(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】パイプ部材のジョイント構造
(51)【国際特許分類】
F16B 7/22 20060101AFI20230704BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20230704BHJP
F16B 12/40 20060101ALI20230704BHJP
A47B 47/00 20060101ALN20230704BHJP
【FI】
F16B7/22
F16B7/18 F
F16B12/40 C
A47B47/00
(21)【出願番号】P 2019185898
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】古田 司
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3218606(JP,U)
【文献】実開昭54-086995(JP,U)
【文献】特開平03-182204(JP,A)
【文献】実開昭51-119117(JP,U)
【文献】実開昭56-125986(JP,U)
【文献】特開平11-056548(JP,A)
【文献】特開2008-127824(JP,A)
【文献】特開2003-130025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/22
F16B 7/18
A47B 47/00
F16B 12/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状をなし略直交する方向にそれぞれスリットを有した第1のパイプ部材と、爪を前記スリットに挿入させることにより前記第1のパイプ部材の壁にそれぞれ直交姿勢で取り付けられる第2、第3のパイプ部材とを備えたものであって、
前記第2のパイプ部材側の爪と前記第3のパイプ部材側の爪とが前記第1のパイプ部材の内部において、一方のパイプ部材側の爪が他方のパイプ部材側の爪の側面に対面し、かつ、交差しないように各爪の本数及び位置を設定しているパイプ部材のジョイント構造。
【請求項2】
前記第2のパイプ部材が、一直線状をなす姿勢で前記第1のパイプ部材の両側に対をなして配されている請求項1記載のパイプ部材のジョイント構造。
【請求項3】
前記第2のパイプ部材側の爪は一対設けられ、前記第3のパイプ部材側の爪は1つだけ設けられている請求項1又は2記載のパイプ部材のジョイント構造。
【請求項4】
前記第2、第3のパイプ部材は、前記爪を有した連結部材を介して前記第1のパイプ部材に取り付けられるものであり、前記連結部材は、対応するパイプ部材の内部に収容された連結部材本体と、この連結部材本体から突出し対応するパイプ部材の先端から外部に延出する前記爪とを備えたものである請求項1、2又は3記載のパイプ部材のジョイント構造。
【請求項5】
前記連結部材本体は、1本のねじにより対応する第2、第3のパイプ部材にそれぞれ緊締されるものであり、この連結部材本体と前記パイプ部材との間には、前記ねじの緊締力を利用して前記パイプ部材の先端を前記第1のパイプ部材の周壁に押し付けるパイプ部材圧接機構が設けられている請求項4記載のパイプ部材のジョイント構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ部材による骨組構造を有するシェルフ等に好適に使用されるパイプ部材のジョイント構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパイプ部材のジョイント構造として、上下に延びる竪パイプ部材に水平に延びる横パイプ部材を接続したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、従来のものは、竪パイプ部材の各横パイプ部材取付箇所に一対のスリットをそれぞれ設けておくとともに、各横パイプ部材側に一対の爪をそれぞれ設けておき、前記爪を前記スリットに掛け止めすることによって横パイプ部材を竪パイプ部材に接続するようにしている。そのため、相互に直交する横パイプ部材を竪パイプ部材の同一高さ位置に接続しようとすると、各爪の竪パイプ部材内への挿入寸法を短くしないと成り立たない(課題1)。
【0004】
このような課題1に対処し得るものとして、相互に直交する横パイプ部材の爪同士を竪パイプ部材の外部において交差させ、それらの爪を同一方向から竪パイプ部材に掛け止めするようにしたもの知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
