(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】基板、および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20230704BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20230704BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20230704BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
G02B5/20
G02F1/1335 505
G02F1/13357
G09F9/30 310
G09F9/30 349Z
(21)【出願番号】P 2018562693
(86)(22)【出願日】2018-11-27
(86)【国際出願番号】 JP2018043482
(87)【国際公開番号】W WO2019111748
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2017232355
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018113520
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018128004
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】日比野 利保
(72)【発明者】
【氏名】越野 美加
(72)【発明者】
【氏名】鴨川 政雄
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 充史
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-052606(JP,A)
【文献】特開2015-075707(JP,A)
【文献】国際公開第2004/073972(WO,A1)
【文献】特開平11-292568(JP,A)
【文献】特開2015-021029(JP,A)
【文献】特開2013-253145(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158097(WO,A1)
【文献】特開2016-181474(JP,A)
【文献】特開2011-102841(JP,A)
【文献】特開平11-061043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0041430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02F 1/1335
G02F 1/13357
G09F 9/30
G02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に、透明基板側から(a)色変換発光層および(b)光拡散防止層をこの順に有する基板であって、
前記(b)光拡散防止層が、ポリシロキサンと、鎖状シリカ粒子を含み、(b)光拡散防止層中のポリシロキサンの含有量が4~32重量%、鎖状シリカ粒子の含有量が68~96重量%であり、
前記(a)色変換発光層と(b)光拡散防止層の間に、厚み50~1,000nmの無機膜からなる(c)保護層Iを有し、
前記(b)光拡散防止層上に、厚み50~1,000nmの無機膜からなる(d)保護層IIを有する基板。
【請求項2】
前記(b)光拡散防止層の波長550nmにおける屈折率が1.20~1.35である請求項1記載の基板。
【請求項3】
透明基板上に、透明基板側から(a)色変換発光層および(b)光拡散防止層をこの順に有する基板であって、
(b)光拡散防止層の波長550nmにおける屈折率が1.20~1.35であり、前記(b)光拡散防止層が、ポリシロキサンと、中空構造を有しないシリカ粒子を含み、(b)光拡散防止層中のポリシロキサンの含有量が4~32重量%、中空構造を有しないシリカ粒子の含有量が68~96重量%であり、
前記(a)色変換発光層と(b)光拡散防止層の間に、厚み50~1,000nmの無機膜からなる(c)保護層Iを有し、
前記(b)光拡散防止層上に、厚み50~1,000nmの無機膜からなる(d)保護層IIを有する基板。
【請求項4】
前記(b)光拡散防止層中のポリシロキサンが下記一般式(1)~(3)のいずれかで示される構造を含む請求項1~3いずれか記載の基板。
【化1】
(上記一般式(1)~(3)中、R
2は炭素数1~3の1価の炭化水素基、R
3は炭素数1~10のフッ化アルキル基または炭素数1~3の1価の炭化水素基、R
4は炭素数1~10の2価の炭化水素基、R
5は水素またはメチル基を表す。)
【請求項5】
前記(b)光拡散防止層中のポリシロキサンが下記一般式(4)~(6)のいずれかで示される構造を含む請求項1~4いずれか記載の基板。
【化2】
(上記一般式(4)~(6)中、R
1は炭素数1~10のフッ化アルキル基、R
2は炭素数1~3の1価の炭化水素基を表す。R
3は炭素数1~10のフッ化アルキル基または炭素数1~3の1価の炭化水素基を表す。)
【請求項6】
前記(a)色変換発光層が無機蛍光体および/または有機蛍光体を含む請求項1~5いずか記載の基板。
【請求項7】
前記無機蛍光体が平均粒子径1~10nmの量子ドットを含む請求項6記載の基板。
【請求項8】
前記(a)色変換発光層が隔壁によって隔てられて配列している請求項1~7いずれか記載の基板。
【請求項9】
前記(c)保護層Iが、窒化ケイ素および/または酸化ケイ素を含む請求項
1または3記載の基板。
【請求項10】
前記(d)保護層IIが、窒化ケイ素および/または酸化ケイ素を含む請求項1または3記載の基板。
【請求項11】
さらに、透明基板上に屈折率調整層を有する請求項1~
10いずれか記載の基板。
【請求項12】
請求項1~
11いずれか記載の基板、TFTおよびバックライトを有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明基板上に色変換発光層および光拡散防止層を有する基板、および、それを用いた画像表示装置、光拡散防止用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置の1種である液晶表示装置は、一般的に、LED等の白色光源と、赤色、緑色、青色を選択的に通過させるカラーフィルターを用いて、カラー表示している。従来のカラーフィルターの製造方法としては、アクリル樹脂等の透明樹脂に顔料粉末を分散させた組成物を、ガラス等の透明基板上に塗布、乾燥し、感光性を利用してパターン加工することにより、透明基板上に、赤色画素、緑色画素、青色画素を作製することが一般的であった。しかしながら、このようなカラーフィルターを用いたカラー表示は、光利用効率が悪く、色再現性に課題があった。
【0003】
そこで、光利用効率を高くしたカラー表示装置として、例えば、波長変換用蛍光体からなる波長変換部と、偏光分離手段と偏光変換手段を備えたカラー表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、青色光源と、液晶素子と、青色光により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体、及び、青色光により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体を有するカラーフィルターと、青色光を散乱させる光散乱フィルムとを含む液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-131683号公報
【文献】特開2009-244383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載されるような色変換蛍光体を含むカラーフィルターは、蛍光があらゆる方向に発生することから、バックライト側に散乱した光を損失してしまい、輝度が低下する課題があった。特に、4K、8Kと言われる高精細液晶表示装置においては、画素サイズが小さくなるため、輝度の低下の課題が顕著である。そこで、本発明は、バックライト側への光の拡散を抑制し、画像表示装置の輝度を向上させることができる基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、透明基板上に、透明基板側から(a)色変換発光層および(b)光拡散防止層をこの順に有する基板であって、前記(b)光拡散防止層が、ポリシロキサンと、鎖状シリカ粒子を含み、(b)光拡散防止層中のポリシロキサンの含有量が4~32重量%、鎖状シリカ粒子の含有量が68~96重量%である基板である。
【0007】
また、本発明は、透明基板上に、透明基板側から(a)色変換発光層および(b)光拡散防止層をこの順に有する基板であって、(b)光拡散防止層の波長550nmにおける屈折率が1.20~1.35であり、前記(b)光拡散防止層が、ポリシロキサンと、中空構造を有しないシリカ粒子を含み、(b)光拡散防止層中のポリシロキサンの含有量が4~32重量%、中空構造を有しないシリカ粒子の含有量が68~96重量%である基板である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の基板は、バックライト側への光の拡散を抑制し、画像表示装置の輝度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本発明の基板の別の一態様を示す概略図である。
【
図3】本発明の基板の別の一態様を示す概略図である。
【
図4】本発明の基板の別の一態様を示す概略図である。
【
図5】本発明の画像表示装置の一態様を示す概略図である。
【
図6】実施例1において作製した基板の概略図である。
【
図7】実施例2において作製した基板の概略図である。
【
図8】実施例7において作製したレジストパターンの概略図である。
【
図9】実施例7において作製した窒化ケイ素の隔壁の概略図である。
【
図10】実施例7において作製した基板の概略図である。
【
図11】実施例8において作製した基板の概略図である。
【
図12】実施例10において作製した基板の概略図である。
【
図13】比較例1において作製した基板の概略図である。
【
図14】比較例2において作製した基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の基板は、透明基板上に、透明基板側から(a)色変換発光層および(b)光拡散防止層をこの順に有する。透明基板は、基板における支持体としての機能と、(a)色変換発光層が発する光を透過させる機能を有する。また、画像表示装置においては、保護層としての機能を有する。
【0011】
(a)色変換発光層は、特定の色の高輝度の光を発光し、カラーフィルターおよび画素としての機能と、画像表示装置の輝度を向上させる機能を有する。
【0012】
(b)光拡散防止層は、(a)色変換発光層との界面において光を全反射し、バックライト側への光拡散および光損失を抑制することによって、画像表示装置の輝度を向上させる機能を有する。
