(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】昇降装置
(51)【国際特許分類】
B66F 3/35 20060101AFI20230704BHJP
B66F 3/24 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B66F3/35
B66F3/24 D
(21)【出願番号】P 2019075096
(22)【出願日】2019-04-10
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機・ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】若林 尚之
(72)【発明者】
【氏名】田中 史記
(72)【発明者】
【氏名】杉本 潤
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05542806(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0180130(US,A1)
【文献】特開2017-088397(JP,A)
【文献】実開昭56-000457(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 1/00-5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被昇降物が配置される側に設けられた第1板状部材と、
前記第1板状部材の下方に配置され、前記第1板状部材が回動可能に接続された第1の辺を有する第2板状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に配置され、気体の給気および排気によって膨張および収縮可能な第1膨張収縮袋と、
前記第2板状部材の下方に配置され、前記第2板状部材の前記第1の辺と異なる第2の辺において前記第2板状部材が回動可能に接続された第3板状部材と、
前記第2板状部材と前記第3板状部材との間に配置され、気体の給気および排気によって膨張および収縮可能な第2膨張収縮袋と、
を備え、
前記第1板状部材、前記第1膨張収縮袋、前記第2板状部材、前記第2膨張収縮袋および前記第3板状部材は、平面視において、重なるように配置されている、昇降装置。
【請求項2】
前記第1板状部材の傾斜角度に基づいて、前記第1板状部材を上下動または傾斜させるように前記第1膨張収縮袋および前記第2膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行う制御部をさらに備える、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1板状部材および前記第2板状部材の傾斜角度に基づいて、前記第1板状部材の高さ位置を算出するとともに、前記第1板状部材の傾斜角度および算出された前記第1板状部材の高さ位置に基づいて、前記第1板状部材を上下動または傾斜させるように前記第1膨張収縮袋および前記第2膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行うように構成されている、請求項2に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記第1板状部材の傾斜角度を検出する第1検出部と、
前記第2板状部材の傾斜角度を検出する第2検出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1検出部および前記第2検出部により検出された前記第1板状部材の傾斜角度および前記第2板状部材の傾斜角度に基づいて、前記第1板状部材の高さ位置を算出するとともに、前記第1板状部材の傾斜角度および算出された前記第1板状部材の高さ位置に基づいて、前記第1板状部材を上下動または傾斜させるように前記第1膨張収縮袋および前記第2膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行うように構成されている、請求項3に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記第1膨張収縮袋および前記第2膨張収縮袋への気体の給気および排気を行うポンプと、
前記第1膨張収縮袋および前記第2膨張収縮袋への気体の給気および排気を行うための流路を切り替える流路切替部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1板状部材の傾斜角度に基づいて、前記第1板状部材を上下動または傾斜させるように前記第1膨張収縮袋および前記第2膨張収縮袋への気体の給気および排気と流路の切り替えとを行うように前記ポンプおよび前記流路切替部を制御するように構成されている、請求項2~4のいずれか1項に記載の昇降装置。
【請求項6】
前記第1膨張収縮袋内の圧力を測定する第1圧力センサと、
前記第2膨張収縮袋内の圧力を測定する第2圧力センサと、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1圧力センサにより測定された前記第1膨張収縮袋内の圧力が第1の所定の上限値を上回った場合に、前記第1膨張収縮袋への気体の給気を停止させるとともに、前記第2圧力センサにより測定された前記第2膨張収縮袋内の圧力が第2の所定の上限値を上回った場合に、前記第2膨張収縮袋への気体の給気を停止させる制御を行うように構成されている、請求項2~5のいずれか1項に記載の昇降装置。
【請求項7】
前記第2板状部材は、平面視において、互いに平行な長辺と短辺とを有する略台形形状を有し、
前記第2板状部材の略台形形状の互いに平行な前記長辺および前記短辺に対して交差する
2つの辺のうちの一方側の辺である前記第1の辺に沿った回動軸線回りに前記第1板状部材
が回動し、前記2つの辺のうちの他方側の辺である前記第2の辺に沿った回動軸線回りに前記第2板状部材が回動する、請求項1~6のいずれか1項に記載の昇降装置。
【請求項8】
前記第3板状部材の下方に配置され、前記第3板状部材の前記第2板状部材と接続される第3の辺と異なる第4の辺において前記第3板状部材が回動可能に接続された第5の辺を有する第4板状部材と、
前記第3板状部材と前記第4板状部材との間に配置され、気体の給気および排気によって膨張および収縮可能な第3膨張収縮袋と、
前記第4板状部材の下方に配置され、前記第4板状部材の前記第5の辺と異なる第6の辺において前記第4板状部材が回動可能に接続された第5板状部材と、
前記第4板状部材と前記第5板状部材との間に配置され、気体の給気および排気によって膨張および収縮可能な第4膨張収縮袋と、
をさらに備え、
前記第1板状部材、前記第1膨張収縮袋、前記第2板状部材、前記第2膨張収縮袋、前記第3板状部材、前記第3膨張収縮袋、前記第4板状部材、前記第4膨張収縮袋および前記第5板状部材は、平面視において、重なるように配置され、
前記第1板状部材、前記第2板状部材、前記第3板状部材、前記第4板状部材および前記第5板状部材が回動する際の回動軸線の少なくとも2つが、平面視において、交差するように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の昇降装置。
【請求項9】
前記第1板状部材の上方に配置された前記被昇降物を撮像する撮像部を、さらに備え、