ところが、かかる構成のものは、爪同士が交差しているため、一方の横パイプ部材を取り除くと他方の横パイプ部材側の爪が大きく露出するという問題があり、また、他方の横パイプ部材を取り外すには一方の横パイプ部材を一旦竪パイプ部材から取り外さなければならないという面倒さがある(課題2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実登3218606号公報
【文献】実登3218601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に着目してなされたもので、前述した課題1と課題2を同時に解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係るパイプ部材のジョイント構造は、パイプ状をなし略直交する方向にそれぞれスリットを有した第1のパイプ部材と、爪を前記スリットに挿入させることにより前記第1のパイプ部材の壁にそれぞれ直交姿勢で取り付けられる第2、第3のパイプ部材とを備えたものであって、前記第2のパイプ部材側の爪と前記第3のパイプ部材側の爪とが前記第1のパイプ部材の内部において、一方のパイプ部材側の爪が他方のパイプ部材側の爪の側面に対面し、かつ、交差しないように各爪の本数及び位置を設定しているものである。
【0009】
請求項2記載の発明に係るパイプ部材のジョイント構造は、請求項1記載のものであって、前記第2のパイプ部材が、一直線状をなす姿勢で前記第1のパイプ部材の両側に対をなして配されているものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係るパイプ部材のジョイント構造は、請求項1又は2記載のものであって、前記第2のパイプ部材側の爪は一対設けられ、前記第3のパイプ部材側の爪は1つだけ設けられているものである。
【0011】
請求項4記載の発明に係るパイプ部材のジョイント構造は、請求項1、2又は3記載のものであって、前記第2、第3のパイプ部材は、前記爪を有した連結部材を介して前記第1のパイプ部材に取り付けられるものであり、前記連結部材は、対応するパイプ部材の内部に収容された連結部材本体と、この連結部材本体から突出し対応するパイプ部材の先端から外部に延出する前記爪とを備えたものである。
【0012】
請求項5記載の発明に係るパイプ部材のジョイント構造は、請求項4記載のものであって、前記連結部材本体は、1本のねじにより対応する第2、第3のパイプ部材にそれぞれ緊締されるものであり、この連結部材本体と前記パイプ部材との間には、前記ねじの緊締力を利用して前記パイプ部材の先端を前記第1のパイプ部材の周壁に押し付けるパイプ部材圧接機構が設けられているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前述した課題1、2を同時に解消することができ、第1のパイプ部材に対する爪の挿入寸法を無理なく確保することができるとともに、パイプ部材の組付けに関する自由度を高めることができるパイプ部材のジョイント構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシェルフの全体斜視図。
【
図2】同実施形態に係る棚板及びインセットパネルを一部取り除いた状態の斜視図。
【
図3】同実施形態に係る棚板及びインセットパネルを全て取り除いた状態の斜視図。
【
図4】同実施形態に係るフック取付け用のスリット付近の拡大斜視図。
【
図5】同実施形態に係るフック取付け用のスリット付近の拡大斜視図。
【
図6】同実施形態に係るシェルフの主要ユニットの骨組構造体を示す全体斜視図。
【
図7】同実施形態に係る連結部材を示す分解斜視図。
【
図9】同実施形態に係るフレームの接続態様を示す図。
【
図10】同実施形態に係るフレームの接続態様を示す図。
【
図11】同実施形態に係る直交増連ユニットの取付態様を示す分解斜視図。
【
図13】同実施形態に係る増連用の連結部材を示す分解斜視図。
【
図14】同実施形態に係るシェルフの要部平断面図。
【
図16】同実施形態に係るフレームのジョイント態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図16を参照しつつ説明する。
【0016】
