(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】クレーン、および、クレーンの組立方法
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20230704BHJP
B66C 23/36 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B66C23/26 C
B66C23/36 A
(21)【出願番号】P 2019107285
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】松尾 洋平
(72)【発明者】
【氏名】大空 祐三
(72)【発明者】
【氏名】岡 高▲広▼
(72)【発明者】
【氏名】中司 健一
(72)【発明者】
【氏名】小畠 徹也
(72)【発明者】
【氏名】高岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】稲田 景子
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-114101(JP,A)
【文献】特開2016-222392(JP,A)
【文献】特開2019-69838(JP,A)
【文献】特開2014-65573(JP,A)
【文献】特開2017-137164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/26
B66C 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワーキャップとストラットと下部ジブとが一体で、倒伏されたブームの先端部に連結されるクレーンであって、
前記タワーキャップは、前記ブームの先端部に着脱可能に連結されるものであり、
前記ストラットは、前記ブームの背面側において前記タワーキャップに回動可能に連結されており、
前記下部ジブは、前記ブームの腹面側において前記タワーキャップに回動可能に連結されており、
前記下部ジブの前記ストラット側に取り付けられたブラケットを有し、
前記ブラケットは、前記ストラットの前記下部ジブ側の面を支持可能な支持部材を有し、
前記下部ジブは、倒伏された前記ブームに前記タワーキャップの背面側部分が連結された状態で、前記ストラットの前記面が前記支持部材で支持されることで、前記ストラットに対して相対移動可能になり、
倒伏された前記ブームの先端部に前記タワーキャップが連結される際に、前記タワーキャップの背面側部分が前記ブームに連結された状態で、前記ストラットの前記面が前記支持部材で支持されながら、前記下部ジブが前記ブームの方に移動されることを特徴とするクレーン。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記ストラットと前記下部ジブとを連結可能な連結部材を有することを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記支持部材は、前記下部ジブに対して回転自在なローラであることを特徴とする請求項1又は2に記載のクレーン。
【請求項4】
前記下部ジブの前記ストラット側に設けられ、地面を転動することが可能な回転部材を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のクレーン。
【請求項5】
ブームの先端部に着脱可能に連結されるタワーキャップと、
前記ブームの背面側において前記タワーキャップに回動可能に連結されたストラットと、
前記ブームの腹面側において前記タワーキャップに回動可能に連結された下部ジブと、
前記下部ジブの前記ストラット側に取り付けられたブラケットと、
を有するクレーンの組立方法であって、
前記ストラットおよび前記下部ジブが前記タワーキャップに連結された状態で、倒伏された前記ブームの先端部に前記タワーキャップの背面側部分を連結する連結ステップと、
前記ブラケットが有する支持部材で前記ストラットの前記下部ジブ側の面を支持することで、前記ストラットに対して前記下部ジブを相対移動可能にする支持ステップと、
前記ストラットの前記面を前記支持部材で支持しながら、前記下部ジブを前記ブームの方に移動させる移動ステップと、
を有することを特徴とするクレーンの組立方法。
【請求項6】