前記制御部は、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記第1膨張収縮袋および前記第2膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行うように構成されている、請求項2~6のいずれか1項に記載の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人や物の昇降などに用いられる昇降装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、床の下方に設けられた柱と、柱を昇降させる昇降機構と、床の下方に設けられたロッドの伸縮により床を傾斜させる傾斜駆動装置と、を備える昇降装置が開示されている。上記特許文献1の昇降装置では、柱を昇降させることにより床の上下動を行う昇降機構の上方に、ロッドの伸縮により床を傾斜させる傾斜駆動装置を設けることにより、床の上下動および傾斜を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の昇降装置では、床の下方に設けられた、柱の昇降と、ロッドの伸縮と、により床の上下動および傾斜を行うので、床の下方には、縮めた状態のロッドや柱を配置するための配置スペースが必要である。そのため、昇降装置の可動部の上下方向の配置スペースが大きくなるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、可動部の上下方向の配置スペースが大きくなるのを抑制することが可能な昇降装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による昇降装置では、被昇降物が配置される側に設けられた第1板状部材と、第1板状部材の下方に配置され、第1板状部材が回動可能に接続された第1の辺を有する第2板状部材と、第1板状部材と第2板状部材との間に配置され、気体の給気および排気によって膨張および収縮可能な第1膨張収縮袋と、第2板状部材の下方に配置され、第2板状部材の第1の辺と異なる第2の辺において第2板状部材が回動可能に接続された第3板状部材と、第2板状部材と第3板状部材との間に配置され、気体の給気および排気によって膨張および収縮可能な第2膨張収縮袋と、を備え、第1板状部材、第1膨張収縮袋、第2板状部材、第2膨張収縮袋および第3板状部材は、平面視において、重なるように配置されている。
【0008】
この発明の一の局面における昇降装置は、第1板状部材、第1膨張収縮袋、第2板状部材、第2膨張収縮袋および第3板状部材は、平面視において、重なるように配置されており、気体の給気および排気によって、板状部材の間に配置される膨張収縮袋を膨張および収縮させて、昇降を行うので、膨張収縮袋を収縮させることにより、膨張収縮袋を扁平な状態にして、板状部材の間に納めることができる。これにより、縮めた状態でもある程度の大きさを有するロッドや柱などの可動させるため部材を用いる場合に比べて、可動部の配置スペースを小さくすることができるので、可動部の上下方向の配置スペースが大きくなるのを抑制することが可能な昇降装置を提供することができる。また、第1板状部材は、第2板状部材の第1の辺に沿った回動軸線回りに傾くように回動可能であり、第2板状部材は、第3板状部材と接続する第2の辺に沿った回動軸線回りに傾くように回動可能であることによって、第2板状部材の第1の辺および第2の辺を平面視において、対向する辺にした場合には、第1板状部材および第2板状部材は、互いに反対方向に傾くように回動させられる。これにより、第1板状部材および第2板状部材の回動する角度を等しくすることにより、第1板状部材を水平に上下動させることができるとともに、第1板状部材および第2板状部材の回動する角度を異ならせることにより、第1板状部材を傾斜させることができるので、第1板状部材の上下動および傾斜を共通の機構で行うことができる。その結果、上下動を行うための柱を設ける場合に比べて、可動部の大型化を抑制することができるとともに、可動部の上下方向の配置スペースが大きくなるのを抑制することができる。なお、板状部材は、厚さに比べて、平面上に十分に大きい長さを有する外形形状の部材である。たとえば、板状部材は、中実の板部材のみならず、中空の部材でもよい。または、穴が形成された部材でもよいし、格子状の部材でもよい。
【0009】
上記一の局面による昇降装置において、好ましくは、第1板状部材の傾斜角度に基づいて、第1板状部材を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行う制御部をさらに備える。このように構成すれば、第1板状部材の傾斜角度に基づいて、気体の給気および排気の制御を行うことによって、被昇降物に対する第1板状部材の傾斜角度を所望の角度に変化させることができる。その結果、昇降の際に第1板状部材の上方に配置される被昇降物の傾斜角度を所望の角度に変化させることができる。
【0010】
この場合、好ましくは、制御部は、第1板状部材および第2板状部材の傾斜角度に基づいて、第1板状部材の高さ位置を算出するとともに、第1板状部材の傾斜角度および算出された第1板状部材の高さ位置に基づいて、第1板状部材を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行うように構成されている。このように構成すれば、算出された第1板状部材の高さ位置に基づいて、第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行うことによって、第1板状部材の高さ位置を所望の高さ位置に変化させることができる。
【0011】
上記一の局面による昇降装置において、好ましくは、第1板状部材の傾斜角度を検出する第1検出部と、第2板状部材の傾斜角度を検出する第2検出部と、をさらに備え、制御部は、第1検出部および第2検出部により検出された第1板状部材の傾斜角度および第2板状部材の傾斜角度に基づいて、第1板状部材の高さ位置を算出するとともに、第1板状部材の傾斜角度および算出された第1板状部材の高さ位置に基づいて、第1板状部材を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1検出部および第2検出部によって、第1板状部材の傾斜角度および第2板状部材の傾斜角度の検出に加えて、高さ位置を算出することができる。その結果、レーザ測距装置などの測定装置を別途設けて、高さ位置の測定を行う場合に比べて、高さ位置の測定を容易に行うことができる。
【0012】
上記一の局面による昇降装置において、好ましくは、第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気および排気を行うポンプと、第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気および排気を行うための流路を切り替える流路切替部と、をさらに備え、制御部は、第1板状部材の傾斜角度に基づいて、第1板状部材を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気および排気と流路の切り替えとを行うようにポンプおよび流路切替部を制御するように構成されている。このように構成すれば、流路切替部により気体の流路を切り替えることによって、膨張収縮袋のそれぞれに、膨張収縮袋を膨張および収縮させるためのポンプを設ける必要がない。すなわち、単一のポンプにより複数の膨張収縮袋(第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋)を膨張および収縮することができる。その結果、膨張収縮袋のそれぞれに、膨張収縮袋を膨張および収縮させるためのポンプを設ける場合に比べて、部品点数の増加による装置の複雑化および大型化を抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による昇降装置において、好ましくは、第1膨張収縮袋内の圧力を測定する第1圧力センサと、第2膨張収縮袋内の圧力を測定する第2圧力センサと、をさらに備え、制御部は、第1圧力センサにより測定された第1膨張収縮袋内の圧力が第1の所定の上限値を上回った場合に、第1膨張収縮袋への気体の給気を停止させるとともに、第2圧力センサにより測定された第2膨張収縮袋内の圧力が第2の所定の上限値を上回った場合に、第2膨張収縮袋への気体の給気を停止させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋の圧力を測定して、第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋に気体の給気の制御を行うことによって、第1膨張収縮袋内および第2膨張収縮袋内のそれぞれの圧力を制御することができる。その結果、第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気の制御を容易に行うことができる。
【0014】
上記一の局面による昇降装置において、好ましくは、第2板状部材は、平面視において、互いに平行な長辺と短辺とを有する略台形形状を有し、第2板状部材の略台形形状の互いに平行な長辺および短辺に対して交差する2つの辺のうちの一方側の辺である前記第1の辺に沿った回動軸線回りに第1板状部材回動し、前記2つの辺のうちの他方側の辺である前記第2の辺に沿った回動軸線回りに前記第2板状部材が回動する。このように構成すれば、平面視において、互いに平行な長辺および短辺に対して、斜めに交わる方向に傾斜させるために、正方形形状および長方形形状の板状部材を組み合わせて傾斜させる場合と異なり、1つの回動軸線周りの回動のみにより、平面視において、互いに平行な長辺および短辺に対して、斜めに交わる方向に傾斜させることができる。その結果、簡易な構成により、斜めに交わる方向に傾斜させることができる。