この実施形態は、本発明のパイプ部材のジョイント構造を主要ユニットS1の一端に直交増連ユニットS2を接続したシェルフSに適用したものである。
【0017】
このシェルフSの主要ユニットS1は、
図1~
図3及び
図5に示すように、パイプ部材製の骨組構造体1と、この骨組構造体1に着脱可能に取り付けられた棚板2及びインセットパネル4とを備えている。
【0018】
この実施形態のシェルフSの主要ユニットS1を具体的に説明すれば、次の通りである。
【0019】
このシェルフSの主要ユニットS1は、
図1~
図10に示すようなもので、鉛直に伸びる支柱15及び水平に延びるフレーム11A、11Bとを備えた骨組構造体1と、この骨組構造体1のフレーム11A、11Bの内側に着脱可能に隣接配置されフレーム11A、11Bとの間に目地13A、13Bを形成する棚板2と、目地13A、13Bに差し込まれる係止部42、43を有するインセットパネル4とを備えたものである。
【0020】
骨組構造体1は、
図1~
図3及び
図6に示すように、左右両端及び幅方向中央に配された6本の支柱15(以下、
図1における左右両端に位置するものを「支柱15A」、幅方向中央に位置するものを「支柱15B」と称する場合がある。図中では支柱15Aと支柱15Bとを区別して示している)と、前後対をなす支柱15同士をそれぞれ連結する第1のフレーム11Aと、左右に対向する支柱15同士をそれぞれ連結する第2のフレーム11Bとを備えている。この実施形態のシェルフSの主要ユニットS1は、2段タイプのものであって、左端、中央及び右端にそれぞれ配される第1のフレーム11Aを3組、前後対をなす第2のフレーム11Bを6組備えており、各段の第1、第2のフレーム11A、11Bの内側に棚板2がそれぞれ配されている。その配置状態において棚板2の載置面qと対応するフレーム11A、11Bの上面pとが略面一に揃うとともに、
図8に示すように各フレーム11A、11Bと棚板2との間に例えば2mm程度の開口幅寸法wを有する目地13A、13Bがそれぞれ形成されている。
【0021】
支柱15は、
図1~
図6に示すように、断面略正方形をなす角柱状のパイプ部材により構成されたもので、下端にアジャスタ151を有するとともに、上端に支柱キャップ152が装着されている。この実施形態の場合、前後に対向する支柱15と第1のフレーム11Aとは、溶接等により剛結されており、
図6に示すように、梯子状の枠構造体が形成されている。左右に対面する支柱15と、これら支柱15間に架設された第2のフレーム11Bとは、それぞれ連結部材16を介して着脱可能に連結されている。
【0022】
第1のフレーム11Aは、支柱15と同一の断面形状を有する角柱状のパイプ部材により構成されたもので、
図3及び
図4に示すように、両端近傍部における棚板2側の側面に水平なフック取付け用のスリットtを備えている。第2のフレーム11Bは、支柱15及び第1のフレーム11Aと同一の断面形状を有する角柱状のパイプ部材により構成されたものである。
【0023】
第2のフレーム11Bを支柱15に連結するための連結部材16は、外部に露出することなく支柱15と第2のフレーム11Bとを接続するもので、
図7、
図9及び
図10に示すように、1本のねじ161の着脱により支柱15とフレーム11Bとを装脱することができるようになっている。具体的に説明すれば、
図7、
図9、
図10及び
図15に示すように、連結部材16は、フレーム11Bの端部内に嵌入される連結部材本体162と、この連結部材本体162の一端から突出し支柱15の一対の第2のフレーム11B取付用のスリットuにそれぞれ挿入され掛止される2枚の爪163とを備えたものである。連結部材本体162は、
図7、
図9及び
図10に示すように、底板162aと、この底板162aの両側縁から起立させた側板162bと、これら両側板162b間に装着されたナットユニット162cとを有しており、底板162aと両側板162bとは金属製の一体品である。底板162aにはナットユニット162cに関連したねじ挿通孔vが設けられている。ナットユニット162cは、弾性変形可能な合成樹脂製のナットホルダ162dと、このナットホルダ162dの底面部に自転不能に保持されたナット162eとを備えたものである。ナットホルダ162dは、両側壁に弾性爪xを有する箱形のもので、底壁に設けた六角穴にナット162eを装着してある。ナットホルダ162dは、連結部材本体162の係止孔yを有した両側板162b間に圧入されることによって、その弾性爪xが両側板162bの係止孔yに係合するように構成されており、その係合状態でナットホルダ162dが両側板162b間に取り付けられ、ナット162eが連結部材本体162のねじ挿通孔vに臨む位置に保持される。連結部材16の2枚の爪163は、両側板162bからそれぞれまっすぐに延長させたもので、側板162bと同一の離間距離をなして平行に延出している。