前記連結ステップの前に、前記タワーキャップと、前記ストラットと、前記下部ジブとを一体で輸送する輸送ステップを有することを特徴とする請求項5に記載のクレーンの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワーキャップとストラットと下部ジブとが一体で、倒伏されたブームの先端部に連結されるクレーン、および、クレーンの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ブームヘッド(タワーキャップ)と下部ジブとを連結した状態で輸送する分割輸送方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タワーキャップに下部ジブおよびストラットを接続する作業には多くの労力を要する。そこで、今日では、クレーンの組立・分解作業および輸送時の効率を考慮して、タワーキャップと下部ジブとストラットとを一体にして組立・分解作業を行う施工方法が要求されている。
【0005】
しかし、この施工方法の場合、輸送時のタワーキャップの姿勢によっては、タワーキャップの姿勢を変化させなければ、倒伏されたブームの先端部にタワーキャップを連結することが困難な場合がある。
【0006】
本発明の目的は、倒伏されたブームの先端部にタワーキャップを容易に連結することが可能なクレーン、および、クレーンの組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タワーキャップとストラットと下部ジブとが一体で、倒伏されたブームの先端部に連結されるクレーンであって、前記タワーキャップは、前記ブームの先端部に着脱可能に連結されるものであり、前記ストラットは、前記ブームの背面側において前記タワーキャップに回動可能に連結されており、前記下部ジブは、前記ブームの腹面側において前記タワーキャップに回動可能に連結されており、前記下部ジブの前記ストラット側に取り付けられたブラケットを有し、前記ブラケットは、前記ストラットの前記下部ジブ側の面を支持可能な支持部材を有し、前記下部ジブは、倒伏された前記ブームに前記タワーキャップの背面側部分が連結された状態で、前記ストラットの前記面が前記支持部材で支持されることで、前記ストラットに対して相対移動可能になり、倒伏された前記ブームの先端部に前記タワーキャップが連結される際に、前記タワーキャップの背面側部分が前記ブームに連結された状態で、前記ストラットの前記面が前記支持部材で支持されながら、前記下部ジブが前記ブームの方に移動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ブームの先端部にタワーキャップが連結される際に、タワーキャップの背面側部分がブームに連結された状態で、ストラットの下部ジブ側の面が支持部材で支持されながら、下部ジブがブームの方に移動される。これにより、背面側部分がブームに連結されたタワーキャップの姿勢を変化させることができる。その結果、タワーキャップの腹面側部分とブームとを連結するのに適した姿勢に、タワーキャップの姿勢を変化させることができる。よって、倒伏されたブームの先端部にタワーキャップを容易に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1の要部Aの拡大図であって、下部ジブの一部の拡大図である。
【
図4】タワークレーンの側面図であり、一体輸送品をタワーの近くまで持ってきた状態を示す図である。
【
図5】タワークレーンの側面図であり、タワーキャップの背面側部分とタワーとをピンで連結した状態を示す図である。
【
図6】タワークレーンの側面図であり、下部ジブの先端を接地させた状態を示す図である。
【
図7】タワークレーンの側面図であり、タワーキャップの腹面側部分とタワーとをピンで連結した状態を示す図である。
【
図8】タワークレーンの側面図であり、三角ガイドを起こした状態を示す図である。
【
図9】タワークレーンの側面図であり、タワーを斜めに起こした状態を示す図である。
【
図10】タワークレーンの側面図であり、タワーをほぼ水平に倒伏させた状態を示す図である。
【
図11】タワークレーンの側面図であり、ストラットを組み立てた状態を示す図である。
【
図12】タワークレーンの側面図であり、下部ジブを垂下させた状態を示す図である。
【
図13】タワークレーンの側面図であり、下部ジブをタワーの下に引き込んだ状態を示す図である。
【
図14】タワークレーンの側面図であり、下部ジブを略180度反転させた状態を示す図である。
【
図15】タワークレーンの側面図であり、中間ジブの背面側のコネクタと下部ジブの背面側のコネクタとを連結した状態を示す図である。
【
図16】タワークレーンの側面図であり、中間ジブの腹面側のコネクタと下部ジブの腹面側のコネクタとを連結した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(タワークレーンの構成)
本実施形態のタワークレーン(クレーン)は、タワークレーン1の側面図である