【0015】
上記一の局面による昇降装置において、好ましくは、第3板状部材の下方に配置され、第3板状部材の第2板状部材と接続される第3の辺と異なる第4の辺において第3板状部材が回動可能に接続された第5の辺を有する第4板状部材と、第3板状部材と第4板状部材との間に配置され、気体の給気および排気によって膨張および収縮可能な第3膨張収縮袋と、第4板状部材の下方に配置され、第4板状部材の第5の辺と異なる第6の辺において第4板状部材が回動可能に接続された第5板状部材と、第4板状部材と第5板状部材との間に配置され、気体の給気および排気によって膨張および収縮可能な第4膨張収縮袋と、をさらに備え、第1板状部材、第1膨張収縮袋、第2板状部材、第2膨張収縮袋、第3板状部材、第3膨張収縮袋、第4板状部材、第4膨張収縮袋および第5板状部材は、平面視において、重なるように配置され、第1板状部材、第2板状部材、第3板状部材、第4板状部材および第5板状部材が回動する際の回動軸線の少なくとも2つが、平面視において、交差するように構成されている。このように構成すれば、板状部材の枚数に応じて、板状部材が傾くように回動する方向を増やすことができる。その結果、たとえば、前後方向と左右方向とに板状部材が傾くように回動する方向を増やすことができるので、より複雑な上下動および傾斜の動作を行うことができる。
【0016】
この発明の一の局面による昇降装置において、好ましくは、第1板状部材の上方に配置された被昇降物を撮像する撮像部を、さらに備え、制御部は、撮像部により撮像された画像に基づいて、第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行うように構成されている。このように構成すれば、撮像した画像により、被昇降物の傾斜角度を算出して、第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気および排気を制御することができるので、昇降の際に、被昇降物自体の傾斜角度を確認しながら、昇降装置の上下動または傾斜の制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、可動部の上下方向の配置スペースが大きくなるのを抑制することが可能な昇降装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態による昇降装置の全体図である。
【
図2】第1実施形態による昇降装置のブロック図である。
【
図3】第1実施形態による昇降装置の全ての膨張収縮袋を収縮させた状態の可動部の模式図である。
【
図4】第1実施形態による昇降装置の全ての膨張収縮袋を膨張させた状態の可動部の模式図である。
【
図5】第1実施形態による昇降装置の板状部材の接続を説明するための模式図である。
【
図6】第1実施形態による昇降装置の第3板状部材の第4の辺側から見た可動部の第1側面図である。
【
図7】第1実施形態による昇降装置の第3板状部材の第4の辺側から見た可動部の第2側面図である。
【
図8】第1実施形態による昇降装置の第2の板状部材の第1の辺側から見た可動部の側面図である。
【
図9】第1実施形態の昇降装置による第1板状部材の高さ位置算出方法を説明するための模式図である。
【
図10】第1実施形態による昇降装置の流路切替部のブロック図である。
【
図11】第1実施形態の昇降装置の制御部による異常検出処理制御のフローチャートである。
【
図12】第2実施形態による昇降装置の板状部材の接続を説明するための模式図である。
【
図13】第2実施形態による昇降装置の第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋を膨張させた状態の可動部の模式図である。
【
図14】第1および第2実施形態による第1変形例の板状部材および板状部材の接続の一例を示した図である。
【
図15】第1および第2実施形態による第2変形例の昇降装置の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1~
図11を参照して、本発明の第1実施形態による構成について説明する。
【0021】
第1実施形態における昇降装置100は、
図1に示すように、可動部1と、駆動装置2と、を備えている。昇降装置100は、ジャッキ300により持ち上げられた電気自動車200の車体の下方にバッテリ201を上面に載せた可動部1を設置して、駆動装置2により可動部1を上下動および傾斜させることにより、電気自動車200に搭載されたバッテリ201を交換可能に構成されている。
【0022】
図2に示すように、可動部1は、第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34を含む。また、可動部1には、第1角度センサ41、第2角度センサ42、第3角度センサ43および第4角度センサ44が設けられている。なお、第1角度センサ41は、特許請求の範囲の「第1検出部」の一例であり、第2角度センサ42は、特許請求の範囲の「第2検出部」の一例である。また、可動部1には、第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54および第5板状部材55が設けられる。
【0023】
また、駆動装置2には、ポンプ6、流路切替部7、通信部8、操作部9、撮像部10、制御部20が設けられている。また、駆動装置2には、流路切替部7から各膨張収縮袋(第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34)への気体(空気)の流路上に、圧力センサ(第1圧力センサ11、第2圧力センサ12、第3圧力センサ13および第4圧力センサ14)が設けられている。
【0024】
膨張収縮袋(第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34)は、気体(空気)の給気および排気により、膨張および収縮されるように構成されている。また、膨張収縮袋に対して、駆動装置2に設けられたポンプ6より、空気の給気および排気を行うための流路が設けられている。なお、第1実施形態では、給気および排気される「気体」の一例として、(駆動装置2周辺の)空気を用いた例を示すが、給気および排気される気体は、酸素、二酸化炭素、窒素および水蒸気でもよいし、ヘリウム、ネオンおよびアルゴンなどの希ガスでもよい。また、給気および排気される気体は、上記の気体の混合気体でもよい。
【0025】
角度センサ(第1角度センサ41、第2角度センサ42、第3角度センサ43および第4角度センサ44)は、傾斜角を検出するセンサである。また、角度センサは、駆動装置2の制御部20に接続されており、検出した傾斜角を制御部20に送信するように構成されている。なお、角度センサは、加速度を基準にセンサの傾きを検出する加速度センサを含む。
【0026】
板状部材(第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54および第5板状部材55)は、各膨張収縮袋を上下方向から挟み込むように構成されている。板状部材は、ハニカム構造体と、ハニカム構造体を挟み込む一対のアルミニウム材とを含む板状の部材を含む。なお、板状部材は、厚さに比べて、平面上に十分に大きい長さを有する外形形状の部材であればよい。たとえば、板状部材は、中実の板部材のみならず、中空の部材でもよい。または、穴が形成された部材でもよいし、格子状の部材でもよい。
【0027】
ポンプ6は、可動部1に設けられた各膨張収縮袋に接続されており、各膨張収縮袋への気体(空気)の給気および排気を行うように構成されている。
【0028】
流路切替部7は、各膨張収縮袋への気体(空気)の給気および排気を行うための流路の切り替えを行うように構成されている。流路切替部7は、電磁弁を含み、制御部20に接続されている。
【0029】
通信部8は、無線および有線の少なくとも一方の通信より、外部の上位装置から送信された昇降装置100の制御を行うための動作指示を受信するように構成されている。通信部8は、制御部20に接続されており、受信された動作指示は、制御部20に送信される。
【0030】