【0024】
連結部材16による支柱15とフレーム11Bとの連結部分の構造を、その組立手順を交えつつ説明すれば、次の通りである。まず、
図9に示すように、連結部材16の爪163を支柱15の側面のスリットuに挿入して掛止する。爪163は、上向き鉤形をなすものであるため、この状態では連結部材16は傾斜させることなく真っすぐ水平に支柱15から離間させることはできない状態となる。このとき、一方の爪163の下縁163b1のみが支柱15の側面のスリットuの下縁に当接し、他方の爪163の下縁163b2は支柱15の側面のスリットuの下縁に当接しないように各爪163の形状が設定されている。すなわち、一方の爪163のみを支柱15の側面のスリットuの下縁に当接させることにより、連結部材16が安定した姿勢で支柱15に保持されるようになっている。この姿勢において連結部材本体162にフレーム11Bの端部を外嵌させ、フレーム11Bの先端zを支柱15に当接させる。この段階で、フレーム11Bに穿設された外側のねじ挿通孔fと、連結部材16の底板162aに穿設された内側のねじ挿通孔vと、ナット162eのねじ孔gとが略対応することになり、下から外側のねじ挿通孔fと内側のねじ挿通孔vを通してナット162eに螺着したねじ161を緊締することによって、
図10に示すように支柱15とフレーム11Bとの連結が完了する。なお、この実施形態では、ねじ161として、頭部にテーパ面161tを有した皿ねじタイプのものを使用しているとともに、外側ねじ挿通孔fと内側ねじ挿通孔vに、ねじ161のテーパ面161tに対応したテーパ面ft、vtがそれぞれ設けられている。そして、連結部材本体162にフレーム11Bの端部を外嵌させてフレーム11Bの先端zを支柱15に押し付けることなく当接させただけの段階では、ナット162e及び内側ねじ挿通孔vの軸心c1に対して、外側ねじ挿通孔fの軸心c2が支柱15から離れる方向に微小寸法d0だけ偏移するように寸法設定がなされている。なお、この微小寸法d0は、ねじ161を両ねじ挿通孔f、vを通してナット162eに螺合させることが可能な小さな値に設定されているが、
図9ではわかり易くするために誇張して描いてある。しかして、ナット162eにねじ161を螺合させた上でそのねじ161を締めこんでゆくと、ねじ161のテーパ面161tの案内作用により、最終的に
図10に示すように当該ねじ161のテーパ面161tが両ねじ挿通孔f、vのテーパ面ft、vtに密着することになり、連結作業が終了する。その過程で締めこまれるねじ161のテーパ面161tの求心作用によって、連結部材16に対してフレーム11Bが相対的に支柱15方向に付勢され、当該フレーム11Bの先端zが支柱15に圧接されることになる。また、上述したねじ161のテーパ面161tの求心作用によって、爪163も相対的に支柱15方向に付勢され、当該爪の内面163cが支柱15に圧接されることになる。すなわち、この実施形態の支柱15とフレーム11Bとの連結部分には、1本のねじ161を装着することによって、フレーム11Bの連結部材16への定着とフレーム11Bの支柱15に対する圧接とを同時に行うことができる、パイプ部材圧接機構Pが組み込まれている。
【0025】
棚板2は、例えば平面視正方形状をなす板金製のもので、
図2に示すように全体が略一定の厚さ寸法を備えており、その底面周縁部を第1のフレーム11Aの内側面に掛止されたフック14に支持させた状態で第1、第2のフレーム11A、11Bにより囲まれた空間に着脱可能に配されている。棚板2と第1のフレーム11Aとの間の目地13Aは、フック14に設けられる凸部140により形成される。棚板2と第2のフレーム11Bとの間の目地13Bは、棚板2の平行な2つの側面に設けた図示しない凸部を第2のフレーム11Bに当接させることにより形成される。各フック14は、
図8に示すように、フレーム11Aの内側面に添接する垂下板141と、この垂下板141の上端に設けられフレーム11Aに形成されたスリットtを介してフレーム内に挿入される屈曲板142と、垂下板141の下端から棚板2方向に延出する棚受板143とを備えたもので、板金素材により一体に作られている。フック14の垂下板141には、棚板2の側面に当接する凸部140が設けられている。凸部140は垂下板141の一部を棚板2方向に一体に膨出させたもので、垂下板141の素材厚み寸法と凸部140の膨出寸法の合計寸法が、目地13Aの開口幅寸法wと同一又は若干小さくなるように設定されている。