【0013】
本発明における透明基板とは、波長400nm、550nm、633nm、800nmにおける光線透過率がいずれも90%以上である基板を指す。波長400~800nmの可視領域のうち、波長400nm、550nm、633nm、800nmにおける光線透過率がいずれも90%以上であれば、可視領域の全ての波長における光透過率が十分に高く透明性に優れることから、本発明においては、可視領域の光の代表的な波長として、前記4つの波長における光線透過率を選択した。ここで、基板の光透過率は、紫外-可視分光光度計「UV-260(商品名)」(島津製作所(株)製)を用いて測定することができる。
【0014】
透明基板としては、例えば、ガラス板、樹脂板、樹脂フィルムなどが挙げられる。ガラス板の材質としては、無アルカリガラスが好ましい。樹脂板、樹脂フィルムの材質としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂等が好ましい。ガラス板および樹脂板の厚みは、1mm以下が好ましく、0.6mm以下が好ましい。樹脂フイルムの厚みは、100μm以下が好ましい。
【0015】
透明基板上に、屈折率調整層を有してもよい。屈折率調整層により、(a)色変換発光層から出る光をより効率的に取り出すことができる。屈折率調整層は、屈折率の異なる複数の層の積層構造を有してもよい。屈折率調整層は、光の損失を防ぐために透明であることが好ましい。
【0016】
屈折率調整層は、透明基板側から来る外光の反射を抑制し、色変換発光層から出る光を効率よく取り出すために、屈折率が低いことが好ましい。より具体的には、屈折率調整層の波長550nmにおける屈折率は、1.10~1.50が好ましく、1.20~1.35がより好ましい。屈折率調整層は、樹脂組成物を塗布して形成することが好ましく、屈折率を前述した範囲に調整するため、後述する光拡散防止層用樹脂組成物により形成してもよい。
【0017】
図1に、屈折率調整層を有する本発明の基板の一態様を示す。ガラス基板1上に、屈折率調整層12を有し、さらにその上に、赤色量子ドットを含有する色変換発光層3および緑色量子ドットを含有する色変換発光層4を有する。
【0018】
透明基板上に、保護層を有してもよい。保護層により、(a)色変換発光層を湿気や酸素から保護することができる。保護層は、CVD法により得られる膜が好ましい。CVDは汎用のCVD装置を使用して、形成する膜の原料ガスを真空化で反応させて膜の成分を基板上に堆積していく方法である。SiO2を形成する場合にはSiH4またはSiCl4とO2は真空化で反応させて基板上に堆積させていくことでSiO2のCVD膜を形成できる。SiNを形成する場合には、SiH4またはSiH2Cl2とアンモニアガスを使用することでSiNのCVD膜を形成できる。必要に応じて装置内のチャンバー温度を上げることで反応が進行しやすく、緻密な膜を形成できる。
【0019】
(a)色変換発光層は、無機蛍光体および/または有機蛍光体を含有することが好ましい。例えば、青色光を発光するバックライトと組み合わせる場合、赤色画素に対応する領域には、青色の励起光により励起されて赤色の蛍光を発する赤色用蛍光体を含有することが好ましく、緑色画素に対応する領域には、青色の励起光により励起されて緑色の蛍光を発する緑色用蛍光体を含有することが好ましく、青色画素に対応する領域には、蛍光体を含有しないことが好ましい。
【0020】
無機蛍光体としては、波長400~500nmの励起光により励起され、発光スペクトルが500~700nmの領域にピークを有するものや、量子ドットと称される無機半導体微粒子などが挙げられる。無機蛍光体の形状としては、例えば、球状、柱状などが挙げられる。
【0021】
無機蛍光体は、発光スペクトルのピーク波長により、緑色や赤色などの各色を発光する。
【0022】
かかる無機蛍光体としては、例えば、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、サイアロン系蛍光体、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体、量子ドットと称される無機半導体等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、量子ドットが好ましい。量子ドットは他の蛍光体に比較して平均粒子径が小さいことから、(a)色変換発光層の表面を平滑化して表面における光散乱を抑制することができるため、光の取り出し効率をより向上させることができる。
【0023】
量子ドットとしては、例えば、II-IV族、III-V族、IV-VI族、IV族の半導体などが挙げられる。これらの無機半導体としては、例えば、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si3N4、Ge3N4、Al2O3などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0024】
量子ドットは、p型ドーパントまたはn型ドーパントを含有してもよい。また、量子ドットは、コアシェル構造を有してもよい。コアシェル構造においては、シェルの周囲に目的に応じて任意の適切な機能層(単一層または複数層)が形成されていてもよく、シェル表面に表面処理および/または化学修飾がなされていてもよい。
【0025】
量子ドットの形状としては、例えば、球状、柱状、燐片状、板状、不定形等が挙げられる。量子ドットの平均粒子径は、所望の発光波長に応じて任意に選択することができ、1~30nmが好ましい。量子ドットの平均粒子径が1~10nmであれば、青色、緑色および赤色のそれぞれにおいて、発光スペクトルにおけるピークをよりシャープにすることができる。例えば、量子ドットの平均粒子径が約2nmの場合には青色光を、約3nmの場合には緑色光を、約6nmの場合には赤色光を発光する。量子ドットの平均粒子径は2nm以上が好ましく、8nm以下が好ましい。量子ドットの平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。平均粒子径の測定装置としては、ダイナミック光散乱光度計DLS-8000(大塚電子(株)製)などが挙げられる。
【0026】
量子ドットを含有する場合、(a)色変換発光層の厚みは、1~10μm程度が好ましい。
【0027】
有機蛍光体としては、例えば、青色の励起光により励起され赤色の蛍光を発する蛍光体として、下記構造式(7)で表される基本骨格を有するピロメテン誘導体、青色の励起光により励起され緑色の蛍光を発する蛍光体として、下記構造式(8)で表される基本骨格を有するピロメテン誘導体などが挙げられる。その他には、置換基の選択により赤色または緑色の蛍光を発するペリレン系誘導体、ポルフィリン系誘導体、オキサジン系誘導体、ピラジン系誘導体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、量子収率が高いことから、ピロメテン誘導体が好ましい。ピロメテン誘導体は、例えば、特開2011-241160号公報に記載の方法により得ることができる。
【0028】
【0029】
有機蛍光体は溶媒に可溶なため、所望の厚みの(a)色変換発光層を容易に形成することができる。
【0030】
(a)色変換発光層の厚みは、画像表示装置の色特性を向上させる観点から、0.5μm以上が好ましく1μm以上がより好ましい。一方、画像表示装置の薄型化や曲面加工性の観点から、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
【0031】
(a)色変換発光層の各画素の大きさは、20~200μm程度が一般的である。
【0032】
(a)色変換発光層は、蛍光体を含む各画素が、隔壁によって隔てられて配列していることが好ましい。画素と画素の間に隔壁を設けることにより、発光した光の拡散や混色をより抑制することができる。
【0033】
図2に、隔壁を有する本発明の基板の一態様を示す。ガラス基板1上に、隔壁7により隔てられた赤色量子ドットを含有する色変換発光層3および緑色量子ドットを含有する色変換発光層4を有し、さらに光拡散防止層2を有する。
【0034】
隔壁は、カーボンブラックや窒化チタン化合物などの黒色材料や、窒化ケイ素などの高屈折率材料を含有することが好ましい。ここで、高屈折率とは、23℃において、波長550nmにおける屈折率が1.7以上であることをいう。黒色材料を含有することにより、色変換発光層からの漏光を吸収し、発光色との光干渉を抑制することができる。また、高屈折率材料を含有することにより、発光の反射を抑制することができる。
【0035】
本発明において、(b)光拡散防止層は、波長550nmにおける屈折率が1.20~1.35であることが好ましい。屈折率を1.20以上とすることにより、バックライトからの光が光拡散防止層や蛍光体の表面におけて反射することによる透過光の減少を抑制し、輝度をより向上させることができる。一方、屈折率を1.35以下とすることにより、発光した光を(b)光拡散防止層でより反射しやすくし、輝度をより向上させることができる。なお、(b)光拡散防止層の屈折率とは、23℃において、波長550nmにおける屈折率を言い、メトリコン社製屈折率測定装置プリズムカプラPC-2000を用いて測定することができる。
【0036】
本発明の一態様において、(b)光拡散防止層は、ポリシロキサンと、中空構造を有しないシリカ粒子を含有することが好ましい。また、本発明の別の一態様において、(b)光拡散防止層は、ポリシロキサンと、鎖状シリカ粒子を含むことが好ましい。なお、シリカ粒子は、鎖状で中空構造を有しないものであってもよい。
【0037】
ポリシロキサンは、シリカ粒子などの無機粒子との相溶性が高く、透明な層を形成することができるバインダーとして機能する。
【0038】
また、中空構造を有しないシリカ粒子を含有することにより、(b)光拡散防止層中に微小な空隙を効率よく形成して屈折率を低減することができ、屈折率を前述の範囲に容易に調整することができる。さらに、硬化収縮時のクラックを生じやすい中空構造を有しないため、クラックを抑制することができる。ここで、中空構造を有しないシリカ粒子とは、粒子の内部が密であり、空洞がないシリカ粒子を指す。
【0039】
また、鎖状シリカ粒子を含有することにより、(b)光拡散防止層中に微小な空隙を効率よく形成して屈折率を低減することができ、屈折率を前述の範囲に容易に調整することができる。さらに、鎖状シリカ粒子が堆積して硬化膜を形成することから応力を緩和しやすく、収縮時のクラックを抑制することができる。ここで、鎖状シリカ粒子とは、シリカ粒子が複数個連なって形成された凝集体を指す。
【0040】
なお、(b)光拡散防止層において、ポリシロキサンと、中空構造を有しないシリカ粒子や鎖状シリカ粒子(以下、総称して「シリカ粒子」と記載する場合がある)は、それぞれ独立して含有されていてもよいし、ポリシロキサンとシリカ粒子とが結合した状態で含有されていてもよい。(b)光拡散防止層の均一性の観点から、ポリシロキサンとシリカ粒子とが結合した状態で含有されていることが好ましい。
【0041】