操作部9は、操作者が昇降装置100の操作を行うために設けられ、操作者の入力操作を受け付けるように構成されている。受け付けられた操作は、制御部20に送信される。
【0031】
撮像部10は、第1板状部材51の上方に配置された被昇降物を撮像する。具体的には、撮像部10は、昇降装置100により、昇降される被昇降物としてのバッテリ201を撮像するように構成されている。撮像部10は、イメージセンサを含み、制御部20に接続されている。
【0032】
圧力センサ(第1圧力センサ11、第2圧力センサ12、第3圧力センサ13および第4圧力センサ14)は、各膨張収縮袋内の圧力を測定するためのセンサである。圧力センサは、制御部20に接続されており、圧力の測定結果を制御部20に送信するように構成されている。
【0033】
制御部20は、通信部8により受信した指示および操作部9により受け付けた操作に基づいて、ポンプ6および流路切替部7を制御して、各膨張収縮袋を膨張および収縮させ、第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53および第4板状部材54を回動軸線回りに傾くように回動させるように構成されている。
【0034】
また、第1実施形態では、制御部20は、後述するように第1板状部材51の傾斜角度に基づいて、第1板状部材51を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への気体(空気)の給気および排気の制御を行う。
【0035】
また、第1実施形態では、制御部20は、撮像部10により撮像された画像に基づいて、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への気体(空気)の給気および排気の制御を行うように構成されている。具体的には、制御部20は、撮像部10により撮像された画像を画像処理して、昇降装置100に載置されたバッテリ201自体の傾斜角度を算出する。制御部20は、算出した傾斜角度に基づいて、第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34への空気の給気および排気の制御を行い、第1板状部材51および被昇降物であるバッテリ201の傾斜角度を調整する。また、制御部20は、撮像部10により撮像された画像により、被昇降物であるバッテリ201の傾斜角度の変化量を取得しており、一定以上の傾斜角度の変化量を取得した場合には、ポンプ6の給気を停止するように構成されている。
【0036】
(板状部材および膨張収縮袋の構成)
第1実施形態では、被昇降物が配置される側に設けられた第1板状部材51と、第1板状部材51の下方に配置され、第1板状部材51が回動可能に接続された第1の辺521を有する第2板状部材52と、第1板状部材51と第2板状部材52との間に配置され、気体(空気)の給気および排気によって膨張および収縮可能な第1膨張収縮袋31と、第2板状部材52の下方に配置され、第2板状部材52の第1の辺521と異なる第2の辺522において第2板状部材52が回動可能に接続された第3板状部材53と、第2板状部材52と第3板状部材53との間に配置され、気体(空気)の給気および排気によって膨張および収縮可能な第2膨張収縮袋32と、を備える。また、第1板状部材51、第1膨張収縮袋31、第2板状部材52、第2膨張収縮袋32および第3板状部材53は、平面視において、重なるように配置されている。
【0037】
具体的には、
図3および
図4に示すように、板状部材(第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54および第5板状部材55)は、膨張収縮袋(第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34)を上下方向から挟むように配置されている。また、第1板状部材51は、第2板状部材52の第1の辺521に沿った回動軸線回りに傾くように回動可能であり、第2板状部材52は、第3板状部材53と接続する第2の辺522に沿った回動軸線回りに傾くように回動可能である。なお、板状部材は、平面視において、矩形形状を有する。なお、
図3は、全ての膨張収縮袋を収縮させた状態の模式図であり、
図4は、全ての膨張収縮袋を膨張させた状態の模式図である。このように、板状部材および膨張収縮袋は、平面視において、重なるように配置されており、膨張収縮袋を膨張させることにより、複数の板状部材は、膨張収縮袋に押し上げられ、それぞれの回動軸線を中心に、傾くように回動する。
【0038】
図4および
図5に示すように、複数の板状部材(第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54および第5板状部材55)のそれぞれは、上方または下方、もしくは、その両方に隣接して配置された他の板状部材と回動可能に接続されている。
【0039】
第1板状部材51は、最も上方に配置される板状部材であり、被昇降物であるバッテリ201が配置される側に配置される。第1板状部材51は、下方に配置された、第2板状部材52の第1の辺521に回動可能に接続されており、下方に配置された、第1膨張収縮袋31の膨張および収縮により、第2板状部材52の第1の辺521に沿った回動軸線回りに傾くように回動する。
【0040】
第2板状部材52は、第1の辺521において、上方に配置された第1板状部材51と接続されている。また、第2板状部材52は、第1の辺521と対向する第2の辺522において、下方に配置された第3板状部材53と回動可能に接続されており、下方に配置された、第2膨張収縮袋32の膨張および収縮により、第2の辺522に沿った回動軸線回りに傾くように回動する。
【0041】
第3板状部材53は、第3の辺533において、上方に配置された第2板状部材52と接続されている。また、第3板状部材53は、第3の辺533と直角に交差する第4の辺534において、下方に配置された第4板状部材54と回動可能に接続されており、下方に配置された、第3膨張収縮袋33の膨張および収縮により、第4の辺534に沿った回動軸線回りに傾くように回動する。
【0042】
また、第1実施形態では、第3板状部材53の下方に配置され、第3板状部材53の第2板状部材52と接続される第3の辺533と異なる第4の辺534において第3板状部材53が回動可能に接続された第5の辺545を有する第4板状部材54と、第3板状部材53と第4板状部材54との間に配置され、気体(空気)の給気および排気によって膨張および収縮可能な第3膨張収縮袋33と、第4板状部材54の下方に配置され、第4板状部材54の第5の辺545と異なる第6の辺546において第4板状部材54が回動可能に接続された第5板状部材55と、第4板状部材54と第5板状部材55との間に配置され、気体(空気)の給気および排気によって膨張および収縮可能な第4膨張収縮袋34と、をさらに備える。また、第1板状部材51、第1膨張収縮袋31、第2板状部材52、第2膨張収縮袋32、第3板状部材53、第3膨張収縮袋33、第4板状部材54、第4膨張収縮袋34および第5板状部材55は、平面視において、重なるように配置され、第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54および第5板状部材55が回動する際の回動軸線の少なくとも2つが、平面視において、交差するように構成されている。
【0043】
具体的には、第4板状部材54は、第5の辺545において、上方に配置された第3板状部材53と接続されている。また、第4板状部材54は、第5の辺545と対向する第6の辺546において、下方に配置された第5板状部材55と回動可能に接続されており、下方に配置された、第4膨張収縮袋34の膨張および収縮により、第6の辺546に沿った回動軸線回りに傾くように回動する。
【0044】
第5板状部材55は、上方に配置された第4板状部材54の第6の辺546と接続されており、第4板状部材54が回動する際に支持部材となる板状部材である。
【0045】
第1の辺521、第2の辺522および第3の辺533は、平面視において、互いに略平行である。また、第4の辺534、第5の辺545および第6の辺546は、平面視において、互いに略平行である。また、第1の辺521、第2の辺522および第3の辺533は、平面視において、第4の辺534、第5の辺545および第6の辺546と交差する。
【0046】
