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特許7305953画像処理装置、モード移行方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】画像処理装置、モード移行方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3206 20190101AFI20230704BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230704BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230704BHJP
   G06F 1/3287 20190101ALI20230704BHJP
【FI】
G06F1/3206
B41J29/38 104
H04N1/00 885
H04N1/00 127B
G06F1/3287
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018239347
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2019121382
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】P 2017252341
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 元
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-111105(JP,A)
【文献】特開2014-059631(JP,A)
【文献】特開2015-176442(JP,A)
【文献】特開2007-004783(JP,A)
【文献】特開2016-221947(JP,A)
【文献】特開2017-027454(JP,A)
【文献】特開2011-034601(JP,A)
【文献】特開2010-165108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26- 1/3296
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを処理する処理部と、
インタフェースと、
電源部と、
制御部と
を備えた、画像処理装置であって
前記制御部は、前記画像処理装置のモードとして、
前記電源部から前記処理部および前記インタフェースに電力が供給される第1モードと、
前記電源部から前記処理部および前記インタフェースへの電力供給が停止状態である第2モードと、
前記電源部から前記処理部への電力供給が停止状態であり、前記電源部から前記インタフェースに電力が供給される第3モードと、を選択可能であり、
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記インタフェースに外部機器が接続されている状態にて前記インタフェースに接続されている前記外部機器から当該外部機器への電力供給の要求を受けたことに応じて、前記モードを前記第2モードから前記第3モードに移行する、
画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、前記処理部を制御する第1制御部と、第2制御部と、を備え、
前記第2モードにおいて、
前記電源部から前記第1制御部への電力供給は停止状態にあり、
前記電源部から前記第2制御部へ電力が供給され、
前記第2制御部は、前記第2モードにおいて、前記インタフェースに接続されている前記外部機器から電力供給の要求を受けたことに応じて、前記モードを前記第2モードから前記第3モードに移行する、
画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記第2制御部は、前記第3モードにおいて前記インタフェースに接続されている前記外部機器からの電力供給の要求が終了したことに応じて、前記モードを前記第3モードから前記第2モードに移行する、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の画像処理装置であって、
前記第2制御部は、前記第3モードにおいて前記インタフェースへの前記外部機器の接続が解除されたことに応じて、前記モードを前記第3モードから前記第2モードに移行する、
画像処理装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記処理部を使用するジョブを受け付けるジョブ受付部
を備え、