ポリシロキサンは、下記一般式(4)~(6)のいずれかで表される構造単位を有することが好ましい。その場合、(b)光拡散防止層の屈折率を1.20~1.35に容易に調整することができる。
【0042】
【0043】
上記一般式(4)~(6)中、R1は炭素数1~10のフッ化アルキル基、R2は炭素数1~3の1価の炭化水素基、R3は炭素数1~10のフッ化アルキル基または炭素数1~3の1価の炭化水素基を表す。R1~R3を複数有する場合、それぞれ同じでも異なってもよい。
【0044】
ポリシロキサンは、下記一般式(1)~(3)のいずれかで表される構造単位を有することが好ましい。その場合、基板との密着性を向上させることができる。
【0045】
【0046】
上記一般式(1)~(3)中、R2は炭素数1~3の1価の炭化水素基、R3は炭素数1~10のフッ化アルキル基または炭素数1~3の1価の炭化水素基、R4は炭素数1~10の2価の炭化水素基、R5は水素またはメチル基を表す。
【0047】
このような構造を有するポリシロキサンの合成方法としては、前記一般式(1)~(6)のいずれかで表される構造を有するオルガノシラン化合物と必要に応じて他のオルガノシラン化合物を加水分解した後、加水分解物を溶媒の存在下で縮重合反応させることが好ましく例示される。加水分解反応や重縮合反応の条件は、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などを考慮して適宜設定することができる。例えば、溶媒中、オルガノシラン化合物に酸または塩基触媒および水を1~180分間かけて添加した後、30~90℃で1~180分間加水分解反応させた後、100~150℃で1~5時間重縮合させることが好ましい。
【0048】
(b)光拡散防止層中におけるポリシロキサンの含有量は、クラックを抑制する観点から、4重量%以上が好ましい。一方、ポリシロキサンの含有量は、シリカ粒子間のネットワークによるチキソ性を確保し、(b)光拡散防止層中に適度に空気層を保ち屈折率をより低減する観点から、32重量%以下が好ましい。さらに好ましくは10重量%以上30重量%以下である。
【0049】
中空構造を有しないシリカ粒子としては、例えば、日産化学工業(株)製“スノーテックス”(登録商標)や“オルガノシリカゾル”(登録商標)シリーズ(イソプロピルアルコール分散液、エチレングリコール分散液、メチルエチルケトン分散液、ジメチルアセトアミド分散液、メチルイソブチルケトン分散液、プロピレングリコールモノメチルアセテート分散液、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液、メタノール分散液、酢酸エチル分散液、酢酸ブチル分散液、キシレン-n-ブタノール分散液、トルエン分散液など。品番PGM-ST、PMA-ST、IPA-ST、IPA-ST-L、IPA-ST-ZL、IPA-ST-UPなど)が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0050】
鎖状シリカ粒子としては、例えば、日産化学工業(株)製“オルガノシリカゾル” (登録商標)シリーズ(イソプロピルアルコール分散液、エチレングリコール分散液、メチルエチルケトン分散液など。品番IPA-ST-UP、MEK-ST-UPなど)が挙げられる。
【0051】
(b)光拡散防止層における中空構造を有しないシリカ粒子の含有量は、中空構造を有しないシリカ粒子間のネットワークによるチキソ性を確保し、(b)光拡散防止層中に適度に空気層を保ち屈折率をより低減する観点から、68重量%以上が好ましい。一方、中空構造を有しないシリカ粒子の含有量は、クラックを抑制する観点から、96重量%以下が好ましい。さらに好ましくは70重量%以上90重量%以下である。
【0052】
(b)光拡散防止層における鎖状シリカ粒子の含有量は、鎖状シリカ粒子間のネットワークによるチキソ性を確保し、(b)光拡散防止層中に適度に空気層を保ち屈折率をより低減する観点から、68重量%以上が好ましい。一方、鎖状シリカ粒子の含有量は、クラックを抑制する観点から、96重量%以下が好ましい。
【0053】
(b)光拡散防止層の厚みは、(a)色変換発光層の段差をカバーして欠陥の発生を抑制する観点から、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。一方、(b)光拡散防止層の厚みは、(b)光拡散防止層のクラックの原因となるストレスを低減する観点から、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
【0054】
本発明の基板は、(a)色変換発光層と(b)光拡散防止層の間に(c)保護層Iを有することが好ましい。(c)保護層Iを有することにより、(b)光拡散防止層形成時に、(b)光拡散防止層中の樹脂成分が(a)光変換発光層中に浸透することを抑制し、(a)光変換発光層の寿命を長くすることができる。
【0055】
図3に、(c)保護層Iを有する本発明の基板の一例を示す。ガラス基板1上に、赤色量子ドットを含有する色変換発光層3および緑色量子ドットを含有する色変換発光層4を有し、これらを覆う保護層I8および光拡散防止層2を有する。
【0056】
(c)保護層Iは、無機膜からなることが好ましく、バリア性の高い窒化ケイ素および/または酸化ケイ素の膜がより好ましい。(c)保護層Iの厚みは、50~1,000nmが好ましい。蛍光体は外部からの水分の浸透による劣化が生じやすい傾向にあるが、(c)保護層Iをの厚みを50nm以上とすることにより、(a)光変換発光層の劣化を抑制することができる。一方、(b)光拡散防止層の効果をより効率的に発揮するために、(a)光変換発光層と(b)光拡散防止層との距離を小さくする観点から、(c)保護層Iの厚みは1000nm以下が好ましい。
【0057】
本発明の基板は、(b)光拡散防止層上に(d)保護層IIを有することが好ましい。(d)保護層IIを有することにより、(b)光拡散防止層の水分の浸透による劣化を抑制し、(a)光変換発光層の寿命を長くすることができる。
【0058】
図4に、(d)保護層IIを有する本発明の基板の一例を示す。ガラス基板1上に、赤色量子ドットを含有する色変換発光層3および緑色量子ドットを含有する色変換発光層4を有し、これらを覆う保護層I8および光拡散防止層2を有する。さらに光拡散防止層2上に、保護層II9を有する。
【0059】
(d)保護層IIは、無機膜からなることが好ましく、バリア性の高い窒化ケイ素および/または酸化ケイ素の膜がより好ましい。(d)保護層IIの厚みは、50~1,000nmが好ましい。蛍光体は外部からの水分の浸透による劣化が生じやすい傾向にあるが、(d)保護層IIの厚みを50nm以上とすることにより、(a)光変換発光層の劣化を抑制することができる。一方、光の拡散損失を抑制するために、(a)光変換発光層とバックライトとの距離を小さくする観点から、(d)保護層IIの厚みは1000nm以下が好ましい。 次に、本発明の基板の製造方法について説明する。透明基板上に、(a)色変換発光層、必要に応じて(c)保護層I、(b)光拡散防止層、必要に応じて(d)保護層II、屈折率調整層を形成することが好ましい。
【0060】
(a)色変換発光層の形成は、(a)色変換発光層を構成する色変換発光層用樹脂組成物を用いて行うことが好ましい。まず、透明基板上に、色変換発光層用樹脂組成物を塗布し、予備加熱することが好ましい。色変換発光層用樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、スリットコート法、スピンコート法などが挙げられる。予備加熱装置としては、例えば、熱風オーブンなどが挙げられる。予備加熱時間は80~120℃が好ましく、予備加熱時間は5~15分間が好ましい。次に、フォトマスクを介して露光し、現像することによりパターン形成することが好ましい。現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液などが挙げられる。現像後、純水で洗浄することが好ましい。パターンを形成した基板を加熱することにより、(a)色変換発光層を形成することが好ましい。加熱装置としては、例えば、熱風オーブンなどが挙げられる。加熱時間は120~200℃が好ましく、加熱時間は15~60分間が好ましい。複数色の(a)色変換発光層を形成する場合には、それぞれの色の色変換発光層用樹脂組成物を用いて、前記工程を繰り返す。
【0061】
(c)保護層Iは、CVDにより形成することが好ましい。
【0062】
(b)光拡散防止層は、(a)色変換発光層を形成した基板に、後述する光拡散防止用樹脂組成物を塗布し、プリベークし、キュアすることにより形成することが好ましい。光拡散防止用樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート印刷法、スプレー印刷法、スリット塗布法などが挙げられる。例えばスリット塗布法を用いる場合、スリットノズルを複数のノズルに分割し、複数のラインをストライプ状に塗布してもよい。
【0063】
プリベークに用いる加熱装置としては、例えば、ホットプレート、オーブンなどが挙げられる。プリベークは、窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、窒素/酸素雰囲気下、空気雰囲気下などいずれの条件で行ってもよい。プリベーク温度は、50~150℃が好ましく、プリベーク時間は、30秒間~30分間が好ましい。プリベーク後の膜厚は、0.05~10μmが好ましい。
【0064】
キュアに用いる加熱装置としては、例えば、ホットプレート、オーブンなどが挙げられる。キュアは、窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、窒素/酸素雰囲気下、空気雰囲気下などいずれの条件で行ってもよい。キュア温度は、100~250℃が好ましく、キュア時間は、15分間~2時間が好ましい。
【0065】
光拡散防止用樹脂組成物は、前述のポリシロキサンと、前述の中空構造を有しないシリカ粒子と、溶媒を含有することが好ましい。また、中空構造を有しないシリカにかえて前述の鎖状シリカを含有してもよいし、中空構造を有しないシリカとともに鎖状シリカを含有してもよい。溶媒としては、加水分解や縮重合反応に用いた溶媒でもよいし、他の溶媒でもよい。溶媒を2種以上含有してもよい。さらに、本発明の効果を害しない範囲において、シランカップリング剤、架橋剤、増感剤、熱ラジカル発生剤、溶解促進剤、溶解抑止剤、界面活性剤、増粘剤、安定剤、消泡剤、シリカ粒子以外の金属化合物粒子などの各種添加剤を含有してもよい。
【0066】
光拡散防止用樹脂組成物中におけるポリシロキサンの含有量は、固形分中4~32重量%が好ましい。光拡散防止用樹脂組成物中における中空構造を有しないシリカ粒子の含有量は、固形分中68~96重量%が好ましい。
【0067】
(d)保護層IIは、CVDにより形成することが好ましい。
【0068】
本発明の画像表示装置は、前述の基板と、TFTおよびバックライトを有する。前述の本発明の基板を用いることにより、輝度を向上させることができる。
【0069】
図5に、本発明の画像表示装置の一態様を示す。ガラス基板1上に、赤色量子ドットを含有する色変換発光層3および緑色量子ドットを含有する色変換発光層4とこれらを覆う保護層I8を有し、さらに光拡散防止層2および保護層II9を有する基板と、液晶/バックライトユニット10とを有する。