第1板状部材51および第2板状部材52が傾くように回動する際の回動軸線は、平面視において、略平行である。また、第3板状部材53および第4板状部材54が傾くように回動する際の回動軸線は、平面視において、略平行である。また、第1板状部材51および第2板状部材52が傾くように回動する際の回動軸線と、第3板状部材53および第4板状部材54が傾くように回動する際の回動軸線とは、平面視において、略直交(交差)するように構成されている。
【0047】
(可動部の構成)
次に、
図6~
図8を参照して、第1実施形態の可動部1の構成について説明する。
図6は、第3板状部材53の第4の辺534側から見た可動部1の第1側面図である。
図6において、昇降装置100は、各膨張収縮袋(第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34)を膨張させ、第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53および第4板状部材54をそれぞれの回動軸線回りに外側に傾くように回動させている。
図7は、
図6の状態から第2膨張収縮袋32を収縮させ、第2板状部材52を回動軸線回りに内側に傾くように回動させた状態の可動部1の第3板状部材53の第4の辺534側から見た側面図である。第2板状部材52が回動させられることにより、第1板状部材51は、回動軸線側に傾斜する。また、
図8は、
図6の状態の可動部1を第2板状部材52の第1の辺521側から見た側面図である。
【0048】
板状部材(第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54および第5板状部材55)は、シート50により包まれるように構成(
図6~
図8参照)されている。板状部材(第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54および第5板状部材55)は、上方または下方、もしくは、その両方に隣接して配置された板状部材に板状部材を包んだシート50により回動可能に接続されている。なお、板状部材は、板状部材に固定された丁番や布などにより、直接接続されるようにしてもよい。
【0049】
また、第1実施形態では、昇降装置100は、第1板状部材51の傾斜角度を検出する第1検出部と、第2板状部材52の傾斜角度を検出する第2検出部と、をさらに備える。具体的には、第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54には、傾斜角度を検出するためのセンサとして、角度センサ(第1角度センサ41、第2角度センサ42、第3角度センサ43および第4角度センサ44)が設けられる。第1角度センサ41は、第1板状部材51の傾斜角度を検出するためのセンサであり、第1板状部材51の下面に設置されている。また、第2角度センサ42は、第2板状部材52の傾斜角度を検出するためのセンサであり、第2板状部材52の上面に設置されている。また、第3角度センサ43は、第3板状部材53の傾斜角度を検出するためのセンサであり、第3板状部材53の上面に設置されている。また、第4角度センサ44は、第4板状部材54の傾斜角度を検出するためのセンサであり、第4板状部材54の下面に設置されている。
【0050】
また、膨張収縮袋は、2つのシート状の部材の縁を溶着または接着して形成された収縮の際に略平面になる袋を複数重ねて構成されている。また、膨張収縮袋を構成する複数重ねた袋の一端は、まとめて溶着または接着されている。また、膨張収縮袋(第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34)は、溶着または接着された一端に、円環形状の部分を設け、各固定部(第1固定部311、第2固定部321、第3固定部331および第4固定部341)により、上方に配置された板状部材の回動軸線側に引っ張られるように、シート50または板状部材(第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54および第5板状部材55)に固定される。固定部は、たとえば、紐状の部材であり、膨張収縮袋の円環形状の部分の穴に固定部を通して、シート50または板状部材に膨張収縮袋の固定を行うようにしてもよい。
【0051】
(高さ位置算出方法)
第1実施形態では、制御部20は、第1板状部材51および第2板状部材52の傾斜角度に基づいて、第1板状部材51の高さ位置を算出するとともに、第1板状部材51の傾斜角度および算出された第1板状部材51の高さ位置に基づいて、第1板状部材51を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への気体(空気)の給気および排気の制御を行うように構成されている。
【0052】
具体的には、制御部20は、平面視において板状部材の回動軸線と直交する方向の長さLと、第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53および第4板状部材54の回動軸線と直交する線と水平面とがなす角度とにより、第1板状部材51の平面視における中心の高さを算出する。第1板状部材51の平面視における中心の高さの算出方法について、
図9を用いて、説明する。なお、
図9においては、簡略化のため、第3板状部材53までを示す。また、
図9おいて、第3板状部材53は、水平な状態である。
【0053】
図9に示すように、L
1は、第1板状部材51の平面視において第1板状部材51の回動軸線と直交する方向の長さであり、L
2は、第2板状部材52の平面視において第2板状部材52の回動軸線と直交する方向の長さである。また、θ
1は、第1板状部材51の回動軸線と直交する線と水平面とがなす角度であり、θ
2は、第2板状部材52の回動軸線と直交する線と水平面とがなす角度である。これらの板状部材の回動軸線と直交する線と水平面とがなす角度から、第3板状部材53の上面から第1板状部材51の平面視における中心の高さH
Aは、式(1)により求められる。
H
A=L
2・sinθ
2+L
1/2・sinθ
1・・・(1)
さらに、第3膨張収縮袋33、第4板状部材54、第4膨張収縮袋34および第5板状部材55を加えた場合、第5板状部材55の上面から第1板状部材51の平面視における中心の高さH
Bは、式(2)により求めることが可能である。
H
B=L
4・sinθ
4+L
3/2・sinθ
3+L
2・sinθ
2+L
1/2・sinθ
1・・・(2)
L
3は、第3板状部材53の平面視において第3板状部材53の回動軸線と直交する方向の長さであり、L
4は、第4板状部材54の平面視において第4板状部材54の回動軸線と直交する方向の長さである。また、θ
3は、第3板状部材53の回動軸線と直交する線と水平面とがなす角度であり、θ
4は、第4板状部材54の回動軸線と直交する線と水平面とがなす角度である。
制御部20は、通信部8または操作部9により、第1板状部材51の平面視における中心の高さH
Bおよび最上面の傾きが指示された際に、上記の式(2)により、θ
1、θ
2、θ
3、およびθ
4の目標値を求め、角度センサの検出する角度が目標値となるように、膨張収縮袋への空気の吸気および排気の制御を行い、膨張収縮袋を膨張および収縮させることにより、第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53および第4板状部材54を回動させる。
【0054】
また、第1実施形態では、制御部20は、第1検出部および第2検出部により検出された第1板状部材51の傾斜角度および第2板状部材52の傾斜角度に基づいて、第1板状部材51の高さ位置を算出するとともに、第1板状部材51の傾斜角度および算出された第1板状部材51の高さ位置に基づいて、第1板状部材51を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への気体(空気)の給気および排気の制御を行うように構成されている。具体的には、制御部20は、第1板状部材51に設けられた第1角度センサ41および第2板状部材52に設けられた第2角度センサ42により、それぞれの板状部材回動軸線と直交する線と水平面とがなす角度(θ1およびθ2)を検出している。また、制御部20は、第3板状部材53に設けられた第3角度センサ43および第4板状部材54に設けられた第4角度センサ44により、それぞれの板状部材の回動軸線と直交する線と水平面とがなす角度(θ3およびθ4)を検出している。制御部20は、検出された第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53および第4板状部材54の回動軸線と直交する線と水平面とがなす角度(θ1、θ2、θ3、およびθ4)から第1板状部材51の平面視における中心の高さHBを算出して、膨張収縮袋への吸気および排気の制御を行い、膨張収縮袋を膨張および収縮させることにより、第1板状部材51(第2板状部材52、第3板状部材53および第4板状部材54)を上下動または傾斜させる。