【0026】
インセットパネル4は、
図1及び
図2に示すように、支柱15と第1又は第2のフレーム11A、11Bにより囲まれた空間を塞ぐことができる正方形状のパネル本体41と、このパネル本体41から上下方向に延出し第1又は第2のフレーム11A、11Bと棚板2との間に形成された目地13A、13Bに差し込まれる係止部42、43とを備えている。パネル本体41は、支柱15の左右幅寸法と略同じ厚み寸法を有したもので、装着状態においてパネル本体41の外面及び内面は、それぞれ支柱15の外面と略面一となる。なお、この実施形態の係止部42、43は、差し込むべき目地13A、13Bの開口幅寸法wよりも小さな厚み寸法を有するものであるが、目地13A、13Bの開口方向、すなわち鉛直方向に対して若干傾斜させてあるため、目地13A、13Bに挿入した際にインセットパネル4にガタツキが生じないように構成されている。
【0027】
以上説明したインセットパネル4を、上下の棚板2間に形成される収納空間を囲うように装着するには、例えば、上段側の棚板2を持ち上げた状態でインセットパネル4の下の係止部43を下段側の棚板2とフレーム11A、11Bとの間に形成された目地13A、13Bに挿入し、しかる後に上段側の棚板2を正規の位置に戻すことによって上の係止部42を上段側の棚板2とフレーム11A、11Bとの間に形成された目地13A、13B内に位置させることにより行う。
【0028】
本実施形態のシェルフSは、以上に述べた主要ユニットS1の一端に直交増連ユニットS2を接続したものである。この直交増連ユニットS2は、
図1~
図3及び
図11に示すように、端に配された2本の支柱17と、これら2本の支柱17を連結する第1のフレーム11Aと、この直交増連ユニットS2の支柱17と主要ユニットS1の支柱15とをそれぞれ連結する第3のフレーム11Cとを備えている。この直交増連ユニットS2も2段タイプのものであって、端に配される第1のフレーム11Aを3本、左右対をなす第3のフレーム11Cを3組備えている。
【0029】
支柱17、第1のフレーム11A及び第3のフレーム11Cは、いずれも前述した主要ユニットS1における支柱15及び第1のフレーム11Aと同様の構成を有するパイプ部材により構成されたものである。171は支柱17の下端に設けたアジャスタ、172は支柱17の上端に設けた支柱キャップである。ここで、左右に対向する支柱17と第1のフレーム11Aとは、溶接等により剛結されており、
図11に示すように、梯子状の枠構造体が形成されている。
図14に示すように、支柱17には、第3のフレーム11Cが連結部材16を介して着脱可能に連結しているが、その連結構造は、前述した主要ユニットS1の連結部材16による支柱15と第2のフレーム11Bとの連結部分の構造と同様である。すなわち、支柱17と第3のフレーム11Cとの連結部分にも、パイプ部材圧接機構Pが組み込まれている。
【0030】
そして、この直交増連ユニットS2は、
図14に示すように、第3のフレーム11Cを主要ユニットS1の前側の支柱15に接続することにより主要ユニットS1に接続されるようになっている。
【0031】
主要ユニットS1の前側中央及び右端の支柱15の前面には、
図15及び
図16に示すように、第3のフレーム11C取付用のスリットu2が設けられている。このスリットu2は、当該支柱15の第2のフレーム11B取付用のスリットuと同一の長手方向箇所に1つずつ設けられている。
【0032】
第3のフレーム11Cを主要ユニットS1の支柱15に連結するための増連用の連結部材18は、
図14及び
図15に示すように、外部に露出することなく支柱15と第3のフレーム11Cとを接続するもので、
図12及び
図16に示すように、1本のねじ181の着脱により支柱15とフレーム11Cとを装脱することができるようになっている。
図12、
図13及び
図16に示すように、増連用の連結部材18は爪183が1枚であること以外前述した主要ユニットS1の連結部材16と同様の構成を有するので、爪183以外の対応する箇所には連結部材16と同一の符号を付して説明を省略する。連結部材18の1枚の爪183は、一方の側板162bの端部を屈曲させて延出させたもので、両側板162bから等距離をなす中央位置に配されている。また、増連用の連結部材18による主要ユニットS1の支柱15と第3のフレーム11Cとの連結部分の構造も、前述した主要ユニットS1の連結部材16による支柱15と第2のフレーム11Bとの連結部分の構造と同様である。すなわち、主要ユニットS1の支柱15と第3のフレーム11Cとの連結部分にも、パイプ部材圧接機構Pが組み込まれている。