図1に示すように、クローラ式の下部走行体21に上部旋回体22が旋回可能に搭載された構成となっている。なお、タワークレーン1は、クローラ以外の移動手段(例えばホイール)を用いた移動式クレーンであってもよいし、移動手段を持たない固定式クレーンであってもよい。また、本発明の適用対象はタワークレーンに限定されず、例えば、ラッフィングクレーンに本発明を適用することも可能である。
【0012】
上部旋回体22は、旋回フレーム23と、タワー(ブーム)24と、ジブ25と、ガントリ26と、ストラット27と、下部スプレッダ28と、フック用ウインチ46と、ジブ起伏用ウインチ47と、ブーム起伏用ウインチ48と、カウンタウエイト29と、バックストップ30と、ジブバックストップ44と、を有している。
【0013】
旋回フレーム23は、旋回ベアリング(図示せず)を介して下部走行体21に取り付けられている。タワー24は、旋回フレーム23の前部に、旋回フレーム23に対して起伏可能に連結されている。タワー24の先端部には、タワーキャップ24aが着脱可能に連結されている。タワーキャップ24aには、ブームガイライン39の一端が接続されている。
【0014】
ジブ25は、タワー24の腹面側(図中右側)においてタワーキャップ24aに回動可能に連結されている。ジブ25は、タワー24に対して起伏可能である。ジブ25の先端には、ジブポイントシーブ31が設けられている。このジブポイントシーブ31からは巻上ロープ32を介してフック33が吊り下げられている。巻上ロープ32は、タワーキャップ24aの背面側に連結された三角ガイド45に軸支されたシーブ、および、ジブポイントシーブ31に巻回されたうえで、フック33に巻回されている。
【0015】
ガントリ26は、旋回フレーム23の後部に取り付けられている。ストラット27は、側方からの平面視で三角形状であって、タワー24の背面側(図中左側)においてタワーキャップ24aに回動可能に連結されている。ストラット27は、フロントストラット27aと、リアストラット27bと、連結部材27cとを有している。フロントストラット27aは、タワーキャップ24aに基端部(図中下部)が回動可能に連結されている。リアストラット27bは、タワーキャップ24aに基端部(図中右部)が回動可能に連結されている。連結部材27cは、一端部がリアストラット27bの先端部に連結され、他端部がフロントストラット27aの先端部に連結されている。フロントストラット27aの先端とジブ25の先端とは、ジブガイライン34により連結されている。
【0016】
タワー24の下部背面側に取り付けたジブ起伏用下部スプレッダ35と、ストラットガイライン36の一端に連結したジブ起伏用上部スプレッダ37との間には、ジブ起伏ロープ38が掛け渡されている。ストラットガイライン36の他端は、リアストラット27bの先端に接続されている。
【0017】
下部スプレッダ28は、ガントリ26の上端に取り付けられている。下部スプレッダ28と、ブームガイライン39の他端に連結した上部スプレッダ40との間には、ブーム起伏ロープ41が掛け渡されている。
【0018】
フック用ウインチ46、ジブ起伏用ウインチ47、および、ブーム起伏用ウインチ48は、旋回フレーム23の中央部にそれぞれ配置されている。フック用ウインチ46は、巻上ロープ32を巻き取り又は繰り出してフック33の巻き上げ又は巻き下げを行う。ジブ起伏用ウインチ47は、ジブ起伏ロープ38を巻き取り又は繰り出すことで、ストラット27を、タワー24の先端部との結合点を中心に起伏させる。その結果、ジブ25がタワー24との結合点を中心として起伏する。ブーム起伏用ウインチ48は、ブーム起伏ロープ41を巻き取り又は繰り出すことで、タワー24を、その支点であるブームフットピン42回りに起伏させる。
【0019】
カウンタウエイト29は、旋回フレーム23の後部に搭載されている。バックストップ30は、タワー24の下部背面側に取り付けられ、タワー24の背面から旋回フレーム23に向かって延びている。バックストップ30は、旋回フレーム23に固定されたバックストップ受け(図示せず)に受けられることで、タワー24の後側への回動を規制する。
【0020】
ジブバックストップ44は、ジブ25を構成する下部ジブ25aの背面側に取り付けられ、下部ジブ25aの背面からタワーキャップ24aに向かって延びている。ジブバックストップ44は、タワーキャップ24aに受けられることで、ジブ25の後側への回動を規制する。
【0021】
図1の要部Aの拡大図であって、下部ジブ25aの一部の拡大図である
図2に示すように、タワークレーン1は、ブラケット2を有している。ブラケット2は、下部ジブ25aのストラット27側に取り付けられている。なお、
