3:ストッカ、4:表面状態計測器、5:搬送装置、11:ベッド、12:テーブル、12a,13a,14a,15a,Ta:駆動装置、13:主軸台、13a:駆動装置、14:心押台、14a:駆動装置、15:砥石台、15a:駆動装置、16:定寸装置、17:砥石車修正装置、18:クーラント装置(駆動装置)、19:制御装置、20:操作盤、21:加工負荷計測器、22:加工制御部、23:特徴量演算部、24:関係情報記憶部、25:推定部、26:実施判定部、27:実施部、28:情報判定部、31:加工負荷計測器、32:加工制御部、33:特徴量演算部、34:閾値記憶部、35:実施判定部、36:実施部、37:関係情報記憶部、38:推定部、39:情報判定部、A:荒加工工程、B、B1,B2,B3:仕上加工工程、T:工具(砥石車)、Ta:駆動装置、Th1、Th2:閾値、W:工作物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8