【0055】
(流路切替部)
第1実施形態では、昇降装置100は、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への気体(空気)の給気および排気を行うポンプ6と、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への気体(空気)の給気および排気を行うための流路を切り替える流路切替部7と、をさらに備える。具体的には、
図10に示すように、各膨張収縮袋(第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34)の空気を吸気および排気するためのポンプ6が、空気の流路上に設けられる。また、各膨張収縮袋に空気を吸気および排気するための流路上には、流路切替部7、流路給気電磁弁71および流路排気電磁弁72が設けられている。なお、流路給気電磁弁71は、流路の給気を行う際に開放される電磁弁であり、流路排気電磁弁72は、流路の排気を行う際に開放される電磁弁である。また、流路切替部7は、各膨張収縮袋の空気を吸気および排気するための流路上に設けられた、複数の電磁弁(第1給気電磁弁711、第1排気電磁弁712、第2給気電磁弁721、第2排気電磁弁722、第3給気電磁弁731、第3排気電磁弁732、第4給気電磁弁741および第4排気電磁弁742)により構成されている。電磁弁は、各膨張収縮袋に排気用電磁弁および給気用電磁弁が、それぞれ一つずつ設けられている。第1給気電磁弁711は、第1膨張収縮袋31の給気を行う際に開放される電磁弁であり、第1排気電磁弁712は、第1膨張収縮袋31の排気を行う際に開放される電磁弁である。また、第2給気電磁弁721は、第2膨張収縮袋32の給気を行う際に開放される電磁弁であり、第2排気電磁弁722は、第2膨張収縮袋32の排気を行う際に開放される電磁弁である。また、第3給気電磁弁731は、第3膨張収縮袋33の給気を行う際に開放される電磁弁であり、第3排気電磁弁732は、第3膨張収縮袋33の排気を行う際に開放される電磁弁である。また、第4給気電磁弁741は、第4膨張収縮袋34の給気を行う際に開放される電磁弁であり、第4排気電磁弁742は、第4膨張収縮袋34の排気を行う際に開放される電磁弁である。
【0056】
また、第1実施形態では、制御部20は、第1板状部材51の傾斜角度に基づいて、第1板状部材51を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への気体(空気)の給気および排気と流路の切り替えとを行うようにポンプ6および流路切替部7を制御するように構成されている。制御部20は、ポンプ6の制御を行うとともに、流路上に設けられた各電磁弁の開閉の制御を行うことにより、各膨張収縮袋(第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34)の空気を吸気および排気の制御を個別に行っている。また、これらの制御は、前述したように各角度センサにより、検出された傾斜角度に基づいて、第1板状部材51を上下動または傾斜させるように制御部20が行っている。
【0057】
また、第1実施形態では、昇降装置100は、第1膨張収縮袋31内の圧力を測定する第1圧力センサ11と、第2膨張収縮袋32内の圧力を測定する第2圧力センサ12と、をさらに備える。具体的には、各膨張収縮袋と各電磁弁との間には、各膨張収縮袋内の圧力を個別に測定する圧力センサ(第1圧力センサ11、第2圧力センサ12、第3圧力センサ13および第4圧力センサ14)が設けられている。第1圧力センサ11は、第1膨張収縮袋31内の圧力を測定するためのセンサである。また、第2圧力センサ12は、第2膨張収縮袋32内の圧力を測定するためのセンサである。また、第3圧力センサ13は、第3膨張収縮袋33内の圧力を測定するためのセンサである。また、第4圧力センサ14は、第4膨張収縮袋34内の圧力を測定するためのセンサである。
【0058】
また、第1実施形態では、制御部20は、第1圧力センサ11により測定された第1膨張収縮袋31内の圧力が第1の所定の上限値を上回った場合に、第1膨張収縮袋31への気体(空気)の給気を停止させるとともに、第2圧力センサ12により測定された第2膨張収縮袋32内の圧力が第2の所定の上限値を上回った場合に、第2膨張収縮袋32への気体(空気)の給気を停止させる制御を行うように構成されている。
【0059】
(異常検出処理)
次に、
図11を参照して、第1実施形態の昇降装置100の制御部20による異常検出処理の一例をフローチャートに基づいて説明する。
【0060】
ステップS1において、制御部20は、動作指示があったか否かを判別する。通信部8または操作部9から、制御部20に動作指示が送信された場合には、ステップS2に移行する。また、動作指示がなかった場合には、処理を終了する。
【0061】
ステップS2において、制御部20は、各膨張収縮袋内の圧力が上限値を超えたか否かを判別する。制御部20は、各膨張収縮袋(第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34)の流路上に個別に設けられた各圧力センサ(第1圧力センサ11、第2圧力センサ12、第3圧力センサ13および第4圧力センサ14)の測定結果に基づいて、膨張収縮袋内の圧力が上限値を超えたか否かを判別する。第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34のいずれか1つの膨張収縮袋内の圧力が上限値を超えていた場合には、ステップS5に移行する。また、全ての膨張収縮袋内の圧力が上限値を超えていない場合には、ステップS3に移行する。
【0062】
ステップS3において、制御部20は、各膨張収縮袋内の圧力が下限値未満であるか否かを判別する。制御部20は、各膨張収縮袋の流路上に個別に設けられた各圧力センサの測定結果に基づいて、各膨張収縮袋内の圧力が下限値未満であるか否かを判別する。いずれか1つの膨張収縮袋内の圧力が下限値未満であった場合には、ステップS5に移行する。また、全ての膨張収縮袋内の圧力が下限値未満でない場合には、ステップS4に移行する。
【0063】
ステップS4において、制御部20は、所定の動作を実施する。所定の動作とは、通信部8から制御部20に送信された動作指示、または、操作部9の操作に基づいた動作である。制御部20は、与えられた動作指示、または、操作部9の操作に基づいて、所望の高さ位置および傾斜角度になるように、ポンプ6および流路切替部7の制御を行い、各膨張収縮袋への空気の給気および排気を行う。所定の動作の終了後、ステップS1へと戻る。
【0064】
ステップS5において、制御部20は、ポンプ6を停止させる。ポンプ6の停止後、ステップS1へと戻る。
【0065】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0066】
第1実施形態では、上記のように、空気の給気および排気によって、板状部材の間に配置される膨張収縮袋を膨張および収縮させて、昇降を行うので、膨張収縮袋を収縮させることにより、膨張収縮袋を扁平な状態にして、板状部材の間に納めることができる。これにより、縮めた状態でもある程度の大きさを有するロッドや柱などの可動させるため部材を用いる場合に比べて、可動部1の配置スペースを小さくすることができるので、可動部1の上下方向の配置スペースが大きくなるのを抑制することが可能な昇降装置100を提供することができる。また、第2板状部材52の第1の辺521および第2の辺522が平面視において、対向するので、第1板状部材51および第2板状部材52は、互いに反対方向に傾くように回動させられる。これにより、第1板状部材51および第2板状部材52の回動する角度を等しくすることにより、第1板状部材51を水平に上下動させることができるともに、第1板状部材51および第2板状部材52の回動する角度を異ならせることにより、第1板状部材51を傾斜させることができるので、第1板状部材51の上下動および傾斜を共通の機構で行うことができる。その結果、上下動を行うための柱を設ける場合に比べて、可動部1の大型化を抑制することができるとともに、可動部1の上下方向の配置スペースが大きくなるのを抑制することができる。