【実施例】
【0070】
<1H-NMRの測定>
有機蛍光体の1H-NMR測定は、超伝導FT-NMR装置 EX-270(日本電子(株)製)を用い、重クロロホルム溶液にて行った。また、シリカ粒子含有ポリシロキサンの1H-NMR測定は、超伝導FT-NMR装置 EX-270を用い、重アセトン溶液にて行った。
【0071】
<29Si-NMRの測定>
シリカ粒子含有ポリシロキサンの29Si-NMR測定は、超伝導FT-NMR装置 EX-270を用い、重アセトン溶液にて行った。
【0072】
<粒子径の測定>
量子ドット材料であるLumidot 640およびLumidot 530をそれぞれ石英セルに入れ、ダイナミック光散乱光度計DLS-8000(大塚電子(株)製)を用いて平均粒子径を測定した。
【0073】
実施例および比較例に用いた原料を以下に示す。
【0074】
合成例1.赤色有機蛍光体
4-(4-t-ブチルフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)ピロール300mg、2-メトキシベンゾイルクロリド201mgとトルエン10mlの混合溶液を、窒素気流下、120℃で6時間加熱した。室温に冷却後、エバポレートした。エタノール20mlで洗浄し、真空乾燥した後、2-(2-メトキシベンゾイル)-3-(4-t-ブチルフェニル)-5-(4-メトキシフェニル)ピロール260mgを得た。次に、2-(2-メトキシベンゾイル)-3-(4-t-ブチルフェニル)-5-(4-メトキシフェニル)ピロール260mg、4-(4-t-ブチルフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)ピロール180mg、メタンスルホン酸無水物206mgと脱気したトルエン10mlの混合溶液を、窒素気流下、125℃で7時間加熱した。室温に冷却後、水20mlを注入し、ジクロロメタン30mlで抽出した。有機層を水20mlで2回洗浄し、エバポレートし、真空乾燥後の残留物としてピロメテン体を得た。次に、得られたピロメテン体とトルエン10mlの混合溶液に、窒素気流下、ジイソプロピルエチルアミン305mg、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体670mgを加え、室温で3時間撹拌した。水20mlを注入し、ジクロロメタン30mlで抽出した。有機層を水20mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、赤紫色粉末0.27gを得た(収率70%)。得られた赤紫色粉末の1H-NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られた赤紫色粉末が、下記構造式で表される[R-1]であることが確認された。
1H-NMR(CDCl3(d=ppm)):1.19(s,18H),3.42(s,3H),3.85(s,6H),5.72(d,1H),6.20(t,1H),6.42-6.97(m,16H),7.89(d,4H)。
【0075】
【0076】
合成例2.緑色有機蛍光体
3,5-ジブロモベンズアルデヒド(3.0g)、4-t-ブチルフェニルボロン酸(5.3g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.4g)、炭酸カリウム(2.0g)をフラスコに入れ、窒素置換した。ここに脱気したトルエン(30mL)および脱気した水(10mL)を加え、4時間還流した。反応溶液を室温まで冷却し、有機層を、分液した後に飽和食塩水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、3,5-ビス(4-t-ブチルフェニル)ベンズアルデヒド(3.5g)の白色固体を得た。次に、3,5-ビス(4-t-ブチルフェニル)ベンズアルデヒド(1.5g)と2,4-ジメチルピロール(0.7g)をフラスコに入れ、脱水ジクロロメタン(200mL)およびトリフルオロ酢酸(1滴)を加えて、窒素雰囲気下、4時間撹拌した。2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(0.85g)の脱水ジクロロメタン溶液を加え、さらに1時間撹拌した。反応終了後、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体(7.0mL)およびジイソプロピルエチルアミン(7.0mL)を加えて、4時間撹拌した後、さらに水(100mL)を加えて撹拌し、有機層を分液した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、緑色粉末0.4gを得た(収率17%)。得られた緑色粉末の1H-NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られた緑色粉末が、下記構造式で表される[G-1]であることが確認された。
1H-NMR(CDCl3(d=ppm)):7.95(s,1H)、7.63-7.48(m,10H)、6.00(s,2H)、2.58(s,6H)、1.50(s,6H)、1.37(s,18H)。
【0077】
【0078】
以下の合成例3~7のシリカ粒子はいずれも、鎖状シリカ粒子かつ中空構造を有しないシリカ粒子である。
【0079】
合成例3.シリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-1)
500mlの三口フラスコに、メチルトリメトキシシラン(KBM-13:信越化学工業(株)製)を0.05g(0.4mmol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(KBM-7103:信越化学工業(株)製)を0.66g(3.0mmol)、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(KBM-967:信越化学工業(株)製)を0.10g(0.4mmol)、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-5103:信越化学工業(株)製)を7.97g(34mmol)、15.6重量%のシリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(IPA-ST-UP:日産化学工業(株)製)を224.37g混合し、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル163.93gを加えた。室温で撹拌しながら、水4.09gにリン酸0.088gを溶かしたリン酸水溶液を3分間かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100~110℃)、シリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-1)を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素を0.05l(リットル)/分流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計194.01g留出した。得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-1)の固形分濃度は24.3重量%、固形分中のポリシロキサンとシリカ粒子の含有量はそれぞれ15重量%、85重量%であった。得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン(PS-1)の1H-NMRおよび29Si-NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン(PS-1)が、前記一般式(1)~(3)で表される構造単位、(4)~(6)で表される構造単位を有することが確認された。
一般式(1)~(3)のR1に相当するピーク
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):0.5~0.6(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):1.7~1.8(m,2H)
一般式(1)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-63~-72(m,Si)
一般式(2)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-56~-63(m,Si)
一般式(3)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-51~-54(m,Si)
一般式(4)~(6)のR4およびR5を含む(メタ)アクリロイル基に相当するピーク
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):1.5~1.6(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):4.1~4.2(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):5.8~5.9(m,H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):6.1(m,H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):6.4(m,H)
一般式(4)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-63~-72(m,Si)
一般式(5)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-56~-63(m,Si)
一般式(6)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-51~-54(m,Si)。
【0080】
合成例4.シリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-2)