前記第2制御部は、前記第3モードにおいて前記ジョブ受付部にジョブを受け付けたことに応じて、前記モードを前記第3モードから前記第1モードに移行する、
画像処理装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
操作を受け付ける操作受付部を備え、
前記第2制御部は、前記第1モードにおいて、前記インタフェースに接続されている前記外部機器から電力供給の要求を受けている状態で、前記操作受付部に操作を受け付けたことに応じて、前記モードを前記第1モードから前記第3モードに移行する、
画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置であって、
前記第2制御部は、前記第1モードにおいて、前記インタフェースに接続されている前記外部機器から電力供給の要求を受けている状態で、前記操作受付部に操作を受け付けていないことを一つの条件として含む移行条件が成立したことに応じて、前記モードを前記第1モードから前記第3モードに移行する、
画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記インフェースは、USB(Universal Serial Bus)インタフェースである、画像処理装置。
【請求項9】
ートに画像を形成する画像形成エンジンと、
インタフェースと、
電源部と、
制御部と
を備えた、画像処理装置であって
前記制御部は、前記画像処理装置のモードとして、
前記電源部から前記画像形成エンジンおよび前記インタフェースに電力が供給される第1モードと、
前記電源部から前記画像形成エンジンおよび前記インタフェースへの電力供給が停止状態である第2モードと、
前記電源部から前記画像形成エンジンへの電力供給が停止状態であり、前記電源部から前記インタフェースに電力が供給される第3モードと、を選択可能であり、
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記インタフェースに外部機器が接続されている状態にて前記インタフェースに接続されている前記外部機器から当該外部機器への電力供給の要求を受けたことに応じて、前記モードを前記第2モードから前記第3モードに移行する、
画像処理装置。
【請求項10】
稿から画像を読取る画像読取エンジンと、
インタフェースと、
電源部と、
制御部と
を備えた、画像処理装置であって
前記制御部は、前記画像処理装置のモードとして、
前記電源部から前記画像読取エンジンおよび前記インタフェースに電力が供給される第1モードと、
前記電源部から前記画像読取エンジンおよび前記インタフェースへの電力供給が停止状態である第2モードと、
前記電源部から前記画像読取エンジンへの電力供給が停止状態であり、前記電源部から前記インタフェースに電力が供給される第3モードと、を選択可能であり、
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記インタフェースに外部機器が接続されている状態にて前記インタフェースに接続されている前記外部機器から当該外部機器への電力供給の要求を受けたことに応じて、前記モードを前記第2モードから前記第3モードに移行する、
画像処理装置。
【請求項11】
画像データを処理する処理部と、
外部機器を接続可能なインタフェースと、
電源部と、
制御部と
を備え、
記電源部から前記処理部および前記インタフェースに電力が供給される第1モードと、
前記電源部から前記処理部および前記インタフェースへの電力供給が停止状態にある第2モードと、
前記電源部から前記処理部への電力供給が停止状態にあり、前記電源部から前記インタフェースに電力が供給される第3モードと、を選択可能な画像処理装置において、前記モードを移行させる方法であって、
前記第2モードにおいて、前記インタフェースに外部機器が接続されている状態にて前記インタフェースに接続されている前記外部機器から当該外部機器への電力供給の要求を受けたことに応じて、前記モードを前記第2モードから前記第3モードに移行する、
モード移行方法。
【請求項12】
画像データを処理する処理部と、
外部機器を接続可能なインタフェースと、
電源部と
を備え、
記電源部から前記処理部および前記インタフェースに電力が供給される第1モードと、
前記電源部から前記処理部および前記インタフェースへの電力供給が停止状態にある第2モードと、
前記電源部から前記処理部への電力供給が停止状態にあり、前記電源部から前記インタフェースに電力が供給される第3モードと、を選択可能な画像形成装置のコンピュータにインストールされるプログラムであって、