【0067】
第1実施形態では、上記のように、第1板状部材51の傾斜角度に基づいて、第1板状部材51を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への空気の給気および排気の制御を行う制御部20を設ける。これにより、第1板状部材51の傾斜角度に基づいて、空気の給気および排気の制御を行うことによって、バッテリ201に対する第1板状部材51の傾斜角度を所望の角度に変化させることができる。その結果、昇降の際に第1板状部材51の上方に配置されるバッテリ201の傾斜角度を所望の角度に変化させることができる。
【0068】
第1実施形態では、上記のように、制御部20は、第1板状部材51および第2板状部材52の傾斜角度に基づいて、第1板状部材51の高さ位置を算出するとともに、第1板状部材51の傾斜角度および算出された第1板状部材51の高さ位置に基づいて、第1板状部材51を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への空気の給気および排気の制御を行うように構成されている。これにより、算出された第1板状部材51の高さ位置に基づいて、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への空気の給気および排気の制御を行うことによって、第1板状部材51の高さ位置を電気自動車200のバッテリ201搭載位置などの所望の高さ位置に変化させることができる。
【0069】
第1実施形態では、上記のように、制御部20は、第1角度センサ41および第2角度センサ42により検出された第1板状部材51の傾斜角度および第2板状部材52の傾斜角度に基づいて、第1板状部材51の高さ位置を算出するとともに、第1板状部材51の傾斜角度および算出された第1板状部材51の高さ位置に基づいて、第1板状部材51を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への空気の給気および排気の制御を行う。これにより、第1角度センサ41および第2角度センサ42によって、第1板状部材51の傾斜角度および第2板状部材52の傾斜角度の検出に加えて、高さ位置を算出することができる。その結果、レーザ測距装置などの測定装置を別途設けて、高さ位置の測定を行う場合に比べて、高さ位置の測定を容易に行うことができる。
【0070】
第1実施形態では、上記のように、制御部20は、第1板状部材51の傾斜角度に基づいて、第1板状部材51を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への空気の給気および排気と流路の切り替えとを行うようにポンプ6および流路切替部7を制御するように構成されている。これにより、流路切替部7により空気の流路を切り替えることによって、膨張収縮袋のそれぞれに、膨張収縮袋を膨張および収縮させるためのポンプ6を設ける必要がない。すなわち、単一のポンプ6により複数の膨張収縮袋(第1膨張収縮袋31、第2膨張収縮袋32、第3膨張収縮袋33および第4膨張収縮袋34)を膨張および収縮することができる。その結果、膨張収縮袋のそれぞれに、膨張収縮袋を膨張および収縮させるためのポンプ6を設ける場合に比べて、部品点数の増加による装置の複雑化および大型化を抑制することができる。
【0071】
第1実施形態では、上記のように、制御部20は、第1圧力センサ11により測定された第1膨張収縮袋31内の圧力が第1の所定の上限値を上回った場合に、第1膨張収縮袋31への空気の給気を停止させるとともに、第2圧力センサ12により測定された第2膨張収縮袋32内の圧力が第2の所定の上限値を上回った場合に、第2膨張収縮袋32への空気の給気を停止させる制御を行う。これにより、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32の圧力を測定して、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32に空気の給気の制御を行うことによって、第1膨張収縮袋31内および第2膨張収縮袋32内のそれぞれの圧力を制御することができる。その結果、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への空気の給気の制御を容易に行うことができる。
【0072】
第1実施形態では、上記のように、第1板状部材51、第1膨張収縮袋31、第2板状部材52、第2膨張収縮袋32、第3板状部材53、第3膨張収縮袋33、第4板状部材54、第4膨張収縮袋34および第5板状部材55は、平面視において、重なるように配置され、第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54および第5板状部材55が回動する際の回動軸線のうち、第1板状部材51および第2板状部材52の回動軸線と、第3板状部材53および第4板状部材54の回動軸線と、が平面視において、交差するように構成されている。これにより、板状部材の枚数に応じて、板状部材が傾くように回動する方向を増やすことができる。その結果、前後方向と左右方向とに板状部材が傾くように回動する方向を増やすことにより、より複雑な上下動および傾斜動作を行うことができる。
【0073】
第1実施形態では、上記のように、制御部20は、撮像部10により撮像された画像に基づいて、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への空気の給気および排気の制御を行うように構成されている。これにより、撮像した画像により、バッテリ201の傾斜角度を算出して、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への空気の給気および排気を制御することができるので、昇降の際に、バッテリ201自体の傾斜角度を確認しながら、昇降装置100の上下動または傾斜の制御を行うことができる。
【0074】
[第2実施形態]
次に、
図12および
図13を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第2板状部材52は、平面視において、矩形形状を有した、上記第1実施形態と異なり、互いに平行な長辺と短辺とを有する台形形状を有している。また、第2実施形態の昇降装置100(
図2参照)は、搭乗者が自動車の乗り降りを行う際に上下動および傾斜を行う自動車の座面である。
【0075】
第2実施形態では、第2板状部材52は、平面視において、互いに平行な長辺と短辺とを有する略台形形状を有し、第2板状部材52の略台形形状の互いに平行な長辺および短辺に対して交差する辺に沿った回動軸線回りに第1板状部材51または第2板状部材52が回動する。具体的には、
図12および
図13に示すように、第1板状部材51、第2板状部材52、第3板状部材53、第4板状部材54および第5板状部材55は、平面視において、互いに平行な長辺と短辺とを有し、互いに平行な長辺および短辺に対して交差する辺が等しい長さを有する、等脚台形形状である。
【0076】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0077】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0078】
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、空気の給気および排気によって、板状部材の間に配置される膨張収縮袋を膨張および収縮させて、昇降を行うので、膨張収縮袋を収縮させることにより、膨張収縮袋を扁平な状態にして、板状部材の間に納めることができる。これにより、縮めた状態でもある程度の大きさを有するロッドや柱などの可動させるため部材を用いる場合に比べて、可動部1の配置スペースを小さくすることができるので、可動部1の上下方向の配置スペースが大きくなるのを抑制することが可能な昇降装置100(