500mlの三口フラスコに、メチルトリメトキシシラン(KBM-13)を0.03g(0.25mmol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(KBM-7103)を0.43g(2.0mmol)、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(KBM-967)を0.06g(0.25mmol)、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-5103)を5.19g(22.5mmol)、15.6重量%のシリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(IPA-ST-UP)を232.02g混合し、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル160.36gを加えた。室温で撹拌しながら、水2.66gにリン酸0.057gを溶かしたリン酸水溶液を3分間かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100~110℃)、シリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-2)を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素を0.05l(リットル)/分流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計198.85g留出した。得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-2)の固形分濃度は24.4重量%、固形分中のポリシロキサンとシリカ粒子の含有量はそれぞれ10重量%、90重量%であった。得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン(PS-2)の1H-NMRおよび29Si-NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン(PS-2)が、前記一般式(1)~(3)で表される構造単位、(4)~(6)で表される構造単位を有することが確認された。
一般式(1)~(3)のR1に相当するピーク
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):0.5~0.6(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):1.7~1.8(m,2H)
一般式(1)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-63~-72(m,Si)
一般式(2)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-56~-63(m,Si)
一般式(3)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-51~-54(m,Si)
一般式(4)~(6)のR4およびR5を含む(メタ)アクリロイル基に相当するピーク
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):1.5~1.6(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):4.1~4.2(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):5.8~5.9(m,H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):6.1(m,H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):6.4(m,H)
一般式(4)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-63~-72(m,Si)
一般式(5)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-56~-63(m,Si)
一般式(6)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-51~-54(m,Si)。
【0081】
合成例5.シリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-3)
500mlの三口フラスコに、メチルトリメトキシシラン(KBM-13)を0.11g(0.8mmol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(KBM-7103)を1.42g(6.5mmol)、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(KBM-967)を0.21g(0.8mmol)、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-5103)を17.16g(73mmol)、15.6重量%のシリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(IPA-ST-UP)を199.05g混合し、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル175.74gを加えた。室温で撹拌しながら、水8.82gにリン酸0.189gを溶かしたリン酸水溶液を3分間かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100~110℃)、シリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-3)を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素を0.05l(リットル)/分流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計178g留出した。得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-3)の固形分濃度は24.2重量%、固形分中のポリシロキサンとシリカ粒子の含有量はそれぞれ30重量%、70重量%であった。得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン(PS-3)の1H-NMRおよび29Si-NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン(PS-3)が、前記一般式(1)~(3)で表される構造単位、(4)~(6)で表される構造単位を有することが確認された。
一般式(1)~(3)のR1に相当するピーク
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):0.5~0.6(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):1.7~1.8(m,2H)
一般式(1)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-63~-72(m,Si)
一般式(2)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-56~-63(m,Si)
一般式(3)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-51~-54(m,Si)
一般式(4)~(6)のR4およびR5を含む(メタ)アクリロイル基に相当するピーク
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):1.5~1.6(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):4.1~4.2(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):5.8~5.9(m,H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):6.1(m,H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):6.4(m,H)
一般式(4)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-63~-72(m,Si)
一般式(5)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-56~-63(m,Si)
一般式(6)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-51~-54(m,Si)。
【0082】
合成例6.シリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-4)
500mlの三口フラスコに、メチルトリメトキシシラン(KBM-13)を0.2g(1.5mmol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(KBM-7103)を2.64g(12.1mmol)、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(KBM-967)を0.41g(1.5mmol)、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-5103)を31.89g(136mmol)、15.6重量%のシリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(IPA-ST-UP)を158.5g混合し、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル197.8gを加えた。室温で撹拌しながら、水16.38gにリン酸0.351gを溶かしたリン酸水溶液を3分間かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100~110℃)、シリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-3)を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素を0.05l(リットル)/分流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計153g留出した。得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-4)の固形分濃度は24.4重量%、固形分中のポリシロキサンとシリカ粒子の含有量はそれぞれ50重量%、50重量%であった。得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン(PS-4)の1H-NMRおよび29Si-NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン(PS-4)が、前記一般式(1)~(3)で表される構造単位、(4)~(6)で表される構造単位を有することが確認された。
一般式(1)~(3)のR1に相当するピーク
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):0.5~0.6(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):1.7~1.8(m,2H)