前記第2モードにおいて、前記インタフェースに外部機器が接続されている状態にて前記インタフェースに接続されている前記外部機器から当該外部機器への電力供給の要求を受けたことに応じて、前記モードを前記第2モードから前記第3モードに移行させる処理を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、モード移行方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi-Function Peripheral)などの画像処理装置には、通常、電源回路から各部に動作電力を供給可能な通常モードと、電源回路から一部を除いた各部への動作電力の供給を停止するスリープモードとが設けられている。たとえば、通常モードで各部の動作が停止した状態が所定時間継続すると、通常モードからスリープモードに移行して、省電力化が図られる。
【0003】
画像処理装置には、外部機器とのインタフェースの1つとして、USB(Universal Serial Bus)インタフェースを備えたものがある。USBインタフェースは、機器間のデータ通信のみだけでなく、スマートフォンやタブレットなどの電力供給対象の外部機器への電力供給が可能である。最近では、USBパワーデリバリ(USB Power Delivery)規格により、USBインタフェースから電力供給対象の外部機器に最大100Wの電力を供給することができる。
【0004】
通常モードでは、画像処理装置の電源回路等に電力が供給されているので、USBインタフェースに外部機器が接続されて、外部機器から電力供給要求を受けると、その外部機器に電力が供給される。しかしながら、USBインタフェースに接続された外部機器から電力供給要求が出されたときに、スリープモードである場合、電源回路のUSBインタフェースへ電力供給が停止しているため、電源回路からUSBインタフェースを介して外部機器に電力が供給されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-174373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電源部のインタフェースへ電力供給が停止状態にあるモードにおいて、インタフェースに接続された外部機器から電力供給が要求された場合に、インタフェースから外部機器に電力を供給できる、画像処理装置、モード移行方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る画像処理装置は、画像データを処理する処理部と、外部機器を接続可能なインタフェースと、電源部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記画像処理装置の制御部が前記電源部を制御するモードとして、前記電源部から前記処理部および前記インタフェースに電力が供給される第1モードと、前記電源部から前記処理部および前記インタフェースへの電力の供給が停止状態にあるされる第2モードと、前記電源部から前記処理部への電力の供給が停止状態にあり、前記電源部から前記インタフェースに電力が供給される第3モードと、を選択可能であり、前記制御部は、前記第2モード時において、前記インタフェースに接続されている外部機器から電力供給の要求を受けたことに応じて、前記モードを前記第2モードから前記第3モードに移行する移行する。
【0008】
この構成によれば、第1モードでは、電源部から処理部およびインタフェースに電力が供給される。第2モードでは、電源部から処理部およびインタフェースへの電力の供給が停止状態にある。第3モードでは、電源部から処理部への電力の供給が停止状態にあり、電源部からインタフェースに電力が供給される。
【0009】
第2モード時に外部機器がインタフェースに接続されて、その外部機器から電力供給の要求を受けたことに応じて、第2モードから第3給電モードに移行し、電源部からインタフェースに電力が供給される。
【0010】
よって、インタフェースに接続された外部機器から電力供給が要求された場合に、電源部からインタフェースに電力が供給されるので、インタフェースから外部機器に電力を供給することができる。
【0011】
なお、本発明は、画像処理装置の形態で実現できるだけでなく、たとえば、画像処理装置で実行されるモード移行方法および画像処理装置のコンピュータにインストールされるプログラムの形態で実現することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源部からインタフェースへの電力の供給が停止状態にあるモードにおいて、インタフェースに接続された外部機器から電力供給が要求された場合に、インタフェースから外部機器に電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図2】電力回路の構成を示すブロック図である。