【0033】
このように直交増連ユニットS2を主要ユニットS1に接続した状態で、各段の第1~第3のフレーム11A~11Cの内側に棚板2がそれぞれ配されている。直交増連ユニットS2の第1のフレーム11Aの内側面、及び主要ユニットS1の前側右半部の第2のフレーム11Bの外側面の両端近傍部には、
図5に示すように水平なフック取付け用のスリットtが設けられている。棚板2は、前述した主要ユニットの棚板2と同様の構成を有し、フック取付け用のスリットtに掛止されたフック14に支持されてフレーム11A~11Cの内側に着脱可能に配されている。各フック14は、前述した主要ユニットS1におけるフック14と同様の構成を有するので、対応する箇所には同一の符号を付して説明を省略する。その配置状態において棚板2の載置面qと対応するフレーム11A~11Cの上面pとが略面一に揃うとともに、各フレーム11A~11Cと棚板2との間に例えば2mm程度の開口幅寸法wを有する目地13A~13Cがそれぞれ形成されている。第1及び第2のフレーム11A、11Bと棚板2との間の目地13A、13Bは、フック14に設けられる凸部140により形成されている。第3のフレーム11Cと棚板2との間の目地13Cは、棚板2の側面に設けられた図示しない凸部により形成されている。
【0034】
そして、第3のフレーム11Cと棚板2との間の目地13Cを利用してインセットパネル4が装着されている。このインセットパネル4の取り付けの態様は、前述した主要ユニットS1におけるものと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0035】
以上説明したシェルフSのパイプ部材接続部分X及びパイプ部材接続部分Yに、本発明に係るパイプ部材のジョイント構造が採用されている。
【0036】
まず、パイプ部材接続部分Xにおいては、第2のフレーム11B(第2のパイプ部材)が、一直線状をなす姿勢で支柱15B(第1のパイプ部材)の両側に対をなして配されているとともに、その支柱15Bにおける第2のフレーム11Bと同一の高さ位置(長手方向位置)において第2のフレーム11Bに直交する第3のフレーム11C(第3のパイプ部材)が接続されている。すなわち、このパイプ部材接続部分Xにおいては、パイプ状をなし略直交する方向にそれぞれスリットu、u2を有した支柱15B(第1のパイプ部材)と、連結部材16、18の爪163、183をスリットu、u2に挿入させることにより支柱15B(第1のパイプ部材)の壁にそれぞれ直交姿勢で取り付けられる第2、第3のフレーム11B、11C(第2、第3のパイプ部材)とを備えたものであって、第2のフレーム11B(第2のパイプ部材)側の爪163と第3のフレーム11C(第3のパイプ部材)側の爪183とが、支柱15B(第1のパイプ部材)の内部において、第2のフレーム11B(第2のパイプ部材)側の爪163(一方のパイプ部材側の爪)の挿入端163aが第3のフレーム11C(第3のパイプ部材)側の爪183(他方のパイプ部材側の爪)の側面183sに対面し、かつ、交差しないように各爪163、183の本数及び位置を設定している。すなわち、この実施形態では、第2のフレーム11B側の爪163(第2のパイプ部材側の爪)は一対設けられ、第3のフレーム11C側の爪183(第3のパイプ部材側の爪)は1つだけ設けられている。
【0037】
また、この実施形態では、第2、第3のフレーム11B、11C(第2、第3のパイプ部材)は、前述したように、それぞれ爪163、183を有した連結部材16、18を介して支柱15B(第1のパイプ部材)に取り付けられるものである。
【0038】
連結部材16、18の各連結部材本体162は、1本のねじ161、181により対応する第2、第3のフレーム11B、11C(第2、第3のパイプ部材)にそれぞれ緊締されるものであり、この連結部材本体162とフレーム11B、11C(第2、第3のパイプ部材)との間には、ねじ161、181の緊締力を利用してフレーム11B、11C(第2、第3のパイプ部材)の先端zを支柱15B(第1のパイプ部材)の周壁に押し付けるパイプ部材圧接機構Pが設けられている。
【0039】