図2参照)を提供することができる。また、第2板状部材52の第1の辺521および第2の辺522が平面視において、対向するので、第1板状部材51および第2板状部材52は、互いに反対方向に傾くように回動させられる。これにより、第1板状部材51および第2板状部材52の回動する角度を等しくすることにより、第1板状部材51を水平に上下動させることができるともに、第1板状部材51および第2板状部材52の回動する角度を異ならせることにより、第1板状部材51を傾斜させることができるので、第1板状部材51の上下動および傾斜を共通の機構で行うことができる。その結果、上下動を行うための柱を設ける場合に比べて、可動部1の大型化を抑制することができるとともに、可動部1の上下方向の配置スペースが大きくなるのを抑制することができる。
【0079】
第2実施形態では、上記のように、第2板状部材52は、平面視において、互いに平行な長辺と短辺とを有する略台形形状を有し、第2板状部材52の略台形形状の互いに平行な長辺および短辺に対して交差する辺に沿った回動軸線回りに第1板状部材51または第2板状部材52が回動する。これにより、平面視において、互いに平行な長辺および短辺に対して、斜めに交わる方向に傾斜させるために、正方形形状および長方形形状の板状部材を組み合わせて傾斜させる場合と異なり、1つの回動軸線周りの回動のみにより、平面視において、互いに平行な長辺および短辺に対して、斜めに交わる方向に傾斜させることができる。その結果、簡易な構成により、斜めに交わる方向に傾斜させることができる。
【0080】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0082】
たとえば、上記第1実施形態では、5つの板状部材と4つの膨張収縮袋により昇降装置100を構成する例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、昇降装置は、3つの板状部材と2つの膨張収縮袋とにより構成してもよいし、4つの板状部材と3つの膨張収縮袋とにより構成されてもよい。
【0083】
また、上記第1および第2実施形態では、5つの板状部材と4つの膨張収縮袋により昇降装置100を構成する例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、昇降装置は、構成する板状部材の数をn(n≧3)とし、膨張収縮袋の数をn-1としてもよい。
【0084】
また、上記第1および第2実施形態では、板状部材を同一形状で形成した例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、
図14に示す本第1変形例のように、板状部材の形状を互いに異ならせ、任意角度で交差する辺を形成することにより、形成された辺に沿った回動軸線回りにそれぞれ傾くように回動させてもよい。
【0085】
また、上記第1実施形態では、昇降装置100は、バッテリ201を昇降させるための昇降装置100である例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、
図15に示す本第2変形例のように、自動車400の車体を昇降させる昇降装置500に本発明を適用してもよい。
【0086】
また、上記第1実施形態では、撮像部10により撮像された画像に基づいて、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への空気の給気および排気の制御を行う例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、第1板状部材の傾斜角度または膨張収縮袋内の圧力のみに基づいて、第1膨張収縮袋および第2膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行ってもよい。
【0087】
また、上記第1および第2実施形態では、第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32の空気の給気および排気を行うための流路を切り替える流路切替部7を備える例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、流路切替部を備えずに、それぞれの膨張収縮袋に個別にポンプを設け、個別に気体の給気および排気を行うようによい。
【0088】
また、上記第1および第2実施形態では、第1板状部材51の傾斜角度に基づいて、第1板状部材51を上下動または傾斜させるように第1膨張収縮袋31および第2膨張収縮袋32への空気の給気および排気の制御を行う制御部20を備える例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、膨張収縮袋内の圧力のみに基づいて、膨張収縮袋に気体の給気および排気の制御を行ってもよい。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、膨張収縮袋への空気の給気および排気を行うポンプ6を備える例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、ポンプを設けずに、圧縮または液化された気体が充填されたボンベを用いることにより、圧力差により膨張収縮袋への気体の給気を行うようにしてもよい。
【0090】
また、上記第1および第2実施形態では、可動部1を駆動させる駆動装置2を設ける例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、駆動装置を設けずに、膨張収縮袋への気体の給気および排気を操作者が手動で行うようにしてもよい。
【0091】
また、上記第1および第2実施形態では、可動部1の第1板状部材51に設けた第1角度センサ41により、第1板状部材51の傾斜角度を検出して、膨張収縮袋への空気の給気および排気の制御を行う例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、角度センサを可動部の外部、たとえば、被昇降物の上に設置して、被昇降物の傾斜角度を検出するようにしてもよいし、被昇降物に備えられた加速度センサなどのセンサの検出結果に基づいて、膨張収縮袋への気体の給気および排気の制御を行うようにしてもよい。
【0092】
また、上記第1および第2実施形態では、角度センサは加速度センサを含む例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、角度センサは、ロータリエンコーダなど2つの板状部材間の角度を直接測定するセンサでもよい。
【0093】
また、上記第1および第2実施形態では、流路切替部7は、各膨張収縮袋に設けられた電磁弁により構成されている例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、
円盤状の弁体を回転させて開閉するように構成してもよいし、流路となる穴を設けた複数の円盤を回動させ、穴の位置が一致した流路に切り替える構成にしてもよい。
【0094】
また、上記第1および第2実施形態では、駆動装置2に、通信部8および操作部9を備えた例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、通信部および操作部は、いずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0095】
また、上記第1および第2実施形態では、各膨張収縮袋に圧力センサを設けた例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、圧力センサは、いずれかの膨張収縮袋のみに設けられていてもよいし、ポンプの近傍のみに設けられていてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部20の異常検出処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部による処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0097】
6 ポンプ
7 流路切替部
10 撮像部
11 第1圧力センサ
12 第2圧力センサ
20 制御部
31 第1膨張収縮袋
32 第2膨張収縮袋
33 第3膨張収縮袋
34 第4膨張収縮袋
41 第1角度センサ(第1検出部)
42 第2角度センサ(第2検出部)
51 第1板状部材
52 第2板状部材
53 第3板状部材
54 第4板状部材
55 第5板状部材
100 昇降装置
200 電気自動車
201 バッテリ(被昇降物)
521 第1の辺
522 第2の辺
533 第3の辺
534 第4の辺
545 第5の辺
546 第6の辺