図3】モード遷移処理の流れを示すフローチャートである。
図4】プリンタの電気的構成を示すブロック図であり、第1スリープモードの状態を示す。
図5】プリンタの電気的構成を示すブロック図であり、第2スリープモードの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
<プリンタの電気的構成>
図1に示されるプリンタ1は、画像形成エンジンの一例としての印刷部11、操作パネル12、USBコネクタ13、電源回路14、スイッチ15およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)16を備えている。
【0016】
印刷部11(処理部の一例)は、プリンタ1の外殻をなす筐体内に設けられている。印刷部11は、プリンタ1のエンジンであり、筐体内の搬送経路に沿って1枚ずつ搬送される印刷用紙などのシートにカラー画像またはモノクロ画像を印刷するよう構成されている。画像形成の方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。
【0017】
操作パネル12(操作受付部の一例)は、たとえば、筐体の上面に設けられており、操作部および表示部を備えている。操作部は、たとえば、テンキーやカーソルキーなどの操作キーを備えている。操作キーが操作されると、その操作が操作部に受け付けられて、その操作の内容に応じた信号が操作パネルから出力される。表示部は、たとえば、液晶ディスプレイからなる。
【0018】
なお、操作部および表示部は、個別に設けられていてもよいが、タッチパネルを構成していてもよい。タッチパネルを構成する表示部には、各種の情報や操作キーなどの画像が表示される。ユーザが表示部に表示される操作キーを押操作(タッチ操作)することにより、その操作が操作部に受け付けられて、その操作の内容に応じた信号(データ)が操作パネルから出力される。以下では、操作部および表示部がタッチパネルを構成する場合を前提とする。
【0019】
USBコネクタ13(インタフェースの一例)は、レセプタクル(メス)であり、プラグ(オス)の受入口が筐体から外部に露出するように配置されている。USBコネクタ13は、VBUS端子、D+通信端子、D-通信端子、TX送信端子、RX受信端子およびCC(Configuration Channel)端子などを有している。
【0020】
電源回路14 は、図2に示されるように、スイッチング電源141およびDC/DCコンバータ142,143を含む。スイッチング電源141は、商用交流電源ACから一対の給電線を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換するものであり、ダイオードブリッジ、トランスおよび整流平滑回路などを備えている。スイッチング電源141は、たとえば、24Vの直流電圧を出力する。DC/DCコンバータ142,143は、リニアレギュレータなどを備え、スイッチング電源141から出力される直流電圧を降圧する。一方のDC/DCコンバータ142は、スイッチング電源141の出力電圧を第1所定電圧(たとえば、DC5V)に降圧する。他方のDC/DCコンバータ143は、スイッチング電源141の出力電圧を第2所定電圧(たとえば、DC3.3V)に降圧する。本実施形態においては、電源回路14、スイッチ15、スイッチ32及びスイッチ41-44を組み合わせたものが、電源部の一例である。
【0021】
電源回路14は、複数の出力端子を備えており、その出力端子から印刷部11および操作パネル12を含む各部に動作電力を供給する。出力端子の1つである第1所定電圧を出力する端子は、給電線17を介して、USBコネクタ13のVBUS端子と接続されている。また、電源回路14には、図示されていないが、電源回路14の動作を制御するための電源制御部が備えられている。
【0022】
スイッチ15は、たとえば、Nチャネル型のMOSFETからなり、そのドレイン端子が給電線17に接続され、ソース端子が抵抗を介して接地されている。スイッチ15は、ゲート端子に入力される電圧により、スイッチング動作(オン/オフ)する。
【0023】
ASIC16は、メインCPU(Central Processing Unit)21、サブCPU22、画像処理部23、USBコントローラ24およびLANインタフェース(I/F)25を備えている。メインCPU21、サブCPU22、画像処理部23、USBコントローラ24およびLANインタフェース25は、バス26を介して、データ通信可能に接続されている。USBコントローラ24は、電源部を制御するUSBパワーコントローラと、USB通信コントローラと、をそれぞれ別々に有していてもよい。