一般式(1)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-63~-72(m,Si)
一般式(2)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-56~-63(m,Si)
一般式(3)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-51~-54(m,Si)
一般式(4)~(6)のR4およびR5を含む(メタ)アクリロイル基に相当するピーク
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):1.5~1.6(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):4.1~4.2(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):5.8~5.9(m,H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):6.1(m,H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):6.4(m,H)
一般式(4)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-63~-72(m,Si)
一般式(5)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-56~-63(m,Si)
一般式(6)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-51~-54(m,Si)。
【0083】
合成例7.シリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-5)
500mlの三口フラスコに、メチルトリメトキシシラン(KBM-13)を0.01g(0.07mmol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(KBM-7103)を0.12g(0.56mmol)、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(KBM-967)を0.02g(0.07mmol)、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-5103)を1.5g(6.3mmol)、15.6重量%のシリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(IPA-ST-UP)を242.16g混合し、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル155.78gを加えた。室温で撹拌しながら、水0.77gにリン酸0.0166gを溶かしたリン酸水溶液を3分間かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100~110℃)、シリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-5)を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素を0.05l(リットル)/分流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計205g留出した。得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-5)の固形分濃度は24.3重量%、固形分中のポリシロキサンとシリカ粒子の含有量はそれぞれ3重量%、97重量%であった。得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン(PS-5)の1H-NMRおよび29Si-NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られたシリカ粒子含有ポリシロキサン(PS-5)が、前記一般式(1)~(3)で表される構造単位、(4)~(6)で表される構造単位を有することが確認された。
一般式(1)~(3)のR1に相当するピーク
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):0.5~0.6(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):1.7~1.8(m,2H)
一般式(1)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-63~-72(m,Si)
一般式(2)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-56~-63(m,Si)
一般式(3)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-51~-54(m,Si)
一般式(4)~(6)のR4およびR5を含む(メタ)アクリロイル基に相当するピーク
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):1.5~1.6(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):4.1~4.2(m,2H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):5.8~5.9(m,H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):6.1(m,H)
1H-NMR(C3D6O(d=ppm)):6.4(m,H)
一般式(4)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-63~-72(m,Si)
一般式(5)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-56~-63(m,Si)
一般式(6)のSiに相当するピーク
29Si-NMR(C3D6O(d=ppm)):-51~-54(m,Si)。
【0084】
【0085】
調製例1.赤色量子ドット含有カラーフィルター形成用組成物1
赤色量子ドット材料(Lumidot 640 CdSe/ZnS、平均粒子径6.3nm:アルドリッチ社製)の0.5重量%トルエン溶液を20重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA:新中村化学工業(株)製)を45重量部、“Irgacure”(登録商標)907(BASF社製)を5重量部、アルカリ可溶性樹脂(“アデカアークルズ”WR-301:(株)ADEKA製)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で希釈した30重量%溶液を166重量部およびトルエンを97重量部混合して撹拌し、均一に溶解した。0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、赤色量子ドット含有画素形成用組成物1を調製した。
【0086】
調製例2 赤色有機蛍光体含有画素形成用組成物2
合成例1により得た赤色蛍光体R-1を0.1重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を45重量部、“Irgacure”907を5重量部、アルカリ可溶性樹脂(WR-301)の30重量%PGMEA溶液を166重量部およびトルエンを117重量部混合して撹拌し、均一に溶解した。0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、赤色有機蛍光体含有画素形成用組成物2を調製した。
【0087】
調製例3.緑色量子ドット含有画素形成用組成物3
緑色量子ドット材料(Lumidot 530 CdSe/ZnS、平均粒子径3.3nm:アルドリッチ社製)の0.5重量%トルエン溶液を80重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を45重量部、“Irgacure”907を5重量部、アルカリ可溶性樹脂(WR-301)の30重量%PGMEA溶液を166重量部およびトルエンを38重量部混合して撹拌し、均一に溶解した。0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、緑色量子ドット含有画素形成用組成物3を調製した。
【0088】
調製例4.緑色有機蛍光体含有画素形成用組成物4
合成例2により得た緑色蛍光体G-1を0.4重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を45重量部、“Irgacure”907を5重量部、アルカリ可溶性樹脂(WR-301)の30重量%PGMEA溶液を166重量部およびトルエンを117重量部混合して撹拌し、均一に溶解した。0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、緑色有機蛍光体含有画素形成用組成物4を調製した。
【0089】
調製例5.光拡散防止用樹脂組成物5
合成例3により得たシリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-1)を54g、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル(ETB)を12g、ジアセトンアルコール(DAA)を35g混合した。その後、0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、光拡散防止用樹脂組成物5を調製した。
【0090】
調製例6.光拡散防止用樹脂組成物6
合成例4により得たシリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-2)を54g、ETBを12g、DAAを35g混合した。その後、0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、光拡散防止用樹脂組成物6を調製した。
【0091】
調製例7.光拡散防止用樹脂組成物7
合成例5により得たシリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-3)を54g、ETBを12g、DAAを35g混合した。その後、0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、光拡散防止用樹脂組成物7を調製した。
【0092】
調製例8.ポリシロキサン樹脂組成物8
合成例6により得たシリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-4)を54g、ETBを12g、DAAを35g混合した。その後、0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、ポリシロキサン樹脂組成物8を調製した。