すなわち、この実施形態の支柱15B(第1のパイプ部材)は、角柱パイプ状をなすもので、対向する周壁15sにそれぞれ一対のスリットuが設けられているとともに、それら周壁15sに略直交する周壁15tに単一のスリットu2が設けられている。しかして、2つの爪163を一対のスリットuに掛け止めした第2のフレーム11Bの先端zが、連結部材16に組み込まれたパイプ部材圧接機構Pにより周壁15sに押しつけられ、1つの爪183を単一のスリットu2に掛け止めした第3のフレーム11Cの先端zが、連結部材18に組み込まれたパイプ部材圧接機構Pにより周壁15tに押しつけられられるようになっている。また、このパイプ部材圧接機構Pの作用により、爪183の内面183cが支柱15Bの周壁15tの内面に押しつけられられるようになっている。
【0040】
一方、パイプ部材接続部分Yにおいては、
図14に示すように、支柱15A(第1のパイプ部材)に、1本の第2のフレーム11B(第2のパイプ部材)と、1本の第3のフレーム11C(第3のパイプ部材)とが互いに直交する姿勢で接続されているが、各部の構成はパイプ部材接続部分Xに準じたものであるため、詳細な説明は省略する。
【0041】
ここで、
図1はこのシェルフSの正面側斜視図である。
図2は同シェルフSの棚板2及びインセットパネル4の一部を取り外した状態の正面側斜視図であり、
図3は同シェルフSの棚板2及びインセットパネル4を全て取り外した状態の正面側斜視図である。なお、
図1及び
図2においてインセットパネル4にはパターンを付している。
図4は第1のフレーム11Aに設けたフック取付け用のスリットt付近の拡大斜視図、
図5は第2のフレーム11Bに設けたフック取付け用のスリットt付近の拡大斜視図である。
図6は主要ユニットS1の分解斜視図である。
図7は、連結部材16の分解斜視図である。なお、
図7では、連結部材本体162を一部破断して示している。
図8は本実施形態のフック14を示す図であり、同図の(a)はフックの正面図、同図の(b)は同側面図、同図の(c)は同斜視図である。なお、
図8の(b)では、棚板12及び支柱15を想像線で示している。
図9は連結部材本体162のナット162eにねじ161を螺着する前の状態を示す断面図、
図10は連結部材本体162のナット162eにねじ161を螺着した後の状態を示す断面図である。なお、
図9及び
図10は第2のフレーム11Bの奥行き方向中央で切断した中央正断面図であり、下縁163b1が支柱15の側面のスリットuの下縁に当接している側の爪163は本来現れないが、この爪の下縁163b1のみが支柱15の側面のスリットuの下縁に当接していることを示すために、双方の爪163の下縁163b1、163b2をこれら
図9及び
図10中に示している。
図11は主要ユニットS1への直交増連ユニットS2の接続態様を示す分解斜視図である。
図12は支柱15Bに対する第3のフレーム11Cの取付態様を示す分解斜視図である。
図13は増連用の連結部材18の分解斜視図である。なお、
図13では、連結部材本体162を一部破断して示している。
図14はこのシェルフSの第2段目のフレーム11A~11Cに対応する平面で切断した平断面図である。
図15はパイプ部材接続部分X付近の拡大平断面図である。なお、
図15では、第2、第3のフレーム11B、11Cを想像線で示している。また、
図14及び
図15では、連結部材16、18の側板162b及び爪163、183を太線で示している。そして、
図16は支柱15Bに対する第2、第3のフレーム11B、11Cの取付態様を示す分解斜視図である。
【0042】
以上説明したパイプ部材の接続構造によれば、支柱15(第1のパイプ部材)に対する第2、第3のフレーム11B、11C(第2、第3のパイプ部材)側の爪163、183の挿入寸法を無理なく確保することができるとともに、支柱15に対するフレーム11B、11Cの組付けに関する自由度を高めることができる。すなわち、このような構成のものであれば、支柱15B内に挿入された2本のフレーム11B側の各2枚の爪163の挿入端163a間に隙間SSが形成され、その隙間SSに第3のフレーム11C側の1枚の爪183が侵入することになる。そのため、支柱15B内の空間に爪163、183が高密度に配されることになり、支柱15Bの同一高さ位置に相互に直交する第2、第3のフレーム11B、11Cを接続しても、支柱15Bに対する爪163、183の挿入寸法を小さくしなければならないという制約が緩和される。そのため、爪163、183による接続強度を低下させることなく、支柱15Bを細くすることも可能となり、設計の自由度が向上する。