【0024】
メインCPU21(第1制御部の一例)およびサブCPU22(第2制御部の一例)は、ASIC16に入力される信号などに基づいて、各種の処理のためのプログラムを実行することにより、印刷部11および操作パネル12を含む各部の動作を制御する。サブCPU22は、メインCPU21よりも低性能のCPUであり、メインCPU21よりも省電力に設計されている。
【0025】
画像処理部23は、画像データの処理および印刷部11の動作を制御するためのプロセッサである。
【0026】
USBコントローラ24は、USBコネクタ13に接続された外部機器との間でのデータ通信を制御する。また、USBコントローラ24は、USBコネクタ13に接続された外部機器への電力の供給を制御するため、スイッチ15のオン/オフを制御する。
【0027】
LANインタフェース25は、LAN(Local Area Network)との接続のためのインタフェースである。
【0028】
また、図2に示されるように、電源回路14が有する複数の出力端子のうち、第1所定電圧(たとえば、DC5V)を出力する端子には、給電線31を介して印刷部11が接続されている。給電線31には、給電線31における電流の導通および遮断を切り替えるスイッチ32が接続されている。また、第2所定電圧(たとえば、DC3.3V)を出力する端子には、給電線33を介してメインCPU21が接続され、給電線34を介してサブCPU22が接続され、給電線35を介して画像処理部23が接続され、給電線36を介してUSBコントローラ24が接続されている。給電線33には、給電線33における電流の導通および遮断を切り替えるスイッチ41が接続されている。給電線34には、給電線34における電流の導通および遮断を切り替えるスイッチ42が接続されている。給電線35には、給電線35における電流の導通および遮断を切り替えるスイッチ43が接続されている。給電線36には、給電線36における電流の導通および遮断を切り替えるスイッチ44が接続されている。スイッチ32,41~44は、たとえば、MOSFETなどの半導体スイッチング素子からなる。
【0029】
<モード遷移処理>
プリンタ1は、電力消費モードとして、ノーマルモード(第1モードの一例)、第1スリープモード(第2モードの一例)および第2スリープモード(第3モードの一例)が設定されている。メインCPU21は、ノーマルモードにおいて、スイッチ32,41~44のオン/オフを制御する。サブCPU22は、第1スリープモード及び第3スリープモードにおいて、スイッチ41のオン/オフの制御を行う。
【0030】
プリンタ1の電源がオフの状態からオン(Power ON)されると、商用交流電源ACから電源回路14に交流電力が供給され、電源回路14からASIC16を含む各部に動作電力が供給される。動作電力の供給を受けて、ASIC16のメインCPU21およびサブCPU22は、互いに連携して、プリンタ1の電力消費モードを遷移させるため、図4に示されるモード遷移処理を実行する。
【0031】
モード遷移処理では、メインCPU21は、プリンタ1の電力消費モードをノーマルモードに設定する(S11)。
【0032】
ノーマルモードは、メインCPU21によってスイッチ32,41~44がオンにされて、印刷部11、操作パネル12、電源回路14の電源制御部およびASIC16の各部に電力が供給されて、プリンタ1の各部が動作(オン)するモードである。また、ノーマルモードでは、USBコントローラ24によってスイッチ15がオンされることにより、USBコネクタ13に接続された外部機器に電力を供給可能である。
【0033】
ノーマルモードでは、メインCPU21は、USBコネクタ13に接続された外部機器からの電力供給の要求の有無を判別する。外部機器から延びるUSBケーブルのプラグがUSBコネクタ13に差し込まれた状態ではその外部機器とUSBコントローラ24との間でネゴシエーションを行うために、外部機器とUSBコントローラ24とが相互に通信可能に接続される。外部機器が動作電力や外部機器に内蔵のバッテリの充電のための電力の供給を必要とする場合、外部機器からUSBコントローラ24に電力供給の要求(以下、単に「電力要求」という。)が送信される。この電力要求をUSBコントローラ24が受信すると、メインCPU21は、外部機器からの電力供給ありと判別する。
【0034】
外部機器からの電力要求がない場合(S12:NO)、メインCPU21は、操作パネル12の最後の操作が終了した時点または最後の印刷動作が終了した時点の遅い方から所定時間が経過したか否かを判別する(S13)。