【0093】
調製例9.ポリシロキサン樹脂組成物9
合成例7により得たシリカ粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-5)を54g、ETBを12g、DAAを35g混合した。その後、0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、ポリシロキサン樹脂組成物9を調製した。
【0094】
調製例10.樹脂組成物10
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を45重量部、“Irgacure”907を5重量部、アルカリ可溶性樹脂(WR-301)の30重量%PGMEA溶液を166重量部、PGMEAを117重量部加えて混合した。0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、樹脂組成物10を調製した。
【0095】
実施例および比較例における評価方法を以下に示す。
【0096】
<屈折率>
各実施例および比較例における光拡散防止層にかえて、以下の方法により作製した硬化膜について、メトリコン社製屈折率測定装置プリズムカプラPC-2000を用いて、23℃において、波長550nmにおける屈折率を測定した。
【0097】
シリコンウェハ上に、各実施例において光拡散防止層に用いた光拡散防止用樹脂組成物をスピナーにより塗布し、熱風オーブン中100℃で5分間乾燥し、さらに熱風オーブン中150℃で30分間加熱して、光拡散防止層と同じ硬化膜を得た。
【0098】
シリコンウェハ上に、比較例3において用いたポリシロキサン樹脂組成物8をスピナーにより塗布し、熱風オーブン中100℃で10分間乾燥した。その後、パラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA-501F)を用いて超高圧水銀灯を光源とし、露光量200mJ/cm2(i線)で露光した。その後、自動現像装置(AD-2000、滝沢産業(株)製)を用いて、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。さらに熱風オーブン中150℃で30分間の加熱処理を行い、ポリシロキサン樹脂組成物の硬化膜を得た。
【0099】
<透過率>
各実施例および比較例に用いた基板の透過率は、紫外-可視分光光度計「UV-260」(島津製作所(株)製)を用いて、波長400~800nmにおいて測定した。
【0100】
光拡散防止層については、各実施例および比較例における光拡散防止層にかえて、以下の方法により作製した硬化膜について測定した。
【0101】
5cm角のガラス基板(AGCテクノグラス(株)製、厚み0.5mm)上に、スピンコーターを用いて、各実施例において光拡散防止層に用いた光拡散防止用樹脂組成物をスピンコートした後、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークし、膜厚2.1μmのプリベーク膜を作製した。続いて、オーブン(エスペック(株)製「IHPS-222」)を用いて空気中150℃で1時間キュアして膜厚2.0μmの硬化膜を作製した。得られた基板について、紫外-可視分光光度計「UV-260(商品名)」(島津製作所(株)製)を用いて、400~800nmの透過率を測定した。
【0102】
バックグラウンド測定として、ガラス基板のみの透過率を測定し、光拡散防止層を形成したガラス基板の透過率からガラス基板の透過率を差し引くことにより、光拡散防止層の透過率を算出した。
【0103】
<画素膜厚・画素サイズ>
各実施例および比較例における画素膜厚は、画素パターンを形成したカラーフィルター基板について、サーフコム触針式膜厚測定装置を用いて段差の高さを測定することにより算出した。また、画素サイズは、画素パターンを形成したカラーフィルター基板について、光学顕微鏡(オリンパス製LG-PS2)を用いて画素パターンを倍率100倍で拡大観察して測定した。
【0104】
<光拡散防止層膜厚>
各実施例における光拡散防止層膜厚は、光拡散防止層を形成したカラーフィルター基板について、サーフコム触針式膜厚測定装置を用いて画素および光拡散防止層の合計膜厚を測定し、前記方法により測定した画素膜厚を差し引くことにより算出した。
【0105】
<輝度>
発光波長領域が410~480nm、発光波長ピークが460nmのLEDパッケージ(シーシーエス製、HLV2-22)上に、各実施例および比較例により得られた基板を静置した。LEDパッケージに30mAの電流を流してLEDを点灯させ、分光放射輝度計(CS-1000、コニカミノルタ社製)を用いて、最大発光波長における輝度を測定した。なお、基板とLEDパッケージとの距離を3cmとした。
【0106】
実施例1
5cm角のガラス基板(AGCテクノグラス(株)製、厚み0.5mm、透過率:95%(400nm)、95%(550nm)、95%(633nm)、95%(800nm))上に、調製例1により得られた赤色量子ドット含有画素形成用組成物1をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で10分間乾燥した。次に、パラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA-501F)を用いて、超高圧水銀灯を光源とし、フォトマスクを介して露光量200mJ/cm2(i線)で露光した。水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像した後、純水で洗浄し、パターニング基板を得た。得られたパターニング基板を熱風オーブン中150℃で30分間加熱し、ガラス基板上に、短辺30μm、長辺150μmの長方形の赤色画素パターンを形成した。
【0107】
次に、赤色量子ドット含有画素形成用組成物1にかえて、調製例3により得られた緑色量子ドット含有画素形成用組成物3を用いたこと以外は、赤色画素の形成と同様の方法により、ガラス基板上に、短辺30μm、長辺150μmの長方形の緑色画素パターンを形成した。
【0108】
赤色画素パターンおよび緑色画素パターンを形成した基板上に、調製例5により得られた光拡散防止用樹脂組成物5をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で5分間乾燥し、さらに熱風オーブン中150℃で30分間加熱して光拡散防止層を形成し、
図6に示す構成の基板を得た。前述の方法により輝度を測定したところ、発光ピーク波長は530nm、640nmであり、輝度は3320cd/m
2であった。また、前述の方法により光拡散防止層の透過率を測定したところ、400nmにおける透過率は99%、550nmにおける透過率は99%、633nmにおける透過率は99%、800nmにおける透過率は99%であった。
【0109】
実施例2
5cm角のガラス基板(AGCテクノグラス(株)製、厚み0.5mm、透過率:95%(400nm)、95%(550nm)、95%(633nm)、95%(800nm))上に、調製例2により得られた赤色有機蛍光体含有画素形成用組成物2をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で10分間乾燥した。次に、パラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA-501F)を用いて、超高圧水銀灯を光源とし、フォトマスクを介して露光量200mJ/cm2(i線)で露光した。水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像した後、純水で洗浄し、パターニング基板を得た。得られたパターニング基板を熱風オーブン中150℃で30分間加熱処理し、ガラス基板上に、短辺30μm、長辺150μmの長方形の赤色画素パターンを形成した。
【0110】
次に、赤色有機蛍光体含有画素形成用組成物2にかえて、調製例4により得られた緑色有機蛍光体含有画素形成用組成物4を用いたこと以外は、赤色画素の形成と同様の方法により、ガラス基板上に、短辺30μm、長辺150μmの長方形の緑色画素パターンを形成した。
【0111】
赤色画素パターンおよび緑色画素パターンを形成した基板上に、調製例5により得られたで光拡散防止用樹脂組成物5を用いて、実施例1と同様に光拡散防止層を形成し、
図7に示す構成の基板を得た。前述の方法により輝度を測定したところ、発光ピーク波長は526nm、640nmであり、輝度は2770cd/m
2であった。
【0112】
実施例3~4
赤色画素および緑色画素の膜厚を表1に記載のとおり変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、基板を作製した。評価結果を表2に示す。
【0113】
実施例5
光拡散防止用樹脂組成物5にかえて、調製例6により得られた光拡散防止用樹脂組成物6を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、基板を作製した。光拡散防止層の透過率を測定したところ、400nmにおける透過率は99%、550nmにおける透過率は99%、633nmにおける透過率は99%、800nmにおける透過率は99%であった。評価結果を表2に示す。
【0114】
実施例6
光拡散防止用樹脂組成物5にかえて、調製例7により得られた光拡散防止用樹脂組成物7を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、基板を作製した。光拡散防止層の透過率を測定したところ、400nmにおける透過率は98%、550nmにおける透過率は99%、633nmにおける透過率は99%、800nmにおける透過率は99%であった。評価結果を表2に示す。
【0115】
実施例7
5cm角のガラス基板(AGCテクノグラス(株)製、厚み0.5mm、透過率:95%(400nm)、95%(550nm)、95%(633nm)、95%(800nm))上に、プラズマCVD装置(PD-220NL、サムコ社製)を用いて、厚み4μmの窒化ケイ素膜を形成した。窒化ケイ素膜の屈折率は1.9であった。窒化ケイ素膜上に、ポジ型フォトレジストAZ-601(AZエレクトロニクスマテリアルズ社製)を塗布した後、露光および現像することにより、
図8に示すような、線幅5μm、膜厚2μmのレジストパターン11を形成した。ドライエッチング装置(RIE-200iP、サムコ社製)を用いて窒化ケイ素膜をエッチングし、
図9に示す窒化ケイ素の隔壁7を形成した。
【0116】
隔壁を形成した基板上に、実施例1と同様の方法により、赤色画素、緑色画素および光拡散防止層を形成し、
図10に示す構成の基板を得た。評価結果を表2に示す。
【0117】
実施例8
実施例1と同様の方法により、ガラス基板上に、赤色画素パターンおよび緑色画素パターンを形成した後、プラズマCVD装置(PD-220NL、サムコ社製)を用いて、膜厚500nmの窒化ケイ素膜を形成し、保護層Iを形成した。保護層I上に、実施例1と同様の方法により光拡散防止層を形成し、