図2においては、下部ジブ25aの上にストラット27が乗った状態を図示している。
【0022】
ブラケット2は、支持部材であるローラ11を有している。ローラ11は、樹脂製またはゴム製であって、下部ジブ25aに対して回転自在であり、ストラット27の下部ジブ25a側の面27eを支持可能である。下部ジブ25aは、倒伏されたタワー24にタワーキャップ24aの背面側部分が連結された状態で、ストラット27の下部ジブ25a側の面27eがローラ11で支持されることで、ストラット27に対して相対移動可能になる。
【0023】
また、ブラケット2は、連結部材12を有している。連結部材12は、ストラット27と下部ジブ25aとを連結可能である。具体的には、連結部材12とフロントストラット27aとがピン結合されることで、ストラット27と下部ジブ25aとが連結される。
【0024】
下部ジブ25aの姿勢変化を示す図である
図3に示すように、本実施形態では、タワーキャップ24aとストラット27と下部ジブ25aと三角ガイド45とが一体となった一体輸送品51が、倒伏されたタワー24の先端部に連結される。このとき、まず、2点鎖線で示すように、タワーキャップ24aの背面側部分(図中上側部分)とタワー24とがピンで連結される。そして、連結部材12とフロントストラット27aとの連結が解除されることで、ストラット27と下部ジブ25aとの連結が解除される。すると、実線で示すように、ストラット27の下部ジブ25a側の面27eがローラ11で支持されながら、下部ジブ25aがその自重でタワー24の方に移動する。これにより、タワーキャップ24aの姿勢が、タワーキャップ24aの腹面側部分(図中下側部分)とタワー24とを連結するのに適した姿勢に変化する。
【0025】
図2に戻って、タワークレーン1は、ガイドローラ(回転部材)3,4を有している。ガイドローラ3,4は、下部ジブ25aのストラット27側にそれぞれ設けられている。ガイドローラ3は、下部ジブ25aのストラット27側に設けられた下部ジブ支持脚5に回転自在に設けられている。ガイドローラ4は、下部ジブ25aの腹面側(図中上側)のコネクタ6に着脱可能に取り付けられる。ガイドローラ3,4は、地面を転動することが可能である。
【0026】
(タワークレーンの組立方法)
次に、タワークレーン1の組立方法について、
図4~
図16を参照しつつ説明する。
図4~
図16は、タワークレーン1の側面図である。
【0027】
まず、
図4に示すように、タワーキャップ24aとストラット27と下部ジブ25aと三角ガイド45とが一体となった一体輸送品51をタワー24の近くまで持って来て、地面の上に置く。このとき、タワー24は倒伏されており、タワー24の先端部は、ブーム置台61の上に載置されている。タワーキャップ24aとストラット27と下部ジブ25aとを一体で輸送することで、これらを組み立てる必要がないので、作業効率を向上させることができる。
【0028】
一体輸送品51の輸送時に、連結部材12とフロントストラット27aとが連結されることで、ストラット27と下部ジブ25aとが連結されている。これにより、輸送中に下部ジブ25aがストラット27に対して相対移動するのを抑制することができる。その結果、輸送中にタワーキャップ24aの姿勢が変化するのを抑制することができるので、輸送中の荷崩れを抑制することができる。
【0029】
次に、
図5に示すように、補助クレーンで一体輸送品51を持ち上げ、タワーキャップ24aの背面側部分(図中上側部分)とタワー24とをピンで連結する。次に、
図6に示すように、下部ジブ25aの先端を接地させる。
【0030】
次に、
図7に示すように、下部ジブ25aの先端部を吊っていたワイヤーを外し、連結部材12とフロントストラット27aとの連結を解除する。ストラット27と下部ジブ25aとの連結が解除されることで、ストラット27の下部ジブ25a側の面27eがローラ11で支持されながら、下部ジブ25aがその自重でタワー24の方に移動する。これにより、タワーキャップ24aの姿勢が、タワーキャップ24aの腹面側部分(図中下側部分)とタワー24とを連結するのに適した姿勢に変化する。その後、タワーキャップ24aの腹面側部分とタワー24とをピンで連結する。
【0031】
このように、タワー24の先端部にタワーキャップ24aが連結される際に、タワーキャップ24aの背面側部分がタワー24に連結された状態で、ストラット27の下部ジブ25a側の面27eがローラ11で支持されながら、下部ジブ25aがタワー24の方に移動される。これにより、背面側部分がタワー24に連結されたタワーキャップ24aの姿勢を変化させることができる。その結果、タワーキャップ24aの腹面側部分とタワー24とを連結するのに適した姿勢に、タワーキャップ24aの姿勢を変化させることができる。よって、倒伏されたタワー24の先端部にタワーキャップ24aを容易に連結することができる。