【0035】
最後の操作の終了時点または最後の印刷動作の終了時点の遅い方から所定時間が経過すると(S13:YES)、つまり操作パネル12の操作および印刷動作のいずれもが行われていない状態が所定時間継続すると、メインCPU21は、電力消費モードをノーマルモードから第1スリープモードに切り替える(S14)。メインCPU21は、電力消費モードをノーマルモードから第1スリープモードに切り替えるとき、スイッチ41、43及びスイッチ32をオフにし、DC/DCコンバータ14へディスイネーブル信号を送信して、DC/DCコンバータ142を停止状態とする。
【0036】
第1スリープモードは、図4に示されるように、操作パネル12の操作部、電源回路14の一部ならびにASIC16のサブCPU22およびUSBコントローラ24に電力が供給されて、それらの各部が動作するモードである。第1スリープモードでは、印刷部11、操作パネル12の表示部、ならびにASIC16のメインCPU21および画像処理部23への電力供給が停止状態にある。そのため、第1スリープモードは、ノーマルモードよりも消費電力が低いモードである。第1スリープモードでは、メインCPU21への電力供給が停止状態にあり、メインCPU21が動作しないため、スイッチ42がオンのままにされて、サブCPU22がモード遷移処理を引き継いで実行する。電源回路14の残りの一部は、具体的には、DC/DCコンバータ142であり、DC/DCコンバータ142にディスイネーブル信号が入力されることにより、DC/DCコンバータ142の動作が停止する。これにより、印刷部11およびUSBコネクタ13には電力が供給されない。また、電源回路14の一部であるDC/DCコンバータ143の動作は停止されないが、スイッチ41,43がオフにされることにより、メインCPU21および画像処理部23に電力が供給されない。
【0037】
ノーマルモードから第1スリープモードに移行すると、サブCPU22は、ユーザによる操作パネル12の操作(ユーザ操作)またはPC(Personal Computer)などの外部端末からの印刷要求の有無を判別する(S15)。
【0038】
操作パネル12が操作されず、かつ、外部端末からの印刷要求をLANインタフェース25に受信しないときには、サブCPU22は、外部機器からの電力要求の有無を判別する(S16)。
【0039】
USBコネクタ13に外部機器が接続されていないか、または、USBコネクタ13に接続された外部機器からの電力要求がない場合(S16:NO)、サブCPU22は、操作パネル12の操作または外部端末からの印刷要求の有無を再び判別する(S15)。
【0040】
操作パネル12が操作されるか、外部端末からの印刷要求をLANインタフェース25に受信するか、または、USBコネクタ13に接続された外部機器からの電力要求を受信するまで、電力消費モードは、第1スリープモードに保たれる。
【0041】
第1スリープモードにおいて、操作パネル12が操作されるか、または、外部端末からの印刷要求をLANインタフェース25に受信した場合(S15:YES)、サブCPU22は、電力消費モードを第1スリープモードからノーマルモードに戻す(S11)。すなわち、サブCPU22は、印刷部11、操作パネル12の表示部、電源回路14の残りの一部ならびにASIC16のメインCPU21および画像処理部23への電力の供給を再開する。つまり、サブCPU22は、DC/DCコンバータ142へイネーブル信号を出力して、DC/DCコンバータ142を動作状態とし、スイッチ41及びスイッチ43をオンする。
【0042】
なお、第1スリープモードからノーマルモードへの移行に際して、サブCPU22がメインCPU21への電力の供給を再開した後、モード遷移処理をメインCPU21に引き継いで、メインCPU21により、印刷部11などへの電力の供給が再開されてもよい。
【0043】
第1スリープモードにおいて、USBコネクタ13に接続された外部機器からの電力要求を受信した場合には(S16:YES)、サブCPU22は、電力消費モードを第1スリープモードから第2スリープモードに切り替える(S17)。サブCPU22は、電力消費モードを第1スリープモードから第2スリープモードに切り替えるとき、DC/DCコンバータ142へイネーブル信号を出力して、DC/DCコンバータ142を動作状態とする。
【0044】
第2スリープモードは、図5に示されるように、操作パネル12の操作部、電源回路14の全部ならびにASIC16のサブCPU22およびUSBコントローラ24に電力が供給されて、それらの各部が動作するモードである。そのため、第2スリープモードは、ノーマルモードよりも消費電力が低いモードであるが、電源回路14の全部に電力が供給されるので、第1スリープモードよりは消費電力が高いモードである。第2スリープモードにおいても、サブCPU22によってスイッチ41がオフにされて、メインCPU21への電力の供給が停止されるので、サブCPU22がモード遷移処理を実行する。