図11に示す構成の基板を得た。評価結果を表2に示す。
【0118】
実施例9
保護層Iの厚みを2000nmに変更したこと以外は実施例8と同様の方法により、基板を得た。評価結果を表2に示す。
【0119】
実施例10
実施例1と同様の方法により、赤色画素パターンおよび緑色画素パターンが形成されたガラス基板上に光拡散防止層を形成した後、プラズマCVD装置(PD-220NL、サムコ社製)を用いて、膜厚500nmの窒化ケイ素からなる保護層IIを形成し、
図12に示す構成の基板を得た。評価結果を表2に示す。
【0120】
実施例11
保護層IIの厚みを2000nmに変更したこと以外は実施例10と同様の方法により、基板を得た。評価結果を表2に示す。
【0121】
実施例12
実施例1と同様の方法により、ガラス基板上に、赤色画素パターンおよび緑色画素パターンを形成した後、プラズマCVD装置(PD-220NL、サムコ社製)を用いて、膜厚500nmの窒化ケイ素膜を形成し、保護層Iを形成した。保護層I上に、実施例1と同様の方法により光拡散防止層を形成し、
図10に示す構成の基板を得た。さらに、プラズマCVD装置(PD-220NL、サムコ社製)を用いて、膜厚500nmの窒化ケイ素からなる保護層IIを形成し、
図4に示す構成の基板を得た。
【0122】
実施例13
5cm角のガラス基板(AGCテクノグラス(株)製、厚み0.5mm、透過率:95%(400nm)、95%(550nm)、95%(633nm)、95%(800nm))上に、調製例5により得られた光拡散防止用樹脂組成物5をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で5分間乾燥し、さらに熱風オーブン中150℃で30分間加熱して屈折率調整層とした。さらに、屈折率調整層の上に、調製例1により得られた赤色量子ドット含有画素形成用組成物1をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で10分間乾燥した。次に、パラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA-501F)を用いて、超高圧水銀灯を光源とし、フォトマスクを介して露光量200mJ/cm2(i線)で露光した。水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像した後、純水で洗浄し、パターニング基板を得た。得られたパターニング基板を熱風オーブン中150℃で30分間加熱し、ガラス基板上に、短辺30μm、長辺150μmの長方形の赤色画素パターンを形成した。
【0123】
次に、赤色量子ドット含有画素形成用組成物1にかえて、調製例3により得られた緑色量子ドット含有画素形成用組成物3を用いたこと以外は、赤色画素の形成と同様の方法により、ガラス基板上に、短辺30μm、長辺150μmの長方形の緑色画素パターンを形成した。
【0124】
赤色画素パターンおよび緑色画素パターンを形成した基板上に、調製例5により得られた光拡散防止用樹脂組成物5をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で5分間乾燥し、さらに熱風オーブン中150℃で30分間加熱して光拡散防止層を形成し、
図5に示す構成の基板を得た。前述の方法により輝度を測定したところ、発光ピーク波長は530nm、640nmであり、輝度は3548cd/m
2であった。また、前述の方法により光拡散防止層の透過率を測定したところ、400nmにおける透過率は99%、550nmにおける透過率は99%、633nmにおける透過率は99%、800nmにおける透過率は99%であった。
【0125】
実施例14
5cm角のガラス基板(AGCテクノグラス(株)製、厚み0.5mm、透過率:95%(400nm)、95%(550nm)、95%(633nm)、95%(800nm))上に、調製例7により得られた光拡散防止用樹脂組成物7をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で5分間乾燥し、さらに熱風オーブン中150℃で30分間加熱して屈折率調整層とした。さらに、屈折率調整層の上に、調製例1により得られた赤色量子ドット含有画素形成用組成物1をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で10分間乾燥した。次に、パラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA-501F)を用いて、超高圧水銀灯を光源とし、フォトマスクを介して露光量200mJ/cm2(i線)で露光した。水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像した後、純水で洗浄し、パターニング基板を得た。得られたパターニング基板を熱風オーブン中150℃で30分間加熱し、ガラス基板上に、短辺30μm、長辺150μmの長方形の赤色画素パターンを形成した。
【0126】
次に、赤色量子ドット含有画素形成用組成物1にかえて、調製例3により得られた緑色量子ドット含有画素形成用組成物3を用いたこと以外は、赤色画素の形成と同様の方法により、ガラス基板上に、短辺30μm、長辺150μmの長方形の緑色画素パターンを形成した。
【0127】
赤色画素パターンおよび緑色画素パターンを形成した基板上に、調製例5により得られた光拡散防止用樹脂組成物5をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で5分間乾燥し、さらに熱風オーブン中150℃で30分間加熱して光拡散防止層を形成し、
図5に示す構成の基板を得た。前述の方法により輝度を測定したところ、発光ピーク波長は530nm、640nmであり、輝度は3326cd/m
2であった。また、前述の方法により光拡散防止層の透過率を測定したところ、400nmにおける透過率は99%、550nmにおける透過率は99%、633nmにおける透過率は99%、800nmにおける透過率は99%であった。
【0128】
比較例1
光拡散防止層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様の方法により、
図13に示す構成の基板を得た。輝度を測定した結果、発光波長ピークは530nm、640nmであり、輝度は2560cd/m
2であった。
【0129】
比較例2
光拡散防止層を形成しなかったこと以外は実施例2と同様の方法により、
図14に示す構成の基板を得た。輝度を測定した結果、発光波長ピークは526nm、640nmであり、輝度は2131cd/m
2であった。結果を表2に示す。
【0130】
比較例3
光拡散防止用樹脂組成物5にかえて、調製例8により得られたポリシロキサン樹脂組成物8を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、基板を作製した。光拡散防止層の透過率を測定したところ、400nmにおける透過率は98%、550nmにおける透過率は99%、633nmにおける透過率は99%、800nmにおける透過率は99%であった。また、屈折率が1.42であることから、本発明における光拡散防止層の屈折率の範囲外である。評価結果を表2に示す。
【0131】
比較例4
光拡散防止用樹脂組成物5にかえて、調製例9により得られたポリシロキサン樹脂組成物9を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、基板を作製したところ、光拡散防止層全面にクラックが見られ、評価不可能であった。本発明における光拡散防止層中のシリカ粒子の範囲から外れており、膜のストレスが大きくなったと考えられる。
【0132】
比較例5
実施例1と同様の方法により、ガラス基板上に、赤色画素パターンおよび緑色画素パターンを形成した後、調製例10により得られた樹脂組成物10をスピナーにより塗布し、熱風オーブン中100℃で5分間乾燥した。次に、パラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA-501F)を用いて、超高圧水銀灯を光源とし、露光量200mJ/cm2(i線)で露光した。自動現像装置(AD-2000、滝沢産業(株)製)を用いて、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。さらに熱風オーブン中150℃で30分間加熱し、ポリシロキサン樹脂組成物10の硬化膜を形成した基板を作製した。前述の方法により輝度を測定したところ、発光波長ピークは530nm、640nmであり、輝度は2048cd/m2であった。光拡散防止層の透過率を測定したところ、400nmにおける透過率は97%、550nmにおける透過率は99%、633nmにおける透過率は99%、800nmにおける透過率は99%であった。また、屈折率が1.54であること、シロキサンとシリカを含有しない点から、本発明における光拡散防止層には該当しない。
【0133】
比較例6
5cm角のガラス基板(AGCテクノグラス(株)製、厚み0.5mm、透過率:95%(400nm)、95%(550nm)、95%(633nm)、95%(800nm))上に、調製例5により得られた光拡散防止用樹脂組成物5をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で5分間乾燥し、さらに熱風オーブン中150℃で30分間加熱して屈折率調整層とした。さらに、屈折率調整層の上に、調製例1により得られた赤色量子ドット含有画素形成用組成物1をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中100℃で10分間乾燥した。次に、パラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA-501F)を用いて、超高圧水銀灯を光源とし、フォトマスクを介して露光量200mJ/cm2(i線)で露光した。水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像した後、純水で洗浄し、パターニング基板を得た。得られたパターニング基板を熱風オーブン中150℃で30分間加熱し、ガラス基板上に、短辺30μm、長辺150μmの長方形の赤色画素パターンを形成した。
【0134】
次に、赤色量子ドット含有画素形成用組成物1にかえて、調製例3により得られた緑色量子ドット含有画素形成用組成物3を用いたこと以外は、赤色画素の形成と同様の方法により、ガラス基板上に、短辺30μm、長辺150μmの長方形の緑色画素パターンを形成した。得られた基板の輝度を測定したところ、発光ピーク波長は530nm、640nmであり、輝度は2710cd/m2であった。
【0135】
【符号の説明】
【0136】
1:透明基板
2:光拡散防止層
3:赤色量子ドットを含有する色変換発光層
4:緑色量子ドットを含有する色変換発光層
5:赤色有機蛍光体を含有する色変換発光層
6:緑色有機蛍光体を含有する色変換発光層
7:隔壁
8:保護層I
9:保護層II
10:液晶/バックライトユニット10
11:レジストパターン
12:屈折率調整層