【0043】
また、かかる構成によれば、支柱15の内外いずれにおいても、第2のフレーム11B側の爪163と第3のフレーム11C側の爪183とが相互に係り合わないため、それらのフレーム11B、11Cを他のフレーム11C、11Bに影響を与えることなく自由に装脱することができる。例えば、一直線状をなす2本のフレーム11B(第2のパイプ部材)と、これらフレーム11Bに直交するフレーム11C(第3のパイプ部材)とが支柱15Bの同一高さ位置に接続されたパイプ部材接続部分Xにおいては、ねじ181を緩めて第3のフレーム11C側の爪183を支柱15Bのスリットu2から抜き取ることによって、第3のフレーム11Cだけを支柱15Bから取り外すことができ、その際には第2のフレーム11Bと支柱15Bとの接続関係はそのままに維持しておくことができる。そして、第3のフレーム11Cを取り除いた跡には、支柱15Bにスリットu2が残るのみであり、第2のフレーム11B側の爪163等が外部に露出するようなことは一切ない。
【0044】
そして本実施形態では、第2のフレーム11B(第2のパイプ部材)が一直線状をなす姿勢で支柱15B(第1のパイプ部材)の両側に対をなして配されているパイプ部材接続部分Xに本発明を適用しているので、このように第2及び第3のフレーム11B、11CがT字状になる箇所において支柱15とフレーム11B、11Cとを強固に連結できる。
【0045】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、いずれも角柱パイプ状をなす第1~第3のパイプ部材のジョイント構造に本発明を適用しているが、例えば丸パイプ状等、他の形状をなすパイプ部材のジョイント構造に本発明を適用してもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、第2のパイプ部材側の爪は一対設けられ、前記第3のパイプ部材側の爪は1つだけ設けられているが、第2のパイプ部材側の爪の挿入端が第3のパイプ部材側の爪の側面に対面し、かつ、交差しないようにしておれば、各爪の本数及び位置は任意に設定してよい。但し、上述した実施形態のように爪の本数及び位置を設定すれば、簡単な構成により各爪を高密度に配置することができる。
【0048】
さらに、前述した実施形態では、第2、第3のパイプ部材が爪を有した連結部材を介して第1のパイプ部材に取り付けられ、その連結部材が、対応するパイプ部材の内部に収容された連結部材本体と、この連結部材本体から突出し対応するパイプ部材の先端から外部に延出する爪とを備えたものであって、連結部材本体が、1本のねじにより対応する第2、第3のパイプ部材にそれぞれ緊締されるものであり、この連結部材本体とパイプ部材との間に、ねじの緊締力を利用してパイプ部材の先端を前記第1のパイプ部材の周壁に押し付けるパイプ部材圧接機構が設けられている構成を採用しているが、パイプ部材の先端部に爪を設ける等、他の構成を採用してもよい。但し、上述したような連結部材及びパイプ部材圧接機構を利用した構成を採用すれば、1本のねじの緊締力を利用して第2及び第3のパイプ部材の先端を第1のパイプ部材の周壁に押しつけ、簡単な構成によりこれらのパイプ部材を強く接続することができる。
【0049】
加えて、前述した実施形態では、鉛直に伸びる第1のパイプ部材(支柱)に水平に延びる第2及び第3のパイプ部材(第2、第3のフレーム)を接続するパイプ部材のジョイント構造に本発明を適用しているが、水平に伸びる第1のパイプ部材に水平に延び第1のパイプ部材に直交する第2のパイプ部材及び鉛直に伸びる第3のパイプ部材を接続するパイプ部材のジョイント構造に本発明を適用してもよく、さらに、水平に伸びる第1のパイプ部材に鉛直に伸びる第2のパイプ部材及び水平に延び第1のパイプ部材に直交する第3のパイプ部材を接続するパイプ部材のジョイント構造に本発明を適用してももちろんよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0051】
15(15A、15B)…第1のパイプ部材(支柱)
15s、15t…第1のパイプ部材の壁(周壁)
11B…第2のパイプ部材(第2のフレーム)
11C…第3のパイプ部材(第3のフレーム)
16…連結部材
162…連結部材本体
163…第2のパイプ部材側の爪
18…(増連用の)連結部材
183…第3のパイプ部材側の爪
z…第2、第3のパイプ部材の先端
P…パイプ部材圧接機構