【0045】
第2スリープモードでは、外部機器からの電力要求を受けて、USBコントローラ24は、スイッチ15をオンにする。電源回路14が動作しているので、スイッチ15がオンにされると、電源回路14からUSBコネクタ13を経由してそのUSBコネクタ13に接続されている外部機器に供給される。
【0046】
その後、第2スリープモードでは、サブCPU22は、ユーザによる操作パネル12の操作部の操作または外部端末からの印刷要求の有無を判別する(S18)。
【0047】
操作パネル12の操作部が操作されず、かつ、外部端末からの印刷要求をLANインタフェース25に受信しないときには(S18:NO)、サブCPU22は、USBコネクタ13からUSBケーブルのプラグが脱抜されたか否かを判別する(S19)。
【0048】
USBコネクタ13からUSBケーブルのプラグが抜かれていない場合(S19:NO)、サブCPU22は、外部機器からの電力要求が終了したか否かを判別する(S20)。
【0049】
USBコネクタ13からUSBケーブルのプラグが抜かれておらず、かつ、そのUSBケーブルを介してUSBコネクタ13に接続されている外部機器からの電力要求が終了していない場合(S20:NO)、サブCPU22は、ユーザによる操作パネル12の操作部の操作または外部端末からの印刷要求の有無を再び判別する(S18)。
【0050】
そして、USBコネクタ13からUSBケーブルのプラグが抜かれるか(S19:YES)、または、外部機器からの電力要求が終了した場合(S20:YES)、USBコントローラ24は、スイッチ15をオフにする。また、サブCPU22は、ディスイネーブル信号を出力して、電源回路14の全部に電力が供給されている状態からその一部に電力が供給される状態にする。これにより、電力消費モードが第2スリープモードから第1スリープモードに戻る(S14)。
【0051】
第2スリープモードにおいて、操作パネル12の操作部が操作されるか、または、外部端末からの印刷要求をLANインタフェース25に受信した場合(S18:YES)、サブCPU22は、電力消費モードを第1スリープモードからノーマルモードに戻す(S11)。すなわち、サブCPU22は、印刷部11、操作パネル12の表示部、電源回路14の残りの一部ならびにASIC16のメインCPU21および画像処理部23への電力の供給を再開する。サブCPU22は、電力消費モードを第1スリープモードからノーマルモードに戻すとき、スイッチ41及びスイッチ43をオンにする。
【0052】
一方、ノーマルモードにおいて、USBコネクタ13に接続された外部機器からの電力要求を受信した場合には(S12:YES)、その電力要求を受けて、USBコントローラ24は、スイッチ15をオンにする。スイッチ15がオンにされると、電源回路14からUSBコネクタ13を経由してそのUSBコネクタ13に接続されている外部機器に供給される。
【0053】
その後、メインCPU21は、ユーザにより操作パネル12上でスリープ移行を指示する操作がなされたか否かを判別する(S21)。
【0054】
スリープ移行を指示する操作がなされていない場合(S21:NO)、メインCPU21は、操作パネル12の最後の操作が終了した時点または最後の印刷動作が終了した時点の遅い方から所定時間が経過したか否かを判別する(S22)。
【0055】
最後の操作の終了時点または最後の印刷動作の終了時点の遅い方から所定時間が経過していなければ、メインCPU21は、スリープ移行を指示する操作がなされたか否かを再び判別する(S21)。
【0056】
そして、スリープ移行を指示する操作がなされるか(S21:YES)、または、スリープ移行を指示する操作がなされずに、最後の操作の終了時点または最後の印刷動作の終了時点の遅い方から所定時間が経過した場合には(S22:YES)、メインCPU21は、電力消費モードをノーマルモードから第2スリープモードに切り替える(S17)。
これにより、USBコネクタ13に接続されている外部機器への電力の供給が継続される。
【0057】
<作用効果>
以上のように、ノーマルモードでは、電源回路14から印刷部11およびUSBコネクタ13に電力が供給される。第1スリープモードでは、電源回路14から印刷部11およびUSBコネクタ13への電力供給が停止状態にある。第2スリープモードでは、電源回路14から印刷部11への電力の供給が停止され、電源回路14からUSBコネクタ13に電力が供給される。