【0032】
また、ストラット27の下部ジブ25a側の面27eを支持するローラ11の回転により、ストラット27に対して下部ジブ25aを好適に相対移動させることができる。
【0033】
次に、
図8に示すように、ストラット27の上に寝かされていた三角ガイド45を起こし、タワーキャップ24aと三角ガイド45とを連結する。また、タワーキャップ24aにブームガイライン39を接続する。
【0034】
次に、
図9に示すように、ブーム起伏ロープ41を巻き上げてタワー24を斜めに起こすとともに、補助クレーンで下部ジブ25aを吊り上げる。そして、上部旋回体22を旋回させるとともに、ブーム置台61を取り去る。
【0035】
次に、
図10に示すように、ブーム起伏ロープ41を繰り出してタワー24をほぼ水平に倒伏させ、ジブガイライン36とジブ起伏用上部スプレッダ37とを接続する。そして、
図11に示すように、ジブ起伏ロープ38を巻き上げることで、リアストラット27bを持ち上げ、リアストラット27bとフロントストラット27aとの間に支柱27dを取り付けることで、ストラット27を組み立てる。
【0036】
次に、
図12に示すように、ブーム起伏ロープ41を巻き上げてタワー24を起こすとともに、ジブ起伏ロープ38を巻き上げてストラット27を引き起こし、下部ジブ25aを垂下させる。そして、タワー24の基端部に設けられたリービングウインチ(図示せず)から繰り出したワイヤの先端を、下部ジブ25aの背面側(図中左側)のコネクタに接続する。
【0037】
次に、
図13に示すように、リービングウインチでワイヤを巻き取ることで、下部ジブ25aをタワー24の下に引き込む。このとき、コネクタ6に取り付けられたガイドローラ4が接地して地面を転動する(
図2参照)。そして、
図14に示すように、下部ジブ25aを略180度反転させながら、ブーム起伏ロープ41を繰り出してタワー24を降ろす。このとき、下部ジブ支持脚5に設けられたガイドローラ3が接地して地面を転動する(
図2参照)。これにより、下部ジブ25aの向きを略180度変えることが容易になる。
【0038】
次に、
図15に示すように、上部ジブ25cが予め接続された中間ジブ25bの背面側(図中上側)のコネクタと、下部ジブ25aの背面側(図中上側)のコネクタとをピンで連結する。そして、
図16に示すように、補助クレーンで中間ジブ25bを吊り上げ、中間ジブ25bの腹面側(図中下側)のコネクタと、下部ジブ25aの腹面側(図中下側)のコネクタとをピンで連結する。
【0039】
(タワークレーンの分解方法)
次に、タワークレーン1の分解方法について、
図4~
図16を参照しつつ説明する。
【0040】
まず、
図16に示すように、ブーム起伏ロープ41を繰り出してタワー24を倒伏させる。そして、補助クレーンで中間ジブ25bを吊り上げ、中間ジブ25bの腹面側(図中下側)のコネクタと、下部ジブ25aの腹面側(図中下側)のコネクタとの連結を解除する。
【0041】
次に、
図15に示すように、中間ジブ25bを地上まで降ろし、中間ジブ25bの背面側(図中上側)のコネクタと、下部ジブ25aの背面側(図中上側)のコネクタの連結を解除する。そして、
図14に示すように、下部ジブ25a以外のジブ25を取り外す。
【0042】
次に、
図11に示すように、下部ジブ25aを略180度反転させるとともに、ブーム起伏ロープ41を繰り出してタワー24をほぼ水平に倒伏させる。そして、リアストラット27bとフロントストラット27aとの間に取り付けられた支柱27dを取り外す。
【0043】
次に、
図10に示すように、ジブ起伏ロープ38を繰り出すことで、リアストラット27bをフロントストラット27aの上に倒し、ジブガイライン36とジブ起伏用上部スプレッダ37との接続を解除する。そして、
図9に示すように、ブーム起伏ロープ41を巻き上げてタワー24を斜めに起こすとともに、補助クレーンで下部ジブ25aを吊り上げる。そして、タワー24の下にブーム置台61を配置する。
【0044】
次に、
図8に示すように、上部旋回体22を旋回させるとともに、ブーム起伏ロープ41を繰り出してタワー24を倒伏させて、タワー24の先端部をブーム置台61の上に載置する。そして、タワーキャップ24aとブームガイライン39との接続を解除する。
【0045】
次に、
図7に示すように、三角ガイド45を倒してストラット27の上に寝かせる。そして、下部ジブ25aの先端側を補助クレーンで吊り、タワーキャップ24aの腹面側部分(図中下側部分)とタワー24との連結を解除する。その後、