【0058】
第1スリープモード時に外部機器がUSBコネクタ13に接続されて、その外部機器から電力要求を受けたことに応じて、第1スリープモードから第2スリープモードに移行し、電源回路14からUSBコネクタ13に電力が供給される。
【0059】
よって、USBコネクタ13に接続された外部機器から電力供給が要求された場合に、電源回路14からUSBコネクタ13に電力が供給されるので、USBコネクタ13から外部機器に電力を供給することができる。
【0060】
ノーマルモードでは、電源回路14からメインCPU21に電力が供給され、第1スリープモードおよび第2スリープモードでは、電源回路14からメインCPU21への電力供給が停止状態にある。そして、第1スリープモードおよび第2スリープモードでは、メインCPU21よりも省電力設計のサブCPU22により、モード遷移処理が実行される。
これにより、第1スリープモードおよび第2スリープモードにおける省電力化を図ることができる。
【0061】
サブCPU22は、第2スリープモードでUSBコネクタ13に接続されている外部機器からの電力供給の要求が終了するか、または、第2スリープモードでUSBコネクタ13への外部機器の接続が解除されたことに応じて、電力消費モードを第2スリープモードから第1スリープモードに移行させる。第1スリープモードは、第2スリープモードよりも消費電力が低いので、第2スリープモードから第1スリープモードに移行することにより、プリンタ1の消費電力を低く抑えることができる。
【0062】
また、サブCPU22は、第2スリープモードで時に前記ジョブ受付部にジョブを受け付けたことに応じて、電力消費モードを第2スリープモードからノーマルモードに移行させる。これにより、印刷部11への電力の供給が再開されるので、印刷部11による印刷を実行することができる。
【0063】
サブCPU22は、ノーマルモード時に、USBコネクタ13に接続されている外部機器から電力供給の要求を受けている状態で、スリープ移行を指示する操作が操作パネル12に受け付けられたことに応じて、電力消費モードをノーマルモードから第2スリープモードに移行させる。これにより、外部機器への電力の供給を続けながら、プリンタ1の消費電力を低減することができる。
【0064】
また、サブCPU22は、ノーマルモード時に、USBコネクタ13に接続されている外部機器から電力供給の要求を受けている状態で、最後の操作の終了時点または最後の印刷動作の終了時点の遅い方から所定時間が経過した場合にも、電力消費モードをノーマルモードから第2スリープモードに移行させる。これにより、外部機器への電力の供給を続けながら、プリンタ1の消費電力を低減することができる。
【0065】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0066】
たとえば、前述の実施形態では、メインCPU21および画像処理部23の動作を停止させる手段として、各スイッチをオフする例を挙げたが、「メインCPU21および画像処理部23へ」の図示しないクロック回路からのクロック信号の伝達を停止することによってメインCPU21および画像処理部23の動作を停止させる形態であってもよい。
前述の実施形態においては、「DC/DCコンバータ142を動作状態とするときDC/DCコンバータ142へイネーブル信号を出力し、DC/DCコンバータ142を停止状態とするとき、ディスイネーブル信号を出力する」という形態を例示したが、「DC/DCコンバータ142を動作状態とするときDC/DCコンバータ142へイネーブル信号を出力し続け、DC/DCコンバータ142を停止状態とするとき、イネーブル信号の出力を停止する」という形態を採用してもよい。
【0067】
本発明は、印刷部11を備えるプリンタ1に限らず、原稿の画像を読み取る画像読取エンジンの一例としての読取部を備えるスキャナに適用されてもよいし、印刷部11および読取部の両方を備える複合機に適用されてもよい。画像読取エンジンは、例えば、CIS(Contact Image Sensor)等のイメージセンサを含む。本発明をスキャナに適用した場合、上記実施形態の印刷部11を読取部に置き換え、画像処理部23を読取部用の画像処理部へ置き換えた形態となる。すなわち、第1モードにおいて電源部から読取部へ電力が供給され、第2モード及び第3モードにおいて電源部から読取部への電力供給が停止状態にある。
【0068】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1:プリンタ
11:印刷部
12:操作パネル
13:USBコネクタ
14:電源回路
21:メインCPU
22:サブCPU
図1
図2
図3
図4
図5