図6に示すように、ストラット27の下部ジブ25a側の面27eをローラ11で支持しながら、下部ジブ25aの先端がフロントストラット27aの先端に位置するまで、下部ジブ25aを移動させる。そして、連結部材12とフロントストラット27aとをピンで連結することで、ストラット27と下部ジブ25aとを連結する。
【0046】
次に、
図5に示すように、補助クレーンで一体輸送品51を持ち上げ、タワーキャップ24aの背面側部分(図中上側部分)とタワー24との連結を解除する。そして、
図4に示すように、一体輸送品51をタワー24から離れた位置まで移動させる。タワーキャップ24aとストラット27と下部ジブ25aとを一体で輸送することで、これらを分解する必要がないので、作業効率を向上させることができる。また、輸送時にストラット27と下部ジブ25aとを連結することで、輸送中に下部ジブ25aがストラット27に対して相対移動するのを抑制することができる。その結果、輸送中にタワーキャップ24aの姿勢が変化するのを抑制することができるので、輸送中の荷崩れを抑制することができる。
【0047】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るタワークレーン1、および、タワークレーン1の組立方法によれば、タワー24の先端部にタワーキャップ24aが連結される際に、タワーキャップ24aの背面側部分がタワー24に連結された状態で、ストラット27の下部ジブ25a側の面27eがローラ11で支持されながら、下部ジブ25aがタワー24の方に移動される。これにより、背面側部分がタワー24に連結されたタワーキャップ24aの姿勢を変化させることができる。その結果、タワーキャップ24aの腹面側部分とタワー24とを連結するのに適した姿勢に、タワーキャップ24aの姿勢を変化させることができる。よって、倒伏されたタワー24の先端部にタワーキャップ24aを容易に連結することができる。
【0048】
また、本実施形態に係るタワークレーン1によれば、ストラット27と下部ジブ25aとを連結部材12で連結可能である。そのため、輸送時にストラット27と下部ジブ25aとを連結した場合には、輸送中に下部ジブ25aがストラット27に対して相対移動するのを抑制することができる。その結果、輸送中にタワーキャップ24aの姿勢が変化するのを抑制することができるので、輸送中の荷崩れを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態に係るタワークレーン1によれば、下部ジブ25aに対して回転自在なローラ11で、ストラット27の下部ジブ25a側の面27eを支持する。ストラット27の下部ジブ25a側の面27eを支持するローラ11の回転により、ストラット27に対して下部ジブ25aを好適に相対移動させることができる。
【0050】
また、本実施形態に係るタワークレーン1によれば、下部ジブ25aのストラット27側に設けられ、地面を転動することが可能なガイドローラ3,4を有している。地面の上でガイドローラ3,4を転動させることで、下部ジブ25aの向きを略180度変えることが容易になる。
【0051】
また、本実施形態に係るタワークレーン1の組立方法によれば、タワーキャップ24aと、ストラット27と、下部ジブ25aとが一体で輸送される。これにより、タワーキャップ24aと、ストラット27と、下部ジブ25aとを組み立てたり、分解したりする必要がないので、作業効率を向上させることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0053】
1 タワークレーン(クレーン)
2 ブラケット
3 ガイドローラ(回転部材)
4 ガイドローラ(回転部材)
5 下部ジブ支持脚
6 コネクタ
11 ローラ(支持部材)
12 連結部材
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 旋回フレーム
24 タワー(ブーム)
24a タワーキャップ
25 ジブ
25a 下部ジブ
26 ガントリ
27 ストラット
27a フロントストラット
27b リアストラット
27c 連結部材
27d 支柱
27e 面
28 下部スプレッダ
29 カウンタウエイト
30 バックストップ
31 ジブポイントシーブ
32 巻上ロープ
33 フック
34 ジブガイライン
35 ジブ起伏用下部スプレッダ
36 ストラットガイライン
37 ジブ起伏用上部スプレッダ
38 ジブ起伏ロープ
39 ブームガイライン
40 上部スプレッダ
41 ブーム起伏ロープ
42 ブームフットピン
44 ジブバックストップ
45 三角ガイド
46 フック用ウインチ
47 ジブ起伏用ウインチ
48 ブーム起伏用ウインチ
51 一体輸送品
61 ブーム置台